説明

使い捨ておむつ

【課題】おむつ表面に吸収パッドを敷く際、容易に吸収パッドの側部を立体ギャザーの下に収めることができる、使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】上記課題は、トップシート11の表面に固定された付根部分17と、この付根部分17から突出する突出部分18と、この突出部分18のうち前後端部にそれぞれ設けられ、トップシート11の表面に対して剥離可能に固定されたパッド連結部40と、突出部分18のうち前後のパッド連結部40間に位置する非固定の自由部分19と、この自由部分19の少なくとも先端部に、前後方向に伸張した状態で固定されたギャザー弾性伸縮部材16とを有する立体ギャザーBSを備え、トップシート11の表面に吸収パッド50を敷くときに、パッド連結部40をトップシート11の表面から剥離して吸収パッド50の側部表面に連結するように構成されることにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内面に吸収パッドを敷く際、容易に吸収パッドの側部を立体ギャザーの下に収めることができる等の利点を有する、使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつにおいては、吸収体を含む本体部の表面の両側部に、身体側に突出する立体ギャザーがそれぞれ前後方向に沿って延在しているものが一般的となっている(例えば特許文献1参照)。このような立体ギャザーを備えることによって、両立体ギャザー間に排泄物が留まり、特に着用者の脚周り部からの排泄物の漏れが防止される。
【0003】
また、使い捨ておむつにおいては、少量排泄時におむつ全体を交換せずに済むように、アウター使い捨ておむつの表面に尿吸収を目的とした吸収パッド(パッドタイプの使い捨ておむつである)を敷いて使用することがあり、吸収パッドの裏面に設けられた粘着剤層や面ファスナー(メカニカルファスナー)のフック材(オス材)等の係止手段により、吸収パッドをアウター使い捨ておむつの表面に固定することが一般的となっている。このような利用形態は、成人向けの使い捨ておむつに多いものである。
【0004】
立体ギャザーを備えたアウター使い捨ておむつの表面に吸収パッドを敷く場合、吸収パッドのみで確実に吸収することを考慮するならば、吸収パッドの両側部が立体ギャザーの下に収まる程度に吸収パッドの幅が広い方が好ましい。
【0005】
しかし、アウター使い捨ておむつに対して十分に幅の広い吸収パッドを装着する場合、アウター使い捨ておむつの立体ギャザーの上に吸収パッドが載らないように、吸収パッドの両側部を立体ギャザーの下に差し込むことが必要であり、その作業が煩雑であるという問題点があった。特にいわゆるパンツタイプ使い捨ておむつにおいては、装着の際におむつが展開しないこと、及びそれにより立体ギャザーの幅が狭い状態で装着することもあって、吸収パッドを立体ギャザーの下に差し込むことが困難である場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4514620号公報
【特許文献2】特開2005−270377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の主たる課題は、おむつ表面に吸収パッドを敷く際、容易に吸収パッドの側部を立体ギャザーの下に収めることができる、使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
吸収体を含む本体部の表面の幅方向両側部に、立体ギャザーがそれぞれ前後方向に沿って延在している、使い捨ておむつにおいて、
前記立体ギャザーは、本体部の表面に固定された付根部分と、この付根部分から突出する突出部分と、この突出部分のうち前後端部にそれぞれ設けられ、倒伏状態で本体部の表面に対して剥離可能に固定されたパッド連結部と、前記突出部分のうち前後の前記パッド連結部間に位置する非固定の自由部分と、この自由部分の少なくとも先端部に、前後方向に伸張した状態で固定されたギャザー弾性伸縮部材とを有し、
本体部の表面に吸収パッドを敷くときに、前記パッド連結部を本体部の表面から剥離して吸収パッドの側部表面に連結するように構成された、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【0009】
(作用効果)
本発明の使い捨ておむつをアウターとしてその表面に吸収パッドを敷くときには、パッド連結部を本体部の表面から剥離して吸収パッドの側部表面に連結することができる。よって、容易に吸収パッドの側部を立体ギャザーの下に収めることができるだけでなく、その立体ギャザーを吸収パッドの側部に一体化させ、吸収パッドの立体ギャザーとして機能させることができる。しかも、パッド連結部は立体ギャザーの自由部分ではなく倒伏状態で固定される前後端部に設けられているため、吸収パッドが立体ギャザーを備えたものである場合にはその外側に独立の立体ギャザーを付加した状態となり、立体ギャザーを幅方向に二列相互独立に設けた状態と同じになるため、脚周りに対するフィット性がより一層のものとなる。また、立体ギャザーはパッド連結部により吸収パッドに連結されるため、装着中に立体ギャザーが丸まったり、めくれたりし難く、また吸収パッドがずれて立体ギャザーの上に乗るような事態も起こりにくい。他方、吸収パッドを使用しないときには、パッド連結部を本体部の表面に固定した状態にしておけば、立体ギャザーは通常の使い捨ておむつと同様に起立(つまり、ギャザー弾性伸縮部材の収縮力が立体ギャザーの突出部分の前後端部を引き寄せるように作用して立体ギャザーが弾力的に起立)し、横モレ防止効果を発揮することとなる。
【0010】
<請求項2記載の発明>
前記パッド連結部は、前記立体ギャザーの突出部分の内面に設けられた面ファスナーのフック材を、前記吸収パッドの表面に対する連結手段及び前記本体部の表面に対する固定手段を兼ねるものとして有するものであり、
本体部の表面における前記パッド連結部と対面する部位に設けられた面ファスナーのフック材を、前記吸収パッドの裏面に対する連結手段及び前記立体ギャザー内面に対する固定手段を兼ねるパッド連結部として備えており、
これら立体ギャザーに設けられた面ファスナーのフック材及び本体部の表面に設けられた面ファスナーのフック材のうち、いずれか一方の少なくとも一部が他方の縁よりはみ出している、
請求項1記載の使い捨ておむつ。
【0011】
(作用効果)
このように、立体ギャザー及び本体部表面の両方に対面するようにパッド連結部を設けることにより吸収パッドをより強固に連結し、本体部表面に固定することができる。ただしこの場合、対面するパッド連結部の面ファスナーのフック材がぴったりと一致すると、吸収パッドを使用しないときのパッド連結部同士の係合が緩くなり、剥がれて立体ギャザーが倒れてしまうおそれがある。よって、上述のように、いずれか一方の面ファスナーのフック材の少なくとも一部を他方の縁よりはみ出させ、立体ギャザー又は本体部表面の面ファスナーのフック材のはみ出し部分を対面のフック材ではなく本体部表面又は立体ギャザー内面に対して固定する構造とするのは好ましい。
【0012】
<請求項3記載の発明>
前記パッド連結部は、前記立体ギャザーの内面に折り畳まれた状態で取り付けられており、かつ展開することにより前記立体ギャザーよりも幅方向中央側に突出するように構成された、請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
【0013】
(作用効果)
このように、パッド連結部を展開可能とすることにより、立体ギャザーの幅方向間隔よりも狭い吸収パッドも固定することができ、より広範な寸法の吸収パッドを利用できるようになる。
【0014】
<請求項4記載の発明>
前記パッド連結部は、前記立体ギャザーの突出部分の内面に設けられた面ファスナーのフック材を、前記パッドの表面に対する連結手段として有するものであり、
前記立体ギャザーの突出部分のうち前後端部に、立体ギャザーの内面と本体部表面とが接着剤により剥離可能に固定されて形成された液止め領域を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0015】
(作用効果)
パッド連結部の連結手段として面ファスナーのフック材を用いると、吸収パッドを強固に固定できるとともにパッド連結部の連結及び剥離を繰り返し行うことができるため好ましい。しかし、面ファスナーのフック材は表面に沿う方向には通液性を有するため、これを立体ギャザーの内面に設けた場合、立体ギャザーの前後端部から漏れが発生するおそれがある。よって、このような場合は、上述のように接着剤による液止め領域を設けて、立体ギャザーの前後端部からの漏れを防止するのは好ましい。
【0016】
<請求項5記載の発明>
前身頃及び後身頃を有する外装シートと、この外装シートの内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、この内層体の両側部に前記立体ギャザーがそれぞれ設けられたパンツタイプ使い捨ておむつである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0017】
(作用効果)
このようなパンツタイプ使い捨ておむつにおいては、装着の際におむつが展開しないこと、及びそれにより立体ギャザーの幅が狭い状態で装着することもあって、吸収パッドを立体ギャザーの下に差し込むことが困難である場合が多い。よって、本発明の立体ギャザーのパッド連結部は、このようなパンツタイプ使い捨ておむつに好適である。
【発明の効果】
【0018】
以上のとおり、本発明によれば、おむつ表面に吸収パッドを敷く際、容易に吸収パッドの側部を立体ギャザーの下に収めることができる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】吸収パッドの展開状態の内面側を示す平面図である。
【図2】吸収パッドの展開状態の外面側を示す平面図である。
【図3】図1のY−Y断面図である。
【図4】図1のZ−Z断面図である。
【図5】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(内面側)である。
【図6】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。
【図7】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの要部平面図である。
【図8】図1のC−C断面図である。
【図9】図1のA−A断面図である。
【図10】図1のB−B断面図、及びD−D断面図である。
【図11】パンツタイプ使い捨ておむつの装着状態の斜視図である。
【図12】吸収パッド装着状態を示す、内装体の平面図である。
【図13】図12のB−B断面位置における断面図である。
【図14】吸収パッド装着状態を示す、内装体の一部破断平面図である。
【図15】吸収パッド装着状態(左半分)及び吸収パッド非装着状態(右半分)を示す、図14のB−B断面位置における断面図である。
【図16】吸収パッド装着状態を示す、内装体の平面図である。
【図17】吸収パッド装着状態を示す、図16のB−B断面位置における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。なお、ホットメルト接着剤による接着箇所のうち説明上必要と認めた箇所については断面図中に×印を付している。
(吸収パッドの例)
図1〜4は、吸収パッドの一例50を示している。この吸収パッド50は、後述するパンツタイプ使い捨ておむつ1等のアウター使い捨ておむつの内面に敷いて使用されることを想定したものであり、股間部C2と、その前後両側に延在する前側部分F2及び背側部分B2とを有するものである。なお、吸収パッドにおける「股間部」とは使用時に身体の股間と対応させる部分を意味し、殆ど多くの製品では前後方向中央部及びその前後近傍の部分である。具体的には、成人向け製品の場合、製品の前後方向中央を基準として前側に220mm、後側に30mmの範囲である。また、「腹側部分」及び「前側部分」は股間部よりも前側の部分を意味し、「背側部分」及び「後側部分」は股間部よりも後側の部分を意味する。
【0021】
各部の寸法は適宜定めることができ、例えば、パッド全長L2(前後方向長さ)は450〜630mm程度、パッド全幅W2は135〜320mm程度(ただし、おむつの吸収面の幅より狭い)とすることができ、この場合における股間部C2の前後方向長さは150〜180mm程度、腹側部分F2の前後方向長さは120〜200mm程度、及び背側部分B2の前後方向長さは180〜280mm程度とすることができる。
【0022】
吸収パッド50は、外面に外装シート55が積層された不透液性バックシート51の内面と、透液性トップシート52との間に、吸収体53が介在された基本構造を有している。
【0023】
吸収体53としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。必要に応じて、吸収体53はクレープ紙(図示せず)により包むことができる。また、吸収体53の形状は、股間部の幅が相対的に狭く括れた形状、あるいは長方形状、台形状等、適宜の形状とすることができる。図示形態の吸収体53は一層構造とされているが、下層吸収体とその上に積層された上層吸収体とからなる二層構造であっても良い。
【0024】
吸収体53における繊維目付け及び吸収性ポリマーの目付けは適宜定めることができるが、繊維目付けは200〜600g/m2程度とするのが好ましく、また吸収性ポリマーの目付けは100〜300g/m2程度とするのが好ましい。
【0025】
吸収体53の裏面側には、不透液性バックシート51が吸収体53の周縁より若干食み出すように設けられている。不透液性バックシート51としては、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
【0026】
また、不透液性バックシート51の外面は、不織布からなる外装シート55により覆われており、この外装シート55は、所定の食み出し幅をもってバックシート51の周縁より外側に食み出している。外装シート55としては各種の不織布を用いることができる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。外装シート55は省略することもでき、その場合、不透液性バックシート51が吸収パッド50裏面を構成することになる。
【0027】
吸収パッド50の裏面には、使い捨ておむつの表面に連結するためのズレ止め部56が設けられている。このズレ止め部56は、面ファスナーのフック材や粘着剤により形成することができる。
【0028】
吸収体53の表面側は、透液性トップシート52により覆われている。図示形態ではトップシート52の側縁から吸収体53が一部食み出しているが、吸収体53の側縁が食み出さないようにトップシート52の幅を広げることもできる。トップシート52としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0029】
吸収パッド50の前後方向両端部では、外装シート55および透液性トップシート52が吸収体53の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在されて貼り合わされ、吸収体53の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。吸収パッド50の両側部では、外装シート55が吸収体53の側縁よりも外側にそれぞれ延在され、この延在部からトップシート52の側部までの部分の内面には、立体ギャザーを形成するためのギャザーシート54の幅方向外側の部分54xが前後方向全体にわたり貼り付けられ、吸収体53の存在しないサイドフラップ部SFを構成している。これら貼り合わせ部分は、図3及び図4では点模様で示されており、ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールにより形成できる。これらエンドフラップ部EF及びサイドフラップ部SFは、本発明の周縁部をなし、これらにより囲まれる部分が本発明の本体部をなす。外装シート55を設けない場合、外装シート55に代えて不透液性バックシート51をサイドフラップ部SFまで延在させ、サイドフラップ部SFの外面側を形成することができる。
【0030】
ギャザーシート54の素材としては、プラスチックシートやメルトブローン不織布を使用することもできるが、肌への感触性の点で、不織布にシリコンなどにより撥水処理をしたものが好適に使用される。
【0031】
ギャザーシート54の幅方向中央側の部分54cはトップシート52上にまで延在しており、その幅方向中央側の端部には、細長状弾性部材54Gが前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この細長状弾性部材54Gとしては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。
【0032】
また、両ギャザーシート54,54は、幅方向外側の部分54xが前後方向全体にわたり物品内面(図示形態ではトップシート52表面および外装シート52内面)に貼り合わされて固定されるとともに、幅方向中央側の部分54cが、前後方向の両端部では物品内面(図示形態ではトップシート52表面)に貼り合わされて固定され、かつ前後方向の両端部間では物品内面(図示形態ではトップシート52表面)に固定されていない。この非固定部分は、図4に示されるように、物品内面(図示形態ではトップシート52表面)に対して起立可能なバリヤ部となる部分であり、その起立基端54bはギャザーシート54における幅方向外側の固定部分54xと内側の部分54cとの境に位置する。
【0033】
(使い捨ておむつの例)
図5〜図11はパンツタイプ使い捨ておむつの一例1を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ1(以下、単におむつともいう。)は、前身頃F及び後身頃Bを有する外装シート20と、この外装シート20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性トップシート11と液不透過性バックシート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装シート20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤Gなどの接合手段によって固定された後に、内装体10および外装シート20が前身頃F及び後身頃Bの境界である縦方向(前後方向)中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着またはホットメルト接着剤などによって接合されることによって、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつとなる。
【0034】
(外装シート)
外装シート20は適宜構成することができる。例えば外装シート20は、図8〜図10にも示されるように、上層不織布20A及び下層不織布20B(つまり、この形態では下層不織布が最外側不織布となる)からなる2層構造の不織布シートとされ、上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間、及び下層不織布20Bをウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cの不織布間に各種弾性部材が配設され、伸縮性が付与されたものとすることができる。外装シート20の平面形状は、中間両側部に夫々脚部開口を形成するために形成された凹状の脚回りライン29により、全体として擬似砂時計形状をなしている。
【0035】
特に、図示形態の外装シート20においては、弾性部材として、図5〜図7に示される展開形状において、ウエスト開口部近傍23に配置されたウエスト部弾性部材24,24…と、前身頃F及び後身頃Bに、縦方向に間隔をおいて幅方向に沿って配置された複数の腰回り弾性部材25,25…とを有するとともに、前身頃F及び後身頃Bのそれぞれにおいて、腰回り弾性部材群25,25…とは別に、前身頃Fと後身頃Bとを接合する両側部接合縁から幅方向中央に向かうにつれて反対の身頃側へ向かうように湾曲しつつ、内装体10の両側部と重なる部位まで延在するとともに、互いに交差することなく間隔をおいて配置された複数本の湾曲弾性部材26…、28…を備えている。なお、本外装シート20では、脚回りライン29に沿って実質的に連続する、所謂脚回り弾性部材は設けられていない。
【0036】
ウエスト部弾性部材24,24…は、前身頃Fと後身頃Bとが接合された側部接合縁21、22の範囲の内、ウエスト開口縁近傍に上下方向に間隔をおいて配設された複数条の糸ゴム状弾性部材であり、身体のウエスト部回りを締め付けるように伸縮力を与えることによりおむつを身体に装着するためのものである。このウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えばテープ状の伸縮部材を用いてもよい。また、図示形態のウエスト部弾性部材24,24…は、ウエスト部における下層不織布20Bの折り返し部分20Cの不織布間に挟持されているが、上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間に挟持しても良い。
【0037】
腰回り弾性部材25,25…は、側部接合縁21、22の内、概ね上部から下部までの範囲に亘り、上下方向に間隔をおいて幅方向に沿って配設された糸ゴム状の弾性部材であり、前身頃F及び後身頃Bの腰回り部分に夫々幅方向の伸縮力を与え、おむつを身体に密着させるためのものである。なお、ウエスト部弾性部材24、24…と腰回り弾性部材25、25…との境界は必ずしも明確でなくてよい。例えば、前身頃F及び後身頃Bに上下方向に間隔をおいて幅方向に配置された弾性部材の内、数は特定できなくても、上部側の何本かがウエスト部弾性部材として機能し、残りの弾性部材が腰回り弾性部材として機能していればよい。
【0038】
後身頃Bにおいて、腰回り弾性部材25,25…とは別に配設された背側湾曲弾性部材26、26…は、その長手方向中間に縦方向との鋭角側交差角θ(以下、縦方向交差角ともいう)が最小となる最小点を有するとともに、この最小点から幅方向両側に向かうにつれて縦方向交差角θが0度〜90度の範囲内で増加する所定の曲線であって、且つおむつを展開した状態で内装体の両側部と重なる領域内に縦方向交差角θが60°以下となる交差部分35を有する所定の曲線に沿って配置されているものである。背側湾曲弾性部材26は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では5本の糸ゴム状弾性部材であり、これら背側湾曲弾性部材26、26…は互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この背側湾曲弾性部材群26、26…は、2,3本程度の弾性伸縮部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように5〜25mm、好ましくは5〜16mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。
【0039】
外装シート20の前身頃Fにおいて、腰回り弾性部材群25,25…とは別に配設された腹側湾曲弾性部材28,28…も、その長手方向中間に縦方向との縦方向交差角θが最小となる最小点を有するとともに、この最小点から幅方向両側に向かうにつれて縦方向交差角θが0度〜90度の範囲内で増加する所定の曲線であって、且つおむつを展開した状態で内装体の両側部と重なる領域内に縦方向交差角θが60°以下となる交差部分35を有する所定の曲線に沿って配置されている。腹側湾曲弾性部材28,28…は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では5本の糸状弾性部材であり、これら腹側湾曲弾性部材28,28…は、互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この腹側湾曲弾性部材群28、28…も、2,3本程度の弾性伸縮部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように5〜25mm、好ましくは5〜16mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。
【0040】
なお、図示例では、前身頃F及び後身頃Bに配置された腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…、28…は、内装体10を横切る部分には設けられておらず、当該部分が非伸縮領域とされている。このように、弾性部材を有しない又は設けられていない形態には、弾性部材が存在しない形態の他、弾性部材は存在するが収縮力が作用しない程度に細かく切断させている形態も含まれる。例えば、後者の例としては、腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…、28…を、一方側の側部接合縁22から内装体10を横切って他方(反対)側の側部接合縁22まで連続的に設けた後に、内装体10を横切る部分の一部又は全部を切断し、不連続とする一般的な形態が含まれる。弾性部材を内装体10と重なる部分で不連続とすることにより、内装体(特に吸収体13)の幅方向の縮こまりをより防止することができる。もちろん、腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…、28…を、内装体10を横切って連続的に配置することもできる。
【0041】
上述した外装シート20は、例えば特開平4−28363号公報や、特開平11−332913号公報記載の技術により製造することができる。また、湾曲弾性部材26・、28・を内装体10上で切断し不連続化するには、特開2002−35029号公報、特開2002−178428号公報及び特開2002−273808号公報に記載される切断方法が好適に採用される。
【0042】
図示例とは異なり、湾曲弾性部材を、前身頃F及び後身頃Bのいずれか一方にのみ設けるだけでも良い。また、湾曲弾性部材26…、28…を、前身頃F及び後身頃Bの両方に設ける場合、前身頃F側に配置された湾曲弾性部材の群の一部又は全部と、後身頃B側に配置された湾曲弾性部材Bの群の一部又は全部とが交差する形態(図示せず)も採用できるが、図示例のように、前身頃F側に配置された湾曲弾性部材28の群と、後身頃B側に配置された湾曲弾性部材Bの群とは互いに交差することなく前後方向中間部、特に前身頃Fに若干偏った位置で縦方向に離間している形態が好適であり、その縦方向離間範囲33における最小縦方向離間距離は5〜20mm程度とし、この部分に後述する広幅の固定領域を設けるのが好ましい。
【0043】
さらに、湾曲弾性部材26…、28…は図示例のようにその全体が湾曲していなくても良く、部分的に直線状の部分を有していても良い。
【0044】
(内装体と外装シートとの固定)
内装体10の裏面はその全体を外装シート20に固定する他、一部を非固定とするなど、その固定領域は適宜定めることができる。図7は固定領域の一例を示しており、おむつを展開した状態で、湾曲弾性部材26…、28…と縦方向との鋭角側交差角θが60°以下となる交差部分35(図7で二点鎖線で囲まれた点模様部分)のうち80%以上の縦方向範囲(図示例では全縦方向範囲)では、外装シート20と内装体10とが非固定とされ、これ以外の部分30,31,32において外装シート20と内装体10とがホットメルト接着剤等の接合手段により固定されている。これにより、湾曲弾性部材26…、28…の収縮力が内装体10の側部に殆ど又は全く加わらなくなり、その結果、湾曲弾性部材26…、28…と内装体10の両側部とが重なる領域においてもおむつの厚み及び硬さが周囲と同程度となり、内装体10の内面に横皺も発生し難くなる。なお、交差部分35のうち80%以上の縦方向範囲が固定部となる限り、図示例のように全体にわたり連続的に固定する形態だけでなく、交差部分のうちの一部を非固定としたり、また交差部分内で間欠的に固定したりすることも可能である。
【0045】
他方、上述のように、交差部分35を含む範囲に非固定領域36を設けると、交差部分35と同じ縦方向範囲では、外装シート20と内装体10との固定領域が少なくならざるを得ない。よって、おむつを展開した状態で、縦方向の位置が交差部分35と同じ範囲では、交差部分35の幅方向中央側に、弾性部材を有しない非伸縮領域を設けるとともにその部分を外装シート20と内装体10との固定領域30とし、縦方向の位置が交差部分35のウエスト側の範囲では、交差部分35の幅方向中央側縁よりも幅方向外側から交差部分35の幅方向中央側にかけて、弾性部材を有しない非伸縮領域を設けるとともにその部分を外装シート20と内装体10との固定領域31とするのが望ましい。具体的には、図示例のように、外装シート20と内装体10との固定幅を、交差部分35と同じ縦方向範囲では幅方向両側の交差部分35間の間隔以下とし、交差部分35のウエスト側ではそれよりも広くする(図示例のように段階的に拡大しても良いし、連続的に拡大しても良い)ことを提案する。これにより、内装体10の固定がより強固となる。
【0046】
また、前身頃F及び後身頃Bにそれぞれ湾曲弾性部材26…、28…を配置するとともに、前後の湾曲弾性部材26…、28…を互いに交差させずに縦方向離間範囲33を確保するとともに、この縦方向離間範囲33においても、交差部分35の幅方向中央側縁よりも幅方向外側から交差部分35の幅方向中央側にかけて、弾性部材を有しない非伸縮領域を設けるとともにその部分を外装シート20と内装体10との固定領域32とし、縦方向離間範囲33における固定幅を、交差部分35と同じ縦方向範囲における固定幅よりも広くすることも提案される。これにより、内装体10の固定をより一層強固にすることができる。
【0047】
(内装体)
内装体10は、図8〜図10に示すように、不織布などからなる液透過性トップシート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性バックシート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、トップシート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。
【0048】
吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆う液透過性トップシート11としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。液透過性トップシート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。液透過性トップシート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在している。
【0049】
吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆う液不透過性バックシート12は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられ、近年ではムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートとしては、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に炭酸カルシウム等の無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを例示することができる。
【0050】
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができ、図示例では平面形状を略方形状として成形されたものが使用され、その幅寸法は股間部への当たりによって着用者にゴワ付き感を与えない寸法幅となっている。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。吸収体13の形状は、図示形態のように長方形状とする他、背側及び腹側に対して股間部の幅が狭い砂時計形状(括れ形状)とすることもできる。
【0051】
(立体ギャザー及びパッド連結部)
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザーBSが形成されている。この立体ギャザーBSはギャザーシート15により形成される。ギャザーシート15としては、図9及び図10に示されるように、折返しによって二層構造とされた不織布が好適に用いられる。より詳細には、この立体ギャザーBSは、液透過性トップシート11によって巻き込まれた吸収体13の側縁部をさらにその上側から巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在してホットメルト接着剤等によって接着された付根部分17と、この付根部分17からトップシート11上に突出する突出部分18と、この突出部分18のうち前後端部の内面にそれぞれ設けられ、倒伏状態でトップシート11表面に対して剥離可能に固定されたパッド連結部40と、突出部分18のうち前後のパッド連結部40間に位置する非固定の自由部分19と、この自由部分19の少なくとも先端部に、前後方向に伸張した状態で固定されたギャザー弾性伸縮部材16とを有している。
【0052】
ギャザーシート15を不織布で構成する場合、その構成繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザーシート15に不織布を用いる場合は、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
【0053】
ギャザー弾性伸縮部材16は、製品状態において図9に二点鎖線で示すように、弾性伸縮力により吸収体側縁部より突出する自由部分を起立させて立体ギャザーBSを形成するためのものである。ギャザー弾性伸縮部材16としては、糸状等の細長状のものが好適に使用され、例えばスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル、天然ゴム等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、伸長率(自然長を100%としたときの値)は150〜350%、間隔は7.0mm以下として複数本配設するのがよい。なお、糸状弾性伸縮部材に代えて、ある程度の幅を有するテープ状弾性伸縮部材を用いるようにしてもよい。ギャザー弾性伸縮部材は、二層構造とされたギャザーシート15の層間に、前後方向に伸長した状態で挟持固定することができる。
【0054】
パッド連結部40は、トップシート11上に敷かれる吸収パッド50の側部表面に連結される部分であり、その連結手段は特に限定されず、粘着剤を用いることもできるが、連結対象が不織布の場合には吸収パッド50を強固に固定できるとともにパッド連結部40の連結及び剥離を繰り返し行うことができる点で、図示例のように面ファスナーのフック材が好適である。この場合、パッド連結部40は、吸収パッド50の表面に対する連結手段だけでなく、立体ギャザーBSの突出部分18の前後端部をトップシート11の表面(対向面がトップシートでない部材を含む場合にはその部材を含む範囲。以下同じ。)に対して固定する固定手段(ギャザー弾性伸縮部材16の収縮力を立体ギャザーBSの起立力とするために必要な固定である)を兼ねるようにすることができるが、パッド連結部40に、トップシート11表面に対する固定手段を別途設けることもできる。
【0055】
このようにパッド連結部40の連結手段として面ファスナーのフック材を用いた場合、面ファスナーのフック材が表面に沿う方向には通液性を有するため、立体ギャザーの前後端部から漏れが発生するおそれがある。よって、このような漏れを防止するために、立体ギャザーの突出部分のうち前後端部(パッド連結部内又はその前後近傍、特にパッド連結部の股間側と反対側が好ましい)に、立体ギャザーBSの突出部分18の内面とトップシート11の表面とをホットメルト接着剤により剥離可能に固定して液止め領域41を形成するのは好ましい。
【0056】
パッド連結部40の寸法は、従来の立体ギャザーの倒伏固定部分の寸法をそのまま採用することができる。また、液止め領域41は突出部分18の幅方向全体にわたるように設けられるのが好ましく、その前後方向長さは短いほうが好ましく、例えばパッド連結部40の前後方向長さの7〜15%程度とするのが好ましい。
【0057】
本パンツタイプ使い捨ておむつ1をアウターとしてその表面に吸収パッド50を敷くときには、図12及び図13に示すように、パッド連結部40及び液止め領域41をトップシート11の表面から剥離(図13二点差線参照)して吸収パッド50の側部表面に連結することができる。吸収パッド50の交換の際に、吸収パッド50をパンツタイプ使い捨ておむつ1から取り除くときは反対の作業となる。よって、容易に吸収パッド50の側部を立体ギャザーBSの下に収めることができるだけでなく、その立体ギャザーBSを吸収パッド50の側部に一体化させ、吸収パッド50の立体ギャザーBSとして機能させることができる。しかも、パッド連結部40は立体ギャザーBSの自由部分19ではなく倒伏状態で固定される前後端部に設けられているため、吸収パッド50が立体ギャザーBSを備えたものである場合にはその外側に独立の立体ギャザーBSを付加した状態となり、立体ギャザーBSを幅方向に二列相互独立に設けた状態と同じになるため、脚周りに対するフィット性がより一層のものとなる。また、立体ギャザーBSはパッド連結部40により吸収パッド50に連結されるため、装着中に立体ギャザーBSが丸まったり、めくれたりし難く、また吸収パッド50がずれて立体ギャザーBSの上に乗るような事態も起こりにくい。他方、吸収パッド50を使用しないときには、図10に示すように、パッド連結部40をトップシート11の表面に固定した状態にしておけば、立体ギャザーBSは通常の使い捨ておむつと同様に起立(つまり、ギャザー弾性伸縮部材16の収縮力が立体ギャザーBSの突出部分18の前後端部を引き寄せるように作用して立体ギャザーBSが弾力的に起立)し、横モレ防止効果を発揮することとなる。
【0058】
吸収パッド50をより強固に連結するために、図14及び図15に示すように、トップシート11の表面におけるパッド連結部40と対面する部位に、面ファスナーのフック材を取り付けることにより、吸収パッド50の裏面に対する連結手段及び立体ギャザーBS内面に対する固定手段を兼ねるパッド連結部42を付加しても良い。これにより、吸収パッド50の側部を上下で挟むようにして連結することができる。
【0059】
ただしこの場合、対面するパッド連結部40,42の面ファスナーのフック材がぴったりと一致すると、吸収パッド50を使用しないときのパッド連結部40,42同士の係合が緩くなり、剥がれて立体ギャザーBSが倒れてしまうおそれがある。よって、図示するように、これら立体ギャザーBSに設けられた面ファスナーのフック材及びトップシート11の表面に設けられた面ファスナーのフック材のうち、いずれか一方(図示例では前者)の少なくとも一部を他方の縁よりはみ出させ、そのはみ出し部分を対面のフック材ではなくその脇に固定する構造とするのは好ましい。このはみ出し部は図示例では前後両側にはみ出しているが、いずれか一方でも良く、また幅方向にはみ出しても良い。
【0060】
また、立体ギャザーBSの起立高さ(突出部分18の幅)には限りがあるため、上述の例では、立体ギャザーBSの幅方向間隔よりも狭い吸収パッド50を固定することができない。そこで、より広範な寸法の吸収パッド50を利用できるようにするために、図16及び図17に示すように、パッド連結部40を、立体ギャザーBSの内面に折り畳まれた状態で取り付け、かつ折り畳まれたパッド連結部40を展開することによりパッド連結部40が立体ギャザーBSよりも幅方向中央側に突出するように構成するのも好ましい形態である。これにより、立体ギャザーBSの幅方向間隔よりも狭い吸収パッド50も固定することができるようになり、また立体ギャザーBSの幅方向間隔よりも狭い吸収パッド50に対しては、パッド連結部40が突出する分、連結が容易となる。また、図示形態のようにパッド連結部40を展開部分の全体にわたり設けることで連結面積が大きくなり、より強固な連結が可能となる。
【0061】
図示例ではパッド連結部40は幅方向に二つ折りされているが、三つ折り以上でとしても良く、また方向についても幅方向に対して股間側に傾斜した斜め方向に突出するように構成しても良い。
【0062】
また、図示例のように、パッド連結部40の連結手段が折り畳みにより隠れてしまう場合には、トップシート11の表面におけるパッド連結部40と対面する部位に、面ファスナーのフック材や粘着剤層による仮止め部43を設けることにより、パッド連結部40をその連結手段によらずにトップシート11表面に対して剥離可能に固定することができる。この仮止め部43は、前述した図14及び図15に示す例におけるトップシート11表面のパッド連結部42の機能を兼ねることもできる。
【0063】
(前後押えシート)
図1及び図4にも示されるように、外装シート20の内面上に取り付けられた内装体10の前後端部をカバーし、且つ内装体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押えシート20F,20Bが設けられている。図示形態について更に詳細に説明すると、前押えシート20Fは、前身頃F内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押えシート20Bは、後身頃B内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。前後押えシート20F,20Bの股下側縁部に幅方向の全体にわたり(中央部のみでも良い)若干の非接着部分を設けると、接着剤が食み出ないだけでなく、この部分をトップシートから若干浮かせて防漏壁として機能させることができる。
【0064】
図示形態のように、前後押えシート20F,20Bを別体として取り付けると、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、外装シート20をおむつ1内面に折り返してなる折り返し部分20Cを、内装体10と重なる部分まで延在させて、前述の押えシート20F,20Bと同等の部分を形成することもできる。
【0065】
なお、前後押さえシート20F,20Bは内装体10の前後端部と重なる位置まで延在させる場合には、立体ギャザーBSの前後端部におけるパッド連結部40を剥離可能とするために、前後押さえシート20F,20Bにおける内装体10と重なる部分を内装体10に固定せずに自由部分とするか、又は剥離可能に固定することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつにおいて利用できるものである。
【符号の説明】
【0067】
1…パンツタイプ使い捨ておむつ、10…内装体、11…液透過性トップシート、12…液不透過性バックシート、13…吸収体、14…包装シート、15…ギャザーシート、16…ギャザー弾性伸縮部材、17…付根部分、18…突出部分、19…自由部分、20…外装シート、20F…前押えシート、20B…後押えシート、21,22…側部接合縁、24…ウエスト部弾性部材、25…腰回り弾性部材、26…背側湾曲弾性部材、28…腹側湾曲弾性部材、29…脚回りライン、20C…外装シート折り返し部、35…交差部分、36…非固定領域、30,31,32…固定領域、40…パッド連結部、41…液止め領域、42…パッド連結部、43…仮止め部、50…吸収パッド、θ…縦方向交差角、F…前身頃、B…後身頃、L2…パッド全長、W2…パッド全幅、C2…股間部、F2…腹側部分、B2…背側部分、BS…立体ギャザー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体を含む本体部の表面の幅方向両側部に、立体ギャザーがそれぞれ前後方向に沿って延在している、使い捨ておむつにおいて、
前記立体ギャザーは、本体部の表面に固定された付根部分と、この付根部分から突出する突出部分と、この突出部分のうち前後端部にそれぞれ設けられ、倒伏状態で本体部の表面に対して剥離可能に固定されたパッド連結部と、前記突出部分のうち前後の前記パッド連結部間に位置する非固定の自由部分と、この自由部分の少なくとも先端部に、前後方向に伸張した状態で固定されたギャザー弾性伸縮部材とを有し、
本体部の表面に吸収パッドを敷くときに、前記パッド連結部を本体部の表面から剥離して吸収パッドの側部表面に連結するように構成された、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記パッド連結部は、前記立体ギャザーの突出部分の内面に設けられた面ファスナーのフック材を、前記吸収パッドの表面に対する連結手段及び前記本体部の表面に対する固定手段を兼ねるものとして有するものであり、
本体部の表面における前記パッド連結部と対面する部位に設けられた面ファスナーのフック材を、前記吸収パッドの裏面に対する連結手段及び前記立体ギャザー内面に対する固定手段を兼ねるパッド連結部として備えており、
これら立体ギャザーに設けられた面ファスナーのフック材及び本体部の表面に設けられた面ファスナーのフック材のうち、いずれか一方の少なくとも一部が他方の縁よりはみ出している、
請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記パッド連結部は、前記立体ギャザーの内面に折り畳まれた状態で取り付けられており、かつ展開することにより前記立体ギャザーよりも幅方向中央側に突出するように構成された、請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記パッド連結部は、前記立体ギャザーの突出部分の内面に設けられた面ファスナーのフック材を、前記パッドの表面に対する連結手段として有するものであり、
前記立体ギャザーの突出部分のうち前後端部に、立体ギャザーの内面と本体部表面とが接着剤により剥離可能に固定されて形成された液止め領域を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前身頃及び後身頃を有する外装シートと、この外装シートの内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、この内層体の両側部に前記立体ギャザーがそれぞれ設けられたパンツタイプ使い捨ておむつである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−245304(P2012−245304A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121396(P2011−121396)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】