説明

体液中の検体の検出のためのシステム

体液中の少なくとも1つの検体、特に血糖を検出するためのシステム(110)が提案される。システム(110)は、体液の試料(130)を生成し、少なくとも1つのテストエレメント(128)、特にテストパネル(129)に試料の少なくとも一部を搬送するように設計される。システム(110)は、試料(130)の生成とテストエレメント(128)への適用との間の時間間隔が1秒未満、好ましくは500ミリ秒未満となるように設計される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液中の少なくとも1つの検体を検出するためのシステムに関する。このようなシステムは、特に、血液または間質液などの体液中の1以上の検体の定性的または定量的測定を可能にするために、たとえば、携帯型検出装置として、または固定装置においても使用される。特に、関連する検体は代謝物である。以下において、特に、血糖の検出を説明するが、他の種類の検体を排除するものではない。
【背景技術】
【0002】
体液中の検体の検出のための多くのシステムが先行技術から既知である。これらのシステムは、一般的に、たとえば、少なくとも1つのランセットの使用によってまず体液試料を生成することに基づく。その後、少なくとも1つのテストエレメントを使用して、この試料は、一般的に、検出される少なくとも1つの検体について定性的または定量的に試験される。これは、たとえば、光学的および/または電気化学的に実施可能である。テストエレメントは、たとえば、少なくとも1つの検体の検出用に特に設計された試験化学物質を有する1以上のテストパネルを含み得る。たとえば、試験化学物質は、少なくとも1つの検体の存在下で1以上の検出可能な反応または変化をし、該反応または変化は、たとえば、物理的および/または化学的に検出可能である。
【0003】
このような多くのシステムは先行技術から既知である。したがって、たとえば、米国特許第7252804号明細書は、体液の分析のための測定ユニットを記載しており、該ユニットは、テストストリップの使用に基づく測定機器と、該測定機器に接続されたランセットとを備える。さらに、試料の生成と、テストエレメントによる試料の採取とが組み合わされたシステムも知られている。たとえば、欧州特許出願公開第1992283号明細書は、穿刺傷を生成するためのランセットと、体液試料を採取するための試料採取装置とを有する穿刺システムを記載している。穿刺動作後、試料が採取されるサンプリング動作が実施される。同様に、欧州特許出願公開第1881322号明細書は、液体試料の分析のための携帯可能な測定システムを記載しており、該システムは、ハウジング内部雰囲気を有する防湿のハウジングを有する。液体試料は、ハウジング内部雰囲気内で少なくとも1つのテストエレメントに適用可能である。
【0004】
試料が生成されてテストエレメントに搬送されるこのようなシステムに加えて、試料の生成と試料の採取とが統合されたシステムが存在する。たとえば、これは、液体試料を採取するために全体的または部分的にキャリピラリーとして設計された適当な針を使用して行うことができる。これらのキャピラリーによって、液体試料はテストエレメントに搬送可能であり、テストエレメントは、たとえば、針、または、一般的にはランセット装置に統合可能である。このようなランセットシステムは、しばしば、「取得および測定(get and measure)」システムとも称される。この種の統合されたランセットシステムは、国際公開公報第WO2005/084546号パンフレットに記載されている。
【0005】
使用されるシステムに関わらず、体液中の検体を検出するためのシステムの一般的な目的は、試料の試料体積を著しく減少することである。このような減少は、多くの理由のために望ましい。まず、減少した試料体積によって、分析に関連して患者が経験する痛みを最小限にすることができる。さらに、大きな試料体積は、たとえば、試料自体による分析機器の汚染の危険性が高まることについて問題を生じる。試料体積を減少するさらなる理由は、統合されたシステムを製造する目的のためである。この統合は、同一空間内においてより高度な機能性を要するため、ランセットが使用可能な空間は一般的に減少し、そのため、試料体積のための空間も減少する。さらに、これらのシステムは、一般的に試料体積を増加するために皮膚の穿刺面を能動的に操作することはできないため(「搾乳」(milking))、統合されたシステムは、ほとんどの場合、より小さな試料体積で作動しなければならない。
【0006】
しかしながら、本発明に関連して発見されたように、たとえば、1μm未満の血液体積など、減少した試料体積で作動するシステムにおいての問題は、蒸発の影響およびこれに関連する試料の少なくとも部分的な乾燥にある。しかしながら、たとえば、水の蒸発による試料の乾燥は、液体試料中に溶解した、たとえば、グルコースなどの物質の濃度を増加することになる。このような試料において、しかしながら、測定される濃度の上昇は不正確なものである。
【0007】
液体の蒸発効果は、一般的に広く調査され、文献において多くの刊行物に記載されている。ほとんどの研究は、自由落下水滴または供給水滴に言及しており、自由落下液滴とは基本的に異なる作用をし得る、低圧下に通常ある液体についてではない。蒸発は、たとえば、空気湿度および液体表面の環境における対流に影響される。通常状態において、少なくとも約100nlの液滴の標準的な蒸発速度は、0.3から0.6nl/秒であり、一定環境状態下においては、たとえば、液滴の表面積によって決定される。
【0008】
前述の蒸発原理の研究は、多くの場合において、蒸発の複雑な理論予測につながり、これは、多くの環境要因およびパラメータの知識に基づくものである。しかしながら、体液中の検体の検出のための分析システムは、多くの場合において、広範な温度範囲および空気湿度範囲にわたって作用しなければならず、特別な対流状態とは無関係に、このような予測および分析は実際にはほとんど役立たない。
【0009】
また乾燥作用が及ぼす影響は、医療診断分野からも知られている。たとえば、米国特許第7252804号明細書において、穿刺補助具を有するバイオセンサでの血液試料の乾燥作用が参照される。同様に、米国特許第6878262号明細書はこの作用について言及しており、蒸発を阻止するために血液輸送のためのキャピラリーを閉じることを提案している。同様の手順は、たとえば、米国特許第6565738号および6312888号明細書においても選択されている。また、特に対流による試料の乾燥を阻止するために、0.5μl未満の体積の試料は被覆されることが米国特許第6325980号明細書に提案されている。
【0010】
したがって、多くの既知の手法は蒸発の問題についてキャピラリーを被覆することによって対処しているが、しかしながら多くの場合において、このことは実際にはほぼ不可能であり、または少なくとも達成することは困難である。特に、前述の「取得および測定」システムにおいて、使い捨て可能なシステムとして構成されるランセットの被覆は、相当な技術努力によってのみ実現可能である。したがって多くの場合、半開のキャピラリーからの蒸発を考慮しなければならない。しかしながら、多くのインタフェースを有するこのようなシステムは、困難であることのみが理論的に説明可能である。特に、温度範囲および/または空気湿度範囲および特別な対流状態に関する前述の複雑な環境状態のために、特に、一定の補正因子をグルコース濃度および/または別の検体濃度の計算に取り入れることは不適当である。実際には、特に、多くの場合において蒸発を補正する理論的または半経験的手法は、非現実的に低い蒸発率となり、その結果、誤った補正となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、体液中の少なくとも1つの検体の検出のために使用され、既知のシステムの不利点を回避するシステムを提供することである。特に、システムは、安価に製造されるが、広範囲の現実的な環境状態において改善された検出結果を生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、独立請求項の特徴を有する体液中の検体の検出のためのシステムが提案される。単独で、または組み合わされて実施可能な本発明の有利な詳細は、従属請求項に示される。
【0013】
前述のシステムは、体液中の検体の検出のために使用される。この流体は、特に、血液および/または間質液でよいが、代替的または付加的に、他の種類の体液も検査可能である。定性的および/または定量的に検出可能な少なくとも1つの検体は、特に少なくとも1つの代謝物でよい。これは、特に血糖でよい。しかしながら、代替的または付加的に、コレステロール、乳酸、凝固体、トロポニン、ミオグロビン、proBNP、C反応性タンパク質、CK−MBなどの検体を検出することもできる。また、いくつかの検体の組み合わせを検出することもできる。
【0014】
提案されたシステムは、体液試料を生成し、該試料を少なくとも1つのテストエレメント、特にテストパネルに搬送するように設計される。試料を生成するために、特に、システムは、ユーザの皮膚部分を穿刺するための少なくとも1つのランセットを備え得る。ランセットという用語は広く解釈され、原理上は、皮膚部分に切開および/または穿刺をもたらし得る任意の所望の要素を含む。さらに、ランセットおよび/またはシステムは、少なくとも1つの駆動装置を備えることができ、これは体液試料を生成する目的で、切開および/または穿刺をもたらすために要素の穿刺動作を生じるよう設計される。
【0015】
少なくとも1つのテストエレメントは、たとえば、少なくとも1つのテストパネルを備え得る。少なくとも1つのテストエレメント、特に少なくとも1つのテストパネルは、特に、少なくとも1つの試験化学物質を含むことができ、これは、少なくとも1つの検体の存在下で、たとえば、物理的および/または化学的に測定可能な特性など、少なくとも1つの測定可能な特性を変化させる。たとえば、これは、色変化など電気化学的に測定可能および/または光学的に測定可能な特性でよい。この目的のために、特に試験化学物質であるテストエレメントは、たとえば酵素、助剤などの適当な化学物質および/または化学混合物を含むことができ、原理上、これらは先行技術から既知であり、本発明に関して使用できる。たとえば、J. Hoenesら、Diabetes Technology and Therapeutics,第10巻,付録1,2008年,10〜26ページを参照できる。ここに記載されているテストエレメントおよび/または試験化学物質もまた、本発明に関して使用できる。
【0016】
テストエレメントは、少なくとも1つのランセットに統合可能であり、および/または、少なくとも1つのランセットとは完全にまたは部分的に別個に設計可能である。テストエレメントが少なくとも1つのランセットに統合される場合、たとえば前述の先行技術による既知の「取得および測定」システムから知られたランセットを使用することができる。たとえば、1以上のテストパネルは、閉鎖または開口したキャピラリーの端部に配置可能であり、またはキャピラリーの間隙を全体的または部分的に被覆可能であるため、試料はキャピラリーの間隙を通ってテストエレメントに搬送される。
【0017】
試料の搬送を確実にし、そのすべてまたは一部が少なくとも1つのテストエレメントに搬送され得るように、いくつかの機構が提供可能である。したがって、たとえば、生成部位からテストエレメントへの試料の搬送は、少なくとも1つのキャピラリーを介して少なくとも部分的に、またはいくつかの区域において生じ得る。このことは、特に、ランセットに全体的または部分的に統合されたキャピラリーに当てはまる。特に、このキャピラリーは、部分的に開口したキャピラリー、すなわち、ランセット内の開口スリットの形状のキャピラリーとして設計可能である。前述の通り、これは、特に、統合されたテストエレメントを有するランセット、すなわち「取得および測定」ランセットと称されるものでよい。
【0018】
しかしながら、通常、テストエレメントへの体液試料の搬送という表現は、幅広く解釈される。この表現は、通常、試料とテストエレメントとが互いに対して移動することを意味し、すなわち、試料がテストエレメントに搬送されるように、その位置および/または方向性および/または範囲および/または形状に関して変化する。キャピラリーの使用は、試料自体をテストエレメントに移動する一つの可能性である。しかしながら、代替的または追加的に、テストエレメントが試料を採取するために移動される機構を使用することもできる。たとえば、システムは、まず試料が皮膚部分の上および/または内部で生成され、その後、テストエレメントの皮膚部分および/または試料に対する移動によって試料がテストエレメントに搬送される機構を備え得る。換言すれば、たとえば、血液は、たとえばテストパネルを介して直接的に皮膚表面から採取するために、まず、たとえば指である皮膚部分の上および/または内部で生成され得る。この機構は、たとえば、欧州特許出願公開公報第1992283号または1881322号明細書に記載された機構と同様に設計可能である。
【0019】
本発明の以下のすべての特徴に適用され得るこの種の基本的システムから進行して、本発明は、血液試料の乾燥作用の研究に基づく。これらの実験は、一部の場合は開口した試料について実施されたが、一部の場合においては、たとえば、針内の開口したキャピラリーなどのキャピラリーでも実施された。このような実験の基本的結果は、前述の通り、たとえば水などの試験液体の自由落下または供給液滴の研究に基づく理論的または半経験的はモデルであるため、実際に使用されるこの種の検体の検出のためのシステムに直接的に移行することはできない。したがって、3つの概念が提案され、これらは組み合わせて使用可能であり、また、前述の種類の分析機器およびシステムにおいて、蒸発効果によりもたらされる前述の測定誤差の問題を回避するために使用され得る。概念は、従来のシステムでの基本原則と同一の基本原則に基づくものであり、たとえば、試料領域における気圧、湿度、温度、対流または同様の影響などの種々の環境状態のために、たとえば、一定の補正係数または補正関数に関連した既知の分析または半経験的モデルに基づく測定結果の補正は、さらなる測定が行われない場合には適用不可能である。
【0020】
本発明の第1の概念は、前述のテストエレメントへの体液試料の搬送のための時間を制限することである。1μl未満の範囲の一般的で好ましい試料体積において、試料の生成とテストエレメントへの適用との間の時間は、1秒未満、好ましくは800ミリ秒未満、特に500ミリ秒未満にすべきである。一般的な構成において、一般的な試料体積と一般的な試験形状である場合、このような1秒未満の搬送時間は、蒸発効果から生じる許容可能差異となり、たとえば、20%未満、好ましくは5%未満の測定結果の差異となる。したがって、本発明の第1の特徴によると、試料の生成とテストエレメントへの適用との間の時間が1秒未満、好ましくは500ミリ秒となるようにシステムが構成可能である。200ミリ秒未満、あるいはさらに100ミリ秒未満の搬送時間が特に好ましい。ここで、および以下の本文において、搬送時間とは、通常、試料搬送をもたらす要素が一次試料(たとえば、試験被験者の皮膚内部および/または上の体液)と最初に接触をする瞬間から、試料が特に少なくとも1つの試験化学物質である少なくとも1つのテストエレメントと最初に接触する瞬間までの間の時間として理解される。ここで、一次試料とは、試験被験者の皮膚内部および/または上の試料として理解される。搬送時間はいくつかの時間区分に分割することもでき、たとえば、搬送エレメント(たとえば、キャピラリー)による試料の実際の採取のための採取時間、および搬送時間とも指定されるテストエレメントへの実際の搬送のための時間などがある。また、たとえば、採取手順は実際の搬送中に終結する必要はないため、採取時間および搬送時間は重複することもある。
【0021】
この搬送時間に対する条件は、搬送の性質に応じてシステムにおいて異なる様式で保証可能である。たとえば、前述の種類の搬送のうちの1つがシステムにおいて保証可能である。たとえば、キャピラリー、特にランセットに統合されたキャピラリーを使用することができる。キャピラリーは、閉鎖されるか、または少なくとも部分的に開口することができ、原理上、たとえば、長方形、円形または三角形の断面の所望の断面を有する少なくとも部分的に開口したチャネルとして設計され得る。
【0022】
特に、開口したキャピラリーである、キャピラリーを有するこの種のシステムにおいて、好ましくは前述の搬送時間を保証するために、通常、また前述の他の特徴に限定することなしに、キャピラリーの長さが、8mm以下(<8mmまたは≦8mmの長さ)であり、好ましくは6mm以下(<6mmまたは≦6mmの長さ)であり、特に好ましくは4mm以下(<4mmまたは≦4mmの長さ)である場合が特に好ましい。キャピラリーとしては、たとえば、間隙幅が20マイクロメータ〜500マイクロメータ、好ましくは50マイクロメータ〜200マイクロメータ、および特に好ましくは100マイクロメータの間隙を使用することができる。前述の好ましい条件は、特に前述の種類のシステムにおいて適用されるが、体液中の少なくとも1つの検体の検出のために使用される他のシステムであって、体液試料を生成して少なくともその一部を少なくとも1つのテストエレメントに搬送し、少なくとも1つのキャピラリーが試料の搬送のために供されるシステムにおいても通常適用される。
【0023】
キャピラリーの充填速度は、キャピラリーの長さおよび/またはキャピラリーの形状に依存し得ることが示されている。特に、キャピラリーの充填速度、すなわち測定に関連したキャピラリー区域の充填速度は、キャピラリーの長さの関数として指数関数的に減少する。しかしながら、短い充填時間を保証するために、特に好ましいキャピラリーの形状は、キャピラリーの径に対する充填可能なキャピラリーの長さが100未満、好ましくは30未満、特に20未満、また特に好ましくは15未満である。キャピラリーの径の代替として、キャピラリー断面の幅を特徴付ける他の寸法を使用することも可能であり、たとえば、特に半開のキャピラリーである開口したキャピラリーの場合、径の代わりに、底面の長さにキャピラリー壁の高さの2倍を加算してもよい。
【0024】
搬送を加速するために、すなわち搬送時間を短縮するために、少なくとも1つのキャピラリーは、閉鎖したキャピラリーまたは少なくとも部分的に開口したキャピラリーであるかにかかわらず、さらに、少なくとも1つの親水化を含み得る。これは、たとえば、1以上の親水性皮膜を含み得る。たとえば、洗浄剤を含む被覆が使用可能である。特に、親水化のために、次の1以上の材料を使用できる。ヘパリン、ポリアクリル酸またはポリアクリル酸誘導体、コンドロイチン硫酸、ジクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)、ポリソルベート、非イオン界面活性剤。これに関して、たとえば、欧州特許出願番号第07114414.1号または欧州特許出願公開第1887355号明細書を参照することができる。しかしながら、代替的または追加的に、たとえば、酸素プラズマ処理などの親水化プラズマ処理など、親水化表面処理を実施できる。このように、試料の搬送は、採取時間が短縮されるため、さらに加速可能である。皮膚部分での試料の生成と、テストエレメント、またはテストエレメントのテストパネルへの搬送との間の時間である搬送時間は、たとえば、いくつかの区分から構成され得る。したがって、搬送時間の一部は、採取時間および/またはキャピラリーの充填時間と、その後の、たとえば、テストエレメントが血液と接触するまでのテストエレメントへの輸送時間とを含み得る。このようにして、たとえば、前述の搬送時間を達成することができる。
【0025】
キャピラリーを使用する代わりまたは追加として、他の搬送概念を使用するシステムにおいても、前述の搬送時間を達成できる。したがって、たとえば、前述のシステムは皮膚表面上に試料を生成するよう設計可能であり、該システムは、さらに、テストエレメントが全部または一部の試料を取り込むように、テストエレメントを皮膚表面に対して移動するように設計できる。これは、たとえば、前述の機構によって実施可能である。試料の取り込みは、この試料の取り込みが1秒未満、特に500ミリ秒、特に好ましくは200ミリ秒未満、あるいはさらに100ミリ秒未満の時間で行われるように、たとえば、適当な設計の機構により構成され得る。
【0026】
前述の好ましい時間枠内にある搬送時間を使用することによって、蒸発効果と、測定精度に対する蒸発効果の影響とを最小限化できるため、測定精度は、たとえば、血糖測定器における従来の所定の、たとえば20%の許容誤差の範囲である許容誤差内となる。血糖測定器において、20%の許容誤差は一般的に100mg/dlを超える濃度においてあらかじめ定義され、一方、100mg/dl以下では20mg/dlの許容誤差が定義されている。各々の場合において、データは95%の値が許容差内にあることに基づく。
【0027】
搬送時間を加速する概念の代替または追加として、試料体積に意図的に影響を及ぼす概念がさらに提案される。前述の説明の通り、通常、1μl未満の試料体積が、最新の血糖測定器において目的とされている。驚くべきことに、文献の想定より蒸発が著しく多く構築された、以下で詳細に説明する試験に関して、試料体積に下限がない場合に試料体積を最小限化することは、深刻な問題となり得ることが見出された。特に、10nl以下の試料体積はこのような著しい蒸発効果を有し、ほとんどの場合において、蒸発により生じた測定誤差は、少なくとも血糖測定器に対する許容誤差範囲を超えることが見出された。
【0028】
したがって、本発明のさらなる特徴によると、前述の種類のシステムが提案され、該システムにおいて、試料体積は500nl未満、特に400nl未満、300nl未満、200nl未満あるいはさらに100nl未満であるが、10nlより大きい。試料体積は、好ましくは少なくとも12nlである。
【0029】
本発明に関して、試料体積は、通常、システムによって当初に取り込まれた、すなわち、蒸発効果が生じる前の試料の体積を指定している。好ましくは、試料体積のすべてがテストエレメントに搬送されるが、その一部は、たとえばキャピラリーなどのシステムの他の部分に残留し得る。したがって、試料体積という用語は、たとえば、指腹、耳朶、または腕領域の皮膚の上および/または内部の血液である、生成された試料の総量とは区別される。この試料の総体積のうち、前述の試料体積のみがシステムに取り込まれる。試料体積は、以下で詳細に説明するように、好ましくはシステムにより検出可能である。本発明に関して、このようにして検出された試料体積は、また、実際の試料体積として指定される。
【0030】
したがって、試料体積は、好ましくは、10nlから500nlの範囲内(すなわち、10nl≦試料体積<500nl)、好ましくは10nl<試料体積≦400nl、10nl<試料体積<300nl、10nl<試料体積<200nlの範囲内であり、特に好ましくは10nl<試料体積<100nl、またはさらに10nl<試料体積<50nlの範囲内である。範囲の下限は、10nlよりわずかに多く、好ましくは12nlである。
【0031】
前に示した通り、試料は、また、たとえば1以上の前述の方法によってテストエレメントに搬送可能である。特に、少なくとも1つの少なくとも部分的に開口したキャピラリーである、少なくとも1つのキャピラリーによる搬送を再度挙げることができる。また、特に、ランセットに統合されたキャピラリーであって、少なくとも部分的に開口したキャピラリーを再度挙げることができる。再度、ランセットは、テストエレメントを統合したランセット、すなわち「取得および測定」ランセット、つまり以下の同義語を使用するとマイクロサンプラとして設計可能である。しかしながら、代替的または追加的に、またシステムは、まず試料が皮膚部分に生成され、その後、皮膚部分および/または試料に対するテストエレメントの移動によって試料がテストエレメントに搬送される機構によって設計することも可能である。可能な構成に関して、前述の説明を参照することができ、これは、示したように、本発明によるすべての概念に適用可能である。
【0032】
前に示した通り、試料体積は前述の蒸発効果において重要な役割をするため、本発明によると試料体積の制御が提案される。これは、たとえば、システムが、システムにより採取された試料および/またはテストエレメントに搬送された試料の実際の試料体積を検出するように設計されているために保証可能である。前に示した通り、試料体積は、たとえば、皮膚表面の血液滴の体積など生成された試料体積とは区別される。したがって、実際の試料体積は、システムによって採取された試料および/またはテストエレメントに搬送された試料の実際の測定値を示す。
【0033】
検体の検出は、たとえば、実際の試料体積を考慮して実施できる。たとえば、1以上の補正係数および/またはたとえば補正関数などの他の補正を使用して、検出の結果生じた測定値を実際の試料体積に応じて補正することができる。このようにして、試料体積に応じた蒸発効果と、対応する少なくとも1つの検体の濃度変化とに対して、少なくとも部分的な補償が可能となる。このようにして、たとえば、蒸発効果から生じた試料の濃度上昇を少なくとも部分的に補償および/または補正することができる。
【0034】
実際の試料体積は異なる様式で検出可能であり、原理上、たとえば、任意の所望の物理的および/または化学測定方法を使用できる。この検出は、たとえば、光学検出を含み得る。したがって、たとえば試料の空間的範囲、特に、テストエレメント上および/またはキャピラリー内での空間的範囲を光学的に検出できる。これは、たとえば、試料と周辺材料との間のコントラストの差異を検出することにより行うことができ、このコントラストにおける差異もまた、試料と接触するシステムおよび/またはシステム構成要素の適当な着色によって特に改善可能である。光学的検出のために、たとえば画像センサ、半導体センサなど、少なくとも1つの光学センサを設けることができ、適切な場合において適当な画像処理が提供される。このようにして、たとえば、テストパネル上の試料滴の寸法を検出でき、その結果、たとえばテストエレメントに搬送された実際の試料体積などについての結果に達する。同様の測定原理は、たとえば米国特許第6847451号明細書から既知であり、ここでは、検出器アレイを使用する場合、試料を被覆するのに充分な面積のテストパネルを有するアレイのフィールドのみが使用される。これに対し、本発明に関して、たとえば、同様の技術を使用して実際の試料体積についての数量的結果に達することができる。代替的または追加的に、たとえば、回折測定、透過測定、吸光測定、反射測定、蛍光測定などの光学測定原理、または前述のおよび/または他の光学的測定の組み合わせを使用することも可能であり、これによって実際の試料体積に関する結果が導き出される。たとえば、システムのキャピラリー内および/または他の代表的な場所において、吸光測定および/または透過測定および/または反射測定が可能であり、これによって、たとえばヘモグロビンなどの試料特定物質の濃度と、たとえばキャピラリーの充填高さなどの充填状態の変数との結果が測定される。ここから、実際の試料体積が絶対的および/または相対的に測定可能となる。たとえば、キャピラリー、特にキャピラリーの内面を、たとえばエッチング処理によって全体的または部分的に粗くすることもできる。この粗化により、たとえば表面の反射率を増加できる。このように、たとえば、特に金属のキャピラリーにおいて、光学的コントラストの向上が達成できる。たとえば、吸光測定および/または透過測定および/または反射測定によって、キャピラリー内の充填レベルおよび/または体積充填の測定を可能または容易にするため、反射率は特に粗化によって影響され得る。しかしながら、光学的測定の代替または追加として、たとえば、電気センサおよび/または容量センサなどの他の種類の検出および/またはセンサを使用することもできる。実際の試料体積を検出する概念は、前述のすべての搬送概念および/または他の種類の搬送概念に置き換えることができる。
【0035】
システムによって採取される、および/またはテストエレメントに搬送される試料体積は、種々の様式で調節可能である。たとえば、ランセットおよび/またはキャピラリーおよび/またはテストエレメントの形状がこれに関与し得る。したがって、たとえば、採取される試料体積は、キャピラリーの形状を調節することによって影響され得る。他方で、たとえば、より多くの量の試料の生成は採取される試料量の増加となり得るため、採取される試料体積は、たとえば、ランセット先端部の設計および/またはランセットの穿刺深さによって影響され得る。
【0036】
特に、実際の試料体積の検出に関連して、他のシステム構成においても、システムは、特に、試料体積を積極的に制御および/または調節するように設計可能である。これは、特に、ランセットの穿刺深さを調節することによって実施可能である。調節は、実際の試料体積の検出に関して提供可能である。したがって、たとえば、システムは、実際に採取された試料体積を検出するように設計可能である。その後、試料体積は、制御工程において、たとえば反復的および/または連続的に、たとえばランセットの穿刺深さおよび/または影響を受ける穿刺手順の継続時間によって調節可能である。これは、単一の穿刺工程に関して、または複数の穿刺に関しても実施可能である。このようにして、特に、前述の好ましい試料体積が保証可能となる。
【0037】
また、前述の概念の1または両方と組み合わせて適用可能であって、同様に蒸発効果の知識に基づく第3の概念は、環境条件が特に考慮および/または制御された概念である。この考えは、検体の検出のための実際のシステムにおいて、環境条件は大幅に変化し得るという基本的概念に基づく。特に、前述の通り、これは、異なる形状、空気湿度、圧力、温度、空気の移動(たとえば、対流)または同様の影響の結果であり得る。
【0038】
特に、蒸発に影響し得るこれらのパラメータの影響をより良く検出可能にするために、第3の概念において、たとえば、絶対および/または相対湿度である湿度が、試料の生成中および/またはテストエレメントへの試料の搬送の間に検出されることが提案される。その後、検体の検出は、この湿度を考慮して実施可能である。たとえば、湿度は、たとえば1以上の適当な湿度計を使用してシステムの内部および/外部の1以上の場所にて検出可能である。たとえば、湿度は、試料の生成部位および/または試料搬送領域の1以上の位置および/または少なくとも1つのテストエレメント、特に少なくとも1つのテストパネルの位置において測定可能である。
【0039】
システムは、たとえば、空気湿度、圧力、温度、空気の移動(たとえば、対流)などの環境パラメータまたは同様のパラメータにおける変化の影響が少なくとも実質的に除去され、変化が減少可能となるように好ましくは設計可能であり、このことは、少なくとも1つの検体の検出において、特に湿度であるこれらのパラメータの影響の考慮を容易にする。したがって、システムは、さらに、試料の生成とテストエレメントへの搬送とが実質的に閉鎖したハウジング内で実施されるように設計可能である。ここで、実質的に閉鎖したハウジングとは、システムの環境からハウジング内部を封鎖する、気密性および/または防湿性のハウジングとして理解される。これに関連して、たとえば欧州特許出願公開第1881322号明細書および、該文献に記載されたハウジングを封鎖する可能な方法を参照できる。ハウジングは、たとえば、少なくとも5〜10秒以内の一般的な測定時間の間において、ハウジング内部のたとえば前述のパラメータに関する環境条件が実質的に不変であり、これらのパラメータの変化が蒸発率または蒸発率の変化にごくわずかな影響を与えるように封鎖される。たとえば、蒸発率の5%以下の変化は許容誤差であり得る。
【0040】
ハウジングは、たとえば単一部分または複数の部分で設計可能であり、たとえば、金属のハウジングおよび/またはプラスチックのハウジングを備え得る。特に、ハウジングは1以上の開口部であって、好ましくは少なくとも1つの閉鎖可能な開口部を備え得る。この開口部は、皮膚部分、特に指の皮膚部分が開口部に全体的または部分的に位置決め可能であるように設計すべきであり、そして皮膚部分は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に開口部を閉じる。この皮膚部分による開口部の閉鎖は測定手順の間にわたって保持可能であるため、前述した環境からのハウジング内の遮蔽が達成される。ハウジング内部は好ましくは、できる限り一定の状態を保持するために可能な限り小さくすべきであり、たとえば100mlより小さく、特に50mより小さく、特に好ましくは10mlより小さい。代替的または追加的に、開口部もまたきわめて小さくすることができ、たとえば、100mm2より小さく、特に50mm2より小さく、および好ましくは20mm2より小さく、10mm2より小さい。試料は、開口部に置かれた皮膚部分において生成可能である。さらに、前述の通り、テストエレメントへの試料の搬送もまた、ハウジング内部の内側で生じる。この搬送もまた、たとえば前述の概念によってもたらされる。したがって、たとえば、また、特にランセットに少なくとも一部が統合されたキャピラリーである少なくとも1つのキャピラリーを使用することができる。特に、また、統合されたテストエレメントを有するランセットを使用することができる。しかしながら、代替的または追加的に、試料がまず皮膚部分上に生成され、その後、少なくとも試料の一部が、皮膚部分および/または試料に対するテストエレメントの移動によってテストエレメントに搬送される。また、機構がこの目的のために提供され得る。前述の搬送概念の組み合わせおよび/または他の搬送概念の組み合わせも可能である。
【0041】
少なくとも1つの開口部が提供される場合、該開口部は、システムが測定に使用されない間は、たとえば閉鎖機構によって閉鎖可能である。開口部は、測定を実施するために開口可能となるように、たとえば、少なくともスライド、フラップ、可撓性のシールリップなどによって閉鎖可能である。しかしながら、代替的に、測定が実施されない停止段階中も開口したままの開口部を提供することも可能である。開口部が皮膚部分によって閉鎖される測定中にのみ、好ましくは、ハウジング内部の内側において実質的に一定の環境状態が保証される。
【0042】
前述の通り、試料の生成および/またはテストエレメントへの試料搬送の間に、特に、ハウジング内で湿度を検出することが提案される。この目的のために、前述の1以上の場所、たとえばハウジング内部において、雰囲気の絶対および/または相対空気湿度を検出可能な1以上の湿度センサを提供できる。システムは、特に、少なくとも1つの湿度を考慮して検体を検出するように設計可能である。たとえば、複数の湿度が測定された場合、個別に、またはたとえば平均値の形で組み合わせて考慮することができる。前述の好ましいハウジングのカプセル化の結果、比較的小さくごくわずかに変化する実際の湿度、特に空気湿度は、既知の蒸発率に対する空気湿度の影響を使用して考慮することができる。したがって、たとえば、補正因子および/または補正関数および/または他の種類の補正が使用可能であって、たとえば、システムの実際の形状を考慮して、実際の空気湿度での蒸発効果と、関連する試料濃度の上昇とが補正される。補正は、たとえば、蒸発の分析的、半経験的または経験的知識に基づくことができる。
【0043】
既知のシステムおよび/または理論的手法とは対照的に、本発明の第3の概念によって提案されるシステムにおける補正は、簡単な方法で実現可能である。これは、従来のシステムにおいて補正を阻止するか少なくとも補正を困難にする、少なくともいくつかの未知の影響が本提案のシステムにおいて既知であり、また、好ましくは実質的に除去されるためである。たとえば、任意のハウジングによるカプセル化によって、測定中の対流および/または対流状態の変化は、実質的に回避される。空気湿度中の変化も除去可能である。
【0044】
さらに、所定の最低湿度に達しない場合、システムは、また、検体の検出を少なくとも一時的に中断するように設計可能である。したがって、たとえば、測定が中止可能であるか、および/または警告を発生できる。たとえば、1以上の湿度しきい値が事前設定可能であり、空気湿度の実際の測定値と比較される。たとえば、このようにして、過度に低い空気湿度から生じる蒸発が実際に過大であって、検体の検出への関連する影響が許容誤差の範囲を超えることを確立できる。この場合、後の時間および/または異なる環境条件下で測定を繰り返すように、たとえば、ユーザに警告を発することができる。代替的または追加的に、呼吸気を使用してハウジング内部および/または他の場所の湿度を意図的に上昇させるために、開口部を通じてハウジング内部に息を吹き出すか、一吹きするようにユーザを促すこともできる。
【0045】
また、システムは、試料の生成中および/またはテストエレメントへの試料の搬送の間に特にハウジング内において、少なくとも1つのさらなるパラメータを検出するように設計することもできる。特に、試料および/または試料成分の蒸発または蒸発率に影響を有するパラメータでよい。たとえば、圧力および/または温度が検出可能であり、たとえば、ハウジング内部の圧力および/またはテストエレメントおよび/またはランセットの温度および/または特にハウジング内部の空気温度である。同様に、この少なくとも1つのさらなるパラメータは、空気湿度の知識において前述した補正と同様に、たとえば適当な補正によって、試料中の検体の検出において好ましくは考慮され得る。
【0046】
たとえば、携帯可能な測定機器および/または固定機器として、全体的または部分的に設計可能な本提案のシステムは、既知のシステムに対して多くの利点を有する。したがって、前述の概念によって、蒸発効果は特定の様式において(たとえば、試料体積の検出および/または制御によって)影響および/または少なくとも制御され、環境条件および/またはサンプリング条件の変化を受けてのこのような影響における変動が少なくとも実質的に除去可能となる。たとえば、前述の試料の実際の体積を検出することによって、たとえばハウジング内部の測定湿度を考慮するのと同時に、蒸発率の推測が可能である。このようにして、たとえば、測定の補正は、蒸発した試料の寄与分を考慮して行うことができる。このような補正は、特に、前述の種類のスクリーニングを供するハウジング内部で全手順が実施される場合に、技術的に簡単な方法で実施可能である。たとえば、穿刺手順とテストエレメントへの血液の搬送とは、システム内、すなわちハウジング内部ですべて行うことが可能であるため、測定過程において一定の空気湿度を呈し得る。
【0047】
本発明のさらなる詳細は、特に、従属請求項とともに、以下の好ましい例示的実施の形態の説明から明らかとなる。各々の特徴は、単一またはいくつかを互いに組み合わせて具現化可能である。本発明は、例示的実施の形態に限定されない。例示的実施の形態は、図面において概略的に示される。ここの図面における同一の参照番号は、同一、または機能が同一、あるいは機能において互いに対応した要素を指定するものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明によるシステムの概略的な例示的実施の形態を示す。
【図2】文献から既知である、液体の蒸発率と開口表面積との間の関係を示す。
【図3】試料の採取と試料の適用との間の時間間隔の継続時間を関数とした、平均値からの測定グルコース濃度の相対偏差の測定を示す。
【図4】異なる被覆のキャピラリーの一般的な充填時間を示す。
【図5】百分率の相対空気湿度を関数とした蒸発時間の外挿データを示す。
【図6A】粗化されていない金属キャピラリーの表面画像を示す。
【図6B】粗化された金属キャピラリーの表面画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、体液中の少なくとも1つの検体を検出するための本発明によるシステム110の例示的実施の形態のきわめて概略的な描写である。図示された例示的実施の形態において、システム110は実質的に防湿のハウジング112を備え、該ハウジングは実質的に閉鎖された設計を有する。ハウジング112は内部114からなり、図示された例示的実施の形態において、該内部は、測定のためにハウジング112の開口部116を通じて一時的にアクセス可能である。開口部116は、たとえばスライド(図1には示さず)によって閉鎖可能なように設計でき、患者または他のユーザは、測定を実施するために、1本の指118を使用してスライドを開くことができる。
【0050】
ランセット120は内部114に配置され、指118が開口部116を完全または部分的に閉じるように開口部116上に置かれると、ランセット120は指118の腹部領域において皮膚部分122を穿刺する。駆動装置124は、たとえば、穿刺動作を実施するためにランセット120を誘発する。
【0051】
図示された実施の形態において、システム110は、搬送装置126と、ランセット120によって皮膚部分122上に生成された試料130中の検体を検出するための少なくとも1つのテストエレメント128とをさらに備える。例示的実施の形態において、搬送装置126はキャピラリー132として設計され、これは、たとえばランセット120内の間隙として形成され得る。このキャピラリー132によって、試料130は全体的または部分的にテストエレメント128に搬送され、該テストエレメントは、この場合において、たとえばランセット120との単一部分として設計可能である。したがって、ランセット120は、いわゆるマイクロサンプラまたは「取得および測定」ランセットとして設計可能である。
【0052】
テストエレメント128は、たとえば、キャピラリー132の端部に配置されたテストパネル129を備え得る。さらに、測定装置134を設けることができ、該測定装置は、テストエレメント128への試料130の搬送後、試料中の少なくとも1つの検体を検出するために、テストエレメント128に、たとえば電気的および/または光学的に連結される。
【0053】
試料130をテストエレメント128またはテストパネル129に搬送するための、図1に示された様式はいくつかの可能な搬送のうちの1つであり、これらを組み合わせて実現することもできる。たとえば、前述の通り、欧州特許出願公開第1992283号または1881322号明細書から既知であるように、まず試料130はランセット120によって皮膚部分122上に生成可能であり、たとえばテストエレメント128の適当な動作によって皮膚部分122からこの試料が回収された後、テストエレメント128に搬送される。
【0054】
システム110は、制御部136をさらに備え得る。この制御部136は、たとえば、測定装置134と全体的または部分的に同一でよいが、図1に示されるように、制御部は測定装置と別に設計されてこれに接続することもできる。制御部は駆動装置124にさらに接続可能であり、たとえばこれを調節することができる。また、制御部136は、たとえば、1以上のデータ処理装置を備えることができ、システム110の測定シーケンス全体を制御し、および/または少なくとも1つの検体の測定を評価することができる。代替的または追加的に、他の電子評価装置を制御部136に設けることもできる。また、ユーザがシステム制御110に影響を及ぼすことを可能にし、および/またはユーザに対して情報を出力するために、制御部136は、たとえば、操作要素、表示要素などの1以上の入力および出力手段を設け得る。このような入力および出力手段の設計については、たとえば従来の血糖計測器を参照できる。また制御部136は、たとえば揮発性および/または非揮発性メモリである1以上のメモリを備えることができ、また、適当な場合には、測定値を保存するためのデータベースシステムも装備することもできる。制御部136は、前述の1以上の変化、すなわち、たとえば蒸発効果を考慮し、および/または少なくとも1つの検体の検出評価においてこのような効果を補正することにおいて前述の方法を実施するために、プログラム技術を使用して設計可能である。
【0055】
図1のシステムは、さらに複数のセンサからなる。したがって、たとえば光学センサ138を設けることができ、該センサは受領された試料130の実際の試料体積を検出可能であり、また、たとえばこの実際の試料体積に関する情報を制御部136に伝達するために、制御部136に接続可能である。光学センサ138は、たとえば、反射測定および/または他の光学的測定方法によって、たとえばキャピラリー132の充填レベルおよび/または充填体積を測定できる。キャピラリー132は、特に反射測定を促進するために、この目的において特別に設計可能である。キャピラリー132は、反射測定を促進するために、たとえば、粗化表面を設けることができる。このことは、金属表面の表面画像を示す図6Aおよび6Bに例示的に示されている。たとえば、キャピラリー132は、たとえば、鋼鉄などの金属シートなどの金属材料製でよい。図6Aは未処理の金属表面の画像を示し、一方、図6Bはエッチング処理によって粗化された金属表面の画像を示す。特に、キャピラリーチャネルのうちの1つを具体的に設定可能にするために、たとえば、キャピラリー132の1つのキャピラリーチャネルを、このようにして全体的または部分的に粗化することができる。センサ138によって実際の試料体積に関する情報が得られた場合、制御部136は、少なくとも1つの検体の測定評価の際に、特にこの情報を考慮するよう設計できる。
【0056】
システム110は、少なくとも1つの湿度計140をさらに備えることができ、該湿度計も同様に制御部136に接続可能であり、内部114の湿度を測定できる。また、制御部136は、測定評価の際にはこの湿度の情報を考慮するように設計可能である。また、さらなるパラメータを測定するための、1以上のさらなるセンサ142を内部114および/または内部114の外側に設けることもできる。たとえば、図1に示されるように、1以上のセンサを、圧力、温度または同様のパラメータ用に設け得る。これらのセンサ142もまた制御部136に接続可能であって、測定の評価は追加的なパラメータを考慮して実施可能である。
【0057】
試料130中の少なくとも1つの検体の検出に影響を及ぼし得る蒸発の問題を検証するために、文献から既知である種々の研究が評価された。したがって、たとえば開口したマイクロキャピラリーを通じて吸引により血液が採取された場合、血清がたとえばテストパネル129であるテストエレメント128に到達する前に、血清の部分的な蒸発が予測される。個々のテストパネル129の代わりに、たとえば、テストストリップ、テストテープ、テストディスクなど、他の種類のテストエレメント128を使用することもできる。しかしながら、以下で説明するテストは主としてマイクロキャピラリーに関するが、これは他の種類のシステムに容易に置き換え可能である。
【0058】
前述の蒸発は、通常、必然的に溶解したすべての検体の濃度の上昇となる。このことは、通常、測定誤差をもたらし、該測定誤差は輸送経路上で試料の採取によってすでに生じている。しかしながら、予測される蒸発率を知ることによって、予測される誤差は少なくとも計算できる。しかしながら、ここでの問題は、可能な限り広範な温度およびシステム110の機能において機能性が保証されることである。したがって、たとえば5%の全体的な補正は、蒸発効果が著しく変化し得るために充分でない。試料130の吸引または輸送が充分迅速に進行し、たとえば1秒以内に完了する場合、少なくとも時間的要因を変動パラメータとして考慮する必要はないだろう。
【0059】
蒸発、すなわち沸点以下での液体粒子の気相への変化は、文献中に異なる様式で記載されている拡散律則作用である。蒸発の駆動力は、たとえば、試料130の表面と遠隔環境との間の水蒸気圧である蒸気圧の濃度勾配である。該勾配は、周辺空気の乾燥が進行し、より受容的になるにつれて急勾配となる。静止した空気において、蒸発により生じたこの勾配は段階的に形成される。
【0060】
対照的に、移動空気中において、勾配は、幾何学的な形成を発展させる機会を有さない。したがって、通風、すなわち移動空気においては、液体に対する濃度勾配は最大に維持されるが、静止空気においては、液体に対する空気湿度の上昇の結果、濃度勾配は減少する。同一状況を別のように見ると、拡散境界は次第に小さくなるため、勾配が急勾配になる。したがって、図1の本発明のシステム110において、いかなる空気の移動も閉鎖したハウジング112を設けることにより回避され、試料130の生成と、その搬送および測定との両方が、テストエレメント128によって内部114において生じる。このようにして、空気の移動により生じた変動による蒸発率への影響は、従来のシステムとは対照的に、従来のシステムにおいて同様に一定に保持可能な程度において、少なくとも一定に保持される。このようにして、蒸発率に対して対流の影響を補正する理論的または半経験的な手法を回避することができる。
【0061】
蒸発は、空気の干渉的な移動、すなわち対流によってのみならず、多数のパラメータによっても影響される。本発明に関連するパラメータは、蒸発に影響し得るすべての潜在的な影響と理解される。これらには、たとえば空気圧、気温、空気湿度、システム110の部分の温度、試料130中の検体濃度(これは、たとえば蒸気圧の上昇を通じて影響し得る)などの環境パラメータまたは他のパラメータあるいは前述のパラメータおよび/または他のパラメータの組み合わせを含み得る。さらに、特にシステム固有のパラメータは、たとえば、キャピラリー132であるシステム110の個々の部分の表面特性、また、たとえばキャピラリー132あるいは他の構成要素であるシステム110の個々の部分の形状である。
【0062】
図2は、文献から既知である、シリコンにおいてピラミッド型にエッチングされた凹所における、nl/秒で示された蒸発率Rとmm2で示された開口表面積Aとの間の関係を示す。図示された測定は、Mayerら,1997年, Sens. Actuators A, 60, 202-207から入手された。測定は、ここでは約8nlの試料体積で実施された。これらの測定状況は、少なくとも、たとえばキャピラリー132などの半開のキャピラリーからの蒸発とおおよそ比較可能である。図2の測定は、22℃の温度の水、および約50%の相対的空気湿度において実施された。
【0063】
図2の測定は、蒸発率が表面積に対して少なくとも近似的に比例していることを示す。図2の最高値は0.64mm2の表面を有するマイクロコンテナからのものであり、これは、平坦なランセットの開口チャネルの表面積に最も近似し、すなわち約1mm2である。Mayerらによる前述の文献から、1mm2の表面積を有する平坦なランセットについては、約0.5nl/秒の蒸発率と推定することができる。したがって、100nlの水は、約200秒で蒸発する。
【0064】
Mayerらの参考文献において使用された約90〜140nlの体積では、これは初期蒸発に対応するため約0.2〜0.3%の濃度変化となり、したがって、たとえば、血糖計測器の設定測定精度と比較してきわめて低い。したがって、これらの参考文献から、蒸発の問題はマイクロキャピラリーにおいては無関係であることが予測される。
【0065】
文献からのこれらの予測を実証するために、われわれは、キャピラリー132からの蒸発について試験を実施した。これらの結果が表1に示されている。
【0066】

【0067】
ここでμg/秒での蒸発率は、水および血液に対して示されている。液滴に関して、血液の適用体積は500nlであり、キャピラリーでの適用体積は250nlである。しかしながら、率は、それぞれ第1カラムに特定された値に決められた。150nlおよび50nlの当初液滴体積においての測定結果が示されており、液滴および約1mm2の表面積の開口キャピラリー内部とにおいて結果を得た。
【0068】
驚くべきことに、これらの結果は、蒸発が前述の文献から予期されたものより著しく多いことを示す。1μgは、約1nlの水に相当する。測定は、22℃にて、文献の湿度よりわずかに低い空気湿度にて実施された(45%)。しかしながら、試験が示すように、この範囲での相対空気湿度は、約5%の変化において、最大20〜30%の蒸発率しか影響しないため、このわずかに低い湿度は、予測値からの著しく大きな相違に関与することはない。このことは、たとえば図5のグラフから明らかであり、該グラフにおいて、0.5mm径の水滴に対する分で表された蒸発時間Tが、%での相対空気湿度Hの関数としてプロットされている。このグラフもまた、Mayerら,1997年,Sens. Actuators A, 60, 202-207から得たものである。
【0069】
表1に示された測定において、カプセル化された平衡性を使用することによって、対流が最小限化された。表1に示された一連の測定において、8mmの非一般的な長さを有するキャピラリーが使用され、表面積が約1mm2に増加したため、図2からの推定において蒸発率は0.6nl/秒に増加する。同一体積(80nl)の適用された液滴は、半分の液滴のみが環境に接触するため、0.7mm2の表面積を有すると論じることができる。しかしながら、いずれの手法によっても、文献に基づく予測(約0.6nl/秒)と1.0nlの蒸発率においての表1の測定値との間の相違を説明することはできない。本発明によると、したがって、予測および制御が困難な影響である検体測定の測定結果に対する蒸発の影響は、種々の手段によって最小限化および/または一定に保持されるため、適当な制御手段または補正手段によって補正が可能であり、および/またはこの影響が除去される。
【0070】
一手段は、好ましくはランセット120および/または駆動装置124とは独立して設計されたハウジング112による前述のシステム110のカプセル化であり、この結果、対流による蒸発が最小限化される。
【0071】
別の手段は、試料の生成とテストエレメント128への試料の適用との間の時間をきわめて短くし、好ましくは1秒未満にすることである。
【0072】
したがって、図3は、試料の生成とテストエレメント128への試料の適用との間の、秒にて示された時間t、すなわち搬送時間を関数とした、一連の測定の平均値からのグルコース濃度の相対測定偏差(cglu−cref)/crefを示す。試験は、キャピラリー132を試料130と接触させ、充填されたキャピラリーを手動でテストストリップの形状であるテストエレメント128と接触させることにより実施された。この場合の試験構成では、カプセル化されなかった。測定されたグルコース濃度への影響が試験された。
【0073】
図3に示された一連の測定は、試料の取り込みとテストストリップへの試料の適用との間の継続時間における、測定グルコース値の体系的変化を明示する。特に、1秒以内であっても初期値からの相当な乖離があることがわかる。このことは、キャピラリー132の効果なカプセル化が回避される場合、試料の生成とテストエレメント128による試験と間の前述の間隔を、好ましくは1秒より短くすべきことを示す。
【0074】
試料130の生成とテストエレメント128への接触との間の搬送時間に影響を及ぼす種々の可能な方法は、すでに検討した。図4は、前述の搬送時間に影響を及ぼす可能な方法の例、つまりキャピラリー132の表面特性に影響を及ぼす例を示す。秒にて示されたキャピラリーの充填時間tは、ここでは、幅120マイクロメータ、深さ80マイクロメータおよび長さ8mmのキャピラリーについて、キャピラリー132内でのmmで示された水の移動距離dを関数として、前述の採取時間の一部としてプロットされている。測定は、種々の方法で処理された表面のキャピラリーで実施された。原理上は、親水化表面処理のために、たとえば洗浄剤での被覆など、他の技術領域から当業者に知られている多数の適当な方法および/または被覆、または材料を使用できる。図4の表面処理は、たとえば、適当な親水化表面被覆による親水化を含む。図4において、閉三角形の記号を有する曲線は、親水性表面を有するキャピラリー132での測定を指定し、一方、開円形の記号を有する曲線は、適当な被覆のないキャピラリー132での測定を指定する。
【0075】
また、図4の測定から、キャピラリー132の長さも充填速度に影響することに留意する。したがって、たとえば、閉三角形の記号を有する曲線から、0mm〜4mmの間の部分的な充填時間は、4mm〜8mmの間の区域の部分的充填時間とは著しく異なることがわかる。したがって、体液中の少なくとも1つの検体を検出し、試料の搬送のために少なくとも1つのキャピラリー132を使用するシステム110において、システムの他の設計に関わらず、通常、短いキャピラリー132が好ましい。
【0076】
前述した充填可能なキャピラリーの長さとキャピラリーの径との間の好ましい関係を使用して、120マイクロメータの幅と80マイクロメータの深さを有する開口したキャピラリー132について、われわれは、前述の定義の範囲内において、2×0.08mm+0.120mm=0.280mmのキャピラリー径を得る。したがって、8mmのキャピラリーの長さについては径に対する長さの割合が29となり、6mmのキャピラリーの長さについては21の割合となり、4mmのキャピラリーの長さについては14の割合となる。したがって、本発明に関連して、また前述のキャピラリーの寸法において、キャピラリー132が、8mm以下またはこれ未満、特に6mm以下またはこれ未満、および特に4mm以下またはこれ未満であることが好ましい。
【0077】
反対に、キャピラリー132内でのこれらの移動距離dの測定と、前述の蒸発率とから、測定結果に対する蒸発効果を許容可能に保持するために、システム110によって採取されなければならない最小限の試料体積に関する結論を導くことができる。
【0078】
たとえば、図3と4および表1に示された測定結果から、蒸発に起因する誤差を一般的に許容される5%未満とする場合、2nl/秒の蒸発率、100ミリ秒の一般的なキャピラリー充填時間および200ミリ秒の搬送時間において、試料体積は10nlを超え、好ましくは少なくとも12nlでなければならない。
【0079】
さらに、図1に関連して説明したように、蒸発に影響を及ぼし、変化し得るパラメータがセンサによって特に測定され、測定の評価において考慮される場合に有用である。したがって、たとえば、実際の試料体積は光学センサ138によって検出可能である。たとえば、テストパネル129上に搬送された試料130の滴の寸法がこのようにして検出可能である。その後、測定は、この実際の試料体積に補正可能であり、蒸発により生じた濃度の予測される相対的変化が計算および補正される。たとえば、この算定値は、グルコース濃度の測定値を補正するために使用できる。
【0080】
これらの補正について、追加的または代替的に他のパラメータを使用することもできる。たとえば、このような補正について、たとえば、センサ142によって測定された温度および/またはたとえば、センサ140によって測定された空気湿度の知識を、補正のために使用する算定値にさらに含めることができる。湿度センサ140は、たとえば空間を節約するように構成可能であり、システム110にて安価に実施可能な市販の湿度計を備え得る。
【0081】
前述の可能性の追加または代替として、検体濃度の測定について蒸発の影響を低減し、本発明による所与のシステム110にて実施可能な別の提案として、キャピラリー132の形状を変更することを含み得る。たとえば、これらのキャピラリーのアスペクト比、すなわち、開口部の幅とキャピラリーの間隙の深さとの間の比を変更することができる。たとえば、キャピラリーは幅広くする代わりに深くすることができ、すなわち、80μmの深さと120μmの幅の代わりに、120μmの深さと80μmの幅を有する。このようにして、一定の体積において、表面積とよって蒸発率とが減少する。
【符号の説明】
【0082】
110 体液中の検体の検出のためのシステム
112 ハウジング
114 内部
116 開口部
118 指
120 ランセット
122 皮膚部分
124 駆動装置
126 搬送装置
128 テストエレメント
129 テストパネル
130 試料
132 キャピラリー
134 測定装置
136 制御部
138 光学センサ
140 湿度計
142 さらなるパラメータのためのセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液中の少なくとも1つの検体、特に血糖の検出のためのシステム(110)であって、
前記システム(110)が、体液の試料(130)を生成し、該試料の少なくとも一部を、少なくとも1つのテストエレメント(128)、特にテストパネル(129)に搬送するように設計されてなり、前記試料(130)の生成と前記テストエレメント(128)への適用との間の時間間隔が、1秒未満、好ましくは500ミリ秒未満となるように、前記システム(110)が設計されてなるシステム。
【請求項2】
前記システム(110)が、次の1以上の機構、
−少なくとも1つのキャピラリー(132)によって、
−少なくとも部分的にキャピラリー(132)として、特に部分的に開口したキャピラリー(132)として設計され、特に統合されたテストエレメント(128)を有する少なくとも1つのランセット(120)によって、
−前記試料(130)が、まず皮膚部分上に生成され、その後、皮膚部分および/または前記試料(130)に対する前記テストエレメント(128)の移動により、前記テストエレメント(128)に搬送される少なくとも1つの機構によって、
前記試料(130)を前記テストエレメント(128)に搬送するように設計されてなる請求項1記載のシステム(110)。
【請求項3】
皮膚部分を穿刺するための少なくとも1つのランセット(120)を含むシステムであって、前記試料(130)が、少なくとも1つのキャピラリー(132)、特にランセット(120)に全体的または部分的に統合された少なくとも1つのキャピラリー(132)を介して搬送され、前記テストエレメント(128)、特にテストパネル(129)が前記ランセット(120)に全体的または部分的に統合されてなる請求項1または2記載のシステム(110)。
【請求項4】
少なくとも1つのキャピラリー(132)が前記試料(130)の搬送のために設けられ、該キャピラリー(132)が、少なくとも1つの親水性、特に少なくとも1つの親水性被覆を有してなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム(110)。
【請求項5】
前記システム(110)が、体液の試料(130)を生成し、該試料の少なくとも一部を、少なくとも1つのテストエレメント(128)、特にテストパネル(129)に搬送するように設計されてなり、少なくとも1つのキャピラリー(132)が試料(130)の搬送のために設けられ、該キャピラリー(132)が、100未満のキャピラリーの径に対する充填可能なキャピラリーの長さの割合を有してなる、特に、請求項1〜4のいずれか1項に記載された、体液中の少なくとも1つの検体の検出のためのシステム(110)。
【請求項6】
前記システム(110)が、体液の試料(130)を生成し、該試料の少なくとも一部を、少なくとも1つのテストエレメント(128)、特にテストパネル(129)に搬送するように設計されてなり、前記システム(110)は、試料(130)の試料体積が10nlを超えるように設計されてなり、試料体積が500nl未満である、特に、請求項1〜5のいずれか1項に記載された、体液中の少なくとも1つの検体の検出のためのシステム(110)。
【請求項7】
前記試料体積が、300μl未満であり、特に200nl未満であり、特に好ましくは100nlである請求項6記載のシステム(110)。
【請求項8】
前記システム(110)が、次の1以上の機構、
−少なくとも1つのキャピラリー(132)によって、
−少なくとも部分的にキャピラリー(132)として、特に部分的に開口したキャピラリー(132)として設計され、特に統合されたテストエレメント(128)を有する少なくとも1つのランセット(120)によって、
−試料(130)が、まず皮膚部分上に生成され、その後、皮膚部分および/または試料(130)に対するテストエレメント(128)の移動により、テストエレメント(128)に搬送される機構によって、
試料(130)をテストエレメント(128)に搬送するように設計されてなる請求項6または7記載のシステム(110)。
【請求項9】
前記システム(110)が、システム(110)によって取り込まれた試料(130)および/またはテストエレメント(128)に搬送された試料(130)の実際の試料体積を検出するように設計されてなる請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステム(110)。
【請求項10】
前記システム(110)が、さらに実際の試料体積を考慮して検体を検出するように設計されてなり、試料体積に依存して濃度変化を生じる蒸発効果が少なくとも部分的に補償される請求項9項記載のシステム(110)。
【請求項11】
前記システム(110)が、体液の試料(130)を生成し、該試料を、少なくとも1つのテストエレメント(128)、特にテストパネル(129)に搬送するように設計されてなり、前記システム(110)が、試料(130)の生成中および/またはテストエレメント(128)への試料(130)の搬送中に湿度を検出し、システム(110)が、さらに湿度を考慮して検体を検出するように設計されてなる、特に、請求項1〜10のいずれか1項に記載された、体液中の少なくとも1つの検体の検出のためのシステム(110)。
【請求項12】
前記システム(110)が、試料(130)の生成と、実質的に閉鎖したハウジング(112)内においてテストエレメント(128)への搬送とをもたらし、前記システム(110)がハウジング(112)内の湿度を検出するように設計されてなる請求項11記載のシステム(110)。
【請求項13】
前記システム(110)が、また、検体の検出において試料(130)の体積を考慮するよう設計されてなる請求項11または12記載のシステム(110)。
【請求項14】
前記システム(110)が、さらに、所定の最低湿度に達しない場合、検体の検出を一時的に中断し、および/または警告を発生するように設計されてなる請求項11〜13のいずれか1項に記載のシステム(110)。
【請求項15】
前記システム(110)が、さらに、試料(130)の生成中および/またはテストエレメント(128)への試料(130)の搬送中に、特にハウジング(112)内において少なくとも1つのさらなるパラメータを検出し、好ましくは、試料(130)中の検体の検出において該少なくとも1つのさらなるパラメータを考慮するように設計されてなる請求項11〜14のいずれか1項に記載のシステム(110)。
【請求項16】
前記システムが、少なくとも1つの開口部(116)、好ましくは閉鎖可能な開口部(116)を有しており、皮膚部分、特に指の皮膚部分が該開口部(116)に全体的または部分的に置かれて該皮膚部分が少なくとも部分的に開口部(116)を閉鎖し、試料(130)が開口部(116)に置かれた皮膚部分において生成される請求項11〜15のいずれか1項に記載のシステム(110)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2011−510699(P2011−510699A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543481(P2010−543481)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050640
【国際公開番号】WO2009/095343
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】