説明

低圧水銀蒸気放電ランプ及びディスプレイ装置

低圧水銀蒸気放電ランプは、第一動作モード又は第二動作モードの何れかで動作する。放電ランプは、放電空間(8)を封入する放電容器(1)を有する。放電容器の第一端部(11)が、互いの近傍に、第一電極(12)と第一陽極(13)とを備える。放電容器の第二端部(21)が、互いの近傍に、第二電極(22)と第二陽極(23)とを備える。放電ランプは第一動作モードで動作する間、放電が、第一電極と第二陽極との間、及び、第二電極と第一陽極との間に交互に維持される。放電ランプが第二動作モードで動作する間、放電が、第一電極と第一陽極との間、及び、第二電極と第二陽極との間に交互に維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一動作モード又は第二動作モードの何れかで動作可能である低圧水銀蒸気放電ランプに関する。
【0002】
本発明は、ディスプレイ装置を照明用の少なくとも1つの低圧水銀蒸気放電ランプを含むディスプレイ装置にも関する。
【背景技術】
【0003】
水銀蒸気放電ランプにおいて、水銀は、紫外(UV)光の(効率的な)生成のための主要成分を構成する。UVを他の波長、例えば、日焼け目的(太陽パネルランプ)のためのUV−B及びUV−A、又は、一般照明若しくは照明ディスプレイ装置のための可視的放射に変換するために、発光材料を含む発光層が放電容器の内壁上に存在し得る。従って、そのような放電ランプは、蛍光ランプとも呼ばれる。低圧水銀蒸気放電ランプの放電容器は、普通、円形であり、細長い実施態様及びコンパクトな実施態様の双方を含む。一般的に、コンパクトな蛍光ランプの管状放電容器は、比較的小さな直径を有する比較的短い直線部を含み、直線部は、所謂ブリッジ部を用いて或いは所謂屈曲部を介して、一体に接続される。一般的に、放電空間内の放電を維持するための手段は、放電空間内に配置された電極である。
【0004】
低圧水銀蒸気放電ランプは、複数の表示行を含むディスプレイ装置内でバックライトとして頻繁に用いられる。そのようなディスプレイ装置の一例は、液晶(LDC)装置である。そのようなディスプレイ装置は、ラップトップ及びテレビセットにおけるような様々な用途で用いられる。
【0005】
米国特許出願公開番号第2002−0130830号は、光源として(冷陰極)蛍光ランプを用い且つ適応輝度増感関数を有する液晶ディスプレイ(LCD)装置、及び、その駆動方法を開示している。タイミングコントローラが外部提供画像データの特徴を検査し、それらが動画であると分かると、それは画像データから要求される輝度レベルを決定し、輝度レベル制御信号を出力し、それらが静止画像であると分かると、所定の輝度信号を出力する。パックライトドライバが、高輝度レベルの輝度制御信号がタイミングコントローラによって提供されるときに、高位バックライト駆動電圧をバックライトユニットに出力し、定常輝度信号が入力されるときに、定常レベル輝度信号を出力する。その結果、ディスプレイスクリーンの複数の部分を選択し、且つ、画像データの変化を追跡監視することによって、画像の特徴が定められ、バックライトの輝度レベル及びガンマ電圧レベルの出力を制御するために、輝度増感関数の適用条件が決定される。従って、ディスプレイスクリーンのコントラストは改良され、電力消費は低減される。
【0006】
既知のディスプレイ装置の欠点は、低圧水銀蒸気放電ランプが限定的な寿命を有することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、その目的として、上記の不利点を全体的に或いは部分的に解消しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、コンパクトな低圧水銀蒸気放電ランプは、第一動作モード又は第二動作モードの何れかで動作可能であり、放電ランプは、
不活性ガス混合物及び水銀を備える放電空間を気密に封入する光透過性の放電容器と、
放電空間内に配置される第一電極を備える、放電容器の第一端部と、
第一電極近傍で放電空間内に配置される第一陽極と、
放電空間内に配置される第二陽極を備える、放電容器の第二端部とを含み、
放電ランプが第一動作モードで動作する間、第一電極と第二陽極との間に維持される放電と、
放電ランプが第二動作モードで動作する間、第一電極と第一陽極との間に維持される放電とを含む。
【0009】
動作中、本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプは、第一動作モード又は第二動作モードの何れかにある。第一動作モードにおいて、放電容器内の放電が、第一電極と第二陽極との間に維持される。第一動作モードにおいて、放電容器内の放電は、放電容器の全長に亘る放電に実際的に対応する放電容器の第一部分と第二部分との間に延在する。第二動作モードにおいて、放電が、第一電極と第一陽極との間に維持される。第一電極及び第一陽極は、放電容器の第一端部に配置されているので、放電容器内の放電は、放電ランプが第二動作モードで動作するとき、放電容器の第二端部に位置する。第二動作モードにおいて、実際的に放電容器の全長に亘って放電がない。本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプでは、第一動作モード又は第二動作モードの何れかにある放電ランプ中の電極の設定に変化はない。
【0010】
既知の低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、放電容器内の放電は、放電ランプが第一動作モードで動作する間にスイッチオンされ、放電ランプが第二動作モードにある間にスイッチオフされる。もし放電ランプが特定の時間周期(典型的には約2〜4msよりも大きい)の間に完全にスイッチオフされるならば、放電は、放電ランプが再度スイッチオンされるときに、再点火されなければならない。低圧水銀蒸気放電ランプのスイッチオン及びスイッチオフは、エミッタ空乏の増加の故に、電極にとって有害である。エミッタ空乏は、既知の低圧水銀蒸気放電ランプの短い寿命を招く。この問題を克服する方法は、第二動作モードにおいて放電ランプ内の放電を完全にスイッチオフせず、第二動作モード中に、電極を加熱した状態のまま、比較的低い所謂「賦活」電流を維持することである。しかしながら、これは、第二動作モードで動作する放電ランプと比較されるときに第一動作モードで動作する放電ランプの間のコントラスト比を減少する(「オン」と「オフ」との間のより低いコントラスト)。加えて、電極は、2つの比較的極端な電流設定で、即ち、放電ランプが第一動作モードで動作する間の比較的極めて高い電流、及び、放電ランプが第二動作モードで動作する間の比較的極めて低い電流(「賦活」電流)で、耐用年数に関して最適に動作し得なければならない。
【0011】
本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、電極は、放電ランプが第一動作モードで動作するか或いは第二動作モードで動作するかに拘わらず、実際的に同一条件の下で動作する。
【0012】
本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプの好適実施態様は、第一陽極が第一ダイオードを介して第一電極に接続されていることを特徴とする。この好適実施態様に従った低圧水銀蒸気放電ランプナイン内の電極は陰極として機能し、この機能のために最適に設計され得る。
【0013】
通常、放電容器は2つの電極を備え、各電極は、放電容器の両端にそれぞれ配置される。このために、本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプの他の実施態様は、第二端部が放電空間内に配置された第二電極を備え、第二電極が第二陽極の近傍に配置され、放電ランプが第一動作モードで動作する間、放電が、第一電極と第二陽極との間、及び、第二電極と第一陽極との間に交互に維持され、放電ランプが第二動作モードで動作する間、放電が、第一電極と第一陽極との間、及び、第二電極と第二陽極との間に交互に維持されることを特徴とする。
【0014】
本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプの好適実施態様は、第一陽極が、第一ダイオードを介して第一電極に接続され、第二陽極が、第二ダイオードを介して第二電極に接続されることを特徴とする。
【0015】
放電ランプが第一動作モードで動作するとき、放電ランプ内の電流は、電流の1つの位相の間、第一ダイオード及び第一陽極を介して、第二電極に流れる。電流の他の位相の間、放電ランプ内の電流は、第二ダイオード及び第二陽極を介して第一電極に流れる。この場合には、第一陽極と第二陽極との間の放電容器内に交流放電がある。加えて、放電容器の第二端部内の電流の1つの位相の間、第二陽極と第二電極との間の放電容器内に擬直流放電がある。放電ランプが第一動作モードで動作するとき、放電ランプ全体が光を放射する。
【0016】
放電ランプが第二動作モードで動作するとき、放電ランプ内の電流は、電流の1つの位相の間、第一ダイオード及び第二陽極を介して第二電極に流れる。電流の他の位相の間、放電ランプ内の電流は、第二ダイオード及び第一ダイオードを介して第一電極に流れる。この場合には、第一陽極と第二陽極との間の放電容器内に放電はない。しかしながら、放電容器の第二端部内の電流の1つの位相の間、第二陽極と第二電極との間の放電容器内に依然として擬直流放電があり、放電容器の第一端部内の電流の他の位相の間、第一陽極と第一電極との間の放電容器内に依然として擬直流放電がある。放電ランプが第二動作モードで動作するとき、放電ランプは、第一電極と第二電極との間で光を放射しない。放電ランプが第二動作モードで動作するとき、放電ランプの大部分は光を放射しない。
【0017】
第一動作モード又は第二動作モードで動作する放電ランプの間の電極設定に変化はない。本発明に従った放電ランプにおいて、電極は、放電ランプが第一動作モードで動作するか或いは第二動作モードで動作するかに拘わらず、固定レジームで動作する。第一ダイオード及び第二ダイオードの提供の他の利点は、第一電極及び第二電極が陰極として機能し、この機能のために最適に設計され得ることである。
【0018】
本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプの好適実施態様は、放電管が、第一端部及び第二端部の近傍において、発光材料のない状態にされることを特徴とする。
【0019】
本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプの好適実施態様は、放電容器が、管状主要部と、第一管状側部と、第二管状側部とを含み、第一管状側部及び第二管状側部は、管状主要部の両端のそれぞれに隣接して配置され、第一管状側部及び第二管状側部は、第一管状相互接続手段及び管状相互接続手段を介してそれぞれ管状主要部に接続され、放電容器の第一端部及び第二端部は、第一管状側部及び第二管状側部内に配置されることを特徴とする。もし低圧水銀蒸気放電ランプが、ディスプレイ装置を照明するために用いられ、且つ、ディスプレイ装置上の画像の均一な照明が望まれるならば、この実施態様は特に好適である。一般的には、本発明の好適実施態様に従った複数の低圧水銀蒸気放電ランプは、所謂バックライト照明システムに用いられる。第一管状側部及び第二管状側部は、ディスプレイ装置上に表示される画像から見て外方を向くディスプレイ装置の側部で、バックライト照明システム内に配置され得る。
【0020】
本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプの好適実施態様は、第一管状側部及び第二管状側部が、照明材料のない状態にされることを特徴とする。第一管状側部及び第二管状側部は、低圧水銀蒸気放電ランプが第二動作モードにあるとき、実際的には光を放射しない。
【0021】
好ましくは、第一管状相互接続手段及び第二管状相互接続手段は、ブリッジ部又は屈曲部を含む。
【0022】
本発明は、ディスプレイ装置を照明するための少なくとも1つの低圧水銀蒸気放電ランプを含むディスプレイ装置にも関する。本発明によれば、ディスプレイ装置は、複数の表示行を含み、ディスプレイ装置は制御装置を含み、且つ、関連する群の表示行を照明するために、上述されたような少なくとも1つの低圧水銀蒸気放電ランプを含み、制御ユニットは、低圧水銀蒸気放電ランプを、ディスプレイ装置の走査周波数に対応する切換え周波数で、第一動作モードと第二動作モードとの間で切り換えるよう動作し、低圧水銀蒸気放電ランプは、関連する群の表示行の走査の間、第二動作モードにある。ディスプレイ装置の走査周波数に対応する切換え周波数で低圧水銀蒸気放電ランプを第一動作モードと第二動作モードとの間で切り換える利点は、特に液晶ディスプレイ装置のために、ディスプレイ装置の運動アーチファクトが大幅に低減されることである。ディスプレイ装置が関連する群の表示行を走査するとき、低圧水銀蒸気放電ランプは第二動作モードにある。低圧水銀蒸気放電ランプのそのような切替えは、「走査バックライト」としても既知である。
【0023】
本発明に従ったディスプレイ装置の好適実施態様は、制御ユニットが、表示行の走査前の所定の第一周期tに、低圧水銀蒸気放電ランプを第二動作モードに切り換えるよう動作し、表示行の走査後の所定の第二周期tに、第一動作モードに切り換えるよう動作することを特徴とする。ディスプレイ装置の運動アーチファクトは大幅に低減される。
【0024】
本発明のこれらの及び他の特徴は、以下に記載される実施態様を参照することで明瞭に解明されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図面は純粋に概略的であり、比例して描写されていない。顕著に、明瞭性の故に、ある寸法が強く誇張された形態で示されている。図面中の類似の構成要素は、可能な限り同一の参照番号によって指し示されている。
【0026】
図1A及び1Bは、第一動作モード(図1A)又は第二動作モード(図1B)の何れかで動作可能である低圧水銀蒸気放電ランプの第一実施態様を概略的に示している。放電ランプは、不活性ガス混合物及び水銀を備える放電空間8を気密に封入する光透過放電容器1を含む。
【0027】
図1A及び1Bの実施例において、放電容器1の内面の一部は、発光材料を備えた層30で被覆されている。具体的には、第一端部11及び第二端部21近傍の放電容器1は、発光材料が存在しない状態にされている。低圧水銀蒸気放電ランプが第二動作モードで動作するとき、放電ランプによる可視光の出力は殆どない。
【0028】
放電容器1は、放電空間8内に配置された(第一)電極12を備えた第一端部11を有する。電極12に接続された電流供給導体が、第一端部11を介して、放電容器11の外部に出ている。加えて、第一陽極13が、(第一)電極12の近傍で放電空間8内に配置されている。好ましくは、第一陽極13から放電容器外部へのさらなる電流供給導体が、好ましくは、さらなる電流供給導体の周囲にガラス管(図示せず)を設けることによって、電気的に絶縁されている。陽極は金属から成り、金属ロッド、金属シート、又は、金属リングの形状を有し得るし、或いは、エミッタ材料を備える或いは備えない「通常」電極の形状も有し得る。放電容器1の反対端は、放電空間8内に配置された第二陽極23を備える第二端部21を有する。第一動作モードで動作する放電ランプを表わす図1Aの実施例では、放電が第一電極12と第二陽極23との間に維持される。第二動作モードで動作する放電ランプを表わす図1Bの実施例では、放電が第一電極12と第一陽極13との間に維持される。
【0029】
図1A及び1Bに示される低圧水銀蒸気放電ランプの実施態様には、1つの電極(参照番号12)だけがある。加えて、図1A及び1Bは、低圧水銀蒸気放電ランプが動作する方法を極めて概略的に示している。図1A及び1Bに示されるような低圧水銀蒸気放電ランプを動作する方法は、直流(DC)放電を生む。電源17が第一電極12に電力を提供する。第一電極12を第二陽極23に接続する安定器35が設けられている。好ましくは、抵抗36が放電ランプの回路内に配置されている。第一陽極13は、スイッチSを介して、第二陽極23に接続されている。放電ランプが第一動作モードで動作するとき(図1A)、スイッチは開放され、放電ランプが第二動作モードで動作するとき(図1B)、スイッチは閉塞される。
【0030】
放電ランプが第一動作モードで動作するとき、放電は(第一)電極12と第二陽極23との間に位置する。これは図1A中の第一電極12と第二陽極23との間の肉太の二重矢印で表示されている。1つの電極だけがあるとき、放電ランプは、放電が常に第二陽極23から(第一)電極12にあるよう、直流状態の下で動作されるのが好ましい。このようにして、第一電極の耐用年数が改良される。
【0031】
(第一)電極12及び第一陽極13の双方は放電容器1の第一端部11内に配置されているので、放電ランプが第二動作モードで動作するとき(図1B)、放電容器1内の放電は放電容器1の第一端部11内に位置する。これは図1B中の第一陽極13と(第一)電極12との間の肉太の矢印によって表示されている。第二動作モードでは、実際的に放電容器の全長に亘って放電がない。本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプでは、放電ランプが第一動作モードで動作しようと第二動作モードで動作しようと、(第一)電極12の設定に変化はない。
【0032】
本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプの高い光出力を得るために、既知の低圧水銀蒸気放電ランプにおける所謂「冷陰極」の代わりに、加熱陰極が電極として用いられる。
【0033】
図2A及び2Bは、第一動作モード(図2A)又は第二動作モード(図2B)の何れかで動作可能である低圧水銀蒸気放電ランプの第二実施態様を概略的に示している。図2A及び2Bに示されるような低圧水銀蒸気放電ランプを動作する方法は、AC放電を生む。図2A及び2Bの状態では、放電容器内に2つの電極がある。具体的には、第二電極22が第二端部21内の放電空間8内に配置されている。第二電極22は第二陽極23の近傍に配置されている。好ましくは、第一陽極13は、第一ダイオード16を介して第一電極12に接続され、第二陽極23は、第二ダイオード26を介して第二電極22に接続される。
【0034】
放電ランプが第一動作モードで動作する間(図2A、スイッチSは開放)、放電が、第二陽極23と第一電極12との間(第一電極12の方を指し示す図2A中の肉太の矢印によって表示されている)、及び、第一陽極13と第二電極22との間(第二電極22の方を指し示す図2A中の肉太の矢印によって表示されている)に交互に維持される。放電ランプが第二動作モードで動作する間(図2B、スイッチSは閉塞)、放電が、第一陽極13と第一電極との間(第一電極12の方を指し示す図2B中の肉太の矢印によって表示されている)、及び、第二陽極23と第二電極22との間(第二電極22の方を指し示す図2B中の肉太の矢印によって表示されている)に交互に維持される。
【0035】
第一電極12及び第一陽極13の双方は、放電容器1の第一端部11内に配置され、第二電極22及び第二陽極23の双方は、放電容易器1の第二端部21内に配置されているので、放電容器1内の放電は、放電ランプが第二動作モード(図2B)で動作しているときに、放電容器1の第一端部11内及び第二端部21内に交互に位置する。本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプでは、放電ランプが第一動作モードで動作しようと第二動作モードで動作しようと、第一電極12の設定及び第二電極22の設定に変化がない。このようにして、電極12,22の耐用年数が大幅に改良される。第二動作モードにおいて、第一電極12と第一陽極との間の放電、及び、第二電極22と第二陽極23との間の放電は、擬直流放電である。
【0036】
図2A及び2Bの実施例において、放電容器1の内面の一部は、発光材料を備える層30で被覆されている。具体的には、放電容器1は、第一端部11及び第二端部21の近傍において、発光材料がない状態に維持されている。低圧水銀蒸気放電ランプが第二動作モードで動作するとき、放電ランプによる可視光の出力は殆どない。
【0037】
図3は、第一動作モード(スイッチSは開放)にある本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプの第三実施態様の断面図を概略的に示している。図3の実施例において、放電容器1は、管状主要部2と、第一管状側部3と、第二管状側部4とを含む。管状主要部は、発光材料の層30を備える。好ましくは、第一管状側部3及び第二管状側部4は、発光材料がない状態に維持される。代替的な実施態様において、第一管状側部3及び第二管状側部4は、非透明塗膜で被覆される。該塗膜は、非透明であるのが好ましく、保護特性を有するのが好ましい。
【0038】
第一管状側部3及び第二管状側部4は、管状主要部2の両端にそれぞれ隣接して配置されている。好ましくは、第一管状側部3及び第二管状側部4は、管状主要部2と平行に配置される。加えて、第一管状側部3及び第二管状側部4は、それぞれ、第一管状相互接続手段5及び第二管状相互接続手段6を介して、管状主要部2に接続されている。図3の実施例において、第一管状相互接続手段5及び第二管状相互接続手段6は、ブリッジ部を含む。代替的な実施態様では、第一管状側部及び第二管状側部を管状主要部に相互接続するために、屈曲部が用いられる。
【0039】
図3の実施例において、第一電極12及び第一陽極13は、第一管状側部3内に配置され、第二電極22及び第二陽極23は、第二管状側部4内に配置されている。第一動作モード(スイッチSは開放)では、放電が、第二陽極23と第一電極との間、及び、第一陽極13と第二電極22との間に交互に維持される。第一動作モードにおいて、放電ランプは、管状主要部2の全長に亘って可視光を放射する。放電ランプが第二動作モード(スイッチSは閉塞、図3中に図示せず)で動作する間、放電が、第一陽極13と第一電極12との間、及び、第二陽極23と第二電極22との間に交互に維持される。第二動作モードでは、放電は第一管状相互接続手段5及び第二管状相互接続手段6内にのみ存在する。
【0040】
図3に示されるような低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、放電ランプが第一動作モードで動作としようと第二動作モードで動作しようと、第一電極12の設定及び第二電極22の設定に変化はない。このようにして、電極12,22の耐用年数が大幅に改良される。第二動作モードでは、第一電極12と第一陽極13との間、及び、第二電極22と第二陽極23との間の放電は、擬直流放電である。
【0041】
図4Aは、本発明に従った複数の低圧水銀蒸気放電ランプ101,101’,...を備える本発明に従ったディスプレイ装置110の断面図を概略的に示している。筐体115が、複数の低圧水銀蒸気放電ランプ101,101’,...及びディスプレイ装置、一例としては、液晶ディスプレイ(LCD)を収容する。ディスプレイ装置110は、制御ユニット(図4A中には図示せず)を含む。図1、2、及び、3に示される実施例において、制御ユニットはスイッチSを動作する。ディスプレイユニット110において、表示行は、ディスプレイユニット110の走査周波数に従って書き込まれる。複数の低圧水銀蒸気放電ランプ101,101’,...は、関連する群の表示行を照明する。制御ユニットは、ディスプレイ装置110の走査周波数に対応する切換え周波数で、第一動作モードと第二動作モードとの間で低圧水銀蒸気放電ランプ101,101’,...を切り換えるよう動作する。関連する群の表示行の走査の間、低圧水銀蒸気放電ランプ101,101’,...は、第二動作モードにある。
【0042】
好ましくは、制御ユニットは、表示行の走査前の所定の第一周期tに、低圧水銀蒸気放電ランプを第二動作モードに切り換え、表示行の走査後の所定の第二周期tに、第一動作モードに切り換える。図4Bは、ディスプレイ装置の走査時間tと対応する第一動作モード(図4B中にローマ数字Iによって表示されている)と第二動作モード(図4B中にローマ数字IIによって表示されている)との間での切り換えを概略的に示している。走査時間tは、ディスプレイ装置110の走査周波数の逆であり、好ましくは、
【0043】
【数1】

である。
【0044】
表示行の操作中、関連する低圧水銀蒸気放電ランプ又は複数の低圧水銀蒸気放電ランプが第二動作モードで動作するとき、ディスプレイ装置の運動アーチファクトは大幅に低減される。
【0045】
上述の実施態様は、本発明を制限するというよりもむしろ例証するものであること、並びに、当業者であれば、添付の請求項の範囲から逸脱せずに、多くの代替的な実施態様を設計し得ることが留意されるべきである。請求項において、括弧の間に配置される如何なる参照符号も請求項を限定するよう解釈されるべきではない。「含む」という動詞及びその活用形の使用は、請求項中に述べられているもの以外の素子又はステップの存在を排除しない。素子に先行する不定冠詞は、そのような素子が複数存在することを排除しない。幾つかの離散的な素子を含むハードフェアを用いて、並びに、適切にプログラミングされたコンピュータを用いて、本発明を実施し得る。幾つかの手段を列挙する装置の請求項において、これらの手段の幾つかを単一且つ同一のハードフェア品目によって具現化し得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に用い得ないことを指し示さない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1A】第一動作モードにある本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプの第一実施態様を示す断面図である。
【図1B】第二動作モードにある本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプの第一実施態様を示す断面図である。
【図2A】第一動作モードにある本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプの第二実施態様を示す断面図である。
【図2B】第二動作モードにある本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプの第二実施態様を示す断面図である。
【図3】第一動作モードにある本発明に従った低圧水銀蒸気放電ランプの第三実施態様を示す断面図である。
【図4A】本発明に従った複数の低圧水銀蒸気放電ランプを備える本発明に従ったディスプレイ装置を示す断面図である。
【図4B】ディスプレイ装置の走査時間と対応する第一動作モードと第二動作モードとの間の切り換えを示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一動作モード又は第二動作モードの何れかで動作可能である低圧水銀蒸気放電ランプであって、
不活性ガス混合物及び水銀を備える放電空間を気密に封入する光透過性の放電容器と、
前記放電空間内に配置される第一電極を備える、前記放電容器の第一端部と、
前記第一電極の近傍で前記放電空間内に配置される第一陽極と、
前記放電空間内に配置される第二陽極を備える、前記放電容器の第二端部と、
当該低圧水銀蒸気放電ランプが前記第一動作モードで動作する間、前記第一電極と前記第二陽極との間に維持される放電と、
当該低圧水銀蒸気放電ランプが前記第二動作モードで動作する間、前記第一電極と前記第一陽極との間に維持される放電とを含む、
低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項2】
前記第一陽極は、第一ダイオードを介して前記第一電極に接続される、請求項1に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項3】
前記第二端部は、前記放電空間内に配置された第二電極を備え、
前記第二電極は、前記第二陽極の近傍に配置され、
当該低圧水銀蒸気放電ランプが前記第一動作モードで動作する間、放電が、前記第一電極と前記第二陽極との間、及び、前記第二電極と前記第一陽極との間に交互に維持され、
当該低圧水銀蒸気放電ランプが前記第二動作モードで動作する間、放電が、前記第一電極と前記第一陽極との間、及び、前記第二電極と前記第二陽極との間に交互に維持される、
請求項1に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項4】
前記第一陽極は、第一ダイオードを介して前記第一電極に接続され、前記第二陽極は、第二ダイオードを介して前記第二電極に接続される、請求項3に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項5】
前記放電容器は、前記第一端部及び前記第二端部の近傍で発光材料のない状態に維持される、請求項3に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項6】
前記放電容器は、管状主要部と、第一管状側部と、第二管状側部とを含み、
前記第一管状側部及び前記第二管状側部は、前記管状主要部の両端のそれぞれに隣接して配置され、
前記第一管状側部及び前記第二管状側部は、第一管状相互接続手段及び第二管状相互接続手段を介してそれぞれ前記管状主要部に接続され、
前記放電容器の前記第一端部及び前記第二端部は、前記第一管状側部及び前記第二管状側部内に配置される、
請求項1、2、3、又は、4に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項7】
前記第一管状側部及び前記第二管状側部は、発光材料のない状態に維持される、請求項6に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項8】
前記第一管状相互接続手段及び前記第二相互接続手段は、ブリッジ部又は屈曲部を含む、請求項6に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項9】
複数の表示行を含むディスプレイ装置であって、
当該ディスプレイ装置は、制御ユニットを含み、且つ、関連する群の前記表示行を照明するために、請求項1、2、3、又は、4に記載の少なくとも1つの低圧水銀蒸気放電ランプを含み、前記制御ユニットは、前記低圧水銀蒸気放電ランプを、当該ディスプレイ装置の走査周波数と対応する切換え周波数で、前記第一動作モード及び前記第二動作モードの間で切り換えるよう動作し、前記低圧水銀蒸気放電ランプは、前記関連する群の表示行の走査中、前記第二動作モードにある、ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記制御ユニットは、前記表示行の走査前の所定の第一周期に、前記低圧水銀蒸気放電ランプを前記第二動作モードに切り換えるよう動作し、前記表示行の走査後の所定の第二周期に、前記低圧水銀蒸気放電ランプを前記第一動作モードに切り換えるよう動作する、請求項9に記載のディスプレイ装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2007−537569(P2007−537569A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512657(P2007−512657)
【出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【国際出願番号】PCT/IB2005/051458
【国際公開番号】WO2005/109468
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】