説明

低い遅延を有する重合した液晶フィルム

【課題】従来技術の欠点を有しない、特に、多くの別個のプロセス段階または高温段階を必要とせず、製造するのが比較的安価である、低い光学的遅延を有するRMまたはLCを含む遅延フィルム並びに、このようなフィルムの製造のための有利な方法および材料を提供する。
【解決手段】本発明は、感光性化合物を含み、低い光学的遅延を有する重合した液晶(LC)フィルム、このようなフィルムを製造するための材料および方法、並びに液晶ディスプレイにおける配向膜もしくは光学的遅延フィルムまたは他の光学的もしくは電気光学的素子もしくはデバイスとしての、あるいは装飾もしくはセキュリティー用途のためのこの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性化合物を含み、低い光学的遅延を有する重合した液晶(LC)フィルムに関する。本発明は、さらに、このようなフィルムを製造するための材料および方法、並びにLCディスプレイにおける配向膜、光学的遅延フィルムもしくは光学的導波管または他の光学的もしくは電気光学的素子もしくはデバイスとしての、あるいは装飾またはセキュリティー用途のためのこの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
反応性メソゲン(RM)としても知られている、重合可能な液晶(LC)を用いて、光学的高品質フィルム、例えばLCDのための遅延フィルム、補償フィルムなどを製造することができる。機能するために、このような光学的フィルムは、しばしば、
R=d×Δn
式中、Δnは、LC材料の複屈折であり、dは、フィルムの厚さである、
として示される、ある光学的遅延Rを必要とする。実際に、RMフィルムは、しばしば、プラスチック基板上に、ロールからロールへの(roll-to-roll)製造プロセスにより塗布される。このようなプロセスは、光学的高品質RMポリマーフィルムの安価な製造を可能にするように設計されている。時々、特定の光学的効果を達成するために、またはプロセスの理由により、比較的低い複屈折を有するRMを塗布するのが望ましい。
【0003】
例えば、塗布プロセス自体における許容度のために、>1μmよりも厚い層を塗布するのが望ましい場合があるが、最終的なRMフィルムの遅延を増大させないこともまた、必要である。その理由は、これを、特定の光学的効果を達成するために設定するからである。RM層を過度に厚く(または薄く)塗布する場合には、ポリマーフィルムの遅延は、過度に大きく(または小さく)、非能率的な光学素子が得られる。例えば、所望の製品が四分の一波長の遅延フィルム(QWF)である場合には、異なる遅延のすべての領域は、直線偏光と円偏光との間で効率的に変換されず、楕円偏光がもたらされる。遅延が、複屈折とフィルムの厚さとの積であるため、比較的低い複屈折を有するRMを用いることが必要である。
【0004】
この問題は、従来技術において、いくつかの方法により扱われた。例えば、比較的低い複屈折のRM化合物を含む、低い複屈折のRM混合物が、考案された。これらの化合物は、例えば特許文献1に開示されているように、典型的には、比較的少ない芳香族基を含む。しかし、これらの化合物は、しばしば、製造するのが比較的高価であり、混合物は比較的商業的に実行可能ではなくなる。
【0005】
比較的安価な材料を用いて、低い複屈折のRMフィルムを製造するための、従来技術に開示されている他の可能な方法は、例えば特許文献2に示唆されているように、高温でRMを重合させることを含む。しかし、この方法は、液晶/アイソトロピック相転移温度に近い温度において、これが、制御するのが極めて困難であるという主要な欠点を有する。プロセス温度の小さい変化のみにより、フィルムの最終的な複屈折の大きい変化がもたらされることが、見出される。容易な制御のこの欠如により、この方法は、大量生産において用いるのが困難になる。
【0006】
また、実際に、RMフィルムを90〜100℃よりも高温に加熱すると、不所望な熱重合がもたらされ得ることが見出される。従って、加熱段階の間、熱重合が、すべての光重合を開始する前に発生することが、可能である。熱加工に対する他の欠点は、高温(例えば>90℃)において、RMフィルムは、これらの基板からディウェッティングを開始し得ることである。ディウェッティングにより、光学的フィルムの使用には適しない不完全なフィルムが得られる。尚他の欠点は、加工温度が、基板の熱安定性により制限されることである。このようにして、プラスチック基板上に加工されたRMフィルムは、ガラス基板上に加工されたものと同一の高温に加熱することができない。
【0007】
低い複屈折のRMフィルムを達成するための尚他の方法は、例えば特許文献3に示唆されているように、ある非液晶材料をRMに加えることである。これらの材料は、これらが、重合中のRMの液晶秩序を崩壊させる作用を有するように選択される。秩序を低下させるにあたり、このようなモノマーはまた、RMフィルムの有効な複屈折を低下させる。特許文献3において、引用されている複屈折の例は、≧0.009および<0.13である。しかし、低い複屈折値を達成するために、特許文献3における重合プロセスはまた、高温(90〜110℃)において行われ、これにより特許文献2の方法に同調している。
【0008】
特許文献4および特許文献5には、光異性化可能なRMを含む遅延パターンを有するポリマーフィルムおよびこれらの製造方法が開示されている。しかし、これらの文献に記載されているフィルム製造方法において、異性化および重合は、2つの別個の段階において、異なる条件(それぞれ空気および窒素雰囲気)の下で行われる。
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 972 818号明細書
【特許文献2】米国特許第5,042,925号明細書
【特許文献3】米国特許第6,171,518号明細書
【特許文献4】国際公開第2004/083913 A1号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2004/090025 A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの目的は、低い光学的遅延を有するRMまたはLCを含む遅延フィルムを提供することにある。他の目的は、前述の従来技術の方法および材料の欠点を有しない、このようなフィルムの製造のための有利な方法および材料を提供することにある。本発明の他の目的は、以下の詳細な記載から当業者に直ちに明らかである。特に、RM材料が、多くの別個のプロセス段階または高温段階を必要とせずに、重合して低い複屈折のフィルムを得ることができる芳香族RMを本質的に含むのが、望ましい。また、この方法は、広範囲のRMと適合性であり、広範囲の透明温度を有する混合物が、プラスチック基板を含むすべての好適な基板上に加工されるのを可能にしなければならない。芳香族RMを用いる利点は、これらが、これらの非芳香族の対応物と比較して、製造するのが比較的安価であることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的は、本発明に開示した材料および方法を用いることにより、特に感光性化合物、例えば光異性化可能な化合物を含むRM材料を用いることにより、並びに光反応、例えばフィルム製造の間に同時に発生する光異性化および光重合の均衡に依存するポリマーフィルム製造方法を適用することにより、達成することができることが見出された。
【0012】
本明細書中で用いる用語「光反応性」、「感光性」および「光反応」は、光照射の際に、光異性化、光により誘発された2+2環付加、フォトフライズ(photo-fries)配置または相当する光分解プロセスが含まれるがこれらには限定されない反応により、これらの構造または形状を変化させる化合物を意味する。光重合反応は、これらの意味には含まれない。しかし、本発明において記載する光反応性または感光性化合物は、さらにまた、重合可能または光重合可能であってもよい。
【0013】
発明の概要
本発明は、ポリマーフィルムの製造方法であって、以下の段階:
a)少なくとも1種の複屈折感光性化合物を含む重合可能なLC材料の層を、基板上に設ける段階、
b)LC材料の層を配向させる段階、
c)LC材料またはこの選択された部分を、感光性化合物の光反応を生じ、同時にLC材料の重合を生じる条件に触れさせる段階、および
d)随意に重合したフィルムを基板から取り外す段階
を含む、前記方法に関する。
【0014】
本発明はさらに、好ましくは低い光学的遅延を有する、本明細書中に記載した方法により得られるポリマーフィルムに関する。
本発明はさらに、本明細書中に記載したポリマーフィルムの、液晶ディスプレイ(LCD)または他の光学的もしくは電気光学的素子もしくはデバイスにおける、装飾またはセキュリティー用途のための、配向膜または光学的遅延フィルムとしての使用に関する。
【0015】
発明の詳説
重合可能なLC材料は、1種または2種以上の感光性化合物、好ましくは光異性化可能なメソゲン性またはLC化合物、極めて好ましくはまた重合可能な光異性化可能な化合物を含む。LC材料は、基板上に設けられ、均一な配向、好ましくはプレナー配向に配列し、これは、既知の手法により達成することができる。次に、LC材料またはこの選択された領域を、この重合可能な成分の重合を生じ、同時に1種または2種以上の感光性化合物の光反応、例えばE−Zまたはシス−トランス異性化を生じさせる条件に触れさせる。これは、例えば、化学線、例えばUV光の照射により達成される。1種または2種以上の感光性化合物の光反応により、この複屈折の変化および/またはLC材料の均一な配向の崩壊がもたらされ、これにより、LC材料の全体的な複屈折の低下がもたらされる。複屈折の低下により、LC材料の露光された部分の遅延の低下がもたらされる。同時に、LC材料の遅延は、露光された部分におけるインサイチュでの(in-situ)光重合により固定される。
【0016】
光反応および光重合を、好ましくは、酸素の存在下で行う。酸素は、重合開始剤から発生したかまたは他の方法で材料中に発生する遊離基を除去し、そして従って重合を妨げる。これは、光反応プロセスに有利に働き、フィルム構造が固定される前の遅延の低下を引き出す。
【0017】
一般的に、好適なLC材料についての種々の遅延値を、これらの重合の速度に影響するすべての要因により達成することができる。
本発明の好ましい態様において、光反応および重合を、空気雰囲気中で行う。
【0018】
本発明の他の好ましい態様において、遅延を、フィルム製造プロセスのために用いられる基板を変化させることにより、制御する。例えば、酸素を透過しないかまたは酸素により容易に透過される、および/または水蒸気を吸収する傾向がある基板を用いて、種々の遅延を有するフィルムを製造することができる。好ましくは、LC材料の異性化および重合を、親水性であり、および/または酸素を透過可能な基板上で行う。好適であり、好ましい基板は、例えばポリエステルのフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)またはトリアセチルセルロース(TAC)、極めて好ましくはPETまたはTACフィルムである。
【0019】
本発明の他の好ましい態様において、光反応の程度および従ってLC材料における複屈折の変化を、放射線の線量、即ち強度、露光時間および/または放射線の出力を変化させることにより、制御する。例えば、複屈折を、光反応および重合を生じる放射線の出力を増大させることにより、減少させることができる。
【0020】
最適な照射時間および放射線強度は、用いるLC材料のタイプ、特にLC材料における感光性化合物のタイプおよび量に依存する。
LC材料の遅延の最初の値を、LC材料の層の厚さおよび個別の成分の複屈折の適切な選択により、制御することができる。
【0021】
本発明のポリマーフィルムの厚さは、好ましくは0.5〜2.5ミクロン、極めて好ましくは0.6〜2ミクロン、最も好ましくは0.7〜1.5ミクロンである。
本発明のポリマーフィルムの軸上の遅延(即ち0°の視野角において)は、好ましくは>0〜250nmである。
【0022】
LCDにおける実際的な用途のために、光学的遅延フィルムは、また従来技術において四分の一波長遅延板もしくはフィルム(QWF)またはλ/4板として知られている、入射光の波長の約0.25倍の遅延を示すのが、特に好ましい。QWFとして用いるのに特に好ましい遅延は、90〜250nm、好ましくは100〜175nmである。
【0023】
重合可能なLC材料は、好ましくは、ネマティックまたはスメクティックLC材料である。これは、好ましくは、1つの重合可能な基を有する(単反応性)少なくとも1種の重合可能な化合物および2つまたは3つ以上の重合可能な基を有する(二または多反応性)少なくとも1種の重合可能な化合物を含む。
【0024】
重合可能なメソゲン性またはLC化合物は、好ましくは、モノマー、極めて好ましくはカラミティック(calamitic)モノマーである。これらの材料は、典型的には、良好な光学的特性、例えば低下した色度を有し、所望の配向に容易にかつ迅速に配向することができ、これは、特に、大規模でのポリマーフィルムの工業的生産に特に重要である。
【0025】
本発明に適する重合可能なメソゲン性単反応性、二反応性および多反応性化合物を、自体公知であり、有機化学の標準的な学術書、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, Thieme-Verlag, Stuttgartに記載されている方法により、製造することができる。
【0026】
重合可能なLC混合物中でモノマーまたはコモノマーとして用いるための、好適な重合可能なメソゲン性またはLC化合物は、例えば、WO 93/22397、EP 0 261 712、DE 195 04 224、WO 95/22586、WO 97/00600、US 5,518,652、US 5,750,051、US 5,770,107およびUS 6,514,578に開示されている。
【0027】
特に有用な、および好ましい重合可能なメソゲン性またはLC化合物(反応性メソゲン)の例を、以下のリスト中に示す。
【化1】

【0028】
【化2】

【0029】
式中、
Pは、重合可能な基、好ましくはアクリル、メタクリル、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテル、エポキシ、オキセタンまたはスチレン基であり、
xおよびyは、1〜12の同一であるかまたは異なる整数であり、
AおよびDは、随意にLにより単、二もしくは三置換されている1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、
uおよびvは、互いに独立して0または1であり、
は、−COO−、−OCO−、−CHCH−または単結合であり、
【0030】
は、F、Cl、CN、NO、OCH、OCN、SCN、1〜4個のC原子を有する、随意にフッ素化されているアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシ、または1〜4個のC原子を有するモノ、オリゴもしくはポリフッ素化されているアルキルもしくはアルコキシであり、
は、1個もしくは2個以上、好ましくは1〜12個のC原子を有し、随意にフッ素化されているアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシ、またはYであり、
およびLは、互いに独立して、H、F、Cl、CNまたは1〜5個のC原子を有する、随意にハロゲン化されているアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシである。
【0031】
特に好ましいのは、高い複屈折を有するアセチレンまたはトラン基を有する1種または2種以上の重合可能な化合物、例えば式R10で表される化合物を含む混合物である。好適な重合可能なトラン類は、例えばGB 2,351,734に記載されている。
【0032】
好適な感光性化合物は、業界において知られている。これらは、例えば、光照射の際に、光異性化、フォトフライズ(photo-fries)転位もしくは2+2環化付加(cycloaddition)または他の光分解プロセスを示す化合物である。特に好ましいのは、光異性化可能な化合物である。好適であり、好ましい光異性化可能な化合物の例には、アゾベンゼン類、ベンズアルドキシム類、アゾメチン類、スチルベン類、スピロピラン類、スピロオキサジン類、フルギド類、ジアリールエテン類およびケイ皮酸エステル類(cinnamates)が含まれる。他の例は、例えばEP 1 247 796に記載されている2−メチレンインダン−1−オン類および例えばEP 1 247 797に記載されている(ビス−)ベンジリデンシクロアルカノン類である。
【0033】
特に好ましくは、LC材料は、1種または2種以上のケイ皮酸エステル類、特に例えばUS 5,770,107およびEP 02008230.1に記載されているケイ皮酸エステル反応性メソゲンを含む。極めて好ましくは、LC材料は、以下の式
【化3】

式中、P、Aおよびvは、前に示した意味を有し、Lは、前に定義したLの意味の1つを有し、Spは、スペーサー基、例えば1〜12個のC原子を有するアルキレンもしくはアルキレンオキシ、または単結合であり、Rは、前に定義したYもしくはRであるかまたはP−Spを示す、
から選択された1種または2種以上のケイ皮酸エステルRMを含む。
【0034】
特に好ましいのは、前に定義した極性末端基Yを含むケイ皮酸エステルRMである。極めて好ましいのは、式IIIおよびIVで表され、式中RがYである、ケイ皮酸エステルRMである。
LC材料において光反応を生じるために用いられる放射線は、感光性化合物のタイプに依存する。一般的に、UV放射線により誘発された光異性化を示す化合物が、好ましい。例えば、ケイ皮酸エステル化合物、例えば式III、IVおよびVで表されるものについて、典型的に、UV−A範囲内の波長(320〜400nm)または365nmの波長を有するUV放射線を、用いる。
【0035】
好ましくは、重合可能なLC材料の重合可能な成分は、少なくとも10mol%の感光性化合物、好ましくはケイ皮酸エステルRM、最も好ましくは式III、IVおよびVから選択されたものを含む。
本明細書中で言及する用語「重合可能な成分」は、全体の重合可能な混合物中の重合可能なメソゲン性および非メソゲン性化合物を意味し、即ち、他の重合可能でない成分および添加剤、例えば開始剤、界面活性剤、安定剤、溶媒などを含まない。
【0036】
本発明の好ましい態様において、LC材料の重合可能な成分は、10〜100mol%、極めて好ましくは40〜100mol%、特に60〜100mol%、最も好ましくは80〜100mol%の感光性化合物、好ましくはケイ皮酸エステルRM、最も好ましくは式III、IVおよびVから選択されたものを含む。
他の好ましい態様において、LC材料の重合可能な成分は、20〜99mol%、好ましくは40〜80mol%、最も好ましくは50〜70molの感光性化合物、好ましくはケイ皮酸エステルRM、最も好ましくは式III、IVおよびVから選択されたものを含む。
【0037】
他の好ましい態様において、LC材料の重合可能な成分は、100mol%の感光性RM、好ましくはケイ皮酸エステルRM、最も好ましくは式III、IVおよびVから選択されたものを含む。
本発明のフィルムをまた、LC材料のための配向膜として用いることができる。例えば、本発明の重合したLCフィルムを用いて、この上に塗布された重合可能なLC材料のその後の層を配向させることが、可能である。このようにして、重合したLCフィルムの積み重ねを、製造することができる。
【0038】
本発明のポリマーフィルムを、慣用のLCディスプレイ、例えば垂直配向、例えばDAP(配向相の変形)、ECB(電気的に制御された複屈折)、CSH(色超ホメオトロピック)、VA(垂直配向)、VANもしくはVAC(垂直配向ネマティックもしくはコレステリック)、MVA(多ドメイン垂直配向)もしくはPVA(パターン化された垂直配向)モードを有するディスプレイ;ベントもしくは複合配向、例えばOCB(光学的に補償されたベントセルもしくは光学的に補償された複屈折)、R−OCB(反射性OCB)、HAN(複合配向ネマティック)もしくはパイセル(π−セル)モードを有するディスプレイ;ねじれ配向、例えばTN(ねじれネマティック)、HTN(高度にねじれたネマティック)、STN(超ねじれネマティック)、AMD−TN(アクティブマトリックス駆動TN)モードを有するディスプレイ;IPS(面内切換)モードのディスプレイまたは光学的にアイソトロピックな相における切換を有するディスプレイ、例えばWO 02/93244に記載されているものにおける遅延または補償フィルムまたは配向膜として、用いることができる。
【0039】
特に好ましいのは、TN、STN、VAおよびIPSディスプレイ、特にアクティブマトリックスタイプのディスプレイである。さらに好ましいのは、半透過性(transflective)ディスプレイである。
本発明のポリマーフィルムを、切換可能なLCセルを形成し、切換可能なLC媒体を含む、ディスプレイの切換可能なLCセルの外側の、または基板、通常ガラス基板の間のLCDにおける光学的遅延フィルムとして用いることができる(インセル(incell)適用)。
【0040】
他に述べない限り、本発明のポリマーLCフィルムの一般的な製造を、文献から知られている標準的な方法に従って行うことができる。典型的には、重合可能なLC材料を、基板上に塗布するかまたは他の方法で設け、ここでこれは、均一な配向に整列し、インサイチュでこのLC相において、例えば化学線に露光することにより、好ましくは光重合により、極めて好ましくはUV光重合により重合して、LC分子の配向を固定する。所要に応じて、均一な配向を、追加的な手段、例えばLC材料の剪断加工、基板の表面処理または界面活性剤のLC材料への添加により、促進することができる。
【0041】
基板として、例えばガラスもしくは石英シートまたはプラスチックフィルムを、用いることができる。また、第2の基板を、被覆した材料の最上部上に、重合前および/または重合中および/または重合後に配置することが、可能である。基板を、重合後に取り外すかまたは取り外さないことができる。化学線による硬化の場合において、2枚の基板を用いる際には、少なくとも1つの基板は、重合のために用いる化学線について透過性でなければならない。アイソトロピックまたは複屈折基板を、用いることができる。基板を重合後に重合したフィルムから取り外さない場合には、好ましくはアイソトロピックな基板を用いる。
【0042】
重合可能な材料を、基板上に、慣用の塗布手法、例えばスピンコーティングまたはブレードコーティングにより適用することができる。これをまた、基板に、専門家に知られている慣用の印刷手法、例えばスクリーン印刷、オフセット印刷、オープンリール印刷、活版印刷、グラビア印刷、輪転グラビア印刷、フレキソ印刷、凹版、パッド印刷、ヒートシール印刷、インクジェット印刷または判もしくは印刷版による印刷により、適用することができる。
【0043】
また、重合可能な材料を、好適な溶媒に溶解することが可能である。次に、この溶液を、基板上に、例えばスピンコーティングまたは印刷または他の既知の手法により塗布するかまたは印刷し、溶媒を、重合前に蒸発させて除去する。ほとんどの場合において、混合物を加熱して、溶媒の蒸発を容易にするのが好適である。溶媒として、例えば標準的な有機溶媒を用いることができる。溶媒を、例えばケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンまたはシクロヘキサノン;酢酸エステル類、例えば酢酸メチル、エチルもしくはブチルまたはアセト酢酸メチル;アルコール類、例えばメタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコール;芳香族溶媒、例えばトルエンまたはキシレン;ハロゲン化炭化水素類、例えばジまたはトリクロロメタン;グリコール類またはこれらのエステル、例えばPGMEA(酢酸プロピルグリコールモノメチルエーテル)、γ−ブチロラクトンなどから選択することができる。また、前述の溶媒の二元、三元または四元以上の混合物を用いることが、可能である。
【0044】
重合可能なLC材料の最初の配向(例えばプレナー配向)を、例えば、基板のラビング処理により、塗布中または塗布後に材料を剪断加工することにより、配向膜の適用により、磁界もしくは電界を塗布した材料に加えることにより、または界面活性化合物を材料に加えることにより、達成することができる。配向手法の概説は、例えば、I. Sageにより、"Thermotropic Liquid Crystals", G. W. Gray編、John Wiley & Sons, 1987, 75〜77頁中に;およびT. Uchida and H. Sekiにより、"Liquid Crystals - Applications and Uses Vol. 3", B. Bahadur編、World Scientific Publishing, Singapore 1992, 1〜63頁中に示されている。配向材料および手法の概説は、J. Cognard, Mol. Cryst. Liq. Cryst. 78, 追補1(1981), 1〜77頁により示されている。
【0045】
特に好ましいのは、LC分子の特定の表面配向を促進する、1種または2種以上の界面活性剤を含む重合可能な材料である。好適な界面活性剤は、例えば、J. Cognard, Mol.Cryst.Liq.Cryst. 78, 追補1、1-77 (1981)中に記載されている。プレナー配向に好ましい配向剤は、例えば非イオン性界面活性剤、好ましくはフルオロカーボン界面活性剤、例えば商業的に入手できるフルオラッド(Fluorad)FC−171(登録商標)(3M Co.から)もしくはゾニル(Zonyl)FSN(登録商標)(DuPontから)、GB 2 383 040に記載されている界面活性剤またはEP 1 256 617に記載されている重合可能な界面活性剤である。
【0046】
また、配向膜を、基板上に適用し、重合可能な材料をこの配向膜上に設けることも、可能である。好適な配向膜は、業界において知られており、例えばラビングしたポリイミドまたはUS 5,602,661、US 5,389,698もしくはUS 6,717,644に記載されている光配向により製造された配向膜である。
【0047】
重合は、重合可能な材料を、化学線に露光することにより達成される。化学線は、光、例えばUV光、IR光もしくは可視光線での照射、X線もしくはガンマ線での照射または高エネルギー粒子、例えばイオンもしくは電子での照射を意味する。本発明の方法において、放射線を、これが、重合可能な化合物の光重合および同時に感光性化合物の光反応を生じるように、選択しなければならない。好ましくは、重合を、UV照射により行う。化学線の源として、例えば、単一のUVランプまたはUVランプのセットを用いることができる。高いランプ出力を用いる際には、硬化時間を減少させることができる。化学線についての他の可能な源は、レーザー、例えばUV、IRまたは可視レーザーである。
【0048】
重合を、好ましくは、化学線の波長において吸収を示す開始剤の存在下で行う。例えば、UV光により重合する際には、UV照射の下で分解されて、重合反応を開始する遊離基を生成する光開始剤を用いることができる。アクリレートまたはメタクリレート基を重合させるために、好ましくはラジカル光開始剤を用いる。典型的なラジカル性光開始剤は、例えば、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア651、イルガキュア184、ダロキュア(Darocure)1173またはダロキュア4205(Ciba Geigy AG)である。
【0049】
硬化時間は、特に、重合可能な材料の反応性、塗布した層の厚さ、重合開始剤のタイプおよびUVランプの出力に依存する。硬化時間は、好ましくは≦5分、極めて好ましくは≦3分、最も好ましくは≦1分である。大量生産のために、≦30秒の短い硬化時間が好ましい。
【0050】
重合可能な材料はまた、重合のために用いられる放射線の波長に調整した吸収最大を有する1種または2種以上の染料、特にUV染料、例えば4,4”−アゾキシアニソールまたはチヌビン(Tinuvin)(登録商標)染料(Ciba AG, Basel, Switzerlandから)を含むことができる。
【0051】
他の好ましい態様において、重合可能な材料は、1種または2種以上の単反応性の重合可能な非メソゲン性化合物を、好ましくは0〜50%、極めて好ましくは0〜20%の量で含む。典型的な例は、アルキルアクリレート類またはアルキルメタクリレート類である。
【0052】
他の好ましい態様において、重合可能な材料は、1種または2種以上の二または多反応性の重合可能な非メソゲン性化合物を、二または多反応性の重合可能なメソゲン性化合物と二者択一的に、またはこれに加えて、好ましくは0〜50%、極めて好ましくは0〜20%の量で含む。二反応性モノマーの典型的な例は、1〜20個のC原子を有するアルキル基を有するアルキルジアクリレート類またはアルキルジメタクリレート類である。多反応性モノマーの典型的な例は、トリメチルプロパントリメタクリレートまたはペンタエリスリトールテトラアクリレートである。
【0053】
また、1種または2種以上の連鎖移動剤を重合可能な材料に加えて、ポリマーフィルムの物理的特性を修正することが可能である。特に好ましいのは、チオール化合物、例えば単官能性チオール類、例えばドデカンチオールまたは多官能性チオール類、例えばトリメチルプロパントリ(3−メルカプトプロピオネート)である。極めて好ましいのは、例えばWO 96/12209、WO 96/25470またはUS 6,420,001に開示されているメソゲン性またはLCチオール類である。連鎖移動剤を用いることにより、遊離のポリマー鎖の長さおよび/またはポリマーフィルムにおける2つの架橋間のポリマー鎖の長さを、制御することができる。連鎖移動剤の量を増大させる際には、ポリマーフィルムにおけるポリマー鎖の長さは、減少する。
【0054】
重合可能な材料はまた、ポリマーバインダーまたはポリマーバインダーを生成することができる1種もしくは2種以上のモノマーおよび/または1種もしくは2種以上の分散助剤を含むことができる。好適なバインダーおよび分散助剤は、例えばWO 96/02597に開示されている。しかし、好ましくは、重合可能な材料は、バインダーまたは分散助剤を含まない。
【0055】
重合可能な材料は、さらに、1種または2種以上の追加的な成分、例えば触媒、増感剤、安定剤、阻害剤、連鎖移動剤、同時反応モノマー、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水剤(hydrophobing agent)、接着剤、流動改善剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助剤、着色剤、染料または顔料を含むことができる。
【0056】
前記および以下において、他に述べない限り、すべての温度を摂氏度で示し、すべての百分率は重量によるものである。以下の略語を用いて、LC相挙動を例示する:C、K=結晶;N=ネマティック;S=スメクティック;N、Ch=キラルネマティックまたはコレステリック;I=アイソトロピック。これらの記号間の数は、摂氏度における相転移温度を示す。さらに、mpは、融点であり、cpは、透明点である(℃における)。
以下の例は、本発明を、これを限定せずに例示する。
【0057】
例1
混合物配合
異性化可能な化合物(3)および(4)を含む、本発明の重合可能なLC混合物1を、表1に示すように配合する。比較の目的のために、異性化可能な化合物を含まない重合可能な混合物2を、また表1に示すように配合する。
【0058】
表1。混合物1および2の比較(重量%における濃度)
【表1】

【0059】
【化4】

【0060】
化合物(1)〜(6)は、従来技術から知られている。Irg651=イルガキュア(登録商標)651およびIrg907=イルガキュア(登録商標)907は、商業的に入手できる光開始剤である(Ciba AGから)。FC171=フルオラッド(登録商標)FC 171は、商業的に入手できる非イオン性フルオロカーボン界面活性剤である(3Mから)。
混合物1を溶解して、溶液を生成する。コーティング手法に依存して、2種の溶液を作成する。一方の溶液は、PGMEA中の50%固体である。他方の溶液は、キシレン中の38%固体である。
【0061】
混合物2を、PGMEAに溶解して、33%溶液を生成する。混合物2を、対照実験として用いる。その理由は、これが、重合のためのアクリレート基を含むが、他の感光性基、例えば異性化可能な基を含まないからである。
各々の溶液を、使用前にPTFE膜フィルターを通して0.2μmに濾過する。フィルムを、ガラス/ラビングしたポリイミド(JSR AL 1054)またはラビングしたトリアセチルセルロース(TAC)フィルムのいずれかの上に作成する。
【0062】
フィルム製造
ガラス/ポリイミド上の混合物1のフィルムを、50%PGMEA溶液を5000rpmで30秒間スピンコーティングすることにより製造し、その後種々の出力において、および種々の時間の長さにわたりUV−A放射線に露光することにより重合させる。
ガラス/ポリイミド上の混合物2のフィルムを、PGMEAに溶解した33%溶液を1500RPMで30秒間スピンコーティングすることにより、製造する。これにより、同様の遅延を有するフィルムが得られて、容易な比較が可能になる。
【0063】
TAC上の混合物1のフィルムを、38%固体/キシレン溶液を、4μmの湿潤フィルムを適用するように設計された線巻棒で棒コーティングすることにより、製造する。その後、フィルムを、種々の出力において、および種々の時間の長さにわたりUV−A放射線に露光することにより重合させる。
【0064】
重合環境の影響
混合物1および2のスピンコーティングしたフィルムを、空気中および窒素雰囲気中で重合させる(20mWcm−2 UV−A放射線)。各々のフィルムの遅延を測定し、表2に示す。%遅延の値を、各々の混合物について、窒素の下で重合させたフィルムについての値に対して計算する。
【0065】
表2。空気および窒素雰囲気中で重合したフィルムについてのデータ
【表2】

【0066】
表2におけるデータの試験により、空気中または窒素雰囲気中のいずれかで重合させた際に、混合物2(異性化可能でない)のフィルムについての最終的な遅延値における小さい差異(約3%)のみがあることが示される。対照的に、窒素中または空気雰囲気中のいずれかで重合させた際に、(異性化可能な)混合物1のフィルムについて、遅延におけるはるかに大きい降下がある。これは、異なる混合物配合により生じる。従って、混合物1中の化合物(3)および(4)は、UV露光によりケイ皮酸エステル基の光化学的な異性化を受け、低下した複屈折がもたらされる。
【0067】
このプロセスは、UV重合段階と競合する。窒素雰囲気中で、重合段階は、極めて効率的である(すべての酸素干渉の効果が顕著に低下するため)。空気中で、酸素干渉は、一層顕著であり、重合が完全に達成される前に、成分(3)および(4)の一層大きい光化学的反応が可能になる。このようにして、混合物1を、空気環境において用いて、遅延の比較的低い値を有するフィルムを製造することができる(窒素環境において重合した同一の混合物を参照)。
【0068】
複屈折の一層顕著な低下を達成するために、例2に示すように、種々のUV線量を用いることができる。
【0069】
例2
例1の混合物1のフィルムを、空気中で、種々の強度のUV−A放射線を用いて重合させる。各々の場合において、露光時間は、60秒である。結果を、以下の表3に示す。
【0070】
表3。種々の出力のUV−A放射線を用いて重合させた、混合物1のフィルムについての遅延値および硬化の値の程度
【表3】

【0071】
表3のデータから、重合したフィルム5〜9の遅延は、UV硬化出力が増大するに伴って低下することが明らかである。この低下は、フィルムがこの最大の重合(約96%)に達するに従って次第に減少する。このことは、フィルムが完全に重合した後に、この遅延が、さらなるUV露光により変化させるのが困難であるという事実により、説明することができる。データを、図1にプロットし、これは、表3におけるフィルム5に対する各々のフィルムの遅延の百分率(a)および、アクリレートピーク強度のFTIR測定から決定された各々のフィルムの硬化の%(b)を示す。
【0072】
このことは、好適な混合物、例えば混合物1について、重合環境を用いて、RMフィルムの遅延(複屈折)の低下の程度に大きく影響することができることを示す。
【0073】
例3
遅延に影響するための1つの他の方法は、種々の基板を用いることである。例えば、酸素を透過しないかまたはほとんど透過しない基板、例えばガラスおよび酸素を一層容易に透過する基板、例えばTACを用いて、種々の遅延を有するフィルムを製造することができる。
【0074】
混合物1のフィルムを、例1に記載したように、TACおよびガラス/ポリイミド基板上で重合させる。重合段階は、20mWcm−2のUV−A放射線への60秒間の露光を含む。ポリマーフィルムの遅延値を、以下の表4に示す。
【0075】
表4。種々の基板上に重合した混合物1のフィルムについての遅延値
【表4】

【0076】
表4中のデータは、ガラススライド上で窒素雰囲気下で重合した混合物1のフィルム2が、遅延の比較的高い値(209nm)を有することを示す。TAC上で窒素雰囲気下で重合したフィルム11は、87nmの比較的低い遅延値を有する。
【0077】
TAC上および空気中で重合する混合物1は、ほとんどアイソトロピックなフィルム10を生じる(遅延=5nm)。TACフィルムは、極めて極性が高く、親水性であることが知られている。このような基板は、遊離基重合を妨げる。この効果は、フィルムが完全に重合する前にアイソトロピックな状態に達し得る空気中で、最も顕著である。
【0078】
前の例は、芳香族に基づくLC材料のみを用いて、極めて低い遅延(複屈折)値を有するRMフィルムを得ることが可能であることを例証する。遅延の正確な値を、混合物の配合および環境/プロセス条件を変化させることにより、制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】例1により製造されたポリマーフィルムの遅延(a)および硬化の百分率(b)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーフィルムの製造方法であって、以下の段階:
a)少なくとも1種の感光性複屈折化合物を含む重合可能なLC材料の層を、基板上に設ける段階、
b)LC材料の層を配向させる段階、
c)LC材料またはこの選択された部分を、感光性化合物の光反応を生じ、同時にLC材料の重合を生じる条件に触れさせる段階、および
d)随意に重合したフィルムを基板から取り外す段階
を含む、前記方法。
【請求項2】
光反応および重合段階c)を、酸素の存在下で行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光反応および重合段階c)を、空気雰囲気中で行うことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
基板が、親水性または酸素透過性基板であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
基板が、TAC、PET、PVAまたはPEフィルムであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
段階c)における光反応および重合を、LC材料をUV放射線に露光することにより生じさせることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ポリマーフィルムの光学的遅延を、UV放射線出力を増大させることにより低下させることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
重合可能なLC材料が、1種または2種以上の単反応性の、および1種または2種以上の二反応性の重合可能なメソゲン性化合物を含み、この少なくとも1種が感光性化合物であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
感光性化合物が、光異性化可能な化合物であり、光反応が、光異性化であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
重合可能なLC材料が、アゾベンゼン類、ベンズアルドキシム類、アゾメチン類、スチルベン類、スピロピラン類、スピロオキサジン類、フルギド類、ジアリールエテン類、ケイ皮酸エステル類、2−メチレンインダン−1−オン類および(ビス−)ベンジリデンシクロアルカノン類から選択された1種または2種以上の光異性化可能な化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
重合可能なLC材料が、重合可能なメソゲン性ケイ皮酸エステル類から選択された1種または2種以上の光異性化可能な化合物を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
LC材料並びに光反応および重合条件を、ポリマーフィルムの光学的遅延が200nmより小さいように選択することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の方法により得られる、ポリマーフィルム。
【請求項14】
請求項13に記載のポリマーフィルムの、液晶ディスプレイ(LCD)または他の光学的もしくは電気光学的素子デバイスにおける、装飾またはセキュリティー用途のための、配向膜または光学的遅延フィルムとしての使用。
【請求項15】
請求項14に記載のポリマーフィルムを含む、LCD。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−150509(P2012−150509A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−86955(P2012−86955)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2006−3169(P2006−3169)の分割
【原出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】