説明

低表面積鉄金属前駆体から調製された高表面積鉄物質

低表面積鉄金属を出発原料とする高表面積鉄物質の生成方法を開示する。本発明の鉄物質は、少なくとも約200m/gの表面積を有しており、また、低表面積鉄金属を酸素及び有機酸と反応させることを含む方法によって調製される。この方法により形成された高表面積鉄物質は、本質的に汚染物質を含んでいない。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2005年5月25日に出願された米国特許出願第60/684,462号に対する優先権を請求するものであり、また2002年5月15日に出願され現在係属中のPCT特許出願第PCT/US02/15310号及び、2003年2月3日に出願され現在係属中の米国特許出願第10/343,935号の一部継続であり、これらの出願はその全体を参照により本願に援用される。
【発明の背景】
【0002】
本発明は、低表面積鉄金属を出発原料とする高表面積鉄物質の生成方法に関する。本発明の鉄物質は、少なくとも約200m/gの表面積を有しており、また、低表面積鉄金属を酸素及び有機酸と反応させることを含む方法によって調製される。この方法により形成された高表面積鉄物質は、本質的に汚染物質を含んでいない。
【0003】
鉄ベース触媒は、様々な化学反応用として当業者の間で周知である。例えば水性ガスシフト反応においては、クロム促進鉄触媒を高温第1段階において用いる(高温シフト反応又はHTS反応と称す)ことにより、約350℃を上回る温度下において一酸化炭素転換を引き起こして、一酸化炭素含有量を約3〜4%にまで引き下げることが一般的である(例えばD.S.Newsom,Catal.Rev.21,p.275(1980)を参照)。高温シフト(HTS)触媒の典型的な組成は、Fe約60〜約95重量%、Cr約0〜約20重量%、CuO約0〜約10重量%、そしてZrO、TiO、Co、Al、SiO及び/又はCeOなど他の活性成分約0〜約10重量%を含む。
【0004】
1950年代以降、鉄ベースのフィッシャー・トロプシュ触媒は、固定床反応器、流動床反応器及びスラリー相反応器において成功裡に使用されており、鉄ベースのフィッシャー・トロプシュ触媒の調製に用いられる方法が複数存在している。フィッシャーが調製した最も初期の触媒は、アルカリ処理を施した鉄削りくずであった。高圧下においては液体生成物は酸化化合物を豊富に含んでおり、また低圧下においては炭化水素が生成された。しかし、この方法によって調製された鉄ベース触媒は、急速に不活性化した。
【0005】
鉄ベースのフィッシャー・トロプシュ触媒の調製方法として最も一般的な方法は、沈殿である。典型的には、硝酸鉄などの鉄塩の水溶液は、アンモニア水溶液又は炭酸ナトリウムなどの塩基を用いて処理される。こうして生じた鉄オキシ水酸化物沈殿物は、洗浄及び濾過を繰り返し行うことで、沈殿プロセスにおいて形成される塩――硝酸アンモニウム又は硝酸ナトリウム――が除去される。その後、洗浄された濾過ケーキは乾燥され焼成される。銅及び第1族金属を含有する沈殿鉄触媒の促進は、乾燥及び焼成工程の前又は後のいずれにおいても行うことができる。通常、最終触媒前駆体は、高表面積コランダム相の酸化鉄(α−Fe、すなわちヘマタイト)からなる。
【0006】
他の種類の鉄ベース触媒としては、溶融鉄、担持鉄及び焼結鉄がある。溶融鉄触媒は、鉄鉱石及び、SiO、Al、CaO、MgO、KOなどの促進剤のうち一つ又はそれ以上を融解することで調製される。その結果生じる触媒前駆体は通常、主としてマグネタイト(Fe)からなり、また極めて小さい表面積を有する。活性の溶融鉄触媒は、水素を介して酸化物を金属鉄に還元することによってのみ得られる。この還元触媒は最大で約10〜15m/gの表面積を有することができる。溶融鉄触媒は、高い構造的完全性を特徴としており、またそれ自体、流動床での操作に極めて適している。しかし、表面積が相対的に小さいことから、フィッシャー・トロプシュ触媒は、典型的な沈殿鉄触媒よりも低い活性を有することになる。担持鉄触媒は通常、Al、SiO、TiO、ZrOなど耐火性金属酸化物の上に鉄塩水溶液を含浸させることで調製される。この含浸は、初期湿潤技術によって、又は過剰湿潤とその後の真空乾燥によって、実施することができる。担持鉄触媒は、鉄質量ベースでは沈殿鉄触媒と同様のフィッシャー・トロプシュ活性を有するが、通常、触媒容積ベースでは当該活性は沈殿鉄触媒よりも低い。担持鉄触媒は、金属酸化物支持体の酸を必然的に受けてしまい、これによって好適でないメタンの選択特性が上昇することになる。
【0007】
一般に沈殿鉄触媒は、本明細書に記載される他の種類の鉄触媒よりも優れたフィッシャー・トロプシュ触媒とされている。沈殿鉄触媒の作製における主な不利点としては、高コストであること、方法が労働集約的であること、そして副産物が環境に有害な影響を及ぼすことなどが挙げられる。沈殿鉄触媒の好適な鉄供給源は硝酸鉄であるが、その理由は、塩化鉄又は硫化鉄の場合、それを起源とする塩素及び硫黄による汚染が、沈殿鉄触媒作製の結果生じるF−T触媒の活性に対して悪影響を及ぼしかねないからである。硝酸鉄は硝酸中の鉄金属を分解することによって調製され、こうして窒素酸化物が生成されるが、この窒素酸化物はスクラビング処理によって回収しなければならない。この必要なスクラビング工程が、プロセスの追加コストを発生させる。
【0008】
鉄ベースのフィッシャー・トロプシュ触媒を生成するプロセスは、洗浄及び濾過工程を削減又は廃止しかつ環境への排出量を最小限に抑えるようなものであれば好適であろう。商業的見地からみて理にかなったプロセスは、高純度及び高表面積を有する市販の酸化鉄を促進、形成、乾燥及び焼結する、というものとなろう。市販の酸化鉄は、容易に調達できるが、塩酸又は硫酸を用いた鉄鋼処理によって調製されているのが通常である。これらの酸化鉄は、塩素や硫黄などの不純物を相当量含んでおり、このためフィッシャー・トロプシュ触媒用の原材料として使用することは不可能である。当業者の間で周知であるように、市販の酸化鉄(赤酸化鉄又は黄酸化鉄)の不純物は、超高温度下における酸洗いプロセスによって、かなりの低レベルにまで減少させることができる。しかし、この酸洗いプロセスが極限条件下で行われることから、酸化鉄の表面積は概して10m/g未満であり、そのためこの酸化鉄は、例えば低温フィッシャー・トロプシュ反応など一部の触媒用途には適さなくなる。
【0009】
その代替として、低汚染酸化鉄物質を使用することができる。例えば、米国特許第6,790,274号公報(2004年9月14日にConca et al.に発行され、そしてSued−Chemie MTに譲渡された)、米国特許出願公開第20040009871号公報(発明者:Hu et al.、2004年1月15日公開)、そして米国特許出願公開第20040202606号公報(発明者:Conca et al、2004年10月14日公開)で開示されている酸化鉄である。なお、前記3つの公報はその開示の全体が参照されることによって本明細書の一部をなす。ただし、前記‘274号特許公報、‘871号出願公開公報及び‘606号出願公開公報に開示されているプロセスによって生成される酸化鉄は、表面積が約150m/g未満である。
【発明の要旨】
【0010】
高表面積鉄物質を低表面積鉄金属から調製する。本発明の鉄物質は、表面積が少なくとも約200m/gであり、また本質的に汚染物質を含んでいない。この鉄物質の調製方法は、鉄金属を弱有機酸及び酸素と反応させることを含む。好適な実施形態では、反応槽における反応温度は約0℃から約40℃の範囲内であり、冷却器の温度は約0℃から約5℃の範囲内である。反応水溶液を十分に攪拌し、そして必要に応じて消泡剤を添加してもよい。こうしてできた酸化鉄をその後、濾過し、再スラリー化し、再濾過する。またこうしてできた濾過ケーキを乾燥して、高表面積鉄物質を形成する。このプロセスでは鉄金属を用いるため、清浄金属を出発原料とすることによって、硫黄や塩素などの潜在的汚染物質のレベルを最小限に抑えることができる。さらに、鉄金属を出発原料とすることによって、酸化鉄濾液洗浄による除去を必要とする残渣物質が発生しなくなる。
【好適な実施形態の詳細な説明】
【0011】
本発明の高表面積鉄物質は、高表面積を要するあらゆる鉄ベース触媒での使用を目的とする。この鉄物質は、表面積が少なくとも約200m/gであることにより、従来技術の酸化鉄とは異なる。さらに、この鉄物質の調製プロセスは新規のものであり、また、本質的に汚染物質を含まない鉄物質を生成するものであり、この鉄物質は、粒子サイズの分布範囲が比較的狭く、高表面積を有しており、そして、従来技術の酸化鉄物質よりも効率的に生成することができる。
【0012】
概して言えば、本発明の好適な実施形態の鉄物質を調製するプロセスとしては、弱有機酸及び酸素を用いて鉄金属を直接処理するとともに、この混合物を激しく攪拌して、オキシ水酸化鉄、水酸化鉄、酸化鉄ハイドレート又は他の非晶質の若しくは不完全配列の鉄相からなるスラリーを形成し、その後、このスラリーを濾過して濾過ケーキを生成し、この濾過ケーキを再スラリー化し、このスラリーを再濾過し、そしてこの濾過ケーキを乾燥する、という工程がある。具体的には、本発明の鉄物質を調製するため、冷却器及びチラーに嵌合され、内容物を混合又は混合同様に攪拌するための手段を有する温度管理された反応容器に、水を添加する。反応容器は、約0℃から約40℃の範囲内の温度に保たれ、また約0℃から約5℃の範囲内に保った冷却器に嵌合される。反応容器に鉄金属を添加し、不活性ガスを用いてこの容器をパージする。鉄と水とを攪拌して不活性雰囲気を維持するとともに有機酸をこの容器に添加する。この酸/鉄混合物を所定の時間、不活性雰囲気下で攪拌した後、反応容器に酸素を添加して激しく攪拌する。必要に応じて、酸化工程の初期又は酸化工程の間に、さらに消泡剤を容器に添加してもよい。所定量の酸素を反応容器に添加した後、生成されたスラリーを濾過する。その後、このスラリー濾過ケーキを水に添加して再スラリー化し、このスラリーを濾過する。そしてこの濾過ケーキを乾燥して、高表面積鉄物質を生成する。
【0013】
この鉄金属は、粉体、顆粒、球体、小片、破片、針体又は他の形状の鉄金属であってもよく、また表面積は約25m/g未満であり、本質的に汚染物質を含んでいない。本明細書に記載のとおり、鉄金属の平均直径は約1μから約500μの範囲内である。(本明細書で用いられているように、ミクロン(μ)という用語は1メートルの100万分の1に等しい距離メトリックを意味し、またマイクロメートルと同じ意味で用いられる。)しかし、これよりも平均直径が大きい鉄金属を用いることもできるものの、その場合、鉄金属が十分な反応時間を確保できるようにするために反応時間を変更する(増やす)必要が生じる可能性もある。一実施形態では、鉄金属は微小球体形状であって、平均直径は約40μから約150μの範囲内である。さらに、鉄金属は本質的に汚染物質を含んでいないものの、微量の炭素、マンガン、ニッケル、銅、シリコーン及びこれらの混合物が存在することもある。(本明細書で用いられるように、「微量」とは、これらすべての元素の混合物について約1.5重量%未満と定義される。)
【0014】
有機酸は、室温において約0.5から約6までの範囲内のpKを有する少なくとも1種のカルボン酸基を含んだカルボン酸であることが好ましい。(本明細書で用いられるように、「室温」という用語は平均室温、すなわち約18℃から約22℃までの範囲の温度を指す。)例えば、ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、マロン酸、プロピオン酸を反応時に用いてもよい。好適な実施形態において、有機酸は氷酢酸である。酸と鉄との比率は様々に変更できる。本発明では、酸と鉄とのモル比率は、好適には、鉄1につき酸約0.1〜鉄1につき酸約2.5の範囲内である。
【0015】
不活性ガスは、窒素ガスやアルゴンガスなど当業者の間で周知であるいかなる非反応性物質であってもよい。比較的低コストであるため、通常、窒素ガスが商業的に用いられる。
【0016】
消泡剤は、いかなる有機性又はシリコーンベースの消泡剤であってもよく、例えば油、油性アルコール、アルコール、エステル、エーテル、グリコール、ポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、C〜C12のアルコール、及びこれらの混合物などである。好適な実施形態では、例えばオクタノール、デカノール、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物などの長鎖含酸素炭化水素を用いることができる。
【0017】
酸化剤は、好ましくは酸素であり、この酸素は、混合器の中空軸を通流してかき混ぜ羽根の下に放出されるような仕方で中空軸を通流して水溶液中に押出され、あるいは、混合タンク内部に設けられたステンレス鋼スパージャを通流して水溶液中に押出される。しかし、当業者の間で周知である他の多様な手段を用いて酸素をこの酸/鉄混合物中に拡散させてもよい。所望の高表面積鉄物質を生成するためには、この酸素を水溶液の全容積中に十分に拡散させなければならない。好適な実施形態では、混合器には気体拡散及び固体混合のための複数のかき混ぜ羽根が備え付けられ、このかき混ぜ羽根としては例えば、半径流式の気体拡散かき混ぜ羽根、軸流式の固体混合かき混ぜ羽根などがある。本質的にすべての遊離鉄が消費されて鉄物質スラリーが形成されるまで、酸素フローは継続し、反応温度は約40℃未満に維持される。このスラリーは、酸化鉄ハイドレート、酸化鉄、鉄水酸化物、鉄オキシ水酸化物、Fe(Oh)の一般式に該当する非晶質の若しくは不完全配列の諸相、及びこれらの混合物を含むと考えられている。鉄消費総時間は、約18時間から約24時間の範囲内であり、あるいは鉄源によってはそれより長くなることもある。反応の過程において、スラリーの色はグレーから茶色に呈色する。通常、この呈色は、酸素フロー開始後約45分から約6時間の間に明らかとなる。未反応の鉄は、X線解析パターンによって検出することができる。
【0018】
以下に挙げる実施例は、本発明を図示及び説明するものであるが、本発明をいかなる点においても限定するものとみなすべきではない。
【実施例1】
【0019】
本明細書中で以下に示す本発明の方法によって、高表面積鉄物質のサンプルを調製する:
ステンレス鋼製のエアスパージャを容量3リットルの被覆容器の底部に嵌め込み、約30℃の温度を維持するように調節する。イオン交換水約700mLをこの容器に添加し、混合速度約600RPMで攪拌を開始する。鉄粉(Hoeganaes社から市販、製品コードATW−432、鉄金属表面積約0.2m/g)約93.3gを前記の水に添加し、攪拌する。この鉄粉を添加するときは、反応温度約30℃未満を維持するよう、ゆっくりと添加する。窒素パージを流速35リットル/時で開始する。窒素パージを継続しつつ、氷酢酸(Fisher Chemicals社から市販)約50.4gを前記の鉄・水混合物に添加する。窒素パージを約4時間行った後、窒素を純粋酸素に置き換えてガス流速約50リットル/時とし、約20時間維持する。酸素添加中において随時、1−オクタノール(Sigma Chemicals社から市販)0.7g、及び/又は、1−オクタノール0.75gと1−デカノール(Sigma Chemicals社から市販)0.35gを前記容器に添加し、発泡を減少させる。その後、鉄物質スラリーをno.42濾過紙で濾過する。その後、濾過ケーキをイオン交換水約3000mLで再スラリー化し、この混合物に2度目の濾過を施す。その後、この濾過ケーキを約120℃で約16時間かけて乾燥させる。単点表面積(150℃で約1.5時間のガス放出後)は約200m/gである。
【実施例2】
【0020】
本明細書中で以下に示す本発明の方法によって、高表面積鉄物質のサンプルを調製する:
容量0.9リットルの被覆容器であって、中空軸攪拌器1台及び垂直ステンレス鋼バッフル3台を備え、長さ約113mm、幅約16mm、厚さ約2mmの被覆容器を用いる。約30℃の温度を維持するように調節し、イオン交換水約300mLを前記容器に添加し、混合速度約450RPMで攪拌を開始する。鉄粉(POMETON社から市販、製品FERCHIM RI 63/3.2、鉄金属表面積約0.1m/g)約40gを前記の水に添加し、攪拌する。この鉄粉を添加するときは、反応温度約30℃未満を維持するよう、ゆっくりと添加する。窒素パージを流速25リットル/時で開始する。窒素パージを継続しつつ、氷酢酸(独国Riedel de Ha▲e▼n社から市販)約11.7gを前記の鉄・水混合物に添加する。窒素パージを約4時間行った後、窒素を純粋酸素に置き換えてガス流速を約25リットル/時とし、約20時間維持する。ガス流は反応装置の頂部に供給した。その後、鉄物質スラリーをno.42濾過紙で濾過する。その後、濾過ケーキをイオン交換水約300mLで再スラリー化し、この混合物に2度目の濾過を施す。その後、この濾過ケーキを約140℃で約16時間かけて乾燥させる。単点表面積(110℃で約1.5時間のガス放出後)は約290m/gである。
【0021】
本発明の鉄物質は、高表面積鉄を要するあらゆる触媒での使用を目的とする。前記鉄物質の調製方法では、本質的に汚染物質を含まず、粒子サイズの分布範囲が比較的狭く、そして高表面積を有する最終製品を生成する。本発明の範囲を逸脱することなく特定の加工条件を変更できることは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度鉄物質の製造方法であって、鉄金属は水溶性有機酸溶液と混合され、該鉄金属が消費され、鉄物質スラリーが形成され、その後、該鉄物質スラリーが粉砕されるまで、酸化剤は前記有機酸溶液中に押出され、不活性ガスパージを維持しかつ攪拌を維持しながら容器中で前記鉄金属と前記水溶性有機酸溶液とを混合し、前記鉄金属は前記容器中の水に添加され、前記不活性ガスパージ及び攪拌は前記水溶性有機酸溶液を導入する前に開始され、その後前記不活性ガスパージを停止し、そして前記鉄金属が消費されて前記鉄物質スラリーが形成されるまで前記酸化剤を前記容器中に押出し、さらに前記鉄物質スラリーを濾過して第1の濾過ケーキを保持し、該第1の濾過ケーキを水に添加して第2の鉄物質スラリーを形成し、該第2の鉄物質スラリーを濾過して第2の濾過ケーキを保持し、その後、該第2の濾過ケーキを空気乾燥して表面積が少なくとも200m/gである鉄物質を生成することからなる方法。
【請求項2】
前記鉄金属は粉体、顆粒、球体、小片、破片、針体又は他の形状の鉄金属から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化剤は中空軸の混合器を通流して前記有機酸溶液中に送られ、酸素が該中空軸を通流してかき混ぜ羽根の下に放出される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記有機酸は、室温において約0.5から約6までの範囲内のpKを有する少なくとも1種のカルボン酸基を含んだカルボン酸である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化剤は酸素である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化剤の添加と同時に消泡剤を添加することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
高表面積鉄物質を製造する方法であって、該方法は、
a) 冷却器及びチラーに嵌合され、内容物を攪拌するための手段を有する温度管理された反応容器に水を添加する工程、
b) 平均直径が約1μから約500μの範囲内であって表面積が約25m/g未満である鉄金属を、前記容器に添加して攪拌する工程、
c) 攪拌を維持しながら前記容器を不活性ガスでパージする工程、
d) 攪拌を継続して不活性雰囲気を維持しながら約0.5から約6までの範囲内のpKを有する少なくとも1種のカルボン酸基を前記容器に添加することによって、有機酸/鉄混合物を形成する工程、
e) 不活性雰囲気下で所定の時間、前記有機酸/鉄混合物を攪拌する工程、
f) 前記不活性ガスパージを停止し、そして前記鉄金属が消費され鉄物質スラリーが形成されるまで酸化剤を前記有機酸溶液中に押出す工程であって、前記酸化剤は中空軸の混合器を通流して前記有機酸溶液中に送られ、酸素が該中空軸を通流してかき混ぜ羽根の下に放出される工程、
g) 前記鉄物質スラリーを濾過し、第1の濾過ケーキを保持しておく工程、
h) 前記第1の濾過ケーキを水に添加して第2の鉄物質スラリーを形成する工程、
i) 前記第2の鉄物質スラリーを濾過し、第2の濾過ケーキを保持しておく工程、そして
j) 前記第2の濾過ケーキを空気乾燥して高表面積鉄物質を生成する工程
を含む方法。
【請求項8】
前記有機酸はギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、マロン酸、プロピオン酸及びこれらの混合物からなる群より選択される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化剤は酸素である請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化剤の添加と同時に消泡剤を添加することをさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項11】
高表面積鉄物質を製造する方法であって、該方法は、
a) 冷却器及びチラーに嵌合され、内容物を攪拌するための手段を有する温度管理された反応容器に水を添加する工程、
b) 鉄金属を前記容器に添加して攪拌する工程、
c) 攪拌を維持しながら前記容器を不活性ガスでパージする工程、
d) 攪拌を継続して不活性雰囲気を維持しながら水溶性有機酸を前記容器に添加することによって有機酸/鉄混合物を形成する工程、
e) 不活性雰囲気下で所定の時間、前記有機酸/鉄混合物を攪拌する工程、
f) 前記不活性ガスパージを停止し、そして前記鉄金属が消費され鉄物質スラリーが形成されるまで酸化剤を前記有機酸溶液中に押出す工程、
g) 前記鉄物質スラリーを濾過し、第1の濾過ケーキを保持しておく工程、
h) 前記第1の濾過ケーキを水に添加して第2の鉄物質スラリーを形成する工程、
i) 前記第2の鉄物質スラリーを濾過し、第2の濾過ケーキを保持しておく工程、そして
j) 前記第2の濾過ケーキを空気乾燥して高表面積鉄物質を生成する工程
を含む方法。
【請求項12】
前記容器は約40℃未満の温度に保たれ、また約5℃に保った冷却器に嵌合される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記鉄金属は粉体、顆粒、球体、小片、破片、針体又は他の形状の鉄金属から選択される請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記鉄金属の平均直径は約1μから約500μの範囲内である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酸化剤は中空軸の混合器を通流して前記有機酸溶液中に送られ、酸素が該中空軸を通流してかき混ぜ羽根の下に放出される請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記容器の内容物を攪拌する前記手段は気体拡散及び固体混合のための複数のかき混ぜ羽根である請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のかき混ぜ羽根は半径流式のかき混ぜ羽根と軸流式のかき混ぜ羽根とからなる請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記不活性ガスは窒素である請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記有機酸は、室温において約0.5から約6までの範囲内のpKを有する少なくとも1種のカルボン酸基を含んだカルボン酸である請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記有機酸はギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、マロン酸、プロピオン酸及びこれらの混合物からなる群より選択される請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記有機酸は氷酢酸である請求項11に記載の方法。
【請求項22】
酸と鉄とのモル比率は、酸0.1:鉄1から酸2.5:鉄1の範囲内である請求項11に記載の方法。
【請求項23】
前記酸化剤は酸素である請求項11に記載の方法。
【請求項24】
前記酸化剤の添加と同時に消泡剤を添加することをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項25】
前記消泡剤は有機消泡剤、シリコーンベースの消泡剤、油、油性アルコール、アルコール、エステル、エーテル、グリコール、ポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、C〜C12のアルコール、及びこれらの混合物からなる群より選択される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記消泡剤はポリエチレングリコール、オクタノール、デカノール又はこれらの混合物である請求項25に記載の方法。

【公表番号】特表2008−542166(P2008−542166A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513516(P2008−513516)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/017834
【国際公開番号】WO2006/127261
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(505241038)ズードケミー インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】