説明

作業記録システム及び作業記録方法

【課題】 本発明の課題は、複数の施設で作業している複数の作業員の作業履歴を自動記録することを目的とする。
【解決手段】 上記課題は、複数の施設に設置されたセンサが人に反応した検知時刻における作業員の位置を示す位置情報から、該センサから所定範囲内にいる作業員を特定する作業員特定手段と、該作業員に係る検知時刻毎に該施設の施設IDとセンサIDとを対応付けた該作業員の入退室表を作成する入退室表作成手段と、該作業員の入退室表を参照することによって、同一施設を示す2つの検知時刻間の位置情報に基づく該施設の領域内の軌跡の統計量を算出して、施設IDと該2つの検知時刻と該算出した統計量とを対応付けた統計量管理表を作成する統計量管理表作成手段と、該統計量に基づいて判断される施設の施設IDと該2つの検知時刻とを対応付けた作業管理表を作成する作業管理表作成手段とを有することを特徴とする作業記録システムにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定領域で作業している作業員の作業履歴を自動記録することに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、屋外の農場などでの作業員の作業時間を自動記録するために、作業員に携帯電話機などのGPS(Global Positioning System)機能付端末を所持させて、作業員のGPSから得られる軌跡が予め定義しておいた農場範囲内に入っているか否かを判断することによって、農場での作業記録が行われるようになってきた。
【0003】
例えば、検知エリアを設定し、GPS機能を備えた検知対象端末から受信した位置情報と予め設定した検知エリアとを比較して、その検知エリアへの入出を判定したり、GPS測位データに基づく推定位置と誤差範囲内の属性とから位置を特定すること等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−180242号公報
【特許文献2】特開2009−150663号公報
【特許文献3】特開2003−288354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術を農場に適用した場合では、GPS誤差(凡そ10m)が検知エリアの幅(例えば、農場のハウスであれば凡そ7m)より大きい場合、複数のハウスが隣接していると、どのハウスにGPS機能付端末を所持した作業員がいるのかを正しく判断することができない。
【0006】
また、より正確にハウスへの入退室を記録するために、ハウスの入り口にICカードリーダを設置し、作業員にICカードを持たせハウスの入退室時にICカードをICカードリーダにタッチさせることにより作業記録を行うようにすることが考えられる。しかしながら、作業員は手荷物により手がふさがっていることもあり、入退室毎にICカードをICカードリーダにかざす操作が煩雑であると言った問題がある。
【0007】
操作を簡潔にするため、例えば、UHF(Ultra High Frequency)帯RF−ID(Radio Frequency Identification)等のカードを持つだけで入退室の自動記録が可能なものもあるがリーダ装置が大掛かりとなり、また、費用も掛かると言った問題がある。
【0008】
更に、費用の面を考慮して、比較的安価に設置できる人感センサを用いた場合、人を識別する仕組みを持たないため、複数の作業員が作業している場合には、どの作業員を検知したのかを判別することができない。
【0009】
上述したように、作業に支障なく、また、作業員に負担なく、個々の作業員が作業しているハウスを特定することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示の技術は、複数の施設の各出入り口に設置されたセンサが人に反応した検知時刻における作業員の位置を示す位置情報から、該センサから所定範囲内にいる作業員を特定する作業員特定手段と、前記特定された作業員に係る検知時刻毎に該施設の施設IDとセンサIDとを対応付けた該特定された作業員の入退室表を記憶部内に作成して格納する入退室表作成手段と、前記記憶部から前記特定された作業員の入退室表を参照することによって、同一施設を示す2つの検知時刻間の前記位置情報に基づく該施設の領域内の軌跡の統計量を算出して、該同一施設の施設IDと該2つの検知時刻と該算出した該統計量とを対応付けた統計量管理表を前記記憶部内に作成して格納する統計量管理表作成手段と、前記記憶部から前記特定された作業員の前記統計量管理表を参照することによって、前記統計量に基づいて判断される施設の施設IDと前記2つの検知時刻とを対応付けた作業管理表を前記記憶部内に作成して格納する作業管理表作成手段と、を有することを特徴とする作業記録システムを提供する。
【0011】
また、上記課題を解決するための手段として、コンピュータによって行われる作業記録方法、及び、コンピュータに上記作業記録システムとして機能させるためのプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体とすることもできる。
【発明の効果】
【0012】
開示の技術では、特定領域で作業する各作業員の位置の検出に係る誤差よりも幅の狭い特定領域において、統計量を用いて、各作業員が特定領域内に居たことを精度良く判別し、また、その特定領域内に居た時刻間を適切に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】正しい軌跡と測定軌跡との関係を説明するための図である。
【図2】複数の作業員の軌跡の例を示す図である。
【図3】作業記録システムの全体構成例を示す図である。
【図4】作業員端末のハードウェア構成を示す図である。
【図5】作業員端末での処理を説明するための図である。
【図6】人感センサのハードウェア構成を示す図である。
【図7】人感センサでの処理を説明するための図である。
【図8】サーバ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図9】サーバ装置の機能構成例を示す図である。
【図10】初期設定のデータ構成例を示す。
【図11】作業員の軌跡を記録するためのデータ構成例を示す図である。
【図12】GPS誤差を説明するための図である。
【図13】人感センサが人を検知した時刻毎の軌跡例を示す図(その1)である。
【図14】人感センサが人を検知した時刻毎の軌跡例を示す図(その2)である。
【図15】人感センサが人を検知した時刻毎の軌跡例を示す図(その3)である。
【図16】人感センサが人を検知した時刻毎の軌跡例を示す図(その4)である。
【図17】人感センサの検知時刻に基づく入退室表の作成例を示す図である。
【図18】統計量の計算方法を説明するための図である。
【図19】統計量の結果例を示す図である。
【図20】圃場特定部によって行われる入退室表作成処理を説明するためのフローチャート図である。
【図21】図20の入退室表作成処理の一例を示す図である。
【図22】圃場特定部によって行われる統計量管理表作成処理を説明するためのフローチャート図である。
【図23】図22の統計量管理表作成処理の一例を示す図(その1)である。
【図24】図22の統計量管理表作成処理の一例を示す図(その2)である。
【図25】図22の統計量管理表作成処理の一例を示す図(その3)である。
【図26】最終的な統計量管理表のデータ例を示す図である。
【図27】圃場特定部によって行われるハウス特定処理を説明するためのフローチャート図である。
【図28】図27のハウス特定処理の一例を示す図(その1)である。
【図29】図27のハウス特定処理の一例を示す図(その2)である。
【図30】図27のハウス特定処理の一例を示す図(その3)である。
【図31】図27のハウス特定処理の一例を示す図(その4)である。
【図32】図27のハウス特定処理の一例を示す図(その5)である。
【図33】図27のハウス特定処理の一例を示す図(その6)である。
【図34】作業記録生成部によって行われる作業管理表作成処理を説明するためのフローチャート図である。
【図35】図34の作業記録生成処理の一例を説明するための図(その1)である。
【図36】図34の作業記録生成処理の一例を説明するための図(その2)である。
【図37】図34の作業記録生成処理の一例を説明するための図(その3)である。
【図38】図34の作業記録生成処理の一例を説明するための図(その4)である。
【図39】統計量の計算方法の他の例を説明するための図である。
【図40】入退室作業表の作成時には区別できない軌跡例を示す図である。
【図41】図40の軌跡例に基づく入退室表の例を示す図である。
【図42】第2実施例における入出方向表の例を示す図である。
【図43】第2実施例における入出方向表を用いて作成した入退室表の例を説明するための図である。
【図44】第2実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その1)である。
【図45】第2実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その2)である。
【図46】第2実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その3)である。
【図47】第2実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その4)である。
【図48】第2実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その5)である。
【図49】第2実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その6)である。
【図50】第2実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その7)である。
【図51】第2実施例における入退室判断を行うための方法について説明するための図である。
【図52】入出方向表を用いない場合と入出方向表を用いた場合との対比を説明するための図である。
【図53】入退室作業表の作成時には区別できない軌跡例に係る各作業員の入退室表の例を示す図である。
【図54】第3実施例における入出方向表の例を示す図である。
【図55】第3実施例における作業員位置情報の例を示す図である。
【図56】第3実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その1)である。
【図57】第3実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その2)である。
【図58】第3実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その3)である。
【図59】第3実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その4)である。
【図60】第3実施例における入退室判断を行うための方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態では、検知対象の実際の位置とGPSが測定した位置との差(GPS誤差)よりも狭い幅を持つ特定領域内における検知対象の存在可否を精度良く判別する。以下、複数のハウスが隣接して設置される農場において作業員が作業する各ハウスを特定領域とし、複数の作業員の各々が作業しているハウスを特定することを例として説明する。
【0015】
先ず、作業員が辿った正しい軌跡とGPSによる測定位置に基づく測定軌跡との関係について説明する。図1は、正しい軌跡と測定軌跡との関係を説明するための図である。図1では、ハウスH1、H2、H3が隣接された農場において、作業員がハウスH1に入室してから退室するまでの軌跡を、正しい軌跡1aと、作業員が携帯するGPS機能によって測定された測定軌跡1bとで示している。ハウスの幅7wに対してGPS誤差7gが大であると、時刻tにおける、正しい軌跡1a上の作業員の位置6aは、位置6aからGPS誤差範囲1z内の位置6bであるとしてGPSによって測定される。
【0016】
従って、正しい軌跡1a上の作業員の位置6aはハウスH1内であるのに対して、GPSによって測定された位置6bはハウスH3内となる。図1で例示されるように、GPS誤差7gのため、GPSによって測定された測定軌跡1bは、ハウスH1とH2を跨る軌跡と、ハウスH1とH3を跨る軌跡とを描くため、作業員が作業しているハウスを正確に特定することが困難となる。
【0017】
作業員が1人の場合には、人感センサを各ハウスH1、H2、及びH3の出入り口に設置して作業員の入退出を検知することによって、作業員が作業したハウスを特定することができる。しかしながら、作業員が複数の場合には、個々の作業員を識別しない人感センサでは、どの作業員の入退出を検知したのかを判断することが難しくなる。
【0018】
図2は、複数の作業員の軌跡の例を示す図である。図2において、隣接して並ぶハウスH1、H2、及びH3の出入り口に人感センサS1a、S2a、及びS3aが備えられている。また、作業員W1及びW2は、GPS機能付き携帯電話機を保持している。作業員W1及びW2の各々の実際の軌跡は、正しい軌跡21a及び22aで示され、GPSによって測定された軌跡は、測定軌跡21b及び22bで示されている。
【0019】
作業員W1の正しい軌跡21aは、ハウスH1に入室してその後退出したことを示し、作業員W1はハウスH1で作業していたことを示している。作業員W2の正しい軌跡22aは、ハウスH3に入室してその後退出したことを示し、作業員W2はハウスH3で作業していたことを示している。
【0020】
一方、GPS誤差により作業員W1及びW2の各々の測定軌跡21b及び22bからでは、作業員W1がハウスH1で作業していたこと、作業員W2がハウスH3で作業していたことを特定するのは困難である。また、人感センサS1a、S2a、及びS3aは、各作業員W1及びW2を個別に識別できないため、人感センサの周辺に複数の作業員のGPSによる軌跡が存在すると、どの作業員が人感センサに検知されたのかを特定できないことがある。
【0021】
以下に、GPS誤差より幅の狭い隣接する複数のハウスのうち、複数の作業員の各々が作業しているハウスを特定するための本実施例に係る作業記録システムについて説明する。
【0022】
図3は、作業記録システムの全体構成例を示す図である。図3に示す作業記録システム1000は、携帯電話基地局3と、複数の作業員端末4と、複数の人感センサ5と、サーバ装置100とを有する。携帯電話基地局3と、複数の人感センサ5とは、インターネット2を介してサーバ装置100に接続される。また、複数の作業員端末4は、無線により携帯電話基地局3と通信することにより、携帯電話基地局3からインターネット2を介してサーバ装置100に接続される。
【0023】
作業員端末4は、農作業を行う各作業員W1、W2等(以下、総称して作業員Wと言う)により所持されるGPS機能付き携帯電話機であり、所定間隔で作業員Wの位置情報をGPS機能によって取得し、サーバ装置100へ送信する。位置情報は、経度、緯度、時刻、作業員Wを特定する作業員IDを含む。作業員IDとして、作業員端末4の電話番号を用いてもよい。
【0024】
作業員端末4は、図4に示されるように、CPUにより作業員端末4全体を制御する制御部4aと、GPSから経度、緯度、時刻を含むGPS情報を受信するGPS受信部4bと、無線通信による携帯電話基地局3を介してサーバ装置100と通信するための無線通信部4cと、作業員Wを特定するための作業員IDが格納された作業員ID保持部4dと、メモリ4eとを有する。
【0025】
作業員端末4は、図5に示すように、所定周期(例えば、1分)毎(ステップS11)に、GPS情報をGPS受信部4bで受信すると、制御部4aは、受信したGPS情報と、作業員端末4の時刻とをメモリ4eに蓄積して保存する(ステップS12)。そして、制御部4aは、所定周期(例えば、1時間)毎(ステップS13)に、作業員ID保持部4dに予め格納された作業員IDを、メモリ4eに蓄積されたGPS情報に付加した位置情報を作成し、無線通信部4cによって携帯電話基地局3へ送信することによって携帯電話基地局3からインターネット2を介してサーバ装置100へ送信する(ステップS14)。制御部4aは、サーバ装置100への所定周期毎の位置情報の送信処理の終了か否かを判断する(ステップS15)。終了でない場合、制御部4aは、ステップS11へ戻り、上記同様の処理を繰り返す。終了の場合、つまり、その日の作業員による作業が終了した場合、制御部4aは、この処理を終了する。
【0026】
人感センサ5は、各作業員Wが作業するハウスH1、H2、・・・毎に1又は複数設置され、人を検知した際に、その時刻と人感センサ5を特定するセンサIDとを含む時刻情報を、インターネット2を介してサーバ装置100へ通知する。人感センサ5は、少なくとも、各ハウスの入り口に一つずつ設置される。人感センサ5は、ハウスのドア開閉センサ、赤外線人感センサ、フットスイッチ、光遮断スイッチ等である。
【0027】
人感センサ5は、図6に示されるように、CPUにより人感センサ5全体を制御する制御部5aと、人(作業員W)の通過を検知する人感センサ5bと、サーバ装置100と通信するための通信部5cと、人感センサ5bを特定するためのセンサIDが格納されたセンサID保持部5dと、メモリ5eと、人感センサ5bによる検知時刻を取得するためのタイマ5fとを有する。本実施例における人感センサ5は、人(作業員W)の所定範囲内の接近を感知可能であればよく、人を特定する等の高度な技術や装置を必要としない。
【0028】
人感センサ5は、図7に示すように、人(作業員W)を検知すると(ステップS21)、制御部5aは、その検知時刻をタイマ5fから読み出して、メモリ5eに蓄積して保持する(ステップS22)。そして、制御部5aは、一定周期(例えば、1時間)毎(ステップS23)に、センサID保持部5bに予め格納されたセンサIDを、メモリ5eに蓄積された検知時刻に付加した検知情報を作成し、インターネット2を介してサーバ装置100へ送信する(ステップS24)。制御部5aは、サーバ装置100への所定周期毎の検知情報の送信処理の終了か否かを判断する(ステップS25)。終了でない場合、制御部5aは、ステップS21へ戻り、上記同様の処理を繰り返す。終了の場合、つまり、その日の作業員による作業が終了した場合、制御部5aは、この処理を終了する。
【0029】
サーバ装置100は、作業員端末4から収集した位置情報と、人感センサ5から収集した検知情報とを用いて、GPS誤差より幅の狭い隣接した複数のハウスから複数の作業員Wの各々が作業しているハウスを特定する。
【0030】
本実施例に係るサーバ装置100は、例えば、図8に示すようなハードウェア構成を有する。図8は、サーバ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0031】
図8において、サーバ装置100は、コンピュータによって制御される端末であって、CPU(Central Processing Unit)11と、メモリユニット12と、表示ユニット13と、出力ユニット14と、入力ユニット15と、通信ユニット16と、記憶装置17と、ドライバ18とを有し、システムバスBに接続される。
【0032】
CPU11は、メモリユニット12に格納されたプログラムに従ってサーバ装置100を制御する。メモリユニット12には、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read-Only Memory)等が用いられ、CPU11にて実行されるプログラム、CPU11での処理に必要なデータ、CPU11での処理にて得られたデータ等を格納する。また、メモリユニット12の一部の領域が、CPU11での処理に利用されるワークエリアとして割り付けられている。
【0033】
表示ユニット13は、CPU11の制御のもとに必要な各種情報を表示する。出力ユニット14は、プリンタ等を有し、利用者からの指示に応じて各種情報を出力するために用いられる。入力ユニット15は、マウス、キーボード等を有し、利用者がサーバ装置100が処理を行なうための必要な各種情報を入力するために用いられる。通信ユニット16は、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)等に接続し、外部装置との間の通信制御をするための装置である。記憶装置17には、例えば、ハードディスクユニットが用いられ、各種処理を実行するプログラム等のデータを格納する。
【0034】
サーバ装置100によって行われる処理を実現するプログラムは、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)等の記憶媒体19によってサーバ装置100に提供される。即ち、プログラムが保存された記憶媒体19がドライバ18にセットされると、ドライバ18が記憶媒体19からプログラムを読み出し、その読み出されたプログラムがシステムバスBを介して記憶装置17にインストールされる。そして、プログラムが起動されると、記憶装置17にインストールされたプログラムに従ってCPU11がその処理を開始する。尚、プログラムを格納する媒体としてCD−ROMに限定するものではなく、コンピュータが読み取り可能な媒体であればよい。コンピュータ読取可能な記憶媒体として、CD−ROMの他に、DVDディスク、USBメモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリであっても良い。また、サーバ装置100によって行われる処理を実現するプログラムが、通信ユニット16を介して外部装置から提供されてもよい。
【0035】
図9は、サーバ装置の機能構成例を示す図である。サーバ装置100は、主に、表示処理部111と、入出力処理部112と、通信制御部113と、インストーラ114と、初期設定部121と、GPS情報記録部122と、センサ情報記録部123と、圃場特定部124と、作業記録生成部125と、記憶部130とを有する。記憶部130は、メモリユニット12又は/及び記憶装置17で構成され、ハウス位置情報131と、センサ設置位置情報132と、作業員位置情報133と、サンサ検知情報134と、入退室表135と、統計量管理表136と、作業管理表137とを管理する。
【0036】
表示処理部111は、表示ユニット13へのデータの表示を制御する。入出力処理部112は、入力ユニット15及び出力ユニット14へのデータの入出力を制御する。通信制御部113は、ネットワーク2等を介して行われるデータ通信を制御する。インストーラ114は、本実施例に係るプログラムを記録した記録媒体19から該プログラムを記憶装置17にインストールする。そして、CPU11が対応するプログラムを実行することによって、CPU11が処理部121から125等として機能する。
【0037】
初期設定部121は、事前に登録の必要なハウス位置情報131とセンサ設置位置情報132とを初期設定するための処理部である。初期設定部121は、利用者によって入力されたハウスH1〜H3の位置を記憶部130のハウス位置情報131に設定する。また、初期設定部121は、利用者によって入力された各ハウスH1〜H3に設置された人感センサ5の設置位置を記憶部130のセンサ設置位置情報132に設定する。
【0038】
GPS情報記録部122は、作業員端末4から作業員端末4を特定する作業員IDが付加された位置情報を受信すると、記憶部130の作業員位置情報133に追加する。作業員位置情報133は、位置情報を作業員ID毎に蓄積して保持する。
【0039】
センサ情報記録部123は、人感センサ5からセンサIDを含む時刻情報を受信すると、記憶部130のセンサ検知情報134に追加する。センサ検知情報134は、時刻情報をセンサID毎に蓄積して保持する。
【0040】
圃場特定部124は、センサ毎の時刻情報に基づいて、人感センサ付近にいたと判断される作業員を、作業員位置情報133を参照することにより特定することによって、記憶部130内に作業員毎の入退室表135を作成し、本実施例に係る統計量を用いた作業領域特定処理を実行し、作業員毎に作業したハウスを特定する。統計量を計算した結果に係る統計量管理表136が記憶部130に格納される。
【0041】
作業記録生成部125は、圃場特定部124による処理結果を用いて、作業員毎にハウス内での作業時間を自動的に、記憶部130内の作業管理表137に記録する。
【0042】
[第1実施例]
各ハウスH1〜H3の2箇所に人感センサ5を設置した場合を第1実施例として説明する。第1実施例において、初期設定部121により利用者によって初期設定されたハウス位置情報131とセンサ設置位置情報132のデータ構成例を図10で説明する。図10は、初期設定のデータ構成例を示す。図10は、初期設定のデータ構成例を示す図である。図10では、初期設定部121を介して利用者によって初期設定された、ハウス毎の位置が設定されたハウス位置情報131のデータ構成例と、人感センサ5毎の所属するハウスIDと位置とが設定されたセンサ設置位置情報132のデータ構成例とを示す。
【0043】
ハウス位置情報131は、ハウスID、頂点数、頂点毎の位置などを記録し保持している。ハウスIDは、ハウスを識別するための識別情報である。この例では、H1、H2などで記録される。頂点数は、ハウスの形状に応じて設定される。この例では、ハウスの形状となる長方形に対応させて頂点数「4」が記録されている。頂点毎の位置は、緯度及び経度で指定される。頂点数「4」の場合、頂点1、頂点2、頂点3、頂点4のように頂点を特定して頂点の数だけ記録され管理される。
【0044】
この例では、ハウスID「H1」の頂点数は「4」であり、頂点1の緯度「35.35013」及び経度「139.3602」が記録されている。頂点2〜4についても同様に記録されている。他ハウスについても同様に、ハウスID毎に頂点数と緯度及び経度による頂点毎の位置とが記録されている。
【0045】
センサ設置位置情報132は、センサID、ハウスID、センサ種別、設置位置の内外情報、センサ反応範囲、頂点数、頂点毎の位置などを記録し保持している。センサIDは、人感センサ5を特定するための識別情報である。この例では、S1a、S1b、S2a、S2bなどで記録される。ハウスIDは、センサIDで特定される人感センサ5が設置されているハウスを特定する識別情報である。この例では、センサID「S1a」の人感センサ5が設置されているハウスは、ハウスID「H1」であることが記録されている。
【0046】
センサ種別は、センサ種別に対応させた数値を示す。例えば、センサ種別として、ハウスのドア開閉センサ、赤外線人感センサ、フットスイッチ、光遮断スイッチ等を一意に割り当てた数値が用いられる。設置位置の内外情報は、人感センサ5が出入り口の内側なのか外側なのかを示す。例えば、内側に設置の場合は「2」、外側に設置の場合は「3」が示される。センサ反応範囲は、人感センサ5が作業員Wを検知する範囲を示す。ハウスID「H1」の場合、センサ種別「1」、設置位置の内外情報「3」、センサ範囲「0」のように示される。
【0047】
頂点数は、人感センサ5の頂点数を示す。頂点数に応じて頂点毎に経度及び緯度が示される。ハウスID「H1」の場合、センサID「S1a」の人感センサ5の設置位置は、頂点数「2」に対応させて、頂点1と頂点2とで示される。頂点1は、緯度「35.35026」及び経度「139.3603」に位置しており、頂点2は、緯度「35.35025」及び経度「139.3603」に位置していることが記録されている。他の人感センサ5についても同様である。
【0048】
以下の説明において、各人感センサ5は、センサID「S1a」、「S1b」、「S2a」、「S2b」などで示すものとする。
【0049】
図11は、作業員の軌跡を記録するためのデータ構成例を示す図である。図11では、GPS情報記録部122が各作業員端末4から受信した位置情報が作業員W毎に記録された作業員位置情報133のデータ構成例と、センサ情報記録部123が各人感センサ5から受信した検知情報が人感センサ5毎に記録されたセンサ検知情報134のデータ構成例とを示す。
【0050】
作業員位置情報133は、作業員名、所定時間毎にGPSから取得した位置1、位置2、・・・などを記録し保持している。作業員名は、作業員Wを特定するための識別情報である。この例では、W1、W2、・・・などで記録される。作業員名は、作業員Wの作業員ID、又は、作業員端末4の電話番号であってもよい。位置1、位置2、・・・には、各作業員端末4から受信した、所定時間毎にGPSから取得したGPS情報に時刻が付加された位置情報が記録される。
【0051】
この例では、作業員名「W1」の位置1には、時刻「8:20」に緯度「35.44347」及び経度「139.31332」の位置であったことが記録されている。緯度及び経度は、GPSによって測定された測定値である。位置2でも同様に時刻、緯度、経度が記録される。他の作業員W2、・・・についても同様である。
【0052】
更に、位置LT11、LT12、LT21、LT22、LT31、LT32、LT41、及びLT42が、後述される隣接されるハウスのいずれかで作業する複数の作業員の軌跡例に関して、簡潔に示される。簡便に、ここでは、作業員W1に関して、時刻T1で位置LT11(緯度「xx.yyy11」及び経度「rrr.zzz11」)、時刻T2で位置LT22(緯度「xx.yyy21」及び経度「rrr.zzz21」)、時刻T3で位置LT32(緯度「xx.yyy31」及び経度「rrr.zzz31」)、時刻T4で位置LT22(緯度「xx.yyy41」及び経度「rrr.zzz41」)であったことを示す。
【0053】
また、作業員W2に関して、時刻T1で位置LT12(緯度「xx.yyy12」及び経度「rrr.zzz12」)、時刻T2で位置LT21(緯度「xx.yyy22」及び経度「rrr.zzz22」)、時刻T3で位置LT31(緯度「xx.yyy32」及び経度「rrr.zzz32」)、時刻T4で位置LT42(緯度「xx.yyy42」及び経度「rrr.zzz42」)であったことを示す。
【0054】
センサ検知情報134は、センサID、時系列に検知された検知時刻などを記録し保持している。センサIDは、人感センサ5を特定するための識別情報である。この例では、S1a、S1b、S2a、S2bなどで記録される。検知時刻は時系列に記録される。センサID「S1a」の人感センサ5は、「8:25」、「9:55」、・・・に人を検知したことが記録されている。他の人感センサ5についても同様である。
【0055】
この例では、更に、時刻T1、時刻T2、時刻T3、及び時刻T4が、後述される隣接されるハウスのいずれかで作業する複数の作業員の軌跡例に関して、簡潔に示される。
【0056】
時刻T1でセンサID「S2a」の人感センサ5が人を検知し、時刻T2でセンサID「S1a」の人感センサ5が人を検知し、時刻T3でセンサID「S2a」の人感センサ5が人を検知し、時刻T4でセンサID「S1b」の人感センサ5が人を検知したことを示す。
【0057】
以下、説明及び図面において、センサIDを用いて、各人感センサ5を人感センサS1a、人感センサS1b、人感センサS2a、人感センサS2bなどで示す。
【0058】
次に、ハウスに関するGPS誤差について図12で説明する。図12は、GPS誤差を説明するための図である。図12に示すように、作業員Wの作業場所として特定される特定施設としてのハウスH1の2箇所に人感センサS1aと人感センサS1bとが設置される。
【0059】
図12において、施設特定範囲B1は、農業用のハウスH1の形状に対してGPS誤差7gに基づいて拡大した範囲を示す。センサ特定範囲A1aは、人感センサS1aに対して人感センサS1aのセンサ反応範囲にGPS誤差7gに基づいて拡大した範囲を示す。同様に、センサ特定範囲A1bは、人感センサS1bに対して人感センサS1bのセンサ反応範囲にGPS誤差7gに基づいて拡大した範囲を示す。以下、同様に各範囲が示される。
【0060】
以下に、少なくとも2つのハウスH1及びH2が隣接し、ハウスH1又はH2のいずれかで、作業員W1及びW2がハウス内作業を行った場合を例として、複数の作業員の軌跡例について、図13から図16で詳述する。
【0061】
図13は、人感センサが人を検知した時刻毎の軌跡例を示す図(その1)である。図13において、2つの隣接するハウスH1及びH2を含むGPS誤差7gで拡大した範囲を対象領域9として示している。ハウスH2には人感センサS2a及びS2bが備えられ、図12に示すハウスH1に適用される各範囲と同様の方法で、ハウスH2にもそれら範囲が適用され、施設特定範囲B2、センサ特定範囲A2a及びA2bで示される。以下の図面においても同様である。
【0062】
軌跡TR1は、測定開始(作業開始)から時刻T1までの作業員W1と作業員W2のGPSによる測定軌跡21bと測定軌跡22bとを示す。また、軌跡TR1では、測定開始(作業開始)から測定終了(作業終了)までの、作業員W1と作業員W2とが実際に動いた正しい軌跡21aと22aとが、参照として例示される。
【0063】
軌跡TR1において、時刻T1で、作業員W1がハウスH2に入り、人感センサS2aによって検知される。人感センサS2aによって人を検知した時刻T1において、人感センサS2aのセンサ特定範囲A2a内では、作業員W1と作業員W2とがGPSによって位置測定される。
【0064】
センサ検知情報134(図11)から人感センサS2aによって人を検知した時刻T1を特定し、作業員位置情報133(図11)において「時刻T1」を示すレコードのうち、緯度及び経度に基づいて、人感センサS2aのセンサ特定範囲A2a内と判断されるレコードを抽出することによって、作業員W1と作業員W2とが「時刻T1」にセンサ特定範囲A2a内に居たと判断される。この時点では、人感センサS2aが、作業員W1と作業員W2のいずれを検知したのかは特定できない。
【0065】
図14は、人感センサが人を検知した時刻毎の軌跡例を示す図(その2)である。図14において、人感センサS1aが人を検知した時刻T2までの軌跡例が示される。
【0066】
軌跡TR2は、測定開始(作業開始)から時刻T2までの作業員W1と作業員W2のGPSによる測定軌跡21bと測定軌跡22bとを示す。また、軌跡TR2においても同様に、作業員W1と作業員W2の正しい軌跡21aと22aとが、参照として例示される。
【0067】
センサ検知情報134(図11)から人感センサS1aによって人を検知した時刻T2を特定し、作業員位置情報133(図11)において「時刻T2」を示すレコードのうち、緯度及び経度に基づいて、人感センサS2aのセンサ特定範囲A1a内と判断されるレコードを抽出することによって、作業員W1と作業員W2とが「時刻T2」にセンサ特定範囲A1a内に居たと判断される。この時点では、人感センサS1aが、作業員W1と作業員W2のいずれを検知したのかは特定できない。
【0068】
図15は、人感センサが人を検知した時刻毎の軌跡例を示す図(その3)である。図15において、人感センサS1aが人を検知した時刻T3までの軌跡例が示される。
【0069】
軌跡TR3は、測定開始(作業開始)から時刻T3までの作業員W1と作業員W2のGPSによる測定軌跡21bと測定軌跡22bとを示す。また、軌跡TR3においても同様に、作業員W1と作業員W2の正しい軌跡21aと22aとが、参照として例示される。
【0070】
センサ検知情報134(図11)から人感センサS2bによって人を検知した時刻T3を特定し、作業員位置情報133(図11)において「時刻T3」を示すレコードのうち、緯度及び経度に基づいて、人感センサS2bのセンサ特定範囲A2b内と判断されるレコードを抽出することによって、作業員W1と作業員W2とが「時刻T3」にセンサ特定範囲A2b内に居たと判断される。この時点では、人感センサS2bが、作業員W1と作業員W2のいずれを検知したのかは特定できない。
【0071】
図16は、人感センサが人を検知した時刻毎の軌跡例を示す図(その4)である。図16において、人感センサS1bが人を検知した時刻T4までの軌跡例が示される。
【0072】
軌跡TR4は、測定開始(作業開始)から時刻T4までの作業員W1と作業員W2のGPSによる測定軌跡21bと測定軌跡22bとを示す。また、軌跡TR4においても同様に、作業員W1と作業員W2の正しい軌跡21aと22aとが、参照として例示される。
【0073】
センサ検知情報134(図11)から人感センサS1bによって人を検知した時刻T4を特定し、作業員位置情報133(図11)において「時刻T4」を示すレコードのうち、緯度及び経度に基づいて、人感センサS1bのセンサ特定範囲A1b内と判断されるレコードを抽出することによって、作業員W1と作業員W2とが「時刻T4」にセンサ特定範囲A1b内に居たと判断される。この時点では、人感センサS1bが、作業員W1と作業員W2のいずれを検知したのかは特定できない。
【0074】
図13から図16で示した軌跡例を用いて、作業記録システム1000におけるサーバ装置100でのハウスを特定する仕組みについて、図17から図19で説明する。
【0075】
図17は、人感センサの検知時刻に基づく入退室表の作成例を示す図である。図17において、測定開始(作業開始)から測定終了(作業終了)までの作業員W1と作業員W2の測定軌跡21bと測定軌跡22bと、正しい軌跡21aと22aとを示す軌跡TR5を参照として示す。
【0076】
図13から図16で説明したように、
時刻T1にハウスH2のセンサS2aが人を検知し、
時刻T2にハウスH1のセンサS1aが人を検知し、
時刻T3にハウスH2のセンサS2bが人を検知し、
時刻T4にハウスH1のセンサS1bが人を検知
したことが、センサ検知情報134(図11)から分かる。
【0077】
各検知時刻毎のセンサ特定範囲内に居た作業員Wは、作業員位置情報133(図11)を参照することによって得られる。下記のように纏めることができる。( )内は正しい軌跡21aと22aからのみ知り得る内容を補足して示す。
【0078】
(作業員W1がハウスH2に入室した)時刻T1にセンサS2aのセンサ特定範囲A2aに居るのは作業員W1とW2であり、
(作業員W2がハウスH1に入室した)時刻T2にセンサS1aのセンサ特定範囲A1aに居るのは作業員W1とW2であり、
(作業員W1がハウスH2から退室した)時刻T3にセンサS2bのセンサ特定範囲A2bに居るのは作業員W1とW2であり、
(作業員W2がハウスH1から退室した)時刻T4にセンサS1bのセンサ特定範囲A1bに居るのは作業員W1とW2であることが分かる。
【0079】
従って、人感センサS1a、S1b、S2a、及びS2bによる検知時刻に基づく、作業員W毎の入退室に係る情報は、入退室表135のように示される。
【0080】
入退室表135では、時系列順に記録したいずれかの人感センサによる検知時刻と、作業員W毎の検知時刻に対応させたセンサIDとハウスIDとが示される。
【0081】
このような作業員W毎の入退室表135によって、軌跡TR5で示される作業員W1及びW2のGPS軌跡(測定軌跡21b及び22b)は、入退室表135に示す全ての時間間隔T1−T2、T2−T3、T3−T4、T1−T3、T2−T4、及びT1−T4で施設特定範囲B1又はB2内にある。
【0082】
第1実施例では、作業員W1及びW2の各々がどのハウスH1又はH2で作業したのかを、各作業員W1及びW2のハウス毎のGPS軌跡の線長の統計量を計算することにより特定する作業領域特定処理を行う。作業領域特定処理について、図18及び図19で説明する。
【0083】
図18は、統計量の計算方法を説明するための図である。図18では、図17の軌跡TR5に基づいて、作業員W1の測定軌跡21bに基づく線長の統計量を計算する方法について説明する。他の作業員Wについても同様である。
【0084】
入退室表135(図17)から、作業員W1がハウスH2で作業していたとした場合は時間間隔T1−T3が作業していた時間となる。一方、作業員W1がハウスH1で作業していたとした場合は時間間隔T2−T4が作業していた時間となる。作業時間の組み合わせは、時刻T1と時刻T3、及び、時刻T2と時刻T4となる。
【0085】
図18(A)では、作業員W1の測定軌跡21bのうち、時間間隔T2−T4において、測定されたGPS軌跡がハウスH1内となる線長Lh11、Lh12、及びLh13を強調して示している。これら線長Lh11、Lh12、及びLh13を求め、時刻T2−T4間の線長Lh42で割って得られる割合を統計量L1とする。
【0086】
図18(B)では、作業員W1の測定軌跡21bのうち、時間間隔T1−T3において、測定されたGPS軌跡がハウスH2内となる線長Lh21、Lh22、Lh23、Lh24、及びLh25を強調して示している。これら線長Lh21、Lh22、Lh23、Lh24、及びLh25を求め、時刻T1−T3間の線長Lh31で割って得られる割合を統計量L2とする。
【0087】
ハウスH1の統計量L1とハウスH2の統計量L2とを比較する。L1<L2であるため、作業員W1が作業していたハウスはハウスH2であると特定する。
【0088】
上述したように、入退室表135から、作業員W毎に、時系列に同一ハウスIDを探し、ハウスの入退室に相当する時刻の組み合わせを特定し、時刻の組み合わせ毎に線長の割合を示す統計量を計算する。従って、入退室表135から図19に示すような計算結果を得ることができる。
【0089】
図19は、統計量の結果例を示す図である。図19において、作業員W1に関して、時間間隔T1−T3のハウスH2での統計量は「65%」であり、時間間隔T2−T4のハウスH1での統計量は「30%」であることが示されている。また、作業員W2に関して、時間間隔T1−T3のハウスH2での統計量は「20%」であり、時間間隔T2−T4のハウスH1での統計量は「75%」であることが示されている。
【0090】
このような結果により、作業員W1はハウスH2で作業し、作業員W2はハウスH1で作業していたと判断することができる。
【0091】
以下に、第1実施例に係るサーバ装置100によって行われる統計量を用いた処理についてフローチャートで説明する。
【0092】
先ず、作業員W毎に入退室表を作成する入退室表作成処理について説明する。図20は、圃場特定部によって行われる入退室表作成処理を説明するためのフローチャート図である。図20に示されるステップS31からS37が行われることによって、入退室表作成処理が実行される。
【0093】
圃場特定部124は、記憶部130から、GPS情報記録部122が作業員位置情報133に蓄積した位置情報と、センサ情報記録部123がセンサ検知情報134に蓄積した検知情報とを読み込む(ステップS31)。圃場特定部124は、センサ設置位置情報132から順に人感センサ5を選択し、センサ検知情報134からその人感センサ5に係る検知情報を取得する。
【0094】
圃場特定部124は、複数の作業員Wから順番に選択した作業員名(作業員ID)を用いて作業員Wに係る作業員位置情報133を参照することによって、検知情報によって示される人感センサ5が人を検知した検知時刻における位置情報から、その作業員WのGPSによる位置情報を抽出する(ステップS32)。
【0095】
そして、圃場特定部124は、センサ設置位置情報132を参照して処理中の人感センサ5のセンサIDから設置位置を取得してセンサ特定範囲を求め、ステップS32で抽出した位置情報で示される作業員Wの位置が処理中の人感センサ5からセンサ特定範囲内か否かを判断する(ステップS33)。センサ特定範囲外の場合、圃場特定部124はステップS35へと進む。一方、センサ特定範囲内の場合、圃場特定部124は、センサ設置位置情報132から処理中の人感センサ5のセンサIDに対応づけられている、人感センサ5が設置されているハウスのハウスIDを取得し、作業員W毎に入退室表135に時刻とハウスIDとを追加して記録する(ステップS34)。
【0096】
圃場特定部124は、処理中の人感センサ5に関して、全ての作業員Wを調査したか否かを判断する(ステップS35)。全ての作業員Wを調査していない場合、次の作業員Wを選択してステップS32へ戻り、上記同様の処理を繰り返す。
【0097】
一方、全ての作業員Wを調査した場合、圃場特定部124は、全ての検知時刻を調査したか否かを判断する(ステップS36)。全ての時刻の調査が終了していない場合、つまり、処理中の人感センサ5のセンサ検知情報134に未処理の検知情報がある場合、圃場特定部124は、センサ検知情報134から次の検知情報を取得してステップS32へ戻り、上記同様の処理を繰り返す。
【0098】
一方、全ての検知時刻を調査した場合、つまり、処理中の人感センサ5のセンサ検知情報134の全ての検知情報が処理された場合、圃場特定部124は、全ての人感センサ5を調査したか否かを判断する(ステップS37)。全ての人感センサ5について調査を終了していない場合、圃場特定部124は、次の人感センサ5を選択してステップS32へ戻り、上記同様の処理を繰り返す。
【0099】
上述したステップS31からS37による入退室表作成処理によって、人感センサ5が人を検知した検知時刻に作業員Wがセンサ特定範囲内にいた場合に、作業員W毎に、人感センサ5が人を検知した検知時刻と人感センサ5が設置されるハウスIDとが対応させて記録された入退室表135が記憶部130に作成される。その後、圃場特定部124は、図22のステップS38へと進む。
【0100】
ここで、図21を参照して、ステップS31からS37による入退室表作成処理によって作成された入退室表135の例について説明する。以下の処理において、作業員W毎に作成された入退室表135に対して処理が行われるため、複数の作業員Wのうちの一の作業員Aの入退室表135−2として例示する。図21は、図20の入退室表作成処理の一例を示す図である。図21には、図20の入退室表作成処理によって作成された作業員Aの入退室表の例が示される
図21に例示される入退室表135−2は、複数の作業員Wのうちの一人(作業員A)に対して作成された入退室表である。複数の人感センサ5のいずれかが人を検知した際に、その検知時刻のGPSの位置情報がセンサ特定範囲内であった場合に、作業員Aの入退室表135−2に、その検知時刻と、その人感センサ5が設置されているハウスのハウスIDと、センサID(省略)とが対応付けられて記録される。
【0101】
入退室表135−2では、検知時刻が早い順に、例えば、検知時刻「T1」、「T2」、・・・、「T11」のように並べられる。検知時刻「T1」、「T2」、・・・、「T11」に対して、ハウスID「H3」、「H2」、・・・、「H3」が夫々対応付けられている。
【0102】
このように、圃場特定部124は、作業員W毎に入退室表135を作成すると、入退室表135毎に統計量を用いた統計量管理表136を作成するための統計量管理表作成処理を行う。図22は、圃場特定部によって行われる統計量管理表作成処理を説明するためのフローチャート図である。図22に示されるステップS38からS46が行われることによって、各作業員Wの入退室表135から統計量管理表136を作成する統計量管理表作成処理が実行される。
【0103】
圃場特定部124は、記憶部130から、複数の作業員Wから順番に選択した作業員名(作業員ID)を用いて作業員Wに係る入退室表135を読み込んで、その入退室表135において、最初のレコードの検知時刻とハウスIDとを変数Old_IDに設定する(ステップS38)。
【0104】
そして、圃場特定部124は、入退室表135において、検知時間が近い昇順に同じハウスIDがあるか否かを判断する(ステップS40)。同じハウスIDが検索されなかった場合、圃場特定部124は、ステップS45へと進む。
【0105】
一方、ステップS40において、同じハウスIDが検索された場合、圃場特定部124は、検索したレコードから検知時刻とハウスIDとを変数New_IDに設定する(ステップS41)。
【0106】
そして、圃場特定部124は、変数Old_IDと変数New_IDとによって示される時刻間の軌跡の全部又は一部が、ハウスIDで識別されるハウスの施設特定範囲内か否かを判断する(ステップS42)。時刻間の軌跡の全てが施設特定範囲内でない場合、圃場特定部124は、所定最低値を統計量とし(ステップS42−2)、変数Old_IDと変数New_IDの検知時刻(入退室時刻)と、統計量(所定最低値)と、検出フラグ("2"設定)とを記憶部130の統計量管理表136に保存する(ステップS42−4)。そして、圃場特定部124は、ステップS45へと進む。
【0107】
変数Old_IDが示す検知時刻を入室時刻とし、変数New_IDが示す検知時刻を退室時刻として設定される。所定最低値は、例えば、「0」である。検出フラグ"2"は、施設特定範囲外を示す。
【0108】
一方、ステップS42において、時刻間の軌跡の全部又は一部が施設特定範囲内であるとき、圃場特定部124は、変数Old_IDと変数New_IDとによって示される時刻間の、ハウスIDで識別されるハウス内となる軌跡の統計量を計算する(ステップS43)。そして、圃場特定部124は、変数Old_IDと変数New_IDの検知時刻(入退室時刻)と、ステップS43で計算した統計量と、検出フラグ("0"設定)とを記憶部130の統計量管理表136に保存する(ステップS42−4)。
【0109】
変数Old_IDが示す検知時刻を入室時刻とし、変数New_IDが示す検知時刻を退室時刻として設定される。統計量は、最初の検知時刻から最後の検知時刻までの軌跡の線長を全線長とし、ハウスIDで識別されるハウス内となる軌跡の総和の全線長に対する割合を計算することにより算出できる(図18)。検出フラグ"0"は、施設特定範囲内の軌跡が存在したことを示す。
【0110】
圃場特定部124は、入隊室表135において全てのハウスIDを調査したか否かを判断する(ステップS45)。変数Old_IDで示される検知時刻の次のレコードが入隊室表135の最後のレコードであるか否かを判断すればよい。全てのハウスIDを調査していないと判断した場合、圃場特定部124は、ステップS39へと戻り、上述同様の処理を繰り返す。一方、全てのハウスIDを調査したと判断した場合、圃場特定部124は、図27のステップS47へと進む。
【0111】
ここで、図23から図26を参照して、ステップS38からS46による統計量管理表作成処理によって作成された統計量管理表136の例について説明する。図23から図26では、図21に例示される作業員Aの入退室表135−2を用いて説明する。
【0112】
図23は、図22の統計量管理表作成処理の一例を示す図(その1)である。図23において、作業員Aの入退室表135−2のレコードを検知時刻の早い順(時系列)に並べることによって、検知時刻T1からT11の順にレコードが並べられる。最初に検知時刻T1のレコードが選択され、検知時刻「T1」とハウスID「H3」とが変数Old_IDに設定される。ハウスID「H3」と一致するハウスIDを時系列に検索することによって、検知時刻「T7」のレコードを検索する。この検知時刻「T7」とハウスID「H3」とが変数New_IDに設定される。
【0113】
変数Old_IDと変数New_IDとがペアとなり、検知時刻「T1」から「T7」の時刻間で、作業員AのハウスID「H3」で識別されるハウス内を示すGPSで測定された位置情報に基づいて、作業員Aの軌跡の線長を算出する。作業員Aの軌跡の全長は、検知時刻間T1−T7で算出される。ハウス内の作業員Aの軌跡の線長の作業員Aの軌跡の全長が統計量として計算される。ここでは、統計量「60」%を得る。
【0114】
統計量権利表136は、ハウスID、入室時刻、退室時刻、統計量[%]、フラグなどの項目を有し、各作業員W毎に記憶部130に作成され保存される。
【0115】
作業員Aの統計量管理表136−2において、変数Old_IDと変数New_IDとのペアにより、変数Old_IDの検知時刻「T1」が入室時刻に設定され、変数New_IDの検知時刻「T7」が退室時刻に設定される。また、このペアに関して、統計量「60」%が設定され、ハウス内に作業員Aの軌跡が存在したことを示す値「0」がフラグに設定される。その後、検知時刻「T1」の次の検知時刻「T2」のレコードで示されるハウスID「H2」に関して同様の処理が行われる。
【0116】
図24は、図22の統計量管理表作成処理の一例を示す図(その2)である。図24において、作業員Aの入退室表135−2で、次に選択された検知時刻「T2」のレコードから、検知時刻「T2」とハウスID「H2」とが変数Old_IDに設定される。
【0117】
検知時刻「T2」のレコードに対して、このレコードで示されるハウスID「H2」と一致するレコードを、このレコード以降から時系列に検索する。最初に検索された検知時刻「T4」のレコードから、検知時刻「T4」とハウスID「H2」とが変数New_IDに設定され、変数Old_IDとペアとなる。
【0118】
このペアに関して、上述したように統計量が計算されることにより、統計量「65」%を得る。そして、作業員Aの統計量管理表136−2に対して、新たなレコードが追加され、変数Old_IDの検知時刻「T2」が入室時刻に設定され、変数New_IDの検知時刻「T4」が退室時刻に設定される。また、このペアに関して、統計量「65」%が設定され、ハウス内に作業員Aの軌跡が存在したことを示す値「0」がフラグに設定される。その後、検知時刻「T2」の次の検知時刻「T3」のレコードで示されるハウスID「H1」に関して同様の処理が行われる。
【0119】
図25は、図22の統計量管理表作成処理の一例を示す図(その3)である。図25において、作業員Aの入退室表135−2で、次に選択された検知時刻「T3」のレコードから、検知時刻「T3」とハウスID「H1」とが変数Old_IDに設定される。
【0120】
検知時刻「T3」のレコードに対して、このレコードで示されるハウスID「H1」と一致するレコードを、このレコード以降から時系列に検索する。最初に検索された検知時刻「T6」のレコードから、検知時刻「T6」とハウスID「H1」とが変数New_IDに設定され、変数Old_IDとペアとなる。
【0121】
このペアに関して、上述したように統計量が計算されることにより、統計量「80」%を得る。そして、作業員Aの統計量管理表136−2に対して、新たなレコードが追加され、変数Old_IDの検知時刻「T3」が入室時刻に設定され、変数New_IDの検知時刻「T6」が退室時刻に設定される。また、このペアに関して、統計量「80」%が設定され、ハウス内に作業員Aの軌跡が存在したことを示す値「0」がフラグに設定される。その後、検知時刻「T3」の次の検知時刻「T4」のレコードで示されるハウスID「H2」に関して同様の処理が行われる。
【0122】
上述したような処理を検知時刻T1からT10の各レコードのハウスIDに対して行うことによって、結果として、例えば、図26に示すように統計量管理表136−2が構成される。検知時刻T11に対しては、次の検知時刻のレコードが存在しないため処理は行われない。
【0123】
図26は、図22の統計量管理表作成処理の一例を示す図(その4)を示す図である。図26では、最終的な統計量管理表のデータ例が示される。図26に例示される統計量管理表136−2は、作業員Aの入退室表135−2から作成された統計量管理表を示している。
【0124】
統計量管理表136−2内の入室時刻「T8」と退室時刻「T9」とを示すレコード6aにおいて、統計量6bには所定最低値「0」が設定され、フラグ6cには「2」が設定されている。この時刻間T8−T9の作業員AのGPSによる軌跡は、ハウスH2の施設特定範囲外であったことを示している。
【0125】
ステップS38で選択した作業員名(作業員ID)に係る統計量管理表136が記憶部130に作成されると、圃場特定部124は、この作成された統計量管理表136において、最も確度高く作業をしていたと判断されるハウスを示すレコードを特定するためのハウス特定処理を行う。
【0126】
図27は、圃場特定部によって行われるハウス特定処理を説明するためのフローチャート図である。図27に示されるステップS47からS59が行われることによって、作業員Wの統計量管理表136から作業していたハウスと作業時間(入室時刻及び退室時刻)とを特定するハウス特定処理が実行される。
【0127】
圃場特定部124は、変数MAX_STを統計量の最も低い値(例えば、0(ゼロ))に設定し(ステップS47)、統計量管理表作成処理(図22)によって作成された統計量管理表136を入室時刻の昇順でフラグ"0"のレコードを検索する(ステップS48)。圃場特定部124は、入室時刻の昇順で最初のレコードを取得する。
【0128】
圃場特定部124は、統計量管理表136から取得したレコードのフラグが"0"を示しているか否かを判断する(ステップS49)。フラグが"0"でない場合、圃場特定部124は、ステップS52へと進む。
【0129】
一方、フラグが"0"の場合、圃場特定部124は、取得したレコードの統計量が変数MAX_STより大きいか否かを判断する(ステップS50)。統計量が変数MAX_ST以下である場合、圃場特定部124は、ステップS52へと進む。一方、統計量が変数MAX_STより大きい場合、圃場特定部124は、変数MAX_STへ統計量を代入する(ステップS51)。変数MAX_STへ統計量を代入する際に、少なくとも入室時刻を記憶部130に記憶しておく。
【0130】
そして、圃場特定部124は、統計量管理表136の全ての統計量を調査したか否かを判断する(ステップS52)。全ての統計量を調査し終えていない場合、圃場特定部124は、入室時刻の昇順に次のレコードを取得して、ステップS49へと戻り、上記同様の処理を繰り返す。
【0131】
全ての統計量を調査した場合、圃場特定部124は、最後に変数MAX_STを更新したレコードのフラグを"1"に設定する(ステップS53)。変数MAX_STへ統計量を代入する際に記憶部130に記憶しておいた入室時刻と一致するレコードに対してフラグを"1"に設定すればよい。
【0132】
ステップS47からS53までの処理によって、統計量管理表136のレコードのうち統計量が最大値を示すレコードを特定することができる。このレコードのハウスIDで示されるハウスが、作業していたハウスとして特定する。
【0133】
次に、ステップS54からS59までの処理を行うことによって、圃場特定部124は、特定したレコードによって示される時刻間の一部又は全部と重なる時刻間を示すレコードを作業記録対象から除外するための処理を行う。
【0134】
圃場特定部124は、統計量管理表136を入室時刻の昇順でフラグ"0"のレコードを検索する(ステップS54)。圃場特定部124は、入室時刻の昇順で最初のレコードを取得する。
【0135】
圃場特定部124は、統計量管理表136から取得したレコードのフラグは"0"を示しているか否かを判断する(ステップS55)。フラグが"0"でない場合、圃場特定部124は、ステップS58へと進む。
【0136】
一方、フラグが"0"の場合、圃場特定部124は、変数MAX_STのレコードから得られる時刻間の全部又は一部と重なるか否かを判断する(ステップS56)。具体的には、フラグ"0"のレコードの入室時刻及び退室時刻から得られる時刻間が、
(a)変数MAX_STのレコードの入室時刻又は退室時刻の一方を含む、
(b)変数MAX_STのレコードの入室時刻及び退室時刻の両方を含む、
(c)変数MAX_STのレコードの入室時刻及び退室時刻による時刻間に含まれる、
のいずれかであるかが判断される。
【0137】
全部又は一部と重ならない場合、即ち、上記(a)から(c)のいずれも当てはまらない場合、圃場特定部124は、ステップS58へと進む。一方、全部又は一部と重なる場合、圃場特定部124は、レコードのフラグ"0"を"2"に設定する(ステップS57)。
【0138】
そして、圃場特定部124は、統計量管理表136の全てのフラグ"0"のレコードを調査したか否かを判断する(ステップS58)。全てのフラグ"0"のレコードを調査し終えていない場合、圃場特定部124は、ステップS54へと戻り、上述同様の処理を繰り返す。
【0139】
一方、全てのフラグ"0"のレコードを調査した場合、圃場特定部124は、統計量管理表136に未だフラグ"0"のレコードが存在するか否かを判断する(ステップS59)。未だフラグ"0"のレコードが存在する場合、ステップS47へと戻り、未だフラグ"0"のレコードから他の時刻間で作業したハウスを特定するために、上記同様の処理を繰り返す。一方、未だフラグ"0"のレコードが存在しない場合、圃場特定部124は、図34のステップS60へと進む。
【0140】
ここで、図28から図33を参照して、ステップS47からS59によるハウス特定処理の例について説明する。図28から図33では、図26に例示される作業員Aの入退室表135−2及び統計量管理表136−2とを用いて説明する。
【0141】
図28は、図27のハウス特定処理の一例を示す図(その1)である。図28中、作業員Aの統計量管理表136−2のレコードと作業員Aの入退室表135−2のレコードのペアに対して、rd1からrd8のように同一の符号を付して対応付けを示す。以下に参照される図29から図33においても同様である。
【0142】
図28に例示される作業員Aの統計量管理表136−2において、フラグ"0"のレコードrd1からrd5、rd7、及びrd8から統計量が最大のレコードを検索する。この例では、統計量「80」%を示すレコードrd3が検索され、フラグ"0"が"1"に設定される。
【0143】
そして、このフラグ"0"が"1"に設定されたレコードrd3で示される入室時刻から退室時刻までの時刻間と重なる他の時刻間を統計量管理表136−2から除外する処理を行が行われる。
【0144】
図29は、図27のハウス特定処理の一例を示す図(その2)である。図27での処理では、作業員Aの例においても統計量管理表136−2に対して行われるが、時刻間の重なりの理解を容易とするため、ここでは、入退室表135−2で説明する。
【0145】
統計量の最大値(図27の変数MAX_ST)を示すレコードrd3の時刻間に対して、
(a)変数MAX_STのレコードの入室時刻又は退室時刻の一方を含む、
(b)変数MAX_STのレコードの入室時刻及び退室時刻の両方を含む、
(c)変数MAX_STのレコードの入室時刻及び退室時刻による時刻間に含まれる、
時刻間となるのは、上記(a)に該当するレコードrd2及びrd5、上記(b)に該当するレコードrd1、上記(c)に該当するレコードrd4である。図29中、破線で示される。レコードrd1、rd2、rd4、及びrd5のフラグ"0"が、レコードの除外を示す"2"に設定される。
【0146】
図30は、図27のハウス特定処理の一例を示す図(その3)である。図30では、統計量管理表136−2から、統計量の最大値を示すレコードrd3の時刻間と重なる時刻間を示すレコードrd1、rd2、rd4、及びrd5のフラグ"0"が"2"に変更された状態を示している。
【0147】
図30に例示される統計量管理表136−2には、未だフラグ"0"のレコードrd6及びrd8が存在する。これらレコードrd6及びrd8に対して、上記同様に、統計量の最大値を示すレコードの検索を行う。
【0148】
図31は、図27のハウス特定処理の一例を示す図(その4)である。図31では、残りのフラグ"0"のレコードrd6及びrd8のうち、レコードrd6が統計量の最大値を示すと判断され、フラグ"0"が"1"に設定される状態を示している。そして、上述同様に、レコードrd6の時刻間と重なる時刻間を示すレコードを除外する処理を行う。
【0149】
図32は、図27のハウス特定処理の一例を示す図(その5)である。図32では、入隊室表135−2に対して破線で示されるように、統計量管理表136−2のレコードrd7の時刻間が統計量の最大値を示すレコードrd6の時刻間との重なり(上記(c))を示すが、ハウス外の軌跡であったことにより統計量「0」かつフラグ"2"が設定され、この例では、既に除外レコードとなっている。
【0150】
図33は、図27のハウス特定処理の一例を示す図(その6)である。図33では、フラグ"0"のレコードはレコードrd8のみが残り、上記同様の統計量の最大値を示すレコードの検索により検索され、その結果、レコードrd8のフラグ"0"が"1"に設定された状態を示している。統計量管理表136−2においてフラグ"0"のレコードが全て処理されたことになる。
【0151】
このように、フラグ"0"のレコードを全て処理した後、作業記録生成部125によって処理が継続され、2以上のレコードから連続した作業時間を判断してレコードを統合することによって、作業管理表137を作成する作業管理表作成処理が行われる。
【0152】
図34は、作業記録生成部によって行われる作業管理表作成処理を説明するためのフローチャート図である。図34に示されるステップS60からS67が行われることによって、作業員Wの統計量管理表136から作業管理表137を作成する作業管理表作成処理が実行される。
【0153】
作業管理表作成処理では、図27に示すハウス特定処理によって処理された統計量管理表136内の重なる時刻間のレコードが除外されたフラグ"1"を示す(統計量の最大値の)レコードに対して、2以上のレコードから連続した作業時間を判断してレコードを統合する。作業管理表作成処理において作成された作業管理表137では、連続した作業時間ごとに作業したハウスが特定された状態で示される。
【0154】
図34において、作業記録生成部125は、図27に示すハウス特定処理によって処理された統計量管理表136において、入室時刻の昇順にフラグ"1"のレコードを検索する(ステップS60)。作業記録生成部125は、入室時刻の昇順で最初のレコードを取得する。
【0155】
作業記録生成部125は、統計量管理表136から取得したレコードのフラグが"1"を示しているか否かを判断する(ステップS61)。フラグが"1"でない場合、作業記録生成部125は、ステップS65へと進む。
【0156】
一方、フラグが"1"の場合、作業記録生成部125は、取得したレコード以降の次のフラグ"1"のレコードを検索して、次のレコード(検索したレコード)のハウスIDが、今のレコード(取得したレコード)のハウスIDと一致するか否かを判断する(ステップS62)。次のレコードのハウスIDが今のレコードのハウスIDと不一致の場合、作業記録生成部125は、ステップS65へと進む。
【0157】
一方、次のレコードのハウスIDが今のレコードのハウスIDと一致する場合、作業記録生成部125は、今のレコードの退室時刻と次のレコードの入室時刻とが同時刻であるか否かを判断する(ステップS63)。同時刻でない場合、作業記録生成部125は、ステップS65へと進む。一方、同時刻である場合、今のレコードと次のレコードとを統合して、今のレコードの入室時刻から次のレコードの退室時刻までを一つの作業時間とする(ステップS64)。
【0158】
作業記録生成部125は、フラグ"1"の今のレコードに関して、作業管理表137に、ハウスIDと、入室時刻と、退室時刻とを登録し、統計量管理表136のフラグ"1"を"3"に設定する(ステップS65)。今のレコードが統合されている場合には、今のレコードの入室時刻と、ステップS62の判断の対象となった次のレコードの退室時刻とが、作業管理表137に登録される。
【0159】
その後、作業記録生成部125は、統計量管理表136において全ての時刻間を調査したか否かを判断する(ステップS66)。全ての時刻間を調査していない場合、作業記録生成部125は、入室時刻の昇順に次のレコードを取得して、ステップS61へと戻り、上記同様の処理を繰り返す。
【0160】
全ての時刻間を調査した場合、作業記録生成部125は、全ての作業員Wを調査したか否かを判断する(ステップS67)。全ての作業員Wを調査し終えてない場合、作業記録生成部125は、図22のステップS38へと戻り、次の作業員名(作業員ID)を取得して、その作業員名(作業員ID)に対応付けられる入退室表135を用いた統計量管理表作成処理から、上記同様の処理を繰り返す。
【0161】
一方、全ての作業員Wを調査した場合、圃場特定部124及び作業記録生成部125による処理全体を終了する。各作業員Wの作業管理表137が記憶部130に保存される。
【0162】
図35は、図34の作業記録生成処理の一例を説明するための図(その1)である。図35中、図33に例示される作業員Aの統計量管理表136−2を用いて説明する。作業員Aの統計量管理表136−2では、フラグ"1"のレコードは、レコードrd3、rd6、及びrd8である。
【0163】
統計量管理表136−2を入室時刻の時系列順にフラグ"1"のレコードを検索することによって、最初にレコードrd3が検索される。そして、最初のレコードrd3以降でフラグ"1"を示す次のレコードrd6との間で、連続した作業時間を示すか否かが判断される。
【0164】
連続した作業時間の判断は、先ず、レコードrd3とレコードrd6との間で、ハウスIDが一致すること、次に、ハウスIDが一致した場合に更に、レコードrd3の退室時刻と、レコードrd6の入室時刻の一致することが条件となる。
【0165】
共にフラグ"1"のレコードrd3とレコードrd6とに対して、連続した作業時間となるか否かが判断される。この判断結果に基づく、作業員Aの作業管理表137−2への登録について図36で説明する。
【0166】
図36は、図34の作業記録生成処理の一例を説明するための図(その2)である。図36において、統計量管理表136−2内のレコードrd3とレコードrd6のハウスIDが不一致であるため、レコードrd3とレコードrd6との間では連続した作業時間を示さないと判断される。従って、レコードrd3のみに基づいて、レコードrd3のハウスID「H1」と、入室時刻「T3」と、退室時刻「T6」とが、作業員Aの作業管理表137−2に登録される。
【0167】
そして、登録したレコードrd3のフラグ"1"を"3"に設定する。フラグ"3"は、既に、作業管理表137−2に登録したレコードであることを示し、重複して処理されることを防止する。
【0168】
登録後更に、レコードrd3以降で最初のフラグ"1"のレコードを検索し、該当するレコードrd6に対して、レコードrd6以降で最初のフラグ"1"のレコードrd8との間で連続した作業時間の判断を行う。レコードrd6とレコードrd8とに対する判断結果に基づく、作業員Aの作業管理表137−2への登録について図37で説明する。
【0169】
図37は、図34の作業記録生成処理の一例を説明するための図(その3)である。図37において、統計量管理表136−2内のレコードrd6とレコードrd8のハウスIDが一致するため、更に、レコードrd6の退室時刻とレコードrd8の入室時刻とが一致するか否かが判断される。
【0170】
この例の場合、レコードrd6の退室時刻とレコードrd8の入室時刻とが一致するため、レコードrd6とレコードrd8とが統合されて、一致したハウスID「H3」と、レコードrd6の入室時刻「T7」と、レコードrd8の退室時刻「T11」とが新たに、作業員Aの作業管理表137−2へ登録される。そして、登録したレコードrd6とレコードrd8のフラグ"1"を"3"に設定する。
【0171】
図38は、図34の作業記録生成処理の一例を説明するための図(その4)である。図38において、図37での処理の結果、統計量管理表136−2内は、フラグ"1"を示すレコードが存在しなくなると、作業員Aの作業管理表137−2の完成となる。
【0172】
完了した作業管理表137−2より、作業員Aは、入室時刻「T3」から退室時刻「T6」までハウスH1で作業をしていたこと、また、入室時刻「T7」から退室時刻「T11」までハウスH3で作業をしていたこと、が示される。
【0173】
このようにして、各作業員Wの作業管理表137が完了すると、作業員Wの識別情報に対応させて記憶部130に格納される。
【0174】
第1実施例において、統計量の計算方法は、図18で説明した方法に限定されない。例えば、次のような他の統計量の計算方法を適用してもよい。
【0175】
図39は、統計量の計算方法の他の例を説明するための図である。図39では、図17で例示される軌跡TR5及び入退室表135において作業員W1のみを示し、それぞれ軌跡TR5'及び入退室表135'で示す。
【0176】
先ず、ハウス位置情報131を参照することによって、ハウスH1及びH2の重心の位置g1及びg2を求める。次に、入退室表135'を参照することによって、ハウスIDが同一となる時刻間において、作業員位置情報133から得られる作業員W1の各時刻の位置情報に基づいてGPSによる測定値(経度及び緯度)の平均値を求める。この例では、時刻T3−T1間のGPS測定値の平均値d31と、時刻T4−T2間のGPS測定値の平均値d42とが算出される。
【0177】
そして、ハウスIDが同一となる時刻間について、重心までの距離を算出する。入退室表135'において同一ハウスID「H2」を示す時刻T3−T1間に関して、平均値d31からハウスH2の重心g2までの距離L1は、重心g2から平均値d31を減算した値の絶対値で求まる。また、同一ハウスID「H1」を示す時刻T4−T2間に関して、平均値d42からハウスH1の重心g1までの距離L2は、重心g1から平均値d42を減算した値の絶対値で求まる。
【0178】
軌跡TR5'を参照しても分かるように、距離L1は距離L2より短いため(L1<L2)、作業員W1が作業していたハウスはハウスH2であると特定する。
【0179】
[第2実施例]
人感センサ5を各ハウスの出入り口の内側と外側に設置するようにした構成例を第2実施例として以下に説明する。第2実施例について詳述する前に、各ハウスの2箇所の出入り口に夫々1つの人感センサ5を備えた構成における課題について説明する。
【0180】
出入り口に1つの人感センサ5の設置では、ある作業員Wがハウスを出入りした場合と、ハウス内に留まり作業していた場合とにおいて、複数の作業員Wが作業している状況では入退室表135の作成時にその違いを示すことができない場合がある。
【0181】
図40は、入退室作業表の作成時には区別できない軌跡例を示す図である。図40(A)に例示される軌跡TR6−1では、作業員W1の測定軌跡23bにより、作業員W1がハウスH1に、
・時刻T1に人感センサS1aの出入り口から入室して、
・時刻T2で人感センサS1bの出入り口から退室した後、
・時刻T3に人感センサS1aの出入り口から再度入室して、
・時刻T4で人感センサS1bの出入り口から退室した
ことを示している。
【0182】
この軌跡TR6−1の例において、
・時刻T1で人感センサS1aが人を検知し、
・時刻T2で人感センサS1bが人を検知し、
・時刻T3で人感センサS1aが人を検知し、
・時刻T4で人感センサS1bが人を検知する。
【0183】
図40(B)に例示される軌跡TR6−2では、作業員W1とW2とが作業している状況において、作業員W1の測定軌跡24bにより、作業員W1がハウスH1に、
・時刻T1に人感センサS1aの出入り口から入室して
・時刻T4で人感センサS1bの出入り口から退室する
までハウスH1から出ることなく作業していたことを示し、作業員W2の測定軌跡25bにより、作業員W2がハウスH1の外周を、
・時刻T2に人感センサS1bから、
・時刻T3に人感センサS1aの方向へと移動した
ことを示している。
【0184】
この軌跡TR6−2の例において、
・時刻T1で人感センサS1aが人を検知し、
・時刻T2で人感センサS1bが人を検知し、
・時刻T3で人感センサS1aが人を検知し、
・時刻T4で人感センサS1bが人を検知する。
【0185】
軌跡TR6−1と軌跡TR6−2とにおける作業員W1及びW2の夫々の入退室表135は図41に示すように作成される。
【0186】
図41は、図40の軌跡例に基づく入退室表の例を示す図である。図41(A)は、作業員W1の入退室表135−3を示している。図41(A)に示されるように、作業員W1に関して、図40の軌跡TR6−1及びTR6−2の両方で同じ入退室表135−3となる。軌跡TR6−2では、作業員W1の測定軌跡24bにおいて、時刻T2にはハウスH1内に居て人感センサS1bの近辺で作業していた状態、また、時刻T3にはハウスH1内に居て人感センサS1aの近辺で作業していた状態であったとしても、入退室表135−3からでは、軌跡TR6−1及びTR6−2の違いは表現されない。
【0187】
一方、図41(B)は、図40の軌跡TR6−2での作業員W2の入退室表135−4を示しているが、この入退室表135−4からでは、作業員W2がハウスH1に入室していたのか、人感センサS1a及びS1bの近辺を通りがかった際に検知されただけなのか、を判断することができない。
【0188】
人感センサ5を各ハウスの出入り口の内側と外側に設置する第2実施例では、各作業員Wの入退室表135の作成時にその違いを示すことができ、より精度の高い作業記録を行うことができる。
【0189】
第2実施例では、図42に示されるような入出方向表138を予め作成し記憶部130に格納しておく。図42は、第2実施例における入出方向表の例を示す図である。図42に示す入出方向表138は、ハウスの出入り口毎に、設置された人感センサ5の組合に対して、検知順で作業員Wの入室、及び、退室の方向を登録するためのテーブルであり、ハウスID、センサ組合、入方向、出方向などの項目を有する。
【0190】
ハウスIDは、ハウスを識別するための識別情報である。センサ組合は、出入り口に対して設置され、作業員Wの入室又は退室を判断するために用いる人感センサ5の組合せを2以上のセンサIDで示す。
【0191】
入方向は、作業員Wが入室したと判断するための人感センサ5の検知順をセンサIDの順番で示す。出方向は、作業員Wが退室したと判断するための人感センサ5の検知順をセンサIDの順番で示す。
【0192】
例えば、ハウスID「H1」でのセンサ組合「S1a、S1b」の場合、人感センサS1a―>S1bの順で作業員Wを検知した場合、その作業員は、ハウスH1の外から内の方向(外―>内)であったことを意味し、入方向で検知されたことを示す。人感センサS1b―>S1aの順で作業員Wを検知した場合、その作業員は、ハウスH1の内から外の方向(内―>外)であったことを意味し、出方向で検知されたことを示す。
【0193】
同様に、ハウスID「H1」でのセンサ組合「S1c、S1d」の場合、人感センサS1d―>S1cの順で作業員Wを検知した場合、その作業員は、ハウスH1の外から内の方向(外―>内)であったことを意味し、入方向で検知されたことを示す。人感センサS1c―>S1d(内―>外)の順で作業員Wを検知した場合、その作業員は、ハウスH1の内から外の方向であったことを意味し、出方向で検知されたことを示す。
【0194】
入出方向表138では、同時に、人感センサS1aが「外」側に設置されたセンサであること、人感センサS1bが「内」側に設置されたセンサであること、人感センサS1cが「外」側に設置されたセンサであること、人感センサS1dが「内」側に設置されたセンサであることを示す。入方向又は出方向のいずれかを参照すればよい。
【0195】
このような入出方向表138を参照して、軌跡TR6−1における作業員W1の入退室表は、図43に示すように作成される。図43は、第2実施例における入出方向表を用いて作成した入退室表の例を説明するための図である。図43において、ハウスH1の2箇所の出入り口に対して、一方の出入り口の外側に人感センサS1a及び内側に人感センサS1bが備えられ、他方の出入り口の内側に人感センサS1c及び外側に人感センサS1dが備えられる。
【0196】
人感センサS1a及び内側に人感センサS1bが備えられる位置は略同位置であるので、それらのセンサ特定範囲A1a及びA1bは重ねて示されている。同様に、人感センサS1c及び内側に人感センサS1dが備えられる位置は略同位置であるので、それらのセンサ特定範囲A1c及びA1dは重ねて示されている。
【0197】
センサ検知情報134と、作業員位置情報133から作業員W1の位置情報を参照することによって作成された作業員W1の入退室表135−5は、検知時刻、センサID、ハウスID、内外情報などの項目を有する。入退室表135−5は、検知時刻の昇順で示される。第2実施例では、内外情報が追加される。内外情報は、入出方向表138(図42)を参照することによって付加される情報である。
【0198】
測定軌跡23bの例では、検知時刻T1とT2でセンサS1a−>S1b(外―>内)の順で検知しているため、入退室表135−5の検知時刻T1とT2に対応する内外情報に「外」、「内」と夫々設定される。また、検知時刻T3とT4でセンサS1c−>S1d(内―>外)の順で検知しているため、入退室表135−5の検知時刻T3とT4に対応する内外情報に「内」、「外」と夫々設定される。
【0199】
更に、検知時刻T5とT6でセンサS1a−>S1b(外―>内)の順で検知しているため、入退室表135−5の検知時刻T5とT6に対応する内外情報に「外」、「内」と夫々設定される。また、検知時刻T7とT8でセンサS1c−>S1d(内―>外)の順で検知しているため、入退室表135−5の検知時刻T7とT8に対応する内外情報に「内」、「外」と夫々設定される。
【0200】
このような内外情報を参照することにより、同一ハウスID「H1」であって、内外情報が「外―>内―>内―>外」となる検知時刻T1からT4の時刻間をハウスH1内の作業時間43aであると判断できる。同様に、同一ハウスID「H1」であって、内外情報が「外―>内―>内―>外」となる検知時刻T5からT8の時刻間をハウスH1内の作業時間43bであると判断できる。従って、時刻T4からT5の時刻間を誤って作業時間と判断することがない。
【0201】
次に、軌跡TR6−2について、以下に詳述する。図44は、第2実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その1)である。図44において、人感センサS1aからS1dの設置は、図43と同様である。また、センサ特定範囲A1a、A1b、A1c、及びA1dについても図43での説明の通りである。図40で説明した軌跡TR6−2に関して、図42に例示される入出方向表138を用いて、作業員W1の入退室表、及び作業員W2の入退室表の作成について、検知時刻毎に以下で説明する。
【0202】
図45は、第2実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その2)である。図45では、検知時刻T1までの軌跡を示している。検知時刻T1で、作業員W1がハウスH1へ入室する際に人感センサS1aで検知される。
【0203】
作業員W1の入退室表135−7において、検知時刻T1に対応させてセンサID「S1a」、ハウスID「H1」、内外情報「外」が記録される。
【0204】
作業員W2は、ハウスH1の施設特定範囲B1外であるので、検知時刻T1に関して、作業員W2の入退室表135−8には何も記録されない。
【0205】
図46は、第2実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その3)である。図46では、検知時刻T2までの軌跡を示している。検知時刻T2で、作業員W1がハウスH1へ入室する際に人感センサS1aに続いて人感センサS1bに検知される。
【0206】
作業員W1の入退室表135−7において、検知時刻T2に対応させてセンサID「S1b」、ハウスID「H1」、内外情報「内」が記録される。
【0207】
作業員W2は、ハウスH1の施設特定範囲B1外であるので、検知時刻T2に関して、作業員W2の入退室表135−8には何も記録されない。
【0208】
図47は、第2実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その4)である。図47では、検知時刻T3までの軌跡を示している。検知時刻T3で、ハウスH1の人感センサS1d近辺を通り過ぎた作業員W2によって、人感センサS1dが反応する。作業員W2が人感センサS1dを反応させた検知時刻T3においける作業員W1のGPSによる測定位置は、人感センサS1dのセンサ特定範囲A1d内である。
【0209】
作業員W1の入退室表135−7において、検知時刻T3に対応させてセンサID「S1d」、ハウスID「H1」、内外情報「外」が記録される。
【0210】
作業員W2の入退室表135−8において、検知時刻T3に対応させてセンサID「S1d」、ハウスID「H1」、内外情報「外」が記録される。
【0211】
図48は、第2実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その5)である。図48では、検知時刻T4までの軌跡を示している。検知時刻T4で、ハウスH1の人感センサS1a近辺を通り過ぎた作業員W2によって、人感センサS1aが反応する。作業員W2が人感センサS1aを反応させた検知時刻T4における作業員W1のGPSによる測定位置は、人感センサS1aのセンサ特定範囲A1a内である。
【0212】
作業員W1の入退室表135−7において、検知時刻T4に対応させてセンサID「S1a」、ハウスID「H1」、内外情報「外」が記録される。
【0213】
作業員W2の入退室表135−8において、検知時刻T4に対応させてセンサID「S1a」、ハウスID「H1」、内外情報「外」が記録される。
【0214】
図49は、第2実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その6)である。図49では、検知時刻T5までの軌跡を示している。検知時刻T5で、作業員W1がハウスH1から退室する際に人感センサS1cによって検知される。
【0215】
作業員W1の入退室表135−7において、検知時刻T5に対応させてセンサID「S1c」、ハウスID「H1」、内外情報「内」が記録される。
【0216】
作業員W2は、人感センサS1cのセンサ特定範囲A1c外であるので、検知時刻T5に関して、作業員W2の入退室表135−8には何も記録されない。
【0217】
図50は、第2実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その7)である。図50では、検知時刻T6移行を含めた軌跡を示している。検知時刻T6で、作業員W1がハウスH1から退室する際に人感センサS1cに続いて人感センサS1dに検知される。
【0218】
作業員W1の入退室表135−7において、検知時刻T6に対応させてセンサID「S1d」、ハウスID「H1」、内外情報「外」が記録される。
【0219】
作業員W2は、人感センサS1dのセンサ特定範囲A1d外であるので、検知時刻T6に関して、作業員W2の入退室表135−8には何も記録されない。
【0220】
上述した処理により、軌跡TR6−2における作業員W1の入退室表135−7、及び、作業員W2の入退室表135−8の作成が完了する。次に、圃場特定部124が、入出方向表138を参照して、作成された入退室表135−7及び入退室表135−8から入退室判断を行う方法について図51で説明する。
【0221】
図51は、第2実施例における入退室判断を行うための方法について説明するための図である。図51において、入出方向表138を参照することにより、作業員W1の入退室表135−7内の検知時刻T1及びT2の内外情報「外」及び「内」により、入方向(外―>内)であると判断される。
【0222】
また、作業員W1の入退室表135−7内の検知時刻T5及びT6の内外情報「内」及び「外」により、出方向(内―>外)であると判断される。
【0223】
従って、検知時刻T1で入室し、検知時刻T6で退室したと判断できる。検知時刻T1からT6の時刻間がハウスH1での作業時間52aとなる。
【0224】
一方、軌跡TR6−2に関する作業員W2の入退室表135−8は、検知時刻T3及びT4のみが記録されているが、入出方向表138のセンサ組合を参照すると、検知時刻T3での人感センサS1dと次の検知時刻T4での人感センサS1aの組合は存在しないため、作業員W2によるハウスH1での作業はなかったと判断することができる。
【0225】
入出方向表138を用いない場合と、入出方向表138を用いる第2実施例との対比を図52で説明する。図52(A)は、入出方向表138を用いない場合の図41(A)に例示される作業員W1の入退室表135−3を示している。軌跡TR6−1及び軌跡TR6−1と異なる軌跡TR6−2に関しても、同様の入退室表135−3となる。また、検知時刻とセンサIDとハウスIDとからでは、入室した時刻と、退室した時刻とが判断できないため、入退室判断を行うことができない。
【0226】
図52(B)は、入出方向表138を用いる第2実施例において、軌跡TR6−1に係る図43に例示される作業員W1の入退室表135−5を示している。入退室表135−5おいて付加された内外情報を参照することにより、検知時刻の昇順(時系列順)に連続する2つの検知時刻で、入出方向表138のセンサ組合及び入方向に基づいて「外」及び「内」となるペア43a−1及び43b−1、又は、入出方向表138のセンサ組合及び出方向に基づいて「内」及び「外」となるペア43a−2及び43b−2のレコードを特定することができる。
【0227】
互いに時間的に近い2つのペア(即ち、4つのレコード)において、内外情報が「外―>内―>内―>外」となる場合に、4つのレコードの最初と最後の検知時刻が作業時間であると判断する。
【0228】
検知時刻T1とT2のペア43a−1と、検知時刻T3とT4のペア43a−2とによって、内外情報が「外―>内―>内―>外」を示すため、検知時刻T1から検知時刻T4までが作業時間43aであると判断される。
【0229】
また、検知時刻T5とT6のペア43b−1と、検知時刻T7とT8のペア43b−2とによって、内外情報が「外―>内―>内―>外」を示すため、検知時刻T5から検知時刻T8までが作業時間43bであると判断される。
【0230】
図52(C)は、入出方向表138を用いる第2実施例において、軌跡TR6−2に係る図51に例示される作業員W1の入退室表135−7を示している。入退室表135−7おいて付加された内外情報を参照することにより、検知時刻の昇順(時系列順)に連続する2つの検知時刻で、入出方向表138のセンサ組合及び入方向に基づいて「外」及び「内」となるペア52a−1、又は、入出方向表138のセンサ組合及び出方向に基づいて「内」及び「外」となるペア52a−2のレコードを特定することができる。
【0231】
互いに時間的に近い2つのペア(即ち、4つのレコード)において、内外情報が「内―>外―>内―>外」となる場合に、4つのレコードの最初と最後の検知時刻が作業時間であると判断する。
【0232】
検知時刻T1とT2のペア52a−1と、検知時刻T5とT6のペア52a−2とによって、内外情報が「内―>外―>内―>外」を示すため、検知時刻T1から検知時刻T6までが作業時間52aであると判断される。
【0233】
[第3実施例]
第3実施例では、各出入り口に人感センサ5を一つとし、各作業員Wが保持する作業員端末4に備えられたコンパス情報を用いて、入退室表135から作業員Wの入退室を判別可能とする仕組みについて説明する。各作業員Wは、GPS機能及びコンパス機能を備えた携帯電話機を作業員端末4として保持するものとする。
【0234】
図53は、入退室作業表の作成時には区別できない軌跡例に係る各作業員の入退室表の例を示す図である。図53では、各出入り口に人感センサ5を一つの設置、かつ、コンパス情報を用いない場合における、図40(B)に示す軌跡TR6−2と、図41に示す作業員W1の入退室表135−3と、作業員W2の入退室表135−8とが示される。
【0235】
作業員W1の入退室表135−3からでは、作業員W1がどの検知時刻でハウスH1に入室して、ハウスH1から退室したのか判別できない。また、作業員W2の入退室表135−8では、作業員W2がどの検知時刻でハウスH1に入室したのかが判別できない。
【0236】
そこで、第3実施例では、図54に示されるような入出方向表138Aを予め作成し記憶部130に格納しておく。図54は、第3実施例における入出方向表の例を示す図である。図54に示す入出方向表138Aは、ハウスの出入り口毎に、入室時及び退室時の方位を登録するためのテーブルであり、ハウスID、センサID、入室方位、退室方位などの項目を有する。
【0237】
ハウスIDは、ハウスを識別するための識別情報である。センサIDは、出入り口に設置された人感センサ5を識別するための識別情報である。
【0238】
入室方位は、センサIDで特定される出入り口から作業員Wが入室する際に示される方位である。入室方位は、センサIDで特定される出入り口から作業員Wが退室する際に示される方位である。入室方位及び入室方位には、所定の許容範囲を設けて凡その方位を定義される。例えば、±30度の許容範囲を許すものとする。
【0239】
入出方向表138Aによって、例えば、ハウスH1の人感センサS1aが人を検知した検知時刻において、作業員Wの位置情報で得られるその時刻の作業員Wの向きが入室方位「南」である場合、作業員WがハウスH1に入室したと判断する。また、退室方位「北」である場合、作業員WがハウスH1に退室したと判断する。他のハウスの人感センサについても同様に定義される。
【0240】
図55は、第3実施例における作業員位置情報の例を示す図である。図55に例示される作業員位置情報133Aでは、図11に示す作業員位置情報133と同様に、作業員名、所定時間毎にGPSから取得した位置1、・・・、位置LT61、・・・などを記録し保持している。位置1、・・・、位置LT61、・・・には、各作業員端末4から受信した、所定時間毎にGPSから取得したGPS情報に時刻及び向きが付加された位置情報が記録される。向きは、各作業員端末4のコンパス機能によって得られるコンパス情報である。
【0241】
この例では、作業員名「W1」の位置1には、時刻「8:20」に緯度「35.44347」及び経度「139.31332」の位置で、向き「東北」であったことが記録されている。他の位置、他の作業員W2、・・・についても同様である。
【0242】
図53で説明した軌跡TR6−2に関して、図54に例示される入出方向表138を用いて、作業員W1の入退室表、及び作業員W2の入退室表の作成について、検知時刻毎に以下で説明する。入退室表の「向き」については、図55に示されるような作業員位置情報133Aの検知時刻に対応付けられる「向き」の値が設定される。
【0243】
図56は、第3実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その1)である。図56では、検知時刻T1までの軌跡を示している。検知時刻T1で、作業員W1がハウスH1へ入室する際に人感センサS1aで検知される。
【0244】
作業員W1の入退室表135A−7において、検知時刻T1に対応させてセンサID「S1a」、ハウスID「H1」、向き「南」が記録される。
【0245】
作業員W2は、ハウスH1の施設特定範囲B1外であるので、検知時刻T1に関して、作業員W2の入退室表135A−8には何も記録されない。
【0246】
図57は、第3実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その2)である。図57では、検知時刻T2までの軌跡を示している。検知時刻T2で、ハウスH1の人感センサS1b近辺を通り過ぎた作業員W2によって、人感センサS1bが反応する。作業員W2が人感センサS1bを反応させた検知時刻T2においける作業員W1のGPSによる測定位置は、人感センサS1bのセンサ特定範囲A1b内である。
【0247】
作業員W1の入退室表135A−7において、検知時刻T2に対応させてセンサID「S1b」、ハウスID「H1」、向き「東」が記録される。
【0248】
作業員W2の入退室表135A−8において、検知時刻T2に対応させてセンサID「S1b」、ハウスID「H1」、向き「東」が記録される。
【0249】
図58は、第3実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その3)である。図58では、検知時刻T3までの軌跡を示している。検知時刻T3で、ハウスH1の人感センサS1a近辺を通り過ぎた作業員W2によって、人感センサS1aが反応する。作業員W2が人感センサS1aを反応させた検知時刻T3においける作業員W1のGPSによる測定位置は、人感センサS1aのセンサ特定範囲A1a内である。
【0250】
作業員W1の入退室表135A−7において、検知時刻T3に対応させてセンサID「S1a」、ハウスID「H1」、向き「東」が記録される。
【0251】
作業員W2の入退室表135A−8において、検知時刻T3に対応させてセンサID「S1a」、ハウスID「H1」、向き「西」が記録される。
【0252】
図59は、第3実施例における入出方向表を用いた入退室表の作成例を説明するための図(その4)である。図59では、検知時刻T4以降の軌跡を示している。検知時刻T4で、作業員W1がハウスH1から退室する際に人感センサS1bによって検知される。
【0253】
作業員W1の入退室表135A−7において、検知時刻T4に対応させてセンサID「S1b」、ハウスID「H1」、向き「南」が記録される。
【0254】
作業員W2は、人感センサS1bのセンサ特定範囲A1b外であるので、検知時刻T4に関して、作業員W2の入退室表135A−8には何も記録されない。
【0255】
上述した処理により、軌跡TR6−2における作業員W1の入退室表135A−7、及び、作業員W2の入退室表135A−8の作成が完了する。次に、圃場特定部124が、入出方向表138を参照して、作成された入退室表135A−7及び入退室表135A−8から入退室判断を行う方法について図60で説明する。
【0256】
図60は、第3実施例における入退室判断を行うための方法について説明するための図である。図60において、入出方向表138Aを参照することにより、作業員W1の入退室表135A−7内の検知時刻T1のセンサID「S1a」での作業員W1の向き「南」は入室方位「南」と一致し、また、検知時刻T4のセンサID「S1b」での作業員W1の向き「南」は退室方位「南」と一致する。
【0257】
従って、作業員W1は、ハウスH1を、検知時刻T1で入室し、検知時刻T4で退室したと判断できる。検知時刻T1からT4の時刻間がハウスH1での作業時間59aとなる。
【0258】
一方、軌跡TR6−2に関する作業員W2の入退室表135A−8は、検知時刻T2及びT3のみが記録されているが、入出方向表138AのセンサID、入室方位、退室方位を参照すると、検知時刻T2での人感センサS1bと向き「東」に一致するものはなく、かつ、検知時刻T3での人感センサS1aと向き「西」に一致するものはないため、作業員W2によるハウスH1での作業はなかったと判断することができる。
【0259】
上述により、ハウス等のGPS誤差7gより幅の狭い特定領域であっても、更に、そのような特定領域が隣接した配置であっても、作業員が作業している特定領域を精度良く特定し、また、作業時間を適切に決定することができる。
【0260】
更に、複数の作業員がハウス内外で作業している状況においても、作業員を識別できない人感センサが反応した検知時刻とGPSによる測定位置とを用いて、作業員のハウス内外を判別してハウス内で作業した時刻間を特定することができる。従って、特定した特定領域内での作業時間を、その作業員の作業履歴として自動記録可能となる。
【0261】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0262】
以上の第1から第3実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の施設の各出入り口に設置されたセンサが人に反応した検知時刻における作業員の位置を示す位置情報から、該センサから所定範囲内にいる作業員を特定する作業員特定手段と、
前記特定された作業員に係る検知時刻毎に該施設の施設IDとセンサIDとを対応付けた該特定された作業員の入退室表を記憶部内に作成して格納する入退室表作成手段と、
前記記憶部から前記特定された作業員の入退室表を参照することによって、同一施設を示す2つの検知時刻間の前記位置情報に基づく該施設の領域内の軌跡の統計量を算出して、該同一施設の施設IDと該2つの検知時刻と該算出した該統計量とを対応付けた統計量管理表を前記記憶部内に作成して格納する統計量管理表作成手段と、
前記記憶部から前記特定された作業員の前記統計量管理表を参照することによって、前記統計量に基づいて判断される施設の施設IDと前記2つの検知時刻とを対応付けた作業管理表を前記記憶部内に作成して格納する作業管理表作成手段と、
を有することを特徴とする作業記録システム。
(付記2)
前記統計量は、所定時間内における前記特定された作業員の全体軌跡の長さに対する、該所定時間における前記同一施設を示す2つの検知時刻間の前記位置情報に基づく該施設の領域内の前記特定された作業員の軌跡の長さの割合を示すことを特徴とする付記1記載の作業記録システム。
(付記3)
前記統計量は、所定時間内における前記同一施設を示す2つの検知時刻間の前記位置情報に基づく該施設の領域内の前記特定された作業員の平均位置と、該施設の重心との距離の差を示すことを特徴とする付記1記載の作業記録システム。
(付記4)
前記統計量管理表作成手段は、前記特定された作業員の前記統計量管理表において、互いに重ならない検知時刻間において前記統計量に基づいて、前記特定された作業員が作業していた施設を判断して該当レコードにフラグを付し、
前記作業管理表作成手段は、前記統計量管理表において前記フラグが付与されたレコードから2つの検知時刻と施設IDとを取得して、前記作業管理表を作成することを特徴とする付記2又は3記載の作業記録システム。
(付記5)
前記作業管理表作成手段は、前記フラグが付されたレコードのうち前記施設IDが同一の第1と第2のレコードにおいて、該第1のレコードの退室時刻と該第2のレコードの入室時刻とが一致する場合、該施設IDと、該第1のレコードの入室時刻と該第2の退室時刻とを、前記作業管理表に記録することを特徴とする付記4記載の作業記録システム。
(付記6)
各センサが設置された位置を示すセンサ設置位置情報との設定を前記記憶部内に記憶する初期設定手段と、
各作業員が保持するGPS機能を有する作業員端末からGPSによって測定された該作業員の位置に係る位置情報を受信して、前記記憶部内の作業員位置情報に格納するGPS情報記録手段と、
各施設に設置された1つ以上のセンサの各々から人に反応した前記検知時刻を受信して、前記記憶部内のセンサ検知情報に格納するセンサ情報記録手段と、を更に有し、
前記作業員特定手段は、前記記憶部に記録されているセンサ検知情報を参照して前記検知時刻毎に、前記記憶部に記録されている前記作業員位置情報を参照して該検知時刻における前記作業員の位置情報から、前記記憶部内に記憶された前記センサ設置位置情報から得られる該センサの前記所定範囲内にいる作業員を特定することを特徴とする付記1乃至5のいずれか一項記載の作業記録システム。
(付記7)
複数の施設の各出入り口に設置されたセンサが人に反応した検知時刻における作業員の位置を示す位置情報から、該センサから所定範囲内にいる作業員を特定する作業員特定手段と、
前記特定された作業員に係る検知時刻毎に該施設の施設IDとセンサIDと、該検知時刻での該作業員の向きに係る向き情報とを対応付けた該特定された作業員の入退室表を記憶部内に作成して格納する入退室表作成手段と、
前記記憶部内に格納される作業員の向きと前記施設への入方向及び出方向とを定めた入出方向表を参照することによって、同一施設に関して、前記記憶部から前記特定された作業員の入退室表で示される向き情報から該施設への入室した検知時刻と退室した検知時刻とを判断して、該2つの検知時刻間の前記位置情報に基づく該施設の領域内の軌跡の統計量を算出して、該同一施設の施設IDと該2つの検知時刻と該算出した該統計量とを対応付けた統計量管理表を前記記憶部内に作成して格納する統計量管理表作成手段と、
前記記憶部から前記特定された作業員の前記統計量管理表を参照することによって、前記統計量に基づいて判断される施設の施設IDと前記2つの検知時刻とを対応付けた作業管理表を前記記憶部内に作成して格納する作業管理表作成手段と、
を有することを特徴とする作業記録システム。
(付記8)
前記入出方向表は、入室方向と退室方向とを、前記施設の各出入り口の外側と内側とに設置された2つのセンサによる人を検知した検知時刻のタイミング差による検知順で定義し、
入退室表作成手段は、センサの接地が外側か内側かを示す情報を前記向き情報に設定して、前記施設IDと前記センサIDと、該向き情報とを対応付けて前記入退室表を作成し、
前記作業管理表作成手段は、前記入退室表にける前記向き情報に基づいて、前記入出方向表を参照して、前記作業員の入室及び退室の検知時刻を判断することを特徴とする付記7記載の作業記録システム。
(付記9)
前記位置情報は、作業員が保持するコンパス機能を有する作業員端末から取得した前記作業員の方位情報を含み、
前記入出方向表は、センサ毎に、前記作業員が前記施設に入室する際の入室方位と、退室する際の退室方位とを定義し、
前記入退室表作成手段は、前記方位情報を前記向き情報に設定して、前記施設IDと前記センサIDと、該向き情報とを対応付けて前記入退室表を作成し、
前記作業管理表作成手段は、前記入退室表にける前記向き情報に基づいて、前記入出方向表を参照して、前記作業員の入室及び退室の検知時刻を判断することを特徴とする付記7記載の作業記録システム。
(付記10)
前記施設の幅は前記作業員の位置の測定誤差より狭く、前記センサからの所定範囲は該測定誤差に基づくことを特徴とする付記1乃至9のいずれか一項記載の作業記録システム。
(付記11)
コンピュータによって行われる作業記録方法であって、
複数の施設の各出入り口に設置されたセンサが人に反応した検知時刻における作業員の位置を示す位置情報から、該センサから所定範囲内にいる作業員を特定し、
前記特定された作業員に係る検知時刻毎に該施設の施設IDとセンサIDとを対応付けた該特定された作業員の入退室表を記憶部内に作成して格納し、
前記記憶部から前記特定された作業員の入退室表を参照することによって、同一施設を示す2つの検知時刻間の前記位置情報に基づく該施設の領域内の軌跡の統計量を算出して、該同一施設の施設IDと該2つの検知時刻と該算出した該統計量とを対応付けた統計量管理表を前記記憶部内に作成して格納し、
前記記憶部から前記特定された作業員の前記統計量管理表を参照することによって、前記統計量に基づいて判断される施設の施設IDと前記2つの検知時刻とを対応付けた作業管理表を前記記憶部内に作成して格納する
ことを特徴とする作業記録方法。
(付記12)
複数の施設の各出入り口に設置されたセンサが人に反応した検知時刻における作業員の位置を示す位置情報から、該センサから所定範囲内にいる作業員を特定し、
前記特定された作業員に係る検知時刻毎に該施設の施設IDとセンサIDとを対応付けた該特定された作業員の入退室表を記憶部内に作成して格納し、
前記記憶部から前記特定された作業員の入退室表を参照することによって、同一施設を示す2つの検知時刻間の前記位置情報に基づく該施設の領域内の軌跡の統計量を算出して、該同一施設の施設IDと該2つの検知時刻と該算出した該統計量とを対応付けた統計量管理表を前記記憶部内に作成して格納し、
前記記憶部から前記特定された作業員の前記統計量管理表を参照することによって、前記統計量に基づいて判断される施設の施設IDと前記2つの検知時刻とを対応付けた作業管理表を前記記憶部内に作成して格納する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする作業記録プログラム。
(付記13)
複数の施設の各出入り口に設置されたセンサが人に反応した検知時刻における作業員の位置を示す位置情報から、該センサから所定範囲内にいる作業員を特定し、
前記特定された作業員に係る検知時刻毎に該施設の施設IDとセンサIDとを対応付けた該特定された作業員の入退室表を記憶部内に作成して格納し、
前記記憶部から前記特定された作業員の入退室表を参照することによって、同一施設を示す2つの検知時刻間の前記位置情報に基づく該施設の領域内の軌跡の統計量を算出して、該同一施設の施設IDと該2つの検知時刻と該算出した該統計量とを対応付けた統計量管理表を前記記憶部内に作成して格納し、
前記記憶部から前記特定された作業員の前記統計量管理表を参照することによって、前記統計量に基づいて判断される施設の施設IDと前記2つの検知時刻とを対応付けた作業管理表を前記記憶部内に作成して格納する
処理をコンピュータに実行させるプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【符号の説明】
【0263】
1a 正しい軌跡
1b 測定軌跡
1z GPS誤差範囲
2 インターネット
3 携帯電話基地局
4 作業員端末
4a 制御部
4b GPS受信部
4c 無線通信部
4d 作業員ID保持部
4e メモリ
5 人感センサ
5a 制御部
5b センサ
5c 通信部
5d センサID保持部
5e メモリ
5f タイマ
6a、6b 位置
7g GPS誤差
11 CPU
12 メモリユニット
13 表示ユニット
14 出力ユニット
15 入力ユニット
16 通信ユニット
17 記憶装置
18 ドライバ
20 記憶媒体
100 サーバ装置
111 表示処理部
112 入出力処理部
113 通信制御部
114 インストーラ
121 初期設定部
122 GPS情報記録部
123 センサ情報記録部
124 圃場特定部
125 作業記録生成部
130 記憶部
131 ハウス位置情報
132 センサ設置位置情報
133 作業員位置情報
134 センサ検知情報
135 入退室表
136 統計量管理表
137 作業管理表
1000 作業記録システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の施設の各出入り口に設置されたセンサが人に反応した検知時刻における作業員の位置を示す位置情報から、該センサから所定範囲内にいる作業員を特定する作業員特定手段と、
前記特定された作業員に係る検知時刻毎に該施設の施設IDとセンサIDとを対応付けた該特定された作業員の入退室表を記憶部内に作成して格納する入退室表作成手段と、
前記記憶部から前記特定された作業員の入退室表を参照することによって、同一施設を示す2つの検知時刻間の前記位置情報に基づく該施設の領域内の軌跡の統計量を算出して、該同一施設の施設IDと該2つの検知時刻と該算出した該統計量とを対応付けた統計量管理表を前記記憶部内に作成して格納する統計量管理表作成手段と、
前記記憶部から前記特定された作業員の前記統計量管理表を参照することによって、前記統計量に基づいて判断される施設の施設IDと前記2つの検知時刻とを対応付けた作業管理表を前記記憶部内に作成して格納する作業管理表作成手段と、
を有することを特徴とする作業記録システム。
【請求項2】
前記統計量は、所定時間内における前記特定された作業員の全体軌跡の長さに対する、該所定時間における前記同一施設を示す2つの検知時刻間の前記位置情報に基づく該施設の領域内の前記特定された作業員の軌跡の長さの割合を示すことを特徴とする請求項1記載の作業記録システム。
【請求項3】
前記統計量は、所定時間内における前記同一施設を示す2つの検知時刻間の前記位置情報に基づく該施設の領域内の前記特定された作業員の平均位置と、該施設の重心との距離の差を示すことを特徴とする請求項1記載の作業記録システム。
【請求項4】
前記統計量管理表作成手段は、前記特定された作業員の前記統計量管理表において、互いに重ならない検知時刻間において前記統計量に基づいて、前記特定された作業員が作業していた施設を判断して該当レコードにフラグを付し、
前記作業管理表作成手段は、前記統計量管理表において前記フラグが付与されたレコードから2つの検知時刻と施設IDとを取得して、前記作業管理表を作成することを特徴とする請求項2又は3記載の作業記録システム。
【請求項5】
前記作業管理表作成手段は、前記フラグが付されたレコードのうち前記施設IDが同一の第1と第2のレコードにおいて、該第1のレコードの退室時刻と該第2のレコードの入室時刻とが一致する場合、該施設IDと、該第1のレコードの入室時刻と該第2の退室時刻とを、前記作業管理表に記録することを特徴とする請求項4記載の作業記録システム。
【請求項6】
各センサが設置された位置を示すセンサ設置位置情報との設定を前記記憶部内に記憶する初期設定手段と、
各作業員が保持するGPS機能を有する作業員端末からGPSによって測定された該作業員の位置に係る位置情報を受信して、前記記憶部内の作業員位置情報に格納するGPS情報記録手段と、
各施設に設置された1つ以上のセンサの各々から人に反応した前記検知時刻を受信して、前記記憶部内のセンサ検知情報に格納するセンサ情報記録手段と、を更に有し、
前記作業員特定手段は、前記記憶部に記録されているセンサ検知情報を参照して前記検知時刻毎に、前記記憶部に記録されている前記作業員位置情報を参照して該検知時刻における前記作業員の位置情報から、前記記憶部内に記憶された前記センサ設置位置情報から得られる該センサの前記所定範囲内にいる作業員を特定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の作業記録システム。
【請求項7】
複数の施設の各出入り口に設置されたセンサが人に反応した検知時刻における作業員の位置を示す位置情報から、該センサから所定範囲内にいる作業員を特定する作業員特定手段と、
前記特定された作業員に係る検知時刻毎に該施設の施設IDとセンサIDと、該検知時刻での該作業員の向きに係る向き情報とを対応付けた該特定された作業員の入退室表を記憶部内に作成して格納する入退室表作成手段と、
前記記憶部内に格納される作業員の向きと前記施設への入方向及び出方向とを定めた入出方向表を参照することによって、同一施設に関して、前記記憶部から前記特定された作業員の入退室表で示される向き情報から該施設への入室した検知時刻と退室した検知時刻とを判断して、該2つの検知時刻間の前記位置情報に基づく該施設の領域内の軌跡の統計量を算出して、該同一施設の施設IDと該2つの検知時刻と該算出した該統計量とを対応付けた統計量管理表を前記記憶部内に作成して格納する統計量管理表作成手段と、
前記記憶部から前記特定された作業員の前記統計量管理表を参照することによって、前記統計量に基づいて判断される施設の施設IDと前記2つの検知時刻とを対応付けた作業管理表を前記記憶部内に作成して格納する作業管理表作成手段と、
を有することを特徴とする作業記録システム。
【請求項8】
前記入出方向表は、入室方向と退室方向とを、前記施設の各出入り口の外側と内側とに設置された2つのセンサによる人を検知した検知時刻のタイミング差による検知順で定義し、
入退室表作成手段は、センサの接地が外側か内側かを示す情報を前記向き情報に設定して、前記施設IDと前記センサIDと、該向き情報とを対応付けて前記入退室表を作成し、
前記作業管理表作成手段は、前記入退室表にける前記向き情報に基づいて、前記入出方向表を参照して、前記作業員の入室及び退室の検知時刻を判断することを特徴とする請求項7記載の作業記録システム。
【請求項9】
前記位置情報は、作業員が保持するコンパス機能を有する作業員端末から取得した前記作業員の方位情報を含み、
前記入出方向表は、センサ毎に、前記作業員が前記施設に入室する際の入室方位と、退室する際の退室方位とを定義し、
前記入退室表作成手段は、前記方位情報を前記向き情報に設定して、前記施設IDと前記センサIDと、該向き情報とを対応付けて前記入退室表を作成し、
前記作業管理表作成手段は、前記入退室表にける前記向き情報に基づいて、前記入出方向表を参照して、前記作業員の入室及び退室の検知時刻を判断することを特徴とする請求項7記載の作業記録システム。
【請求項10】
コンピュータによって行われる作業記録方法であって、
複数の施設の各出入り口に設置されたセンサが人に反応した検知時刻における作業員の位置を示す位置情報から、該センサから所定範囲内にいる作業員を特定し、
前記特定された作業員に係る検知時刻毎に該施設の施設IDとセンサIDとを対応付けた該特定された作業員の入退室表を記憶部内に作成して格納し、
前記記憶部から前記特定された作業員の入退室表を参照することによって、同一施設を示す2つの検知時刻間の前記位置情報に基づく該施設の領域内の軌跡の統計量を算出して、該同一施設の施設IDと該2つの検知時刻と該算出した該統計量とを対応付けた統計量管理表を前記記憶部内に作成して格納し、
前記記憶部から前記特定された作業員の前記統計量管理表を参照することによって、前記統計量に基づいて判断される施設の施設IDと前記2つの検知時刻とを対応付けた作業管理表を前記記憶部内に作成して格納する
ことを特徴とする作業記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【公開番号】特開2013−3925(P2013−3925A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135778(P2011−135778)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)