説明

低圧放電ランプの製造方法

【課題】本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、水銀放出体を加熱する際、ガラス管の封止端部が破損するのを防止することを目的とするものである。
【解決手段】本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、ガラス管100の少なくとも一方の端部に電極構造体101が設けられた低圧放電ランプの製造方法であって、ガラス管100の一端の開口部100aからガラス管100の内部に電極構造体101を挿入する工程と、電極構造体101をガラス管100の内部に固定する工程と、ガラス管100の一端の開口部100aからガラス管100の内部に水銀放出体111を挿入する工程と、ガラス管100の一端と電極構造体101および水銀放出体111との間において、ガラス管100の内面側に突出する凸部112を形成する工程と、凸部112よりもガラス管100の一端側において、ガラス管100を封止する工程と、水銀放出体111を加熱する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧放電ランプの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の低圧放電ランプの製造方法の工程の概念図を図7(a)〜(c)に示す。従来の低圧放電ランプの製造方法は、蛍光ランプの製造方法であって、ガラス管1の一端1aに一方の電極3Aを封止する工程と、ガラス管1の他端1c部分より内方の所定部分1bに他方の電極3Bを配置する工程と、ガラス管1の他端1c部分と他方の電極3Bとの間に水銀放出体5を配置する工程と、前記ガラス管1内を不活性ガスに置換する工程と、水銀放出体5を高周波加熱しガラス管1内に所定量の水銀を供給する工程と、水銀放出体5を加熱する際又は加熱後、蒸気状態の前記水銀が凝縮するのを防ぐため水銀放出体5が収容されているガラス管1部分を加熱する工程と、他方の電極3Bをガラス管1に封止して蛍光ランプを形成すると共に、他端1c部分を除去する工程とを有する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、まず、図7(a)に示すように、内面に蛍光体層2を有するガラス管1の一端1aに一方の電極3Aを封止すると共に、他方の電極3Bをガラス管1内に、それの他端1cから所定部分1bまで挿入する。そして、ガラス管1の1b部分を部分的に加熱および変形4させることにより、他方の電極3Bをガラス管1に仮止めする(仮止め工程)。
【0004】
次に、図7(b)に示すように、このガラス管1内に水銀放出体5を挿入および配置する。そして、このガラス管1を排気装置6のヘッドにセットすると共に、排気装置6を駆動させる。すると、ガラス管1の内部の空気,不純ガスなどがガラス管1の内面と電極3Bとの間の連通部などを介して排出される。次いで、排気装置6からガラス管1内に不活性ガス例えばネオンガスを主体とするネオン−アルゴンガスを60[Torr]〜70[Torr]の圧力となるように充填する(排気・封入工程)。そして、ガラス管1の他端部を仮封止する。
【0005】
次に、図7(c)に示すように、水銀放出体5の位置する部分に高周波加熱装置7およびヒータ装置8をセットすると共に、駆動させる。すると、水銀放出体5は例えば800[℃]〜900[℃]に加熱され、水銀合金が分解されて瞬間的に水銀が蒸気の状態で放出され、ガラス管1の内面と電極3Bとの間の連通部を介してガラス管1内の空間に供給される。これと同時に、水銀放出体5を構成する金属部材から不純ガスも放出されるが、水銀放出体5のゲッター材にて吸着される(水銀放出工程)。又、この際に、ヒータ装置8によって水銀放出体5の収容されているガラス管1部分も加熱されているために、水銀放出体5から放出された水銀は電極3A,3B間に対応するガラス管内の空間に確実に供給される。特に、電極3A,3B間のガラス管部分を冷却すれば、水銀放出体5の収容されているガラス管1部分への水銀の凝縮をほぼ皆無にできる。
【0006】
次に、ガラス管1の変形部4を再度バーナなどにて加熱し、電極3Bの封止部33とこれに対向するガラス管1とを全周に亘って封止する。と同時に、ガラス管1の他端部分(水銀放出体5の位置するガラス管部分)を除去(切離)して蛍光ランプの製造を完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3436283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
水銀放出体を加熱する工程において、水銀放出体5が加熱されると、水銀放出体5から水銀蒸気が放出される際、水銀蒸気が水銀放出体5の外部に放出される力によって、水銀放出体5が弾け飛ぶことがある。従来の低圧放電ランプの製造方法の場合、弾け飛んだ水銀放出体5がガラス管1の仮封止により形成される封止端部に衝突してガラス管1の封止端部が破損してしまうことがあった。
【0009】
発明者らの検討により、ガラス管1の仮封止により形成される封止端部は、ガラス管内を排気して、大気に対して負圧下となった状態において加工されるために、肉厚が薄くなり、破損しやすいことがわかった。
【0010】
そこで、本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、水銀放出体を加熱する際、ガラス管の封止端部が破損するのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、ガラス管の少なくとも一方の端部に電極構造体が設けられた低圧放電ランプの製造方法であって、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に前記電極構造体を挿入する工程と、前記電極構造体を前記ガラス管の内部に固定する工程と、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に水銀放出体を挿入する工程と、前記ガラス管の一端と前記電極構造体および前記水銀放出体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する凸部を形成する工程と、前記凸部よりも前記ガラス管の一端側において、前記ガラス管を封止する工程と、前記水銀放出体を加熱する工程とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、ガラス管の少なくとも一方の端部に電極構造体が設けられた低圧放電ランプの製造方法であって、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に前記電極構造体を挿入する工程と、前記電極構造体を前記ガラス管の内部に固定する工程と、前記ガラス管の一端と前記電極構造体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する第1の凸部を形成する工程と、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に水銀放出体を挿入する工程と、前記ガラス管の一端と前記第1の凸部および前記水銀放出体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する第2の凸部を形成する工程と、前記第2の凸部よりも前記ガラス管の一端側において、前記ガラス管を封止する工程と、前記水銀放出体を加熱する工程とを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、ガラス管の少なくとも一方の端部に電極構造体が設けられた低圧放電ランプの製造方法であって、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に前記電極構造体を挿入する工程と、前記電極構造体を前記ガラス管の内部に固定する工程と、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に水銀放出体を挿入する工程と、前記電極構造体および前記水銀放出体よりも前記ガラス管の一端側において、前記ガラス管を封止する工程と、前記ガラス管の一端と前記電極構造体および前記水銀放出体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する凸部を形成する工程と、前記水銀放出体を加熱する工程とを有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、ガラス管の少なくとも一方の端部に電極構造体が設けられた低圧放電ランプの製造方法であって、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に前記電極構造体を挿入する工程と、前記電極構造体を前記ガラス管の内部に固定する工程と、前記ガラス管の一端と前記電極構造体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する第1の凸部を形成する工程と、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に水銀放出体を挿入する工程と、前記第1の凸部および前記電極構造体よりも前記ガラス管の一端側において、前記ガラス管を封止する工程と、前記ガラス管の一端と前記第1の凸部および前記水銀放出体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する第2の凸部を形成する工程と、前記水銀放出体を加熱する工程とを有することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、加熱された空気を前記ガラス管に当てることにより前記凸部を形成することが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、加熱された空気を前記ガラス管に当てることにより前記第2の凸部を形成することが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、前記ガラス管は、熱膨張係数が8×10-7[K-1]以上10×10-7[K-1]以下の範囲内であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、水銀放出体を加熱する際、ガラス管の封止端部が破損するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法の電極構造体挿入工程の概念図、(b)同じく電極構造体固定工程の概念図、(c)同じく水銀放出体挿入工程の概念図
【図2】(a)同じく凸部形成工程の概念図、(b)同じく仮封止工程の概念図、(c)同じく水銀放出工程の概念図、(d)同じく第2封止工程の概念図
【図3】(a)本発明の第2の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法の仮封止工程の概念図、(b)同じく凸部形成工程の概念図
【図4】(a)本発明の第3の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法の第1の凸部形成工程の概念図、(b)同じく水銀放出体挿入工程の概念図
【図5】(a)水銀放出体の変形例1の斜視図、(b)水銀放出体の変形例2の斜視図、(c)水銀放出体の変形例3の斜視図
【図6】歪除去工程の概念図
【図7】(a)従来の低圧放電ランプ製造方法の仮止め工程の概念図、(b)同じく排気・封止工程の概念図、(c)同じく水銀放出工程の概念図
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法は、例えば冷陰極蛍光ランプの製造方法であって、ガラス管の少なくとも一方の端部に電極構造体が設けられた低圧放電ランプの製造方法であって、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に前記電極構造体を挿入する工程(電極構造体挿入工程)と、前記電極構造体を前記ガラス管の内部に固定する工程(電極構造体固定工程)と、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に水銀放出体を挿入する工程(水銀放出体挿入工程)と、前記ガラス管の一端と前記電極構造体および前記水銀放出体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する凸部を形成する工程(凸部形成工程)と、前記凸部よりも前記ガラス管の一端側において、前記ガラス管を封止する工程(仮封止工程)と、前記水銀放出体を加熱する工程(水銀放出体加熱工程)とを有する。
【0021】
以下、図1および図2を用いて詳細に説明する。
【0022】
<電極構造体挿入工程>
まず、図1(a)に示すように、ガラス管100の一端の開口部100aからガラス管100の内部に電極構造体101を挿入する。
【0023】
ガラス管100は、例えば、直管形状であって、内径が3[mm]、外径が4[mm]、肉厚が0.5[mm]、長さが1026[mm]であり、鉛フリーガラス製である。ガラス管100の内面(両端部を除く)には、蛍光体層102が形成されている。蛍光体層102は、例えばBaMg2Al1627;Eu2+よりなる青色蛍光体粒子とY23;Eu3+よりなる赤色蛍光体粒子とLaPO4;Ce3+,Tb3+よりなる緑色蛍光体粒子と、CBBPやCBB等よりなる結着剤とを含む。なお、また、ガラス管100の内面と蛍光体層102との間には例えば酸化イットリウム(Y23)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化亜鉛(ZnO)および酸化チタン(TiO2)のうちいずれか1種以上を含む保護膜(図示せず)が設けられていてもよい。
【0024】
電極構造体101は、例えば電極103と、電極103に接続されたリード線104と、リード線104の少なくとも一部を覆うように形成されたガラスビード105とを有する。
【0025】
電極103は、例えば有底筒状であって、内径が2.4[mm]、外径が2.7[mm]、底部の肉厚が0.2[mm]、全長が8.2[mm]であって、ニッケル(Ni)製である。電極の材料は、ニッケルに限らず、ニオビウム(Nb)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)およびタングステン(W)等を用いることができる。電極103は、その外側底面の略中央部においてリード線104の一端部と接続されている。
【0026】
リード線104は、例えば電極103の外側底面と一端部が接続され、かつその少なくとも一部においてガラスビード105に覆われた内部リード線104aと、内部リード線104aの他端部と一端部が接続される外部リード線104bとの継線からなる。
【0027】
内部リード線104aは、例えば線径が0.8[mm]であって、鉄とニッケルとの合金製である。なお、内部リード線104aは、ガラス管100やガラスビード105の材料として用いるガラスの熱膨張係数に併せた材料を用いることが好ましい。例えば、ガラス管100がコバール線封止用の硼珪酸ガラスの場合、鉄とニッケルとコバルトとの合金(コバール)を用いることが好ましい。また、ガラス管100がタングステン線封着用の硼珪酸ガラスの場合、タングステンを用いることが好ましい。
【0028】
外部リード線104bは、例えば線径が0.6[mm]であって、ニッケル製である。なお、外部リード線104bは、ニッケル製に限らず、ニッケルとマンガンの合金、ジュメット線等を用いてもよい。
【0029】
なお、リード線104は、内部リード線104aおよび外部リード線104bの継線に限らず、一本線であってもよい。
【0030】
ガラスビード105は、例えば略球形状であって、その略中心軸に沿って内部リード線104aを封着しており、鉛フリーガラス製である。なお、ガラスビード105は、封着性の観点から、ガラス管100と同一の材料、またはガラス管100と熱膨張係数が同一または近似する材料を用いることが好ましい。
【0031】
なお、ガラス管100の他端部には、別の電極構造体106が封着されている。別の電極構造体106は、電極構造体101と実質的に同一の構成を有し、電極107と、内部リード線108aおよび外部リード線108bの継線からなるリード線108と、ガラスビード109とを有する。
【0032】
<電極構造体固定工程>
次に、 図1(b)に示すように、電極構造体101をガラス管100の内部に固定する。具体的には、ガラスビード105が位置するガラス管100の外表面をバーナー110で加熱して、ガラスビード105の外表面の一部をガラス管100の内面に固着する。よって、ガラス管の内面に固着されているのは、ガラスビード105の外表面の一部であるので、ガラス管100の管軸方向の通気性は維持される。なお、この場合の加熱温度は、ガラス管100の加熱されている部分の外表面において約800[℃]である。
【0033】
<水銀放出体挿入工程>
次に、図1(c)に示すように、ガラス管100の一端の開口部100aからガラス管100の内部に水銀放出体111を挿入する。水銀放出体111は、例えば鉄とチタンとの焼結体に水銀を反応させたものである。水銀放出体111は、これに限らず、チタンと水銀との粉体状のアマルガムを鉄やニッケル製の筒体に詰め込んだものでもあってもよい。
【0034】
<凸部形成工程>
続いて、図2(a)に示すように、ガラス管100の一端と電極構造体101および水銀放出体111との間において、ガラス管100の内面側に突出する凸部112を形成する。凸部112は、例えば、ガラス管100の外表面をバーナー113等で加熱することにより形成することができる。なお、ガラス管100の外表面をバーナー113等で加熱した後に、治具(図示せず。)等でガラス管の内側方向に押圧して凸部112を形成してもよい。この場合、凸部112の形状を整えやすくすることができる。
【0035】
凸部形成工程は、後述する仮封止工程の前に行われるため、ガラス管100の内部が大気に対して負圧下とはなっておらず、後述する封止端部よりも肉厚を厚くすることができる。
【0036】
なお、凸部112の肉厚の最小厚みが、ガラス管100の管軸方向略中央部の肉厚の0.5[倍]以上であり、凸部112の肉厚の最大厚みが、ガラス管100の管軸方向略中央部の肉厚の1.5[倍]以下であることが好ましい。この場合、凸部112の強度を適度に保ちやすくすることができる。さらには、凸部112の肉厚の最小厚みが、ガラス管100の管軸方向略中央部の肉厚の0.7[倍]以上であり、凸部112の肉厚の最大厚みが、ガラス管100の管軸方向略中央部の肉厚の1.5[倍]以下であることがより好ましい。この場合、凸部112の強度をより適度に保ちやすくすることができる。
【0037】
<仮封止工程>
次に、ガラス管100内の排気とガラス管100内への希ガスの充填を行う(排気および封入工程)。具体的には、給排気装置のヘッドをガラス管100の一端部に装着し、先ず、ガラス管100内を排気して真空にすると共に、図示しない加熱装置によってガラス管100全体を外部から加熱する。この場合の加熱温度は、ガラス管100の外表面において約400[℃]である。これによって、蛍光体層102に潜入している不純ガスを含めガラス管100内の不純ガスが排出される。加熱を止めた後、所定量の希ガスが充填される。希ガスは、例えばネオン95[mol%]とアルゴン5[mol%]との混合ガスである。このガラス管100内の排気と希ガスの封入は、ガラスビード105とガラス管100の内面との間に形成される通気空間を通じて行われる。
【0038】
そして、希ガスが充填されると、図2(b)に示すように、凸部112よりもガラス管100の一端側において、ガラス管100を加熱して封止する。そして、この封止によりガラス管100の封止端部100bが形成される。この際、ガラス管100内が負圧下であるため、封止端部100bの肉厚は、薄くなる。具体的には、ガラス管100の封止端部100aの肉厚は、ガラス管100の管軸方向略中央部の肉厚の0.2[倍]未満となりやすい。なお、加熱は、例えばバーナー114等により行われる。
【0039】
また、希ガスは、ネオンとアルゴンとの混合ガスに限らず、例えばネオン、アルゴンおよびクリプトンのいずれか1種類以上が含まれていればよい。
【0040】
また、負圧下である封止後のガラス管内のガス圧は、5[Torr]以上600[Torr]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、低圧放電ランプを作製するのに好適である。さらには、封止後のガラス管内のガス圧は、20[Torr]以上40[Torr]以下の範囲内であることがより好ましい。この場合、低圧放電ランプのうち、冷陰極放電ランプを作製するのにより好適である。
【0041】
<水銀放出体加熱工程>
次に、図2(c)に示すように、水銀放出体111を加熱する。具体的には、水銀放出体111をガラス管100の周囲に配された高周波発振コイル115によって誘導加熱して水銀放出体111から水銀蒸気を放出させる。
【0042】
この水銀放出体加熱工程において、水銀放出体が加熱されると、水銀放出体111から水銀蒸気が放出される際、水銀蒸気が水銀放出体111の外部に放出される力によって、水銀放出体111が弾け飛ぶことがある。この際、水銀放出体111が肉厚の薄いガラス管100の封止端部100bに衝突してしまうと、ガラス管100の封止端部100bが破損してしまう。
【0043】
これに対して、凸部112が形成されている場合、凸部112によって、水銀放出体111がガラス管100の封止端部100bに移動することを防止でき、水銀放出体111がガラス管100の封止端部100bに衝突するのを防止することができる。そして、凸部112は、ガラス管100が封止される前に形成されているため、ガラス管100の内部が大気に対して負圧下になって形成されるガラス管100の封止端部100bに対して肉厚が厚くなっている。よって、水銀放出体111が凸部112に衝突しても凸部112が破損するのを防止することができる。そして、これにより、水銀放出体111が肉厚の薄いガラス管100の封止端部100bに衝突することによって、ガラス管100の封止端部100bが破損するのを防止することができる。
【0044】
なお、水銀放出体加熱工程の際、ガラス管100をその管軸を回転軸として回転させることが好ましい。この場合、加熱された水銀放出体111により、ガラス管100が局所的に加熱されて、ガラス管100が破損するのを防止することができる。
【0045】
なお、水銀放出体111の加熱は、高周波発振コイルに限らず、近赤外線ヒーター等の赤外線ヒーター等を用いてもよい。
【0046】
さらに、高周波発振コイルや赤外線ヒーターで水銀放出体111を加熱する前に、ガラス管100の予熱を行うことが好ましい。この場合、水銀放出体111を加熱する際、水銀放出体111の温度とガラス管100の温度との差異を小さくすることで、ガラス管100の急な熱膨張による破損を防止しやすくすることがきる。予熱は、例えばガラス管100の加熱されている部分の外表面度が200[℃]以上500[℃]以下の範囲内となるように行うことが好ましい。特に、熱膨張係数が8×10-7[K-1]以上10×10-7[K-1]以下の範囲内のガラスを用いたガラス管100の場合、ガラス管100の加熱されている部分の外表面温度が200[℃]〜400[℃]以下の範囲内となるように行うことがより好ましい。
【0047】
また、誘導加熱の後に、加熱炉(図示せず)等でガラス管100の水銀放出体111が存在する部分を加熱することが好ましい。この場合、水銀放出体111から放出された水銀蒸気をガラス管100内の電極構造体101の方へ移動させやすくすることができる。
【0048】
<水銀放出体加熱工程以降の工程>
次に、図2(d)に示すように、ガラス管100における電極構造体101のガラスビード105に対応する位置を加熱して、ガラス管100を封着して気密封止(第2封止)する(第2封止工程)。加熱は、例えばガスバーナー116等により行う。この場合の加熱温度は、ガラス管100の加熱されている部分の外表面において約900[℃]である。そして、ガラス管100の、第2封止部分よりも水銀放出体111側の端部部分を切離して、冷陰極低圧放電ランプが完成される。
【0049】
なお、低圧放電ランプが完成した後に、必要に応じてエージング工程や点灯検査等を行う。
【0050】
上記のとおり、本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法によれば、水銀放出体111を加熱する際、ガラス管100の封止端部100bが破損するのを防止することができる。
【0051】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法は、仮封止工程の後に凸部形成工程を行うことと、それに伴う相違点を除いて、本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法と実質的に同じ構成を有する。
【0052】
すなわち、本願の第2の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法は、ガラス管の少なくとも一方の端部に電極構造体が設けられた低圧放電ランプの製造方法であって、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に前記電極構造体を挿入する工程と、前記電極構造体を前記ガラス管の内部に固定する工程と、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に水銀放出体を挿入する工程と、前記電極構造体および前記水銀放出体よりも前記ガラス管の一端側において、前記ガラス管を封止する工程と、前記ガラス管の一端と前記電極構造体および前記水銀放出体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する凸部を形成する工程と、前記水銀放出体を加熱する工程とを有する。
【0053】
よって、凸部形成工程について図3を用いて詳細に説明し、その他の点については、説明を省略する。
【0054】
<仮封止工程>
まず、ガラス管100の一端からガラス管の管軸方向中央側に所定間隔離れた位置において電極構造体101が仮止めされ、ガラス管100の他端部に電極構造体106が封着され、電極構造体101とガラス管の一方の端との間に水銀放出体111が挿入された状態(すなわち、本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法における電極構造体挿入工程から水銀放出体挿入工程までを行った後の状態)において、ガラス管100内の排気とガラス管100内への希ガスの充填を行う。具体的には、給排気装置のヘッド(図示せず)をガラス管100の水銀放出体111側端部に装着し、ガラス管100内を排気して真空にすると共に、図示しない加熱装置によってガラス管100全体を外部から加熱する。この場合の加熱温度は、ガラス管100の外表面において約400[℃]である。これによって、蛍光体層102に潜入している不純ガスを含めガラス管100内の不純ガスが排出される。加熱を止めた後、所定量の希ガスが充填される。希ガスは、例えばネオン95[mol%]とアルゴン5[mol%]との混合ガスである。このガラス管100内の排気と希ガスの封入は、ガラスビード105とガラス管100の内面との間に形成される通気空間を通じて行われる。
【0055】
そして、図3(a)に示すように、希ガスが充填された後に、電極構造体101および水銀放出体111よりもガラス管100の一端側においてガラス管100を加熱して封止する。そして、この封止によりガラス管100の封止端部100bが形成される。加熱は、例えばバーナー114等により行われる。なお、ガラス管100内に封入される希ガス等の条件は、本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法における仮封止工程と同様の条件を適用することができる。
【0056】
<凸部形成工程>
続いて、図3(b)に示すように、ガラス管100の一端と電極構造体101および水銀放出体111との間において、凸部112を形成する。凸部112は、例えば、ガラス管の外表面に加熱された空気を当てることにより、形成することができる。加熱された空気は、例えば、ヒーター等の発熱体(図示せず)で加熱された空気をダクト117から吹き出すものである。ダクト117から吹き出される加熱された空気の温度(ダクト117内部先端の温度)は、約920[℃]である。なお、加熱された空気の温度は、約920[℃]に限らず、800[℃]以上1050[℃]以下の範囲内であることが好ましい。そして、このときの風量は8[L/min]以上30[L/min]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、風量を増やすことにより多くの熱が発熱体(図示せず)から移動するため、発熱体の温度は下がり、ダクトから噴出される温度は上がることになる。よって、ヒーター効率を上げ、少ないポジションでの安定した肉厚の凸部を形成することができる。特に、風量は、15[L/min]以上20[L/min]以下の範囲内であることがより好ましい。
【0057】
仮封止工程の後に凸部形成工程を行う場合、ガラス管100が封止されているため、ガラス管の内部は、大気に対して負圧下となっている。この場合、バーナーで凸部112を形成しようとすると、その炎が雰囲気に影響されやすく、温度制御が困難で加熱にむらがあるため、局所的な凸部112を安定して形成するのが困難となる。逆に、バーナーの加熱を安定させようとすると、火力を上昇させる必要があるため、急激にガラス管100が加熱されてしまい、封止端部100bと同様に凸部112の肉厚が薄くなってしまう。
【0058】
これに対して、加熱された空気を当てることで、凸部112を形成すると加熱する部位がぶれにくく、ガスバーナーのように急激な加熱をしなくても、一定の熱量を安定的に継続して当てることができ、ガラス管100の封止短部100bに対して凸部112の肉厚を厚くすることができる。したがって、水銀放出体加熱工程において、水銀放出体111から水銀蒸気が放出される際、水銀蒸気が水銀放出体111の外部に放出される力によって、水銀放出体111が弾け飛び、水銀放出体111が凸部112に衝突したとしても、凸部112の肉厚が厚いために、ガラス管100が凸部112の部分で破損するのを防止することができる。
【0059】
なお、図3(b)において、ガラス管100の外表面に対して、一方から加熱された空気を当てているが、ガラス管100の周回方向において複数の箇所に加熱された空気を当ててもよい。この場合、凸部112を複数個所に形成することで、凸部112からガラス管100の一端側に水銀放出体111がすり抜けるのを防止しやすくすることができる。
【0060】
さらに、ガラス管100の外表面に対して、ガラス管100の周回方向において2箇所以上4箇所以下の範囲内で加熱された空気を当てることが好ましい。この場合、複数個所に形成される各凸部112の大きさを小さくして凸部112付近の歪の発生を防止することができる。
【0061】
上記のとおり、本発明の第2の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法によれば、仮封止工程の後に凸部形成工程を行っても、水銀放出体111を加熱する際、ガラス管100の封止端部100bおよび凸部112が破損するのを防止することができる。
【0062】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法は、電極構造体固定工程と水銀放出体工程との間に第1の凸部を形成する工程(第1の凸部形成工程)を有し、凸部形成工程を第2の凸部を形成させる工程とした点を除いて、本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法または本発明の第2の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法と実質的に同じ構成を有する。
【0063】
すなわち、本願の第3の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法は、ガラス管の少なくとも一方の端部に電極構造体が設けられた低圧放電ランプの製造方法であって、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に前記電極構造体を挿入する工程と、前記電極構造体を前記ガラス管の内部に固定する工程と、前記ガラス管の一端と前記電極構造体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する第1の凸部を形成する工程と、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に水銀放出体を挿入する工程と、前記ガラス管の一端と前記第1の凸部および前記水銀放出体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する第2の凸部を形成する工程と、前記第2の凸部よりも前記ガラス管の一端側において、前記ガラス管を封止する工程と、前記水銀放出体を加熱する工程とを有する。あるいは、ガラス管の少なくとも一方の端部に電極構造体が設けられた低圧放電ランプの製造方法であって、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に前記電極構造体を挿入する工程と、前記電極構造体を前記ガラス管の内部に固定する工程と、
前記ガラス管の一端と前記電極構造体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する第1の凸部を形成する工程と、前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に水銀放出体を挿入する工程と、前記第1の凸部および前記電極構造体よりも前記ガラス管の一端側において、前記ガラス管を封止する工程と、前記ガラス管の一端と前記第1の凸部および前記水銀放出体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する第2の凸部を形成する工程と、前記水銀放出体を加熱する工程とを有する。
【0064】
よって、第1の凸部形成工程について図4を用いて詳細に説明し、その他の点については、説明を省略する。
【0065】
<第1の凸部形成工程>
まず、図4(a)に示すように、ガラス管100の一端からガラス管の管軸方向中央側に所定間隔離れた位置において電極構造体101が仮止めされ、ガラス管100の他端部に電極構造体106が封着された状態(すなわち、本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法における電極構造体挿入工程から電極構造体固定工程までを行った後の状態)において、ガラス管100の一端と電極構造体101との間において、ガラス管の内面側に突出する第1の凸部118を形成する。具体的には、ガラス管100の一端と電極構造体101との間において、ガラス管100の外表面をバーナー119等で加熱することにより第1の凸部118を形成する。
【0066】
なお、第1の凸部118は、バーナー119に限らず、加熱された空気を当てたり、バーナーや加熱された空気を当ててガラス管100を加熱した後に冶具を押圧することによって形成することもできる。
【0067】
<水銀放出体挿入工程>
次に、図4(b)に示すように、ガラス管100の一端の開口部100aからガラス管100の内部に水銀放出体111を挿入する。この際、水銀放出体111が第1の凸部118に引っかかることで、水銀放出体111が第1の凸部118よりもガラス管100の管軸方向中央側に移動することを防止し、水銀放出体111がガラス管100の内面と電極構造体101のリード線104との間に入り込んで、最終的に水銀放出体111を取り出す際、取り出し難くなるのを防止することができる。
【0068】
上記のとおり、本発明の第3の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法によれば、水銀放出体111を加熱する際、ガラス管100の封止端部100bが破損するのを防止することができ、ガラス管100から水銀放出体111を取り出す際、取り出しやすくすることができる。
【0069】
(変形例)
以上、本発明を上記した各実施形態に示した具体例に基づいて説明したが、本発明の内容が各実施形態に示した具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を用いることができる。
【0070】
1.水銀放出体
水銀放出体は、水銀放出体111に限らず、例えば以下のようなものを用いることができる。
【0071】
(1)水銀放出体の変形例1
水銀放出体の変形例1(以下、「水銀放出体120」という。)の斜視図を図5(a)に示す。水銀放出体120は、チタン(Ti)と水銀(Hg)との金属間化合物を含む水銀放出部121を有し、前記金属間化合物は、TiHg、Ti1.73HgおよびTi3Hgのうちいずれか1種以上を含むことが好ましい。この場合、本発明を適用することにより、ガラス管の封止端部の破損を防止しやすくすることができる。
【0072】
また、水銀放出部121は、鉄およびニッケルのうち少なくとも1種以上を含むことが好ましい。この場合、水銀放出体120の加熱効率を向上させることができる。
【0073】
さらに、水銀放出部121は、水銀放出効率を向上させるプロモータ(図示せず)が含まれていてもよい。プロモータは、例えば、銅ベースの合金であり、CuとSnとの合金、CuとAgとの合金、CuとSiとの合金、CuとSnとMMとの合金などを挙げることができる。ここで「MM」はミュシュメタルと呼ばれる金属元素の配合物であり、主としてセリウム、ランタンおよびネオジウム、および少量の他の希土類金属を含む。
【0074】
(2)水銀放出体の変形例2
水銀放出体の変形例2(以下、「水銀放出体122」という。)の斜視図を図5(b)に示す。水銀放出体122は、少なくとも一部に開口部123aを有する容器123の内部に水銀放出部121が格納されている。この場合、水銀放出部121の定形性を高めることができる。
【0075】
さらに、容器123は、鉄およびニッケルのうち少なくとも1種以上で形成されていることが好ましい。この場合、水銀放出部121の加熱効率を向上させることができる。
【0076】
また、容器123には、その長手方向に沿うようにスリット123bが設けられていることが好ましい。この場合、水銀放出工程において、スリット123bを介しても水銀を放出させることができるため、水銀放出効率を向上させることができる。
【0077】
(3)水銀放出体の変形例3
水銀放出体の変形例3(以下、「水銀放出体124」という。)の斜視図を図5(c)に示す。水銀放出体124は、水銀放出部121と、水銀放出部121を覆う金属の焼結体から構成される焼結体部125とを備える。この場合、水銀放出工程において、焼結体部125からも水銀を放出させることができるため、水銀放出効率を向上させることができる。
【0078】
焼結体部124は、鉄およびニッケルのうち少なくとも1種以上で形成されていることが好ましい。この場合、水銀放出部121の加熱効率を向上させることができる。
【0079】
2.ガラス管
(1)ガラス管100の熱膨張係数は、3.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下の範囲内のものを用いることができる。特に、ガラス管100の熱膨張係数は、8.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、ガラスの強度が弱くなるため、本発明の作用効果を特に発揮できる。
【0080】
なお、ガラス管100の熱膨張係数が8.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下の範囲内である場合には、ガラス管の両端部を封止させた後において、歪除去工程を設けることが好ましい。歪除去工程は、上述した本発明に係る低圧放電ランプの製造方法に限らず、熱膨張係数が8.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下の範囲内のガラスを用いた低圧放電ランプ(特に冷陰極放電ランプ)に適用することができる。
【0081】
熱膨張係数が8.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下の範囲内のガラス管を有する低圧放電ランプの製造方法であって、前記ガラス管の両端部を封止する工程(封止工程)と、前記ガラス管の両端部を前記ガラス管が溶融しない温度において加熱する工程(歪除去工程)とを有する。
【0082】
封止工程は、公知に工程または、本発明の第1の実施形態において上述した方法により行うことができる。
【0083】
歪除去工程の概念図を図6に示す。図6に示すように、両端部が封止されたガラス管100の両端部をガラス管100が溶融しない温度において加熱する。
【0084】
加熱は、ガラス管100の両端部をそれぞれ加熱炉126の間を通すことにより行う。加熱炉126は、ガラス管100の長手方向で切った断面が略コの字形状のヒーターであり、略コの字の開口部126aが向かい合うように一対に配置されている。加熱炉により加熱することで、ガラス管100の両端部の雰囲気温度が安定して上昇しやすく、ガラス管100の両端部の歪を除去しやすくすることができる。
【0085】
なお、少なくとも電極の管軸方向中央部側の先端までが加熱炉の開口部126aの深さMの範囲内に収まることが好ましい。この場合、ガラス管100の両端部に残存する歪を除去しやすくすることができる。
【0086】
歪除去工程では、破線矢印の方向に加熱炉126の略コの字の開口部126aの中にガラス管100の端部を通すことによって、ガラス管100の端部を加熱させることができる。なお、加熱炉内でのガラス管の端部表面の温度は、例えば480[℃]〜600[℃]である。
【0087】
この場合、ガラス管100の両端部を加熱炉ではなくバーナーの炎により直接加熱する場合に比べて、ガラス管100の両端部付近の雰囲気温度がさらに安定して上昇しやすく、ガラス管100の端部周辺をしっかりと加熱できるため、ガラス管100の端部に残存する歪をしっかりと除去することができる。
【0088】
なお、加熱炉126は、図6に示す加熱炉126に限らず、例えばシーズヒーターや内部にバーナーを備えるもの等であってもよい。また、作業安全のため、加熱炉126の周囲は断熱材により覆われていることが好ましい。
【0089】
さらに、ガラス管100をその管軸を回転軸として例えば一点鎖線矢印の方向に回転させることがより好ましい。この場合、ガラス管100の端部の周方向においてより均一に加熱させることができ、歪を除去しやすくすることができる。
【0090】
なお、図6においては、ガラス管100の両端部の歪除去について説明したが、ガラス管の一端部のみに歪が残存するおそれがある場合は、ガラス管の一端部のみ歪除去工程を行ってもよい。
【0091】
(2)紫外線吸収
ガラス管100の材料であるガラスに遷移金属の酸化物をその種類によって所定量をドープすることにより254[nm]や313[nm]の紫外線を吸収することができる。具体的には、例えば酸化チタン(TiO2)の場合は、組成比率0.05[mol%]以上ドープすることにより254[nm]の紫外線を吸収し、組成比率2[mol%]以上ドープすることにより313[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、酸化チタンを組成比率5.0[mol%]より多くドープした場合には、ガラスが失透してしまうため、組成比率0.05[mol%]以上5.0[mol%]以下の範囲でドープすることが好ましい。
【0092】
また、酸化セリウム(CeO2)の場合は、組成比率0.05[mol%]以上ドープすることにより254[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、酸化セリウムを組成比率0.5[mol%]より多くドープした場合には、ガラスが着色してしまうため、酸化セリウムを組成比率0.05[mol%]以上0.5[mol%]以下の範囲でドープすることが好ましい。なお、酸化セリウムに加えて酸化スズ(SnO)をドープすることにより、酸化セリウムによるガラスの着色を抑えることができるため、酸化セリウムを組成比率5.0[mol%]以下までドープすることができる。この場合、酸化セリウムを組成比率0.5[mol%]以上ドープすれば313[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、この場合においても酸化セリウムを組成比率が5.0[mol%]より多くドープした場合には、ガラスが失透してしまう。
【0093】
また、酸化亜鉛(ZnO)の場合は、組成比率2.0[mol%]以上ドープすることにより254[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、酸化亜鉛を組成比率20[mol%]より多くドープした場合、ガラスが失透してしまうおそれがあるため、酸化亜鉛を2.0[mol%]以上20[mol%]以下の範囲でドープすることが好ましい。
【0094】
また、酸化鉄(Fe23)の場合は、組成比率0.01[mol%]以上ドープすることにより254[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、酸化鉄を組成比率2.0[mol%]より多くドープした場合には、ガラスが着色してしまうため、酸化鉄を組成比率0.01[mol%]以上2.0[mol%]以下の範囲でドープすることが好ましい。
【0095】
(3)赤外線透過係数
ガラス管100の材料であるガラス中の水分含有量を示す赤外線透過率係数は、0.3以上1.2以下の範囲、特に0.4以上0.8以下の範囲となるように調整することが好ましい。赤外線透過率係数が1.2以下であれば、長尺の冷陰極蛍光ランプ等の高電圧印加ランプに適用可能な低い誘電正接を得やすくなり、0.8以下であれば誘電正接が十分に小さくなって、さらに高電圧印加ランプに適用可能となる。
【0096】
なお、赤外線透過率係数(X)は下式で表すことができる。
【0097】
[数1]X=(log(a/b))/t
a:3840[cm-1]付近の極小点の透過率[%]
b:3560[cm-1]付近の極小点の透過率[%]
t:ガラスの厚み
(4)鉛フリーガラス
ガラス管100に用いるガラスは、酸化物換算で、SiO2が60[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜5[wt%]、Li2Oが0[wt%]〜5[wt%]、K2Oが3[wt%]〜11[wt%]、Na2Oが3[wt%]〜12[wt%]、CaOが0[wt%]〜9[wt%]、MgOが0[wt%]〜9[wt%]、SrOが0[wt%]〜12[wt%]、BaOが0[wt%]〜12[wt%]の組成を有していてもよい。この場合、鉛成分を含有せず、環境に優しい冷陰極放電ランプを提供することができる。さらには、ガラス管100に用いるガラスは、酸化物換算で、SiO2が60[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜5[wt%]、B23が0[wt%]〜3[wt%]、Li2Oが0[wt%]〜5[wt%]、K2Oが3[wt%]〜11[wt%]、Na2Oが3[wt%]〜12[wt%]、CaOが0[wt%]〜9[wt%]、MgOが0[wt%]〜9[wt%]、SrOが0[wt%]〜12[wt%]、BaOが0[wt%]〜12[wt%]の組成を有していることがより好ましい。
【0098】
また、ガラス管100に用いるガラスは、酸化物換算で、SiO2が60[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜5[wt%]、Li2Oが0.5[wt%]〜5[wt%]、K2Oが3[wt%]〜7[wt%]、Na2Oが5[wt%]〜12[wt%]、CaOが1[wt%]〜7[wt%]、MgOが1[wt%]〜7[wt%]、SrOが0[wt%]〜5[wt%]、BaOが7[wt%]〜12[wt%]の組成を有していてもよい。この場合、ランプへの加工を行いやすく、かつ鉛成分を含有せず、環境に優しい冷陰極蛍光ランプを提供することができる。
【0099】
さらに、ガラス管100に用いるガラスは、酸化物換算で、SiO2が65[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜5[wt%]、B23が0[wt%]〜3[wt%]、Li2Oが0.5[wt%]〜5[wt%]、 K2Oが3[wt%]〜7[wt%]、Na2Oが5[wt%]〜12[wt%]、 CaOが2[wt%]〜7[wt%]、MgOが2.1[wt%]〜7[wt%]、SrOが0[wt%]〜0.9[wt%]、BaOが7.1[wt%]〜12[wt%]の組成を有していてもよい。この場合、鉛成分を含有せず、照明用途に適した電気絶縁性を有し、かつ、失透を起こりにくくすることができる。さらには、ガラス管100に用いるガラスは、酸化物換算で、SiO2が65[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜3[wt%]、B23が0[wt%]〜3[wt%]、Li2Oが1[wt%]〜3[wt%]、K2Oが3[wt%]〜6[wt%]、Na2Oが7[wt%]〜10[wt%]、 CaOが3[wt%]〜6[wt%]、MgOが3[wt%]〜6[wt%]、SrOが0[wt%]〜0.9[wt%]、BaOが7.1〜10[wt%]の組成を有していることがより好ましい。
【0100】
(5)ガラス管の形状
ガラス管100の管軸に対して略垂直に切った断面は、略円形状のものに限られず、例えばトラック形状や角丸形状のような扁平形状や楕円形状等であってもよい。
【0101】
3.電子放射性物質
電極103、107の表面には、電子放射性物質層(図示せず)が形成されていてもよい。この場合、電子放射性物質層が設けられていないランプに比べてランプ電圧を下げることができる。具体的には、電子放射性物質層は、例えば電極103、107の内面に形成されている。電子放射性物質層は、例えば希土類元素を含む。冷陰極蛍光ランプにおいて、ランプ電圧を下げるのに効果的なためである。さらに、希土類元素は、ランタン(La)およびイットリウム(Y)のうちいずれか1種以上であることがより好ましい。
【0102】
電子放射性物質層は、さらに珪素(Si)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、硼素(B)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)、リン(P)および錫(Sn)のうちいずれか1種以上を含むことが好ましい。この場合、ランプ電圧の低減効果をより持続させることができる。
【0103】
さらに、電子放射性物質層に、セシウム(Cs)化合物が含まれていてもよい。この場合、ランプの暗黒始動特性をさらに向上させることができる。また、電子放射性物質層として、電極103、107の内面や外面にセシウム化合物を付着させてもよいし、電子放射性物質層とは別に、電極103、107の内面や外面にセシウム化合物を付着させてもよい。なお、セシウム化合物は、例えば、硫酸セシウム、アルミン酸セシウム、ニオブ酸セシウム、タングステン酸セシウム、モリブデン酸セシウムおよび塩化セシウムのうちいずれか1種以上を用いることが好ましい。また、セシウム化合物は、電極103、107の外側側面に付着されていることがより好ましい。この場合、冷陰極蛍光ランプの製造工程において、セシウム化合物を適度に活性化させやすくすることができる。さらには、電極103、107の外側側面におけるランプ中央部側の先端部に付着されていることがさらにより好ましい。
【0104】
4.蛍光体層の蛍光体
(1)紫外線吸収
例えば、近年、液晶カラーテレビの大型化に伴って、バックライトユニットの開口を塞ぐ拡散板に寸法安定性の良いポリカーボネートが使用されるようになっている。このポリカーボネートは、水銀が発する313[nm]の波長の紫外線により劣化しやすい。このような場合には、波長313[nm]の紫外線を吸収する蛍光体を利用すると良い。なお、313[nm]の紫外線を吸収する蛍光体としては、以下のものがある。
【0105】
(a)青色
ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム[Ba1-x-ySrxEuyMg1-zMnzAl1017]又は[Ba1-x-ySrxEuyMg2-zMnzAl1627
ここで、x,y,zはそれぞれ0≦x≦0.4、0.07≦y≦0.25、0≦z<0.1なる条件を満たす数であることが好ましい。
【0106】
このような蛍光体としては、例えば、ユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム[BaMg2Al1627:Eu2+]、[BaMgAl1017:Eu2+] (略号:BAM−B)や、ユーロピウム付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム[(Ba,Sr)Mg2Al1627:Eu2+]、[(Ba,Sr)MgAl1017:Eu2+](略号:SBAM−B)等がある。
【0107】
(b)緑色
・マンガン不活マグネシウムガレート[MgGa24:Mn2+](略号:MGM)
・マンガン付活アルミン酸セリウム・マグネシウム・亜鉛[Ce(Mg,Zn)Al1119:Mn2+](略号:CMZ)
・テルビウム付活アルミン酸セリウム・マグネシウム[CeMgAl1119:Tb3+](略号:CAT)
・ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム[Ba1-x-ySrxEuyMg1-zMnzAl1017]又は[Ba1-x-ySrxEuyMg2-zMnzAl1627
ここで、x,y,zはそれぞれ0≦x≦0.4、0.07≦y≦0.25、0.1≦z≦0.6なる条件を満たす数であり、zは0.4≦x≦0.5であることが好ましい。
【0108】
このような蛍光体としては、例えば、ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・マグネシウム[BaMg2Al1627:Eu2+,Mn2+]、[BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+](略号:BAM−G)や、ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム[(Ba,Sr)Mg2Al1627:Eu2+,Mn2+]、[(Ba,Sr)MgAl1017:Eu2+,Mn2+](略号:SBAM−G)等がある。
【0109】
(c)赤色
・ユーロピウム付活リン・バナジン酸イットリウム[Y(P,V)O4:Eu3+](略号:YPV)
・ユーロピウム付活バナジン酸イットリウム[YVO4:Eu3+](略号:YVO)
・ユーロピウム付活イットリウムオキシサルファイド[Y22S:Eu3+](略号:YOS)
・マンガン付活フッ化ゲルマン酸マグネシウム[3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn4+](略号:MFG)
・ジスプロシウム付活バナジン酸イットリウム[YVO4:Dy3+](赤と緑の2成分発光蛍光体であり、略号:YDS)
なお、一種類の発光色に対して、異なる化合物の蛍光体を混合して用いても良い。例えば、青色にBAM−B(313[nm]を吸収する。)のみ、緑色にLAP(313[nm]を吸収しない。)とBAM−G(313[nm]を吸収する。)、赤色にYOX(313nmを吸収しない。)とYVO(313[nm]を吸収する。)の蛍光体を用いても良い。このような場合は、前述のように波長313[nm]を吸収する蛍光体が、総重量組成比率で50%より大きくなるように調整することで、紫外線がガラスバルブ外に漏れ出ることをほとんど防止できる。したがって、313[nm]の紫外線を吸収する蛍光体を蛍光体層102に含む場合には、上記のバックライトユニットの開口を塞ぐポリカーボネート(PC)からなる拡散板等の紫外線による劣化が抑制され、バックライトユニットとしての特性を長時間維持することができる。
【0110】
ここで、「313[nm]の紫外線を吸収する」とは、254[nm]付近の励起波長スペクトル(励起波長スペクトルとは、蛍光体を波長変化させながら励起発光させ、励起波長と発光強度をプロットしたものである。)の強度を100[%]としたときに、313[nm]の励起波長スペクトルの強度が80[%]以上のものと定義する。すなわち、313[nm]の紫外線を吸収する蛍光体とは、313[nm]の紫外線を吸収して可視光に変換できる蛍光体である。
【0111】
(2)高色再現について
液晶カラーテレビで代表される液晶表示装置では、近年における高画質化の一環としてなされる高色再現化に伴い、当該液晶表示装置のバックライトユニットの光源として用いられる冷陰極蛍光ランプにおいて、再現可能な色度範囲の拡大化の要請がある。
【0112】
このような要請に対して、例えば、以下の蛍光体を用いることで、実施の形態での蛍光体を用いる場合よりも、色度範囲の拡大を図ることができる。具体的には、CIE1931色度図において、高色再現用の当該蛍光体の色度座標値が、実施の形態で使用した3つの蛍光体の色度座標値を結んでできる三角形を含んで色再現範囲を広げる座標に位置する。
【0113】
(a)青色
・ユーロピウム付活ストロンチウム・クロロアパタイト[Sr10(PO46Cl2:Eu2+](略号:SCA)、色度座標:x=0.151、y=0.065
上記以外に、ユーロピウム付活ストロンチウム・カルシウム・バリウム・クロロアパタイト[(Sr,Ca,Ba)10(PO46Cl2:Eu2+](略号:SBCA)も使用でき、上記波長313(nm)の紫外線も吸収できるSBAM−Bも高色再現用に使用できる。
【0114】
(b)緑色
・BAM−G、色度座標:x=0.139、y=0.574
・CMZ、色度座標:x=0.164、y=0.722
・CAT、色度座標:x=0.267、y=0.663
なお、これらは上述したように、波長313[nm]の紫外線も吸収でき、また、ここで説明した3つの蛍光体粒子以外にも、MGMも高色再現用に使用することができる。
【0115】
(c)赤色
・YOS、色度座標:x=0.651、y=0.344
・YPV、色度座標:x=0.658、y=0.333
・MFG、色度座標:x=0.711、y=0.287
なお、これらは上述したように、波長313[nm]の紫外線も吸収でき、また、ここで説明した3つの蛍光体粒子以外にも、YVO、YDSも高色再現用に使用することができる。
【0116】
また、上記で示した色度座標値は各々の蛍光体の粉体のみで測定した代表値であり、測定方法(測定原理)等に起因して、各蛍光体の粉体が示す色度座標値は、上掲した値と若干異なる場合があり得る。参考として上記実施の形態1の各蛍光体の粉体の色度座標値は、YOX(x=0.644、y=0.353)、LAP(x=0.351、y=0.585)、BAM−B(x=0.148、y=0,056)で構成されている。
【0117】
さらに、赤、緑、青の各色を発光させるために用いる蛍光体は各波長につき1種類に限らず、複数種類を組み合わせて用いることとしても良い。
【0118】
ここで、上記の高色再現用の蛍光体粒子を用いて蛍光体層102を形成した場合について説明する。ここでの評価は、CIE1931色度図内においてNTSC規格の3原色の色度座標値を結ぶNTSC三角形(NTSCtriangle)の面積を基準とした、高色再現用の蛍光体を用いた場合の3つの色度座標値を結んできる三角形の面積の比(以下、NTSC比という。)で行なう。
【0119】
例えば、青色としてBAM−B、緑色としてBAM−G、赤色としてYVOを用いると(例1)NTSC比が92[%]となり、また、青色としてSCA、緑色としてBAM−G、赤色としてYVOを用いると(例2)NTSC比が100[%]となり、また、青色としてSCA、緑色としてBAM−G、赤色としてYOXを用いると(例3)、NTSC比が95[%]となり、例1及び例2に比べて輝度を10[%]向上させることができる。
【0120】
なお、ここでの評価に用いた色度座標値は、ランプ等が組み込まれた液晶表示装置とした状態で測定したものである為、カラーフィルターとの組み合わせにより色再現範囲が上記値より前後する可能性がある。
【0121】
5.封入ガス
希ガスにクリプトンが含まれていてもよい。この場合、低圧放電ランプが冷陰極蛍光ランプである場合に赤外線放射を抑制することができる。さらには、希ガスにクリプトンが0.5[mol%]以上5[mol%]以下の範囲内で含まれていることが好ましい。この場合、ランプ電圧を大きく変化させることなく、冷陰極蛍光ランプの赤外線放射を抑制することができる。例えば、アルゴンが0[mol%]以上9.5[mol%]以下の範囲内、ネオンが90[mol%]以上95.5[mol%]以下の範囲内、クリプトンが0.5[mol%]以上5[mol%]以下の範囲内である。さらには、希ガスにクリプトンが0.5[mol%]以上3[mol%]以下の範囲内で含まれていることがより好ましい。さらには、希ガスにクリプトンが1[mol%]以上3[mol%]以下の範囲内で含まれていることがさらにより好ましい。
【0122】
6.ランプの種類
上記の各実施形態においては、低圧放電ランプの製造方法として、ガラス管の両端部に電極構造体が設けられた冷陰極蛍光ランプの製造方法を中心に説明したが、これに限らず、ガラス管の少なくとも一方の端部に電極構造体が設けられていればよい。例えば内部外部電極蛍光ランプやガラス管の内面に蛍光体層の形成されていない紫外線ランプにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、低圧放電ランプの製造方法に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0124】
100 ガラス管
100a ガラス管の一端の開口部
101 電極構造体
111 水銀放出体
118 第1の凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の少なくとも一方の端部に電極構造体が設けられた低圧放電ランプの製造方法であって、
前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に前記電極構造体を挿入する工程と、
前記電極構造体を前記ガラス管の内部に固定する工程と、
前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に水銀放出体を挿入する工程と、
前記ガラス管の一端と前記電極構造体および前記水銀放出体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する凸部を形成する工程と、
前記凸部よりも前記ガラス管の一端側において、前記ガラス管を封止する工程と、
前記水銀放出体を加熱する工程とを有することを特徴とする低圧放電ランプの製造方法。
【請求項2】
ガラス管の少なくとも一方の端部に電極構造体が設けられた低圧放電ランプの製造方法であって、
前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に前記電極構造体を挿入する工程と、
前記電極構造体を前記ガラス管の内部に固定する工程と、
前記ガラス管の一端と前記電極構造体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する第1の凸部を形成する工程と、
前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に水銀放出体を挿入する工程と、
前記ガラス管の一端と前記第1の凸部および前記水銀放出体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する第2の凸部を形成する工程と、
前記第2の凸部よりも前記ガラス管の一端側において、前記ガラス管を封止する工程と、
前記水銀放出体を加熱する工程とを有することを特徴とする低圧放電ランプの製造方法。
【請求項3】
ガラス管の少なくとも一方の端部に電極構造体が設けられた低圧放電ランプの製造方法であって、
前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に前記電極構造体を挿入する工程と、
前記電極構造体を前記ガラス管の内部に固定する工程と、
前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に水銀放出体を挿入する工程と、
前記電極構造体および前記水銀放出体よりも前記ガラス管の一端側において、前記ガラス管を封止する工程と、
前記ガラス管の一端と前記電極構造体および前記水銀放出体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する凸部を形成する工程と、
前記水銀放出体を加熱する工程とを有することを特徴とする低圧放電ランプの製造方法。
【請求項4】
ガラス管の少なくとも一方の端部に電極構造体が設けられた低圧放電ランプの製造方法であって、
前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に前記電極構造体を挿入する工程と、
前記電極構造体を前記ガラス管の内部に固定する工程と、
前記ガラス管の一端と前記電極構造体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する第1の凸部を形成する工程と、
前記ガラス管の一端の開口部から前記ガラス管の内部に水銀放出体を挿入する工程と、
前記第1の凸部および前記電極構造体よりも前記ガラス管の一端側において、前記ガラス管を封止する工程と、
前記ガラス管の一端と前記第1の凸部および前記水銀放出体との間において、前記ガラス管の内面側に突出する第2の凸部を形成する工程と、
前記水銀放出体を加熱する工程とを有することを特徴とする低圧放電ランプの製造方法。
【請求項5】
加熱された空気を前記ガラス管に当てることにより前記凸部を形成することを特徴とする請求項1または3に記載の低圧放電ランプの製造方法。
【請求項6】
加熱された空気を前記ガラス管に当てることにより前記第2の凸部を形成することを特徴とする請求項2または4に記載の低圧放電ランプの製造方法。
【請求項7】
前記ガラス管は、熱膨張係数が8×10-7[K-1]以上10×10-7[K-1]以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の低圧放電ランプの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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