説明

低温ショーケース

【課題】陳列室内の照明による冷却効率の低下を解消し、少ないスペースにて照明を実現し、断熱壁の厚さ寸法を適切に確保する。
【解決手段】本発明の低温ショーケースRは、断熱箱体2内に構成された陳列室6にて商品を冷却しながら陳列するものであって、断熱箱体2外から陳列室6内に渡って設けられた導光部材33と、断熱箱体2外に設けられた光源30、31とを備え、導光部材33は、光入射部42と、この光入射部42から入射された光を放射する光放射面36とを有し、この光放射面36は陳列室6内に位置し、光入射部42は断熱箱体2外に位置して光源30、31に対向している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱箱体内に構成された陳列室にて商品を冷却しながら陳列する低温ショーケースであって、特に、陳列室内の照明に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗に設置されるショーケースには、内部に商品を陳列するための陳列室が形成されており、当該陳列室内を圧縮機や凝縮器、蒸発器などから構成される冷却装置によって、所定の温度に冷却している。係るショーケースには、陳列室内に位置して当該陳列室内に陳列される商品を照明するための蛍光灯が設けられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図8及び図9は、従来のショーケースの蛍光灯の取付状態を示している。図8はショーケース100の部分上方斜視図であり、図9はショーケース100の部分横断平面図を示している。この場合、断熱箱体101内には前面に開口する陳列室102が構成され、この陳列室102の前面開口は内部を透視可能なガラス扉103にて閉塞されている。そして、断熱箱体101の前面開口近傍の陳列室102内には、上下に渡って蛍光灯105を収容するための溝106が形成されており、当該溝106内に蛍光灯105が埋設されている。そして、この溝106の陳列室102側の開口は、蛍光灯105が収容された状態で、光を透過可能とするシェード107により閉塞されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−54873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように陳列室102内に蛍光灯105を埋設して、陳列室102内を照明する構成では、蛍光灯105自体が通電により発熱するため、商品を冷却しながら陳列するショーケースにおいて、当該発熱量をも考慮して冷却装置を運転しなければならず、低温ショーケース100の冷却能力の低下を招く。
【0006】
また、断熱箱体101自体に溝106を形成するため、当該箇所における断熱材の厚さ寸法が著しく低減され、場合によっては適正な厚さ寸法の半分以下にまで薄くなり、断熱性能が確保されない問題がある。
【0007】
また、蛍光灯105自体が発熱することから安全面を考慮し、蛍光灯105が収容される溝106は、蛍光灯105の外面から所定寸法以上の間隔を形成しなければならず、より断熱材が薄くなり、断熱性の低下を招来する。
【0008】
そこで、少しでも断熱材を確保すべく、蛍光灯105を陳列室102側に変位させて配置すると、蛍光灯105及びそれを被覆するシェード107が大きく陳列室102側に突出することとなり、陳列室102内の陳列スペースの狭小化や、デッドスペースが形成されるという不都合が生じる。
【0009】
また、取り付けられる蛍光灯は、規格品であるため、陳列室102の上端部から下端部に渡った取付ができず、結果として陳列室102内上部や下部が暗くなるという問題がある。更に、当該蛍光灯は、照度が設置される箇所の温度に依存するため、低温箇所に設置されることで、照度が低下する問題がある。
【0010】
本発明は従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、陳列室内の照明による冷却効率の低下を解消し、少ないスペースにて照明を実現し、断熱壁の厚さ寸法を適切に確保することができる低温ショーケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の低温ショーケースは、断熱箱体内に構成された陳列室にて商品を冷却しながら陳列するものであって、断熱箱体外から陳列室内に渡って設けられた導光部材と、断熱箱体外に設けられた光源とを備え、導光部材は、光入射部と、この光入射部から入射された光を放射する光放射面とを有し、この光放射面は陳列室内に位置し、光入射部は断熱箱体外に位置して光源に対向していることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、上記発明において、光源は、LED素子にて構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、上記各発明において、導光部材は、陳列室内に配置され、光放射面を有する第1の導光部と、断熱箱体を貫通するかたちで当該断熱箱体の断熱材内に埋設され、光入射部を有する第2の導光部とを有し、第1の導光部と第2の導光部とが陳列室内にて光学的連結されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、上記各発明において、光源を断熱箱体の下側に構成された機械室内に設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、上記各発明において、光源を断熱箱体の上側及び下側にそれぞれ設け、導光部材の上下端には、上下の光源にそれぞれ対向する光入射部が構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、上記各発明において、断熱箱体は前面が開口しており、導光部材は断熱箱体の開口近傍の陳列室内に設けられると共に、光放射面には、この光放射面より放射される光を斜め後方に指向させるシェードが被覆されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、断熱箱体内に構成された陳列室にて商品を冷却しながら陳列する低温ショーケースにおいて、断熱箱体外から陳列室内に渡って設けられた導光部材と、断熱箱体外に設けられた光源とを備え、導光部材は、光入射部と、この光入射部から入射された光を放射する光放射面とを有し、この光放射面は陳列室内に位置し、光入射部は断熱箱体外に位置して光源に対向していることにより、断熱箱体外に設けられた光源からの光を光入射部より導光部材内に入射させ、陳列室内に位置する光放射面より当該光を放射させて、これにより陳列室内を照明することができる。
【0018】
陳列室内を照明する光源を、断熱箱体外に設けることで、当該光源自体からの発熱が陳列室内に持ち込まれることによる冷却効率の低下を著しく解消することができる。これにより、低温ショーケース全体の省エネを実現することができる。
【0019】
また、陳列室内には光源が設けられず、断熱箱体外に設けられた光源からの光を陳列室内に位置する光放射面に導く導光部材のみが設けられるため、従来の如く蛍光灯を取り付ける場合と比較して、取付箇所における断熱箱体の断熱材の厚さ寸法を厚く確保することが可能となり、断熱性能の向上を図ることができる。
【0020】
更に、当該導光部材は、蛍光灯のような規格品ではないため、陳列室内の寸法に応じて構成することが可能となり、陳列室内上部や下部などにおいても光を放射でき、陳列室内全体を明るく照明することが可能となる。また、蛍光灯のような低温による照度低下を生じないため、陳列室内を冷凍などの低温に冷却して使用する低温ショーケースにおいて特に有効となる。
【0021】
請求項2の発明によれば、上記発明に加えて、光源は、LED素子にて構成されているため、他の光源に比べて高い指向性を実現でき、導光部材の光入射部から入射された光を効果的に光放射面から放射することが可能となる。
【0022】
請求項3の発明によれば、上記各発明に加えて、導光部材は、陳列室内に配置され、光放射面を有する第1の導光部と、断熱箱体を貫通するかたちで当該断熱箱体の断熱材内に埋設され、光入射部を有する第2の導光部とを有し、第1の導光部と第2の導光部とが陳列室内にて光学的に連結されていることにより、導光部材が、陳列室内にて光を放射する第1の導光部と、断熱箱体を貫通する第2の導光部とから構成されることで、一体に構成されたものを断熱箱体に取り付ける場合に比して、容易に製造することが可能となる。
【0023】
特に、断熱箱体の上下に渡って導光部材を構成する場合、導光部材の上部と下部は、断熱材内に埋設されることとなるが、断熱箱体の製造時における断熱材が発泡充填される際、導光部材の上下部分に当該発泡圧力が加わり、これによって、導光部材が変形、若しくは、破損してしまうが、このように、断熱箱体内に埋設される第2の導光部と、光を陳列室内に放射する第1の導光部との複数部品にて構成することで、係る不都合を未然に解消することができる。
【0024】
請求項4の発明によれば、上記各発明に加えて、光源を断熱箱体の下側に構成された機械室内に設けたことにより、支障なく断熱箱体外に光源を配設し、メンテナンス作業性を容易とすることができる。また、光源への通電による発熱は、機械室内に配設される他の機器からの発熱と共に、廃熱処理することができる。
【0025】
また、請求項5の発明によれば、上記各発明に加えて、光源を断熱箱体の上側及び下側にそれぞれ設け、導光部材の上下端には、上下の光源にそれぞれ対向する光入射部が構成されているので、導光部材の上下端に形成された光入射部より光源からの光を入射させて、陳列室内に位置する放射面より放射させることができる。
【0026】
これにより、導光部材の対向する上下端の光入射部から光を入射させることが可能となるため、導光部材の光放射面全体から効果的に光を放射でき、陳列室内の照明を上下に渡って支障なく行うことが可能となる。
【0027】
請求項6の発明によれば、上記各発明に加えて、断熱箱体は前面が開口しており、導光部材は断熱箱体の開口近傍の陳列室内に設けられると共に、光放射面には、この光放射面より放射される光を斜め後方に指向させるシェードが被覆されているので、光放射面から放射される光を効果的に陳列室内に陳列される商品に向けて照射することが可能となる。これにより、効果的な商品照明を実現できる。
【0028】
また、陳列室の開口側に光が照射されることを抑止でき、商品選択を行う顧客等が眩しいと感じる不都合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を適用した低温ショーケースの斜視図である。
【図2】図1の低温ショーケースの縦断側面図である。
【図3】断熱箱体上部の照明装置部分の拡大斜視図である。
【図4】断熱箱体下部の照明装置部分拡大斜視図である。
【図5】断熱箱体上部の照明装置部分拡大縦断正面図である。
【図6】断熱箱体の照明装置部分拡大横断平面図である。
【図7】図6の部分拡大図である。
【図8】ショーケースの部分上方斜視図である。
【図9】ショーケースの部分横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1は本発明を適用した低温ショーケースRの斜視図、図2は図1の低温ショーケースRの縦断側面図をそれぞれ示している。本実施例の低温ショーケースRは、例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの店舗に設置される冷凍或いは冷蔵用の低温ショーケースであり、前面に開口する矩形状の断熱箱体2により本体が構成されている。この断熱箱体2は、前面に開口を有した鋼板製の外箱3と、前面に開口を有する内箱4とこれら内外両箱3、4間に現場にて発泡充填される断熱材5とから構成されている。
【0031】
そして、断熱箱体2内には、前面に開口する陳列室6が形成され、当該陳列室6の前面開口7は、内部を透視可能な透明材料としてのガラス8を備えた扉9により開閉自在に閉塞されている。扉9は一側端が断熱箱体2の側部に回動自在に枢支された開き扉とされている。また、陳列室6内には商品を載置するための複数段の棚11・・が架設されている。尚、当該棚11は、陳列室6内壁を構成する両側面の前部及び後部に位置して上下に渡って設けられ、所定間隔を存して複数の係合孔が形成される棚支柱12に着脱自在に架設される。
【0032】
断熱箱体2の底面には、所定の高さを有する台脚アングル13が取り付けられており、当該台脚アングル13の両側面は、断熱箱体2の両側面と共に化粧パネル14にて被覆されている。これにより、断熱箱体2の下方に機械室15が形成される。また、断熱箱体2の底壁2Aには、断熱材5を貫通するかたちで図示しない冷気吸込口及び冷気吐出口が前後に形成されている。
【0033】
機械室15の天井となる断熱箱体2の底壁2A下面には、上面に開口を有する冷却箱20が当接して設けられる。この冷却箱20の内部には、冷却室21が形成され、冷却装置を構成する蒸発器22及び当該蒸発器22の近傍に冷気循環用送風機19が配設される。尚、この冷却箱20の上面開口には、断熱箱体2側の冷気吸込口及び冷気吐出口に対応する冷気吸込口及び冷気吐出口が形成されている。
【0034】
他方、断熱箱体2の背壁2Bの内方には、底壁2Aに形成された冷気吐出口と陳列室6の上部とを連通するダクト16を構成する仕切板17が取り付けられている。この仕切板17には、冷気循環用送風機19から吐出された冷気を陳列室6内に供給するための図示しない複数の開口が形成されている。これにより、陳列室6内に冷気の供給が効果的に行われ、当該陳列室6内の商品は冷却しながら陳列される。
【0035】
一方、前記機械室15内には、取付台23が収容されており、この取付台23には、前記蒸発器22と共に冷却装置を構成する圧縮機24や凝縮器25及び凝縮器用送風機26と、図示しない電装箱などが配設されている。取付台23上の圧縮機24や凝縮器25等は、冷却箱20内の蒸発器22と冷媒配管にて接続され、周知の冷凍サイクルを構成している。
【0036】
機械室15の前面開口には、通風口27Aが形成された前面パネル27が開閉自在に閉塞されている。これにより、凝縮器用送風機26が運転されると、機械室15後方空吸い込まれた外気は、機械室15内を循環して、圧縮機24や凝縮器25等を冷却した後、前面パネル27の通風口27Aより排気される。
【0037】
次に、陳列室6内を照明する照明装置30について図3乃至図7を参照して説明する。図3は断熱箱体2上部の照明装置30部分の拡大斜視図、図4は断熱箱体2下部の照明装置30部分拡大斜視図、図5は断熱箱体2上部の照明装置30部分拡大縦断正面図、図6は断熱箱体2の照明装置30部分拡大横断平面図、図7は図6の部分拡大図をそれぞれ示している。
【0038】
本実施例における照明装置30は、断熱箱体2外に設けられた光源31、32と、第1及び第2の導光部35、40、41から成る導光部材33とから構成され、それぞれ断熱箱体2の前面開口7近傍の両側部に上下に延在して設けられる。
【0039】
本実施例において光源31、32は、チップタイプの白色LED素子を複数個並設して構成される。光源31は、断熱箱体2の外側(陳列室6外。庫外)に位置する断熱箱体2の上側に設けられ、光源32は、同じく断熱箱体2の外側に位置する断熱箱体2の下側に設けられ、何れも断熱箱体2側に向けて光を照射するように配設される。
【0040】
断熱箱体2の上側に配設される光源31は、断熱箱体2の前面開口7近傍に相当する上面前部に配設されて、当該断熱箱体2の上側前面を開閉自在に被覆する前面パネル28によって隠蔽される。断熱箱体2の下側に配設される光源32は、断熱箱体2の前面開口7近傍に相当する機械室15内前部に設けられ、他の圧縮機24と同様に、前面パネル27にて開閉自在に隠蔽される。
【0041】
導光部材33は、陳列室6内に配置され、当該陳列室6内に臨む面(対向する面)が光放射面36とされる第1の導光部35と、断熱箱体2の上壁2C、又は、底壁2Aを貫通するかたちで当該断熱箱体2の断熱材5内に埋設され、光源31又は32からの光を入射する光入射部42を有する第2の導光部40、41とから構成される。第1の導光部35と、この導光部35の上下それぞれに、陳列室6内にて光学的に第2の導光部40、41が連結されることにより、導光部材33は、断熱箱体2外から陳列室6内に渡って設けられる。
【0042】
第1の導光部35は、陳列室6内に上下に渡って延在する透光性を有する導光板にて構成され、本実施例では、断熱箱体2の前面開口7近傍の陳列室6の内壁面(側壁内面)48に上下に渡って延在して凹陥して形成された導光部材収納部49内に配設される。本実施例では、第1の導光部35は、光放射面36が陳列室6内方に臨んで状態で導光部材収納部40内に配設され、この光放射面36側に後述するシェード50が取り付けられた状態で、その陳列室6側の面は、図6に示すように、陳列室6の内壁面48と略面一とされる。
【0043】
そして、本実施例における第1の導光部35は、透明な熱可塑性樹脂板、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性オレフィン系樹脂等にて構成されており、光放射面36と対向する面は、圧熱プレスにて凸状のドット加工が施された光拡散面37とされている。本実施例では、凸状のドット加工により光拡散面37を構成しているが、これに限定されるものではなく、第2の導光部40、41を介して入射した光を乱反射させ拡散するための構造であれば、例えば、磨りガラス形状や複数条の溝や筋、傷などによって形成しても良い。
【0044】
光放射面36と、第2の導光部40、41と光学的に連結される端面39以外の面、即ち、この光拡散面37側の面、及び、導光部材収納部49を構成する内壁に対向する面には、当該第1の導光部35内に入射された光を他に漏洩させることなく効率的に光放射面36から放射させるための反射手段が施されている。本実施例では、当該第1の導光部35を収容保持する取付部材38の内面に光反射面を構成し、当該取付部材38に収容した状態で、導光部材収納部49へ取り付ける。尚、この反射手段は、これに限られるものではなく、光反射効率の高い塗料の塗布や、光反射効率の高い材料にて構成された反射板を当接させて設けるものとしても良い。
【0045】
また、この取付部材38内に収容された第1の導光部35の光放射面36には、シェード50が被覆されている。このシェード50は、例えば乳白色の光透過性(透光性)材料にて構成されており、図7に示すように、陳列室6側の面が平坦とされていると共に、第1の導光部35側の面50Aは、光放射面36より放射される光を斜め後方に指向するため、所定角度で傾斜した波状に形成されている。
【0046】
一方、第2の導光部40、41は、それぞれ断熱箱体2の上壁2C又は底壁2Aを貫通する透光性を有する導光板にて構成されている。ここで、各導光部40、41は、略同様の構成とされるため、図5を参照し断熱箱体2上部に設けられる第2の導光部40を例に挙げて説明する。
【0047】
第2の導光部40の上端(断熱箱体2の外面側)は、断熱箱体2の上壁2Cの上面から所定寸法だけ突出し、その端面が断熱箱体2の上側(外側)に設けられる光源31と対向し、光源31からの光を入射させる光入射部42とされる。第2の導光部40の下端(陳列室6内側)は、断熱箱体2の上壁2Cの下面(陳列室6内壁面)から所定寸法だけ突出し、その端面が陳列室6内に配設される第1の導光部35の上端の端面39と対向し、当該第2の導光部40内に入射された光を第1の導光部35に入射させる光放射部43とされる。
【0048】
当該第2の導光部40は、断熱箱体2の外側に設けられた光源31からの光を陳列室6内に配設される第1の導光部35に入射させるものであり、当該光入射部42及び光放射部43が形成される以外の面は、上記同様、反射手段が施されている。
【0049】
以上の構成により、照明装置30を当該断熱箱体2に配設する場合には、先ず、断熱箱体2の組立作業時に、断熱箱体2の上壁2C及び底壁2Aの対応する位置に各第2の導光部40、41を貫通させた状態とし、その状態で、断熱材5を現場発泡充填し、各第2の導光部40、41を断熱材5に埋設する。
【0050】
その後、陳列室6内に形成された導光部材収納部49に第1の導光部35を取り付け、当該第1の導光部35の上端面39と断熱箱体2の上部に埋設された第2の導光部40の光放射部43とを対向させる。同様に、第1の導光部35の下端面39と断熱箱体2の下部に埋設された第2の導光部41の光放射部43とを対向させる。
【0051】
この状態で、上下の対向部分を、当該部分にて他に光が漏洩しないように連結部材51によって連結する。ここで、第1の導光部35は、陳列室6内に上下に渡って構成される長手形状とされるため、その素材特性により熱変化による伸縮度合いが大きい。当該低温ショーケースRは、倉庫等に置かれた状態では、温度上昇により伸張し、使用状態となり陳列室6内が冷却して使用されると、温度低下によって縮退する。
【0052】
そのため、当該連結部材51は、第1の導光部35と第2の導光部40との間に、当該伸縮度を緩衝可能に考慮した所定の間隔Sを存して、これら連結箇所の周囲を囲繞し、これら第1の導光部35と第2の導光部40とを光を透過可能に連結、即ち、光学的に連結する。
【0053】
以上の構成により、照明装置30の光源31、32が点灯されると、断熱箱体2外にて各光源31、32から照射された光は、先ず、対向して設けられる光入射部42より第2の導光部40、41内に入射され、断熱箱体2を貫通して陳列室6内に位置する光放射部43より対向して設けられる第1の導光部35の上下端面39より第1の導光部35内に入射される。
【0054】
第1の導光部35内に入射された光は、光源31、32からの照射方向に進入すると共に、当該第1の導光部35の光拡散面37にて拡散され、更に、取付部材38内面の光反射面より反射されて、陳列室6側の面に形成された光放射面36から放射される。これにより、陳列室6内は、前面開口7近傍において両側部に設けられる照明装置30の光放射面36からの光によって照明される。
【0055】
このように、本実施例における照明装置30は、陳列室6内を照明する光源31、32を、断熱箱体2外に設けることで、当該光源自体からの発熱が陳列室6内に持ち込まれることによる冷却効率の低下を著しく解消することができる。これにより、低温ショーケースR全体の省エネを実現することができる。
【0056】
また、陳列室6内には光源30、31が設けられず、断熱箱体2外に設けられた光源からの光を陳列室6内に位置する光放射面36に導く導光部材33(第1の導光部35)のみが設けられるため、従来の如く蛍光灯を取り付ける場合と比較して、取付箇所における断熱箱体の断熱材の厚さ寸法を厚く確保することが可能となり、断熱性能の向上を図ることができる。
【0057】
また、照明装置30自体を断熱箱体2の内壁面内に略面一に収納可能とされるため、外観の向上及び、陳列室6内の商品陳列スペースの拡張、デッドスペースの解消を行うことができる。
【0058】
更に、当該導光部材33を構成する第1の導光部35は、蛍光灯のような規格品ではないため、陳列室6内の寸法に応じて構成することが可能となり、陳列室6内上部や下部などにおいても支障なく光を放射でき、陳列室6内全体を明るく照明することが可能となる。また、蛍光灯のような低温による照度低下を生じないため、陳列室6内を冷凍などの低温に冷却して使用する低温ショーケースRにおいて特に有効となる。
【0059】
また、本実施例では、第1の導光部35の光放射面36側に位置して当該光放射面35から放射された光を斜め後方に指向させるシェード50が被覆されているため、前面開口7近傍に位置する陳列室6内前部側方に位置する各光放射面36から放射される光を効果的に陳列室6内に陳列される商品に向けて照射することが可能となる。これにより、効果的な商品照明を実現できる。また、陳列室6の前面開口7側に光が照射されることを抑止でき、商品選択を行う顧客等が眩しいと感じる不都合を回避することができる。
【0060】
特に、本実施例では、上述したように、光源30、31を断熱箱体2の上側及び下側にそれぞれ設け、導光部材33の上下端に相当する第2の導光部40、41には、上下の光源30、31にそれぞれ対向する光入射部42、42が構成されているので、各導光部40、41の上下端に形成された光入射部42、42より光源30、31からの光を入射させて、陳列室6内に位置する第1の導光部35の光放射面36より放射させることができる。
【0061】
これにより、導光部材33の対向する上下端の光入射部42、42から光を入射させることが可能となるため、導光部材33の光放射面36全体から効果的に光を放射でき、陳列室6内の照明を上下に渡って支障なく行うことが可能となる。
【0062】
特に、断熱箱体2の下側に配設される光源32は、断熱箱体2の下側に構成された機械室15内に配設されるため、支障なく断熱箱体2外に光源32を配設し、メンテナンス作業性を容易とすることができる。また、光源21への通電による発熱は、機械室15内に配設される他の機器からの発熱と共に、廃熱処理することができる。
【0063】
また、本実施例では、光源31としてLED素子を採用しているため、他の光源に比べて高い指向性を実現でき、導光部材33の光入射部42から入射された光を効果的に光放射面36から放射することが可能となる。
【0064】
また、LED素子は、蛍光灯照明に比べて、耐用年数が長く、交換メンテナンス等を不要とすることが可能となると共に、消費電力を低く抑えることが可能となる。従って、全体としてのコストの低減を図ることが可能となる。
【0065】
また、上記実施例において、導光部材33は、陳列室6内にて光を放射する第1の導光部35と、断熱箱体2を貫通する第2の導光部40、41とから構成されることで、一体に構成されたものを断熱箱体2に取り付ける場合に比して、容易に製造することが可能となる。
【0066】
特に、断熱箱体2の上下に渡って導光部材33を構成する場合、導光部材33の上部と下部は、断熱材5内に埋設されることとなるが、断熱箱体2の製造時における断熱材が発泡充填される際、導光部材の上下部分に当該発泡圧力が加わり、これによって、導光部材が変形、若しくは、破損してしまうが、このように、光を陳列室内に放射する第1の導光部35と、断熱箱体2内に埋設される第2の導光部40、41との複数部品にて構成することで、係る不都合を未然に解消することができる。
【0067】
また、陳列室6内の温度変化により、導光部材33の第1の導光部35が伸縮した場合であっても、連結部材51によって、当該伸縮を緩衝しつつ第1の導光部35と第2の導光部40、41とが光学的に連結されるため、当該第1の導光部35の破損等を未然に回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
R 低温ショーケース
2 断熱箱体
2A 底壁
2B 背壁
2C 上壁
3 外箱
4 内箱
5 断熱材
6 陳列室
7 前面開口
15 機械室
30 照明装置
31、32 光源
33 導光部材
35 第1の導光部
36 光放射面
37 光拡散面
38 取付部材(反射面)
39 端面
40、41 第2の導光部
42 光入射部
43 光放射部
48 内壁面(側壁内面)
49 導光部材収納部
50 シェード
50A 面
51 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱箱体内に構成された陳列室にて商品を冷却しながら陳列する低温ショーケースにおいて、
前記断熱箱体外から前記陳列室内に渡って設けられた導光部材と、
前記断熱箱体外に設けられた光源とを備え、
前記導光部材は、光入射部と、該光入射部から入射された光を放射する光放射面とを有し、該光放射面は前記陳列室内に位置し、前記光入射部は前記断熱箱体外に位置して前記光源に対向していることを特徴とする低温ショーケース。
【請求項2】
前記光源は、LED素子にて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の低温ショーケース。
【請求項3】
前記導光部材は、前記陳列室内に配置され、前記光放射面を有する第1の導光部と、前記断熱箱体を貫通するかたちで当該断熱箱体の断熱材内に埋設され、前記光入射部を有する第2の導光部とを有し、
前記第1の導光部と第2の導光部とが前記陳列室内にて光学的連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の低温ショーケース。
【請求項4】
前記光源を前記断熱箱体の下側に構成された機械室内に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載の低温ショーケース。
【請求項5】
前記光源を前記断熱箱体の上側及び下側にそれぞれ設け、前記導光部材の上下端には、上下の前記光源にそれぞれ対向する前記光入射部が構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちの何れかに記載の低温ショーケース。
【請求項6】
前記断熱箱体は前面が開口しており、前記導光部材は前記断熱箱体の開口近傍の前記陳列室内に設けられると共に、前記光放射面には、該光放射面より放射される光を斜め後方に指向させるシェードが被覆されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちの何れかに記載の低温ショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−245214(P2011−245214A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123993(P2010−123993)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】