説明

使い捨ておむつ

【課題】サイドパネルと吸収性本体との接合部に衝撃が掛かっても、該接合部における裂けや剥がれを防止可能な使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】おむつ1のサイドパネル3は、先端部3aにファスニングテープ4が設けられており、2枚のシート31,32間に固定された弾性部材33を有し、かつ弾性部材33の吸収性本体2側の端部3b又はその近傍を固定した本体側接着剤層35、及び該弾性部材33の先端部3a側の端部又はその近傍を固定した先端側接着剤層36を有している。弾性部材33は、本体側接着剤層35において、伸長状態でシート31,32間に固定されており、サイドパネル3の吸収性本体2側の端部3bは、本体側接着剤層35に固定された弾性部材33が収縮した状態で、接続用接着剤層62によって裏面シート22と接合されており、該接合は、該接続用接着剤層62が該本体側接着剤層35とおむつ幅方向に重なるようになされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファスニングテープを用いて装着するタイプの使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収体を含む吸収性本体における、着用時に着用者の背中側に配される部分に、該吸収性本体の幅方向に伸縮し、かつファスニングテープを備えたサイドパネルを取り付けてなる展開型の使い捨ておむつが知られている(特許文献1及び2)。
【0003】
特許文献1に記載のおむつでは、おむつの背側部に取り付けられたファスニングテープが、該背側部に固定される固定部と、該固定部よりもおむつ幅方向外方に突出する突出部とを有している。この突出部は、先端部と、この先端部よりも固定部寄りに位置する本体部とからなる。該固定部及び該先端部には補強不織布層が設けられている。そして固定部と本体部とに跨るように細長状弾性部材が伸長状態で固定されている。これに加えて、本体部と先端部とに跨るように、細長状弾性部材が伸長状態で固定されている。
【0004】
特許文献2に記載のおむつでは、止着テープ(ファスニングテープ)が、おむつの背側部に固定された固定部と、該固定部よりもおむつ幅方向外方に突出した本体部を有しており、該固定部から該本体部にかけての部分に弾性伸縮部材が固定されている。この弾性伸縮部材のうち、固定部に位置する部分は非伸長状態で固定されており、本体部に位置する部分は、幅方向に伸長した状態で固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−295836号公報
【特許文献2】特開2010−22550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のおむつでは、ファスニングテープは、その固定部と本体部とに跨るように固定されている細長状弾性部材が、伸長状態下におむつ背側部と固定されていると考えられる。ファスニングテープをこのような状態でおむつ背側部と固定すると、ファスニングテープの付け剥がしの際に、その固定部とおむつ背側部との接合部に加わる引張応力が緩和されにくいので、該接合部やその近傍に剥がれや裂けが生じやすい。
また、特許文献1においては、固定部に補強不織布層を設けているため、サイドパネルの吸収性本体側の端部や、サイドパネルとファスニングテープとの接合部の剛性が高くなりすぎ、層間を接着する接着剤層も増えることから、おむつの柔軟性や通気性等が阻害されやすい。
【0007】
特許文献2においては、弾性伸縮部材のうち、固定部に位置する部分を非伸長状態で固定することで、該固定部が収縮することに起因する止着テープのおむつ本体への接着強度の低下を防止できる旨が記載されている。しかし、このような構成を採用したとしても、なお、止着テープとおむつ背側部との接合部に引張応力が加わった場合に生じる該接合部の剥がれや裂けについては、改善の余地がある。また、同文献に記載のおむつを製造するにあたっては、2枚のシート間において弾性伸縮部材の一部を伸長状態で固定し、他の部分を非伸長状態で固定するので、製造工程が複雑になり、製造コストが増大するという問題もある。
【0008】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、吸収体及び該吸収体の外面側に配された裏面シートを含む吸収性本体と、該吸収性本体の一方又は両方の側部に取り付けられた伸縮性のサイドパネルを備えた使い捨ておむつであって、
前記サイドパネルは、先端部にファスニングテープが設けられており、2枚のシート及び該2枚のシート間に固定された弾性部材を有し、かつ該弾性部材の前記吸収性本体側の端部又はその近傍を固定している本体側接着剤層、及び該弾性部材の前記サイドパネルの先端部側の端部又はその近傍を固定している先端側接着剤層を有し、
前記弾性部材は、少なくとも前記本体側接着剤層において、伸長状態で前記2枚のシート間に固定されており、
前記サイドパネルの前記吸収性本体側の端部は、前記本体側接着剤層に固定された前記弾性部材が収縮した状態で、接続用接着剤層によって前記裏面シートと接合されており、該接合は、該接続用接着剤層が該本体側接着剤層とおむつ幅方向に重なるようになされている、使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サイドパネルと吸収性本体との接合部に衝撃が掛かっても、該接合部における裂けや剥がれを防止可能な使い捨ておむつが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態としての使い捨ておむつを、表面シート側から見た展開平面図である。
【図2】図2は、図1に示す使い捨ておむつの着用状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す使い捨ておむつのサイドパネル及びその近傍を、表面シート側からみた拡大平面図である。
【図4】図4(a)は、図3に示すサイドパネルが伸長した状態でのおむつ幅方向断面図であり、図4(b)は、該サイドパネルが収縮した状態でのおむつ幅方向断面図である。
【図5】図5は、図3におけるV−V線断面図である。
【図6】図6は、図3におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態のおむつにおけるサイドパネル及びその近傍を示す断面図(図5相当図)である。
【図8】図8は、本発明におけるおむつにおけるサイドパネルの製造方法の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1に示す実施形態の使い捨ておむつ1(以下、おむつ1ともいう)は、吸収体23及び該吸収体23の外面側に配された裏面シート22を含む吸収性本体2と、該吸収性本体2の両側部に取り付けられたサイドパネル3,3を備えている。
【0013】
吸収性本体2は、図1に示すように、縦長の形状を有しており、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部A、着用者の背側に位置する背側部B、及び股間部に位置する股下部Cを有している。吸収性本体2は、図1に示すように、平面状に拡げた状態において略長方形状である。サイドパネル3,3は、背側部Bにおける吸収性本体2の両側部に、それぞれ吸収性本体2の両側縁部から外方に突出するように取り付けられている。図2に示すように、ウエスト開口縁部Wはおむつ1の腹側部A及び背側部Bそれぞれの上端部からなる。
【0014】
使い捨ておむつ1の長手方向は、図中のY方向であり、吸収性本体の長手方向と同方向である。使い捨ておむつ1の幅方向は、図中のX方向であり、吸収性本体2の幅方向と同方向である。以下の説明においては、おむつの長手方向又は該おむつの構成部材のおむつ長手方向に対応する方向を単にY方向、おむつの幅方向又は該おむつの構成部材のおむつ幅方向に対応する方向を単にX方向ともいう。また、おむつやおむつの構成部材における内面は、着用時に、着用者の肌側に向けられる面であり、おむつやおむつの構成部材における外面は、着用時に、着用者の肌とは反対側に向けられる面である。
【0015】
吸収性本体2は、図1及び図5に示すように、液透過性の表面シート21と、裏面シート22と、これら両シート21,22間に介在された液保持性の吸収体23とを有している。裏面シート22は、液不透過性又は液難透過性(撥水性を含む)の防漏シート22aと、該防漏シート22aの外面側に外層接着剤層61を介して接合された外層不織布22bとを有する複合シートである。外層不織布22bは、吸収性本体2と平面視形状が等しく、防漏シート22aは、図5に示すように、X方向の幅が若干小さい以外は、外層不織布22bと同様の平面視形状を有している。外層不織布22bの存在により、おむつ外面の肌触りが良好である。
【0016】
図1に示すように、吸収性本体2の長手方向に沿う両側部には、該長手方向に延びる一対の立体ガード形成用シート24,24が配設されている。立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2の長手方向の両側部において、図5に示すように、表面シート21、該表面シートの側縁から延出した裏面シート22及びサイドパネル3を構成するシート31に接着剤層62,66〜68を介して固定されている。接着剤層62,66,67は、吸収性本体2の略全長に亘って形成されているが、接着剤層68は、腹側部A及び背側部Bに設けられている一方、股下部Cには設けられていない。
【0017】
各立体ガード形成用シート24は、図5に示すように、吸収性本体2の幅方向(X方向)内方側の端縁近傍に該端縁に沿って立体ガード形成用の弾性部材25が伸長状態で固定されている。着用時には、その弾性部材25の収縮力により、股下部Cにおける、該端縁から所定幅の部分が表面シート21から離間して立体ガードを形成する。また、吸収性本体2の長手方向両側部の脚廻りに配される部分には、図1に示すように、レッグギャザー形成用の弾性部材26が、立体ガード形成用シート24及び裏面シート3との間に挟持され、伸長状態で固定されている。
【0018】
おむつ1は、図1に示すように、吸収性本体2の長手方向中央線CLに対して左右対称に形成されている。そのため、サイドパネル3,3の構成及びそれらと吸収性本体2及びファスニングテープ4との接合態様については、主に図1の左側のサイドパネルを例に説明するが、右側のサイドパネルについても左右対称となる以外は同様である。
【0019】
おむつ1におけるサイドパネル3は、図3に示すように、平面状に拡げた状態において、矩形状である。また、サイドパネル3は、図5に示すように、不織布製の2枚のシート31,32と、2枚のシート31,32間に固定されている複数本の弾性部材33とを有している。サイドパネル3の先端部3aには、サイドパネル3を、他の部位に止着するためのファスニングテープ4が設けられている。サイドパネル3の先端部3aとは、サイドパネル3の吸収性本体2側とは反対側の端部のことである。一方、サイドパネル3の吸収性本体2側の端部(以下、基端部3bともいう)は、吸収性本体2に接合されている。
【0020】
弾性部材33は、それぞれ、おむつ1の幅方向(X方向)に沿って配されている。また、各サイドパネル3における複数本の弾性部材33は、おむつの長手方向(Y方向)に略等しい間隔を設けて配されている。
【0021】
本実施形態のおむつ1におけるサイドパネル3は、図3ないし図5に示すように、本体側接着剤層35、先端側接着剤層36及び複数本の中間接着剤層37を有している。これらの接着剤層35,36,37は、いずれも、おむつ長手方向(Y方向)に延びて形成されている。また、これらの接着剤層35,36,37においては、複数本の弾性部材33が、各接着剤層を構成する接着剤を介して2枚のシート31,32間に固定されていると共に、弾性部材33が介在していない部位においては2枚のシート31,32どうしが各接着剤層を構成する接着剤を介して直接接合されている。なお、図3において、本体側接着剤層35、先端側接着剤層36及び複数本の中間接着剤層37は、同図の左下を向く斜線のハッチングにより示されている。
【0022】
本体側接着剤層35は、サイドパネル3の延出方向における吸収性本体2側に設けられており、個々の弾性部材33の、吸収性本体2側の端部又はその近傍を固定している。先端側接着剤層36は、サイドパネル3の延出方向における先端部3a側に設けられており、個々の弾性部材33の、サイドパネル3の先端部3a側の端部又はその近傍を固定している。
【0023】
図4に示すように、本体側接着剤層35は、サイドパネル3における、吸収性本体2側の側縁まで延在していない。これによって、基端部3bは、本体側接着剤層35よりも該側縁側に、シート31,32の間が非接合状態になっている本体側非接着領域301を有している。つまり、基端部3bは、該本体側非接着領域301と、本体側接着剤層35の配設箇所のうちの全体又は本体側非接着領域301寄りの一部である本体側接着領域302とから構成されている。
【0024】
一方、先端側接着剤層36に関しては、該先端側接着剤層36は、サイドパネル3における、ファスニングテープ4側の側縁まで延在していない。これによって、先端部3aは、先端側接着剤層36よりも該側縁側に、シート31,32の間が非接合状態になっている先端側非接着領域303を有している。つまり、先端部3aは、該先端側非接着領域303と、先端側接着剤層35の配設箇所のうちの全体又は先端側非接着領域303寄りの一部である本体側接着領域304とから構成されている。
【0025】
中間接着剤層37は、サイドパネル3の延出方向における本体側接着剤層35と先端側接着剤層36との間の領域である中間領域30に複数本設けられている。中間接着剤層37は、前記の両接着剤層35,36のいずれよりも幅が小さく、中間領域30に間欠的に複数本形成されている。逆に言えば、本体側接着剤層35及び先端側接着剤層36は、中間接着剤層37よりも幅広に形成されている。サイドパネル3の延出方向において、本体側接着剤層35とそれと隣接する中間接着剤層37との間、隣接する中間接着剤層37どうし間、及び、先端側接着剤層36とそれと隣接する中間接着剤層37との間には、それぞれ、接着剤が配されていない非接着領域38が形成されている。本実施形態のおむつ1においては、サイドパネル3の延出方向は、おむつ幅方向と一致している。
【0026】
本体側接着剤層35、先端側接着剤層36及び中間接着剤層37は、いずれも、X方向に延びる複数本(より好ましくは3本以上)の弾性部材33と交差しておむつ長手方向(Y方向)に延びている。本体側接着剤層35、先端側接着剤層36及び中間接着剤層37は、いずれも、X方向に延びる総ての弾性部材33と交差しておむつ長手方向(Y方向)に延びていることが好ましく、サイドパネル3の上下縁3u,3d間の全長に亘っていることが更に好ましい。非接着領域38も同様に、X方向に延びる複数本(より好ましくは3本以上)の弾性部材33と交差しておむつ長手方向(Y方向)に延びている。非接着領域38も、X方向に延びる総ての弾性部材33と交差しておむつ長手方向(Y方向)に延びていることが好ましく、サイドパネル3の上下縁3u,3d間の全長に亘っていることが更に好ましい。
【0027】
図4(a)に示すように、弾性部材33は、少なくとも本体側接着剤層35において、X方向に伸長した状態で2枚のシート31,32間に固定されている。図4(a)に示すように、弾性部材33は、サイドパネル3の先端部3aから基端部3bにかけてX方向に伸長した状態でシート31,32間に固定されていることが好ましい。つまり、弾性部材33は、先端側接着剤層36及び中間接着剤層37においても、X方向に伸長した状態でシート31,32間に固定されていることが好ましい。
【0028】
このように、各接着剤層35ないし37に伸長状態で固定された弾性部材33が収縮しているおむつ1の自然状態においては、図4(b)に示すように、サイドパネル3の両面に、複数の襞が形成される。各襞は、複数本の弾性部材33に跨るようにY方向に延びて形成されている。図4(b)に示すように、サイドパネル3に形成される襞は、中間領域30においては、弾性部材33の収縮によって、2枚のシート31,32が、各非接着領域38において、弾性部材33から離れる方向に凸状に膨出する一方、各中間接着剤層37において、弾性部材33に向けて凹状となった凹凸形状を有している。このような襞は、おむつの着用状態においても完全には消失しないため、サイドパネル3における、中間接着剤層37によって硬くなった部分が、着用者の肌に当たりにくく、違和感を与えにくい。
【0029】
図4(b)に示すように、サイドパネル3における本体側接着剤層35及び先端側接着剤層36の配設箇所にも、弾性部材33の収縮により、サイドパネル3の両面に凹凸形状を有し、Y方向に延びる襞が複数形成されている。ただし、上述のとおり、本体側接着剤層35及び先端側接着剤層36は、中間接着剤層37よりも幅広に形成されており、その分だけ収縮が規制されるので、本体側接着剤層35及び先端側接着剤層36に固定された弾性部材33の収縮は、非接着領域38におけるそれよりも小さい。したがって、両接着剤層35,36における襞の凹凸のサイドパネル3厚み方向の高さは、中間領域30における襞の凹凸の同方向の高さよりも小さくなっている。
【0030】
図5に示すように、サイドパネル3の基端部3bは、本体側接着剤層35に固定された弾性部材33が収縮した状態で、つまり、図4(b)に示す状態で、接続用接着剤層62によって裏面シート22と接合されている。図5に示すように、接続用接着剤層62は、サイドパネル3の基端部3bと裏面シート22との間を接合していると共に、裏面シート22と立体ガード形成用シート24及び/又は表面シート21との間を接合している。より具体的には、接続用接着剤層62は、サイドパネル3の基端部3bと、防漏シート22aとの間を接合している。これと共に、接続用接着剤層62は、サイドパネル3の基端部3bと、防漏シート22aの端縁から延出した外層不織布22bとの間も接合している。更に接続用接着剤層62は、防漏シート22aと立体ガード形成用シート24及び/又は表面シート21との間を接合している。サイドパネル3の基端部3bのうち、本体側非接着領域301は、接続用接着剤層62によって、裏面シート22における、防漏シート22aと外層不織布22bとが接合された部位に接合されている。サイドパネル3の基端部3bのうち、本体側接着領域302は、外層不織布22bのうち、防漏シート22aよりもX方向外方に延在した部分に接合されている。
【0031】
このように、サイドパネル3の基端部3bにおいては、サイドパネル3の本体側接着剤層35の配設箇所における少なくともX方向内側の一部、すなわち本体側接着領域302が、接続用接着剤層62によって裏面シート22と接合するようになされている。つまり、サイドパネル3の基端部3bと裏面シート22との接合は、本体側接着剤層35と接続用接着剤層62とがX方向において重なるようになされている。
【0032】
前述の態様でサイドパネル3の基端部3bが裏面シート22と接合されていることによって、おむつ1は以下の有利な効果を有する。即ち、ファスニングテープ4の付け剥がしによって、サイドパネル3がX方向に強く引っ張られる等した場合に、応力が集中しやすいのは、サイドパネル3と裏面シート22とを接合する接続用接着剤層62、特に該接着剤層62におけるX方向外方の縁部62aである。しかるに本実施形態のおむつ1においては、前記縁部62aと本体側接着剤層35がX方向に重なっており、該本体側接着剤層35に伸長状態で固定された弾性部材33が収縮した状態でサイドパネル3と裏面シート22とが接合されているので、ファスニングテープ4がX方向に引っ張られても、収縮状態にある本体側接着剤層35の弾性部材33が伸長する余地が残っており、ファスニングテープ4の付け剥がし時に弾性部材33の伸長することで、前記の縁部62aに加わる応力が分散されて、該縁部62aで裂けや剥がれが起こりにくくなる。
【0033】
おむつ1をベビー用のものとする場合、本体側接着剤層35と接続用接着剤層62とがX方向で重なる長さL1(図5参照)は2mm以上であることが好ましく、5mm以上であることが更に好ましい。本体側接着剤層35のX方向幅L35(図5参照)は、4〜20mmであることが好ましく、8〜12mmであることが更に好ましい。また、前記の本体側接着剤層35のX方向幅L35に対する、前記重なる長さL1の比(L1/L35)は0.25〜0.75であることが好ましく、0.4〜0.6であることが更に好ましい。
【0034】
サイドパネル3の基端部3bに加え、該サイドパネル3は、図5に示すように、先端部3aにおいて、先端側接着剤層36に伸長状態で固定された弾性部材33が収縮した状態において、第2接続用接着剤層65によってファスニングテープ4と接合されている。具体的には、サイドパネル3の先端部3aは、これを構成する領域である先端側非接着領域303及び先端側接着領域304が、ファスニングテープ4のX方向内方の端部と接合している。このように、サイドパネル3の先端部3aとファスニングテープ4との接合は、第2接続用接着剤層65が先端側接着剤層36とX方向に重なるようになされている。第2接続用接着剤層65のX方向外方の縁部は、先端側接着剤層36のX方向外方の縁部よりもX方向外方に位置している。
【0035】
前述の態様でサイドパネル3の先端部3aがファスニングテープ4と接合していることによって、以下の有利な効果が奏される。すなわち、ファスニングテープ4の付け剥がしによって、該ファスニングテープ4がX方向に強く引っ張られる等した場合に、第2接続用接着剤層65にも応力が集中しやすい。本実施形態のおむつ1では、第2接続用接着剤層65と先端側接着剤層36がX方向に重なっており、該先端側接着剤層36に伸長状態で固定された弾性部材33が、収縮した状態でサイドパネル3の先端部3aとファスニングテープ4とが接合されている。それゆえファスニングテープ4がX方向に強く引っ張られる等しても、収縮状態にある先端側接着剤層36の弾性部材33に伸長する余地が残っているため、該弾性部材33が伸長することによって、第2接続用接着剤層65に加わる応力が分散され、該縁第2接続用接着剤層65での裂けや剥がれが防止される。
【0036】
おむつ1をベビー用のものとする場合、先端側接着剤層36と第2接続用接着剤層65とがX方向で重なる長さL2(図5参照)は2mm以上であることが好ましく、5mm以上であることが更に好ましい。先端側接着剤層36のX方向幅L36は、4〜20mmであることが好ましく、8〜12mmであることが更に好ましい。また、前記の先端側接着剤層36のX方向幅L36に対する、前記重なる長さL2の比(L2/L36)は0.25〜0.75であることが好ましく、0.4〜0.6であることが更に好ましい。
【0037】
ファスニングテープ4は、テープ基材42と、該テープ基材42に接合されて止着部41を形成する機械的面ファスナーのオス部材とからなる。そして、ファスニングテープ4における、テープ基材42のみからなるX方向内方側縁部が、サイドパネル3の先端部3aに、第2接続用接着剤層65を介して接合されている。ファスニングテープ4の該X方向内方側縁部における、サイドパネル3の先端部3aとの接合箇所は、該側縁部の先端まで延在している。
機械的面ファスナーのオス部材をテープ基材42に固定する方法としては、熱融着や接着剤による接着等の任意の接合方法が用いられる。
なお、おむつ1の腹側部Aの外面には、ファスニングテープの止着部41を止着させるランディングゾーン5が設けられている。ランディングゾーン5は、機械的面ファスナーのオス部材と係合可能なループ部材、例えば不織布から構成されている。
【0038】
図5に示すように、本実施形態のおむつ1においては、前述した立体ガード形成用シート24が、サイドパネル3における本体側接着剤層35の配設箇所の内面側(図5中P側)を覆っている。サイドパネル3の基端部3bは、これ構成する本体側接着領域302及び本体側非接着領域301のうち、本体側非接着領域301のみが、立体ガード形成用シート24と、表面側接着剤層66によって接合されている。つまり、立体ガード形成用シート24とサイドパネル3との接合は、表面側接着剤層66と本体側接着剤層35とがX方向に離間するようになされており、これによって、サイドパネル3の本体側接着剤層35の配設箇所は、立体ガード形成用シート24と非接合状態となっている。本実施形態において、立体ガード形成用シート24は撥水性の材料、例えば撥水性の不織布で形成されている。
【0039】
サイドパネル3の本体側接着剤層35の配設箇所は、該接着剤層35を形成するための接着剤が配されていることから若干硬く、かつ弾性部材33が収縮状態で固定されたことによる襞が形成されている。それゆえ、仮に、おむつの着用時に、着用者の肌が、露出状態の該配設箇所に当接していると、特に着用者の腹周り方向の動きに伴う前記配設箇所と肌との摩擦によって、着用者に違和感を生じさせる場合がある。しかしながら、本実施形態のおむつ1では、立体ガード形成用シート24が、サイドパネル3における本体側接着剤層35の配設箇所の内面側(図5中P側)を覆っており、該立体ガード形成用シート24が着用者の肌と当接する。それゆえ、着用時に、着用者の肌はサイドパネル3の本体側接着剤層35の配設箇所に直接当接しない。しかも、立体ガード形成用シート24は不織布からなり、サイドパネル3の本体側接着剤層35の配設箇所は、立体ガード形成用シート24と非接合状態となっている。そのため、サイドパネル3の前記配設箇所と着用者の肌とにずれが生じても、着用者の腹周り方向の動きに合わせて立体ガード形成用シート24が動きやすいため、サイドパネル3と立体ガード形成用シート24との間がずれやすく、それによって立体ガード形成用シート24と肌との間に摩擦が生じにくいため、前述の違和感を防止することができる。この観点から、立体ガード形成用シート24は、図5に示すように、サイドパネル3における本体側接着剤層35の配設箇所の内面側の全体を覆っていることが好ましい。
【0040】
図5に示すように、本実施形態においては、立体ガード形成用シート24は、所定幅の縦長の一枚のシートを、そのY方向の両側部をおむつ1の外面側(図5中Q側)に向けて折り返して2層構造としてある。該2層の間は、少なくとも立体ガード形成用シート24における、サイドパネル3の少なくとも前記本体側接着剤層35の配設箇所を覆う部分24aにおいて非接合となっている。そのため、おむつ1の着用時に、サイドパネル3の前記配設箇所と立体ガード形成用シート24との間にずれが生じやすいだけでなく、立体ガード形成用シート24の2層間でずれが生じやすい。これによって、着用者の腹周り方向の大きな動きによっても、立体ガード形成用シート24と肌との間に摩擦が生じにくく、前述の違和感が一層生じにくい。なお、立体ガード形成用シート24の2層の間は接合されていてもよく、その場合は、前記配設箇所を覆う部分24a以外の部分で部分接着されていることが好ましい。例えば弾性部材25が伸長状態で固定されている部位において2層の間を接合することができる。特に、図5に示すように、弾性部材25が固定されている部位を除き、2層間の全体が非接合状態となっており、内部が中空の袋状となっていることが更に好ましい。
【0041】
図5に示す例では、立体ガード形成用シート24のY方向の両側縁は、そのいずれもがおむつ外面側に折り返されていることによって、互いに近接しており、
近接状態で、両折り返し部の外面側(図5中Q側)が接続用接着剤層62によって裏面シート22に接合されている。また、折り返し部の外面側は、表面側接着剤層66,67,68によってサイドパネル3や表面シート21にも接合されている。これらの接合によって、立体ガード形成用シート24は、2層間を接合していないにも関わらず、2層構造が維持されている。
【0042】
次に、図3、図4及び図5に基づいて、立体ガード形成用シート24と、裏面シート22及びサイドパネル3との接合態様について説明する。図3には、立体ガード形成用シート24とサイドパネル3とを接合する表面側接着剤層66が、右下を向く斜線の細かいハッチングにより示されており、立体ガード形成用シート24と裏面シート22とを接合する接続用接着剤層62が、右下を向く斜線の粗いハッチングにより示されている。なお、表面側接着剤層66の位置を明示する観点から、接続用接着剤層62における、サイドパネル3と裏面シート22と接合する部分は図3に示していない。
【0043】
図3に示すように、表面側接着剤層66のX方向外方の縁部を第1縁部66bとし、サイドパネル3よりもウエスト開口縁部W側における、接続用接着剤層62のX方向外方の縁部を第2縁部62bとし、サイドパネル3よりも股下部C側における、接続用接着剤層62のX方向外方の縁部を第3縁部62cとしたときに、第2縁部62bは第1縁部66bよりもX方向外側に位置している。同様に、第3縁部62cも、第1縁部66bよりもX方向外側に位置している。サイドパネル3よりも股下部C側における、接続用接着剤層62の配置状態は、図6に示すとおりである。
【0044】
立体ガード形成用シート24が、図3、図5及び図6に示すような態様でサイドパネル3及び裏面シート22に接合されていることによって、本体側接着剤層35の配設箇所を覆う部分24aにおいて、立体ガード形成用シート24がサイドパネル3と非接合状態であっても、おむつ1の着用時に立体ガード形成用シート24が、内面側(図5中P側)に不用意にめくり上げられることを効果的に防止することができる。つまり、おむつ1の着用状態で、立体ガード形成用シート24が、サイドパネル3における本体側接着剤層35の配設箇所を覆った状態を確実に維持することができる。
【0045】
図3に示すように、第2縁部62b及び第3縁部62cは、X方向において、本体側接着剤層35と重なっていることが好ましい。また、第2縁部62b及び第3縁部62cは、X方向において、サイドパネル3と裏面シート22とを接合する接続用接着剤層62のX方向外方縁部62a(図5参照)と略同位置となっていることが好ましい。
【0046】
図5に示すように、おむつ1の幅方向(X方向)において、本体側接着剤層35は、外層接着剤層61より外方にも離間して形成されている。即ち、本体側接着剤層35は、外層接着剤層61のおむつ幅方向外方側の端部よりも外方(図5中左側)に形成されており、本体側接着剤層35と外層接着剤層61とは、相互に重なる部分を有することなくX方向に離間して形成されている。
【0047】
他方、おむつ幅方向(X方向)において、本体側接着剤層35、接続用接着剤層62及び外層接着剤層61は、おむつ幅方向に隙間(接着剤層の不存在部)が生じないように重ね合わされている。即ち、本体側接着剤層35及び接続用接着剤層62は相互に重なる部分を有し、接続用接着剤層62及び外層接着剤層61も相互に重なる部分を有している。相互に重なる2つの接着剤層間には一枚のシートが介在しており、一方の接着剤層が該シートの片面に接合しており、他方の接着剤層が該シートの他面に接合している。
【0048】
また、本体側接着剤層35、接続用接着剤層62及び外層接着剤層61は、この順でおむつ幅方向外側から内側に向けて、それぞれのX方向外方縁部が位置している。
【0049】
本実施形態におけるサイドパネル3によれば、本体側接着剤層35と外層接着剤層61とがX方向に離間しているため、シート31から外層不織布22bまでの総ての層間がX方向の同じ位置で接合されている場合に比して、サイドパネル3の基端部3bやその付近に過度に硬くなった部分が生じることを防止することができる。他方、本体側接着剤層35、接続用接着剤層62及び外層接着剤層61が、相互間に隙間が生じないように重ね合わされ、接着剤層が、X方向に実質的に連続しているため、サイドパネル3及び吸収性本体2における、本体側接着剤層35から外層接着剤層61に亘る部分に、サイドパネル3を引っ張っても破損しにくい充分な強度を確保することができる。おむつ1をベビー用のものとする場合、X方向において、接続用接着剤層62と外層接着剤層61とが重なる部分の幅L3(図5参照)は、5mm以上、特に10〜20mmであることが好ましい。また、本体側接着剤層35と外層接着剤層61との離間距離は、0.5mm以上、特に5〜10mmであることが好ましい。
【0050】
サイドパネル3は、それを構成するシート31,32に不織布等の通気性シートを用いると、サイドパネル3と吸収性本体2との接合部付近に良好な通気性を確保することが容易となる。同様に、サイドパネル3と先端部3a付近にも良好な通気性を確保することが容易となる。
【0051】
本体側接着剤層35、接続用接着剤層62及び外層接着剤層61は、上述した態様(特に図5に示す態様)で、サイドパネル3のY方向の全長に亘って延在していることが好ましい。一方、先端側接着剤層36及び第2接続用接着剤層65は、上述した態様(特に図5に示す態様)で、ファスニングテープ4のY方向の全長に亘って延在していることが好ましい。
【0052】
前述した、本体側接着剤層35、接続用接着剤層62、外層接着剤層61、先端側接着剤層36、第2接続用接着剤層65及び中間接着剤層37は、そのそれぞれを挟む2枚のシートのいずれか一方又は双方に各種公知の方法により接着剤を塗工した後、それら2枚のシートを重ね合わせて加圧することにより形成することができる。各接着剤層を形成する接着剤の塗工パターンは、接着剤塗工機として、スプレーガン、コーターガン等を用いて、所謂ベタ塗りすることが好ましいが、接着剤塗工機として、ビードガン、スパイラルスプレーガン、オメガ字状スプレーガン、転写ロール等を用いて、直線状、スパイラル状、オメガ字状、ドット状等のパターン塗工を行うこともできる。
【0053】
サイドパネル3に配する弾性部材33は、サイドパネル3の柔軟性向上や伸縮性の確保の観点から、その幅(Y方向の寸法)や直径が、0.1〜2mmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1mmである。また、サイドパネル3に配する弾性部材33の本数は、4〜30本程度とすることが好ましく、より好ましくは10〜20本である。
【0054】
これらの各部の寸法等は、弾性部材33等の弾性部材を伸長させて、サイドパネルやおむつを設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態で測定する。
【0055】
次に、おむつ1の構成材料について説明する。サイドパネル3を構成するシート31,32、ファスニングテープ4のテープ基材42としては、従来、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられている各種のシート材を、特に制限なく用いることができる。例えば、シート31,32、テープ基材42としては、不織布、織物、フィルム又はこれらの積層シート等を用いることができる。吸収性本体2を構成する表面シート21、裏面シート22、吸収体23としては、それぞれ、従来、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられるもの等を、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート21としては、親水性かつ液透過性の不織布や立体開孔フィルム等を用いることができる。本実施形態のように裏面シート22を複合シートとする場合、防漏シート22aは、液不透過性又は液難透過性(撥水性を含む)の樹脂フィルム、外層不織布22bが、各種製法による不織布(例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等)からなるものを用いることができる。外層不織布22bは多層構造のものであっても良い。また、吸収体23としては、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。立体ガードを構成する立体ガード形成用シート24としては、フィルム、不織布、織物又はこれらの積層シート等を用いることができる。
【0056】
また、立体ガード形成用シート24としては、フィルム、不織布、織物又はこれらの積層シート等を用いることができるが、前述のように不織布を用いることが好ましい。立体ガード形成用シート24に用いる不織布としては、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布との積層体などの撥水性不織布を用いることが好ましい。
【0057】
弾性部材33、立体ガードを構成する弾性部材25、レッグ部弾性部材26としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状ないし紐状の弾性部材を用いることができる。一枚のサイドパネルに配する複数本の弾性部材33は、同一種類のものが同一の伸長率で配されていることが、製造コストや製造工程の簡易化等の観点から好ましい。弾性部材33を固定する接着剤34をはじめ、各部材間を接合するための接着剤の好ましい材料としては、非晶性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EEA)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などの熱可塑性ポリマー及びそれらの混合物等が挙げられる。接着剤はホットメルト型が好ましい。
【0058】
なお、本実施形態においては、立体ガード形成用シート24のY方向に沿う両側縁が折り返されて二層構造となっているが、代わりに、図7に示すように、立体ガード形成用シート24のY方向に沿う両側縁のうち、表面シート2側の側縁をおむつの外面側に折り返す一方、サイドパネル3側の側縁は折り返さずに一層の状態で、サイドパネル3における本体側接着剤層35の配設箇所を覆っていてもよい。同図に示す実施形態においても、立体ガード形成用シート24とサイドパネル3とを接合する表面側接着剤層66は、本体側接着剤層35からX方向内方に離間した位置にあり、立体ガード形成用シート24は、サイドパネル3の本体側接着剤層35の配設箇所の内面側(図7中Q側)を非接合状態で覆っている。同図に示す実施形態でも、前述した図5に示す実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
本実施形態の使い捨ておむつにおけるサイドパネル3は、例えば以下の製造方法によって好適に製造することができる。この製造方法は、サイドパネル3の内面側又は外面側に位置するシートの原反である帯状シート31’,32’に、本体側接着剤層35及び先端側接着剤層36を形成するための接着剤34をそれぞれ帯状に連続塗工する第1工程、接着剤塗工後に、該サイドパネル3を構成する2枚のシートの原反である両帯状シート31’、32’を、両者間に伸長状態の弾性部材が挟まれるように合流させて一体化させる第2工程、両帯状シート31’,32’の側方に延出する弾性部材33を切断して、該弾性部材33が収縮した状態の帯状伸縮性シート3’を得る第3工程、該帯状伸縮性シート3’を所定長さに切断して個々のサイドパネル3を得る第4工程、及び該個々のサイドパネル3と、裏面シート2の連続体(図示せず)とを、両者を接合する接続用接着剤層62が本体側接着剤層35と該連続体の幅方向に重なるように接合させる第5工程を具備する。
【0060】
図8には、前述した製造方法のうち、第1工程ないし第3工程までの例が示されている。同図に示す伸縮性シートの製造装置7は、所定間隔離間して平行配置された一対の糸搬送用長手構造体71,71と、一対の該糸搬送用長手構造体に弾性部材を巻回して該弾性部材の向きを該糸搬送用長手構造体の長手方向(図中R方向)に交差する向きとする弾性体巻回手段72と、該弾性体巻回手段72に巻回されて該糸搬送用長手構造体により搬送される該弾性部材33を、一対の帯状シート31’,32’間に挟んで一体化する一体化手段73とを備えている。糸搬送用長手構造体71としては、R方向に移動する順走部分とR方向とは逆向きに移動する逆送部分とを有し、順走部分のみが弾性部材33と係合して該弾性部材33をR方向に搬送する無端ベルトが好ましく用いられる。無端ベルトは、プーリーやギアに架け渡し、そのプーリーやギアを回転させて駆動させる。また、個々の糸搬送用長手構造体71として、そのような無端ベルトを一本のみ使用することもできるが、図8に示すように、個々の糸搬送用長手構造体71として、そのような無端ベルトを上下二段に配したものを用いることが好ましい。上下のベルトに速度差を設けることにより、一対の糸搬送用長手構造体71,71に巻き付けた当初は、平面視ジグザグ状であった弾性部材33の向きを、弾性部材33がR方向に間隔を開けて多数平行状に配向した状態に修正した上で一対の帯状シート31’,32’間に固定することができる。糸搬送用長手構造体71として、周面に溝や凸条を螺旋状に設けた丸棒状体で中心軸線周りに回転駆動されるものを用いることもできる。
【0061】
図8に示すように、シート31の原反である帯状シート31’に、本体側接着剤層35、先端側接着剤層36及び中間接着剤層37を形成するための接着剤34を、公知の接着剤塗工機76により、それぞれ帯状に連続塗工する(第1工程)。接着剤34は、本体側接着剤層35と先端側接着剤層36の幅(帯状シート31’の幅方向の幅)が、中間接着剤層37よりも幅広となるように塗工される。なお、接着剤34は、帯状シート32’に連続塗工してもよい。そして、接着剤塗工後の両帯状シート31’,32’を、両者間に、伸長状態の弾性部材33が挟まれるように合流させ、一体化手段73としての一対のニップロール74で、それらを上下から加圧して一体化させる(第2工程)。そして、側方に延出する弾性部材33を、切断刃を備えたカッター等の切断手段77により切断することにより、伸縮性シート3’が得られる(第3工程)。
【0062】
図5に示す実施形態の使い捨ておむつは、前記の伸縮性シート3’を用いて以下の(1)〜(10)の手順で効率的に製造可能である。(1)第2接続用接着剤層65を形成するための接着剤が塗られたファスニングテープ4の連続ウェブをカットして、上記のようにして得られた伸縮性シート3’に、間欠的に取り付ける。第2接続用接着剤層65は、先端側接着剤層36と、伸縮性シート3’の幅方向に重なるように形成される。(2)ファスニングテープ4を折り返して伸縮性シート3’に仮止めする。(3)伸縮性シート3’に、表面側接着剤層66形成用の接着剤を、本体側接着剤層35と伸縮性シート3’の幅方向に離間した位置に連続塗工する。(4)伸縮性シート3’を間欠的にカットして、個々のサイドパネル3を形成する(第4工程)。(5)別工程で、立体ガード形成用シート24の連続体と表面シート21の連続体とを一体化させ、トップシート連続体を形成する。この一体化の際、立体ガード形成用シート24の連続体は、予め表面シート21側の側縁がおむつ外面側に折り返されており、該折り返し部の外面が、表面シート21の連続体と接着剤層67,68形成用の接着剤によって接合される。(6)別工程で防漏シート22aの連続体と外層不織布22bの連続体を一体化させ裏面シート22の連続体を形成し、接続用接着剤層62を形成するための(本体接続用の)接着剤を裏面シート22の連続体に連続的に塗工する。接続用接着剤層62形成用の接着剤の塗工は、サイドパネル3を裏面シート22の連続体に接合した際に、本体側接着剤層35と、接続用接着剤層62とが、裏面シート22の連続体の幅方向において重なるようになされる。(7)トップシート連続体における、立体ガード形成用シート24の連続体のサイドパネル3側の側縁を内面側に折り返す。該折り返しにより形成される折り返し部の外面と、個々のサイドパネル3とを、サイドパネル3に塗工された接着剤層66形成用の接着剤を介して接合して、トップシート連続体にサイドパネル3を取り付ける。(8)トップシート連続体に取り付けられたサイドパネル3の外面側に、接続用接着剤層62形成用の接着剤によって裏面シート22の連続体を接合させる。(9)製品両側(サイドパネル飛び出し部)を内側に折りたたむ。(10)製品1個にカットする。このようにして、本実施形態の使い捨ておむつ1を効率よく連続生産することができる。なお、手順(3)は手順(1)の前に行ってもよい。また、工程(8)は工程(7)の前に行ってもよい。
【0063】
図7に示す実施形態の使い捨ておむつ1を製造する場合には、手順(7)において、立体ガード形成用シート24の連続体におけるサイドパネル3側の側縁を折り返していない状態で、立体ガード形成用シート24の該側縁近傍部分の外面に、サイドパネル3を、表面側接着剤層66を介して接合させればよい。
【0064】
なお、前述した使い捨ておむつの製造方法においては、一対の帯状シート間に弾性部材を挟持固定させる装置として、特許文献1の図11及び図12等に示された装置を用いることもできる。
【0065】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記の各実施形態に制限されず、種々の変更可能である。例えば、使い捨ておむつは、立体ガードを有しないものであっても良く、その場合、サイドパネル3を、吸収性本体2の両側部において、表面シート21及び裏面シート22に接合して固定しても良い。また立体ガードを設ける場合、立体ガード形成用シート24は、サイドパネル3の本体側接着剤層35の配設箇所と接合していてもよい。
また、サイドパネル3の本体側接着剤層35の配設箇所の内面側を覆うシートとして、立体ガードを形成しないシートを用いてもよい。その場合も、該シートが不織布からなることが好ましい。
【0066】
また、弾性部材33は、概ね、おむつの幅方向に沿って配されていることが好ましいが、例えば、おむつ長手方向中央線CLに直交する直線に対して、0〜30°の角度をなすように配されていても良い。
【0067】
また、立体ガード形成用シート24と表面シート22とを接合する接着剤層(図5及び図7に示す接着剤層67,68)の数は、図5及び7に示すものに限定されない。
また、接続用接着剤層62は、立体ガード形成用シート24と表面シート21とを接合していなくてもよい。
また、裏面シート22としては、2枚のシート材のラミネートに代えて、1枚のシートを用いてもよい。その場合には、透湿性を有するか又は有さない樹脂フィルムや、液難透過性の不織布を用いることができる。
【0068】
また、図5及び図7には、ファスニングテープ4のテープ基材42を、シート32の外面(シート31側ではない面)側に、接着剤により接合した例を示したが、テープ基材42を、シート31の内面(シート32側ではない面)側に、接着剤により接合したり、シート31及び/又は32の相対向する面に、接着剤により接合することもできる。
【0069】
また、図5及び図7に示した例においては、サイドパネル3の、基端部及び先端部に、本体側非接着領域301及び先端側非接着領域303が形成されていた。このように先端側非接着領域及び本体側非接着領域が形成されていることは、サイドパネル3の先端部3aとのファスニングテープ4との接合面積、及びサイドパネル3の基端部3bと吸収性本体3との接合面積を増やす観点から好ましいが、先端側非接着領域及び/又は本体側非接着領域は形成されていなくても良い。
【0070】
また、ファスニングテープ4は、不織布等からなるテープ基材の片面に、機械的面ファスナーのオス部材を熱融着や接着剤等により貼り付けてなるものに代えて、不織布等からなるテープ基材の片面に粘着剤を塗布して粘着剤からなる止着部を形成したものであっても良い。また、機械的面ファスナーのオス部材からなる止着部41を止着させるランディングゾーンは、裏面シート22の外面に、機械的面ファスナーのメス部材を接合して形成しても良いし、裏面シート22の外面を、係合性に富む不織布から構成し、その所定領域をランディングゾーンとしても良い。また、ファスニングテープ4は、腹側部Aにおける吸収性本体2の両側部に設けた一対の腹側パネルに止着させるものであっても良い。腹側パネルの形成材料としては、不織布、織物、フィルム又はこれらの積層シート等を用いることができる。
【0071】
また、ファスニングテープ4を有するサイドパネル3は、吸収性本体2の長手方向の左右両側のうちのいずれか一方の側のみに形成されていてもよい。また、中間領域30は、全域が非接着領域38からなるものであっても良い。
また、本体側接着剤層35と先端側接着剤層36との間に、Y方向に連続する中間接着剤層37を設けるのに代えて、シート31,32どうしが、弾性部材33と重ならない部位において熱融着した多数の熱融着部を設けても良い。また、本体側接着剤層35と先端側接着剤層36との間の全域において、シート31,32どうしが、前記両接着層35,36の接着剤に比して接着力が弱い接着剤によって接合されていても良い。
【0072】
また、サイドパネル3の先端部3a及び/又は基端部3bに補強用のシートを接合させて補強し、補強した先端部3aに第2接続用接着剤層65を介してファスニングテープ4を接合させたり、補強した基端部3bに接続用接着剤層62を介して吸収性本体2を接合させたりしてもよい。補強用のシートは、サイドパネル3を構成する2枚のシート31,32のうちいずれか一方を折り返したものであってもよい。
【0073】
また、上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 使い捨ておむつ
2 吸収性本体
21 表面シート
22 裏面シート
22a 防漏シート
22b 外層不織布
23 吸収体
24 立体ガード形成用シート
3 サイドパネル
3a サイドパネルの先端部
3b サイドパネルの基端部(吸収性本体側の端部)
30 中間領域
31,32 シート
33 弾性部材
35 本体側接着剤層
36 先端側接着剤層
37 中間接着剤層
38 非接着領域
4 ファスニングテープ
41 止着部
42 テープ基材
5 ランディングゾーン
61 外層接着剤層
62 接続用接着剤層
62b サイドパネルよりもウエスト開口縁部側における、接続用接着剤層のおむつ幅方向外方の縁部(第2縁部)
62c サイドパネルよりも股下部側における、接続用接着剤層のおむつ幅方向外方の縁部(第3縁部)
65 第2接続用接着剤層
66 表面側接着剤層
66b 表面側接着剤層のおむつ幅方向外方の縁部(第1縁部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体及び該吸収体の外面側に配された裏面シートを含む吸収性本体と、該吸収性本体の一方又は両方の側部に取り付けられた伸縮性のサイドパネルを備えた使い捨ておむつであって、
前記サイドパネルは、先端部にファスニングテープが設けられており、2枚のシート及び該2枚のシート間に固定された弾性部材を有し、かつ該弾性部材の前記吸収性本体側の端部又はその近傍を固定している本体側接着剤層、及び該弾性部材の前記サイドパネルの先端部側の端部又はその近傍を固定している先端側接着剤層を有し、
前記弾性部材は、少なくとも前記本体側接着剤層において、伸長状態で前記2枚のシート間に固定されており、
前記サイドパネルの前記吸収性本体側の端部は、前記本体側接着剤層に固定された前記弾性部材が収縮した状態で、接続用接着剤層によって前記裏面シートと接合されており、該接合は、該接続用接着剤層が該本体側接着剤層とおむつ幅方向に重なるようになされている、使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記先端側接着剤層においても、伸長状態で前記2枚のシート間に固定されており、
前記サイドパネルの前記先端部側の端部は、前記先端側接着剤層に固定された前記弾性部材が収縮した状態において、第2接続用接着剤層によって前記ファスニングテープと接合されており、該接合は、該第2接続用接着剤層が該先端側接着剤層とおむつ幅方向に重なるようになされている、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記吸収性本体の長手方向に沿う両側部に、該長手方向に延びる一対の立体ガード形成用シートが、前記裏面シート及び前記サイドパネルに接合した状態で配置されており、
該立体ガード形成用シートは、前記サイドパネルにおける前記本体側接着剤層の配設箇所の内面側を非接合状態で覆っている、請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記立体ガード形成用シートは、おむつ長手方向に沿う両側部がおむつ外面側に向けて折り返されて2層に形成されており、
前記2層の間は、前記立体ガード形成用シートにおける、前記サイドパネルの少なくとも前記配設箇所を覆う部分において、非接合状態となっている、請求項3に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記立体ガード形成用シートは、前記サイドパネルと表面側接着剤層によって接合している一方、前記裏面シートと前記接続用接着剤層によって接合しており、
前記表面側接着剤層における、おむつ幅方向外方の縁部を第1縁部とし、
前記サイドパネルよりもウエスト開口縁部側における、前記接続用接着剤層のおむつ幅方向外方の縁部を第2縁部とし、
前記サイドパネルよりも股下部側における、前記接続用接着剤層のおむつ幅方向外方の縁部を第3縁部としたときに、
前記第2縁部は前記第1縁部よりもおむつ幅方向外側に位置しており、かつ前記第3縁部は該第1縁部よりもおむつ幅方向外側に位置している、請求項3又は4に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記裏面シートは、液不透過性又は液難透過性の防漏シート、及び該防漏シートの外面側に外層接着剤層を介して接合された外層不織布を有する複合シートである、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−81600(P2013−81600A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223069(P2011−223069)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】