作業機
【課題】 移動手段及び傾倒手段を上方から見ながら、冷却機器の水平移動及び傾倒が容易にできるようにする。
【解決手段】 機体フレーム3にエンジン7及び冷却機器8を搭載し、機体フレーム3に冷却機器8を取り付ける支持台12と冷却機器8を固定する装着部材13とを設け、冷却機器8と支持台12との間に、装着部材13による固定を解除した状態で、冷却機器8をエンジン7側から離れる方向に水平移動可能にする移動手段Aと、冷却機器8上部をエンジン7から離れる方向へ傾倒可能にする傾倒手段Bとを設ける。移動手段Aは、冷却機器8に設けられた支持具71及び係合部材72と、支持台12上に設けられていて係合部材72の水平移動を案内するガイド板73とを有し、傾倒手段Bは、支持台12上に設けられていてガイド板73から水平移動で突出してきた係合部材72をガイド溝73aより上側の位置で受持する傾倒保持部材74を有する。
【解決手段】 機体フレーム3にエンジン7及び冷却機器8を搭載し、機体フレーム3に冷却機器8を取り付ける支持台12と冷却機器8を固定する装着部材13とを設け、冷却機器8と支持台12との間に、装着部材13による固定を解除した状態で、冷却機器8をエンジン7側から離れる方向に水平移動可能にする移動手段Aと、冷却機器8上部をエンジン7から離れる方向へ傾倒可能にする傾倒手段Bとを設ける。移動手段Aは、冷却機器8に設けられた支持具71及び係合部材72と、支持台12上に設けられていて係合部材72の水平移動を案内するガイド板73とを有し、傾倒手段Bは、支持台12上に設けられていてガイド板73から水平移動で突出してきた係合部材72をガイド溝73aより上側の位置で受持する傾倒保持部材74を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トラックローダ、スキッドローダ等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の作業機においては、特許文献1に開示されているように、走行装置を縣架した機体フレームにエンジン及び冷却機器を搭載し、前記機体フレームに冷却機器を取り付ける支持台と冷却機器を固定する装着部材とを設けている作業機であって、前記冷却機器と支持台との間に、前記装着部材による固定を解除した状態で、前記冷却機器をエンジン側から離れる方向に水平移動可能にする移動手段を設けており、前記機体フレームの下部に冷却機器を水平移動したときに冷却機器の下部を担持する担持台を設け、前記冷却機器と支持台との間に、前記装着部材による固定を解除しかつ前記冷却機器を水平移動した状態で、冷却機器の上部をエンジンから離れる方向へ傾倒可能にする傾倒手段を設けており、前記冷却機器の下部に係合部材を下方突出状に設け、前記支持台の下面にガイド縦板を設け、前記係合部材とガイド縦板とに移動手段及び傾倒手段を構成している(特許請求の範囲)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−209613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術においては、移動手段及び傾倒手段は冷却機器及び支持台の下方に配置されているため、上方から目視し難く、そのため冷却機器を水平移動及び傾倒するのがやりづらくなっている。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした作業機を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、移動手段及び傾倒手段を上方から見ながら、冷却機器の水平移動及び傾倒が容易にできるようにした作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、走行装置2を縣架した機体フレーム3にエンジン7及び冷却機器8を搭載し、前記機体フレーム3に冷却機器8を載置して取り付ける支持台12と冷却機器8を固定する装着部材13とを設け、
前記冷却機器8の左右各側部と支持台12との間に、装着部材13による固定を解除した状態で、冷却機器8をエンジン7側から離れる方向に水平移動可能にする移動手段Aと、冷却機器8を水平移動した状態で、冷却機器8上部をエンジン7から離れる方向へ傾倒可能にする傾倒手段Bとを設けており、
前記移動手段Aは、冷却機器8の側面下部に設けられていて支持台12上に載置される支持具71と、冷却機器8の側面下部に側方突設された係合部材72と、支持台12上に設けられていて係合部材72の水平移動を案内するガイド溝73aを形成したガイド板73とを有し、
前記傾倒手段Bは、支持台12上に設けられていてガイド板73のガイド溝73aから水平移動で突出してきた係合部材72をガイド溝73aより上側の位置で受持する傾倒保持部材74を有することを特徴とする。
【0007】
第2に、前記支持台12上に保持板75を設け、この保持板75に傾倒保持部材74を着脱自在に固定しており、
前記傾倒保持部材74は、係合部材72を受持する受持部74aの下部に、ガイド溝73aから突出してきた係合部材72の水平移動を規制すべく、高さ方向で係合部材72とオーバラップする水平移動規制部74bを有することを特徴とする。
【0008】
第3に、前記冷却機器8の側面下部に支持板76を固定し、この支持板76に前記支持具71と係合部材72とを設けるとともに、冷却機器8を固定位置に配置したときに前記
保持板75と対面しかつ互いに締結具77で締結されるステー56を設けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動手段及び傾倒手段を上方から見ながら、冷却機器の水平移動及び傾倒が容易にできる。
即ち、第1に、移動手段Aの支持具71と係合部材72とは冷却機器8の側面下部に設けられ、かつガイド板73は支持台12上に設けられ、傾倒手段Bの傾倒保持部材74は支持台12上に設けられているので、冷却機器8を水平移動及び傾倒する際に、支持台12の上方でかつ冷却機器8の側方から移動手段A及び傾倒手段Bを見ながら冷却機器8を押し引き動作することができ、移動・傾倒動作が容易にできる。また、機体フレーム3の下方から跳ね上がる泥土を支持台1で遮ることにより、移動手段A及び傾倒手段Bに付着するのを防止できる。
【0010】
第2に、冷却機器8を水平移動して機体フレーム3から引き出す際に、係合部材72がガイド溝73aから突出して傾倒保持部材74の水平移動規制部74bに当接するので、冷却機器8を水平移動し過ぎることがなく、受持部74aへの受持、即ち、傾倒動作が容易にできる。
第3に、傾倒保持部材74を設けた保持板75及び支持具71と係合部材72とを設けた支持板76を利用して、支持台12に対する冷却機器8の締結ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を示す冷却機器固定状態の側面図である。
【図2】同冷却機器固定状態の平面図である。
【図3】同冷却機器固定状態の背面図である。
【図4】同冷却機器傾倒状態の側面図である。
【図5】同冷却機器固定状態の要部拡大側面図である。
【図6】同冷却機器固定状態の要部拡大平面図である。
【図7】同冷却機器固定状態の要部拡大背面図である。
【図8】同冷却機器傾倒状態の要部拡大側面図である。
【図9】移動手段及び傾倒手段の分解側面図である。
【図10】ローダ作業機の全体側面図である。
【図11】機体フレーム内の断面側面図である。
【図12】機体フレームを後方から見た斜視図である。
【図13】フットアクセル機構の断面正面図である。
【図14】フットアクセル機構の側面図である。
【図15】アクセル機構の全体側面図である。
【図16】アクセル機構の全体正面図である。
【図17】アクセル機構の全体平面図である。
【図18】アクセル動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図10において、符号1はトラックローダで例示したローダ作業機(作業機)を示しており、このローダ作業機1は、走行装置2を縣架した機体フレーム3の前部に運転装置4を配置し、この運転装置4の前方側で作業具(バケット)5を昇降させる作業装置(掘削作業装置)6の基部側を前記機体フレーム3の後部の左右両側に支持しており、機体フレーム3の後部にエンジン7及び冷却機器8を搭載し、機体フレーム3の後端を開放状に形成してボンネット9で開閉自在に覆っている。
【0013】
図10、11、12において、前記機体フレーム3は鋼板で形成されていて、底壁26A、左右側壁26B、前壁26C及び後部壁26Dを有する箱形状のフレーム本体26を形成し、このフレーム本体26の左右側壁26Bの後端から外側方へ突出した前記左右後部壁26Dに支持枠体27を固着し、フレーム本体26の後上部に左右後部壁26D及び支持枠体27の上部を連結する架橋体28を固着している。
【0014】
この機体フレーム3のフレーム本体26は、架橋体28より前側が上方に開放されていて、運転装置4のキャビンを配置可能になっており、架橋体28より後側が上方に開放されていて、エンジン7を上方から搭載可能になっており、背面側が後方に開放されていて、エンジン7及び冷却機器8を後方及び上方からメンテナンス可能になっている。
左右各支持枠体27は、板金材で内側壁27A、外側壁27B及び背壁27Cを形成し、内側壁27A及び外側壁27Bの前縁を前記フレーム本体26の後部壁26Dに固着して箱形状に形成されている。
【0015】
支持枠体27の内側壁27Aは外側壁27Bより大きく上方へ突出しており、この内側壁27Aの上部に前記架橋体28の左右端部が固着されている。支持枠体27の前壁はフレーム本体26の後部壁26Dによって形成されており、走行装置2の後方を覆うフェンダも兼ねている。
左右支持枠体27の内側壁27Aはエンジンルームの左右側壁を形成しており、その上縁は架橋体28の後縁から後方へ下向き傾斜しており、エンジンルームの上方を覆うルームカバー21は架橋体28から機体フレーム3後端まで下向き傾斜し、運転装置4からの後下方視界を拡大するように構成されている。前記ルームカバー21は前部が架橋体28に枢支されており、後部を上昇させてエンジンルームの上方を開放させることができるようになっている。
【0016】
前記フレーム本体26の側壁26Bには、走行装置2の油圧モータを取り付ける取付部29が形成され、外面下部にトラックフレーム30が固着され、外面上縁にフェンダ31が固着されている。このフェンダ31は支持枠体27の後部壁26Dの上端に接続されている。
前記トラックフレーム30には前後従動輪33F、33Rと複数個の転輪34とが支持され、これらと油圧モータに装着された駆動輪35とにかけてクローラ36が巻き掛けられてクローラ式走行装置が構成され、左右一対のクローラ式走行装置で走行装置2が構成されている。
【0017】
なお、走行装置2はクローラ式走行装置に代えて、前後ホイール式走行装置、前ホイール式で後クローラ式の走行装置にしてもよい。
運転装置4はフレーム本体26の前半分の上方に配置され、キャビン37内の床板に運転席38及び操縦装置を配置して構成されている。前記キャビン37の床板はキャビン底の後半分に設けられ、前半分は下方に開放されており、運転席38に着座する運転者はフレーム本体26内に設けられるステップに足を置くようになっている。キャビン37は前面に乗降口を有する。
【0018】
前記キャビン37は背面下部に枢支軸を有し、その枢支軸は前記架橋体28の上面に設けられた支持ブラケット39に支持されており、また、キャビン37とフレーム本体26との間にキャビン昇降用のダンパが設けられている。
キャビン37は背面下部を中心に前部が前下側から後上側へ昇降可能であり、上昇させることにより、フレーム本体26内を開放して付設機器のメンテナンスができるようになっている。
【0019】
作業装置6は、作業具(バケット)5と、この作業具5を枢支軸5Aを介して先端に枢支連結した左右一対のアーム41と、左右各アーム41の基部と枢支連結されたリフトリンク42と、左右各アーム41の基部近傍と枢支連結された制御リンク43と、前記作業具5とアーム41との間に設けた作業具シリンダ44と、アーム41と支持枠体27との間に設けたアームシリンダ45とを有している。
【0020】
前記左右アーム41は前連結部材46と後連結部材47とによって前後2箇所で連結されていて、キャビン37の左右側方で昇降するように配置されており、前連結部材46はアーム41を最下位まで下降したときにフレーム本体26の前壁26Cと当接可能になっており、後連結部材47はパイプで形成されていてアーム41の後端より若干前側に位置している。左右各アーム41は互いに対向している側壁の基部が下方へ三角形状の突出部41Aを有している。
【0021】
前記リフトリンク42は縦向き配置されており、その下部は支持枠体27内に挿入され
ていて第1ピンP1を介して枢支され、その上部は第2ピンP2を介して後連結部材47より後方のアーム41の基部と連結され、この上部が前後移動するように揺動可能になっている。
前記制御リンク43は前後向き配置されており、その前部は支持枠体27の内側壁27Aの上部とフレーム本体26の後部壁26Dの前上部に固着した支持体48とに第3ピンP3を介して枢支され、その後部は第4ピンP4を介してアーム41の基部近傍の前記突出部41Aと連結され、略水平姿勢から後部が上昇する立ち上がり揺動可能になっている。
【0022】
前記アームシリンダ45は、チューブ下部が支持枠体27内に挿入されていて第1連結ピンR1を介して連結され、シリンダロッド先端が第2連結ピンR2を介してアーム41に連結されている。
前記第1ピンP1は機体フレーム3の後端上部近傍に位置し、第3ピンP3は第1ピンP1より僅かに高く、前後位置が運転装置4のキャビン37の後部とオーバラップする位置になっている。
【0023】
前記第1連結ピンR1は第1ピンP1より僅かに前方に位置し、前記第2連結ピンR2は、後連結部材47を挟んで第2ピンP2と反対側に位置し、これらは略直線上に配置されている。第2ピンP2から第2連結ピンR2までの距離は、第2ピンP2から第4ピンP4までの距離より長く、第2ピンP2から第3ピンP3までの距離より短くなっており、側面視において、アームシリンダ45は制御リンク43と交叉している。
【0024】
図10に示す作業具5が接地したアーム41の最下位状態において、リフトリンク42は第2ピンP2が第1ピンP1より僅かに後方の後傾斜姿勢であり、制御リンク43は第4ピンP4が第3ピンP3より僅かに高い後上がりに傾斜姿勢であり、アーム41は第2連結ピンR2が第2ピンP2より低くかつ第4ピンP4より高い前下向き傾斜姿勢であり、アームシリンダ45は制御リンク43の前後方向略中央と交叉し、アームシリンダ45がアーム41の第2ピンP2と枢支軸5Aとを結ぶ中心線に対して略直交している。
【0025】
前記アーム41、リフトリンク42及び制御リンク43は、第1ピンP1から第4ピンP4の4ピンを節とする4節リンク構造になっており、アームシリンダ45を伸張することにより、制御リンク43の拘束を受けかつリフトリンク42の前後揺動を伴いながら第2ピンP2を中心にしてアーム41を上昇する。
アーム41が最下位状態から最上位状態になるまでの上昇動作の全範囲に亘って、リフトリンク42はボンネット9より後方へは突出することがなく、制御リンク43は尻上がり姿勢から立ち上がって後傾姿勢まで変化するが、90度よりも小さい範囲で上下揺動する。
【0026】
図1〜12において、機体フレーム3はフレーム本体26の底壁26Aの後端に、左右支持枠体27間の底を形成する延長底板51が固定されており、前記底壁26A及び延長底板51にエンジン7が搭載されている。また、延長底板51の後部に支持台12が設けられ、この支持台12上に冷却機器8が載置固定されている。支持台12の上面は略水平であって冷却機器8を水平移動(摺動)可能に載置している。
【0027】
前記エンジン7は背面側にクランク軸からベルト伝動手段7Bを介して駆動される冷却ファン7Aを有しており、このエンジン7の後方に冷却機器8が配置され、この冷却機器8のエンジン7側の面には前記冷却ファン7Aを覆うファンシュラウド10が装着されている。
ファンシュラウド10は前記冷却機器本体8A又は冷却機器フレーム8Bに取り付けられており、その取付部は冷却機器フレーム8Bと相似形であり、冷却ファン7Aに対向する部分は円形になっている。
【0028】
冷却機器8は、冷却機器本体8Aと、この冷却機器本体8Aの左右・上下を包囲して保護する冷却機器フレーム8Bとを有している。
前記冷却機器本体8Aはラジエータとオイルクーラとを左右に併設して一体化したものであり、図11に示すように、ラジエータは上部に水を注入可能にする注入キャップ8aを有し、エンジン7との間にホース8bが接続されており、オイルクーラには油圧ホース
8cが接続されている。
【0029】
前記オイルクーラの油圧ホース8cはその他の油圧機器の油圧ホースとともに油圧中継器23に接続されており、この油圧中継器23を介して油圧タンクに接続されている。前記油圧ホース8cは、オイルクーラと油圧中継器23との間で丸く丸めて配置されており、冷却機器8を前後に移動したときに丸味の半径が変化することにより、伸縮、撓みが場所を取らなく円滑にできるようにしている。
【0030】
前記冷却機器8は後部が機体フレーム3の背面及び冷却機器8の上方を覆うルームカバー21の後端より後方に突出しており、その露出した後部を前記機体フレーム3の後端を開閉するボンネット9で覆っている。
機体フレーム3の背面は鉛直ではなく、上部が前側となる前傾面になっており、冷却機器8は下部よりも上部が機体フレーム3の背面から大きく露出している。
【0031】
前記ボンネット9は機体フレーム3の背面の左右一側に縦軸回り回動自在に支持されており、冷却機器8と対面する内面にはエアーコンデショナ等の冷却補助器22を装着している。冷却補助器22は機体フレーム3内の機器と媒体搬送ホースを介して接続されている。
前記冷却機器本体8Aをラジエータのみで構成して、オイルクーラを冷却補助器22としてボンネット9に装着してもよい。
【0032】
前記冷却機器フレーム8Bは、下板53と、この下板53に下端が固着された左右一対の側板54と、この左右側板54の上部にボルトを介して締結される上板55とを有し、左右側板54又は上下板53、55で冷却機器本体8Aを挟んでいる。前記冷却機器本体8Aの注入キャップ8aは上板55を貫通して上方に突出している。
前記左右各側板54の外側面には上下にステー56を固着しており、これらステー56は機体フレーム3の左右支持枠体27、支持台12等に設けた装着部材13に締結具(ボルト)77を介して着脱自在に装着されている。また、ステー56は上板55にも設けられている。前記締結具77を解除することにより、冷却機器8は機体フレーム3に対して水平移動自在に、また水平移動した状態から傾動自在になる。
【0033】
前記左右各側板54の外側面下部には支持板76が固定されており、この支持板76に前記下側のステー56が外側方突出状に固着され、支持具71とピン製の係合部材72とが外側方突出状に設けられ、さらに支持板76のエンジン7側(前側)の下縁には下方突出形状の摺接部76aが形成されている。この摺接部76aは係合部材72の略下方に位置している。
【0034】
前記支持具71は支持板76の後下部に固着の軸71aに弾性の有るゴム又は樹脂等で形成されたコロ71bを回転自在に遊嵌して構成され、前記摺接部76aとともに支持台12の上面に当接することにより、支持台12上に冷却機器8を立ち姿勢に載置している。
前記支持具71は、コロ71bを適用することにより、冷却機器8を水平移動する際に、摺接部76aを浮かせるように冷却機器8を僅かに傾斜させれば、コロ71bの転動により冷却機器8の水平移動を円滑かつ容易に行うことができるようになる。
【0035】
なお、支持具71は、コロ71bの代わりに、支持板76の下縁後部にも摺接部76aを形成したり、弾性の有るゴム又は樹脂等で半球体を形成し、その半球体を球面が支持台12に接するように設けたりして構成することもできる。
支持台12の上面には冷却機器8の左右各外側面に対向してガイド板73と保持板75とが立設されている。このガイド板73の後端と保持板75の内端(冷却機器8側端部)とは平面視L字状に連結され、また左右保持板75の外端は機体フレーム3の左右支持枠体27に連結されている。
【0036】
前記ガイド板73には後端から前方(エンジン7側)に切り欠かれた水平状のガイド溝73aが形成され、このガイド溝73aに後方から係合部材72が挿入係合されていて、冷却機器8の水平移動を案内可能になっている。前記ガイド溝73aはガイド板73と直角に連結された保持板75にも開溝されている。
前記ガイド溝73aの上下幅は係合部材72のピン径より大きく、冷却機器8を水平移
動する際には、係合部材72はガイド溝73aに当接する必要はないが、摺接部76aを浮かせるように冷却機器8を僅かに傾斜させたときは当接して、冷却機器8の傾斜が大きくなるのを規制する。
【0037】
なお、摺接部76aを浮かせると、冷却機器8は支持具71のみで支持され、支持具71の転動により容易に移動できるようになる。
前記支持台12、支持具71、摺接部76a、係合部材72及びガイド板73等によって、冷却機器8を水平移動可能にさせる移動手段Aが構成されている。
前記支持台12上に立設された保持板75には、雌ねじ孔を有する取り付け台79が固着され、かつその上部にスリット80が形成されており、側面視L字形状の傾倒保持部材74が締結具(ボルト)81を介して着脱可能に取り付けられている。
【0038】
傾倒保持部材74はコーナ部74aを挟んで垂下部74bと水平部74cとを有し、水平部74cの先端は幅狭に形成され、この先端をスリット80に挿入した状態で、垂下部74bを取り付け台79に当てがって、締結具81を垂下部74bの孔に貫通して取り付け台79に螺合している。
なお、傾倒保持部材74は締結具81の貫通用孔が中央からずれていて左右2箇所に形成され、冷却機器8の左右どちら側に配置される場合にも1種類で兼用できるようになっている。
【0039】
前記傾倒保持部材74は傾倒手段Bを構成するものであって、垂下部74bの下部はガイド溝73a及び係合部材72とオーバラップする高さに位置し、ガイド溝73aから突出してきた係合部材72の水平移動を規制する水平移動規制部となっており、コーナ部74aは水平移動規制部(垂下部)74bに当接した係合部材72が冷却機器8の傾倒により上動したときに係合部材72を受持する受持部となっている。
【0040】
支持台12上に冷却機器8を載置する組立ての際、係合部材72をガイド板73のガイド溝73aに挿入してから、傾倒保持部材74を保持板75に固定しており、水平移動規制部(垂下部)74bは係合部材72の水平移動延長上に位置し、受持部(コーナ部)74aは係合部材72をガイド溝73aより上側に位置している。
係合部材72をガイド溝73aから抜き出す(冷却機器8の水平移動)と、係合部材72は水平移動規制部74bに当接して停止し、その状態で係合部材72を上動させる(冷却機器8の傾動)と、係合部材72は受持部74aに受持される。この係合部材72を受持した状態で、冷却機器8は水平移動した後に上部がエンジン7から離れる方向へ傾倒した状態に保持される。
【0041】
前記保持板75の上部は装着部材13を兼ねており、固定位置に配置した冷却機器8の側面下部に設けたステー56が対面し、互いに締結具77で締結されるようになっている。また、保持板75の上部(スリット80の上側)には上方に開放された切欠82が形成されており、図4、7〜9に示す戻り規制部材83の一端が係脱自在になっている。
この戻り規制部材83は、冷却機器8を後傾倒姿勢に傾倒させた状態から垂直姿勢へ戻るのを規制するものであり、一端上側と他端下部とにそれぞれ突起部が形成され、傾倒保持部材74上に載置した状態で、一端突起部を切欠82に係合し、他端突起部を傾倒した冷却機器8のステー56に係合される。
【0042】
戻り規制部材83を保持板75とステー56との間に挿入すると、冷却機器8の垂直姿勢への戻り回動力は、ステー56から戻り規制部材83に伝わり、保持板75で受けられ、傾倒した冷却機器8の不本意な戻り回動を阻止する。
前述のように構成された冷却機器8の取り付け構造において、傾倒保持部材74を外した状態で、コロ71b及び摺接部76aを支持台12上面に載置して、冷却機器8を支持台12上に載せ、この状態で冷却機器8を前方向水平移動(摺動)させて係合部材72をガイド溝73a内へ移動し、この前方向水平移動により、左右・上下のステー56がそれぞれ装着部材13に対向し、それらを締結具77で締結することにより、冷却機器8は機体フレーム3に固定される。その後に、保持板75に傾倒保持部材74を締結具81を介して取り付ける。
【0043】
メンテナンスをするとき、冷却機器8はステー56を締結している締結具77を弛める
ことにより、装着部材13による固定が解除されて、機体フレーム3に対して水平移動が可能になり、コロ71b及び摺接部76aを支持台12上面で転動及び摺動させ(図1、5に2点鎖線で示す。)、係合部材72をガイド溝73a内で後方移動させてガイド溝73aから抜け出させる。
【0044】
ガイド溝73aから抜け出た係合部材72は水平移動規制部74bに当接して後方移動が停止され、コロ71bを中心に冷却機器8を後方へ傾動させると、係合部材72は受持部74aに受持されかつ上動が規制され、冷却機器8は上部がエンジン7から離れる方向へ傾倒した後傾倒姿勢に保持される(図1に1点鎖線で、図4、8に実線でそれぞれ示す。)。
【0045】
前記冷却機器8の後方移動及び傾動動作は、作業員が冷却機器8の左右側部下方の移動手段A及び傾倒手段Bを左右側方の後上方から目視しながら、冷却機器8を後方へ移動することにより行われる。
冷却機器8の後方水平移動状態でエンジン7及び冷却ファン7Aと冷却機器8及びフアンシュラウド10との間に形成された前後方向の空間は、冷却機器8を後方側へ傾倒することによりI字状からV字状に開いて拡大される。
【0046】
また、機体フレーム3の背面は上部が前側となる前傾面になっていることにより、後傾倒した冷却機器8との間の前記V字状空間は機体フレーム3の背面上部でより大きく開放され、冷却ファン7A、ベルト伝動手段7B及びその周辺の機器が上方から見やすくなり、手を入れてメンテナンスすることが可能な空間を形成することになる。
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜12に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
【0047】
例えば、前記移動手段A及び傾倒手段Bは、ローダ作業機の他にバックホー等の作業機の冷却機器8の取り付け構造に適用して、機体フレーム3にエンジン7及び冷却機器8を左右方向に配列し、冷却機器8を左右方向水平移動させるように構成してもよい。
ファンシュラウド10を冷却機器8に対して装着する代わりにエンジン7に装着しておいて、冷却機器8をエンジン7及びファンシュラウド10に対して離れる方向に水平移動可能にし、冷却機器8とファンシュラウド10との間にメンテナンス可能空間を形成するようにしたり、冷却ファン7Aを吸い込み式にしたりしてもよい。
【0048】
また、ガイド板73はガイド溝73aの下側部分を傾倒保持部材74の水平移動規制部(垂下部)74b近傍まで延設し、支持板76の摺接部76aを割愛し、係合部材72をガイド板73のガイド溝73a下側部分で摺接案内するように構成してもよい。
図13〜18にはローダ作業機1のアクセル機構を示している。
フレーム本体26の前部には、底壁26A上のステップ台86にステップ板87が固定され、このステップ板87にフットアクセル機構88が設けられ、右側壁26Bの内面には前傾姿勢のスタンド台89が固定され、このスタンド台89にハンドアクセル機構90が設けられている。
【0049】
ステップ板87は平坦なステップ壁87aから前側に前傾斜壁87bを有し、ステップ壁87a上にアクセルペダル91が枢支され、前傾斜壁87bの下面にブラケット92を介してアクセル軸93が回動自在に支持されている。
前記ブラケット92は板材を正面視略門型に形成されたものであり、アクセル軸93の中途部と一端部(左端)とを支持しており、アクセル軸93の一端部をボス部92aで支持する側壁92bの外面には枠材92cが固着され、この枠材92cにポテンショメータ94がインロー結合して固定されている。
【0050】
アクセル軸93とポテンショメータ94の入力軸94aとは同心に配置され、図13、18に示すように、アクセル軸93の一端部には端面に係合溝93aが形成され、ポテンショメータ94の入力軸94aの先端は小判形状に形成されていて、前記係合溝93aに係合されており、アクセル軸93の回動を入力軸94aに伝達可能になっている。
アクセル軸93の係合溝93aとポテンショメータ94の入力軸94aとの同心性及び
係合は、アクセル軸93をボス部92aで支持することにより確保されており、係合溝93aと入力軸94aとの間には僅少間隙が設けられていて、両者の回動方向の係合に僅少遊びを設けるとともに、アクセル軸93のこじれも吸収できるようにしている。
【0051】
前記ポテンショメータ94はハーネス105を介してエンジン7のガバナ機構に接続されており、アクセルペダル91の踏み込み方向のアクセル軸93の回動(図14時計方向)で、入力軸94aが回動してエンジン7の回転を上昇させるものである。なお、ポテンショメータ94はアクセルペダル91の踏み込み解除で、前記入力軸94aがスプリング等の付勢手段によって元位置に復元できるようになっている。
【0052】
ポテンショメータ94のケース94bはブラケット92の側壁92bの外面の枠材92cに入り込んでいて、インロー結合して密着されており、アクセル軸93と入力軸94aの係合部分に泥水、土砂が入り込まないようになっているが、入り込んだものを排出するために、また、湿気等のこもりを生じさせないために、ブラケット92の側壁92bの下部側には、枠材92c内部及びケース94b内部と連通する抜き孔92dが形成されている。
【0053】
前記アクセル軸93には第1アーム95と第2アーム96とが固定され、揺動アーム97が揺動自在に遊嵌されている。前記第1アーム95の自由端には継手を介してリンク98が連結され、このリンク98はアクセルペダル91の自由端と連結されており、アクセルペダル91の踏み込み動作でリンク98を介して第1アーム95を回動する。
揺動アーム97は基部側がコ字状に形成されていて、こじれを生じないように2箇所でアクセル軸93に遊嵌されており、自由端にはピン99が設けられ、このピン99に連動ケーブル100のインナワイヤ100aが連結されており、また、ピン99にはカラーを嵌合しており、第2アーム96の一側縁側に形成した凹部96aと係合可能になっている。
【0054】
前記ピン99はインナワイヤ100aを介して引っ張られることにより第2アーム96と係合し、第2アーム96を介してアクセル軸93をエンジン7回転数上昇方向(図14時計方向、図18反時計方向)に回動する。
アクセルペダル91を図14、15の2点鎖線状態から実線状態へ踏み込むと、リンク98を介して第1アーム95を回動し、アクセル軸93を介してポテンショメータ94の入力軸94aを回動し、電気信号によりエンジン7回転を正確に上昇させる。
【0055】
このとき、前記第1アーム95によるアクセル軸93の回動は、第2アーム96を連動して回動するが、第2アーム96はピン99から離れる方向に回動するので、揺動アーム97を揺動することはなく、ハンドアクセルレバー101も揺動されることはない。
前記連動ケーブル100は右側壁26Bの内面に沿って配置されていて、スタンド台89のハンドアクセル機構90まで延設されている。スタンド台89にはハンドアクセルレバー101が軸102を介して枢支され、図外の摩擦抵抗手段で揺動位置に保持可能になっており、このハンドアクセルレバー101に固定されたハンドアーム103に連動ケーブル100のインナワイヤ100aが連結されている。
【0056】
ハンドアクセルレバー101は一定角度揺動可能であり、図15の2点鎖線位置から前方へ揺動することによりインナワイヤ100aを引っ張って、揺動アーム97を図14時計方向、図18反時計方向に揺動し、ピン99を介して第2アーム96及びアクセル軸93をエンジン7回転数上昇方向に回動する。
ハンドアクセルレバー101によるエンジン7回転数上昇は最高回転数の手前までになっており、手前から最高回転数まではアクセルペダル91を踏み込んで第1アーム95を介してアクセル軸93を回動することにより行われる。
【0057】
ステップ板87にはボルトで形成されたストッパ106がアクセルペダル91の下方に設けられており、アクセルペダル91の踏み込み限界を調整自在に設定している。
前記フットアクセル機構88によれば、アクセル軸93の回動をポテンショメータ94で検出するので、コモンレールや電子噴射技術を採用したエンジン7の回転数制御の精度を向上することができ、アクセル軸93の回動動力伝達に対する泥水、土砂、湿気等による悪影響が少なく、エンジン回転数制御の信頼性及び耐久性を向上することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 ローダ作業機(作業機)
2 走行装置
3 機体フレーム
7 エンジン
7A 冷却ファン
8 冷却機器
8A 冷却機器本体
8B 冷却機器フレーム
9 ボンネット
10 ファンシュラウド
12 支持台
13 装着部材
71 支持具
72 係合部材
73 ガイド板
73a ガイド溝
74 傾倒保持部材
74a コーナ部(受持部)
74b 垂下部(水平移動規制部)
75 保持板
76 支持板
77 締結具
56 ステー
A 移動手段
B 傾倒手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トラックローダ、スキッドローダ等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の作業機においては、特許文献1に開示されているように、走行装置を縣架した機体フレームにエンジン及び冷却機器を搭載し、前記機体フレームに冷却機器を取り付ける支持台と冷却機器を固定する装着部材とを設けている作業機であって、前記冷却機器と支持台との間に、前記装着部材による固定を解除した状態で、前記冷却機器をエンジン側から離れる方向に水平移動可能にする移動手段を設けており、前記機体フレームの下部に冷却機器を水平移動したときに冷却機器の下部を担持する担持台を設け、前記冷却機器と支持台との間に、前記装着部材による固定を解除しかつ前記冷却機器を水平移動した状態で、冷却機器の上部をエンジンから離れる方向へ傾倒可能にする傾倒手段を設けており、前記冷却機器の下部に係合部材を下方突出状に設け、前記支持台の下面にガイド縦板を設け、前記係合部材とガイド縦板とに移動手段及び傾倒手段を構成している(特許請求の範囲)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−209613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術においては、移動手段及び傾倒手段は冷却機器及び支持台の下方に配置されているため、上方から目視し難く、そのため冷却機器を水平移動及び傾倒するのがやりづらくなっている。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした作業機を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、移動手段及び傾倒手段を上方から見ながら、冷却機器の水平移動及び傾倒が容易にできるようにした作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、走行装置2を縣架した機体フレーム3にエンジン7及び冷却機器8を搭載し、前記機体フレーム3に冷却機器8を載置して取り付ける支持台12と冷却機器8を固定する装着部材13とを設け、
前記冷却機器8の左右各側部と支持台12との間に、装着部材13による固定を解除した状態で、冷却機器8をエンジン7側から離れる方向に水平移動可能にする移動手段Aと、冷却機器8を水平移動した状態で、冷却機器8上部をエンジン7から離れる方向へ傾倒可能にする傾倒手段Bとを設けており、
前記移動手段Aは、冷却機器8の側面下部に設けられていて支持台12上に載置される支持具71と、冷却機器8の側面下部に側方突設された係合部材72と、支持台12上に設けられていて係合部材72の水平移動を案内するガイド溝73aを形成したガイド板73とを有し、
前記傾倒手段Bは、支持台12上に設けられていてガイド板73のガイド溝73aから水平移動で突出してきた係合部材72をガイド溝73aより上側の位置で受持する傾倒保持部材74を有することを特徴とする。
【0007】
第2に、前記支持台12上に保持板75を設け、この保持板75に傾倒保持部材74を着脱自在に固定しており、
前記傾倒保持部材74は、係合部材72を受持する受持部74aの下部に、ガイド溝73aから突出してきた係合部材72の水平移動を規制すべく、高さ方向で係合部材72とオーバラップする水平移動規制部74bを有することを特徴とする。
【0008】
第3に、前記冷却機器8の側面下部に支持板76を固定し、この支持板76に前記支持具71と係合部材72とを設けるとともに、冷却機器8を固定位置に配置したときに前記
保持板75と対面しかつ互いに締結具77で締結されるステー56を設けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動手段及び傾倒手段を上方から見ながら、冷却機器の水平移動及び傾倒が容易にできる。
即ち、第1に、移動手段Aの支持具71と係合部材72とは冷却機器8の側面下部に設けられ、かつガイド板73は支持台12上に設けられ、傾倒手段Bの傾倒保持部材74は支持台12上に設けられているので、冷却機器8を水平移動及び傾倒する際に、支持台12の上方でかつ冷却機器8の側方から移動手段A及び傾倒手段Bを見ながら冷却機器8を押し引き動作することができ、移動・傾倒動作が容易にできる。また、機体フレーム3の下方から跳ね上がる泥土を支持台1で遮ることにより、移動手段A及び傾倒手段Bに付着するのを防止できる。
【0010】
第2に、冷却機器8を水平移動して機体フレーム3から引き出す際に、係合部材72がガイド溝73aから突出して傾倒保持部材74の水平移動規制部74bに当接するので、冷却機器8を水平移動し過ぎることがなく、受持部74aへの受持、即ち、傾倒動作が容易にできる。
第3に、傾倒保持部材74を設けた保持板75及び支持具71と係合部材72とを設けた支持板76を利用して、支持台12に対する冷却機器8の締結ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を示す冷却機器固定状態の側面図である。
【図2】同冷却機器固定状態の平面図である。
【図3】同冷却機器固定状態の背面図である。
【図4】同冷却機器傾倒状態の側面図である。
【図5】同冷却機器固定状態の要部拡大側面図である。
【図6】同冷却機器固定状態の要部拡大平面図である。
【図7】同冷却機器固定状態の要部拡大背面図である。
【図8】同冷却機器傾倒状態の要部拡大側面図である。
【図9】移動手段及び傾倒手段の分解側面図である。
【図10】ローダ作業機の全体側面図である。
【図11】機体フレーム内の断面側面図である。
【図12】機体フレームを後方から見た斜視図である。
【図13】フットアクセル機構の断面正面図である。
【図14】フットアクセル機構の側面図である。
【図15】アクセル機構の全体側面図である。
【図16】アクセル機構の全体正面図である。
【図17】アクセル機構の全体平面図である。
【図18】アクセル動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図10において、符号1はトラックローダで例示したローダ作業機(作業機)を示しており、このローダ作業機1は、走行装置2を縣架した機体フレーム3の前部に運転装置4を配置し、この運転装置4の前方側で作業具(バケット)5を昇降させる作業装置(掘削作業装置)6の基部側を前記機体フレーム3の後部の左右両側に支持しており、機体フレーム3の後部にエンジン7及び冷却機器8を搭載し、機体フレーム3の後端を開放状に形成してボンネット9で開閉自在に覆っている。
【0013】
図10、11、12において、前記機体フレーム3は鋼板で形成されていて、底壁26A、左右側壁26B、前壁26C及び後部壁26Dを有する箱形状のフレーム本体26を形成し、このフレーム本体26の左右側壁26Bの後端から外側方へ突出した前記左右後部壁26Dに支持枠体27を固着し、フレーム本体26の後上部に左右後部壁26D及び支持枠体27の上部を連結する架橋体28を固着している。
【0014】
この機体フレーム3のフレーム本体26は、架橋体28より前側が上方に開放されていて、運転装置4のキャビンを配置可能になっており、架橋体28より後側が上方に開放されていて、エンジン7を上方から搭載可能になっており、背面側が後方に開放されていて、エンジン7及び冷却機器8を後方及び上方からメンテナンス可能になっている。
左右各支持枠体27は、板金材で内側壁27A、外側壁27B及び背壁27Cを形成し、内側壁27A及び外側壁27Bの前縁を前記フレーム本体26の後部壁26Dに固着して箱形状に形成されている。
【0015】
支持枠体27の内側壁27Aは外側壁27Bより大きく上方へ突出しており、この内側壁27Aの上部に前記架橋体28の左右端部が固着されている。支持枠体27の前壁はフレーム本体26の後部壁26Dによって形成されており、走行装置2の後方を覆うフェンダも兼ねている。
左右支持枠体27の内側壁27Aはエンジンルームの左右側壁を形成しており、その上縁は架橋体28の後縁から後方へ下向き傾斜しており、エンジンルームの上方を覆うルームカバー21は架橋体28から機体フレーム3後端まで下向き傾斜し、運転装置4からの後下方視界を拡大するように構成されている。前記ルームカバー21は前部が架橋体28に枢支されており、後部を上昇させてエンジンルームの上方を開放させることができるようになっている。
【0016】
前記フレーム本体26の側壁26Bには、走行装置2の油圧モータを取り付ける取付部29が形成され、外面下部にトラックフレーム30が固着され、外面上縁にフェンダ31が固着されている。このフェンダ31は支持枠体27の後部壁26Dの上端に接続されている。
前記トラックフレーム30には前後従動輪33F、33Rと複数個の転輪34とが支持され、これらと油圧モータに装着された駆動輪35とにかけてクローラ36が巻き掛けられてクローラ式走行装置が構成され、左右一対のクローラ式走行装置で走行装置2が構成されている。
【0017】
なお、走行装置2はクローラ式走行装置に代えて、前後ホイール式走行装置、前ホイール式で後クローラ式の走行装置にしてもよい。
運転装置4はフレーム本体26の前半分の上方に配置され、キャビン37内の床板に運転席38及び操縦装置を配置して構成されている。前記キャビン37の床板はキャビン底の後半分に設けられ、前半分は下方に開放されており、運転席38に着座する運転者はフレーム本体26内に設けられるステップに足を置くようになっている。キャビン37は前面に乗降口を有する。
【0018】
前記キャビン37は背面下部に枢支軸を有し、その枢支軸は前記架橋体28の上面に設けられた支持ブラケット39に支持されており、また、キャビン37とフレーム本体26との間にキャビン昇降用のダンパが設けられている。
キャビン37は背面下部を中心に前部が前下側から後上側へ昇降可能であり、上昇させることにより、フレーム本体26内を開放して付設機器のメンテナンスができるようになっている。
【0019】
作業装置6は、作業具(バケット)5と、この作業具5を枢支軸5Aを介して先端に枢支連結した左右一対のアーム41と、左右各アーム41の基部と枢支連結されたリフトリンク42と、左右各アーム41の基部近傍と枢支連結された制御リンク43と、前記作業具5とアーム41との間に設けた作業具シリンダ44と、アーム41と支持枠体27との間に設けたアームシリンダ45とを有している。
【0020】
前記左右アーム41は前連結部材46と後連結部材47とによって前後2箇所で連結されていて、キャビン37の左右側方で昇降するように配置されており、前連結部材46はアーム41を最下位まで下降したときにフレーム本体26の前壁26Cと当接可能になっており、後連結部材47はパイプで形成されていてアーム41の後端より若干前側に位置している。左右各アーム41は互いに対向している側壁の基部が下方へ三角形状の突出部41Aを有している。
【0021】
前記リフトリンク42は縦向き配置されており、その下部は支持枠体27内に挿入され
ていて第1ピンP1を介して枢支され、その上部は第2ピンP2を介して後連結部材47より後方のアーム41の基部と連結され、この上部が前後移動するように揺動可能になっている。
前記制御リンク43は前後向き配置されており、その前部は支持枠体27の内側壁27Aの上部とフレーム本体26の後部壁26Dの前上部に固着した支持体48とに第3ピンP3を介して枢支され、その後部は第4ピンP4を介してアーム41の基部近傍の前記突出部41Aと連結され、略水平姿勢から後部が上昇する立ち上がり揺動可能になっている。
【0022】
前記アームシリンダ45は、チューブ下部が支持枠体27内に挿入されていて第1連結ピンR1を介して連結され、シリンダロッド先端が第2連結ピンR2を介してアーム41に連結されている。
前記第1ピンP1は機体フレーム3の後端上部近傍に位置し、第3ピンP3は第1ピンP1より僅かに高く、前後位置が運転装置4のキャビン37の後部とオーバラップする位置になっている。
【0023】
前記第1連結ピンR1は第1ピンP1より僅かに前方に位置し、前記第2連結ピンR2は、後連結部材47を挟んで第2ピンP2と反対側に位置し、これらは略直線上に配置されている。第2ピンP2から第2連結ピンR2までの距離は、第2ピンP2から第4ピンP4までの距離より長く、第2ピンP2から第3ピンP3までの距離より短くなっており、側面視において、アームシリンダ45は制御リンク43と交叉している。
【0024】
図10に示す作業具5が接地したアーム41の最下位状態において、リフトリンク42は第2ピンP2が第1ピンP1より僅かに後方の後傾斜姿勢であり、制御リンク43は第4ピンP4が第3ピンP3より僅かに高い後上がりに傾斜姿勢であり、アーム41は第2連結ピンR2が第2ピンP2より低くかつ第4ピンP4より高い前下向き傾斜姿勢であり、アームシリンダ45は制御リンク43の前後方向略中央と交叉し、アームシリンダ45がアーム41の第2ピンP2と枢支軸5Aとを結ぶ中心線に対して略直交している。
【0025】
前記アーム41、リフトリンク42及び制御リンク43は、第1ピンP1から第4ピンP4の4ピンを節とする4節リンク構造になっており、アームシリンダ45を伸張することにより、制御リンク43の拘束を受けかつリフトリンク42の前後揺動を伴いながら第2ピンP2を中心にしてアーム41を上昇する。
アーム41が最下位状態から最上位状態になるまでの上昇動作の全範囲に亘って、リフトリンク42はボンネット9より後方へは突出することがなく、制御リンク43は尻上がり姿勢から立ち上がって後傾姿勢まで変化するが、90度よりも小さい範囲で上下揺動する。
【0026】
図1〜12において、機体フレーム3はフレーム本体26の底壁26Aの後端に、左右支持枠体27間の底を形成する延長底板51が固定されており、前記底壁26A及び延長底板51にエンジン7が搭載されている。また、延長底板51の後部に支持台12が設けられ、この支持台12上に冷却機器8が載置固定されている。支持台12の上面は略水平であって冷却機器8を水平移動(摺動)可能に載置している。
【0027】
前記エンジン7は背面側にクランク軸からベルト伝動手段7Bを介して駆動される冷却ファン7Aを有しており、このエンジン7の後方に冷却機器8が配置され、この冷却機器8のエンジン7側の面には前記冷却ファン7Aを覆うファンシュラウド10が装着されている。
ファンシュラウド10は前記冷却機器本体8A又は冷却機器フレーム8Bに取り付けられており、その取付部は冷却機器フレーム8Bと相似形であり、冷却ファン7Aに対向する部分は円形になっている。
【0028】
冷却機器8は、冷却機器本体8Aと、この冷却機器本体8Aの左右・上下を包囲して保護する冷却機器フレーム8Bとを有している。
前記冷却機器本体8Aはラジエータとオイルクーラとを左右に併設して一体化したものであり、図11に示すように、ラジエータは上部に水を注入可能にする注入キャップ8aを有し、エンジン7との間にホース8bが接続されており、オイルクーラには油圧ホース
8cが接続されている。
【0029】
前記オイルクーラの油圧ホース8cはその他の油圧機器の油圧ホースとともに油圧中継器23に接続されており、この油圧中継器23を介して油圧タンクに接続されている。前記油圧ホース8cは、オイルクーラと油圧中継器23との間で丸く丸めて配置されており、冷却機器8を前後に移動したときに丸味の半径が変化することにより、伸縮、撓みが場所を取らなく円滑にできるようにしている。
【0030】
前記冷却機器8は後部が機体フレーム3の背面及び冷却機器8の上方を覆うルームカバー21の後端より後方に突出しており、その露出した後部を前記機体フレーム3の後端を開閉するボンネット9で覆っている。
機体フレーム3の背面は鉛直ではなく、上部が前側となる前傾面になっており、冷却機器8は下部よりも上部が機体フレーム3の背面から大きく露出している。
【0031】
前記ボンネット9は機体フレーム3の背面の左右一側に縦軸回り回動自在に支持されており、冷却機器8と対面する内面にはエアーコンデショナ等の冷却補助器22を装着している。冷却補助器22は機体フレーム3内の機器と媒体搬送ホースを介して接続されている。
前記冷却機器本体8Aをラジエータのみで構成して、オイルクーラを冷却補助器22としてボンネット9に装着してもよい。
【0032】
前記冷却機器フレーム8Bは、下板53と、この下板53に下端が固着された左右一対の側板54と、この左右側板54の上部にボルトを介して締結される上板55とを有し、左右側板54又は上下板53、55で冷却機器本体8Aを挟んでいる。前記冷却機器本体8Aの注入キャップ8aは上板55を貫通して上方に突出している。
前記左右各側板54の外側面には上下にステー56を固着しており、これらステー56は機体フレーム3の左右支持枠体27、支持台12等に設けた装着部材13に締結具(ボルト)77を介して着脱自在に装着されている。また、ステー56は上板55にも設けられている。前記締結具77を解除することにより、冷却機器8は機体フレーム3に対して水平移動自在に、また水平移動した状態から傾動自在になる。
【0033】
前記左右各側板54の外側面下部には支持板76が固定されており、この支持板76に前記下側のステー56が外側方突出状に固着され、支持具71とピン製の係合部材72とが外側方突出状に設けられ、さらに支持板76のエンジン7側(前側)の下縁には下方突出形状の摺接部76aが形成されている。この摺接部76aは係合部材72の略下方に位置している。
【0034】
前記支持具71は支持板76の後下部に固着の軸71aに弾性の有るゴム又は樹脂等で形成されたコロ71bを回転自在に遊嵌して構成され、前記摺接部76aとともに支持台12の上面に当接することにより、支持台12上に冷却機器8を立ち姿勢に載置している。
前記支持具71は、コロ71bを適用することにより、冷却機器8を水平移動する際に、摺接部76aを浮かせるように冷却機器8を僅かに傾斜させれば、コロ71bの転動により冷却機器8の水平移動を円滑かつ容易に行うことができるようになる。
【0035】
なお、支持具71は、コロ71bの代わりに、支持板76の下縁後部にも摺接部76aを形成したり、弾性の有るゴム又は樹脂等で半球体を形成し、その半球体を球面が支持台12に接するように設けたりして構成することもできる。
支持台12の上面には冷却機器8の左右各外側面に対向してガイド板73と保持板75とが立設されている。このガイド板73の後端と保持板75の内端(冷却機器8側端部)とは平面視L字状に連結され、また左右保持板75の外端は機体フレーム3の左右支持枠体27に連結されている。
【0036】
前記ガイド板73には後端から前方(エンジン7側)に切り欠かれた水平状のガイド溝73aが形成され、このガイド溝73aに後方から係合部材72が挿入係合されていて、冷却機器8の水平移動を案内可能になっている。前記ガイド溝73aはガイド板73と直角に連結された保持板75にも開溝されている。
前記ガイド溝73aの上下幅は係合部材72のピン径より大きく、冷却機器8を水平移
動する際には、係合部材72はガイド溝73aに当接する必要はないが、摺接部76aを浮かせるように冷却機器8を僅かに傾斜させたときは当接して、冷却機器8の傾斜が大きくなるのを規制する。
【0037】
なお、摺接部76aを浮かせると、冷却機器8は支持具71のみで支持され、支持具71の転動により容易に移動できるようになる。
前記支持台12、支持具71、摺接部76a、係合部材72及びガイド板73等によって、冷却機器8を水平移動可能にさせる移動手段Aが構成されている。
前記支持台12上に立設された保持板75には、雌ねじ孔を有する取り付け台79が固着され、かつその上部にスリット80が形成されており、側面視L字形状の傾倒保持部材74が締結具(ボルト)81を介して着脱可能に取り付けられている。
【0038】
傾倒保持部材74はコーナ部74aを挟んで垂下部74bと水平部74cとを有し、水平部74cの先端は幅狭に形成され、この先端をスリット80に挿入した状態で、垂下部74bを取り付け台79に当てがって、締結具81を垂下部74bの孔に貫通して取り付け台79に螺合している。
なお、傾倒保持部材74は締結具81の貫通用孔が中央からずれていて左右2箇所に形成され、冷却機器8の左右どちら側に配置される場合にも1種類で兼用できるようになっている。
【0039】
前記傾倒保持部材74は傾倒手段Bを構成するものであって、垂下部74bの下部はガイド溝73a及び係合部材72とオーバラップする高さに位置し、ガイド溝73aから突出してきた係合部材72の水平移動を規制する水平移動規制部となっており、コーナ部74aは水平移動規制部(垂下部)74bに当接した係合部材72が冷却機器8の傾倒により上動したときに係合部材72を受持する受持部となっている。
【0040】
支持台12上に冷却機器8を載置する組立ての際、係合部材72をガイド板73のガイド溝73aに挿入してから、傾倒保持部材74を保持板75に固定しており、水平移動規制部(垂下部)74bは係合部材72の水平移動延長上に位置し、受持部(コーナ部)74aは係合部材72をガイド溝73aより上側に位置している。
係合部材72をガイド溝73aから抜き出す(冷却機器8の水平移動)と、係合部材72は水平移動規制部74bに当接して停止し、その状態で係合部材72を上動させる(冷却機器8の傾動)と、係合部材72は受持部74aに受持される。この係合部材72を受持した状態で、冷却機器8は水平移動した後に上部がエンジン7から離れる方向へ傾倒した状態に保持される。
【0041】
前記保持板75の上部は装着部材13を兼ねており、固定位置に配置した冷却機器8の側面下部に設けたステー56が対面し、互いに締結具77で締結されるようになっている。また、保持板75の上部(スリット80の上側)には上方に開放された切欠82が形成されており、図4、7〜9に示す戻り規制部材83の一端が係脱自在になっている。
この戻り規制部材83は、冷却機器8を後傾倒姿勢に傾倒させた状態から垂直姿勢へ戻るのを規制するものであり、一端上側と他端下部とにそれぞれ突起部が形成され、傾倒保持部材74上に載置した状態で、一端突起部を切欠82に係合し、他端突起部を傾倒した冷却機器8のステー56に係合される。
【0042】
戻り規制部材83を保持板75とステー56との間に挿入すると、冷却機器8の垂直姿勢への戻り回動力は、ステー56から戻り規制部材83に伝わり、保持板75で受けられ、傾倒した冷却機器8の不本意な戻り回動を阻止する。
前述のように構成された冷却機器8の取り付け構造において、傾倒保持部材74を外した状態で、コロ71b及び摺接部76aを支持台12上面に載置して、冷却機器8を支持台12上に載せ、この状態で冷却機器8を前方向水平移動(摺動)させて係合部材72をガイド溝73a内へ移動し、この前方向水平移動により、左右・上下のステー56がそれぞれ装着部材13に対向し、それらを締結具77で締結することにより、冷却機器8は機体フレーム3に固定される。その後に、保持板75に傾倒保持部材74を締結具81を介して取り付ける。
【0043】
メンテナンスをするとき、冷却機器8はステー56を締結している締結具77を弛める
ことにより、装着部材13による固定が解除されて、機体フレーム3に対して水平移動が可能になり、コロ71b及び摺接部76aを支持台12上面で転動及び摺動させ(図1、5に2点鎖線で示す。)、係合部材72をガイド溝73a内で後方移動させてガイド溝73aから抜け出させる。
【0044】
ガイド溝73aから抜け出た係合部材72は水平移動規制部74bに当接して後方移動が停止され、コロ71bを中心に冷却機器8を後方へ傾動させると、係合部材72は受持部74aに受持されかつ上動が規制され、冷却機器8は上部がエンジン7から離れる方向へ傾倒した後傾倒姿勢に保持される(図1に1点鎖線で、図4、8に実線でそれぞれ示す。)。
【0045】
前記冷却機器8の後方移動及び傾動動作は、作業員が冷却機器8の左右側部下方の移動手段A及び傾倒手段Bを左右側方の後上方から目視しながら、冷却機器8を後方へ移動することにより行われる。
冷却機器8の後方水平移動状態でエンジン7及び冷却ファン7Aと冷却機器8及びフアンシュラウド10との間に形成された前後方向の空間は、冷却機器8を後方側へ傾倒することによりI字状からV字状に開いて拡大される。
【0046】
また、機体フレーム3の背面は上部が前側となる前傾面になっていることにより、後傾倒した冷却機器8との間の前記V字状空間は機体フレーム3の背面上部でより大きく開放され、冷却ファン7A、ベルト伝動手段7B及びその周辺の機器が上方から見やすくなり、手を入れてメンテナンスすることが可能な空間を形成することになる。
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜12に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
【0047】
例えば、前記移動手段A及び傾倒手段Bは、ローダ作業機の他にバックホー等の作業機の冷却機器8の取り付け構造に適用して、機体フレーム3にエンジン7及び冷却機器8を左右方向に配列し、冷却機器8を左右方向水平移動させるように構成してもよい。
ファンシュラウド10を冷却機器8に対して装着する代わりにエンジン7に装着しておいて、冷却機器8をエンジン7及びファンシュラウド10に対して離れる方向に水平移動可能にし、冷却機器8とファンシュラウド10との間にメンテナンス可能空間を形成するようにしたり、冷却ファン7Aを吸い込み式にしたりしてもよい。
【0048】
また、ガイド板73はガイド溝73aの下側部分を傾倒保持部材74の水平移動規制部(垂下部)74b近傍まで延設し、支持板76の摺接部76aを割愛し、係合部材72をガイド板73のガイド溝73a下側部分で摺接案内するように構成してもよい。
図13〜18にはローダ作業機1のアクセル機構を示している。
フレーム本体26の前部には、底壁26A上のステップ台86にステップ板87が固定され、このステップ板87にフットアクセル機構88が設けられ、右側壁26Bの内面には前傾姿勢のスタンド台89が固定され、このスタンド台89にハンドアクセル機構90が設けられている。
【0049】
ステップ板87は平坦なステップ壁87aから前側に前傾斜壁87bを有し、ステップ壁87a上にアクセルペダル91が枢支され、前傾斜壁87bの下面にブラケット92を介してアクセル軸93が回動自在に支持されている。
前記ブラケット92は板材を正面視略門型に形成されたものであり、アクセル軸93の中途部と一端部(左端)とを支持しており、アクセル軸93の一端部をボス部92aで支持する側壁92bの外面には枠材92cが固着され、この枠材92cにポテンショメータ94がインロー結合して固定されている。
【0050】
アクセル軸93とポテンショメータ94の入力軸94aとは同心に配置され、図13、18に示すように、アクセル軸93の一端部には端面に係合溝93aが形成され、ポテンショメータ94の入力軸94aの先端は小判形状に形成されていて、前記係合溝93aに係合されており、アクセル軸93の回動を入力軸94aに伝達可能になっている。
アクセル軸93の係合溝93aとポテンショメータ94の入力軸94aとの同心性及び
係合は、アクセル軸93をボス部92aで支持することにより確保されており、係合溝93aと入力軸94aとの間には僅少間隙が設けられていて、両者の回動方向の係合に僅少遊びを設けるとともに、アクセル軸93のこじれも吸収できるようにしている。
【0051】
前記ポテンショメータ94はハーネス105を介してエンジン7のガバナ機構に接続されており、アクセルペダル91の踏み込み方向のアクセル軸93の回動(図14時計方向)で、入力軸94aが回動してエンジン7の回転を上昇させるものである。なお、ポテンショメータ94はアクセルペダル91の踏み込み解除で、前記入力軸94aがスプリング等の付勢手段によって元位置に復元できるようになっている。
【0052】
ポテンショメータ94のケース94bはブラケット92の側壁92bの外面の枠材92cに入り込んでいて、インロー結合して密着されており、アクセル軸93と入力軸94aの係合部分に泥水、土砂が入り込まないようになっているが、入り込んだものを排出するために、また、湿気等のこもりを生じさせないために、ブラケット92の側壁92bの下部側には、枠材92c内部及びケース94b内部と連通する抜き孔92dが形成されている。
【0053】
前記アクセル軸93には第1アーム95と第2アーム96とが固定され、揺動アーム97が揺動自在に遊嵌されている。前記第1アーム95の自由端には継手を介してリンク98が連結され、このリンク98はアクセルペダル91の自由端と連結されており、アクセルペダル91の踏み込み動作でリンク98を介して第1アーム95を回動する。
揺動アーム97は基部側がコ字状に形成されていて、こじれを生じないように2箇所でアクセル軸93に遊嵌されており、自由端にはピン99が設けられ、このピン99に連動ケーブル100のインナワイヤ100aが連結されており、また、ピン99にはカラーを嵌合しており、第2アーム96の一側縁側に形成した凹部96aと係合可能になっている。
【0054】
前記ピン99はインナワイヤ100aを介して引っ張られることにより第2アーム96と係合し、第2アーム96を介してアクセル軸93をエンジン7回転数上昇方向(図14時計方向、図18反時計方向)に回動する。
アクセルペダル91を図14、15の2点鎖線状態から実線状態へ踏み込むと、リンク98を介して第1アーム95を回動し、アクセル軸93を介してポテンショメータ94の入力軸94aを回動し、電気信号によりエンジン7回転を正確に上昇させる。
【0055】
このとき、前記第1アーム95によるアクセル軸93の回動は、第2アーム96を連動して回動するが、第2アーム96はピン99から離れる方向に回動するので、揺動アーム97を揺動することはなく、ハンドアクセルレバー101も揺動されることはない。
前記連動ケーブル100は右側壁26Bの内面に沿って配置されていて、スタンド台89のハンドアクセル機構90まで延設されている。スタンド台89にはハンドアクセルレバー101が軸102を介して枢支され、図外の摩擦抵抗手段で揺動位置に保持可能になっており、このハンドアクセルレバー101に固定されたハンドアーム103に連動ケーブル100のインナワイヤ100aが連結されている。
【0056】
ハンドアクセルレバー101は一定角度揺動可能であり、図15の2点鎖線位置から前方へ揺動することによりインナワイヤ100aを引っ張って、揺動アーム97を図14時計方向、図18反時計方向に揺動し、ピン99を介して第2アーム96及びアクセル軸93をエンジン7回転数上昇方向に回動する。
ハンドアクセルレバー101によるエンジン7回転数上昇は最高回転数の手前までになっており、手前から最高回転数まではアクセルペダル91を踏み込んで第1アーム95を介してアクセル軸93を回動することにより行われる。
【0057】
ステップ板87にはボルトで形成されたストッパ106がアクセルペダル91の下方に設けられており、アクセルペダル91の踏み込み限界を調整自在に設定している。
前記フットアクセル機構88によれば、アクセル軸93の回動をポテンショメータ94で検出するので、コモンレールや電子噴射技術を採用したエンジン7の回転数制御の精度を向上することができ、アクセル軸93の回動動力伝達に対する泥水、土砂、湿気等による悪影響が少なく、エンジン回転数制御の信頼性及び耐久性を向上することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 ローダ作業機(作業機)
2 走行装置
3 機体フレーム
7 エンジン
7A 冷却ファン
8 冷却機器
8A 冷却機器本体
8B 冷却機器フレーム
9 ボンネット
10 ファンシュラウド
12 支持台
13 装着部材
71 支持具
72 係合部材
73 ガイド板
73a ガイド溝
74 傾倒保持部材
74a コーナ部(受持部)
74b 垂下部(水平移動規制部)
75 保持板
76 支持板
77 締結具
56 ステー
A 移動手段
B 傾倒手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)を縣架した機体フレーム(3)にエンジン(7)及び冷却機器(8)を搭載し、前記機体フレーム(3)に冷却機器(8)を載置して取り付ける支持台(12)と冷却機器(8)を固定する装着部材(13)とを設け、
前記冷却機器(8)の左右各側部と支持台(12)との間に、装着部材(13)による固定を解除した状態で、冷却機器(8)をエンジン(7)側から離れる方向に水平移動可能にする移動手段(A)と、冷却機器(8)を水平移動した状態で、冷却機器(8)上部をエンジン(7)から離れる方向へ傾倒可能にする傾倒手段(B)とを設けており、
前記移動手段(A)は、冷却機器(8)の側面下部に設けられていて支持台(12)上に載置される支持具(71)と、冷却機器(8)の側面下部に側方突設された係合部材(72)と、支持台(12)上に設けられていて係合部材(72)の水平移動を案内するガイド溝(73a)を形成したガイド板(73)とを有し、
前記傾倒手段(B)は、支持台(12)上に設けられていてガイド板(73)のガイド溝(73a)から水平移動で突出してきた係合部材(72)をガイド溝(73a)より上側の位置で受持する傾倒保持部材(74)を有することを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記支持台(12)上に保持板(75)を設け、この保持板(75)に傾倒保持部材(74)を着脱自在に固定しており、
前記傾倒保持部材(74)は、係合部材(72)を受持する受持部(74a)の下部に、ガイド溝(73a)から突出してきた係合部材(72)の水平移動を規制すべく、高さ方向で係合部材(72)とオーバラップする水平移動規制部(74b)を有することを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記冷却機器(8)の側面下部に支持板(76)を固定し、この支持板(76)に前記支持具(71)と係合部材(72)とを設けるとともに、冷却機器(8)を固定位置に配置したときに前記保持板(75)と対面しかつ互いに締結具(77)で締結されるステー(56)を設けていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機。
【請求項1】
走行装置(2)を縣架した機体フレーム(3)にエンジン(7)及び冷却機器(8)を搭載し、前記機体フレーム(3)に冷却機器(8)を載置して取り付ける支持台(12)と冷却機器(8)を固定する装着部材(13)とを設け、
前記冷却機器(8)の左右各側部と支持台(12)との間に、装着部材(13)による固定を解除した状態で、冷却機器(8)をエンジン(7)側から離れる方向に水平移動可能にする移動手段(A)と、冷却機器(8)を水平移動した状態で、冷却機器(8)上部をエンジン(7)から離れる方向へ傾倒可能にする傾倒手段(B)とを設けており、
前記移動手段(A)は、冷却機器(8)の側面下部に設けられていて支持台(12)上に載置される支持具(71)と、冷却機器(8)の側面下部に側方突設された係合部材(72)と、支持台(12)上に設けられていて係合部材(72)の水平移動を案内するガイド溝(73a)を形成したガイド板(73)とを有し、
前記傾倒手段(B)は、支持台(12)上に設けられていてガイド板(73)のガイド溝(73a)から水平移動で突出してきた係合部材(72)をガイド溝(73a)より上側の位置で受持する傾倒保持部材(74)を有することを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記支持台(12)上に保持板(75)を設け、この保持板(75)に傾倒保持部材(74)を着脱自在に固定しており、
前記傾倒保持部材(74)は、係合部材(72)を受持する受持部(74a)の下部に、ガイド溝(73a)から突出してきた係合部材(72)の水平移動を規制すべく、高さ方向で係合部材(72)とオーバラップする水平移動規制部(74b)を有することを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記冷却機器(8)の側面下部に支持板(76)を固定し、この支持板(76)に前記支持具(71)と係合部材(72)とを設けるとともに、冷却機器(8)を固定位置に配置したときに前記保持板(75)と対面しかつ互いに締結具(77)で締結されるステー(56)を設けていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−36228(P2013−36228A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172965(P2011−172965)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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