体重計測システム
【課題】複数の測定ユニットから荷重値の収集を正確に行い、体重を計測する。
【解決手段】被測定者の体重を計測する体重計測システム1であって、かけられる荷重を時系列に検出し、検出される荷重から導出される各荷重値と検出時間とを順次に送信する測定ユニット20と、測定ユニットと無線通信する算出ユニット40と、を備える。体重算出ユニット40は、各測定ユニット20から荷重値を順次に受信する荷重受信部と、荷重受信部が受信する時系列の荷重値について、各測定ユニットの間で同期をとる同期部と、同期がとられた時系列の荷重値を用いて体重を算出する算出部と、を含む。
【解決手段】被測定者の体重を計測する体重計測システム1であって、かけられる荷重を時系列に検出し、検出される荷重から導出される各荷重値と検出時間とを順次に送信する測定ユニット20と、測定ユニットと無線通信する算出ユニット40と、を備える。体重算出ユニット40は、各測定ユニット20から荷重値を順次に受信する荷重受信部と、荷重受信部が受信する時系列の荷重値について、各測定ユニットの間で同期をとる同期部と、同期がとられた時系列の荷重値を用いて体重を算出する算出部と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被測定者の体重を計測するシステムに関し、特に、荷重センサと体重算出ユニットが通信しながら体重を計測する体重計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の体重計測装置は、一般的に、箱状の筐体の内部に荷重センサ等の部品が固定して内蔵されている。
【0003】
内蔵される部品を着脱自在にすることにより、ユーザの好みに応じて部品を交換したいとの要望がある。この交換を可能にした構成の一例が、たとえば特許文献1に示される。特許文献1では、装置を水平に設置するために、水平儀として利用される着色液体が装置の筐体内部に注入・排出されることで、着色液体の交換が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−60950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の部品の交換は、主に、外観意匠を適宜に変更するためのものであるが、外観意匠に関する部品交換ではなく、装置内部のセンサ部品など実質的な測定にかかわる部品を適宜交換したいとの要望がある。たとえば、体重計は常時必要とされるものではないため、体重計のための特別な設置スペースをなくしたいとの要望がある。
【0006】
この要望に応えるためには、体重計測が必要なときのみ、ユーザが複数個の荷重センサなどの測定ユニットのうちから適宜個数を選択的に用いて体重計を構成すればよい。この場合、体重を計測するためには、用いられている測定ユニットからの荷重データの収集を正確に行う必要がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1には外観意匠の変更のための構成のみが示されており、上述の適宜に選択された個数の測定ユニットを用いて構成された体重計を用いて体重を計測するための技術は何ら示されていない。
【0008】
それゆえにこの発明の目的は、複数の測定ユニットから荷重値の収集を正確に行い、収集した荷重値に基づき体重を計測する体重計測システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被測定者の体重を計測する体重計測システムであって、かけられる荷重を時系列に検出し、検出される荷重から導出される各荷重値と検出時間とを順次に送信する測定ユニットと、測定ユニットと無線通信する体重算出ユニットと、を備え、体重算出ユニットは、2つ以上の測定ユニットから荷重値を順次に受信する荷重受信手段と、荷重受信手段が受信する時系列の荷重値について、2つ以上の測定ユニットの間で同期をとる同期手段と、2つ以上の測定ユニットの同期がとられた時系列の荷重値を用いて体重を算出する算出手段と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の測定ユニットから荷重値の収集を正確に行い、収集した荷重値に基づき体重を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態に係る体重計測システムの概略構成を説明する図である。
【図2】(A)と(B)は、この発明の実施の形態に係る測定ユニットの概略構成と、荷重のかかり方を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る測定ユニットと算出ユニットの構成を関連付けて示す図である。
【図4】この発明の実施の形態に係る測定ユニットの機能構成図である。
【図5】この発明の実施の形態に係る算出ユニットの機能構成図である。
【図6】この発明の実施の形態に係る算出ユニットの処理フローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態に係る測定ユニットの処理フローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態に係る積算用データ送信処理のフローチャートである。
【図9】実施の形態に係るデータパケットの基本構成図である。
【図10】実施の形態に係るデータパケットの構成図である。
【図11】実施の形態に係るデータパケットの構成図である。
【図12】実施の形態に係るデータパケットの構成図である。
【図13】実施の形態に係るデータパケットの構成図である。
【図14】(A)と(B)は、実施の形態に係る同期について説明する図である。
【図15】実施の形態に係る測定ユニット側での収束期間の荷重検出を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0013】
本実施の形態における体重測定システムは、人間の体重を測定する機能を有する。本実施の形態において、「体重」とは、測定対象である人(以下、被測定者と言う)の重さ(質量)を指す。
【0014】
図1には、本実施の形態に係る体重計測システム1の概略構成が示される。図1の(A)を参照して、体重計測システム1は、被測定者の体重計測時に平面板状の剛性の高い載置面300が搭載される測定ユニット20、算出ユニット40、およびディスプレイ511を有する外部機器50を備える。外部機器50はPDA(Portable Digital assistant)、携帯電話など通信機能と情報出力機能を備える機器を想定する。
【0015】
算出ユニット40と測定ユニット20とは無線通信する。無線通信の媒体としては、電波を想定する。ここでは、電波強度が比較的弱い無線通信を想定しており、したがって、電波が到達可能な通信エリアも制限されている。
【0016】
測定ユニット20は、かけられた荷重を検出し、検出した荷重を指す荷重値を、要求に応答して算出ユニット40に送信する。体重計測時には、測定ユニット20には、搭載される載置面300を介してかけられる荷重を検出して送信する。
【0017】
算出ユニット40は、体重計測時には、測定ユニット20に対して要求を送信し、当該要求に応答して受信した荷重値に基づき被測定者の体重を算出する。外部機器50は、算出ユニット40と無線または有線で通信する。外部機器50は、算出ユニット40から送信された体重値を受信し、受信した体重値をディスプレイ511を介して表示する。外部機器50の出力態様は表示に限定されず、音声または印字などによる出力であってもよい。
【0018】
なお、算出ユニット40と外部機器50とは別個に設けたが、算出ユニット40が外部機器50の出力機能を一体的に備えるようにしてもよい。
【0019】
本実施の形態に係る体重計測システム1を用いて、被測定者は体重計測を希望するときは、体重計を構成するために複数の(2つ以上の)測定ユニット20を使用する。体重計を構成するために図1では4個の測定ユニット20が選択されている。
【0020】
図2を参照して、測定ユニット20を使用した体重計の外観について説明する。ここでは、各測定ユニット20は一様な外観形状を有する。被測定者は、選択した4個の測定ユニット20を電源ONすることにより通信・荷重検出可能に設定する。そして、水平の床面の上に4個の測定ユニット20を適宜配置し、配置された測定ユニット20上に載置面300を搭載する。これにより体重計を構成することができる。
【0021】
図2の(A)に示すように測定ユニット20は、かけられる荷重を検出するための荷重センサであるロードセル21、測定ユニット20の各部に電力を供給するための電池などの電源部22、PCB(プリント回路基板)23を含む。PCB23は簡単なプロセッサを用いて構成される計測回路と、無線モジュールとを含む。計測回路は、ロードセル21により検出されて逐次出力される荷重信号を入力し、入力した荷重信号を処理し、荷重値を導出する。導出された荷重値は、無線モジュールを介して送信される。
【0022】
図2の(B)を参照して、測定ユニット20は、測定ユニット20を床面に設置させるための脚部20Aおよび脚部20Aが一体的に取り付けられた本体部20Bを含む。本体部20Bは、図2の(A)で示す各部を含む。
【0023】
測定ユニット20自体を床面と水平の状態で安定支持できるように、脚部20Aの床面と接触する面は、床面と密着性のよい材料からなる。
【0024】
本体部20Bの筐体の脚部20Aが取り付けられた面とは反対側の面は平面であって、当該面は載置面300の材料と密着性がよい材料からなる。
【0025】
図2の(B)の状態で、被測定者が載置面300上に乗れば、各測定ユニット20には体重による荷重が矢印方向にかかり、各測定ユニット20から導出された荷重値に基づき、被測定者の体重を計測することができる。
【0026】
このように、被測定者が載置面300を、床面に配置された測定ユニット20上に搭載するだけで、簡単に体重計を構成することができる。したがって、好みの、または使用環境に応じたサイズ・絵柄・材質の載置面300を用いて体重計を構成することができる。また、故障した測定ユニット20を簡単に交換できて利便性に優れる。
【0027】
図3を参照して、体重計測システム1のハードウェア構成について説明する。測定ユニット20は、ロードセル21、センサ群243、ロードセル21およびセンサ群243のアナログの出力信号をデジタルのデータに変換して出力するA/D(Analog/Digital)変換部230、A/D変換部230から出力されたデータを入力して処理する計測部231、計測部231から出力されるデータを算出ユニット40に宛てて送信するとともに、算出ユニット40からのデータを受信する通信部232を含む。A/D変換部230、計測部231および通信部232は、PCB23に相当する。
【0028】
ロードセル21は、かけられる荷重に応じて変形する金属部材からなる歪体と、歪体に張られた歪ゲージとからなる。歪体が歪むと、歪ゲージが伸縮して歪ゲージの伸縮に応じて抵抗値が変化し、その抵抗変化は荷重信号出力として導出される。したがって、被測定者が載置面300上に乗って、ロードセル21にかけられる被測定者の体重により歪体が歪むと、上述の荷重信号出力の変化として体重が測定される。
【0029】
なお、荷重を検出するための荷重センサとして、本実施の形態では、ロードセル21を利用しているが、加えられる力の量(荷重)が検出できるものであれば、たとえば、ばねやピエゾフィルムを利用したセンサ、圧縮を測定する素子、変位センサなどであってもよい。
【0030】
センサ群243は、当該測定ユニット20が設置されている態様を検出するセンサ、測定ユニット20の周囲の外部環境条件を検出するセンサなどを含む。設置の態様を検出するセンサとしては、測定ユニット20の方向を検出する加速度センサ、載置面300が搭載されているか否か、すなわち加重の有無を検出する重量センサなどを含む。外部の環境条件を検出するセンサとしては、周囲の温度を検出する温度センサ、周囲の気圧を検出するセンサなどを含む。
【0031】
計測部231は測定ユニット20の動作を制御するために簡単なマイクロプロセッサの構成を有する。具体的には、CPU(Central Processing Unit)240、メモリ242および時間を計時するタイマ241を含む。タイマ241はカウンタ値がCPU240によってリセット可能なカウンタであってもよい。
【0032】
算出ユニット40は、被測定者が操作するボタンやスイッチなどからなる操作部42、算出ユニット40の動作を制御するための制御部41、記憶部43および通信部45を含む。通信部45は、測定ユニット20および外部機器50と通信するための機能を有する。
【0033】
記憶部43およびメモリ242は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性記憶媒体などの各種媒体からなり、プログラムおよびデータなどを記憶する。
【0034】
制御部41は、CPU410、時間を計時するタイマ411およびメモリ412を含む。
【0035】
図4には、測定ユニット20の機能構成が示される。図4を参照して測定ユニット20のCPU240は、第1および第2収束検出部30および33、ゼロ点取得部31、出力確認部32、荷重取得部34および通信処理部35を備える。これらの機能は、プログラムおよび/または回路により実現される。プログラムは、予めメモリ242の所定記憶領域に格納されており、CPU240が当該プログラムの命令を読出し、読出した命令を実行することにより各部の機能が実現される。
【0036】
第1および第2収束検出部30および33は、ロードセル21により検出される荷重の変動が所定レンジ内で収束するか否かを検出する。以下、ロードセル21が検出する荷重の変動が所定レンジ内で収束することを、単に、収束とも言う。第1収束検出部30は、電源ON後に当該測定ユニット20に搭載された載置面300にかけられ得る荷重がない、すなわち無負荷状態においてロードセル21により検出される荷重の収束(以下、第1収束という)を検出する。第2収束検出部33は、載置面300上に被測定者が乗った後に検出される荷重の収束(以下、第2収束という)を検出する。
【0037】
ゼロ点取得部31は、第1収束検出部30により第1収束が検出されたときにロードセル21が検出する荷重をゼロ点として確定する。確定したゼロ点の荷重はゼロ点データ26としてメモリ242に格納される。なお、測定ユニット20の工場出荷時には、メモリ242のゼロ点データ26には初期値が設定されていると想定する。
【0038】
ここで、ゼロ点とは、無負荷状態におけるロードセル21の出力値を指す。ロードセル21の歪ゲージの伸縮率は、時間経過に従ってまたは周囲温度によって変化することが知られている。したがって、測定時には、ロードセル21に被測定者の体重など荷重が全くかかっていない、いわゆる載置面300だけの荷重による無負荷時におけるロードセル21の出力値をゼロ点とする、いわゆるゼロ点検出が必要とされる。これは、被測定者の体重は、被測定者の体重(荷重)がロードセル21にかかったときのロードセル21の出力値と、無負荷時のロードセル21の出力値との差に基づいて算出されることによって測定されることによるものである。
【0039】
出力確認部32は、センサ群243の出力を入力して処理する。
荷重取得部34は、ロードセル21によって逐次検出される荷重を、荷重値として時系列に取得して、時系列荷重データ252としてメモリ242に格納する。ここで、荷重値としては、検出される荷重に、ゼロ点取得部31によって検出されたゼロ点データ26を差し引いた値を指す。時系列とは、ロードセル21から出力される荷重を、タイマ241の出力する計時データと関連付けて取得することを指す。したがって、ロードセル21から順次に取得する荷重に基づく荷重値に、タイマ241から出力される時間データを付加することにより、これらの荷重値は、時系列に取得される。
【0040】
荷重取得部34は、収束荷重取得部341を含む。収束荷重取得部341は、第2収束が検出される期間においてロードセル21によって検出される荷重を、荷重値として取得する。収束荷重取得部341により取得された荷重値は、メモリ242に収束荷重データ251として格納される。
【0041】
通信処理部35は、算出ユニット40宛の送信用のデータを生成するためのデータ生成部36、荷重値を送信するための荷重送信部37、および算出ユニット40からの指令を受信する指令受信部38を含む。
【0042】
メモリ242には、収束荷重取得部341が取得した収束荷重データ251、荷重取得部34が取得した時系列荷重データ252、ゼロ点データ26、当該測定ユニット20の識別情報であるID(Identification)データ27、およびデータの宛先を指す宛先データ28が格納される。宛先データ28は、本実施の形態の場合、算出ユニット40を識別するためのデータ(後述の算出ユニットIDデータ53に相当)を指す。
【0043】
図5を参照して、算出ユニット40の機能構成について説明する。算出ユニット40のCPU410は、被測定者の体重計測に使用される複数の測定ユニット20を検出する測定ユニット検出部60、受信した時系列の荷重値について同期をとるための同期検出部61、受信した荷重値に基づき体重を算出するための算出部62、測定ユニット20の送信再開後に受信した荷重値を用いてた体重を算出する送信再開後算出部64、測定ユニット20と通信するための通信処理部65、外部機器50と通信するための外部通信部69、および操作部42からの入力情報を受付ける入力受付部70を含む。同期検出部61による検出の詳細は後述する。
【0044】
算出部62は、受信した時系列の荷重値について第2収束を検出する収束検出部63を有する。
【0045】
通信処理部65は、測定ユニット20から送信される荷重値を受信する荷重受信部66、測定ユニット20宛てに送信の中断指令を送信する中断指令送信部67および所定データの通信にかかる所定通信部68を有する。
【0046】
メモリ412には、測定ユニット20から受信した荷重データを指す受信荷重データ51、測定ユニット検出部60により検出された測定ユニット20の識別情報を指示する測定ユニットIDデータ52、算出ユニット40の識別情報である算出ユニットIDデータ53、算出部62によって算出された体重を指す体重データ54、履歴データ55、モードデータ56および条件データ57が格納される。測定ユニットIDデータ52は、存在ユニットIDデータ521を含む。存在ユニットIDデータ521は、算出ユニット40の無線通信可能エリアに存在する測定ユニット20(ただし、電源ONされて算出ユニット40と通信可能な測定ユニット20)のIDデータ27を指す。
【0047】
履歴データ55は、過去の体重計測において使用された測定ユニット20の識別情報が蓄積されてなる履歴を指す。履歴データ55は、体重計測終了毎に、測定ユニットIDデータ52が体重計測時間と関連付けて格納されることにより生成される。
【0048】
モードデータ56は、体重計測に使用される測定ユニット20を検出するためのモードを指す。条件データ57は、体重計測に使用される測定ユニット20を、センサ群243が検出した設置態様または外部環境条件に基づき検出するための基準となるデータを指す。算出ユニットIDデータ53は工場出荷時などに格納される。また、モードデータ56および条件データ57は、操作部413を操作することにより、予め被測定者により入力されてメモリ412に格納される。
【0049】
ここで、体重計測に使用される測定ユニット20を検出するためのモードを説明する。
算出ユニット40は、複数種類のモードに従って測定ユニット20を検出する。検出のためのモードは、メモリ412に格納されるモードデータ56により指定される。
【0050】
モードには、たとえば“前回使用”モード、および“環境・設置”モードが含まれる。“前回使用”モードは、履歴データ55に基づき前回の体重計測において使用された測定ユニット20を検出するためのモードである。“環境・設置”モードは、同様な外部環境条件または設置態様におかれた測定ユニット20を検出するためのモードである。これらのモードは複数個を組合わせて設定してもよい。たとえば、“前回使用”モードと“環境・設置”モードを組合せることにより、前回の体重計測において使用された測定ユニット20のうち、同じような環境条件または態様で設置されている測定ユニット20を検出するモードを設定できる。
【0051】
図6〜図8は、本実施の形態に係る体重計測の処理手順を示すフローチャートである。これらフローチャートは、プログラムとして測定ユニット20のメモリ242または算出ユニット40のメモリ412に予め格納されている。CPU240または410が、メモリ242または412からこれらのプログラムを読出し、読出したプログラムの命令を実行することにより、処理フローチャートが実現される。
【0052】
図9〜図13には、これらフローチャートにおける測定ユニット20と算出ユニット40の間の無線通信に用いられるデータパケットPAの構成例が示される。なお、本実施の形態における無線通信のデータフォーマットはデータパケットに限定されず、たとえばフレームであってもよい。
【0053】
図9には、本実施の形態に係るデータパケットPAの基本構成が示される。図11を参照して、データパケットPAは、当該データパケットPAのタイプ(種類)を指すタイプデータを格納するフィールドF1、当該データパケットPAの送信先を識別するための送信先データを格納するフィールドF2、当該データパケットPAの送信元を識別するためのデータを格納するフィールドF3および送信すべきデータを格納するためのフィールドF4を含む。
【0054】
無線通信では、フィールドF1のタイプデータによって、種類の異なるデータパケットPA1〜PA4(図10〜図13)が用いられる。
【0055】
図10には、データパケットPA1の構成が示される。データパケットPA1は、算出ユニット40の周囲エリアに存在する測定ユニット20に対して所定データの要求RQDを送信する問合せデータパケットである。データパケットPA1は、フィールドF1にはタイプ“Q”(問合せ)が格納され、フィールドF2には送信先データとしてブロードキャストアドレス“BD”が格納され、フィールドF3には当該データパケットPA1の送信元である算出ユニット40の算出ユニットIDデータ(“ID40”)53がメモリ412から読出されて格納される。データパケットPA1のフィールドF4には、所定データの要求RQDが格納される。
【0056】
所定データの要求RQDは、宛先の測定ユニット20に対して、センサ群243により検出されるデータ(測定ユニット20周囲の温度、湿度、大気圧などの環境条件、測定ユニット20の設置態様(方向など)を指す)の送信要求を指す。
【0057】
図11には、データパケットPA2の構成が示される。データパケットPA2は、データパケットPA1の問合せに対する応答(返信)のデータパケットである。つまり、データパケットPA1を受信した測定ユニット20から当該問合せに対する返信として送信されるデータパケットを指す。データパケットPA2は、フィールドF1にはタイプ“QA”(問合わせ応答)が格納され、フィールドF2には送信先データとして算出ユニット40の算出ユニットIDデータ53(“ID40”)が格納され、フィールドF3には送信元データとして送信元の測定ユニット20のメモリ242から読出されたIDデータ27(“ID20”)が格納される。フィールドF4にはデータRESが格納される。データRESは、センサ群243により検出されるデータ(測定ユニット20周囲の温度、湿度、大気圧などの環境条件、測定ユニット20の設置態様(方向など)を指す)である。
【0058】
図12には、データパケットPA3の構成が示される。データパケットPA3は、測定ユニット20に対して荷重値を送信するように要求する荷重要求のデータパケットである。データパケットPA2は、フィールドF1にはタイプ“R”(荷重要求)が格納され、フィールドF2には、送信先データとして測定ユニット20のIDデータ27(“ID20”)が格納され、フィールドF3には送信元データとしてメモリ412から読出された算出ユニットIDデータ53(“ID40”)が格納される。フィールドF4のデータは不定(“NULL”)である。
【0059】
図13には、データパケットPA4の構成が示される。データパケットPA4は、荷重要求のデータパケットPA3に対する応答(返信)のデータパケットである。データパケットPA4は、フィールドF1にタイプ“RA”(要求応答)が格納され、フィールドF2に送信先データとしてメモリ412から読出された算出ユニットIDデータ53(“ID40”)が格納され、フィールドF3に当該データパケットPA4の送信元データとして測定ユニット20のIDデータ27(“ID20”)が格納され、フィールドF4にデータWDが格納される。データWDは、取得された荷重値にタイマ241の出力する時間データを付加してデータである。これにより、データWDを、荷重値と、当該測定ユニット20により荷重が検出された時間とを対応付けて含む。
【0060】
ロードセル21により荷重が検出される毎に、タイマ241が計時する検出時間と、当該荷重から導出された荷重値とを含むデータWDをフィールドF4に格納したデータパケットPA4が算出ユニット40宛てに送信される。
【0061】
ここで、同期検出部61による同期の検出処理について、図14を参照して説明する。
まずトリガについて説明する。たとえば、2個の測定ユニット20それぞれから、荷重が検出される毎に、荷重値と検出時間とからなるデータWDを格納するデータパケットPA4が、測定ユニット20から算出ユニット40に順次に送信されるとする。
【0062】
この場合、算出ユニット40は、2個の測定ユニット20のそれぞれから送信されるデータパケットPA4を受信し、受信したデータパケットPA4のデータWDを読出し、読出したデータWDの検出時間に基づき時系列の荷重値を取得する。算出ユニット40は、検出時間に基づけば、データ落ち(時系列の荷重値における荷重値の欠落)を検出できる。また、データWDの到着順が前後したとしても、検出時間に基づけば正しい検出の順番を検知することができる。
【0063】
図14のグラフの横軸は、データWDから読出した検出時間(T)の経過を指し、縦軸は当該データWDから読出した荷重値を指す。図14の(A)を参照して、測定ユニット20を電源ONした後において載置面300に未だ被測定者が乗っていない状態ではロードセル21に体重による荷重はかからないので測定ユニット20が検出する荷重値は変化しない。その後、被測定者が載置面300に乗り始めると荷重値は急激に上昇を開始する。図14の(A)では、各測定ユニット20において検出時間が“1秒”付近でグラフの急峻な立上がりが示される。本実施の形態では、被測定者が載置面300に乗り始めたときに検出される荷重値の急激な増加開始(グラフの急峻な立ち上がり)点をトリガと称する。
【0064】
次に、図14の(B)を参照して、トリガ検出後の体重算出の手順について説明する。ここには、トリガを検出した2個の測定ユニット20それぞれについて、当該測定ユニット20から順次に受信するデータWDに基づく荷重値と検出時間の対応関係を指すグラフL1とL2が示される。
【0065】
正確に体重を算出するためには、2個の測定ユニット20からの受信データWDについて同期をとる必要がある。つまり、各測定ユニット20は、算出ユニット40からデータパケットPA3による荷重要求を受信すると、応じて起動される。つまり、タイマ241が計時を開始する。タイマ241がカウンタであればカウントアップを開始する。起動により、タイマ241から計時データが出力開始される。出力される計時データは、検出時間として荷重値に付加されてデータWDが算出ユニット40に送信される。
【0066】
ここで、各測定ユニット20は、算出ユニット40から送信された荷重要求のデータパケットPA3の受信タイミングは同時とはならず、無線通信路の状況などで若干ずれが生じる。測定ユニット20毎に荷重要求を受信するタイミングが異なると、起動されるタイミングは測定ユニット20毎に相違する。これにより、各測定ユニット20が荷重を同時に検出開始したとしても、荷重値に付される検出時間は、測定ユニット20毎に異なる。
【0067】
したがって、算出ユニット40では、各測定ユニット20から受信する荷重値のグラフL1とL2について検出されるトリガの時間TR1とTR2は一致せず若干のずれを生じる(図14の(A)参照)ので、体重を算出するに際しては、このずれを解消するようにグラフL1とL2の時間軸を一致させる必要がある。
【0068】
具体的には、収束検出部63は、図14の(A)の時間TR1とTR2を共通の時間TRに一致させるように、図14の(B)に示すようにグラフL1またはL2を時間軸方向に平行移動させる。ここでは、時間TR1に時間TR2を一致させるように、グラフL2のみを時間軸方向に平行移動させている。これを、同期をとるという。
【0069】
平行移動後の図14の(B)のグラフによれば、収束検出部63は載置面300上の被測定者の動きが停止し安定している期間、すなわちグラフL1とL2について両方ともに第2収束の状態に移行した期間CVを検出することができる。
【0070】
図14の(B)に示す期間CVが検出されると、算出部62は、期間CVにおけるグラフL1とL2が示す荷重値を積算することにより体重を算出することができる。算出された体重は、被測定者の体動に起因した誤差が排除された値である。
【0071】
図14で説明した算出ユニット40側のトリガの検出と、期間CVの検出の処理は、各測定ユニット20においても実行される。測定ユニット20側の処理手順を、図15を参照して説明する。
【0072】
図15のグラフの横軸は、ロードセル21の荷重の検出時間を指し、縦軸は当該荷重から導出される荷重値を指す。図15のグラフでは、時間TR1でトリガが検出されている。第1収束検出部30は、電源ONされてから時間TR1までの期間で第1収束を検出し、第1収束の期間においてゼロ点取得部31によりゼロ点が検出される。時間TR1でトリガを検出後は、第2収束検出部33により第2収束の期間CVが検出される。収束荷重取得部341は、期間CVにおいて検出される荷重値(より特定的には、期間CVの荷重値の平均値)を取得する。
【0073】
これにより、各測定ユニット20の収束荷重取得部341は、載置面300上に乗っている被測定者の体動に起因した誤差が排除された荷重値を取得する。取得された荷重値は算出ユニット40に送信されるので、算出ユニット40の算出部62は当該誤差を含まないような体重値を算出することができる。
【0074】
図6〜図8のフローチャートを参照して、本実施の形態に係る体重計測のための処理手順について説明する。
【0075】
なお、体重計測のために被測定者が使用している測定ユニット20は予め電源ONされており、通信・荷重検出が可能な状態にあると想定する。
【0076】
操作部42を介して測定開始指示が入力されると、計測処理が開始される。まず、CPU410の通信処理部65では、所定通信部68によって図9に示す問合せデータパケットPA1が生成されて、生成されたデータパケットPA1は送信される(ステップS1)。データパケットPA1のフィールドF2には、ブロードキャストアドレスが格納されているので、当該データパケットPA1は、算出ユニット40の無線通信可能エリアに存在する全ての測定ユニット20により受信可能である。
【0077】
データパケットPA1を送信した後、所定通信部68は、データパケットPA1に応答した各測定ユニット20から送信されるデータパケットPA2を受信する(ステップS2)。
【0078】
CPU410は、受信したデータパケットPA2のフィールドF3に格納されたIDデータ27をメモリ412に存在ユニットIDデータ521として格納する。これにより、算出ユニット40の無線通信可能エリアに存在する全ての測定ユニット20(ただし、電源ONされて通信および荷重検出が可能な測定ユニット20)のIDデータ27を取得することができる。
【0079】
続いて、測定ユニット検出部60は、受信したデータパケットPA2のデータを用いて体重計測に利用されている測定ユニット20を検出する(ステップS3)。
【0080】
具体的には、まず、現在のモードを判定する。つまり、メモリ412に予め格納されたモードデータ56に基づきモードを判定する。
【0081】
モードデータ56が“前回使用”モードを指すときは、測定ユニット検出部60は、受信したデータパケットPA2のフィールドF3の送信元データ(IDデータ27)と、メモリ412の履歴データ55とを比較照合し、当該IDデータ27は、前回の体重計測に使用された測定ユニット20のIDデータ27と一致するか否かを判定する。一致と判定すると、当該データパケットPA2の送信元の測定ユニット20を体重計測用の測定ユニット20として判定し、不一致と判定すると、体重計測用の測定ユニット20ではないと判定する。
【0082】
これにより、被測定者は体重計測に同じ測定ユニット20を繰返し利用する傾向が高いと容易に推認できることに鑑みると、今回の体重計測に使用されている測定ユニット20として、“前回使用”モードで検出した測定ユニット20を検出することができる。
【0083】
モードデータ56が“環境・設置”モードを指すときは、測定ユニット検出部60は、受信したデータパケットPA2のフィールドF4のデータRESが指す環境・設置のデータと、メモリ412の条件データ57を比較照合する。その結果、データRESが指す環境・設置のデータが条件データ57に一致すれば当該データパケットPA2の送信元の測定ユニット20を体重計測用の測定ユニット20として判定し、不一致と判定すると、体重計測用の測定ユニット20ではないと判定する。
【0084】
これにより、体重計測に用いられている測定ユニット20は同じ環境(温度、湿度など)または同じ設置態様(方向など)で用いられていることは明らかであるから、条件データ57を用いて外部環境または設置態様が一致している測定ユニット20を体重計測に使用されている測定ユニット20として検出することができる。
【0085】
このようにして検出された測定ユニット20のIDデータ27は、測定ユニットIDデータ52としてメモリ412に格納される。ここでは、複数個の測定ユニット20が検出されて、対応のIDデータ27が格納される。
【0086】
続いて、ステップS5では、所定通信部68は、測定ユニットIDデータ52の各IDデータ27をフィールドF2に格納したデータパケットPA3をそれぞれ生成し、送信する。これにより、体重計測に用いられているとして検出された測定ユニット20のそれぞれに宛てて、荷重値の要求が送信される。
【0087】
次に、荷重受信部66は、データパケットPA3を送信した各測定ユニット20から荷重データWDを受信する(ステップS7)。データパケットPA2を送信してから所定期間が経過するうちは、各測定ユニット20から時系列の荷重値として連続して荷重データWD(データパケットPA4)を受信する(ステップS9でNO、ステップS7)。この期間に受信したデータWDはメモリ512に受信荷重データ51として、データWDの検出時間に従った順番で荷重値が格納される。
【0088】
所定期間が経過すると(ステップS9でYES)、同期検出部61は、メモリ512の各測定ユニット20の受信荷重データ51に基づき同期を検出する(ステップS11)。具体的には、測定ユニット20毎の受信荷重データ51は、当該測定ユニット20での荷重検出時間に従う時系列の荷重値を指すので、図14に説明したように、各測定ユニット20の受信荷重データ51に基づき、同期検出部61は同期を検出する。同期が検出されたと判定されると(ステップS13でOK)、算出部62によって体重が算出される(ステップS15)。具体的には、各測定ユニット20の受信荷重データ51に基づき、収束検出部63により検出された安定状態の期間CVにおける荷重値を積算することにより、被測定者の体重が算出される。
【0089】
その後、算出された体重は外部通信部69により外部機器50に送信される。外部機器50では、受信した体重をディスプレイ511に表示する。算出された体重は、メモリ412に体重データ54として格納される。また、測定ユニットIDデータ52は、メモリ412の履歴データ55に、タイマ411が出力する計測時間と関連付けて追加格納される。
【0090】
一方、ステップS13で同期が検出されなかった場合(S13でNG)、各測定ユニット20に対して時系列の荷重のデータWDの送信を中断させるために、中断指令送信部67は、中断指令を各測定ユニット20に送信する(ステップS21)。つまり、測定ユニットIDデータ52のIDデータ27が指示する各測定ユニット20宛に中断指令を送信する。その後、各測定ユニット20からは荷重値の再送が行なわれる。つまり、図15の期間CVで検出された荷重値が送信されるので、算出ユニット40の荷重受信部66はこれを受信する(ステップS23)。
【0091】
その後、ステップS25において、送信再開後算出部64によって、ステップS23で受信した各測定ユニット20の荷重値を積算することにより、体重を算出する(ステップS25)。その後、処理はステップS17に移り、ステップS17において、ステップS25で算出された体重の表示と格納の処理が前述と同様に行なわれる。
【0092】
なお、算出ユニット40は、ステップS15またはS25で体重を算出した後は、通信相手の各測定ユニット20に対して通信を終了するために、通信完了の通知を送信する。
【0093】
図6の算出ユニット40の処理に並行して、各測定ユニット20では図7に従う処理が行われる。
【0094】
測定ユニット20のそれぞれは、電源ONされると、算出ユニット40から送信されるデータパケットPAの受信を待機する(ステップT1)。
【0095】
通信処理部35がデータパケットPA1を受信すると(ステップT1でYES)、受信したデータパケットPA1の内容を解析して(ステップT2)、解析結果に基づき、データ生成部36はデータパケットPA2を生成し、算出ユニット40宛てに送信する(ステップT3)。このデータパケットPA2のフィールドF4には、センサ群243から取得したデータ(外部環境条件のデータ(温度、湿度など)および設置態様のデータ(方向など))を指すデータRESが格納される。
【0096】
その後、通信処理部35は、データパケットPA3の受信を待機する。データパケットPA2を送信後、データパケットPA3を受信できないときは(ステップT4でNO)、一連の処理を終了する。荷重値の送信要求のデータパケットPA3を受信すると(ステップT4でYES)、測定ユニット20は起動されて(CPU240がタイマ241に計時を開始させる)、処理はステップT5に移行する。
【0097】
起動後は、ロードセル21が順次に検出する荷重から荷重取得部34が荷重値を導出する(ステップT9)。荷重値には、タイマ241の計時時間による荷重検出時間が対応付けされて時系列荷重データ252としてメモリ242に格納される。
【0098】
その後、第1収束検出部30は、荷重取得部34が時系列に検出する荷重値を指す時系列荷重データ252に基づき、第1収束を検出する(ステップT5)。収束が検出されると、ゼロ点取得部31によりゼロ点が検出される(ステップT7)。検出されたゼロ点は、ゼロ点データ26としてメモリ242に格納される。
【0099】
続いて、荷重取得部34によってロードセル21からの出力に基づく荷重と、メモリ242のゼロ点データ26を用いて荷重値が算出される(ステップT9)。
【0100】
データ生成部36は、ステップT9で算出された荷重値とタイマ241からの計時データとを関連付けたデータWDをフィールドF4に格納したデータパケットPA4を生成する。生成されたデータパケットPA4は、通信部232を介して、荷重送信部37により算出ユニット40に宛てて送信される(ステップT11)。
【0101】
その後、通信処理部35の指令受信部38は、算出ユニット40から中断指令を受信するか否かを判定する(ステップT13)。中断指令を受信しないと判定すると(ステップT13でNO)、ステップT15において、通信処理部35は、算出ユニット40から通信完了の通知を受信するか否かにより、通信が終了したか否かを判定する(ステップT15)。通信が終了していないと判定すると(ステップT15でNO)、ステップT9の処理に戻る。ステップT9では、荷重値の算出と、算出した荷重値に計時データを関連付けしたデータWDを格納したデータパケットPA4を生成し、算出ユニット40への送信する(ステップT11)。これにより、荷重が検出される毎に、算出ユニット40に対して荷重値に、荷重が検出された時間が関連付けされたデータWDが送信されることになり、各測定ユニット20から算出ユニット40宛てに、いわゆる時系列に荷重値が送信される。
【0102】
取得される時系列の荷重値は、算出ユニット40宛てに送信されるとともに、メモリ242に、時系列荷重データ252として格納される。
【0103】
通信が終了したと判定されると(ステップT15でYES)、一連の処理は終了する。
一方、中断指令を受信したと判定されると(ステップT13でYES)、積算用データ送信処理(ステップT17)が実行されて、その後、処理は終了する。
【0104】
図8を参照して、積算用データ送信処理(ステップT17)について説明する。
まず、送信中断部371は、データパケットPA4の生成および荷重送信部37によるデータパケットPA4の送信を中断させる(ステップT31)。これにより、測定ユニット20から、算出ユニット40宛に向けた時系列の荷重値の送信が中断する。
【0105】
続いて、第2収束検出部33は、メモリ242の時系列荷重データ252に基づき第2収束を検出するか否かを判定する(ステップT33)。この第2収束の検出は、図15で説明した期間CVの検出に相当する。
【0106】
第2収束が検出されると(ステップT33でYES)、収束荷重取得部341により、期間CVの荷重値が算出されて、収束荷重データ251としてメモリ242に格納される(ステップT35)。そして、データ生成部36は、メモリ242の収束荷重データ251を格納した算出ユニット40宛てのデータパケットPAを生成する。生成されたデータパケットPAは、送信再開部372によって、算出ユニット40宛てに送信される(ステップT37)。
【0107】
これにより、算出ユニット40は、複数の測定ユニット20から受信する時系列の荷重値のいずれかにおいてトリガを検出することができないために、同期をとれず体重を算出できないときは、各測定ユニット20から第2収束の期間CVの荷重値を受信して、受信した荷重値に基づき体重を算出することができる。したがって、いずれの場合においても、被測定者の体動に起因した誤差を排除した体重を算出することができる。
【0108】
(変形例)
上述の処理では、算出ユニット40の通信可能エリア内の存在が検出された測定ユニット20を対象にして荷重値の送信要求のデータパケットPA3を送信するようにしているが、これに代替して、フィールドF2にブロードキャストアドレスを格納したデータパケットPA3を送信するようにしてもよい。
【0109】
また、算出ユニット40は、体重算出に用いた荷重値の送信元である測定ユニット20のIDデータ27を外部機器50に送信し、出力させるようにしてもよい。これにより、被測定者は、載置面300が搭載されている測定ユニット20のうちから、荷重値を送信できないような故障状態の測定ユニット20を確認することができる。
【0110】
上述の実施の形態では、図1に示すように算出ユニット40と通信する体重計は1個としているが、複数個の体重計と通信するとしてもよい。この場合には、測定ユニット20のIDデータ27に、グループ識別子を付加させる。このグループ識別子は、当該測定ユニット20が用いられている体重計を構成する測定ユニット20のグループを指す。これにより、算出ユニット40は、測定ユニット20を、グループ識別子が付加されたIDデータ27に基づきグループ単位で、すなわち体重計単位で識別しながら、荷重値を取得して体重を算出できる。これにより、算出ユニット40は体重計毎に被測定者の体重を算出することができる。
【0111】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0112】
1 体重計測システム、20 測定ユニット、21 ロードセル、30 第1収束検出部、33 第2収束検出部、34 荷重取得部、35,65 通信処理部、36 データ生成部、37 荷重送信部、38 指令受信部、40 算出ユニット、50 外部機器、51 受信荷重データ、54 体重データ、55 履歴データ、56 モードデータ、57 条件データ、60 測定ユニット検出部、61 同期検出部、62 算出部、63 収束検出部、64 送信再開後算出部、66 荷重受信部、67 中断指令送信部、68 所定通信部、69 外部通信部、241,411 タイマ、243 センサ群、251 収束荷重データ、252 時系列荷重データ、341 収束荷重取得部、371 送信中断部、372 送信再開部、511 ディスプレイ。
【技術分野】
【0001】
本発明は被測定者の体重を計測するシステムに関し、特に、荷重センサと体重算出ユニットが通信しながら体重を計測する体重計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の体重計測装置は、一般的に、箱状の筐体の内部に荷重センサ等の部品が固定して内蔵されている。
【0003】
内蔵される部品を着脱自在にすることにより、ユーザの好みに応じて部品を交換したいとの要望がある。この交換を可能にした構成の一例が、たとえば特許文献1に示される。特許文献1では、装置を水平に設置するために、水平儀として利用される着色液体が装置の筐体内部に注入・排出されることで、着色液体の交換が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−60950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の部品の交換は、主に、外観意匠を適宜に変更するためのものであるが、外観意匠に関する部品交換ではなく、装置内部のセンサ部品など実質的な測定にかかわる部品を適宜交換したいとの要望がある。たとえば、体重計は常時必要とされるものではないため、体重計のための特別な設置スペースをなくしたいとの要望がある。
【0006】
この要望に応えるためには、体重計測が必要なときのみ、ユーザが複数個の荷重センサなどの測定ユニットのうちから適宜個数を選択的に用いて体重計を構成すればよい。この場合、体重を計測するためには、用いられている測定ユニットからの荷重データの収集を正確に行う必要がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1には外観意匠の変更のための構成のみが示されており、上述の適宜に選択された個数の測定ユニットを用いて構成された体重計を用いて体重を計測するための技術は何ら示されていない。
【0008】
それゆえにこの発明の目的は、複数の測定ユニットから荷重値の収集を正確に行い、収集した荷重値に基づき体重を計測する体重計測システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被測定者の体重を計測する体重計測システムであって、かけられる荷重を時系列に検出し、検出される荷重から導出される各荷重値と検出時間とを順次に送信する測定ユニットと、測定ユニットと無線通信する体重算出ユニットと、を備え、体重算出ユニットは、2つ以上の測定ユニットから荷重値を順次に受信する荷重受信手段と、荷重受信手段が受信する時系列の荷重値について、2つ以上の測定ユニットの間で同期をとる同期手段と、2つ以上の測定ユニットの同期がとられた時系列の荷重値を用いて体重を算出する算出手段と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の測定ユニットから荷重値の収集を正確に行い、収集した荷重値に基づき体重を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態に係る体重計測システムの概略構成を説明する図である。
【図2】(A)と(B)は、この発明の実施の形態に係る測定ユニットの概略構成と、荷重のかかり方を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る測定ユニットと算出ユニットの構成を関連付けて示す図である。
【図4】この発明の実施の形態に係る測定ユニットの機能構成図である。
【図5】この発明の実施の形態に係る算出ユニットの機能構成図である。
【図6】この発明の実施の形態に係る算出ユニットの処理フローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態に係る測定ユニットの処理フローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態に係る積算用データ送信処理のフローチャートである。
【図9】実施の形態に係るデータパケットの基本構成図である。
【図10】実施の形態に係るデータパケットの構成図である。
【図11】実施の形態に係るデータパケットの構成図である。
【図12】実施の形態に係るデータパケットの構成図である。
【図13】実施の形態に係るデータパケットの構成図である。
【図14】(A)と(B)は、実施の形態に係る同期について説明する図である。
【図15】実施の形態に係る測定ユニット側での収束期間の荷重検出を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0013】
本実施の形態における体重測定システムは、人間の体重を測定する機能を有する。本実施の形態において、「体重」とは、測定対象である人(以下、被測定者と言う)の重さ(質量)を指す。
【0014】
図1には、本実施の形態に係る体重計測システム1の概略構成が示される。図1の(A)を参照して、体重計測システム1は、被測定者の体重計測時に平面板状の剛性の高い載置面300が搭載される測定ユニット20、算出ユニット40、およびディスプレイ511を有する外部機器50を備える。外部機器50はPDA(Portable Digital assistant)、携帯電話など通信機能と情報出力機能を備える機器を想定する。
【0015】
算出ユニット40と測定ユニット20とは無線通信する。無線通信の媒体としては、電波を想定する。ここでは、電波強度が比較的弱い無線通信を想定しており、したがって、電波が到達可能な通信エリアも制限されている。
【0016】
測定ユニット20は、かけられた荷重を検出し、検出した荷重を指す荷重値を、要求に応答して算出ユニット40に送信する。体重計測時には、測定ユニット20には、搭載される載置面300を介してかけられる荷重を検出して送信する。
【0017】
算出ユニット40は、体重計測時には、測定ユニット20に対して要求を送信し、当該要求に応答して受信した荷重値に基づき被測定者の体重を算出する。外部機器50は、算出ユニット40と無線または有線で通信する。外部機器50は、算出ユニット40から送信された体重値を受信し、受信した体重値をディスプレイ511を介して表示する。外部機器50の出力態様は表示に限定されず、音声または印字などによる出力であってもよい。
【0018】
なお、算出ユニット40と外部機器50とは別個に設けたが、算出ユニット40が外部機器50の出力機能を一体的に備えるようにしてもよい。
【0019】
本実施の形態に係る体重計測システム1を用いて、被測定者は体重計測を希望するときは、体重計を構成するために複数の(2つ以上の)測定ユニット20を使用する。体重計を構成するために図1では4個の測定ユニット20が選択されている。
【0020】
図2を参照して、測定ユニット20を使用した体重計の外観について説明する。ここでは、各測定ユニット20は一様な外観形状を有する。被測定者は、選択した4個の測定ユニット20を電源ONすることにより通信・荷重検出可能に設定する。そして、水平の床面の上に4個の測定ユニット20を適宜配置し、配置された測定ユニット20上に載置面300を搭載する。これにより体重計を構成することができる。
【0021】
図2の(A)に示すように測定ユニット20は、かけられる荷重を検出するための荷重センサであるロードセル21、測定ユニット20の各部に電力を供給するための電池などの電源部22、PCB(プリント回路基板)23を含む。PCB23は簡単なプロセッサを用いて構成される計測回路と、無線モジュールとを含む。計測回路は、ロードセル21により検出されて逐次出力される荷重信号を入力し、入力した荷重信号を処理し、荷重値を導出する。導出された荷重値は、無線モジュールを介して送信される。
【0022】
図2の(B)を参照して、測定ユニット20は、測定ユニット20を床面に設置させるための脚部20Aおよび脚部20Aが一体的に取り付けられた本体部20Bを含む。本体部20Bは、図2の(A)で示す各部を含む。
【0023】
測定ユニット20自体を床面と水平の状態で安定支持できるように、脚部20Aの床面と接触する面は、床面と密着性のよい材料からなる。
【0024】
本体部20Bの筐体の脚部20Aが取り付けられた面とは反対側の面は平面であって、当該面は載置面300の材料と密着性がよい材料からなる。
【0025】
図2の(B)の状態で、被測定者が載置面300上に乗れば、各測定ユニット20には体重による荷重が矢印方向にかかり、各測定ユニット20から導出された荷重値に基づき、被測定者の体重を計測することができる。
【0026】
このように、被測定者が載置面300を、床面に配置された測定ユニット20上に搭載するだけで、簡単に体重計を構成することができる。したがって、好みの、または使用環境に応じたサイズ・絵柄・材質の載置面300を用いて体重計を構成することができる。また、故障した測定ユニット20を簡単に交換できて利便性に優れる。
【0027】
図3を参照して、体重計測システム1のハードウェア構成について説明する。測定ユニット20は、ロードセル21、センサ群243、ロードセル21およびセンサ群243のアナログの出力信号をデジタルのデータに変換して出力するA/D(Analog/Digital)変換部230、A/D変換部230から出力されたデータを入力して処理する計測部231、計測部231から出力されるデータを算出ユニット40に宛てて送信するとともに、算出ユニット40からのデータを受信する通信部232を含む。A/D変換部230、計測部231および通信部232は、PCB23に相当する。
【0028】
ロードセル21は、かけられる荷重に応じて変形する金属部材からなる歪体と、歪体に張られた歪ゲージとからなる。歪体が歪むと、歪ゲージが伸縮して歪ゲージの伸縮に応じて抵抗値が変化し、その抵抗変化は荷重信号出力として導出される。したがって、被測定者が載置面300上に乗って、ロードセル21にかけられる被測定者の体重により歪体が歪むと、上述の荷重信号出力の変化として体重が測定される。
【0029】
なお、荷重を検出するための荷重センサとして、本実施の形態では、ロードセル21を利用しているが、加えられる力の量(荷重)が検出できるものであれば、たとえば、ばねやピエゾフィルムを利用したセンサ、圧縮を測定する素子、変位センサなどであってもよい。
【0030】
センサ群243は、当該測定ユニット20が設置されている態様を検出するセンサ、測定ユニット20の周囲の外部環境条件を検出するセンサなどを含む。設置の態様を検出するセンサとしては、測定ユニット20の方向を検出する加速度センサ、載置面300が搭載されているか否か、すなわち加重の有無を検出する重量センサなどを含む。外部の環境条件を検出するセンサとしては、周囲の温度を検出する温度センサ、周囲の気圧を検出するセンサなどを含む。
【0031】
計測部231は測定ユニット20の動作を制御するために簡単なマイクロプロセッサの構成を有する。具体的には、CPU(Central Processing Unit)240、メモリ242および時間を計時するタイマ241を含む。タイマ241はカウンタ値がCPU240によってリセット可能なカウンタであってもよい。
【0032】
算出ユニット40は、被測定者が操作するボタンやスイッチなどからなる操作部42、算出ユニット40の動作を制御するための制御部41、記憶部43および通信部45を含む。通信部45は、測定ユニット20および外部機器50と通信するための機能を有する。
【0033】
記憶部43およびメモリ242は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性記憶媒体などの各種媒体からなり、プログラムおよびデータなどを記憶する。
【0034】
制御部41は、CPU410、時間を計時するタイマ411およびメモリ412を含む。
【0035】
図4には、測定ユニット20の機能構成が示される。図4を参照して測定ユニット20のCPU240は、第1および第2収束検出部30および33、ゼロ点取得部31、出力確認部32、荷重取得部34および通信処理部35を備える。これらの機能は、プログラムおよび/または回路により実現される。プログラムは、予めメモリ242の所定記憶領域に格納されており、CPU240が当該プログラムの命令を読出し、読出した命令を実行することにより各部の機能が実現される。
【0036】
第1および第2収束検出部30および33は、ロードセル21により検出される荷重の変動が所定レンジ内で収束するか否かを検出する。以下、ロードセル21が検出する荷重の変動が所定レンジ内で収束することを、単に、収束とも言う。第1収束検出部30は、電源ON後に当該測定ユニット20に搭載された載置面300にかけられ得る荷重がない、すなわち無負荷状態においてロードセル21により検出される荷重の収束(以下、第1収束という)を検出する。第2収束検出部33は、載置面300上に被測定者が乗った後に検出される荷重の収束(以下、第2収束という)を検出する。
【0037】
ゼロ点取得部31は、第1収束検出部30により第1収束が検出されたときにロードセル21が検出する荷重をゼロ点として確定する。確定したゼロ点の荷重はゼロ点データ26としてメモリ242に格納される。なお、測定ユニット20の工場出荷時には、メモリ242のゼロ点データ26には初期値が設定されていると想定する。
【0038】
ここで、ゼロ点とは、無負荷状態におけるロードセル21の出力値を指す。ロードセル21の歪ゲージの伸縮率は、時間経過に従ってまたは周囲温度によって変化することが知られている。したがって、測定時には、ロードセル21に被測定者の体重など荷重が全くかかっていない、いわゆる載置面300だけの荷重による無負荷時におけるロードセル21の出力値をゼロ点とする、いわゆるゼロ点検出が必要とされる。これは、被測定者の体重は、被測定者の体重(荷重)がロードセル21にかかったときのロードセル21の出力値と、無負荷時のロードセル21の出力値との差に基づいて算出されることによって測定されることによるものである。
【0039】
出力確認部32は、センサ群243の出力を入力して処理する。
荷重取得部34は、ロードセル21によって逐次検出される荷重を、荷重値として時系列に取得して、時系列荷重データ252としてメモリ242に格納する。ここで、荷重値としては、検出される荷重に、ゼロ点取得部31によって検出されたゼロ点データ26を差し引いた値を指す。時系列とは、ロードセル21から出力される荷重を、タイマ241の出力する計時データと関連付けて取得することを指す。したがって、ロードセル21から順次に取得する荷重に基づく荷重値に、タイマ241から出力される時間データを付加することにより、これらの荷重値は、時系列に取得される。
【0040】
荷重取得部34は、収束荷重取得部341を含む。収束荷重取得部341は、第2収束が検出される期間においてロードセル21によって検出される荷重を、荷重値として取得する。収束荷重取得部341により取得された荷重値は、メモリ242に収束荷重データ251として格納される。
【0041】
通信処理部35は、算出ユニット40宛の送信用のデータを生成するためのデータ生成部36、荷重値を送信するための荷重送信部37、および算出ユニット40からの指令を受信する指令受信部38を含む。
【0042】
メモリ242には、収束荷重取得部341が取得した収束荷重データ251、荷重取得部34が取得した時系列荷重データ252、ゼロ点データ26、当該測定ユニット20の識別情報であるID(Identification)データ27、およびデータの宛先を指す宛先データ28が格納される。宛先データ28は、本実施の形態の場合、算出ユニット40を識別するためのデータ(後述の算出ユニットIDデータ53に相当)を指す。
【0043】
図5を参照して、算出ユニット40の機能構成について説明する。算出ユニット40のCPU410は、被測定者の体重計測に使用される複数の測定ユニット20を検出する測定ユニット検出部60、受信した時系列の荷重値について同期をとるための同期検出部61、受信した荷重値に基づき体重を算出するための算出部62、測定ユニット20の送信再開後に受信した荷重値を用いてた体重を算出する送信再開後算出部64、測定ユニット20と通信するための通信処理部65、外部機器50と通信するための外部通信部69、および操作部42からの入力情報を受付ける入力受付部70を含む。同期検出部61による検出の詳細は後述する。
【0044】
算出部62は、受信した時系列の荷重値について第2収束を検出する収束検出部63を有する。
【0045】
通信処理部65は、測定ユニット20から送信される荷重値を受信する荷重受信部66、測定ユニット20宛てに送信の中断指令を送信する中断指令送信部67および所定データの通信にかかる所定通信部68を有する。
【0046】
メモリ412には、測定ユニット20から受信した荷重データを指す受信荷重データ51、測定ユニット検出部60により検出された測定ユニット20の識別情報を指示する測定ユニットIDデータ52、算出ユニット40の識別情報である算出ユニットIDデータ53、算出部62によって算出された体重を指す体重データ54、履歴データ55、モードデータ56および条件データ57が格納される。測定ユニットIDデータ52は、存在ユニットIDデータ521を含む。存在ユニットIDデータ521は、算出ユニット40の無線通信可能エリアに存在する測定ユニット20(ただし、電源ONされて算出ユニット40と通信可能な測定ユニット20)のIDデータ27を指す。
【0047】
履歴データ55は、過去の体重計測において使用された測定ユニット20の識別情報が蓄積されてなる履歴を指す。履歴データ55は、体重計測終了毎に、測定ユニットIDデータ52が体重計測時間と関連付けて格納されることにより生成される。
【0048】
モードデータ56は、体重計測に使用される測定ユニット20を検出するためのモードを指す。条件データ57は、体重計測に使用される測定ユニット20を、センサ群243が検出した設置態様または外部環境条件に基づき検出するための基準となるデータを指す。算出ユニットIDデータ53は工場出荷時などに格納される。また、モードデータ56および条件データ57は、操作部413を操作することにより、予め被測定者により入力されてメモリ412に格納される。
【0049】
ここで、体重計測に使用される測定ユニット20を検出するためのモードを説明する。
算出ユニット40は、複数種類のモードに従って測定ユニット20を検出する。検出のためのモードは、メモリ412に格納されるモードデータ56により指定される。
【0050】
モードには、たとえば“前回使用”モード、および“環境・設置”モードが含まれる。“前回使用”モードは、履歴データ55に基づき前回の体重計測において使用された測定ユニット20を検出するためのモードである。“環境・設置”モードは、同様な外部環境条件または設置態様におかれた測定ユニット20を検出するためのモードである。これらのモードは複数個を組合わせて設定してもよい。たとえば、“前回使用”モードと“環境・設置”モードを組合せることにより、前回の体重計測において使用された測定ユニット20のうち、同じような環境条件または態様で設置されている測定ユニット20を検出するモードを設定できる。
【0051】
図6〜図8は、本実施の形態に係る体重計測の処理手順を示すフローチャートである。これらフローチャートは、プログラムとして測定ユニット20のメモリ242または算出ユニット40のメモリ412に予め格納されている。CPU240または410が、メモリ242または412からこれらのプログラムを読出し、読出したプログラムの命令を実行することにより、処理フローチャートが実現される。
【0052】
図9〜図13には、これらフローチャートにおける測定ユニット20と算出ユニット40の間の無線通信に用いられるデータパケットPAの構成例が示される。なお、本実施の形態における無線通信のデータフォーマットはデータパケットに限定されず、たとえばフレームであってもよい。
【0053】
図9には、本実施の形態に係るデータパケットPAの基本構成が示される。図11を参照して、データパケットPAは、当該データパケットPAのタイプ(種類)を指すタイプデータを格納するフィールドF1、当該データパケットPAの送信先を識別するための送信先データを格納するフィールドF2、当該データパケットPAの送信元を識別するためのデータを格納するフィールドF3および送信すべきデータを格納するためのフィールドF4を含む。
【0054】
無線通信では、フィールドF1のタイプデータによって、種類の異なるデータパケットPA1〜PA4(図10〜図13)が用いられる。
【0055】
図10には、データパケットPA1の構成が示される。データパケットPA1は、算出ユニット40の周囲エリアに存在する測定ユニット20に対して所定データの要求RQDを送信する問合せデータパケットである。データパケットPA1は、フィールドF1にはタイプ“Q”(問合せ)が格納され、フィールドF2には送信先データとしてブロードキャストアドレス“BD”が格納され、フィールドF3には当該データパケットPA1の送信元である算出ユニット40の算出ユニットIDデータ(“ID40”)53がメモリ412から読出されて格納される。データパケットPA1のフィールドF4には、所定データの要求RQDが格納される。
【0056】
所定データの要求RQDは、宛先の測定ユニット20に対して、センサ群243により検出されるデータ(測定ユニット20周囲の温度、湿度、大気圧などの環境条件、測定ユニット20の設置態様(方向など)を指す)の送信要求を指す。
【0057】
図11には、データパケットPA2の構成が示される。データパケットPA2は、データパケットPA1の問合せに対する応答(返信)のデータパケットである。つまり、データパケットPA1を受信した測定ユニット20から当該問合せに対する返信として送信されるデータパケットを指す。データパケットPA2は、フィールドF1にはタイプ“QA”(問合わせ応答)が格納され、フィールドF2には送信先データとして算出ユニット40の算出ユニットIDデータ53(“ID40”)が格納され、フィールドF3には送信元データとして送信元の測定ユニット20のメモリ242から読出されたIDデータ27(“ID20”)が格納される。フィールドF4にはデータRESが格納される。データRESは、センサ群243により検出されるデータ(測定ユニット20周囲の温度、湿度、大気圧などの環境条件、測定ユニット20の設置態様(方向など)を指す)である。
【0058】
図12には、データパケットPA3の構成が示される。データパケットPA3は、測定ユニット20に対して荷重値を送信するように要求する荷重要求のデータパケットである。データパケットPA2は、フィールドF1にはタイプ“R”(荷重要求)が格納され、フィールドF2には、送信先データとして測定ユニット20のIDデータ27(“ID20”)が格納され、フィールドF3には送信元データとしてメモリ412から読出された算出ユニットIDデータ53(“ID40”)が格納される。フィールドF4のデータは不定(“NULL”)である。
【0059】
図13には、データパケットPA4の構成が示される。データパケットPA4は、荷重要求のデータパケットPA3に対する応答(返信)のデータパケットである。データパケットPA4は、フィールドF1にタイプ“RA”(要求応答)が格納され、フィールドF2に送信先データとしてメモリ412から読出された算出ユニットIDデータ53(“ID40”)が格納され、フィールドF3に当該データパケットPA4の送信元データとして測定ユニット20のIDデータ27(“ID20”)が格納され、フィールドF4にデータWDが格納される。データWDは、取得された荷重値にタイマ241の出力する時間データを付加してデータである。これにより、データWDを、荷重値と、当該測定ユニット20により荷重が検出された時間とを対応付けて含む。
【0060】
ロードセル21により荷重が検出される毎に、タイマ241が計時する検出時間と、当該荷重から導出された荷重値とを含むデータWDをフィールドF4に格納したデータパケットPA4が算出ユニット40宛てに送信される。
【0061】
ここで、同期検出部61による同期の検出処理について、図14を参照して説明する。
まずトリガについて説明する。たとえば、2個の測定ユニット20それぞれから、荷重が検出される毎に、荷重値と検出時間とからなるデータWDを格納するデータパケットPA4が、測定ユニット20から算出ユニット40に順次に送信されるとする。
【0062】
この場合、算出ユニット40は、2個の測定ユニット20のそれぞれから送信されるデータパケットPA4を受信し、受信したデータパケットPA4のデータWDを読出し、読出したデータWDの検出時間に基づき時系列の荷重値を取得する。算出ユニット40は、検出時間に基づけば、データ落ち(時系列の荷重値における荷重値の欠落)を検出できる。また、データWDの到着順が前後したとしても、検出時間に基づけば正しい検出の順番を検知することができる。
【0063】
図14のグラフの横軸は、データWDから読出した検出時間(T)の経過を指し、縦軸は当該データWDから読出した荷重値を指す。図14の(A)を参照して、測定ユニット20を電源ONした後において載置面300に未だ被測定者が乗っていない状態ではロードセル21に体重による荷重はかからないので測定ユニット20が検出する荷重値は変化しない。その後、被測定者が載置面300に乗り始めると荷重値は急激に上昇を開始する。図14の(A)では、各測定ユニット20において検出時間が“1秒”付近でグラフの急峻な立上がりが示される。本実施の形態では、被測定者が載置面300に乗り始めたときに検出される荷重値の急激な増加開始(グラフの急峻な立ち上がり)点をトリガと称する。
【0064】
次に、図14の(B)を参照して、トリガ検出後の体重算出の手順について説明する。ここには、トリガを検出した2個の測定ユニット20それぞれについて、当該測定ユニット20から順次に受信するデータWDに基づく荷重値と検出時間の対応関係を指すグラフL1とL2が示される。
【0065】
正確に体重を算出するためには、2個の測定ユニット20からの受信データWDについて同期をとる必要がある。つまり、各測定ユニット20は、算出ユニット40からデータパケットPA3による荷重要求を受信すると、応じて起動される。つまり、タイマ241が計時を開始する。タイマ241がカウンタであればカウントアップを開始する。起動により、タイマ241から計時データが出力開始される。出力される計時データは、検出時間として荷重値に付加されてデータWDが算出ユニット40に送信される。
【0066】
ここで、各測定ユニット20は、算出ユニット40から送信された荷重要求のデータパケットPA3の受信タイミングは同時とはならず、無線通信路の状況などで若干ずれが生じる。測定ユニット20毎に荷重要求を受信するタイミングが異なると、起動されるタイミングは測定ユニット20毎に相違する。これにより、各測定ユニット20が荷重を同時に検出開始したとしても、荷重値に付される検出時間は、測定ユニット20毎に異なる。
【0067】
したがって、算出ユニット40では、各測定ユニット20から受信する荷重値のグラフL1とL2について検出されるトリガの時間TR1とTR2は一致せず若干のずれを生じる(図14の(A)参照)ので、体重を算出するに際しては、このずれを解消するようにグラフL1とL2の時間軸を一致させる必要がある。
【0068】
具体的には、収束検出部63は、図14の(A)の時間TR1とTR2を共通の時間TRに一致させるように、図14の(B)に示すようにグラフL1またはL2を時間軸方向に平行移動させる。ここでは、時間TR1に時間TR2を一致させるように、グラフL2のみを時間軸方向に平行移動させている。これを、同期をとるという。
【0069】
平行移動後の図14の(B)のグラフによれば、収束検出部63は載置面300上の被測定者の動きが停止し安定している期間、すなわちグラフL1とL2について両方ともに第2収束の状態に移行した期間CVを検出することができる。
【0070】
図14の(B)に示す期間CVが検出されると、算出部62は、期間CVにおけるグラフL1とL2が示す荷重値を積算することにより体重を算出することができる。算出された体重は、被測定者の体動に起因した誤差が排除された値である。
【0071】
図14で説明した算出ユニット40側のトリガの検出と、期間CVの検出の処理は、各測定ユニット20においても実行される。測定ユニット20側の処理手順を、図15を参照して説明する。
【0072】
図15のグラフの横軸は、ロードセル21の荷重の検出時間を指し、縦軸は当該荷重から導出される荷重値を指す。図15のグラフでは、時間TR1でトリガが検出されている。第1収束検出部30は、電源ONされてから時間TR1までの期間で第1収束を検出し、第1収束の期間においてゼロ点取得部31によりゼロ点が検出される。時間TR1でトリガを検出後は、第2収束検出部33により第2収束の期間CVが検出される。収束荷重取得部341は、期間CVにおいて検出される荷重値(より特定的には、期間CVの荷重値の平均値)を取得する。
【0073】
これにより、各測定ユニット20の収束荷重取得部341は、載置面300上に乗っている被測定者の体動に起因した誤差が排除された荷重値を取得する。取得された荷重値は算出ユニット40に送信されるので、算出ユニット40の算出部62は当該誤差を含まないような体重値を算出することができる。
【0074】
図6〜図8のフローチャートを参照して、本実施の形態に係る体重計測のための処理手順について説明する。
【0075】
なお、体重計測のために被測定者が使用している測定ユニット20は予め電源ONされており、通信・荷重検出が可能な状態にあると想定する。
【0076】
操作部42を介して測定開始指示が入力されると、計測処理が開始される。まず、CPU410の通信処理部65では、所定通信部68によって図9に示す問合せデータパケットPA1が生成されて、生成されたデータパケットPA1は送信される(ステップS1)。データパケットPA1のフィールドF2には、ブロードキャストアドレスが格納されているので、当該データパケットPA1は、算出ユニット40の無線通信可能エリアに存在する全ての測定ユニット20により受信可能である。
【0077】
データパケットPA1を送信した後、所定通信部68は、データパケットPA1に応答した各測定ユニット20から送信されるデータパケットPA2を受信する(ステップS2)。
【0078】
CPU410は、受信したデータパケットPA2のフィールドF3に格納されたIDデータ27をメモリ412に存在ユニットIDデータ521として格納する。これにより、算出ユニット40の無線通信可能エリアに存在する全ての測定ユニット20(ただし、電源ONされて通信および荷重検出が可能な測定ユニット20)のIDデータ27を取得することができる。
【0079】
続いて、測定ユニット検出部60は、受信したデータパケットPA2のデータを用いて体重計測に利用されている測定ユニット20を検出する(ステップS3)。
【0080】
具体的には、まず、現在のモードを判定する。つまり、メモリ412に予め格納されたモードデータ56に基づきモードを判定する。
【0081】
モードデータ56が“前回使用”モードを指すときは、測定ユニット検出部60は、受信したデータパケットPA2のフィールドF3の送信元データ(IDデータ27)と、メモリ412の履歴データ55とを比較照合し、当該IDデータ27は、前回の体重計測に使用された測定ユニット20のIDデータ27と一致するか否かを判定する。一致と判定すると、当該データパケットPA2の送信元の測定ユニット20を体重計測用の測定ユニット20として判定し、不一致と判定すると、体重計測用の測定ユニット20ではないと判定する。
【0082】
これにより、被測定者は体重計測に同じ測定ユニット20を繰返し利用する傾向が高いと容易に推認できることに鑑みると、今回の体重計測に使用されている測定ユニット20として、“前回使用”モードで検出した測定ユニット20を検出することができる。
【0083】
モードデータ56が“環境・設置”モードを指すときは、測定ユニット検出部60は、受信したデータパケットPA2のフィールドF4のデータRESが指す環境・設置のデータと、メモリ412の条件データ57を比較照合する。その結果、データRESが指す環境・設置のデータが条件データ57に一致すれば当該データパケットPA2の送信元の測定ユニット20を体重計測用の測定ユニット20として判定し、不一致と判定すると、体重計測用の測定ユニット20ではないと判定する。
【0084】
これにより、体重計測に用いられている測定ユニット20は同じ環境(温度、湿度など)または同じ設置態様(方向など)で用いられていることは明らかであるから、条件データ57を用いて外部環境または設置態様が一致している測定ユニット20を体重計測に使用されている測定ユニット20として検出することができる。
【0085】
このようにして検出された測定ユニット20のIDデータ27は、測定ユニットIDデータ52としてメモリ412に格納される。ここでは、複数個の測定ユニット20が検出されて、対応のIDデータ27が格納される。
【0086】
続いて、ステップS5では、所定通信部68は、測定ユニットIDデータ52の各IDデータ27をフィールドF2に格納したデータパケットPA3をそれぞれ生成し、送信する。これにより、体重計測に用いられているとして検出された測定ユニット20のそれぞれに宛てて、荷重値の要求が送信される。
【0087】
次に、荷重受信部66は、データパケットPA3を送信した各測定ユニット20から荷重データWDを受信する(ステップS7)。データパケットPA2を送信してから所定期間が経過するうちは、各測定ユニット20から時系列の荷重値として連続して荷重データWD(データパケットPA4)を受信する(ステップS9でNO、ステップS7)。この期間に受信したデータWDはメモリ512に受信荷重データ51として、データWDの検出時間に従った順番で荷重値が格納される。
【0088】
所定期間が経過すると(ステップS9でYES)、同期検出部61は、メモリ512の各測定ユニット20の受信荷重データ51に基づき同期を検出する(ステップS11)。具体的には、測定ユニット20毎の受信荷重データ51は、当該測定ユニット20での荷重検出時間に従う時系列の荷重値を指すので、図14に説明したように、各測定ユニット20の受信荷重データ51に基づき、同期検出部61は同期を検出する。同期が検出されたと判定されると(ステップS13でOK)、算出部62によって体重が算出される(ステップS15)。具体的には、各測定ユニット20の受信荷重データ51に基づき、収束検出部63により検出された安定状態の期間CVにおける荷重値を積算することにより、被測定者の体重が算出される。
【0089】
その後、算出された体重は外部通信部69により外部機器50に送信される。外部機器50では、受信した体重をディスプレイ511に表示する。算出された体重は、メモリ412に体重データ54として格納される。また、測定ユニットIDデータ52は、メモリ412の履歴データ55に、タイマ411が出力する計測時間と関連付けて追加格納される。
【0090】
一方、ステップS13で同期が検出されなかった場合(S13でNG)、各測定ユニット20に対して時系列の荷重のデータWDの送信を中断させるために、中断指令送信部67は、中断指令を各測定ユニット20に送信する(ステップS21)。つまり、測定ユニットIDデータ52のIDデータ27が指示する各測定ユニット20宛に中断指令を送信する。その後、各測定ユニット20からは荷重値の再送が行なわれる。つまり、図15の期間CVで検出された荷重値が送信されるので、算出ユニット40の荷重受信部66はこれを受信する(ステップS23)。
【0091】
その後、ステップS25において、送信再開後算出部64によって、ステップS23で受信した各測定ユニット20の荷重値を積算することにより、体重を算出する(ステップS25)。その後、処理はステップS17に移り、ステップS17において、ステップS25で算出された体重の表示と格納の処理が前述と同様に行なわれる。
【0092】
なお、算出ユニット40は、ステップS15またはS25で体重を算出した後は、通信相手の各測定ユニット20に対して通信を終了するために、通信完了の通知を送信する。
【0093】
図6の算出ユニット40の処理に並行して、各測定ユニット20では図7に従う処理が行われる。
【0094】
測定ユニット20のそれぞれは、電源ONされると、算出ユニット40から送信されるデータパケットPAの受信を待機する(ステップT1)。
【0095】
通信処理部35がデータパケットPA1を受信すると(ステップT1でYES)、受信したデータパケットPA1の内容を解析して(ステップT2)、解析結果に基づき、データ生成部36はデータパケットPA2を生成し、算出ユニット40宛てに送信する(ステップT3)。このデータパケットPA2のフィールドF4には、センサ群243から取得したデータ(外部環境条件のデータ(温度、湿度など)および設置態様のデータ(方向など))を指すデータRESが格納される。
【0096】
その後、通信処理部35は、データパケットPA3の受信を待機する。データパケットPA2を送信後、データパケットPA3を受信できないときは(ステップT4でNO)、一連の処理を終了する。荷重値の送信要求のデータパケットPA3を受信すると(ステップT4でYES)、測定ユニット20は起動されて(CPU240がタイマ241に計時を開始させる)、処理はステップT5に移行する。
【0097】
起動後は、ロードセル21が順次に検出する荷重から荷重取得部34が荷重値を導出する(ステップT9)。荷重値には、タイマ241の計時時間による荷重検出時間が対応付けされて時系列荷重データ252としてメモリ242に格納される。
【0098】
その後、第1収束検出部30は、荷重取得部34が時系列に検出する荷重値を指す時系列荷重データ252に基づき、第1収束を検出する(ステップT5)。収束が検出されると、ゼロ点取得部31によりゼロ点が検出される(ステップT7)。検出されたゼロ点は、ゼロ点データ26としてメモリ242に格納される。
【0099】
続いて、荷重取得部34によってロードセル21からの出力に基づく荷重と、メモリ242のゼロ点データ26を用いて荷重値が算出される(ステップT9)。
【0100】
データ生成部36は、ステップT9で算出された荷重値とタイマ241からの計時データとを関連付けたデータWDをフィールドF4に格納したデータパケットPA4を生成する。生成されたデータパケットPA4は、通信部232を介して、荷重送信部37により算出ユニット40に宛てて送信される(ステップT11)。
【0101】
その後、通信処理部35の指令受信部38は、算出ユニット40から中断指令を受信するか否かを判定する(ステップT13)。中断指令を受信しないと判定すると(ステップT13でNO)、ステップT15において、通信処理部35は、算出ユニット40から通信完了の通知を受信するか否かにより、通信が終了したか否かを判定する(ステップT15)。通信が終了していないと判定すると(ステップT15でNO)、ステップT9の処理に戻る。ステップT9では、荷重値の算出と、算出した荷重値に計時データを関連付けしたデータWDを格納したデータパケットPA4を生成し、算出ユニット40への送信する(ステップT11)。これにより、荷重が検出される毎に、算出ユニット40に対して荷重値に、荷重が検出された時間が関連付けされたデータWDが送信されることになり、各測定ユニット20から算出ユニット40宛てに、いわゆる時系列に荷重値が送信される。
【0102】
取得される時系列の荷重値は、算出ユニット40宛てに送信されるとともに、メモリ242に、時系列荷重データ252として格納される。
【0103】
通信が終了したと判定されると(ステップT15でYES)、一連の処理は終了する。
一方、中断指令を受信したと判定されると(ステップT13でYES)、積算用データ送信処理(ステップT17)が実行されて、その後、処理は終了する。
【0104】
図8を参照して、積算用データ送信処理(ステップT17)について説明する。
まず、送信中断部371は、データパケットPA4の生成および荷重送信部37によるデータパケットPA4の送信を中断させる(ステップT31)。これにより、測定ユニット20から、算出ユニット40宛に向けた時系列の荷重値の送信が中断する。
【0105】
続いて、第2収束検出部33は、メモリ242の時系列荷重データ252に基づき第2収束を検出するか否かを判定する(ステップT33)。この第2収束の検出は、図15で説明した期間CVの検出に相当する。
【0106】
第2収束が検出されると(ステップT33でYES)、収束荷重取得部341により、期間CVの荷重値が算出されて、収束荷重データ251としてメモリ242に格納される(ステップT35)。そして、データ生成部36は、メモリ242の収束荷重データ251を格納した算出ユニット40宛てのデータパケットPAを生成する。生成されたデータパケットPAは、送信再開部372によって、算出ユニット40宛てに送信される(ステップT37)。
【0107】
これにより、算出ユニット40は、複数の測定ユニット20から受信する時系列の荷重値のいずれかにおいてトリガを検出することができないために、同期をとれず体重を算出できないときは、各測定ユニット20から第2収束の期間CVの荷重値を受信して、受信した荷重値に基づき体重を算出することができる。したがって、いずれの場合においても、被測定者の体動に起因した誤差を排除した体重を算出することができる。
【0108】
(変形例)
上述の処理では、算出ユニット40の通信可能エリア内の存在が検出された測定ユニット20を対象にして荷重値の送信要求のデータパケットPA3を送信するようにしているが、これに代替して、フィールドF2にブロードキャストアドレスを格納したデータパケットPA3を送信するようにしてもよい。
【0109】
また、算出ユニット40は、体重算出に用いた荷重値の送信元である測定ユニット20のIDデータ27を外部機器50に送信し、出力させるようにしてもよい。これにより、被測定者は、載置面300が搭載されている測定ユニット20のうちから、荷重値を送信できないような故障状態の測定ユニット20を確認することができる。
【0110】
上述の実施の形態では、図1に示すように算出ユニット40と通信する体重計は1個としているが、複数個の体重計と通信するとしてもよい。この場合には、測定ユニット20のIDデータ27に、グループ識別子を付加させる。このグループ識別子は、当該測定ユニット20が用いられている体重計を構成する測定ユニット20のグループを指す。これにより、算出ユニット40は、測定ユニット20を、グループ識別子が付加されたIDデータ27に基づきグループ単位で、すなわち体重計単位で識別しながら、荷重値を取得して体重を算出できる。これにより、算出ユニット40は体重計毎に被測定者の体重を算出することができる。
【0111】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0112】
1 体重計測システム、20 測定ユニット、21 ロードセル、30 第1収束検出部、33 第2収束検出部、34 荷重取得部、35,65 通信処理部、36 データ生成部、37 荷重送信部、38 指令受信部、40 算出ユニット、50 外部機器、51 受信荷重データ、54 体重データ、55 履歴データ、56 モードデータ、57 条件データ、60 測定ユニット検出部、61 同期検出部、62 算出部、63 収束検出部、64 送信再開後算出部、66 荷重受信部、67 中断指令送信部、68 所定通信部、69 外部通信部、241,411 タイマ、243 センサ群、251 収束荷重データ、252 時系列荷重データ、341 収束荷重取得部、371 送信中断部、372 送信再開部、511 ディスプレイ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の体重を計測する体重計測システムであって、
かけられる荷重を時系列に検出し、検出される荷重から導出される各荷重値と検出時間とを順次に送信する測定ユニットと、
前記測定ユニットと無線通信する体重算出ユニットと、を備え、
前記体重算出ユニットは、
2つ以上の前記測定ユニットから荷重値を順次に受信する荷重受信手段と、
前記荷重受信手段が受信する時系列の荷重値について、前記2つ以上の測定ユニットの間で同期をとる同期手段と、
前記2つ以上の測定ユニットの同期がとられた時系列の荷重値を用いて体重を算出する算出手段と、を含む、体重計測システム。
【請求項2】
前記体重算出ユニットは、
荷重要求を送信し、
前記測定ユニットは、
前記荷重要求を受信したことに応答して起動され、
タイマと、
かけられた荷重を検出する荷重センサと、
検出された荷重を処理し荷重値として導出する計測部と、
前記体重算出ユニットと無線通信する通信部と、を含み、
荷重が検出される毎に、前記タイマが計時する検出時間と、当該荷重から導出された荷重値とを前記通信部により送信する、請求項1に記載の体重計測システム。
【請求項3】
前記同期手段は、
前記荷重受信手段により前記2つ以上の測定ユニットから受信された時系列の荷重値の時間的な変化の特徴に基づき、同期をとる、請求項1または2に記載の体重計測システム。
【請求項4】
前記変化の特徴は、無荷重の前記測定ユニットに、荷重がかけられたことを示す前記荷重値の変化を指す、請求項1から3のいずれかに記載の体重計測システム。
【請求項5】
前記算出手段は、
前記2つ以上の測定ユニットから受信した時系列の荷重値の変動が所定レンジ内で収束したときの値を用いて、被測定者の体重を算出する、請求項1から4のいずれかに記載の体重計測システム。
【請求項6】
前記2つ以上の測定ユニットのそれぞれは、
導出される時系列の荷重値の変動が所定レンジ内で収束したときの当該荷重値を取得する収束荷重値取得手段と、
前記収束荷重値取得手段により取得された前記荷重値を、前記体重算出ユニットに送信する収束荷重値送信手段と、を含み、
前記体重算出ユニットは、
前記同期手段により同期をとることができないとき、前記中断指令を送信する中断指令送信手段を、含み、
前記2つ以上の測定ユニットそれぞれの前記収束荷重送信手段から受信した前記荷重値に基づき、被測定者の体重を算出する、請求項1から5のいずれかに記載の体重計測システム。
【請求項7】
前記2つ以上の測定ユニットのそれぞれは、
前記荷重値の送信中断を指令する中断指令を受信すると、前記荷重値の送信動作を中断させる荷重送信中断手段を、含み、
前記収束荷重値取得手段は、前記荷重送信中断手段によって前記荷重値の送信が中断された後に、導出される時系列の荷重値の変動が所定レンジ内で収束したときの当該荷重値を取得し、
前記体重算出ユニットは、
前記同期手段により同期をとることができないとき、前記中断指令を送信する中断指令送信手段を、含む、請求項6に記載の体重計測システム。
【請求項8】
前記体重算出ユニットは、
複数の測定ユニットから受信する情報に基づき、体重計測に使用される前記2つ以上の測定ユニットを決定する、請求項1から7のいずれかに記載の体重計測システム。
【請求項9】
前記体重算出ユニットと通信する出力ユニットを、さらに備え、
前記出力ユニットは、前記体重算出ユニットから算出された体重を受信し、受信した体重を出力する、請求項1から8のいずれかに記載の体重計測システム。
【請求項1】
被測定者の体重を計測する体重計測システムであって、
かけられる荷重を時系列に検出し、検出される荷重から導出される各荷重値と検出時間とを順次に送信する測定ユニットと、
前記測定ユニットと無線通信する体重算出ユニットと、を備え、
前記体重算出ユニットは、
2つ以上の前記測定ユニットから荷重値を順次に受信する荷重受信手段と、
前記荷重受信手段が受信する時系列の荷重値について、前記2つ以上の測定ユニットの間で同期をとる同期手段と、
前記2つ以上の測定ユニットの同期がとられた時系列の荷重値を用いて体重を算出する算出手段と、を含む、体重計測システム。
【請求項2】
前記体重算出ユニットは、
荷重要求を送信し、
前記測定ユニットは、
前記荷重要求を受信したことに応答して起動され、
タイマと、
かけられた荷重を検出する荷重センサと、
検出された荷重を処理し荷重値として導出する計測部と、
前記体重算出ユニットと無線通信する通信部と、を含み、
荷重が検出される毎に、前記タイマが計時する検出時間と、当該荷重から導出された荷重値とを前記通信部により送信する、請求項1に記載の体重計測システム。
【請求項3】
前記同期手段は、
前記荷重受信手段により前記2つ以上の測定ユニットから受信された時系列の荷重値の時間的な変化の特徴に基づき、同期をとる、請求項1または2に記載の体重計測システム。
【請求項4】
前記変化の特徴は、無荷重の前記測定ユニットに、荷重がかけられたことを示す前記荷重値の変化を指す、請求項1から3のいずれかに記載の体重計測システム。
【請求項5】
前記算出手段は、
前記2つ以上の測定ユニットから受信した時系列の荷重値の変動が所定レンジ内で収束したときの値を用いて、被測定者の体重を算出する、請求項1から4のいずれかに記載の体重計測システム。
【請求項6】
前記2つ以上の測定ユニットのそれぞれは、
導出される時系列の荷重値の変動が所定レンジ内で収束したときの当該荷重値を取得する収束荷重値取得手段と、
前記収束荷重値取得手段により取得された前記荷重値を、前記体重算出ユニットに送信する収束荷重値送信手段と、を含み、
前記体重算出ユニットは、
前記同期手段により同期をとることができないとき、前記中断指令を送信する中断指令送信手段を、含み、
前記2つ以上の測定ユニットそれぞれの前記収束荷重送信手段から受信した前記荷重値に基づき、被測定者の体重を算出する、請求項1から5のいずれかに記載の体重計測システム。
【請求項7】
前記2つ以上の測定ユニットのそれぞれは、
前記荷重値の送信中断を指令する中断指令を受信すると、前記荷重値の送信動作を中断させる荷重送信中断手段を、含み、
前記収束荷重値取得手段は、前記荷重送信中断手段によって前記荷重値の送信が中断された後に、導出される時系列の荷重値の変動が所定レンジ内で収束したときの当該荷重値を取得し、
前記体重算出ユニットは、
前記同期手段により同期をとることができないとき、前記中断指令を送信する中断指令送信手段を、含む、請求項6に記載の体重計測システム。
【請求項8】
前記体重算出ユニットは、
複数の測定ユニットから受信する情報に基づき、体重計測に使用される前記2つ以上の測定ユニットを決定する、請求項1から7のいずれかに記載の体重計測システム。
【請求項9】
前記体重算出ユニットと通信する出力ユニットを、さらに備え、
前記出力ユニットは、前記体重算出ユニットから算出された体重を受信し、受信した体重を出力する、請求項1から8のいずれかに記載の体重計測システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−57968(P2012−57968A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198833(P2010−198833)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
[ Back to top ]