使用済燃料貯蔵ラックとその製造方法
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子炉より取り出された使用済燃料集合体を燃料貯蔵プール内に収容貯蔵するための使用済燃料貯蔵ラックに係り、特にその稠密度と加工性を向上した使用済燃料貯蔵ラックとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に原子力発電プラントにおいては、原子炉を一定期間運転後に炉心から取り出された使用済燃料を再処理を行なうまでの間、使用済燃料貯蔵プール内に設置された使用済燃料貯蔵ラックに収容貯蔵し、これを冷却して燃料の崩壊熱除去を行う。近年は、前記使用済燃料貯蔵プール内のスペースを有効活用して貯蔵容量を増加させるような要望があり、この目的から例えば貯蔵燃料間に中性子吸収能力の大きな材料を介在させて燃料相互の未臨界性を保持しながら貯蔵燃料間の間隔を狭くすると共に、この材料を地震時等においても貯蔵燃料を支持するための強度部材としても用いて、稠密度を増大することが可能な使用済燃料貯蔵ラックが提案されている。この様な使用済燃料貯蔵ラックの典型的な例として、中性子吸収能力に優れたボロンを含有し、かつ構造強度も良好なボロン添加ステンレス鋼を使用し、貯蔵燃料間に1枚のボロン添加ステンレス鋼が介在するような、いわゆる格子板状の燃料貯蔵セル構造のものがあり、このような条件を満足し、また強度が良好なことから、予め形成された角筒体を千鳥格子状に組合せるものがある。即ち、図8の平面図と、図9の図8のE−E線に沿った矢視一部切断側面図及び図10の部分拡大平面図で示すように、この種の使用済燃料貯蔵ラック1は多数の角筒体2がベース3上に配設されていて、原子炉建屋等の燃料貯蔵プール4の底面にそのベース3がボルト5及びナット6により固定されている。
【0003】前記角筒体2は、燃料集合体7を1体ずつ収容可能な大きさを持ち、この角筒体2を千鳥格子状に組合わせて構成することにより、角筒体2内のA貯蔵セル8内に燃料集合体7を貯蔵すると共に、4つの角筒体2の外側面、あるいは3つの角筒体2の外側面と1枚の閉止板9にて形成された方形状のB貯蔵セル10内に燃料集合体7を貯蔵することができ、これら燃料集合体7はベース3上の着座穴3aに嵌合して支持される。前記角筒体2は、一般に板材を曲げ加工してその継ぎ目を溶接したボロン添加ステンレス鋼製の角筒よりなり、その角部に曲率を持った曲げ部2aを持っている。なお、角筒体2を千鳥格子状に組合わせるに当たっては、図10に示すようにその角部で隣接する角筒体2同士の対角線上の曲げ部2a間にフラットバー11を挟み、これを介して溶接12により固着結合して、格子状で連続した多数の貯蔵セル8,10を形成した使用済燃料貯蔵ラック1を構成している。なお、この千鳥格子状に角筒体2を組合せた使用済燃料貯蔵ラック1においては、前記曲げ部2aを適切な大きさとして対角寸法Lを適切な長さとし、なおかつ、フラットバー11の厚みを調整することにより角筒体2の板厚部が互いにオーバーラップする形にすることができ、究極的にはA貯蔵セル8の内径寸法とB貯蔵セル10の内径寸法が同じくなり、一枚の板材で格子状の貯蔵セルを組立てたと同様の稠密度の大きい使用済燃料貯蔵ラック1を形成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の使用済燃料貯蔵ラックの組立てにあっては、角筒体2の角部でフラットバー11を介して角筒体2同士を溶接12により固着することになるが、角筒体2は前述のように板材を曲げ加工して作られたもので、その角部に曲率を持った曲げ部2aを持ち、この曲げ部2a間の対角寸法Lは必ずしも一定せず大きな公差を持つ。このため角筒体2の対角線上の曲げ部2a間にフラットバー11を挟み込んで組立てる場合に、貯蔵ピッチを小さくするために4つの角筒体2の外側面で形成する方形状のB貯蔵セル10の内径を角筒体2内のA貯蔵セル8の内径と同じくし、かつ、燃料集合体7の未臨界性を維持するために要求される値に貯蔵セル相互間のピッチを精度良く組立ることは極めて困難性が大である。従って、燃料貯蔵セル相互間のピッチを一定範囲内に精度良く製作するには、精度確認等による組立工数が多くかかり、経済性にも劣るという問題があった。
【0005】本発明の目的とするところは、突起及びスリットを設けた板状の格子板を組合わせ結合して、燃料貯蔵セル間ピッチ精度を良好に保ち、かつ、組立てが容易で稠密度の向上した使用済燃料貯蔵ラックとその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】角柱形状の使用済燃料集合体を、格子状に形成した多数のセルの中に収納して保管する使用済燃料貯蔵ラックであって、このセルを、多数のスリットを形成し、複数のセルの幅を有する第2の格子板と、この第2の格子板のスリットに挿入される突部を形成した一セル分の幅を有する第1の格子板とから構成し、この挿入部分を溶接固定して組み立てる。
【0007】
【作用】予め寸法が確定した2種の板状で突起部、あるいはスリットを設けた格子板を複数組合わせると共に、これらを順次組み立てて複数のセルを並設した貯蔵ラックを構成するため、その格子板の形状と組立てが簡便で堅固に形成できる。また寸法精度を高く得られるので、貯蔵ラックにおいて収容する燃料集合体の寸法と未臨界性を考慮したピッチを最適に設定とすることが極めて容易となり、貯蔵する燃料集合体を含めた稠密度を向上させることができる。
【0008】
【実施例】本発明の一実施例を図面を参照して説明する。なお、上記した従来技術と同じ構成部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。図1の平面図、及び図2の図1のA−A線に沿った矢視一部切断側面図で示すように、使用済燃料貯蔵ラック20は複数の第1の格子板21と第2の格子板22を格子状に組合わせ、互いに嵌合固着して方形で複数並設した燃料貯蔵セル23を形成する。なお、この使用済燃料貯蔵ラック20は燃料貯蔵プール1の底面にボルト5及びナット6により固定するベース3上に取付けられ、複数の燃料集合体7は前記燃料貯蔵セル23に個別に挿入されてベース3上の着座穴3aに嵌合支持される。さらに、図3の図1のB−B線に沿った矢視拡大縦断面図と、図4の図3のC−C線に沿った平断面図及び、図5の図3のD−D線に沿った平断面図に示すように、第1の格子板21は、燃料集合体7の軸方向長さに見合う長さと燃料貯蔵セル23の1セル分の幅に相当する幅で、その一端面に沿って複数個の突起部24が設けられており、さらに、この反対側の端面には隣接する第1の格子板21の突起部24と嵌合する凹部25が形成されている。一方、第2の格子板22は、燃料の軸方向長さに見合う長さと、複数の燃料貯蔵セル23を並設した使用済燃料貯蔵ラック20の幅に相当する幅を有しており、前記燃料貯蔵セル23の1セル分のピッチで前記第1の格子板21の突起部24が差込まれる複数のスリット26が加工されている。
【0009】これら複数の第1の格子板21及び第2の格子板22を使用済燃料貯蔵ラック20の平面上で互いに直角に交差するように配して第2の格子板22のスリット26に第1の格子板21の突起部24を差込み、さらに第2の格子板22から突出した第1の格子板21の突起部24に隣接する他の第1の格子板21の凹部25を嵌着させたうえで、第1の格子板21同志及び、第1の格子板21と第2の格子板22を溶接27することにより互いに強固に結合して複数の並設した燃料貯蔵セル23を形成する。この構造によれば地震時等の振動にも十分に耐え、多数の燃料集合体7を収容して安全かつ確実に貯蔵することができる。なお、燃料貯蔵セル23間のピッチを小さくして稠密化した使用済燃料貯蔵ラックとするためには、前記第1の格子板21及び第2の格子板22の板部材を共に、中性子吸収能力に優れ、かつ強度部材としても有効なボロン添加ステンレス鋼を採用することが望ましいが、必要に応じて例えば第1の格子板21あるいは、第2の格子板22を1枚おきに通常のステンレス鋼とすることや、別途機械的強度あるいは中性子吸収能力に優れた材質を適宜混用することも容易に可能である。
【0010】次に使用済燃料貯蔵ラック20の組立て例について説明する。先ず図6の格子板組立て説明斜視図に示すように、1枚の第2の格子板22において、そのスリット26の位置に対して複数の第1の格子板21をその凹部25が向かい合うようにして直角に配設し、この当接した第1の格子板21の端側面と第2の格子板22とを溶接27により固着して、1つのラックユニット28を作製する。その後、同様の手順で複数のラックユニット28を作製しておく。次に図7のラックユニット要部拡大斜視図に示すように、1つのラックユニット28の突起部24を他のラックユニット28のスリット26に差込み、このスリット26から突出させて第1の格子板21の凹部25に嵌合させた後、図5に示ように第2の格子板22のスリット26から突出した第1の格子板21の突起部24と第2の格子板22を図示しない治具で位置決めをしたうえで溶接27し、さらに、第1の格子板21の突起部24と他の第1の格子板21の凹部25も嵌合部にて溶接27により固着する。以下同様に、複数のラックユニット28を順次結合して組立てることにより使用済燃料貯蔵ラック20が完成する。以上のように、2種の板状の格子板をラックユニット28とする組立て、及びこのラックユニット28による燃料貯蔵セル23の組立てがいずれも突起とスリットの嵌め込み構造としているため簡便で、かつ溶接により強固に結合することができる。また貯蔵燃料の未臨界性上求められる燃料貯蔵セル間ピッチの調整を不要として所定範囲内に均等に精度良く設定することができ、しかも燃料貯蔵セル23内に突起部材を介在させないので燃料集合体7の挿入も容易に行える。
【0011】
【発明の効果】以上本発明によれば、板材よりなる2種の格子板を、その突起及びスリットの嵌合により組立て、溶接して互いを強固に固着するので、各部の寸法精度が高く得られ、燃料が未臨界性上要求される燃料貯蔵セル間ピッチを効率良くして稠密度を高くすることが容易にできると共に、組立てが容易で製造工数を低減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の使用済燃料貯蔵ラックの平面図。
【図2】図1のA−A線に沿った矢視一部切断側面図。
【図3】図1のB−B線に沿った矢視拡大縦断面図。
【図4】図3のC−C線に沿った矢視平断面図。
【図5】図3のD−D線に沿った矢視平断面図。
【図6】格子板組立て説明斜視図。
【図7】ラックユニット要部拡大斜視図。
【図8】従来の使用済燃料貯蔵ラックの平面図。
【図9】図8のE−E線に沿った矢視一部切断側面図。
【図10】図8の一部拡大平面図。
【符号の説明】
3…ベース、4…燃料プール、7…燃料集合体、20…使用済燃料貯蔵ラック、21…第1の格子板、22…第2の格子板、23…燃料貯蔵セル、24…突起部、25…凹部、26…スリット、27…溶接、28…ラックユニット。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子炉より取り出された使用済燃料集合体を燃料貯蔵プール内に収容貯蔵するための使用済燃料貯蔵ラックに係り、特にその稠密度と加工性を向上した使用済燃料貯蔵ラックとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に原子力発電プラントにおいては、原子炉を一定期間運転後に炉心から取り出された使用済燃料を再処理を行なうまでの間、使用済燃料貯蔵プール内に設置された使用済燃料貯蔵ラックに収容貯蔵し、これを冷却して燃料の崩壊熱除去を行う。近年は、前記使用済燃料貯蔵プール内のスペースを有効活用して貯蔵容量を増加させるような要望があり、この目的から例えば貯蔵燃料間に中性子吸収能力の大きな材料を介在させて燃料相互の未臨界性を保持しながら貯蔵燃料間の間隔を狭くすると共に、この材料を地震時等においても貯蔵燃料を支持するための強度部材としても用いて、稠密度を増大することが可能な使用済燃料貯蔵ラックが提案されている。この様な使用済燃料貯蔵ラックの典型的な例として、中性子吸収能力に優れたボロンを含有し、かつ構造強度も良好なボロン添加ステンレス鋼を使用し、貯蔵燃料間に1枚のボロン添加ステンレス鋼が介在するような、いわゆる格子板状の燃料貯蔵セル構造のものがあり、このような条件を満足し、また強度が良好なことから、予め形成された角筒体を千鳥格子状に組合せるものがある。即ち、図8の平面図と、図9の図8のE−E線に沿った矢視一部切断側面図及び図10の部分拡大平面図で示すように、この種の使用済燃料貯蔵ラック1は多数の角筒体2がベース3上に配設されていて、原子炉建屋等の燃料貯蔵プール4の底面にそのベース3がボルト5及びナット6により固定されている。
【0003】前記角筒体2は、燃料集合体7を1体ずつ収容可能な大きさを持ち、この角筒体2を千鳥格子状に組合わせて構成することにより、角筒体2内のA貯蔵セル8内に燃料集合体7を貯蔵すると共に、4つの角筒体2の外側面、あるいは3つの角筒体2の外側面と1枚の閉止板9にて形成された方形状のB貯蔵セル10内に燃料集合体7を貯蔵することができ、これら燃料集合体7はベース3上の着座穴3aに嵌合して支持される。前記角筒体2は、一般に板材を曲げ加工してその継ぎ目を溶接したボロン添加ステンレス鋼製の角筒よりなり、その角部に曲率を持った曲げ部2aを持っている。なお、角筒体2を千鳥格子状に組合わせるに当たっては、図10に示すようにその角部で隣接する角筒体2同士の対角線上の曲げ部2a間にフラットバー11を挟み、これを介して溶接12により固着結合して、格子状で連続した多数の貯蔵セル8,10を形成した使用済燃料貯蔵ラック1を構成している。なお、この千鳥格子状に角筒体2を組合せた使用済燃料貯蔵ラック1においては、前記曲げ部2aを適切な大きさとして対角寸法Lを適切な長さとし、なおかつ、フラットバー11の厚みを調整することにより角筒体2の板厚部が互いにオーバーラップする形にすることができ、究極的にはA貯蔵セル8の内径寸法とB貯蔵セル10の内径寸法が同じくなり、一枚の板材で格子状の貯蔵セルを組立てたと同様の稠密度の大きい使用済燃料貯蔵ラック1を形成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の使用済燃料貯蔵ラックの組立てにあっては、角筒体2の角部でフラットバー11を介して角筒体2同士を溶接12により固着することになるが、角筒体2は前述のように板材を曲げ加工して作られたもので、その角部に曲率を持った曲げ部2aを持ち、この曲げ部2a間の対角寸法Lは必ずしも一定せず大きな公差を持つ。このため角筒体2の対角線上の曲げ部2a間にフラットバー11を挟み込んで組立てる場合に、貯蔵ピッチを小さくするために4つの角筒体2の外側面で形成する方形状のB貯蔵セル10の内径を角筒体2内のA貯蔵セル8の内径と同じくし、かつ、燃料集合体7の未臨界性を維持するために要求される値に貯蔵セル相互間のピッチを精度良く組立ることは極めて困難性が大である。従って、燃料貯蔵セル相互間のピッチを一定範囲内に精度良く製作するには、精度確認等による組立工数が多くかかり、経済性にも劣るという問題があった。
【0005】本発明の目的とするところは、突起及びスリットを設けた板状の格子板を組合わせ結合して、燃料貯蔵セル間ピッチ精度を良好に保ち、かつ、組立てが容易で稠密度の向上した使用済燃料貯蔵ラックとその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】角柱形状の使用済燃料集合体を、格子状に形成した多数のセルの中に収納して保管する使用済燃料貯蔵ラックであって、このセルを、多数のスリットを形成し、複数のセルの幅を有する第2の格子板と、この第2の格子板のスリットに挿入される突部を形成した一セル分の幅を有する第1の格子板とから構成し、この挿入部分を溶接固定して組み立てる。
【0007】
【作用】予め寸法が確定した2種の板状で突起部、あるいはスリットを設けた格子板を複数組合わせると共に、これらを順次組み立てて複数のセルを並設した貯蔵ラックを構成するため、その格子板の形状と組立てが簡便で堅固に形成できる。また寸法精度を高く得られるので、貯蔵ラックにおいて収容する燃料集合体の寸法と未臨界性を考慮したピッチを最適に設定とすることが極めて容易となり、貯蔵する燃料集合体を含めた稠密度を向上させることができる。
【0008】
【実施例】本発明の一実施例を図面を参照して説明する。なお、上記した従来技術と同じ構成部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。図1の平面図、及び図2の図1のA−A線に沿った矢視一部切断側面図で示すように、使用済燃料貯蔵ラック20は複数の第1の格子板21と第2の格子板22を格子状に組合わせ、互いに嵌合固着して方形で複数並設した燃料貯蔵セル23を形成する。なお、この使用済燃料貯蔵ラック20は燃料貯蔵プール1の底面にボルト5及びナット6により固定するベース3上に取付けられ、複数の燃料集合体7は前記燃料貯蔵セル23に個別に挿入されてベース3上の着座穴3aに嵌合支持される。さらに、図3の図1のB−B線に沿った矢視拡大縦断面図と、図4の図3のC−C線に沿った平断面図及び、図5の図3のD−D線に沿った平断面図に示すように、第1の格子板21は、燃料集合体7の軸方向長さに見合う長さと燃料貯蔵セル23の1セル分の幅に相当する幅で、その一端面に沿って複数個の突起部24が設けられており、さらに、この反対側の端面には隣接する第1の格子板21の突起部24と嵌合する凹部25が形成されている。一方、第2の格子板22は、燃料の軸方向長さに見合う長さと、複数の燃料貯蔵セル23を並設した使用済燃料貯蔵ラック20の幅に相当する幅を有しており、前記燃料貯蔵セル23の1セル分のピッチで前記第1の格子板21の突起部24が差込まれる複数のスリット26が加工されている。
【0009】これら複数の第1の格子板21及び第2の格子板22を使用済燃料貯蔵ラック20の平面上で互いに直角に交差するように配して第2の格子板22のスリット26に第1の格子板21の突起部24を差込み、さらに第2の格子板22から突出した第1の格子板21の突起部24に隣接する他の第1の格子板21の凹部25を嵌着させたうえで、第1の格子板21同志及び、第1の格子板21と第2の格子板22を溶接27することにより互いに強固に結合して複数の並設した燃料貯蔵セル23を形成する。この構造によれば地震時等の振動にも十分に耐え、多数の燃料集合体7を収容して安全かつ確実に貯蔵することができる。なお、燃料貯蔵セル23間のピッチを小さくして稠密化した使用済燃料貯蔵ラックとするためには、前記第1の格子板21及び第2の格子板22の板部材を共に、中性子吸収能力に優れ、かつ強度部材としても有効なボロン添加ステンレス鋼を採用することが望ましいが、必要に応じて例えば第1の格子板21あるいは、第2の格子板22を1枚おきに通常のステンレス鋼とすることや、別途機械的強度あるいは中性子吸収能力に優れた材質を適宜混用することも容易に可能である。
【0010】次に使用済燃料貯蔵ラック20の組立て例について説明する。先ず図6の格子板組立て説明斜視図に示すように、1枚の第2の格子板22において、そのスリット26の位置に対して複数の第1の格子板21をその凹部25が向かい合うようにして直角に配設し、この当接した第1の格子板21の端側面と第2の格子板22とを溶接27により固着して、1つのラックユニット28を作製する。その後、同様の手順で複数のラックユニット28を作製しておく。次に図7のラックユニット要部拡大斜視図に示すように、1つのラックユニット28の突起部24を他のラックユニット28のスリット26に差込み、このスリット26から突出させて第1の格子板21の凹部25に嵌合させた後、図5に示ように第2の格子板22のスリット26から突出した第1の格子板21の突起部24と第2の格子板22を図示しない治具で位置決めをしたうえで溶接27し、さらに、第1の格子板21の突起部24と他の第1の格子板21の凹部25も嵌合部にて溶接27により固着する。以下同様に、複数のラックユニット28を順次結合して組立てることにより使用済燃料貯蔵ラック20が完成する。以上のように、2種の板状の格子板をラックユニット28とする組立て、及びこのラックユニット28による燃料貯蔵セル23の組立てがいずれも突起とスリットの嵌め込み構造としているため簡便で、かつ溶接により強固に結合することができる。また貯蔵燃料の未臨界性上求められる燃料貯蔵セル間ピッチの調整を不要として所定範囲内に均等に精度良く設定することができ、しかも燃料貯蔵セル23内に突起部材を介在させないので燃料集合体7の挿入も容易に行える。
【0011】
【発明の効果】以上本発明によれば、板材よりなる2種の格子板を、その突起及びスリットの嵌合により組立て、溶接して互いを強固に固着するので、各部の寸法精度が高く得られ、燃料が未臨界性上要求される燃料貯蔵セル間ピッチを効率良くして稠密度を高くすることが容易にできると共に、組立てが容易で製造工数を低減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の使用済燃料貯蔵ラックの平面図。
【図2】図1のA−A線に沿った矢視一部切断側面図。
【図3】図1のB−B線に沿った矢視拡大縦断面図。
【図4】図3のC−C線に沿った矢視平断面図。
【図5】図3のD−D線に沿った矢視平断面図。
【図6】格子板組立て説明斜視図。
【図7】ラックユニット要部拡大斜視図。
【図8】従来の使用済燃料貯蔵ラックの平面図。
【図9】図8のE−E線に沿った矢視一部切断側面図。
【図10】図8の一部拡大平面図。
【符号の説明】
3…ベース、4…燃料プール、7…燃料集合体、20…使用済燃料貯蔵ラック、21…第1の格子板、22…第2の格子板、23…燃料貯蔵セル、24…突起部、25…凹部、26…スリット、27…溶接、28…ラックユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 角柱形状の使用済燃料集合体を、格子状に形成した多数のセルの中に収納して保管する使用済燃料貯蔵ラックであって、突起部を形成した第1の格子板と、スリットを形成した第2の格子板と、前記第1の格子板の突起部を前記第2の格子板のスリットに挿入して溶接にて固定する交点と、前記交点4個を組合わせて形成する格子とを有することを特徴とする使用済燃料貯蔵ラック。
【請求項2】 角柱形状の使用済燃料集合体を、格子状に形成した多数のセルの中に収納して保管する使用済燃料貯蔵ラックの製造方法であって、第1の格子板に突起部を形成する突起形成工程と、第2の格子板にスリットを形成するスリット形成工程と、前記突起形成工程にて形成した突起部を前記スリット形成工程で形成したスリットに挿入して、交点を溶接にて固定する交点形成工程と、前記交点形成工程で形成した交点4個を組合わせて格子を形成する格子形成工程とを備えた使用済燃料貯蔵ラックの製造方法。
【請求項1】 角柱形状の使用済燃料集合体を、格子状に形成した多数のセルの中に収納して保管する使用済燃料貯蔵ラックであって、突起部を形成した第1の格子板と、スリットを形成した第2の格子板と、前記第1の格子板の突起部を前記第2の格子板のスリットに挿入して溶接にて固定する交点と、前記交点4個を組合わせて形成する格子とを有することを特徴とする使用済燃料貯蔵ラック。
【請求項2】 角柱形状の使用済燃料集合体を、格子状に形成した多数のセルの中に収納して保管する使用済燃料貯蔵ラックの製造方法であって、第1の格子板に突起部を形成する突起形成工程と、第2の格子板にスリットを形成するスリット形成工程と、前記突起形成工程にて形成した突起部を前記スリット形成工程で形成したスリットに挿入して、交点を溶接にて固定する交点形成工程と、前記交点形成工程で形成した交点4個を組合わせて格子を形成する格子形成工程とを備えた使用済燃料貯蔵ラックの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図9】
【特許番号】第2807361号
【登録日】平成10年(1998)7月24日
【発行日】平成10年(1998)10月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−239344
【出願日】平成3年(1991)9月19日
【公開番号】特開平5−80188
【公開日】平成5年(1993)4月2日
【審査請求日】平成8年(1996)2月14日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【参考文献】
【文献】特開 昭64−71589(JP,A)
【文献】実開 昭61−157893(JP,U)
【文献】実開 平3−78300(JP,U)
【登録日】平成10年(1998)7月24日
【発行日】平成10年(1998)10月8日
【国際特許分類】
【出願日】平成3年(1991)9月19日
【公開番号】特開平5−80188
【公開日】平成5年(1993)4月2日
【審査請求日】平成8年(1996)2月14日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【参考文献】
【文献】特開 昭64−71589(JP,A)
【文献】実開 昭61−157893(JP,U)
【文献】実開 平3−78300(JP,U)
[ Back to top ]