説明

体液漏出防止材料およびその防止方法

【課題】体液吸収材料を遺体の各孔部への挿入作業をするにあたり、専用の器具や用具を使用せず、保管性や携帯性に優れ、適正なコストで供給が可能な体液吸収材料の提供。
【解決手段】第一吸水性材料10は、レーヨンの極細繊維を用いて直径10〜30mm、長さが20〜60mm、の中から選択して用途に合わせて円柱体に成形し、用途に合わせて円柱体に成形した第一吸水性材料10の内部に、直径5〜15mm、長さが10〜30mm、の中から選択して用途に合わせて筒状体に成形した紙製の容器体にベントナイトの粉体を約1〜5gの範囲で選択して充填し、ベントナイトを充填した紙製の容器体を圧入手段または嵌入手段を介して圧入または嵌入することで、紙製の容器体は第一吸水性材料内部11として機能し、紙製の容器体内部のベントナイトの粉体が第二吸水性材料20として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺体の各孔部から漏出する可能性のある体液の漏出を防止する材料およびその防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体は、死亡後に胃液、肺液、腹水、排泄物などの体液を漏出させる可能性があるため、例えば病院や葬儀場所では、死亡確認後、遺体の咽喉部、直腸部、耳腔、鼻孔、尿道部、膣部、等の各孔部に専任スタッフがガーゼ、脱脂綿、吸水紙等の吸水性材料を装填し、体液の漏出を防ぐことが行なわれている。また、事故や手術後の遺体の開口部にも同様な処置がとられている。その際に、作業者が結核や肝炎などの感染症からウイルスや病原菌から感染をしないよう対策を講じている。
ところが、上述したような従来の方法では、漏出体液が多い場合には、ガーゼ、脱脂綿、吸水紙等では不十分であって、体外に漏れ出たりしている場合が多いという指摘を受けている。また、新しいガーゼ、脱脂綿、吸水紙等と交換する必要があり、煩わしいだけでなく、遺体体液を介して病原菌が感染する危険性があるという問題点が報告されている。
【0003】
そこで、近年になって吸水性および吸水した水の保持性に優れている高吸水性ポリマーの乾燥粉末を遺体の咽喉部、直腸部、耳腔、鼻孔、尿道部、膣部などに注入して、遺体からの体液が漏出したときに高吸水性ポリマーが体液を吸収し、膨潤して前記の各孔部を封じて体液の漏出を防止する方法と感染症からの予防策を併用した開発案件が増加してきた。
【0004】
例えば、遺体の口、耳、肛門などからの体液の漏出を、簡便かつ確実に防止する処置用具の提供を課題とし、解決手段に関しては、高吸水性ポリマーを内部に有するチューブと、人体の口、耳、肛門などへ該ポリマーを送り込むことのできる圧縮気体ボンベからなる体液漏出防止処置用具において、該チューブと該ボンベとの誤接続を防ぐマーカーと、口、耳、肛門等の人体の部位に応じた挿入長さを表す印を該チューブに付ける、体液漏出防止処置用具が知られている。(実用新案登録第3106399号公報を参照する)
【0005】
また、例えば、体から漏出する体液を安全に封止可能とする手段の提供を目的とし、その構成に関しては、安定化二酸化塩素を含む吸水性樹脂粉末を、咽喉に所定量装填するとともに、可溶性シートによって包装した所定量の凝集剤粉末を鼻孔および耳孔に装填し、乾燥粉末状の吸水性樹脂は、体液を吸収することによってゲル化し孔部を封塞し、安定化二酸化塩素を含むため悪臭成分を分解し、体液に残留する病原細菌を感染の危険が薄れる程度に低下できる、遺体の体液封止剤および体液封止方法が知られている。(特開平7−265367号公報を参照する)
【0006】
また、例えば、口腔,鼻孔,耳孔,肛門等の中に長期間充填しても体液を吸収保持する遺体用吸液剤の開発を課題とし、解決手段として、安定化二酸化塩素溶液を遺体内に注入後、粉末状の高吸水性ポリマからなる遺体用吸液剤を遺体内に挿入または粉末状の高吸水性ポリマからなる遺体用吸液剤を遺体内に挿入後、安定化二酸化塩素溶液を遺体内に注入することを特徴とする案件が知られている。(特開2000−128701号公報を参照する)
【0007】
また、例えば、体腔に軽い力で滑らかに注入でき、かつ体腔内で体液を吸収して膨潤し、体腔を封止するとともに体液漏出を防止できる体液漏出防止材の提供を課題とし、解決手段として、内部に粉体が分散混合されたゼリー状の体液漏出防止材を生成し、この体液漏出防止材を使用すること及び体腔に装填する体液漏出防止方法を提供する。(特開2002−275001号公報を参照する)
【0008】
また、例えば、遺体の口、耳、鼻などからの体液の漏出を、手間を要しないで、かつ、確実に防止する処置方法および処置用具の提供を課題とし、解決手段として、可撓性チューブの中間部に通気性の塊を押し込み、この可撓性チューブの先端部から高吸水性ポリマーの粉末または顆粒を充填した用具を使用し、この可撓性チューブの先端部を遺体の孔に挿入して、通気性の塊を経て圧縮気体を吹き込んで、高吸水性ポリマーの粉末または顆粒を遺体の孔に注入する方法が知られている。(特開2002−315792号公報を参照する)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、例えば、実用新案登録第3106399号公報の体液漏出防止処置用具の開発案件では、高吸水性ポリマーを内部に有するチューブと、人体の口、耳、肛門などへ該ポリマーを送り込むことのできる圧縮気体ボンベからなる体液漏出防止処置用具を常備しておく必要があり、保管性の問題や携帯性の問題やコストの問題で小規模の病院や葬儀場所では導入しづらいという声が多かった。
また、例えば、特開平7−265367号公報の遺体の体液封止剤および体液封止方法では、粉末をそのまま遺体に充填する方法であるので、粉末を押圧しても粉末自体の密度が上がるだけで、充填器内をスムーズに流れず、シリンダを使用しても充填することが困難であり、また飛び出る粉末が拡散するので、粉末を固めて栓をしたい所に粉末を留めることが困難であり、場合によっては、遺体外に出て遺体周辺を汚したり、体液の少ない遺体に対しては微粉末がこぼれ出たり、又はゲルが溶けて漏れ出る可能性を指摘されている。さらに、咽喉部に高吸水性樹脂粉末を装填しようとしても、装填するための手段がなくては、狭い間隔の体腔例えば咽喉部、肛門等では装填することが困難である。
【0010】
また、例えば、特開2000−128701号公報の開発案件では、安定化二酸化塩素溶液を遺体内に注入後、粉末状の高吸水性ポリマからなる遺体用吸液剤を遺体内に挿入または粉末状の高吸水性ポリマからなる遺体用吸液剤を遺体内に挿入後、安定化二酸化塩素溶液を遺体内に注入するという特徴を備えるが、注入液のこぼれ出たりする場合が報告されたり、遺体内への注入作業が頻繁に生じることで、この作業が熟練を要して面倒であるとか、感染の危険性が増大するという指摘を受けている。また、粉末状の高吸水性ポリマーの粉末を孔に吹き込んで散布するとき、孔の奥が塞がっているために、高吸水性ポリマーの粉末を深部に十分吹き込むことは困難であり、また、高吸水性ポリマーの粉末を粉末用ロートを用いて注入すると、孔が垂直に開口していないので、孔の深部に注入できず、開口部の近傍に付着し易いという問題も指摘されている。
【0011】
また、例えば、特開2002−275001号公報の体液漏出防止材及び体液漏出防止方法では、内部に粉体が分散混合されたゼリー状の体液漏出防止材を生成することを特徴とするが、ゼリーでは吸水性能が不足する可能性があり、体液漏出防止が不完全であるという指摘を受けている。例えば、この公報のように、粉末ポリマーを水に溶かしてゼリー状にすれば、流動性が良くなるので、鼻孔等の奥にも注入しやすく、注入器を使って注入しても、粉体のように飛散することも無く、注入管を伝って滑らかに注入できるが、既に水に溶かしているために、本来ポリマーが有する高吸水性能は弱くなっているため、ゼリーは鼻孔の隙間を埋める栓としての機能でしか使われなく、鼻孔を十分に封止することができない。
【0012】
また、例えば、特開2002−315792号公報の高吸水性ポリマーの粉末または顆粒を遺体の孔に注入する方法では、可撓性チューブの中間部に通気性の塊を押し込み、この可撓性チューブの先端部から高吸水性ポリマーの粉末または顆粒を充填した用具を使用し、この可撓性チューブの先端部を遺体の孔に挿入して、通気性の塊を経て圧縮気体を吹き込むという作業を特徴とするが、この公報の高吸水性ポリマーは、親水性であり、体液を吸収して膨潤することに主眼が置かれ、この種の樹脂粉末は体液を吸収して膨潤してゲル化する機能は優れているが、この種の樹脂粉末は吸収量が多いとゾル状になり、更に進むと溶けるものが多い。また、体液が、胃酸などの強酸性体液や胆汁などのアルカリ性体液を含んでいると、ゲル状態を維持できないものが多い。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、体液吸収材料を遺体の各孔部への挿入作業をするにあたり、専用の器具や用具を使用せず、保管性や携帯性に優れ、適正なコストで供給が可能な体液吸収材料の提供を目的とする。
また、体液吸収材料の遺体の各孔部への挿入作業中において、熟練性が不要であり、感染の危険性が減少し、体液吸収材料が遺体の各孔部の開口部の近傍に付着することがない、体液吸収材料の提供を目的とする。
また、体液吸収材料の遺体の各孔部への挿入作業後において、体液吸収材料が体液を吸収してゲル状やゼリー状になっても、遺体の各孔部から漏れ出て遺体周辺を汚したり、体液の少ない遺体に対しては、体液吸収材料がこぼれ出たり、体液の多い遺体に対しては、体液吸収材料が溶けて漏れ出たりしない、体液吸収材料の提供を目的とする。
また、体液吸収材料が遺体ごと荼毘に付される場合でも、周囲の環境を汚染することのない体液吸収材料の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
課題を解決するための第一の手段として、吸水性材料を遺体の孔部に装填することで体液の漏出を防止する手段であり、少なくとも2種類以上の吸水性材料で形成させて成り、第一吸水性材料の内部または第一吸水性材料と第一吸水性材料との間に、第二吸水性材料を設けたことを特徴とする、体液漏出防止材料およびその防止方法の提供を目的とする。
【0015】
前記吸水性材料に関しては、水分を吸着し一定時間保持することが可能な材料であれば何を用いても構わない。
前記第一吸水性材料に関しては、水分を吸着し一定時間保持することが可能な材料であれば何を用いても構わない。
前記第二吸水性材料に関しては、水分を吸着し一定時間保持することが可能な材料であれば何を用いても構わない。
【0016】
また、前記第一吸水性材料の内部に第二吸水性材料を設ける手段に関しては、例えば前記第一吸水性材料の内部に第二吸水性材料を注入したりする器具・道具・装置を用いたり、挿入したりする器具・道具・装置を用いたり、装填したりする器具・道具・装置を用いたり、充填したりする器具・道具・装置を用いたり、封入したりする器具・道具・装置を用いたり、圧入したりする器具・道具・装置を用いたり、嵌入したりする器具・道具・装置を用いたり、貫入したりする器具・道具・装置を用いたり、混入したりする器具・道具・装置を用いたりすればよい。
また、前記第一吸水性材料と第一吸水性材料との間に第二吸水性材料を設ける手段に関しては、例えば前記第一吸水性材料をセットした後に、第二吸水性材料を付着させる器具・道具・装置を用いて付着させたり、塗布させる器具・道具・装置を用いて塗布させたり、塗着させる器具・道具・装置を用いて塗着させたり、粘着させる器具・道具・装置を用いて粘着させたり、接着させる器具・道具・装置を用いて接着させたりした後に前記第一吸水性材料を重ねたり、折り曲げたり、積層させたり、設置したり、接着したり、圧着したり、冠着したり、挟着したり、巻着したり、縫着したり、融着したりする技術的手段を用いて実施すればよい。
前記吸水性材料を遺体の孔部に装填することに関しては、挿入抵抗を軽減するために、前記吸水性材料の遺体との接触面に潤滑剤を塗布しても良い。
【0017】
課題を解決するための第二の手段として、前記第一吸水性材料の形体が、可撓性または柔軟性または伸縮可能性または体積可変性または寸法可変性または通気性を備えたシート体、棒状体、筒状体、円柱体、不定形塊体、の中から選択して用いることを特徴とする、課題を解決するための第一の手段に記載の体液漏出防止材料およびその防止方法の提供を目的とする。
【0018】
また、前記シート体に関しては、例えば布地や生地や不織布やフェルトが知られており、例えば、布地としては綿布、麻布、絹布、ガーゼ、レーヨンの繊維を結合した布、ポリエステルの繊維を結合した布、または合成繊維など種々の織物を利用することができるが、取り分け高い吸湿性と柔軟性を有して価格的にも低廉な布地が好適であり、綿布の使用が好ましいが、市販品を含め種々のものを利用できる。
前記(棒状体、筒状体、円柱体)に関しては、通気性を備えたスポンジ、脱脂綿、海綿体、などで形成してもよいし、前記(布地や生地や不織布やフェルト)を用いて形成してもよい。
前記不定形塊体に関しては、通気性を備えたスポンジ、脱脂綿、海綿体、などで形成してもよいし、前記(布地や生地や不織布やフェルト)を用いて形成してもよい。
【0019】
課題を解決するための第三の手段として、前記第二吸水性材料が、高吸水性の粉体または顆粒、高吸水性の繊維体またはセルロース系であることを特徴とする、課題を解決するための第一の手段に記載の体液漏出防止材料およびその防止方法の提供を目的とする。
【0020】
前記高吸水性の粉体に関しては、水分を吸着し一定時間保持することの能力が優れた平均粒径が500μ〜0.1μの、金属酸化物の粉体、セラミック系組成物の粉体、粘土系組成物の粉体、吸水性ポリマーの粉体、植物の粉体、増粘多糖類の粉体、増粘性食品添加物の粉体、セルロース系組成物の粉体、などの中から選択して使用することができる。
前記高吸水性の顆粒に関しては、水分を吸着し一定時間保持することの能力が優れた平均粒径が500μ〜2mmの、金属酸化物の顆粒、セラミック系組成物の顆粒、粘土系組成物の顆粒、吸水性ポリマーの顆粒、植物の顆粒、増粘多糖類の顆粒、増粘性食品添加物の顆粒、セルロース系組成物の顆粒、などの中から選択して使用することができる。
前記繊維体に関しては、水分を吸着し一定時間保持することの能力が優れた植物の繊維、天然繊維(例えば、綿糸、麻糸、絹糸など)、合成繊維(例えば、レーヨン系、ポリエステル系など)の中から選択して用いればよい。
前記セルロース系に関しては、アルギン酸系の化合物、カルボキシメチルセルロースまたはその関連化合物、メチルセルロースまたはその関連化合物、デキストリンまたは関連化合物、微結晶セルロース、微小繊維状セルロース、粉末セルロース、などの中から選択して用いればよい。
【0021】
前記高吸水性ポリマーに関しては、原料、親水化方法、不溶化方法、吸水性能と価格との関係などから分類できるが、吸水した体液を離水させない限り、特に種類を限定するまでもないが、例えば、ポリアクリル酸塩架橋物やアクリル酸/アクリル酸塩共重合体の架橋物、デンプン/アクリル酸塩グラフト共重合体、デンプン/アクリロニトリルグラフト共重合体、ポリエチレンオキシド架橋物、クリル酸塩/ビニルアルコール共重合体、ポリアクリスアミド系の高分子体、ポリアクリル酸ナトリウム(陰イオン性高分子)、などが知られている。
【0022】
課題を解決するための第四の手段として、前記第一吸水性材料または(及び)前記第二吸水性材料には、粘着性材料または接着性材料を付着させるか粘性または接着性を付加させることを特徴とする、課題を解決するための第一の手段に記載の体液漏出防止材料およびその防止方法の提供を目的とする。
【0023】
前記粘着性材料に関しては、前記第一吸水性材料の内部に前記第二吸水性材料を設けた場合に、前記第二吸水性材料が前記第一吸水性材料の外部に漏れ出ることを防止するために実施されるのでこの点が可能ならば材料の選択と手段の選択にはそれほど制限は設けなくともよいが、前記粘着性材料を使用する場合の使用者への安全性や環境問題に対する安全性を考慮すると、例えば、ペクチンまたは関連化合物、、カゼインまたは関連化合物、カルボキシメチルセルロースまたは関連化合物、酢酸ビニル樹脂、デンプンまたは関連化合物、ポリビニールアルコール、アラビアガム、カオリン、ゼオライト、セピオライト、タルク、デキストリンまたは関連化合物、パーライト、微結晶セルロース、微小繊維状セルロース、粉末セルロース、粉末パルプ、ベントナイトまたは関連化合物、などの食品添加物に指定されている材料の使用も考慮することができる。
前記接着性材料に関しては、前記第一吸水性材料の内部に前記第二吸水性材料を設けた場合に、前記第二吸水性材料が前記第一吸水性材料の外部に漏れ出ることを防止するために実施されるのでこの点が可能ならば材料の選択と手段の選択にはそれほど制限は設けなくともよいが、前記接着性材料を使用する場合の使用者への安全性や環境問題に対する安全性を考慮すると、例えば、水溶性の接着剤の使用が好ましい。
【0024】
前記粘着性材料または接着性材料を前記第一吸水性材料または(及び)前記第二吸水性材料に付着させることに関しては、前記粘着性材料または接着性材料を付着させる器具・道具・装置を用いて付着させたり、塗布させる器具・道具・装置を用いて塗布させたり、塗着させる器具・道具・装置を用いて塗着させたり、粘着させる器具・道具・装置を用いて粘着させたり、接着させる器具・道具・装置を用いて接着させたりすればよい。
前記粘性または接着性を前記第一吸水性材料または(及び)前記第二吸水性材料に備えるようにすることに関しては、前記第一吸水性材料自体に粘性または接着性を持つ材料を選択して用いればよく、または(及び)前記第二吸水性材料自体に粘性または接着性を持つ材料を選択して用いればよい。
【0025】
課題を解決するための第五の手段として、前記体液漏出防止材料を遺体の孔部に装填する場合において、前記第一吸水性材料または(及び)前記第二吸水性材料には、抗菌性材料または殺菌性材料を付着させるか抗菌性または殺菌性を付加させることを特徴とする、課題を解決するための第一の手段に記載の体液漏出防止材料およびその防止方法の提供を目的とする。
【0026】
前記抗菌性材料または殺菌性材料に関しては、遺体の外部または内部に存在する病原菌や病原性のウイルスを減少させることが可能な材料であれば、一般的に知られた材料であれば何を用いても構わないが、第4級アンモニウム塩、ホルムアルデヒド、二酸化塩素または安定化二酸化塩素などがよく知られている。
前記抗菌性材料または殺菌性材料を付着させることに関しては、本発明を遺体の孔部に装填する時点で使用することを特徴としているので、使用時に速やかに前記抗菌性材料または殺菌性材料を付着させる手段に関しては、一般的に知られた手段を用いればよい。
前記抗菌性または殺菌性を前記第一吸水性材料または(及び)前記第二吸水性材料に直接付加させることに関しては、前記第一吸水性材料に前記抗菌性または殺菌性を備えた材料を選択して用いればよいし、または(及び)前記第二吸水性材料に前記抗菌性または殺菌性を備えた材料を選択して用いればよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、遺体の口、耳、鼻などからの体液の漏出を、手間を要しないで、かつ、確実に防止することができると同時に、本発明の処置時および処置後に病原菌に感染する危険性や悪臭が発生するおそれは極めて少ない、体液漏出防止材料およびその防止方法を提供できる。
【0031】
本発明によれば、本発明の使用前においては保管性や携帯性に優れ、本発明の使用時においては専用の器具や用具を使用せず、かつ適正なコストでの供給が可能なので、小規模の病院や葬儀場所でも導入しやすい、体液漏出防止材料およびその防止方法を提供できる。
【0032】
本発明によって、少なくとも2種類以上の吸水性材料の相乗作用(例えば2段階吸収作用)や相乗効果(例えば2段階吸収効果)が生じることで、例えば、遺体から漏出した体液の吸収効果や吸収凝固効果や密栓効果が向上するので、従来の方法に比べてより確実な体液漏出防止材料およびその防止方法を提供できる。
【0033】
本発明によって、少なくとも2種類以上の吸水性材料の相乗作用(例えば時間差吸収作用)や相乗効果(例えば時間差吸収効果)が生じることで、例えば、熟練が充分でないか作業能力の充分でない作業者が本発明を実施しても確実かつ簡便に遺体からの体液の漏出を防ぐことが可能な、体液漏出防止材料およびその防止方法を提供できる。
【0034】
本発明では、前記第一吸水性材料の内部に前記第二吸水性材料(例えば吸水性粉体)が分散した一体型の体液漏出防止材料が実現できるので、例えば体液漏出が少ない遺体では粉体が体外に出て周辺を汚染させる危険性が減少し、例えば体液漏出が多い遺体では吸水性粉体が前記第一吸水性材料の内部で膨張し、体液を吸収して膨張した前記第一吸水性材料がガードするので体液防止効果が増大する体液漏出防止材料およびその防止方法を提供できる。
【0035】
本発明によって、前記第二吸水性材料に繊維系やセルロース系や無機系材料を選択して用いることで、体液漏出の多い遺体に使用しても、吸水性材料が溶けて漏れ出たりしない、体液漏出防止材料およびその防止方法を提供できる。
【0036】
本発明によって、体液漏出防止材料の定量化や定数化が可能になることで、作業者の能力差による作業精度や品質のバラツキを低減でき、遺体の個体差による各孔部の形状のバリエーションに対応でき、遺体の個体差による体液漏出の変化に速やかに対応できる、体液漏出防止材料およびその防止方法を提供できる。
【0037】
本発明によって、体液漏出防止材料の形状が可変になることで、作業者の能力差による作業精度や品質のバラツキを低減でき、遺体の個体差による各孔部の形状のバリエーションに対応でき、遺体の個体差による体液漏出の変化に速やかに対応できる、体液漏出防止材料およびその防止方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の体液漏出防止材料およびその防止方法の実施の形態について、図1〜図3に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態例を示す概略説明図であり、図2は本発明の実施の形態例を示す概略説明図であり、図3は本発明の実施の形態例を示す概略説明図である。
【0041】
図1〜図3に示すとおり、10は可撓性または柔軟性または伸縮可能性または体積可変性または寸法可変性または通気性を備えた棒状体または筒状体または円柱体または不定形塊体になるように形成した体液の吸収材料である第一吸水性材料であり、11は点線で表現された部分であり第一吸水性材料の内部または空間である材料内部であり、20は網状で表現された部分であり第一吸水性材料内部11に設けた体液の吸収材料である第二吸水性材料を示している。30は可撓性または柔軟性または伸縮可能性または体積可変性または寸法可変性または通気性を備えた第一吸水性材料のシート体であり、31は点線で表現された部分でありシート体30の内部または空間である材料内部を示しており、40は網状で表現された部分でありシート体内部31に設けた体液の吸収材料である第二吸水性材料を示している。50は可撓性または柔軟性または伸縮可能性または体積可変性または寸法可変性または通気性を備えた第一吸水性材料のシート体であり、シート体50はシート体下部51とシート体上部52で構成され、60は網状で表現された部分でありシート体下部51とシート体上部52で挟まれた状態で保持された体液の吸収材料である第二吸水性材料を示している。
【実施例1】
【0042】
図1で示された実施の形態例を説明すると、本実施例では第一吸水性材料10は、レーヨンの極細繊維を用いて直径10〜30mm、長さが20〜60mm、の中から選択して用途(例えば遺体の各孔部)に合わせて円柱体に成形し、前記用途に合わせて円柱体に成形した第一吸水性材料10の内部に、直径5〜15mm、長さが10〜30mm、の中から選択して前記用途に合わせて筒状体に成形した紙製の容器体にベントナイトの粉体を約1〜5gの範囲で選択して充填し、ベントナイトを充填した紙製の容器体を圧入手段または嵌入手段を介して圧入または嵌入することで、紙製の容器体は第一吸水性材料内部11として機能し、紙製の容器体内部のベントナイトの粉体が第二吸水性材料20として機能することで、レーヨンの極細繊維の高吸水性と体液を吸収してゲル状になりかつ膨張したベントナイトを保持する機能が発揮されて上述した発明の効果が期待できる。
また、本発明の体液漏出防止材料を遺体の咽喉部、直腸部、耳腔、鼻孔、尿道部、膣部などの各孔部に装填する時点で、安定化二酸化塩素の溶液を適量噴霧して使用することで、遺体への装填作業がスムーズになるばかりか病原菌やウイルスからの感染の防止方法として機能する。
尚、本実施例で使用する、レーヨンの極細繊維、紙製の容器体、ベントナイトの粉体、安定化二酸化塩素の溶液などは市販されているタイプのものが使用できる。
【実施例2】
【0043】
図2で示された実施の形態例を説明すると、本実施例ではシート体30は板状に成形してあるコットンを用いて、厚さが4〜8mm、縦横30〜60mm、の中から選択して用途(例えば遺体の各孔部)に合わせた板状に成形し、前記用途に合わせて板柱体に成形したシート体30の内部に、厚さが2〜4mm、縦横15〜30mm、の中から選択して前記用途に合わせて封筒状に成形した紙製の袋体に高吸水性ポリマーの粉体を約1〜5gの範囲で選択して充填し、高吸水性ポリマーを充填した紙製の袋体を圧入手段または嵌入手段を介して圧入または嵌入することで、紙製の袋体はシート体内部31として機能し、紙製の袋体内部の高吸水性ポリマーの粉体が第二吸水性材料40として機能することで、コットンの高吸水性と体液を吸収してゲル状になりかつ膨張した高吸水性ポリマーを保持する機能が発揮されて上述した発明の効果が期待できる。
また、本発明の体液漏出防止材料を遺体の咽喉部、直腸部、耳腔、鼻孔、尿道部、膣部などの各孔部に装填する時点で、安定化二酸化塩素の溶液を適量噴霧して使用することで、遺体への装填作業がスムーズになるばかりか病原菌やウイルスからの感染の防止方法として機能する。
尚、本実施例で使用する、コットン、紙製の袋体、高吸水性ポリマーの粉体、安定化二酸化塩素の溶液などは市販されているタイプのものが使用できる。
【実施例3】
【0044】
図3で示された実施の形態例を説明すると、本実施例ではシート体50はシート体下部51とシート体上部52の少なくとも2枚の板状に成形してある不織布を用いて、夫々1枚当たり厚さが2〜4mm、縦横30〜60mm、の中から選択して用途(例えば遺体の各孔部)に合わせた板状に成形し、まずシート体下部51の上面に水溶性接着剤を適量付着させた後に高吸水性ポリマーの粉体を約1〜5gの範囲で選択して載置して、次にシート体上部52の下面に水溶性接着剤を適量付着させた後にシート体下部51とシート体上部52を圧力を加えながら張り合わせることでシート体下部51とシート体上部52は接着されことによって、シート体下部51とシート体上部52によって封入された高吸水性ポリマーの粉体は第二吸水性材料60として機能することで、不織布の高吸水性と体液を吸収してゲル状になりかつ膨張した高吸水性ポリマーを保持する機能が発揮されて上述した発明の効果が期待できる。
また、本発明の体液漏出防止材料を遺体の咽喉部、直腸部、耳腔、鼻孔、尿道部、膣部などの各孔部に装填する時点で、安定化二酸化塩素の溶液を適量噴霧して使用することで、遺体への装填作業がスムーズになるばかりか病原菌やウイルスからの感染の防止方法として機能する。
尚、本実施例で使用する、不織布、水溶性接着剤、高吸水性ポリマーの粉体、安定化二酸化塩素の溶液などは市販されているタイプのものが使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の体液漏出防止材料およびその防止方法によれば、病院や葬儀場所から荼毘に付されるまでの遺体からの体液漏出対策または体液漏出対策を実施する作業者のウイルスや病原菌からの感染対策のみならず、例えば、病院で実施される遺体の解剖時にも生じる遺体からの体液漏出対策または体液漏出対策を実施する作業者のウイルスや病原菌からの感染対策にも利用できる。また、事故や手術後の遺体の傷口や開口部分にも適用しても良い。さらに、人体のみならず動物などの死体の解剖時にも生じる動物死体からの体液漏出対策または体液漏出対策を実施する作業者のウイルスや病原菌からの感染対策にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態例を示す概略説明図である。
【図2】本発明の実施の形態例を示す概略説明図である。
【図3】本発明の実施の形態例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0052】
10 第一吸水性材料
11 第一吸水性材料内部
20 第二吸水性材料
30 シート体
31 シート体内部
40 第二吸水性材料
50 シート体
51 シート体下部
52 シート体上部
60 第二吸水性材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性材料を遺体の孔部に装填することで体液の漏出を防止する手段であり、少なくとも2種類以上の吸水性材料で形成させて成り、第一吸水性材料の内部または第一吸水性材料と第一吸水性材料との間に、第二吸水性材料を設けたことを特徴とする、体液漏出防止材料およびその防止方法。
【請求項2】
前記第一吸水性材料の形体が、可撓性または柔軟性または伸縮可能性または体積可変性または寸法可変性または通気性を備えたシート体、棒状体、筒状体、円柱体、不定形塊体、の中から選択して用いることを特徴とする、請求項1に記載の体液漏出防止材料およびその防止方法。
【請求項3】
前記第二吸水性材料が、高吸水性の粉体または顆粒、高吸水性の繊維体またはセルロース系であることを特徴とする、請求項1に記載の体液漏出防止材料およびその防止方法。
【請求項4】
前記第一吸水性材料または(及び)前記第二吸水性材料には、粘着性材料または接着性材料を付着させるか粘性または接着性を付加させることを特徴とする、請求項1に記載の体液漏出防止材料およびその防止方法。
【請求項5】
前記体液漏出防止材料を遺体の孔部に装填する場合において、前記第一吸水性材料または(及び)前記第二吸水性材料には、抗菌性材料または殺菌性材料を付着させるか抗菌性または殺菌性を付加させることを特徴とする、請求項1に記載の体液漏出防止材料およびその防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−23011(P2007−23011A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234968(P2005−234968)
【出願日】平成17年7月18日(2005.7.18)
【出願人】(505306762)
【Fターム(参考)】