使い捨て紙おむつ
【課題】容易にサイズ調整できるパンツ式の使い捨て紙おむつを提供することにある。
【解決手段】前身頃及び後身頃を構成する本体シートのいずれか一方の身頃の側縁から幅方向外側へ延在する延在シートが設けられ、この延在シートの幅方向外側部に第一の止着部が、幅方向内側部に第二の止着部が設けられ、前記身頃に対向する他方の身頃の本体シートの両側部に、前記各延在シートを挿通する挿通部がそれぞれ設けられ、前記各延在シートを対応する前記挿通部に内面側から外面側に挿通し、前記第二止着部を他方の身頃の本体シート外面に対し止着して一時的に固定し、着用者が緩い状態で装着し、装着後に、前記第二止着部の止着を解いて各延在シート先端側を、前記一方の本体シートの裏面に伸ばした状態で、第一止着部を前記一方の本体シートの裏面に対し止着して最終固定を図るようにした、ことを特徴とする使い捨て紙おむつ。
【解決手段】前身頃及び後身頃を構成する本体シートのいずれか一方の身頃の側縁から幅方向外側へ延在する延在シートが設けられ、この延在シートの幅方向外側部に第一の止着部が、幅方向内側部に第二の止着部が設けられ、前記身頃に対向する他方の身頃の本体シートの両側部に、前記各延在シートを挿通する挿通部がそれぞれ設けられ、前記各延在シートを対応する前記挿通部に内面側から外面側に挿通し、前記第二止着部を他方の身頃の本体シート外面に対し止着して一時的に固定し、着用者が緩い状態で装着し、装着後に、前記第二止着部の止着を解いて各延在シート先端側を、前記一方の本体シートの裏面に伸ばした状態で、第一止着部を前記一方の本体シートの裏面に対し止着して最終固定を図るようにした、ことを特徴とする使い捨て紙おむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるパンツ式の使い捨て紙おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
パンツ式使い捨て紙おむつは、両脇部がホットメルト等により接着されているものであるが、着用者の体形に合わせてサイズ調整ができないという欠点があった。
【0003】
一方、テープ式使い捨て紙おむつは、両脇部が接着されておらず、前身頃及び後身頃の幅方向両端部に設けられたフックテープを止着するというものであるが、着用者の体形に合わせてサイズ調整をするために一度止着したフックテープを外すと、紙おむつが展開してしまうため、サイズ調整に労力がかかるという欠点があった。また、着用中に両脇部の止着力が弱まり、ずれ下がったり、ずれ落ちたりする可能性があるという欠点もあった。
【0004】
テープ式使い捨て紙おむつのこれらの問題を解決するために、前身頃及び後身頃のいずれか一方に挿通孔やテープ通しを設け、他方にファスニングテープ等を設け、ファスニングテープを挿通孔やテープ通しに挿通し、折り返す技術が開示されている。(特許文献1および2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−312907号公報
【特許文献2】特開2007−268216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および2は、主として、ベッドでの生活が中心の要介護者が他人に履かせてもらうことを想定したテープ式紙おむつに関するものであり、着用者自らが履くことを想定したパンツ式使い捨ておむつには、体形に合わせてサイズ調整できるものが依然として見当たらない。
そこで本発明の主たる課題は、容易にサイズ調整できるパンツ式の使い捨て紙おむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<請求項1記載の発明>
前身頃及び後身頃を構成する本体シートのいずれか一方の身頃の側縁から幅方向外側へ延在する延在シートが設けられ、
この延在シートの幅方向外側部に第一の止着部が、幅方向内側部に第二の止着部が設けられ、
前記身頃に対向する他方の身頃の本体シートの両側部に、前記各延在シートを挿通する挿通部がそれぞれ設けられ、
前記各延在シートを対応する前記挿通部に内面側から外面側に挿通し、前記第二止着部を他方の身頃の本体シート外面に対し止着して一時的に固定し、着用者が緩い状態で装着し、
装着後に、前記第二止着部の止着を解いて各延在シート先端側を、前記一方の本体シートの裏面に伸ばした状態で、第一止着部を前記一方の本体シートの裏面に対し止着して最終固定を図るようにした、
ことを特徴とする使い捨て紙おむつ。
【0008】
(作用効果)
延在シートを本体シートに対し止着して一時的に固定し、着用者が緩い状態で装着することができるため、履き易い。
また、最終固定を図るときに、挿通部に挿通した延在シートの先端側を、本体シートの裏面に伸ばして止着するので、フックテープを備えたテープ式紙おむつを履く際の脇部止着作業よりも楽である。さらに、フックテープを備えたテープ式紙おむつを履く際よりも、サイズ調整が容易であると同時に、サイズ調整時に紙おむつが展開してしまう恐れがない。
【0009】
<請求項2記載の発明>
前身頃及び後身頃を構成する本体シートのいずれか一方の身頃の側縁から幅方向外側へ延在する延在シートが設けられ、
この延在シートの幅方向外側部に第一の止着部が、幅方向内側部に第二の止着部が、これらの第一止着部と第二止着部間に、止着部が存在しない離間領域が設けられ、
前記身頃に対向する他方の身頃の本体シートの両側部には、前記各延在シートを挿通する挿通部がそれぞれ設けられ、
前記各延在シートの先端部を内側から外側へ折り返し、前記第一止着部を前記離間領域に止着することで、第一止着部を延在シートで覆うとともに、各延在シートの幅方向外側部に第一次折り重ね部を形成し、
前記各第一次折り重ね部を折り返し、この第一次折り重ね部を前記第二止着部に止着することで、第二止着部を第一次折り重ね部で覆うとともに、各延在シートの幅方向外側部に第二次折り重ね部を形成し、
前記第二次折り重ね部を形成した延在シートを、対応する前記挿通部に内面側から外面側に挿通した後、
前記第二次折り重ね部を展開して第二止着部を露出させ、前記第二止着部を他方の身頃の本体シート外面に対し止着して一時的に固定し、着用者が緩い状態で装着し、
装着後に、前記第二止着部の止着を解くとともに、前記第一次折り返し部を展開して第一止着部を露出させ、各延在シート先端側を、前記一方の本体シートの裏面に伸ばした状態で、第一止着部を前記一方の本体シートの裏面に対し止着して最終固定を図るようにした、
ことを特徴とする使い捨て紙おむつ。
【0010】
(作用効果)
請求項1と同様の効果がある。
さらに、延在シートを挿通部に挿通する際、第一止着部が延在シートで覆われ、第二止着部が第一次折り重ね部で覆われているため、第一止着部および第二止着部が、本体シートの意図しない箇所と止着するのを防ぐことができる。また、延在シートの幅方向外側部に第二次折り重ね部が形成され、厚みが出るのでシートが掴みやすくなる。
【0011】
<請求項3記載の発明>
前記第一止着部および第二止着部は、表面にフック状突起を有するフックテープからなり、
最終固定時において、前記第一止着部のフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有する第一メステープが、前記一方の本体シートの外面に設けられ、
一時固定時において、前記第二止着部のフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有する第二メステープが、前記他方の本体シートに設けた挿通部よりも幅方向外側に位置する本体シートの外面に設けられる請求項1または2記載の使い捨て紙おむつ。
【0012】
(作用効果)
第一メステープおよび第二メステープを設け、第一止着部および第二止着部をそれぞれこれらと掛止することで、止着力が向上する。
【0013】
<請求項4記載の発明>
前記第一止着部の面積が前記第二止着部の面積よりも大きい請求項1または2記載の使い捨て紙おむつ。
【0014】
(作用効果)
第二止着部の面積を第一止着部の面積よりも小さくすることで、一時的に固定された第二止着部が剥がしやすくなる。
また、第一止着部の面積を第二止着部の面積よりも大きくすることで、最終固定された第一止着部が剥がれにくくなる。
【0015】
<請求項5記載の発明>
前記第一止着部および第二止着部の少なくとも一方が、延在シートの前後方向に離間して二つ以上設けられている請求項1または2記載の使い捨ておむつ。
【0016】
(作用効果)
第一止着部の前後方向に離間した部分に指を挿入でき、第一止着部が展開しやすくなる。また、第二止着部の前後方向に離間した部分に指を挿入でき、第二止着部が展開しやすくなる。
【0017】
<請求項6記載の発明>
前記延在シートは、その幅方向外側部の前後方向両端部が前後方向に突出しており、この幅方向外側部の前後方向の長さが前記挿通部の前後方向の長さよりも長い請求項1または2記載の使い捨て紙おむつ。
【0018】
(作用効果)
挿通部に挿通した延在シートが、挿通部から抜け出にくくなる。
【発明の効果】
【0019】
以上の通り本発明によれば、容易にサイズ調整できるパンツ式の使い捨て紙おむつを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る使い捨て紙おむつの展開状態内面側を示す平面図である。
【図2】本発明に係る使い捨て紙おむつの展開状態外面側を示す平面図である。
【図3】図1に係る使い捨て紙おむつのP−P箇所の断面図である。
【図4】図1に係る使い捨て紙おむつのQ−Q箇所の断面図である。
【図5】図1に係る使い捨て紙おむつのR−R箇所の断面図である。
【図6】図1に係る使い捨て紙おむつのS−S箇所の断面図である。
【図7】延在シートを挿通部に挿通する前の図である。
【図8】一時固定をした図である。
【図9】最終固定をした図である。
【図10】第一次折り重ね部を形成した図である。
【図11】第二次折り重ね部を形成した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明に係る紙おむつの展開状態内面側を示す平面図であり、図2は外面側を示す平面図である。
本発明に係る使い捨て紙おむつ1は、前身頃F及び後身頃Bを有する外装シート20と、この外装シート20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10はトップシート11とバックシート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装シート20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤Gなどの接合手段によって固定された後に、内装体10および外装シート20が前身頃F及び後身頃Bの境界である上下方向中央で折り畳まれ、その両側部が相互に係合かつ分離可能な連結手段によって連結されることによって、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成された使い捨ておむつ1となる。なお、前身頃F及び後身頃Bの両側部が前記連結手段によって連結されず、その連結されない状態で製品として販売するようにしてもよい。
【0022】
本発明の使い捨て紙おむつ1には、延在シート3が設けられる。
この延在シート3は、図1および図2の実施例においては、後身頃Bを構成する本体シート2の両側縁から幅方向外側へ延在するように設けられている。
図1および図2の実施例とは異なり、前身頃Fを構成する本体シート2の両側縁から幅方向外側へ延在するように、延在シート3を設けるようにしてもよい。前身頃Fを構成する本体シート2の両側縁から幅方向外側へ延在するように設けた場合、後述する挿通部6は後身頃Bの幅方向両端部に設けられる。
【0023】
また、図1および図2の実施例においては、延在シート3と本体シート2を別体としたが、それらを一体として形成してもよい。この場合も含めて本発明における「延在シート」を定義すれば、「挿通部」に挿通し、着用者への使い捨て紙おむつの一時固定を担う部分をいう。
【0024】
また、前記延在シート3は、その幅方向外側部の前後方向両端部が前後方向に突出しており、この幅方向外側部の前後方向の長さが前記挿通部の前後方向の長さよりも長い。
【0025】
図1の例においては、延在シート3の幅方向内側部の一部が前後方向外側から内側へ窪んだ形状をしているが、この窪みはなくてもよい。具体的には、延在シート3の幅方向内側部の前後方向の長さがほぼ一定であってもよく、幅方向外側部の前後方向の長さが幅方向内側部の前後方向の長さよりも長いように形成されていればよい。
【0026】
このような構成を採ることにより、延在シート3を挿通部6に挿通した後、延在シート3が基端部側へ引っ張られた場合、延在シート3の幅方向外側部の前記突出した箇所が挿通部6の外縁に引っ掛かるため、挿通部6から抜けにくくなる。
【0027】
各延在シート3の幅方向外側部には第一の止着部4Aが、幅方向内側部には第二の止着部4Bがそれぞれ取り付けられる。この止着部4Aおよび4Bは、例えばファスニングテープのオステープからなる。
なお、この第一止着部4Aと第二止着部4B間には、止着部が存在しない離間領域5が設けられている。この離間領域5の幅方向の長さは、第一止着部4Aの幅方向の長さ以上にするのが好ましい。後述するように、延在シート3を挿通部6へ挿通する前に、延在シート3の先端部を内側から外側へ折り返し、第一止着部4Aを離間領域5に止着させて、第一次折り重ね部90を形成するからである。
【0028】
また、後身頃Bの外面(下層不織布20Bの裏面)には、第一止着部4Aのオステープのフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有する第一メステープ7Aが設けられる。この第一メステープ7Aを設ける位置は、延在シート3を挿通部6に挿通した後で折り返した時、延在シート3の幅方向外側部に設けた第一止着部4Aが届く位置であればよく、特に限定されない。図示形態では、内装体10の幅方向外側であって、延在シート3の幅方向内側に設けている。
【0029】
一方、前身頃Fの幅方向両側部には、前記各延在シート3を挿通する挿通部6が設けられる。この挿通部6は、例えば、前身頃Fを厚さ方向に貫通するスリットであっても良いし、延在シート3を通すための延在シート通し(いわゆるベルト通しやベルトホールと同様の構造を有するものである)を取り付けても良い。なお、図1および図2ではスリットを設けた例を示している。
【0030】
スリットは延在シート3を貫通しうる限り特に限定されないが、図示形態では、スリットは、前押えシート50、上層不織布20A、下層不織布20Bが貼り合わされた箇所に、厚さ方向に沿って延在シート3の幅よりも若干長く切り目を入れることにより形成されている。
【0031】
また、スリットの両端の裂けを防止するために、予め、スリットを入れる位置を覆うように補強シート(図示しない)を貼り付けておき、スリットはこの補強シートの周縁部の内側に収まるように形成するのが好ましい。補強シートは、前押えシート50および下層不織布20Bの両方に設ける他、いずれか一方、あるいは上層不織布20Aに設けることができる。補強シートとしては坪量が50〜90g/m2程度で、JISL1096:1999に規定される引裂き強度が3.0kgf以上のシートを用いることができる。このようなシートとしては、例えばPPスパンボンド不織布等の各種不織布や、CPPフィルムを用いることができる。補強シートの繊維配向方向と、補強部位の素材の繊維配向方向とを直角等の所定角度で交差させるのも好ましい形態である。
【0032】
さらに、スリットの両端近傍のそれぞれに、スリットまたはその延長線を挟んで一方側に始端、他方側に終端を有するとともに、中間部がスリット中央側と反対側に膨らむ、例えばC字状やU字状等の曲線状切れ目(図示しない)を設けてもよい。スリット両端から裂けが発生しても、裂けの進行先にこのような切れ目が存在していると、裂けが切れ目に達した後はこの切れ目全体で力を分散して受けるようになり、裂けの進行が抑止される。この切れ目は、補強シートと併用するのが好ましいが、補強シートを設けずにこの切れ目を設けることもできる。また、これらとともに、あるいはこれらに代えて、他の公知の引裂き防止手段を採用することもできる。
【0033】
挿通部6は、前記のように延在シート通しとすることもできる。すなわち、挿通部形成部位に対し、上下方向に延在シート幅よりも広い間隔をおいて細長状シート状部材(図示しない)の両端部をそれぞれ固定し、中間部は固定せずにおき、中間部と対向面との間に延在シート3を通して折り返す形態も採用することができる。延在シート通しは、腹側の外面(下層不織布20Bの裏面)に設けるのが好ましいが、腹側の内面(前押えシート50の表面)に設けることもできる。
【0034】
また、前身頃Fの幅方向外側部であって、挿通部6の幅方向外側には、第二止着部4Bのオステープのフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有する第二メステープ7Bが設けられる。図示形態では、第二メステープ7Bを前身頃Fの外面(下層不織布20Bの裏面)に設けている。第二メステープ7Bが肌面に当たらないようにするためである。しかし、前身頃Fの内面(前押えシート50の表面)に設けるようにしてもよい。
【0035】
前記のように第一メステープ7Aおよび第二メステープ7Bを設けることで、止着力が向上する。なお、第一メステープ7Aを設けずに、第一止着部4Aを後身頃Bの外面に直接止着するようにしてもよい。また、第二メステープ7Bを設けずに、第二止着部4Bを前身頃Fの外面に直接止着するようにしてもよい。
【0036】
図示形態では、第一止着部4A、第二止着部4B、第一メステープ7A、第二メステープ7Bを、前身頃Fおよび後身頃Bの幅方向側縁や、縦方向側縁と略平行に設けているが、これに限られるものではなく、当該縁と所定の角度をもって斜めに配置するなどしてもよい。
【0037】
さらに、図示形態では、第二止着部4B、第一メステープ7A、第二メステープ7Bをそれぞれ1つずつ設けているが、これに限られるものではなく、それぞれ複数個設けても良い。また、図示形態では、第一止着部4Aを2つ設けているが、これに限られるものではなく、1つまたは3個以上設けてもよい。
【0038】
なお、第一止着部4Aを延在シート3に二つ以上設ける場合は、前後方向に離間して設けることが好ましい。離間して設けることで、離間した部分に指を挿入することができるため、後述する第二折り重ね部を展開するのが容易になる。同様の理由により、第二止着部4Bを二つ以上設ける場合も、前後方向に離間して設けることが好ましい。
【0039】
また、図示形態においては、延在シート3を後身頃両端縁から幅方向外側へ延在するように設けた例を示したが、延在シート3を前身頃両端縁から幅方向外側へ延在するように設けてもよい。
【0040】
(外装シート)
図3〜図6に示すように、外装シート20は、上層不織布20Aと下層不織布20Bからなる2層構造の不織布シートとされている。上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間及び下層不織布20Bをウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cの不織布の間には各種弾性部材がそれぞれ配置され伸縮性が付与されている。平面形状は、中間両側部に夫々脚部開口を形成するために形成された凹状の脚回りライン29により、全体として擬似砂時計形状をなしている。
【0041】
図1、図2に示すように、外装シート20の弾性部は、ウエスト開口部近傍23に配置されたウエスト部弾性部材24,24…と、前身頃F及び後身頃Bに、縦方向に間隔をおいて幅方向に沿って配置された複数の腰回り弾性部材25,25…とを有するとともに、前身頃F及び後身頃Bのそれぞれにおいて、腰回り弾性部材群25,25…とは別に、前身頃Fと後身頃Bとを連結する連結側部21、22から幅方向中央に向かうにつれて反対の身頃側へ向かうように湾曲しつつ、内装体10の両側部と重なる部位まで(又は両側部の近傍まで等、必ずしも重ならなくても良い)延在するとともに、互いに交差することなく間隔をおいて配置された複数本の湾曲弾性部材26…、28…を備えている。また、延在シートも腰回り弾性部材25,25…を有する。なお、本外装シート20では、脚回りライン29に沿って実質的に連続する、所謂脚回り弾性部材は設けられていない。
【0042】
ウエスト部弾性部材24,24…は、前身頃Fと後身頃Bとが連結された連結側部21、22の範囲の内、ウエスト開口縁近傍に上下方向に間隔をおいて配設された複数条の糸ゴム状弾性部材であり、身体のウエスト部回りを締め付けるように伸縮力を与えることにより使い捨ておむつを身体に装着するためのものである。このウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えばテープ状の伸縮部材を用いてもよい。また、図示形態のウエスト部弾性部材24,24…は、ウエスト部における下層不織布20Bの折り返し部分20Cの不織布間に挟持されているが、上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間に挟持しても良い。
【0043】
腰回り弾性部材25,25…は、連結側部21、22の内、概ね上部から下部までの範囲に亘り、上下方向に間隔をおいて幅方向に沿って配設された糸ゴム状の弾性部材であり、前身頃F及び後身頃Bの腰回り部分に夫々幅方向の伸縮力を与え、使い捨ておむつを身体に密着させるためのものである。なお、ウエスト部弾性部材24、24…と腰回り弾性部材25、25…との境界は必ずしも明確でなくてよい。例えば、前身頃F及び後身頃Bに上下方向に間隔をおいて幅方向に配置された弾性部材の内、数は特定できなくても、上部側の何本かがウエスト部弾性部材として機能し、残りの弾性部材が腰回り弾性部材として機能していればよい。
【0044】
後身頃Bにおいて、腰回り弾性部材25,25…とは別に配設された背側湾曲弾性部材26、26…は、その長手方向中間に縦方向との鋭角側交差角θ(以下、縦方向交差角ともいう)が最小となる最小点を有するとともに、この最小点から幅方向両側に向かうにつれて縦方向交差角θが0度〜90度の範囲内で増加する所定の曲線であって、且つ使い捨ておむつを展開した状態で内装体の両側部と重なる領域内に縦方向交差角θが60ー以下となる交差部分71を有する所定の曲線に沿って配置されているものである。背側湾曲弾性部材26は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では5本の糸ゴム状弾性部材であり、これら背側湾曲弾性部材26、26…は互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この背側湾曲弾性部材群26、26…は、2,3本程度の弾性伸縮部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように3〜20mm、好ましくは6〜16mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。
【0045】
外装シート20の前身頃Fにおいて、腰回り弾性部材群25,25…とは別に配設された腹側湾曲弾性部材28,28…も、その長手方向中間に縦方向との縦方向交差角θが最小となる最小点を有するとともに、この最小点から幅方向両側に向かうにつれて縦方向交差角θが0度〜90度の範囲内で増加する所定の曲線であって、且つ使い捨ておむつを展開した状態で内装体の両側部と重なる領域内に縦方向交差角θが60ー以下となる交差部分70を有する所定の曲線に沿って配置されている。腹側湾曲弾性部材28は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では5本の糸状弾性部材であり、これら腹側湾曲弾性部材28,28…は、互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この腹側湾曲弾性部材群28、28…も、2,3本程度の弾性伸縮部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように3〜20mm、好ましくは6〜16mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。
【0046】
なお、図示例では、前身頃F及び後身頃Bに配置された腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…、28…は、内装体10を横切る部分には設けられておらず、当該部分が非伸縮領域とされている。このように、弾性部材を有しない又は設けられていない形態には、弾性部材が存在しない形態の他、弾性部材は存在するが収縮力が作用しない程度に細かく切断させている形態も含まれる。例えば、後者の例としては、腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…、28…を、一方側の連結側部21,22から内装体10を横切って他方(反対)側の連結側部22まで連続的に設けた後に、内装体10を横切る部分の一部又は全部を切断し、不連続とする一般的な形態が含まれる。弾性部材を内装体10と重なる部分で不連続とすることにより、内装体(特に吸収体13)の幅方向の縮こまりをより防止することができる。もちろん、腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…、28…を、内装体10を横切って連続的に配置することもできる。
【0047】
上述した外装シート20は、例えば特開平4−28363号公報や、特開平11−332913号公報記載の技術により製造することができる。また、湾曲弾性部材26…、28…を内装体10上で切断し不連続化するには、特開2002−35029号公報、特開2002−178428号公報及び特開2002−273808号公報に記載される切断方法が好適に採用される。
【0048】
図示例とは異なり、湾曲弾性部材26…、28…を、前身頃F及び後身頃Bのいずれか一方にのみ設けるだけでも良い。また、湾曲弾性部材26…、28…を、前身頃F及び後身頃Bの両方に設ける場合、前身頃F側に配置された湾曲弾性部材28…の群の一部又は全部と、後身頃B側に配置された湾曲弾性部材26…の群の一部又は全部とが交差する形態(図示せず)も採用できるが、図示例のように、前身頃F側に配置された湾曲弾性部材28…の群と、後身頃B側に配置された湾曲弾性部材26…の群とは互いに交差することなく前後方向中間部、特に前身頃Fに若干偏った位置で縦方向に離間している形態が好適であり、その縦方向離間範囲90における最小縦方向離間距離は10〜15mm程度とし、この部分に後述する広幅の固定領域を設けるのが好ましい。
【0049】
さらに、湾曲弾性部材26…、28…は図示例のようにその全体が湾曲していなくても良く、部分的に直線状の部分を有していても良い。
【0050】
(連結手段)
前記のとおり、連結手段として、前身頃Fおよび後身頃Bのどちらか一方の幅方向外側部に挿通部6と第二メステープ7Bが、前身頃Fおよび後身頃Bの他方に延在シート3が設けられ、その延在シート3の幅方向外側部に第一止着部4Aが、延在シート3の幅方向内側部に第二止着部4Bが、前身頃Fおよび後身頃Bの他方に第一メステープが、それぞれ設けられる。
【0051】
また、外装シート20の下層不織布20Bと第一止着部4A、第二止着部4Bとの剥がれを防止するため、第一止着部4A、第二止着部4Bを外装シート20に取り付けた部分には、腰回り弾性部材25、25…を配設しないのが好適である。
【0052】
同様に、外装シート20の下層不織布20Bと第一メステープ7A、第二メステープ7Bとの剥がれをそれぞれ防止するため、第一メステープ7Aおよび第二メステープ7Bを取り付けた部分には、腰回り弾性部材25、25…、背側湾曲弾性部材26、26…、腹部湾曲弾性部材28、28…を配設しないのが好適である。
【0053】
この第一止着部4A、第二止着部4B、第一メステープ7A、第二メステープ7Bは、公知の接着剤、サーマルまたはウルトラソニックボンドにより外装シート20の下層不織布20Bにそれぞれ止着されている。
【0054】
なお、前記各部材を止着しない箇所については、腰回り弾性部材25や背側湾曲弾性部材26や腹部湾曲弾性部材28を設けるほうがより好適である。当該弾性作用により、使い捨ておむつ1のフィット性が向上するためである。
【0055】
なお、延在シート3は、好適には幅方向に伸縮する伸縮性不織布が用いられる。当該伸縮性不織布は、不織布の間に腰回り弾性部材25等の弾性部材を配置したものや、伸縮フィルムを配置したものがある。当該弾性作用により、サイズ調整が容易になるとともに、使い捨て紙おむつ1のフィット性が向上するという効果を得ることができる。また、前記のように延在シート3を、上層不織布20Aと下層不織布20Bからなるように構成してもよい。
【0056】
使い捨て紙おむつ1のサイズにより異なるが、通常の大人用の使い捨ておむつ1の場合、所要の係合強度を有するため、第一止着部4Aは、幅10〜30mm、縦40〜70mmの矩形状であり、第二止着部4Bは、幅10〜20mm、縦50〜100mmの矩形状であり、第一メステープ7Aは、幅20〜60mm、縦80〜160mmの矩形状であり、第二メステープ7Bは、幅10〜20mm、縦50〜100mmの矩形状である。
特に、一時的固定された第二止着部4Bを剥がしやすくするため、第一止着部4Aよりも小さい面積にするのが好ましい。また、最終固定をする際に第一止着部4Aが剥がれにくくするため、第二止着部4Bよりも大きい面積にするのが好ましい。
【0057】
ここで、係合強度とは、使い捨ておむつ1の片側の第一止着部4Aと第一メステープ7Aまたは第二止着部4Bと第二メステープ7Bとを係合した状態で、係合されていない使い捨ておむつ1の片側を胴回り方向に引っ張り、係合面に作用するせん断力に対する強さをいうものとする。
【0058】
使い捨ておむつ1のサイズにより異なるが、通常の大人用の使い捨ておむつ1の場合、第一止着部4Aと第一メステープ7Aとのせん断応力は5N/cm2以上であり、係合強度は60N以上であるのが好適である。
係合強度が60N以下の場合には、着用者の歩行、着座等にともなう太股からの力により第一止着部4Aと第一メステープ7Aとの係合が外れる恐れがあるからである。
【0059】
同様に、第二止着部4Bと第二メステープ7Bとのせん断応力は 5N/cm2以上であり、係合強度は 30N以上であるのが好適である。
係合強度が30以下の場合には、着用者が使い捨て紙おむつ1を着用する際に、第二止着部4Bと第二メステープ7Bとの係合が外れる恐れがあるからである。
【0060】
使い捨ておむつ1では、第一止着部7A、第二止着部7Bには同一のループ部材を用い、第一メステープ7A、第二メステープ7Bには同一のフック部材を用いているが、それぞれ異なるループ部材、フック部材を用いることもできる。
(装着方法)
【0061】
以下に、着用者が使い捨て紙おむつ1を装着する過程を説明する。
図7は、前身頃Fと後身頃Bを止着する前の図である。この状態から延在シート3を挿通部6に挿通し、延在シート3の挿通した部分を内側から外側へ折り返す。そして、延在シート3の幅方向内側に設けた第二止着部4Bを、挿通部6の幅方向外側に設けた第二メステープ7Bと止着させ、一時的に固定する。図8は、一時固定後の図である。この一時固定は、使い捨て紙おむつ1の両脇部で行う。
【0062】
一時固定をした使い捨て紙おむつ1は、前身頃Fと後ろ身頃Bの側縁が延在シート3で繋がった形状をしているため、通常のパンツ型使い捨て紙おむつよりも胴回り部が広い。この胴回り部に余裕があり、緩い状態で、着用者は本発明の使い捨て紙おむつ1に両足を挿入し、胴回り部まで引き上げる。このとき、胴回り部には余裕があるため、着用者が両足を挿入しやすいという利点がある。
【0063】
なお、この一時固定の際に、第二止着部4Bを挿通部6の幅方向外側に設けた第二メステープ7Bと止着させるとともに、第一止着部4Aを前身頃Fの裏面もしくは延在シート3の裏面に止着させるようにしてもよい。第一止着部4Aも止着させることで、第二止着部4Bのみ止着する場合よりも、止着力を上げることができ、着用者が使い捨て紙おむつ1に両足を挿入し、胴回り部まで引き上げる際に、止着が外れてしまうことを防ぐことができる。
図8の例では、一時固定時に、第一止着部4Aを延在シート3の裏面に止着することができる。一時固定時に、第一止着部4Aを前身頃Fの裏面に止着するためには、例えば、図8の延在シート3の幅方向の長さをより長くし、第一止着部4Aを更に幅方向外側に設け、第一止着部4Aと第二止着部4Bの幅方向の離間距離を更に広げることにより、実現することができる。
【0064】
このように、第一止着部4Aと第二止着部4Bを設け、一時固定時に、それらを止着させることで、止着力を上げることができる。このとき、止着力を上げるために、第一止着部4Aと第二止着部4Bは近接しておらず、所定の距離、幅方向に離れていたほうが好ましい。この所定の距離とは、30mm〜70mmである。
なお、この一時固定においては、延在シート3を挿通部6に挿通して、それを折り返し、前記第二止着部4Bなどを止着した状態になっており、使い捨て紙おむつ1が引っ張られた場合でもその力が分散されるため、この折り返しをしない場合よりも、止着が外れにくくなっている。
【0065】
また、この一時固定時において、第一止着部4Aを止着させる部分に、第一止着部4Aと止着するメステープを別途設けるようにしても良い。このようなメステープを設けることで、一時固定時の止着力をより向上させることができる。
【0066】
次に、胴回り部まで引き上げた使い捨て紙おむつ1を最終固定する。
具体的には、一時固定している第二止着部4Bの止着を解く。そして、各延在シート3の先端側を後身頃Bの裏面へ伸ばし、使い捨て紙おむつを着用者の体形に合わせ、所望の位置で第一止着部4Aを後身頃Bの裏面に設けた第一メステープ7Aに止着して、最終固定を行う。図9は最終固定後の図である。この最終固定は使い捨て紙おむつ1の両脇部で行う。
このように最終固定を行うことで、パンツ型使い捨て紙おむつを容易に着用者の体形にフィットさせることができる。
【0067】
なお、この最終固定の際にも、第一止着部4Aを第一メステープ7Aに止着させるとともに、第二止着部4Bを前身頃Fの裏面に止着させるようにしてもよい。第一止着部4Aのみ止着する場合よりも、第二止着部4Bも止着させることで、止着力を上げることができる。このとき、止着力を上げるために、第一止着部4Aと第二止着部4Bは近接しておらず、所定の距離、幅方向に離れていたほうが好ましい。この所定の距離とは、30mm〜70mmである。
なお、図9の第一メステープ7Aの面積を変え、第一メステープ7Aを前身頃Fの幅方向外側により広く設け、第一止着部4Aを第一メステープ7Aに止着させるとともに、第二止着部4Bも第一メステープ7Aに止着させるようにしても良い。このようにすることで、より止着力を上げることができる。
【0068】
以上の説明では、一時固定および最終固定の基本的な方法を説明した。
ここで、延在シート3を挿通部6に挿通する際、延在シート3に設けられた第一止着部4Aおよび第二止着部4Bが挿通部6近傍のシートにひっかかることがあり、延在シート3を挿通部6に挿通するのに労力がかかる場合がある。
【0069】
このような問題は下記の過程を採ることにより、解決することができる。
まず、図7の状態から、延在シート3の幅方向外側部を内側から外側へ折り返し、第一止着部4Aを離間領域5に止着する。それにより、第一止着部4Aが延在シート3で覆われる。このとき、延在シート3の幅方向外側部にできた部分を第一次折り重ね部90という。図10は、第一次折り重ね部90を形成した後の図である。この第一次折り重ね部90の形成は、両延長シート3で行う。
【0070】
その後に、第一次折り重ね部90を折り返し、この第一次折り重ね部90を第二止着部4Bに止着する。それにより、第二止着部4Bが第一次折り重ね部90で覆われる。このとき、延在シート3の幅方向外側部にできた部分を第二次折り重ね部91という。図11は、第二次折り重ね部91を形成した後の図である。この第二次折り重ね部91の形成も、両延長シート3で行う。
【0071】
次に、第二次折り重ね部91を形成した延在シート3を、対応する前記挿通部6に内面側から外面側に挿通する。このとき、第二次折り重ね部91を形成した延在シートは、第一止着部4Aおよび第二止着部4Bが表面に出ていないため、延在シート3に設けられた第一止着部4Aおよび第二止着部4Bが挿通部6近傍のシートにひっかかることがなくなり、延在シート3を挿通部6に挿通するのに労力がかからなくなる。
【0072】
その後、前記第二次折り重ね部91を展開して第二止着部4Bを露出させ、この第二止着部4Bを挿通部6の幅方向外側に設けた第二メステープ7Bと止着させ、一時的に固定する。この一時固定は、使い捨て紙おむつ1の両脇部で行う。
【0073】
一時固定をした使い捨て紙おむつ1は、前身頃Fと後ろ身頃Bの側縁が延在シート3で繋がった形状をしているため、通常のパンツ型使い捨て紙おむつよりも胴回り部が広い。この胴回り部に余裕があり、緩い状態で、着用者は本発明の使い捨て紙おむつ1に両足を挿入し、胴回り部まで引き上げる。このとき、胴回り部には余裕があるため、着用者が両足を挿入しやすいという利点があるという点は前述と同様である。
【0074】
次に、胴回り部まで引き上げた使い捨て紙おむつ1を最終固定する。
具体的には、一時固定している第二止着部4Bの止着を解くとともに、第一次折り返し部90を展開して第一止着部4Aを露出させる。そして、各延在シート3の先端側を後身頃Bの裏面へ伸ばし、使い捨て紙おむつ1を着用者の体形に合わせ、所望の位置で第一止着部4Aを後身頃Bの裏面に設けた第一メステープ7Aに止着して、最終固定を行う。この最終固定は使い捨て紙おむつ1の両脇部で行う。
このように最終固定を行うことで、パンツ型使い捨て紙おむつを容易に着用者の体形にフィットさせることができるという利点も前述と同様である。
【0075】
本発明の使い捨て紙おむつ1は、一時固定状態から、第二止着部4Bの止着を解き、延在シート3を後身頃Bの裏面へ伸ばすだけで容易にフィット性を調整できる。
一方、本発明の使い捨て紙おむつ1は、延在シート3を挿通部6に通し、折り返してから最終固定しているため、従来のテープ式紙おむつのように単にフックテープで脇部を止着するよりも止着力が強く、着用者の歩行、着座等にともなう太股からの力が、使い捨ておむつ1の内側から外側に向かって作用した場合にあっても、脇部の止着を維持することができる。
【0076】
(外装シート20の柔軟化に関する構成)
特徴的には、腰回り弾性部材25…を有する縦方向範囲33と湾曲弾性部材26…、28…を有する縦方向範囲31とが一部(又は全部でも良い)重複しており、且つこの重複範囲30内に腰回り弾性部材25…が複数本(例えば5〜10本程度)含まれるとともに、そのうちの少なくとも一部の腰回り弾性部材25…の相互間隔d1が他の腰回り弾性部材25…の相互間隔d2よりも広くなっている。また、重複範囲30外においても、湾曲弾性部材26…、28…を有する縦方向範囲31とウエスト部弾性部材24を有する縦方向範囲との間の中間範囲32に、腰回り弾性部材25…が複数本(例えば10〜16本程度)設けられている。
【0077】
このように、腰回り弾性部材25…を有する縦方向範囲33と湾曲弾性部材26…、28…を有する縦方向範囲31との重複範囲30をある程度許容しつつ、その範囲内に腰回り弾性部材25…の相互間隔の広い部分を設けることによって、フィット性を損ねずに、弾性部材の密集を抑制することができる。その結果、上記重複範囲30において外装シート20にプリーツが密集せず、厚みの不必要な増加、弾性部材自体及びその接着による硬質化が抑制され、もって柔軟で快適な装着感が得られるようになる。
【0078】
通常の場合、上述の腰回り弾性部材25…の相互間隔d1は15〜50mm程度、他の腰回り弾性部材25…の相互間隔d2は10〜20mm程度とするのが好ましい。また、重複範囲30の縦方向長さは展開状態での使い捨ておむつ1の全長の15〜30%程度であるのが好ましく、重複範囲30に占める腰回り弾性部材25…の相互間隔d1の広い間隔部分35の割合は縦方向長さの比(すなわち、間隔d1の総和/重複範囲30の縦方向長さ)で60〜100%程度であるのが好ましい。上記重複範囲30が狭すぎると、腰回り弾性部材25…の間隔を広げる意義が薄くなり、広過ぎると腰回り弾性部材25…の間隔の広い部分35が増加することによりフィット性が低下する。また、上記重複範囲30内に占める腰回り弾性部材25…の相互間隔d1の広い部分35の割合が少な過ぎると柔軟性の向上は見込めるものの顕著な向上は困難となる。
【0079】
具体的に、図示例の場合、重複範囲30に占める腰回り弾性部材25…の相互間隔d1の広い部分35の割合は、前身頃Fでは40%程度、後身頃Bでは100%となっている。このように、柔軟性向上に関する構成は、前身頃Fと後身頃Bとで異ならしめることができ、外装シート20における前身頃F及び後身頃Bのいずれか一方にのみ適用することも可能である(以下同じ)。
【0080】
(内装体の構造例)
内装体10は、不織布などからなるトップシート11と、ポリエチレン等からなるバックシート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、表面シート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。
【0081】
吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆うトップシート11としては、透液性のものがよく、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。トップシート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。トップシート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在している。
【0082】
吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆うバックシート12は、不透液性のものがよく、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0083】
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができ、図示例では平面形状を略方形状として成形されたものが使用され、その幅寸法は股間部への当たりによって着用者にゴワ付き感を与えない寸法幅となっている。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。吸収体13の形状は、図示形態のように長方形状とする他、背側及び腹側に対して股間部の幅が狭い砂時計形状(括れ形状)とすることもできる。
【0084】
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザーBSが形成されているのが好ましい。この立体ギャザーBSはギャザー不織布15により形成される、ギャザー不織布としては、図4に示すように、折返しによって二重シートとした不織布が好適に用いられ、トップシート11によって巻き込まれた吸収体13の側縁部をさらにその上側から巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在して接着されている。より具体的には、ギャザー不織布15は、使い捨ておむつ1の長手方向中間部では、立体ギャザーBS形成部分を残し、幅方向中間部から吸収体13の裏面側に亘る範囲がホットメルト接着剤等によって接着され、また長手方向前後端部では、幅方向中間部から一方側端縁までの区間が吸収体13の裏面側に亘る範囲で接着されるとともに、立体ギャザーBSを形成する部分を吸収体13の上面部にて折り畳むようにしながらホットメルト接着剤等により接着している。
【0085】
二重シート不織布によって形成されたギャザー不織布15の内部には、起立先端側部分に複数本の糸状弾性伸縮部材16、16…が配設されている。糸状弾性伸縮部材16、16…は、製品状態において図4に二点鎖線で示すように、弾性伸縮力により吸収体側縁部より突出する不織布部分を起立させて立体ギャザーBSを形成するためのものである。
【0086】
バックシート12は、二重シート状のギャザー不織布15の内部まで進入し、図4に示すように、立体ギャザーBSの下端側において防漏壁を構成するようになっている。このバックシート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
【0087】
糸状弾性伸縮部材16としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、伸長率は150〜350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、伸張率は伸張時の長さ/自然長×100で算出した値であり、糸状弾性伸縮部材に代えて、ある程度の幅を有するテープ状弾性伸縮部材を用いるようにしてもよい。
【0088】
前述のギャザー不織布15を構成する素材繊維もトップシート11と同様に、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザー不織布15については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
【0089】
(前後押えシート)
図1、図3に示すように、外装シート20の肌当接面上に取り付けられた内装体10の前後端部をカバーし、且つ内装体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押えシート50,60が設けられている。図示形態について更に詳細に説明すると、前押えシート50は、前身頃F内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押えシート60は、後身頃B内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。前後押えシート50,60の股下側縁部に幅方向の全体にわたり(中央部のみでも良い)若干の非接着部分を設けると、接着剤が食み出ないだけでなく、この部分を表面シートから若干浮かせて防漏壁として機能させることができる。
【0090】
図示形態のように、前後押えシート50,60を別体として取り付けると、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、外装シート20を使い捨ておむつ1内面に折り返してなる折り返し部分20Cを、吸収パッド200と重なる部分まで延在させて、前述の押えシート50,60と同等の部分を形成することもできる。
【0091】
(外装シートを構成する不織布ついて)
外装シート20を構成する不織布のうち、少なくとも最も外側に位置する不織布20Bとして、捻れ度が3.8gf・cm/cm以下のものが好適である。外装シート20を構成する不織布全て、つまり最も外側に位置しない他の不織布20A、50,60についても最外側不織布20Bと同様の不織布を採用するのが望ましい(以下同じ。)。このように、捻れ度が十分に低い不織布を用いると、使い捨ておむつ全体としてのしなやかさが顕著に増加し、その結果、ゴワゴワした装着感や、肌との擦れによりかゆみやかぶれ等の肌トラブルが軽減し、脱ぎ着し易くなる等の利点がもたらされる。捻れ度が十分に低くないとしなやかさの改善効果は発現しない。このような捻れ度は、例えば原料繊維の種類の選択、繊度を細くする、繊維長を短くする、目付けや厚みを減らす等により達成することができる。
【0092】
また、最外側不織布20Bにおける平均表面摩擦係数と平均偏差との比MIU/MMDが20以上であるのが好ましく、特に25以上であるのがより好ましい。MIU/MMD比を十分に大きくすることにより、外装シート表面の触感が良好となることにより、しなやかさが補われ、例えば肌との擦れによりかゆみやかぶれ等の肌トラブルがより一層軽減されるようになる。このようなMIU/MMD比は、例えば、繊度を細くする、表面加工を施す等により達成することができる。
【0093】
また、外装シート20としての基本機能(隠蔽機能、強度等)を損ねないよう、最外側不織布20Bは、目付けが10〜30g/m2であり、且つ圧力0.5g/cm2のときの厚みT0が0.1〜1.0mmであるのが好ましい。より好ましい目付けは13〜22g/m2、厚みT0は0.1〜0.5mmである。
【0094】
さらにしなやかさを補うため、最外側不織布20BのJIS−L−1096(45度カンチレバー法)による剛軟度は45mm以下であるのが好ましく、35mm以下であるのがより好ましい。これにより、特にゴワゴワ感の軽減及び脱ぎ着のし易さがより一層好ましいものとなる。このような剛軟度は、例えば、原料繊維の種類の選択や割合の変更、エンボス圧を下げる、目付や厚みを減らす等により達成することができる。
【0095】
しなやかさを向上させると強度が低下し易いため、最外側不織布20Bは、JIS−P−8113に規定される引張強度が幅方向において40〜120kgf/m、特に60〜100kgf/m、前後方向において10〜80kgf/m、特に25〜60kgf/mであり、JIS−P−8116に規定される引裂強度が前後方向において4〜30kgf/m、特に8〜25kgf/mであるのが好ましい。このような引張強度及び引裂強度は、例えば、繊維同士の絡まり度合いを増す等により達成することができる。
【0096】
最外側不織布20Bの圧縮特性もしなやかさと密接に関連するものである。よって、最外側不織布20Bの圧縮特性は、圧縮硬さLCが0.3〜1.0、特に0.5〜0.9であり、且つ圧縮仕事量WCが0.01〜0.10、特に0.01〜0.07であり、圧縮レジリエンスRCが20〜90%、特に25〜70%であるのが好ましい。このような圧縮硬さLC、圧縮仕事量WC、圧縮レジリエンスRCは、例えば、原料繊維の種類の選択や割合の変更、目付や厚みを減らす等により達成することができる。
【0097】
最外側不織布20Bは、原料繊維の物質、構造、製法、繊度、繊維長(短繊維、フィラメント)等については、特に限定されない。例えば、原料繊維としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等から適宜選択でき、また繊維構造としては並列型、芯鞘型等の2層型複合繊維、多層型複合繊維、非複合繊維、混合繊維、分割繊維等から適宜選択することができる。さらに、製法としては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等、公知の方法から適宜選択して用いることができる。繊維の繊度や繊維長についても公知の仕様を採用することができるが、繊度は0.7〜3dtex、特に1〜2.5dtexが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、パンツ式の紙おむつにおいて利用できるものである。このパンツ式の紙おむつは、製品として販売される状態で、脇部が連結手段によって連結されてパンツ形状を形成しているもの、もしくは、着用者が足を挿入する前に、脇部が連結手段によって連結されてパンツ形状を形成するものを含む。
【符号の説明】
【0099】
1…使い捨て紙おむつ、2…本体シート、2L…本体シートの幅、3…延在シート、3L…延在シートの幅、3M…延在シート幅方向外側部の幅、3N…延在シート幅方向内側部の幅、4A…第一止着部、4B…第二止着部、5…離間領域、5N…離間領域の幅、6…挿通部、7A…第一メステープ、7B…第二メステープ、10…内装体、20…外装シート、20A…上層不織布、20B…下層不織布、21・22…連結側部、24…ウエスト部弾性部材、25…腰回り弾性部材、28…腹部湾曲弾性部材、29…脚回りライン、50…前押えシート、60…後押えシート、90…第一次折り重ね部、91…第二次折り重ね部、BS…立体ギャザー、G…ホットメルト接着剤
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるパンツ式の使い捨て紙おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
パンツ式使い捨て紙おむつは、両脇部がホットメルト等により接着されているものであるが、着用者の体形に合わせてサイズ調整ができないという欠点があった。
【0003】
一方、テープ式使い捨て紙おむつは、両脇部が接着されておらず、前身頃及び後身頃の幅方向両端部に設けられたフックテープを止着するというものであるが、着用者の体形に合わせてサイズ調整をするために一度止着したフックテープを外すと、紙おむつが展開してしまうため、サイズ調整に労力がかかるという欠点があった。また、着用中に両脇部の止着力が弱まり、ずれ下がったり、ずれ落ちたりする可能性があるという欠点もあった。
【0004】
テープ式使い捨て紙おむつのこれらの問題を解決するために、前身頃及び後身頃のいずれか一方に挿通孔やテープ通しを設け、他方にファスニングテープ等を設け、ファスニングテープを挿通孔やテープ通しに挿通し、折り返す技術が開示されている。(特許文献1および2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−312907号公報
【特許文献2】特開2007−268216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および2は、主として、ベッドでの生活が中心の要介護者が他人に履かせてもらうことを想定したテープ式紙おむつに関するものであり、着用者自らが履くことを想定したパンツ式使い捨ておむつには、体形に合わせてサイズ調整できるものが依然として見当たらない。
そこで本発明の主たる課題は、容易にサイズ調整できるパンツ式の使い捨て紙おむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<請求項1記載の発明>
前身頃及び後身頃を構成する本体シートのいずれか一方の身頃の側縁から幅方向外側へ延在する延在シートが設けられ、
この延在シートの幅方向外側部に第一の止着部が、幅方向内側部に第二の止着部が設けられ、
前記身頃に対向する他方の身頃の本体シートの両側部に、前記各延在シートを挿通する挿通部がそれぞれ設けられ、
前記各延在シートを対応する前記挿通部に内面側から外面側に挿通し、前記第二止着部を他方の身頃の本体シート外面に対し止着して一時的に固定し、着用者が緩い状態で装着し、
装着後に、前記第二止着部の止着を解いて各延在シート先端側を、前記一方の本体シートの裏面に伸ばした状態で、第一止着部を前記一方の本体シートの裏面に対し止着して最終固定を図るようにした、
ことを特徴とする使い捨て紙おむつ。
【0008】
(作用効果)
延在シートを本体シートに対し止着して一時的に固定し、着用者が緩い状態で装着することができるため、履き易い。
また、最終固定を図るときに、挿通部に挿通した延在シートの先端側を、本体シートの裏面に伸ばして止着するので、フックテープを備えたテープ式紙おむつを履く際の脇部止着作業よりも楽である。さらに、フックテープを備えたテープ式紙おむつを履く際よりも、サイズ調整が容易であると同時に、サイズ調整時に紙おむつが展開してしまう恐れがない。
【0009】
<請求項2記載の発明>
前身頃及び後身頃を構成する本体シートのいずれか一方の身頃の側縁から幅方向外側へ延在する延在シートが設けられ、
この延在シートの幅方向外側部に第一の止着部が、幅方向内側部に第二の止着部が、これらの第一止着部と第二止着部間に、止着部が存在しない離間領域が設けられ、
前記身頃に対向する他方の身頃の本体シートの両側部には、前記各延在シートを挿通する挿通部がそれぞれ設けられ、
前記各延在シートの先端部を内側から外側へ折り返し、前記第一止着部を前記離間領域に止着することで、第一止着部を延在シートで覆うとともに、各延在シートの幅方向外側部に第一次折り重ね部を形成し、
前記各第一次折り重ね部を折り返し、この第一次折り重ね部を前記第二止着部に止着することで、第二止着部を第一次折り重ね部で覆うとともに、各延在シートの幅方向外側部に第二次折り重ね部を形成し、
前記第二次折り重ね部を形成した延在シートを、対応する前記挿通部に内面側から外面側に挿通した後、
前記第二次折り重ね部を展開して第二止着部を露出させ、前記第二止着部を他方の身頃の本体シート外面に対し止着して一時的に固定し、着用者が緩い状態で装着し、
装着後に、前記第二止着部の止着を解くとともに、前記第一次折り返し部を展開して第一止着部を露出させ、各延在シート先端側を、前記一方の本体シートの裏面に伸ばした状態で、第一止着部を前記一方の本体シートの裏面に対し止着して最終固定を図るようにした、
ことを特徴とする使い捨て紙おむつ。
【0010】
(作用効果)
請求項1と同様の効果がある。
さらに、延在シートを挿通部に挿通する際、第一止着部が延在シートで覆われ、第二止着部が第一次折り重ね部で覆われているため、第一止着部および第二止着部が、本体シートの意図しない箇所と止着するのを防ぐことができる。また、延在シートの幅方向外側部に第二次折り重ね部が形成され、厚みが出るのでシートが掴みやすくなる。
【0011】
<請求項3記載の発明>
前記第一止着部および第二止着部は、表面にフック状突起を有するフックテープからなり、
最終固定時において、前記第一止着部のフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有する第一メステープが、前記一方の本体シートの外面に設けられ、
一時固定時において、前記第二止着部のフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有する第二メステープが、前記他方の本体シートに設けた挿通部よりも幅方向外側に位置する本体シートの外面に設けられる請求項1または2記載の使い捨て紙おむつ。
【0012】
(作用効果)
第一メステープおよび第二メステープを設け、第一止着部および第二止着部をそれぞれこれらと掛止することで、止着力が向上する。
【0013】
<請求項4記載の発明>
前記第一止着部の面積が前記第二止着部の面積よりも大きい請求項1または2記載の使い捨て紙おむつ。
【0014】
(作用効果)
第二止着部の面積を第一止着部の面積よりも小さくすることで、一時的に固定された第二止着部が剥がしやすくなる。
また、第一止着部の面積を第二止着部の面積よりも大きくすることで、最終固定された第一止着部が剥がれにくくなる。
【0015】
<請求項5記載の発明>
前記第一止着部および第二止着部の少なくとも一方が、延在シートの前後方向に離間して二つ以上設けられている請求項1または2記載の使い捨ておむつ。
【0016】
(作用効果)
第一止着部の前後方向に離間した部分に指を挿入でき、第一止着部が展開しやすくなる。また、第二止着部の前後方向に離間した部分に指を挿入でき、第二止着部が展開しやすくなる。
【0017】
<請求項6記載の発明>
前記延在シートは、その幅方向外側部の前後方向両端部が前後方向に突出しており、この幅方向外側部の前後方向の長さが前記挿通部の前後方向の長さよりも長い請求項1または2記載の使い捨て紙おむつ。
【0018】
(作用効果)
挿通部に挿通した延在シートが、挿通部から抜け出にくくなる。
【発明の効果】
【0019】
以上の通り本発明によれば、容易にサイズ調整できるパンツ式の使い捨て紙おむつを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る使い捨て紙おむつの展開状態内面側を示す平面図である。
【図2】本発明に係る使い捨て紙おむつの展開状態外面側を示す平面図である。
【図3】図1に係る使い捨て紙おむつのP−P箇所の断面図である。
【図4】図1に係る使い捨て紙おむつのQ−Q箇所の断面図である。
【図5】図1に係る使い捨て紙おむつのR−R箇所の断面図である。
【図6】図1に係る使い捨て紙おむつのS−S箇所の断面図である。
【図7】延在シートを挿通部に挿通する前の図である。
【図8】一時固定をした図である。
【図9】最終固定をした図である。
【図10】第一次折り重ね部を形成した図である。
【図11】第二次折り重ね部を形成した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明に係る紙おむつの展開状態内面側を示す平面図であり、図2は外面側を示す平面図である。
本発明に係る使い捨て紙おむつ1は、前身頃F及び後身頃Bを有する外装シート20と、この外装シート20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10はトップシート11とバックシート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装シート20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤Gなどの接合手段によって固定された後に、内装体10および外装シート20が前身頃F及び後身頃Bの境界である上下方向中央で折り畳まれ、その両側部が相互に係合かつ分離可能な連結手段によって連結されることによって、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成された使い捨ておむつ1となる。なお、前身頃F及び後身頃Bの両側部が前記連結手段によって連結されず、その連結されない状態で製品として販売するようにしてもよい。
【0022】
本発明の使い捨て紙おむつ1には、延在シート3が設けられる。
この延在シート3は、図1および図2の実施例においては、後身頃Bを構成する本体シート2の両側縁から幅方向外側へ延在するように設けられている。
図1および図2の実施例とは異なり、前身頃Fを構成する本体シート2の両側縁から幅方向外側へ延在するように、延在シート3を設けるようにしてもよい。前身頃Fを構成する本体シート2の両側縁から幅方向外側へ延在するように設けた場合、後述する挿通部6は後身頃Bの幅方向両端部に設けられる。
【0023】
また、図1および図2の実施例においては、延在シート3と本体シート2を別体としたが、それらを一体として形成してもよい。この場合も含めて本発明における「延在シート」を定義すれば、「挿通部」に挿通し、着用者への使い捨て紙おむつの一時固定を担う部分をいう。
【0024】
また、前記延在シート3は、その幅方向外側部の前後方向両端部が前後方向に突出しており、この幅方向外側部の前後方向の長さが前記挿通部の前後方向の長さよりも長い。
【0025】
図1の例においては、延在シート3の幅方向内側部の一部が前後方向外側から内側へ窪んだ形状をしているが、この窪みはなくてもよい。具体的には、延在シート3の幅方向内側部の前後方向の長さがほぼ一定であってもよく、幅方向外側部の前後方向の長さが幅方向内側部の前後方向の長さよりも長いように形成されていればよい。
【0026】
このような構成を採ることにより、延在シート3を挿通部6に挿通した後、延在シート3が基端部側へ引っ張られた場合、延在シート3の幅方向外側部の前記突出した箇所が挿通部6の外縁に引っ掛かるため、挿通部6から抜けにくくなる。
【0027】
各延在シート3の幅方向外側部には第一の止着部4Aが、幅方向内側部には第二の止着部4Bがそれぞれ取り付けられる。この止着部4Aおよび4Bは、例えばファスニングテープのオステープからなる。
なお、この第一止着部4Aと第二止着部4B間には、止着部が存在しない離間領域5が設けられている。この離間領域5の幅方向の長さは、第一止着部4Aの幅方向の長さ以上にするのが好ましい。後述するように、延在シート3を挿通部6へ挿通する前に、延在シート3の先端部を内側から外側へ折り返し、第一止着部4Aを離間領域5に止着させて、第一次折り重ね部90を形成するからである。
【0028】
また、後身頃Bの外面(下層不織布20Bの裏面)には、第一止着部4Aのオステープのフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有する第一メステープ7Aが設けられる。この第一メステープ7Aを設ける位置は、延在シート3を挿通部6に挿通した後で折り返した時、延在シート3の幅方向外側部に設けた第一止着部4Aが届く位置であればよく、特に限定されない。図示形態では、内装体10の幅方向外側であって、延在シート3の幅方向内側に設けている。
【0029】
一方、前身頃Fの幅方向両側部には、前記各延在シート3を挿通する挿通部6が設けられる。この挿通部6は、例えば、前身頃Fを厚さ方向に貫通するスリットであっても良いし、延在シート3を通すための延在シート通し(いわゆるベルト通しやベルトホールと同様の構造を有するものである)を取り付けても良い。なお、図1および図2ではスリットを設けた例を示している。
【0030】
スリットは延在シート3を貫通しうる限り特に限定されないが、図示形態では、スリットは、前押えシート50、上層不織布20A、下層不織布20Bが貼り合わされた箇所に、厚さ方向に沿って延在シート3の幅よりも若干長く切り目を入れることにより形成されている。
【0031】
また、スリットの両端の裂けを防止するために、予め、スリットを入れる位置を覆うように補強シート(図示しない)を貼り付けておき、スリットはこの補強シートの周縁部の内側に収まるように形成するのが好ましい。補強シートは、前押えシート50および下層不織布20Bの両方に設ける他、いずれか一方、あるいは上層不織布20Aに設けることができる。補強シートとしては坪量が50〜90g/m2程度で、JISL1096:1999に規定される引裂き強度が3.0kgf以上のシートを用いることができる。このようなシートとしては、例えばPPスパンボンド不織布等の各種不織布や、CPPフィルムを用いることができる。補強シートの繊維配向方向と、補強部位の素材の繊維配向方向とを直角等の所定角度で交差させるのも好ましい形態である。
【0032】
さらに、スリットの両端近傍のそれぞれに、スリットまたはその延長線を挟んで一方側に始端、他方側に終端を有するとともに、中間部がスリット中央側と反対側に膨らむ、例えばC字状やU字状等の曲線状切れ目(図示しない)を設けてもよい。スリット両端から裂けが発生しても、裂けの進行先にこのような切れ目が存在していると、裂けが切れ目に達した後はこの切れ目全体で力を分散して受けるようになり、裂けの進行が抑止される。この切れ目は、補強シートと併用するのが好ましいが、補強シートを設けずにこの切れ目を設けることもできる。また、これらとともに、あるいはこれらに代えて、他の公知の引裂き防止手段を採用することもできる。
【0033】
挿通部6は、前記のように延在シート通しとすることもできる。すなわち、挿通部形成部位に対し、上下方向に延在シート幅よりも広い間隔をおいて細長状シート状部材(図示しない)の両端部をそれぞれ固定し、中間部は固定せずにおき、中間部と対向面との間に延在シート3を通して折り返す形態も採用することができる。延在シート通しは、腹側の外面(下層不織布20Bの裏面)に設けるのが好ましいが、腹側の内面(前押えシート50の表面)に設けることもできる。
【0034】
また、前身頃Fの幅方向外側部であって、挿通部6の幅方向外側には、第二止着部4Bのオステープのフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有する第二メステープ7Bが設けられる。図示形態では、第二メステープ7Bを前身頃Fの外面(下層不織布20Bの裏面)に設けている。第二メステープ7Bが肌面に当たらないようにするためである。しかし、前身頃Fの内面(前押えシート50の表面)に設けるようにしてもよい。
【0035】
前記のように第一メステープ7Aおよび第二メステープ7Bを設けることで、止着力が向上する。なお、第一メステープ7Aを設けずに、第一止着部4Aを後身頃Bの外面に直接止着するようにしてもよい。また、第二メステープ7Bを設けずに、第二止着部4Bを前身頃Fの外面に直接止着するようにしてもよい。
【0036】
図示形態では、第一止着部4A、第二止着部4B、第一メステープ7A、第二メステープ7Bを、前身頃Fおよび後身頃Bの幅方向側縁や、縦方向側縁と略平行に設けているが、これに限られるものではなく、当該縁と所定の角度をもって斜めに配置するなどしてもよい。
【0037】
さらに、図示形態では、第二止着部4B、第一メステープ7A、第二メステープ7Bをそれぞれ1つずつ設けているが、これに限られるものではなく、それぞれ複数個設けても良い。また、図示形態では、第一止着部4Aを2つ設けているが、これに限られるものではなく、1つまたは3個以上設けてもよい。
【0038】
なお、第一止着部4Aを延在シート3に二つ以上設ける場合は、前後方向に離間して設けることが好ましい。離間して設けることで、離間した部分に指を挿入することができるため、後述する第二折り重ね部を展開するのが容易になる。同様の理由により、第二止着部4Bを二つ以上設ける場合も、前後方向に離間して設けることが好ましい。
【0039】
また、図示形態においては、延在シート3を後身頃両端縁から幅方向外側へ延在するように設けた例を示したが、延在シート3を前身頃両端縁から幅方向外側へ延在するように設けてもよい。
【0040】
(外装シート)
図3〜図6に示すように、外装シート20は、上層不織布20Aと下層不織布20Bからなる2層構造の不織布シートとされている。上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間及び下層不織布20Bをウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cの不織布の間には各種弾性部材がそれぞれ配置され伸縮性が付与されている。平面形状は、中間両側部に夫々脚部開口を形成するために形成された凹状の脚回りライン29により、全体として擬似砂時計形状をなしている。
【0041】
図1、図2に示すように、外装シート20の弾性部は、ウエスト開口部近傍23に配置されたウエスト部弾性部材24,24…と、前身頃F及び後身頃Bに、縦方向に間隔をおいて幅方向に沿って配置された複数の腰回り弾性部材25,25…とを有するとともに、前身頃F及び後身頃Bのそれぞれにおいて、腰回り弾性部材群25,25…とは別に、前身頃Fと後身頃Bとを連結する連結側部21、22から幅方向中央に向かうにつれて反対の身頃側へ向かうように湾曲しつつ、内装体10の両側部と重なる部位まで(又は両側部の近傍まで等、必ずしも重ならなくても良い)延在するとともに、互いに交差することなく間隔をおいて配置された複数本の湾曲弾性部材26…、28…を備えている。また、延在シートも腰回り弾性部材25,25…を有する。なお、本外装シート20では、脚回りライン29に沿って実質的に連続する、所謂脚回り弾性部材は設けられていない。
【0042】
ウエスト部弾性部材24,24…は、前身頃Fと後身頃Bとが連結された連結側部21、22の範囲の内、ウエスト開口縁近傍に上下方向に間隔をおいて配設された複数条の糸ゴム状弾性部材であり、身体のウエスト部回りを締め付けるように伸縮力を与えることにより使い捨ておむつを身体に装着するためのものである。このウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えばテープ状の伸縮部材を用いてもよい。また、図示形態のウエスト部弾性部材24,24…は、ウエスト部における下層不織布20Bの折り返し部分20Cの不織布間に挟持されているが、上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間に挟持しても良い。
【0043】
腰回り弾性部材25,25…は、連結側部21、22の内、概ね上部から下部までの範囲に亘り、上下方向に間隔をおいて幅方向に沿って配設された糸ゴム状の弾性部材であり、前身頃F及び後身頃Bの腰回り部分に夫々幅方向の伸縮力を与え、使い捨ておむつを身体に密着させるためのものである。なお、ウエスト部弾性部材24、24…と腰回り弾性部材25、25…との境界は必ずしも明確でなくてよい。例えば、前身頃F及び後身頃Bに上下方向に間隔をおいて幅方向に配置された弾性部材の内、数は特定できなくても、上部側の何本かがウエスト部弾性部材として機能し、残りの弾性部材が腰回り弾性部材として機能していればよい。
【0044】
後身頃Bにおいて、腰回り弾性部材25,25…とは別に配設された背側湾曲弾性部材26、26…は、その長手方向中間に縦方向との鋭角側交差角θ(以下、縦方向交差角ともいう)が最小となる最小点を有するとともに、この最小点から幅方向両側に向かうにつれて縦方向交差角θが0度〜90度の範囲内で増加する所定の曲線であって、且つ使い捨ておむつを展開した状態で内装体の両側部と重なる領域内に縦方向交差角θが60ー以下となる交差部分71を有する所定の曲線に沿って配置されているものである。背側湾曲弾性部材26は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では5本の糸ゴム状弾性部材であり、これら背側湾曲弾性部材26、26…は互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この背側湾曲弾性部材群26、26…は、2,3本程度の弾性伸縮部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように3〜20mm、好ましくは6〜16mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。
【0045】
外装シート20の前身頃Fにおいて、腰回り弾性部材群25,25…とは別に配設された腹側湾曲弾性部材28,28…も、その長手方向中間に縦方向との縦方向交差角θが最小となる最小点を有するとともに、この最小点から幅方向両側に向かうにつれて縦方向交差角θが0度〜90度の範囲内で増加する所定の曲線であって、且つ使い捨ておむつを展開した状態で内装体の両側部と重なる領域内に縦方向交差角θが60ー以下となる交差部分70を有する所定の曲線に沿って配置されている。腹側湾曲弾性部材28は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では5本の糸状弾性部材であり、これら腹側湾曲弾性部材28,28…は、互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この腹側湾曲弾性部材群28、28…も、2,3本程度の弾性伸縮部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように3〜20mm、好ましくは6〜16mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。
【0046】
なお、図示例では、前身頃F及び後身頃Bに配置された腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…、28…は、内装体10を横切る部分には設けられておらず、当該部分が非伸縮領域とされている。このように、弾性部材を有しない又は設けられていない形態には、弾性部材が存在しない形態の他、弾性部材は存在するが収縮力が作用しない程度に細かく切断させている形態も含まれる。例えば、後者の例としては、腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…、28…を、一方側の連結側部21,22から内装体10を横切って他方(反対)側の連結側部22まで連続的に設けた後に、内装体10を横切る部分の一部又は全部を切断し、不連続とする一般的な形態が含まれる。弾性部材を内装体10と重なる部分で不連続とすることにより、内装体(特に吸収体13)の幅方向の縮こまりをより防止することができる。もちろん、腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…、28…を、内装体10を横切って連続的に配置することもできる。
【0047】
上述した外装シート20は、例えば特開平4−28363号公報や、特開平11−332913号公報記載の技術により製造することができる。また、湾曲弾性部材26…、28…を内装体10上で切断し不連続化するには、特開2002−35029号公報、特開2002−178428号公報及び特開2002−273808号公報に記載される切断方法が好適に採用される。
【0048】
図示例とは異なり、湾曲弾性部材26…、28…を、前身頃F及び後身頃Bのいずれか一方にのみ設けるだけでも良い。また、湾曲弾性部材26…、28…を、前身頃F及び後身頃Bの両方に設ける場合、前身頃F側に配置された湾曲弾性部材28…の群の一部又は全部と、後身頃B側に配置された湾曲弾性部材26…の群の一部又は全部とが交差する形態(図示せず)も採用できるが、図示例のように、前身頃F側に配置された湾曲弾性部材28…の群と、後身頃B側に配置された湾曲弾性部材26…の群とは互いに交差することなく前後方向中間部、特に前身頃Fに若干偏った位置で縦方向に離間している形態が好適であり、その縦方向離間範囲90における最小縦方向離間距離は10〜15mm程度とし、この部分に後述する広幅の固定領域を設けるのが好ましい。
【0049】
さらに、湾曲弾性部材26…、28…は図示例のようにその全体が湾曲していなくても良く、部分的に直線状の部分を有していても良い。
【0050】
(連結手段)
前記のとおり、連結手段として、前身頃Fおよび後身頃Bのどちらか一方の幅方向外側部に挿通部6と第二メステープ7Bが、前身頃Fおよび後身頃Bの他方に延在シート3が設けられ、その延在シート3の幅方向外側部に第一止着部4Aが、延在シート3の幅方向内側部に第二止着部4Bが、前身頃Fおよび後身頃Bの他方に第一メステープが、それぞれ設けられる。
【0051】
また、外装シート20の下層不織布20Bと第一止着部4A、第二止着部4Bとの剥がれを防止するため、第一止着部4A、第二止着部4Bを外装シート20に取り付けた部分には、腰回り弾性部材25、25…を配設しないのが好適である。
【0052】
同様に、外装シート20の下層不織布20Bと第一メステープ7A、第二メステープ7Bとの剥がれをそれぞれ防止するため、第一メステープ7Aおよび第二メステープ7Bを取り付けた部分には、腰回り弾性部材25、25…、背側湾曲弾性部材26、26…、腹部湾曲弾性部材28、28…を配設しないのが好適である。
【0053】
この第一止着部4A、第二止着部4B、第一メステープ7A、第二メステープ7Bは、公知の接着剤、サーマルまたはウルトラソニックボンドにより外装シート20の下層不織布20Bにそれぞれ止着されている。
【0054】
なお、前記各部材を止着しない箇所については、腰回り弾性部材25や背側湾曲弾性部材26や腹部湾曲弾性部材28を設けるほうがより好適である。当該弾性作用により、使い捨ておむつ1のフィット性が向上するためである。
【0055】
なお、延在シート3は、好適には幅方向に伸縮する伸縮性不織布が用いられる。当該伸縮性不織布は、不織布の間に腰回り弾性部材25等の弾性部材を配置したものや、伸縮フィルムを配置したものがある。当該弾性作用により、サイズ調整が容易になるとともに、使い捨て紙おむつ1のフィット性が向上するという効果を得ることができる。また、前記のように延在シート3を、上層不織布20Aと下層不織布20Bからなるように構成してもよい。
【0056】
使い捨て紙おむつ1のサイズにより異なるが、通常の大人用の使い捨ておむつ1の場合、所要の係合強度を有するため、第一止着部4Aは、幅10〜30mm、縦40〜70mmの矩形状であり、第二止着部4Bは、幅10〜20mm、縦50〜100mmの矩形状であり、第一メステープ7Aは、幅20〜60mm、縦80〜160mmの矩形状であり、第二メステープ7Bは、幅10〜20mm、縦50〜100mmの矩形状である。
特に、一時的固定された第二止着部4Bを剥がしやすくするため、第一止着部4Aよりも小さい面積にするのが好ましい。また、最終固定をする際に第一止着部4Aが剥がれにくくするため、第二止着部4Bよりも大きい面積にするのが好ましい。
【0057】
ここで、係合強度とは、使い捨ておむつ1の片側の第一止着部4Aと第一メステープ7Aまたは第二止着部4Bと第二メステープ7Bとを係合した状態で、係合されていない使い捨ておむつ1の片側を胴回り方向に引っ張り、係合面に作用するせん断力に対する強さをいうものとする。
【0058】
使い捨ておむつ1のサイズにより異なるが、通常の大人用の使い捨ておむつ1の場合、第一止着部4Aと第一メステープ7Aとのせん断応力は5N/cm2以上であり、係合強度は60N以上であるのが好適である。
係合強度が60N以下の場合には、着用者の歩行、着座等にともなう太股からの力により第一止着部4Aと第一メステープ7Aとの係合が外れる恐れがあるからである。
【0059】
同様に、第二止着部4Bと第二メステープ7Bとのせん断応力は 5N/cm2以上であり、係合強度は 30N以上であるのが好適である。
係合強度が30以下の場合には、着用者が使い捨て紙おむつ1を着用する際に、第二止着部4Bと第二メステープ7Bとの係合が外れる恐れがあるからである。
【0060】
使い捨ておむつ1では、第一止着部7A、第二止着部7Bには同一のループ部材を用い、第一メステープ7A、第二メステープ7Bには同一のフック部材を用いているが、それぞれ異なるループ部材、フック部材を用いることもできる。
(装着方法)
【0061】
以下に、着用者が使い捨て紙おむつ1を装着する過程を説明する。
図7は、前身頃Fと後身頃Bを止着する前の図である。この状態から延在シート3を挿通部6に挿通し、延在シート3の挿通した部分を内側から外側へ折り返す。そして、延在シート3の幅方向内側に設けた第二止着部4Bを、挿通部6の幅方向外側に設けた第二メステープ7Bと止着させ、一時的に固定する。図8は、一時固定後の図である。この一時固定は、使い捨て紙おむつ1の両脇部で行う。
【0062】
一時固定をした使い捨て紙おむつ1は、前身頃Fと後ろ身頃Bの側縁が延在シート3で繋がった形状をしているため、通常のパンツ型使い捨て紙おむつよりも胴回り部が広い。この胴回り部に余裕があり、緩い状態で、着用者は本発明の使い捨て紙おむつ1に両足を挿入し、胴回り部まで引き上げる。このとき、胴回り部には余裕があるため、着用者が両足を挿入しやすいという利点がある。
【0063】
なお、この一時固定の際に、第二止着部4Bを挿通部6の幅方向外側に設けた第二メステープ7Bと止着させるとともに、第一止着部4Aを前身頃Fの裏面もしくは延在シート3の裏面に止着させるようにしてもよい。第一止着部4Aも止着させることで、第二止着部4Bのみ止着する場合よりも、止着力を上げることができ、着用者が使い捨て紙おむつ1に両足を挿入し、胴回り部まで引き上げる際に、止着が外れてしまうことを防ぐことができる。
図8の例では、一時固定時に、第一止着部4Aを延在シート3の裏面に止着することができる。一時固定時に、第一止着部4Aを前身頃Fの裏面に止着するためには、例えば、図8の延在シート3の幅方向の長さをより長くし、第一止着部4Aを更に幅方向外側に設け、第一止着部4Aと第二止着部4Bの幅方向の離間距離を更に広げることにより、実現することができる。
【0064】
このように、第一止着部4Aと第二止着部4Bを設け、一時固定時に、それらを止着させることで、止着力を上げることができる。このとき、止着力を上げるために、第一止着部4Aと第二止着部4Bは近接しておらず、所定の距離、幅方向に離れていたほうが好ましい。この所定の距離とは、30mm〜70mmである。
なお、この一時固定においては、延在シート3を挿通部6に挿通して、それを折り返し、前記第二止着部4Bなどを止着した状態になっており、使い捨て紙おむつ1が引っ張られた場合でもその力が分散されるため、この折り返しをしない場合よりも、止着が外れにくくなっている。
【0065】
また、この一時固定時において、第一止着部4Aを止着させる部分に、第一止着部4Aと止着するメステープを別途設けるようにしても良い。このようなメステープを設けることで、一時固定時の止着力をより向上させることができる。
【0066】
次に、胴回り部まで引き上げた使い捨て紙おむつ1を最終固定する。
具体的には、一時固定している第二止着部4Bの止着を解く。そして、各延在シート3の先端側を後身頃Bの裏面へ伸ばし、使い捨て紙おむつを着用者の体形に合わせ、所望の位置で第一止着部4Aを後身頃Bの裏面に設けた第一メステープ7Aに止着して、最終固定を行う。図9は最終固定後の図である。この最終固定は使い捨て紙おむつ1の両脇部で行う。
このように最終固定を行うことで、パンツ型使い捨て紙おむつを容易に着用者の体形にフィットさせることができる。
【0067】
なお、この最終固定の際にも、第一止着部4Aを第一メステープ7Aに止着させるとともに、第二止着部4Bを前身頃Fの裏面に止着させるようにしてもよい。第一止着部4Aのみ止着する場合よりも、第二止着部4Bも止着させることで、止着力を上げることができる。このとき、止着力を上げるために、第一止着部4Aと第二止着部4Bは近接しておらず、所定の距離、幅方向に離れていたほうが好ましい。この所定の距離とは、30mm〜70mmである。
なお、図9の第一メステープ7Aの面積を変え、第一メステープ7Aを前身頃Fの幅方向外側により広く設け、第一止着部4Aを第一メステープ7Aに止着させるとともに、第二止着部4Bも第一メステープ7Aに止着させるようにしても良い。このようにすることで、より止着力を上げることができる。
【0068】
以上の説明では、一時固定および最終固定の基本的な方法を説明した。
ここで、延在シート3を挿通部6に挿通する際、延在シート3に設けられた第一止着部4Aおよび第二止着部4Bが挿通部6近傍のシートにひっかかることがあり、延在シート3を挿通部6に挿通するのに労力がかかる場合がある。
【0069】
このような問題は下記の過程を採ることにより、解決することができる。
まず、図7の状態から、延在シート3の幅方向外側部を内側から外側へ折り返し、第一止着部4Aを離間領域5に止着する。それにより、第一止着部4Aが延在シート3で覆われる。このとき、延在シート3の幅方向外側部にできた部分を第一次折り重ね部90という。図10は、第一次折り重ね部90を形成した後の図である。この第一次折り重ね部90の形成は、両延長シート3で行う。
【0070】
その後に、第一次折り重ね部90を折り返し、この第一次折り重ね部90を第二止着部4Bに止着する。それにより、第二止着部4Bが第一次折り重ね部90で覆われる。このとき、延在シート3の幅方向外側部にできた部分を第二次折り重ね部91という。図11は、第二次折り重ね部91を形成した後の図である。この第二次折り重ね部91の形成も、両延長シート3で行う。
【0071】
次に、第二次折り重ね部91を形成した延在シート3を、対応する前記挿通部6に内面側から外面側に挿通する。このとき、第二次折り重ね部91を形成した延在シートは、第一止着部4Aおよび第二止着部4Bが表面に出ていないため、延在シート3に設けられた第一止着部4Aおよび第二止着部4Bが挿通部6近傍のシートにひっかかることがなくなり、延在シート3を挿通部6に挿通するのに労力がかからなくなる。
【0072】
その後、前記第二次折り重ね部91を展開して第二止着部4Bを露出させ、この第二止着部4Bを挿通部6の幅方向外側に設けた第二メステープ7Bと止着させ、一時的に固定する。この一時固定は、使い捨て紙おむつ1の両脇部で行う。
【0073】
一時固定をした使い捨て紙おむつ1は、前身頃Fと後ろ身頃Bの側縁が延在シート3で繋がった形状をしているため、通常のパンツ型使い捨て紙おむつよりも胴回り部が広い。この胴回り部に余裕があり、緩い状態で、着用者は本発明の使い捨て紙おむつ1に両足を挿入し、胴回り部まで引き上げる。このとき、胴回り部には余裕があるため、着用者が両足を挿入しやすいという利点があるという点は前述と同様である。
【0074】
次に、胴回り部まで引き上げた使い捨て紙おむつ1を最終固定する。
具体的には、一時固定している第二止着部4Bの止着を解くとともに、第一次折り返し部90を展開して第一止着部4Aを露出させる。そして、各延在シート3の先端側を後身頃Bの裏面へ伸ばし、使い捨て紙おむつ1を着用者の体形に合わせ、所望の位置で第一止着部4Aを後身頃Bの裏面に設けた第一メステープ7Aに止着して、最終固定を行う。この最終固定は使い捨て紙おむつ1の両脇部で行う。
このように最終固定を行うことで、パンツ型使い捨て紙おむつを容易に着用者の体形にフィットさせることができるという利点も前述と同様である。
【0075】
本発明の使い捨て紙おむつ1は、一時固定状態から、第二止着部4Bの止着を解き、延在シート3を後身頃Bの裏面へ伸ばすだけで容易にフィット性を調整できる。
一方、本発明の使い捨て紙おむつ1は、延在シート3を挿通部6に通し、折り返してから最終固定しているため、従来のテープ式紙おむつのように単にフックテープで脇部を止着するよりも止着力が強く、着用者の歩行、着座等にともなう太股からの力が、使い捨ておむつ1の内側から外側に向かって作用した場合にあっても、脇部の止着を維持することができる。
【0076】
(外装シート20の柔軟化に関する構成)
特徴的には、腰回り弾性部材25…を有する縦方向範囲33と湾曲弾性部材26…、28…を有する縦方向範囲31とが一部(又は全部でも良い)重複しており、且つこの重複範囲30内に腰回り弾性部材25…が複数本(例えば5〜10本程度)含まれるとともに、そのうちの少なくとも一部の腰回り弾性部材25…の相互間隔d1が他の腰回り弾性部材25…の相互間隔d2よりも広くなっている。また、重複範囲30外においても、湾曲弾性部材26…、28…を有する縦方向範囲31とウエスト部弾性部材24を有する縦方向範囲との間の中間範囲32に、腰回り弾性部材25…が複数本(例えば10〜16本程度)設けられている。
【0077】
このように、腰回り弾性部材25…を有する縦方向範囲33と湾曲弾性部材26…、28…を有する縦方向範囲31との重複範囲30をある程度許容しつつ、その範囲内に腰回り弾性部材25…の相互間隔の広い部分を設けることによって、フィット性を損ねずに、弾性部材の密集を抑制することができる。その結果、上記重複範囲30において外装シート20にプリーツが密集せず、厚みの不必要な増加、弾性部材自体及びその接着による硬質化が抑制され、もって柔軟で快適な装着感が得られるようになる。
【0078】
通常の場合、上述の腰回り弾性部材25…の相互間隔d1は15〜50mm程度、他の腰回り弾性部材25…の相互間隔d2は10〜20mm程度とするのが好ましい。また、重複範囲30の縦方向長さは展開状態での使い捨ておむつ1の全長の15〜30%程度であるのが好ましく、重複範囲30に占める腰回り弾性部材25…の相互間隔d1の広い間隔部分35の割合は縦方向長さの比(すなわち、間隔d1の総和/重複範囲30の縦方向長さ)で60〜100%程度であるのが好ましい。上記重複範囲30が狭すぎると、腰回り弾性部材25…の間隔を広げる意義が薄くなり、広過ぎると腰回り弾性部材25…の間隔の広い部分35が増加することによりフィット性が低下する。また、上記重複範囲30内に占める腰回り弾性部材25…の相互間隔d1の広い部分35の割合が少な過ぎると柔軟性の向上は見込めるものの顕著な向上は困難となる。
【0079】
具体的に、図示例の場合、重複範囲30に占める腰回り弾性部材25…の相互間隔d1の広い部分35の割合は、前身頃Fでは40%程度、後身頃Bでは100%となっている。このように、柔軟性向上に関する構成は、前身頃Fと後身頃Bとで異ならしめることができ、外装シート20における前身頃F及び後身頃Bのいずれか一方にのみ適用することも可能である(以下同じ)。
【0080】
(内装体の構造例)
内装体10は、不織布などからなるトップシート11と、ポリエチレン等からなるバックシート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、表面シート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。
【0081】
吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆うトップシート11としては、透液性のものがよく、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。トップシート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。トップシート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在している。
【0082】
吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆うバックシート12は、不透液性のものがよく、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0083】
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができ、図示例では平面形状を略方形状として成形されたものが使用され、その幅寸法は股間部への当たりによって着用者にゴワ付き感を与えない寸法幅となっている。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。吸収体13の形状は、図示形態のように長方形状とする他、背側及び腹側に対して股間部の幅が狭い砂時計形状(括れ形状)とすることもできる。
【0084】
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザーBSが形成されているのが好ましい。この立体ギャザーBSはギャザー不織布15により形成される、ギャザー不織布としては、図4に示すように、折返しによって二重シートとした不織布が好適に用いられ、トップシート11によって巻き込まれた吸収体13の側縁部をさらにその上側から巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在して接着されている。より具体的には、ギャザー不織布15は、使い捨ておむつ1の長手方向中間部では、立体ギャザーBS形成部分を残し、幅方向中間部から吸収体13の裏面側に亘る範囲がホットメルト接着剤等によって接着され、また長手方向前後端部では、幅方向中間部から一方側端縁までの区間が吸収体13の裏面側に亘る範囲で接着されるとともに、立体ギャザーBSを形成する部分を吸収体13の上面部にて折り畳むようにしながらホットメルト接着剤等により接着している。
【0085】
二重シート不織布によって形成されたギャザー不織布15の内部には、起立先端側部分に複数本の糸状弾性伸縮部材16、16…が配設されている。糸状弾性伸縮部材16、16…は、製品状態において図4に二点鎖線で示すように、弾性伸縮力により吸収体側縁部より突出する不織布部分を起立させて立体ギャザーBSを形成するためのものである。
【0086】
バックシート12は、二重シート状のギャザー不織布15の内部まで進入し、図4に示すように、立体ギャザーBSの下端側において防漏壁を構成するようになっている。このバックシート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
【0087】
糸状弾性伸縮部材16としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、伸長率は150〜350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、伸張率は伸張時の長さ/自然長×100で算出した値であり、糸状弾性伸縮部材に代えて、ある程度の幅を有するテープ状弾性伸縮部材を用いるようにしてもよい。
【0088】
前述のギャザー不織布15を構成する素材繊維もトップシート11と同様に、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザー不織布15については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
【0089】
(前後押えシート)
図1、図3に示すように、外装シート20の肌当接面上に取り付けられた内装体10の前後端部をカバーし、且つ内装体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押えシート50,60が設けられている。図示形態について更に詳細に説明すると、前押えシート50は、前身頃F内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押えシート60は、後身頃B内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。前後押えシート50,60の股下側縁部に幅方向の全体にわたり(中央部のみでも良い)若干の非接着部分を設けると、接着剤が食み出ないだけでなく、この部分を表面シートから若干浮かせて防漏壁として機能させることができる。
【0090】
図示形態のように、前後押えシート50,60を別体として取り付けると、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、外装シート20を使い捨ておむつ1内面に折り返してなる折り返し部分20Cを、吸収パッド200と重なる部分まで延在させて、前述の押えシート50,60と同等の部分を形成することもできる。
【0091】
(外装シートを構成する不織布ついて)
外装シート20を構成する不織布のうち、少なくとも最も外側に位置する不織布20Bとして、捻れ度が3.8gf・cm/cm以下のものが好適である。外装シート20を構成する不織布全て、つまり最も外側に位置しない他の不織布20A、50,60についても最外側不織布20Bと同様の不織布を採用するのが望ましい(以下同じ。)。このように、捻れ度が十分に低い不織布を用いると、使い捨ておむつ全体としてのしなやかさが顕著に増加し、その結果、ゴワゴワした装着感や、肌との擦れによりかゆみやかぶれ等の肌トラブルが軽減し、脱ぎ着し易くなる等の利点がもたらされる。捻れ度が十分に低くないとしなやかさの改善効果は発現しない。このような捻れ度は、例えば原料繊維の種類の選択、繊度を細くする、繊維長を短くする、目付けや厚みを減らす等により達成することができる。
【0092】
また、最外側不織布20Bにおける平均表面摩擦係数と平均偏差との比MIU/MMDが20以上であるのが好ましく、特に25以上であるのがより好ましい。MIU/MMD比を十分に大きくすることにより、外装シート表面の触感が良好となることにより、しなやかさが補われ、例えば肌との擦れによりかゆみやかぶれ等の肌トラブルがより一層軽減されるようになる。このようなMIU/MMD比は、例えば、繊度を細くする、表面加工を施す等により達成することができる。
【0093】
また、外装シート20としての基本機能(隠蔽機能、強度等)を損ねないよう、最外側不織布20Bは、目付けが10〜30g/m2であり、且つ圧力0.5g/cm2のときの厚みT0が0.1〜1.0mmであるのが好ましい。より好ましい目付けは13〜22g/m2、厚みT0は0.1〜0.5mmである。
【0094】
さらにしなやかさを補うため、最外側不織布20BのJIS−L−1096(45度カンチレバー法)による剛軟度は45mm以下であるのが好ましく、35mm以下であるのがより好ましい。これにより、特にゴワゴワ感の軽減及び脱ぎ着のし易さがより一層好ましいものとなる。このような剛軟度は、例えば、原料繊維の種類の選択や割合の変更、エンボス圧を下げる、目付や厚みを減らす等により達成することができる。
【0095】
しなやかさを向上させると強度が低下し易いため、最外側不織布20Bは、JIS−P−8113に規定される引張強度が幅方向において40〜120kgf/m、特に60〜100kgf/m、前後方向において10〜80kgf/m、特に25〜60kgf/mであり、JIS−P−8116に規定される引裂強度が前後方向において4〜30kgf/m、特に8〜25kgf/mであるのが好ましい。このような引張強度及び引裂強度は、例えば、繊維同士の絡まり度合いを増す等により達成することができる。
【0096】
最外側不織布20Bの圧縮特性もしなやかさと密接に関連するものである。よって、最外側不織布20Bの圧縮特性は、圧縮硬さLCが0.3〜1.0、特に0.5〜0.9であり、且つ圧縮仕事量WCが0.01〜0.10、特に0.01〜0.07であり、圧縮レジリエンスRCが20〜90%、特に25〜70%であるのが好ましい。このような圧縮硬さLC、圧縮仕事量WC、圧縮レジリエンスRCは、例えば、原料繊維の種類の選択や割合の変更、目付や厚みを減らす等により達成することができる。
【0097】
最外側不織布20Bは、原料繊維の物質、構造、製法、繊度、繊維長(短繊維、フィラメント)等については、特に限定されない。例えば、原料繊維としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等から適宜選択でき、また繊維構造としては並列型、芯鞘型等の2層型複合繊維、多層型複合繊維、非複合繊維、混合繊維、分割繊維等から適宜選択することができる。さらに、製法としては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等、公知の方法から適宜選択して用いることができる。繊維の繊度や繊維長についても公知の仕様を採用することができるが、繊度は0.7〜3dtex、特に1〜2.5dtexが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、パンツ式の紙おむつにおいて利用できるものである。このパンツ式の紙おむつは、製品として販売される状態で、脇部が連結手段によって連結されてパンツ形状を形成しているもの、もしくは、着用者が足を挿入する前に、脇部が連結手段によって連結されてパンツ形状を形成するものを含む。
【符号の説明】
【0099】
1…使い捨て紙おむつ、2…本体シート、2L…本体シートの幅、3…延在シート、3L…延在シートの幅、3M…延在シート幅方向外側部の幅、3N…延在シート幅方向内側部の幅、4A…第一止着部、4B…第二止着部、5…離間領域、5N…離間領域の幅、6…挿通部、7A…第一メステープ、7B…第二メステープ、10…内装体、20…外装シート、20A…上層不織布、20B…下層不織布、21・22…連結側部、24…ウエスト部弾性部材、25…腰回り弾性部材、28…腹部湾曲弾性部材、29…脚回りライン、50…前押えシート、60…後押えシート、90…第一次折り重ね部、91…第二次折り重ね部、BS…立体ギャザー、G…ホットメルト接着剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃及び後身頃を構成する本体シートのいずれか一方の身頃の側縁から幅方向外側へ延在する延在シートが設けられ、
この延在シートの幅方向外側部に第一の止着部が、幅方向内側部に第二の止着部が設けられ、
前記身頃に対向する他方の身頃の本体シートの両側部に、前記各延在シートを挿通する挿通部がそれぞれ設けられ、
前記各延在シートを対応する前記挿通部に内面側から外面側に挿通し、前記第二止着部を他方の身頃の本体シート外面に対し止着して一時的に固定し、着用者が緩い状態で装着し、
装着後に、前記第二止着部の止着を解いて各延在シート先端側を、前記一方の本体シートの裏面に伸ばした状態で、第一止着部を前記一方の本体シートの裏面に対し止着して最終固定を図るようにした、
ことを特徴とする使い捨て紙おむつ。
【請求項2】
前身頃及び後身頃を構成する本体シートのいずれか一方の身頃の側縁から幅方向外側へ延在する延在シートが設けられ、
この延在シートの幅方向外側部に第一の止着部が、幅方向内側部に第二の止着部が、これらの第一止着部と第二止着部間に、止着部が存在しない離間領域が設けられ、
前記身頃に対向する他方の身頃の本体シートの両側部には、前記各延在シートを挿通する挿通部がそれぞれ設けられ、
前記各延在シートの先端部を内側から外側へ折り返し、前記第一止着部を前記離間領域に止着することで、第一止着部を延在シートで覆うとともに、各延在シートの幅方向外側部に第一次折り重ね部を形成し、
前記各第一次折り重ね部を折り返し、この第一次折り重ね部を前記第二止着部に止着することで、第二止着部を第一次折り重ね部で覆うとともに、各延在シートの幅方向外側部に第二次折り重ね部を形成し、
前記第二次折り重ね部を形成した延在シートを、対応する前記挿通部に内面側から外面側に挿通した後、
前記第二次折り重ね部を展開して第二止着部を露出させ、前記第二止着部を他方の身頃の本体シート外面に対し止着して一時的に固定し、着用者が緩い状態で装着し、
装着後に、前記第二止着部の止着を解くとともに、前記第一次折り返し部を展開して第一止着部を露出させ、各延在シート先端側を、前記一方の本体シートの裏面に伸ばした状態で、第一止着部を前記一方の本体シートの裏面に対し止着して最終固定を図るようにした、
ことを特徴とする使い捨て紙おむつ。
【請求項3】
前記第一止着部および第二止着部は、表面にフック状突起を有するフックテープからなり、
最終固定時において、前記第一止着部のフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有する第一メステープが、前記一方の本体シートの外面に設けられ、
一時固定時において、前記第二止着部のフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有する第二メステープが、前記他方の本体シートに設けた挿通部よりも幅方向外側に位置する本体シートの外面に設けられる請求項1または2記載の使い捨て紙おむつ。
【請求項4】
前記第一止着部の面積が前記第二止着部の面積よりも大きい請求項1または2記載の使い捨て紙おむつ。
【請求項5】
前記第一止着部および第二止着部の少なくとも一方が、延在シートの前後方向に離間して二つ以上設けられている請求項1または2記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記延在シートは、その幅方向外側部の前後方向両端部が前後方向に突出しており、この幅方向外側部の前後方向の長さが前記挿通部の前後方向の長さよりも長い請求項1または2記載の使い捨て紙おむつ。
【請求項1】
前身頃及び後身頃を構成する本体シートのいずれか一方の身頃の側縁から幅方向外側へ延在する延在シートが設けられ、
この延在シートの幅方向外側部に第一の止着部が、幅方向内側部に第二の止着部が設けられ、
前記身頃に対向する他方の身頃の本体シートの両側部に、前記各延在シートを挿通する挿通部がそれぞれ設けられ、
前記各延在シートを対応する前記挿通部に内面側から外面側に挿通し、前記第二止着部を他方の身頃の本体シート外面に対し止着して一時的に固定し、着用者が緩い状態で装着し、
装着後に、前記第二止着部の止着を解いて各延在シート先端側を、前記一方の本体シートの裏面に伸ばした状態で、第一止着部を前記一方の本体シートの裏面に対し止着して最終固定を図るようにした、
ことを特徴とする使い捨て紙おむつ。
【請求項2】
前身頃及び後身頃を構成する本体シートのいずれか一方の身頃の側縁から幅方向外側へ延在する延在シートが設けられ、
この延在シートの幅方向外側部に第一の止着部が、幅方向内側部に第二の止着部が、これらの第一止着部と第二止着部間に、止着部が存在しない離間領域が設けられ、
前記身頃に対向する他方の身頃の本体シートの両側部には、前記各延在シートを挿通する挿通部がそれぞれ設けられ、
前記各延在シートの先端部を内側から外側へ折り返し、前記第一止着部を前記離間領域に止着することで、第一止着部を延在シートで覆うとともに、各延在シートの幅方向外側部に第一次折り重ね部を形成し、
前記各第一次折り重ね部を折り返し、この第一次折り重ね部を前記第二止着部に止着することで、第二止着部を第一次折り重ね部で覆うとともに、各延在シートの幅方向外側部に第二次折り重ね部を形成し、
前記第二次折り重ね部を形成した延在シートを、対応する前記挿通部に内面側から外面側に挿通した後、
前記第二次折り重ね部を展開して第二止着部を露出させ、前記第二止着部を他方の身頃の本体シート外面に対し止着して一時的に固定し、着用者が緩い状態で装着し、
装着後に、前記第二止着部の止着を解くとともに、前記第一次折り返し部を展開して第一止着部を露出させ、各延在シート先端側を、前記一方の本体シートの裏面に伸ばした状態で、第一止着部を前記一方の本体シートの裏面に対し止着して最終固定を図るようにした、
ことを特徴とする使い捨て紙おむつ。
【請求項3】
前記第一止着部および第二止着部は、表面にフック状突起を有するフックテープからなり、
最終固定時において、前記第一止着部のフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有する第一メステープが、前記一方の本体シートの外面に設けられ、
一時固定時において、前記第二止着部のフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有する第二メステープが、前記他方の本体シートに設けた挿通部よりも幅方向外側に位置する本体シートの外面に設けられる請求項1または2記載の使い捨て紙おむつ。
【請求項4】
前記第一止着部の面積が前記第二止着部の面積よりも大きい請求項1または2記載の使い捨て紙おむつ。
【請求項5】
前記第一止着部および第二止着部の少なくとも一方が、延在シートの前後方向に離間して二つ以上設けられている請求項1または2記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記延在シートは、その幅方向外側部の前後方向両端部が前後方向に突出しており、この幅方向外側部の前後方向の長さが前記挿通部の前後方向の長さよりも長い請求項1または2記載の使い捨て紙おむつ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−78370(P2013−78370A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218516(P2011−218516)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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