説明

使い捨ておむつ

【課題】着用者の背中に密着して隙間を生じ難く、該隙間からの液漏れを効果的に防止し、且つ着用者の脚周りをフィット性良く適度に締め付けるため、脚周りに締め付け跡を付け難い使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】伸縮パネル6は、外側縁部6Aよりも本体幅方向Yの内方に、伸縮部6Bを有している。外側縁部6Aを含む、伸縮パネル6の伸縮部6Bよりも本体幅方向Yの外方に位置する領域には、伸縮パネル6の構成部材どうしが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在していない。テープ基端部73の内側端73tが、複数本の弾性部材62のうち本体長手方向Xの最内方に配置された、弾性部材62tよりも本体長手方向Xの外方に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に介在配置された吸収体を備えた実質的に縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の本体長手方向に沿う両側縁部に設けられた一対の伸縮パネルとを有し、一対の該伸縮パネルそれぞれの本体長手方向に沿う外側縁部に固定されたファスニングテープの止着部を、該吸収性本体の非肌対向面の被止着領域に止着して着用者に装着するようになされている、いわゆる展開型のパネルタイプの使い捨ておむつが知られている。例えば特許文献1には、緩慢に回復する特定のエラストマーを含む、伸縮性のサイドパネルを備えた展開型の使い捨ておむつが記載されており、該サイドパネルの一例として、特許文献1の図6には、該エラストマーを含み且つ本体幅方向に延びる複数の線状の伸縮性領域が本体長手方向に所定間隔を置いて配置されているものが記載されている。また特許文献2には、伸縮パネルを、ポリウレタンを含む通気性のある伸張性積層体から構成することが記載されている。
【0003】
また特許文献3には、吸収性本体に固定される固定部と該吸収性本体から突出する突出部とを有し、該突出部が、止着部を有する先端部と該先端部よりも基端側の本体部とからなるファスニングテープにおいて、前記固定部、前記本体部及び前記先端部にわたる基本不織布層の該固定部及び該先端部に、補強不織布層を固定することが記載されている。特許文献3に記載のファスニングテープは、前記固定部と前記本体部とに跨るように及び該本体部と前記先端部とに跨るように、本体幅方向に沿って弾性部材が伸張状態で固定されており、該ファスニングテープ自体が伸縮するようになされている。また特許文献4には、2枚のシート材間に複数本の弾性部材が配置されて構成される、伸縮部を有する複合伸縮部材を、使い捨ておむつにおけるファスニングテープが固定される部位に適用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−526386号公報
【特許文献2】特表2009−523524号公報
【特許文献3】特開2008−295836号公報
【特許文献4】特開2005−80859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
使い捨ておむつを着用する人の体型は、通常、腹が前方に突出していると共に背側が凹んでおり、また、腹の下方においては、臀部が後方に突出し、更に脚の付け根の存在によって左右方向の幅が他の部位よりも大きくなっている。このような特有の凹凸を有する体型に対し、従来の展開型のパネルタイプの使い捨ておむつを適用すべく、常法に従って、背側部の伸縮パネルに取り付けられたファスニングテープを引っ張って、腹側部の被止着領域に止着させようとすると、該体型に特有の凹凸及び周囲長に応じて伸縮パネルの伸張度合いが不均衡になる。特に、おむつにおける、着用者の背側のウエスト部に位置する部位(背側端部)は、着用者の背中の凹みに位置するため、ファスニングテープを引っ張ったときの伸張度合いが相対的に小さく、一方、おむつの股下部は、突出度合いの比較的大きい臀部や脚周りに位置するため、前記伸張度合いが相対的に大きい。従来の展開型のパネルタイプの使い捨ておむつは、このような着用時における伸縮パネルの伸張度合いの不均衡により、着用者の背側のウエスト部に密着せずに該ウエスト部との間に隙間を生じやすく、該隙間から液漏れが生じるおそれがあり、また、着用者の脚周りを強く締め付けるため、該脚周りに締め付け跡を付けやすい。このような不都合を解消する方法として、例えば、吸収性本体における、左右一対の伸縮パネルに挟まれた背側のウエスト領域に弾性部材を複数本配置する方法が考えられるが、この方法は、おむつの構成を複雑にし、また、おむつの背側部分の通気性を低下させるおそれがある。展開型のパネルタイプの使い捨ておむつにおいて、着用時における伸縮パネルの伸張度合いの不均衡を是正し、着用者の背側のウエスト部に対するフィット性に優れ且つ脚周りに締め付け跡を付け難くする技術は未だ提供されていない。
【0006】
従って本発明の課題は、着用者の背中に密着して隙間を生じ難く、該隙間からの液漏れを効果的に防止し、且つ着用者の脚周りをフィット性良く適度に締め付けるため、脚周りに締め付け跡を付け難い使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に介在配置された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の本体長手方向に沿う両側縁部に固定された一対の伸縮パネルとを有し、一対の該伸縮パネルそれぞれの本体長手方向に沿う外側縁部に固定されたファスニングテープの止着部を、該吸収性本体の非肌対向面に止着して着用者に装着するようになされている使い捨ておむつであって、前記伸縮パネルは、前記外側縁部よりも本体幅方向内方に、本体幅方向に伸縮性を有する伸縮部を有しており、該伸縮部は、パネル材と、該パネル材に伸張状態で固定され且つ本体幅方向に延びる複数本の弾性部材とを含んで構成されており、該複数本の弾性部材は、本体長手方向に所定間隔を置いて配置されており、前記外側縁部を含む、前記伸縮パネルの前記伸縮部よりも本体幅方向外方に位置する領域には、該伸縮パネルの構成部材どうしが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在しておらず、前記ファスニングテープは、前記止着部を有するテープ基材を含んで構成されており、該テープ基材は、前記伸縮パネルの前記外側縁部に固定されたテープ基端部と、該テープ基端部に連接され該外側縁部から本体幅方向外方に突出し且つ該止着部を有する、テープ先端部とを有しており、該テープ基端部は、本体幅方向に沿う外側端及び内側端を有し、該外側端よりも本体長手方向内方に位置する、該内側端が、前記複数本の弾性部材のうち本体長手方向の最内方に配置された、弾性部材よりも本体長手方向外方に位置している使い捨ておむつを提供することにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の使い捨ておむつは、着用者の背中に密着して隙間を生じ難く、該隙間からの液漏れを効果的に防止し、且つ着用者の脚周りをフィット性良く適度に締め付けるため、脚周りに締め付け跡を付け難い。特に、本発明の使い捨ておむつにおいては、装着時に、伸縮パネルに取り付けられたファスニングテープを胴周り方向にまっすぐ引いてその止着部を所定の被止着領域に止着したときに、該伸縮パネルの本体長手方向の内方端側の実質的な伸張長さが長くなるため、着用者の脚周りの締め付け力が軽減され、それにより締め付け跡が付きにくくなる等、前記効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の使い捨ておむつの一実施形態を示す図であり、各部の弾性部材を伸張させて平面状に拡げた状態を模式的に示す肌対向面側(表面シート側)の平面図である。
【図2】図2は、図1のI−I線断面(股下部の本体幅方向の断面)を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、図1のII−II線断面(背側部の本体幅方向の断面)を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、図1のIII−III線断面(腹側部の本体幅方向の断面)を模式的に示す断面図である。
【図5】図5は、図1に示すおむつのファスニングテープを被止着領域に止着した状態を示す側面図である。
【図6】図6は、図1に示すおむつの要部(伸縮パネル及びファスニングテープ)の拡大図であり、各部の弾性部材を伸張させて平面状に拡げた状態を模式的に示す肌対向面側の平面図である。
【図7】図7は、図6に示す要部の一部の本体幅方向の断面を模式的に示す断面図である。
【図8】図8(a)及び図8(b)は、それぞれ、図1に示すおむつの要部(伸縮パネル及びファスニングテープ)の拡大図であり、図8(a)は、伸縮パネルの自然状態の平面図、図8(b)は、伸縮パネルをその伸縮方向に伸張させた状態の平面図である。
【図9】図9は、本発明の使い捨ておむつの他の実施形態の要部(伸縮パネル及びファスニングテープ)を拡大して示す平面図である。
【図10】図10は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部(伸縮パネル及びファスニングテープ)を拡大して示す平面図である。
【図11】図11は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部(伸縮パネル及びファスニングテープ)を拡大して示す平面図である。
【図12】図12は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部(伸縮パネル及びファスニングテープ)を拡大して示す平面図である。
【図13】図13は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部(伸縮パネル及びファスニングテープ)を拡大して示す平面図である。
【図14】図14は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部(伸縮パネル及びファスニングテープ)の本体幅方向の断面を模式的に示す断面図である。
【図15】図15は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部(伸縮パネル及びファスニングテープ)の本体幅方向の断面を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明の使い捨ておむつを、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本実施形態の使い捨ておむつ1は、いわゆる展開型のパネルタイプの使い捨ておむつであり、図1〜図4に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性ないし撥水性(以下、これらを総称して液不透過性という)の裏面シート3及びこれら両シート2,3間に介在配置された液保持性の吸収体4を備えた縦長の(一方向Xに長い)吸収性本体5と、該吸収性本体5の本体長手方向Xに沿う両側縁部に固定された一対の伸縮パネル6,6とを有している。表面シート2は、吸収性本体5の肌対向面5aを形成し、裏面シート3は、吸収性本体5の非肌対向面5bを形成している。表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ、矩形状をなし、吸収体4より幅広で長い。表面シート2は裏面シート3より幅が狭い。一対の伸縮パネル6,6それぞれの本体長手方向Xに沿う外側縁部6Aには、止着部71を有するファスニングテープ7が設けられており、使い捨ておむつ1は、図5に示すように、ファスニングテープ7の止着部71を、吸収性本体5の非肌対向面5bに止着して着用者に装着するようになされている。
【0011】
尚、本明細書において、肌対向面は、使い捨ておむつ及びその構成部材における着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、使い捨ておむつ及びその構成部材における着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。また、長手方向は、使い捨ておむつ又はその構成部材の長辺に沿う方向であり、幅方向は、該長手方向と直交する方向である。図中符号Xで示す方向は、吸収性本体5の長手方向(本体長手方向)であり、符号Yで示す方向は、吸収性本体5の幅方向(本体幅方向)である。
【0012】
本実施形態の使い捨ておむつ1について、より詳細に説明すると、使い捨ておむつ1は、図1に示すように、腹側部A及び背側部B及び並びにこれらA,Bの間に位置する股下部Cを本体長手方向Xに有している。腹側部Aはおむつの着用者の腹側に位置する部位、背側部Bはおむつの着用者の背側に位置する部位(一対の伸縮パネル6,6を有する部位)、股下部Cはおむつの着用者の股下に位置する部位である。腹側部A、股下部C及び背側部Bは、使い捨ておむつ1(吸収性本体5)を、その本体長手方向Xの全長を3等分するようにして3つの領域に区分したときの各領域に相当する。
【0013】
吸収体4は、図1〜図4に示すように、液保持性の吸収性コア41及び該吸収性コア41を包む液透過性のコアラップシート42を含んで構成されている。吸収性コア41は、図1に示すように、吸収性本体5と同方向(着用時に着用者の前後方向に向けられる方向)に長い形状を有し、本体長手方向Xの中央部が括れている。吸収性コア41は、上下2枚のコアラップシート42の間に挟持されており、その肌対向面側及び非肌対向面側の全域がコアラップシート42によって被覆されている。吸収性コア41とコアラップシート42との間は、所定の部位においてホットメルト接着剤等の接着剤により接合されていても良い。
【0014】
図1に示すように、吸収性本体5は、その本体長手方向Xの少なくとも一端部側に、吸収性コア41が配置されていない吸収性コア非配置領域Dを有している。より具体的には、吸収性コア4の本体長手方向Xの全長は、吸収性本体5の本体長手方向Xの全長よりも短く、該吸収性コア4が、図1に示すように、該吸収性本体5の本体長手方向Xの中央部に配置されることによって、吸収性本体5の腹側部A及び背側部Bそれぞれに、吸収性コア非配置領域Dが形成されている。吸収性コア非配置領域Dは、おむつの着用者のウエスト部に位置する部位であり、背側部A及び腹側部Bそれぞれにおけるおむつ1のウエスト端縁(長手方向端縁)1tから本体長手方向Xの内方におむつ1の本体長手方向X全長のおよそ10%の長さの領域である。本実施形態における吸収性コア非配置領域Dは、表面シート2及び裏面シート3を含んで構成されており、更にコアラップシート42を含んで構成されていても良い。
【0015】
吸収性本体5の本体長手方向Xに沿う両側部それぞれには、一側縁部に弾性部材81が伸張状態で固定されているサイドシート82が配されており、着用時における股下部Cには、一対の立体ギャザーが形成される。また、着用者の脚周りに配される左右のレッグ部には、弾性部材83が本体長手方向Xに沿って配されており、着用時におけるレッグ部には、該弾性部材83の収縮により、一対のレッグギャザーが形成される。図2〜図4に示すように、一対のサイドシート82,82、表面シート2、吸収体4、弾性部材81,83及び裏面シート3は、ホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により一体化されて吸収性本体5を構成している。サイドシート82(立体ギャザー)は、図3及び図4に示すように、背側部A及び腹側部Bにおける立体ギャザーの本体長手方向Xの両端部において、弾性部材81の配置部位(立体ギャザーが起立したときの先端部)にて表面シート2に接着剤を介して固定されている。サイドシート82を表面シート2に固定する接着剤は、本体長手方向Xに延びる直線状に塗設されている。尚、サイドシート82の表面シート2との固定部位は、弾性部材81の配置部位のみならず、弾性部材81の配置部位を含む、サイドシート82の表面シート2との対向部の全域としても良い。
【0016】
図1、図4及び図5に示すように、使い捨ておむつ1の腹側部Aにおける吸収性本体5の非肌対向面5bには、機械的面ファスナーのメス部材からなる被止着領域55が形成されている。被止着領域55は、裏面シート3の非肌対向面に、機械的面ファスナーのメス部材を公知の接合手段(例えば、接着剤やヒートシール等)で接合固定して形成されており、機械的面ファスナーのオス部材からなる、ファスニングテープ7の止着部71を着脱自在に止着可能である。
【0017】
また、図1及び図4に示すように、使い捨ておむつ1の腹側部Aにおける吸収性本体5の本体長手方向Xに沿う両側縁部には、腹側フラップ9,9が形成されている。腹側フラップ9は、非伸縮性のシート材91からなり、該シート材91は、その本体長手方向Xに沿う内側縁部(吸収性本体5寄りの側縁部)が、サイドシート82と裏面シート3との間にホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により固定されている。
【0018】
一対の伸縮パネル6,6は、それぞれ、図6に示すように、ファスニングテープ7(テープ基端部73)が固定されている外側縁部6Aよりも本体幅方向Yの内方に、本体幅方向Yに伸縮性を有する伸縮部6Bを有している。より具体的には、伸縮パネル6は、外側縁部6Aと、該外側縁部6Aとは本体幅方向Yの反対側に位置する内側縁部6Cとを有し、これら両側縁部6A,6C間に伸縮部6Bが設けられている。伸縮パネル6は、図3に示すように、その内側縁部6Cが、サイドシート82と裏面シート3との間にホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により固定されている。
【0019】
伸縮パネル6(伸縮部6B)は、平面視して四角形形状(矩形形状)のパネル材61と、パネル材61に伸張状態で固定され且つ本体幅方向Yに延びる複数本の弾性部材62とを含んで構成されており、複数本の弾性部材62は、本体長手方向Xに所定間隔を置いてパネル材61に配置されている。より具体的には、伸縮パネル6(伸縮部6B)は、相対向する2枚のパネル材61,61間に、本体幅方向Yに延びる複数本の糸状の弾性部材62が本体長手方向Xに所定間隔を置いて介在配置されて構成されており、相対向する2枚のパネル材61,61どうしは、図6に示すように、本体長手方向Xに延びる複数の直線状の接合部63にて接合されている。複数の接合部63は、本体幅方向Yに所定間隔を置いて配置されている。各接合部63は、ホットメルト型接着剤等の公知の接着剤が塗布されて形成されており、パネル材61の本体長手方向Xの全長に亘って連続し、弾性部材62の伸縮方向Yと直交する方向に沿う、連続直線状の接合ラインを形成している。複数本の弾性部材62は、それぞれ、少なくとも伸縮部6Bの本体幅方向Yの全長に亘り、伸縮部6Bの外側縁部から内側縁部に達しており、伸縮部6Bにおいて複数の接合部63と重なり、各該接合部63にてパネル材61の内面に固定されている。尚、図6では、説明容易のため、接合部63が外部から明瞭に認識できるように記載しているが、実際にはそのようになっているとは限らない。
【0020】
本実施形態における伸縮部6Bは、伸縮パネル6(パネル材61)に配置された複数の接合部63のうち、本体幅方向Yの最内方に位置する(吸収性本体5に最も近い)接合部63aと、本体幅方向Yの最外方に位置する(吸収性本体5から最も遠い)接合部63bとに挟まれた部位である。また、本実施形態における外側縁部6Aは、伸縮パネル6における、接合部63bよりも本体幅方向Yの外方に位置する領域である。外側縁部6Aは、伸縮部Bのように、伸張状態で固定された弾性部材62を有しておらず、実質的に本体幅方向Yに伸縮性を有していない非伸縮領域である。
【0021】
外側縁部6Aを含む、伸縮パネル6の伸縮部6Bよりも本体幅方向Yの外方に位置する領域、即ち、本体幅方向Yの最外方に位置する接合部63bよりも本体幅方向Yの外方に位置する領域(非伸縮領域)には、伸縮パネル6の構成部材(パネル材61)どうしが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在しておらず、該非伸縮領域では、伸縮パネル6の構成部材どうしの接合に接着剤は用いられていない。「前記非伸縮領域に前記接着剤接合部が存在していない」とは、前記非伸縮領域において、伸縮パネル6の構成部材(パネル材61)どうしの接合(伸縮パネル6の構成部材以外の他の部材を介在させずに、該構成部材どうしを直接接合する場合の接合)に用いられる接着剤の塗布量が、0g/m2である場合を意味する。
【0022】
尚、ここで前記非伸縮領域に存在しないとしている接着剤接合部は、あくまで、伸縮パネル6の構成部材(パネル材61)どうしを(他の部材を介在させずに直接)接合するものであり、伸縮パネル6の構成部材と他の部材とを接合する接着剤接合部、例えばパネル材61とテープ基材72とを接合する接着剤接合部は含まれない。従って、前記非伸縮領域には、伸縮パネル6の構成部材と他の部材とが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在していても良く、本実施形態における前記非伸縮領域では、後述するように、テープ基材72がパネル材61に融着(融着部75)及び接着剤(接着剤接合部77)により固定されている。要は、前記非伸縮領域における、伸縮パネル6の構成部材と他の部材との接合手段としては、ホットメルト型接着剤等の公知の接着剤を用いても良く、あるいは接着剤以外の他の接合手段、例えばヒートシール等の融着を用いても良く、あるいは接着剤と接着剤以外の他の接合手段とを組み合わせて用いても良い。
【0023】
このように、本実施形態においては、伸縮部6Bよりも本体幅方向Yの外方に位置する伸縮パネル6の非伸縮領域(外側縁部6A)には、伸縮パネル6の構成部材(パネル材61)どうしが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在しておらず、従って、該非伸縮領域(外側縁部6A)における、ファスニングテープ7(テープ基材72)が取り付けられていない領域(テープ基端部73と重ならない領域、以下、テープ非固定領域ともいう)には、伸縮パネル6の構成部材(パネル材61)どうしを接合する接合手段としての接着剤が存しておらず、そのため、該テープ非固定領域の形成材料(不織布等)が本来有する柔軟性が確保されており、それによって、該非伸縮領域における、ファスニングテープ7(テープ基材72)が取り付けられている領域(テープ基端部73と重なる領域、以下、テープ固定領域ともいう)との剛性の差が大きくなっている。
【0024】
ファスニングテープ7は、図3、図6及び図7に示すように、止着部71を有するテープ基材72を含んで構成されている。テープ基材72は、伸縮パネル6の外側縁部6Aに固定されたテープ基端部73と、テープ基端部73に連接され外側縁部6Aから本体幅方向Yの外方に突出し且つ止着部71を有する、テープ先端部74とを有している。止着部71は、機械的面ファスナーのオス部材からなり、テープ先端部74の片面(肌対向面)に設けられており、前述した、機械的面ファスナーのメス部材からなる被止着領域55に対して着脱自在に止着可能である。
【0025】
本実施形態においては、ファスニングテープ7は、図3及び図7に示すように、テープ基端部73により伸縮パネル6の外側縁部6Aの非肌対向面6bに固定されている。テープ基端部73は、伸縮パネル6の外側縁部6Aに、融着を含む接合手段、具体的には融着及び接着剤により固定されており、テープ基端部73と伸縮パネル6(パネル材61)とが重なる領域〔外側縁部6A(非伸縮領域)の前記テープ固定領域〕には、図6及び図7に示すように、接着剤接合部77に加えて、平面視して楕円形状の融着部75が複数形成されている。外側縁部6Aは、前述した非伸縮領域の一部であり、前述したように、該非伸縮領域(外側縁部6A)では伸縮パネル6の構成部材(パネル材61)どうしの接合に接着剤は用いられないが、伸縮パネル6の構成部材と他の部材(テープ基材72)との接合手段としては、接着剤及び/又は接着剤以外の他の接合手段(ヒートシール等の融着)が用いられる場合があるところ、本実施形態においては、該接合手段として、融着及び接着剤の組み合わせが採用されている。ここでいう「融着」は、複数の部材(本実施形態では2枚のパネル材61及びテープ基端部73)のうちの1つ以上を加熱溶融して該複数の部材を互いに接合する方法を意味し、具体的には、公知のヒートシール法、超音波シール法、高周波シール法等が挙げられる。本実施形態における融着部75は、公知のヒートシール法により形成されている。融着部75を形成するためのヒートシールは、外側縁部6A(パネル材61)の肌対向面6a側から行っても良く、非肌対向面6b側から行っても良い。複数の融着部75は、図6に示すように、本体長手方向X及び本体幅方向Yの両方向に所定間隔を置いて配置されている。尚、図6では、説明容易のため、融着部75が外部から明瞭に認識できるように記載しているが、実際にはそのようになっているとは限らない。図6及び図7以外の、テープ基端部73を示す他の図(図1、図3、図5、図8〜図15)では、説明容易のため、融着部75の図示を省略している。
【0026】
テープ基端部73は、図6に示すように、平面視して矩形形状であり、本体幅方向Yに沿う外側端73s及び内側端73tを有している。外側端73s及び内側端73tは、矩形形状のテープ基端部73の一対の短辺を構成しており、内側端73tは、外側端73sよりも本体長手方向Xの内方に位置し、相対的に股下部Cに近い。そして、本実施形態においては、この内側端73tが、図6に示すように、伸縮パネル6を構成する複数本の弾性部材62のうち本体長手方向Xの最内方に配置された(股下部Cに最も近い)、弾性部材(以下、最内方弾性部材ともいう)62tよりも本体長手方向Xの外方(図6では上方)に位置している。テープ基端部73の内側端73tが、本体長手方向Xにおいて最内方弾性部材62tと同位置か、それよりも本体長手方向Xの内方(図6では下方)にあると、後述する伸縮パネル6の伸縮特性が得られない。
【0027】
本実施形態の使い捨ておむつ1においては、このように、1)ファスニングテープ7の伸縮パネル6との固定部位である、テープ基端部73の内側端73tが、伸縮パネル6の最内方弾性部材62tよりも本体長手方向Xの外方に位置していること、及び前述したように、2)伸縮部6Bよりも本体幅方向Yの外方に位置し且つテープ基端部73が固定されている、伸縮パネル6の非伸縮領域(外側縁部6A)には、伸縮パネル6の構成部材(パネル材61)どうしの接合手段としての接着剤が存しておらず、従って、該非伸縮領域の一部である前記テープ非固定領域(該非伸縮領域におけるテープ基端部73と重ならない領域)の柔軟性が確保されていること、の2点の採用により、使い捨ておむつ1を装着する際にファスニングテープ7を被止着領域55に止着させたときの、伸縮パネル6の伸縮特性を制御している。そして、この伸縮特性の制御により、以下に説明するように、使い捨ておむつ1の着用中において、着用者の背側のウエスト部と使い捨ておむつ1の背側端部との間に隙間が生じることが防止され、且つ着用者の脚周りに、前記レッグギャザーを構成する弾性部材83の締め付けによる跡が付きにくくなる。
【0028】
図8(a)には伸縮パネル6の自然状態(外力を加えない状態)、図8(b)には伸縮パネル6をその伸縮方向Yに伸張させた状態がそれぞれ示されている。伸縮パネル6の自然状態においては、弾性部材62の最外方接合部62a、62bを起点として弾性部材62が収縮して、図8(a)に示すように、パネル材61が、伸縮方向(本体幅方向)Yと直交する方向(本体長手方向)Xに延びる複数の襞65を形成している。各襞65は、隣り合う接合部63,63(図8では図示せず。図6参照。)の間に形成されている。各襞65は、伸縮パネル6の肌対向面6a及び非肌対向面6bの両面にそれぞれ突出するように形成されており、各襞65の突出方向の先端部は、断面円弧状の凸曲面を形成している。
【0029】
そして、使い捨ておむつ1を図5に示す如く装着するに際し、ファスニングテープ7の止着部71を被止着領域55に止着させるべく、図8(a)に示す伸縮パネル6の自然状態において、常法に従ってファスニングテープ7の先端を指で摘んでまっすぐに引っ張り、図8(b)に示すように、伸縮パネル6にその伸縮方向Yに沿って外力(引張力)Fを作用させると、前述した1)及び2)の2点の採用に起因する、伸縮パネル6の伸縮特性により、伸縮パネル6における、テープ基端部73と吸収性本体5との間に位置する伸縮部6Bの一部(以下、テープ基端部隣接部ともいう)は、該テープ基端部隣接部の弾性部材62の最外方接合部62aにファスニングテープ7の外力(引張力)Fが直接的に伝わることにより、該最外方接合部62aを起点としてヨレることなく伸張状態になり、弾性部材62の伸長後長さw6(図8(b)参照)になる。一方、伸縮パネル6における、テープ基端部73の内側端73tよりも本体長手方向Xの内方(図8(b)では下方)に位置する部位(伸縮パネル6の下部)には、ファスニングテープ7(テープ基端部73)が存しておらず、ファスニングテープ7の先端を摘んでまっすぐに引っ張ったときの外力(引張力)Fが伝わり難いため、該部位に存する、最内方弾性部材62tをはじめとする弾性部材62の最外方接合部62bが、前記テープ基端部隣接部の最外方接合部62aよりも吸収性本体5側(背側部B側)に引っ張られ、これにより図8(b)に示すように、伸縮部6Bの下部の幅方向外方がヨレて弱伸張状態となる。
【0030】
このように、ファスニングテープ7の先端を摘んでまっすぐに引っ張ることによって伸縮パネル6に本体幅方向Yの外方に向かう外力(引張力)Fを作用させたときに、本体長手方向Xにおいてファスニングテープ7(テープ基端部73)と同位置にある弾性部材62(最外方接合部62aと重なる弾性部材62)は、外力Fによって相対的に強く引っ張られて伸張し、それによって伸縮パネル6の前記テープ基端部隣接部が伸張状態となるのに対し、テープ基端部73の内側端73tよりも本体長手方向Xの内方に位置する弾性部材62,62t(最外方接合部62bと重なる弾性部材62)は、ファスニングテープ7の引っ張りに伴う外力Fによっては引っ張られ難く、最外方接合部62aと重なる弾性部材62に比して伸張度合いが弱いため、内側端73tよりも本体長手方向Xの内方に位置する(最外方接合部62bが存する)、伸縮パネル6の下部は、前記テープ基端部隣接部に比して相対的に伸張度合いが弱い弱伸張状態となる。このことにより、伸縮パネル6の下部における2本の弾性部材62の伸張後長さw6’,w6”は、前記テープ基端部隣接部の伸縮部6Bの伸張後長さw6よりも小さくなり、伸縮パネル6の下部の伸張量が軽減される。
【0031】
実際にファスニングテープ7の止着部71を被止着領域55に止着させて、使い捨ておむつ1を着用者に装着したときには、前述した、伸縮パネル6の下部に相当する部位は、着用者の臀部の膨らみや脚の付け根に当たるために周囲長が大きくなるが、前述したように、伸縮パネル6の下部が弱伸張状態になることによって伸縮パネル6がテープ基端部73よりも伸張に余裕があることで、着用者の脚周りに位置する伸縮パネル6の下部の、脚周りへの締め付け力が軽減され、脚に締め付け跡がつきにくくなる。また、ファスニングテープ7の伸張時には、前述したように、前記テープ基端部隣接部の伸縮部6Bの伸張後長さw6の方が伸縮パネル6の下部の弾性部材62の伸張後長さw6’,w6”よりも大きいことによって、前記テープ基端部隣接部の収縮力が大きくなり、それにより、使い捨ておむつ1における、着用者の背側のウエスト部に位置する背側端部(吸収性コア非配置領域D)には直接的に引張力Fが伝わるため、使い捨ておむつ1の着用中において、着用者の背中と該背側端部との間に隙間が生じにくくなり、フィット性及び漏れ防止性が向上する。
【0032】
また、本実施形態においては、テープ基端部73が伸縮パネル6に融着部75及び接着剤接合部77により固定されていることにより、止着操作の際にファスニングテープ7を引っ張ったときに、ファスニングテープ7が外れてしまう不都合が回避されると共に、テープ基端部73の剛性が接着剤の使用と融着部75の形成によって向上しているため、ファスニングテープ7を引っ張ってもテープ基端部73にヨレが生じ難く、テープ基端部73と前述した伸縮パネル6の下部との引張力の差が大きくなり、該下部が弱伸張状態になりやすくなって前述した効果が一層奏されやすくなる。
【0033】
前述した伸縮パネル6による作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、各種部材の寸法、個数等は次のように設定されることが好ましい。
自然状態における伸縮パネル6の本体長手方向Xの長さw1(図8(a)参照)は、好ましくは50〜120mm、更に好ましくは60〜100mmである。
自然状態における伸縮パネル6の、吸収性本体5から本体幅方向Yの外方に延出している部分(外側縁部6A及び伸縮部6B)の長さw2(図8(a)参照)は、好ましくは20〜60mm、更に好ましくは25〜50mmである。
テープ基端部73の本体長手方向Xの長さw3(図8(a)参照)は、好ましくは20〜100mm、更に好ましくは30〜60mmである。
テープ基端部73の本体幅方向Yの長さw4(図8(a)参照)は、好ましくは8〜20mm、更に好ましくは10〜18mmである。
隣り合う弾性部材62,62の間隔w5(図8(a)参照)は、好ましくは3〜15mm、更に好ましくは5〜10mmである。
テープ基端部73の内側端73tと最内方弾性部材62tとの間に配置される弾性部材62の本数は、好ましくは1〜15本、更に好ましくは3〜10本である。
【0034】
使い捨ておむつ1における各部の形成材料について説明すると、表面シート2及び裏面シート3としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを用いることができる。表面シート2としては、不織布や開孔フィルム等の各種液透過性のシート材を用いることができる。裏面シート3としては、透湿性を有しない樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等の各種液不透過性ないし撥水性のものを用いることができる。また、吸収体4を構成する吸収性コア41としては、当該技術分野において従来用いられている液保持性の材料を特に制限無く用いることができ、例えば、木材パルプ等の親水性繊維からなる繊維集合体、該繊維集合体に粒子状の吸水性樹脂を保持させたもの等を用いることができる。また、吸収体4を構成するコアラップシート42としては、例えば、紙、不織布、開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。また、サイドシート82としては、裏面シート3と同様のものを用いることができる。
【0035】
伸縮パネル6を構成するパネル材61としては、例えば、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の各種製法による不織布、織布、編布、紙、樹脂フィルム等、及びこれら2以上を積層一体化させてなるシート材等を用いることができる。また、ファスニングテープ7を構成するテープ基材72としては、例えば、不織布や不織布と樹脂フィルムの積層体等を用いることができる。
【0036】
本発明に係る伸縮パネル及びファスニングテープは、前述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態のものを採用することができる。後述する他の実施形態については、前述した実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施形態についての説明が適宜適用される。
【0037】
図9に示す実施形態においては、伸縮パネル6の外側縁部6Aにおける、テープ基端部73が固定されておらず且つ相対向する2枚のパネル材61,61を含んで構成されている領域(前記テープ非固定領域)6A1の該2枚のパネル材61,61が、互いに融着されており、テープ基端部非固定領域6A1に、テープ基端部73と伸縮パネル6とを固定している融着部(図9では図示せず)と同様の、平面視して楕円形状の融着部75が複数形成されている。図9に示す実施形態によれば、前述した、伸縮パネル6の下部の弱伸張状態を妨げることなく、テープ基端部非固定領域6A1を構成するパネル材61の剥がれや捲れを防止することができる。
【0038】
図10に示す実施形態においては、テープ先端部74を本体長手方向Xに二分する仮想直線L1が、伸縮パネル6を本体長手方向Xに二分する仮想直線L2よりも本体長手方向Xの外方(図10では上方)に位置している、即ち、股下部Cに対して相対的に遠い位置にある。図10に示す実施形態は、ファスニングテープ7の中心を通過する仮想直線L1と伸縮パネル6の中心を通過する仮想直線L2との位置関係を調整することで、テープ基端部73の内側端73tと伸縮パネル6の本体幅方向Yに沿う内側端(伸縮パネル6の本体幅方向Yに沿う上下一対の端部のうち、股下部Cに最も近い端部)6tとの間の距離を長くとり、それにより、ファスニングテープ7の被止着領域55(図1、図4及び図5参照)への止着時において、着用者の脚周りへの引張力と背側のウエスト部への引張力との差を大きくし、前述した、伸縮パネル6の下部の弱伸張状態の発生を促すようにしたものである。仮想直線L1と仮想直線L2との距離w7は、好ましくは5〜25mm、更に好ましくは8〜20mmである。
【0039】
図11に示す実施形態においては、テープ先端部74を本体長手方向Xに二分する仮想直線L1が、吸収性コア非配置領域Dを本体幅方向Yに横断している。図11に示す実施形態によれば、使い捨ておむつ1の着用中において、着用者の背中とおむつ1の背側端部との間に隙間が一層生じにくくなり、吸収性コアが尿等の排泄液を吸収保持して膨張した場合でも、該隙間が生じにくくなる。
【0040】
図12に示す実施形態においては、テープ先端部74の本体長手方向Xの長さ(テープ先端部74の幅)w8が、テープ基端部73の本体長手方向Xの長さ(テープ基端部34の幅)w3と同じかそれよりも短い。尚、「テープ先端部の本体長手方向の長さ」は、該長さが一定ではない場合は、最大長さを意味し、「テープ基端部の本体長手方向の長さ」についても同様である。図12に示すファスニングテープ7Aは、平面視して矩形形状であり、両者73,74の本体長手方向Xの長さ(幅)は同じである。図12に示す実施形態によれば、テープ先端部74に本体幅方向Yに沿って外力Fを作用させてこれを引っ張ったときに、その外力Fがテープ先端部74と同幅のテープ基端部73にストレートに伝わるため、伸縮パネル6におけるテープ基端部73の周辺部の折れが発生し難い。また、前述したファスニングテープ7は、テープ基端部73がテープ先端部74よりも幅広であったが、図12に示すファスニングテープ7Aは、テープ基端部73がテープ先端部74と同幅かそれよりも幅狭であるため、ファスニングテープ7に比して、テープ基端部73の内側端73tと伸縮パネル6の内側端6tとの間の距離を比較的長くとることが可能となり、それにより、ファスニングテープ7Aの被止着領域55(図1、図4及び図5参照)への止着時において、着用者の脚周りへの引張力と背側のウエスト部への引張力との差が一層大きくなり、前述した、伸縮パネル6の下部の弱伸張状態の発生が促される。
【0041】
また、図12に示す実施形態において、テープ先端部74の本体長手方向Xの長さw8を、伸縮パネル6の本体長手方向Xの長さ(伸縮パネル6の幅)w1の半分と同じかそれよりも短くすることにより、前述した効果がより安定的に奏されるようになる。尚、「伸縮パネルの本体長手方向の長さ」は、該長さが一定ではない場合は、最大長さを意味する。このように、テープ先端部74の長さw8を、伸縮パネル6の長さw1の半分と同じかそれよりも短くすることは、図12に示すファスニングテープ7Aのみならず、図6等に示すファスニングテープ7(テープ基端部73がテープ先端部74よりも幅広のファスニングテープ)にも適用可能である。
【0042】
図13に示す実施形態は、伸縮パネルが前記実施形態と異なる。即ち、図6に示す伸縮パネル6においては、複数本の弾性部材62は、それぞれ、伸縮パネル6の内側縁部6C及び伸縮部6Bにおいて、本体長手方向Xに延びる複数の連続直線状の接合部63と重なり、各該接合部63にてパネル材61に固定されていたが、図13に示す伸縮パネル6Pにおいては、伸縮部6Bの本体幅方向Yの一端側(接合部63aの存する部位)及び他端側(接合部63bの存する部位)を除き、複数本の弾性部材62は、パネル材61に固定されていない。即ち、図13に示す伸縮パネル6Pの伸縮部6Bにおいては、本体幅方向Yの最内方に位置する(吸収性本体5に最も近い)接合部63aと本体幅方向Yの最外方に位置する(吸収性本体5から最も遠い)接合部63bとに挟まれた領域に配置された複数の接合部66が、それぞれ、平面視して矩形形状の複数の小接合部66sが本体長手方向Xに所定間隔を置いて列をなすように配置されることにより構成されており、平面視して本体長手方向Xに延びる破線状となっている。そして、複数本の弾性部材62は、複数の破線状の接合部66に対して、小接合部66aとは重ならずに、本体長手方向Xに隣り合う小接合部66a,66a間の隙間と重なるように配置されており、且つ伸縮部6Bの本体幅方向Yの両端に位置する、連続直線状の接合部63a及び63bと重なるように配置され、接合部63a及び63bでのみパネル部材61に固定されている。
【0043】
図6に示す実施形態では、図8(b)に示す如きファスニングテープ7の伸張時において、前述した、伸縮パネル6の下部の弱伸張状態の発生に伴い、伸縮部6Bにおけるパネル材61と弾性部材62との接合点それぞれが斜め方向に引張力Fがかかることによりパネル材61のツレが生じ、それによって伸縮部6B内での本体幅方向Yにおける弾性部材62の伸張が一部制限されて、弾性部材62の伸張に不均衡が生じる場合があり得る。これに対し、図13に示す実施形態によれば、伸縮部6Bの弾性部材62は、パネル材61と接合されていないため、前述した、パネル材61のツレによる伸張の制限を受けずに、伸縮部6B内で均一に伸張することができ、その結果、脚周りの跡付きが更に生じにくいという効果が奏される。また、接着剤によるパネル材61の透湿性の低下及び剛性の増加を防ぐことができる。伸縮パネル6Pとしては、本出願人の先の出願に係る特許文献4に記載の複合伸縮部材を用いることができる。
【0044】
図14及び図15に示す実施形態は、何れもファスニングテープ7の伸縮パネル6への接合形態が前記実施形態(図7参照)と異なる。尚、図14及び図15に示す接合形態は、ファスニングテープ7Aにも適用可能である。図14に示す実施形態においては、ファスニングテープ7が、テープ基端部73により伸縮パネル6の外側縁部6Aの肌対向面6aに固定されている。また、ファスニングテープ7の非肌対向面7b及び伸縮パネル6の非肌対向面6bには、ファスニングテープ7の伸縮パネル6への固定を補強する補強部材76が、ファスニングテープ7のテープ先端部74と伸縮パネル6の外側縁部6Aとを跨ぐように固定されている。補強部材76としては、例えば、不織布や樹脂フィルムを用いることができる。また、図15に示す実施形態においては、伸縮パネル6を構成する相対向する2枚のパネル材61,61の間で、ファスニングテープ7のテープ基材72(テープ基端部73)を挟持固定している。
【0045】
尚、補強部材76は、図7に示す実施形態にも適用可能である。即ち、図7に示す実施形態において、ファスニングテープ7の肌対向面7a及び伸縮パネル6の肌対向面6aに、補強部材76を、ファスニングテープ7のテープ先端部74における止着部71よりも本体幅方向Yの内方の部位(止着部71とパネル材61とに挟まれた部位)と外側縁部6Aとを跨ぐように固定することができる。
【0046】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、融着部75の平面視における形状は、楕円形状に制限されず、連続直線状、ドット状等の比較的小さな複数の小融着部が一方向に所定間隔を置いて列をなすように配置されてなる破線状、格子状等種々の形状を選択することができる。また、前述した一の実施形態のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 使い捨ておむつ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
41 吸収性コア
5 吸収性本体
55 被止着領域
6,6P 伸縮パネル
6A 伸縮パネルの外側縁部
61 パネル材
62 弾性部材
62t 最内方弾性部材
63,66 接合部
7,7A ファスニングテープ
71 止着部
72 テープ基材
73 テープ基端部
73s テープ基端部の外側端
73t テープ基端部の内側端
74 テープ先端部
75 融着部
76 補強部材
77 接着剤接合部
A 腹側部
B 背側部
C 股下部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に介在配置された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の本体長手方向に沿う両側縁部に固定された一対の伸縮パネルとを有し、一対の該伸縮パネルそれぞれの本体長手方向に沿う外側縁部に固定されたファスニングテープの止着部を、該吸収性本体の非肌対向面に止着して着用者に装着するようになされている使い捨ておむつであって、
前記伸縮パネルは、前記外側縁部よりも本体幅方向内方に、本体幅方向に伸縮性を有する伸縮部を有しており、該伸縮部は、パネル材と、該パネル材に伸張状態で固定され且つ本体幅方向に延びる複数本の弾性部材とを含んで構成されており、該複数本の弾性部材は、本体長手方向に所定間隔を置いて配置されており、
前記外側縁部を含む、前記伸縮パネルの前記伸縮部よりも本体幅方向外方に位置する領域には、該伸縮パネルの構成部材どうしが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在しておらず、
前記ファスニングテープは、前記止着部を有するテープ基材を含んで構成されており、該テープ基材は、前記伸縮パネルの前記外側縁部に固定されたテープ基端部と、該テープ基端部に連接され該外側縁部から本体幅方向外方に突出し且つ該止着部を有する、テープ先端部とを有しており、該テープ基端部は、本体幅方向に沿う外側端及び内側端を有し、該外側端よりも本体長手方向内方に位置する、該内側端が、前記複数本の弾性部材のうち本体長手方向の最内方に配置された、弾性部材よりも本体長手方向外方に位置している使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記テープ先端部の本体長手方向の長さが、前記テープ基端部の本体長手方向の長さと同じかそれよりも短い請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記テープ先端部の本体長手方向の長さが、前記伸縮パネルの本体長手方向の長さの半分と同じかそれよりも短い請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記テープ先端部を本体長手方向に二分する仮想直線が、前記伸縮パネルを本体長手方向に二分する仮想直線よりも本体長手方向外方に位置している請求項1〜3の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記吸収体は、液保持性の吸収性コアを含んで構成されており、前記吸収性本体は、その本体長手方向の少なくとも一端部側に、該吸収性コアが配置されていない吸収性コア非配置領域を有しており、
前記テープ先端部を本体長手方向に二分する仮想直線が、前記吸収性コア非配置領域を本体幅方向に横断している請求項1〜4の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記テープ基端部は、前記伸縮パネルの前記外側縁部に、融着を含む接合手段により固定されている請求項1〜5の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記伸縮パネルの前記外側縁部に、前記テープ基端部が固定されておらず且つ複数枚の前記パネル材を含んで構成されている領域が存しており、該領域における該複数枚のパネル材が、互いに融着されている請求項1〜6の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−115361(P2012−115361A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266040(P2010−266040)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】