説明

作業台

【課題】天板部10の姿勢を所望の姿勢とすることができる作業台を提供する。
【解決手段】 作業台は、支柱12の上に天板部10が支持されており、天板部10の縦方向に延びる軸Yおよび横方向に延びる軸Xをそれぞれ中心として回動可能である。天板部10は、2つのジョイント部品14A,14Bを含むジョイント14を介して支柱12に接続されており、このジョイント14は垂直回転軸Zの回りに回転可能である

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、支柱の上に天板部が支持され、該天板部が、天板部の横方向に延びる軸の回りに回動可能であるとともに天板部の縦方向に延びる軸の回りに回動可能に構成されている作業台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術で知られているこの種の作業台は、標準として、載置面が、横方向軸において±30°まで調整(これはトレンドあるいはインクラインとも呼ぶ)でき、縦方向軸において±20°まで調整(これはチルトあるいはキャントとも呼ぶ)できる。これら双方の動きの広範な組み合わせは、構造的な制約があるため、必ずしも常に得られる訳ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の作業台として、天板部をジンバル型の支持構造によって支持することが知られており、ここでは、2つのリフト・シリンダの作用により、載置面が2つの互いに直交する回転軸の回りに回動する。これらの2つの回転軸は、支柱の中心ないし概ね中心に配置されているので、天板部は、所望の角度つまり所望の大きなチルト角や大きなトレンド角まで回動させることができない。
【0004】
本発明の目的は、上記のような種類の作業台をさらに発展させ、簡単でかつ安価な構造でもって大きなトレンド角およびチルト角を実現できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、請求項1の特徴によって達成され、特に、2つのジョイント部品を含むジョイントを介して天板部が支柱に接続され、このジョイントは垂直回転軸を中心に回転可能である。このように垂直回転軸を中心にジョイントが回転し得ることで、ジョイントの回動軸が、天板部の一方の側あるいは他方の側つまり天板部の頭部端側の方向あるいは脚部端側の方向のいずれの位置にも回転することができる。このようにすれば、中心に実質的に配置された回動軸の回りに天板部が回動するのではないので、非常に大きなトレンド角およびチルト角を実現できる。回動軸が垂直回転軸を中心として回転できることで、該回動軸は、回動を行うべき方向に沿った天板部の側部に配置されることになる。換言すれば、ジョイントの回動軸を、インクラインあるいはキャントが必要となる位置に動かすことができる。
【0006】
本発明によれば、90°に達する非常に大きな回動角が可能である。所望であれば、同時に、天板部を支柱に対し回動することが可能である。
【0007】
本発明の有利な実施例が、本明細書、図面および独立請求項に記載されている。
【0008】
第1の有利な実施例においては、ジョイントそのものが単に1つの回動軸を備えることができ、この回動軸は特に水平の姿勢とすることができる。この場合、ジンバルジョイントを用いることなく、天板部を所望の方向にチルトすることができ、かつ垂直回転軸を中心として回転させることで、ジョイントの回動軸を、最大のインクラインあるいはキャントが必要となる所望の位置に動かすことができる。
【0009】
他の有利な実施例によれば、天板部は単一のジョイントを介して支柱に接続され、天板部とジョイントとの相対位置および/または支柱とジョイントとの相対位置が変化し得る。この場合、ジョイントは、例えば、支柱に対する天板部の位置を変化させることなく、天板部と支柱との間で回転する。
【0010】
さらに他の有利な実施例によれば、ジョイントの回動軸は、支柱の中心軸および/または天板部の中心軸に対し、偏って配置され得る。この場合、ジョイントの回動軸はインクラインあるいはキャントが必要な位置へと回転させることができるので、非常に大きなトレンド角およびチルト角が可能となる。
【0011】
さらに他の有利な実施例によれば、天板部のインクラインの変更のために、1つのリフト・シリンダのみが設けられる。これにより、天板部の所望のインクラインが、直動型に作用する単一の駆動要素でもって実現できる。また、ボールジョイントを介して天板部に接続されるリフト・シリンダが、天板部のインクラインの調節のために設けられる。これは、簡単でかつ安価な構造を実現する。
【0012】
天板部の回動のためには、2つ、特にちょうど2つ、の駆動機構を設けることが有利であり、これらは、望ましくはコントローラにより同期した形で駆動される。このように2つの駆動機構が作動つまり駆動され、天板部は、それ自身が不必要に動くことなく、所望の方向へチルトつまり回動する。
【0013】
簡単かつ安価な構造の変形例としては、天板部の回動のための駆動機構として、ちょうど1つのリフト・シリンダと2つの回転駆動機構とを備えるものとすることができる。
【0014】
有利な実施例によれば、ジョイントは、2つのジョイント部品が互いに水平軸を中心に回動する回動プレートとして設計される。このような回動プレートは、良好な安定性を提供し、かつ各々のジョイント部品が開口部を有するように構成でき、リフト・シリンダがこれら2つのジョイント部品の開口部を貫通する。このようにして、所望の回動変化を小型の構成で実現できる。安定性の向上のために、2つのジョイント部品を環状に形成することが有利である。
【0015】
ジョイントは、垂直回転軸を中心に360°回転可能であることが有利であり、これにより最大の自由度が与えられる。
【0016】
以下では、本発明を、その有利な実施例および図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】作業台の一部を、その0位置において示す図。
【図2】図1の作業台を、逆のトレンドとした状態で示す図。
【図3】図1,2の作業台を、左側へキャントした位置で示す図。
【図4】図1〜3の作業台を、トレンド位置において示す図。
【図5】図1〜4の作業台を、右側へキャントした位置で示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、支柱12の上に天板部10が支持されてなる作業台の斜視図を示す。図の明瞭化のために、天板部10の底板11および側部サポート13のみが図示されているが、天板部10は、さらに、カバーやマットレスなどの構成要素を含んでいることを理解されたい。さらに、図2および図5において2つの平行な側部サポート13を備えているのに対し、図1においては、一つの側部サポート13のみが図示されている。
【0019】
天板部10は、支柱12の上に、回動可能なように支持されており、天板部10の横方向に延びるY軸を中心として回動可能であるとともに、天板部10の縦方向に延びるX軸を中心として回動可能である。この目的のために、天板部10は、2つの回動部品14A,14Bを含むジョイント14を介して支柱12に接続されており、このジョイント14によって、垂直な回転軸Zを中心として時計回り方向および反時計回り方向に回転可能となっている。
【0020】
図2は、回動プレートとして構成されたジョイント14の一実施例を示しており、このジョイント14の2つのジョイント部品14A,14Bは、水平軸S(図1参照)を中心として互いに回動可能である。そして、天板部10はジョイント部品14Bに回転可能に取り付けられ、ジョイント部品14Aは、支柱12に対し回転可能に取り付けられている。これらの取り付けは、双方において、回転ベアリング16A,16Bの補助を介してなされており、つまり、天板部10は回転ベアリング16Bの補助によりジョイント部品14Bに対し該ジョイント部品14Bの中心軸回りに回動可能であり、ジョイント部品14Aは支柱12に対し該ジョイント部品14Aの中心軸回りに回動可能である。ジョイント部品14Aを支柱12に対し回動させる駆動部として第1駆動モータ18が設けられており、この第1駆動モータ18は、支柱12に固定的に取り付けられ、かつジョイント部品14Aを支柱12に対し垂直軸Zを中心として回転させることができる。さらに第2駆動モータ20が設けられており、この第2駆動モータ20は、天板部10に取り付けられ、第1駆動モータ18と同様に、天板部10をギヤ駆動を介してジョイント部品14Bに対し回動軸(これは環状の回動部品14Bの中心を通って直交方向に延びる)を中心として回転させる。
【0021】
上述した構成により、ジョイント14は支柱12と天板部10との間で垂直回転軸Zを中心として回転することができるが、ジョイント14の上記回動軸Sは、支柱12の中心軸に対し偏って位置し、かつ天板部10の位置を支柱12に対し変化させない状態では天板部10の中心に対し偏って位置する。この目的のために、図1に示す0位置から開始するものとして、2つの駆動モータ18,20が同期した形で駆動され、これにより、回動ベアリング16A,16Bがある範囲で互いに反対方向に回転運動し、支柱12と天板部10との相対的な位置は変化することなく、ジョイント14が、静止した支柱12と天板部10との間でその位置を変えることなく回転するようになっている。
【0022】
天板部10のインクラインを変更するために、単一のリフト・シリンダ22が設けられている。このリフト・シリンダ22の下端は、静止した支柱12に揺動可能に接続され、水平軸回りに揺動でき、また、そのピストンロッドは、ジョイント部品14Aによって形成される円形の開口部を通して延びることができる。このリフト・シリンダ22のピストンロッドの上端は、ボールジョイント24を介して天板部10の底板11に接続されており、該リフト・シリンダ22の作動により、ジョイント14の回動軸S(これは常に水平の姿勢にある)を中心とした天板部10の回動が実現される。
【0023】
図示の実施例では、ジョイント部品14Bおよびジョイント部品14Aの周囲に360°回転でき、またジョイント14全体も垂直軸Zの回りに360°回転でき、これらの回転は、時計回り方向および反時計回り方向の双方に可能である。
【0024】
所望の回動位置がどのようにして得られるかを、以下、図面を参照して説明する。
【0025】
図1に示す0位置から開始するものとするが、この0位置では、天板部10の底板11は水平に配置され、かつ2つのジョイント部品14A,14Bは互いに回転しておらず、ジョイント14は、天板部10が逆トレンド位置へと動くことができるように、図1に示すように、ジョイント軸Sが横方向軸Yと平行となるまで、天板部10の脚部端の方向へ回動している。そして、天板部10は、リフト・シリンダ22の作動によって回動軸Sを中心に回動することができ、90°の回動位置まで達することができる。
【0026】
また、図1に示す0位置を開始点として、天板部10の左側へのキャント(チルト)つまり回動軸Xを中心とした回動が実現されるが、ここでは、ジョイント14は、回転軸Zを中心として回動軸Sが軸Xと平行つまり側部サポート13と平行となるまで反時計回り方向に90°回動する。この図3に示す位置を開始点として、リフト・シリンダ22の作動によって縦方向軸Xを中心として天板部10が回動し、やはり90°までの回動が可能である。
【0027】
図4に示すような位置に天板部10を回動することも可能である。ここでは、図1の0位置を開始点として、ジョイント14が軸Zを中心に180°回動しており、リフト・シリンダ22の作動の前に、ジョイント14が天板部10の頭部の方に向いている。
【0028】
最後の図5は、天板部10の右側へのキャント(チルト)を示しており、ここでは、ジョイント14が、図1に比較して90°時計回り方向(平面図上において)に回動している。
【0029】
上記の各図に示した各々の位置に加えて、全ての方向で中間位置とすることが可能であり、所望位置に応じて駆動モータ18,20およびリフト・シリンダ22を動作させることで、所望のいかなる位置へも天板部10を動かすことができる。リフト・シリンダ22としては、電気的あるいは油圧や空気圧により動作するものとすることができ、さらに本発明においては、天板部10をジョイント14を中心に回動し得るものであれば、どのような形式の直線的な位置決め装置であってもよい。また、リフト・シリンダに代えて、電動ないし油圧の直接的な駆動機構、例えばジョイント14部分に設けられて2つのジョイント部品を互いに回動させる電動モータ、などを用いることもできる。
【符号の説明】
【0030】
10…天板部
11…底板
12…支柱
13,13’…側部サポート
14…ジョイント
14A,14B…ジョイント部品
16A,16B…回転ベアリング
18,20…駆動モータ
22…リフト・シリンダ
24…ボールジョイント
S…ジョイントの回動軸
X…縦方向軸
Y…横方向軸
Z…垂直回転軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部(10)の縦方向に延びる軸(Y)および横方向に延びる軸(X)をそれぞれ中心として回動可能となるように、支柱(12)の上に天板部(10)が支持されてなる作業台であって、
上記天板部(10)が、2つのジョイント部品(14A,14B)を含むジョイント(14)を介して上記支柱(12)に接続されており、このジョイント(14)は垂直回転軸(Z)の回りに回転可能であることを特徴とする作業台。
【請求項2】
上記ジョイント(14)の回動軸(S)は水平な姿勢にあることを特徴とする請求項1に記載の作業台。
【請求項3】
上記天板部(10)と上記支柱(12)との間に単一のジョイント(14)が配置され、上記天板部(10)および上記支柱(12)の少なくとも一方と上記ジョイント(14)との間の相対位置が変化し得ることを特徴とする請求項1または2に記載の作業台。
【請求項4】
上記ジョイント(14)の回動軸(S)は、支柱(12)の中心軸および上記天板部(10)の中心軸の少なくとも一方に対し、偏って配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業台。
【請求項5】
上記ジョイント(14)は、上記支柱(12)と上記天板部(10)との間で、支柱(12)に対する天板部(10)の位置を変化させることなく、垂直回転軸(Z)の回りに回転可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の作業台。
【請求項6】
上記天板部(10)の傾斜を変化させるために単一のリフト・シリンダ(22)を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の作業台。
【請求項7】
上記天板部(10)の傾斜の調節のために、リフト・シリンダ(22)がボールジョイント(24)を介して天板部(10)に接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の作業台。
【請求項8】
上記天板部(10)を回動させるために2つの回転駆動機構(18,19)が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の作業台。
【請求項9】
コントローラを備え、このコントローラによって上記の2つの回転駆動機構(18,19)が同期した形で駆動されることを特徴とする請求項8に記載の作業台。
【請求項10】
上記天板部(10)の回動のために、1つのリフト・シリンダ(22)と2つの回転駆動機構(16A,16B,18,20)とが設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の作業台。
【請求項11】
上記ジョイント(14)が回動プレートからなり、その2つのジョイント部品(14A,14B)が水平軸(S)を中心に互いに回動することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の作業台。
【請求項12】
2つのジョイント部品(14A,14B)の各々が開口部を有し、ジョイント部品(14A)の開口部を中空シリンダが貫通していることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の作業台。
【請求項13】
2つのジョイント部品(14A,14B)は各々環状に構成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の作業台。
【請求項14】
1つのジョイント部品(14A)は支柱(12)に回転可能に取り付けられ、1つのジョイント部品(14B)は天板部(10)に回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の作業台。
【請求項15】
上記ジョイント(14)は垂直回転軸(Z)の回りに360°回転可能であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の作業台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−253673(P2010−253673A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−93623(P2010−93623)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(505172031)ベルヒトルト、ホールディング、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング (6)
【氏名又は名称原語表記】BERCHTOLD HOLDING GMBH
【Fターム(参考)】