説明

体重測定装置及び体重測定方法

【課題】ペットや乳児の体重を選択設定が不要で簡単にしかも短時間に測定し、飼い主や母親などの体重も同時に測定し、2種類の体重の時系列的な変化を同時に観察する。
【解決手段】歪計401及び402と抵抗403及び404とからなるブリッジ回路、差動増幅器405及びADC406からなる体重測定手段の1回目の体重測定により得られた第1の重量測定値と、2回目の体重測定により得られた第2の重量測定値とをRAM410が記憶する。CPU407は第1の重量測定値と第2の重量測定値とを比較して小さい方の重量測定値を第1の体重とし、第1の重量測定値と第2の重量測定値との差分の絶対値を第2の体重とする。また、CPU407は、それら第1の体重及び第2の体重を液晶パネル414に同時に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体重測定装置及び体重測定方法に係り、特にペットや乳児の体重を測定する体重測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭でペットの体重を測定する場合、飼い主がペットを抱いて重量測定を行った後で、飼い主単独の体重を測定して、引き算によりペットの体重を求める方法が使われることが多い。また、一般家庭で乳児の体重を測定する場合、母親が乳児を抱いて重量測定を行った後で、母親単独の体重を測定して、引き算により乳児の体重を求める方法が使われることが多い。
【0003】
特許文献1には、乳児の体重を測定する場合、母親が単独で電子体重計に乗って体重を測定してその第1の測定値を記憶し、続いて母親が乳児を抱いて電子体重計に乗って体重を測定してその第2の測定値を記憶し、記憶した第2の測定値から第1の測定値を減算することで乳児の体重を自動測定する体重測定装置が開示されている。
【0004】
また、ペットなどでも豊食により肥満になりダイエットのための体重測定の必要性が高まり、更に飼い主も肥満によりダイエットための体重測定が必要になる場合が多くなった。この時、同時に計測し、双方の体重変化を同時に比較して、ダイエットへのモチベーションを確保する要望も高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−091539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一般家庭でペットの体重を測定する場合は、ペット及び飼い主それぞれの体重を個別に測定し、乳児の体重を測定する場合は、母親及び乳児それぞれの体重を個別に測定した後、それぞれの体重を引き算して目的のペットや乳児の体重を求める必要があり、効率が悪く、使いにくいという課題がある。また、ペット及び飼い主の体重変化を同時に見て比較することができない。また、特許文献1に記載された体重測定装置では、目的の乳児の体重は自動計算により求められるが、計測者が母親及び乳児のどちらの体重を計測するかを設定する必要があり、使いにくいという課題がある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、ペットや乳児の体重を簡単に短時間に測定できる体重測定装置及び体重測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の体重測定装置は、体重測定手段と、体重測定手段による1回目の体重測定により得られた第1の重量値を記憶する第1の記憶手段と、体重測定手段による2回目の体重測定により得られた第2の重量値を記憶する第2の記憶手段と、第1の重量値と第2の重量値とを比較して小さい方の重量値を第1の体重とし、第1の重量値と第2の重量値との差分の絶対値を第2の体重とする体重決定手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、上記の目的を達成するため、本発明の体重測定装置は、体重測定手段が測定する重量測定値を所定時間毎にサンプルし、このサンプルによって得られる所定サンプル数の重量測定値の変動幅を検出する変動幅検出手段と、変動幅が、所定値以下になった時点の重量測定値を第1の重量値と判定して第1の記憶手段に記憶させる第1の判定手段と、第1の判定手段による判定後、第1の重量値に所定値よりも大きい閾値を加算した値を上回った後、または第1の重量値から閾値を減算した値を重量測定値が下回った後、変動幅が再び所定値以下になった時点の重量測定値を第2の重量値と判定して第2の記憶手段に記憶させる第2の判定手段とを更に有することを特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するため、本発明の体重測定装置は、第1の記憶手段に第1の重量値を記憶したときに第1の重量測定終了を報知する第1の報知手段と、第2の記憶手段に第2の重量値を記憶したときに第2の重量測定終了を報知する第2の報知手段とを更に有することを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、本発明の体重測定装置は、第1の記憶手段に第1の重量値を記憶することで測定を終了する、1種類の体重測定測定モードと、第1及び第2の記憶手段にそれぞれ第1及び第2の重量値を記憶することで測定を終了する、2種類の体重測定モードとを切り替える手段を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記の目的を達成するため、本発明の体重測定装置は、体重決定手段により第1の体重として決定された重量値の測定日時データを、第1の体重と対応付けて保存すると共に、第1の重量値及び第2の重量値のうち第1の体重として決定された重量値でない方の重量値の測定日時データを、第2の体重と対応付けて保存する保存手段と、保存手段に保存された第1の体重及びその測定日時データと、第2の体重及びその測定日時データとを同時に表示する表示手段とを更に有することを特徴とする。
【0013】
また、上記の目的を達成するため、本発明の体重測定装置は、体重決定手段により第1の体重として決定された重量値の第1の測定日時データを、第1の体重と対応付けて保存すると共に、第1の重量値及び第2の重量値のうち第1の体重として決定された重量値でない方の重量値の第2の測定日時データを、第2の体重と対応付けて保存する保存手段と、第1の体重の時間の経過に応じた第1の変化率と、第2の体重の時間の経過に応じた第2の変化率とを計算する変化率計算手段と、第1の体重変化率を第1の測定日時データと対応付け、第2の体重変化率を第2の測定日時データと対応付けて、それぞれ同時に表示する表示手段とを更に有することを特徴とする。
【0014】
更に、上記の目的を達成するため、本発明の体重測定方法は、体重測定手段による1回目の体重測定により第1の重量値を第1の記憶手段に記憶するステップと、体重測定手段による2回目の体重測定により第2の重量値を第2の記憶手段に記憶するステップと、第1の重量値と第2の重量値とを比較して小さい方の重量値を第1の体重とし、第1の重量値と第2の重量値との差分の絶対値を第2の体重とする体重決定ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ペットや乳児の体重を簡単に短時間に測定できる。また、飼い主や母親などの体重も同時に測定できる。更には、2種類の体重の時系列的な変化を同時に観察できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の体重測定装置の一実施の形態の上面の概観図である。
【図2】本発明の体重測定装置における重さを検出する機構部の一例の概略図である。
【図3】本発明の体重測定装置における重さを検出する機構部の他の例の概略図である。
【図4】本発明の体重測定装置の一実施の形態の回路系統図である。
【図5】体重測定の説明のための測定値の変化の一例を示す図である。
【図6】体重測定の説明のための測定値の変化の他の例を示す図である。
【図7】CPUによる変動幅と平均値の測定動作を説明するブロック図である。
【図8】本発明の体重測定装置の一実施の形態の全体の動作説明用フローチャートである。
【図9】図8の単独測定ステップS807の詳細説明用フローチャートである。
【図10】図8の複数測定ステップS808の詳細説明用フローチャートである。
【図11】液晶パネル上のグラフ表示の一例を示す図である。
【図12】液晶パネル上のグラフ表示の他の例を示す図である。
【図13】最初の測定を完了した後に、所定の時刻完了後まで測定値の変化が無かった場合、最初の測定で終了するときの測定値変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明になる体重測定装置の一実施の形態の上面の概観図を示す。同図において、体重測定装置100は、上面の中央部が表示画面と操作部になっている。表示画面は、液晶パネルで構成されており、文字や画像など多彩に表示可能である。
【0019】
上記表示画面は、モード設定をして使用する場合のモード表示部分101と、設定された使用者Aの表示部102と、設定された使用者Bの表示部103と、使用者Aの体重表示部分104と、使用者Bの体重表示部分105とからなる。
【0020】
また、上記操作部は、ボタンW、ボタンS、ボタンL、ボタンR、使用者Aの選択ボタン106、使用者Bの選択ボタン107、及び状態表示ランプ108からなる。ボタンWは、2人または1人と1匹の体重を測定するモードに設定するボタンであり、このボタンWを押すと、モード表示部分101に、“Wモード”と表示される。ボタンSは、1人単独で測定するモードに設定するボタンであり、このボタンSを押すと、モード表示部分101に、“Sモード”と表示される。ボタンLは、保存された体重データを時系列的に表示するボタンであり、表示画面に図11のようなグラフが表示される。ボタンRは、リセットボタンであり、測定を最初からやり直すときに操作されるボタンである。
【0021】
使用者Aの選択ボタン106は、ここでは1〜8まで選択可能であり、上矢印ボタンと下矢印ボタンで表示部102の番号を変化させて使用者を選択するときに使用される。使用者Bの選択ボタン107は、ここでは1〜8まで選択可能であり、上矢印ボタンと下矢印ボタンで表示部103の番号を変化させて使用者を選択するときに使用される。状態表示ランプ108は、最初の測定が終了すると弱光で点灯し、次の測定が終了すると強光で点灯する。
【0022】
図2は、本発明になる体重測定装置における重さを検出する機構部の一例の概略図を示す。図2に示すように、この機構部は直方体上の金属からなる部材にH型に穴をあけた構造をしており、また、その部材の所定位置に2つの歪計SG1、SG2が張り付けられている。この機構部では、矢印で示す部分に矢印方向の加重負荷がかかると、歪計SG1は伸びる方向に力が加わり、歪計SG2は、縮む方向に力がかかる。
【0023】
図3は、本発明になる体重測定装置における重さを検出する機構部の他の例の概略図を示す。図3に示すように、この機構部は直方体上の金属からなる部材で固定部付近を薄くした構造をしており、その薄くした固定部付近の上面と下面に歪計SG1、SG2が張り付けられている。この機構部では、矢印で示す部分に矢印方向の加重負荷がかかると、歪計SG1は伸びる方向に力が加わり、歪計SG2は、縮む方向に力がかかる。
【0024】
図4は、本発明になる体重測定装置の一実施の形態の回路系統図を示す。同図において、401は、図2及び図3に示した歪計SG1である。402は、図2及び図3に示した歪計SG2である。403及び404は、歪計401及び402とブリッジ回路を構成させるための固定抵抗である。差動増幅器405は、歪計401及び402の接続点の電圧と、抵抗403及び404の接続点の電圧とを差動増幅する。抵抗401及び402の抵抗値変化は極性が逆で同量となるので変化分は2倍となる。
【0025】
AD変換器(ADC)406は、差動増幅器405の出力電圧をアナログ-デジタル変換し、得られた電圧データを中央処理装置(CPU)407へ出力する。CPU407は、入力された電圧データを重量値に変換する。また、CPU407は、時計(リアルタイムクロック)408、タイマ409、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)410、リード・オンリ・メモリ(ROM)411、及び設定スイッチ(SW)412と双方向のバスを介して接続されている。
【0026】
これにより、CPU407は、時計408から日付・時刻を取得し、またタイマ409の出力を計数することにより経過時間などを計測する。RAM410はCPU407の作業領域として使用される。ROM411はCPU407を稼働するプログラムを記憶している。設定SW412は図1の各スイッチに対応したインターフェースである。また、図4において、表示回路413は、CPU407の出力信号に応じて液晶パネル414に指示された文字や画像などを表示する。
【0027】
本実施の形態の体重測定装置100は、飼い主がペットを抱いて体重を測り、そのままペットを放置して置くと、自動的に双方の体重測定を完了するものであり、逆にまず飼い主が体重を測り、傍らのペットを抱くと同様に自動的に双方の体重測定を完了するものである。これは親と乳児との関係においても同様である。
【0028】
図5は、体重測定の説明のための測定値の変化の一例を示す。本例では、飼い主がペットを抱いて測定し、その後にペットを放して測定したものである。縦軸は重さ(kg)であり、横軸は時間である。
【0029】
図5において、まず、飼い主がペットを抱いて体重測定装置100に乗ると重量測定値が高くなり、閾値1(例えば1kg程度とする)を超える(時刻t1)。CPU407は、重量測定値が閾値1を超えたことを検出したら、タイマ409の計数を開始して所定時間の経過を待つ(時刻t2)。時刻t2より、CPU407は本計測を開始して重量測定値の変動が所定値(例えば20g程度とする)以下になったのを確認して、そのときの測定データm1をRAM410に保存する(時刻t3)。保存が終了したら、CPU407は重量測定値が閾値2の範囲外になるのを確認する。つまり、CPU407は測定値がm1+閾値2を超えるか、m1−閾値2より下回るかを確認する。なお、この閾値2は、上記した所定値よりも大きな値、例えば200g程度とする。
【0030】
図5の例では、時刻t4で、CPU407は重量測定値がm1−閾値2より下回ったので、所定時間のウェイトを行う。ウェイトを完了した時刻t5後に、重量測定値の変動が所定値以下になったのを確認してその測定データm2をRAM410に保存する(時刻t6)。
【0031】
次に、別の体重測定の説明のための測定値の変化について説明する。図6は、体重測定の説明のための重量測定値の変化の他の例を示す。本例では、飼い主がまず単独で体重を測定し、その後に傍らのペットを抱き上げて体重を測定したものである。図6の縦軸は重さ(kg)であり、横軸は時間である。
【0032】
図6において、飼い主がまず単独で体重測定装置100に乗ると重量測定値が高くなり、閾値1を超える(時刻t11)。この時、CPU407はタイマ409の計数を開始して所定時間の経過を待つ(時刻t12)。時刻t12より、CPU407は本計測を開始して重量測定値の変動が所定値以下になったのを確認してその測定データm1をRAM410に保存する(時刻t13)。保存が終了したら、CPU407は重量測定値が閾値2の範囲外になるのを確認する。つまりm1+閾値2を超えるか、m1−閾値2より下回るかを確認する。
【0033】
この例では飼い主が傍らのペットを抱き上げて体重を測定する測定時刻t4で、m1+閾値2を超えたので、CPU407は所定時間のウェイトを行う。ウェイトを完了した時刻t15後に、CPU407は重量測定値の変動が所定値以下になったのを確認してその測定データm2をRAM410に保存する(時刻t16)。
【0034】
次に、CPU407による変動幅と平均値の測定動作について、図7の測定のブロック図と共に説明する。図7は、CPU407の機能動作ブロックである。CPU407は重量値に変換したデータを10個のリングメモリ701に書き込む。サンプリングごとに古い順に更新されて最新の10個のデータがリングメモリ701上に残る。
【0035】
サンプリングが更新されるごとに、各データより最大値検出部702が最大値を検出すると共に、最小値検出部703が最小値を検出する。変動幅検出部705はこれら最大値と最小値との差を求めて所定時間内の変動幅として出力する。また、平均値検出部704は各データより平均値を算出して出力する。本実施の形態では、0.2秒をサンプリング周期としており、2秒前までの平均値と変動幅を出力する。
【0036】
次に、本実施の形態の体重測定装置100の全体の動作について、図8のフローチャートと共に説明する。まず、体重測定装置100は測定者を確定する(ステップS801)。このステップS801では、ボタン106により測定者Aを選択し、ボタン106を押すごとに表示部102に番号1〜8を順次表示する。番号1〜8は個人に対応しており、事前に誰がその番号かを決めておく。同様に、ステップS801において、ボタン107により測定者(ペット・乳児)Bを選択し、ボタン107を押すごとに表示部103に番号1〜8を順次表示する。
【0037】
次に、モードを入力する(ステップS802)。モードのうち、単独測定モード(S)と2種類(1人+1匹)測定モード(W)とは、ボタンWとボタンSで設定する。入力モードはモード表示部分101に表示される。また、ボタンLを押すと、ログ表示モードになり、グラフ表示を行う。そして入力モードが設定される(ステップS803)。
【0038】
次に、体重測定装置100は、入力モードがログデータ表示かどうかを判断する(ステップS804)。ログデータ表示モードであれば、ログデータのグラフを表示する(ステップS806)。ログデータ表示モードでない場合は、2種類測定モードかどうか判断する(ステップS805)。2種類測定モードの場合には、2種類モードの測定を実施する(ステップS808)。2種類測定モードでない場合には、単独測定を実施する(ステップS807)。
【0039】
次に、図8のステップS807の単独測定実施ステップについて、図9のフローチャートと共に更に詳細に説明する。CPU407はまず、測定を行う(ステップS901)。次に、その重量測定値が閾値1を超えたかどうかを判断する(ステップS902)。超えていない場合には、ステップS901に戻り、超えた場合には、ステップS903に進む。ステップS903では、時刻t1までの所定時間を計測するため、CPU407はタイマ409の計数を開始する。CPU407はステップS904で、時刻t1分の所定の計数値になったかを判断する。所定の計数値にまで至らない場合には、この判断を繰り返す。所定の重量計数値に到達した場合にはタイマ409の計数を停止する(ステップS905)。
【0040】
次に、CPU407は測定を行う(ステップS906)。そして、測定変動幅が所定値以下になるのを待つ(ステップS907)。これにより、体重計測初期の揺れによる影響を排除できる。測定変動幅が所定値以下になった場合、その時点の重量測定値と時計408から得た現在の日付及び時刻とをRAM410保存する(ステップS908)。そして、重量測定値である体重を表示部104又は105に表示する(ステップS909)。
【0041】
次に、図8のステップS808の測定実施ステップについて、図10のフローチャートと共に更に詳細に説明する。CPU407はまず、測定を行う(ステップS1001)。次に、その重量測定値が閾値1を超えたかどうかを判断する(ステップS1002)。超えていない場合には、ステップS1001に戻り、超えた場合には、ステップS1003に進む。ステップS1003では、時刻t1までの時間を計測するため、CPU407はタイマ409の計数を開始する。続いて、CPU407はステップS1004で、タイマ409が時刻t1分の所定の計数値になったかを判断する。所定の計数値にまで至らない場合には、この判断を繰り返す。所定の計数値に達した場合には、CPU407はタイマ409の計数を停止する(ステップS1005)。
【0042】
次に、CPU407は体重を測定する(ステップS1006)。そして、CPU407はその重量測定値の変動幅が所定値以下になるのを待つ(ステップS1007)。これにより、体重計測初期の揺れによる影響を排除できる。重量測定値の変動幅が所定値以下に入っている場合、その重量測定値(測定値1)をRAM410に保存する(ステップS1008)。すなわち、CPU407は重量測定値を所定時間毎にサンプルし、所定サンプル数の重量測定値の変動幅を検出し、その変動幅が、設定された所定値以下になった時、その重量測定値を第1の重量値(測定値1)と判定してRAM410に保存する。
【0043】
次に、CPU407はランプ108を弱点灯させて、最初の測定が完了したことを知らせる(ステップS1009)。これを見て、飼い主は抱いていたペットを床に放す。または、傍らのペットを抱き上げる。
【0044】
次に、CPU407はタイマ409の計数を開始する(ステップS1010)。そして、重量の測定及び平均化を行う(ステップS1011)。次に、タイマ409の計数値が時刻t7が経過した計数値であるか否かを調べる(ステップS1012)。この時刻t7は、図13に示すように、W測定設定で、1回目の測定が時刻t1で終了して、次の測定を時刻t2で促したにも拘らず、重量変更がなく、2回目の測定がキャンセルされたと思われる場合に対応するための時刻である。CPU407は時刻t7が経過したと判定した場合には、タイマ409の計数を停止する(ステップS1028)。続いて、CPU407はそのときの重量測定値のデータと計測した日付・時刻をRAM410に保存する(ステップS1029)。続いて、CPU407は表示部104または105に上記測定値1を表示して処理を終了する(ステップS1030)。
【0045】
一方、CPU407はステップS1012で、時刻t7を経過していないと判定した場合、閾値2の範囲を超えたか否かを判断する(ステップS1013)。超えていなかった場合には、ステップS1011に戻る。超えていた場合には、ペットを下ろしたか、抱き上げたことになるので、CPU407はタイマの計数を停止する(ステップS1014)。これで、時刻t7に対する計数を終了する。
【0046】
ステップS1014の後、CPU407は再び、タイマ409の計数を開始させる(ステップS1015)。そして計数開始後、タイマ409の計数値が時刻t2分の所定の計数値になったかを判断する(ステップS1016)。所定の計数値にまで至らない場合には、この判断を繰り返す。所定の計数値に達した場合には、CPU407はタイマ409の計数を停止する(ステップS1017)。次に、CPU407は測定を行う(ステップS1018)。そして、このときの測定値2の変動幅が所定値以下になるのを待つ(ステップS1019)。これにより体重計測初期の揺れによる影響を排除できる。すなわち、CPU407は重量測定値を所定時間毎にサンプルし、所定サンプル数の測定値の変動幅を検出し、その変動幅が、設定された所定値以下になった時、その重量測定値を第2の重量値(測定値2)と判定してRAM410に保存する。
【0047】
次に、CPU407は測定値2が、0でないか否かを確認する(ステップS1020)。これは、最初の測定終了後に、体重測定装置100から降りてしまった場合に対する対応処理であり、測定値2が0のときは体重計測定装置100を降りた場合の単独測定とみなして、ステップS1029の処理に移行する。
【0048】
一方、測定値2が0でない場合には、その測定値2をRAM410に保存する(ステップS1021)。続いて、CPU407は測定値1と測定値2の大小を判断する(ステップS1022)。測定値1の方が大きかった場合、ステップS1023に進み、測定値2を体重1として、測定値1−測定値2を体重2とする。体重1が飼い主、体重2がペット対応となる。一方、測定値2の方が大きかった場合、ステップS1024に進み、測定値1を体重1として、測定値2−測定値1を体重2とする。体重1が飼い主、体重2がペット対応となる。すなわち、CPU407はステップS1022〜S1024において、測定値1及び測定値2のうち値が小さい方を体重1とし、また測定値1と測定値2との差分の絶対値を体重2として算出する。
【0049】
ステップS1023またはS1024に続いて、CPU407は各体重と測定日時・時刻をRAM410に保存する(ステップS1025)。RAM410には時系列・測定者別に順にデータが追加記憶されていく。RAM410のメモリ容量がいっぱいになったら、古いデータより書き換える。次に、体重1、体重2を表示部104及び105に表示する(ステップS1026)。そして、ランプ108を強点灯させて、測定者に測定完了を報知して終了する(ステップS1027)。
【0050】
このように、本実施の形態の体重測定装置によれば、飼い主単独か、ペットを抱いた飼い主かの選択設定が不要で使い易く、また、連続的かつ自動的に体重を測定するので、短時間に測定できる。更に、本実施の形態によれば、2種類の体重測定と単独の体重測定のどちらの測定も可能であり、また、それらの体重測定の順番は、どちらから測定してもよいので、ペットの状態や好みに自動対応できる。
【0051】
次に、ボタンLを押してログ表示モードになった場合の液晶パネル上のグラフ表示について説明する。図11は、このログ表示モードになった場合の液晶パネル上の体重の時系列変化を示すグラフである。図11の上半分の表示領域に表示されたグラフaは測定者1(A)の体重の変化を、下半分の表示領域に表示されたグラフbは測定者2(B)の体重の時系列変化を示す。図11のグラフaとbの表示は同時に行われる。ボタン106、107で表示の選択が可能である。時系列のデータを元にグラフ表示を行う。
【0052】
図12は、ボタンLを更にもう1回押して、ログ表示モードになった場合の液晶パネル上の体重の変化のグラフを示す。図12の上半分の表示領域に表示されたグラフcは測定者1(A)、下半分の表示領域に表示されたグラフdは測定者2(B)の体重の事例列変化を示すグラフである。ボタン106、107で表示の選択が可能である。図11は体重をkg表示しているのに対し、図12での表示は最初に測定した時の体重を100%として、その後に測定した体重の変化を%で表示する点で相違する。図12のグラフc及びdの表示は同時に行われるので、体重の異なる両者の変化を比較することが可能になり、飼い主とペットのダイエットの進行を同時に比較することも可能になる。なお、ボタンLは、交互動作となっており、図11の表示と図12の表示とが交互に切り替えられる。
【0053】
このように、本実施の形態の体重測定装置によれば、2種類の体重(飼い主の体重とペットの体重)とを同時表示することができるので、それらの体重変化を時系列に比較できる。
【0054】
図13は、前述したとおり、時刻t1で測定値1の保存を完了した後に、重量測定値が時刻t7時点まで変化が無かった場合、時刻t1で測定を終了するための測定値変化の一例を示す。この場合、時刻t7後、測定を完了して、単独測定として処理を行う。これにより、Wモード・Sモード選択なしでも、それぞれの測定を自動的に行うことも可能である。
【0055】
なお、本発明は以上の実施の形態では飼い主とペットの体重測定について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、乳児とそれを抱く人間(例えば、母親、父親、あるいはその他の人間)との体重測定にも適用することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
100 体重測定装置
101 モード表示部分
102 設定された使用者Aの表示部
103 設定された使用者Bの表示部
104 使用者Aの体重表示部分
105 使用者Bの体重表示部分
401 図2及び図3に対応した歪計SG1
402 図2及び図3に対応した歪計SG2
403・404 歪計とブリッジ回路を構成させるための固定抵抗
405 差動増幅器
407 中央処理装置(CPU)
408 時計(リアルタイムクロック)
410 ランダム・アクセス・メモリ(RAM)
411 リード・オンリ・メモリ(ROM)
412 各スイッチに対応したインターフェース
413 表示回路
414 液晶パネル
701 リングメモリ
702 最大値検出部
703 最小値検出部
704 平均値検出部
705 変動幅検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体重測定手段と、
前記体重測定手段による1回目の体重測定により得られた第1の重量値を記憶する第1の記憶手段と、
前記体重測定手段による2回目の体重測定により得られた第2の重量値を記憶する第2の記憶手段と、
前記第1の重量値と前記第2の重量値とを比較して小さい方の重量値を第1の体重とし、前記第1の重量値と前記第2の重量値との差分の絶対値を第2の体重とする体重決定手段と
を有することを特徴とする体重測定装置。
【請求項2】
前記体重測定手段が測定する重量測定値を所定時間毎にサンプルし、このサンプルによって得られる所定サンプル数の前記重量測定値の変動幅を検出する変動幅検出手段と、
前記変動幅が、所定値以下になった時点の重量測定値を前記第1の重量値と判定して前記第1の記憶手段に記憶させる第1の判定手段と、
前記第1の判定手段による判定後、前記第1の重量値に前記所定値よりも大きい閾値を加算した値を上回った後、または前記第1の重量値から前記閾値を減算した値を前記重量測定値が下回った後、前記変動幅が再び前記所定値以下になった時点の重量測定値を前記第2の重量値と判定して前記第2の記憶手段に記憶させる第2の判定手段と
を更に有することを特徴とする請求項1記載の体重測定装置。
【請求項3】
前記第1の記憶手段に前記第1の重量値を記憶したときに第1の重量測定終了を報知する第1の報知手段と、
前記第2の記憶手段に前記第2の重量値を記憶したときに第2の重量測定終了を報知する第2の報知手段と
を更に有することを特徴とする請求項1又は2記載の体重測定装置。
【請求項4】
前記第1の記憶手段に前記第1の重量値を記憶することで測定を終了する、1種類の体重測定測定モードと、前記第1及び第2の記憶手段にそれぞれ前記第1及び第2の重量値を記憶することで測定を終了する、2種類の体重測定モードとを切り替える手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の体重測定装置。
【請求項5】
前記体重決定手段により前記第1の体重として決定された重量値の測定日時データを、前記第1の体重と対応付けて保存すると共に、前記第1の重量値及び前記第2の重量値のうち前記第1の体重として決定された重量値でない方の重量値の測定日時データを、前記第2の体重と対応付けて保存する保存手段と、
前記保存手段に保存された前記第1の体重及びその測定日時データと、前記第2の体重及びその測定日時データとを同時に表示する表示手段と
を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の体重測定装置。
【請求項6】
前記体重決定手段により前記第1の体重として決定された重量値の第1の測定日時データを、前記第1の体重と対応付けて保存すると共に、前記第1の重量値及び前記第2の重量値のうち前記第1の体重として決定された重量値でない方の重量値の第2の測定日時データを、前記第2の体重と対応付けて保存する保存手段と、
前記第1の体重の時間の経過に応じた第1の変化率と、前記第2の体重の時間の経過に応じた第2の変化率とを計算する変化率計算手段と、
前記第1の体重変化率を前記第1の測定日時データと対応付け、前記第2の体重変化率を前記第2の測定日時データと対応付けて、それぞれ同時に表示する表示手段と
を更に有することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の体重測定装置。
【請求項7】
体重測定手段による1回目の体重測定により第1の重量値を第1の記憶手段に記憶するステップと、
前記体重測定手段による2回目の体重測定により第2の重量値を第2の記憶手段に記憶するステップと、
前記第1の重量値と前記第2の重量値とを比較して小さい方の重量値を第1の体重とし、前記第1の重量値と前記第2の重量値との差分の絶対値を第2の体重とする体重決定ステップと
を含むことを特徴とする体重測定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−113826(P2013−113826A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263209(P2011−263209)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)