説明

体内組織特性のモデリング

本発明は、少なくとも1つの測定可能な組織性質を少なくとも1つの組織特性に関連付けるモデルを生成及び/又は更新する方法であって、2以上のデータカテゴリを規定するステップと、複数のトレーニングデータセットのそれぞれを前記データカテゴリの1以上に割り当てるステップと、前記カテゴリの選択されたカテゴリに分類されたデータセットのみを利用して前記モデルを生成及び/又は更新するステップとを有する方法を記載する。本発明はまた、このようなモデルを生成するための方法及びシステムと共に、当該モデルにより利用される複数の測定された組織性質データセットを格納するデータベース構成を記載する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、例えば、体内組織を正常(健康など)又は異常(病的など)と特徴付けるのに利用可能な体内特性のモデルを生成する方法及びシステムに関する。本発明は、必ずしも限定されるものではないが、特に乳ガンを含むガンの診断及び管理に適用可能である。
【0002】
[背景]
疑わしい又は明らかな乳ガンを管理するため、組織が生検標本の形式により患者から摘出され、組織病理学者による専門的な分析を受ける。この情報は、当該患者の病気の管理プログラムを導く。この分析は、腫瘍のサイズ、タイプ及びグレードなどの兆候パラメータに対する顕微鏡検査により分析される組織サンプルの注意深い準備を必要とする。組織分類における重要なパラメータは、サンプルに存在する構成要素を定量化することである。組織学の解釈は、観察者間及び観察者内で変動する可能性がある処理である組織サンプルの定性的分析に基づき長年かけて学習可能である専門的知識を必要とする。
【0003】
組織病理分析の相対的な価値にかかわらず、各ケースにおいて腫瘍の行動を予測するにはある程度の不正確さが残る。さらなる技術は、現在利用されているものよりかなりの程度まで組織の特性化を精密にする可能性を有し、これにより、患者のターゲットとされる管理を向上させる。
【0004】
一部の研究者は、組織を正常又は異常と特徴付けするため、X線回折プロファイル(ときには「シグネチャ(signature)」と呼ばれる)を利用することを提案してきた。回折プロファイルは、所与の組織サンプルに対する瞬時の転送の機能として(主として回折効果によって)散乱されるX線の強度である。
【0005】
具体例として、Poletti M.E.,Goncalves O.D.及びMazzarolによる“2002 X−ray scattering from human breast tissues and tissue equivalent materials”(Phys.Med.Biol 47 375−82)、Kidane G.Speller R.D.,Royle G.J.及びHanby A.M.による“1999 X−ray signatures from normal and neoplastic breast tissue Phys.Med.Biol 44 791−802)があげられる。
【0006】
当該アプローチは、ある程度まで成功していることが示されている。しかしながら、当該アプローチを利用して正常組織と異常組織を区別することが可能であると証明されているが(脂肪と他の組織タイプに対する回折プロファイルには大きな相違があるため)、より精細なレベルにおいて組織タイプを区別することは不可能である(例えば、良性腫瘍と悪性腫瘍を区別するなど)。
【0007】
同時係属中のPCT特許出願PCT/GB04/005185では、体内組織を特徴付け/分析するための多変量アプローチを記載している。当該出願に記載されているアプローチは、複数の測定された入力を特定の組織特性に関連付ける多変量モデルを利用するものである。より詳細には、モデル化される特性が既知である組織サンプルから測定されたデータが、他のサンプルの1以上の未知の特性を予測するのに以降において利用可能なモデルを生成するのに利用される。当該モデルは、例えば、コンピュータモデリングの分野では周知である部分最小二乗法(PLS)回帰アプローチ又は主成分分析(PCA)アプローチを利用して、生成することが可能である。
【0008】
モデルの組織データを取得するのに利用される技術は、例えば、蛍光X線(XRF)、コンプトン散乱及び/又はコンプトン散乱デンシトメトリ、エネルギー分散型X線回折(EDXRD)、角度分散型X線回折(広角X線散乱(WAXS)を含む)、低角X線散乱、小角散乱(SAXS)、超低角散乱(ULAX)及び線形減衰(伝送)などを含むX線及び/又は透過放射を用いて求められる測定された各種組織性質を含みうる。
[発明の概要]
本発明は、一般に同時係属中のPCT特許出願PCT/GB04/005185に記載される方法により利用可能なモデルを生成し、それを利用可能にする方法及びシステムに関する。
【0009】
疑義を回避するため、以降において、「組織サンプル」という用語は、広い意味に解釈されるべきである。具体的には、この用語は、体内「サンプル」、すなわち、人体又は動物の体の一部である「サンプル」から構成されるものとして本発明において使用される。さらに、この用語はまた、患者から摘出された組織の組織片、セグメント又はサンプルのすべて又は一部から構成される生体外の(体外と呼ばれるかもしれない)非一様及び一様なサンプルから構成されるものとして使用される。非一様及び一様とは、組織の生物学的構成に関する。
【0010】
同様に、本発明において、「組織サンプル」という用語はまた、人間又は動物のオリジン(origin)の生物学的体内組織から構成されるものと理解される。この体内組織サンプルもまた体内、すなわち、人間又は動物の体の一部であるかもしれない。あるいは、体内組織は、生体外(体外と呼ばれるかもしれない)の、好ましくは、外科的処置又は獣医的処置を介し取得された非一様サンプルであるかもしれない。あるいは、生物学的組織サンプルは、細胞培養又は細胞株から取得されてもよい。これらの細胞培養又は細胞株は、ペトリ皿などで成長、増殖又は発達されたものであってもよい。
【0011】
第1の特徴では、本発明は、1以上(好ましくは、2、3又は4以上)の測定可能な組織性質を1以上の組織特性に関連付けるモデルを生成及び/又は更新する方法であって、
2以上のデータカテゴリを規定するステップと、
複数のトレーニングデータセットのそれぞれを前記データカテゴリの1以上に割り当てるステップと、
前記カテゴリの選択されたカテゴリに分類されたデータセットのみを利用して前記モデルを生成及び/又は更新するステップと、
を有する方法を提供する。
【0012】
前記モデルを生成/更新するステップは、コンピュータモデリングの分野において知られている何れか適切な方法により実現することが可能である。可能性のある2つの具体例が、上述した同時係属中のPCT特許出願PCT/GB04/005185に与えられている。例えば、ニューラルモデリング技術などを含む他の多変量モデリング技術もまた利用可能である。
【0013】
当該モデルは、以降において組織サンプルを該サンプルからの測定された組織性質データセットに基づき特徴付けるのに利用することが可能である。
【0014】
データセットは、典型的には、モデルが決定するよう構築されている組織特性が知られている1つの組織サンプルからの複数の測定されたデータ値から構成される。複数の測定値は、好ましくは、蛍光X線(XRF)、コンプトン散乱及び/又はコンプトン散乱デンシトメトリ、エネルギー分散型X線回折(EDXRD)、角度分散型X線回折(広角X線散乱(WAXS)を含む)、低角X線散乱、小角散乱(SAXS)、超低角散乱(ULAX)及び線形減衰(伝送)などを含むX線及び/又は他の貫通する放射を利用して求められる異なるタイプの測定からのものである。
【0015】
データカテゴリは、例えば、
・患者の年齢、性別、人種、地域、体重、妊娠の有無、更年期の有無など
・サンプルが採取された部位
・サンプルが分析/特徴付けされた施設
・測定された組織性質データの精度(信頼レベルなど)など
・組織が良性又は悪性の変異を示しているかなど、組織サンプルの組織病理データ及び/又は組織病理診断など
・組織特性/タイプ(脂肪、腺、正常、異常良性、異常悪性など)
・患者の履歴(診断履歴、家族履歴など)と共に、当該患者が受けた以前の又は現在の処置などの他の患者情報
など、組織又はそれを取得した患者の1以上の性質を含むかもしれない。例えば、患者が腫瘍のサイズ又は増殖を低減するため、前処置的な化学療法を受けている場合、これは細胞構成と、ほとんど確実にX線散乱シグネチャに影響を与える可能性がある。このため、患者の組織サンプルから取得したデータの分析及び処理並びにトレーニングモデル及び/又はアルゴリズムにおける最近の及び/又は以前の処置情報と、より一般には他の組織情報を考慮することが効果的又は好ましいかもしれない。このような「他の組織」情報は、組織のゲノム又はプロテオーム構成/プロファイルに関する情報を含むかもしれない。もちろん、ゲノム又はプロテオームデータは、モデル及び/又はアルゴリズムに対する直接的又は相対的に直接的なパラメータとしては利用されないが、それは、体内分析のためサンプルにおいて利用され、又はモデル及び又はアルゴリズムをトレーニングするのに利用されるかもしれない。
【0016】
便宜上、カテゴリはカテゴリタイプにグループ化される。例えば、あるカテゴリタイプは性別であり、‘男性’と‘女性’の2つのカテゴリを含むかもしれない。便宜上及び整合性のため、カテゴリタイプはそれぞれ、好ましくは、いくつかの所定のカテゴリを有する(排他的(すなわち、あるサンプルに対するカテゴリは、所定の値の1つしかとることができない)又は非排他的であるかもしれない)。例えば、性別のカテゴリタイプは、他の選択肢が許容されない可能性のあるカテゴリ値‘男性’と‘女性’を有するかもしれない。
【0017】
トレーニングデータセットは、好ましくは、それらに割り当てられたカテゴリを有するデータベースに格納される。新たなトレーニングデータセットは、データベースに追加されると分類される。各データセットは、複数のカテゴリに割り当てられるが、典型的には、各カテゴリに対して1つの値しか有しない。
【0018】
このように、各種モデルが、各モデルを生成するのに異なるデータグループを選択することによって、データを利用して生成可能であり、グループはグループデータが特定のカテゴリ値を有しなければならないことを指定することによって決定される。例えば、データグループは、20〜30才の年齢レンジの女性からとられた組織サンプルに対するすべてのデータセット、又は北米又は欧州に住んでいて、データの信頼レベルが95%異常となる男性からの組織サンプルに対するすべてのデータセットから構成されるかもしれない。モデルを生成するのに利用されるデータグループはまた、あるデータカテゴリを排除することによって、又は一部のカテゴリを含めて、他のものを排除する組み合わせを介し構成されるかもしれない。
【0019】
第2の特徴では、本発明は、少なくとも1つの測定可能な組織性質を少なくとも1つの組織特性に関連付けるモデルを生成する方法であって、
各データセットが複数のカテゴリの1以上に割り当てられるトレーニングデータセットのデータベースを設けるステップと、
前記データカテゴリの2以上を参照して規定される、モデルを構築するのに利用されるべきトレーニングデータセットグループを規定するステップと、
前記規定されたデータセットグループを利用して前記モデルを生成するステップと、
を有する方法を提供する。
【0020】
第3の特徴では、本発明は、少なくとも1つ(好ましくは、2、3又は4以上)の測定可能な組織性質を少なくとも1つの組織特性に関連付けるモデルを生成するシステムであって、
各データセットが複数のカテゴリの1以上に割り当てられるトレーニングデータセットのデータベースと、
前記データカテゴリの2以上を参照して規定される、モデルを構築するのに利用されるべきトレーニングデータセットグループを規定するユーザインタフェースと、
前記規定されたデータセットグループを利用して前記モデルを生成するモデル生成装置と、
を有するシステムを提供する。
【0021】
特定の性質(カテゴリにより決定されるような)を有する選択されたデータからモデルを構築する当該機能は、例えば、モデルを利用して分析されている組織サンプルがとられた患者をより良好に表すモデルを構築するのに有用であるかもしれない。例えば、それは、出産歴のない45才の女性からの乳ガンを分析するのに利用されるモデルが、出産歴のない40〜50才の年齢レンジの女性からの組織サンプルに対するデータセットを利用して生成される場合、より正確な結果を提供するかもしれない。
【0022】
モデルは、それらがこのように必要とされるとき生成されるかもしれない。しかしながらより好ましくは、モデルが生成されると、それは再利用可能となるようにモデルのデータベースに格納される。モデルのライブラリが専用のモデルを構築する代わりに利用可能となるように、モデルのライブラリを生成することが便利であるかもしれない。このようなモデルのライブラリが存在するとき、各ライブラリは、好ましくは、新たな関連するトレーニングデータセットが利用可能になると更新される(特に、新たなデータがモデルを生成するのに利用された既存のデータより高い精度を有する場合)。
【0023】
第4の特徴では、本発明は、複数の測定された組織性質データセットを格納するデータベース構成であって、
各データセットに対して、当該データベース構成は、少なくとも1つの組織特性と少なくとも1つの測定された組織性質とを格納し、
当該データベース構成はさらに、各データセットが当該データベース構成の当該複数のカテゴリの少なくとも1つと関連付け可能な複数のカテゴリを有する、データベース構成を提供する。
【0024】
好ましくは、カテゴリは、各カテゴリタイプが1以上のカテゴリを含む複数のカテゴリタイプにより構成される。カテゴリタイプ内のカテゴリは、各データセットが当該カテゴリタイプのカテゴリの1つのみと関連付け可能な互いに排他的なものであってもよい。
【0025】
本発明は、上記各種特徴に従って生成及びトレーニングされるモデルを提供する。
[実施例の説明]
図1は、以降において組織サンプルを特徴付けるのに利用可能なトレーニング組織データセットに基づき、モデルを生成するのに利用可能なシステムを示す。当該モデルは、例えば、生検物質(又は体外検査)の分析、又は組織を正常、異常良性又は異常悪性として特徴付ける体内分析などにおいて利用可能である。
【0026】
本システムは、この例ではネットワーク接続されたPC(パーソナルコンピュータ)2からオペレータにより制御される。PCは、オペレータの指示の下、組織データストア6とモデルストア8の2つのデータベースにアクセス可能なモデル生成サーバ4を制御する。
【0027】
モデルストア8は、生成されたモデルのコピーを保持するデータベースであり、これにより、モデルは以降における利用のため呼び出し可能となる。
【0028】
組織データストア6は、複数のトレーニングデータセットを保持するデータベースである。各トレーニングデータセットは、1以上の既知の特性を有する1つの組織サンプルについて測定された組織の性質を有する。これらの特性は、トレーニングデータセットの一部として格納される。例えば、組織性質データは、X線放射により組織サンプルを放射することによって取得される低角及び広角散乱測定、コンプトン散乱測定、伝送特性及びXRF措定を含むかもしれない。本例では、1つの組織特性は、正常、異常良性及び異常悪性の1つとなる。他の組織特性は、線維や脂肪などの組織タイプであるかもしれない。
【0029】
図2に示されるように、組織データストアデータベース6のデータ構造は、複数のカテゴリタイプにグループ化される複数のカテゴリを含む。説明のため、図2は3つのカテゴリタイプ(タイプ‘A’、‘B’及び‘C’)を示し、各カテゴリタイプは3つのカテゴリ(カテゴリ‘A1’、‘A2’、‘A3’、‘B1’など)を含む。実際には、より多くのカテゴリタイプがあり、各タイプにはより多い又は少ないカテゴリが存在するかもしれない。カテゴリタイプ/カテゴリはそれぞれ、それらが取得された患者の組織サンプルのいくつかの性質を表す。例えば、カテゴリタイプ‘A’は‘性別’であり、‘A1’は‘女性’であり、‘A2’は‘男性’であり、‘A3’は‘未知’であるかもしれない。カテゴリタイプ‘B’は‘年齢’であり、‘B1’は‘20〜20’であり、‘B2’は‘31〜40’であり、‘B3’は‘41〜50’であるかもしれない。カテゴリタイプ‘C’は‘地域’であり、‘C1’は‘欧州’であり、‘C2’は‘北米’であり、‘C2’は‘他の地域’であるかもしれない。
【0030】
使用について、オペレータは、当該モデルが基づくデータのカテゴリを指定することによって、モデルの生成を指示する。関連するデータがデータストア6から抽出され、モデルがモデル生成装置4により生成される。生成されると、モデルはモデルストア8に保存され、他の組織サンプルを分析(特徴付けなど)するのに利用可能である。この処理について、図4〜図6を参照して以下においてより詳細に説明される。
【0031】
使用されるべきデータが選択されると、モデル生成方法は、コンピュータモデリングの分野において知られている何れか適切なモデリング方法とすることが可能である。適切な具体例として、同時係属中のPCT特許出願PCT/GB04/005185に記載される部分最小二乗法(PLS)回帰アプローチや主成分分析(PCA)アプローチがあげられる。生成されると、モデルは、当該出願に記載される分析/組織特性化方法に従って利用可能である。
【0032】
図3は、リモートサイトにおける利用のためモデルを抽出及び生成することを可能にする図1のシステムの拡張を示す。
【0033】
関連付けされた中央の組織データストア6とモデルストア8を有する中央モデル生成装置4から遠隔にある任意数のユーザが、例えば、インターネット10などを介しこれらの装置にアクセスすることができる。図3において、このような3つのリモートユーザが示されている。
【0034】
第1リモートユーザ12は、単にモデル生成装置4を操作するためモデル生成装置4に直接接続されたPC2と同様に利用可能なPCをローカルに有する。唯一の相違点は、リモートPC12とモデル生成装置4との間の通信がインターネット10を介しているということである。モデルが生成されると、モデルストア8に保存されると共に、そこでの利用のためリモートPCに送信される。
【0035】
リモートユーザ14は、同様に機能する。しかしながら、それらはまた、ローカルモデルストア16にアクセス可能である。このことは、リモートユーザ14のリクエストにより生成されるモデルが、当該ユーザによってローカルに格納されると共に、それらを中央に格納することを可能にする。このことは、特に同じモデルがリモートユーザ14により定期的に使用される場合には、中央システムとの通信の必要性を最小限にするのに効果的であるかもしれない。
【0036】
リモートユーザ18はまた、ローカルモデルストア20を有する。さらに、それらはまた、ローカル組織データストア22にアクセス可能である。ローカル組織データストア22は、中央組織データストア6の全体又は選択された部分(選択されたデータカテゴリなど)のミラーであるかもしれない。このことは、リモートユーザ18による新たなモデルに対するいくつかのリクエストが、中央システムと通信する必要なくローカルに実現することを可能にするかもしれない(モデル生成装置を有するリモートユーザのPC18)。
【0037】
図4〜図6を参照して、図3のシステムの動作モードが説明される。図4は、リモートユーザのPC12、14及び18における処理ステップを示す。図5及び図6は、中央システム、特にモデル生成装置4における処理を示す。
【0038】
まず図4を参照するに、ユーザが組織分析処理を実行するようモデルに要求すると、まず所望のモデル基準を入力する(30)。これらの基準は、組織データストアデータベースのカテゴリに対応する。ユーザは、例えば、31〜40の年齢区分における女性のデータを使用して生成されるモデルを指定するかもしれない(すなわち、‘A1’と‘B2’の双方としてカテゴリ化されたデータセット)。
【0039】
その後、システムは、当該モデルが(存在する場合には)ローカルモデルストアに存在するか確認するためチェックを行う(32)。存在する場合、ローカルに格納されているモデルが利用可能である(50)。新たなモデルが生成される必要はなく、中央システムとの通信も必要でない。
【0040】
要求された仕様によるモデルがローカルに存在しない場合、システムは次に、所望のモデルを生成するのに必要なデータがローカルに(ローカル組織データストアが存在する場合には)存在するか確認するためチェックを行う(34)。存在する場合、新たなモデルがローカルに生成され(36)、ローカルに格納され(38)、利用することが可能となる(50)。
【0041】
モデルもそれを生成するデータもローカルに存在しない場合、ローカルシステムは、それらを提供する中央システムを検索する必要がある。このため、ローカルシステムは、中央システムからそれを生成するのに必要とされる所望のモデル又はデータを要求する。
【0042】
図5に示されるように、データに対するリクエストが中央システムにより受付された場合(52)、中央システムは単に、それのデータストア54から必要なデータを抽出し(54)、それを要求元のリモートシステムに送信する(56)。
【0043】
当該リクエストがモデルに対するものであるとき(60)(図6参照)、中央システムはまず、正しい仕様によるモデルが中央モデルストアに存在するか確認するためチェックする(62)。存在する場合、中央システムは、格納されているモデルを抽出し(66)、それを要求元のリモートシステムに送信する(64)。
【0044】
適切なモデルが存在しない場合、中央システム(具体的には、モデル生成装置)は、所望の仕様により新たなモデルを生成する。このため、必要なデータがまず、中央組織データストアから抽出され(68)、その後、当該データがモデルを生成するのに利用される(70)。その後、この新しいモデルは、当該リクエストの要求元のリモートシステムに送信される(64)。このようにして新たなモデルが生成されると、それはまた、中央モデルストアに保存されるかもしれない。
【0045】
図3を参照するに、新たなモデルが中央システムからリクエストされている場合(40)、当該モデルがリモートシステムにおいて受信されると、それはローカルモデルストア38に保存され、その後、利用可能とされる(50)。
【0046】
データのみがリクエストされている場合には(50)、リモートシステムは、受信データをそれのローカル組織データストア(存在する場合には)に格納し、所望のモデル36を生成するため、当該データをローカルに処理する。その後、当該モデルは、ローカルモデルストア38に格納され、利用可能となる(50)。
【0047】
このようにして、中央システムから遠隔にある複数の場所にいる複数のユーザが、最小限のインターネット通信必要量によって、組織分析/分類に必要とされるモデルを抽出又は生成するためシステムを操作することができる。
【0048】
中央に又はリモートシステムにローカルに格納されているモデルは、好ましくは、関連する新たな組織データが利用可能になると更新される。同様に、組織データがリモートシステムにローカルに格納される場合、中央組織データストアにおいて受信される関連する新たなデータは、好ましくは、ローカルデータストアにコピーされる。
【0049】
上記記載は実施例及び各種改良により提供されたが、具体的に記載されたそれらに対する追加又は省略は、本発明から逸脱することなく可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明の第1実施例によるモデル生成システムの概略図である。
【図2】図2は、図1のシステムに利用されるデータベース構成を示す。
【図3】図3は、本発明のさらなる実施例によるモデル生成システムを示す。
【図4】図4は、図3のシステムを利用してモデルを生成するための本発明の実施例による処理を示す。
【図5】図5は、図3のシステムを利用してモデルを生成するための本発明の実施例による処理を示す。
【図6】図6は、図3のシステムを利用してモデルを生成するための本発明の実施例による処理を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの測定可能な組織性質を少なくとも1つの組織特性に関連付けるモデルを生成及び/又は更新する方法であって、
2以上のデータカテゴリを規定するステップと、
複数のトレーニングデータセットのそれぞれを前記データカテゴリの1以上に割り当てるステップと、
前記カテゴリの選択されたカテゴリに分類されたデータセットのみを利用して前記モデルを生成及び/又は更新するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記モデルは、少なくとも1つの測定可能な組織性質を複数の組織特性に関連付ける、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記モデルは、複数の測定可能な組織性質を少なくとも1つの組織特性に関連付ける、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記モデルは、複数の測定可能な組織性質を複数の組織特性に関連付ける、請求項1記載の方法。
【請求項5】
組織サンプルを該サンプルからの測定された組織性質データセットに基づき特徴付けるのに以降において利用可能なモデル。
【請求項6】
データセットが、前記組織特性が既知である1つの組織サンプルからの複数の測定されたデータ値から構成される、請求項5記載のモデル。
【請求項7】
前記複数の測定される値は、異なるタイプの測定からものである、請求項6記載のモデル。
【請求項8】
前記複数の測定される値は、蛍光X線(XRF)、コンプトン散乱及び/又はコンプトン散乱デンシトメトリ、エネルギー分散型X線回折(EDXRD)、角度分散型X線回折(広角X線散乱(WAXS)を含む)、低角X線散乱、小角散乱(SAXS)、超低角散乱(ULAX)及び線形減衰(伝送)の少なくとも2つを有する、請求項7記載のモデル。
【請求項9】
前記データカテゴリは、前記組織及び/又は該組織が取得された患者の少なくとも1つの性質から構成される、請求項5乃至8何れか一項記載のモデル。
【請求項10】
前記トレーニングデータセットは、割り当てられたカテゴリを有するデータベースに格納される、請求項5乃至9何れか一項記載のモデル。
【請求項11】
新たなトレーニングデータセットは、前記データベースに追加されると分類される、請求項5乃至10何れか一項記載のモデル。
【請求項12】
各データセットは、複数のカテゴリに割り当てられる、請求項5乃至11何れか一項記載のモデル。
【請求項13】
各データセットは、各カテゴリに対して1つのみの値を有する、請求項12記載のモデル。
【請求項14】
少なくとも1つの測定可能な組織性質を少なくとも1つの組織特性に関連付けるモデルを生成する方法であって、
各データセットが複数のカテゴリの1以上に割り当てられるトレーニングデータセットのデータベースを設けるステップと、
前記データカテゴリの2以上を参照して規定される、モデルを構築するのに利用されるべきトレーニングデータセットグループを規定するステップと、
前記規定されたデータセットグループを利用して前記モデルを生成するステップと、
を有する方法。
【請求項15】
少なくとも1つの測定可能な組織性質を少なくとも1つの組織特性に関連付けるモデルを生成するシステムであって、
各データセットが複数のカテゴリの1以上に割り当てられるトレーニングデータセットのデータベースと、
前記データカテゴリの2以上を参照して規定される、モデルを構築するのに利用されるべきトレーニングデータセットグループを規定するユーザインタフェースと、
前記規定されたデータセットグループを利用して前記モデルを生成するモデル生成装置と、
を有するシステム。
【請求項16】
複数の測定された組織性質データセットを格納するデータベース構成であって、
各データセットに対して、当該データベース構成は、少なくとも1つの組織特性と少なくとも1つの測定された組織性質とを格納し、
当該データベース構成はさらに、各データセットが当該データベース構成の当該複数のカテゴリの少なくとも1つと関連付け可能な複数のカテゴリを有する、データベース構成。
【請求項17】
前記カテゴリは、複数のカテゴリタイプにより構成され、
各カテゴリタイプは、1以上のカテゴリを有する、請求項16記載のデータベース構成。
【請求項18】
各データセットが当該カテゴリタイプのカテゴリの1つのみと関連付け可能となるように、当該カテゴリタイプ内のカテゴリは互いに排他的である、請求項17記載のデータベース構成。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−503297(P2008−503297A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517461(P2007−517461)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002499
【国際公開番号】WO2006/000793
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(506200429)ティシュオミクス リミテッド (6)