説明

低い数の精子細胞を有する哺乳動物の性特異的受精

【課題】
雌雄識別された受精を、より低い投与量で、現実的な商業環境の下で作動する
様式において達成すること。
【解決手段】
予め決定された性を有する哺乳動物を産生する方法であって、該方法は以下の
工程:
a.哺乳動物の種の雄から精子細胞を収集する工程;
b.複数の該精子細胞の性特徴を決定する工程;
c.該その性特徴の決定に従って、該精子細胞を選別する工程;
d.代表的な未選別の人工受精サンプルと比較して、該精子細胞の数の約10
%〜約50%を有する選別された人工受精サンプルを確立する工程;
e.該選別された人工受精サンプルを該哺乳動物の該種の雌に挿入する工程;
f.少なくとも1つの卵を、該代表的な未選別の人工受精投与量に対して統計
学的比較可能な成功レベル(p>0.1)で、該哺乳動物の該種の該雌内に受精
させる工程;および
g.所望の性の子孫哺乳動物を産生する工程、
を包含する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の属する技術分野)
本発明は、一般的に、哺乳動物子孫の性選択の分野に関する。本発明は特に、
所望の性の子孫を生成するための低用量人工受精の局面および卵生成の増加の局
面に関連する。詳細には、本発明は、選別技術、人工受精時および増加した排卵
の結果となる技術での性特異的かつ低用量の努力のためにフローサイトメトリー
を介して精子を選別するためのシステム、などにかかわらず、低投与量での、雌
雄識別した(sexed)人工受精を達成することに関する。
【背景技術】
【0002】
(従来の技術)
長期間の間、特定の子孫の性を選択することが所望されている。明らかな心理
学的局面を超えて、哺乳動物子孫の実際の性選択は、食料生産動物(例えば、畜
牛)ならびに有名な優勝動物(例えば、ウマ)などへのその適用を考える場合に
は、有意な経済的意義を有する。この大きな望みは、性が選択された子孫を達成
するための有意な種々の努力となっている。おそらく、所望の結果を達成する可
能性が最も高いようであった努力は、受精の前にX精子とY精子との間の選別お
よび選択をする際の努力であった。
【0003】
X精子とY精子とを選別する際の努力が直面した難題の1つは、関与する精子
の数が大きいことである。自然受精では、精子は、数種においては、数十億で生
産される;しかし、人工受精なしでは、依然として有意に大きな数の精子が用い
られる。例えば、人工受精技術は、通常、1000万〜50億個(種に依存する
)の精子を使用する。従って、有意な数の精子が、人工受精の環境においてさえ
も、必要である。
【0004】
多くの方法が、X染色体を保有する精子とY染色体を保有する精子との分離を
達成するために試みられている。これらの方法は、米国特許第4276139号
に開示されて現れるような磁気的技術から、米国特許第5514537号に開示
されて現れるような柱状技術、米国特許第3894529号、再発行特許第32
350号、米国特許第4092229号、同第4067965号、および同第4
155831号に考察されるような重量計測技術までの範囲にわたっている。電
気的特性はまた、U.S.4083957に示されるように、ならびに電気的特
性と重量測定特性との組合せは米国特許第4225405号、同第469814
2号、および同第4749458号に考察されるように試みられている。運動性
の努力もまた、米国特許第4009260号および同第4339434号に示さ
れるように試みられている。米国特許第4511661号および同第49992
83号(モノクローナル抗体を含む)、ならびに米国特許第5021244号、
同第5346990号、同第5439362号、および同第5660997号(
膜タンパク質を含む)、ならびに米国特許第3687803号、同第41917
49号、同第4448767号、および同第4680258号(抗体を含む)に
示すような化学的技術、ならびに米国特許第4085205号に示すような血清
成分の添加。これらの技術の各々は、効率が高いかのように示されているが、実
際は現時点では、これらの技術はいずれも所望のレベルの性予備選択を生じない
。しかし、分離技術が最終的に用いられるにかかわらず、天然に存在する精子が
多数であること、およびX染色体を保有する精子とY染色体を保有する精子とを
分離するアプローチの競合する組合せは、より少数の精子を用いて受精を達成す
る能力を開発することを望ましくしている。
【0005】
現時点では、フローサイトメトリーの技術を介する精子の個々の分別および分
離を含む、X染色体保有精子とY染色体保有精子との分離を達成するために用い
られる唯一の定量的技術が存在している。この技術は、X染色体保有精子および
Y染色体保有精子の差示的色素吸収を含む進歩および発見の結果として可能であ
るようであった。これは、米国特許第4362246号において最初に考察され
、そして米国特許第5135759号においてLawrence Johnso
nにより開示される技術を通して有意に拡大された。フローサイトメトリーを利
用してX染色体保有精子とY染色体保有精子とを分離するJohnsonの技術
は、このような精子の商業的分離を初めて可能にした、非常に有意な進歩であっ
た。依然として実験的であるとはいえ、分離は、高速フローサイトメーター(例
えば、Cytomation,Inc.により製造されるMoFlo(登録商標
)フローサイトメーター)の利用により有意に増強され、そして米国特許第51
50313号、同第5602039号、同第5602349号、および同第56
43796号、ならびに国際PCT特許公開WO96/12171を含む種々の
他の特許に考察された。CytomationのMoFlo(登録商標)サイト
メーターの利用は、速度が大いに増加するのを可能にし、一方、これらの速度の
増加は、しばしば使用される精子が多数であることを考慮すれば特に適切である
が、特定の問題が依然として残っている。MoFlo(登録商標)フローサイト
メーターによる可能な速度のほぼ10倍の進歩にもかかわらず、さらにより短い
分別時間がいくつかの理由から望まれている。最初に、実際問題として、精子は
時間が重要な細胞であることが発見された。これらは、使用されないままの時間
が長いほど、それらの有効性を失う。第2に、収集、分別、および受精のタイミ
ングは、速度を商業的に非常に重要な項目にした。従って、精子細胞およびプロ
セスにとって時間が重要であるという性質は、速度を高い効力および成功率を達
成する際の必須の要素とした。
【0006】
他の問題がまた、実用的な問題から仮想的な問題までの範囲で存在する。実用
的側面では、安価な使い捨て構成要素および物質を用いて、雌雄識別した精子サ
ンプルを達成することが所望された。また、費用の側面では、できる限り効率的
な労力の結果で選別(ならびに収集および受精)を達成し得ることが所望された
。従って、この分野での商業的生産および成功のために、効率の増加のみを示し
得る改良が依然として重要であり得る。費用の実用的局面に関連するのは、プロ
セス全体の繊細さおよび感度の実用的局面である。このことについては、このプ
ロセスを単純化し、そして手順についてできる限り強健にし、その結果、操作者
の誤りまたは技術が減りつづける役割を果たし得ることが所望されている。彼ら
はまた、組み合わさって、より低い投与量での受精をさらにより望ましいものと
した。
【0007】
このプロセスの繊細さに加えて、精子自体が非常に繊細な細胞であることが常
に公知であった。この因子は一見したところでは、容易に理解されるとみなされ
得るように見えるが、実際は、この細胞の全部の程度の感度は未だに充分には調
査されていない。一般にフローサイトメトリーの状況では、大部分の選別された
細胞または粒子は、しばしば球状であるか、さもなければ種々の乱用に身体的に
抵抗し得る。これは、精子細胞については事実ではない。実際、本発明が開示す
るように、通常のフローサイトメーター技術を介するプロセシングは、実際に、
特定の適用において精子細胞のサイトメトリー選別に受け入れられないかもしれ
ない。感度は、希釈の問題、および各々の細胞を個々に単離し、そして区別する
ためのフローサイトメーターの固有の必要性、ならびに代表的なフローサイトメ
トリーが、本発明の以前に、選別した細胞または他の物質に付与した圧力および
他のストレスにわたった。これはまた、精子細胞の独特の因子を示し得る。なぜ
なら、精子細胞がフローサイトメーターを通過し得るようであり、そして肉眼的
に識別可能な副作用を有さずに選別し得たとしても、実際は、この細胞自体は、
受精プロセスにおいて最適より劣って機能するという点でストレスが与えられ得
るようであるからである。従って、因子の相互作用が関連するように見え、そし
て精子細胞選別の見込みおよび人工受精のための最終的な使用から通常でない問
題を生じた。
【0008】
(Johnsonの特許および関連技術により達成された大きな進歩にもかか
わらず)残っている別の問題は、本発明の前には、使用される分離技術にかかわ
らず、雌雄識別した精子を用いて、より低い投与量の受精を達成することが極め
て困難であったという事実である。歴史的に、低用量受精はいくらか達成されて
いるが、商業的適用において経験されるようであるかまたは適用可能であるよう
な環境ではなく、理論的または実験室的環境では、より多いようであった。この
ことについて、要望は、低用量受精を達成することだけでなく、むしろ現在の、
雌雄識別していない高投与量人工受精努力と匹敵する妊娠成功率で低用量受精を
達成することであった。従って、雌雄識別され、かつ低用量の両方である人工受
精において本発明者らによって達成された進歩は、初めて、商業的適用を可能に
し得る有意な進歩を示す。
【0009】
(さらに、Johnsonの特許および関連する技術による大きな進歩にもか
かわらず)産業界の当業者が直面した別の問題は、この問題自体が、すなわち、
高い成功率での人工受精が、多数の因子が相互作用するようである統計学的性質
の1つであるという事実である。従って、提案される解決策は、ある程度、徹底
的に統計学的に研究した場合に、単独または他の因子との組み合わせのいずれか
で必要であることが示される因子の組合せを含み得る。このような決定はさらに
、結果自体が種によって変化するという事実によって妥協され、そして大きな充
分なデータベースに対する検定および統計学的サンプリングが最初の段階での努
力に見合わないようであるという事実のために確認することが困難であり得る。
これらの理由から、本発明はまた、個々でまたは組合せで、所定の適用のために
適切な溶液を示し得る因子の組合せを含み得る。従って、この開示は、開示され
る技術の種々の組合せおよび普及が達成され得るために充分に広いとみなされる
。未知の相乗作用が他の因子について存在し得る。このような因子は、選別また
はおそらくフローサイトメーター工程における因子から、収集工程および受精工
程における因子の範囲であり得る。現在、研究は主にウシの種において達成され
ているが、これらの技術がこのような種に限定される、またはこのような問題が
精子細胞のみに限定されるとは考えられない。使用される技術が、選別されるい
ずれかの感受性部材を含む領域へのまさに精子細胞を超える適用、またはこの部
材が選別された際のフローサイトメトリーのストレスの影響の単なる最小化を有
し得るようである。
【0010】
興味深いことに、本発明は、精子細胞に対する選別の影響またはストレスを最
小にするためのアプローチをとるが、他者は、速度および他のこのような性能に
ついての圧力および要求を増加させることにより、実際にはこの方向からはなれ
て行動したようである。本質的に、個々の、またはおそらく相互に関連した様式
での、低用量受精および高速プロセシングのための動因は、互いに制限される問
題を与えるかもしれない。従って、長い間感じられていたが満足されていない、
高速で雌雄識別した低用量受精についての必要性が存在しており、そして実行す
る技術および要素が長い間利用可能であるが、本発明の前には、進歩またはおそ
らく進歩の組合せは、当業者によって明らかに見落とされていた。おそらく、あ
る程度まで、当業者は、この問題が、因子の相互作用、およびこの分野に関与す
る型の細胞(精子細胞またはおそらく種特異的精子細胞)についての特有の必要
性を含むことを認識できなかった。興味深いことに、本考察における先の努力の
リストが示すように、実質的な試みが行われたが、これらはこのような領域にお
いて雌雄識別した低用量受精として固有の問題を明らかに理解できず、そしてお
そらく自然種付け事象はおそらく数十億の精子を含むので、4桁も数が少ない数
での人工受精の達成についての物理的制限が存在し得ると仮定された。従って、
ある程度は、本発明者らが行った技術方向とは実際の逆の教示(teach a
way)が存在したことは、驚くべきことではないかもしれない。おそらく、こ
の結果はさらに、ある程度まで予期されないとみなされ得る。なぜなら、この結
果は、雌雄識別された低用量の人工受精が、雌雄識別していない高用量の人工受
精の成功率と匹敵し得る成功率で達成され得ることを示したからである。本発明
の技術および進歩を実際に組合せて、示された大きな結果が達成されることはあ
る人にとってはさらに驚くべきことであり得る。各技術が、単離において、ある
人によっては驚きではないと概説され得るとはいえ、実際は、単独で考慮されて
も、または他のわずかな変更との組合せで考慮されても、わずかな変更が最終的
な結果に有意な進歩を与えるようである。
【0011】
従って、本発明までは、雌雄識別した低用量人工受精についての成功率の達成
は、必要な性能のレベルでは、または商業的実施を達成するために必要であるよ
うである単純化された手順では、可能でなかった。しかし、今までに達成された
商業的レベルの雌雄識別した低用量受精を超えて、本発明はまた、改善された性
能の達成を可能にし、従って、所望される最終結果、すなわち、商業ベースでの
雌雄識別した低用量人工受精を容易にする、技術を開示する。
【0012】
(III.発明の開示)
従って、本発明は、商業的レベルでの低用量受精および哺乳動物の性を予め決
定するために適用されるような結果の達成を請求する。本発明はまた、フローサ
イトメーター分離技術を通してそれらの性を決定するための、精子細胞の選別の
ための改善されたシースシステムおよびコレクターシステムを提供する。この分
離技術では、フローサイトメーターにおいて代表的に使用されるようなシース液
は、精子細胞が選別されるときの精子細胞に対するストレスを最小にする流体で
置換される。さらに、収集システムを改良して精子細胞が受ける物理的ストレス
および化学的ストレスの両方を最小にする。種々の技術および物質が示されるが
、当業者が容易に理解するように、種々の組合せおよび置換が、特定のプロセシ
ング適用において関与する種、分離技術、目的、および他のパラメーターに基づ
く性能に最適化され得る様式で用いられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、雌雄識別された受精を、より低い投与量で、現実的
な商業環境の下で作動する様式において単に達成することである。目的はまた、
物質(例えば、精子細胞)についてのより良好な選別を達成することである。関
連する目的は、選別機能自体が細胞または選別され得る他の感受性部材に対して
有する衝撃を最小にすることである。フローサイトメトリー選別技術について、
具体的な目的は、シース液が細胞に与える衝撃を最小にし、そして関与する種々
のストレスを扱う際に細胞を補助するように肯定的に作用するシース液を潜在的
に提供することである。類似の目的は、一般的には精子細胞に、ウシ精子細胞に
、ウマ精子細胞に、そしてX染色体保有構成要素およびY染色体保有構成要素へ
のこのような精子細胞の分離のために特に適切である物質および技術を提供する
ことである。同様に、1つの目的は、収集期(例えば、選別後)が細胞に対して
有する衝撃を最小にすること、ならびにこのような雌雄識別された精子細胞に対
する物理的衝撃および化学的衝撃を最小にすることである。従って、1つの目的
は、できる限り影響の少ない、選別の結果を達成することである。
【0014】
本発明の別の目的は、代表的な、雌雄識別していない高用量人工受精のレベル
および成功率に匹敵するレベルおよび成功率を有する低用量の選別された受精を
達成することである。この目的に一致して、目標は、商業的に実用的な様式でこ
の目的を達成し得る、人工受精についての全般的なシステムを提示することであ
る。従って、精子細胞に対するストレスまたは潜在的な損傷を最小にするという
先の目的は重要である。高速および低ストレスの両方の選別を提供し、そして低
用量の状況での精子細胞選別に特に適応する様式の選別は、その上重要な目的で
ある。精子の受精能に負に影響を与えず、かつ人工受精と適合するシース液およ
び他の流体を提供するという目的もまた重要である。
【0015】
当然、本発明のさらなる目的は、明細書および特許請求の範囲の他の領域を通
して開示される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、予め決定された性を有する哺乳動物を産生する方法が提供さ
れ、この方法は、以下の工程:
a.哺乳動物の種の雄から精子細胞を収集する工程;
b.複数の精子細胞の性特徴を決定する工程;
c.その性特徴の決定に従って、精子細胞を選別する工程;
d.代表的な人工受精投与量と比較して、少ない数の精子細胞を有する受精サ
ンプルを確立する工程;
e.この受精サンプルの少なくとも一部を哺乳動物の種の雌に挿入する工程;
f.哺乳動物の種の雌内の少なくとも1つの卵を、代表的な雌雄識別されてい
ない人工受精投与量に対して統計学的比較可能な成功レベルで受精させる工程;
および
g.所望の性の子孫哺乳動物を産生する工程、
を包含する。
【0017】
1つの実施形態においては、哺乳動物の種の雌内の少なくとも1つの卵を、代
表的な人工受精投与量に対して統計学的比較可能な成功レベルで受精させる上記
工程が、この哺乳動物の種の雌内の少なくとも1つの卵を、少なくとも35%、
少なくとも41%、少なくとも50%、および少なくとも90%からなる群より
選択される成功レベルで受精させる工程を包含する。
【0018】
1つの実施形態においては、哺乳動物の種の雄から精子細胞を収集する上記工
程が、ウシおよびウマからなる群から選択される哺乳動物の種の雄から精子細胞
を収集する工程を包含する。
【0019】
1つの実施形態においては、代表的な人工受精投与量と比較して、少ない数の
精子細胞を有する受精サンプルを確立する上記工程が、代表的な雌雄識別されて
いない人工授精事象において提供される精子の代表的な数の10%以下を有する
受精サンプルを確立する工程を包含する。
【0020】
1つの実施形態においては、代表的な人工受精投与量と比較して、少ない数の
精子細胞を有する受精サンプルを確立する上記工程が、10万以下の精子細胞の
ウシ受精サンプル、25万以下の精子細胞のウシ受精サンプル、30万以下の精
子細胞のウシ受精サンプル、100万以下の精子細胞のウマ受精サンプル、50
0万以下の精子細胞のウマ受精サンプル、1000万以下の精子細胞のウマ受精
サンプル、および2500万以下の精子細胞のウマ受精サンプルからなる群より
選択される受精サンプルを確立する工程を包含する。
【0021】
1つの実施形態においては、受精サンプルの少なくとも一部を哺乳動物の種の
雌に挿入する上記工程、および哺乳動物の種の雌内の少なくとも1つの卵を、代
表的な雌雄識別されていない人工受精投与量に対して統計学的比較可能な成功レ
ベルで受精させる上記工程が、各々野外環境において達成される。
【0022】
1つの実施形態においては、野外環境において、受精サンプルの少なくとも一
部を哺乳動物の種の雌に挿入する上記工程、および野外環境において哺乳動物の
種の雌内の少なくとも1つの卵を代表的な雌雄識別されていない人工受精投与量
に対して統計学的比較可能な成功レベルで受精させる上記工程が、有意な数の受
精サンプルを、有意な数の哺乳動物の種の雌に、迅速に連続してかつ農場または
牧場条件で反復的に挿入する工程を包含する。
【0023】
1つの実施形態においては、上記哺乳動物が子宮角を有し、そして受精サンプ
ルの少なくとも一部を哺乳動物の種の雌に挿入する上記工程が、受精サンプルを
、同側および対側の両方で、哺乳動物の種の雌の子宮角内に挿入する工程を包含
する。
【0024】
1つの実施形態においては、上記哺乳動物が少なくとも1つの子宮角を有し、
そして受精サンプルの少なくとも一部を哺乳動物の種の雌に挿入する上記工程が
、受精サンプルを子宮角内に深く挿入する工程を包含する。
【0025】
1つの実施形態においては、受精サンプルの少なくとも一部を哺乳動物の種の
雌に挿入する上記工程が、受精サンプルを子宮角内に深く挿入する工程をさらに
包含する。
【0026】
1つの実施形態においては、受精サンプルの少なくとも一部を哺乳動物の種の
雌に挿入する上記工程が、受精サンプルを、胎芽移植機器の使用によって子宮角
内に挿入する工程をさらに包含する。
【0027】
1つの実施形態においては、受精サンプルの少なくとも一部を哺乳動物の種の
雌に挿入する上記工程が、受精サンプルを、胎芽移植機器の使用によって子宮角
内に挿入する工程をさらに包含する。
【0028】
1つの実施形態においては、受精サンプルの少なくとも一部を哺乳動物の種の
雌に挿入する上記工程が、受精サンプルを、一般的に単一の人工受精に至適であ
ると考えられている時間の12時間後に挿入する工程を包含する。
【0029】
1つの実施形態においては、代表的な人工授精投与量と比較して、少ない数の
精子細胞を有する受精サンプルを確立する上記工程が、凍結されていない受精サ
ンプルを確立する工程を包含し、ここで、精子細胞を、その性特徴の決定に従っ
て選別する上記工程を、選別時間で行い、そしてここで受精サンプルの少なくと
も一部を、哺乳動物の雌種に挿入する上記工程を、選別時間から約17時間より
遅れずに行う。
【0030】
1つの実施形態においては、代表的な人工授精投与量と比較して、少ない数の
精子細胞を有する受精サンプルを確立する上記工程が、凍結されていない受精サ
ンプルを確立する工程を包含し、ここで、精子細胞をその性特徴の決定に従って
選別する上記工程を、選別時間で行い、そしてここで受精サンプルの少なくとも
一部を哺乳動物の雌種に挿入する上記工程を、選別時間から約10時間より遅れ
ずに行う。
【0031】
1つの実施形態においては、複数の精子細胞の性特徴を決定する上記工程が、
細胞を、高濃度の染料を用いて染色する工程を包含する。
【0032】
1つの実施形態においては、複数の精子細胞の性特徴を決定する上記工程が、
細胞を、少なくとも約38μM含量の染料を用いて染色する工程を包含する。
【0033】
1つの実施形態においては、複数の精子細胞の性特徴を決定する上記工程、お
よび精子細胞をその性特徴の決定に従って選別する上記工程が、以下の工程:
a.選別される細胞を供給する細胞供給源を確立する工程;
b.シース流体を化学的に調整して、細胞のためのシース流体環境を作製する
工程であって、シース流体が、選別前細胞流体環境および選別後細胞流体環境の
両方で調整される、工程;
c.細胞の特性を感受する工程;
d.所望の性特徴を有する細胞間を識別する工程;および
e.所望の性特徴を有する細胞を収集する工程、
を包含する。
【0034】
1つの実施形態においては、複数の精子細胞の性特徴を決定する上記工程、お
よび精子細胞をその性特徴の決定に従って選別する上記工程が、以下の工程:
a.選別される細胞を供給する細胞供給源を確立する工程;
b.シース流体を化学的に調整して、細胞のためのシース流体環境を作製する
工程であって、シース流体が、選別前細胞流体環境および選別後細胞流体環境の
両方で調整される、工程;
c.細胞の特性を感受する工程;
d.所望の性特徴を有する細胞間を識別する工程;および
e.所望の性特徴を有する細胞を収集する工程、
を包含する。
【0035】
1つの実施形態においては、複数の精子細胞の性特徴を決定する上記工程、お
よび精子細胞をその性特徴の決定に従って選別する上記工程が、以下の工程:
a.選別されるウシ精子細胞を供給する細胞供給源を確立する工程;
b.ウシ精子細胞のための、約2.9%のクエン酸ナトリウムを含むシース流
体を確立する工程;
c.細胞の特性を感受する工程;
d.所望の性特徴を有する細胞間を識別する工程;および
e.所望の性特徴を有する細胞を収集する工程、
を包含する。
【0036】
1つの実施形態においては、複数の精子細胞の性特徴を決定する上記工程、お
よび精子細胞をその性特徴の決定に従って選別する上記工程が、以下の工程:
a.選別されるウマ精子細胞を供給する細胞供給源を確立する工程;
b.ウマ精子細胞のための、ヘペス緩衝化培地を含むシース流体を確立する工
程;
c.細胞の特性を感受する工程;
d.所望の性特徴を有する細胞間を識別する工程;および
e.所望の性特徴を有する細胞を収集する工程、
を包含する。
【0037】
1つの実施形態においては、複数の精子細胞の性特徴を決定する上記工程、お
よび精子細胞をその性特徴の決定に従って選別する上記工程が、以下の工程:
a.選別される細胞を供給する細胞供給源を確立する工程;
b.細胞のためのシース流体を確立する工程;
c.細胞の特性を感受する工程;
d.所望の性特徴を有する細胞間を識別する工程;および
e.所望の性特徴を有する細胞を収集し、一方細胞を収集容器との衝撃から緩
衝する工程、
を包含する。
【0038】
1つの実施形態においては、複数の精子細胞の性特徴を決定する上記工程、お
よび精子細胞をその性特徴の決定に従って選別する上記工程が、以下の工程:
a.選別されるウシ精子細胞を供給する細胞供給源を確立する工程;
b.ウシ精子細胞のためのシース流体を確立する工程;
c.ウシ精子細胞の特性を感受する工程;
d.所望の性特徴を有するウシ精子細胞間を識別する工程;および
e.所望の性特徴を有するウシ精子細胞を、上記収集工程を開始する前に約6
%の卵黄を含むクエン酸収集液中で収集する、工程、
を包含する。
【0039】
本発明の別の局面によれば、所望の性の哺乳動物を産生する方法が提供され、
この方法は、上記プロセスを使用して上記哺乳動物を産生する工程を包含する。
【0040】
1つの実施形態においては、上記方法は、精子細胞を高速で選別する工程をさ
らに包含する。
【0041】
1つの実施形態においては、上記方法は、排卵製剤を用いて、複数の卵の産生
を生じる工程をさらに包含し、そしてここで哺乳動物の種の雌内の少なくとも1
つの卵を、代表的な雌雄識別されていない人工受精投与量に対して統計学的に比
較可能な成功レベルで受精する上記工程が、複数の卵を受精して、雌雄識別され
た複数の胚を産生する工程を包含する。
【0042】
1つの実施形態においては、排卵製剤を用いて、複数の卵の産生を生じる上記
工程が、1投与量の卵胞刺激ホルモンを一日に複数回注入する工程を包含する。
【0043】
1つの実施形態においては、卵胞刺激ホルモンの投与量を一日に複数回注入す
る上記工程が、おおよそ半日の増分で、発情周期の9日目と12日目との間の6
、6、4、4、2、2、2、および2mgの投与量レベルを含む卵胞刺激ホルモ
ンを注入する工程を包含し、そして卵胞刺激ホルモンの第6および第7の投与量
において、それぞれ25および12.5mgのプロスタグランジンF−2−αを
注入する工程をさらに包含する。
【0044】
1つの実施形態においては、上記方法が、以下の工程:
a.雄哺乳動物の精子細胞を染色する工程;
b.精子細胞の性に従って、高速フローサイトメトリーの使用によって選別す
る工程;および
c.選別された精子細胞を濃縮する工程、
さらに包含する。
【0045】
本発明の別の局面によれば、所望の細胞を単離するための改良されたフローサ
イトメーターシステムが提供され、このシステムは、以下:
a.フローサイトメーターによって分析されるべき細胞を供給する細胞供給源

b.細胞のための、約2.9%のクエン酸ナトリウムを含むシース流体環境を
作製する、シース流体供給源;
c.細胞が、シース流体環境に供される間に通過する、ノズル;
d.シース流体がノズルを通過する際にシース流体に作用する、発振器;
e.細胞に応答する、細胞感受システム;
f.所望の特徴を有する細胞を選別するように作用する、ソーター識別システ
ム;および
g.所望の特徴を有する細胞が内部に配置される、コレクター、
を備える。
【0046】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、ウシ精子細胞を含む。
【0047】
本発明の別の局面によれば、所望の細胞を単離するための改良されたフローサ
イトメーターシステムが提供され、このシステムは、以下:
a.フローサイトメーターによって分析されるべき細胞を供給する細胞供給源

b.細胞のための、ヘペス緩衝化培地を含むシース流体環境を作製する、シー
ス流体供給源;
c.細胞が、シース流体環境に供される間に通過する、ノズル;
d.シース流体がノズルを通過する際にシース流体に作用する、発振器;
e.細胞に応答する、細胞感受システム;
f.所望の特徴を有する細胞を選別するように作用する、ソーター識別システ
ム;および
g.所望の特徴を有する細胞が内部に配置される、コレクター、
を備える。
【0048】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、ウマ精子細胞を含む。
【0049】
本発明の別の局面によれば、所望の細胞を単離するための改良されたフローサ
イトメーターシステムが提供され、このシステムは、以下:
a.フローサイトメーターによって分析されるべき細胞を供給する細胞供給源

b.細胞のためのシース流体環境を作製する、シース流体供給源;
c.細胞が、シース流体環境に供される間に通過する、ノズル;
d.シース流体がノズルを通過する際にシース流体に作用する、発振器;
e.細胞に応答する、細胞感受システム;
f.所望の特徴を有する細胞を選別するように作用する、ソーター識別システ
ム;および
g.所望の特徴を有する細胞が内部に配置され、そして約6%の卵黄を含むク
エン酸コレクター流体を含む、コレクター、
を備える。
【0050】
1つの実施形態においては、上記シース流体供給源が、約2.9%のクエン酸
ナトリウムを含む溶液を含む。
【0051】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、ウシ精子細胞を含む。
【0052】
本発明の別の局面によれば、所望の細胞を単離するための改良されたフローサ
イトメーターシステムが提供され、このシステムは、以下:
a.フローサイトメーターによって分析されるべき細胞を供給する細胞供給源

b.細胞のためのシース流体環境を作製する、シース流体供給源;
c.細胞が、シース流体環境に供される間に通過する、ノズル;
d.シース流体がノズルを通過する際にシース流体に作用する、発振器;
e.細胞に応答する、細胞感受システム;
f.所望の特徴を有する細胞を選別するように作用する、ソーター識別システ
ム;および
g.所望の特徴を有する細胞が内部に配置され、そして流動に適合される容器
の物理的特徴を有する試験管を備える、コレクター、
を備える。
【0053】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、機械的に繊細である細胞を含
む。
【0054】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、周囲の流体環境の化学的組成
物に対して過応答受性である細胞を含む。
【0055】
1つの実施形態においては、上記コレクターが、低用量の精子を提供するため
に使用される。
【0056】
1つの実施形態においては、上記ノズル、上記発振器、上記細胞感受システム
、および上記ソーター識別システムが、フローサイトメーターシステムの部分で
あり、そしてここでこのフローサイトメーターシステムが、高速セルソーターを
備える。
【0057】
1つの実施形態においては、上記ノズル、上記発振器、上記細胞感受システム
、および上記ソーター識別システムが、フローサイトメーターシステムの部分で
あり、そしてここでこのフローサイトメーターシステムが、高速セルソーターを
備える。
【0058】
本発明の別の局面によれば、雌雄識別された精子標本が提供され、この標本は
、上記システムに従って産生される。
【0059】
1つの実施形態においては、上記コレクターは、低用量の精子を提供するため
に使用される。
【0060】
1つの実施形態においては、上記ノズル、上記発振器、上記細胞感受システム
、および上記ソーター識別システムが、フローサイトメーターシステムの部分で
あり、そしてここでこのフローサイトメーターシステムが、高速セルソーターを
備える。
【0061】
1つの実施形態においては、上記コレクターは、低用量の精子を提供するため
に使用される。
【0062】
本発明の別の局面によれば、上記のシステムに従って産生される雌雄識別され
た精子標本を使用して産生される、哺乳動物が提供される。
【0063】
1つの実施形態においては、上記哺乳動物は、低用量の精子の使用によって産
生される。
【0064】
1つの実施形態においては、上記ノズル、上記発振器、上記細胞感受システム
、および上記ソーター識別システムが、フローサイトメーターシステムの部分で
あり、そしてここでこのフローサイトメーターシステムが、高速セルソーターを
備える。
【0065】
1つの実施形態においては、上記哺乳動物は、低用量の精子の使用によって産
生される。
【0066】
本発明の別の局面によれば、所望の細胞を単離するための、改良されたフロー
サイトメーターシステムが提供され、このシステムは、以下:
a.フローサイトメーターによって分析されるべき細胞を供給する、細胞供給
源;
b.選別前および選別後の細胞流体環境の両方で調整されるように選択される
、細胞のためのシース流体環境を作製する、化学的に調整されたシース流体供給
源;
c.細胞が、シース流体環境に供される間に通過する、ノズル;
d.シース流体がノズルを通過する際にシース流体に作用する、発振器;
e.細胞に応答する、細胞感受システム;
f.所望の特徴を有する細胞を選別するために作用する、ソーター識別システ
ム;および
g.所望の特徴を有する細胞が内部に配置される、コレクター、
を備える。
【0067】
1つの実施形態においては、上記選別前および選別後の細胞流体環境が、上記
細胞が特に応答性である少なくとも1つの過応答性化学組成物を含み、そして上
記化学的に調整されるシース流体供給源が、この過応答性化学的組成物に対する
変化を最小化する。
【0068】
1つの実施形態においては、上記過応答性化学的組成物が、代謝性化学的組成
物を含む。
【0069】
1つの実施形態においては、上記過応答性化学的組成物がクエン酸を含む。
【0070】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、上記選別前細胞流体環境を作
製し、そして上記コレクターが、上記選別後細胞流体環境を作製する。
【0071】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が非修復細胞を含む。
【0072】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、非転写DNAを有する細胞を
含む。
【0073】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、非複製DNAを有する細胞を
含む。
【0074】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、精子細胞を含む。
【0075】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、ウシ精子細胞を含む。
【0076】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、ウマ精子細胞を含む。
【0077】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、シース流体環境中の化学的組
成物に対して過応答受性である細胞を含む。
【0078】
1つの実施形態においては、上記コレクターが、低用量の精子を提供するため
に使用される。
【0079】
1つの実施形態においては、上記低用量の精子が、代表的な投与量の約10%
未満の投与量を含む。
【0080】
1つの実施形態においては、上記精子細胞がウシ精子細胞を含み、そして上記
低用量の精子が、約50万未満の精子の投与量を含む。
【0081】
1つの実施形態においては、上記精子細胞がウシ精子細胞を含み、そして上記
低用量の精子が、約30万未満の精子の投与量を含む。
【0082】
1つの実施形態においては、上記精子細胞がウマ精子細胞を含み、そして上記
低用量の精子が、約1000万未満の精子の投与量を含む。
【0083】
1つの実施形態においては、上記化学的に調整されたシース流体供給源が、約
2.9%のクエン酸ナトリウムを含む溶液を含む。
【0084】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、ウシ精子細胞を含む。
【0085】
本発明の別の局面によれば、所望の細胞を単離するための改良されたフローサ
イトメーターシステムが提供され、このシステムは、以下:
a.フローサイトメーターによって分析されるべき細胞を供給する細胞供給源

b.細胞のための、約2.9%のクエン酸ナトリウムを含む溶液を含むシース
流体環境を作製する、シース流体供給源;
c.細胞が、シース流体環境に供される間に通過する、ノズル;
d.シース流体がノズルを通過する際にシース流体に作用する、発振器;
e.細胞に応答する、細胞感受システム;
f.所望の特徴を有する細胞を選別するように作用する、ソーター識別システ
ム;および
g.所望の特徴を有する細胞が内部に配置される、コレクター、
を備える。
【0086】
1つの実施形態においては、上記コレクターは、人工授精のための精子を提供
するために使用される。
【0087】
1つの実施形態においては、上記コレクターは、人工授精のための低用量の精
子を提供するために使用される。
【0088】
1つの実施形態においては、上記化学的に調整されたシース流体供給源が、ヘ
ペス緩衝化培地を含む溶液を含む。
【0089】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、ウマ精子細胞を含む。
【0090】
本発明の別の局面によれば、所望の細胞を単離するための改良されたフローサ
イトメーターシステムが提供され、このシステムは、以下:
a.フローサイトメーターによって分析されるべき細胞を供給する細胞供給源

b.細胞のための、ヘペス緩衝化培地を含む溶液を含むシース流体環境を作製
する、シース流体供給源;
c.細胞が、シース流体環境に供される間に通過する、ノズル;
d.シース流体がノズルを通過する際にシース流体に作用する、発振器;
e.細胞に応答する、細胞感受システム;
f.所望の特徴を有する細胞を選別するように作用する、ソーター識別システ
ム;および
g.所望の特徴を有する細胞が内部に配置される、コレクター、
を備える。
【0091】
1つの実施形態においては、上記コレクターは、人工授精のための精子を提供
するために使用される。
【0092】
1つの実施形態においては、上記コレクターは、人工授精のための低用量の精
子を提供するために使用される。
【0093】
1つの実施形態においては、上記ノズル、上記発振器、上記細胞感受システム
、および上記ソーター識別システムが、フローサイトメーターシステムの部分で
あり、そしてここでこのフローサイトメーターシステムが、高速セルソーターを
備える。
【0094】
1つの実施形態においては、上記高速セルソーターが、1秒あたり少なくとも
約500を選別する速度で、分析されるべき細胞を選別する。
【0095】
1つの実施形態においては、上記高速セルソーターが、1平方インチあたり少
なくとも約50ポンドの圧力で操作される。
【0096】
1つの実施形態においては、上記コレクターが緩衝要素を含む容器を備える。
【0097】
1つの実施形態においては、上記容器が、広い収集管を備える。
【0098】
本発明の別の局面によれば、所望の細胞を単離するための改良されたフローサ
イトメーターシステムが提供され、このシステムは、以下:
a.フローサイトメーターによって分析されるべきウシ精子細胞を供給する細
胞供給源;
b.細胞のための、約2.9%のクエン酸ナトリウムを含むシース流体環境を
作製する、化学的に調整されたシース流体供給源;
c.細胞が、シース流体環境に供される間に通過する、ノズル;
d.シース流体がノズルを通過する際にシース流体に作用する、発振器;
e.細胞に応答する、細胞感受システム;
f.所望の特徴を有する細胞を選別するように作用する、ソーター識別システ
ム;および
g.所望の特徴を有する細胞が内部に配置され、約6%の卵黄を含むクエン酸
収集流体を含み、そして約50万未満の精子の投与量を提供するために使用され
る、コレクター、
を備え、
ここで、これらのノズル、発振器、細胞感受システム、およびソーター識別シス
テムが、フローサイトメーターシステムの一部であって、このフローサイトメー
ターシステムが、1秒あたり少なくとも約500を選別する速度で、分析される
べき精子細胞を選別し、そして1平方インチあたり少なくとも約50ポンドの圧
力で操作される。
【0099】
本発明の別の局面によれば、所望の細胞を単離するための改良されたフローサ
イトメーターシステムが提供され、このシステムは、以下:
a.フローサイトメーターによって分析されるべきウマ精子細胞を供給する細
胞供給源;
b.細胞のための、ヘペス緩衝化培地を含むシース流体環境を作製する、化学
的に調整されたシース流体供給源;
c.細胞が、シース流体環境に供される間に通過する、ノズル;
d.シース流体がノズルを通過する際にシース流体に作用する、発振器;
e.細胞に応答する、細胞感受システム;
f.所望の特徴を有する細胞を選別するように作用する、ソーター識別システ
ム;および
g.所望の特徴を有する細胞が内部に配置され、ヘペス緩衝化培地を含む収集
流体を含み、そして約1000万未満の精子の投与量を提供するために使用され
る、コレクター、
を備え、
ここで、これらのノズル、発振器、細胞感受システム、およびソーター識別シス
テムが、フローサイトメーターシステムの一部であって、このフローサイトメー
ターシステムが、1秒あたり少なくとも約500を選別する速度で、分析される
べき細胞を選別し、そして1平方インチあたり少なくとも約50ポンドの圧力で
操作される。
【0100】
本発明の別の局面によれば、所望の細胞を単離するための、改良されたフロー
サイトメーターシステムが提供され、このシステムは、以下:
a.フローサイトメーターによって分析されるべき細胞を供給する、細胞供給
源;
b.細胞のためのシース流体環境と、選別前および選別後の細胞流体環境の両
方との間の変化を最小化するための手段;
c.細胞が、シース流体環境に供される間に通過する、ノズル;
d.シース流体がノズルを通過する際にシース流体に作用する、発振器;
e.細胞に応答する、細胞感受システム;
f.所望の特徴を有する細胞を選別するために作用する、ソーター識別システ
ム;および
g.所望の特徴を有する細胞が内部に配置される、コレクター、
を備える。
【0101】
1つの実施形態においては、細胞のためのシース流体環境と選別前および選別
後の細胞流体環境の両方との間の変化を最小化するための上記手段が、上記シー
ス流体を含む。
【0102】
1つの実施形態においては、上記コレクターがコレクター流体を含み、そして
細胞のためのシース流体環境と選別前および選別後の細胞流体環境の両方との間
の変化を最小化するための上記手段が、このコレクター流体を含む。
【0103】
本発明の別の局面によれば、所望の細胞を単離するための改良されたフローサ
イトメーターシステムが提供され、このシステムは、以下:
a.フローサイトメーターによって分析されるべき細胞を供給する細胞供給源

b.細胞のためのシース流体環境を作製する、シース流体供給源;
c.細胞が、シース流体環境に供される間に通過する、ノズル;
d.シース流体がノズルを通過する際にシース流体に作用する、発振器;
e.細胞に応答する、細胞感受システム;
f.所望の特徴を有する細胞を選別するように作用する、ソーター識別システ
ム;および
g.所望の特徴を有する細胞が内部に配置され、そして化学的に調整されたコ
レクター流体シース流体共有源を備える、コレクターであって、このコレクター
流体シース流体供給源が、以前の細胞流体環境で調整されるよう選択される、細
胞のためのコレクター流体環境を作製する、コレクター、
を備える。
【0104】
1つの実施形態においては、上記コレクター流体が、細胞の選別の完了後に栄
養分のレベルを平均化するために調整される栄養分を含む。
【0105】
1つの実施形態においては、上記コレクター流体が、約6%の卵黄を含むクエ
ン酸溶液を含む。
【0106】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、上記コレクター流体環境中の
化学的組成物に対して過応答性である細胞を含む。
【0107】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が精子細胞を含む。
【0108】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源がウシ精子細胞を含む。
【0109】
1つの実施形態においては、上記コレクターが、低用量の精子を提供するため
に使用される。
【0110】
1つの実施形態においては、上記低用量の精子が、代表的な投与量の約10%
未満の投与量を含む。
【0111】
1つの実施形態においては、上記精子細胞がウシ精子細胞を含み、そして上記
低用量の精子が、約50万未満の精子の投与量を含む。
【0112】
1つの実施形態においては、上記精子細胞がウシ精子細胞を含み、そして上記
低用量の精子が、約30万未満の精子の投与量を含む。
【0113】
1つの実施形態においては、上記ノズル、上記発振器、上記細胞感受システム
、および上記ソーター識別システムが、フローサイトメーターシステムの部分で
あり、そしてここで、このフローサイトメーターシステムが、高速セルソーター
を備える。
【0114】
1つの実施形態においては、上記高速セルソーターが、分析されるべき細胞を
、1秒あたり少なくとも約500を選別する速度で選別する。
【0115】
1つの実施形態においては、上記高速セルソーターが、1平方インチあたり少
なくとも約50ポンドの圧力で操作される。
【0116】
1つの実施形態においては、上記シース流体供給源が、選別前および選別後の
精子流体環境の両方で調整されるように選択される、細胞のためのシース流体環
境を作製する、化学的に調整されたシース流体供給源を備える。
【0117】
1つの実施形態においては、上記化学的に調整されたシース流体供給源が、約
2.9%のクエン酸ナトリウムを含む溶液を含む。
【0118】
本発明の別の局面によれば、所望の細胞を単離するための改良されたフローサ
イトメーターシステムが提供され、このシステムは、以下:
a.フローサイトメーターによって分析されるべき細胞を供給する細胞供給源

b.細胞のためのシース流体環境を作製する、シース流体供給源;
c.細胞が、シース流体環境に供される間に通過する、ノズル;
d.シース流体がノズルを通過する際にシース流体に作用する、発振器;
e.細胞に応答する、細胞感受システム;
f.所望の特徴を有する細胞を選別するように作用する、ソーター識別システ
ム;および
g.緩衝要素を備えるコレクター、
を備える。
【0119】
1つの実施形態においては、上記コレクターが、上記緩衝要素を備える容器を
備える。
【0120】
1つの実施形態においては、上記容器が広い収集管を備える。
【0121】
1つの実施形態においては、上記広い収集管が、少なくとも約15mmの幅で
ある。
【0122】
1つの実施形態においては、上記容器が、流動に適合される容器の物理的特徴
を有する試験管を備える。
【0123】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、機械的に繊細である細胞を含
む。
【0124】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が精子細胞を含む。
【0125】
1つの実施形態においては、上記コレクターが緩衝要素を備える。
【0126】
1つの実施形態においては、上記コレクターが、上記緩衝要素を備える容器を
備える。
【0127】
1つの実施形態においては、上記容器が広い収集管を備える。
【0128】
1つの実施形態においては、上記広い収集管が、少なくとも約15mmの幅で
ある。
【0129】
1つの実施形態においては、上記容器が、流動に適合される容器の物理的特徴
を有する試験管を備える。
【0130】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が、機械的に繊細である細胞を含
む。
【0131】
1つの実施形態においては、上記細胞供給源が精子細胞を含む。
【0132】
1つの実施形態においては、上記ノズル、上記発振器、上記細胞感受システム
、および上記ソーター識別システムが、フローサイトメーターシステムの部分で
あり、そしてここで、このフローサイトメーターシステムが、高速セルソーター
を備える。
【0133】
1つの実施形態においては、上記セルソーターが、1秒あたり少なくとも約5
00を選別する速度で、分析されるべき細胞を選別する。
【0134】
1つの実施形態においては、上記高速セルソーターが、1平方インチあたり少
なくとも約50ポンドの圧力で操作される。
【0135】
本発明の別の局面によれば、所望の細胞を単離するための、改良されたフロー
サイトメーターシステムが提供され、このシステムは、以下:
a.フローサイトメーターによって分析されるべき細胞を供給する、細胞供給
源;
b.細胞のためのシース流体環境を作製する、シース流体供給源;
c.細胞が、シース流体環境に供される間に通過する、ノズル;
d.シース流体がノズルを通過する際にシース流体に作用する、発振器;
e.細胞に応答する、細胞感受システム;
f.所望の特徴を有する細胞を選別するように作用する、ソーター識別システ
ム;および
g.細胞とコレクターとの間の衝撃を回避するための手段を備える、コレクタ
ー、
を備える。
【0136】
本発明の別の局面によれば、予め決定された性を有する哺乳動物を産生する方
法が提供され、この方法は、以下の工程:
a.哺乳動物の雄の種から精子細胞を収集する工程;
b.複数の精子細胞の性特徴を決定する工程;
c.その性特徴の決定に従って精子細胞を選別する工程;
d.代表的な人工受精投与量と比較して、少ない数の精子細胞を有する受精サ
ンプルを確立する工程;
e.受精サンプルの少なくとも一部を、哺乳動物の雌種に挿入する工程;
f.哺乳動物の雌種内の少なくとも1つの卵を受精させる工程;ならびに
g.所望の性の子孫哺乳動物を産生する工程、
を包含する。
【0137】
1つの実施形態においては、哺乳動物の雄の種から精子細胞を収集する上記工
程が、ウシおよびウマからなる群より選択される哺乳動物の雄の種から精子細胞
を収集する工程を包含する。
【0138】
1つの実施形態においては、代表的な人工受精投与量と比較して、少ない数の
精子細胞を有する受精サンプルを確立する上記工程が、代表的な雌雄識別されて
いない人工授精事象において提供される精子の代表的な数の10%以下を有する
受精サンプルを確立する工程を包含する。
【0139】
1つの実施形態においては、代表的な人工受精投与量と比較して、少ない数の
精子細胞を有する受精サンプルを確立する上記工程が、10万以下の精子細胞の
ウシ受精サンプル、25万以下の精子細胞のウシ受精サンプル、30万以下の精
子細胞のウシ受精サンプル、100万以下の精子細胞のウマ受精サンプル、50
0万以下の精子細胞のウマ受精サンプル、1000万以下の精子細胞のウマ受精
サンプル、および2500万以下の精子細胞のウマ受精サンプルからなる群より
選択される受精サンプルを確立する工程を包含する。
【0140】
1つの実施形態においては、受精サンプルの少なくとも一部を哺乳動物の種の
雌に挿入する上記工程、および少なくとも1つの卵を哺乳動物の種の雌内で受精
させる上記工程が、各々野外環境において達成される。
【0141】
1つの実施形態においては、受精サンプルの少なくとも一部を哺乳動物の種の
雌に挿入する上記工程が、受精サンプルを、胎芽移植機器の使用によって子宮角
内に挿入する工程をさらに包含する。
【0142】
1つの実施形態においては、複数の精子細胞の性特徴を決定する上記工程が、
細胞を、高濃度の染料を用いて染色する工程を包含する。
【0143】
1つの実施形態においては、複数の精子細胞の性特徴を決定する上記工程、お
よびその性特徴の決定に従って精子細胞を選別する上記工程が、以下の工程:
a.選別されるべき細胞を供給する細胞供給源を確立する工程;
b.選別前細胞流体環境および選別後細胞流体環境の両方で調整される、細胞
のためのシース流体環境を作製するために、シース流体を化学的に調整する工程

c.細胞の特性を感受する工程;
d.所望の性特徴を有する細胞間を識別する工程;ならびに
e.所望の性特徴を有する細胞を収集する工程、
を包含する。
【0144】
本発明の別の局面によれば、所望の性の哺乳動物を産生する方法が提供され、
この方法は、上記プロセスを使用して上記哺乳動物を産生する工程を包含する。
【0145】
1つの実施形態においては、上記方法は、上記細胞を高速で選別する工程をさ
らに包含する。
【0146】
本発明の別の局面によれば、細胞を選別する方法が提供され、この方法は、以
下の工程:
a.選別される細胞を供給する細胞供給源を確立する工程;
b.選別前および選別後の細胞流体環境の両方で調整される、細胞のためのシ
ース流体環境を作製するために、シース流体を化学的に調整する工程;
c.細胞の特性を感受する工程;
d.所望の特徴を有する細胞間を識別する工程;および
e.所望の特徴を有する細胞を収集する工程、
を包含する。
【0147】
1つの実施形態においては、上記方法は、上記細胞が上記シース流体に供され
る結果として供される化学的変化を最小化する工程をさらに包含する。
【0148】
1つの実施形態においては、細胞供給源を確立する上記工程が、非修復細胞の
供給源を確立する工程を包含する。
【0149】
1つの実施形態においては、細胞供給源を確立する上記工程が、精子細胞の供
給源を確立する工程を包含する。
【0150】
1つの実施形態においては、細胞供給源を確立する上記工程が、ウシ精子細胞
の供給源を確立する工程を包含する。
【0151】
1つの実施形態においては、細胞供給源を確立する上記工程が、ウマ精子細胞
の供給源を確立する工程を包含する。
【0152】
1つの実施形態においては、上記方法は、低用量の上記精子細胞を使用して哺
乳動物を受精させる工程をさらに包含する。
【0153】
1つの実施形態においては、選別前および選別後の細胞流体環境の両方で調整
される、細胞のためのシース流体環境を作製するために、シース流体を化学的に
調整する上記工程が、約2.9%のクエン酸ナトリウムを含むシース流体を確立
する工程を包含する。
【0154】
1つの実施形態においては、選別前および選別後の細胞流体環境の両方で調整
される、細胞のためのシース流体環境を作製するために、シース流体を化学的に
調整する上記工程が、ヘペス緩衝化培地を含むシース流体を確立する工程を包含
する。
【0155】
1つの実施形態においては、上記方法は、上記細胞を高速で選別する工程をさ
らに包含する。
【0156】
1つの実施形態においては、細胞を高速で選別する上記工程が、細胞を1平方
インチあたり少なくとも約50ポンドの圧力に供する工程を包含する。
【0157】
1つの実施形態においては、所望の特徴を有する細胞を収集する上記工程が、
上記細胞の上記収集容器との衝撃を緩衝する工程を包含する。
【0158】
1つの実施形態においては、細胞の収集容器との衝撃を緩衝する上記工程が、
広い開口部をこの容器に提供する工程を包含する。
【0159】
本発明の別の局面によれば、細胞を選別する方法が提供され、この方法は、以
下の工程:
a.選別されるべき細胞を供給する細胞供給源を確立する工程;
b.細胞のためのシース流体環境を作製するために、シース流体を確立する工
程;
c.細胞の特性を感受する工程;
d.所望の性特徴を有する細胞間を識別する工程;
e.所望の性特徴を有する細胞をコレクター流体において収集する工程;なら
びに
f.選別前流体環境で調整される、細胞のための終了コレクター流体環境を作
製するために、このコレクター流体を化学的に調整する工程、
を包含する。
【0160】
1つの実施形態においては、細胞供給源を確立する上記工程が、細胞のための
最初の栄養素を提供する工程を包含し、そしてさらに、細胞のための収集流体栄
養素を提供する工程を包含し、そしてコレクター流体において所望の特徴を有す
る細胞を収集する上記工程が、細胞を収集する工程の完了後に、最初の栄養素と
コレクター流体栄養素とを平衡化させる工程を包含する。
【0161】
1つの実施形態においては、コレクター流体において所望の特徴を有する細胞
を収集する上記工程が、収集するこの工程を開始する前に、約6%の卵黄を含む
クエン酸収集流体を確立する工程を包含する。
【0162】
1つの実施形態においては、細胞供給源を確立する上記工程が、ウシ精子細胞
の供給源を確立する工程を包含する。
【0163】
1つの実施形態においては、上記方法は、低用量の上記精子細胞を使用して、
哺乳動物を受精させる工程をさらに包含する。
【0164】
本発明の別の局面によれば、細胞を選別する方法が提供され、この方法は、以
下の工程:
a.選別されるべき細胞を供給する細胞供給源を確立する工程;
b.細胞のためのシース流体環境を作製するために、シース流体を確立する工
程;
c.細胞の特性を感受する工程;
d.所望の性特徴を有する細胞間を識別する工程;ならびに
e.所望の性特徴を有する細胞を収集する工程であって、細胞が収集容器と衝
突することを緩衝する工程を包含する、工程、
を包含する。
【0165】
1つの実施形態においては、細胞が収集容器と衝突することを緩衝する上記工
程が、この容器に広い開口部を提供する工程を包含する。
【0166】
1つの実施形態においては、細胞供給源を提供する上記工程が、機械的に繊細
である細胞の供給源を確立する工程を包含する。
【0167】
1つの実施形態においては、細胞供給源を確立する上記工程が、精子細胞の供
給源を確立する工程を包含する。
【0168】
1つの実施形態においては、上記方法は、上記細胞を高速で選別する工程をさ
らに包含する。
【0169】
1つの実施形態においては、細胞を高速で選別する上記工程が、細胞を、1平
方インチあたり少なくとも約50ポンドの圧力に供する工程を包含する。
【0170】
本発明の別の局面によれば、雌雄識別された精子標本を産生する方法が提供さ
れ、この方法は、上記プロセスを使用して標本を作製する工程を包含する。
【0171】
1つの実施形態によれば、上記方法は、上記細胞を高速で選別する工程をさら
に包含する。
【0172】
1つの実施形態においては、上記方法は、低用量の上記精子細胞を使用して哺
乳動物を受精させるための、雌雄識別された精子標本を提供する工程を、さらに
包含する。
【0173】
1つの実施形態においては、上記方法は、低用量の精子細胞を使用して哺乳動
物を受精させるための、雌雄識別された精子標本を提供する工程を、さらに包含
する。
【0174】
本発明の別の局面によれば、所望の性別の哺乳動物を産生する方法が提供され
、この方法は、上記プロセスのいずれかを使用して哺乳動物を産生する工程を包
含する。
【0175】
1つの実施形態においては、上記方法は、上記細胞を高速で選別する工程をさ
らに包含する。
【0176】
1つの実施形態においては、上記方法は、低用量の精子細胞を使用して、哺乳
動物を受精させる工程をさらに包含する。
【0177】
1つの実施形態においては、上記方法は、低用量の精子細胞を使用して、哺乳
動物を受精させる工程をさらに包含する。
【0178】
本発明の別の局面によれば、雌の哺乳動物から、雌雄識別された性を有する胚
を複数産生する方法が提供され、この方法は、以下の工程:
a.複数の卵が産生されるために排卵製剤を使用する工程を包含する、少なく
とも2つの卵を作製するために哺乳動物において過剰排卵を作製する工程;
b.雄の哺乳動物の精子細胞の性を決定する工程;
c.精子細胞の性に従って選別する工程;
d.排卵の開始後に、雌の哺乳動物の子宮内に選別された精子細胞の少なくと
も一部を挿入する工程;および
e.雌雄識別された胚を複数産生するために、子宮中の複数の卵を受精させる
工程、
を包含する。
【0179】
1つの実施形態においては、過剰排卵を作製する上記工程が、発情周期の間に
促進される。
【0180】
1つの実施形態においては、排卵製剤を使用する上記工程が、排卵製剤を、発
情周期の任意の2日目と18日目との間、半日の増分で注入する工程を包含する

【0181】
1つの実施形態においては、排卵製剤を半日の増分で注入する上記工程が、少
なくとも7回の注射で注射する工程を包含し、そしてさらに少なくとも約6回目
および7回目の注射の際に排卵操作システムを組み入れる工程を包含する。
【0182】
1つの実施形態においては、子宮内に選別された精子細胞の少なくとも一部を
挿入する上記工程が、精子細胞を、この子宮の両方の子宮角に挿入する工程を包
含する。
【0183】
1つの実施形態においては、両方の子宮角内に挿入する上記工程が、上記排卵
の開始後約20〜24時間で精子細胞を挿入する工程を包含する。
【0184】
1つの実施形態においては、複数の卵が産生されるために排卵製剤を使用する
上記工程が、1投与量の卵胞刺激ホルモンを1日複数回注入する工程を包含する

【0185】
1つの実施形態においては、少なくとも2つの卵を作製するために哺乳動物に
おいて過剰排卵を作製する上記工程が、上記投与量の卵胞刺激ホルモンにプロス
タグランジンF−2−αを補充する工程を包含する、排卵操作システムを組み入
れる工程をさらに包含する。
【0186】
1つの実施形態においては、1日複数回卵胞刺激ホルモンの投与量を注入する
上記工程が、上記発情期の9日と12日との間の6、6、4、4、2、2、2、
および2mgの投与量レベルでの約半日の増分において卵胞刺激ホルモンを注入
する工程を包含し、ここで、卵胞刺激ホルモンの投与量にプロスタグランジンF
−2−αを補給する工程が、卵胞刺激ホルモンのそれぞれ第6および第7の投与
量において、25mgおよび12.5mgのプロスタグランジンF−2−αを注
入する工程を包含する。
【0187】
1つの実施形態においては、上記方法は、以下の工程:
a.雄の哺乳動物の精子細胞を染色する工程;
b.高速フローサイトメトリーを使用して、精子細胞の性に従って選別する工
程;および
c.選別された精子細胞を濃縮する工程、
をさらに包含する。
【0188】
1つの実施形態においては、選別された精子細胞の少なくとも一部を挿入する
上記工程が、低用量の精子細胞を使用する工程を包含する。
【0189】
1つの実施形態においては、選別された精子細胞の少なくとも一部を挿入する
上記工程が、低用量の精子細胞を使用する工程を包含する。
【0190】
本発明の別の局面においては、所望の性の哺乳動物を産生する方法が提供され
、この方法は、上記プロセスを使用して上記哺乳動物を産生する工程を包含する

【0191】
本発明の別の局面においては、所望の性の哺乳動物を産生する方法が提供され
、この方法は、上記プロセスを使用して、雌雄識別された精子細胞の哺乳動物を
産生する工程を包含し、そして上記細胞を高速で選別する工程をさらに包含する

【0192】
1つの実施形態においては、上記方法は、上記雌の哺乳動物を、低用量の精子
細胞を使用して受精させる工程をさらに包含する。
【0193】
1つの実施形態においては、上記方法は、選別前および選別後の細胞流体環境
の両方で調整される、細胞のためのシース流体環境を作製するために、シース流
体を化学的に調整する上記工程をさらに包含し、この工程は、約2.9%のクエ
ン酸ナトリウムを含むシース流体を確立する工程を包含する。
【0194】
1つの実施形態においては、選別前および選別後の細胞流体環境の両方で調整
される、細胞のためのシース流体環境を作製するために、シース流体を化学的に
調整する上記工程が、ヘペス緩衝化培地含むシース流体を確立する工程を包含す
る。
【0195】
1つの実施形態においては、上記方法は、上記性の精子細胞を収集する工程、
および細胞が収集容器と衝突することを緩衝する工程を、さらに包含する。
【0196】
本発明の別の局面によれば、細胞を選別する方法が提供され、この方法は、以
下の工程:
a.選別されるべき細胞を供給する細胞供給源を確立する工程;
b.選別前の細胞流体環境と選別後の細胞流体環境との両方によって調整され
る、細胞のためのシース流体環境を作製するために、シース流体を化学的に調整
する工程;
c.細胞の特性を感受する工程;
d.所望の性特徴を有する細胞間を識別する工程;および
e.所望の性特徴を有する細胞を収集する工程、
を包含する。
【0197】
1つの実施形態においては、上記方法は、上記細胞を高速で選別する工程をさ
らに包含する。
【発明の効果】
【0198】
本発明によれば、雌雄識別された受精が、より低い投与量で、現実的な商業環
境の下で作動する様式において達成される。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】図1は、本発明についてのフローサイトメーター分離技術によるソーターシステムの模式図である。
【図2】図2は、代表的なフローサイトメーターの自由落下領域において飛沫同伴した細胞の図である。
【図3】図3は、本発明の結果としてほぼ表れた差異を示す概念図である。
【図4】図4は、着陸帯領域において収集されるような選別した細胞流の図である。
【発明を実施するための形態】
【0200】
みられるように、本発明の基本概念は、種々の方法において組み合わせられ、
そして包含され得る。本発明は、単に、商業的に実用的な低用量、性交での受精
およびこの結果を含む。フローサイトメトリ分離技術について、本発明はまた、
改良されたフローサイトメーターシステム、ならびに人工受精およびこのような
技術により産生される動物に使用され得る性特異的精子サンプルの作製について
のシステムの両方を含む。本発明は、高い成功率が商業的な環境においてでさえ
可能である全体的なプロセスを含む。さらに、この技術は、一般的な様式で開示
されるので、一旦、この一般的な原理が理解されると、これらの技術が特定のシ
ステムおよび適用に適用され得る。デバイス増強が開示されるが、これらの増強
は、特定の方法を達成するのみではなく、多数の方法において変動され、そして
組み合わされ得ることが理解されるべきである。重要なことに、上記の全てに関
して、これらの様相の各々が、本開示により包含されることが理解されるべきで
ある。
【0201】
述べたように、基本的な目的は、Y保有精子からX保有精子を分離することで
ある。これは、各々を別々に包装し、そして処理し得るように、2つの型の精子
を単離する様式において実行される。現在、この単離は、好ましくは、フローサ
イトメトリの使用を通じて実行される。一般にフローサイトメトリは、よく理解
される技術である。例えば、それの基本的な局面は、Cytomation,I
nc.に対する種々の特許(例えば、米国特許および先に列挙された他の刊行物
)において示され、そして議論される。これらの特許および本明細書中で引用さ
れる参考文献の各々は、参考として援用される;従って、当業者は、含まれる基
本的な原理を容易に理解し得る。
【0202】
本質的に、フローサイトメトリは、いくつかの型の細胞供給源を通じてフロー
サイトメーター機器に提供された、選別する対象(例えば、細胞)を含む。概念
的な機器を図1に示す。このフローサイトメーター装置は、フローサイトメータ
ーにより分析される細胞またはいくつかの他の型の対象を確立するかまたは供給
するように作用する、細胞供給源(1)を備える。この細胞は、細胞がシース液
(3)により包囲されるような様式において、ノズル(2)内に蓄積される。こ
のシース液(3)は、通常、この細胞供給源(1)がその細胞を供給し、このシ
ース液(3)がノズル(2)を介して同時に給送されるような、いくらかのシー
ス液源(4)により供給される。この様式において、このシース液(3)が細胞
のためのシース液環境をどのように形成するか容易に理解され得る。種々の流体
は、同じ圧力でフローサイトメーターに提供されるために、それらはノズル(2
)から流出し、そしてノズル開口部(5)で出る。発振制御(19)を通じて非
常に正確に制御され得るいくつかの型の発振器(6)を提供することによって、
気圧波は、ノズル(2)内に定着され、そしてノズル開口部(5)でのノズル(
2)を出す流体に変換され得る。従って、発振器(6)は、シース液(3)に作
用するために、ノズル開口部(5)を出る流動(7)は、最終的および調節的に
ドロップ(8)を形成する。細胞は、シース液環境に包囲されているので、ドロ
ップ(8)は、それらの内部に個々の単離された細胞または他の対象を含み得る

【0203】
ドロップ(8)は一般に、単離された細胞を含むために、このフローサイトメ
ーターは、適切な細胞(単数または複数)がドロップ内に含まれるか否かに基づ
いて液滴を区別し、そして分離し得る。これは、細胞感受システム(9)を通じ
て達成される。この細胞感受システムは、Larry Johnson、すなわ
ち、米国特許第5135759号による独創的な研究(語呂合わせは意図されな
い)の長さで議論されるように、各ドロップ(8)内に含まれる細胞に応答する
少なくともいくつかの型のセンサー(10)を備える。Johnson特許が精
子細胞を説明するように、この細胞感受システム(9)は、レーザー励磁機(1
1)のようないくつかの刺激により励磁され得る特定の色素の相対的な存在また
は相対的な非存在に依存する作用を生じ得る。各々の型の精子細胞は、この色素
により染色されるが、X染色体およびY染色体の異なる長さは、異なるレベルの
染色を生じる。従って、精子細胞中に存在する色素の程度を検出することによっ
て、それらの異なる発光レベルによりX保有精子とY保有精子との間を識別する
ことが可能である。
【0204】
フローサイトメーター分離技術において適切な細胞の究極的な分離および単離
を達成するために、センサー(10)により受け取られるシグナルは、いくつか
の型のソーター識別システム(12)に送り込まれ、このシステムは、非常に迅
速に決定を行い、そして所望の細胞がドロップ(8)内に存在するか否かの決定
に基づいて各ドロップ(8)を差示的に荷電し得る。この様式において、このソ
ーター識別システム(12)は、それらが適切な細胞または他の対象を含むか否
かに基づいて、静電気的な偏向プレート(13)が、ドロップ(8)を偏向させ
ることを許容するように作用する。結果として、このフローサイトメーターは、
細胞を1つ以上のコレクター(14)に収集させることによって、細胞を分類す
るように作用する。従って、細胞または他の対象のいくつかの性質を感受するこ
とによって、このフローサイトメーターは、特定の特徴に基づく細胞間を識別し
、そして適切なコレクター(14)に細胞を配置する。精子を分類するために現
在使用されるシステムにおいて、X保有精子液滴は、正に荷電され、従って、1
つの方向へ偏向し、Y保有精子液滴は、負に荷電され、従って、他の向きに偏向
し、そして廃棄された流動(すなわち、選別不能細胞)は、荷電されず、従って
、偏向されない流動中において吸水管などに収集される。
【0205】
図2を参照すると、このプロセスは、さらによく理解され得る。この図に示さ
れるように、ノズル(2)は、発振器(6)(図2で示されず)がドロップ(8
)を形成するので、流動(7)を発する。細胞供給源(1)(図2に示されず)
は、Johnsonの技術に従い染色されている精子細胞(15)を供給し得る
ので、レーザー励磁機(11)による光刺激は、それが流動(7)から分離する
ように各ドロップ(8)上の電荷の存在または非存在が、フローサイトメーター
により制御され得るように、センサー(10)によって差示的に決定される。こ
の制御は、それらの内容物に基づいて、正荷電、負荷電、および非荷電ドロップ
(8)を生じる。図2に示されるように、特定のドロップは、偏向されたドロッ
プ(16)として示される。これらの偏向されたドロップ(16)は、一方の性
または他方の性の精子細胞(15)を含むドロップである。次いで、それらは、
後の使用のために適切なコレクター(14)に蓄積される。
【0206】
精子の選別に対するその適用に特に重要であるフローサイトメトリの1つの局
面は、フローサイトメーターの高速な作動である。進歩は、MoFlo(登録商
標)商標の下でCytomation,Inc.を介して入手可能なフローサイ
トメーターにより特に作製されている。これらのフローサイトメーターは、並外
れて増加した選別速度を有し、従って、フローサイトメトリを精子選別の現実的
な商業的適用(他の商業的適用)にするようである技術にした。それらは、別の
利用される分類よりも著しくより速い速度での高速選別を達成するように作用す
る。具体的には、Cytomation’s MoFlo(登録商標)フローサ
イトメーターは約5kHzよりも大きい発振器の周波数で作用し、そしてより具
体的には、10〜30か、またはさらに50kHzの範囲内において操作され得
る。従って、液滴は非常に高周波数で形成され、そしてシース液環境内に含まれ
る細胞は、ノズル(2)から非常に迅速に放射され得る。結果として、フローサ
イトメーターシステムを構成しそして部分である、ノズル(2)、発振器(6)
などのような構成要素の各々は、設定されるかまたは選択され、高速な細胞ソー
ターを生じ得る。精子細胞の選別に対する高速な細胞ソーターの適用において、
1秒当たり約500を選別するよりも大きい速度での選別が達成される。実際、
1000および1200の範囲での選別速度は、高速な細胞ソーターを介して既
に達成されている。重要なことに、用語「高速」は、フローサイトメトリにおけ
る他の利点および特定の適用が達成されるような相対的な用語であり、「高」と
みなされる局面は、変動し得るかまたは絶対的なままであり得ることが理解され
るべきである。いずれかの定義において、この一般原理は、精子細胞のような特
定の細胞を選別する場合、この分類が、フローサイトメーターのパラメーターお
よび物理的な性質が細胞自体に対して有意である速度で生じ得ることである。
【0207】
フローサイトメーター分離技術を介して精子細胞を選別する場合に効果を示す
ようである高速選別の1つの局面は、精子細胞がフローサイトメーター内に供さ
れる、圧力および他のストレスのそれである。例えば、高速(および「高速」の
代替的な定義)で操作した場合、フローサイトメーターを、1インチの2乗当た
り50ポンドおよび1インチの2乗当たり60以上のポンドの圧力で操作され得
る。これらの圧力は、高いとみなされ得る。なぜなら、これらの圧力は、選別さ
れている細胞に効果を生じ得るからである。この様相に対して本発明で開示され
るような手がかりは、特定の細胞のストレス閾値が決定因子であるという事実で
ある。さらに、さらなる知識が得られるので、ストレスの閾値は、細胞の、特定
の種、あるいは特定の前かまたは続く取扱いのような、組み合わされた効果の関
数であることが示され得る。このことに関しての手がかりは、細胞に課されたス
トレスが、実際、所望の結果を達成するためにそれらの生存率およびそれらの能
力を変化し得ることである。圧力の場合では、その圧力でフローサイトメーター
の操作の結果として精子細胞をより高い圧力に単に供することは、細胞の減少し
た性能を生じ得る。1つの点に関して、本発明は、これらのストレスを最小化す
るように作用し、従って、以下で議論されるようなより大きい効率ならびに低い
用量を生じる。
【0208】
細胞のストレスの局面を考慮する際に、本発明は、このストレスを最小化する
様式で作用する。これらのストレスは、周期あるいは動物を制御、選別、または
受精させるプロセスの全てにわたって任意の時点で最小化され得る。重要なこと
に、フローサイトメーター内で細胞を取扱うことによって課されるストレスは、
この適用に有意であるようである。本発明の1つの実施形態において、シース液
は、特異的に選択され、選別前細胞流体の環境または選別後細胞流体の環境の両
方(またはいずれか)の調製された様式において供し得る。天然では、選別前流
体または選別後流体のいずれかで調節することが可能であるが、1つの実施形態
では、本発明は、シース液(3)を調節し、以前に達成されたよりもその細胞に
おいて有意に少ないストレスを課する。1つの点に関して、本発明は、細胞自体
からのストレスを取扱いそして取り除く際の焦点に対して、フローサイトメータ
ーの操作の焦点から総焦点を取り除くという点で顕著である。例えば、適切なp
H因子または浸透圧(osmoality)を有する流体を利用することは公知
となっているが、本発明は、細胞が過応答受性であり得る特定の化学的組成物が
存在し得ることを認識する。これらの過応答性の化学的組成物は、天然で、細胞
に基づいて、または細胞の取扱いの前でさえ変動し得る。重要なことに現在、精
子細胞の特定の代謝性化学的組成物(例えば、クエン酸)は、細胞上の異常な高
ストレスを予防するようであることが明白である。従って、過応答性の化学的組
成物は、細胞がそれらの機能性および既存の取扱い技術の状況内で特に応答性で
ある化学的組成物として規定され得る。精子細胞に関して、代謝性組成物、具体
的には、ウシ精子細胞についてのクエン酸定常性およびウマ精子細胞についての
hepes緩衝液定常性は、非常に重要であり得ることが明らかである。従って
、本発明は、操作の型または基質の選択を介する変化を最小にするように作用し
、これは、細胞が経験する変化を最小にするための手段として作用し得る。
【0209】
シース液について、物質は、本発明の1つの実施形態に従って選択され、その
結果、最小の変化を与えるように化学的に調整され得る。従って、フローサイト
メトリのパラメータの状況内のみではなく、むしろ細胞のパラメータ自体の状況
内でもまた適切なシース液を選択することによって、細胞が経験した変化および
この選別全体にわたる結果が増強され得る。これは、図3に概念的に示される。
図3は、いくつかの型の化学的な因子(例えば、クエン酸または他の因子)を示
す。なぜなら、それはこのプロセスの種々の相の至るところで存在し得るからで
ある。例えば、示される4つの相は、フローサイトメトリ分離技術について示さ
れ限定されない以下を表す:相Iは、細胞供給源(1)内の細胞の存在を表し得
、相IIは、シース液環境内で選別されるような細胞の存在を示し得、相III
は、選別後に収集される細胞のような細胞を示し、および相IVは、選別後の貯
蔵培地において再構成された細胞を示し得る。先行技術に示されるようなこれら
の4つの相は、非常に異なる化学的因子の環境を経験し得る。しかし、本発明で
概念的に示されるように、細胞は、非常に小さい変化を経験し得、最も著しくは
、この相Iと相IIとの間を経験したディップまたはドロップは、実質的に存在
し得ない。これは、上記のような適切なシース液の選択の結果としてである。従
って、適切なシース液に供されている結果として、本発明における細胞は、非常
に低いレベルのストレスを経験し得る。
【0210】
この現象に関して存在し得る可能性のある普遍性の1つは、特定の化学的組成
物が他よりも過応答性である化学的組成物を表し得るという事実である。天然で
は、これは精子の種、この取扱い、または含まれる細胞の型にさえ依存して変動
し得るが、それらの意図する目的(ここでは、人工受精)についての細胞の生存
率は、大きく、天然もしくは選別または両方のため、変動して、この細胞は、そ
の化学的組成物に関して過応答性である特徴を示すようである。特定の代謝性の
化学的組成物を選択することによって、クエン酸回路内にある最も著しいクエン
酸または化学物質は、大きな利点が可能なようである。従って、ウシ精子の適用
について、このシース液(3)は、約2.9パーセントのクエン酸ナトリウム組
成物を提示するように選択され、そして調整される。具体的には、2.9パーセ
ントクエン酸ナトリウム溶液は、以下のように作製され得る:
1.1,000mlの容積測定フラスコ中に29.0gのクエン酸ナトリウム2
水和物(Na3657・2H2O)を置く
a.3/4の水バッチにクエン酸ナトリウムを溶解し、次いで、容積まで水
を加える
2.脱イオン化またはNanopure水を加え1,000mlの最終容積にす
る。
3.ボトルに移し、そして15 lbs圧力(245oF)で少なくとも30分
間オートクレーブする。
【0211】
a.蒸発を最小にする条件を使用して溶液をオートクレーブする(カバーを
緩める)。
【0212】
b.水が蒸発しないことに注意。
4.室温で緩徐に冷やす。
5.5℃の低温室で密閉して貯蔵する。
さらに、シース液について、クエン酸ナトリウム溶液を濾過し得る。
6.無菌技術を使用して0.22ミクロンフィルターで濾過する。
【0213】
興味深いことに、ウマの精子細胞については、このような組成物は、同様に実
行しない。むしろ、ウマの精子細胞について、hepesウシ配偶子培地のよう
な、hepes緩衝化培地−特に、ウシの適用のためにJ.J.Parrish
により以前に作製されたHBGM3−が功を奏する。この培地は、本明細書中で
参考として援用される論文「Capacitation of Bovine
Sperm by Heparin」、38 Biology of Repr
oduction 1171(1988)中で議論される。ウシ精子に利用され
るのと同じ型の物質ではないために、これは驚きだけではなく、実際の緩衝液も
また、本来、ウシの適用に開発された。従って、ウマの適用において、hepe
s緩衝液を含むシース液が選択される。この溶液は、以下の組成を有する、室温
で約7.54のpH(39℃でpH=7.4)を有し得る:
【0214】
【表1】

【0215】
本発明において相互作用し得る1つの他の局面は、含まれる細胞が、異常な感
受性を経験し得るという事実である。1つの点に関して、これは精子細胞が非修
復細胞である細胞のクラス内であるという事実に起因し得る。すなわち、それら
は、それ自体を修復する能力を有さず、それ故、それらは、フローサイトメータ
ーまたは他の取扱い設備に対して代表的であるよりも感受的に処置されることを
必要とし得る。従って、フローサイトメーター、または他の分離デバイスが精子
細胞の供給源を確立するように作用する場合、この増強は、特に適用可能である
ことが適切であり得る。精子細胞のような細胞のクラスに独特であり得る、別の
可能性のある関連する局面は、それらのDNAが非修復、非複製、および非転写
であるという事実である。これらの因子のいずれかは、効果を示し得、そしてそ
れらは、個々または一緒のいずれかで関連し得る。従って、本発明の教示は、非
修復、非翻訳、非転写細胞である、全ての配偶子細胞またはウイルスなどにさえ
も適用し得る。
【0216】
また重要であり得るフローサイトメーター処理の別々の局面は、選別された後
に化学的および物理的の両方で細胞を適切に処理する事実である。図4に示され
るように、ドロップ(8)内の細胞をコレクター(14)内に獲得するために、
コレクターを構成する容器は、適切なサイズであり、その結果細胞と容器自体と
の間の衝撃を回避するいくつかの手段として作用することが重要であり得る。細
胞が容器の底部にぶつからないようにするため、細胞を収集する容器の底部に最
初のコレクター流体(17)を置くことは公知であるが、容器内への細胞の衝突
に起因する流動の提示ならびに回避不能なはね(splashing)において
変動に処理を施すための容器の単純な広さは、この結果を増強するために使用さ
れ得ることが明らかである。1つの点に関して、これは緩衝要素として作用し得
、その結果機械的に繊細であり得る細胞、すなわち、衝撃により破壊するかまた
は損傷を受け得る細胞は、適切に処理され得る。従って、サイトメーター供給源
が、選別されるべき細胞のように物理的に繊細な細胞である細胞を確立する場合
、開口部の広さ(18)が細胞との接触を回避する様式において容器の壁を配置
するために供する、広い収集管のようないくつかの型の緩衝要素を提供すること
は重要であり得る。従って、この管は、側壁にそれほど近接して存在しないので
、選別されるそれらの細胞と管壁との間に接触の任意の有意な見込みが存在する
。この様式において、コレクター流体(17)に加えて、同様に広い収集管を備
えることが所望される。おそらく、コレクター(14)の部分として供する容器
に広い開口部を単に提供することは、有意であり得る。精子細胞の高速分類を利
用する適用のために、少なくとも15ミリメーターの内部直径の開口部を有する
容器を提供することが有意であると考えられることが見出されている。具体的に
、このような適用において14mlのFalcon試験管を利用する場合、コレ
クター(14)の結果として細胞への最小の物理的損傷が発見されている。
【0217】
14mlのファルコン試験管ですらも最適ではないかもしれないことに注意す
べきである。特に、流れの幾何学に適した収集容器(すなわち、「流れ適合容器
(stream−matched container)」)を設計することが
最良であり得ると考えられる。この流れ適合容器は、以下の特徴のいずれかまた
は全てを有し得る:相対的に広い開口部、楕円形に成形された開口部、現在関わ
っているものより小さな高さ:幅の比、角度がつけられているか、またはそうで
なければ落下流に対して平行な側壁を示し得るように調整された体裁など。ボー
ルベアリングなどのような可動要素または媒体のような取り付け要素を提供して
、試験管の可変性の配向を、収集することが所望される落下流に適合させること
もまた望ましい。さらに、既存の試験管(「ファルコン型」試験管として記載さ
れる)のような容器の分類についての物理的特徴としては、試験管の幅だけでな
く試験管が作製される材質(例えば、細胞が固着しないポリスチレン)もまた挙
げられ得る。(これらの材質選択は、14mlファルコン試験管について周知で
ある。)従って、この容器およびその収集液はまた、緩衝要素として作用して、
細胞への物理的損傷を最小限にし得る。これは、サイズによっては、有意な希釈
効果なく精子の適切な数の収集を容易にするためにもまた作用し得る。
【0218】
コレクター液(17)の別の局面は、細胞に対する化学的ストレスを最小にす
るためにもまた作用し得るという事実であり得る。1つの点では、選別の前後両
方で細胞に栄養素を与えることが重要であり得るので、コレクター液(17)は
、調整されたレベルの栄養素を提供するように選択され得るため、この栄養素レ
ベルは選別の前後両方で平衡化される。2%卵黄レベルで卵黄クエン酸塩の栄養
素が利用されるウシ精子に関しては、6%卵黄クエン酸塩レベル(すなわち、ク
エン酸塩溶液中に6%の卵黄含量)を利用することが良好な結果を提供すること
が発見された。これは、選別事象の前後に存在する容量の結果である。コレクタ
ー液(17)は、約2mlの容量で(選別前に)開始され得る。選別事象によっ
て、この容量の約2倍が添加され得(最初の開始容量の3倍で終了する)、(目
詰まりおよび他のフローサイトメーターの考慮すべき事項に起因して)溶液中に
卵黄クエン酸塩はほとんどない。従って、存在する卵黄クエン酸塩の量のレベル
という点では、最終結果は、開始結果、すなわち、含まれる容量に起因して、ク
エン酸溶液中に2%卵黄クエン酸含量に等しくあり得る。従って、コレクター液
(17)は、最終コレクター液環境を作り出すように選択され得、この最終コレ
クター液環境は、最初の栄養素または他の流体環境と平衡化される。この様式で
、コレクター液は、細胞が供される時間および組成のレベルの変化を最小にする
ために作用し得る。もちろん、これらの流体環境は、フローサイトメーター内で
示されていてもよいし、ある他の重要な時間に存在していてもよく、重要な点は
、細胞の寿命における任意の時点で細胞が供されるストレスをほとんど最小化し
ないことである。さらに、最初の化学物質量が変動され得る(例えば、クエン酸
塩中のパーセント卵黄含量は、上下に変動され得る)ので、同様に、開始収集液
環境または種々の容量もまた、最終結果が同じであるように変動され得る。従っ
て、選別プロセスを開始する前に、コレクター液は、クエン酸塩溶液中6%卵黄
含量で存在し、そして選別事象が終了した後には、コレクター液(性特定精子を
有する)は、結果的に最初の栄養素含量と同様にクエン酸塩溶液中2%卵黄含量
になり得る。
【0219】
後者の使用では、これらの精子細胞は、他の理由のためにクエン酸塩液中20
%卵黄含量に対して処理され得る。しかし、これらの変更は、全体的な受精プロ
セスの公知の部分に過ぎないように、細胞に対するストレスを提供するとは認め
られない。もちろん、このレベルは当業者によって容易に理解され得るので、変
動され得るが、20%卵黄クエン酸塩緩衝液は、以下のように構成され得る:
I.最終組成:
80% クエン酸ナトリウム溶液(72mM)
20% (容量/容量)卵黄
II.1L用の調製:
A.クエン酸ナトリウム溶液
1.1,000ml容積フラスコ中に29.0gのクエン酸ナトリウム二水和
物(Na3657・2H2O)を入れる
2.最終容量が1,000mlになるように脱イオン水またはナノピュア(N
anopure)水を添加する
3.瓶に移し、15lbs圧力(245F°)で少なくとも30分間オートク
レーブにかける
a.蒸発を最小にするための条件を使用して溶液をオートクレーブにかける
(緩くふたをする)
b.水が沸騰して外に漏れないように注意する
4.室温でゆっくり冷却する
5.密栓して5℃の低温室で保存する
B.卵調製物
1.新鮮な鶏卵を優良な商業供給源から得る
2.埃がないように卵を洗浄し(過剰な界面活性剤は使用しない)、そしてす
すぐ
3.卵を70%エタノールに2〜5分間浸漬する
4.卵を取り出し、乾燥させ(または拭いて乾燥させ)、そして清潔なタオル
上で保存する
C.エキステンダーの調製
1.清潔な滅菌ガラス製品を使用する
2.A−画分(グリセロールなし画分)
a.1,000mlのメスシリンダーに800mlの2.9%クエン酸ナト
リウム溶液を入れる
b.エキステンダーのグリセロールなし画分(A画分)についての抗生物質
レベルは、以下のとおりであり得る;
i.タイロシン=100μg/ml
ii.ゲンタマイシン=500μg/ml
iii.リンコ−スペクチン=300/600μg/ml
c.200mlの新鮮卵黄を以下に概説するように添加する(D節)
i.徹底的に混合する
d.これは、20%卵黄およびウシ精子に対して非毒性であることが公知の
濃度の抗生物質を有する2.9%クエン酸ナトリウムに基づいたA画分エキステ
ンダーを提供する
e.エキステンダーは、一晩5℃で保存され得る。
【0220】
f.次の日に上清(上部の800ml)をデカントする
g.次の日の使用前に37℃に暖める
D.緩衝化溶液に卵黄を添加するために、以下の手順を十分に行う
1.卵を十分に洗浄し、清潔にする(上記Bを参照のこと)
2.卵を割り、卵黄分離器を用いて卵白と卵黄を分離する。あるいは、卵黄を
卵の殻に左右交互に2〜3回出し入れする。卵黄膜を破らないこと
3.卵黄を15cmの滅菌濾紙上におく
4.緩衝液を入れたメスシリンダーの上に濾紙を配置し、(卵黄膜を破りなが
ら)卵黄を絞り出し、金で処理した(golded)濾紙からメスシリンダーへ
流出させる。代表的には、約12〜15mlの卵黄が1つの卵から得られ得る。
【0221】
本発明の種々の因子で相互作用し合い得る別の局面は、人工受精などのために
低用量の精子を利用する局面である。雌雄識別した、人工受精の局面のさらなる
背景は、「Prospects for Sorting Mammalian
Sperm」、Rupert P.AmmanおよびGeorge E.Se
idel,Jr.,Colorado Associated Univers
ity Press(1982)(本明細書中に参考として援用される)に見い
だされ得る。言及したように、自然な受精は、何十億ものオーダーの精子数が関
与する。代表的な人工受精は、現在では、ウシ種に関しては数百万の精子で行わ
れ、そしてウマ種に関しては数億の精子で行われる。用語「低用量」によって、
受精事象で用いられる精子の投与量が、代表的な人工受精事象で提供される代表
的精子数の1/2より少ないか、または好ましくはそれの約10%より少なくさ
えあることを意味する。従って、用語「低用量」は、代表的な人工受精投与量の
状況で考えられることであり、絶対数としてもまた考えられる。現在百万〜一千
万の精子が提供されるウシ精子に関しては、低用量プロセスは、約500,00
0精子数の絶対数、またはおそらく300,000精子以下と考えられ得る。事
実、本発明の技術を利用することによって、良好な割合での人工受精の成功は、
48Theriogenology 1255(1997)で公開された論文「
Uterine Horn Insemination of Heifers
With Very Low Numbers of Non−frozen
and Sexed Spermatozoa」(これは、本明細書中に参考
として援用される)に示されるように、100,000および250,000精
子(それぞれ妊娠率は41%および50%)の受精のレベルで示された。精子細
胞は、希釈に対する感受性を示すようであるため、これらの結果は、本発明の種
々の技術に関して、低用量の精子サンプルの利用に対して特定の相互依存性を示
し得る。絶対数は、種依存性であり得る。ウマ種では、たとえ、約二千五百万、
一千万、五百万、または百万の精子より少ないにしても低用量プロセスが考えら
れ得る。
【0222】
重要であり得る別の局面は、本発明の(または他の)技術によって精子の雌雄
識別が人工受精システムで利用されるという事実である。従って、フローサイト
メーター技術に関しては、コレクター(14)を使用して、人工受精のための精
子を提供するときに、本発明の技術は、特に関連し得る。さらに、人工受精の使
用および低用量環境での使用の両方の組み合わせは、ともに相乗効果を奏し得、
これは、本発明の種々の技術を特に適切にすることが可能である。当然、雌雄識
別された精子は、ただ人工受精態様だけではなく、インビトロ受精技術などのよ
うな他の技術においても利用され得る。
【0223】
フローサイトメトリーの使用または他の分離技術によって動物を収集、選別、
および実際に人工受精するプロセスは、種々の工程を包含する。ウシの人工受精
の状況で、第1に、精液を人工膣を使用してウシから収集する。これは、約15
億精子/mlの割合である。この生の精液を分光光度計を使用してチェックして
、濃度を評価し得る。そしてこの精液を検鏡によって評価して、適切な運動性お
よび生存性基準を満たすことを確実にし得る。次いで、抗生物質が添加され得る
。結果として、最初のサンプルは、1回の射精あたり約60〜70%の前進運動
性を有し得る。処理工程に関しては、ある型のTALP(タイロードアルブミン
ラクテートピルベート)による希釈を用いて、約1億/mlの管理可能なレベル
で(フロー分析について)精子数を入手し得る。TALPは、精子細胞に栄養を
与えるだけでなく、精子を染色工程のために機能亢進させ得る。染色前に、ウマ
種のようないくつかの種では、遠心分離が行われ得る。染色工程を、多重染色ま
たは単色染色プロトコルに従って行い得、後者は、Johnson特許および関
連技術である。染色工程を、適切な栄養素環境を作り出すためにエキステンダー
もまた調節しながら行い得る。ウシの適用において、これは、染色後すぐにクエ
ン酸塩溶液中に約20%卵黄含量を添加する工程を包含する。さらに、精子細胞
を染色することにおいて、ある範囲まで予測され得るよりも高い染色量によって
、より良好な結果が達成されることが発見された。これは、高濃度染色工程が、
数10μM含量の染料量(例えば、Hoechst 33342染料が38μM
含量で使用される以下の実施例で議論される)を使用する工程を包含し得る。
【0224】
染料を添加した後のインキュベーション期間としては、例えば、約一億精子細
胞/mlの濃度で染料取り込みを促進するために34℃で1時間インキュベート
する工程を用い得る。次いで、それらを濾過して、精子細胞の凝集を取り除き得
る。次いで、約一億精子細胞/mlの所望の選別濃度への希釈または拡大が行わ
れ得る。次いで、先に議論された種々の技術に従う選別工程が行われ、ここから
精子細胞が収集相で回収され得る。先に言及されたように、収集は、約2%卵黄
クエン酸塩濃度含量(ウシ種について)を有するサンプルで生じ得る。次いで、
このサンプルを、シース液および保存液が除去され得る後に遠心分離によって、
約300〜500万精子細胞/mlに濃縮し得る。次いで、最終的な拡大は、2
0%卵黄クエン酸塩またはCornell Universal Extend
erなどのいずれかで達成され得る。Cornell Universal E
xtenderは、1000mlについて以下の組成を有し得る:
14.5g クエン酸ナトリウム二水和物
2.1g NaHCO3
0.4g KCl
3.0g グルコース
9.37g グリシン
0.87g クエン酸
20%卵黄組成については、上記調製物の800mlおよび約200mlの卵黄
を使用し得る。
【0225】
この最後の拡大後に、300〜500万精子/ml(ウシ種について)が生じ
得る。次いで、このサンプルを精子の代謝を緩慢にするように、そしてより長い
期間にわたる使用を可能にするように冷却され得る。次いで、ウマ種では、この
サンプルは、当業者がよく理解するように、卵管プロセスまたは他の受精プロセ
スで使用され得る。ウシの精子では、サンプルは、所望の投与レベルまでさらに
1回希釈され得る。希釈は、精子細胞の生存性に影響をもたらし得るために、よ
り少量のサンプルを提供することによって希釈のレベルがあまりに大きくなり過
ぎることを避けることが適切であり得ることが見いだされた。それにもかかわら
ず、使用されている分離技術のうち、現在では、約300,000精子/0.1
84mlの低投与量が達成され得る。さらに、約5%のレベルで精漿のレベルを
維持することが所望され得るが、この必要性の結果は、現在では結びつけられて
いる。次いで、精子細胞試料は、人工受精に使用するためのストローに配置され
、そして受精させるために経産牛または未経産牛に輸送され得る。
【0226】
都合のよいタイミングでの人工受精を達成するために、未経産牛または経産牛
の発情期を、当該分野で周知の技術に従って、プロスタグランジンF2αの利用
のような公知の技術により同期化させ得る。この後者の内容は、論文「Pros
taglandin F2α−A Fertility Drug in Da
iry Cattle?」18 Theriogenology 245(19
82)(これは、本明細書中に参考として援用される)で議論されるように未経
産牛での受精能の増強を潜在的に達成することが報告されたという点で特に価値
があり得る。最近の結果では、前述の事項は維持されなかったが、本発明は、雌
雄識別された低用量の受精の状況で特別の生存性を実証することであり得る。次
いで、ウシ種に関しては、人工受精は、子宮角内深くに精子細胞を配置する胎芽
移植機器の使用によって達成され得る。これは、人工受精において代表的に使用
されるピーク時ではなく、むしろピーク時の12時間後のようないくらか遅い時
期に達成され得る。なぜなら、雌雄識別された人工受精に関する受精は、わずか
により遅く生じ得るいくらかの可能性があるからである。胎芽移植機器の利用は
、このような低用量の雌雄識別された受精に関して、子宮壁が非常に敏感であり
得るために使用され得る。
【0227】
さらに、この技術を組み合わせて、さらにより効率的な生産を達成し得る。特
に、高速選別および雌雄識別された胚の低用量人工受精を可能にする、たった今
発明されたプロセスの各々は、過排卵動物において実行可能である。過排卵は、
排卵誘発剤(superovulatory pharmaceutical)
の使用または他の任意の技術によって達成され得る。排卵誘発剤は、例えば、正
常よりも多く卵の生成を達成するために一連の反応によって直接または間接に作
用し得る。過排卵との組み合わせは、以前、過排卵がこのような組み合わせを妨
げると認められたので驚くべきことである。精子輸送は、過排卵処理されたウシ
で損なわれるので、動物を複数の機会でおよび/または複数の用量の精液で、頻
繁に人工受精していた。また、精液を雌雄識別する以前の手順は、比較的緩慢で
あった;従って、これらの新たな技術の組み合わせを用いて、過排卵誘発剤(例
えば、FSH(卵胞刺激ホルモン))処置ウシの、合計600,000の雌雄識
別した未凍結精子を用いた1回の人工受精後の受精率を決定することは、興味深
いことである。
【0228】
例示として、12頭のAngus交雑未経産牛を、標準的手順を使用して過排
卵処理した:6、6、4、4、2、2、2、および2mgのFSHを発情周期の
9日目と12日目の間で始まる半日間隔で筋肉内注射した;25mgおよび12
.5mgのプロスタグランジンF−2αを6回目と7回目のFSH注射とともに
筋肉内注射した。未知の受精能のウシからの精子をHoechst 33342
で染色し、次いで、MoFlo(登録商標)フローサイトメーター/セルソータ
ーを使用して選別し、700〜800の生きた精子を各々の性/秒で得た。平均
選別純度は、所望される性の89%であった。選別された精子を、5℃に冷却し
て650g、10分間で遠心分離することによって3.36×106精子/ml
に濃縮し、そして4時間保存した。次いで、184μlを0.25mlのプラス
チックストローに入れ;この用量の半分を自動側壁開口胎芽移植シース(aut
omatic side−opening embryo transfer
sheath)を使用して発情後20〜24時間後に各子宮角に人工受精した。
胚を標準的な非外科的手順によって発情後7または16日目に収集した。結果は
、7日目と16日目での収集との間およびXおよびY選別精子で同様であった。
胚を9頭の未経産牛から回収した。発生の正常段階で52胚(平均4.3±5.
3/ドナー)、13の発達の遅れた胚および31の未受精卵が存在した。46胚
が、Y染色体特異的DNA配列についてのプライマーを使用してPCRによって
雌雄識別され;そのうち43(93%)が意図された性であった。この研究は、
少数の動物に関与しただけであるが、驚くべきことに、わずか合計600,00
0の(生存した)雌雄識別した未凍結精子での過排卵処置した未経産牛の人工受
精は、従来の手順と同様の結果を与えた。上記のバリエーションはまた、フロー
サイトメーター手段以外によって選別する工程、他の様式で過排卵を達成する工
程、他の様式で受精能を増加させる工程など(を含むが、これらに限定されない
)で達成され得る。
【0229】
さらに、受精能を損なうことなく、DNA含量に基づいて精子を雌雄識別する
方法、高速フローサイトメーター/セルソーター、および合計500,000よ
り少ない精子で未経産牛を人工受精する手順の調和が、わずか数年内にウシにお
ける生存可能な雌雄識別した精液産業の可能性を生じた。85%より高い正確性
で雌雄識別した精子についての多くの適用が存在する。おそらく、最も明白なの
は、雌の群を置換するために、一方のサブセット(乳牛および肉牛の両方)のウ
シを人工受精すること、および逆のサブセット(乳牛および肉牛の両方)を肉用
に生産された雄に対して全く異なるタイプのウシと交配させることである。上記
の非常に重要なサブセットは、X染色体保有精子で未経産牛に人工受精して、雌
ウシを生産することである。これは、主にサイズがより小さいことに起因して、
雄ウシより難産の発生率は低くなる。さらに、若い乳用種牛を提供することは、
未経産牛の優勢にはるかにより有効である。85%より多い未経産牛を有するこ
とはまた、乳牛を管理することを可能にするために、それらは、平均すると、寿
命あたり2頭の生存牛より少ない。これは、妊娠および分娩に関連する問題を減
少させるためには魅力的なものである。肉生産の単一性別システム(singl
e sex system)もまた可能になる。ここで、各雌をそれ自身が交換
し、そして2〜3年の間で屠殺されるため、成長のためのシステム中ではるかに
より高い栄養素を使用して、そして維持する割合はより低い。雌雄識別した精液
は、インビトロ人工受精のために、および胎芽移植のために過剰排卵処理したウ
シを人工受精するために有用である。頻繁には、ある性のウシが他方よりかなり
価値があり、そして胚を雌雄識別する正確な方法が利用可能であるにもかかわら
ず、それらは、時間がかかり、そして生成された胚のうちの半分は、あまり価値
のない性である。正確に雌雄識別された精液は、雌雄識別の追加料金が低く、か
つ受精能が最小限にしか損なわれない場合、ウシの人工受精に広範に適合すると
推測される。人工受精される肉牛の割合は、おそらく、実質的に雌雄識別された
精液での肉牛が増えるであろう。
【0230】
興味深いことに、このような受精が通常配置される子宮体内への受精よりも、
子宮角内深くへの受精によって、より良好な結果が達成され得る。おそらく、こ
のようにはるかに研究されたサンプルは、子宮角内深くで達成された場合に、同
側性の受精と対側性の受精との間に違いを示さないこともまた驚くべきことであ
る。深いことによって、その挿入は、胎芽移植機器を使用して、子宮角に良好に
配置されることが理解されるべきである。同側性の受精と対側性の受精を使用し
て、結果が有意に異ならないようであるという事実は、本発明者らに、両方の受
精の使用の提案を導き、その結果、適切な子宮角を同定するプロセスはもはや必
要であり得ない。
【0231】
受精の結果として、当然のこととして、所望の性の動物が産生されることが所
望される。この動物は、雌雄選別された精子標品の使用を介する先に議論した系
に従って産生され得る。本発明の技術は、例えば、腹腔鏡検査的(lapros
copic)受精、卵管受精などのような他の技術における適用を見い出し得る
ことがまた、理解されるべきである。
【0232】
実施例として、以下の実験が行われた。本明細書に記載される本発明のあらゆ
る局面のすべての使用ではなく、それらは、本発明の異なる局面を通して可能な
実行の増強を示す。さらに、いくつかの実験の要約は、以前に引用した論文「非
常に少数の非凍結および雌雄選別された精子を用いた未経産牛の子宮角受精」に
含まれる。この論文は、本発明の有効性を示すデータのいくつかを要約する。実
験については、雌雄選別された非凍結精子細胞を用いて行われ、以下のように高
い成功を収めた。
【実施例】
【0233】
(実施例1)
Angus未経産牛(13〜14月齢(mo)であり、そして中程度の体調)
は、12日間の間隔をあけて25mgのプロスタグランジンF−2αを用いて同
期化させ、そして直立発情期(standing estrus)が観察された
6〜26時間後、受精させた。14〜26月齢の3頭の雄ウシから新鮮に収集し
た精液を、TALP培地中で1時間、34℃で、75×106精子/mlで、3
8μM Hoechst 33342中でインキュベートした。精子を、50p
siで操作するMoFlo(登録商標)フローサイトメーター/セルソーターを
使用して、そしてシース液として、2.9% クエン酸Naを使用して、150
mWでの351nmおよび364nmにおけるレーザー励起からの落射蛍光(e
pifluorescence)に基づいて、性染色体によって選別した。X染
色体を有する精子(超音波処理した精子アリコートを回復させることによって確
認されたように、約90%の純度)を、約500生精子/秒で、100μl C
ornell Universal Extender(CUE)を含む2−m
l Eppendorf管に、20%卵黄とともに収集した。収集した精子を、
600×gで10分間遠心分離し、そして1.63×106生精子/mlでCU
E中に再懸濁した。雌雄選別されていない精液のコントロールについて;Hoe
chst 33342染色精子を、シース液で、9×105精子/mlに希釈し
、そして遠心分離し、そしてCUE中で1.63×106の進行的に運動性の精
子/mlに再懸濁した。雌雄選別された精液および液体コントロール精液を5℃
に75分間冷却し、そして0.25mlストロー(184ul/ストロー)にロ
ードした。ストローを、受精のために、分取の5〜9時間後に3〜5℃の温度制
御飲料冷却機240kmに移した。雌雄選別された精液および液体コントロール
精液を、側開口青色シース(side−opening blue sheat
hs(IMV))を使用して受精し、各々のストローの半分を、各々の子宮角に
入れた(3×105生精子/未経産牛)。標準的なコントロールとして、同じ雄
ウシ由来の精液を、標準的な手順によって0.5ccストロー中で冷凍し(平均
15.6×106の運動性の精子/溶解後用量)、35℃で30秒間溶解し、そ
して子宮体中に受精させた。処置を、3頭の雄ウシおよび2人の受精者に対して
、雌雄選別された精液および2つのコントロールについて3:2:2の受精の比
で平均化した。妊娠を、胎仔もまた雌雄選別された場合(盲目的に)、受精の3
1〜34日後超音波で決定し、そして64〜67日後に確認した。データを表に
示す。
【0234】
【表2】

【0235】
a,b異なる上付き文字を有する値の雌雄選別比は異なる(p<0.02)。
【0236】
雌雄選別された精液を用いた妊娠率は、コントロールの80%にすぎなかった
が、この差異は統計学的に有意でなかった(>0.1)。1回の妊娠は、雌雄選
別されかつ凍結したコントロール群の各々において64〜67日で失われる;雌
雄選別群中で19胎児のうちの18(95%)は雌であり、そしてコントロール
群の30のうちの20(67%)は雌であった。液体精液コントロールは、50
倍より多い運動性の精液(全精子の120倍以上)を含む凍結精液コントロール
に対して実質的に同一の妊娠率を産み出し、このことは、子宮角中への低用量受
精の有効性を例証する。本発明者らは、フローサイトメーター技術および人工受
精を使用して、ウシでの性比率を有意に変更した。
【0237】
同様に、雌雄選別されていない、非凍結の精子細胞を用いて1つの実験を行い
、そして以下のように報告し得る。
【0238】
(実施例2)
実験の目的は、理想的な野外の条件下で、極度に少ない数の凍結精子を用いて
未経産牛に受精させた場合に、妊娠率を決定することであった。上記の平均妊娠
率である3頭のHolstein雄ウシ由来の精液を、均質化ミルク、7%グリ
セロール(CSS)エキステンダー、および5%相同精液漿中で、0.25ml
フレンチストローあたり総精子2×105、5×105、または10×106(コ
ントロール)まで広げ、そして液体窒素蒸気に移して凍結させた。精液を、37
℃の水浴中で20秒間融解した。13〜15月齢で350〜450kgの体重の
Holstein未経産牛に、25mgのプロスタグランジンF−2−α(Lu
talyse(登録商標))を、12日間の間隔をあけて2回注入し、そして胎
芽移植ストローガン(embryo transfer straw gun)
および側開口シースを用いて受精させ、そして精液の半分は、発情期の検出の1
2時間または24時間後、各々の子宮角深くに入る。実験を5ヶ月にわたって5
回の反復で行い、そして2人の受精者で平均された。繁殖の周囲温度はしばしば
−10℃から−20℃であったので、受精器具を暖かく保つことに注意が払われ
た。妊娠を、発情から40〜44日後に、超音波を使用して、生存可能な胎仔の
検出によって決定し、そして発情後55〜62日後に確認し;202の受胎産物
のうちの4つが、これらの時期に失われた。55〜62日では、妊娠率は2×1
5、5×105、および10×106総精子/受精(P<.1)について、55
/103(53%)、71/101(70%)および72/102(71%)で
あった。妊娠率は、雄ウシの間で異なっていたが(59、62、および74%、
P<.05)、実験者の間で(64および65%)、または発情後の受精回数(
12時間で65%、24時間で64%、N=153、各回)では異ならなかった
。記載した方法を用いる、未経産牛における妊娠率は、受精あたり5×105
よび10×106総精子を用いるのと同様であった。
【0239】
1つの実験がまた、雌雄選別された非凍結の精子細胞で行われ、そして以下の
ように報告され得る:
(実施例3)
精液を、Atlantic Breeders Cooperativeの雄
ウシから収集し、HEPES緩衝化エキステンダー+0.1%BSAで1:4に
希釈し、そしてMaryland、Beltsvilleまで160km(約2
時間)輸送した。ここで精液を、周囲温度において、以前に記載された方法(B
iol Reprod 41:199)を使用して、TEST収量(20%)エ
キステンダー中にフローサイトメトリーによって選別した。約90%純度におい
て、5〜6時間あたり各性の2×106精子までの選別速度を達成した。精子を
、遠心分離(300gで4分間)によって、2×106精子/mlまで濃縮した
。いくらかの精子を、相同な精液漿を含むエキステンダー中に選別した(最終濃
度5%)。選別した精子を、飛行機でコロラドまで輸送し(約2,600km)
、そして周囲温度または5℃のいずれかで保存した(Equitainer(氷
を含む仕切りを用いる遮蔽された装置)中で6時間以上輸送の間冷却した)。発
情が検出されるよりも11〜36時間早くに、未経産牛または乳の出なくなった
ウシに、精子選別セッションの終わりの9〜29時間以内に受精させた。精子(
0.1ml中に1〜2×105)を、受精の際に超音波によって決定された最も
大きい濾胞を有する卵巣に対して同側の子宮角に深く入れた。
【0240】
輸送され、周囲温度で保存された精子を受精させた場合に、10頭の雌はいず
れも妊娠しなかった。輸送の間に5℃で冷却された精子を受精させた29頭の雌
の内、14頭が4週間、そして12頭(41%)が8週間の妊娠期間の間妊娠し
た。選別の最後の10時間以内に受精させた22頭の内11頭が8週間妊娠した
が、しかし選別の17〜24時間後に受精させた7頭の内1頭のみが妊娠した。
精液漿の添加の有意な効果はなかった。12の胎仔の内の1つは予測された性で
はなく、1つは不明瞭であり、そして10は、妊娠の60〜70日間の超音波検
査によって決定されたように、予測された性であった。
【0241】
引き続いて、33のさらなる未経産牛に、超音波検査の使用なしで各々の子宮
角中に0.05ml(上記のように広げた精液)を用いて受精させた;3例のみ
が受精後4週間妊娠し、そして1例のみが8週間妊娠したままであった。しかし
、先の群からの異なる雄ウシを使用して、そしてすべての受精は、選別18〜2
9時間後に行った。別の雄ウシ由来の選別された精子を用いて、本発明者らの研
究室から200kmの、さらなる38例の未経産牛を同様に受精させた(選別約
22時間後);これらのいずれも、受精後8週間妊娠しなかった。
【0242】
要約すると、フローサイトメトリーによって性染色体について選別された精子
の人工受精によって、ウシにおいて妊娠を達成することは可能であり、そして胎
仔の性比率は、選別された精子のDNA含有量についての再分析によって予測さ
れる性比率に近づく(90%)。しかし、妊娠率は、長距離の精子の輸送を必要
とした、これらの予備的実験において大きく変動した。受精率は、選別後17時
間で急激に減少したが、いくぶんかの混乱が存在した。なぜなら、異なった時間
に異なった雄ウシを使用したからである。妊娠率に見られる変動は、雄ウシの違
いによるものか、受精の技術によるものか、選別と受精の間の間隔によるものか
、または他の因子によるものかを決定するために、さらなる研究が必要とされて
いる。
【0243】
最後に、1つの実験がまた、雌雄選別されていない、非凍結精子細胞を用いて
行われ、そして以下のように報告され得る。
【0244】
(実施例4)
この実施例の目的は、未経産牛に理想的な実験条件下で非常に少数の精子を用
いて受精させた場合に、妊娠率を決定することであった。3頭のHolstei
n雄ウシ由来の精液を、Cornell Universal Extende
rおよび5%の均質な精液漿中で1×105または2.5×105精子/0.1m
lまで広げた;2.5×106全精子/0.25mlをコントロールとして使用
した。十分に広げた精液を、0.1または0.25mlの受精用量を送達するた
めに、改変した0.25mlプラスチックフレンチストロー中に詰めた。精液を
5℃に冷却し、そして収集の26〜57時間後に使用した。Holstein未
経産牛13〜15月齢、体重350〜450kgに、12日間の間隔で、25m
g プロスタグランジンF−2α(Lutalyse(登録商標))を注射し、
そして発情の検出から24時間後に、胎芽移植ストローガンおよび側開口シース
を用いて、1つの子宮角に受精させた。受精は、発情12時間後超音波によって
決定された最大の濾胞を有する側に対して同側性であった;排卵の側は、発情7
〜9日後超音波によって黄体の検出によって確認した。妊娠は、発情42〜45
日後超音波によって胎仔の検出によって決定した。この実験は、4回反復し、そ
して3人の受精技術者で平均した。排卵の側は、225未経産牛のうち205で
正しく決定された(91%);驚くべきことに、妊娠率は、同側および対側の受
精でほとんど同一であった。妊娠率は、1×105、2.5×105、および2.
5×106精子/受精(P>.1)について、38/93(41%)、45/8
7(52%)、および25/45(56%)であった。技術者の間で、有意な妊
娠率の違い(P<.05)が存在したが、雄ウシの間にはなかった。フローサイ
トメーターを用いて性によって選別された精子が、商業的な適用を有する記載し
た方法を用いて、受精あたりの精子の数を十分に減らすことが可能であり得る。
【0245】
上述のように、そして種々の実験から見られ得るように、野外は統計学的に根
拠のあるものであり、従って種々のさらなる実験が、適切な組み合わせおよび制
限のストラテジーを示すために行われ得る。従って、種々の影響の間の相乗作用
(例えば、レーザー励起を用いる色素の効果および組み合わされた色素の効果が
研究され得る例)が、さらに同定される。
【0246】
本出願に含まれる議論は、基本的な記載として働くことを意図している。読者
は、特定の議論が明白にすべての可能な実施形態を記載しなくてもよいし;多く
の代替手段が暗黙のものであることに気付くべきである。それはまた、本発明の
一般的な性質について十分に説明しなくともよいし、そしてそれぞれの特色また
は要素が、実際により広い機能をいかにして示し得るか、または非常に多様な代
替手段もしくは等価な要素をいかにして示し得るかを明白に示さなくともよい。
かさねて、これらは、暗黙に本開示中に含まれる。本発明が、デバイスを指向す
る用語において記載されている場合には、各々のデバイスの要素は、暗黙に機能
を行う。装置の請求項は、記載されるデバイスについて含まれてもよいだけでは
なく、また、方法またはプロセスの請求項が、本発明および各々の要素が行う機
能を扱うために含まれ得る。記載または用語のいずれもが、提出され得る請求項
の範囲を限定することを意図するものではない。種々の変更が、本発明の本質か
ら離れることなくなされ得ることが理解されるべきである。このような変更はま
た、明細書中に暗黙に含まれ得る。これらもなお、本発明の範囲にある。示され
る明白な実施形態、非常に多様な暗黙の代替的な実施形態、および広い方法もし
くはプロセスなどの両方を含む広い開示が、本開示によって含まれる。
【0247】
さらに、本発明の種々の要素および請求項のそれぞれがまた、種々の様式にお
いて達成され得る。本開示は、このような各々のバリエーション(任意の器具の
実施形態のバリエーションの実施形態、方法またはプロセスの実施形態、または
これらの任意の要素のバリエーションにさえすぎない)を含むことが理解される
べきである。特に、本発明の要素に言及する開示として、各々の要素についての
語が、たとえ機能または結果のみが同じであるとしても、等価な器具の用語また
は方法の用語によって表現され得ることが理解されるべきである。このような等
価な、より広い、またはより一般的でさえある用語は、各々の要素または作用の
記載に含まれるとみなされるべきである。このような用語は、本発明が権利を与
えられる暗黙の広い適用範囲を明白にすることが所望される場合に置き換えられ
得る。1つの例としてではなく、すべての作用が、その作用を獲得するための手
段として、またはその作用を起こす要素として表現され得ることが理解されるべ
きである。同様に、開示された各々の物理的要素は、物理的要素が容易にする作
用の開示を含むと理解されるべきである。この局面の1つの例としてではなく、
「コレクター」の開示が、明白に議論されるか否かにかかわらず、「収集するこ
と」の作用の開示を含むことが理解されるべきであり、そして逆に、「収集する
こと」の作用の開示のみが存在する場合、このような開示は、「コレクター」の
開示を含むことが理解されるべきである。このような変更および代替的な用語は
、本明細書中に明白に含まれることが理解される。さらに、最初に提示した請求
項に加えて、その請求項は、少なくとも以下により広く取り組むために変更され
得ることが理解されるべきである:i)本明細書中に開示および記載されるデバ
イス、ii)開示および記載される関連方法、iii)そしてこれらのデバイス
および方法の各々の、同様の、等価な、暗黙でさえのバリエーション、iv)開
示および記載されるとして示される機能のそれぞれを達成するこれらの代替的な
設計、v)開示および記載されることを達成するために暗黙であるとして示され
る機能の各々を達成する、代替的な設計および方法、vi)別個のかつ独立した
発明として示される各々の特徴、要素、および工程、ならびにvii)上記の各
々の種々の組み合わせおよび順列。
【0248】
本発明の理解を助けるために、種々の刊行された引用文献が役立ち得る。これ
らは以下に列挙され、そしてそれによって参考として援用される;しかし、記載
がこの/これらの発明の特許化と矛盾しているとみなされ得る点で、これらの記
載は明白に出願人によってなされたとはみなされない。強力に役立つ引用文献は
、米国特許第5660997号;同第5589457号;同第5514537号
;同第5439362号;同第5346990号;同第5135759号;同第
5021244号;同第4999283号;同第4749458号;同第469
8142号;同第4680258号;同第4511661号;同第444876
7号;同第4362246号;同第4339434号;同第4276139号;
同第4225405号;同第4191749号;同第4155831号;同第4
092229号;同第4085205号;同第4083957号;同第4067
965号;同第4009260号;同第3894529号;同第3687806
号;RE32350号を含む。役立つ引用文献はまた、以下の刊行物を含み得る

【0249】
【表3】

【0250】

【0251】
本明細書を通して、その文脈がそれ以外に必要としない限りは、語「comp
rise」または、「comprises」もしくは「comprising」
のようなバリエーションは、言及された要素もしくは整数、または要素もしくは
整数の群を含むが、任意の他の要素もしくは整数、または要素もしくは整数の群
を排除しないことを暗示することが理解される。
【符号の説明】
【0252】
3 シース液
14 収集システム
18 精子細胞

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−252801(P2010−252801A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139978(P2010−139978)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【分割の表示】特願2002−44035(P2002−44035)の分割
【原出願日】平成10年12月31日(1998.12.31)
【出願人】(500308473)エックスワイ,エルエルシー (17)
【Fターム(参考)】