説明

位置情報を活用した目覚まし時計プログラム

【課題】効果が高く、特殊な機器に依存せず、実現が容易な目覚まし時計機能を実現する。
【解決手段】スマートフォンなどの携帯情報機器が備えるGPSなどの位置測定機能を活用し、利用者が制限時間までに外出できなかった場合にインターネット上のコミュニティサービスにメッセージを送信するなどのペナルティ処理を行なう設計を採用することで、利用者の時間通りの起床と外出のインセンティブを高めた目覚まし時計プログラムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はスマートフォンを初めとする携帯情報機器の特性を生かした目覚まし時計機能を提供するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンに代表される携帯情報機器の普及が進んでいる。これらの携帯情報機器は、ユーザーがアプリケーション・プログラム(アプリ)をインストールすることで多様な機能を実現できる点に特徴がある。
【0003】
このようなアプリに目覚まし時計(アラーム・クロック)の機能を提供するものがある。携帯情報機器を時計代わりに使用する消費者も多いことから人気があるカテゴリーのひとつとなっている。
【0004】
目覚まし時計アプリが提供する機能の例として「二度寝」防止機能がある。単純に設定した時刻にアラームを鳴らすだけでは、利用者が無意識のうちにアラームを止めてしまう可能性があるため、これに対応することが望ましい。一部の従来型目覚まし時計と同様に、アラームを止めてから一定時間後にアラームを再起動するスヌーズ機能を提供するアプリ、及び、アラームを止めるためにパズルを解くなどの頭脳を用いる行動を利用者に行わせることで覚醒を促進するアプリなどが既に市場に存在する。
【0005】
しかし、これらの目覚まし時計アプリは携帯情報機器上で稼働するソフトウェアならではの柔軟性を生かしているとは言えず、従来型の目覚まし時計と比較して顕著な優位性を有しているとは言えなかった。
【0006】
一方で、携帯情報機器とは別の領域で、目覚まし時計の効果を高めるための技術も存在する。たとえば、特許文献1では、利用者がベッドから離れないとアラームが解除できない装置の発明が開示されている。また、特許文献2では、目覚まし時計を停止するために隣の部屋からアラーム停止信号を発信することを必要とする発明が開示されている。これらの発明は、一般的でない特別な機器の事前設置が必要である点で、消費者が手軽に利用できるものではないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許公開2009−085901
【特許文献2】特許公開平09−23006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般消費者市場において普及しているスマートフォンなどの携帯情報機器に標準的に備えられた位置情報取機能、あるいは、ネットワーク接続機能を活用し、簡便かつ効果的な目覚まし時計機能を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、位置情報取得手段、位置情報保存手段、時刻測定手段、アラーム発生手段、及び、ネットワーク送信手段を備えた装置において実行されるプログラムであって、該プログラムは、位置情報保存手段に第一の位置情報を保存するステップと、時刻測定手段に指令を送り現在時刻を得るステップと、概現在時刻ががあらかじめ設定した時刻と合致した時にアラーム発生手段にアラーム起動指令を送るステップと、前記位置情報保存手段から第一の位置情報を得るステップと、位置情報取得手段に指令を送り第二の位置情報を得るステップと、第一の位置情報と第二の位置情報の間の距離を算出するステップと、該距離が一定距離以下であり、かつ、前記アラーム起動指令を送った時刻から一定時間以上が経過していた場合にネットワーク通信手段に指令を行いメッセージを送信あるいは発呼するステップとを実行することを特徴とするプログラムを提供することで前記課題を解決する。
【0010】
また、本願発明は、ネットワーク接続手段、ネットワーク識別子保存手段、時刻測定手段、アラーム発生手段、及び、ネットワーク送信手段を備えた装置において実行されるプログラムであって、該プログラムは、ネットワーク接続手段に指令を送り第一のネットワーク識別子を得て、該ネットワーク識別子をネットワーク識別子保存手段に保存するステップと、時刻測定手段に指令を送り現在時刻を得るステップと、概現在時刻ががあらかじめ設定した時刻と合致した時にアラーム発生手段にアラーム起動指令を送るステップと、ネットワーク接続手段に指令を送り第二のネットワーク識別子を得るステップと、第一のネットワーク識別子と第二のネットワーク識別子を得るステップと、第一のネットワーク識別子と第二のネットワーク識別子が同一であり、かつ、前記アラーム起動指令を送った時刻から一定時間以上が経過していた場合にネットワーク通信手段に指令を行いメッセージを送信あるいは発呼するステップとを実行することを特徴とするプログラムを提供することで前記課題を解決する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、時間内に起床し、自宅から外出する強いインセンティブを利用者に生じさせる効果の高い目覚まし時計機能が、一般的に普及している携帯情報機器を活用して実現可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本願発明に係るプログラムが稼働する装置の概要構成図の第一の例である。
【図2】本願発明に係るプログラムの設定画面の例である。
【図3】本願発明に係るプログラムの基本的処理ステップを表すフローチャートの第一の例である。
【図4】本願発明に係るプログラムが稼働する装置の概要構成図の第二の例である。
【図5】本願発明に係るプログラムの基本的処理ステップを表すフローチャートの第二の例である。
【図6】本願発明に係るプログラムの利用者の回避行為防止に係る処理ステップを表すフローチャートである。
【図7】本願発明に係るプログラムのアラーム起動後に表示される画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本願発明の実施形態について説明する。まず、本願発明が実現する目覚まし時計機能の概要について説明する。
【0014】
携帯情報機器は利用者が設定した時刻になると通常の目覚まし時計と同様にアラームを鳴らす。ここで、利用者はアラームを止めるだけではなく、一定時間経過後までに携帯情報機器を持って現在の位置からあらかじめ定めた距離以上離れること、すなわち、自宅から外出することを求められる。ここで、通常の目覚まし時計と同様に、利用者がアラームを停止しても一定時間後にアラームを再起動するスヌーズ機能を提供してもよい。利用者が、アラーム起動から一定時間経過後までに携帯情報機器を持って現在の位置からあらかじめ定めた距離以上離れることができなかった場合には、本願発明に係るプログラムはペナルティとなる処理を起動する。なお、ペナルティ起動までの時間はユーザーが設定することができてよい。利用者には、ペナルティを避けるために迅速に起床し、外出準備を行うインセンティブが生まれ、効果的な目覚まし機能を実現することができる。
【0015】
ここで、ペナルティは、利用者にとって、あらかじめ定めた目標の時刻までに外出するインセンティブとなりつつも、社会的に許容される程度の軽微なものであることが望ましい。ペナルティの一つとして、インターネット上のコミュニティ・サイトへのメッセージの発信がある。今日のインターネットでは、フェイスブックに代表されるSNS(ソーシャル・ネットワーク)やツイッターに代表されるマイクロブログなど、多くのコミュニティ・サイトのサービスが普及している。これらのコミュニティ・サイトでは多数の友人に対して一斉にメッセージを送ることができる。自分が寝坊ないし遅刻したというメッセージをコミュニティ・サイトに送信し、その事実が多くの友人に伝えられるということは利用者にとって恥ずべきこととなるため、利用者には時間通りに外出するという強いインセンティブが生じることになる。これは、一般的な目覚まし時計と比較してはるかに効果的である。同様に、制限時間までに無事外出できた場合には、その旨のメッセージをコミュニティ・サイトに送信するようにしてもよい。
【0016】
ペナルティのもうひとつの例として、特定アドレスへのショートメッセージの送信、あるいは、特定番号への発呼による、金銭の支払いがある。特定アドレスにショートメッセージを送信するだけで特定の団体に送金できる仕組みは実現されている(たとえば、米国赤十字社に対して寄付を行えるサービスが現実に存在している)。金銭支払いは、慈善団体等への寄付であってもよいし、特定企業への送金でもよい。いずれにせよ、社会的に許容される範囲内の少額であっても金銭支払いがもたらす利用者にとっての心理的圧力は大きいため、時間通りに外出するためのインセンティブが生じる。
【0017】
これらのペナルティ機能は従来の目覚まし時計、あるいは、目覚まし時計の機能を単に模しただけのアプリにはないスマートフォンならではの技術的特性を生かした特徴である。また、一般的に普及しているスマートフォンに本願発明に係るプログラムをインストールするだけで実現可能であるため、特殊な機器や事前の設備を必要とする発明と比較してはるかに簡便かつ安価に実現可能である。
【0018】
次に、本願発明の第一の実施形態例について詳しく説明する。
【0019】
図1は、本願発明の第一の実施形態例に係る目覚まし機能制御プログラム(106)が稼働するハードウェア環境の全体構成図である。なお、このハードウェア構成は今日において一般的になっているスマートフォンを初めとする携帯情報機器が標準的に備えているものである。また、本願発明に係る目覚まし機能制御プログラム(106)が稼働するハードウェア環境は、必ずしも携帯情報機器に限定されず、図1の構成要素を有する機器であれば、任意の機器により本願発明の技術的思想を実現可能である。
【0020】
位置情報取得手段(101)は、目覚まし機能制御プログラム(106)が稼働するハードウェア機器の地理的な位置を測定する手段であり、典型的には携帯情報機器に標準的に備えられているGPS(グローバル・ポジショニング・システム)のハードウェアと関連ソフトウェアである。
【0021】
位置情報保存手段(102)は、位置情報取得手段(101)から読み出した位置情報、あるいは、設定画面(図2)において利用者が入力した位置情報を保存するための手段であり、具体的には携帯情報機器が備える不揮発性メモリにより実現される。
【0022】
時刻測定手段(103)は現在時刻を測定する時計機能である。今日の一般的な携帯情報機器においてはプログラムから時刻を測定するためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)が提供されており、プログラムから時刻を読み取ることが可能である。
【0023】
アラーム発生手段(104)は、音、または、音、光もしくは振動等の組み合わせにより目覚まし機能を提供するための手段である。同じく、携帯情報機器では、プログラムからAPIを呼び出すことでアラームを起動、および、停止することが可能である。
【0024】
ネットワーク送信手段(105)は、インターネットを介して特定のサービス(ウェブサイト)や受け取り先に対してメッセージを送信する、あるいは、特定の電話番号への発呼を行う手段である。これも、プログラムからAPIを介して制御可能である。
【0025】
目覚まし機能制御プログラム(106)は、前述の位置情報取得手段(101)、位置情報保存手段(102)、時刻測定手段(103)、アラーム発生手段(104)、ネットワーク送信/発呼手段(105)を制御し、APIを介して指令を送ることで、効果が高い目覚ましと機能を実現するためのプログラムであり、本願発明の主要構成要素である。
【0026】
目覚まし機能制御プログラム(106)は、携帯情報機器のハードウェア(108)上で稼働するオペレーティングシステム(107)上で稼働する。なお、オペレーティングシステム(107)は、Android(登録商標)、iOS(登録商標)もしくはWindows Phone(登録商標)などの今日の市場において広く普及しているソフトウェアであることが通常であるがこれらに限定されない。
【0027】
図2に、本願発明に係る目覚まし機能制御プログラム(106)の設定画面の例を示す。図2−aは、時刻通りに起きられた場合と起きられなかった場合のそれぞれにおいて、ソーシャル・コンピューティング・サービスにメッセージを送信するタイプのプログラムの設定画面、図2−bは上記に加えてショートメッセージの送信による寄付を行なうタイプのプログラムの設定画面である。
【0028】
図2−aでは、起床時刻(画面例では6時40分)、メッセージ送信先となるサービス(画面例ではツイッター)、時間までに外出できた場合に送信するメッセージ、時間までに外出できなかった場合に送信するペナルティとしてのメッセージ、外出されたと判断されるために必要な移動距離(画面例では300メートル)、ペナルティ処理発動までの制限時間(画面例では60分)を入力する。家の場所は、目覚まし機能制御プログラム(106)が位置情報取得手段に指令を送ることで自動的に取得し、設定するようにしてもよいが、ユーザーが自ら入力可能にできるようにしてもよい。一般に、屋内ではGPSによる位置測定が正確に行えないことが多いことから、利用者が他の地図情報アプリ等を利用して位置情報を事前に入力しておくことが便利な場合もある。図2−bでは、図2−aの項目に加えて寄付金の送金先と金額の入力項目が提供される。目覚まし機能制御プログラム(106)は、これらのユーザーが入力した設定値に基づいて動作する。
【0029】
次に本願発明に係る目覚まし機能制御プログラム(106)のより具体的な処理フローについて説明する。
【0030】
図3は、本願発明の第一の実施例に係る目覚まし機能制御プログラム(106)の処理の例である。各処理の間には必要な遅延を入れてよい。また、全処理を一連の命令として実行せずに複数のタスクとしてマルチタスク処理をしてもよい。
【0031】
図3−aは、アラーム起動処理の例である。ステップ301は、起点となる位置情報を取得して位置情報取得手段(102)に保存する処理である。ここでは、位置情報取得手段(101)を呼び出して現在位置を取得してもよいし、設定画面(図2)でユーザーが入力した家の場所の情報をそのまま使用してもよい。
【0032】
次に、ステップ302、ステップ303、ステップ304は時刻測定手段(103)から現在時刻を取得し、ユーザーが図2の画面において設定した起床時刻と比較し、起床時刻が来ていた場合にはアラーム発生手段(104)に指令を送り、アラームを起動する。なお、アラームを起動した後に、ユーザーの操作にしたがってアラームを停止し、一定時間後にアラームを再起動するスヌーズ処理を行なってもよい(図には示していない)。目覚まし機能制御プログラム(106)は、アラームを起動した後に、アラーム解除処理(図2−b)を呼び出す。
【0033】
次に、アラーム解除処理(図2−b)の各ステップについて説明する。
【0034】
ステップ305では、位置情報取得手段(101)に指令を送り、本発明に係る携帯情報機器の現在の位置を取得する。たとえば、Android(登録商標)をOSとして使用した携帯情報機器であれば、目覚まし機能制御プログラム(106)がLocationManagerクラスを呼び出すことによりGPS(位置情報取得手段(102))から現在位置の情報を読み出すことができる。
【0035】
ステップ306では、ステップ301において保存した位置(利用者の家の位置)とステップ305で取得した現在の位置の間の距離を算出する。
【0036】
ステップ307では、ステップ306で算出した距離が、利用者が設定した距離(図2において「家から離れる距離」として設定した距離)より大きいかどうかを判断する。大きかった場合には、家から十分に離れたと判断し、ステップ308において、成功時の処理、たとえば、ネットワーク送信/発呼手段(105)に指令を送ることでソーシャルネットワークに無事に起床できた旨のメッセージ(利用者が図2の画面において「起きられたとき」として設定したメッセージ)の送信を行なう処理などを実行する。なお、ステップ308の処理は省略してもよい。
【0037】
目覚まし機能制御プログラム(106)が、ステップ307で利用者が十分に家から離れていないと判断した場合には、ステップ309の判断処理を実行し、ステップ304のアラーム起動の時刻から、利用者が設定した制限時間((図2において「家から離れる制限時間」として設定した時間)以上が経過しているかどうかを判断する。経過していた場合には、時間までに家を離れられなかったということなので、目覚まし機能制御プログラム(106)はステップ310においてペナルティ処理を実行する。
【0038】
ステップ310のペナルティ処理は、前述のとおり、目覚まし機能制御プログラム(106)が、ネットワーク送信/発呼手段(105)に指令を送ることでソーシャルネットワークに無事起床できなかった旨のメッセージ(図2において利用者が「起きられなかったとき」として設定したメッセージ)送信を行なう処理などを実行する。また、特定の電話番号に発呼、あるいは、ショートメッセージサービスにメッセージを送ることで、金銭を支払う処理を実行してもよい。
【0039】
目覚まし機能制御プログラム(106)が、ステップ309の判断処理の結果、制限時間がまだ経過していないと判断した場合には、一定時間のウェイト(図には示していない)を行なった後に再度ステップ307の判断処理を実行する。
【0040】
目覚まし機能制御プログラム(106)は、ステップ308またはステップ310を実行した後に、ステップ311のアラーム解除処理を実行する。
【0041】
次に、本願発明の第二の実施形態例について詳しく説明する。当該実施携帯例は第一の実施形態例と基本的には同等であるが、位置情報取得手段に依存しない点に特徴がある。市販されている携帯情報機器の中にはGPSなどの位置情報取得機能を備えていないものもあり、このような機器においても本願発明の目的を達成するためには第二の実施形態例が有効である。
【0042】
図4は、本願発明の第一の実施形態例に係る目覚まし機能制御プログラム(106)が稼働するハードウェア環境の全体構成図である。ネットワーク接続手段(101’)は、携帯情報機器を無線LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)あるいは携帯電話ネットワークに接続するための手段であり、典型的には、携帯情報機器に標準的に装備されているハードウェアおよび関連ソフトウェアにより実現される。
【0043】
ネットワーク識別子保存手段(102’)は、ネットワーク接続手段(101’)の接続先の識別子を保存する手段であり、典型的には、携帯情報機器の不揮発性メモリにより実現される。
【0044】
図5における他の要素である時刻測定手段(103)、アラーム発生手段(104)、ネットワーク送信手段(105)、オペレーティングシステム(107)、ハードウェア(108)に関する説明は、図1における第一の実施例における説明と同等である。
【0045】
図5は、本願発明の第二の実施例に係る目覚まし機能制御プログラム(106)の処理の例である。以下では、図3に対する説明との相違点についてのみ説明する。
【0046】
ステップ301’において、目覚まし機能制御プログラム(106)が、ネットワーク接続手段(101’)に指令を出し、その時点で接続されているネットワーク接続先の識別子を取得し、ネットワーク識別子保存手段(102’)に保存する。ここで、ネットワーク識別子は、ネットワーク接続手段(101’)が無線LANによるネットワーク接続を行なっている場合には、典型的には、その時点で接続している基地局のSSID(Service Set Identifier)であり、第3世代移動通信システム(3G)によるネットワーク接続を行なっている場合には、典型的には、その時点で接続している基地局の識別子である。オペレーティングシステム(108)としてAndroid(登録商標)を使用している場合には、目覚まし機能制御プログラム(106)は、WifiManager.クラスを呼び出すことで現在接続されているSSIDを読み出すことができる。
【0047】
図5のステップ302、ステップ303、ステップ304に関する説明は図3における説明と同等である。
【0048】
ステップ305’では、目覚まし機能制御プログラム(106)は、ステップ301’における処理と同様の処理を実行し、その時点のネットワーク接続先の識別子を取得する。そして、ステップ307’において、ステップ301’で取得し、保存したネットワーク識別子(アラーム設定時のネットワーク識別子)と比較する。両者が異なる場合には、携帯情報機器の位置が、アラーム起動時に接続されていた無線LANのアクセスポイント、あるいは、3Gネットワークの特定の基地局のサービス範囲外にあることになり、利用者が無事起床し、自宅から遠くに移動できたこと、すなわち、外出できたことが類推できる。この場合、目覚まし機能制御プログラム(106)は、第一の実施例と同様にステップ308を実行する。そうでない場合(つまり、まだ家から十分な距離を離れていない場合)は、第一の実施例と同様にステップ309を実行する。以下のステップに対する説明は、図2に示した第一の実施例に対する説明と同じである。
【0049】
要するに、第二の実現形態例では、第一の実現形態例における移動距離の測定と同等の機能を、ネットワーク接続機能の接続先の変化のチェックにより実現していることになる。
【0050】
上記の第一の実現形態例および第二の実現形態例に共通の付加的機能として、利用者によるペナルティの回避行為を防ぐ機能が提供されていることが望ましい。利用者が眠気に耐えられずに、無意識のうちに目覚まし機能の回避行動を取ることが想定される(これこそがまさに背景技術で述べたような、目覚まし時計の効果を高める発明が必要とされる理由である)。
【0051】
まず、利用者が携帯情報機器の電源を切ってしまうことが想定される。このような場合には、目覚まし機能制御プログラム(106)は、電源が切断されたイベントを受信して、まだ、アラーム起動から利用者が設定した時間がまだ経過していない場合には、強制的かつ即時に上記ペナルティ処理を実行する設計とすることができる。たとえば、オペレーティング・システムとしてAndroid(登録商標)を使用している場合には、目覚まし機能制御プログラム(106)は、Intentの受信を介して、電源断を検知することができる。電源を切ると強制的かつ即時にペナルティ処理が実行されることを知っている利用者は電源を切るという行動には出なくなると考えられる。この処理ステップのフローを図6−aに示した。
【0052】
もうひとつの回避処理として、本願発明に係るプログラムのアンインストール(削除)がある。スマートフォンを初めとする多くの携帯情報機器ではプログラムの削除を容易に行うことができるため対策が必要である。プログラムの削除を防ぐためには、本願発明に係るプログラムの画面(ウィンドウ)を携帯情報機器の最前面に表示し(この画面には、ペナルティ実行までの時間をカウントダウン表示してもよい、そのような画面の例を図7に示した)、利用者がアンインストール機能を呼び出すために別の画面に切り替えられないようにすることができる。より具体的には、本願発明に係るプログラムのウィンドウが最前面でなくなった時に強制的に最前面に戻すようにすればよい。たとえば、オペレーティング・システムとしてAndroidを使用している場合には、目覚まし機能制御プログラム(106)は、定期的にウィンドウ(Activity)にIntentを投げて状態を調べることによりウィンドウが最前面でなくなったことを知り、そのウィンドウを再度起動することにより最前面に戻すことができる。この処理ステップのフローを図6−bに示した。
【0053】
さらに想定される回避処理として利用者がバッテリーをはずしてしまうことがある。これを防ぐためには、次に携帯情報機器が起動した時に、アラーム起動から一定時間が経過していないことをチェックし、経過していない場合には強制的かつ即時に上記ペナルティ処理を実行する設計とすることができる。より具体的には、携帯情報機器の非揮発性メモリーにアラーム起動の時刻を保存しておき、携帯情報機器が起動した時に電源オンのイベントを受信して、自動的に実行されるプログラムにおいて前回のアラーム起動の時刻を読み出せるようにしておけばよい。この処理ステップのフローを図6−cに示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報取得手段、位置情報保存手段、時刻測定手段、アラーム発生手段、及び、ネットワーク送信手段を備えた装置において実行されるプログラムであって、
該プログラムは、
位置情報保存手段に第一の位置情報を保存するステップと、
時刻測定手段に指令を送り現在時刻を得るステップと、
概現在時刻ががあらかじめ設定した時刻と合致した時にアラーム発生手段にアラーム起動指令を送るステップと、
前記位置情報保存手段から第一の位置情報を得るステップと、
位置情報取得手段に指令を送り第二の位置情報を得るステップと、
第一の位置情報と第二の位置情報の間の距離を算出するステップと、
該距離が一定距離以下であり、かつ、前記アラーム起動指令を送った時刻から一定時間以上が経過していた場合にネットワーク通信手段に指令を行いメッセージを送信あるいは発呼するステップ
とを実行することを特徴とするプログラム
【請求項2】
ネットワーク接続手段、ネットワーク識別子保存手段、時刻測定手段、アラーム発生手段、及び、ネットワーク送信手段を備えた装置において実行されるプログラムであって、
該プログラムは、
ネットワーク接続手段に指令を送り第一のネットワーク識別子を得て、該ネットワーク識別子をネットワーク識別子保存手段に保存するステップと、
時刻測定手段に指令を送り現在時刻を得るステップと、
概現在時刻ががあらかじめ設定した時刻と合致した時にアラーム発生手段にアラーム起動指令を送るステップと、
ネットワーク接続手段に指令を送り第二のネットワーク識別子を得るステップと、
第一のネットワーク識別子と第二のネットワーク識別子を得るステップと、
第一のネットワーク識別子と第二のネットワーク識別子が同一であり、かつ、前記アラーム起動指令を送った時刻から一定時間以上が経過していた場合にネットワーク通信手段に指令を行いメッセージを送信あるいは発呼するステップ
とを実行することを特徴とするプログラム

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−38616(P2013−38616A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173476(P2011−173476)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(511193477)
【Fターム(参考)】