説明

作業台の連結装置

【課題】床面に置かれた複数の作業台を相互に連結するため、作業が簡単で強固に連結される装置を得ることにある。
【解決手段】間隔を置いて配置された2条の鋼製の平板15aを端部の短絡片15bで連結して得られたレール15と、作業台を構成する管材を挟持するための管材ホルダ20の少なくとも2個とを有し、それら2個の管材ホルダ20にそれぞれ一端にハンドル25aを取り付けたボルトを、前記2条の鋼製の平板15aの間を通して螺合させ、そのハンドル25aと管材ホルダ20との間にレール15を緊締弛緩可能に挟持したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ材を継ぎ手で連結して作った枠体に、作業板を取り付けて構成した作業台の複数台を、相互に連結して作業台の移動を阻止するための、構造が簡単で剛性の高い連結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂パイプを組み立てて作った作業台(特許文献1参照)は、軽量なため移動が容易で、かつ優れた作業性が得られるので、電子部品やカメラなど精密部品を組み立てる組立工場で多用されている。
【0003】
しかしながら、そのような作業台は工場内で使用される際に軽量であることが災いして、移動中の作業者や運搬者が接触して設置した位置がずれてしまったり、転倒したりする不具合がしばしば生じた。
【0004】
そのような不具合は、作業台を床面に固定すれば回避できないではないが、作業台を床面へ固定すると作業工程や作業量の変更、あるいは大掃除のときに作業台を移動させるのに手間がかかり、かつ、一旦移動させると作業する状態へ復帰させるのが容易でなかった。
【0005】
もっとも、作業台が複数あるときは、それらを相互に連結すれば作業台が床面上を移動するような不具合は防げるが、工場内を移動する歩行者の通路が阻害されたり、運搬車が引っかかり易くなったりする問題があった。
【特許文献1】特開2003−170373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、隣接する作業台を相互に連結するための連結装置として、作業台へ簡単な操作で着脱できる構造を有すること。小規模地震で倒れない程度の結合強度があること。工場内を移動する人の邪魔にならないこと。などである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、間隔を置いて配置された2条の鋼製の平板を両端部に配した短絡片によって連結して得られたレールと、作業台を構成する管材を挟持する管材ホルダの少なくとも2個とを有し、それら2個の管材ホルダがそれぞれ前記レールへ締着される平板部と管材を挟持する円弧部とを有する基板と、その基板の円弧部を覆う半円状の鋼板からなる蓋部材とで構成されるとともに、その管材ホルダを握りハンドルを設けた固定ボルトとナットとによって前記レールとともに緊締弛緩可能に挟持することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る作業台の連結装置によれば、本発明装置によって連結されるべき2台の作業台の相互の位置や角度が一定していなくても、簡単な作業によって確実に連結することができる。
【0009】
また、レールと管材ホルダを含む最少の部品で構成されているから廉価に製造できる上に、運搬や設置が容易である。さらに、連結作業に際して作業台に孔を開けたり溶接したりする手間が不要であって迅速な設置工事が可能であるという利点がある。
【実施例1】
【0010】
以下、本発明の一実施例を図面によって説明する。図中、10は作業台の連結装置である。連結装置10は図1で示すように、床面上に所定の角度をもって配置された2個の作業台12、12を連結するのに用いられている。
【0011】
作業台12は市販の管材である合成樹脂製のパイプの多数を、同じく市販のパイプ継ぎ手によって連結し組み立てられたものであって、作業者側となる前側の前側支脚12cと、先方の後側支脚12dとの、4個の支脚によって支えられた長方形の板材からなる作業板12eを有する。12fは前記作業板12eの角度を調節するための角度調節手段である。
【0012】
作業台12の前記後側支脚12dは、前側支脚12cより長い材料が使用されており、作業板12eの後部を支持するとともに上方へ伸び、その上端付近でさらに作業者側へ屈曲させた補助部12jを有し、その補助部12jに作業者の手元を照らす照明用の蛍光灯12kを支持させてある。なお、作業台自体については既に市販され公知公用の状態にあるので、本願発明と直接的な関係を有しない部材については詳細な説明を省略する。
【0013】
前記連結装置10は図2で示すように、間隔を置いて配置された2条の鋼製の平板15a、15aを、それらの両端部を短絡片15b、15bで連結して得られたレール15と、作業台12を構成する管材を挟持するため、そのレール15に取り付けられる管材ホルダ20の少なくとも2個とを有する。なお、レール15は硬質の鋼板にユニクロメッキを施し、あるいは不錆性のステンレス材が使用される。
【0014】
それら2個の管材ホルダ20、20の要部は、図3で示すように、固定ボルト25によって滑りワッシャ26を介してレール15へ締着される基板21と、その基板21の一部を覆って取り付けられる半円状の蓋部材22からなっている。
【0015】
前記基板21は略短冊状をした鋼板からなる一端の平面部21aと、その平面部21aから上方へ湾曲させた他端の円弧部21bを立ち上がらせ、その屈曲端に凹凸結合のための凹凸部21cを形成する一方で、前記平面部21aにねじ孔を設けた溶接ナット21dを溶接してある。他方、円弧部21bの内面を後述する蓋部材22で覆ってあり、それらの内面に前記補助部12jを挟持する空間が形成されている。
【0016】
前記蓋部材22は短冊状をした基板21と同じ幅の鋼板で作られており、その鋼板の一端を円弧状に屈曲させて円弧部22aを設け、その円弧部22aの一端に前記凹凸部21cと係脱可能に係合する他の凹凸部22bが設けてある。また、円弧部22aの他端から円弧の外方へむけて平板部22cが形成され、その平板部22cには前記溶接ナット21dへ螺合させる六角孔付きボルト23のためのねじ孔が設けられている。
【0017】
よって、両者21,22を結合させれば、内面に作業台をなす合成樹脂製のパイプを挟持する円形の内面20aが形成され、両者を分離させることによってパイプ(補助部12j)を組み付け、あるいは取り外しすることができる。
【0018】
かくて、管材ホルダ20のそれぞれは、一端に握りハンドル25aを取り付けた固定ボルト25を、滑りワッシャ26に設けた円形の通し孔と前記2条の鋼製の平板15a、15aの間を通して、他側に配置した六角ナット27へ螺合させてあるから、握りハンドル25aを緩めることによって、前記管材ホルダ20はレール15上を摺動ならびに回動が可能となり、締めることによって不動とされる。
【0019】
連結装置10は、以上のように構成されているので、まず、一方の管材ホルダ20の握りハンドル25aをゆるめて自由に回動できる状態にしてから、管材ホルダ20の一方の六角孔付きボルト23をゆるめ、蓋部材22と基板21との凹凸係合を外して、隣接して設けた2台の作業台12のうちの一方の後側支脚12dの補助部12jを挟み、蓋部材22を元に戻して六角孔付きボルト23を締めることによって、前記後側支脚12dの補助部12jを管材ホルダ20に保持させることができる。
【0020】
次いで、管材ホルダ20の残る一個を同様にして、隣接する他の作業台12の後側支脚12dへ固着し、前記握りハンドル25aの2個を締めることによって、レール15を介して2台の作業台12の関係位置が固定されるから、特殊な工具を必要とせずに連結作業を行うことができ、作業が容易である。
【0021】
なお、連結装置10によって連結されるべき2台の作業台12、12を、図1で示すように、床面上で所定の角度をもって略ハ字形に配置して連結すれば、それらが作業者や運搬車の接触によって倒れることがなくなり、工場内の安全性が増す。
【0022】
また、連結装置10を前記作業台12の補助部12jのような高い位置で使用すれば、2台の作業台12の間を作業者が通る場合にも、レール15が邪魔にならなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本願発明の一実施方法を示した装置の外観図である。
【図2】図1中の矢視II図である。
【図3】ホルダの部分破断側面図である。
【図4】図3中の矢視IV図である。
【符号の説明】
【0024】
10 作業台の連結装置
12 作業台
12c 前側支脚
12d 後側支脚
12e 作業板
12f 角度調節手段
12j 補助部
12k 蛍光灯
15 レール
15a 平板
15b 短絡片
20 管材ホルダ
20a 内面
21 基板
21a 平面部
21b 円弧部
21c 凹凸部
21d 溶接ナット
22 蓋部材
22a 円弧部
22b 他の凹凸部
22c 平板部
23 六角孔付きボルト
25 固定ボルト
25a 握りハンドル
26 滑りワッシャ
27 六角ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を置いて配置された2条の鋼製の平板を両端部に配した短絡片によって連結して得られたレールと、作業台を構成する管材を挟持する管材ホルダの少なくとも2個とを有し、それら2個の管材ホルダがそれぞれ前記レールへ締着される平板部と管材を挟持する円弧部とを有する基板と、その基板の円弧部を覆う半円状の鋼板からなる蓋部材とで構成されるとともに、その管材ホルダを握りハンドルを設けた固定ボルトとナットとによって前記レールとともに緊締弛緩可能に挟持してなる作業台の連結装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ナットは前記基板に溶着されている作業台の連結装置。
【請求項3】
請求項1において、4個の支脚によって支持した作業板を有する少なくとも2台の作業台を略水平な床面上において所定の角度傾けて略ハ字形に配置する一方、前記作業板から上方へ伸びその上端近傍から作業者方向へ屈曲して伸びる補助管を設け、隣接する2個の補助管に管材ホルダを取り付けてなる作業台の連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−66674(P2009−66674A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235094(P2007−235094)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(593069325)株式会社天龍産業 (5)
【Fターム(参考)】