説明

使い捨ておむつ

【課題】軽量で、クッション性に富むものでありながら、柔軟な風合いを有する使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】上記課題は、液不透過性シート11は、図7にも示すように表側から裏側へ窪むカップ状の凹部14が間隔を空けて多数配列されることにより、凹部14の開口が間隔を空けて多数配列された表面と、凹部14の突出部分が間隔を空けて多数配列された裏面とを有しており、吸収要素50の底面を形成する包装シート58は、液不透過性シート11の表面の凹部14とは接合されずに当該表面の凹部14以外の部分と接合部81により接合されて、表面の凹部14内は空間83とされ、外装シート12の内面は、液不透過性シート11の裏面における凹部14の突出部分間とは接合されずに、当該裏面における凹部14の底部14bと接合部82により接合されて、裏面の凹部14の突出部分間は空間84とされている、使い捨ておむつにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手触りが柔軟で、通気性に富み、使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつには、身体側表面を形成する透液性トップシートと、その裏側に位置する樹脂フィルムからなる液不透過性シートと、これら透液性トップシートと液不透過性シートとの間に介在された吸収体とを基本要素とし、液不透過性シートがおむつ裏面を構成するものと、液不透過性シートの裏面に不織布からなる外装シートをホットメルト接着剤で貼り合わせたもの(例えば特許文献1参照)とが一般的となっている。
【0003】
後者はおむつ外面が布のような質感となる利点があるものの、液不透過性シートと外装シートとをホットメルト接着剤により貼り合わせるため、風合いが硬く、クッション性に乏しくなるという問題点があった。
【0004】
このうち、クッション性のみであれば、特許文献2,3に示されるようにエアークッションを入れることで解決できるが、その場合、素材数の増加によりおむつ重量が嵩むといった問題や、クッション材の素材の硬さが影響して、風合いが硬くなってしまうといった問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−319142号公報
【特許文献2】特開2008−86496号公報
【特許文献3】特開平10−28697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、軽量で、クッション性に富むものでありながら、柔軟な風合いを有する使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
身体側表面を形成する透液性トップシートと、液不透過性シートと、これら透液性トップシートと液不透過性シートとの間に配置された、排泄物を吸収保持する吸収要素と、液不透過性シートの裏面にホットメルト接着剤で貼り合わされた不織布からなる外装シートと、を備えた使い捨ておむつにおいて、
前記液不透過性シートは、表裏いずれか一方から他方へ窪むカップ状の凹部が間隔を空けて多数配列されることにより、凹部の開口が間隔を空けて多数配列された第一面と、凹部の突出部分が間隔を空けて多数配列された第二面とを有するものとされており、
前記外装シート及び吸収要素のうち、前記液不透過性シートの第一面に接する方が、前記第一面の凹部とは接合されずに当該第一面の凹部以外の部分と接合されて、前記第一面の凹部内は空間とされ、
前記外装シート及び吸収要素のうち、前記液不透過性シートの第二面に接する方が、前記第二面の凹部の突出部分間とは接合されずに、前記第二面の凹部の底部と接合されて、前記第二面の凹部の突出部分間は空間とされている、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【0008】
(作用効果)
このように、液不透過性シートを多数の凹部を有するシートとし、その表裏を対向部材に接合するにあたり、凹部内及び凹部の突出部分間を除いて接合して、凹部内及び凹部の突出部分間を空間とすると、新たな素材を追加することなく、外装シートの接合部分が低減して外面の風合いが柔軟になるとともに、凹部内及び凹部の突出部分間に空気層が存在すること及びカップ状凹部がスプリングのように厚み方向に圧潰・復元することにより液不透過性シート自体がクッション材となってクッション性が増加するようになる。
しかも、使い捨ておむつは、製造時に折り畳まれて多数枚が集積され、集積方向に圧縮された状態で包装袋に収納されて出荷されるため、いかに薄くなるかが極めて重要である。本発明の場合、クッション性を発揮する部分、つまり液不透過性シートのカップ状凹部はシート厚みと同程度まで圧潰可能であるため、包装時の厚みは問題とならず、また使用時にはカップ状凹部が復元(完全な復元のみを意味するものではない)してクッション性を発揮するようになる。
また、本発明の場合、液不透過性シートの表裏両側に大きな通気スペースが確保されるため、通気性にも優れたものとなる。
さらに、この通気性向上に加えて、液不透過性シートと吸収要素との接触面積、及び液不透過性シートと外装シートとの接触面積がともに小さくなり、かつ吸液不透過性シートと収要素との接合部分と、液不透過性シートと外装シートとの接合部分とが重ならないために、液不透過性シートとして透湿性シートを用い、排尿後に外面を触ったときの湿度感が顕著に低減する。
【0009】
<請求項2記載の発明>
前記液不透過性シートの凹部は、表側から裏側へ窪むカップ状をなしている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【0010】
(作用効果)
これにより、液不透過性シートの表側(トップシート側)には、凹部内の空間が凹部の数だけ互いに独立して点在し、液不透過性シートの裏側(外装シート側)には、凹部の数に関係なく、凹部の突出部分間の空間が連続的に形成される。よって、液不透過性シートの表面に達した尿や、吸収要素から零れ出た繊維や高吸収性ポリマーを液不透過性シートの表面の凹部内に補足して拡散、移動を阻止することができる。また、液不透過性シートと外装シートとの間の通気性がより一層向上し、前述の湿度感の低減効果もより一層のものとなる。
【0011】
<請求項3記載の発明>
前記液不透過性シートの第一面の接合面積よりも前記液不透過性シートの第二面の接合面積の方が小さい、請求項2記載の使い捨ておむつ。
【0012】
(作用効果)
これにより、凹部の形状を強固に維持できるものでありながら、外面の風合いがより一層柔軟なものとなる。
【0013】
<請求項4記載の発明>
前記凹部内に、繊維集合体及び高吸収性ポリマー粒子の少なくとも一方が収容されている、請求項2又は3記載の使い捨ておむつ。
【0014】
(作用効果)
これにより、液不透過性シートを透過する蒸気量が低減する、凹部内にクッション材を有することになるため凹部の復元性が向上する、液不透過性シートの表面に達した尿を拡散させずに保持し、吸収要素の吸収性能を補うことができる。
【0015】
<請求項5記載の発明>
背側部分の両側部に設けられたファスニングテープを、腹側部分の外面に連結することにより装着するテープタイプ使い捨ておむつであり、
前記腹側部分における前記ファスニングテープの連結部位では、前記液不透過性シートに凹部が形成されておらず、前記液不透過性シートと前記外装シートとが連続的に接触した状態で接合されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0016】
(作用効果)
このようなテープタイプ使い捨ておむつにおいては、腹側部分におけるファスニングテープの連結部位のクッション性が高く、変形が容易であると、胴回りの締め付けが緩み易くなったり、ファスニングテープの連結が外れ易くなったりするおそれがある。よって、上記のように、ファスニングテープの連結部位では液不透過性シートに凹部を形成せずにしっかりと接合するのが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおり、本発明によれば、軽量で、クッション性に富むものでありながら、柔軟な風合いを有するようになる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】テープタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図2】テープタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図3】図1の6−6線断面図である。
【図4】図1の7−7線断面図である。
【図5】図1の8−8線断面図である。
【図6】図1の9−9線断面図である。
【図7】液不透過性シートの要部破断斜視図である。
【図8】他の形態を示す、図1の6−6線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。なお、「前後方向(縦方向)」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの腹側部分と背側部分を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に幅方向と直交する方向を意味する。また、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。さらに、断面図における点模様(網掛け)部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。
【0020】
図1〜図6はテープタイプ使い捨ておむつの一例を示している。図3及び図4は、図1における6−6線断面及び7−7線断面をそれぞれ示した図であり、図5及び図6は、図1における8−8線断面及び9−9線断面をそれぞれ示した図である。図中の符号Xはファスニングテープを除いたおむつの全幅を示しており、符号Lはおむつの全長を示している。
【0021】
このテープタイプ使い捨ておむつは、幅方向中央に沿って下腹部から股間部を通り臀部までを覆うように延在する部分であって、且つ身体側表面を形成する透液性表面シートと、外面側に位置する液不透過性シートとの間に吸収要素50が介在する部分である吸収性本体部10と、この吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分である腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEとを有するものである。
【0022】
また、このテープタイプ使い捨ておむつは、腹側Fの上縁F1側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の腹側サイドフラップ部FF,FFと、背側Bの上縁B1側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の背側サイドフラップ部BF,BFとを備えている。また、背側サイドフラップ部BF,BFには、係止部材としてのファスニングテープ13がそれぞれ設けられている。
【0023】
より詳細には、吸収性本体部10ならびに背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの外面全体が外装シート12により形成されている。特に、吸収性本体部10においては、外装シート12の内面側に液不透過性シート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこの液不透過性シート11の内面側に吸収要素50、中間シート40、および表面シート30がこの順に積層されている。表面シート30および液不透過性シート11は図示例では長方形であり、吸収要素50よりも前後方向および幅方向において若干大きい寸法を有しており、表面シート30における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部と、液不透過性シート11における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されている。また液不透過性シート11は透湿性のポリエチレンフィルム等からなり、表面シート30よりも若干幅広に形成されている。
【0024】
さらに、この吸収性本体部10の両側には、装着者の肌側に突出(起立)する側部バリヤーカフス60,60が設けられており、この側部バリヤーカフス60,60を形成するバリヤーシート62,62が、背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの内面を含め、吸収性本体部10の幅方向外側の全体にわたり延在されている。
【0025】
以下、各部の素材および特徴部分について順に説明する。
(外装シート)
外装シート12は製品外面を構成する部分である。外装シート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。
【0026】
外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布12相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m2、特に15〜30g/m2のものが望ましい。
【0027】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に液不透過性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この液不透過性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0028】
液不透過性シートは、厚みや坪量により限定されるものではないが、通常の場合、厚みは10〜200μm、特に20〜50μmとするのが望ましく、坪量は10〜50g/m2、特に15〜30g/m2とするのが望ましい。
【0029】
(表面シート)
表面シート30は液透過性を有するものであれば足り、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
【0030】
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0031】
(中間シート)
表面シート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、表面シート30と吸収要素50との間に中間シート(セカンドシートもいわれる)40を設けることができる。この中間シート40は、排泄物を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した排泄物の吸収体からの逆戻りを防止し、表面シート30表面を肌触りを良くするものである。中間シート40は省略することもできる。
【0032】
中間シート40としては、表面シート30と同様の素材を用いることができる。中間シート40は表面シート30に接合するのが好ましく、その接合にヒートエンボスや超音波溶着を用いる場合は、中間シート40の素材は表面シート30と同程度の融点をもつものが好ましい。また、便中の固形分を透過させることを考慮するならば中間シート40に用いる繊維の繊度は5.0〜7.0dtexであるのが好ましいが、表面シート30における液残りが多くなる。これに対して、中間シート40に用いる繊維の繊度が1.0〜2.0dtexであると、表面シート30の液残りは発生し難いが、便の固形分が透過し難くなる。よって、中間シート40に用いる不織布の繊維は繊度が2.0〜5.0dtex程度とするのが好ましい。
【0033】
図示の形態の中間シート40は、吸収要素50の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0034】
(側部バリヤーカフス)
表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)する側部バリヤーカフス60、60を設けるのは好ましい。
【0035】
この側部バリヤーカフス60は、実質的に幅方向に連続するバリヤーシート62と、このバリヤーシート62に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材63とにより構成されている。このバリヤーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材は、図1及び図2に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
【0036】
バリヤーシート62の内面は、表面シート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、液不透過性シート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装シート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されている。この固着部分のうち固着始端近傍の幅方向外側において、バリヤーシート62と外装シート12とが対向する部分のシート間に、前後方向に沿って糸ゴム等からなる脚周り弾性伸縮部材64がそれぞれ設けられている。
【0037】
脚周りにおいては、側部バリヤーカフス60の固着始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部では表面シート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が糸ゴム63の収縮力により起立するようになる。おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム63の収縮力が作用するので、糸ゴム63の収縮力により側部バリヤーカフス60が起立して脚周りに密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
【0038】
図示形態と異なり、バリヤーシート62の幅方向内側の部分における前後方向両端部を、幅方向外側の部分から幅方向内側に延在する基端側部分とこの基端側部分の幅方向中央側の端縁から身体側に折り返され幅方向外側に延在する先端側部分とを有する二つ折り状態で固定し、その間の部分を非固定の自由部分とすることもできる。
【0039】
(吸収要素)
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
【0040】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
【0041】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56は、高吸収性ポリマー粒子を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
【0042】
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、繊維の集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子が繊維の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子が繊維の集合体を通り抜けて包装シート58上にある形態も排除されるものではない。
【0043】
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0044】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0045】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
【0046】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
【0047】
この包装シート58は、図3に示すように、吸収体56の全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包装するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包装シートの構成要素となる)。必要ならば、吸収体56を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
【0048】
(ファスニングテープ)
図1及び図2に示されるように、ファスニングテープ13は、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材からなるシート基材13Cの基部がおむつに取り付けられており、おむつから突出する先端側部分に腹側に対する係止部として、メカニカルファスナーのフック材13Aが設けられている。フック材13Aはシート基材13Cに接着剤により剥離不能に接合されている。
【0049】
乳幼児用おむつにおいては、ファスニングテープ13の取り付け部分の寸法のうち、おむつの幅方向の長さX1は10〜50mm、特に20〜40mmであるのが好ましく、前後方向長さY1は、20〜100mm、特に40〜80mmであるのが好ましい。また、ファスニングテープ13の先端側部分の寸法のうち、おむつの幅方向の長さは30〜80mm、特に40〜60mmであるのが好ましく、前後方向の長さ(高さ)は20〜70mm、特に25〜50mmであるのが好ましい。なお、ファスニングテープ13の一部または全部が例えば略テーパ形状をなし、前後方向長さや幅方向長さが一定でない場合は、上記数値範囲は平均値にて定める。ファスニングテープ13の形状は、矩形形状などの左右対称形状でもよいが、幅広の取り付け部分と細長状の先端側部分からなる凸型形状であると、先端側部分の摘み部が摘みやすく、かつ左右の基部間の張力が広範囲に作用するため、好ましい。フック材13Aは、その外面側に多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。フック材13Aに代えて、ファスニングテープ13の係止部として粘着材層を設けることもできる。
【0050】
おむつの装着に際しては、背側サイドフラップ部BFを腹側サイドフラップ部FFの外側に重ねた状態で、ファスニングテープを腹側F外面の適所に係止する。ファスニングテープ13の係止箇所の位置及び寸法は任意に定めることができる。乳幼児用おむつにおいては、係止箇所は、前後方向20〜80mm、幅方向150〜300mmの矩形範囲とし、その上端縁と腹側上縁との高さ方向離間距離を0〜60mm、特に20〜50mmとし、かつ製品の幅方向中央とするのが好ましい。
【0051】
ファスニングテープ13は、背側エンドフラップ部BEと吸収要素50の境界線上にファスニングテープ13の取り付け部分が重なるように取り付けられていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13の取り付け部分間に働く張力により、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。また、ファスニングテープ13の取り付け部分が、おむつの背側端部(後端部)と離れすぎていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13の取り付け部分間に働く張力がおむつの背側端部にまで及ばないため、おむつの背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすい。従って、背側エンドフラップBEの前後方向長さは、ファスニングテープ13の基部の前後方向長さと同じか又は短いことが好ましい。
【0052】
(ターゲットシート)
腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所には、係止を容易にするためのターゲット有するターゲットシート12Tを設けるのが好ましい。ターゲットシート12Tは、係止部がフック材13Aの場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなるシート基材の表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート基材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。 また、腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合であって、ファスニングテープ13の係止部がフック材13Aの場合には、ターゲットシート12Tを省略し、フック材13Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。この場合、ターゲットシート12Tを外装シート12と液不透過性シート11との間に設けてもよい。
【0053】
(エンドフラップ部)
エンドフラップ部は、吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分であり、前側の延出部分が腹側エンドフラップ部FEであり、後側の延出部分が背側エンドフラップ部BEである。
【0054】
背側エンドフラップBEの前後方向長さは、前述の理由によりファスニングテープ13の取り付け部分の前後方向長さと同じか短い寸法とすることが好ましく、また、おむつ背側端部と吸収要素50とが近接しすぎると、吸収要素50の厚みとコシによりおむつ背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすいため、10mm以上とすることが好ましい。
【0055】
腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEの前後方向長さは、おむつ全体の前後方向長さLの5〜20%程度とするのが好ましく、乳幼児用おむつにおいては、10〜60mm、特に20〜50mmとするのが適当である。
【0056】
(背側伸縮シート)
図示形態では、両ファスニングテープ13間に、幅方向に弾性伸縮する帯状の背側伸縮シート70が設けられ、おむつ背側部におけるフィット性を向上させている。背側伸縮シート70の両端部は両ファスニングテープ13の取り付け部分と重なる部位まで延在されているのが好ましいが、幅方向中央側に離間していても良い。背側伸縮シート70の前後方向寸法は、ファスニングテープ13の取り付け部分の前後方向寸法と概ね同じにするのが適当であるが、±20%程度の寸法差はあってもよい。また、図示のように背側伸縮シート70が背側エンドフラップ部BEと吸収要素50の境界線と重なるように配置されていると、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。背側伸縮シート70は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から不織布や紙を用いるのが好ましい。この場合、伸縮不織布のような通気性を有するシート状弾性部材を用いることもできるが、図5に示すように、二枚の不織布等のシート基材71をホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせるとともに、両シート基材71間に有孔のシート状、網状、細長状(糸状又は紐状等)等の弾性伸縮部材72を幅方向に沿って伸張した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合におけるシート基材71としては、外装シート12と同様のものを用いることができる。弾性伸縮部材72の伸張率は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性伸縮部材72として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの間隔72dで5〜15本程度設けるのが好ましい。
【0057】
また、図示のように弾性伸縮部材72の一部が吸収要素50を横断するように配置すると、吸収要素50のフィット性が向上するため好ましいが、この場合は、弾性伸縮部材72が吸収要素50と重なる部分の一部又は全部を、切断等の手段により収縮力が働かないようにすると、吸収要素50の背側端部が幅方向に縮まないため、フィット性がさらに向上する。
【0058】
なお、弾性伸縮部材72は、シートの長手方向(おむつの幅方向)にシート基材71の全長にわたって固定されていてもよいが、おむつ本体への取り付け時の縮みやめくれ防止のため、シートの前後方向(おむつの幅方向)端部の5〜20mm程度の範囲においては、収縮力が働かないように、または弾性伸縮部材72が存在しないようにするとよい。
【0059】
背側伸縮シート70は、図示形態では、液不透過性シート11の幅方向両側ではバリヤーシート62と外装シート12との間に挟まれ、且つ液不透過性シート11と重なる部位では、液不透過性シート11と吸収要素50との間に挟まれるように設けられているが、液不透過性シート11と外装シート12との間に設けても良いし、外装シート12の外面に設けても良く、また表面シート30と吸収要素50との間に設けてもよい。また、背側伸縮シート70は表面シート30の上に設けても良く、この場合、液不透過性シート11の幅方向両側ではバリヤーシート62の上に設けても良い。また、外装シート12を複数枚のシート基材を重ねて形成する場合には、背側伸縮シート70全体を、外装シート12のシート基材間に設けても良い。
【0060】
(液不透過性シートの凹部、及び液不透過性シートの接合)
特徴的には、液不透過性シート11は、図7にも示すように表側から裏側へ窪むカップ状の凹部14が間隔を空けて多数配列されることにより、凹部14の開口が間隔を空けて多数配列された表面(第一面)と、凹部14の突出部分が間隔を空けて多数配列された裏面(第二面)とを有するものとされている。また、吸収要素50の底面を形成する包装シート58は、液不透過性シート11の表面の凹部14とは接合されずに当該表面の凹部14以外の部分と接合部81により接合されて、表面の凹部14内は空間83とされ、外装シート12の内面は、液不透過性シート11の裏面における凹部14の突出部分間とは接合されずに、当該裏面における凹部14の底部14bと接合部82により接合されて、裏面の凹部14の突出部分間は空間84とされている。
【0061】
凹部14の形状は、適宜定めるこができるが、円錐台状、角錐台状、球面状等、適宜の形状とすることができる。また、凹部14の配列は、千鳥状、行列状等、適宜定めることができる。
【0062】
また、凹部14の寸法は適宜定めることができるが、直径(円形以外の場合は長径を意味する)は1〜20mm、特に7〜10mmとするのが好ましい。また、凹部14間の間隔は1〜20mm、特に3〜10mmとするのが望ましい。さらに、凹部14の単位面積当たりの個数は1,000〜200,000個/m2、特に8,000〜20,000個/m2とするのが好ましく、液不透過性シート11の凹部14を有する部分の面積に占める凹部14の開口の面積の割合は60〜100%程度、特に80〜100%程度とするのが望ましい。
【0063】
接合部81,82の形成には、適宜の接合手段を用いることができるが、ホットメルト接着剤を好適に用いることができ、その塗布パターンとしてはベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布の中から適宜選択して用いることができる。
【0064】
このように、液不透過性シート11を多数の凹部14を有するシートとし、その表裏を吸収要素50及び外装シート12に接合するにあたり、凹部14内及び凹部14の突出部分間を除いて接合して、凹部14内及び凹部14の突出部分間を空間83,84とすると、新たな素材を追加することなく、外装シート12の接合部分が低減して外面の風合いが柔軟になるとともに、凹部14内及び凹部14の突出部分間の空間83,84に空気層が存在すること及びカップ状凹部14がスプリングのように厚み方向に圧潰・復元することにより液不透過性シート11自体がクッション材となってクッション性が増加するようになる。
【0065】
しかも、使い捨ておむつは、製造時に折り畳まれて多数枚が集積され、集積方向に圧縮された状態で包装袋に収納されて出荷されるため、いかに薄くなるかが極めて重要である。本発明の場合、クッション性を発揮する部分、つまり液不透過性シート11のカップ状凹部14はシート厚みと同程度まで圧潰可能であるため、包装時の厚みは問題とならず、また使用時にはカップ状凹部14が復元(完全な復元のみを意味するものではない)してクッション性を発揮するようになる。
【0066】
また、本発明の場合、液不透過性シート11の表裏両側に大きな通気スペースが確保されるため、通気性にも優れたものとなる。
【0067】
さらに、この通気性向上に加えて、液不透過性シート11と吸収要素50との接触面積、及び液不透過性シート11と外装シート12との接触面積がともに小さくなり、かつ吸液不透過性シート11と吸収要素50との接合部分81と、液不透過性シート11と外装シート12との接合部分82とが重ならないために、液不透過性シート11として透湿性シートを用い、排尿後に外面を触ったときの湿度感が顕著に低減する。
【0068】
他方、液不透過性シート11のカップ状凹部14は図8に示すように裏側から表側へ窪むように形成しても良いが、図3に示すように表側から裏側へ窪むように形成すると、液不透過性シート11の表側(トップシート30側)には、凹部14内の空間83が凹部14の数だけ互いに独立して点在し、液不透過性シート11の裏側(外装シート12側)には、凹部14の数に関係なく、凹部14の突出部分間の空間84が連続的に形成される。よって、液不透過性シート11の表面に達した尿や、吸収要素50から零れ出た繊維や高吸収性ポリマーを液不透過性シート11の表面の凹部14内に補足して拡散、移動を阻止することができる。また、液不透過性シート11と外装シート12との間の通気性がより一層向上し、前述の湿度感の低減効果もより一層のものとなる。
【0069】
また、液不透過性シート11の表面の接合面積(接合部分81の総面積)よりも液不透過性シート11の裏面の接合面積(接合部分82の総面積)の方を大きくする(例えば図8の形態とする)ことも可能であるが、前者より後者が小さくなるように凹部14の寸法、配置等を構成すると、凹部14の形状を強固に維持できるものでありながら、外面の風合いがより一層柔軟なものとなるため好ましい。
【0070】
また、図3に示すように、凹部14内に、高吸収性ポリマー粒子90(これに代えて又はこれととともにパルプ繊維集合体等の他の吸収材を用いても良い)を収容しておくと、液不透過性シート11を透過する蒸気量が低減する、凹部14内にクッション材を有することになるため凹部14の復元性が向上する、液不透過性シート11の表面に達した尿を拡散させずに保持し、吸収要素50の吸収性能を補うことができるため好ましい。この場合、高吸収性ポリマー粒子等の吸収材の収容量は適宜定めることができるが、通常の場合、カップ状凹部14の容積の10〜50%程度とするのが望ましい。
【0071】
なお、図示例のようなテープタイプ使い捨ておむつにおいては、腹側部分Fにおけるファスニングテープ13の連結部位のクッション性が高く、変形が容易であると、胴回りの締め付けが緩み易くなったり、ファスニングテープ13の連結が外れ易くなったりするおそれがある。よって、図示例のように、腹側部分Fにおけるファスニングテープ13の連結部位(図示例ではターゲットシート12Tを有する部位)では、液不透過性シート11に凹部14が形成されておらず、液不透過性シート11と外装シート12とが連続的に接触した状態でしっかりと接合されているのが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、上記例のようなテープタイプ使い捨ておむつの他、パンツタイプ使い捨ておむつやパッドタイプ使い捨ておむつ等、形態を問わず利用可能なものである。
【符号の説明】
【0073】
11…液不透過性シート、12…外装シート、14…凹部、14b…底部、30…表面シート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…側部バリヤーカフス、62…バリヤーシート、70…背側伸縮シート、12T…ターゲットシート、81,82…接合部分、83,84…空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体側表面を形成する透液性トップシートと、液不透過性シートと、これら透液性トップシートと液不透過性シートとの間に配置された、排泄物を吸収保持する吸収要素と、液不透過性シートの裏面にホットメルト接着剤で貼り合わされた不織布からなる外装シートと、を備えた使い捨ておむつにおいて、
前記液不透過性シートは、表裏いずれか一方から他方へ窪むカップ状の凹部が間隔を空けて多数配列されることにより、凹部の開口が間隔を空けて多数配列された第一面と、凹部の突出部分が間隔を空けて多数配列された第二面とを有するものとされており、
前記外装シート及び吸収要素のうち、前記液不透過性シートの第一面に接する方が、前記第一面の凹部とは接合されずに当該第一面の凹部以外の部分と接合されて、前記第一面の凹部内は空間とされ、
前記外装シート及び吸収要素のうち、前記液不透過性シートの第二面に接する方が、前記第二面の凹部の突出部分間とは接合されずに、前記第二面の凹部の底部と接合されて、前記第二面の凹部の突出部分間は空間とされている、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記液不透過性シートの凹部は、表側から裏側へ窪むカップ状をなしている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記液不透過性シートの第一面の接合面積よりも前記液不透過性シートの第二面の接合面積の方が小さい、請求項2記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記凹部内に、繊維集合体及び高吸収性ポリマー粒子の少なくとも一方が収容されている、請求項2又は3記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
背側部分の両側部に設けられたファスニングテープを、腹側部分の外面に連結することにより装着するテープタイプ使い捨ておむつであり、
前記腹側部分における前記ファスニングテープの連結部位では、前記液不透過性シートに凹部が形成されておらず、前記液不透過性シートと前記外装シートとが連続的に接触した状態で接合されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−179068(P2012−179068A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41971(P2011−41971)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】