説明

住宅型式性能認定取得のための情報供給と独自手法による取得方法に関するビジネスモデルの構築

【課題】住宅型式性能認定取得のための要求事項、設計仕様や構造、等級などを整理し、従来の規格住宅での申請でなく、構造ルールや構造仕様・スパン表等による対応でフリープランでの申請を可能とする新規の型式認定申請・評価手法を構築し、幅広い型式認定取得及び活用方法を提供する。
【解決手段】フリープランによるオリジナルな住宅型式性能認定による申請図書などの作成を代行し、取得までの協力を行い、取得後のビジネスモデルをも構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
住宅を設計又は施工する企業や住宅部品を製造する企業、流通販売に携わる商社、問屋、建材店、材木店などに対して付加価値が得られる住宅型式性能認定取得のための情報供給と独自手法の申請図書・評価の構築による認定取得のサポートを行なう。さらに取得後の活用方法をも提供するビジネスモデルを構築する。
【背景技術】
【0002】
住宅型式性能認定(以下型式認定という)とは、住宅又は住宅の部分で大臣が定めるものの型式(平成12年建設省告示第1655号)が「評価方法基準」にしたがって表示すべき性能を有することをあらかじめ審査を受け、認定されるものです。認定を受けた住宅又は住宅の部分は、個々の住宅の住宅性能表示申請の評価時に、その設計仕様との照合のみを行うことで済み、詳細の評価(構造計算書や試験データ等の確認)は不要となり、評価の審査や申請図書が簡略化される。
しかし、従来、各企業毎に型式認定取得を行っており、その度に膨大な「住宅型式性能認定申請図書」の作成と添付資料の準備が必要となる。これは、性能表示には▲1▼構造の安定、▲2▼火災時の安全、▲3▼劣化の軽減、▲4▼維持管理・更新への配慮、▲5▼温熱環境、▲6▼空気環境、▲7▼光・視環境、▲8▼音環境、▲9▼高齢者への配慮、▲10▼防犯対策の分野があり、それぞれに等級や評価・表示が決められている。この要望する分野の等級・評価・表示により、構造・設計仕様などを決めて型式認定の申請図書の作成を行っているのが現状である。
それは、大手ハウスメーカーなどの型式認定取得が全体の8割ぐらいに達し、1社で構造の型式認定を500件くらい取得しているところも珍しくない。その理由は、プランを限定した規格住宅での取得がほとんどである。しかしその反面、一般の工務店やビルダーでの取得は、まだ少ないのが現状である。理由としては、どのように申請したらよいかわからない、自分の建てている建物がどの等級レベルに該当するか、型式認定の存在自体がわからないなどが挙げられる。
また、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が平成20年12月に公布され、平成21年6月4日に施行されました。この法律では、長期優良住宅の普及の促進のため、構造躯体の劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性の性能を有し、かつ、良好な景観の形成に配慮した居住環境や一定の住戸面積を有する住宅の建築計画及び一定の維持保全計画を策定して、所管行政庁に申請します。この中で、耐震性に関しては性能表示の等級2のレベルとなり、型式認定を取得していることでこの法律での申請や税の特別措置が受けれる等の優位性を有します。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
とくになし。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各社が規格化・固定された住宅プランでの型式認定を申請するため、申請・取得件数が膨大となり、特に構造に関しては仕様規定による申請のため、フリープランでの対応が難しく、規格プランごとに申請が必要となる。その規格プランの数だけ型式申請図書、構造計算、仕様、添付資料の準備と多くの時間と費用を要する。さらに多くの時間と費用をかけて型式認定取得しても1社だけの活用では経費的に合わない。
【0005】
また、部材メーカーでは自社商品の「住宅の部分での性能評価」の型式認定取得(例えば、断熱材メーカーの外壁での省エネルギー対策として部分型式認定取得)で終わり、型式認定取得をPRしても他社も同じく取得している中での競合で、なかなか住宅仕様に組込んでもらえない。
【0006】
また、一般のビルダーは、実際行っている仕様の住宅性能表示(構造の安定、火災時の安全、劣化の軽減、維持管理・更新への配慮、温熱環境、空気環境、光・視環境、音環境、高齢者への配慮、防犯対策)の分野で、どの等級レベルに当たるかなど、構造を含めたトータル的な判断や、申請する方法が解らないのが現実である。(全ての分野で型式認定取得は出来ず、必要性の高い構造の安定や温熱環境などの選択が一般的である)
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般的な構造に関しての型式認定取得の方法は、住宅構造の耐力壁の壁量、耐力の壁バランス(偏心率)、水平構面の床・小屋裏の剛性などは、プラン(間取りなど)により構造計算を行うと結果が異なるため、プランを限定して取得している(大手ハウスメーカーは標準プラン全てを型式認定取得している)のが現状である。
【0008】
そこで、住宅型式性能認定取得のための要求事項を、設計仕様や構造仕様を等級ごとに整理・データ化し、等級ごとの構造ルールや構造仕様・スパン表・設計基準、設計仕様などによる対応でフリープランでの申請を可能とする新規の申請・評価手法を構築したシステムとして開発する。
【0009】
以下に示す独自手法の型式認定取得方法により、フリープランで構造の安定に関する早期申請・取得方法や設計仕様固定による構造以外の取得を可能としている。
▲1▼プランを限定しない型式認定取得(適用範囲を定めたフリープラン)
▲2▼構造規定を考慮した独自の構造チェックリストやスパン表による構造性能評価の型式認定取得手法
▲3▼適用範囲、構造工法の限定、構造部位の仕様の限定、構造以外の性能表示等級の限定(具体例を以下に示す)
A.構造の適用範囲の例
・床面積 100〜200m
・建物形態 総2階建て、又は下屋付き2階建て
・設計条件の限定
地震地域係数 1.0、0.9 など
風速 32、36m/s など
B.構造・工法限定の例
・在来軸組工法
・金物工法
・枠組壁工法 など
C.構造部位の仕様限定の例
・耐力壁(筋交い、又は構造用合板など)
・水平構面
床組(根太あり、又はネタレスなど)
屋根
・使用樹種(甲・乙種、又は集成材など)
・柱、梁断面によるスパン表 など
・基礎(布基礎、又はべた基礎など)のスパン表 など
D.構造及び構造以外の性能表示等級の限定
・耐震等級(倒壊防止、損傷防止)、耐風等級などの 等級2
・劣化の軽減 等級3
・温熱環境 等級3
など、その他
以上の適用範囲、工法及び構造部位の仕様などを限定し、建物の面積・形状・設計条件に応じたチェック表により複雑な構造計算を簡略化している。プランごとの構造計算を行わなくても各部位のスパン表を作成し、設計基準を設け、その範囲内で選定すれば構造の安定の申請等級に適合となる手法での型式認定を取得できる。
【0010】
さらに、構造以外の省エネ性、耐久性、シックハウス対策などに建材や換気材、断熱材、住宅設備機器などと組み合わせて取得することで、型式認定取得により新たに工務店を募集してグループで活用する標準仕様となり、メーカー及び建材店などの安定した商流が図れるビジネスモデルも可能となる。
従って、要求事項の設計仕様や構造、等級などを整理し、規格住宅での申請でなく、構造ルールや構造仕様・スパン表等による対応でフリープランでの申請を可能とする新規の型式認定申請・評価手法(以下オリジナル型式認定という)を構築することができ、工務店やビルダー、建材店、部材メーカーに代わって申請図書の作成などを代行及び協力して取得する。オリジナル型式認定取得の利用方法として企業個別又は企業グループで活用できる仕組みのビジネスモデルをも構築する。
【0011】
さらにグループ内で一部修正したカスタマイズにより、その会社独自の名称をも変えたオリジナル型式認定を再申請して取得可能とするビジネスモデルも提供する。
【発明の効果】
【0012】
▲1▼オリジナル型式認定取得希望の企業に適合した、フリープランでの申請内容の選択と申請図書の構築が容易に可能となる。
▲2▼一企業としてオリジナル型式認定を早く、安く、活用しやすく取得でき、優位な営業活動が可能となる。これにより、ユーザーに対して契約前に建物の性能を提示できる。また、ユーザーにとっても住宅性能表示申請図書・資料の作成費用の削減が図れ、さらに税制・金利の面でも優遇される。
▲3▼オリジナル型式認定をグループで取得し、同じ型式を共有・利用することが可能となる。
▲4▼オリジナル型式認定を一企業が取得し、その企業を中心としたグループ化や、グループ会社個々のカスタマイズによる独自の名称の型式として再申請し、自分のオリジナル型式認定取得として利用でき、差別化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
▲1▼独自のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)によるメインメニューの伝達ページでオリジナル型式認定取得の提案・情報提供を行ない、サーバーを通して登録無料でパスワードによりログイン可能とする。(管理されたページでの情報提供とする)
▲2▼住所、会社名、担当者名、連絡先、メールアドレス、オリジナル型式認定に対する質疑などを記入して登録する。
▲3▼オリジナル型式認定取得希望の会社は、SNSにアクセスし、サーバーを通して伝達ページにより情報交換を行う。要望項目欄を開き、予め用意されたチェックシートに要望事項を選択・入力して送信する。
▲4▼伝達ページの入力を受けたサポート会社は、要求・選択された設計条件・仕様による構造・仕様・等級などを分類・リスト化されたコンピューター上のオリジナル型式認定データの中から近いものを選定する。
▲5▼選定された内容に要望事項の追加・変更を加え、要求の確認を行う。
▲6▼サポート会社の作業量により決定される費用の見積及び契約書を送付する。
▲7▼契約書受理後、オリジナル型式認定申請図書の作成をコンピューターのデータを用いて行う。
▲8▼サポート会社は、オリジナル型式認定申請図書及び添付資料を送付し、これを依頼者が確認して、依頼者が申請手続きを行う。又は申請も代行して行う。
▲9▼申請手続き完了に伴いサポート会社は請求書を発送し、オリジナル型式認定取得までサポートし、取得確認後、契約の全てが完了する。これらをインターネットで行うことを特徴としている。
【実施例】
【0014】
図1及び図2を参照し、以下に示す。
1)A社単独取得の実施例
▲1▼独自のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)によるメインメニューの伝達ページでオリジナル型式認定取得の提案・情報提供を行ない、サーバーを通して登録無料でパスワードによりログイン可能とする。(管理されたページでの情報提供とする)
▲2▼住所、会社名、担当者名、連絡先、メールアドレス、オリジナル型式認定に対する質疑などを記入して登録する。
▲3▼オリジナル型式認定取得希望の会社は、SNSにアクセスし、サーバーを通して伝達ページにより情報交換を行う。要望項目欄を開き、予め用意されたチェックシートに要望事項を選択・入力して送信する。
▲4▼伝達ページの入力を受けたサポート会社は、要求・選択された設計条件・仕様による構造・仕様・等級などを分類・リスト化されたコンピューター上のデータの中から近いものを選定する。
▲5▼選定された内容に要望事項の追加・変更を加え、要求の確認を行う。
▲6▼サポート会社の作業量により決定される費用の見積及び契約書を送付する。
▲7▼契約書受理後、オリジナル型式認定申請図書の作成をコンピューターのデータを用いて行う。
▲8▼サポート会社は、申請図書及び添付資料を送付し、これを依頼者が確認して、依頼者が申請手続きを行う。又は申請も代行して行う。
▲9▼申請手続き完了に伴いサポート会社は請求書を発送し、オリジナル型式認定取得までのサポートして取得確認後、契約の全てが完了する。これらをインターネットで行うことを特徴としている。
【0015】
2)B社とその他グループによる取得の実施例
▲1▼〜▲4▼までの手順は同じとする。
▲5▼B社以外のグループ会社の名簿リスト及び取得型式名、共通仕様、要望事項の確認を行い、グループのオリジナル型式認定取得に関する契約を連名で取交す。
▲6▼契約締結後は上記と同じ手順とする。
【0016】
3)C社の取得とグループ化及びカスタマイズ化による取得の実施例
▲1▼〜▲4▼までの手順は同じとする。
▲5▼C社のオリジナル型式認定取得型式をそのままグループ会社に利用する場合と、取得型式名やその他の仕様の一部を変更(カスタマイズ)して自分のオリジナル型式認定として再申請して取得する場合との二種類の契約とする。
▲6▼契約締結後は上記と同じ手順とするが、自分のオリジナル型式認定として再申請する場合は単独の場合と同じ手順となるが、これに要する作業、費用は大幅に減額されたものとなる。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅型式性能認定取得のための要求事項を、設計仕様や構造仕様を等級ごとに整理・データ化し、等級ごとの構造ルールや構造仕様・スパン表・設計基準、設計仕様などによる対応でフリープランでの申請を可能とする新規の申請・評価手法を構築したシステム。
【請求項2】
前記システムを用い、工務店や設計事務所、ビルダーに代わって住宅型式性能認定申請図書の作成などを代行し、取得までの協力を行うビジネスモデルを構築する。
【請求項3】
前記システムを用い、住宅型式性能認定を工務店や設計事務所、ビルダーのグループで取得し、同じ型式を共有して利用することを可能とするビジネスモデルを構築する。
【請求項4】
前記システムを用い、住宅型式性能認定を部材メーカー、住宅関連流通業者などの一企業が取得し、その企業を中心としたグループ化を図り、同じ型式を共有して利用することを可能とするビジネスモデルを構築する。
【請求項5】
請求項3ないし請求項4による取得企業を中心としたグループ会社個々のカスタマイズによる独自の型式として再申請し、自分の型式として再取得して差別化を可能とするビジネスモデルを構築する。

【公開番号】特開2011−14115(P2011−14115A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174772(P2009−174772)
【出願日】平成21年7月4日(2009.7.4)
【出願人】(593053977)ジェイ建築システム株式会社 (13)