説明

作物収穫機

【課題】大量の茎葉部が引抜き搬送装置の後部に搬送された場合であっても安定した引抜き性能が得られる作物収穫機を提供する。
【解決手段】引抜き搬送ベルト21が巻回される後外側スプロケット25と前外側ローラ26と前内側ローラ27と後内側ローラ28と、前後両端において該前外側ローラ26と該後外側スプロケット25とを枢支する外フレーム19と、前後両端において該前内側ローラ27と該後内側ローラ28とを枢支する内フレーム29と、を具備し、前記外フレーム19を後外側スプロケット25の軸を中心にして左右方向へ揺動可能にし、前記内フレーム29を前内側ローラ27の軸を中心にして左右方向へ揺動可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生姜等の農作物を引抜いて収穫するための作物収穫機の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生姜などの農作物を収穫する場合には、農作業者等が地上にのびる茎葉部を挟持して上方に引抜き、地中に生育した最終収穫物(芋や根菜等)を引抜いていた。しかし、このような引抜き作業は農作業者にとって非常に重労働であり、例えば、生姜を引抜く場合には30kg程度の引抜き力を要する。
そのため、農作物の引抜き作業を機械によって自動で行うものとして、例えば、生姜等の農作物を引抜く作物収穫機が公知となっている(例えば、特許文献1参照。)。このような歩行型の作物収穫機は、機体左右両側に自由回転する前輪と駆動回転する後輪とを備え、機体後部に操縦ハンドルを備え、機体左右中央に茎葉部を挟持して後上方へと搬送する左右1対の引抜き搬送ベルトから構成される引抜き搬送装置を備えるものである。
【特許文献1】特開2000−333522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の作物収穫機の引抜き搬送装置は、引抜き搬送ベルト後端の駆動軸若しくは従動軸を支点として、搬送装置前部に設けた左右のバネにより前方が開口(左右方向に揺動)することによって、搬送する茎葉部のボリュームに対応するものであった。そのため、大量の茎葉部が引抜き搬送ベルトの後部に搬送されてくると、引抜き搬送ベルトの後部間隔が詰まってしまい、引抜き搬送ベルトの前方が開口したままになる。つまり、引抜き搬送装置が収穫すべき作物の茎葉部のボリュームに対応できずに、引抜き搬送ベルトの前部間で連続して茎葉部を挟持していくことが難しい。また、左右一側の搬送ベルトを駆動側、他側を従動側とした場合には、引抜き搬送装置に大きな負荷がかかった時に、従動軸側の引抜き搬送ベルトが動かなくなったり、駆動軸側の引抜き搬送ベルトが従動軸側の引抜き搬送ベルトに乗り上げてしまうという不具合があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、大量の茎葉部が引抜き搬送装置の後部に搬送された場合であっても安定した引抜き性能が得られる作物収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、走行装置と、分草引上げ装置と、その後部に左右1対の引抜き搬送ベルトから構成される引抜き搬送装置と、を具備し、該引抜き搬送ベルトの間に作物を挟持して該作物を畝から引抜く作物収穫機であって、左右の引抜き搬送ベルトの前部間及び後部間を開放可能としたものである。
【0006】
請求項2においては、走行装置と、分草引上げ装置と、その後部に左右1対の引抜き搬送ベルトから構成される引抜き搬送装置と、を具備し、該引抜き搬送ベルトの間に作物を挟持して該作物を畝から引抜く作物収穫機であって、該引抜き搬送ベルトが巻回される後外側スプロケットと前外側ローラと前内側ローラと後内側ローラと、前後両端において該前外側ローラと該後外側スプロケットとを枢支する外フレームと、前後両端において該前内側ローラと該後内側ローラとを枢支する内フレームと、を具備し、前記外フレームを後外側スプロケットの軸を中心にして左右方向へ揺動可能にし、前記内フレームを前内側ローラの軸を中心にして左右方向へ揺動可能にしたものである。
【0007】
請求項3においては、前記外フレーム及び内フレームと、機体フレームの間にそれぞれ弾性体を介装し、前記外フレーム及び内フレームをそれぞれ独立して引抜き搬送装置の内側方向へと付勢したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、大量の茎葉部が引抜き搬送装置の後部に搬送された場合であっても、搬送ベルトの後部間が開放されることによって茎葉部のボリュームに順応することができるようになり、安定した引抜き性能が得られる。換言すれば、引抜き搬送ベルトの間に過大な量の茎葉部が入り込んでも、過負荷状態となる前に引抜き搬送ベルト後部の間隔が広がるため、エンジン停止等の不具合が起こり難くなる。
【0010】
請求項2においては、大量の茎葉部が引抜き搬送装置の後部に搬送された場合であっても、第一のローラを軸にして内フレームの後部が左右方向へ揺動し、その結果として搬送ベルトの後部間が開放されることによって茎葉部のボリュームに順応することができるようになり、安定した引抜き性能が得られる。換言すれば、引抜き搬送ベルトの間に過大な量の茎葉部が入り込んでも、過負荷状態となる前に引抜き搬送ベルト後部の間隔が広がるため、エンジン停止等の不具合が起こり難くなる。
【0011】
請求項3においては、搬送ベルトの間隔を茎葉部のボリュームに順応させつつ、引抜き搬送ベルトが常に内側に付勢されている状態とすることができ、左右の引抜き搬送ベルトと茎葉部との間に隙間が生じ難くすることができるため、安定した引抜き性能が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る生姜収穫機100を示す側面模式図、図2は本発明の作物収穫機の作業部20を示す一部断面平面図である。
以下では、本発明の実施の一形態として、圃場の畝に列状に植生する生姜の引抜き作業を行う生姜収穫機100について説明する。但し、本発明に係る作物収穫機は、本実施例のような生姜収穫機100に限定するものではなく、玉葱・人参・大根等の他の根菜類を収穫する作物収穫機を含むものである。
また、以下では、機体進行方向(図1において左方向)を前方とし、進行方向に向かって左方向(図2において下方向)を左方とし、進行方向に向かって右方向(図2において上方向)を右方として説明を行う。
【0013】
図1に示すように、本実施例における生姜収穫機100には、走行装置10と、生姜の引抜き作業や刈取り作業を行う作業部20とが設けられており、走行装置10が生姜収穫機100全体を前進走行させながら、作業部20が生姜の引抜き作業を行っていくものである。
つまり、生姜収穫機100は、機体進行方向に沿って列状に並んで栽培されている生姜の茎葉部を分草して、その後部で挟持して前進走行しながら機械的に且つ連続的に引き抜いて、茎葉部を切断して、葉先側部分をその側方の圃場上に放出していくものである。
【0014】
まず、走行装置10について説明する。
走行装置10には、該走行フレーム11前下方の左右両側に遊嵌されている前輪2・2と、後部の左右両側にて駆動回転する後輪3・3とが備えられている。そして、走行フレーム11の後上部には、エンジン4やミッションケース5や歩行操縦用の操縦ハンドル6が配設されている。つまり、本実施例における走行装置10は、歩行操縦型の四輪走行装置であって、畝等に沿って自走可能に構成されているものである。
ここで、該ミッションケース5には、該エンジン4の駆動力を該後輪3・3と前記作業部20へと変速伝達する変速伝達機構が内装されている。
【0015】
詳しくは、左右の前輪2・2及び後輪3・3は圃場に形成された畝を跨いで畝両側の谷部分を走行するものである。そして、前記エンジン4の動力はエンジン4の前方に配置されるミッションケース5内の変速伝達機構に伝達され、該変速伝達機構を経てミッションケース5の左右両側部に装着した車輪伝達ケース7・7内の伝達機構を経て、該車輪伝達ケース7・7下部の左右外側方向に突出する後輪車軸8・8に伝達される構成となっており、このようにして該後輪車軸8・8に取り付けられている前記後輪3・3が駆動回転するのである。
【0016】
また、生姜収穫機100の操縦部として、走行フレーム11の後上方には平面視においてループ状の歩行型操縦ハンドル6が設けられており、その握持部6bが機体後端上側に位置している。詳しくは、該操縦ハンドル6の握持部6bの左右両端から前方へと延びる左右のハンドルフレーム6L・6Rが下方に屈曲して、走行フレーム11後部に連結されている。
また、左右のハンドルフレーム6L・6Rには、操縦者の握り操作により操作されるサイドクラッチレバー16・16が設けられており、該サイドクラッチレバー16・16によってエンジン4から左右後輪3・3への駆動力伝達を個々に遮断するサイドクラッチを操作することができ、走行装置10の旋回が容易に行える構成となっている。
【0017】
更に、操縦ハンドル6の近傍の操作パネル9上には、エンジン4から作業部20までの動力伝達を遮断する作業クラッチを操作するための作業クラッチレバー12と、ミッションケース5内の変速伝達機構を前進伝達状態・後進伝達状態・前後進中立状態に切り替え操作する変速レバー13とが配設されている。また、該操縦ハンドル6近傍には、走行クラッチレバー14や駐車ブレーキレバー15や図示しない非常停止ボタン等も配設されている。
尚、本実施例における生姜収穫機100においては、上記走行装置10を左右の走行回転体、即ち左右の前輪2・2と左右の後輪3・3から構成しているが、走行装置をクローラ式走行装置としても良い。
【0018】
次に、作業部20について説明する。
図1及び図2に示すように、作業部20には、茎葉部を分草して引抜く前端部に配置した分草引上げ装置1と、生姜等の農作物の茎葉部を挟持して持ち上げながら根部を引き抜いて後上方へと搬送する左右一対の引抜き搬送ベルト(ウェーブゴム)21・21を緩やかに後上がり傾斜した姿勢に設けた引抜き搬送装置30と、生姜の茎葉部を切断して根元側部分と葉先側部分とに分離する切断装置(刈刃)22・22・・・と、生姜の葉先側部分を後上方へと搬送して排出する排出搬送装置40とが設けられている。
【0019】
分草引上げ装置1は機体前端に平面視「ハ」字状に左右一対のタイン付ベルトを配置して、互いに逆方向に回転させて、茎葉部を分草しながら機体左右内側へ掻き込み、上後方へ茎葉部を持ち上げるようにしている。
引抜き搬送装置30は、平面視において左右の走行輪2・2・3・3の略中央部間に配置されており、機体側面視において機体前部側から機体中部付近にかけて後上がり傾斜姿勢で配置されている。また、該切断装置22は、引抜き搬送装置30の後部下側に配置されている。そして、排出搬送装置40は、該引抜き搬送装置30の後部上方から後上側方に向かって配設されており、該切断装置22で切断された生姜の葉先側部分を後上方へと搬送して排出する。
【0020】
詳しくは、該引抜き搬送装置30は、左右1対の後側の後外側スプロケット25・25と、左右1対の前側の前外側ローラ26・26と、左右1対の前内側ローラ27・27と、左右1対の後内側ローラ28・28と、該後外側スプロケット25やローラ26・27・28に巻回される左右1対の引抜き搬送ベルト21・21等から構成されている。
図2に示すように、該引抜き搬送ベルト21・21の外周面は生姜収穫機100の左右中央部において互いに当接する状態となるように構成されている。換言すれば、左右の搬送ベルト21・21の外周面に形成した凹凸が生姜収穫機100の左右略中央部にて噛み合いながら、平面視において互いに逆方向に、即ち左搬送ベルト21が平面視反時計方向に、右搬送ベルト21が平面視時計方向に駆動する構成となっており、該搬送ベルト21・21の噛み合う箇所(以下、挟持部21bとする)において生姜等の作物が挟持されながら後上方へと搬送される構成になっている。
【0021】
そして、ミッションケース5に伝達された動力が、該ミッションケース5前方に配設された作業部伝達ケース18内の伝達手段や後伝達軸31や伝達チェーン32や前伝達軸33やベベルギア35・35等を経て前記後外側スプロケット25・25の駆動回転軸24・24へと伝達されることによって、左右の引抜き搬送ベルト21・21が周回駆動され、前記挟持部21bにおいて生姜の葉先部が機体後方側に搬送されるようになっている。
詳しくは、左右1対の後外側スプロケット25・25を固設した駆動回転軸24・24下端が前記ベベルギア35を固設して、前伝達軸33上に固設したベベルギア35と噛合しており、該駆動回転軸24・24下部には引抜き搬送装置30の外フレーム19・19後端部が左右回動自在に支承されており、該駆動回転軸24・24中部に該後外側スプロケット25・25が固設されている。該駆動回転軸24・24は更に上方へと延設されて、チェーン・スプロケットを介してその上前方に配置した前記排出搬送装置40の駆動スプロケット44を駆動するのである。
つまり、前記外フレーム19・19が、該駆動回転軸24・24を軸として前部が左右方向へと揺動する構成となっているのである。
【0022】
このように、左右1対の前記後外側スプロケット25を共に駆動スプロケットにしたので、左右の引抜き搬送ベルト21・21が左右の後外側スプロケット25から独立して駆動力を得る構成となるため、引抜き搬送装置30に大きな負荷がかかった場合であっても、一方の引抜き搬送ベルト21・21が動かなくなったり、一方の引抜き搬送ベルト21が他方の引抜き搬送ベルト21に乗り上げることがなくなる。
【0023】
前記外フレーム19の前端部には前記前外側ローラ26・26が枢支されており、詳しくは該前外側ローラ26・26の従動軸36・36下部が前記外フレーム19・19前端部に枢支されており、該従動軸36・36は上方へと延設されてユニバーサルジョイント23を介して前記分草引上げ装置1へと駆動力を伝達するようになっている。
つまり、引抜き搬送装置30は、外フレーム19・19の前部を左右揺動可能とすることにより、搬送ベルト21・21前部が開放可能(搬送ベルト21・21前部の間隔が大きくなる方向に揺動可能)に構成されている。
【0024】
このように、前記外フレーム19を前記後外側スプロケット25を軸にして左右方向へ揺動可能にしたので、茎葉部が引抜き搬送装置30の前部を搬送される際に、後外側スプロケット25を軸にして外フレーム19の前部が左右方向へ揺動し、その結果として左右の引抜き搬送ベルト21・21の前部が開放され、該搬送ベルト21・21が茎葉部のボリュームに順応することができるようになり、即ち安定した引抜き性能が得られる。換言すれば、引抜き搬送ベルト21・21の間に過大な量の茎葉部が入り込んでも、過負荷状態となる前に引抜き搬送ベルト21・21後部の間隔が広がるため、エンジン停止等の不具合が起こり難くなる。
【0025】
以下では、左側の搬送ベルト21について説明を行うが、右側の搬送ベルト21においても同様の構成となっている。
前記外フレーム19前部の機体内側面、即ち左側の外フレーム19の右側面には該機体内側に向かって(右方へ)前フレーム37が溶接固定されて突設されており、該前フレーム37の右端には前記前内側ローラ27の従動軸38が立設されており、該従動軸38に内フレーム29の前部が回転自在に枢支されている。該内フレーム29の後端部には従動軸39が立設されて前記後内側ローラ28を枢支している。
そして、駆動可能に配設された前記後外側スプロケット25及び回動可能に配設されたローラ26・27・28の外周に前記搬送ベルト21が巻回されることによって、引抜き搬送装置30が構成されている。
【0026】
このように、走行装置10と、分草引上げ装置1と、その後部に左右1対の引抜き搬送ベルト21・21から構成される引抜き搬送装置30と、を具備し、該引抜き搬送ベルト21・21の間に作物を挟持して該作物を畝から引抜く作物収穫機100であって、左右の引抜き搬送ベルト21・21の前部間及び後部間を開放可能としたので、大量の茎葉部が引抜き搬送装置30の後部に搬送された場合であっても、搬送ベルト21・21の後部間が開放されることによって茎葉部のボリュームに順応することができるようになり、安定した引抜き性能が得られる。換言すれば、引抜き搬送ベルト21・21の間に過大な量の茎葉部が入り込んでも、過負荷状態となる前に引抜き搬送ベルト21・21後部の間隔が広がるため、エンジン停止等の不具合が起こり難くなる。
【0027】
詳しくは、走行装置10と、分草引上げ装置1と、その後部に左右1対の引抜き搬送ベルト21・21から構成される引抜き搬送装置30と、を具備し、該引抜き搬送ベルト21・21の間に作物を挟持して該作物を畝から引抜く作物収穫機100であって、該引抜き搬送ベルト21が巻回される後外側スプロケット25と前外側ローラ26と前内側ローラ27と後内側ローラ28と、前後両端において該前外側ローラ26と該後外側スプロケット25とを枢支する外フレーム19と、前後両端において該前内側ローラ27と該後内側ローラ28とを枢支する内フレーム29と、を具備し、前記外フレーム19を後外側スプロケット25の軸を中心にして左右方向へ揺動可能にし、前記内フレーム29を前内側ローラ27の軸を中心にして左右方向へ揺動可能にしたので、大量の茎葉部が引抜き搬送装置30の後部に搬送された場合であっても、前外側ローラ26を軸にして内フレーム29の後部が左右方向へ揺動し、その結果として搬送ベルト21・21の後部間が開放され、茎葉部のボリュームに順応することができるようになり、安定した引抜き性能が得られる。換言すれば、引抜き搬送ベルト21・21の間に過大な量の茎葉部が入り込んでも、過負荷状態となる前に引抜き搬送ベルト21・21後部の間隔が広がるため、エンジン停止等の不具合が起こり難くなる。
【0028】
前記外フレーム19・19は、生姜収穫機100の中央部方向へ、即ち引抜き搬送ベルト21・21が互いに当接(噛み合う)状態となる方向へと付勢されている。
詳しくは、前記走行フレーム11前部に立ち上げ部11bが形成されており、該立ち上げ部11bに取り付けステー46が固設されており、該取り付けステー46に前外側ブラケット47が溶接されている。一方、前記前外フレーム19前部の下面には前内側ブラケット48が溶接されており、該前外側ブラケット47と前内側ブラケット48との間に弾性部材として圧縮バネ49が配設されている。即ち、前外側ブラケット47と前内側ブラケット48とに圧縮バネ49の両端が連結されている。
【0029】
さらに詳しく説明すると、前内側ブラケット48下面に枢支軸を立設してロッドの内側端を前後回動自在に枢支し、該ロッドの外側が前外側ブラケット47に摺動自在に貫通されて支持され、該前外側ブラケット47と該枢支軸の間のロッド上に圧縮バネ49が外嵌されている。
つまり、前ブラケット47・48及び取り付けステー46を介して、圧縮バネ49の付勢力により、走行フレーム11前部と外フレーム19前部とが離間する方向へと付勢されている。換言すれば、該圧縮バネ49・49によって、外フレーム19が生姜収穫機100の左右中央方向に付勢された状態になっている。
【0030】
また、該内フレーム29・29も生姜収穫機100の中央部方向へ、即ち引抜き搬送ベルト21・21が互いに当接(噛み合う)状態となる方向へと付勢されている。
詳しくは、前記走行フレーム11に直接、若しくは前記取り付けステー46に後外側ブラケット50が溶接固定されている。そして、該後外側ブラケット50と内フレーム29後部の下面との間に圧縮バネ51が配設されている。即ち、後外側ブラケット50と内フレーム下面とに圧縮バネ51の両端が連結されている。
つまり、前記同様にロッド上に圧縮バネ51を外嵌して、後外側ブラケット50を介して、圧縮バネ51の付勢力により、外フレーム19と内フレーム29後部とが離間する方向へ付勢されている。換言すれば、該圧縮バネ51・51によって、内フレーム29が生姜収穫機100の左右中央方向に付勢された状態になっている。
【0031】
このように、前記外フレーム19及び内フレーム29と、機体フレーム11の間にそれぞれ弾性体49・51を介装し、前記外フレーム19及び内フレーム29をそれぞれ独立して引抜き搬送装置30の内側方向へと付勢したので、搬送ベルト21・21の間隔を茎葉部のボリュームに順応させつつ、引抜き搬送ベルト21が常に内側に付勢されている状態とすることができ、左右の引抜き搬送ベルト21・21と茎葉部との間に隙間が生じ難くすることができるため、安定した引抜き性能が得られる。
【0032】
切断装置22は、複数の刈刃を生姜収穫機100の左右中央部且つ引抜き搬送装置30の後部下側に配設して成るものであって、該刈刃は、作業部伝達ケース18等の動力伝達手段を介してミッションケース5内から伝達された動力により往復駆動されている。
具体的には、該切断装置22は、前記挟持部21b終端の手前において、茎葉部の挟持搬送路を遮るように配置されているものであって、バリカン状の刈刃が左右往復駆動する切断装置22によって該茎葉部が切断される構成となっている。
【0033】
以下、生姜収穫機100による生姜の引抜き動作について説明する。
この生姜収穫機100は、歩行操縦型の走行装置10によって機体を前進走行させ、引抜き搬送装置30によって生姜の茎葉部を挟持して引抜き搬送する。このとき土中にある生姜の根部(いも部)も引抜かれ、土中に張った根毛は引きちぎられる。そして、生姜のいも部が地表面より上方に上昇すると切断装置22によって茎葉部が切断される。このため、生姜のいも部は畝上に放出される。
前記切断装置22によって切断されて根本側部分から切り離された葉先側部分は、引抜き搬送装置30の後端部から排出搬送装置40へと引き継がれる。
【0034】
排出搬送装置40は葉先側部分を挟持して機体左右一側に向かって搬送する上下一対の排出搬送チェーン41・41と案内杆42とを備えており、排出搬送チェーン41・41の搬送始端部は引抜き搬送ベルト21の挟持部21b後端の上方に位置しており、排出搬送チェーン41・41の搬送終端部は左後輪3の略上方に位置している。そして、前記駆動回転軸24の上部及び中部に固設されたギアによって排出搬送チェーン41・41の駆動スプロケット44・44が駆動され、該駆動回転軸24上端に固設されたギアによってチェーン43等を介して回転刃45が回動される。
つまり、前記切断装置22によって切断された茎葉部が引抜き搬送装置30から排出搬送装置40へと引き継がれ、駆動スプロケット44・44によって該排出搬送チェーン41・41が回転駆動され、排出搬送チェーン41・41及び案内杆42に挟持された葉先側部分は後側方へと搬送されつつ前記回転刃45によって更に切断されて、搬送終端部にて生姜収穫機100の外部へと排出され、畝上に放出された生姜のいも部上に落ちないようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施例に係る生姜収穫機を示す側面模式図。
【図2】本発明の作物収穫機の作業部を示す一部断面平面図。
【符号の説明】
【0036】
1 分草引上げ装置
10 走行装置
19 外フレーム
21 引抜き搬送ベルト
25 後外側スプロケット
26 前外側ローラ
27 前内側ローラ
28 後内側ローラ
29 内フレーム
30 引抜き搬送装置
40 排出搬送装置
100 作物収穫機(生姜収穫機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置と、
分草引上げ装置と、
その後部に左右1対の引抜き搬送ベルトから構成される引抜き搬送装置と、を具備し、
該引抜き搬送ベルトの間に作物を挟持して該作物を畝から引抜く作物収穫機であって、
左右の引抜き搬送ベルトの前部間及び後部間を開放可能としたことを特徴とする作物収穫機。
【請求項2】
走行装置と、
分草引上げ装置と、
その後部に左右1対の引抜き搬送ベルトから構成される引抜き搬送装置と、を具備し、
該引抜き搬送ベルトの間に作物を挟持して該作物を畝から引抜く作物収穫機であって、
該引抜き搬送ベルトが巻回される後外側スプロケットと前外側ローラと前内側ローラと後内側ローラと、
前後両端において該前外側ローラと該後外側スプロケットとを枢支する外フレームと、
前後両端において該前内側ローラと該後内側ローラとを枢支する内フレームと、を具備し、
前記外フレームを後外側スプロケットの軸を中心にして左右方向へ揺動可能にし、
前記内フレームを前内側ローラの軸を中心にして左右方向へ揺動可能にしたことを特徴とする作物収穫機。
【請求項3】
前記外フレーム及び内フレームと、機体フレームの間にそれぞれ弾性体を介装し、
前記外フレーム及び内フレームをそれぞれ独立して引抜き搬送装置の内側方向へと付勢したことを特徴とする請求項2に記載の作物収穫機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−35830(P2008−35830A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217445(P2006−217445)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(391025914)八鹿鉄工株式会社 (131)
【Fターム(参考)】