使い捨ておむつ
【課題】視覚によらず、ファスニングテープを左右対称に止着することができる使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】使い捨ておむつ1は、背側部Bの左右の側部域にファスニングテープ40を備え、腹側部Aの外面にターゲットテープ50を備えている。ターゲットテープ50に、該ターゲットテープ50を左右に二等分する位置に中心指標51を設け、更に該中心指標51に対して左右線対称の位置に、該ターゲットテープ50の上端側又は/及び下端側に偏倚させて、2組以上の止着指標52,53,54を設けた。中心指標51及び止着指標52,53,54を、触覚によって知覚されるように形成した。かつ各組の止着指標52,53,54を、互いに異なる触覚を呈するように形成するとともに、止着指標52,53,54と中心指標51も互いに異なる触覚を呈するように形成した。
【解決手段】使い捨ておむつ1は、背側部Bの左右の側部域にファスニングテープ40を備え、腹側部Aの外面にターゲットテープ50を備えている。ターゲットテープ50に、該ターゲットテープ50を左右に二等分する位置に中心指標51を設け、更に該中心指標51に対して左右線対称の位置に、該ターゲットテープ50の上端側又は/及び下端側に偏倚させて、2組以上の止着指標52,53,54を設けた。中心指標51及び止着指標52,53,54を、触覚によって知覚されるように形成した。かつ各組の止着指標52,53,54を、互いに異なる触覚を呈するように形成するとともに、止着指標52,53,54と中心指標51も互いに異なる触覚を呈するように形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファスニングテープをターゲットテープに止着することで装着するタイプの使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
おむつの背側部に設けられた左右のファスニングテープを、腹側の外面に設けられたターゲットテープに止着することで装着するタイプの使い捨ておむつ、すなわち、いわゆるテープ止めタイプのおむつにおいては、ファスニングテープを止着したときの左右のバランスが崩れてしまうと、それに起因して液漏れが起こりやすくなる傾向にある。そこで、左右のファスニングテープの止着位置をバランスさせることを目的として、例えばターゲットテープに止着位置の目安となる目盛り等を印刷等の手段によって施し、視覚的に止着位置を認識する技術が種々提案されている。
【0003】
しかし、視覚的に止着位置を認識する手段を設けただけでは、夜間等の暗所でおむつを交換する場合や、視覚障害を有する人がおむつを交換する場合に不都合が生じる。かかる不都合を解消することを目的として、特許文献1においては、粘着テープからなるファスニングテープを備えた使い捨ておむつにおいて、ターゲットテープの表面のうち、粘着テープが接着されない領域に、凸状又は凹状の識別マークを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−38128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のおむつにおいては、前記識別マークは、ターゲットテープの幅方向の中央部にのみ設けられている。したがって、該識別マークによって、ターゲットテープの中央部は視覚によらずとも認識できる。しかし、着用者のウエストサイズに応じてファスニングテープの止着位置を変更したい場合、中心部から左右に離れた位置には前記識別マークが設けられていないので、そのような位置に視覚によらず対称にファスニングテープを止着することは容易でない。
【0006】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得るテープ止めタイプの使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、装着状態において着用者の股下に位置する股下部と、該股下部の前後から延びる腹側部及び背側部とを有し、背側部の左右の側部域に止着用のファスニングテープを備え、腹側部の外面に該ファスニングテープが止着されるターゲットテープを備えた使い捨ておむつにおいて、
前記ターゲットテープに、該ターゲットテープを左右に二等分する位置に中心指標を設け、更に該中心指標に対して左右線対称の位置に、該ターゲットテープの上端側又は/及び下端側に偏倚させて、2組以上の止着指標を設け、
前記中心指標及び前記止着指標をいずれも、触覚によって知覚されるように形成し、かつ各組の前記止着指標を、互いに異なる触覚を呈するように形成するとともに、該止着指標と該中心指標も互いに異なる触覚を呈するように形成した、使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の使い捨ておむつによれば、ターゲットテープに触れることで、ファスニングテープを左右対称に止着する位置を容易に認識することができる。したがって視覚によらず、ファスニングテープを左右対称に止着することができるので、暗所でのおむつの交換や視覚障害を有する人のおむつ交換が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の使い捨ておむつを着用する様子を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1に示す使い捨ておむつのターゲットテープの形状を示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)のb−b線断面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。図3(b)は、図3(a)のb−b線断面図である。図3(c)は、図3(a)及び(b)に示す形態のターゲットテープの変形例を示す図であり、図3(b)相当図である。
【図4】図4は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図5】図5は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図6】図6は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図7】図7は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図8】図8は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図9】図9は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図10】図10は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図11】図11は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図12】図12は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1に示す第一実施形態の使い捨ておむつ1は、装着状態において着用者の股下に位置する股下部Cと、該股下部Cの前後から延びる腹側部A及び背側部Bとを有している。背側部Bの左右の側部域20,20には、止着用の一対のファスニングテープ40,40が取り付けられている。腹側部Aの外面には、ファスニングテープ40,40が止着されるターゲットテープ50が取り付けられている。
【0011】
おむつ1は、液透過性の表面シート(図示せず)、液難透過性又は液不透過性の裏面シート10、及び両シート間に介在する液保持性の吸収体(図示せず)を有している。おむつ1は、図1において符号Xで示す方向が長手方向となり、符号Yで示す方向が幅方向となる一方に長い形状をしている。
【0012】
表面シート、裏面シート10及び吸収体としては、この種のおむつに従来用いられていたものと同様のものを用いることができる。表面シートとしては、例えば不織布や穿孔フィルムなどの液透過性のシート材を用いることができる。裏面シート10としては、合成樹脂製のフィルム等や、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布(SMS不織布)等の撥水性のシート材料を用いることができる。合成樹脂製のフィルムを微多孔質フィルムから構成して、水蒸気透過性を付与してもよい。また微多孔質フィルムの外面に不織布等の通気性シートを積層した複合シートを裏面シートとして用いてもよい。吸収体としては、液保持性の繊維材料の積繊体や、該繊維材料と高吸収性ポリマーの混合物の積繊体を用いることができる。この積繊体はその全体を、ティッシュペーパー等の液透過性シートで包んでもよい。
【0013】
図1に示すように、一対のファスニングテープ40,40は、おむつ1の背側部Bにおける左右の両側部域20,20からそれぞれおむつ1の幅方向Yの外方に延出するように設けられている。ファスニングテープ40は、基材シート41と、該基材シート41における表面シートと同じ側を向く面上に設けられた止着部42とを有している。止着部42としては、この種のおむつに従来用いられていたものと同様のものを用いることができる。例えば面ファスナのフック部材や、粘着剤等を用いることができる。
【0014】
図1に示すように、ファスニングテープ40,40の止着部42が止着するターゲットテープ50は、腹側部Aの外面における幅方向Yの中央域に設けられている。ターゲットテープ50は、おむつ1の幅方向Yに横長の略矩形状である。ターゲットテープ50は、上述したファスニングテープ40における止着部42の材質に応じ、適切な材質のものが選択される。止着部42が例えば面ファスナのフック部材である場合、ターゲットテープ50としては、該フック部材と係合可能な繊維シート、例えば編み物地や不織布などが用いられる。ファスニングテープ40の止着部42が粘着剤からなる場合には、ターゲットテープ50として合成樹脂製の平滑なフィルム等を用いることができる。
【0015】
本発明の使い捨ておむつは、ターゲットテープの形状に特徴の一つを有する。詳細には、ターゲットテープに、中心指標及び止着指標を設けている。中心指標とは、ターゲットテープを左右に二等分する位置を示す指標である。止着指標とは、ターゲットテープにファスニングテープを取り付ける位置を示す指標である。したがって中心指標は、ターゲットテープを左右に二等分する位置に形成されている。一方、止着指標は、中心指標に対して左右線対称の位置に設けられている。止着指標は2組以上設けられている。更に止着指標は、ターゲットテープの上端側及び/又は下端側に偏倚させて設けられている。
【0016】
詳細には、図2に示す実施形態においては、ターゲットテープ50に、一つの中心指標51が、ターゲットテープ50の幅方向Yの全長を左右に二等分する位置に設けられている。中心指標51は、ターゲットテープ50の平面視において、長手方向Xに延びて、ターゲットテープ50の長手方向Xの全域にわたって直線状に形成されている。また、ターゲットテープ50には、中心指標51に近い順に、1組目の止着指標52,52、2組目の止着指標53,53、3組目の止着指標54,54の3組の止着指標がそれぞれ設けられている。各組の止着指標は、ターゲットテープ50において該中心指標51に対し左右線対称な位置に設けられている。止着指標52ないし54は、ターゲットテープ50の平面視において幅方向Yの2辺と長手方向Xの2辺とに囲まれてなる略矩形状をしている。つまり止着指標52ないし54は、ターゲットテープ50の上端縁を含んでいる。各組を構成する一対の止着指標は、中心指標51に対して線対称な形状をしている。
【0017】
中心指標51及び止着指標はいずれも、触覚によって知覚されるように形成されている。各組の止着指標は、互いに異なる触覚を呈するように形成されている。更に中心指標と止着指標も互いに異なる間隔を呈するように形成されている。
【0018】
本実施形態のおむつ1を装着するときには、腹側部Aを着用者の腹部に当てた状態で、両方の手の指を使ってターゲットテープ50を触り、中心指標51を探り当てる。中心指標51と止着指標52ないし54とでは触感が異なるので、中心指標51を探り当てることは容易である。次に、各手の指がターゲットテープ50に触れている状態で、各指を中心指標51から左右に離していくことにより、中心指標51から近い順に、止着指標52,52,止着指標53,53,止着指標54,54を探り当てる。各組の止着指標は、互いに異なる触感を呈するように形成されているので、組ごとに止着指標を探り当てることは容易である。この場合、止着指標52ないし54が、ターゲットテープ50の上端側に偏倚して設けられているので、ターゲットテープ50の上端部に沿って指をなぞっていくことによって、止着指標52ないし54の位置を一層知覚しやすい。このようにして、中心指標51に対し左右線対称な位置を知覚できる。それによって、各組の止着指標の位置を目安にして、ファスニングテープ40,40を、中心指標51から左右対称な位置に容易に止着させることができる。このように、本発明によれば、暗所でのおむつの交換や視覚障害を有する人のおむつ交換を容易に行うことができる。
【0019】
特に、本実施形態のおむつ1では、止着指標52ないし54の形成箇所をターゲットテープ50の上端側に偏倚させているので、ターゲットテープ50の下端側に、ファスニングテープ40の止着領域を十分に確保することができる。したがって、本実施形態には、ターゲットテープ50の全体に止着指標を設ける場合に比べて、ターゲットテープ50と止着部42との係合力の低下を抑制することができるという利点がある。
【0020】
中心指標51及び止着指標52ないし54は、図2(b)に示すように、エンボス加工によって、ターゲットテープ50の外面50aに形成され、内面50b側に向けて凹んだ凹部として形成されている。該凹部は、該エンボス加工によって、ターゲットテープ50を構成するシートが圧密化されて形成されている。ターゲットテープ50が編み物地や不織布等の繊維シートからなる場合、該繊維シートがエンボス加工によって付与された熱でフィルム化されることで凹部が形成され、該凹部が表面平滑な状態となっていることが、中心指標51及び止着指標52ないし54を触感で知覚しやすくする観点から好ましい。図2(b)に示す例では、中心指標51及び止着指標52ないし54それぞれを構成する凹部の底面は、ターゲットテープ50外面50aからの深さが略一定であるが、異なっていてもよい。
【0021】
このように、本実施形態においては、中心指標51及び止着指標52ないし54を、ターゲットテープ50の平面視において所定形状を有する凹部に形成することで、これらを触感で知覚されるように形成してある。より確実に中心指標51を触感で知覚可能とする観点から、中心指標51の幅方向Yの最大幅L51(図2(a)参照)は、1〜15mmであることが好ましく、更に好ましくは5〜10mmである。
【0022】
本実施形態においては、組ごとに止着指標の面積を異ならせることで、各組の止着指標が、互いに異なる触感を呈するように形成している。止着指標の面積とは、本実施形態においては、止着指標を構成する凹部の底面積である。図2(a)に示すように、各組の止着指標は、長手方向Xの長さがいずれも一定であり、幅方向Yの長さが、中心指標51から遠ざかる組の止着指標ほど小さくなるように形成されている。その結果、中心指標51から遠い組の止着指標ほどその面積が小さくなっている。このように止着指標を形成することで、中心指標51に触れている各手の指を、ターゲットテープ50の左右に向けて移動させていくときに、止着指標を一層知覚しやすくなる。
【0023】
また本実施形態においては、中心指標51が、ターゲットテープ50の長手方向Xの全域にわたって形成されているのに対して、各組の止着指標がターゲットテープ50の上端縁を含んで、該ターゲットテープ50の上端側に偏倚して形成されている。このように、中心指標51と各組の止着指標とでは、それらの形状が大きく相違することに起因して、触感も大きく相違する。したがって、止着指標と区別して、中心指標51を指で探り当てることは容易である。
【0024】
各組の止着指標どうしは、5mm以上、特に5〜30mm離間させて設けてあることが好ましい。図2(a)に示すように、隣り合う2組の止着指標どうしの間隔、例えば止着指標52,52と止着指標53,53との間隔Ls1、止着指標53,53と止着指標54,54との間隔Ls2は、いずれも5mm以上となっていることが好ましい。それゆえ、止着指標を指の腹で確認する場合に、止着指標間の領域を触覚で確実に知覚でき、隣接した2つの止着指標それぞれを確実に独立して認識できる。
【0025】
また、止着指標52ないし54の下端部と、該ターゲットテープ50の下端縁50dとの間の距離Lx(図2(a)参照)を、ファスニングテープ40,40の止着幅L42(図1参照)と同等か又はそれ以上となすことも好ましい。図1に示すように、止着幅L42は、ファスニングテープ40,40の止着部42における、長手方向Xの最大幅である。前記距離Lxが、止着幅L42と同等かそれ以上であることによって、ターゲットテープ50の止着指標が設けられていない領域にファスニングテープ40の止着部42を止着しやすいため、止着指標を設けることによるターゲットテープ50の係合力の低下を防止できる。
【0026】
次に、第2ないし第11実施形態の使い捨ておむつについて、図3ないし図12を参照して説明する。第2ないし第11実施形態の使い捨ておむつについては、第1実施形態との相違点について主として説明し、同様の点については説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態と同様である。図3ないし図12には、第1実施形態の使い捨ておむつの構成要素等と同様の構成要素等に同一の符号を付してある。
第2ないし第8実施形態の使い捨ておむつそれぞれは、第1実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープ50を、図3ないし図9に示すターゲットテープ50Aないし50Gそれぞれに置き換えたものである。
【0027】
図3に示す第2実施形態におけるターゲットテープ50Aは、止着指標52Aないし54Aそれぞれを構成する凹部内に、1又は2以上の小凸部56が設けてある。具体的には、図3(b)に示すように、小凸部56は、各凹部の底面から突起している。このような小凸部56が存在することにより、各止着指標を触感で更に知覚しやすくなる。凹部の深さD(図3(b)参照)に対する小凸部56の高さH(図3(b)参照)の割合(H/D)は、0.5〜1.5であることが好ましい。小凸部56は、止着指標を構成する凹部と小凸部56の形状に対応した凹凸部を有するエンボスロールを用いてエンボス加工を行うことにより、凹部の形成と同時に形成することができる。
【0028】
図3(a)に示すように、小凸部56は、ターゲットテープ50Aにおける長手方向Xの略同位置において、幅方向Yに沿って並んで設けられている。各組の止着指標を構成する凹部それぞれに配置された小凸部56の数は異なっており、これによって、各止着指標の触感の異なりは大きくなる。図3に示す例では、より面積の大きな止着指標を構成する凹部に、より多くの小凸部56が配置されている。
【0029】
図3(b)に示す形態では、ターゲットテープ50Aにおける、小凸部56の形成箇所の内面50b側(図3(b)の下側)は、平坦に形成されている。これに代えて図3(c)に示すように、小凸部56の内面50b側に、小凸部56の突出方向、即ちターゲットテープ50Aの外面50a側に向けて凹んだ小凹部57を形成してもよい。このような小凹部57は、凹部を有する一つのロールと凸部を有する他のロールとを、ターゲットテープを挟んだ状態で該凹部と該凸部とを互いに噛み合わせて回転させて小凸部56を形成することにより、小凸部56と共に形成される。このように内面50b側の小凹部57と共に外面50a側の小凸部56を形成すると、該小凸部56を、触感の鮮明なものに形成しやすいため好ましい。
【0030】
図4に示す第3実施形態においては、ターゲットテープ50Bに形成された各止着指標52Bないし54Bは、ターゲットテープ50Bの上端側に偏倚しているものの、上端縁50cまで延在していない。また、各止着指標52Bないし54Bは略円形状に形成されている。各止着指標52Bないし54Bの中心は、1本の直線上に位置している。この直線は、ターゲットテープ50の幅方向Yと平行になっている。また、止着指標52Bないし54Bは、中心指標51から、ターゲットテープ50Bの左右側方に向かうに連れて、円の直径が漸次小さくなっている。
【0031】
図5に示す第4実施形態においては、中心指標51Cはターゲットテープ50Cの上端縁50cから切り込まれたノッチ部からなる。該ノッチ部は上端縁50cを底辺とする略二等辺三角形の形状に形成されている。一方、各止着指標52ないし54は、図1に示す実施形態と同様に凹部となっている。このように、中心指標51Cと止着指標52ないし54とを、凹部とノッチ部という異なる形態のものに形成することにより、中心指標51Cと止着指標52ないし54とを触覚でより明確に区別することができる。それによって止着指標の位置を更に容易に特定できる。図5に示すように、ターゲットテープ50Cにおいては、中心指標51Cを、ターゲットテープの上端側に偏倚させて設け、止着指標52ないし54を、中心指標50Cが偏倚している側と同じ側に偏倚させて設けてある。
【0032】
図6に示す第5実施形態においては、止着指標52Dないし54Dが、ターゲットテープ50Dの下端側に偏倚して設けられている。具体的には、止着指標52Dないし54Dは、第1実施形態における止着指標52ないし54を、長手方向Xを逆にしてターゲットテープ50Dに設けたものである。また、止着指標52Dないし54Dは、中心指標51Cが偏倚している側と反対側に偏倚させて設けてある。止着指標52Dないし54Dは、ターゲットテープ50Dの側縁に向かうに連れてその面積が漸次小さくなっている。このように構成されたターゲットテープ50Dにおいては、例えば、両方の手の人指し指で中心指標51Cを押さえた状態で、それぞれの手の親指で左右それぞれの側に位置する止着指標を探しやすいので、各組の止着指標52Dないし54Dを知覚しやすい。したがってファスニングテープ40,40をターゲットテープ50Dの左右対称な位置にスムーズに止着できる。
【0033】
本実施形態においては、止着指標52Dないし54Dの上端部と該ターゲットテープ50Dの上端縁50cとの間の距離Lx’は、第1実施形態の距離Lxと同様に、ファスニングテープの止着幅L42(図1参照)と同等か又はそれ以上となっていることが好ましい。なお、本実施形態における中心指標は、図5に示す中心指標51Cと同様のものであり、同じ符号を付してある。
【0034】
次に、図7ないし図9に示す第6ないし第8実施形態について、まとめて説明する。なお、図7及び図9に示す第6及び第8実施形態の上側の中心指標は、図5に示す中心指標51Cと同様のものであり、同じ符号を付してある。
【0035】
図7ないし図9に示す第6ないし第8実施形態においては、ターゲットテープ50E,50F,50Gそれぞれの上端側に偏倚した位置に形成された止着指標52Eないし54Eが、ターゲットテープの上端縁50cから切り込まれたノッチ部からなる。ノッチ部の切り欠き形状は略半円状となっている。ノッチ部の面積は、ターゲットテープの側縁に向かうに連れて漸次小さくなっている。つまり、略半円形をしているノッチ部の直径が漸次小さくなっている。
【0036】
また図7ないし図9に示す実施形態においては、止着指標をターゲットテープの上端側に偏倚させて設けていることに加えて、下端側にも偏倚させて設けている。具体的には、図7に示す実施形態においては、ターゲットテープ50Eは、止着指標52Eないし54Eのほかに、ターゲットテープ50Eの下端部の一部が下方に延出した半円形の延出部からなる止着指標52eないし54eを更に有している。止着指標52eないし54eそれぞれは、止着指標52Eないし54Eそれぞれと、幅方向Yにおいて略同位置に形成されている。また、止着指標52eないし54eそれぞれは、止着指標52Eないし54Eそれぞれの、ノッチ部の切り欠き形状と同形状になっている。
【0037】
一方、図8及び図9に示す実施形態においては、ターゲットテープ50F及び50Gは、止着指標52Eないし54Eのほかに、ターゲットテープの下端縁50dから内側に向けて切り込まれたノッチ部からなる止着指標52fないし54fを有している。止着指標52fないし54fそれぞれは、止着指標52Eないし54Eそれぞれと、ターゲットテープ50F,50Gの横中心線LHに対して略対称な形状に形成されている。横中心線LHは、ターゲットテープ50F,50Gを、長手方向Xの最大幅を二等分して幅方向Yに延びる直線である。
【0038】
このように、第6ないし第8実施形態においては、止着指標をターゲットテープの上端側及び下端側の両方に偏倚させて設けたので、ターゲットテープの上端側及び下端側のいずれを触っても、止着指標を触覚で知覚することができる。
【0039】
以上は、図7ないし図9に示す実施形態における止着指標についての説明であるところ、中心指標については次のように構成されている。図7に示す実施形態において、中心指標51Eは、ターゲットテープ50Eの上端縁50cから切り込まれたノッチ部からなる上側の中心指標51Cと、ターゲットテープ50Eの下端部の一部が下方に延出した略二等辺三角形状の下側の中心指標51eとからなる。下側の中心指標51eは、上側の中心指標51Cと幅方向Yにおいて略同位置に形成されている。また下側の中心指標51eは、上側の中心指標51Cのノッチ部の切り欠き形状と同形状になっている。
【0040】
図8に示す実施形態における中心指標51は、先に説明した第1実施形態における中心指標と同様に構成されている。図9に示す実施形態においては、中心指標51Gは、ターゲットテープ50Gの上端縁50cから内方に向けて切り込まれたノッチ部からなる上側の中心指標51Cと、その下端縁50dから内方に向けて切り込まれたノッチ部からなる下側の中心指標51fからなる。下側の中心指標51fは、上側の中心指標51Cと幅方向Yにおいて略同位置に形成されている。かつ下側の中心指標51fと、上側の中心指標51Cとは、ターゲットテープ50Gの横中心線LHに対して略対称な形状に形成されている。
【0041】
以上のとおり、図7ないし図9に示す実施形態においては、止着指標だけでなく、中心指標も、ターゲットテープの上端部及び下端部の両方に位置するので、中心指標を押さえながら止着指標を探すときに、人指し指と親指のいずれの指も容易に動かすことができる。なお、図7及び図9に示す実施形態においては、ターゲットテープの上端側に偏倚して形成されている中心指標及び止着指標はいずれもノッチ部から形成されているが、ノッチ部の形状が相違するので、中心指標と止着指標の違いを触覚で知覚することは容易である。ターゲットテープの下端側に偏倚して形成されている延出部からなる中心指標及び止着指標についても同様である。図8に示す実施形態においては、中心指標がエンボス加工によって形成された凹部からなるのに対して、止着指標はノッチ部からなるので、やはり中心指標と止着指標の違いを触覚で知覚することは容易である。
【0042】
図10及び図11には、本発明の第9及び第10実施形態が示されている。図10及び図11に示すターゲットテープ50H,50Iにおいては、上側の中心指標51F及び上側の止着指標52F〜54Fそれぞれが、ターゲットテープの上端部の一部が上方に延出した延出部からなる。ターゲットテープ50H,50Iにおける上側の中心指標51F及び上側の止着指標52F〜54Fは、図7に示すターゲットテープにおける下側の中心指標51e、下側の止着指標52e〜54eを上下反転させたものであり、その点以外は、図7の下側の中心指標51e及び下側の止着指標52e〜54eと同様のものである。またターゲットテープ50Hにおける、下側の中心指標50f及び下側の止着指標52f〜54fは、それぞれ図9に示すターゲットテープ50Gにおける下側の中心指標及び下側の止着指標と同様のものである。図11に示すターゲットテープ50Iは、下側の中心指標51e、下側の止着指標52e〜54eが、図7に示す下側の中心指標及び下側の止着指標と同様のものとなっている。
【0043】
次に、図12に示す第11実施形態について説明する。図12に示す実施形態は、図2に示す実施形態の変形例であり、図12に示す中心指標51は、図2に示す中心指標と同様のものである。図2に示す実施形態においては、ターゲットテープの上端側に偏倚して設けられていた止着指標52〜54が、ターゲットテープの上端縁50cを含んで形成されていた。これに対して図12に示すターゲットテープ50Jにおいては、図2に示す止着指標と同様の構成をした上側の各止着指標を設けると共に、これらの止着指標と幅方向Yにおける略同位置に、ターゲットテープの下端縁を含んで形成された下側の止着指標52g〜54gをそれぞれ設けている。止着指標52g〜54gも、上側の止着指標と同様、略矩形状をしている。止着指標52g〜54gは、それぞれ、幅方向Yの略同位置にある上側の止着指標と、幅方向Yの寸法が略同じである。一方、止着指標52g〜54gは、それぞれ、長手方向Xの寸法が、幅方向Yの略同位置にある上側の止着指標よりも小さい。これによって、下側の止着指標は、幅方向Yの略同位置にある上側の止着指標よりも面積が小さく形成されている。このように、幅方向Yの略同位置にある上側の止着指標と、下側の止着指標とを、面積が異なるように形成すると、ファスニングテープをターゲットテープに止着する際、手でターゲットテープを触ったときに、ターゲットテープの上方を触っているのか、それとも下方を触っているのかを容易に判断でき、ターゲットテープの中央指標に対して左右対称な位置にファスニングテープを止着させやすい。
【0044】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の範囲は上述した実施形態に制限されず適宜変更が可能である。例えば、中心指標及び止着指標の形態は、上述の各実施形態で述べたものに限定されず、触覚によって知覚可能である限り、他の形態であってもよい。
【0045】
図には示していないがターゲットテープに通常施される柄、数値、模様などを適宜組み合わせてターゲットテープに印刷してもよい。特に、ファスニングテープの止着位置を視覚的に知覚させるための模様等の印刷と、触覚により知覚させるための止着指標とを組み合わせると、明るい場所で視覚的に示されるイメージが、暗い場所で止着指標を触感で知覚したときに脳裏に浮かび上がるので、止着指標の位置を理解しやすい。つまり模様等の印刷と止着指標の組み合わせは、模様等の印刷が、止着指標を用いた触感による位置確認を補助する役割を果たすため好ましい。
【0046】
また、図2ないし図12示す実施形態では、中心指標51から遠ざかる組の止着指標ほど、その面積が小さくなるように形成した例を示したが、止着指標の配置の順序はこれに限られない。例えば、図2ないし図12に示す実施形態とは逆に、中心指標から遠ざかる組の止着指標ほど、その面積が大きくなるように形成してもよい。このように止着指標を形成しても、中心指標51に触れている各手の指を、ターゲットテープ50の左右に向けて移動させていくときに、止着指標を知覚しやすい。
【0047】
また、上述した一つの実施形態における説明省略部分及び一つの実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 使い捨ておむつ
20 背側部の側部域
40 ファスニングテープ
50 ターゲットテープ
51 中心指標
52 止着指標
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
Lx 止着指標の下端部と、該ターゲットテープの下端縁との間の距離
Lx’ 止着指標の上端部と、該ターゲットテープの上端縁との間の距離
L42 ファスニングテープの止着幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファスニングテープをターゲットテープに止着することで装着するタイプの使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
おむつの背側部に設けられた左右のファスニングテープを、腹側の外面に設けられたターゲットテープに止着することで装着するタイプの使い捨ておむつ、すなわち、いわゆるテープ止めタイプのおむつにおいては、ファスニングテープを止着したときの左右のバランスが崩れてしまうと、それに起因して液漏れが起こりやすくなる傾向にある。そこで、左右のファスニングテープの止着位置をバランスさせることを目的として、例えばターゲットテープに止着位置の目安となる目盛り等を印刷等の手段によって施し、視覚的に止着位置を認識する技術が種々提案されている。
【0003】
しかし、視覚的に止着位置を認識する手段を設けただけでは、夜間等の暗所でおむつを交換する場合や、視覚障害を有する人がおむつを交換する場合に不都合が生じる。かかる不都合を解消することを目的として、特許文献1においては、粘着テープからなるファスニングテープを備えた使い捨ておむつにおいて、ターゲットテープの表面のうち、粘着テープが接着されない領域に、凸状又は凹状の識別マークを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−38128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のおむつにおいては、前記識別マークは、ターゲットテープの幅方向の中央部にのみ設けられている。したがって、該識別マークによって、ターゲットテープの中央部は視覚によらずとも認識できる。しかし、着用者のウエストサイズに応じてファスニングテープの止着位置を変更したい場合、中心部から左右に離れた位置には前記識別マークが設けられていないので、そのような位置に視覚によらず対称にファスニングテープを止着することは容易でない。
【0006】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得るテープ止めタイプの使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、装着状態において着用者の股下に位置する股下部と、該股下部の前後から延びる腹側部及び背側部とを有し、背側部の左右の側部域に止着用のファスニングテープを備え、腹側部の外面に該ファスニングテープが止着されるターゲットテープを備えた使い捨ておむつにおいて、
前記ターゲットテープに、該ターゲットテープを左右に二等分する位置に中心指標を設け、更に該中心指標に対して左右線対称の位置に、該ターゲットテープの上端側又は/及び下端側に偏倚させて、2組以上の止着指標を設け、
前記中心指標及び前記止着指標をいずれも、触覚によって知覚されるように形成し、かつ各組の前記止着指標を、互いに異なる触覚を呈するように形成するとともに、該止着指標と該中心指標も互いに異なる触覚を呈するように形成した、使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の使い捨ておむつによれば、ターゲットテープに触れることで、ファスニングテープを左右対称に止着する位置を容易に認識することができる。したがって視覚によらず、ファスニングテープを左右対称に止着することができるので、暗所でのおむつの交換や視覚障害を有する人のおむつ交換が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の使い捨ておむつを着用する様子を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1に示す使い捨ておむつのターゲットテープの形状を示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)のb−b線断面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。図3(b)は、図3(a)のb−b線断面図である。図3(c)は、図3(a)及び(b)に示す形態のターゲットテープの変形例を示す図であり、図3(b)相当図である。
【図4】図4は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図5】図5は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図6】図6は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図7】図7は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図8】図8は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図9】図9は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図10】図10は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図11】図11は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【図12】図12は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープを示す図であり、図2(a)相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1に示す第一実施形態の使い捨ておむつ1は、装着状態において着用者の股下に位置する股下部Cと、該股下部Cの前後から延びる腹側部A及び背側部Bとを有している。背側部Bの左右の側部域20,20には、止着用の一対のファスニングテープ40,40が取り付けられている。腹側部Aの外面には、ファスニングテープ40,40が止着されるターゲットテープ50が取り付けられている。
【0011】
おむつ1は、液透過性の表面シート(図示せず)、液難透過性又は液不透過性の裏面シート10、及び両シート間に介在する液保持性の吸収体(図示せず)を有している。おむつ1は、図1において符号Xで示す方向が長手方向となり、符号Yで示す方向が幅方向となる一方に長い形状をしている。
【0012】
表面シート、裏面シート10及び吸収体としては、この種のおむつに従来用いられていたものと同様のものを用いることができる。表面シートとしては、例えば不織布や穿孔フィルムなどの液透過性のシート材を用いることができる。裏面シート10としては、合成樹脂製のフィルム等や、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布(SMS不織布)等の撥水性のシート材料を用いることができる。合成樹脂製のフィルムを微多孔質フィルムから構成して、水蒸気透過性を付与してもよい。また微多孔質フィルムの外面に不織布等の通気性シートを積層した複合シートを裏面シートとして用いてもよい。吸収体としては、液保持性の繊維材料の積繊体や、該繊維材料と高吸収性ポリマーの混合物の積繊体を用いることができる。この積繊体はその全体を、ティッシュペーパー等の液透過性シートで包んでもよい。
【0013】
図1に示すように、一対のファスニングテープ40,40は、おむつ1の背側部Bにおける左右の両側部域20,20からそれぞれおむつ1の幅方向Yの外方に延出するように設けられている。ファスニングテープ40は、基材シート41と、該基材シート41における表面シートと同じ側を向く面上に設けられた止着部42とを有している。止着部42としては、この種のおむつに従来用いられていたものと同様のものを用いることができる。例えば面ファスナのフック部材や、粘着剤等を用いることができる。
【0014】
図1に示すように、ファスニングテープ40,40の止着部42が止着するターゲットテープ50は、腹側部Aの外面における幅方向Yの中央域に設けられている。ターゲットテープ50は、おむつ1の幅方向Yに横長の略矩形状である。ターゲットテープ50は、上述したファスニングテープ40における止着部42の材質に応じ、適切な材質のものが選択される。止着部42が例えば面ファスナのフック部材である場合、ターゲットテープ50としては、該フック部材と係合可能な繊維シート、例えば編み物地や不織布などが用いられる。ファスニングテープ40の止着部42が粘着剤からなる場合には、ターゲットテープ50として合成樹脂製の平滑なフィルム等を用いることができる。
【0015】
本発明の使い捨ておむつは、ターゲットテープの形状に特徴の一つを有する。詳細には、ターゲットテープに、中心指標及び止着指標を設けている。中心指標とは、ターゲットテープを左右に二等分する位置を示す指標である。止着指標とは、ターゲットテープにファスニングテープを取り付ける位置を示す指標である。したがって中心指標は、ターゲットテープを左右に二等分する位置に形成されている。一方、止着指標は、中心指標に対して左右線対称の位置に設けられている。止着指標は2組以上設けられている。更に止着指標は、ターゲットテープの上端側及び/又は下端側に偏倚させて設けられている。
【0016】
詳細には、図2に示す実施形態においては、ターゲットテープ50に、一つの中心指標51が、ターゲットテープ50の幅方向Yの全長を左右に二等分する位置に設けられている。中心指標51は、ターゲットテープ50の平面視において、長手方向Xに延びて、ターゲットテープ50の長手方向Xの全域にわたって直線状に形成されている。また、ターゲットテープ50には、中心指標51に近い順に、1組目の止着指標52,52、2組目の止着指標53,53、3組目の止着指標54,54の3組の止着指標がそれぞれ設けられている。各組の止着指標は、ターゲットテープ50において該中心指標51に対し左右線対称な位置に設けられている。止着指標52ないし54は、ターゲットテープ50の平面視において幅方向Yの2辺と長手方向Xの2辺とに囲まれてなる略矩形状をしている。つまり止着指標52ないし54は、ターゲットテープ50の上端縁を含んでいる。各組を構成する一対の止着指標は、中心指標51に対して線対称な形状をしている。
【0017】
中心指標51及び止着指標はいずれも、触覚によって知覚されるように形成されている。各組の止着指標は、互いに異なる触覚を呈するように形成されている。更に中心指標と止着指標も互いに異なる間隔を呈するように形成されている。
【0018】
本実施形態のおむつ1を装着するときには、腹側部Aを着用者の腹部に当てた状態で、両方の手の指を使ってターゲットテープ50を触り、中心指標51を探り当てる。中心指標51と止着指標52ないし54とでは触感が異なるので、中心指標51を探り当てることは容易である。次に、各手の指がターゲットテープ50に触れている状態で、各指を中心指標51から左右に離していくことにより、中心指標51から近い順に、止着指標52,52,止着指標53,53,止着指標54,54を探り当てる。各組の止着指標は、互いに異なる触感を呈するように形成されているので、組ごとに止着指標を探り当てることは容易である。この場合、止着指標52ないし54が、ターゲットテープ50の上端側に偏倚して設けられているので、ターゲットテープ50の上端部に沿って指をなぞっていくことによって、止着指標52ないし54の位置を一層知覚しやすい。このようにして、中心指標51に対し左右線対称な位置を知覚できる。それによって、各組の止着指標の位置を目安にして、ファスニングテープ40,40を、中心指標51から左右対称な位置に容易に止着させることができる。このように、本発明によれば、暗所でのおむつの交換や視覚障害を有する人のおむつ交換を容易に行うことができる。
【0019】
特に、本実施形態のおむつ1では、止着指標52ないし54の形成箇所をターゲットテープ50の上端側に偏倚させているので、ターゲットテープ50の下端側に、ファスニングテープ40の止着領域を十分に確保することができる。したがって、本実施形態には、ターゲットテープ50の全体に止着指標を設ける場合に比べて、ターゲットテープ50と止着部42との係合力の低下を抑制することができるという利点がある。
【0020】
中心指標51及び止着指標52ないし54は、図2(b)に示すように、エンボス加工によって、ターゲットテープ50の外面50aに形成され、内面50b側に向けて凹んだ凹部として形成されている。該凹部は、該エンボス加工によって、ターゲットテープ50を構成するシートが圧密化されて形成されている。ターゲットテープ50が編み物地や不織布等の繊維シートからなる場合、該繊維シートがエンボス加工によって付与された熱でフィルム化されることで凹部が形成され、該凹部が表面平滑な状態となっていることが、中心指標51及び止着指標52ないし54を触感で知覚しやすくする観点から好ましい。図2(b)に示す例では、中心指標51及び止着指標52ないし54それぞれを構成する凹部の底面は、ターゲットテープ50外面50aからの深さが略一定であるが、異なっていてもよい。
【0021】
このように、本実施形態においては、中心指標51及び止着指標52ないし54を、ターゲットテープ50の平面視において所定形状を有する凹部に形成することで、これらを触感で知覚されるように形成してある。より確実に中心指標51を触感で知覚可能とする観点から、中心指標51の幅方向Yの最大幅L51(図2(a)参照)は、1〜15mmであることが好ましく、更に好ましくは5〜10mmである。
【0022】
本実施形態においては、組ごとに止着指標の面積を異ならせることで、各組の止着指標が、互いに異なる触感を呈するように形成している。止着指標の面積とは、本実施形態においては、止着指標を構成する凹部の底面積である。図2(a)に示すように、各組の止着指標は、長手方向Xの長さがいずれも一定であり、幅方向Yの長さが、中心指標51から遠ざかる組の止着指標ほど小さくなるように形成されている。その結果、中心指標51から遠い組の止着指標ほどその面積が小さくなっている。このように止着指標を形成することで、中心指標51に触れている各手の指を、ターゲットテープ50の左右に向けて移動させていくときに、止着指標を一層知覚しやすくなる。
【0023】
また本実施形態においては、中心指標51が、ターゲットテープ50の長手方向Xの全域にわたって形成されているのに対して、各組の止着指標がターゲットテープ50の上端縁を含んで、該ターゲットテープ50の上端側に偏倚して形成されている。このように、中心指標51と各組の止着指標とでは、それらの形状が大きく相違することに起因して、触感も大きく相違する。したがって、止着指標と区別して、中心指標51を指で探り当てることは容易である。
【0024】
各組の止着指標どうしは、5mm以上、特に5〜30mm離間させて設けてあることが好ましい。図2(a)に示すように、隣り合う2組の止着指標どうしの間隔、例えば止着指標52,52と止着指標53,53との間隔Ls1、止着指標53,53と止着指標54,54との間隔Ls2は、いずれも5mm以上となっていることが好ましい。それゆえ、止着指標を指の腹で確認する場合に、止着指標間の領域を触覚で確実に知覚でき、隣接した2つの止着指標それぞれを確実に独立して認識できる。
【0025】
また、止着指標52ないし54の下端部と、該ターゲットテープ50の下端縁50dとの間の距離Lx(図2(a)参照)を、ファスニングテープ40,40の止着幅L42(図1参照)と同等か又はそれ以上となすことも好ましい。図1に示すように、止着幅L42は、ファスニングテープ40,40の止着部42における、長手方向Xの最大幅である。前記距離Lxが、止着幅L42と同等かそれ以上であることによって、ターゲットテープ50の止着指標が設けられていない領域にファスニングテープ40の止着部42を止着しやすいため、止着指標を設けることによるターゲットテープ50の係合力の低下を防止できる。
【0026】
次に、第2ないし第11実施形態の使い捨ておむつについて、図3ないし図12を参照して説明する。第2ないし第11実施形態の使い捨ておむつについては、第1実施形態との相違点について主として説明し、同様の点については説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態と同様である。図3ないし図12には、第1実施形態の使い捨ておむつの構成要素等と同様の構成要素等に同一の符号を付してある。
第2ないし第8実施形態の使い捨ておむつそれぞれは、第1実施形態の使い捨ておむつにおけるターゲットテープ50を、図3ないし図9に示すターゲットテープ50Aないし50Gそれぞれに置き換えたものである。
【0027】
図3に示す第2実施形態におけるターゲットテープ50Aは、止着指標52Aないし54Aそれぞれを構成する凹部内に、1又は2以上の小凸部56が設けてある。具体的には、図3(b)に示すように、小凸部56は、各凹部の底面から突起している。このような小凸部56が存在することにより、各止着指標を触感で更に知覚しやすくなる。凹部の深さD(図3(b)参照)に対する小凸部56の高さH(図3(b)参照)の割合(H/D)は、0.5〜1.5であることが好ましい。小凸部56は、止着指標を構成する凹部と小凸部56の形状に対応した凹凸部を有するエンボスロールを用いてエンボス加工を行うことにより、凹部の形成と同時に形成することができる。
【0028】
図3(a)に示すように、小凸部56は、ターゲットテープ50Aにおける長手方向Xの略同位置において、幅方向Yに沿って並んで設けられている。各組の止着指標を構成する凹部それぞれに配置された小凸部56の数は異なっており、これによって、各止着指標の触感の異なりは大きくなる。図3に示す例では、より面積の大きな止着指標を構成する凹部に、より多くの小凸部56が配置されている。
【0029】
図3(b)に示す形態では、ターゲットテープ50Aにおける、小凸部56の形成箇所の内面50b側(図3(b)の下側)は、平坦に形成されている。これに代えて図3(c)に示すように、小凸部56の内面50b側に、小凸部56の突出方向、即ちターゲットテープ50Aの外面50a側に向けて凹んだ小凹部57を形成してもよい。このような小凹部57は、凹部を有する一つのロールと凸部を有する他のロールとを、ターゲットテープを挟んだ状態で該凹部と該凸部とを互いに噛み合わせて回転させて小凸部56を形成することにより、小凸部56と共に形成される。このように内面50b側の小凹部57と共に外面50a側の小凸部56を形成すると、該小凸部56を、触感の鮮明なものに形成しやすいため好ましい。
【0030】
図4に示す第3実施形態においては、ターゲットテープ50Bに形成された各止着指標52Bないし54Bは、ターゲットテープ50Bの上端側に偏倚しているものの、上端縁50cまで延在していない。また、各止着指標52Bないし54Bは略円形状に形成されている。各止着指標52Bないし54Bの中心は、1本の直線上に位置している。この直線は、ターゲットテープ50の幅方向Yと平行になっている。また、止着指標52Bないし54Bは、中心指標51から、ターゲットテープ50Bの左右側方に向かうに連れて、円の直径が漸次小さくなっている。
【0031】
図5に示す第4実施形態においては、中心指標51Cはターゲットテープ50Cの上端縁50cから切り込まれたノッチ部からなる。該ノッチ部は上端縁50cを底辺とする略二等辺三角形の形状に形成されている。一方、各止着指標52ないし54は、図1に示す実施形態と同様に凹部となっている。このように、中心指標51Cと止着指標52ないし54とを、凹部とノッチ部という異なる形態のものに形成することにより、中心指標51Cと止着指標52ないし54とを触覚でより明確に区別することができる。それによって止着指標の位置を更に容易に特定できる。図5に示すように、ターゲットテープ50Cにおいては、中心指標51Cを、ターゲットテープの上端側に偏倚させて設け、止着指標52ないし54を、中心指標50Cが偏倚している側と同じ側に偏倚させて設けてある。
【0032】
図6に示す第5実施形態においては、止着指標52Dないし54Dが、ターゲットテープ50Dの下端側に偏倚して設けられている。具体的には、止着指標52Dないし54Dは、第1実施形態における止着指標52ないし54を、長手方向Xを逆にしてターゲットテープ50Dに設けたものである。また、止着指標52Dないし54Dは、中心指標51Cが偏倚している側と反対側に偏倚させて設けてある。止着指標52Dないし54Dは、ターゲットテープ50Dの側縁に向かうに連れてその面積が漸次小さくなっている。このように構成されたターゲットテープ50Dにおいては、例えば、両方の手の人指し指で中心指標51Cを押さえた状態で、それぞれの手の親指で左右それぞれの側に位置する止着指標を探しやすいので、各組の止着指標52Dないし54Dを知覚しやすい。したがってファスニングテープ40,40をターゲットテープ50Dの左右対称な位置にスムーズに止着できる。
【0033】
本実施形態においては、止着指標52Dないし54Dの上端部と該ターゲットテープ50Dの上端縁50cとの間の距離Lx’は、第1実施形態の距離Lxと同様に、ファスニングテープの止着幅L42(図1参照)と同等か又はそれ以上となっていることが好ましい。なお、本実施形態における中心指標は、図5に示す中心指標51Cと同様のものであり、同じ符号を付してある。
【0034】
次に、図7ないし図9に示す第6ないし第8実施形態について、まとめて説明する。なお、図7及び図9に示す第6及び第8実施形態の上側の中心指標は、図5に示す中心指標51Cと同様のものであり、同じ符号を付してある。
【0035】
図7ないし図9に示す第6ないし第8実施形態においては、ターゲットテープ50E,50F,50Gそれぞれの上端側に偏倚した位置に形成された止着指標52Eないし54Eが、ターゲットテープの上端縁50cから切り込まれたノッチ部からなる。ノッチ部の切り欠き形状は略半円状となっている。ノッチ部の面積は、ターゲットテープの側縁に向かうに連れて漸次小さくなっている。つまり、略半円形をしているノッチ部の直径が漸次小さくなっている。
【0036】
また図7ないし図9に示す実施形態においては、止着指標をターゲットテープの上端側に偏倚させて設けていることに加えて、下端側にも偏倚させて設けている。具体的には、図7に示す実施形態においては、ターゲットテープ50Eは、止着指標52Eないし54Eのほかに、ターゲットテープ50Eの下端部の一部が下方に延出した半円形の延出部からなる止着指標52eないし54eを更に有している。止着指標52eないし54eそれぞれは、止着指標52Eないし54Eそれぞれと、幅方向Yにおいて略同位置に形成されている。また、止着指標52eないし54eそれぞれは、止着指標52Eないし54Eそれぞれの、ノッチ部の切り欠き形状と同形状になっている。
【0037】
一方、図8及び図9に示す実施形態においては、ターゲットテープ50F及び50Gは、止着指標52Eないし54Eのほかに、ターゲットテープの下端縁50dから内側に向けて切り込まれたノッチ部からなる止着指標52fないし54fを有している。止着指標52fないし54fそれぞれは、止着指標52Eないし54Eそれぞれと、ターゲットテープ50F,50Gの横中心線LHに対して略対称な形状に形成されている。横中心線LHは、ターゲットテープ50F,50Gを、長手方向Xの最大幅を二等分して幅方向Yに延びる直線である。
【0038】
このように、第6ないし第8実施形態においては、止着指標をターゲットテープの上端側及び下端側の両方に偏倚させて設けたので、ターゲットテープの上端側及び下端側のいずれを触っても、止着指標を触覚で知覚することができる。
【0039】
以上は、図7ないし図9に示す実施形態における止着指標についての説明であるところ、中心指標については次のように構成されている。図7に示す実施形態において、中心指標51Eは、ターゲットテープ50Eの上端縁50cから切り込まれたノッチ部からなる上側の中心指標51Cと、ターゲットテープ50Eの下端部の一部が下方に延出した略二等辺三角形状の下側の中心指標51eとからなる。下側の中心指標51eは、上側の中心指標51Cと幅方向Yにおいて略同位置に形成されている。また下側の中心指標51eは、上側の中心指標51Cのノッチ部の切り欠き形状と同形状になっている。
【0040】
図8に示す実施形態における中心指標51は、先に説明した第1実施形態における中心指標と同様に構成されている。図9に示す実施形態においては、中心指標51Gは、ターゲットテープ50Gの上端縁50cから内方に向けて切り込まれたノッチ部からなる上側の中心指標51Cと、その下端縁50dから内方に向けて切り込まれたノッチ部からなる下側の中心指標51fからなる。下側の中心指標51fは、上側の中心指標51Cと幅方向Yにおいて略同位置に形成されている。かつ下側の中心指標51fと、上側の中心指標51Cとは、ターゲットテープ50Gの横中心線LHに対して略対称な形状に形成されている。
【0041】
以上のとおり、図7ないし図9に示す実施形態においては、止着指標だけでなく、中心指標も、ターゲットテープの上端部及び下端部の両方に位置するので、中心指標を押さえながら止着指標を探すときに、人指し指と親指のいずれの指も容易に動かすことができる。なお、図7及び図9に示す実施形態においては、ターゲットテープの上端側に偏倚して形成されている中心指標及び止着指標はいずれもノッチ部から形成されているが、ノッチ部の形状が相違するので、中心指標と止着指標の違いを触覚で知覚することは容易である。ターゲットテープの下端側に偏倚して形成されている延出部からなる中心指標及び止着指標についても同様である。図8に示す実施形態においては、中心指標がエンボス加工によって形成された凹部からなるのに対して、止着指標はノッチ部からなるので、やはり中心指標と止着指標の違いを触覚で知覚することは容易である。
【0042】
図10及び図11には、本発明の第9及び第10実施形態が示されている。図10及び図11に示すターゲットテープ50H,50Iにおいては、上側の中心指標51F及び上側の止着指標52F〜54Fそれぞれが、ターゲットテープの上端部の一部が上方に延出した延出部からなる。ターゲットテープ50H,50Iにおける上側の中心指標51F及び上側の止着指標52F〜54Fは、図7に示すターゲットテープにおける下側の中心指標51e、下側の止着指標52e〜54eを上下反転させたものであり、その点以外は、図7の下側の中心指標51e及び下側の止着指標52e〜54eと同様のものである。またターゲットテープ50Hにおける、下側の中心指標50f及び下側の止着指標52f〜54fは、それぞれ図9に示すターゲットテープ50Gにおける下側の中心指標及び下側の止着指標と同様のものである。図11に示すターゲットテープ50Iは、下側の中心指標51e、下側の止着指標52e〜54eが、図7に示す下側の中心指標及び下側の止着指標と同様のものとなっている。
【0043】
次に、図12に示す第11実施形態について説明する。図12に示す実施形態は、図2に示す実施形態の変形例であり、図12に示す中心指標51は、図2に示す中心指標と同様のものである。図2に示す実施形態においては、ターゲットテープの上端側に偏倚して設けられていた止着指標52〜54が、ターゲットテープの上端縁50cを含んで形成されていた。これに対して図12に示すターゲットテープ50Jにおいては、図2に示す止着指標と同様の構成をした上側の各止着指標を設けると共に、これらの止着指標と幅方向Yにおける略同位置に、ターゲットテープの下端縁を含んで形成された下側の止着指標52g〜54gをそれぞれ設けている。止着指標52g〜54gも、上側の止着指標と同様、略矩形状をしている。止着指標52g〜54gは、それぞれ、幅方向Yの略同位置にある上側の止着指標と、幅方向Yの寸法が略同じである。一方、止着指標52g〜54gは、それぞれ、長手方向Xの寸法が、幅方向Yの略同位置にある上側の止着指標よりも小さい。これによって、下側の止着指標は、幅方向Yの略同位置にある上側の止着指標よりも面積が小さく形成されている。このように、幅方向Yの略同位置にある上側の止着指標と、下側の止着指標とを、面積が異なるように形成すると、ファスニングテープをターゲットテープに止着する際、手でターゲットテープを触ったときに、ターゲットテープの上方を触っているのか、それとも下方を触っているのかを容易に判断でき、ターゲットテープの中央指標に対して左右対称な位置にファスニングテープを止着させやすい。
【0044】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の範囲は上述した実施形態に制限されず適宜変更が可能である。例えば、中心指標及び止着指標の形態は、上述の各実施形態で述べたものに限定されず、触覚によって知覚可能である限り、他の形態であってもよい。
【0045】
図には示していないがターゲットテープに通常施される柄、数値、模様などを適宜組み合わせてターゲットテープに印刷してもよい。特に、ファスニングテープの止着位置を視覚的に知覚させるための模様等の印刷と、触覚により知覚させるための止着指標とを組み合わせると、明るい場所で視覚的に示されるイメージが、暗い場所で止着指標を触感で知覚したときに脳裏に浮かび上がるので、止着指標の位置を理解しやすい。つまり模様等の印刷と止着指標の組み合わせは、模様等の印刷が、止着指標を用いた触感による位置確認を補助する役割を果たすため好ましい。
【0046】
また、図2ないし図12示す実施形態では、中心指標51から遠ざかる組の止着指標ほど、その面積が小さくなるように形成した例を示したが、止着指標の配置の順序はこれに限られない。例えば、図2ないし図12に示す実施形態とは逆に、中心指標から遠ざかる組の止着指標ほど、その面積が大きくなるように形成してもよい。このように止着指標を形成しても、中心指標51に触れている各手の指を、ターゲットテープ50の左右に向けて移動させていくときに、止着指標を知覚しやすい。
【0047】
また、上述した一つの実施形態における説明省略部分及び一つの実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 使い捨ておむつ
20 背側部の側部域
40 ファスニングテープ
50 ターゲットテープ
51 中心指標
52 止着指標
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
Lx 止着指標の下端部と、該ターゲットテープの下端縁との間の距離
Lx’ 止着指標の上端部と、該ターゲットテープの上端縁との間の距離
L42 ファスニングテープの止着幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着状態において着用者の股下に位置する股下部と、該股下部の前後から延びる腹側部及び背側部とを有し、背側部の左右の側部域に止着用のファスニングテープを備え、腹側部の外面に該ファスニングテープが止着されるターゲットテープを備えた使い捨ておむつにおいて、
前記ターゲットテープに、該ターゲットテープを左右に二等分する位置に中心指標を設け、更に該中心指標に対して左右線対称の位置に、該ターゲットテープの上端側又は/及び下端側に偏倚させて、2組以上の止着指標を設け、
前記中心指標及び前記止着指標をいずれも、触覚によって知覚されるように形成し、かつ各組の前記止着指標を、互いに異なる触覚を呈するように形成するとともに、該止着指標と該中心指標も互いに異なる触覚を呈するように形成した、使い捨ておむつ。
【請求項2】
各組の前記止着指標どうしを、5mm以上離間させて設けた請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記止着指標を前記ターゲットテープの上端側に偏倚させて設け、該止着指標の下端部と、該ターゲットテープの下端縁との間の距離を、前記ファスニングテープの止着幅と同等か又はそれ以上となした請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記止着指標を前記ターゲットテープの下端側に偏倚させて設け、該止着指標の上端部と、該ターゲットテープの上端縁との間の距離を、前記ファスニングテープの止着幅と同等か又はそれ以上となした請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記中心指標を、前記ターゲットテープの上端側又は下端側に偏倚させて設け、
前記止着指標を、前記中心指標が偏倚している側と反対側に偏倚させて設けた請求項1ないし4のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記止着指標を、前記ターゲットテープの上端側及び下端側の双方に偏倚させて設けた請求項1ないし5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
各組の前記止着指標の面積を異ならせることで、各組の該止着指標を、互いに異なる感触を呈するように形成した請求項1ないし6のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
各組の前記止着指標が、前記ターゲットテープに施されたエンボス加工によって形成された凹部からなる請求項1ないし7のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記凹部内に1又は2以上の小凸部を設けた請求項8に記載の使い捨ておむつ。
【請求項1】
装着状態において着用者の股下に位置する股下部と、該股下部の前後から延びる腹側部及び背側部とを有し、背側部の左右の側部域に止着用のファスニングテープを備え、腹側部の外面に該ファスニングテープが止着されるターゲットテープを備えた使い捨ておむつにおいて、
前記ターゲットテープに、該ターゲットテープを左右に二等分する位置に中心指標を設け、更に該中心指標に対して左右線対称の位置に、該ターゲットテープの上端側又は/及び下端側に偏倚させて、2組以上の止着指標を設け、
前記中心指標及び前記止着指標をいずれも、触覚によって知覚されるように形成し、かつ各組の前記止着指標を、互いに異なる触覚を呈するように形成するとともに、該止着指標と該中心指標も互いに異なる触覚を呈するように形成した、使い捨ておむつ。
【請求項2】
各組の前記止着指標どうしを、5mm以上離間させて設けた請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記止着指標を前記ターゲットテープの上端側に偏倚させて設け、該止着指標の下端部と、該ターゲットテープの下端縁との間の距離を、前記ファスニングテープの止着幅と同等か又はそれ以上となした請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記止着指標を前記ターゲットテープの下端側に偏倚させて設け、該止着指標の上端部と、該ターゲットテープの上端縁との間の距離を、前記ファスニングテープの止着幅と同等か又はそれ以上となした請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記中心指標を、前記ターゲットテープの上端側又は下端側に偏倚させて設け、
前記止着指標を、前記中心指標が偏倚している側と反対側に偏倚させて設けた請求項1ないし4のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記止着指標を、前記ターゲットテープの上端側及び下端側の双方に偏倚させて設けた請求項1ないし5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
各組の前記止着指標の面積を異ならせることで、各組の該止着指標を、互いに異なる感触を呈するように形成した請求項1ないし6のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
各組の前記止着指標が、前記ターゲットテープに施されたエンボス加工によって形成された凹部からなる請求項1ないし7のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記凹部内に1又は2以上の小凸部を設けた請求項8に記載の使い捨ておむつ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−81650(P2013−81650A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223921(P2011−223921)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
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