説明

使い捨ておむつ

【課題】使い捨ておむつの着用後において、補助吸収具の長手方向の端部の左右方向における位置を容易に確認する。
【解決手段】パンツタイプの使い捨ておむつ1では、外装シート4の外側から視認可能であり、かつ、外装シート本体40の左右方向の中央を示す目印部6が、胴部開口弾性部材と吸収体の前部上端および後部上端との間の胴周り部47に設けられる。補助吸収具9が使い捨ておむつ1の内側に装着された場合、補助吸収具9は、使い捨ておむつ1の胴周り部47を介して視認可能である。これにより、使い捨ておむつ1の着用後において、補助吸収具9の長手方向の端部である上端部91の左右方向における位置を容易に確認することができる。また、必要に応じて、補助吸収具9の上端部91の左右方向における位置を容易に修正することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上端に胴部開口を有し、下部に一対の脚部開口を有するパンツタイプの使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品の1つとして、上端に胴部開口を有するとともに下部に一対の脚部開口を有するパンツタイプの使い捨ておむつが利用されている。一方、使い捨ておむつでは、少量の排尿時であってもおむつ全体を交換する必要があるため、使用者にとって経済的な負担が大きくなってしまう。そこで、使い捨ておむつの内側において安価な補助吸収具(いわゆる、尿取りパッド等)により着用者の排泄部を覆い、排泄後に補助吸収具のみを交換することが行われている。
【0003】
特許文献1のパンツ型の使い捨ておむつでは、おむつ本体の使用面(すなわち、補助吸収性物品が装着される面)に、補助吸収性物品の装着位置決め用目印が設けられる。そして、補助吸収性物品の起立カフスの外面側に設けられた位置合わせ用目印を、おむつ本体の装着位置決め用目印に対応させることにより、おむつ本体に対する補助吸収性物品の位置決めが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−307298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のように、着用者に使い捨ておむつを装着する前に補助吸収具を使い捨ておむつの内側に装着する場合、補助吸収具を使い捨ておむつと共に着用者の脚に沿って引っ張り上げる際に、補助吸収具が、内股との接触等により縒れて左右方向にずれてしまうおそれがある。補助吸収具がずれると、着用者からの排泄物が、補助吸収具の外部に漏出してしまい(いわゆる、横漏れが生じてしまい)、使い捨ておむつの交換が必要となる可能性がある。尿等の横漏れを防止するためには、使い捨ておむつの着用後に、補助吸収具の左右方向の位置が調整されることが好ましい。しかしながら、特許文献1のように、使い捨ておむつの使用面側に設けられた目印は、このような補助吸収具の位置調整に使用することはできない。
【0006】
一方、補助吸収具とパンツ型の使い捨ておむつとを着用者に装着する際には、必ずしも、補助吸収具が予め使い捨ておむつの内側に装着されるわけではない。例えば、使い捨ておむつの一対の脚部開口に着用者の脚を挿入し、使い捨ておむつが着用者の足首や膝等に位置している状態で、着用者の股間に補助吸収具が宛がわれる。そして、補助吸収具を着用者自身に押さえておいてもらい、介護者が、使い捨ておむつを引っ張り上げて装着するとともに、補助吸収具を使い捨ておむつにより押さえる。この場合、使い捨ておむつの着用後に、補助吸収具の左右方向の位置が調整される。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、使い捨ておむつの着用後において、補助吸収具の長手方向の端部の左右方向における位置を容易に確認することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、上端に胴部開口を有し、下部に一対の脚部開口を有するパンツタイプの使い捨ておむつであって、前方部および後方部の間の中間部で折り曲げられ、前記中間部を下側に向けた際の前記前方部の左右両側の部位が、前記後方部の左右両側の部位にそれぞれ接合されることにより、前記前方部および前記後方部の上端に胴部開口が形成され、前記前方部および前記後方部の下側において前記中間部の左右に一対の脚部開口が形成される外装シートと、前記外装シートの内側に取り付けられた吸収体とを備え、前記吸収体の前記前方部側の上端である前部上端、および、前記後方部側の上端である後部上端が、前記胴部開口から下方に離間しており、前記外装シートが、外装シート本体と、前記胴部開口のエッジに沿って前記外装シート本体に接合され、収縮することにより胴部開口ギャザーを形成する胴部開口弾性部材と、前記胴部開口弾性部材と前記吸収体の前記前部上端および前記後部上端との間における、前記外装シート本体の胴周り方向の領域である胴周り部の少なくとも一部に、前記胴周り方向に沿って接合され、収縮することにより胴周りギャザーを形成する胴周り弾性部材とを備え、補助吸収具が前記外装シートおよび前記吸収体の内側に装着された場合に、前記補助吸収具が前記胴周り部を介して外側から視認可能であり、前記胴周り部に、外側から視認可能であり、かつ、前記外装シート本体の左右方向の中央を示す目印部が設けられる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の使い捨ておむつであって、前記目印部が、前記外装シート本体の前記左右方向の中央を通る中心線に沿って延びる線状または帯状である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の使い捨ておむつであって、前記目印部が、前記使い捨ておむつに係る製品情報の表示を含む。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の使い捨ておむつであって、使用前に、前記胴部開口と前記中間部の下端との間の折り畳み位置にて、前記後方部が凸となり、かつ、上部と下部とが重なるように折り畳まれており、前記目印部が、前記後方部において、前記胴回り部から前記折り畳み位置まで存在する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の使い捨ておむつであって、前記目印部が、前記胴回り部のみに設けられる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の使い捨ておむつであって、前記目印部が、インクジェット印刷により前記外装シート本体上に設けられたものである。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の使い捨ておむつであって、前記目印部が、前記前方部および前記後方部に設けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、使い捨ておむつの着用後において、補助吸収具の長手方向の端部の左右方向における位置を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る使い捨ておむつの正面図である。
【図2】使い捨ておむつの背面図である。
【図3】展開した状態の使い捨ておむつの平面図である。
【図4】使い捨ておむつの断面図である。
【図5】使い捨ておむつの部分断面図である。
【図6】補助吸収具が装着された使い捨ておむつの正面図である。
【図7】補助吸収具が装着された使い捨ておむつの背面図である。
【図8】第2の実施の形態に係る使い捨ておむつの背面図である。
【図9】折り畳まれた使い捨ておむつを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1および図2はそれぞれ、本発明の第1の実施の形態に係る使い捨ておむつ1の正面図および背面図(すなわち、着用者の腹側および背側に位置する部位の図)である。図1および図2に示すように、使い捨ておむつ1は、上端(すなわち、図1および図2中の上側の端部)に胴部開口11を有し、下部に一対の脚部開口12を有するパンツタイプの吸収性物品であり、着用者からの排泄物を受ける。
【0018】
図3は、使い捨ておむつ1を展開した状態で着用者側から見た平面図である。図3に示すように、使い捨ておむつ1は、外装シート4、および、外装シート4の内側の面(すなわち、着用者側の面)に取り付けられて着用者からの排泄物を吸収する略シート状の吸収体20を備える。
【0019】
使い捨ておむつ1では、図3中の上側の部位が着用者の前側(腹側の肌)を覆い、図3中の下側の部位が着用者の後側(背側の肌)を覆う。以下の説明では、外装シート4の着用者の前側および後側を覆う部位をそれぞれ、「前方部401」および「後方部403」と呼び、前方部401と後方部403との間で前方部401および後方部403から連続するとともに着用者の股間部を覆う部位を「中間部402」と呼ぶ。吸収体20は、外装シート4の前方部401から中間部402を経由して後方部403へと至る。
【0020】
使い捨ておむつ1が製造される際には、外装シート4が吸収体20と共に中間部402にて折り曲げられ、中間部402を下側に向けた際の前方部401の左右両側の端部の内面と、後方部403の左右両側の端部の内面とが、加熱および押圧による熱融着によりそれぞれ接合される。これにより、図1および図2に示すように、前方部401および後方部403の上端に胴部開口11が形成され、前方部401および後方部403の下側において中間部402の左右に一対の脚部開口12が形成される。
【0021】
図4は、使い捨ておむつ1を図3中に示すA−Aの位置(すなわち、中間部402)で切断した断面図である。図4では、図示の都合上、使い捨ておむつ1の各構成を離して描いている。図3および図4に示すように、吸収体20は、略シート状の本体部2、および、本体部2の両側部上(すなわち、左右方向の両側)に配置されて本体部2の長手方向のおよそ全長に亘る一対のサイドシート3を備える。本体部2は、図4に示すように、トップシート21、バックシート23、および、トップシート21とバックシート23との間に配置された吸収コア22を備える。図3では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太破線にて描いている(図1および図2においても同様)。
【0022】
図3に示すように、吸収コア22の長手方向の両端部における幅は、吸収コア22の長手方向の中央部における幅よりも大きい。換言すれば、吸収コア22は、いわゆる砂時計型である。図4のバックシート23はホットメルト接着剤等により外装シート4上に接合され、吸収体20が外装シート4に固定される。
【0023】
一対のサイドシート3はそれぞれ、長手方向の全長に亘って設けられた折り曲げ線39の一方側の部位である帯状の接合部33、および、折り曲げ線39の他方側の部位である側壁部34を備える。一対の接合部33は、本体部2の側方エッジ近傍において長手方向のおよそ全長に亘って本体部2の上側(すなわち、着用者側)にホットメルト接着剤を用いて接合される。一対の側壁部34は、折り曲げ線39である接合部33の左右方向の外側のエッジにて一対の接合部33から連続する部位であり、本体部2の両側部上において本体部2の長手方向のおよそ全長に亘って伸びる。
【0024】
一対の側壁部34はそれぞれ、長手方向における両端部において接合部33上に重ねられ、熱融着接合または超音波接合、あるいは、ホットメルト接着剤等による接着により接合部33上に固定される。側壁部34の自由端には弾性部材35が接合されており、弾性部材35が収縮することによりギャザーが形成される。
【0025】
図5は、使い捨ておむつ1を図3中に示すB−Bの位置で切断した部分断面図である。図5では、使い捨ておむつ1の前側を示す。使い捨ておむつ1の後側の構造は、図5に示す前側の構造と同様である。図5に示すように、外装シート4は、外装シート本体40、並びに、外装シート本体40に接合される胴部開口弾性部材45および胴周り弾性部材44を備える。外装シート4は、また、図3に示すように、外装シート本体40に接合される脚部弾性部材43も備える。
【0026】
図4および図5に示すように、外装シート本体40は、第1外装シート41、および、第1外装シート41の内面上(すなわち、着用者側)に積層されて直接的に接合される第2外装シート42を備える。図5に示すように、第2外装シート42の上端421は、第1外装シート41の上端411から下方に離間する。換言すれば、第2外装シート42の上端421は、胴部開口11(図1および図2参照)から下方に離間する。第2外装シート42の上端421は、吸収体20の前部上端25と重なる、または、第1外装シート41の上端411と吸収体20の前部上端25との間に位置する。使い捨ておむつ1では、吸収体20の前方部401側の上端である前部上端25、および、吸収体20の後方部403側の上端である後部上端26(図2参照)が、胴部開口11から下方に離間する。
【0027】
外装シート本体40は、また、第2外装シート42の上側にて第1外装シート41の内面上に積層されて直接的に接合されるエンドシート5を備える。図3に示すように、エンドシート5は、使い捨ておむつ1の左右方向(すなわち、図3中における横方向)に関して外装シート4の幅のおよそ全体に亘って設けられ、図5に示すように、第1外装シート41および第2外装シート42との間に、吸収体20の上端部を挟んで固定する。
【0028】
胴部開口弾性部材45は、第1外装シート41およびエンドシート5の上端に沿って(すなわち、胴部開口11のエッジに沿って)、第1外装シート41とエンドシート5との間にホットメルト接着剤等により接合される。胴部開口弾性部材45は、上下方向に配列される複数の糸状の胴部開口弾性要素451を備える。図3に示すように、複数の胴部開口弾性要素451のそれぞれは左右方向に伸びる。使い捨ておむつ1では、胴部開口弾性部材45が収縮することにより外装シート本体40が収縮し、着用者に接する胴部開口ギャザーが形成される。
【0029】
図5に示すように、胴周り弾性部材44は、胴部開口弾性部材45と吸収体20の前部上端25との間の領域にて、第1外装シート41とエンドシート5との間にホットメルト接着剤等により接合される。以下の説明では、図1および図2に示す胴部開口弾性部材45と吸収体20の前部上端25との間、および、胴部開口弾性部材45と吸収体20の後部上端26との間における、外装シート本体40の胴周り方向(すなわち、左右方向)の領域を、「胴周り部47」という。図3および図5に示すように、胴周り弾性部材44は、上下方向に配列される複数の糸状の胴周り弾性要素441を備える。複数の胴周り弾性要素441のそれぞれは左右方向に伸びる。換言すれば、胴周り弾性部材44は、胴周り方向に沿って、図1および図2に示す胴周り部47に接合される。使い捨ておむつ1では、胴周り弾性部材44が収縮することにより外装シート本体40が収縮し、着用者の胴周りに接する胴周りギャザーが形成される。
【0030】
使い捨ておむつ1の後側では、上述のように、吸収体20の後部上端26が、胴部開口11から下方に離間しており、吸収体20の後方部403側の上端部は、図3に示すもう1つのエンドシート5と第1外装シート41および第2外装シート42(図5参照)との間に挟まれて固定される。また、胴部開口弾性部材45の複数の胴部開口弾性要素451が、胴部開口11のエッジに沿って外装シート本体40に接合され、胴部開口弾性部材45が収縮することにより胴部開口ギャザーが形成される。胴周り弾性部材44の複数の胴周り弾性要素441は、胴周り部47に胴周り方向に沿って接合され、胴周り弾性部材44が収縮することにより胴周りギャザーが形成される。使い捨ておむつ1では、胴部開口弾性部材45および胴周り弾性部材44が、胴周り方向の全周に亘って設けられる。
【0031】
図1および図2に示すように、脚部弾性部材43は、使い捨ておむつ1の前側および後側において、一対の脚部開口12のエッジに沿って、第1外装シート41と第2外装シート42(図4参照)との間にホットメルト接着剤等により接合される。図3に示すように、脚部弾性部材43は、複数の糸状の脚部弾性要素431を備える。使い捨ておむつ1では、脚部弾性部材43が収縮することにより外装シート本体40が収縮し、着用者の脚周りに接する脚部ギャザーが形成される。
【0032】
図4に示す吸収体20のトップシート21は、透液性のシート材料であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。トップシート21としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布(ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布等)が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0033】
吸収コア22は、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維に粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))や高吸収性ファイバー等の高吸収性材料を混合したものをティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成され、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。親水性繊維を包むティッシュペーパーや透液性不織布等は、親水性繊維および吸水性材料とホットメルト接着剤により接合されて、親水性繊維の型崩れ、および、吸水性材料の脱落(特に、吸水後における脱落)を防止する。本実施の形態では、吸収コア22はパルプ繊維およびSAPを含む。
【0034】
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムが利用され、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外側にしみ出すのを防止する。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、使い捨ておむつ1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0035】
サイドシート3のシート本体としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布)が利用される。弾性部材35としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、本実施の形態では、ポリウレタン糸が弾性部材35として利用される。
【0036】
図5に示す外装シート本体40の第1外装シート41、第2外装シート42およびエンドシート5としては、バックシート23と同様に、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布やプラスチックフィルムが利用され、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。プラスチックフィルムとしては、透湿性(通気性)を有するものが利用されることが好ましい。また、第1外装シート41、第2外装シート42およびエンドシート5として、トップシート21と同様に、親水性繊維により形成された不織布や親水処理した疎水性繊維にて形成された透液性の不織布が利用されてもよい。脚部弾性部材43、胴周り弾性部材44および胴部開口弾性部材45の弾性要素としては、サイドシート3の弾性部材35と同様に、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、本実施の形態ではポリウレタン糸が利用される。
【0037】
図1および図2に示すように、使い捨ておむつ1では、前方部401および後方部403のそれぞれにおいて、外装シート4の外側および内側から視認可能な目印部6が胴周り部47に設けられる。本実施の形態では、目印部6は胴周り部47のみに設けられる。目印部6は、上下方向に交互に配列された複数の目印要素61a,61bを含む。目印要素61aは、円形の図形であり、目印要素61bは、使い捨ておむつ1のサイズ表示(本実施の形態では、Mサイズを示す「M」という文字)である。複数の目印要素61a,61bは、外装シート本体40の左右方向の中央を通る中心線400上において中心線400に沿って略帯状に延びる。目印部6は、胴周り部47の上下方向のおよそ全長に亘り、外装シート本体40の左右方向の中央を示す。本実施の形態では、目印部6は、中心線400上のみに設けられる。
【0038】
目印部6は、インクジェット印刷により外装シート本体40上に設けられる。目印部6の複数の目印要素61a,61bは、外装シート本体40の色とは異なる色のインクにより、第1外装シート41のエンドシート5側とは反対側の面である外面に印刷される。本実施の形態では、外装シート本体40の色は、白色またはベージュのような淡い色であり、複数の目印要素61a,61bは、黒色のインクにより印刷される。
【0039】
使い捨ておむつ1が使用される際には、使い捨ておむつ1の内側、すなわち、外装シート4および吸収体20の内側に補助吸収具が装着されることが多い。図6および図7は、内側に補助吸収具9が装着された使い捨ておむつ1の正面図および背面図である。図6および図7では、補助吸収具9の輪郭を太破線にて描いている。補助吸収具9の外面であるバックシートの色は、使い捨ておむつ1の外装シート本体40とは異なり、緑やピンクの蛍光色のような鮮やかな色である。補助吸収具9は、胴周り部47を介して外装シート4の外側から視認可能である。
【0040】
使い捨ておむつ1および補助吸収具9が着用者に装着される際には、まず、使い捨ておむつ1の一対の脚部開口12に着用者の脚を挿入し、使い捨ておむつ1が着用者の足首や膝等に位置している状態で、着用者の股間に補助吸収具9が宛がわれる。次に、補助吸収具9を着用者自身に押さえておいてもらい、介護者が、使い捨ておむつ1を引っ張り上げて装着するとともに、補助吸収具9を使い捨ておむつ1により押さえる。
【0041】
そして、介護者が、補助吸収具9の後側の上端部92を、使い捨ておむつ1の胴部開口11を介して把持し、使い捨ておむつ1の後方部403に設けられた目印部6を位置決めの基準として、補助吸収具9の上端部92を胴周り部47を介して視認しつつ上端部92の左右方向における位置を調整する。具体的には、補助吸収具9の上端部92の左右方向の中央を目印部6に重ねるとともに、上端部92の左右方向の中央を通る中心線921が目印部6に平行(すなわち、図2中の外装シート本体40の中心線400に平行)となるように位置調整が行われる。また、介護者が、使い捨ておむつ1の前方部401に設けられた目印部6を位置決めの基準として、補助吸収具9の前側の上端部91を、後側の上端部92と同様に、胴周り部47を介して視認しつつ、上端部91の左右方向における位置を調整する。
【0042】
使い捨ておむつ1では、上述のように、外側から視認可能であり、かつ、外装シート本体40の左右方向の中央を示す目印部6が胴周り部47に設けられ、内側に装着された補助吸収具9が胴周り部47を介して視認可能である。これにより、使い捨ておむつ1の着用後において、補助吸収具9の長手方向の端部である上端部91,92の左右方向における位置を容易に確認することができる。また、必要に応じて、補助吸収具9の上端部91,92の左右方向における位置を容易に修正することができる。
【0043】
使い捨ておむつ1では、目印部6が、外装シート本体40の中心線400に沿って延びる帯状であるため、外装シート本体40の中心線400に対する補助吸収具9の上端部91,92の傾きを容易に確認することができる。また、必要に応じて、補助吸収具9の上端部91,92の中心線400に対する傾きを容易に修正することができる。
【0044】
上述のように、目印部6は、使い捨ておむつ1のサイズ表示を含む。目印部6は、使い捨ておむつ1に係るサイズ以外の製品情報の表示を含んでいてもよい。このように、目印部6が製品情報の表示を含むことにより、すなわち、目印部6と使い捨ておむつ1の製品情報の表示とを兼用することにより、使い捨ておむつ1の製造を簡素化し、使い捨ておむつ1の製造コストを低減することができる。また、目印部6が、インクジェット印刷により外装シート本体40上に設けられることにより、様々な形状の目印部6を容易に形成することができる。目印部6の印刷には、顔料インクや染料インク等が利用される。外装シート4の内側からの目印部6の視認を容易とする場合には、外装シート本体40に比較的染みこみやすい染料インクが、目印部6の印刷に利用されることが好ましい。
【0045】
使い捨ておむつ1では、前方部401および後方部403のいずれか一方に目印部6が設けられることにより、目印部6が設けられた側において、使い捨ておむつ1の着用後に、補助吸収具9の上端部の左右方向における位置を容易に確認し、必要に応じて、修正することができる。ただし、前方部401および後方部403の両方に目印部6が設けられることにより、補助吸収具9の前側および後側の上端部91,92の左右方向における位置を容易に確認および調整することができる。このため、目印部6は、前方部401および後方部403の両方に設けられることが好ましい。
【0046】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る使い捨ておむつについて説明する。図8は、第2の実施の形態に係る使い捨ておむつ1aの背面図である。使い捨ておむつ1aでは、後方部403に図2に示す目印部6とは異なる目印部6aが設けられる。前方部401には、図1に示す目印部6と同様の目印部6、または、上述の目印部6aが設けられる。使い捨ておむつ1aの他の構成は、図1および図2に示す使い捨ておむつ1と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
【0047】
目印部6aは、目印部6と同様に、外装シート4の外側および内側から視認可能であり、外装シート本体40の左右方向の中央を示す。目印部6aは、外装シート本体40の中心線400上において、胴周り部47から吸収コア22と重なる位置まで延びる帯状である。目印部6aは、上下方向に配列された複数の目印要素61bを含み、目印要素61bは、使い捨ておむつ1のサイズ表示である。
【0048】
使い捨ておむつ1aは、使用前に、前方部401および後方部403の左右方向の両端部が前方部201側に折り畳まれ、さらに、胴部開口11と中間部402の下端との間の折り畳み位置105にて、図9に示すように、後方部403が凸となり、かつ、上部と下部とが重なるように折り畳まれている。図8および図9では、折り畳み位置105を二点鎖線にて示す。本実施の形態では、使い捨ておむつ1aは、図8に示すように、一対の脚部開口12の上端を通って左右方向に延びる(すなわち、前方部401および後方部403と中間部402との境界におよそ位置する)直線状の折り畳み位置105にて、後方部403を外側にして折り畳まれる。
【0049】
介護施設や病院等のように、多数の使い捨ておむつを使用する施設では、使用前の複数の使い捨ておむつが、上述のように折り畳まれた状態で保管場所の棚等に積み重ねられている。使い捨ておむつ1aでは、図8および図9に示すように、目印部6aが、後方部403において、胴周り部47から折り畳み位置105まで存在する。これにより、使用前の複数の使い捨ておむつ1aが、折り畳み位置105にて折り畳まれて積み重ねられている場合であっても、折り畳み位置105の目印要素61bを容易に確認することができる。その結果、使い捨ておむつ1aの製品情報を容易に確認することができる。なお、使い捨ておむつ1aが、前方部401が凸となるように折り畳まれる場合は、目印部6aが、前方部401において胴周り部47から折り畳み位置105まで設けられることにより、折り畳み位置105の目印要素61bを容易に確認することができる。
【0050】
一方、第1の実施の形態に係る使い捨ておむつ1では、目印部6が胴周り部47のみに設けられることにより、目印部6を小さくすることができ、使い捨ておむつ1の製造コストを低減することができる。第2の実施の形態に係る使い捨ておむつ1aでも、折り畳み位置105よりも下側に目印部6aが設けられないことにより、より具体的には、折り畳み位置105よりも下側に全体が位置する目印要素61bが設けられないことにより、目印部6aを小さくすることができ、使い捨ておむつ1aの製造コストを低減することができる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0052】
目印部に含まれる目印要素は、上述の文字や図形以外の様々な形状であってよい。また、目印部は、必ずしも使い捨ておむつに係る製品情報を含む必要はない。目印部は、単一の図形や文字であってもよい。例えば、目印部は、外装シート本体40の中心線400上において中心線400に沿って延びる1つの帯状の図形や1つの線状の図形(直線や波線等)であってもよい。目印部は、外装シート本体40の左右方向の中央を認識可能に示すのであれば、必ずしも中心線400上に設けられる必要はなく、例えば、中心線400の左右両側にて中心線400に対して線対称に配置され、中心線400に沿って延びる2本の線状または帯状の図形であってもよい。
【0053】
このように、目印部が中心線400に沿って延びる線状または帯状であることにより、外装シート本体40の中心線400に対する補助吸収具9の上端部91,92の傾きを容易に確認し、必要に応じて容易に修正することができる。なお、目印部が中心線400の左右両側に配置される複数の図形等を含む場合、当該複数の図形は、中心線400近傍に配置されることが好ましい。これにより、使い捨ておむつ1の着用時に、これらの図形の変形が抑制され、外装シート本体40の左右方向の中央をより容易に確認することができる。また、目印部は、外装シート本体40の左右方向の中央を示すのであれば、線状または帯状には限定されず、例えば、胴周り部47において外装シート本体40の中心線400上に配置される円等の1つの目印要素であってもよい。
【0054】
目印部は、胴回り部47を含む領域に設けられるのであれば、例えば、胴部開口11から中間部402の下端まで設けられてもよいが、使い捨ておむつ1,1aのように、中間部402に目印部を設けず、胴回り部47のみ、または、胴回り部47から折り畳み位置105までの領域のみに目印部を設けることにより、インクの使用量を低減するとともに着用者の羞恥心を軽減することができる。
【0055】
目印部は、外装シート4の外側から視認可能であるならば、第1外装シート41の内面やエンドシート5の外面または内面に対するインクジェット印刷により設けられてもよい。また、目印部は、必ずしもインクジェット印刷により設けられる必要はない。例えば、第1外装シート41とエンドシート5との間に、外装シート本体40と異なる有色のホットメルト接着剤が帯状に塗布され、あるいは、有色の不織布等の部材が接合され、当該ホットメルト接着剤や有色部材が目印部とされてもよい。
【0056】
使い捨ておむつを丸めて廃棄する際に形状保持に利用される廃棄用テープが、外装シート4の外面に設けられている場合、当該廃棄用テープを胴周り部47において外装シート本体40の中心線400上に配置することにより、当該廃棄用テープが目印部とされてもよい。このように、目印部と廃棄用テープとを兼用することにより、使い捨ておむつの製造を簡素化し、使い捨ておむつの製造コストを低減することができる。なお、廃棄用テープの色は、外装シート本体40の色と異なることが好ましいが、外装シート本体40の左右方向の中央を示すことができるのであれば、外装シート本体40と同系色であってもよい。
【0057】
胴周り弾性部材44は、必ずしも胴周り部47の胴周り方向の全周に亘って設けられる必要はなく、胴周り部47の少なくとも一部に胴周り方向に沿って接合されていればよい。外装シート4では、第2外装シート42の上端421が第1外装シート41の上端411とおよそ一致し、エンドシート5が第2外装シート42の内面に接合されてもよい。この場合、胴周り弾性部材44は、第1外装シート41と第2外装シート42との間、または、第2外装シート42とエンドシート5との間に接合される。
【0058】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0059】
1,1a 使い捨ておむつ
4 外装シート
6,6a 目印部
9 補助吸収具
11 胴部開口
12 脚部開口
20 吸収体
25 前部上端
26 後部上端
40 外装シート本体
44 胴周り弾性部材
45 胴部開口弾性部材
47 胴周り部
105 折り畳み位置
400 中心線
401 前方部
402 中間部
403 後方部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に胴部開口を有し、下部に一対の脚部開口を有するパンツタイプの使い捨ておむつであって、
前方部および後方部の間の中間部で折り曲げられ、前記中間部を下側に向けた際の前記前方部の左右両側の部位が、前記後方部の左右両側の部位にそれぞれ接合されることにより、前記前方部および前記後方部の上端に胴部開口が形成され、前記前方部および前記後方部の下側において前記中間部の左右に一対の脚部開口が形成される外装シートと、
前記外装シートの内側に取り付けられた吸収体と、
を備え、
前記吸収体の前記前方部側の上端である前部上端、および、前記後方部側の上端である後部上端が、前記胴部開口から下方に離間しており、
前記外装シートが、
外装シート本体と、
前記胴部開口のエッジに沿って前記外装シート本体に接合され、収縮することにより胴部開口ギャザーを形成する胴部開口弾性部材と、
前記胴部開口弾性部材と前記吸収体の前記前部上端および前記後部上端との間における、前記外装シート本体の胴周り方向の領域である胴周り部の少なくとも一部に、前記胴周り方向に沿って接合され、収縮することにより胴周りギャザーを形成する胴周り弾性部材と、
を備え、
補助吸収具が前記外装シートおよび前記吸収体の内側に装着された場合に、前記補助吸収具が前記胴周り部を介して外側から視認可能であり、
前記胴周り部に、外側から視認可能であり、かつ、前記外装シート本体の左右方向の中央を示す目印部が設けられることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
請求項1に記載の使い捨ておむつであって、
前記目印部が、前記外装シート本体の前記左右方向の中央を通る中心線に沿って延びる線状または帯状であることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の使い捨ておむつであって、
前記目印部が、前記使い捨ておむつに係る製品情報の表示を含むことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項4】
請求項3に記載の使い捨ておむつであって、
使用前に、前記胴部開口と前記中間部の下端との間の折り畳み位置にて、前記後方部が凸となり、かつ、上部と下部とが重なるように折り畳まれており、
前記目印部が、前記後方部において、前記胴回り部から前記折り畳み位置まで存在することを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の使い捨ておむつであって、
前記目印部が、前記胴回り部のみに設けられることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の使い捨ておむつであって、
前記目印部が、インクジェット印刷により前記外装シート本体上に設けられたものであることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の使い捨ておむつであって、
前記目印部が、前記前方部および前記後方部に設けられることを特徴とする使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−245133(P2012−245133A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118679(P2011−118679)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】