説明

使い捨ておむつ

【課題】重ね止めの際に上側に止着された止着テープを剥離する際に、下側に止着された止着テープが剥離してしまうことを防止する。
【解決手段】使い捨ておむつの接続部4では、第2止着部412の面積が、第1止着部411および第3止着部413の面積よりも小さいため、被止着部26に対する第2止着部412の止着力は、第1止着部411および第3止着部413の止着力よりも小さい。したがって、第2止着テープ41bの第2止着部412が第1止着テープ41aの外面に試着する止着力は、第1止着テープ41aの各止着部の被止着部26に対する止着力よりも小さい。このため、重ね止めされた第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bのうち、上側に止着された第2止着テープ41bを被止着部26から剥離する際に、下側に止着された第1止着テープ41aが被止着部26から剥離してしまうことを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、着用者からの排泄物を受ける使い捨ておむつの一つとして、着用者の腹側に接する部位と背側に接する部位とを止着テープにより腰周りで止着して着用するテープタイプのものが利用されている。例えば、特許文献1では、背側部の左右両側部にてバックシートに貼着された一対のファスニングテープを、腹側部のバックシート上に設けられたランディングテープに止着する使い捨ておむつが開示されている。各ファスニングテープのテープ本体上には、複数の機械的ファスナの凸部材が左右方向に配列されており、これらの凸部材が機械的ファスナの凹部材であるランディングテープに剥離可能に止着される。
【0003】
特許文献2の使い捨ておむつでは、後胴周り域の左右両側に設けられた一対のリアウイングにフック部材が設けられており、当該フック部材が前胴周り域の外面に設けられたループ部材に剥離可能に止着される。当該使い捨ておむつでは、フック部材は、互いに分離独立した複数のフック集合体からなる。
【0004】
特許文献3では、吸収性物品本体の背側腰周り部の左右両側部に、それぞれ2つのテープ状ファスナが上下方向に間隔をおいて配置される使い捨て吸収性物品が開示されている。各テープ状ファスナの内面には、腹側腰周り部の外面に設けられたループファスナのループ部材と係合する1つのフック部材が設けられ、各テープ状ファスナの外面には、当該フック部材と係合可能なループ部材が設けられる。
【0005】
特許文献3では、左右の各側部において、上側のテープ状ファスナのフック部材を腹側腰周り部のループファスナのループ部材に係合し、下側のテープ状ファスナのフック部材を上側のテープ状ファスナの外面に設けられたループ部材に係合させることにより、吸収性物品を着用者の体型に合わせて装着することが提案されている。また、左右両側部のうち一方に設けられたテープ状ファスナのフック部材をループファスナのループ部材に係合し、他方に設けられたテープ状ファスナのフック部材を上記一方のテープ状ファスナの外面に設けられたループ部材に係合させることにより、吸収性物品を着用者の体型に合わせて装着することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−28703号公報
【特許文献2】特開2004−344514号公報
【特許文献3】特開2008−67831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の使い捨ておむつでは、痩せ型の着用者に使い捨ておむつを装着する際等に、ファスニングテープをどのように腹側部に止着するかについて考慮されていない(特許文献2においても同様)。特許文献3では、着用者の体型に合わせてテープ状ファスナを重ねて止着することが提案されているが、各テープ状ファスナの外面にループ部材を設け、内面に当該ループ部材に係合するフック部材を設ける必要があるため、吸収性物品の製造が複雑化するとともにフック部材やループ部材の使用量が増大してしまう。また、重ね止めされた2つのテープ状ファスナのうち後から止着された(すなわち、上側に止着された)テープ状ファスナの位置を調整するために剥離しようとすると、当該テープ状ファスナは、先に止着された(すなわち、下側に止着された)テープ状ファスナの外面のループ部材に強固に止着されているため、先に止着されたテープ状ファスナまで腹側のループファスナから剥離してしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、重ね止めされた2つの止着テープのうち上側に止着された止着テープを剥離する際に、下側に止着された止着テープが剥離してしまうことを防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、使い捨ておむつであって、前方部、股下部および後方部を長手方向に順に有する略シート状の本体部と、前記後方部の両側部に取り付けられ、前記前方部の外面に止着されることにより、前記両側部を前記前方部の両側部に接続する一対の接続部とを備え、前記一対の接続部のそれぞれが、前記長手方向に配列されて左右方向に伸びる2つの止着テープを備え、前記2つの止着テープのそれぞれが、テープ状のテープ基部と、前記テープ基部の内面に、前記テープ基部の先端から前記本体部に向かって互いに離間して順に設けられた第1止着部、第2止着部および第3止着部とを備え、前記第1止着部の前記左右方向の幅と前記第3止着部の前記左右方向の幅とが等しく、前記第1止着部と前記第2止着部との間の領域である第1中間領域の前記左右方向の幅と前記第2止着部と前記第3止着部との間の領域である第2中間領域の前記左右方向の幅とが等しく、前記第2止着部の前記前方部の前記外面に対する止着力が、前記第1止着部および前記第3止着部の前記前方部の前記外面に対する止着力よりも小さい。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の使い捨ておむつであって、前記第2止着部の面積が、前記第1止着部および前記第3止着部の面積よりも小さい。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の使い捨ておむつであって、前記第2止着部の前記前方部の前記外面に対する単位面積当たりの止着力が、前記第1止着部および前記第3止着部の前記前方部の前記外面に対する単位面積当たりの止着力よりも小さい。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の使い捨ておむつであって、前記第2止着部の前記左右方向の両側のエッジ近傍の部位が前記テープ基部に対して熱圧着されることにより、前記エッジ近傍の部位の前記前方部の前記外面に対する単位面積当たりの止着力が、前記エッジ近傍の部位以外の部位の前記前方部の前記外面に対する単位面積当たりの止着力よりも小さい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、重ね止めされた2つの止着テープのうち上側に止着された止着テープを剥離する際に、下側に止着された止着テープが剥離してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】使い捨ておむつの平面図である。
【図2】使い捨ておむつの断面図である。
【図3】使い捨ておむつの斜視図である。
【図4】接続部近傍の平面図である。
【図5】使い捨ておむつの斜視図である。
【図6】接続部近傍の図である。
【図7】他の使い捨ておむつの接続部近傍の平面図である。
【図8】他の使い捨ておむつの接続部近傍の平面図である。
【図9】他の使い捨ておむつの接続部近傍の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る使い捨ておむつ1を広げた状態にて示す平面図である。使い捨ておむつ1は、着用者の腹側に当接する部位と背側に当接する部位とを、左右両側の接続部4により腰周りで止着して着用するテープタイプの使い捨ておむつであり、着用者からの排泄物を受ける。図1では、着用時に着用者に接する側(すなわち、着用者側)の面を手前にして使い捨ておむつ1を描いている。
【0016】
図2は、使い捨ておむつ1を図1中に示すA−Aの位置で長手方向(すなわち、図1中における上下方向)に垂直な面で切断した断面図である。図1および図2に示すように、使い捨ておむつ1は、略シート状の本体部2、および、本体部2の両側部(すなわち、長手方向に垂直な左右方向の両側)上に配置されて本体部2の長手方向のおよそ全長に亘る一対のサイドシート3を備える。
【0017】
本体部2の図1中における上側の部位201および下側の部位203はそれぞれ、着用者の腹側および背側の肌に接する部位であり、以下の説明では、「前方部201」および「後方部203」と呼ぶ。また、前方部201と後方部203との間において前方部201および後方部203から連続するとともに着用者の股間部に対向する部位202を「股下部202」と呼ぶ。使い捨ておむつ1では、本体部2が前方部201、股下部202および後方部203を長手方向に順に有し、前方部201および後方部203の幅が、股下部202の幅よりも大きい。換言すれば、本体部2は、いわゆる砂時計型である。
【0018】
使い捨ておむつ1は、後方部203の両側部に取り付けられた一対の接続部4をさらに備える。使い捨ておむつ1が着用者に装着される際には、本体部2の前方部201および後方部203をそれぞれ着用者の腹側および背側に当接させた状態で、一対の接続部4が、図3に示すように、前方部201の外面(すなわち、着用者に接する面とは反対側の面)の被止着部26に止着されることにより、後方部203の両側部が前方部201の両側部に接続される。
【0019】
図1および図2に示すように、本体部2は、透液性のトップシート21、撥水性または不透液性のバックシート23、および、トップシート21とバックシート23との間に配置された吸収コア22を備える。図2では、図示の都合上、使い捨ておむつ1の各構成を厚さ方向に離して描いている。また、図1では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太破線にて描いている。図1に示すように、前方部201および後方部203における吸収コア22の幅は、股下部202における吸収コア22の幅よりも大きい。換言すれば、吸収コア22は、いわゆる砂時計型である。
【0020】
図3に示す被止着部26は、バックシート23の外面(すなわち、吸収コア22と対向する面とは反対側の面)上に、平面視において吸収コア22(図1および図2参照)と重なるように接合される。被止着部26は、バックシート23上にホットメルト接着剤等により接合される面ファスナのループ部材であり、樹脂等により形成されたベースシート、および、ベースシートのバックシート23に接合される面とは反対側の面に設けられる微細ループ構造を有する。微細ループ構造とは、多数の微細なループ要素の集合を意味する。
【0021】
図2に示すように、トップシート21は、吸収コア22の周りにおいてホットメルト接着剤を介してバックシート23に接合される。また、サイドシート3の左右方向の外側の部位は、バックシート23のトップシート21から露出する部位、および、トップシート21の左右方向のエッジ近傍の部位に、長手方向の全長に亘ってホットメルト接着剤を介して接合される。サイドシート3は、サイドシート本体31、および、サイドシート本体31の左右方向の内縁部である自由端にホットメルト接着剤により接合されて長手方向に伸びる弾性部材32aを備える。
【0022】
図1に示す本体部2の長手方向の両端部では、各サイドシート3の左右方向の内側の部位(すなわち、本体部2の左右方向の中心軸側の部位)が、トップシート21の着用者側の面にホットメルト接着剤を介して接合される。また、本体部2の股下部202では、サイドシート3の左右方向の外縁近傍の部位において、長手方向に伸びる2本の弾性部材32bが、サイドシート3とバックシート23とに挟まれてホットメルト接着剤により接合されている。これらのホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、ゴム系、酢酸ビニル系等のものが利用される。なお、トップシート21とバックシート23との接合やサイドシート3とトップシート21との接合は、熱融着接合や超音波接合等により行われてもよい。
【0023】
図1および図2に示す各サイドシート3では、サイドシート本体31の長手方向の両端部の間(すなわち、長手方向の中央部)における内側の部位313が、トップシート21(および他の構成)とは非接合とされており、弾性部材32aが収縮することにより、当該部位313が、図2に示すように、着用者に向かって立ち上がり、着用者の脚の付け根近傍に当接する側壁部(いわゆる、立体ギャザー)となる。また、弾性部材32bが収縮することにより、サイドシート3およびバックシート23が着用者側かつ内側に向かって立ち上がってレッグギャザーが形成され、使い捨ておむつ1の着用時に着用者の足の付け根近傍に密着する。
【0024】
図1に示すように、本体部2の長手方向の両端部にはそれぞれ、トップシート21とバックシート23とに挟まれるとともに左右方向に伸びる3本の弾性部材25が設けられる。使い捨ておむつ1では、伸張状態にてトップシート21およびバックシート23に接合された弾性部材25が収縮することによりウエストギャザーが形成され、使い捨ておむつ1の着用時に本体部2が着用者の腰周りに密着する。使い捨ておむつ1では、弾性部材32a,32b、並びに、弾性部材25により本体部2が着用者に密着することにより、脚周りおよび腰周りからの尿等の漏出が防止される。
【0025】
トップシート21は、透液性のシート材料であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。トップシート21は、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された透液性の不織布であり、当該不織布として、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布が利用されてもよい。
【0026】
吸収コア22は、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維に粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))や高吸収性ファイバー等の高吸収性材料を混合したものをティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成され、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。親水性繊維を包むティッシュペーパーや透液性不織布等は、親水性繊維および吸水性材料とホットメルト接着剤により接合されて、親水性繊維の型崩れ、および、吸水性材料の脱落(特に、吸水後における脱落)を防止する。本実施の形態では、吸収コア22はパルプ繊維およびSAPを含む。
【0027】
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用され、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外側にしみ出すことが防止される。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、使い捨ておむつ1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0028】
サイドシート本体31としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布)が利用される。弾性部材32a,32b,25としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、本実施の形態では、ポリウレタン糸が各弾性部材として利用される。
【0029】
図4は、一対の接続部4のうち一方の接続部4近傍を拡大して示す平面図であり、他方の接続部4の構造も図4に示すものと同様である。一対の接続部4はそれぞれ、本体部2の長手方向(すなわち、図1および図4中の上下方向であり、以下、「本体長手方向」ともいう。)に配列されて左右方向に伸びる2つの止着テープ41、および、2つの止着テープ41の左右方向の内側(すなわち、本体部2側)に位置する略矩形の共通基部42を備える。2つの止着テープ41の構造および形状は同様であり、各止着テープ41の左右方向の長さは、共通基部42の本体部2から露出している部位の左右方向の長さよりも長い。
【0030】
各接続部4では、2つの止着テープ41のそれぞれが、左右方向に伸びるテープ状のテープ基部44、並びに、テープ基部44の一方の主面441(すなわち、図4中における手前側の面)上に設けられる第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413を備える。図4では、図の理解を容易にするために、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413に平行斜線を付す(図7ないし図9においても同様)。テープ基部44の主面441は、使い捨ておむつ1を着用者に装着する際に本体部2の前方部201(図3参照)に対向して着用者側を向く面であり、以下、「内面441」という。
【0031】
2つの止着テープ41のテープ基部44、および、共通基部42は不織布等により形成された1つの接続部シート40の一部であり、2つのテープ基部44はそれぞれ、共通基部42から左右方向の外側(すなわち、本体部2とは反対側)に向かって突出する。また、共通基部42の内端部(接続部シート40の内端部でもある。)は、本体部2の後方部203においてサイドシート3とバックシート23との間に挟まれて接合され、共通基部42の内端部以外の部位は、本体部2から左右方向の外側に向かって突出する。
【0032】
換言すれば、2つのテープ基部44は、本体部2側にて連続する1つの接続部シート40の一部であり、接続部シート40における2つのテープ基部44の接続部分である共通基部42は、本体部2の側方のエッジから側方へとはみ出している。なお、トップシート21(図2参照)の外縁がバックシート23の外縁に比較的近い位置に位置している場合には、共通基部42の内端部は、トップシート21とバックシート23との間に接合されてもよい。
【0033】
各テープ基部44の内面441では、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413が、テープ基部44の先端442から本体部2に向かって(すなわち、共通基部42に向かって)互いに離間して順に設けられる。第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413はそれぞれ、本体部2の前方部201の外面に設けられた被止着部26(図3参照)に対して止着可能な面ファスナのフック部材であり、テープ基部44の内面441上にホットメルト接着剤等により接合される。
【0034】
第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413はそれぞれ、樹脂等により形成されたベースシート、および、ベースシートのテープ基部44に接合される面とは反対側の面に設けられる微細フック構造を有する。第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413にそれぞれ設けられた微細フック構造は、多数の微細なフック要素の集合であり、被止着部26の微細ループ構造と互いに係合する(すなわち、被止着部26に対して止着可能である。)。本実施の形態では、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413は同一種類のフック部材であり、それぞれの被止着部26に対する単位面積当たりの止着強度は互いに等しい。
【0035】
各接続部4では、2つの止着テープ41のそれぞれの幅(すなわち、図4中の上下方向である本体長手方向におけるテープ基部44の長さ)が、テープ基部44の先端442である左右方向の外側の端部に向かうに従って漸次減少する。各止着テープ41では、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413はそれぞれ、テープ基部44の幅方向(本体長手方向に一致する方向であり、以下、「テープ幅方向」という。)の全体に亘って(すなわち、テープ基部44の内面441を横断するように)テープ基部44の内面441上に設けられる。
【0036】
第3止着部413は、共通基部42の外エッジ421よりも左右方向の外側に位置し、共通基部42から離間している。以下、テープ基部44における第3止着部413の本体部2側のエッジである内エッジ4132と共通基部42の外エッジ421との間の部位を「内側領域447」という。また、テープ基部44における第1止着部411の外エッジ4111よりも外側(すなわち、先端442側)の部位を「外側領域448」という。内側領域447および外側領域448、並びに、第1止着部411と第2止着部412との間の領域である第1中間領域445、および、第2止着部412と第3止着部413との間の領域である第2中間領域446には、上述のフック部材は設けられない。
【0037】
各止着テープ41では、第1中間領域445の左右方向(図4中における左右方向に一致する。)の幅は、第2中間領域446の左右方向の幅に等しく、第1止着部411の左右方向の幅は、第3止着部413の左右方向の幅に等しい。上述のように、テープ基部44のテープ幅方向の幅は、テープ基部44の先端442に向かうに従って漸次減少するため、第1止着部411の面積は第3止着部413の面積よりも小さい。本実施の形態では、第2止着部412の左右方向の幅は、第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの左右方向の幅よりも小さく、第2止着部412の面積は、第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの面積よりも小さい。したがって、第2止着部412の被止着部26に対する止着力(すなわち、本体部2の前方部201の外面に対する止着力)は、第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの被止着部26に対する止着力よりも小さい。
【0038】
各止着テープ41では、第1止着部411の外エッジ4111と第3止着部413の内エッジ4132との間の左右方向の距離L1は、第2止着部412の左右方向の中央におけるテープ基部44のテープ幅方向の幅W1よりも大きい。第1止着部411の内エッジ4112と第3止着部413の外エッジ4131との間の左右方向の距離L2は、テープ基部44の幅W1の25%以上であることが好ましく、より好ましくは幅W1以上である。また、距離L2は、第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの左右方向の幅よりも大きい。
【0039】
上述のように、各接続部4における2つの止着テープ41の構造および形状は同様であるため、左右一対の止着テープ41における距離L1は他の左右一対の止着テープ41における幅W1よりも大きく、好ましくは、一対の止着テープ41における距離L2は他の一対の止着テープ41における幅W1の25%以上(より好ましくは、幅W1以上)である。本実施の形態では、各止着テープ41における距離L2はそれぞれ幅W1に等しい。
【0040】
各接続部4では、接続部シート40が白色の樹脂材料により形成されており、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413が白色以外の有色の樹脂材料により形成されている。このため、2つの止着テープ41のそれぞれにおいて、テープ基部44の内面441における第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413の視認が容易になるとともに、テープ基部44の外面からテープ基部44を透かして第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413の位置が視認可能となっている。
【0041】
使い捨ておむつ1では、各止着テープ41に3つの止着部(第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413)が設けられることにより、止着テープ41の被止着部26に対する十分な止着力を確保することができる。また、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413が左右方向に離間して配列されるため、被止着部26に止着された止着テープ41が着用者の動作に追従して容易に変形する。その結果、止着テープ41が着用者の動作等により被止着部26から剥離してしまうことが抑制される。
【0042】
使い捨ておむつ1が着用者の体型に対して大きい等の場合には(例えば、通常の着用者よりも痩せている着用者に対して使い捨ておむつ1が装着される際には)、各接続部4において、本体長手方向に配列された2つの止着テープ41のうち一方の止着テープ41が被止着部26に止着された後、他方の止着テープ41が一方の止着テープ41を跨ぐように被止着部26に止着される。本実施の形態では、各接続部4において、図5中の上側に位置する止着テープ(以下、「第1止着テープ41a」という。)が、先端を斜め下に向けて被止着部26に止着され、図5中の下側に位置する止着テープ(以下、「第2止着テープ41b」という。)が、先端を斜め上に向けて第1止着テープ41a上に重なった状態で被止着部26に止着される。これにより、本体部2の長手方向の両端部において前方部201および後方部203が着用者の腰周りにフィットするとともに、本体部の両側端部が着用者の両脚の付け根近傍にフィットする。
【0043】
図6は、一対の接続部4のうち一方の接続部4近傍を拡大して示す図である。図6に示すように、被止着部26上では、第1止着テープ41aと第1止着テープ41aの上に重なる第2止着テープ41bとがおよそ垂直に交差する。すなわち、第1止着テープ41aの左右方向に伸びる中心線419aと第2止着テープ41bの左右方向に伸びる中心線419bとの為す角度θがおよそ90°となるように第1止着テープ41aと第2止着テープ41bとが交差する。第2止着テープ41bの第1止着部411および第3止着部413は、第1止着テープ41aのテープ幅方向の両側において(すなわち、第1止着テープ41aを跨いで)被止着部26に止着され、第2止着テープ41bの第2止着部412は、第1止着テープ41aの第1止着部411と第3止着部413との間において第1止着テープ41aの外面に重なる。当該第2止着部412の第1止着テープ41aの外面に対する止着力は、第2止着部412が被止着部26に止着される場合の止着力よりも小さい。図6では、図の理解を容易にするために、第2止着テープ41bの第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413に平行斜線を付す。
【0044】
使い捨ておむつ1では、使い捨ておむつ1を装着する際の取り扱いを容易にするために、あるいは、使い捨ておむつ1の製造を容易にするために、第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bの長さがある程度の大きさ以下に制限され、その結果、各止着テープにおける第1止着部411の外エッジ4111と第3止着部413の内エッジ4132との間の距離L1(図4参照)にも上限が設けられる。接続部4では、止着テープの重ね止めの際に第1止着テープ41aの上に重なる第2止着テープ41bにおいて、第1止着部411と第3止着部413との間にフック部材が接合されない第1中間領域445および第2中間領域446を設けることにより、止着部(すなわち、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413)の合計面積を小さくすることができる。これにより、使い捨ておむつ1の製造コストを低減することができる。
【0045】
また、第2止着テープ41bの第1止着部411の外エッジ4111と第3止着部413の内エッジ4132との間の距離L1を、第1止着テープ41aの第2止着部412の左右方向の中央におけるテープ基部44の幅W1(図4参照)よりも大きくすることにより、第1止着テープ41aと第2止着テープ41bとの重ね止めの際に、第2止着テープ41bの第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの少なくとも一部を、第1止着テープ41aに重ねることなく被止着部26に容易に止着することができる。その結果、使い捨ておむつ1を着用者に対してフィットさせることができる。
【0046】
使い捨ておむつ1では、第1止着テープ41aにおいても、第2止着テープ41bと同様に、第1止着部411と第3止着部413との間にフック部材が接合されない第1中間領域445および第2中間領域446(図4参照)を設けることにより、止着部の合計面積を小さくすることができる。また、使い捨ておむつ1を着用者に装着する際に、第2止着テープ41bを被止着部26に止着した後に第1止着テープ41aを第2止着テープ41b上に重ねて被止着部26に止着する場合においても、第1止着テープ41aの第1止着部411および第3止着部413の少なくとも一部が、第2止着テープ41bに重なることなく被止着部26に容易に止着される。
【0047】
使い捨ておむつ1では、図4に示すように、各止着テープ41において、第1止着部411の外エッジ4111の上端と第3止着部413の内エッジ4132の下端との間の距離が、好ましくは上述のテープ基部44の幅W1以上である。これにより、止着テープ41の重ね止めの際に、上に重なる止着テープ41の第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの少なくとも一部を、前方部201の被止着部26により容易に止着することができる。
【0048】
接続部4では、第2止着テープ41bにおける距離L2(図4参照)が、第1止着テープ41aにおけるテープ基部44の幅W1以上であることにより、第2止着テープ41bを第1止着テープ41a上に重ねて被止着部26に止着する際に、第2止着テープ41bの第1止着部411および第3止着部413と第1止着テープ41aとの重なりを抑制して止着部の合計面積をより小さくすることができる。また、第1止着テープ41aにおける距離L2が、第2止着テープ41bにおける幅W1以上であることにより、第1止着テープ41aを第2止着テープ41b上に重ねて被止着部26に止着する際に、第1止着テープ41aの第1止着部411および第3止着部413と第2止着テープ41bとの重なりを抑制して止着部の合計面積をより小さくすることができる。
【0049】
使い捨ておむつ1では、各止着テープ41において、第1止着部411の内エッジ4112の上端と第3止着部413の外エッジ4131の下端との間の距離が、好ましくはテープ基部44の幅W1以上である。これにより、止着テープ41の重ね止めの際に、上に重なる止着テープ41の止着に利用されない可能性が高い部位に止着部が設けられることを抑制して止着部の合計面積をより小さくすることができる。
【0050】
接続部4における止着テープの重ね止めの際には、第1止着テープ41aの中心線419aと第2止着テープ41bの中心線419bとの為す角度θは必ずしもおよそ90°には限定されず、例えば、角度θ(すなわち、中心線419aと中心線419bとの交点から第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bの先端にそれぞれ向かう中心線419a,419bが為す角度)が30°以上90°以下となるように、第1止着テープ41aと第2止着テープ41bとが重ねられてもよい。
【0051】
接続部4では、第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bのそれぞれの幅が、テープ基部44の先端に向かうに従って漸次減少する。このため、止着テープの重ね止めの際に、後から止着される止着テープ(すなわち、他方の止着テープ上に重ねて被止着部26に止着される止着テープ)の第1止着部411を、先に止着された止着テープを避けて被止着部26に容易に止着することができる。その結果、後から被止着部26に止着される止着テープの先端部を被止着部26に強固に止着することができる。
【0052】
接続部4では、第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bの2つのテープ基部44が本体部2側にて連続する1つの接続部シート40の一部であり、第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bの第3止着部413が、接続部シート40の共通基部42よりも左右方向の外側に位置する。このため、第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bの根本部分の剛性(すなわち、内側領域447における剛性)が過剰に大きくなることが防止され、第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bを根本部分にて容易に変形することができる。その結果、第1止着テープ41aと第2止着テープ41bとの重ね止めを容易に行うことができる。また、共通基部42が本体部2の側方エッジから側方へとはみ出しているため、共通基部42を変形させて第1止着テープ41aと第2止着テープ41bとを容易に近づけることができる。その結果、第1止着テープ41aと第2止着テープ41bとの重ね止めをより容易に行うことができる。
【0053】
さらに、第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bにおいて、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413の位置がテープ基部44の外面から視認可能であることにより、第1止着テープ41aと第2止着テープ41bとの重ね止めの際に、2つの止着テープの第1止着部411と第3止着部413との間の領域の重複面積を容易に大きくすることができる。換言すれば、後から被止着部26に止着される止着テープの第1止着部411および第3止着部413が、先に止着された止着テープと広い範囲に亘って重なってしまうことを防止することができる。その結果、後から被止着部26に止着される止着テープを被止着部26に強固に止着することができる。
【0054】
ところで、2つの止着テープを重ね止めする際には、後から止着される止着テープの止着部が、先に被止着部に止着された止着テープの外面に止着されるため、後から止着された止着テープの位置を調整するために被止着部から剥離しようとすると、先に止着された止着テープが後から止着された止着テープに引っ張られて被止着部から剥離してしまうおそれがある。
【0055】
これに対し、本実施の形態に係る使い捨ておむつ1では、上述のように第2止着部412の被止着部26に対する止着力は、第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの被止着部26に対する止着力よりも小さく、第2止着部412の止着テープの外面に対する止着力は、第2止着部412の被止着部26に対する止着力よりも小さい。したがって、第2止着テープ41bの第2止着部412が第1止着テープ41aの外面に止着される際の止着力は、第1止着テープ41aの第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413が被止着部26に止着される際のそれぞれの止着力よりも小さい。このため、重ね止めされた第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bのうち、後から上側に止着された第2止着テープ41bを被止着部26から剥離する際に、先に下側に止着された第1止着テープ41aが被止着部26から剥離してしまうことを防止することができる。
【0056】
このように、上側に止着された止着テープ41の剥離時に下側に止着された止着テープ41の意図しない剥離を防止することができる使い捨ておむつ1の構造は、止着テープ41の第2止着部412が比較的大きい止着力にて他の止着テープ41の外面に止着される使い捨ておむつに特に適している。例えば、止着テープ41のテープ基部44が嵩高の不織布により形成されている使い捨ておむつや、不織布製のテープ基部44の外面に起毛処理が施された使い捨ておむつ、あるいは、不織布製のテープ基部44の外面にエンボス処理による凹凸が形成された使い捨ておむつに、上記使い捨ておむつ1の構造が適用されることが好ましい。
【0057】
使い捨ておむつ1では、第2止着部412の面積を第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの面積よりも小さくすることにより、被止着部26に対する第2止着部412の止着力を第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの止着力よりも容易に小さくすることができる。また、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413が同一種類のフック部材であることにより、接続部4の製造を簡素化することができる。
【0058】
次に、本発明に係る使い捨ておむつの他の好ましい例について説明する。図7は、他の使い捨ておむつの一方の接続部4a近傍を拡大して示す平面図である。接続部4aの各止着テープ41では、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413の左右方向の幅が互いに等しく、第1止着部411および第3止着部413はテープ基部44の内面441を横断するように配置される。また、第2止着部412のテープ幅方向の長さは、テープ基部44の第2止着部412が設けられる部位の幅よりも短く、第1止着部411および第3止着部413のテープ幅方向の長さよりも短い。
【0059】
第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413は同一種類のフック部材であり、第2止着部412の面積は、第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの面積よりも小さい。したがって、第2止着部412の被止着部26(図3参照)に対する止着力は、第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの被止着部26に対する止着力よりも小さく、止着テープ41の外面に対する第2止着部412の止着力は、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413のそれぞれの被止着部26に対する止着力よりも小さい。
【0060】
これにより、図1に示す使い捨ておむつ1と同様に、2つの止着テープ41を重ね止めしない場合に被止着部26に対する十分な止着力を確保するとともに、2つの止着テープ41を重ね止めした場合、上側に止着された止着テープ41を被止着部26から剥離する際に、下側に止着された止着テープ41が被止着部26から剥離してしまうことを防止することができる。
【0061】
図8は、さらに他の使い捨ておむつの一方の接続部4b近傍を拡大して示す平面図である。接続部4bでは、各止着テープ41において、テープ基部44の内面441を横断するように配置される第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413の左右方向の幅が互いに等しい。このため、第2止着部412の面積は、第1止着部411の面積よりも大きく、第3止着部413の面積よりも小さい。各止着テープ41では、第2止着部412として、第1止着部411および第3止着部413とは異なる種類のフック部材が利用されており、第2止着部412の被止着部26に対する(すなわち、前方部201の外面に対する)単位面積当たりの止着力は、第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの被止着部26に対する単位面積当たりの止着力よりも小さい。図8では、第2止着部412に破線にて平行斜線を付す。第2止着部412の被止着部26に対する止着力(すなわち、第2止着部412全体としての止着力)は、第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの被止着部26に対する止着力よりも小さく、止着テープ41の外面に対する第2止着部412の止着力は、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413のそれぞれの被止着部26に対する止着力よりも小さい。
【0062】
これにより、図1に示す使い捨ておむつ1と同様に、2つの止着テープ41を重ね止めしない場合に被止着部26に対する十分な止着力を確保するとともに、2つの止着テープ41を重ね止めした場合、上側に止着された止着テープ41を被止着部26から剥離する際に、下側に止着された止着テープ41が被止着部26から剥離してしまうことを防止することができる。また、第2止着部412の被止着部26に対する単位面積当たりの止着力を、第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの被止着部26に対する単位面積当たりの止着力よりも小さくすることにより、第2止着部412の面積が第1止着部411の面積以上である場合であっても、第2止着部412の被止着部26に対する止着力を第1止着部411の被止着部26に対する止着力に比べて容易に小さくすることができる。
【0063】
図9は、さらに他の使い捨ておむつの一方の接続部4c近傍を拡大して示す平面図である。接続部4cでは、各止着テープ41において、同一種類のフック部材である第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413が、テープ基部44の内面441を横断するように配置され、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413の左右方向の幅は互いに等しい。このため、第2止着部412の面積は、第1止着部411の面積よりも大きく、第3止着部413の面積よりも小さい。
【0064】
各止着テープ41では、第2止着部412の左右方向の両側のエッジ近傍の部位(すなわち、外エッジ4121および内エッジ4122近傍の部位であり、以下、「側縁部4123」という。)が、テープ基部44に対して熱圧着されている。図9では、第2止着部412の側縁部4123に他の部位と異なる平行斜線を付す。第2止着部412の側縁部4123では、フック部材の微細フック構造が熱圧着により変形するため、側縁部4123の被止着部26に対する単位面積当たりの止着力が、第2止着部412の側縁部4123以外の部位の被止着部26に対する単位面積当たりの止着力よりも小さい。また、側縁部4123の止着テープ41の外面に対する単位面積当たりの止着力も、第2止着部412の側縁部4123以外の部位における止着テープ41の外面に対する単位面積当たりの止着力よりも小さい。
【0065】
止着テープ41では、第2止着部412の被止着部26に対する止着力(すなわち、第2止着部412全体としての止着力)が、第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの被止着部26に対する止着力よりも小さく、止着テープ41の外面に対する第2止着部412の止着力は、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413のそれぞれの被止着部26に対する止着力よりも小さい。これにより、図1に示す使い捨ておむつ1と同様に、2つの止着テープ41を重ね止めしない場合に被止着部26に対する十分な止着力を確保するとともに、2つの止着テープ41を重ね止めした場合、上側に止着された止着テープ41を被止着部26から剥離する際に、下側に止着された止着テープ41が被止着部26から剥離してしまうことを防止することができる。
【0066】
また、第2止着部412の側縁部4123を熱圧着することにより、第2止着部412の面積が第1止着部411の面積以上である場合であっても、第2止着部412の被止着部26に対する止着力を第1止着部411の被止着部26に対する止着力に比べて容易に小さくすることができる。さらに、熱圧着により側縁部4123がテープ基部44に強固に接合されるため、第2止着部412がテープ基部44から剥離してしまうことが防止される。
【0067】
接続部4cでは、第1止着部411および第3止着部413の左右方向の両側のエッジ近傍の部位も、第2止着部412の側縁部4123と同様に、テープ基部44に対して熱圧着されてもよい。これにより、第1止着部411および第3止着部413がテープ基部44から剥離してしまうことが防止される。この場合、第2止着部412の側縁部4123(すなわち、熱圧着される部位)の左右方向の幅を、第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの熱圧着される部位の左右方向の幅よりも大きくすることにより、第2止着部412の被止着部26に対する止着力が、第1止着部411および第3止着部413のそれぞれの被止着部26に対する止着力よりも小さくなる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0069】
例えば、前方部201の外面から被止着部26が省略され、各止着テープ41の第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413が前方部201の不織布に直接止着されてもよい。
【0070】
使い捨ておむつでは、テープ基部44の内面441に微細フック構造が直接形成されて第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413とされてもよく、本体部2では、前方部201の外面に微細ループ構造が直接形成されて被止着部26とされてもよい。
【0071】
使い捨ておむつでは、各止着テープ41の第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413に必ずしも微細フック構造が形成される必要はなく、例えば、第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413が、不織布製のテープ基部44上に粘着材料により形成された粘着層であり、被止着部26が当該粘着層が粘着可能なプラスチックフィルムであってもよい。
【0072】
各止着テープ41では、例えば、テープ基部44の外面に第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413の位置を示す目印が印刷されることにより、テープ基部44の外面から第1止着部411、第2止着部412および第3止着部413の位置が視認可能とされてもよい。
【0073】
各接続部4では、必ずしも共通基部42が設けられる必要はなく、2つの止着テープ41のそれぞれのテープ基部44の端部が本体部2に直接接合されてもよい。各止着テープ41の幅は、例えば、テープ基部44の左右方向のおよそ全長に亘って一定であってもよい。また、第1止着部411および第3止着部413のテープ幅方向の幅も、テープ基部44のテープ幅方向の幅よりも小さくてもよい。
【0074】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせられてよい。
【符号の説明】
【0075】
1 使い捨ておむつ
2 本体部
4,4a〜4c 接続部
26 被止着部
41 止着テープ
41a 第1止着テープ
41b 第2止着テープ
44 テープ基部
201 前方部
202 股下部
203 後方部
411 第1止着部
412 第2止着部
413 第3止着部
441 内面
442 先端
445 第1中間領域
446 第2中間領域
4123 側縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨ておむつであって、
前方部、股下部および後方部を長手方向に順に有する略シート状の本体部と、
前記後方部の両側部に取り付けられ、前記前方部の外面に止着されることにより、前記両側部を前記前方部の両側部に接続する一対の接続部と、
を備え、
前記一対の接続部のそれぞれが、前記長手方向に配列されて左右方向に伸びる2つの止着テープを備え、
前記2つの止着テープのそれぞれが、
テープ状のテープ基部と、
前記テープ基部の内面に、前記テープ基部の先端から前記本体部に向かって互いに離間して順に設けられた第1止着部、第2止着部および第3止着部と、
を備え、
前記第1止着部の前記左右方向の幅と前記第3止着部の前記左右方向の幅とが等しく、
前記第1止着部と前記第2止着部との間の領域である第1中間領域の前記左右方向の幅と前記第2止着部と前記第3止着部との間の領域である第2中間領域の前記左右方向の幅とが等しく、
前記第2止着部の前記前方部の前記外面に対する止着力が、前記第1止着部および前記第3止着部の前記前方部の前記外面に対する止着力よりも小さいことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
請求項1に記載の使い捨ておむつであって、
前記第2止着部の面積が、前記第1止着部および前記第3止着部の面積よりも小さいことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の使い捨ておむつであって、
前記第2止着部の前記前方部の前記外面に対する単位面積当たりの止着力が、前記第1止着部および前記第3止着部の前記前方部の前記外面に対する単位面積当たりの止着力よりも小さいことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の使い捨ておむつであって、
前記第2止着部の前記左右方向の両側のエッジ近傍の部位が前記テープ基部に対して熱圧着されることにより、前記エッジ近傍の部位の前記前方部の前記外面に対する単位面積当たりの止着力が、前記エッジ近傍の部位以外の部位の前記前方部の前記外面に対する単位面積当たりの止着力よりも小さいことを特徴とする使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−40245(P2012−40245A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185304(P2010−185304)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】