説明

使い切りおしぼり集合体

【課題】滅菌処理したウエットタオルを、衛生的に複数の利用者へ効率良く配ることができる使い切りおしぼり集合体の提供。
【解決手段】
使い切りおしぼり集合体は、包体2内に、塩化ベンザルコニール水溶液で湿らせ渦巻状に巻いたウエットタオル1を密封包装してなり、切込31を入れた粘着テープ3を包体2の縁端部21に貼着している。そして、切込31から粘着テープ3を裂いて包体2に穴を開け、手で持ってウエットタオル1を配る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1回で使い切ってしまうおしぼり(タオル)に関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1には、多数の使用者に対して、加温したウエットおしぼりを短時間で効率良く供給できるおしぼり収納パックが開示されている。
引用文献2には、容器内に湿潤させたタオルを密封包装(1個または2個)した後、加圧殺菌処理を施したおしぼりタオルが開示されている。
引用文献3には、手を中に入れて病人の身体を拭くのに適しており、薬剤溶液を含浸させた濡れタオルが開示されている。
【特許文献1】特開平10−194369号公報
【特許文献2】特開平11−32933号公報
【特許文献3】特開平9−294689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の技術は、下記に示す課題を有する。
特許文献1のおしぼり収納パックは、多数の使用者にウエットおしぼりを配る場合に、分配人が収納ケースを両手で持ったり、一時的に床やテーブルに置いたり、車輪付ワゴン等に載せる必要があり、使い勝手が悪い。これは、収納ケースがポリプロピレン製であり、手の平に載せても収納ケースが変形せず、手に馴染まないためである。
分配人が収納ケースを両手で持ち、ケース内に手を入れて使用者に取り出してもらう様にすると、ケース内に残っているウエットおしぼりに雑菌が付着する。また、床やテーブルに収納ケースを置きながら配ると時間がかかり効率が悪い。更に、狭い場所、ベット、畳等では、車輪付ワゴン等が使用できない。
【0004】
特許文献2のおしぼりタオルは、使用者の種類(病人や障害者)によっては、容器を破ってタオルを取り出すという困難な作業を強いることになる。また、分配した人数分のおしぼりタオルの容器がゴミになる。
【0005】
特許文献3の包装濡れタオルは、多人数の病人やその介護者に短時間に配る場合には嵩張るので不適当である。また、分配した人数分の包装濡れタオルの包装用フィルムがゴミになる。
【0006】
本発明の第1の目的は、ウエットタオルを、衛生的に複数の利用者へ効率良く配ることができる使い切りおしぼり集合体の提供にある。
本発明の第2の目的は、滅菌処理したウエットタオルを、衛生的に複数の利用者へ効率良く配ることができる使い切りおしぼり集合体の提供にある。
本発明の第3の目的は、臭いが少ない消毒液で滅菌処理したウエットタオルを、衛生的に複数の利用者へ効率良く配ることができる使い切りおしぼり集合体の提供にある。
本発明の第4の目的は、短時間に大量の使い切りおしぼり集合体を製造することができる、使い切りおしぼり集合体の製造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔請求項1について〕
使い切りおしぼり集合体は、可撓性に富む薄いフィルムで形成した包体内に、渦巻状に巻いた複数本(例えば、20本、50本)のウエットタオルを余裕が有る状態に密封包装してなる。
複数のおしぼり使用者にウエットタオルを配る場合には、先ず、おしぼり分配人が包体内の一部を手で破り、フィルムに穴を開ける。なお、フィルムに開ける穴は、包体の体制を保ち、且つ、包体を反利き手で持った状態で、利き手を使って包体内から一本づつウエットタオルを取り出せる程度の大きさが好ましい。
【0008】
おしぼり分配人は、穴を開けた包体を反利き手で持ちながらおしぼり使用者に近づき、利き手を使って包体内からウエットタオル(通常一本)を取り出し、そのウエットタオルをおしぼり使用者に手渡す。
複数本のウエットタオルを余裕が有る状態に包装しているので、手に持ち易い様に包体が変形可能であるとともに、フィルムに開けた穴から容易に、一本づつウエットタオルを取り出すことができる。
また、使用済のウエットタオルおよび包体内に残ったウエットは、衛生上の理由から再利用せず、放棄する。
【0009】
おしぼり集合体を片手(反利き手)で持った状態で、おしぼり分配人がおしぼり使用者間をスムーズに移動することができるので、効率良く複数の使用者にウエットタオルを配ることができる。
また、おしぼり分配人がおしぼり使用者にウエットタオルを直接、手渡すので衛生的であり、おしぼり使用者から雑菌がおしぼり集合体へ侵入し難く、院内感染(おしぼり使用者間)を防止できる。なお、おしぼり分配人は、予め、殺菌済のゴム手袋を利き手に嵌めておくのが好ましい。
【0010】
病院や障害者施設等で、この使い切りおしぼり集合体を使用すると、病弱者(病人や障害者等)であるおしぼり使用者が包体を破って中からウエットタオルを取り出す必要がないので、病弱者に困難な作業を強いることがない。
また、各ウエットタオルは、包体内に裸で入っている。このため、ウエットタオルを包む袋がないのでゴミを減らすことができる。
【0011】
〔請求項2について〕
使い切りおしぼり集合体は、可撓性に富む薄いフィルムで形成した包体内に、消毒液で湿らせて滅菌処理し、渦巻状に巻いた複数本(例えば、20本、50本)のウエットタオルを余裕が有る状態に密封包装してなる。
なお、消毒液としては、逆性石鹸液、イソプロピルアルコール(イソプロパノール)、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、ポピドンヨード、次亜塩素酸ナトリウム、グルコン酸クロルヘキシジン、ダイアジノン乳剤、ラビネット液、クレゾール石ケン液等を水で希釈した水溶液が使用可能である。
【0012】
複数のおしぼり使用者にウエットタオルを配る場合には、先ず、おしぼり分配人が包体内の一部を手で破り、フィルムに穴を開ける。なお、フィルムに開ける穴は、包体の体制を保ち、且つ、包体を反利き手で持った状態で、利き手を使って包体内から一本づつウエットタオルを取り出せる程度の大きさが好ましい。
【0013】
おしぼり分配人は、穴を開けた包体を反利き手で持ちながらおしぼり使用者に近づき、利き手を使って包体内からウエットタオル(通常一本)を取り出し、そのウエットタオルをおしぼり使用者に手渡す。
複数本のウエットタオルを余裕が有る状態に包装しているので、手に持ち易い状態に包体が変形可能であるとともに、フィルムに開けた穴から容易に、一本づつウエットタオルを取り出すことができる。
また、使用済のウエットタオルおよび包体内に残ったウエットは、衛生上の理由から再利用せず、放棄する。
【0014】
おしぼり集合体を片手(反利き手)で持った状態で、おしぼり分配人がおしぼり使用者間をスムーズに移動することができるので、効率良く複数の使用者にウエットタオルを配ることができる。
また、消毒液で湿らせて滅菌処理しているのに加え、おしぼり分配人がおしぼり使用者にウエットタオルを直接、手渡すので衛生的であり、おしぼり使用者から雑菌がおしぼり集合体へ侵入し難く、院内感染(おしぼり使用者間)を防止できる。なお、おしぼり分配人は、予め、殺菌済のゴム手袋を利き手に嵌めておくのが好ましい。
【0015】
病院や障害者施設等で、この使い切りおしぼり集合体を使用すると、病弱者(病人や障害者等)であるおしぼり使用者が包体を破って中からウエットタオルを取り出す必要がないので、病弱者に困難な作業を強いることがない。
また、各ウエットタオルは、包体内に裸で入っている。このため、ウエットタオルを包む袋がないのでゴミを減らすことができる。
【0016】
〔請求項3について〕
使い切りおしぼり集合体は、略透明の薄いポリエチレン製のフィルムで形成した包体内に、塩化ベンザルコニウムで湿らせて滅菌処理し、渦巻状に巻いた複数本(例えば、20本、50本)のウエットタオルを余裕が有る状態に密封包装してなる。
複数のおしぼり使用者にウエットタオルを配る場合には、先ず、おしぼり分配人が包体内の一部を手で破り、フィルムに穴を開ける。なお、フィルムに開ける穴は、包体の体制を保ち、且つ、包体を反利き手で持った状態で、利き手を使って包体内から一本づつウエットタオルを取り出せる程度の大きさが好ましい。
【0017】
おしぼり分配人は、穴を開けた包体を反利き手で持ちながらおしぼり使用者に近づき、利き手を使って包体内からウエットタオル(通常一本)を取り出し、そのウエットタオルをおしぼり使用者に手渡す。
複数本のウエットタオルを余裕が有る状態に包装しているので、手に持ち易い状態に変形可能であるとともに、フィルムに開けた穴から容易に、一本づつウエットタオルを取り出すことができる。
また、使用済のウエットタオルおよび包体内に残ったウエットは、衛生上の理由から再利用せず、放棄する。
【0018】
おしぼり集合体を片手(反利き手)で持った状態で、おしぼり分配人がおしぼり使用者間をスムーズに移動することができるので、効率良く複数の使用者にウエットタオルを配ることができる。
【0019】
ウエットタオルを塩化ベンザルコニウムで湿らせて滅菌処理しているので消毒臭が気にならないとともに、殺菌性に優れる。
上記滅菌処理に加え、おしぼり分配人がおしぼり使用者にウエットタオルを直接、手渡すので、おしぼり使用者から雑菌がおしぼり集合体へ侵入し難く、院内感染(おしぼり使用者間)を防止できる。なお、おしぼり分配人は、予め、殺菌済のゴム手袋を利き手に嵌めておくのが好ましい。
【0020】
病院や障害者施設等で、この使い切りおしぼり集合体を使用すると、病弱者(病人や障害者等)であるおしぼり使用者が包体を破って中からウエットタオルを取り出す必要がないので、病弱者に困難な作業を強いることがない。
また、各ウエットタオルは、包体内に裸で入っている。このため、ウエットタオルを包む袋がないのでゴミを減らすことができる。
【0021】
〔請求項4について〕
使い切りおしぼり集合体は、切込部分(粘着テープに切込を入れた部分)が、包体の縁端部から延出する様に、切込を入れた粘着テープを包体の縁端部に貼着している。
そして、複数のおしぼり使用者にウエットタオルを配る場合に、おしぼり分配人が、包体の縁端部から延出している粘着テープを手で持ち、切込が広がる様に裂く。
粘着テープが裂ける時に包体のフィルムも同時に裂けるので、ウエットタオルを取り出るための穴を包体に容易に開けることができる。
【0022】
〔請求項5について〕
使い切りおしぼり集合体は、包体の綴部に、ウエットタオルを掴むためのピンセットを予め封入してある。
複数のおしぼり使用者にウエットタオルを配る場合に、おしぼり分配人が、先ず、綴部を手でもぎ取り、ピンセットを包体内から取り出す。
つぎに、包体を反利き手で持った状態で、利き手を使って包体内から一本づつウエットタオルをピンセットで摘んで取り出し、そのままそのウエットタオルをおしぼり使用者に渡す。
【0023】
ピンセットを使用すれば、おしぼり分配人の手が直接、ウエットタオルに触れないので手にゴム手袋を嵌める必要がない。
また、ピンセットが包体の綴部に封入されているので、ウエットタオルを配る前に手でもぎ取る取ることをおしぼり分配人に促すことができ、おしぼり分配人に確実にピンセットを使わせることができる。
【0024】
〔請求項6について〕
ウエットタオルは、レーヨン、パルプ、コットン、キュプラ等の不織布である。
このため、肌触りが良いとともに吸水性に優れる。
また、上記不織布は、比較的軽いので、多数(例えば50本)のウエットタオルをフィルムで密封包装しても片手で難なく持つことができる。
更に、使用済のウエットタオルおよび包体内に残ったウエットを容易に放棄(焼却や薬品による溶解等)することができる。
【0025】
〔請求項7について〕
ウエットタオルは、延ばして展開すると、一辺から手が内部に入る袋状である。
このため、以下の様に使用できるので、衛生的であるとともに、使い勝手が良い。
先ず、おしぼり分配人は、包体からウエットタオルを取り出し、病弱者の介助者(おしぼり使用者)に渡す。
介助者が渦巻状のウエットタオルを延ばして展開して袋状にし、一辺から手を袋内に入れ、手を入れた状態で病弱者の身体(背中、腹、顔、手、局部、足、腕等)を拭く。
【0026】
〔請求項8について〕
おしぼり使用者にウエットタオルを配る前に、蒸し器や電子レンジ等の加熱装置を用いて使い切りおしぼり集合体を加熱する。これにより、複数本のウエットタオルが、密封包装した状態で温められる。
ウエットタオルは、温かい状態でおしぼり使用者へ手渡されるので、おしぼり使用者が気持ち良く身体を拭くことができる。また、冷たい状態のウエットタオルより上手く拭き取ることができる。
【0027】
〔請求項9について〕
使い切りおしぼり集合体は、以下の様にして製造する。
まず、熱融着可能な長尺シートを所定の長さに切断する(シート切断工程)。
つぎに、この切断されたシート上に、所定数(例えば、20本、50本)のウエットタオルを整列状態に載置する(タオル載置工程)。
そして、タオルを載置したシートの各端を熱熱融着して密封する(包装工程)。
これにより、使い切りおしぼり集合体が完成する。。
この製造方法で使い切りおしぼり集合体を製造すると、短時間に大量の使い切りおしぼり集合体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
使い切りおしぼり集合体は、薄いポリエチレン製のフィルムで形成した包体(略透明)内に、塩化ベンザルコニール水溶液で湿らせて滅菌処理し、渦巻状に巻いた50本のウエットタオル(不織布製)を密封包装してなる。
【0029】
老人ホーム内でウエットタオルを高齢者らに配る場合には、先ず、介護士等が包体内の一部に穴を開ける。
そして、穴を開けた包体を左手で持ちながら高齢者に近づき、ゴム手袋を嵌めた右手を使って包体内からウエットタオル(一本)を取り出し、そのウエットタオルを高齢者に手渡していく。
【0030】
おしぼり集合体を左手で持った状態で、介護士等が高齢者間をスムーズに移動することができるので、効率良く50人の高齢者にウエットタオルを衛生的に配ることができる。また、ウエットタオルを塩化ベンザルコニール水溶液で湿らせて滅菌処理しているので消毒臭が気にならないとともに、殺菌性に優れる。
【実施例1】
【0031】
本発明の実施例1(請求項1〜4、6、8、9に対応)を図1および図2に基づいて説明する。
使い切りおしぼり集合体Aは、図1に示す如く、50本のウエットタオル1を包体2内へ、スペースに余裕が有る状態に密封包装してなり、老人介護施設等で使用する。
ウエットタオル1は、二ツ折りにしたレーヨン素地を渦巻き状に巻いたものであり、塩化ベンザルコニウム水溶液(0.05%)を含浸させている。
【0032】
包体2は、各端を熱融着した、短径8cm×長径20cm×高さ20cmの密封した袋(断面楕円形)である。この包体2は、半透明の薄い(厚さ0.01mm)のポリエチレンフィルムである。なお、包体2の縁端部には、切込31を入れた粘着テープ3が貼着されている。
【0033】
使い切りおしぼり集合体Aは、以下の様にして製造する。
(1)コットン素地(厚さ0.5mm、18cm×32cm)を二ツ折り(16cm×18cm)にし、葉巻の様に渦巻き状(長さ16cm、直径1.5cm)に巻く。
このウエットタオル1を、塩化ベンザルコニウムを水で希釈して濃度を0.05%にした塩化ベンザルコニウム水溶液(常温)に数分〜数十分間、浸して滅菌処理し、落滴しない程度に湿らせる。
この作業は、工作機械で自動で行うか、または作業者が手作業で行い、1セット分(50本)を所定数だけ製造する。
【0034】
(2)リールに巻いた、横幅45cmの長尺のポリエチレンシート(熱融着可能)を、25cm(熱融着用の綴代分を含む)の所定長でカットする。
【0035】
(3)この所定長にカットしたポリエチレンシート上に、1セット分のウエットタオル1を、工作機械が自動で載置するか、または作業者が手作業で載置する。なお、1セット分の本数確認は、各種センサ(数量カウント、容積計測、重量計測)または作業者の目視で行う。
【0036】
(4)1セット分のウエットタオル1を載置し終わったポリエチレンシートの各端を電気式の加熱融着装置(図示せず)の加圧部に挟み、上下方向から熱と圧力とを加えてポリエチレンシートどうしを融着し、ウエットタオル1を密封包装する。
【0037】
(5)粘着テープ3を包体2の縁端部21に貼着し、貼着した後、縁端部21から延出する部分の一部に切込31を入れる(図1参照)。
なお、本実施例では、粘着テープ3として、ダイヤテックス社製のポリエステルクロステープ。梱包用バイオラン(商品名)を使用した。
【0038】
つぎに、介護士(おしぼり分配人)が、数十人(≦50人)の入居者にウエットタオル1を配る場合を説明する。
ウエットタオル1を配る直前に、看護士がおしぼり集合体Aを電子レンジに入れて加熱(例えば730Wのもので45秒間)し、ウエットタオル1を温める。
【0039】
介護士が両手に殺菌済のビニール製の手袋を嵌め、包体2の縁端部21から延出している粘着テープ3を左手41で持ち(図1参照)、切込31が広がる様に右手42で裂く。 これにより、粘着テープ3が裂ける時に包体2のポリエチレンシートも直線的に綺麗に裂けて端部22が引き剥がされ、ウエットタオル1を取り出るための開口23(穴)が包体2に形成される(図2参照)。
【0040】
開口23が上になる様に、使い切りおしぼり集合体Aを左手41で持ちながら入居者に近づき、右手42の人差し指と親指で包体2内のウエットタオル1を1本掴んで開口23から取り出し、入院患者に渡す。
つぎに、使い切りおしぼり集合体Aを左手41で持ったまま、次の入居者の所へ移動し、同じ様に包体2内のウエットタオル1を1本掴んで開口23から取り出して渡す。
【0041】
本実施例の使い切りおしぼり集合体Aは、以下の利点を有する。
〔あ〕使い切りおしぼり集合体Aは、切込31を入れた粘着テープ3が包体2の縁端部に貼着されている。また、包体2内に渦巻状に巻いた50本のウエットタオル1が余裕が有る状態に密封包装されている。
このため、ウエットタオル1の分配時に、粘着テープ3の切込31が広がる様に包体2を介護士が裂けば、包体2のポリエチレンシートも直線的に綺麗に裂けて端部22が引き剥がされ、ウエットタオル1を取り出るための開口23(穴)を包体2に形成することができるので使い勝手が良い。
また、介護士が使い切りおしぼり集合体Aを左手に載せると、手に持ち易い状態に包体2が変形するので、左手で持った状態で入居者間をスムーズに移動してウエットタオル1を効率良く配ることができる。更に、包体2が半透明であるのでウエットタオル1の残量を容易に把握できる。
【0042】
〔い〕使い切りおしぼり集合体Aは、ウエットタオル1を塩化ベンザルコニウム水溶液で湿らせて滅菌処理しているので消毒臭が気にならないとともに、殺菌性に優れる。
【0043】
〔う〕使い切りおしぼり集合体Aは、介護士が入居者へ、ウエットタオル1を、殺菌済のビニール製の手袋を嵌めた手で直接、手渡すことができる。
このため、入居者が包を破ってタオルを取り出す必要がないので、介護が必要で、複雑な作業が困難な認知症の高齢者(痴呆症の老人)であっても容易に使うことができる。
また、ウエットタオル1は、包体2内に裸で入っている。このため、ウエットタオル1を包む袋がないのでゴミを減らすことができる。
【0044】
〔え〕使い切りおしぼり集合体Aは、介護士が入居者へウエットタオル1を配る前に、電子レンジを用いて加熱して、50本のウエットタオル1を密封包装の状態で温めている。 ウエットタオル1は、温かい状態で入居者へ手渡されるので、入居者が気持ち良く身体を拭くことができる。また、冷たい状態のウエットタオルより上手く拭き取ることができる。
〔お〕使い切りおしぼり集合体Aは、上記(1)〜(5)の様に製造されるので、自動化が可能であり、短時間に大量に生産することができる。
【実施例2】
【0045】
つぎに、本発明の実施例2(請求項1〜3、6、8、9に対応)を図3に基づいて説明する。
使い切りおしぼり集合体Bは、図3に示す如く、50本のウエットタオル1を包体2内へ、スペースに余裕が有る状態に密封包装してなり、病院等で使用する。
【0046】
ウエットタオル1は、二ツ折りにしたパルプ素地を渦巻き状に巻いたものであり、高度な滅菌性が要求されるので、塩化ベンザルコニウム水溶液(0.05%)とイソプロピルアルコール水溶液(18%)との混合液に含浸させている。
【0047】
包体2は、各端を熱融着した、短径8cm×長径20cm×高さ20cmの密封した袋(断面楕円形)である。この包体2は、半透明の薄い(厚さ0.01mm)のポリエチレンフィルムである。なお、本実施例では、粘着テープ3を包体2に貼着していない。
【0048】
使い切りおしぼり集合体Bは、以下の様にして製造する。
(1)パルプ素地(厚さ0.5mm、18cm×32cm)を二ツ折り(16cm×18cm)にし、葉巻の様に渦巻き状(長さ16cm、直径1.5cm)に巻く。
このウエットタオル1を、塩化ベンザルコニウムおよびイソプロピルアルコール水溶液を水で希釈して、それぞれ濃度を0.05%、18%にした混合液(常温)に数分〜数十分間、浸して滅菌処理し、落滴しない程度に湿らせる。
この作業は、工作機械で自動で行うか、または作業者が手作業で行い、1セット分(50本)を所定数だけ製造する。
【0049】
(2)リールに巻いた、横幅45cmの長尺のポリエチレンシート(熱融着可能)を、25cm(熱融着用の綴代分を含む)の所定長でカットする。
【0050】
(3)この所定長にカットしたポリエチレンシート上に、1セット分のウエットタオル1を、工作機械が自動で載置するか、または作業者が手作業で載置する。なお、1セット分の本数確認は、各種センサ(数量カウント、容積計測、重量計測)または作業者の目視で行う。
【0051】
(4)1セット分のウエットタオル1を載置し終わったポリエチレンシートの各端を電気式の加熱融着装置(図示せず)の加圧部に挟み、上下方向から熱と圧力とを加えてポリエチレンシートどうしを融着し、ウエットタオル1を密封包装する。
【0052】
つぎに、看護士(おしぼり分配人)が、数十人(≦50人)の入院患者にウエットタオル1を配る場合を説明する。
ウエットタオル1を配る前に、密封包装した状態で、蒸し器を用いて5分程度加熱し、複数本のウエットタオルを温める。
【0053】
看護士が両手に殺菌済のビニール製の手袋を嵌め、包体2の融着部を引っ張り上げ、包体2に穴24を開ける(図3参照)。なお、フィルムに開ける穴24は、包体2の体制を保ち、且つ、包体2を左手41で持った状態で、右手42を使って包体2内から一本づつウエットタオル1を取り出せる程度の大きさが好ましい。
【0054】
穴24が上になる様に、使い切りおしぼり集合体Bを左手41で持ちながら入院患者に近づき、右手42の人差し指と親指で包体2内のウエットタオル1を1本掴んで穴24から取り出し、入院患者に渡す。
つぎに、使い切りおしぼり集合体Bを左手41で持ったまま、次の入院患者の所へ移動し、同じ様に包体2内のウエットタオル1を1本掴んで穴24から取り出して渡す。
【0055】
本実施例の使い切りおしぼり集合体Bは、以下の利点を有する。
〔お〕使い切りおしぼり集合体Bは、包体2内に渦巻状に巻いた50本のウエットタオル1が余裕が有る状態に密封包装されている。
このため、包体2の融着部を引っ張り上げて包体2に容易に穴24を開けることができるので使い勝手が良い。
また、看護士が使い切りおしぼり集合体Bを左手に載せると、手に持ち易い状態に包体2が変形するので、左手で持った状態で入院患者間をスムーズに移動してウエットタオル1を効率良く配ることができる。更に、包体2が半透明であるのでウエットタオル1の残量を容易に把握できる。
【0056】
〔か〕使い切りおしぼり集合体Bは、ウエットタオル1を、塩化ベンザルコニウムとイソプロピルアルコールを水で希釈した混合液に数分〜数十分間、浸して滅菌処理しているので消毒臭を極力抑えるとともに、優れた殺菌性を奏する。
【0057】
〔き〕使い切りおしぼり集合体Bは、看護士が入院患者にへ、ウエットタオル1を、殺菌済のビニール製の手袋を嵌めた手で直接、手渡すことができる。
このため、入院患者が包を破ってタオルを取り出す必要がないので、寝たきりで、複雑な作業が困難な病弱者であっても容易に使うことができる。
また、ウエットタオル1は、包体2内に裸で入っている。このため、ウエットタオル1を包む袋がないのでゴミを減らすことができる。
【0058】
〔く〕使い切りおしぼり集合体Bは、上記(1)〜(4)の様に製造されるので、自動化が可能であり、短時間に大量に生産することができる。
【実施例3】
【0059】
本発明の実施例4(請求項1〜3、6に対応)を図4に基づいて説明する。
使い切りおしぼり集合体Cは、図4に示す如く、50本のウエットタオル1を包体2内へ、スペースに余裕が有る状態に密封包装してなる。
ウエットタオル1は、二ツ折りにしたコットン素地を渦巻き状に巻いたものであり、塩化ベンザルコニウム水溶液(0.05%)を含浸させている。
【0060】
包体2は、両端を熱融着した、短径8cm×長径22cm×高さ20cmの密封した袋である。この包体2は、半透明の薄い(厚さ0.01mm)のポリエチレンフィルムである。
【0061】
使い切りおしぼり集合体Cは、以下の様にして製造する。
(1)コットン素地(厚さ0.5mm、18cm×32cm)を二ツ折り(16cm×18cm)にし、葉巻の様に渦巻き状(長さ16cm、直径1.5cm)に巻く。
このウエットタオル1を、濃度が0.05%の塩化ベンザルコニウム水溶液(常温)に数分〜数十分間、浸して滅菌処理し、落滴しない程度に湿らせる。
この作業を、工作機械または作業者が行い、1セット分(50本)を所定数だけ製造する。
【0062】
(2)リールに巻いた袋構造のポリエチレンシートを所定長でカットする。この袋構造のポリエチレンシート(熱融着可能)は、中空部を空気で満たすと直径十数cmの円筒状になり、平たく畳むと幅が二十数cmの帯状になる。なお、所定長は、20cm+2cm(熱融着用の綴代分)である。
【0063】
(3)所定長にカットした袋構造のポリエチレンシートの中空部内へ、1セット分のウエットタオル1を、工作機械または作業者が装入する。なお、1セット分の本数確認は、各種センサ(数量カウント、容積計測、重量計測)または作業者の目視で行う。
【0064】
(4)1セット分のウエットタオル1を中空部内へ装入し終わったポリエチレンシートの左右端を電気式の加熱融着装置(図示せず)の加圧部に挟み、上下方向から熱と圧力とを加えてポリエチレンシートどうしを融着し、ウエットタオル1を密封包装する。
【0065】
つぎに、おしぼり分配人が、数十人(≦50人)のおしぼり使用者にウエットタオル1を配る場合を説明する。
ウエットタオル1を配る前に、おしぼり集合体Cをホットボックスに入れて加熱し、ウエットタオル1を温めておく。
【0066】
つぎに、おしぼり集合体Cの上部に、ウエットタオル1が1本づつ取り出せる程度の穴25を指等で包体2に開ける。なお、穴25は、指以外に、ボールペンやハサミ等で開けても良い。
【0067】
おしぼり分配人が、両手に殺菌済のビニール製の手袋を嵌め、熱融着した左右端が鉛直になる様に、使い切りおしぼり集合体Cを左手41で持ちながらおしぼり使用者に近づき、右手42の人差し指と親指で包体2内のウエットタオル1を1本掴んで穴25から取り出し、おしぼり使用者に渡す。
つぎに、使い切りおしぼり集合体Cを左手41で持ったまま、次のおしぼり使用者の所へ移動し、同様に包体2内のウエットタオル1を1本掴んで穴25から取り出して渡す。なお、包体2の体勢が崩れない程度に、適宜、穴25を指等で広げたり、取り出し易い様に、別の場所に穴25を増やしても良い。
なお、使用済のウエットタオル1および包体内に残ったウエットタオル1は、衛生上の理由から再利用せず、放棄する。
【0068】
本実施例の使い切りおしぼり集合体Cは、以下の利点を有する。
50本のウエットタオル1を余裕が有る状態に包装しているので、手に持ち易い状態に変形可能であるとともに、おしぼり分配人が、包体2に開けた穴25から容易に、一本づつウエットタオルを取り出すことができる。
【0069】
使い切りおしぼり集合体Cを左手で持った状態で、おしぼり分配人が、おしぼり使用者間をスムーズに移動することができるので、効率良く複数の使用者にウエットタオルを配ることができる。
【0070】
ウエットタオル1を塩化ベンザルコニウムで湿らせて滅菌処理しているので消毒臭が気にならないとともに、殺菌性に優れる。
上記滅菌処理に加え、おしぼり分配人がおしぼり使用者にウエットタオル1を直接、手渡すので、おしぼり使用者から雑菌がおしぼり集合体へ侵入し難く、細菌感染(おしぼり使用者間)を防止できる。
【0071】
この使い切りおしぼり集合体Cは、袋を破ってウエットタオルを取り出す必要がないので、おしぼり使用者に困難な作業を強いることがない。
また、ウエットタオル1は、包体2内に裸で入っている。このため、ウエットタオル1を包む袋がないのでゴミを減らすことができる。
【0072】
本発明は、上記実施例以外に、以下の実施態様を含む。
a.図5に示す使い切りおしぼり集合体D(請求項1〜3、6、8に対応)は、包体2の熱融着側に穴26を開けて(包体加熱後)ウエットタオル1を横向きに取り出す様にしている。
この実施例5の使い切りおしぼり集合体Dは、おしぼり使用者間の距離が近い場合や、おしぼり使用者に短時間に配る場合に好適である。
【0073】
b.図6に示す使い切りおしぼり集合体E(請求項1〜3、5、6、8に対応)は、
使い切りおしぼり集合体Cの変形である。
この実施例6の使い切りおしぼり集合体Eには、包体2の綴部27に、ウエットタオル1を掴むためのピンセット5を予め封入してある。
【0074】
おしぼり使用者にウエットタオル1を配る場合には、おしぼり分配人が、先ず、綴部27を手でもぎ取り、ピンセット5を包体内から取り出す。
つぎに、包体2を左手41で持った状態で、右手42を使って包体2内から一本づつウエットタオル1をピンセット41で摘んで取り出し、そのままそのウエットタオル1をおしぼり使用者に渡す。
【0075】
ピンセット5を使用すれば、おしぼり分配人の手が直接、ウエットタオル1に触れないので手にゴム手袋を嵌める必要がない。
また、ピンセット5が包体2の綴部27に封入されているので、ウエットタオル1を配る前に手でもぎ取る取ることをおしぼり分配人に促すことができ、おしぼり分配人に確実にピンセット5を使わせることができる。
【0076】
c.図7に示す使い切りおしぼり集合体F(請求項1〜3、5、6、8に対応)は、
使い切りおしぼり集合体Dの変形である。
この実施例7の使い切りおしぼり集合体Fには、包体2の綴部27に、ウエットタオル1を掴むためのピンセット5を予め封入してある。
【0077】
おしぼり使用者にウエットタオル1を配る場合には、おしぼり分配人が、先ず、綴部27を手でもぎ取ってピンセット5を包体内から取り出すとともに、包体2に穴26を開ける。
つぎに、包体2を左手41で持った状態で、右手42を使って包体2の穴26から一本づつウエットタオル1をピンセット41で摘んで取り出し、そのままそのウエットタオル1をおしぼり使用者に渡す。
【0078】
ピンセット5を使用すれば、おしぼり分配人の手が直接、ウエットタオル1に触れないので手にゴム手袋を嵌める必要がない。
また、ピンセット5が包体2の綴部27に封入されているので、ウエットタオル1を配る前に手でもぎ取る取ることをおしぼり分配人に促すことができ、おしぼり分配人に確実にピンセット5を使わせることができる。
【0079】
d.図8に示す様に、包体2に封入するウエットタオル1は、延ばして展開すると、一辺から手が内部に入る袋状であっても良い(請求項7に相当)。
【0080】
f.包体に用いる薄いフィルムは、可撓性に富む薄いシートであれば、ポリエチレンシート以外の薄いプラスチックシート、アルミ箔製のシート、梱包に使用されるプチプチシート等でも良い。
g.ウエットタオルは、三ツ折りにした不織布の素地を渦巻き状に巻いたものでも良い。
【0081】
h.包体内に密封包装するウエットタオルは、下記に示す様に、用途別に色分けしたり、用途を示すイラストが描かれていても良い。
肌色→手や顔拭き用、白色→お尻拭き用
手と顔のイラスト→手や顔拭き用
お尻のイラスト→お尻拭き用
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例1に係る使い切りおしぼり集合体において、開口を形成する前の状態を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例1に係る使い切りおしぼり集合体において、開口を形成した後の状態を示す説明図である。
【図3】本発明の実施例2に係る使い切りおしぼり集合体において、包体に穴を形成した後の状態を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例3に係る使い切りおしぼり集合体において、包体に穴を形成した後の状態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例4に係る使い切りおしぼり集合体において、包体に穴を形成した後の状態を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例5に係る使い切りおしぼり集合体において、包体に穴を形成した後の状態を示す説明図である。
【図7】本発明の実施例6に係る使い切りおしぼり集合体において、包体に穴を形成した後の状態を示す説明図である。
【図8】包体に封入するウエットタオルの他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0083】
A〜F おしぼり集合体
1 ウエットタオル
2 包体
3 粘着テープ
5 ピンセット
21 縁端部
31 切込

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性に富む薄いフィルムで形成した包体内に、
渦巻状に巻いた複数本のウエットタオルを余裕が有る状態に密封包装してなる使い切りおしぼり集合体。
【請求項2】
可撓性に富む薄いフィルムで形成した包体内に、
消毒液で湿らせて滅菌処理し、渦巻状に巻いた複数本のウエットタオルを余裕が有る状態に密封包装してなる使い切りおしぼり集合体。
【請求項3】
略透明の薄いポリエチレン製のフィルムで形成した包体内に、
塩化ベンザルコニウムで湿らせて滅菌処理し、渦巻状に巻いた複数本のウエットタオルを余裕が有る状態に密封包装してなる使い切りおしぼり集合体。
【請求項4】
切込部分が延出する様に、切込を入れた粘着テープを包体の縁端部に貼着しておくこを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の使い切りおしぼり集合体。
【請求項5】
前記包体の綴部に、前記ウエットタオルを掴むためのピンセットを予め封入しておくことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の使い切りおしぼり集合体。
【請求項6】
前記ウエットタオルは、レーヨン、パルプ、コットン、キュプラ等の不織布であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の使い切りおしぼり集合体。
【請求項7】
前記ウエットタオルは、延ばして展開すると、一辺から手が内部に入る袋状であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の使い切りおしぼり集合体。
【請求項8】
密封包装した状態で、蒸し器や電子レンジ等の加熱装置を用いて加熱し、複数本のウエットタオルを温めた状態で配ることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の使い切りおしぼり集合体。
【請求項9】
熱融着可能な長尺シートを所定の長さに切断するシート切断工程と、
この切断されたシート上に、所定数のウエットタオルを整列状態に載置するタオル載置工程と、
タオルを載置したシートの各端を熱熱融着して密封する包装工程とからなる使い切りおしぼり集合体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−239300(P2006−239300A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62546(P2005−62546)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(505058388)有限会社メディカル・ポイント (1)
【Fターム(参考)】