作物堀取装置
【課題】 1本の茎に放射状に育成された多数本の塊根を、傾斜しかつ前後にずらされた左右切断刃で順次切断して相互に分離できるようにする。
【解決手段】 植生された根菜作物Sの茎S1を挟持して後上方へ持ち上げ搬送する搬送機構Hと、搬送途中の根菜作物Sの塊根S2を茎S1から切り落とす切断機構Mとを有している。前記切断機構Mは搬送される茎S1の左右に位置していて上側から下側へ対向内方向に傾斜した左右一対の切断刃2を有しており、前記左右切断刃2を前後にずらしている。
【解決手段】 植生された根菜作物Sの茎S1を挟持して後上方へ持ち上げ搬送する搬送機構Hと、搬送途中の根菜作物Sの塊根S2を茎S1から切り落とす切断機構Mとを有している。前記切断機構Mは搬送される茎S1の左右に位置していて上側から下側へ対向内方向に傾斜した左右一対の切断刃2を有しており、前記左右切断刃2を前後にずらしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、根菜作物を掘り起こしながら塊根を茎から切り落とす作物堀取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
根菜作物を掘り起こしながら塊根を茎から切り落とす従来技術としては、例えば、特許文献1に開示されているように、圃場に植生された人参を、搬送機構でその茎を挟持して後上方へ持ち上げ搬送し、その搬送途中、1枚の回転カッタで茎から塊根を切り落とすように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−275427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、1本の茎に1本の塊根が育成されている場合は、1枚の回転カッタで茎を切断して塊根を収穫することができるが、例えば、キャッサバ等のように1本の茎に多数本の塊根が下方及び斜め下方へかつ放射状に育成されている場合は、茎を切断しても多数本の塊根が繋がったままであり、塊根同士を分離状態にして収穫することは困難である。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした作物堀取装置を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、左右一対の切断刃を上側から下側へ対向内方向に傾斜しかつ前後にずらして配置することにより、1本の茎に放射状に育成された多数本の塊根を左右切断刃で順次切断して相互に分離できるようにした作物堀取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、植生された根菜作物Sの茎S1を挟持して後上方へ持ち上げ搬送する搬送機構Hと、搬送途中の根菜作物Sの塊根S2を茎S1から切り落とす切断機構Mとを有しており、
前記切断機構Mは搬送される茎S1の左右に位置していて上側から下側へ対向内方向に傾斜した左右一対の切断刃2を有しており、前記左右切断刃2を前後にずらしていることを特徴とする。
【0007】
第2に、前記搬送機構Hの下方に、搬送途中の根菜作物Sの左右位置を案内するガイド部材3を配置していることを特徴とする。
第3に、前記ガイド部材3を搬送機構Hに対して後部が前部よりも下方へ離れて設けていることを特徴とする。
第4に、前記ガイド部材3を、搬送機構Hに対して前部を中心に後部を上下位置調整可能にし、かつ調整位置で固定していることを特徴とする。
第5に、前記ガイド部材3は搬送機構Hの後部下方を左右に横切っていて搬送途中の根菜作物Sの切り落とし未遂の塊根S2を落とす落下補完部3aを有していることを特徴とする。
【0008】
第6に、前記ガイド部材3を平面視略U字のパイプ材で形成していることを特徴とする。
第7に、前記ガイド部材3は搬送機構Hに対して固定しており、このガイド部材3に左右一対の切断刃2を取り付けていることを特徴とする。
第8に、前記左右一対の切断刃2は搬送方向視V字状に位置して左右各刃先下端が茎S1中心を横切っており、この茎S1中心を横切っている左右刃先下端は前後にずれて位置していることを特徴とする。
【0009】
第9に、前記左右一対の切断刃2を回転自在な円形の回転刃で形成し、かつ回転刃直径の寸法内で前後にずらしていることを特徴とする。
第10に、前記左右一対の切断刃2に、前記搬送機構Hの駆動源から動力を伝達する動力伝達手段Lを接続していることを特徴とする。
第11に、前記左右一対の切断刃2を搬送方向に長く形成し、かつ前後にずらして前記搬送機構Hに対して固定していることを特徴とする。
第12に、前記左右各切断刃2は、後部が前部よりも搬送機構Hに対して下方へ離れかつ左右方向で茎S1中心に近づいていることを特徴とする。
【0010】
第13に、前記搬送機構Hは左右一対のチェーン5で茎S1を挟持する左右チェーン搬送手段H1を有し、左右一方のチェーン搬送手段H1にはチェーン5を他方のチェーン搬送手段H1側へ弾圧してチェーン5に茎S1挟持力を与える弾圧手段を設けていることを特徴とする。
第14に、前記搬送機構Hは左右チェーン搬送手段H1のチェーン移動速度を異ならせていることを特徴とする。
[作用]
前記特徴を有する作物堀取装置は次のような作用を奏する。
【0011】
圃場に1列に植生された根菜作物Sに跨るように移動機体Tを走行させ、搬送機構Hの先端で掘り起こされた根菜作物Sの茎S1を取り込みながら挟持し、この茎S1を塊根S2が放射状に付いたまま後上方へ持ち上げる。
この搬送途中に、上側から下側へ対向内方向に傾斜した左右一対の切断刃2が、茎S1に対して傾斜した状態で、前後にずれた位置で塊根S2を茎S1から切り落とす。塊根S2は茎S1に対して放射方向に付いているので、塊根S2の茎S1側付け根(繋がり部分)は左右各切断刃2によって、直交する角度で切断でき、塊根S2の茎S1側付け根が切断されるので、多数本の塊根S2が連なっていても個別に分離され、切断は左右切断刃2により順次行われ、小さな切断抵抗で行われる。
【0012】
搬送機構Hの下方に配置したガイド部材3は、搬送途中の根菜作物Sの左右位置を案内し、搬送機構Hに対して後部が前部よりも下方へ離れていることにより、茎S1から切り落とす塊根S2を押し下げて切断及び分離位置を一定に保つ。
前記ガイド部材3を搬送機構Hに対して前部を中心に後部を上下位置調整可能に設けることにより、ガイド部材3による塊根S2の切断及び分離位置をより正確にし、実行させる。
また、前記ガイド部材3が搬送機構Hの後部下方を左右に横切っていて搬送途中の根菜作物Sの切り落とし未遂の塊根S2を落とす落下補完部3aを有していると、塊根S2の茎S1からの分離漏れを減少できる。
【0013】
前記ガイド部材3を平面視略U字のパイプ材で形成して、茎S1及び塊根S2に接触する面積を大きくしながら軽量化することができる。
前記ガイド部材3を搬送機構Hのフレーム4に固定し、かつ左右一対の切断刃2を取り付けることにより、ガイド部材3を左右切断刃2の取り付けに兼用できる。
前記左右一対の切断刃2を刃先下端間に間隙を有して搬送方向視V字状に配置すると、左右切断刃2を前後にずれて位置していることにより、切断は左右切断刃2により順次行われ、小さな切断抵抗で行われる。
【0014】
前記左右一対の切断刃2を回転自在な円形の回転刃で形成し、かつ回転刃直径の寸法内で前後にずらすと、左右切断刃2をより茎S1の中心に近づけることができ、または茎S1の中心と交叉させることができ、左右両側から塊根S2を確実に切断することが可能になる。また、左右一対の切断刃2は搬送機構Hの駆動源を共用して駆動できる。
前記左右一対の切断刃2を搬送方向に長く形成しかつ前後にずらして搬送機構Hに固定し、さらに搬送機構Hのフレーム4に対して後部が前部よりも下方へ離れさせておくと、茎S1の左右両側から塊根S2を確実に切断することが可能になるとともに、切断した塊根S2を茎S1から確実に分離させることができる。
【0015】
茎S1を挟持搬送する搬送機構Hの左右一対のチェーン搬送手段H1は、左右一方のチェーン搬送手段H1のチェーン5を弾圧手段Dで他方のチェーン搬送手段H1側へ弾圧するので、茎S1の挟持搬送が確実にできる。
前記搬送機構Hの左右チェーン搬送手段H1のチェーン移動速度を異ならせると、搬送中の茎S1に回転を与えることができ、左右の切断刃2で茎S1の全周囲の塊根S2の切断が可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、1本の茎S1に放射状に育成された多数本の塊根S2を、傾斜しかつ前後にずらされた左右切断刃2で順次切断して相互に分離できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す全体側面図である。
【図2】同全体平面図である。
【図3】搬送機構H及び切断機構Mを搬送方向から視た背面図である。
【図4】切断機構M及びガイド部材の平面図である。
【図5】切断機構Mの拡大平面図である。
【図6】搬送機構H前部の拡大平面図である。
【図7】機枠の正面図である。
【図8】機枠の平面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示す全体側面図である。
【図10】同全体平面図である。
【図11】搬送機構H及び切断機構Mの前部を搬送方向から視た背面図である。
【図12】搬送機構H及び切断機構Mの後部を搬送方向から視た背面図である。
【図13】切断機構M及びガイド部材の平面図である。
【図14】切断機構M及びガイド部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜8に示す第1実施形態において、作物堀取装置1Aは機枠Kに搬送機構Hと掘り起こし器Pとを装着し、搬送機構Hに切断機構Mを装着しており、機枠Kは3点リンク手段10を介してトラクタ等の移動車体Tに昇降可能に装着されている。
前記機枠Kは、図1、2、7、8に示すように、左右一対の側板11を複数の横部材12で連結し、左右側板11間に動力取入伝動ケース13を配置し、左右側板11の前下部に掘り起こし器Pを取り付ける前支持材14を固定し、左右側板11の後部の後横部材12から後方へ搬送機構Hを支持する後支持枠15を後方突出状に設けている。
【0019】
機枠Kの前部にはマスト16が設けられ、3点リンク手段10のトップリンク10aと連結可能になっており、機枠Kの前下部にはロアリンクピン17が設けられ、3点リンク手段10のロアリンク10bと連結可能になっている。
動力取入伝動ケース13には、移動車体TのPTO軸18と自在継手軸(ユニバーサルジョイント軸)19を介して連結される動力取入軸20と、後方へ動力を伝達する2本の出力軸21とが略平行に配置され、動力取入軸20と2本の出力軸21との間にチェーン伝動手段22が配置されており、動力取入軸20からチェーン伝動手段22を介して2本の出力軸21を同一方向へ同期回転するようになっており、作物堀取装置1Aの駆動源となっている。
【0020】
掘り起こし器Pは正面視L字形状に形成され、前支持材14に左右一対対向状に設けられており、各掘り起こし器Pは前支持材14に上部が着脱可能に固定された縦刃24と、この縦刃24の下部から対向内方向に延設された横刃25とを有し、横刃25は各縦刃24から対向内方向に突出していて後ろ上がりに傾斜している。
掘り起こし器Pは1条の畝Uの左右両側を左右縦刃24で切り、切った畝Uの下側に横刃25が侵入し、畝土を持ち上げながら植生されている根菜作物Sを掘り起こす。
この掘り起こし器Pは正面視L字状に折曲された板材の前縁に刃部を形成して、縦刃24と横刃25とを一体成形したものでもよい。
【0021】
前記左右縦刃24は前支持材14に対して取り付け位置を上下に調整できるようにしておいて、畝U高さ、根菜作物Sの植え付け深さ、塊根S2の大きさ等に応じて、機枠Kに対する横刃25の上下位置を調整できるようにしておくことが好ましい。
図1〜3、6において、前記搬送機構Hは後ろ上がり傾斜していて、フレーム4に支持された左右一対のチェーン搬送手段H1で茎S1を挟持しかつ持ち上げ搬送するものである。
左チェーン搬送手段H1は右チェーン搬送手段H1よりも後部が長く形成されており、フレーム4は、搬送方向に沿った左右フレーム材4L、4Rを前連結材4Fと後連結材4Qとで連結している。
【0022】
前記左フレーム材4Lは1本の太い角パイプで形成され、右フレーム材4Rは上下2本の細い角パイプを結合して形成され、前連結材4F及び後連結材4Qは前後2本の細い角パイプを結合して形成されており、左右各フレーム材4L、4Rの前端部には畝U上面に接地するそり材27が設けられている。
前連結材4Fと後連結材4Qとは、左右フレーム材4L、4Rの間を跨いで根菜作物Sの茎S1と接触しないように、搬送方向視門型又は山型に形成されている。
後連結材4Qは後支持枠15の後端に横軸28を介して揺動自在に枢支され、前連結材4Fは横部材12に2連リンク29を介して昇降自在に連結されている。搬送機構Hはそり材27を畝U上面に接地した状態で走行すると、畝Uの凹凸によって横軸28を中心に前部が昇降して追従する。
【0023】
前記後連結材4Qは搬送機構Hの前後方向の重心近くに位置し、機枠Kで搬送機構Hを吊り持っている状態で、搬送機構Hの前後バランスを略平衡させている、又は前側を若干重くして、その重量差でそり材27を畝Uに接地させている。
なお、搬送機構Hの前後バランスを平衡させておいて、機枠Kと搬送機構Hとの間に弾下手段を設けて、搬送機構Hの前部を下方へ弾力的に押圧して、そり材27を畝Uに接地させるようにしてもよい。
左右フレーム材4L、4Rはそれぞれ、後部に駆動スプロケット30を支持し、前部に従動スプロケット31とガイドスプロケット32とを支持し、これらにチェーン5を巻き掛けて左右チェーン搬送手段H1を形成している。
【0024】
図1〜3、6において、左右チェーン搬送手段H1は同一平面上で対向していて、前部が従動スプロケット31とガイドスプロケット32とに案内されて左右チェーン5が前広がりに配置され、根菜作物Sの茎S1を幅広く導入可能になっており、対向している中間部では左右チェーン5が互いに近接していて茎S1を挟持可能になっており、かつ左右チェーン5の同一方向の移動により茎S1を搬送可能になっており、左チェーン搬送手段H1の後部が右チェーン搬送手段H1よりも長いことにより、搬送された茎S1は右側、即ち、右チェーン搬送手段H1の後方側で畝U間の溝に放出される。
【0025】
前記左チェーン搬送手段H1は、左チェーン5の対向内外側の直線部分を保持するためレール部材33Lが左フレーム材4Lに固定されている。このレール部材33Lは図3に示すように、チェーン5のピン5aに裏側から当接し、チェーン5の上下リンク5bの内側に入り、チェーン5の軌道を形成している。
前記右チェーン搬送手段H1は、右チェーン5の対向外側の直線部分を保持するために裏側から当接するレール部材33Rが右フレーム材4Rに固定されているのに対して、右チェーン5の対向内側の直線部分を保持するために裏側から当接するレール部材33Yは、右フレーム材4Rに対向内外方向移動自在に装着されかつ対向内方向に付勢されていて、弾圧可動レールとなっている。
【0026】
即ち、右チェーン搬送手段H1の弾圧可動レール部材33Yは搬送方向に4分割されており、前弾圧可動レール部材33Yには2本の揺動体(ベルクランク)35の一端がピン連結され、その他の弾圧可動レール部材33Yには1本の揺動体35の一端がピン連結され、各揺動体35の中間部は右フレーム材4Rに枢支され、各揺動体35の他端と右フレーム材4Rとの間には引っ張りスプリング36が設けられている。
従って、前弾圧可動レール部材33Yは2本の揺動体35によって平行移動し、引っ張りスプリング36によって右チェーン5を左チェーン5側に弾圧し、その他の弾圧可動レール部材33Yは1本の揺動体35によって左チェーン5に対して揺動可能状態で遠近移動し、引っ張りスプリング36によって右チェーン5を左チェーン5側に弾圧し、左右チェーン5が前後方向に間隔をおいて搬送される茎S1をそれぞれ個別にかつ確実に挟持できるようにしている。
【0027】
また、右チェーン搬送手段H1のガイドスプロケット32も1本の揺動体(ベルクランク)37の一端に連結され、この揺動体37の中間部は右フレーム材4Rに枢支され、他端には右フレーム材4Rとの間に引っ張りスプリング36が設けられている。
前記右チェーン搬送手段H1のガイドスプロケット32及び弾圧レール部材33Y等によって、チェーン5に茎S1を挟持する力を与える弾圧手段Dが構成されている。この弾圧手段Dは左チェーン搬送手段H1に設けてもよい。
図1、2、4において、左右フレーム材4L、4Rの後端にはそれぞれ、駆動スプロケット30を支持するスプロケット軸38を駆動する個別ギヤケース39が設けられている。各個別ギヤケース39内にはベベルギヤ伝動手段40が内蔵されていて、その各入力軸41は伝動ケース13の出力軸21と伸縮自在な自在継手軸42を介して連動連結されている。
【0028】
前記左個別ギヤケース39の駆動スプロケット30を支持するスプロケット軸38は、駆動スプロケット30からさらに下方に突出していてチェーン伝動手段43に動力伝達可能になっており、搬送機構Hを駆動する動力を切断機構Mへ分岐伝達するようになっている。
前記搬送機構Hのフレーム4には切断機構Mとガイド部材3とが設けられている。図1〜4において、前記左フレーム材4Lに取付ブラケット46が前後方向位置調整可能に装着され、ガイド部材3には左側の中間部3mに装着片47が固着され、取付ブラケット46に装着片47が上下位置調整可能に取り付けられている。
【0029】
前記ガイド部材3は円形パイプ材を屈曲して形成されており、茎S1の寸法より僅かに広い溝を有する平面視略U字形状であり、前部3fの両端は前広がり形状となっており、中間部3mは直線状で左フレーム材4Lと略平行に位置し、中間部3mの後端から後部3rにへの字状に屈曲されていて、後部3rは搬送機構Hに対して中間部3m側から後端側へ、次第に下方へ離れるように形成されている。
ガイド部材3は前部3fが前広がり形状であることにより、茎S1の導入を容易にし、フレーム4と略平行な中間部3mで左右チェーン搬送手段H1が挟持搬送する茎S1の左右振れを規制し、フレーム4から離れる後部3rで茎S1から塊根S2を落とす。
【0030】
このガイド部材3の後部3rの後端は、搬送機構Hの後部下方を左右に横切っていて、搬送途中の根菜作物Sの切り落とし未遂の塊根S2を落とす落下補完部3aとなっている。
図1〜5において、前記切断機構Mは回転自在な円形の切断刃2を有する回転刃式であり、左右フレーム材4L、4Rに対応してその下方に左右一対の回転切断手段M1、M2を有する。左回転切断手段M1はガイド部材3の左側中間部3mに支持され、右回転切断手段M2はガイド部材3の右側中間部3mに支持されている。
【0031】
左右各回転切断手段M1、M2は、ガイド部材3の中間部3mにブラケット51が固定され、このブラケット51に回転軸52が支持され、この回転軸52に切断刃2が設けられ、前記ブラケット51に回転軸52を駆動する切断ギヤボックス53が取り付けられ、左フレーム材4Lの後部に左個別ギヤケース39からの動力を切断ギヤボックス53へ伝達する切断伝動ケース54が設けられている。
前記切断伝動ケース54には、チェーン伝動手段43から動力が伝達される伝動軸63と、この伝動軸63からベベルギヤを介して動力が伝達される左伝動軸64Lと、前記伝動軸63からチェーン伝動手段65及びベベルギヤを介して動力が伝達される右左伝動軸64Rとを有する。
【0032】
前記左右伝動軸64L、64Rからそれぞれ自在継手軸66介して切断ギヤボックス53の回転軸52へ切断動力を伝達可能になっており、前記チェーン伝動手段43、切断伝動ケース54、自在継手軸66及び切断ギヤボックス53等によって切断用の動力伝達手段Lが構成されている。
前記ブラケット51は回転軸52に装着された切断刃2の外側を覆っており、左右回転軸52は左右外側より内側が上がる方向に傾斜しており、よって左右切断刃2は上側から下側へ対向内方向に傾斜した姿勢に配置されている。
【0033】
前記左右回転軸52は搬送方向前後にずれて位置する。左右切断刃2は搬送方向前後にずれていて、外周の刃部の一部はオーバラップしている。即ち、左右切断刃2は回転刃直径の寸法内で前後にずれており、搬送機構Hによって搬送されてくる茎S1に対して左切断刃2が右切断刃2に先行して塊根S2の切断作用を行う。
前記左右一対の切断刃2は、搬送方向視V字状に配置されていて、刃先下端間に間隙を有していてもよいが、搬送方向にずれているので、搬送方向視で刃先下端間に間隙のない状態、即ち、図3、5に示すように、両方の切断刃2の刃先下端が茎S1の中心を斜めに横切った状態に配置されている。
【0034】
根菜作物Sは地中にある茎S1の下端から多数の塊根S2が下方及び下斜め方向へかつ放射方向へ延びており、左右の切断刃2はそれぞれ、茎S1の下端から下斜め方向へ延びる塊根S2の茎S1に繋がっている部分を切り落とす。切断角度は塊根S2に対して直角に近い角度が好ましいが、直角より小さな角度でもよい。
塊根S2の切断は左切断刃2が先行して行う。そのとき茎S1は、左切断刃2から逃げようとするが、ガイド部材3がその逃げを抑える。しかし、茎S1及び塊根S2に多少の逃げがあっても、切断刃2の刃先下端が茎S1の中心付近に達しているので、左半分の塊根S2は切り落とせる。続いて右切断刃2も同様に、右側から右半分の塊根S2を切り落とす。
【0035】
左右中央の塊根S2で切り落としミスを生じたものは、落下補完部3aであるガイド部材3の後部3rが切り落とし未遂の塊根S2を落とす。この落とし未遂の塊根S2は、切り落とされてはいないが、多くは切断刃2による切れ目が入れられており、落下補完部3aで容易に落とせる。
前記第1実施形態における作物堀取動作は、予備作業として、畝Uに植生されている根菜作物Sの茎を畝Uから20〜30cm残して切断しておく。その後に、作物堀取装置1Aを畝Uを跨いだ状態にしてそり材27を接地し、搬送機構Hを畝U上面に追従させながら走行させる。
【0036】
作物堀取装置1Aの前進により、掘り起こし器Pが畝Uを切りかつ土とともに植生されている茎S1付き塊根S2を掘り起こし、搬送機構Hの左右チェーン搬送手段H1、H2で茎S1を挟持して後上方へ持ち上げ搬送する。
搬送機構Hによる搬送途中に、ガイド部材3で根菜作物Sの左右位置を案内しながら、切断機構Mの左右切断刃2を回転させて塊根S2と茎S1との繋がり部分を左右両側から切断して、塊根S2を切り落とす。
左右切断刃2は上側から下側へ対向内方向に傾斜しているので、塊根S2と茎S1との繋がり部分を斜めに切ることになり、多数の塊根S2のほとんどを傷つけることなく茎S1から確実に切り落とす、また、左右切断刃2の下部が茎S1中心を横切っているので、切り落とせない塊根S2が生じても前記繋がり部分に切れ目を入れるので、ガイド部材3の後端の落下補完部3aがそれを強制的に落とす。
【0037】
前記搬送機構Hは左右チェーン搬送手段H1の駆動スプロケット30等の歯数に差を設けると、左右チェーン搬送手段H1のチェーン移動速度を異ならせることができ、チェーン移動速度を異ならせると、搬送中の挟持している茎S1に回転を与えることができ、左右の切断刃2で茎S1の全周囲の塊根S2の切断が可能になる。
図9〜14に示す第2実施形態において、作物堀取装置1Dは搬送機構Hに装着した切断機構M及びガイド部材3が第1実施形態と異なる。
前記切断機構Mは固定式であり、左右一対の切断刃2が搬送方向に長く形成され、かつ前記搬送機構Hに対して固定されており、搬送機構Hのフレーム4に対して後部が前部よりも下方へ離れている。
【0038】
前記ガイド部材3は円形パイプ材を屈曲して形成されており、茎S1の寸法より僅かに広い溝を有する平面視略U字形状であり、前部3fの両端は前広がりでかつ前下がり形状となっており、中間部3mは直線状でかつ前部3f側から後部3r側まで搬送機構Hに対して次第に下方へ離れるように配置され、中間部3mの後端から後部3r側に上向きへの字状に屈曲されていて、後部3rの後端は搬送機構Hに対して近づいていて落下補完部3aを形成している。
ガイド部材3は前後支持体70、71を介して左フレーム材4Lに装着されている。前支持体70は図9、11に示すように、左右板70a間に下部筒70bを設け、左右板70aで左フレーム材4Lを挟み、その上部にボルト70cを貫通しており、左フレーム材4Lに対して前後位置調整可能である。
【0039】
後支持体71は図9、12に示すように、左右板71a間に下部板71bを設け、左右板71aで左フレーム材4Lを挟み、その上部にボルト71cを貫通しており、左フレーム材4Lに対して前後位置調整可能である。
前記左右板71aのうち右板71aは下方に長く形成されかつ側面視円弧形状になっており、この右板71aには上下複数組のボルト孔71dが形成されている。
前記ガイド部材3の中間部3mの前端には左側方へ突出した支持軸73が固着され、この支持軸73が前支持体70の下部筒70bに挿入支持されており、中間部3mの後部側には装着片74が固定され、この装着片74を右板71aにボルト締結することにより、ガイド部材3は左フレーム材4Lに対して装着されている。
【0040】
前記下部板71bに対する装着片74の締結位置を上下に変更することにより、ガイド部材3は前部の支持軸73を中心に後部を上下方向に揺動して、フレーム4に対する遠近位置を変更し、ガイド部材3の尻上がり角度を変更することができる。
前記切断機構Mの左右切断刃2はそれぞれガイド部材3の中間部3mの半分程度の長さの帯板に刃を形成したものであり、前記中間部3mに固着の刃取付台75に締結具76を介して取り替え自在に装着されている。刃取付台75は帯板で形成しており、この刃取付台75に前記装着片74が固定されている。
【0041】
前記左右一対の切断刃2は搬送方向にずれていて、一部が搬送方向でオーバラップしており、搬送方向視V字状に配置されていて、上側から下側へ対向内方向に傾斜した姿勢に配置されている。
各切断刃2は平面視において、前部側が茎S1の搬送軌道から左右外方へ離れており、後部側が茎S1の搬送軌道と交差しており、搬送方向視において後部側は刃がオーバラップしており、茎S1の中心を超えて切断可能になっている。
従って、搬送機構Hによって搬送されてくる茎S1に対して左右切断刃2が前後して順次左右から塊根S2に切断作用を行い、切断刃2は中間部3mに沿って配置されているので、前部から後部にかけて搬送機構Hから次第に離れるように位置しており、塊根S2と茎S1との繋がり部分に左右両側から切り目を入れると同時に、茎S1に対して相対的に下降し、塊根S2を切り落としていく。
【0042】
切断刃2は中間部3mに沿って配置されているので、前部から後部にかけて搬送機構Hから次第に離れるように位置しており、塊根S2と茎S1との繋がり部分に左右両側から切り目を入れると同時に、搬送される茎S1に対して相対的に下降し、塊根S2を切り落としていく。
前記左右切断刃2は刃取付台75に対して対向方向に位置調整自在にかつ角度調整自在に装着しておくことが好ましい。
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜14に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
【0043】
例えば、作物堀取装置1は、畝Uを立てない平地に植生された根菜作物Sの堀り取りに適用してもよく、独自の走行車体に搭載して自走式に構成してもよく、掘り起こし器Pを割愛して、掘り起こしを根菜作物Sの堀り取りの前作業で行っておいてもよい。
また、搬送機構Hを上下2段にして茎S1を上下2カ所で挟持搬送させたり、ガイド部材3を割愛して、切断機構Mを搬送機構Hのフレーム4に直接装着したりしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 作物堀取装置
2 切断刃
3 ガイド部材
3a 落下補完部
4 フレーム
5 チェーン
D 弾圧手段
H 搬送機構
H1 チェーン搬送手段
L 切断用動力伝達手段
M 切断機構
S 根菜作物
S1 茎
S2 塊根
U 畝
【技術分野】
【0001】
本発明は、根菜作物を掘り起こしながら塊根を茎から切り落とす作物堀取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
根菜作物を掘り起こしながら塊根を茎から切り落とす従来技術としては、例えば、特許文献1に開示されているように、圃場に植生された人参を、搬送機構でその茎を挟持して後上方へ持ち上げ搬送し、その搬送途中、1枚の回転カッタで茎から塊根を切り落とすように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−275427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、1本の茎に1本の塊根が育成されている場合は、1枚の回転カッタで茎を切断して塊根を収穫することができるが、例えば、キャッサバ等のように1本の茎に多数本の塊根が下方及び斜め下方へかつ放射状に育成されている場合は、茎を切断しても多数本の塊根が繋がったままであり、塊根同士を分離状態にして収穫することは困難である。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした作物堀取装置を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、左右一対の切断刃を上側から下側へ対向内方向に傾斜しかつ前後にずらして配置することにより、1本の茎に放射状に育成された多数本の塊根を左右切断刃で順次切断して相互に分離できるようにした作物堀取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、植生された根菜作物Sの茎S1を挟持して後上方へ持ち上げ搬送する搬送機構Hと、搬送途中の根菜作物Sの塊根S2を茎S1から切り落とす切断機構Mとを有しており、
前記切断機構Mは搬送される茎S1の左右に位置していて上側から下側へ対向内方向に傾斜した左右一対の切断刃2を有しており、前記左右切断刃2を前後にずらしていることを特徴とする。
【0007】
第2に、前記搬送機構Hの下方に、搬送途中の根菜作物Sの左右位置を案内するガイド部材3を配置していることを特徴とする。
第3に、前記ガイド部材3を搬送機構Hに対して後部が前部よりも下方へ離れて設けていることを特徴とする。
第4に、前記ガイド部材3を、搬送機構Hに対して前部を中心に後部を上下位置調整可能にし、かつ調整位置で固定していることを特徴とする。
第5に、前記ガイド部材3は搬送機構Hの後部下方を左右に横切っていて搬送途中の根菜作物Sの切り落とし未遂の塊根S2を落とす落下補完部3aを有していることを特徴とする。
【0008】
第6に、前記ガイド部材3を平面視略U字のパイプ材で形成していることを特徴とする。
第7に、前記ガイド部材3は搬送機構Hに対して固定しており、このガイド部材3に左右一対の切断刃2を取り付けていることを特徴とする。
第8に、前記左右一対の切断刃2は搬送方向視V字状に位置して左右各刃先下端が茎S1中心を横切っており、この茎S1中心を横切っている左右刃先下端は前後にずれて位置していることを特徴とする。
【0009】
第9に、前記左右一対の切断刃2を回転自在な円形の回転刃で形成し、かつ回転刃直径の寸法内で前後にずらしていることを特徴とする。
第10に、前記左右一対の切断刃2に、前記搬送機構Hの駆動源から動力を伝達する動力伝達手段Lを接続していることを特徴とする。
第11に、前記左右一対の切断刃2を搬送方向に長く形成し、かつ前後にずらして前記搬送機構Hに対して固定していることを特徴とする。
第12に、前記左右各切断刃2は、後部が前部よりも搬送機構Hに対して下方へ離れかつ左右方向で茎S1中心に近づいていることを特徴とする。
【0010】
第13に、前記搬送機構Hは左右一対のチェーン5で茎S1を挟持する左右チェーン搬送手段H1を有し、左右一方のチェーン搬送手段H1にはチェーン5を他方のチェーン搬送手段H1側へ弾圧してチェーン5に茎S1挟持力を与える弾圧手段を設けていることを特徴とする。
第14に、前記搬送機構Hは左右チェーン搬送手段H1のチェーン移動速度を異ならせていることを特徴とする。
[作用]
前記特徴を有する作物堀取装置は次のような作用を奏する。
【0011】
圃場に1列に植生された根菜作物Sに跨るように移動機体Tを走行させ、搬送機構Hの先端で掘り起こされた根菜作物Sの茎S1を取り込みながら挟持し、この茎S1を塊根S2が放射状に付いたまま後上方へ持ち上げる。
この搬送途中に、上側から下側へ対向内方向に傾斜した左右一対の切断刃2が、茎S1に対して傾斜した状態で、前後にずれた位置で塊根S2を茎S1から切り落とす。塊根S2は茎S1に対して放射方向に付いているので、塊根S2の茎S1側付け根(繋がり部分)は左右各切断刃2によって、直交する角度で切断でき、塊根S2の茎S1側付け根が切断されるので、多数本の塊根S2が連なっていても個別に分離され、切断は左右切断刃2により順次行われ、小さな切断抵抗で行われる。
【0012】
搬送機構Hの下方に配置したガイド部材3は、搬送途中の根菜作物Sの左右位置を案内し、搬送機構Hに対して後部が前部よりも下方へ離れていることにより、茎S1から切り落とす塊根S2を押し下げて切断及び分離位置を一定に保つ。
前記ガイド部材3を搬送機構Hに対して前部を中心に後部を上下位置調整可能に設けることにより、ガイド部材3による塊根S2の切断及び分離位置をより正確にし、実行させる。
また、前記ガイド部材3が搬送機構Hの後部下方を左右に横切っていて搬送途中の根菜作物Sの切り落とし未遂の塊根S2を落とす落下補完部3aを有していると、塊根S2の茎S1からの分離漏れを減少できる。
【0013】
前記ガイド部材3を平面視略U字のパイプ材で形成して、茎S1及び塊根S2に接触する面積を大きくしながら軽量化することができる。
前記ガイド部材3を搬送機構Hのフレーム4に固定し、かつ左右一対の切断刃2を取り付けることにより、ガイド部材3を左右切断刃2の取り付けに兼用できる。
前記左右一対の切断刃2を刃先下端間に間隙を有して搬送方向視V字状に配置すると、左右切断刃2を前後にずれて位置していることにより、切断は左右切断刃2により順次行われ、小さな切断抵抗で行われる。
【0014】
前記左右一対の切断刃2を回転自在な円形の回転刃で形成し、かつ回転刃直径の寸法内で前後にずらすと、左右切断刃2をより茎S1の中心に近づけることができ、または茎S1の中心と交叉させることができ、左右両側から塊根S2を確実に切断することが可能になる。また、左右一対の切断刃2は搬送機構Hの駆動源を共用して駆動できる。
前記左右一対の切断刃2を搬送方向に長く形成しかつ前後にずらして搬送機構Hに固定し、さらに搬送機構Hのフレーム4に対して後部が前部よりも下方へ離れさせておくと、茎S1の左右両側から塊根S2を確実に切断することが可能になるとともに、切断した塊根S2を茎S1から確実に分離させることができる。
【0015】
茎S1を挟持搬送する搬送機構Hの左右一対のチェーン搬送手段H1は、左右一方のチェーン搬送手段H1のチェーン5を弾圧手段Dで他方のチェーン搬送手段H1側へ弾圧するので、茎S1の挟持搬送が確実にできる。
前記搬送機構Hの左右チェーン搬送手段H1のチェーン移動速度を異ならせると、搬送中の茎S1に回転を与えることができ、左右の切断刃2で茎S1の全周囲の塊根S2の切断が可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、1本の茎S1に放射状に育成された多数本の塊根S2を、傾斜しかつ前後にずらされた左右切断刃2で順次切断して相互に分離できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す全体側面図である。
【図2】同全体平面図である。
【図3】搬送機構H及び切断機構Mを搬送方向から視た背面図である。
【図4】切断機構M及びガイド部材の平面図である。
【図5】切断機構Mの拡大平面図である。
【図6】搬送機構H前部の拡大平面図である。
【図7】機枠の正面図である。
【図8】機枠の平面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示す全体側面図である。
【図10】同全体平面図である。
【図11】搬送機構H及び切断機構Mの前部を搬送方向から視た背面図である。
【図12】搬送機構H及び切断機構Mの後部を搬送方向から視た背面図である。
【図13】切断機構M及びガイド部材の平面図である。
【図14】切断機構M及びガイド部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜8に示す第1実施形態において、作物堀取装置1Aは機枠Kに搬送機構Hと掘り起こし器Pとを装着し、搬送機構Hに切断機構Mを装着しており、機枠Kは3点リンク手段10を介してトラクタ等の移動車体Tに昇降可能に装着されている。
前記機枠Kは、図1、2、7、8に示すように、左右一対の側板11を複数の横部材12で連結し、左右側板11間に動力取入伝動ケース13を配置し、左右側板11の前下部に掘り起こし器Pを取り付ける前支持材14を固定し、左右側板11の後部の後横部材12から後方へ搬送機構Hを支持する後支持枠15を後方突出状に設けている。
【0019】
機枠Kの前部にはマスト16が設けられ、3点リンク手段10のトップリンク10aと連結可能になっており、機枠Kの前下部にはロアリンクピン17が設けられ、3点リンク手段10のロアリンク10bと連結可能になっている。
動力取入伝動ケース13には、移動車体TのPTO軸18と自在継手軸(ユニバーサルジョイント軸)19を介して連結される動力取入軸20と、後方へ動力を伝達する2本の出力軸21とが略平行に配置され、動力取入軸20と2本の出力軸21との間にチェーン伝動手段22が配置されており、動力取入軸20からチェーン伝動手段22を介して2本の出力軸21を同一方向へ同期回転するようになっており、作物堀取装置1Aの駆動源となっている。
【0020】
掘り起こし器Pは正面視L字形状に形成され、前支持材14に左右一対対向状に設けられており、各掘り起こし器Pは前支持材14に上部が着脱可能に固定された縦刃24と、この縦刃24の下部から対向内方向に延設された横刃25とを有し、横刃25は各縦刃24から対向内方向に突出していて後ろ上がりに傾斜している。
掘り起こし器Pは1条の畝Uの左右両側を左右縦刃24で切り、切った畝Uの下側に横刃25が侵入し、畝土を持ち上げながら植生されている根菜作物Sを掘り起こす。
この掘り起こし器Pは正面視L字状に折曲された板材の前縁に刃部を形成して、縦刃24と横刃25とを一体成形したものでもよい。
【0021】
前記左右縦刃24は前支持材14に対して取り付け位置を上下に調整できるようにしておいて、畝U高さ、根菜作物Sの植え付け深さ、塊根S2の大きさ等に応じて、機枠Kに対する横刃25の上下位置を調整できるようにしておくことが好ましい。
図1〜3、6において、前記搬送機構Hは後ろ上がり傾斜していて、フレーム4に支持された左右一対のチェーン搬送手段H1で茎S1を挟持しかつ持ち上げ搬送するものである。
左チェーン搬送手段H1は右チェーン搬送手段H1よりも後部が長く形成されており、フレーム4は、搬送方向に沿った左右フレーム材4L、4Rを前連結材4Fと後連結材4Qとで連結している。
【0022】
前記左フレーム材4Lは1本の太い角パイプで形成され、右フレーム材4Rは上下2本の細い角パイプを結合して形成され、前連結材4F及び後連結材4Qは前後2本の細い角パイプを結合して形成されており、左右各フレーム材4L、4Rの前端部には畝U上面に接地するそり材27が設けられている。
前連結材4Fと後連結材4Qとは、左右フレーム材4L、4Rの間を跨いで根菜作物Sの茎S1と接触しないように、搬送方向視門型又は山型に形成されている。
後連結材4Qは後支持枠15の後端に横軸28を介して揺動自在に枢支され、前連結材4Fは横部材12に2連リンク29を介して昇降自在に連結されている。搬送機構Hはそり材27を畝U上面に接地した状態で走行すると、畝Uの凹凸によって横軸28を中心に前部が昇降して追従する。
【0023】
前記後連結材4Qは搬送機構Hの前後方向の重心近くに位置し、機枠Kで搬送機構Hを吊り持っている状態で、搬送機構Hの前後バランスを略平衡させている、又は前側を若干重くして、その重量差でそり材27を畝Uに接地させている。
なお、搬送機構Hの前後バランスを平衡させておいて、機枠Kと搬送機構Hとの間に弾下手段を設けて、搬送機構Hの前部を下方へ弾力的に押圧して、そり材27を畝Uに接地させるようにしてもよい。
左右フレーム材4L、4Rはそれぞれ、後部に駆動スプロケット30を支持し、前部に従動スプロケット31とガイドスプロケット32とを支持し、これらにチェーン5を巻き掛けて左右チェーン搬送手段H1を形成している。
【0024】
図1〜3、6において、左右チェーン搬送手段H1は同一平面上で対向していて、前部が従動スプロケット31とガイドスプロケット32とに案内されて左右チェーン5が前広がりに配置され、根菜作物Sの茎S1を幅広く導入可能になっており、対向している中間部では左右チェーン5が互いに近接していて茎S1を挟持可能になっており、かつ左右チェーン5の同一方向の移動により茎S1を搬送可能になっており、左チェーン搬送手段H1の後部が右チェーン搬送手段H1よりも長いことにより、搬送された茎S1は右側、即ち、右チェーン搬送手段H1の後方側で畝U間の溝に放出される。
【0025】
前記左チェーン搬送手段H1は、左チェーン5の対向内外側の直線部分を保持するためレール部材33Lが左フレーム材4Lに固定されている。このレール部材33Lは図3に示すように、チェーン5のピン5aに裏側から当接し、チェーン5の上下リンク5bの内側に入り、チェーン5の軌道を形成している。
前記右チェーン搬送手段H1は、右チェーン5の対向外側の直線部分を保持するために裏側から当接するレール部材33Rが右フレーム材4Rに固定されているのに対して、右チェーン5の対向内側の直線部分を保持するために裏側から当接するレール部材33Yは、右フレーム材4Rに対向内外方向移動自在に装着されかつ対向内方向に付勢されていて、弾圧可動レールとなっている。
【0026】
即ち、右チェーン搬送手段H1の弾圧可動レール部材33Yは搬送方向に4分割されており、前弾圧可動レール部材33Yには2本の揺動体(ベルクランク)35の一端がピン連結され、その他の弾圧可動レール部材33Yには1本の揺動体35の一端がピン連結され、各揺動体35の中間部は右フレーム材4Rに枢支され、各揺動体35の他端と右フレーム材4Rとの間には引っ張りスプリング36が設けられている。
従って、前弾圧可動レール部材33Yは2本の揺動体35によって平行移動し、引っ張りスプリング36によって右チェーン5を左チェーン5側に弾圧し、その他の弾圧可動レール部材33Yは1本の揺動体35によって左チェーン5に対して揺動可能状態で遠近移動し、引っ張りスプリング36によって右チェーン5を左チェーン5側に弾圧し、左右チェーン5が前後方向に間隔をおいて搬送される茎S1をそれぞれ個別にかつ確実に挟持できるようにしている。
【0027】
また、右チェーン搬送手段H1のガイドスプロケット32も1本の揺動体(ベルクランク)37の一端に連結され、この揺動体37の中間部は右フレーム材4Rに枢支され、他端には右フレーム材4Rとの間に引っ張りスプリング36が設けられている。
前記右チェーン搬送手段H1のガイドスプロケット32及び弾圧レール部材33Y等によって、チェーン5に茎S1を挟持する力を与える弾圧手段Dが構成されている。この弾圧手段Dは左チェーン搬送手段H1に設けてもよい。
図1、2、4において、左右フレーム材4L、4Rの後端にはそれぞれ、駆動スプロケット30を支持するスプロケット軸38を駆動する個別ギヤケース39が設けられている。各個別ギヤケース39内にはベベルギヤ伝動手段40が内蔵されていて、その各入力軸41は伝動ケース13の出力軸21と伸縮自在な自在継手軸42を介して連動連結されている。
【0028】
前記左個別ギヤケース39の駆動スプロケット30を支持するスプロケット軸38は、駆動スプロケット30からさらに下方に突出していてチェーン伝動手段43に動力伝達可能になっており、搬送機構Hを駆動する動力を切断機構Mへ分岐伝達するようになっている。
前記搬送機構Hのフレーム4には切断機構Mとガイド部材3とが設けられている。図1〜4において、前記左フレーム材4Lに取付ブラケット46が前後方向位置調整可能に装着され、ガイド部材3には左側の中間部3mに装着片47が固着され、取付ブラケット46に装着片47が上下位置調整可能に取り付けられている。
【0029】
前記ガイド部材3は円形パイプ材を屈曲して形成されており、茎S1の寸法より僅かに広い溝を有する平面視略U字形状であり、前部3fの両端は前広がり形状となっており、中間部3mは直線状で左フレーム材4Lと略平行に位置し、中間部3mの後端から後部3rにへの字状に屈曲されていて、後部3rは搬送機構Hに対して中間部3m側から後端側へ、次第に下方へ離れるように形成されている。
ガイド部材3は前部3fが前広がり形状であることにより、茎S1の導入を容易にし、フレーム4と略平行な中間部3mで左右チェーン搬送手段H1が挟持搬送する茎S1の左右振れを規制し、フレーム4から離れる後部3rで茎S1から塊根S2を落とす。
【0030】
このガイド部材3の後部3rの後端は、搬送機構Hの後部下方を左右に横切っていて、搬送途中の根菜作物Sの切り落とし未遂の塊根S2を落とす落下補完部3aとなっている。
図1〜5において、前記切断機構Mは回転自在な円形の切断刃2を有する回転刃式であり、左右フレーム材4L、4Rに対応してその下方に左右一対の回転切断手段M1、M2を有する。左回転切断手段M1はガイド部材3の左側中間部3mに支持され、右回転切断手段M2はガイド部材3の右側中間部3mに支持されている。
【0031】
左右各回転切断手段M1、M2は、ガイド部材3の中間部3mにブラケット51が固定され、このブラケット51に回転軸52が支持され、この回転軸52に切断刃2が設けられ、前記ブラケット51に回転軸52を駆動する切断ギヤボックス53が取り付けられ、左フレーム材4Lの後部に左個別ギヤケース39からの動力を切断ギヤボックス53へ伝達する切断伝動ケース54が設けられている。
前記切断伝動ケース54には、チェーン伝動手段43から動力が伝達される伝動軸63と、この伝動軸63からベベルギヤを介して動力が伝達される左伝動軸64Lと、前記伝動軸63からチェーン伝動手段65及びベベルギヤを介して動力が伝達される右左伝動軸64Rとを有する。
【0032】
前記左右伝動軸64L、64Rからそれぞれ自在継手軸66介して切断ギヤボックス53の回転軸52へ切断動力を伝達可能になっており、前記チェーン伝動手段43、切断伝動ケース54、自在継手軸66及び切断ギヤボックス53等によって切断用の動力伝達手段Lが構成されている。
前記ブラケット51は回転軸52に装着された切断刃2の外側を覆っており、左右回転軸52は左右外側より内側が上がる方向に傾斜しており、よって左右切断刃2は上側から下側へ対向内方向に傾斜した姿勢に配置されている。
【0033】
前記左右回転軸52は搬送方向前後にずれて位置する。左右切断刃2は搬送方向前後にずれていて、外周の刃部の一部はオーバラップしている。即ち、左右切断刃2は回転刃直径の寸法内で前後にずれており、搬送機構Hによって搬送されてくる茎S1に対して左切断刃2が右切断刃2に先行して塊根S2の切断作用を行う。
前記左右一対の切断刃2は、搬送方向視V字状に配置されていて、刃先下端間に間隙を有していてもよいが、搬送方向にずれているので、搬送方向視で刃先下端間に間隙のない状態、即ち、図3、5に示すように、両方の切断刃2の刃先下端が茎S1の中心を斜めに横切った状態に配置されている。
【0034】
根菜作物Sは地中にある茎S1の下端から多数の塊根S2が下方及び下斜め方向へかつ放射方向へ延びており、左右の切断刃2はそれぞれ、茎S1の下端から下斜め方向へ延びる塊根S2の茎S1に繋がっている部分を切り落とす。切断角度は塊根S2に対して直角に近い角度が好ましいが、直角より小さな角度でもよい。
塊根S2の切断は左切断刃2が先行して行う。そのとき茎S1は、左切断刃2から逃げようとするが、ガイド部材3がその逃げを抑える。しかし、茎S1及び塊根S2に多少の逃げがあっても、切断刃2の刃先下端が茎S1の中心付近に達しているので、左半分の塊根S2は切り落とせる。続いて右切断刃2も同様に、右側から右半分の塊根S2を切り落とす。
【0035】
左右中央の塊根S2で切り落としミスを生じたものは、落下補完部3aであるガイド部材3の後部3rが切り落とし未遂の塊根S2を落とす。この落とし未遂の塊根S2は、切り落とされてはいないが、多くは切断刃2による切れ目が入れられており、落下補完部3aで容易に落とせる。
前記第1実施形態における作物堀取動作は、予備作業として、畝Uに植生されている根菜作物Sの茎を畝Uから20〜30cm残して切断しておく。その後に、作物堀取装置1Aを畝Uを跨いだ状態にしてそり材27を接地し、搬送機構Hを畝U上面に追従させながら走行させる。
【0036】
作物堀取装置1Aの前進により、掘り起こし器Pが畝Uを切りかつ土とともに植生されている茎S1付き塊根S2を掘り起こし、搬送機構Hの左右チェーン搬送手段H1、H2で茎S1を挟持して後上方へ持ち上げ搬送する。
搬送機構Hによる搬送途中に、ガイド部材3で根菜作物Sの左右位置を案内しながら、切断機構Mの左右切断刃2を回転させて塊根S2と茎S1との繋がり部分を左右両側から切断して、塊根S2を切り落とす。
左右切断刃2は上側から下側へ対向内方向に傾斜しているので、塊根S2と茎S1との繋がり部分を斜めに切ることになり、多数の塊根S2のほとんどを傷つけることなく茎S1から確実に切り落とす、また、左右切断刃2の下部が茎S1中心を横切っているので、切り落とせない塊根S2が生じても前記繋がり部分に切れ目を入れるので、ガイド部材3の後端の落下補完部3aがそれを強制的に落とす。
【0037】
前記搬送機構Hは左右チェーン搬送手段H1の駆動スプロケット30等の歯数に差を設けると、左右チェーン搬送手段H1のチェーン移動速度を異ならせることができ、チェーン移動速度を異ならせると、搬送中の挟持している茎S1に回転を与えることができ、左右の切断刃2で茎S1の全周囲の塊根S2の切断が可能になる。
図9〜14に示す第2実施形態において、作物堀取装置1Dは搬送機構Hに装着した切断機構M及びガイド部材3が第1実施形態と異なる。
前記切断機構Mは固定式であり、左右一対の切断刃2が搬送方向に長く形成され、かつ前記搬送機構Hに対して固定されており、搬送機構Hのフレーム4に対して後部が前部よりも下方へ離れている。
【0038】
前記ガイド部材3は円形パイプ材を屈曲して形成されており、茎S1の寸法より僅かに広い溝を有する平面視略U字形状であり、前部3fの両端は前広がりでかつ前下がり形状となっており、中間部3mは直線状でかつ前部3f側から後部3r側まで搬送機構Hに対して次第に下方へ離れるように配置され、中間部3mの後端から後部3r側に上向きへの字状に屈曲されていて、後部3rの後端は搬送機構Hに対して近づいていて落下補完部3aを形成している。
ガイド部材3は前後支持体70、71を介して左フレーム材4Lに装着されている。前支持体70は図9、11に示すように、左右板70a間に下部筒70bを設け、左右板70aで左フレーム材4Lを挟み、その上部にボルト70cを貫通しており、左フレーム材4Lに対して前後位置調整可能である。
【0039】
後支持体71は図9、12に示すように、左右板71a間に下部板71bを設け、左右板71aで左フレーム材4Lを挟み、その上部にボルト71cを貫通しており、左フレーム材4Lに対して前後位置調整可能である。
前記左右板71aのうち右板71aは下方に長く形成されかつ側面視円弧形状になっており、この右板71aには上下複数組のボルト孔71dが形成されている。
前記ガイド部材3の中間部3mの前端には左側方へ突出した支持軸73が固着され、この支持軸73が前支持体70の下部筒70bに挿入支持されており、中間部3mの後部側には装着片74が固定され、この装着片74を右板71aにボルト締結することにより、ガイド部材3は左フレーム材4Lに対して装着されている。
【0040】
前記下部板71bに対する装着片74の締結位置を上下に変更することにより、ガイド部材3は前部の支持軸73を中心に後部を上下方向に揺動して、フレーム4に対する遠近位置を変更し、ガイド部材3の尻上がり角度を変更することができる。
前記切断機構Mの左右切断刃2はそれぞれガイド部材3の中間部3mの半分程度の長さの帯板に刃を形成したものであり、前記中間部3mに固着の刃取付台75に締結具76を介して取り替え自在に装着されている。刃取付台75は帯板で形成しており、この刃取付台75に前記装着片74が固定されている。
【0041】
前記左右一対の切断刃2は搬送方向にずれていて、一部が搬送方向でオーバラップしており、搬送方向視V字状に配置されていて、上側から下側へ対向内方向に傾斜した姿勢に配置されている。
各切断刃2は平面視において、前部側が茎S1の搬送軌道から左右外方へ離れており、後部側が茎S1の搬送軌道と交差しており、搬送方向視において後部側は刃がオーバラップしており、茎S1の中心を超えて切断可能になっている。
従って、搬送機構Hによって搬送されてくる茎S1に対して左右切断刃2が前後して順次左右から塊根S2に切断作用を行い、切断刃2は中間部3mに沿って配置されているので、前部から後部にかけて搬送機構Hから次第に離れるように位置しており、塊根S2と茎S1との繋がり部分に左右両側から切り目を入れると同時に、茎S1に対して相対的に下降し、塊根S2を切り落としていく。
【0042】
切断刃2は中間部3mに沿って配置されているので、前部から後部にかけて搬送機構Hから次第に離れるように位置しており、塊根S2と茎S1との繋がり部分に左右両側から切り目を入れると同時に、搬送される茎S1に対して相対的に下降し、塊根S2を切り落としていく。
前記左右切断刃2は刃取付台75に対して対向方向に位置調整自在にかつ角度調整自在に装着しておくことが好ましい。
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜14に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
【0043】
例えば、作物堀取装置1は、畝Uを立てない平地に植生された根菜作物Sの堀り取りに適用してもよく、独自の走行車体に搭載して自走式に構成してもよく、掘り起こし器Pを割愛して、掘り起こしを根菜作物Sの堀り取りの前作業で行っておいてもよい。
また、搬送機構Hを上下2段にして茎S1を上下2カ所で挟持搬送させたり、ガイド部材3を割愛して、切断機構Mを搬送機構Hのフレーム4に直接装着したりしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 作物堀取装置
2 切断刃
3 ガイド部材
3a 落下補完部
4 フレーム
5 チェーン
D 弾圧手段
H 搬送機構
H1 チェーン搬送手段
L 切断用動力伝達手段
M 切断機構
S 根菜作物
S1 茎
S2 塊根
U 畝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植生された根菜作物(S)の茎(S1)を挟持して後上方へ持ち上げ搬送する搬送機構(H)と、搬送途中の根菜作物(S)の塊根(S2)を茎(S1)から切り落とす切断機構(M)とを有しており、
前記切断機構(M)は搬送される茎(S1)の左右に位置していて上側から下側へ対向内方向に傾斜した左右一対の切断刃(2)を有しており、前記左右切断刃(2)を前後にずらしていることを特徴とする作物堀取装置。
【請求項2】
前記搬送機構(H)の下方に、搬送途中の根菜作物(S)の左右位置を案内するガイド部材(3)を配置していることを特徴とする請求項1に記載の作物堀取装置。
【請求項3】
前記ガイド部材(3)を搬送機構(H)に対して後部が前部よりも下方へ離れて設けていることを特徴とする請求項2に記載の作物堀取装置。
【請求項4】
前記ガイド部材(3)を、搬送機構(H)に対して前部を中心に後部を上下位置調整可能にし、かつ調整位置で固定していることを特徴とする請求項2又は3に記載の作物堀取装置。
【請求項5】
前記ガイド部材(3)は搬送機構(H)の後部下方を左右に横切っていて搬送途中の根菜作物(S)の切り落とし未遂の塊根(S2)を落とす落下補完部(3a)を有していることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の作物堀取装置。
【請求項6】
前記ガイド部材(3)を平面視略U字のパイプ材で形成していることを特徴とする請求項5に記載の作物堀取装置。
【請求項7】
前記ガイド部材(3)は搬送機構(H)に対して固定しており、このガイド部材(3)に左右一対の切断刃(2)を取り付けていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の作物堀取装置。
【請求項8】
前記左右一対の切断刃(2)は搬送方向視V字状に位置して左右各刃先下端が茎(S1)中心を横切っており、この茎(S1)中心を横切っている左右刃先下端は前後にずれて位置していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の作物堀取装置。
【請求項9】
前記左右一対の切断刃(2)を回転自在な円形の回転刃で形成し、かつ回転刃直径の寸法内で前後にずらしていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の作物堀取装置。
【請求項10】
前記左右一対の切断刃(2)に、前記搬送機構(H)の駆動源から動力を伝達する動力伝達手段Lを接続していることを特徴とする請求項9に記載の作物堀取装置。
【請求項11】
前記左右一対の切断刃(2)を搬送方向に長く形成し、かつ前後にずらして前記搬送機構(H)に対して固定していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の作物堀取装置。
【請求項12】
前記左右各切断刃(2)は、後部が前部よりも搬送機構(H)に対して下方へ離れかつ左右方向で茎(S1)中心に近づいていることを特徴とする請求項11に記載の作物堀取装置。
【請求項13】
前記搬送機構(H)は左右一対のチェーン(5)で茎(S1)を挟持する左右チェーン搬送手段(H1)を有し、左右一方のチェーン搬送手段(H1)にはチェーン(5)を他方のチェーン搬送手段(H1)側へ弾圧してチェーン(5)に茎(S1)挟持力を与える弾圧手段(D)を設けていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の作物堀取装置。
【請求項14】
前記搬送機構(H)は左右チェーン搬送手段(H1)のチェーン移動速度を異ならせていることを特徴とする請求項13に記載の作物堀取装置。
【請求項1】
植生された根菜作物(S)の茎(S1)を挟持して後上方へ持ち上げ搬送する搬送機構(H)と、搬送途中の根菜作物(S)の塊根(S2)を茎(S1)から切り落とす切断機構(M)とを有しており、
前記切断機構(M)は搬送される茎(S1)の左右に位置していて上側から下側へ対向内方向に傾斜した左右一対の切断刃(2)を有しており、前記左右切断刃(2)を前後にずらしていることを特徴とする作物堀取装置。
【請求項2】
前記搬送機構(H)の下方に、搬送途中の根菜作物(S)の左右位置を案内するガイド部材(3)を配置していることを特徴とする請求項1に記載の作物堀取装置。
【請求項3】
前記ガイド部材(3)を搬送機構(H)に対して後部が前部よりも下方へ離れて設けていることを特徴とする請求項2に記載の作物堀取装置。
【請求項4】
前記ガイド部材(3)を、搬送機構(H)に対して前部を中心に後部を上下位置調整可能にし、かつ調整位置で固定していることを特徴とする請求項2又は3に記載の作物堀取装置。
【請求項5】
前記ガイド部材(3)は搬送機構(H)の後部下方を左右に横切っていて搬送途中の根菜作物(S)の切り落とし未遂の塊根(S2)を落とす落下補完部(3a)を有していることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の作物堀取装置。
【請求項6】
前記ガイド部材(3)を平面視略U字のパイプ材で形成していることを特徴とする請求項5に記載の作物堀取装置。
【請求項7】
前記ガイド部材(3)は搬送機構(H)に対して固定しており、このガイド部材(3)に左右一対の切断刃(2)を取り付けていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の作物堀取装置。
【請求項8】
前記左右一対の切断刃(2)は搬送方向視V字状に位置して左右各刃先下端が茎(S1)中心を横切っており、この茎(S1)中心を横切っている左右刃先下端は前後にずれて位置していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の作物堀取装置。
【請求項9】
前記左右一対の切断刃(2)を回転自在な円形の回転刃で形成し、かつ回転刃直径の寸法内で前後にずらしていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の作物堀取装置。
【請求項10】
前記左右一対の切断刃(2)に、前記搬送機構(H)の駆動源から動力を伝達する動力伝達手段Lを接続していることを特徴とする請求項9に記載の作物堀取装置。
【請求項11】
前記左右一対の切断刃(2)を搬送方向に長く形成し、かつ前後にずらして前記搬送機構(H)に対して固定していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の作物堀取装置。
【請求項12】
前記左右各切断刃(2)は、後部が前部よりも搬送機構(H)に対して下方へ離れかつ左右方向で茎(S1)中心に近づいていることを特徴とする請求項11に記載の作物堀取装置。
【請求項13】
前記搬送機構(H)は左右一対のチェーン(5)で茎(S1)を挟持する左右チェーン搬送手段(H1)を有し、左右一方のチェーン搬送手段(H1)にはチェーン(5)を他方のチェーン搬送手段(H1)側へ弾圧してチェーン(5)に茎(S1)挟持力を与える弾圧手段(D)を設けていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の作物堀取装置。
【請求項14】
前記搬送機構(H)は左右チェーン搬送手段(H1)のチェーン移動速度を異ならせていることを特徴とする請求項13に記載の作物堀取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−259342(P2010−259342A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111062(P2009−111062)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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