説明

低温冷却/液化のための方法および装置

本発明は、圧縮ステーション(2)及びコールドボックス(3)を備えた動作回路を含む冷却器/気化器による、特にヘリウムを含む或いは純粋なヘリウムからなる動作流体の低温冷却/液化のための方法に関する。冷却器/気化器は、圧縮ステーション(2)内での動作流体の圧縮と、コールドボックス(3)内での動作流体の冷却および拡張と、および動作流体が圧縮ステーション(2)へ戻すために動作流体の加熱と、を順に有するサイクルのため、動作ガスを動作回路内に受ける。圧縮ステーション(2)は、それぞれ受け(5)に搭載された1つ或いはそれ以上のコンプレッサー(12)を使う1つ或いはそれ以上の圧縮レベルを含む。この方法は、動作回路から来る動作流体の漏れを、再循環して動作回路内へ戻す(13、21)ため、ゾーン(13)へガイドするガスシールを形成するように、冷却器が、動作流体から分離されたシールガスをコンプレッサーの少なくとも1つの受け(5)へ注入するための装置(4)を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、低温冷却/液化方法および装置に関する。
【0002】
この発明は、特に、液化方法および装置に関し、ヘリウムで動作する冷却方法および装置に関する。
【0003】
この発明は、より明確には、圧縮ステーションおよびコールドボックスを備えた動作回路を有する冷却器/気化器を使う、動作流体、特にヘリウムを含む或いは純粋なヘリウムからなる動作流体の低温冷却/液化のための方法であって、冷却器/気化器が、動作ガスを動作回路内に受け、圧縮ステーション内での動作流体の圧縮と、コールドボックス内での動作流体の冷却および拡張と、および動作流体が圧縮ステーションへ戻れるように、動作流体の再加熱と、を順に有するサイクルへ送り、圧縮ステーションが、それぞれが複数のベアリングに搭載された1つ或いはいくらかのコンプレッサーを使う1つ或いはいくらかの圧縮ステージを有する方法に関する。
【0004】
低温(例えば、80K未満或いは20K未満)で動作する冷却器或いは液化器は、圧縮、拡張、冷却、および再加熱を有する動作サイクルへ受け入れられる動作流体(例えば、ヘリウム)を使う。これらの装置は、一般に、動作ガスの圧縮のためのいくらかのステージを必要とする。各圧縮ステージは、1つ或いはそれ以上の圧縮機推進器を使う。1つの例は、遠心タイプの圧縮機である。
【0005】
圧縮ステーション内における回転部分と固定部分との間の境界での動作ガスの漏れは避けることができない。特に、動作ガスがヘリウムである場合、ガスの比較的重大な漏れが、圧縮機推進器のシャフトを支持する複数のベアリングで観測される。比較的高価な動作ガスのこのようなロスを制限するため、ガスのための迷路を形成するパッキングのような部材、オイルシール、浮遊リングシール、ガスシールなどを用いて制限される、各圧縮ステージの各ベアリングでの漏れのための知られた実施である。
【0006】
これらの装置が装備コストを増大する事実から考えないで、これらの知られたシステムは、冷却器/液化器技術に常に最も適している訳では無い。
【0007】
さらに、圧縮ステーションの構造内にあるオイルは、動作ガスが汚染されること(ヘリウムとの混合によって、或いは蒸気および/或いは軽い炭化水素の追加によって)を許されてはならない。動作回路内へ導入されたこのような不純物が極低温で封鎖を生出し、装備の破損を引き起こす。
【0008】
上述した従来技術の不利益の全て或いはいくらかを多少とも解消することが本発明の目的である。
【0009】
このために、本発明によるところの方法は、他の点において、上の前文で与えられたその一般的な定義に従って、実質的に、冷却器が、動作流体と性質が異なるバリアガスをコンプレッサーの少なくとも1つのベアリング或いはコンプレッサー内へ注入するための装置を有し、動作回路から生ずる動作流体の漏れを、回収して動作回路へ戻すため、ゾーンに向けてガイドするガス状のバリアを形成することを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明のいくつかの実施例は、1つ或いはいくらかの以下の特徴を含んでもよく:
バリアガスを注入するための装置は、圧縮ステーションのオイル収容機構、或いは大気に関してシールされない、圧縮ステーションの少なくとも1つのいわゆる汚染されたゾーンに向けて動作流体の漏れの通過を防止するように、ガス状のバリアを形成し、
バリアガスは、少なくとも1つのベアリング内へ、このベアリングに搭載されたコンプレッサーでの動作回路内の動作流体の圧力より低い圧力で、注入され、
バリアガスは、窒素を含み、或いは純粋な窒素からなり、
バリアガスを注入するための装置は、少なくとも1つのバリアガス注入ポイントと、注入されたバリアガスおよび漏れ或いは複数の漏れから生ずる動作流体を含む混合物を収集するための少なくとも1つの出口と、を有し、
冷却器/気化器は、精製されるガスのための入口および精製されたガスのための出口を有するガス精製部を有し、該精製部の出口は、圧縮ステーションの出口で動作回路へ流体を流通可能に接続され、少なくとも1つの出口によって収集されたバリアガスと動作流体の混合物の少なくとも一部は、精製されることができるように、精製部の入口内へ再注入され、圧縮ステーションの出口で動作回路内へ再注入され、
精製部の入口は、回路の動作流体と性質が異なるガスによってガスが供給され、すなわち動作回路が“オープン”タイプの回路であり、
少なくとも1つの出口によって収集された動作流体とバリアガスの混合物の少なくとも一部が、圧縮ステーションの入口でおよび/或いは中間圧縮ステージでおよび/或いは圧縮ステーションの出口で、動作回路内へ再注入され、
動作サイクルは、“閉じた”サイクルになると言われ、動作回路から生ずる動作ガスのみを伴って供給された精製されるガスのための入口、およびコールドボックスへ供給する精製されたガスのための出口を有するガス精製部を有し、
冷却器/気化器は、精製されるガスのための入口、および精製されたガスのための出口を有するガス精製部を有し、この精製部の出口が、圧縮ステーションへの入口で動作回路へ流体を流通可能に接続され、少なくとも1つの出口によって収集されたバリアガスと動作流体の混合物の少なくとも一部が、精製されることができるように、精製部の入口内へ再注入され、圧縮ステーションの入口で動作回路内へ再注入され、
冷却器/気化器は、精製されるガスのための入口、および精製されたガスのための出口を有するガス精製部を有し、この精製部の出口が、圧縮ステーションの中間圧縮ステージでおよび/或いは圧縮ステーションの出口で動作回路へ流体を流通可能に接続され、少なくとも1つの出口によって収集されたバリアガスと動作流体の混合物の少なくとも一部が、精製されることができるように、精製部の入口内へ再注入され、圧縮ステーションの出口内或いは該出口で動作回路内へ再注入され、
少なくとも1つの出口によって収集されたバリアガスと動作流体の混合物の少なくとも一部は、精製部の入口へ供給される前に圧縮され、
装置は、動作ガスから不純物を分離するように、特に、混合物からバリアガスを除去するように、混合物を精製するための精製部を有し、混合物は、精製部を通過して動作回路内へ一度再注入され、
精製部は、ガスから窒素を除去するように、不純物を動作流体より除去するための分離システムを有し、
精製部は、精製されたガス或いは精製されるガスを圧縮するためのシステムを有してもよく、
1つのコンプレッサー或いは複数のコンプレッサーは遠心タイプであり、
コールドボックスの1つの拡張タービン或いは複数のタービンは遠心タイプである。
【0011】
また、本発明は、ヘリウムを含み或いは純粋なヘリウムからなる動作流体の低温冷却/液化のための装置に関し、この装置は、圧縮ステーションおよびコールドボックスを備えた動作回路を有し、この動作回路が、圧縮ステーション内での動作流体の圧縮と、コールドボックス内での動作流体の冷却および拡張と、および動作流体が圧縮ステーションへ戻れるように動作流体の再加熱と、を順に有するサイクルへ動作ガスを受け、圧縮ステーションが、それぞれ複数のベアリングに搭載された1つ或いはいくらかのコンプレッサーを使う1つ或いはいくらかの圧縮ステージを有し、冷却器が、動作流体と性質が異なるバリアガスを1つのコンプレッサー或いは複数のコンプレッサーの少なくとも1つのベアリング内へ注入するための装置を有し、動作回路から生ずる動作流体の漏れを、回収して動作回路へ戻すため、ゾーンに向けてガイドするガス状のバリアを形成することを特徴とする。
【0012】
他の可能な特別な特徴によると:
バリアガスを注入するための装置は、少なくとも1つのバリアガス注入ポイントと、注入されたバリアガスおよび漏れ或いは複数の漏れから生ずる動作流体を含む混合物を収集するための少なくとも1つの出口と、を有し、回路は、混合物を、圧縮ステーションの入口でおよび/或いは圧縮ステーションの中間圧縮ステージでおよび/或いは圧縮ステーションの出口で、動作回路内へ再注入するパイプを有し;
装置は、動作ガスから不純物を分離するように、特に、混合物からバリアガスを除去するように、混合物を精製するための精製部を有し、混合物は、精製部を通過して動作回路内へ一度再注入される。
【0013】
この発明は、上文或いは下文に記載された特徴のいくらかの組み合わせを有するいくらかの代わりの方法或いは装置に関する。
【0014】
他の特性および長所は、図面の参照を伴って与えられる以下の説明を読むことから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、複数のベアリングに搭載され動作ガスの漏れを収集するための装置を備えた本発明によるところのコンプレッサー推進機の1つの実施例を示す部分概略断面図である。
【図2】図2は、本発明によるところの冷却および/或いは液化装置の第1の実施例の構造および動作を示す部分概略図である。
【図3】図3は、本発明によるところの冷却および/或いは液化装置の第2の実施例の構造および動作を示す部分概略図である。
【図4】図4は、本発明によるところの冷却および/或いは液化装置の第3の実施例の構造および動作を示す部分概略図である。
【図5】図5は、本発明によるところの冷却および/或いは液化装置の第4の実施例の構造および動作を示す部分概略図である。
【0016】
図2に示された冷却装置/液化装置の例は、通常の方法において、圧縮ステーション2およびコールドボックス3を有する。
【0017】
この冷却装置/液化装置は、低いモル質量の動作流体を使い、好ましくは、大部分が或いは純粋なガス状のヘリウムを使う。
【0018】
図示されたように、このヘリウムは、ヘリウムリッチガスの供給源Sから製造されることができ、例えば、冷却装置/液化装置の動作ループへヘリウムを供給するため精製ユニット1によって精製された天然ガス(或いはいくらかの他のガス)から製造されることができる。精製ユニット或いは各部1は、例えば、極低温ガス分離システムおよび/或いは平行に配置された2つの吸着器を含み、(例えば、PSA或いはTSAタイプの)連続する吸着/再生サイクルを交互に動作する。これらの吸着器は、空気、窒素のような不純物を除去するため、例えば、活性炭或いはシリカベースのタイプの吸着器である。
【0019】
それは、不純物の連続的な流入を伴うオープンループを形成するシステムということである。
【0020】
通常の方法において、動作ガスは、例えば遠心圧縮タイプの1つ或いはいくつかの圧縮機をそれぞれ用いる1つ或いはいくつかの圧縮ステージ12を用いる圧縮ステーション2内で環境温度で圧縮される。
【0021】
従って、圧縮ステーション2への入口で、動作ガスは、環境温度に近い温度、および例えば1バールと3バールabsの間に含まれる低圧LPとして知られる圧力で到着する。第1の圧縮ステージ12の出口で、動作ガスは、例えば3バールと8バールabsの間に含まれる中圧MPとして知られる圧力に達する。
【0022】
第2の圧縮ステージ12からの出口で、動作ガスは、例えば、9バールと27バールabsの間に含まれる高圧HPとして知られる圧力に達する。
【0023】
そして、この圧縮された動作ガスは、それが冷却される(或いは、予め冷却される)コールドボックス3へ入れられる。通常は、この(予めの)冷却の間、エネルギー(熱)が、1つ或いはそれ以上の極低温タービンにおける拡張によって、および/或いは例えば窒素のような極低温流体を伴う熱の交換によって、動作ガスから引き出される(単純のため、コールドボックスの詳細は図示していない)。
【0024】
一旦、動作流体がユーザーと熱交換されると、動作流体は、圧縮ステーション2の入口へ戻されてもよい(あるいは、交換器内で徐々に戻って加熱される)。
【0025】
図1に概略的に示されたように、圧縮推進機12のシャフト25の複数のベアリング5で動作ガス(He)の漏れが部分的に起こる。
【0026】
なるべくなら、動作回路から生ずる動作ガスの漏れを制限するため、1つ或いはそれ以上のシール装置15(例えば、“迷路”タイプのシール装置)がシャフト25の周りに各ベアリング5ごとに配置される。
【0027】
本発明によると、オイルOを収容する機械部分(ギア機構、および圧縮ステーションのモータ)から動作回路を切り離すため、バリアガス(例えば、窒素)がベアリング5およびシャフト25内へ注入される。それは、バリアガスが、出口24に向けて動作ガスの漏れをガイドするようにデザインされているということである。例えば、2つのバリアガスN2注入ポイント14が、注入されたバリアガスN2と収集された動作ガスHeを含む混合物のための出口通路24の側面に位置する。例えば、バリアガスN2だけが、オイルO或いは大気に接触する部分を通過する。
【0028】
なるべくなら、注入されたバリアガスの圧力は、接続された圧縮推進機での動作ガスの圧力より低い。その方法において、バリアガスによる動作回路のいかなる汚染も避けられる。
【0029】
バリアガス内への動作ガスの漏れが、このシーリングゾーンの正常な動作のために(特に、ベアリングを冷却する目的のために)必要であることがさらに気付かれるであろう。
【0030】
出口24で、バリアガスは、無視できない量の動作ガス(例えば、20モル%と50モル%との間)を含む。それゆえ、この混合物(He+N2)は、関係した圧縮ステージに基づく例えば1バールと7バールabsとの間に含まれる比較的低圧でベアリングを離れる。
【0031】
図2は、例えば、産業タイプの液化ユニットに関する第1の実施例を示す。
【0032】
この実施例において、この装置は、精製されるガスのための入口11、および精製されたガスのための出口21を有するガス精製部1を有する。精製部1の出口21は、その温度に基づいて、圧縮ステーション2の出口で、或いはサイクルの低いポイントで、動作回路へ流動的に接続される。
【0033】
精製部1の入口11は、供給源からのガスSが供給され、例えば、メタン、窒素、およびヘリウムの混合物が供給される。それは、動作回路内の動作ガスが、純粋ではなく精製処理をうけるガスとともにオープンループ内に供給されるということである。
【0034】
さらに、バリアガスと上述した出口24によって収集された動作流体との混合物が、精製させることが可能なように、パイプ13を介して、精製部1の入口で再注入され、そして、その温度に従って、圧縮ステーション2の出口、或いはサイクルの低いレベルで、動作回路内へ再注入される。それは、圧縮システムの出口24で動作ガスと混合されたバリアガスが、精製部1の取り入れ側、例えば精製部1の一部を形成するコンプレッサーの取り入れ側へ送られることができるということである。とりわけ、この収集された混合物は、精製部1の動作に影響を及ぼさない窒素不純物レベルを含む。
【0035】
動作ガスの漏れ量は、精製ユニットのコンプレッサーを通る流量と比較して、比較的低い。それゆえに、各動作ガス圧縮ステージ12でのシールのレベルは重大ではない。結果として、ベアリングでの高価なシール液15は、全体のコストの低減のため、避けられることができる。
【0036】
図3は、例えば、冷却ユニットへ与える第2の実施例を示す。図3以降において、上述した要素と同一の要素には、同じ参照符号を付して再び説明しない。図3の装置は、この実施例において、閉じたループの動作回路(外部の供給源を介した作動ガスの供給が無い)を伴って動作する。
【0037】
バリアガスと出口24によって収集された動作流体との混合物は、好ましくは、直接的に、圧縮ステーション2の入口で、或いは圧縮ステーションの中間ステージの入口で、パイプ13を介して、再注入される。それゆえに、コンプレッサー2の出口24で回収された混合物(バリアガスおよび動作ガス)は、対応するステージの低圧回路、或いは圧縮ステーションの低圧回路内へ、直接的に注入される。
【0038】
この再循環は、動作回路内で汚染(窒素のようなバリアガス)を発生するかもしれない。これらの不純物は、好ましくは、動作回路内で除去される。この除去は、コールドボックス3内に通常配置されていた精製吸着器の適当な評価によって、或いは追加の精製システム1の追加によって、実施されることができる。従って、図示したように、動作回路は、圧縮ステーション2の出口で、随意に、動作ガスを伴って供給される精製されるガスのための入口11を有するガス精製部1を有する。精製部1から精製されたガスのための出口21がコールドボックス3を供給する。
【0039】
冷却ユニットのこのタイプにおいて、その動作サイクルは、閉塞されたループサイクルであり、複数のベアリングでの動作ガスのロスが、比較的制限されなければならない。
【0040】
図4は、例えば冷却ユニットに関する第3の実施例を示す。この実施例において、装置は、閉塞されたループの動作回路とともに動作する。出口24によって収集されたバリアガスと動作流体との混合物は、ガス精製部1のガス供給入口21内へ再注入される。その前に、精製部1は、不純物を除去する(バリアガスが窒素である場合、例えばTSA或いはPSAタイプの窒素吸着器を用いて、バリアガスの全て或いはいくらかを除去する)。それは、この場合、回収されたバリアガス(窒素)および動作ガス(ヘリウム)の混合物が、普通の低圧精製部1内へ直接的に入れられることができるのに十分に高い圧力で、コンプレッサー12を離れるということを意味している。
【0041】
精製部1の精製されたガスの出口21は、圧縮ステーション2の入口で動作回路へ流動的に接続されている。それは、動作流体が精製の後で動作回路へ戻されることを意味している。
【0042】
図5は、例えば冷却ユニットに関する第4の実施例を示す。この装置は、この実施例において、閉塞されたループの動作回路とともに動作する。出口24の全て或いはいくらかによって収集されたバリアガスと動作流体との混合物は、コンプレッサー6を介してガス精製部1のガス供給入口21内へ再注入される。それは、この混合物が、その高圧或いは中圧精製を許容するのに十分に高い圧力(例えば、3バールと27バールabsの間に含まれる圧力)へ圧縮されるということを意味している。中圧或いは高圧で精製された動作ガスは、圧縮ステーション2の中間圧縮ステージで、および/或いは圧縮ステーション2の出口で、再注入される。
【0043】
もちろん、本発明は、上述した例示的な実施例に制限されない。例えば、図4と図5の実施例の間のどこかに属する装置を考えることができる。それは、回収された混合物が、比較的低い圧力、例えば1バールと3バールの間の圧力(第1の圧縮ステージの推進機内の圧力)である場合に、この混合物が、精製される前、或いは直接的に回路内へ再注入される前に、中間の圧力(3バールと9バールとの間の圧力)へ圧縮されることができることを意味している。この方法において、回復コンプレッサーのサイズが減少されることができる。
【0044】
同様に、図2と図3の実施例の間のどこかに属する装置を考えることができる。それは、回収された混合物が、比較的低い圧力、例えば1バールと3バールの間の圧力(第1の圧縮ステージの推進機内の圧力)である場合に、この混合物が、圧縮ステーションの入口で回路内へ直接的に再注入されることができることを意味している。
【0045】
この場合、余分の不純物を処理するため、コールドボックス3内ではありふれた内部吸着器(動作流体の精製のための)が、好ましくは、しかるべく評価される。
【0046】
回収された混合物が中間の圧力である場合、例えば、3バールと15バールとの間(中間圧縮ステージの推進機内の圧力)である場合、この混合物は、中圧精製器1へ送られることができる。
【0047】
それゆえに、簡単で安価な構造である一方で、本発明は、回収されて再利用されるいかなる漏れた動作流体も許容することは直ちに理解されるであろう。
【0048】
本発明は、動作ガスがバリアガスで汚染される範囲をコントロールすることを可能にする。バリアガスで汚染された動作ガスは、(コールドボックス3内で、および/或いは外部精製部1内で)回収されて精製される。この精製は、圧縮の後(或いはシールシステムに影響を及ぼさない圧力で増大した後)、中間の圧力で実施されてもよい。この精製されたガスは、低圧レベルおよび/或いは中圧レベルおよび/或いは高圧レベルで、回路内へ再注入されることができる。
【0049】
本発明は、特に、いかなる高容量液化或いは冷却ユニット(ヘリウム或いはレアガスのサイクルで動作する)に適用されてもよい。
【0050】
本発明は、特に、動作ガスとしてヘリウムを使う水素液化器に適用されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮ステーション(2)およびコールドボックス(3)を備えた動作回路を有する冷却器/気化器を使う、動作流体、特にヘリウムを含む或いは純粋なヘリウムからなる動作流体の低温冷却/液化のための方法であって、
上記冷却器/気化器が、動作ガスを上記動作回路内に受け、上記圧縮ステーション(2)内での上記動作流体の圧縮と、上記コールドボックス(3)内での上記動作流体の冷却および拡張と、および上記動作流体が上記圧縮ステーション(2)へ戻れるように、上記動作流体の再加熱と、を順に有するサイクルへ送り、
上記圧縮ステーション(2)が、それぞれが複数のベアリング(5)に搭載された1つ或いはいくらかのコンプレッサー(12)を使う1つ或いはいくらかの圧縮ステージを有し、
上記冷却器が、上記動作流体と性質が異なるバリアガスを上記コンプレッサーの少なくとも1つのベアリング或いはコンプレッサー内へ注入するための装置(4)を有し、上記動作回路から生ずる動作流体の漏れを、回収して上記動作回路へ戻す(13、21)ため、ゾーン(13)に向けてガイドするガス状のバリアを形成することを特徴とする、方法。
【請求項2】
上記バリアガスを注入するための上記装置(4)は、上記圧縮ステーション(2)のオイル収容機構、或いは大気に関してシールされない、上記圧縮ステーション(2)の少なくとも1つのいわゆる汚染されたゾーン(121)に向けて動作流体の漏れの通過を防止するように、ガス状のバリアを形成することを特徴とする、
請求項1によるところの方法。
【請求項3】
上記バリアガスは、少なくとも1つのベアリング(5)内へ、上記ベアリング(5)に搭載された上記コンプレッサーでの上記動作回路内の上記動作流体の圧力より低い圧力で、注入される、
請求項1および請求項2のいずれか一方によるところの方法。
【請求項4】
上記バリアガスは、窒素を含み、或いは純粋な窒素からなる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1つによるところの方法。
【請求項5】
上記バリアガスを注入するための上記装置(4)は、少なくとも1つのバリアガス注入ポイント(14)と、上記注入されたバリアガスおよび上記漏れ或いは複数の漏れから生ずる上記動作流体を含む混合物を収集するための少なくとも1つの出口(24)と、を有することを特徴とする、
請求項1乃至請求項4のいずれか1つによるところの方法。
【請求項6】
上記冷却器/気化器は、精製されるガスのための入口(11)および精製されたガスのための出口(21)を有するガス精製部(1)を有し、該精製部(1)の上記出口(21)は、上記圧縮ステーション(2)の上記出口で上記動作回路へ流動的に接続されることを特徴とし、上記少なくとも1つの出口(24)によって収集されたバリアガスと動作流体の上記混合物の少なくとも一部は、精製されることができるように、上記精製部(1)の上記入口内へ再注入(13)され、圧縮ステーション(2)の上記出口で上記動作回路内へ再注入されることを特徴とする、
請求項5によるところの方法。
【請求項7】
上記精製部(1)の上記入口は、上記回路の上記動作流体と性質が異なるガスによってガスが供給され、すなわち上記動作回路が“オープン”タイプの回路であることを特徴とする、
請求項6によるところの方法。
【請求項8】
上記少なくとも1つの出口(24)によって収集された動作流体とバリアガスの混合物の少なくとも一部が、上記圧縮ステーション(2)の上記入口でおよび/或いは中間圧縮ステージでおよび/或いは上記圧縮ステーション(2)の上記出口で、上記動作回路内へ再注入されることを特徴とする、
請求項5によるところの方法。
【請求項9】
動作サイクルは、“閉じた”サイクルになると言われ、上記動作回路から生ずる動作ガスのみを伴って供給された精製されるガスのための入口(11)、および上記コールドボックス(3)へ供給する精製されたガスのための出口(21)を有するガス精製部(1)を有することを特徴とする、
請求項8によるところの方法。
【請求項10】
上記冷却器/気化器は、精製されるガスのための入口(11)、および精製されたガスのための出口(21)を有するガス精製部(1)を有し、この精製部(1)の上記出口(21)が、上記圧縮ステーション(2)への入口で上記動作回路へ流体を流通可能に接続されることを特徴とし、上記少なくとも1つの出口(24)によって収集されたバリアガスと動作流体の混合物の少なくとも一部が、精製されることができるように、上記精製部(1)の上記入口内へ再注入(13)され、上記圧縮ステーション(2)の上記入口で上記動作回路内へ再注入されることを特徴とする、
請求項5によるところの方法。
【請求項11】
上記冷却器/気化器は、精製されるガスのための入口(11)、および精製されたガスのための出口(21)を有するガス精製部(1)を有し、この精製部(1)の上記出口(21)が、上記圧縮ステーション(2)の中間圧縮ステージでおよび/或いは上記圧縮ステーション(2)の上記出口で上記動作回路へ流体を流通可能に接続されることを特徴とし、上記少なくとも1つの出口(24)によって収集されたバリアガスと動作流体の混合物の少なくとも一部が、精製されることができるように、上記精製部(1)の上記入口内へ再注入(13)され、上記圧縮ステーション(2)の上記出口内或いは該出口で上記動作回路内へ再注入されることを特徴とする、
請求項5によるところの方法。
【請求項12】
上記少なくとも1つの出口(24)によって収集されたバリアガスと動作流体の混合物の少なくとも一部は、上記精製部(1)の上記入口へ供給される前に圧縮されることを特徴とする、
請求項11によるところの方法。
【請求項13】
ヘリウムを含む或いは純粋なヘリウムからなる動作流体の低温冷却/液化のための装置であって、
当該装置は、圧縮ステーション(2)およびコールドボックス(3)を備えた動作回路を有し、
この動作回路が、上記圧縮ステーション(2)内での上記動作流体の圧縮と、上記コールドボックス(3)内での上記動作流体の冷却および拡張と、および上記動作流体が上記圧縮ステーション(2)へ戻れるように上記動作流体の再加熱と、を順に有するサイクルへの上記動作ガスを受け、
上記圧縮ステーション(2)が、それぞれが複数のベアリングに搭載された1つ或いはいくらかのコンプレッサー(12)を使う1つ或いはいくらかの圧縮ステージを有し、
上記冷却器が、上記動作流体と性質が異なるバリアガスを1つのコンプレッサー或いは複数のコンプレッサーの少なくとも1つのベアリング(5)内へ注入するための装置(4)を有し、上記動作回路から生ずる動作流体の漏れを、回収して上記動作回路へ戻す(13、21)ため、ゾーン(13)に向けてガイドするガス状のバリアを形成することを特徴とする、装置。
【請求項14】
上記バリアガスを注入するための上記装置(4)は、少なくとも1つのバリアガス注入ポイント(14)と、注入されたバリアガスおよび漏れ或いは複数の漏れから生ずる動作流体を含む混合物を収集するための少なくとも1つの出口(24)と、を有することを特徴とし、上記回路は、上記混合物を、上記圧縮ステーション(2)の上記入口でおよび/或いは上記圧縮ステーション(2)の中間圧縮ステージでおよび/或いは上記圧縮ステーション(2)の上記出口で、上記動作回路内へ再注入するパイプを有することを特徴とする、
請求項13によるところの装置。
【請求項15】
動作ガスから不純物を分離するように、特に、上記混合物から上記バリアガスを除去するように、上記混合物を精製するための精製部(1)を有し、上記混合物は、上記精製部(1)を通過して上記動作回路内へ一度再注入されることを特徴とする、
請求項14によるところの装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2013−513776(P2013−513776A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542594(P2012−542594)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052363
【国際公開番号】WO2011/070258
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)