説明

作業用アタッチメントの着脱装置

【課題】アダプタの凹部と上部旋回体側ピンの接触による摩耗やそれに伴うガタの発生が防止される作業用アタッチメントの着脱装置を提供する。
【解決手段】上部旋回体2に設けたブラケット26に下部ピン孔32および上部ピン孔35を設ける。アダプタ27に作業用アタッチメントのブームフート部12aとブームシリンダ11とをピン42,45により連結する。アダプタ27のブラケット26への取付け側の一方に上下面を平面状に形成した凹部55を設ける。上部ピン孔35に上部ピン34を挿着する。上部ピン34に筒状ピン36を回動可能に外嵌する。凹部55の上下面と筒状ピン36の平面部との面接触により面圧を低下させ、摩耗を低減する。下部ピン孔32とアダプタ27の連結部57のピン孔に下部ピン31を挿着してブラケット26にアダプタ27を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームを有する油圧ショベルやその応用機等の建設機械における作業用アタッチメントの着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業用アタッチメントを有する建設機械においては、作業用アタッチメントを上部旋回体から分離輸送し、容易、迅速に組立てるため、上部旋回体のブラケットと、作業用アタッチメントのブームおよびブームシリンダとの間にアダプタを介装するものがある(特許文献1参照)。このアダプタは、その上面側にブームおよびブームシリンダをピンにより連結し、下面側には、上部旋回体に設けたブラケットへの取付け部を有する。このブラケットへの取付け部には凹部とピン孔とを有し、そのうち、凹部を、ブラケットに設けた上部ピンに着脱可能に嵌合し、ピン孔を、ブラケットの下部ピン孔に合わせて下部ピンを挿着して固定する。このようなアダプタを用いれば、アダプタを付けた作業用アタッチメントをクレーンにより吊り、上部旋回体のブラケットに予め取付けておいた上部ピンに前記アダプタの凹部を嵌め、続いてクレーン操作により作業用アタッチメントを下ろせば、アダプタのピン孔の位置がブラケットの下部ピン孔の位置に合うので、ピン孔の位置合わせが容易、迅速に行え、作業用アタッチメントの上部旋回体への組立が容易、迅速に行える。
【0003】
【特許文献1】特開2008−133630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の従来装置においては、上部旋回体のブラケットに取付けた上部ピンと、アダプタの凹部の上下面とが点接触するため、作業中に作業用アタッチメントに発生する振動により、稼動期間の経過に伴いその点接触部が次第に摩耗する。また、この摩耗に伴い、作業用アタッチメントのブラケットに対するガタが増加し、騒音発生や作業性の低下を惹起するという問題点がある。また、このため、アダプタやピンの交換頻度が増加するという問題点がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、アダプタの凹部の上部旋回体側ピンの接触による摩耗やそれに伴うガタの発生が防止され、アダプタやピンが長期にわたり使用可能となる構成の作業用アタッチメントの着脱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の作業用アタッチメントの着脱装置は、ブームを有する作業用アタッチメントを建設機械の上部旋回体に取付ける作業用アタッチメントの着脱装置において、
前記上部旋回体に設けられた前記作業用アタッチメント取付け用のブラケットと、
前記ブラケットに設けられた下部ピン孔、およびこの下部ピン孔より上方でかつ上部旋回体の前後方向に見て後方に設けられた上部ピン孔と、
前記ブームのフート部およびブーム起伏用のブームシリンダをそれぞれ回動可能にピン付けするアダプタと、
前記アダプタの前記ブラケットへの取付け側の一方に、前記上部旋回体側に開口部を向けて形成され、上下面を平面状に形成した凹部と、
前記アダプタの前記ブラケットへの取付け側であって、前記凹部より下方に設けられたピン孔と、
前記上部ピン孔に挿着する上部ピンと、
前記上部ピンに回動可能に外嵌され、少なくとも前記アダプタの前記凹部の上下面に対応する面が平面に形成され、前記凹部と互いに平面部を対面させて着脱可能に嵌合する嵌合部を有する筒状ピンと、
前記下部ピン孔とこの下部ピン孔に位置合わせした前記アダプタの前記ピン孔に挿着して前記ブラケットに前記アダプタを連結する下部ピンとを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の作業用アタッチメントの着脱装置は、請求項1に記載の作業用アタッチメントの着脱装置おいて、
前記アダプタと前記筒状ピンとの間に、前記アダプタが前記筒状ピンに対して軸方向に移動することを防止する移動防止手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の作業用アタッチメントの着脱装置は、請求項2に記載の作業用アタッチメントの着脱装置において、
前記凹部を、前記アダプタの左右にそれぞれ設けた凹部形成部材により分割して設け、
前記筒状ピンの左右両側に、前記アダプタの左右の凹部に対応してそれぞれ前記平面を有する嵌合部を設け、
前記筒状ピンの前記各嵌合部の軸心方向の各内側に、前記平面部より隆起した段部を形成し、
前記アダプタの左右の凹部形成部材の軸心方向の各内側の端面と、前記筒状ピンの前記各端面にそれぞれ対応し各端面に当接する前記段部とにより、前記移動防止手段を構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項4の作業用アタッチメントの着脱装置は、請求項1から3までのいずれか1項に記載の作業用アタッチメントの着脱装置において、
前記嵌合部の軸心に垂直方向の外周の断面形状が角部を面取りした正方形をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、アダプタの凹部内の上下面に設けた平面が、筒状ピンに設けた平面に面接触するため、接触面圧が低下し、アダプタの凹部やピンにおける摩耗の発生が低減される。このため、アダプタやピンを長期にわたって使用することができる。また、アダプタの凹部の摩耗が防止されるため、ブラケットに対する作業用アタッチメントのガタが低減される。このため、ガタによる騒音発生や作業性の低下を長期にわたって防止することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、筒状ピンに対するアダプタの軸心方向の移動が防止されるため、上部旋回体を旋回する際の作業用アタッチメントの横ずれが防止され、横ずれによる騒音発生や作業性の低下が防止できる。
【0012】
請求項3の発明によれば、筒状ピンに対するアダプタの軸心方向の移動防止手段を、筒状ピンの軸心方向の内側に設けたので、アダプタの両側から筒状ピンを挟んでアダプタの筒状ピンに対する軸方向の移動を防止する構造に比較し、アダプタの凹部と筒状ピンとの嵌合部を筒状ピンの左右両側に長く取ることができる。このため、アダプタの凹部と筒状ピンの嵌合部との嵌合面の面圧をより低下させることができ、作業用アタッチメントを安定的に支持することができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、筒状ピンの嵌合部の外周の断面形状を正方形に形成したので、対向する2つの嵌合面が摩耗した場合は、筒状ピンを回して他の2つの嵌合面に変更することにより、筒状ピンのさらなる長期使用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の作業用アタッチメントの着脱装置を適用する建設機械の一例である解体機を示す側面図である。図1において、1は下部走行体、2はこの下部走行体1上に旋回装置3を介して設置した上部旋回体であり、この上部旋回体2上には運転室4と、油圧源や電力源となるパワーユニット5と、旋回装置2を中心とした後述の作業用アタッチメント9等との重量バランスをとるためのカウンタウエイト6等が設置される。
【0015】
上部旋回体2に取付けられる本実施の形態の作業用アタッチメント9は、後述のように、上部旋回体2に設けたブラケット26に着脱可能に取付けるアダプタ27を介して取付けられる。この作業用アタッチメント9は、上部旋回体2に第1の油圧シリンダ11により起伏可能に取付けられる第1の分割ブーム12と、この第1の分割ブーム12の先端に第2の油圧シリンダ13により回動可能に取付けられた第2の分割ブーム14と、この第2の分割ブーム14の先端に第3の油圧シリンダ16により回動可能に取付けられた第3の分割ブーム17とを備えた3ピース型のものである。
【0016】
この実施の形態においては、第3の分割ブーム17の先端に回動可能に解体用作業具22を取付けている。19は第3の分割ブーム17に取付けた作業具回動用油圧シリンダ、20,21はそれぞれこの油圧シリンダ19と作業具22との間に設けたアームリンク、作業具リンクである。解体用作業具22は対をなす破砕爪23、24を内蔵の油圧シリンダによって開閉することにより、解体対象物であるコンクリートあるいは木造建築物等の解体を行なうものである。作業具としてはこの他、バックホウバケット、グラップルバケット、リフティングマグネット、ブレーカ(油圧を用いてチゼルを振動させてコンクリートや岩石等を破砕する破砕具)あるいは把持具等、作業目的に応じて各種のものが取付けられる。
【0017】
図2は前記作業用アタッチメント9を上部旋回体2に取付ける本発明の作業用アタッチメントの着脱装置の一実施の形態を示す側面図である。上部旋回体2に設けたブラケット26は、図3の側面図と、図4の平面図と、図5の正面図に示すように、上部旋回体2上に溶接され、互いに平行に対面する2枚の縦板28、28と、これらの縦板28、28の間に溶接された補強板28aと、縦板28,28の対向面にそれぞれ溶接された補強板29、29と、縦板28、28の下部の内側および補強板28aにそれぞれ対向させて設けた縦板30、30とを備える。縦板28の下部および前記下部の縦板30には下部ピン孔32を設ける。この下部ピン孔32は、アダプタ27を連結するための下部ピン31を挿着するものである。また、縦板28の上部でかつ建設機械の前後方向に見て後方となる位置には、この箇所に設ける補強板29と共に、上部ピン34を挿着する上部ピン孔35を設ける。36は上部ピン34に回動可能に外嵌する筒状ピンであり、その構造については後述する。
【0018】
アダプタ27の構造を図6〜図12に示す。図6の平面図、図7の側面図、図8の正面図(上部旋回体2の反対側から見た図)に示すように、アダプタ27の主板部39の上面側には、2枚の縦板40、40を溶接する。また、これらの縦板40、40の対向面に補強板41、41をそれぞれ溶接する。この縦板40および補強板41にピン孔43を設ける。そして図2に示したように、補強板41、41間で前記第1のブーム12のブームフート部12aを挟み、ピン孔43およびブームフート部12aに設けたピン孔(図示せず)にピン42を挿着してブームフート部12aをアダプタ27を連結する。また、図6〜図8に示すように、アダプタ27の主板部39の上面の下部には、2本の第1のブームシリンダ11の基端部を、縦板40、40との間でそれぞれ嵌め込む縦板44、44を設ける。これらの縦板40、44にピン孔46を設ける。図2に示したように、このピン孔46とブームシリンダ11のボスにピン45を挿着してブームシリンダ11をアダプタ27に連結する。
【0019】
アダプタ27の下面(ブラケット26に対向する面)には、図7、図9の背面図(上部旋回体2側から見た図)、図10の底面図に示すように、左右それぞれ2枚を一対とした縦板47,47および48,48を溶接する。各縦板47,48にはそれぞれ切込み47a,48aを設け、これらの切込み47a,48aにそれぞれ凹部形成部材49,50を溶接する。51は縦板47,47間に溶接した補強板、52は縦板48,48間に溶接した補強板、53は内側の縦板47,48間に溶接した補強板である。
【0020】
凹部形成部材49,50は上部旋回体2側に開口部を向けて形成された凹部55,56を有するものである。この各凹部55,56は、図11、図12に示すように、前記筒状ピン36を着脱可能に嵌合するものである。この各凹部55,56は同じ形状、サイズを有する。図12に示すように、凹部55,56の上面55a,56a、下面55b,56bを平面状に形成する。また、この実施の形態においては、凹部55,56の奥面55c56cも平面に形成している。また、筒状ピン36の初期嵌合を容易にするため、凹部55,56の開口部の上面55d,56dおよび下面55e,56eは外側が開いた傾斜面に形成している。
【0021】
図7〜図11に示すように、アダプタ27の下面の下部には、ブラケット26の縦板28と縦板30との間に嵌め込むピン連結部57を設ける。このピン連結部57には、前記下部ピン31を挿着するためのピン孔58を設ける。
【0022】
図13(A)は上部ピン34に嵌合する筒状ピン36の部分断面側面図、図13(B)、(C)はそれぞれ(A)の左側端面図、右側端面図である。この実施の形態の筒状ピン36は、左右の嵌合部形成部材60,61と、その間に溶接により両部材60,61に一体に同心に設けた円筒部材62とにより構成している。嵌合部形成部材60,61は、前記凹部55,56にそれぞれ嵌合する嵌合部60a,61aを有する。また、嵌合部60a,61aの軸心方向の各内側に円筒部60b、61bを有する。
【0023】
これらの嵌合部60a,61aは軸心に垂直方向の外周の断面形状が角部を面取りした正方形をなす。また、嵌合部60a,61aは正方形の4辺を構成する平面部63a〜63d、64a〜64d間の各コーナー部63e,64eがR状に丸みを持たせて形成される。これらの嵌合部60a,61aは、円筒部材から平面部63a〜63d、64a〜64dを切削あるいは研削により形成したもので、その切削あるいは研削しない端部が円筒部60b,61bとなる。また、コーナー部63e,64eのR部は、原材料である円筒部材における平面部63a〜63d,64a〜64dの間の切削あるいは研削しない部分で形成される。平面部63a〜63d,64a〜64dの各軸心方向の内側端部と円筒部60b,61bとの間に段部65,66が形成される。
【0024】
67は円筒部60b,61bの外周面に設けた操作具挿入用の孔である。この孔67は、アダプタ27の凹部55,56を嵌合部60a,61aに嵌合する際に棒状操作具を挿入して筒状ピン36を回すためのものである。すなわち、凹部55,56の上下面55a,55bおよび56a,56bの向きがそれぞれ嵌合部60a,61aの平面部63a,63c(または63b,63d)および平面部64a,64c(または64b,64d)の向きに合うように上部ピン34に対して筒状ピン36を回動させるものである。68は円筒部材62に設けた給脂孔である。この給脂孔68は、この孔から上部ピン34と筒状ピン36との間にグリースを注入することにより、上部ピン34に対する筒状ピン36の回動を円滑化し、かつ筒状ピン36の内部への水分の浸入を防止し錆の発生を防止するものである。69は嵌合部60a,61aの平面部63a、63bおよび平面部64a、64bに設けたねじ孔である。このねじ孔69はシムの抜け止めビスを螺合するものである。すなわちアダプタ27の凹部55,56の上面55a,56aと嵌合部60a,61aの平面部63a(または63b)および平面部64a(または64b)との間に隙間が発生する場合、その隙間にシムを挿入するが、そのシムに孔を設けておき、その孔に通したビスをねじ孔69に螺合してシムを抜け止めするものである。
【0025】
このアダプタ27を備えた建設機械は、例えばこの建設機械の作業用アタッチメント9を上部旋回体2から分解して輸送し、現地で組立てる場合に好適に用いられる。例えばコンクリート建築物上にクレーンにより建設機械本体(下部走行体1、上部旋回体2およびその搭載装置)を吊り上げ、その後、クレーンにより作業用アタッチメント9をコンクリート建築物上に吊り上げ、アダプタ27をブラケット26に結合する。
【0026】
この結合作業は次のようにして行われる。上部旋回体2のブラケット26には予め上部ピン34およびこれに嵌合して筒状ピン36を取付けておく。そしてクレーンのワイヤロープにより作業用アタッチメント9を支持した状態において、作業用アタッチメント9に設けたアダプタ27の凹部55,56の高さを、上部旋回体2のブラケット26に予め設けた筒状ピン36の高さに合わせ、かつ凹部55,56を筒状ピン36の嵌合部60a,61aに前部に対面させる。このとき、必要に応じて、筒状ピン36に設けた孔67に棒状操作具を挿入して筒状ピン36を回すことにより、アダプタ27の凹部55,56の上面55a,56aと嵌合部60a,61aの平面部63a,64a(または平面部63b,64b)の向きに合わせる。
【0027】
次に図14、図15に示すように、クレーンの操作と作業員による位置調整作業により凹部55,56を筒状ピン36の嵌合部60a,61aに嵌合する。続いてクレーンによってワイヤロープを巻き下げることにより、凹部55,56を筒状ピン36に嵌合したままでアダプタ27の連結部57をブラケット26の縦板28,30間に挿入し、ピン孔58の位置をブラケット26の下部ピン孔32の位置に合わせる。そして、両ピン孔32、58に下部ピン31を挿着して作業用アタッチメント9を建設機械本体に結合する。
【0028】
図14、図15はブラケット26にアダプタ27を結合した状態を示す背面図である。これらの図に示すように、ブラケット26の縦板28,28の内側に設けた補強板29,29間にアダプタ27の一対の凹部形成部材49,50が挟持される。ここで、図15において、凹部形成部材50(または49)と補強板29との間に生じる間隙Gには必要に応じてシム(図示せず)を挿着する。これにより筒状ピン36と補強板29との間にガタが発生することを防止する。このようにアダプタ27をブラケット26に組み合わせた状態においては、凹部形成部材49,50の各内側端部49a,50aが、筒状ピン36の段部65,66にそれぞれ当接することにより、筒状ピン36に対するアダプタ27の軸心方向の移動が防止される。
【0029】
このようなアダプタ27を用いた作業用アタッチメント9の建設機械本体への取付けにより、作業用アタッチメントの取付けが容易、迅速化される。また、関節の数や長さが異なる作業用アタッチメントのブーム、ブームシリンダに、ブラケット26への取付け部の構造(凹部55,56およびピン孔58の構造、サイズ)を共通化したアダプタを取付けることにより、共通の建設機械本体に異なる作業用アタッチメントを互換可能に取付けることができる。
【0030】
この実施の形態においては、アダプタ27の凹部55,56内の上下の平面55a,55b,56a,56bが、筒状ピン36に設けた平面部63a,63c,64a,64cに面接触するため、接触面圧が低下し、アダプタ27の凹部55,56や筒状ピン36における摩耗の発生が低減され、アダプタ27や筒状ピン36を長期にわたって使用することができる。また、アダプタ27の凹部55,56の摩耗が低減されるため、ブラケット26に対する作業用アタッチメント9のガタが低減される。このため、ガタによる騒音発生や作業性の低下を長期にわたって防止することができる。
【0031】
また、この実施の形態においては、凹部形成部材49,50の各内側端部49a,50aが、筒状ピン36の段部65,66にそれぞれ当接することにより、筒状ピン36に対するアダプタ27の軸心方向の移動が防止される。このため、上部旋回体2を旋回する際の作業用アタッチメント9の横ずれが防止され、横ずれによる騒音発生や作業性の低下が防止できる。
【0032】
また、例えばアダプタ27の両端に筒状ピン36側に突出させた係止部を設け、この係止部間で筒状ピン36の両端を挟持することにより、アダプタ27の筒状ピン36に対する軸心方向の移動を防止する構造も採用可能である。しかしながら、この実施の形態のように、この移動防止手段を、アダプタ27の左右幅方向、すなわち筒状ピン36の軸心方向の中央側に設けることにより、アダプタ27の凹部55,56と筒状ピン36との嵌合部60a,61aを筒状ピン36の左右両側に長く取ることができる。このため、アダプタ27の凹部55,56と筒状ピン36の嵌合部60a,61aとの嵌合面の面圧をより低下させることができ、作業用アタッチメントを安定的に支持することができる。
【0033】
本発明を実施する場合、筒状ピン36はその嵌合部60a,61aの対向する2面63a,63cおよび64a,64cを平面とし、他の2面63b,63d,64b,64dは外側に突の円弧面等に形成してもよい。しかし本実施の形態のように、筒状ピン36の嵌合部60a,61aの外周の断面形状を正方形に形成すれば、対向する2つの面63a,63cおよび64a,64cが摩耗した場合は、他の対向する2面63b,63d,64b,64dをアダプタ27の凹部55,56の上下面55a,55b,56a,56bに対面させて嵌合することにより、さらなる長期使用が可能となる。
【0034】
本発明を実施する場合、凹部55,56の構造や筒状ピン36の構造は種々に変更できる。例えば凹部は左右に分割するのではなく、一連のものとして実現してもよく、筒状ピン36の凹部に対する嵌合部も左右端部間で一連に構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明を適用する建設機械の一実施の形態を示す側面図である。
【図2】本発明の作業用アタッチメントの着脱装置の一実施の形態を示す側面図である。
【図3】本実施の形態のブラケットの側面図である。
【図4】本実施の形態のブラケットの平面図である。
【図5】本実施の形態のブラケットの正面図である。
【図6】本実施の形態のアダプタを示す平面図である。
【図7】本実施の形態のアダプタを示す側面図である。
【図8】本実施の形態のアダプタを示す正面図である。
【図9】本実施の形態のアダプタを示す背面図である。
【図10】本実施の形態のアダプタを示す底面図である。
【図11】(A)は本実施の形態の筒状ピンの一部断面側面図、(B)、(C)はそれぞれ(A)の左端面図、右端面図である。
【図12】本実施の形態のアダプタ凹部と筒状ピンとの結合構造を示す側面図である。
【図13】図12の部分拡大図である。
【図14】本実施の形態のアダプタとブラケットとの結合構造を示す背面図である。
【図15】図14の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0036】
1:下部走行体、2:上部旋回体、3:旋回装置、4:運転室、5:パワーユニット、6:カウンタウエイト、9:作業用アタッチメント、11,13,16,19:油圧シリンダ、12,14,17:分割ブーム、12a:ブームフート部、22:解体用作業具、26:ブラケット、27:アダプタ、28,30:縦板、28a,29:補強板、31:下部ピン、32:下部ピン孔、34:上部ピン、35:上部ピン孔、36:筒状ピン、39:主板部、40:縦板、41:補強板、42:ピン、43:ピン孔、44:縦板、45:ピン、46:ピン孔、47,48:縦板、49,50:凹部形成部材、49a,50a:端面、51〜53:補強板、55,56:凹部、55a,56a:上面、55b,56b:下面、55c,56c:奥面、57:ピン連結部、58:ピン孔、60,61:嵌合部形成部材、60a,61a:嵌合部、60b,61b:円筒部、62:円筒部材、63a〜63d、64a〜64d:平面部、63e,64e:コーナー部、65,66:段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の上部旋回体に取付ける作業用アタッチメントの着脱装置において、
上部旋回体に設けられた作業用アタッチメント取付け用のブラケットと、
前記ブラケットに設けられた下部ピン孔、およびこの下部ピン孔より上方でかつ上部旋回体の前後方向に見て後方に設けられた上部ピン孔と、
前記作業用アタッチメントのブームのフート部およびブーム起伏用のブームシリンダをそれぞれ回動可能にピン付けするアダプタと、
前記アダプタの前記ブラケットへの取付け側の一方に、前記上部旋回体側に開口部を向けて形成され、上下面を平面状に形成した凹部と、
前記アダプタの前記ブラケットへの取付け側であって、前記凹部より下方に設けられたピン孔と、
前記上部ピン孔に挿着する上部ピンと、
前記上部ピンに回動可能に外嵌され、少なくとも前記アダプタの前記凹部の上下面に対応する面が平面に形成され、前記凹部を着脱可能に嵌合する嵌合部を有する筒状ピンと、
前記下部ピン孔とこの下部ピン孔に位置合わせした前記アダプタの前記ピン孔に挿着して前記ブラケットに前記アダプタを連結する下部ピンとを備えたことを特徴とする作業用アタッチメントの着脱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業用アタッチメントの着脱装置おいて、
前記アダプタと前記筒状ピンとの間に、前記アダプタが前記筒状ピンに対して軸方向に移動することを防止する移動防止手段を設けたことを特徴とする作業用アタッチメントの着脱装置。
【請求項3】
請求項2に記載の作業用アタッチメントの着脱装置において、
前記凹部を、前記アダプタの左右にそれぞれ設けた凹部形成部材により分割して設け、
前記筒状ピンの左右両側に、前記アダプタの左右の凹部に対応してそれぞれ前記平面を有する嵌合部を設け、
前記筒状ピンの前記各嵌合部の軸心方向の各内側に、前記平面部より隆起した段部を形成し、
前記アダプタの左右の凹部形成部材の軸心方向の各内側の端面と、前記筒状ピンの前記各端面にそれぞれ当接する前記段部とにより、前記移動防止手段を構成したことを特徴とする作業用アタッチメントの着脱装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の作業用アタッチメントの着脱装置において、
前記嵌合部の軸心に垂直方向の外周の断面形状が角部を面取りした正方形をなすことを特徴とする作業用アタッチメントの着脱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−156168(P2010−156168A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335753(P2008−335753)
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】