説明

使い捨ておむつ

【課題】視覚によらず、ファスニングテープを左右対称に止着することができる使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】吸収体30が、ターゲットテープ50と重なる領域に、吸収体30の幅方向にわたって形成された凹部31を有する。凹部31は、その存在が、おむつの裏面シート側の外面から、触覚によって知覚可能になっている。凹部31は、その全体として、ターゲットテープ50の縦中心線LVに対して線対称形となるように、かつターゲットテープ50の横中心線LHに対して非対称形となるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファスニングテープをターゲットテープに止着することで装着するタイプの使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
おむつの背側部に設けられた左右のファスニングテープを、腹側の外面に設けられたターゲットテープに止着することで装着するタイプの使い捨ておむつ、すなわち、いわゆるテープ止めタイプのおむつにおいては、ファスニングテープを止着したときの左右のバランスが崩れてしまうと、それに起因して液漏れが起こりやすくなる傾向にある。そこで、左右のファスニングテープの止着位置をバランスさせることを目的として、例えばターゲットテープに止着位置の目安となる表示を施し、視覚的に止着位置を認識する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には、ターゲットテープをおむつの外面に熱融着によって接合し、熱融着による接合パターンを、ファスニングテープの止着位置の目印とすることが記載されている。
【0003】
しかし、視覚的に止着位置を認識する手段を設けただけでは、夜間等の暗所でおむつを交換する場合や、視覚障害を有する人がおむつを交換する場合に不都合が生じる。
【0004】
ところで、前記の技術とは別に、特許文献2ないし4には、おむつの吸収体における外方を向く側の面に、エンボス加工によって凹凸を設けたり、吸収体に薄肉部を形成することで凹凸を設けたりすることが記載されている。しかしこの凹凸は、吸収体のフィット性や吸収性の向上の目的で、また排泄物の有無や拡がりを外部から視認できるようにする目的で設けられており、ファスニングテープの止着位置の目安となるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−307210号公報
【特許文献2】特開平10−146359号公報
【特許文献3】特開2005−152241号公報
【特許文献4】特開2011−115245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、着用者の肌対向面側に位置する表面シートと、非肌対向面側に位置する裏面シートと、両シート間に介在する吸収体とを具備し、装着状態において着用者の股下に位置する股下部と、該股下部の前後から延びる腹側部及び背側部とを有し、背側部の左右の側部域に止着用のファスニングテープを備え、腹側部の外面に該ファスニングテープが止着されるターゲットテープを備えた使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体は、前記ターゲットテープと重なる領域に、該吸収体の幅方向にわたって連続に又は不連続に形成された1個又は2個以上の凹部を有し、該凹部は、その存在が、おむつの裏面シート側の外面から、触覚によって知覚可能になっており、
前記凹部は、その全体として、前記ターゲットテープの縦中心線に対して線対称形となるように、かつ該ターゲットテープの横中心線に対して非対称形となるように形成されている、使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸収性物品によれば、吸収体上に位置するターゲットテープに触れることで、ファスニングテープを左右対称に止着する位置を容易に認識することができる。したがって視覚によらず、ファスニングテープを左右対称に止着することができるので、暗所でのおむつの交換や視覚障害を有する人のおむつ交換が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a)は、本発明の使い捨ておむつの一実施形態を、表面シート側からみた平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示すおむつを、裏面シートを一部破断して、裏面シート側からみた平面図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、本発明の使い捨ておむつの別の実施形態の要部を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の使い捨ておむつの別の実施形態の要部を示す模式図である。
【図4】図4(a)ないし(c)は、本発明の使い捨ておむつの別の実施形態の要部を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の使い捨ておむつの別の実施形態の要部を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の使い捨ておむつの別の実施形態の要部を示す模式図である。
【図7】図7は、本発明の使い捨ておむつの別の実施形態の要部を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明の使い捨ておむつの別の実施形態の要部を示す模式図である。
【図9】図9(a)及び(b)は、本発明の使い捨ておむつの別の実施形態の要部を示す模式図である。
【図10】図10は、本発明の使い捨ておむつの別の実施形態の要部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1(a)及び(b)には、本発明の使い捨ておむつの一実施形態の平面図が示されている。図1(a)は、おむつ1を表面シート側からみた状態であり、図1(b)は、裏面シートを一部破断して、おむつ1を裏面シート側からみた状態である。
【0011】
図1(a)及び(b)に示すおむつ1は、いわゆるテープ止めタイプのものである。おむつ1は、長手方向X及び幅方向Yを有する縦長の形状のものであり、着用者の肌対向面側に位置する表面シート10、及び非肌対向面側に位置する裏面シート20を有している。表面シート10と裏面シート20との間には液保持性の吸収体30が配置されている。表面シート10及び裏面シート20は、吸収体30の周縁から外方に延出している。
【0012】
表面シート10、裏面シート20及び吸収体30としては、この種のおむつに従来用いられていたものと同様のものを用いることができる。表面シート10としては、例えば不織布や穿孔フィルムなどの液透過性のシート材を用いることができる。裏面シートとしては、合成樹脂製のフィルム等や、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布(SMS不織布)等の撥水性のシート材料を用いることができる。合成樹脂製のフィルムを微多孔質フィルムから構成して、水蒸気透過性を付与してもよい。また微多孔質フィルムの外面に不織布等の通気性シートを積層した複合シートを裏面シートとして用いてもよい。吸収体30としては、液保持性の繊維材料の積繊体や、該繊維材料と高吸収性ポリマーの混合物の積繊体を用いることができる。この積繊体はその全体を、ティッシュペーパー等の液透過性シートで包んでもよい。
【0013】
おむつ1における表面シート側の左右両側部には、長手方向Xに延びるサイドシート11が配置されている。サイドシート11は、不織布等の撥水性を有するシート材から構成することができる。サイドシート11は、表面シート10の一部を覆うように、該表面シート10の上に配置されている。各サイドシート11の側縁のうち、幅方向Yの外方側の側縁は裏面シート20と固定されている。一方、各サイドシート11の側縁のうち、幅方向Yの内方側の側縁は自由端となっている。この自由端には、糸ゴム等の弾性部材12が伸長状態で固定されている。それによって、サイドシート11が起立して防漏カフが形成される。
【0014】
おむつ1は、その着用状態において、着用者の股下に位置する股下部Cと、股下部Cの前後から延びる腹側部A及び背側部Bとを有している。股下部Cには、吸収体30の左右両側縁から側方に延出し、かつ長手方向Xに延びる伸縮性のレッグカフ13が設けられている。レッグカフ13は、サイドシート11及び裏面シート20の間に、糸ゴム等の弾性部材14が伸長状態で固定されて形成されている。
【0015】
おむつ1の背側部Bには、吸収体30の左右両側縁から側方に延出したサイドフラップ15が設けられている。サイドフラップ15は、サイドシート11と裏面シート20とを接合して形成されている。サイドシート11と裏面シート20との間に弾性部材(図示せず)を伸長状態で配置して、サイドフラップ15を、幅方向Yに伸縮可能にしてもよい。あるいは、サイドシート11と裏面シート20とからサイドフラップを形成することに代えて、別材のシートで伸縮性のサイドフラップを作製し、これをおむつ1の背側部Bに取り付けてもよい。
【0016】
サイドフラップ15には、幅方向Yの外方側の側縁に、ファスニングテープ40が取り付けられている。ファスニングテープ40は、基材シート41と、該基材シート41における表面シート10と同じ側を向く面上に設けられた止着部42とを有している。止着部42としては、この種のおむつに従来用いられていたものと同様のものを用いることができる。例えば面ファスナのフック部材や、粘着剤等を用いることができる。
【0017】
おむつ1の腹側部Aには、おむつ1の外面にターゲットテープ50が取り付けられている。ターゲットテープ50は横長の矩形のものであり、おむつ1の長手方向Xと同方向である縦方向、及びおむつ1の幅方向Yと同方向である横方向を有している。ターゲットテープ50は、上述したファスニングテープ40における止着部42の材質に応じ、適切な材質のものが選択される。止着部42が例えば面ファスナのフック部材である場合、ターゲットテープ50としては、該フック部材と係合可能な繊維シート、例えば編み物地や不織布などが用いられる。ファスニングテープ40の止着部42が粘着剤からなる場合には、ターゲットテープ50として合成樹脂製の平滑なフィルム等を用いることができる。
【0018】
本発明のおむつは、吸収体に特徴の一つを有している。詳細には、吸収体は、おむつを平面視したときに、ターゲットテープと重なる領域に、1個又は2個以上の凹部を有している。該凹部は、その存在が、おむつの裏面シート側の外面から、触覚によって知覚可能になっている。つまり、おむつの外面から凹部が形成されている領域に手で触れた場合、該凹部がそこに形成されていることが知覚されるように、該凹部が形成されている。凹部は、一般には、吸収体における非肌対向面側の表面、すなわち裏面シートに対向する側の表面に形成されている。このような知覚を可能にするためには、例えば凹部の形成深さを2〜10mm程度に設定すればよい。このような深さの凹部を形成するには、例えば吸収体にエンボス加工を施して吸収体を部分的に圧密化すればよい。あるいは、液保持性の繊維材料を積繊して吸収体を製造するときに、凹部となるべき部分を薄肉に形成すればよい。
【0019】
凹凸感を一層顕著に知覚する観点からは、吸収体をエンボス加工することによって凹部を形成することが有利である。エンボス加工によって凹部を形成する場合、吸収体における非肌対向面側の表面から押圧を行ってもよく、あるいは肌対向面側の表面から押圧を行ってもよい。吸収体の肌対向面側の表面から押圧を行った場合、押圧した部位だけでなく、押圧した部位に対応する非肌対向面側の表面にも凹部が形成されることは、当該技術分野においてよく知られた事実である。
【0020】
特に、吸収体の一方の面側に表面シートを配し、他方の面側に裏面シートを配した状態下に、表面シート側から該表面シートを介してエンボス加工による押圧を行い、非肌対向面側の表面にも凹部を形成すると、該凹部がそこに形成されていることが一層知覚されやすくなるので好ましい。裏面シート側から該裏面シートを介し、吸収体に対してエンボス加工による押圧を行うことも可能であるが、その場合には、裏面シートにピンホール等の欠陥が生じないように注意する必要がある。
【0021】
吸収体が凹部を1個のみ有している場合には、該凹部は、ターゲットテープの横方向にわたって延びるように連続して形成されている。吸収体が凹部を複数個有している場合には、複数の該凹部はターゲットテープの横方向にわたって不連続に形成されている。つまり、複数の該凹部を連ねた仮想線を考えた場合、該仮想線がターゲットテープの横方向に延びるように、各凹部が配置されている。
【0022】
吸収体が凹部を1個のみ有しているか、それとも複数個有しているかにかかわらず、該凹部は、その全体として、ターゲットテープの縦中心線に対して線対称形となるように形成されている。これに加えて、該凹部は、その全体として、ターゲットテープの横中心線に対して非対称形となるように形成されている。詳細には、次のとおりである。吸収体が凹部を1個のみ有している場合には、1個の該凹部が、ターゲットテープの縦中心線に対して線対称形となるように、かつターゲットテープの横中心線に対して非対称形となるように形成される。吸収体が凹部を複数個有している場合には、各凹部の形状と、複数個の該凹部の全体で構成される配置パターンとからなる凹部デザインに着目したときに、該凹部デザインが、ターゲットテープの縦中心線に対して線対称形となっており、かつターゲットテープの横中心線に対して非対称形になっている。要するに「全体として」とは、吸収体が凹部を1個のみ有している場合には、該凹部の形状全体のことを意味する。吸収体が凹部を複数個有している場合には、各凹部の形状と、複数個の該凹部の全体で構成される配置パターンとからなる凹部デザインのことを意味する。
【0023】
吸収体の非肌対向面側における表面に、外面から触覚によって知覚可能な凹部を上述の形状となるように形成することで、視覚によらずとも、ファスニングテープをターゲットテープ上に左右対称に止着することができるという利点がある。詳細には、凹部は、ターゲットテープの縦中心線に対して線対称形となるように形成されているので、両方の手の指を使って、ターゲットテープの左右の側縁から縦中心線に向けて凹部をなぞることで、ターゲットテープの縦中心線の位置を指で容易に探り当てることができる。また、凹部は、ターゲットテープの横中心線に対して非対称形に形成されているので、指で探り当てたターゲットテープの縦中心線の位置から、ターゲットテープの左右の側縁に向けて、凹部を両方の手の指でなぞることで、縦中心線に対して左右対称な位置を指で容易に探り当てることができる。この位置を目標にして、ファスニングテープをターゲットテープに止着することで、ファスニングテープを左右対称に止着することが可能になる。このように、本発明によれば、暗所でのおむつの交換や視覚障害を有する人のおむつ交換を容易に行うことができる。
【0024】
ターゲットテープを、吸収体のうち、凹部が形成された部位に確実に位置合わせするために、例えば次に述べる方法を採用することができる。凹部の形成にはエンボス加工を用いる。エンボス加工によって形成された凹部は、押圧に起因する圧密化によって、他の部位よりも光透過率が高くなっている。この光透過率を利用して位置合わせを行う。この目的のために、裏面シートに位置合わせマークを形成する。位置合わせマークは例えば印刷によって形成することができる。吸収体の一方の面に裏面シートを重ね合わせるときに、該吸収体の光透過率を公知の光学的手段によってセンシングし、光透過率の高い部位と、裏面シートに形成された位置合わせマークとが一致するように、両者を重ね合わせる。次に、ターゲットテープを、裏面シートに形成された位置合わせマークを目安として該裏面シートの外面に重ね合わせる。このような方法を採用することによって、ターゲットテープを、吸収体のうち凹部が形成された部位に確実に位置合わせすることができる。
【0025】
図1に示す実施形態のおむつ1においては、吸収体30の非肌当接面側の表面に、4個の凹部31a,31b,31c,31dが形成されている。凹部31a,31dは同寸・同形をしている。凹部31b,31cは、凹部31a,31dと異なる同寸・同形をしている。4つの凹部はいずれも楕円形をしており、その長軸が、おむつ1の長手方向Xと一致している。凹部31a,31dと、凹部31b,31cとは相似形である。4個の凹部を連ねた仮想線ILを考えた場合、該仮想線ILはターゲットテープ50の横方向に延びるアーチ形状の曲線を描く。このアーチ形状の曲線からなる仮想線ILは、アーチの頂部が、おむつ1の腹側部Aの端縁側を向いている。各凹部の形状と、4個の凹部の全体で構成される配置パターンとからなる凹部デザインに着目したときに、該凹部デザインは、ターゲットテープ50の縦中心線LVに対して線対称形となっている。かつターゲットテープ50の横中心線LHに対して非対称形となっている。凹部31a,31dは、縦中心線LVに対して線対称の位置にある。同様に、凹部31b,31cも、縦中心線LVに対して線対称の位置にある。
【0026】
本実施形態のおむつ1を装着するときには、両方の手の指を使って、ターゲットテープ50の左右の側縁から縦中心線LVに向け、仮想線ILに沿って凹部を順次なぞることで、縦中心線LVの位置を指で容易に探り当てることができる。次に、指で探り当てた縦中心線LVの位置から、ターゲットテープ50の左右の側縁に向け、仮想線ILに沿って凹部を両方の手の指でなぞることで、縦中心線LVに対して左右対称な位置を指で容易に探り当てることができる。
【0027】
特に、本実施形態においては、凹部31a,31dと、凹部31b,31cとで大きさが相違しているので、縦中心線LVに対して左右対称な位置を一層容易に探し当てやすい。これを一層容易にする観点から、凹部の深さを、縦中心線LVから左右側方に向かうに連れて、左右対称に変化させてもよい。例えば縦中心線LV寄りに位置する凹部31b,31cを相対的に浅く形成し、かつ左右両側縁寄りに位置する凹部31a,31dを相対的に深く形成することができる。あるいは、この逆に、凹部31b,31cを相対的に深く形成し、かつ凹部31a,31dを相対的に浅く形成してもよい。
【0028】
凹部の形状及び複数個の凹部の全体で構成される配置パターンが、図1と異なる実施形態のおむつが図2〜図10に示されている。これらの図に示す実施形態に関し、先に述べた実施形態と共通する事項については、先に述べた実施形態の説明が適用される。したがって、先に述べた実施形態と共通する事項の説明は省略する。図2(a)及び(b)に示す実施形態も、図1に示す実施形態と同様に、複数の凹部を有している。図2(a)においては、互いに同形の楕円形をした6個の凹部31a〜31fが、ターケットテープ50の横方向にわたって不連続に形成されている。楕円形をした各凹部31a〜31fの中心を滑らかに連ねて形成される仮想線(図示せず)は、ターゲットテープ50の横方向に延びる緩やかなアーチ形状の曲線を描く。また、各凹部31a〜31fは、その長軸の傾きが相違しており、かつその傾きが、縦中心線LVに対して線対称となっている。その結果、各凹部31a〜31fの形状と、6個の凹部31a〜31fの全体で構成される配置パターンとからなる凹部デザインに着目したときに、該凹部デザインは、ターゲットテープ50の縦中心線LVに対して線対称形となっている。かつターゲットテープ50の横中心線LHに対して非対称形となっている。
【0029】
図2(b)においては、互いに同形の楕円形をした7個の凹部31a〜31gが、ターケットテープ50の横方向にわたって不連続に形成されている。楕円形をした各凹部31a〜31gの中心を滑らかに連ねて形成される仮想線(図示せず)は、ターゲットテープ50の横方向に延びるアーチ形状の曲線を描く。各凹部31a〜31gは、その長軸の方向が、おむつ1の長手方向と一致している。5個の凹部31a〜31gのうち、中央にある凹部31dは、その長軸が、縦中心線LV上に位置するように配置されている。かつ各凹部31a〜31gは縦中心線LVに対して線対称となるように配置されている。その結果、7個の凹部31a〜31gの全体で構成される配置パターンからなる凹部デザインに着目したときに、該凹部デザインは、ターゲットテープ50の縦中心線LVに対して線対称形となっている。かつターゲットテープ50の横中心線LHに対して非対称形となっている。
【0030】
図3に示す実施形態においては、略十字形をした同寸・同形の凹部31a〜31cが形成されている。各凹部31a〜31cは、略十字形の縦軸方向及び横軸方向が、おむつの長手方向及び幅方向と一致するように配置されている。3つの凹部31a〜31cのうち、中央の凹部31bは、その縦軸と横軸の交点が、ターゲットテープの横中心線LHよりも、おむつの前端部側に偏倚している。かつ凹部31bは、その縦軸が、ターゲットテープの縦中心線LV上に位置している。凹部31bを挟む左右の凹部31a,31cは、その縦軸と横軸の交点が、横中心線LHよりもおむつの股下部側に偏倚している。各凹部31a〜31cにおける縦軸と横軸の交点を滑らかに連ねて形成される仮想線(図示せず)は、ターゲットテープ50の横方向に延びる緩やかなアーチ形状の曲線を描く。かつ各凹部31a〜31cは縦中心線LVに対して線対称となるように配置されている。その結果、3個の凹部31a〜31cの全体で構成される配置パターンとからなる凹部デザインに着目したときに、該凹部デザインは、ターゲットテープ50の縦中心線LVに対して線対称形となっている。かつターゲットテープ50の横中心線LHに対して非対称形となっている。
【0031】
図4(a)ないし(c)に示す実施形態における凹部は、複数のアーチ形状の曲線部位の組み合わせから構成された単一のものである。図4(a)に示す実施形態では、3個の曲線部位31a〜31cの端部どうしが結合して、ターゲットテープ50の横方向に延びる波形の曲線形状をなす1本の凹部31が形成されている。そして凹部31は、ターゲットテープ50の縦中心線LVに対して線対称の形状になっている。アーチ形状をなす各曲線部位31a〜31cはいずれも、ターゲットテープ50の縦方向の同方向に向けて頂部を有するように配置されている。具体的には、おむつの腹側部の端部側に向けて頂部を有するように配置されている。3個の曲線部位31a〜31cのうち、中央に位置する曲線部位31bは、ターゲットテープ50の横中心線LHよりも、おむつの前端部側に偏倚している。曲線部位31bを挟む左右の曲線部位31a,31cは、横中心線LHよりもおむつの股下部側に偏倚している。
【0032】
図4(b)に示す実施形態では、2個の曲線部位31a,31bの一方の端部どうしが結合して、ターゲットテープ50の横方向に延びる波形の曲線形状をなす1本の凹部31が形成されている。2個の曲線部位31a,31bの結合部は、ターゲットテープ50の縦中心線LV上であって、かつ横中心線LHよりもおむつの腹側部の端部側に偏倚して位置している。凹部31の各端部は、横中心線LHよりもおむつの股下部側に偏倚して位置している。そして凹部31は、ターゲットテープ50の縦中心線LVに対して線対称の形状になっている。各曲線部位31a,31bはいずれも、おむつの腹側部の端部側に向けて頂部を有するように配置されている。
【0033】
図4(c)に示す実施形態も、図4(b)に示す実施形態と同様に、2個の曲線部位31a,31bの一方の端部どうしが結合して、ターゲットテープ50の横方向に延びる波形の曲線形状をなす1本の凹部31が形成されている。ただし、図4(b)に示す実施形態と異なり、各曲線部位31a,31bはいずれも、おむつの股下部側に向けて頂部を有するように配置されている。それ以外の点については、図4(b)に示す実施形態と同様である。
【0034】
このように、図4(a)ないし(c)に示す実施形態では、ターゲットテープ50の横方向に延びる1本の凹部31が、ターゲットテープ50の縦中心線LVに対して線対称形となっている。かつターゲットテープ50の横中心線LHに対して非対称形となっている。特に図4(a)に示す実施形態においては、中央に位置する曲線部位31bと、その左右に位置する曲線部位31,31cとの結合点において、曲線の曲がる向きが急激に変化しているので、該結合点の位置を指で探り当てやすい。したがってファスニングテープを左右対称に止着することが一層容易になる。
【0035】
図5に示す実施形態の凹部も、図4(a)ないし(c)に示す実施形態と同様に、アーチ形状の複数の曲線部位31a〜31cの端部どうしが結合して、ターゲットテープ50の横方向に延びる波形の曲線形状をなす1本の凹部31が形成されている。ただし、本実施形態が図4(a)ないし(c)に示す実施形態と異なる点は、各曲線部位31a〜31cの頂部の向く方向である。詳細には、3個のアーチ形状の曲線部位31a〜31cのうち、中央のアーチ形状の曲線部位31bの頂部が向く方向と、左右のアーチ形状の曲線部位31a,31cの頂部が向く方向とが180度逆になるように各アーチ形状の曲線部位が配置されている。中央の曲線部位31bの頂部は、おむつの腹側部の端部側を向いている。左右の曲線部位31a,31cの頂部は、おむつの股下部側を向いている。そして、中央の曲線部位31bの頂部は、ターゲットテープ50の横中心線LHよりも、おむつの前端側に偏倚している。中央の曲線部位31bの端部と、左右の曲線部位31a,31cの端部との結合部は、横中心線LHよりも、おむつの股下部側に偏倚している。同様に、凹部31の各端部も、横中心線LHよりも、おむつの股下部側に偏倚している。このような形状を有する凹部31は、ターゲットテープ50の縦中心線LVに対して線対称形となっている。かつターゲットテープ50の横中心線LHに対して非対称形となっている。本実施形態においては、左右に位置する曲線部位31,31cの頂部を境に曲線の向きが変化しているので、該頂点の位置を指で探り当てやすい。したがってファスニングテープを左右対称に止着することが一層容易になる。
【0036】
図6に示す実施形態では、ターゲットテープ50の縦中心線LVを挟んで線対称の位置に、一対の波形曲線状の凹部31,31が形成されている。各凹部31は、ターゲットテープ50の横方向に延びている。各凹部31は、いずれも3個の同寸・同形のアーチ形状の曲線部位31a〜31cの端部どうしが結合したものからなる。これらの曲線部位31a〜31cが結合してなる凹部31は、その2つの端部のうち、縦中心線LV寄りに位置する端部が、おむつの股下部側に変位しており、かつターゲットテープ50の側縁寄りに位置する端部が、おむつの腹側部の端部側に偏倚している。その結果、各凹部31は、ターゲットテープ50の縦中心線LVから、側縁側に向けて傾斜した状態になっている。したがって、各凹部31の形状と、2個の凹部31の全体で構成される配置パターンとからなる凹部デザインに着目したときに、該凹部デザインは、ターゲットテープ50の縦中心線LVに対して線対称形となっている。かつターゲットテープ50の横中心線LHに対して非対称形となっている。
【0037】
図7に示す実施形態では、図4ないし図6に示す実施形態と同様に、アーチ形状の曲線部位を有する凹部31が形成されている。ただし、本実施形態は、図4ないし図6に示す実施形態と異なり、各曲線部位どうしの端部が結合しておらず、各々の曲線部位が独立している。その結果、吸収体30には3個の凹部31が形成されている。各凹部31は、ターゲットテープ50の横方向に延びている。また、各凹部31は、ターゲットテープ50の縦方向の同方向に向けて頂部を有するように配置されている。具体的には、おむつの腹側部の端部側に向けて頂部を有するように配置されている。3個の凹部31のうち、中央に位置する凹部31は、ターゲットテープ50の横中心線LHよりも、おむつの腹側部の端部側に偏倚して位置している。中央に位置する凹部31を挟む左右の凹部31は、横中心線LHを跨ぐように位置している。その結果、各凹部31の形状と、3個の凹部31の全体で構成される配置パターンとからなる凹部デザインに着目したときに、該凹部デザインは、ターゲットテープ50の縦中心線LVに対して線対称形となっている。かつターゲットテープ50の横中心線LHに対して非対称形となっている。
【0038】
図8に示す実施形態では、吸収体30の幅方向の略全域にわたって、該幅方向に延びるアーチ形状の凹部31aが形成されている。このアーチ形状の凹部31aは、その頂部をおむつの腹側部の端部側に向けている。頂部は、ターゲットテープ50の横中心線LHよりも、おむつの腹側部の端部側に偏倚して位置している。2つの端部は、横中心線LHよりも、おむつの股下部側に偏倚して位置している。更に本実施形態では、アーチ形状の凹部31aに加えて、楕円形の小凹部31bが3個形成されている。楕円形の小凹部31bは、その長軸が、おむつの長手方向と一致するように配置されている。各小凹部31bの中心の位置は、おむつの幅方向に関して同位置にある。3個の小凹部31bのうち、中心に位置する小凹部31bは、その長軸が、ターゲットテープ50の縦中心線LV上に位置している。左右に位置する一対の小凹部31bは、アーチ形状の凹部31aの端部近傍の部位と重なるように配置されている。中心に位置する小凹部31bと、アーチ形状の凹部31aとの重なり合いはない。凹部31a,31bの形状と、凹部31a,31bの全体で構成される配置パターンとからなる凹部デザインに着目したときに、該凹部デザインは、ターゲットテープ50の縦中心線LVに対して線対称形となっている。かつターゲットテープ50の横中心線LHに対して非対称形となっている。
【0039】
以上、図4ないし図8に示す実施形態では、ターゲットテープ50の横方向に延び、かつ該ターケットテープ50の縦方向に向けて頂部を有するアーチ形状の凹部が少なくとも一個形成されていた。これに対して、図9(a)及び(b)に示す実施形態は、これまでの実施形態と異なり、凹部が直線状のものになっている。図9(a)に示す実施形態では、ターゲットテープ50の縦中心線LVの近傍に、縦中心線LVに対して線対称に、一対の直線状の第1凹部31aが形成されている。第1凹部31aは、ターゲットテープ50の横中心線LHと平行に延びている。また第1凹部31aは、横中心線LHの位置よりも若干おむつの股下部側に偏倚している。また本実施形態では、吸収体30の左右の側部域に、縦中心線LVに対して線対称に、三対の直線状の第2凹部31bが形成されている。各第2凹部31bは、ターゲットテープ50の横中心線LHと平行に延びている。また、各第2凹部31bは、横中心線LHの位置よりも、おむつの股下部側に偏倚している。更に本実施形態では、第1凹部31aと第2凹部31bとの間に、ターゲットテープ50の縦方向に延びる一対の直線状の第3凹部31cが形成されている。第3凹部31cは、ターゲットテープ50の縦方向の略全域にわたって、横中心線LHを横切るように形成されている。
【0040】
図9(b)に示す実施形態では、吸収体のうちターゲットテープ50と重なる領域のほぼ全体にわたって略X字状の第1凹部31aが形成されている。略X字状の第1凹部31aにおける交点は、ターゲットテープ50の縦中心線LV及び横中心線LHの交点の位置とほぼ一致している。第1凹部31aは、横中心線LHよりも股下部側に位置する一対の下部直線部位311a,312aと、横中心線LHよりもおむつの腹側部の端部側に位置する一対の上部直線部位313a,314aとから構成されている。下部直線部位311a,312aは、上部直線部位313a,314aよりも長くなっている。その結果、第1凹部31は、横中心線LHに対して非対称形になっている。また本実施形態では、上部直線部位313aと下部直線部位311aとの間、及び上部直線部位314aと下部直線部位312aとの間に、直線状の第2凹部31b及び第3凹部31cが形成されている。第2凹部31bは、上部直線部位313a,314aに沿って形成されている。一方、第3凹部31cは、下部直線部位311a,312aに沿って形成されている。第2凹部31bは、ターゲットテープ50の横中心線LHよりも、おむつの腹側部の端部側に位置している。一方、第3凹部31cは、ターゲットテープ50の横中心線LHよりも、股下部側に位置している。また、第3凹部31cは、第2凹部31bよりも長くなっている。更に、第3凹部31cは、第2凹部31bよりも、ターゲットテープ50の横方向の外方寄りに位置している。
【0041】
以上のとおり、図9(a)及び(b)に示す実施形態においても、これまで説明してきた実施形態と同様に、各凹部の形状と、複数個の該凹部の全体で構成される配置パターンとからなる凹部デザインに着目したときに、該凹部デザインは、ターゲットテープ50の縦中心線LVに対して線対称形となっている。かつターゲットテープ50の横中心線LHに対して非対称形となっている。
【0042】
図10に示す実施形態では、ターゲットテープ50の縦中心線LVに沿って、該ターゲットテープ50の縦方向に延びる所定幅の第1凹部31aが形成されている。第1凹部31aは、複数の小凹部の集合体から構成されている。第1凹部31aは、ターゲットテープ50の縦方向の略全域にわたって形成されている。また本実施形態では、ターゲットテープ50の左右の側部域に、該ターゲットテープ50の縦方向に延びる所定幅の一対の第2凹部31bが形成されている。第2凹部31bは、第1凹部31aと同様に、複数の小凹部の集合体から構成されている。第2凹部31bは、ターゲットテープ50の横中心線LHの位置を一端とし、他端がターゲットテープ50の下端縁に位置している。更に、本実施形態では、第1凹部31aと第2凹部31bとの間に、ターゲットテープ50の横方向に延びる直線状の第3凹部31cが一対設けられている。第3凹部31cは、ターゲットテープ50の横中心線LH上に位置している。このように、本実施形態においても、各凹部31a〜31cの形状と、複数個の該凹部31a〜31cの全体で構成される配置パターンとからなる凹部デザインに着目したときに、該凹部デザインは、ターゲットテープ50の縦中心線LVに対して線対称形となっている。かつターゲットテープ50の横中心線LHに対して非対称形となっている。
【0043】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、各実施形態における凹部の形状や配置位置を、適宜、相互に組み合わせることができる。
【0044】
また、前記実施形態においては、吸収体30におけるターゲットテープ50と重なる領域にのみ凹部が形成されていたが、ファスニングテープの適正な取り付けとは別の目的をもって、ターゲットテープ50と重ならない位置にも凹部を形成することは何ら妨げられない。
【符号の説明】
【0045】
1 使い捨ておむつ
10 表面シート
20 裏面シート
30 吸収体
31 凹部
40 ファスニングテープ
50 ターゲットテープ
V 縦中心線
H 横中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の肌対向面側に位置する表面シートと、非肌対向面側に位置する裏面シートと、両シート間に介在する吸収体とを具備し、装着状態において着用者の股下に位置する股下部と、該股下部の前後から延びる腹側部及び背側部とを有し、背側部の左右の側部域に止着用のファスニングテープを備え、腹側部の外面に該ファスニングテープが止着されるターゲットテープを備えた使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体は、前記ターゲットテープと重なる領域に、該吸収体の幅方向にわたって連続に又は不連続に形成された1個又は2個以上の凹部を有し、該凹部は、その存在が、おむつの裏面シート側の外面から、触覚によって知覚可能になっており、
前記凹部は、その全体として、前記ターゲットテープの縦中心線に対して線対称形となるように、かつ該ターゲットテープの横中心線に対して非対称形となるように形成されている、使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記凹部が、前記吸収体の非肌対向面側から施されたエンボス加工によって形成されている請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記凹部が、複数の小凹部の集合体から構成されている請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
2個以上の前記凹部が、ターケットテープの横方向にわたって不連続に形成されている請求項1ないし3のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記ターゲットテープの横方向に延び、かつ該ターケットテープの縦方向に向けて頂部を有するアーチ形状の凹部が少なくとも一個形成されている請求項1ないし4のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記アーチ形状の凹部が2個以上形成されており、各アーチ形状の凹部は、前記ターゲットテープの横方向にわたって配置されており、かつ該ターケットテープの縦方向の同方向に向けて頂部を有するように配置されている請求項5に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記アーチ形状の凹部が3個形成されており、各アーチ形状の凹部は、前記ターゲットテープの横方向にわたって配置されており、かつ3個のアーチ形状の凹部のうち、中央のアーチ形状の凹部の頂部が向く方向と、左右のアーチ形状の凹部の頂部が向く方向とが180度逆になるように各アーチ形状の凹部が配置されている請求項5に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記アーチ形状の凹部の端部どうしが結合して、前記ターゲットテープの横方向に延びる曲線形状の凹部をなしている請求項6又は7に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記凹部は、前記ターゲットテープの縦中心線から左右側方に向かうに連れて、左右対称に凹部深さが変化している請求項1ないし8のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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