説明

位置調整装置

【解決課題】位置調整部材の位置を、簡易かつ精確に微調整することが可能な位置調整装置を提供する。
【解決手段】位置調整装置10は、基準面15から複数種類の距離を設定可能な当て止め手段20と、雄ねじ部32を有する挿通軸30と、当て止め手段20により位置決めされるベースブロック40と、ベースブロック40と隙間部49を介して並設され、位置調整部材80を固設可能な取付部64が連結される微調整ブロック50と、ベースブロック40および微調整ブロック50を、挿通軸30の軸方向に移動自在に案内するガイド部70と、を備える。ベースブロック40が位置決めされたのちに、挿通軸30の軸廻りの回動に伴い、微調整ブロック50が、ベースブロック40に対して離反ないし接近するように、挿通軸30の軸方向に沿って移動されることで、位置調整部材80の基準面15からの距離dを微調整自在に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートン組立機等において好適に用いられる位置調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、例えば特許文献1に記載される「部品取付装置」がある。この「部品取付装置」によれば、「回転台」と、「回転台」の上部に樹立した高さの異なる複数本の「設定ボルト」と、各「設定ボルト」を「回転台」に締結する「ナット」と、を備え、カートン組立機におけるフラップ押え板等の各部品が連結される「セットボルト」を、所望の「設定ボルト」に当接支持させることで、とりわけカートンの品種(サイズ)変更時に、各部品の位置を迅速に調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−150814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カートンが紙製等の場合には、その保管環境や製造状況等によりロットごとに(またはロット内で)、カートンの寸法や硬さに僅かな誤差が生じることがある。このような誤差があると、フラップ押え板等の各部品が、供給されたカートンに対して適切に作動できず、フラップの折り曲げ不良や差し込み不良等が連続して起こり易くなる。したがって、カートンの品種(サイズ)変更時以外でも、フラップ押え板等の各部品の位置を最適なものに微調整できることが好ましい。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載される如くの従来装置にあっては、カートンの品種(サイズ)変更時以外に、フラップ押え板等の各部品の位置を微調整するためには、「セットボルト」を一旦上方に逃がし、「ナット」を緩めたのちに、「設定ボルト」を上下に螺進させて高さ調節をおこない、再度「ナット」を締結する必要がある。そして、「セットボルト」を戻してみて具合が悪ければ、以上を繰り返す、という次第であるため、非常に手間がかかるうえに、精確な微調整をおこなうことが難しかった。
実際の生産現場では、「設定ボルト」と「セットボルト」との間に、アルミ箔や紙片等を挟んで微調整が試みられることもあったが、精確な微調整とは到底なり得ないものであった。
【0006】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的とするところは、位置調整部材の位置を、簡易かつ精確に微調整することが可能な位置調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る位置調整装置は、位置調整部材の基準面に対する位置を調整するための位置調整装置であって、基準面から複数種類の距離を設定可能な当て止め手段と、
該基準面に直交する軸廻りに回動自在に配設され、一部に螺刻部を有する挿通軸と、
該挿通軸に挿通され、該当て止め手段により位置決めされるベースブロックと、該挿通軸に挿通され、該ベースブロックと隙間部を介して並設されるとともに、位置調整部材を固設可能な取付部が連結される微調整ブロックと、該ベースブロックおよび該微調整ブロックを、該挿通軸の軸方向に移動自在に案内するガイド部と、を備え、該挿通軸が、該ベースブロックまたは該微調整ブロックの何れか一方と該螺刻部を介して螺合され、かつその他方が、該挿通軸に対して軸方向への相対移動不能に支持されており、該ベースブロックが位置決めされたのちに、該挿通軸の軸廻りの回動に伴い、該微調整ブロックが、該ベースブロックに対して離反ないし接近するように、該挿通軸の軸方向に沿って移動されることで、該位置調整部材の該基準面からの距離を微調整自在に構成される。
【0008】
本発明に係る位置調整装置は好ましくは、該微調整ブロックに、該ベースブロックを摺動可能に把持する把持部と、該ガイド部に摺動支持される摺動支持面と、を有する屈曲部が延設される。
【0009】
本発明に係る位置調整装置はさらに好ましくは、該微調整ブロックを、該ガイド部に摺動可能に締着するクランプ手段を備える。
【0010】
本発明に係る位置調整装置はさらに好ましくは、該挿通軸と該ベースブロックとが螺合されるとともに、該微調整ブロックに、該挿通軸の回動量に基づき該微調整ブロックの移動量を計測表示する計測表示器が付設される。
【0011】
本発明に係る位置調整装置はさらに好ましくは、該当て止め手段が、該基準面に対して回転自在に軸支される回転板と、該回転板上に周状をなして植設され、互いに異なる突出長さを有する複数の棒状体と、を備えてなる。
【0012】
本発明に係るカートン組立機は、上記構成の位置調整装置を備えて構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る位置調整装置によれば、上記したとおりの構成であるため、位置調整部材の位置を、簡易かつ精確に微調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る位置調整装置を示す平面図である。
【図2】実施形態に係る位置調整装置を示す正面図である。
【図3】実施形態に係る位置調整装置を示す断面一部側面図である。
【図4】他の実施形態に係る位置調整装置を示す図である。
【図5】他の実施形態に係る位置調整装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図3を参照して詳細に説明する。図1〜図3は実施形態に係る位置調整装置10を示しており、図1は平面図、図2は正面図、図3は断面一部側面図である。
【0016】
図1〜図3に示すように、位置調整装置10は主として、当て止め手段20と、挿通軸30と、ベースブロック40と、微調整ブロック50と、ガイド部70と、を備えて構成される。位置調整装置10は、適宜の台座13上に配設されており、台座13上面により水平な基準面15が形成されている。そして、位置調整装置10に所定の位置調整部材80が連結され、位置調整装置10の操作を介して、位置調整部材80の基準面15に対する位置を調整できるようになっている。
【0017】
本実施形態の位置調整装置10は、図1〜図3に示すように、カートン組立機Mの一部に設けられる。カートン組立機Mでは、供給されたカートンCが、一定の搬送経路に沿って各処置を施されながら順次組立てられており、この搬送経路に臨む適宜箇所に、位置調整装置10が配設されている。図示しないが、位置調整部材80には、カートンCに対して所定の処置を施す処置手段(例えばフラップ押え板、フラップ差し込み可動片、サイドフラップ蹴り込み板等)が適宜連結される。位置調整部材80自身が、このような処置手段を直接構成するものであってもよい。
【0018】
当て止め手段20は、基準面15から複数種類の距離(高さ位置)を設定可能なもので、本実施形態では、図1〜図3に示すように、台座13上に垂設される回転軸22によって回転自在に軸支される回転板23と、回転板23上に周状をなして植設される複数の設定ボルト26、26、…と、を備えてなる。回転板23上の外周縁近傍に、植込み孔23a、23a…が等間隔に配置され、この植込み孔23a、23a…に設定ボルト26、26、…が螺入されている。設定ボルト26はそれぞれ、基準面15に平行する水平な頂部26aを備え、軸部がナット27によって回転板23に締結される。上記設定ボルト26の植込み長さ、あるいは設定ボルト26自体の長さを適宜変更することで、回転板23上に、互いに異なる突出長さを有する複数の棒状体が形成されている。これらの突出長さは好ましくは、カートン組立機Mによって生産予定のカートンCの品種(サイズ)に合わせて決定される。回転板23に公知のラチェット機構(図示せず)等を付設して、回転板23を所定の回転角度ごとに間欠停止させ易くしてもよい。
【0019】
当て止め手段20としては、上記の他に例えば、台座13上にスライド可能に支持させた適宜の板材上に、複数の設定ボルト26およびナット27を一列直線状等に配置したものを用いることもできる。回転板23による上記構成の場合には、当て止め手段20の省スペース化を図りながら、多種類の距離を設定可能となる。設定ボルト26(およびナット27)に替えて、他の棒状体を適宜用いてもよいが、上記構成によれば、設定ボルト26の交換や突出長さの調節を比較的自由におこなえるため好ましいものとなる。
【0020】
挿通軸30は、図1〜図3に示すように、基準面15に直交して配設され、一部に螺刻部としての雄ねじ部32を有する。本実施形態の挿通軸30は、台座13の上方において上下に延在して設けられ、軸廻りに回動自在かつ軸方向に移動自在となるように支持されている。また、挿通軸30の途中位置(下端寄り)にはフランジ部33が周設され、フランジ部33から下方に雄ねじ部32が形成されている(図3参照)。挿通軸30の上端には、挿通軸30を軸廻りに回動操作等するためのダイヤル式の操作ハンドル35が被着されている。
【0021】
図1〜図3に示すように、挿通軸30により挿通されて、所定のベースブロック40および微調整ブロック50が設けられる。ベースブロック40と微調整ブロック50とは、隙間部49を介して、挿通軸30の軸方向に沿って上下平行状に並設される。
【0022】
ベースブロック40は、図1〜図3に示すように、略直方体状の外形をなし、上下貫通の孔部42、大径孔部43を有する。孔部42の内壁に、挿通軸30の雄ねじ部32に対応する雌ねじ部45が刻設され、これにより挿通軸30とベースブロック40とが螺合される。挿通軸30の下端には、抜け止め防止のため、大径孔部43内に嵌入されるワッシャ37が止めねじ38で固着されている。また、ベースブロック40の前方下面には、当接部47が、基準面15と平行する平坦面をなして形成されている。この当接部47と、当て止め手段20における設定ボルト26の頂部26aと、が当接することで、ベースブロック40が位置決めされるようになっている。
【0023】
微調整ブロック50は、図1〜図3に示すように、ベースブロック40よりも一回り大きい平面視略T字状でやや厚みのある外形をなし、うち二方向にガイド部70と係合する係合部52、53が形成されている。微調整ブロック50は、上記ベースブロック40と同様、上下貫通の孔部55、大径孔部56を有し、孔部55に、挿通軸30が回動自在に貫設される。大径孔部56には、ワッシャ39を介して挿通軸30のフランジ部33が嵌着され、微調整ブロック50が、このフランジ部33と計測表示器65(後述する)との間に挟装されることで、挿通軸30に対して軸方向への相対移動不能に支持されている。
【0024】
微調整ブロック50の後端には、図1〜図3に示す如くの屈曲部60が、係合部53と同一幅で下方に向けて延設されている。屈曲部60は、把持部62、62を両側に備え、これによって形成される凹所にベースブロック40を上下に摺動可能に把持できるようになっている。把持部62は、ベースブロック40が挿通軸30の軸廻りに追従回動するのを規制する。屈曲部60は、把持部62と反対面に、所定の摺動支持面63を備え、摺動支持面63の一部に、位置調整部材80を固設可能な取付部64が凸起状に形成されている。
【0025】
ガイド部70は、上記ベースブロック40および微調整ブロック50を、挿通軸30の軸方向に移動自在に案内するもので、本実施形態では、図1〜図3に示すように、台座13上に適宜固定されるガイド壁72、73により、平面視略L字状をなして構成されている。ガイド壁72、73の内壁面に、微調整ブロック50の係合部52、53と係合し、基準面15と鉛直面をなすガイド溝72a、73aが、上下に亘ってそれぞれ凹設されており、これにより微調整ブロック50(およびベースブロック40)が水平を保ちながら上下方向に案内される。微調整ブロック50に延設される屈曲部60についても、摺動支持面63がガイド溝73aの溝底に摺動支持されながら案内される。摺動支持面63により、微調整ブロック50が水平を保ち易く、位置調整部材80に安定した上下移動をさせることが可能となる。
ガイド溝72a、73aの溝底にはそれぞれ、長孔72b、73bがさらに穿通され、一方の長孔72bを介して、クランプ手段としてのクランプレバー75が連結されるとともに、上記取付部64が、他方の長孔73bを上下移動自在に貫通して、ガイド壁73の外方に露出されるようになっている。取付部64の露出部分には、所定の位置調整部材80が固設される。図1および図3中、73cは、ガイド壁73の外壁面に凹設された補助溝である。このような補助溝73cに、位置調整部材80を嵌合することで、位置調整部材80の上下移動をより安定させ易くなる。
【0026】
本実施形態の位置調整装置10では、図1〜図3に示すように、所定の計測表示器65が微調整ブロック50に付設されている。計測表示器65は、挿通軸30の回動量に基づき微調整ブロック50の移動量を計測表示するもので、挿通軸30に挿通される計測表示器本体66および計測リング67を備える。計測表示器本体66は、トルクピン(図示せず)等を用いて微調整ブロック50上に固設されるが、計測リング67は、挿通軸30に止めねじ68(図3参照)で固定されており、挿通軸30とともに回動自在に構成されている。計測表示器本体66には、計測リング67と接続される公知の歯車伝達機構およびデジタルないしアナログ式のカウンター(図示せず)が内設されており、計測リング67によって計測される挿通軸30の周回数や回動角度に基づき、挿通軸30の雄ねじ部32のねじピッチ等を勘案して得られる微調整ブロック50の上下方向の移動量が、計測表示器本体66の表示部69(図2参照)に表示されるようになっている。
【0027】
上記の如く構成される位置調整装置10の使用に際しては、まずベースブロック40を基本となる高さ位置に位置決めする。ベースブロック40の位置決めは、当て止め手段20の設定ボルト26に、ベースブロック40の当接部47を当接支持させておこなう。当て止め手段20の回転板23を回転させることによって、所望の突出長さの設定ボルト26が選択される。
【0028】
ベースブロック40は、挿通軸30、微調整ブロック50等と一体となって上下方向に移動できるように構成されているが、回転板23を回転させる間は、これらを一時上昇させ、ベースブロック40を当て止め手段20から離間させておくのが好ましい。ベースブロック40の当接部47の直下に所望の設定ボルト26がセットされると、ベースブロック40等を降下させ、設定ボルト26の頂部26aに当接部47を載置する。このとき本実施形態では、さらにクランプレバー75を用いて、微調整ブロック50(係合部52)をガイド部70(ガイド壁72)に摺動可能に締着させることができるようになっている。これにより微調整ブロック50が、ガイド部70に安定して支持されるため、微調整ブロック50に連結される位置調整部材80の位置を、一層精確に微調整し易くなる。
【0029】
上記によってベースブロック40が位置決めされた状態において、位置調整部材80は基準面15から所定距離dの位置にある(図3参照)。カートン組立機Mの稼働中(またはカートンCの品種(サイズ)変更時)において、この位置調整部材80のレベル位置を微調整する必要が生じた場合には、操作ハンドル35を介して、挿通軸30を正方向ないし逆方向の軸廻りに回動させればよい。操作ハンドル35の回動操作は、ベースブロック40の位置決め状態が保持されるよう、若干の下向き押圧力をかけながらおこなわれるのが好ましい。
【0030】
挿通軸30の上記回動に伴い、ベースブロック40は停止したままであるが、挿通軸30がこのベースブロック40に対して上下方向に螺進される。これにより、微調整ブロック50が、ベースブロック40に対して離反ないし接近するように、挿通軸30とともに上下方向に移動する。屈曲部60は、ベースブロック40とガイド壁73のガイド溝73aとの間で上下方向に摺動し、これにしたがい、取付部64および位置調整部材80も上下方向に移動される。
【0031】
このようにして、位置調整部材80の基準面15からの距離dを自在に微調整することができる。カートン組立機Mの場合、微調整が必要な範囲は通常、最大でも1〜2mm程度である。本実施形態では、上記のとおり、所定の計測表示器65が付設されているため、微調整ブロック50(位置調整部材80)の移動量を目視確認しながら、細かい微調整を非常に簡単におこなえるようになっている。
【0032】
カートンCの品種(サイズ)変更時等、位置調整部材80の基本位置を大きく調整したい場合には、クランプレバー75を解除して、ベースブロック40を挿通軸30、微調整ブロック50等と一緒に再度上昇させたうえで、当て止め手段20の回転板23を回転させ、適宜の設定ボルト26を選択し直せばよい。設定ボルト26をセットし直したあとの位置調整部材80の微調整については上述のとおりである。設定ボルト26またはナット27に、カートンCの品種(サイズ)に応じた記号や色彩等の目印を付しておけば、設定ボルト26の選択をより単純化できる。
【0033】
以上説明した位置調整装置10によれば、大幅な段取り替え等の手間をかけることなく、位置調整部材80の位置を簡易に微調整することが可能となる。この微調整のために専門的な技術や特殊な技能は全く不要であり、誰でも簡単に微調整をおこなえる。しかも、位置調整装置10は、上記したとおりの構成であることから、位置調整部材80の位置を非常に精確に微調整することができる。
【0034】
また、位置調整装置10によれば、当て止め手段20が、回転板23および複数の設定ボルト26等からなるため、カートンCの品種(サイズ)変更時等に、位置調整部材80の位置を簡単かつ迅速に調整することができる。そして、位置調整装置10は、上記当て止め手段20によってベースブロック40を基本となる高さ位置に位置決めしたのちに、微調整ブロック50を介して位置調整部材80の位置を微調整するものであることから、位置調整部材80の基本位置の調整やその微調整に際して、挿通軸30を何周も回動させなくて済む。カートン組立機Mでは一般に、計10〜20箇所の位置調整部材80が必要となり、近年、ひとつのカートン組立機Mで生産されるカートンCの品種(サイズ)も多様化される傾向にあるが、位置調整装置10を用いることで、機械全体としても多大な労力の削減とスピードアップに繋がる。
【0035】
なお、上記の位置調整装置10は、一連の操作を手動でおこなうものであるが、必要に応じ適宜の構成を付加する等して、これらの操作の全部または一部を自動化するようにしてもよい。
【0036】
以上の実施形態の記述は、本発明をこれに限定するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正や設計変更等が可能である。
【0037】
例えば、当て止め手段20、挿通軸30、ベースブロック40、微調整ブロック50、ガイド部70等の大きさや形状等は適宜変更することができる。上記実施形態では、台座13上面に基準面15を形成しているが、基準面15は任意の位置に形成してよい。基準面15は必ずしも水平に構成されていなくてもよく、鉛直面または傾斜面であってもよい(この場合、位置調整装置10は水平または斜倒状に配設される)。
【0038】
また、上記実施形態では、ベースブロック40を、微調整ブロック50に延設される屈曲部60を介して間接的にガイド部70で案内されるようにしているが、ガイド部70で直接案内される構成とすることもできる。図4には、他の実施形態として、このように構成された位置調整装置110を示している(上記実施形態と同様の構成には同一符号を付している;以下の図において同じ)。
【0039】
図4に示すように、位置調整装置110では、ベースブロック140の後方に係合部146が形成されており、係合部146が、ガイド溝73aより僅かに幅狭をなし、ガイド溝73aの溝底まで延設されることで、ベースブロック140が、ガイド溝73a内を上下に摺動可能となされている。また、位置調整装置110では、上記実施形態のような屈曲部60が設けられておらず、微調整ブロック150の後端が一部、長孔73bを貫通して水平状に延設されることで、取付部64が形成されている。
【0040】
このような位置調整装置110であっても、挿通軸30の回動に伴い、微調整ブロック150に連設される取付部64が上下方向に移動され、位置調整部材80の基準面15からの距離dを自在に微調整することができる。
なお、微調整ブロック150の後端を上方に延設して、所定の摺動支持面を有する屈曲部を設けるようにしてもよい。このような屈曲部を設けることにより、微調整ブロック150が水平を保ち易く、位置調整部材80に安定した上下移動をさせることが可能となる。
これに対して、微調整ブロック150の後端を下方に延設して、上記実施形態の如くの屈曲部60を設け、屈曲部60を、ベースブロック40を摺動可能に把持する把持部62と、ガイド部70(ガイド溝73a)に摺動支持される摺動支持面63と、を有するように構成した場合には、ベースブロック40を必要最小限の大きさの単純な形状とし易く、位置調整装置10を小型化できる。また、ベースブロック40とガイド部70(ガイド溝73a)との間に摩擦抵抗が生じないため、ベースブロック40と微調整ブロック50等とを一緒に上下移動させる際に、非常にスムーズにおこなえる。さらに、挿通軸30の回動に伴うベースブロック40の水平ないし鉛直方向のガタつき等も効果的に防止されるため、位置調整部材80の微調整を精確におこない易くなる。
【0041】
また、上記実施形態では、挿通軸30とベースブロック40とが螺合されるようにしているが、挿通軸30と微調整ブロック50とが螺合される構成とすることもできる。図5には、さらに他の実施形態として、このように構成された位置調整装置210を示している。
【0042】
図5に示すように、位置調整装置210では、挿通軸230のフランジ部233から上方に雄ねじ部232が形成され、ベースブロック240と微調整ブロック250とが、隙間部249を介して挿通軸230の軸方向に沿って並設されている。
ベースブロック240は、上下貫通の孔部242を有し、孔部242に挿通軸230が回動自在に貫設される。ベースブロック240の上面には、ワッシャ239を介してフランジ部233が定着されるとともに、ベースブロック240の下面に嵌入されたワッシャ237が、挿通軸230の下端に止めねじ238で固着されている。そして、ベースブロック240が、フランジ部233とワッシャ237との間に挟装されることで、挿通軸230に対して軸方向への相対移動不能に支持されている。
微調整ブロック250は、上下貫通の孔部255を有し、孔部255の内壁に、挿通軸230の雄ねじ部232に対応する雌ねじ部257が刻設されている。これにより挿通軸230と微調整ブロック250とが螺合される。また、微調整ブロック250の後端には、所定の屈曲部60が下方に向けて延設されている。
【0043】
このような位置調整装置210においても、位置調整部材80の基準面15からの距離dを微調整することが可能である。すなわち、操作ハンドル35の回動操作によって挿通軸230を正方向ないし逆方向の軸廻りに回動させると、挿通軸230の回動に伴い、微調整ブロック250が、ベースブロック240に対して離反ないし接近するように螺進して上下方向に移動する。このとき位置調整装置210では、挿通軸230およびベースブロック240の上下位置は変化しないが、屈曲部60が、ベースブロック240とガイド壁73のガイド溝73aとの間で上下方向に摺動し、これにしたがい、取付部64および位置調整部材80も上下方向に移動されることとなる。
【0044】
また、上記実施形態では、ガイド部70を平面視略L字状をなすガイド壁(72、73)によって構成しているが、これらのガイド壁を一方向のみに設けたり、対向する二方向や三方向に設けるようにしてもよい。ガイド部70を、平面視湾曲状等の連続または非連続の適宜形状をなすガイド壁によって構成することもできる。また、ガイド部70は、ガイド壁以外の構成であってもよく、例えば基準面15に垂設した1または2本以上のシリンダパイプ等をガイド部70として用いることもできる。ベースブロック40や微調整ブロック50は、ガイド部70の形態に応じて適宜これと係合させればよい。ベースブロック40および微調整ブロック50を案内する案内手段としては、ガイド溝(72a、73a)に替えて、適宜の突起、レール、嵌合穴等を採用することもできる。
【0045】
なお、上記実施形態では、位置調整装置10をカートン組立機Mに設ける例について示したが、本発明はこれに限らず、位置調整部材80を必要とする他の自動包装機械や工作機械、その他の産業機械等において幅広く適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
10 位置調整装置
15 基準面
20 当て止め手段
23 回転板
26 設定ボルト
30 挿通軸
32 雄ねじ部(螺刻部)
40 ベースブロック
49 隙間部
50 微調整ブロック
60 屈曲部
62 把持部
63 摺動支持面
64 取付部
65 計測表示器
75 クランプレバー(クランプ手段)
80 位置調整部材
d 距離
M カートン組立機
C カートン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置調整部材の基準面に対する位置を調整するための位置調整装置であって、
基準面から複数種類の距離を設定可能な当て止め手段と、
該基準面に直交する軸廻りに回動自在に配設され、一部に螺刻部を有する挿通軸と、
該挿通軸に挿通され、該当て止め手段により位置決めされるベースブロックと、
該挿通軸に挿通され、該ベースブロックと隙間部を介して並設されるとともに、位置調整部材を固設可能な取付部が連結される微調整ブロックと、
該ベースブロックおよび該微調整ブロックを、該挿通軸の軸方向に移動自在に案内するガイド部と、を備え、
該挿通軸が、該ベースブロックまたは該微調整ブロックの何れか一方と該螺刻部を介して螺合され、かつその他方が、該挿通軸に対して軸方向への相対移動不能に支持されており、
該ベースブロックが位置決めされたのちに、該挿通軸の軸廻りの回動に伴い、該微調整ブロックが、該ベースブロックに対して離反ないし接近するように、該挿通軸の軸方向に沿って移動されることで、該位置調整部材の該基準面からの距離を微調整自在となされた位置調整装置。
【請求項2】
該微調整ブロックに、該ベースブロックを摺動可能に把持する把持部と、該ガイド部に摺動支持される摺動支持面と、を有する屈曲部が延設された請求項1に記載の位置調整装置。
【請求項3】
該微調整ブロックを、該ガイド部に摺動可能に締着するクランプ手段を備えた請求項2に記載の位置調整装置。
【請求項4】
該挿通軸と該ベースブロックとが螺合されるとともに、
該微調整ブロックに、該挿通軸の回動量に基づき該微調整ブロックの移動量を計測表示する計測表示器が付設された請求項3に記載の位置調整装置。
【請求項5】
該当て止め手段が、
該基準面に対して回転自在に軸支される回転板と、
該回転板上に周状をなして植設され、互いに異なる突出長さを有する複数の棒状体と、
を備えてなる請求項4に記載の位置調整装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の位置調整装置を備えたカートン組立機。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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