説明

使用済燃料集合体の収納支援方法、使用済燃料集合体の収納支援装置及びキャスクへの使用済燃料集合体の収納方法

【課題】複数のキャスクへの使用済燃料集合体の収納計画に要する時間を短縮でき、かつ使用済燃料集合体のキャスクへの収納効率を向上できる使用済燃料集合体の収納支援方法を提供する。
【解決手段】キャスク内に収納する複数の使用済燃料集合体の放射能A及び発熱量Hを、各使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間を用いてそれぞれ算出する(S3,S4)。キャスク内での使用済燃料集合体の収納パターンを選択する(S6)。キャスクに収納する複数の使用済燃料集合体を収納パターンに基づいて抽出し(S7)、放射能A及び発熱量Hの抽出した各使用済燃料集合体をキャスクに収納したとき、キャスクの放射能及び発熱量の各設定値を満足するかを判定する(S11)。収納する使用済燃料集合体が抽出されて放射能及び発熱量が各設定値を満足するキャスクの基数が、搬出に用いるキャスクの合計基数を満足するかを判定する(S13)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済燃料集合体の収納支援方法、使用済燃料集合体の収納支援装置及びキャスクへの使用済燃料集合体の収納方法に係り、特に、沸騰水型原子力発電プラント及び加圧水型原子力発電プラントから発生する使用済燃料集合体をキャスクに収納するのに好適な使用済燃料集合体の収納支援方法、使用済燃料集合体の収納支援装置及びキャスクへの使用済燃料集合体の収納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントから発生する使用済燃料集合体は、ウラン及びプルトニウム等の再使用可能な核燃料物質を回収するために再処理される。一般に、再処理施設に搬送されるまでの比較的長期間の間、使用済燃料集合体は、原子力発電所内に設けられた燃料貯蔵プール内で冷却されながら保管される。一方で、原子力プラントにおいて使用済燃料集合体が毎年発生しており、これらの使用済燃料集合体を保管する、原子力発電所内の燃料貯蔵プールの容量が不足する状態になることが懸念されている。
【0003】
このため、燃料貯蔵プールに保管されていたこれらの使用済燃料集合体をキャスクに収納し、使用済燃料集合体を収納したキャスク(例えば、金属キャスク)を、燃料貯蔵プール以外の設備で、再処理されるまでの間、保管することが計画されている。使用済燃料集合体の輸送に用いられるキャスクでは、繰り返し使用される輸送等を考慮し、安全性を確認する安全解析において大きな裕度を持った条件を設定している。一方、貯蔵用のキャスクには対象の使用済燃料集合体を原則1回収納するだけであるので、輸送用のキャスクの仕様を貯蔵用のキャスクに適用した場合には、貯蔵用のキャスクとしては燃料仕様が過大な裕度を持っている可能性がある。
【0004】
キャスク内に収納する使用済燃料集合体の選定においては、型式、燃焼度及び原子炉から取り出した後の冷却期間が異なる数千〜数万体の使用済燃料集合体が対象となる。これらの使用済燃料集合体を収納するキャスクにおいて、放射能及び発熱量のそれぞれの総量が設定されている。このため、使用済燃料集合体の型式ごとに各使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間に基づいて算出された各使用済燃料集合体の放射能及び発熱量に応じて、キャスクに収納できる使用済燃料集合体の体数が決定される。対象となる膨大な体数の使用済燃料集合体ごとに放射能及び発熱量を計算コードを用いて算出することは膨大な手間と時間を要する。
【0005】
そこで、以下のような使用済燃料集合体の収納計画が行われている。まず、収納対象の全ての使用済燃料集合体を型式で分類し、分類した型式ごとに、キャスクの設計で想定した使用済燃料集合体の燃焼度を基に使用済燃料集合体をグルーピングする。キャスクの搬出計画に基づいて、該当する使用済燃料集合体の冷却期間を設定できるため、燃料貯蔵プールからの搬出時における使用済燃料集合体の冷却期間を設定し、燃焼度及び冷却期間のデータに基づいて、キャスクへの使用済燃料集合体の収納計画を行っている。
【0006】
キャスク内への使用済燃料集合体の収納方法の一例が、特開2008−232718号公報に記載されている。この使用済燃料集合体の収納方法では、キャスク内に収納するために選定された複数の使用済燃料集合体の燃焼度を用いて、選定された各使用済燃料集合体の線源強度を算出し、それぞれの使用済燃料集合体の算出された線源強度に基づいてキャスク内での選定された使用済燃料集合体のそれぞれの収納位置を設定し、それぞれの収納位置に各々の使用済燃料集合体を配置した状態において、それぞれの使用済燃料集合体の線源強度を用いてキャスクの周囲での線量率を算出し、算出された線量率が第1設定線量率未満であるとき、選定された各使用済燃料集合体を、キャスク内に収納している。
【0007】
この使用済燃料集合体の収納方法によれば、キャスクに収納する使用済燃料集合体の選定開始から、所定体数の使用済燃料集合体を収納したキャスクの搬出までに要する時間を短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−232718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
1つの原子力発電所内に複数の原子力プラントが設置されているとき、各原子力プラントの燃料貯蔵プールに保管されている使用済燃料集合体の合計体数が数千体〜数万体になる。キャスク内に収納する使用済燃料集合体を選択する場合には、収納対象の使用済燃料集合体の体数が多いほど、キャスクの仕様を満足する、収納すべき複数の使用済燃料集合体を選択しやすくなる。しかしながら、1つの原子力発電所内における複数の燃料貯蔵プール内に保管されている多数の使用済燃料集合体の中から、所定基数のキャスクに収納する使用済燃料集合体を、キャスクの仕様を満足するように選定することは容易ではない。
【0010】
キャスクには、このキャスクの仕様である放射能設定値及び発熱量設定値を満足するように、使用済燃料集合体を収納しなければならない。これらの設定値を満足させて、使用済燃料集合体を、キャスクの仕様である収納体数になるように、キャスク内に収納し、使用済燃料集合体の収納効率を高めることが望ましい。燃料貯蔵プール内には、燃焼度が比較的高い使用済燃料集合体及び燃料貯蔵プール内での滞在期間(冷却期間)が短い使用済燃料集合体も保管されている。燃焼度が比較的高い使用済燃料集合体及び冷却期間が短い使用済燃料集合体も、できるだけ残さないように、キャスク内に収納する必要がある。しかしながら、燃焼度が比較的高い使用済燃料集合体及び冷却期間が短い使用済燃料集合体を含めた、キャスクに収納する使用済燃料集合体を、所定基数のキャスクについて、選定するためには、長時間を必要とする。
【0011】
特開2008−232718号公報に記載された使用済燃料集合体をキャスク内に収納する方法では、主に、使用済燃料集合体の燃焼度に基づいて使用済燃料集合体の線源強度を算出し、算出されたその線源強度を用いて、必要体数の使用済燃料集合体を収納したキャスクの周囲での線量率を算出するものとなっている。しかしながら、この収納方法では、直接的に発熱量を考慮してはいない。
【0012】
放射能及び発熱量のそれぞれの設定値を満足するように、使用済燃料集合体をキャスクに収納することを検討している。すなわち、収納対象の複数の燃料集合体を複数のグループに分類し、分類されたそれぞれのグループの中で最も厳しくなる条件で得られた放射能及び発熱量を各グループの代表値として扱い,キャスクごとに収納する必要な体数の使用済燃料集合体を決めることを検討している。このとき、各グループのそれぞれの燃料条件は、該当するグループに含まれる各使用済燃料集合体の放射能及び崩壊熱を全て包絡するように設定しており、グループ内の個々の使用済燃料集合体に対しては安全側の設定となっている。このため、個々の使用済燃料集合体に対してキャスクの安全裕度を大きめに設定している場合があり、キャスクへの使用済燃料集合体の収納計画はかなりの裕度を有する結果となっている。キャスク(例えば、金属キャスク)による中間的な燃料貯蔵では、使用済燃料集合体の高い収納効率が要求されており、キャスクの安全裕度の大きめの設定は、使用済燃料集合体のキャスク内への収納効率の低下をもたらし、結果として、中間貯蔵施設内での使用済燃料集合体の収納効率を低下させることになる。
【0013】
この課題を解決するためには、対象とする数千体〜数万体の使用済燃料集合体について放射能及び発熱量を1体ずつ計算コードで算出し、キャスクへの使用済燃料集合体の収納計画を詳細に検討すれば良い。しかしながら、数千体〜数万体の使用済燃料集合体を対象に、複数のキャスクに対して最も収納効率の良い収納計画を立案する場合は、使用済燃料集合体の冷却期間をパラメータとした、数万ケースという途方もない感度解析を計算コードで実施する必要が生じ、その収納計画の立案に膨大な時間と手間がかかる。
【0014】
本発明の目的は、複数のキャスクへの使用済燃料集合体の収納計画に要する時間をさらに短縮でき、かつ使用済燃料集合体のキャスクへの収納効率を向上できる使用済燃料集合体の収納支援方法、使用済燃料集合体の収納支援装置及びキャスクへの使用済燃料集合体の収納方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、指定された複数基のキャスク内に収納する、収納対象の複数の使用済燃料集合体ごとに、放射能及び発熱量を、演算処理装置により、それぞれの使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間に基づいて算出する第1ステップ、
キャスク内に収納する複数の使用済燃料集合体を、演算処理装置により、収納対象の複数の使用済燃料集合体から選択する第2ステップ、
選択された複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおけるキャスクの放射能を、演算処理装置により、選択された使用済燃料集合体のそれぞれに対して算出された放射能を用いて算出する第3ステップ、
選択された複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおけるキャスクの発熱量を、演算処理装置により、選択された使用済燃料集合体のそれぞれに対して算出された発熱量を用いて算出する第4ステップ、及び
選択された複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおけるキャスクの放射能がキャスクの放射能設定値以下で、選択された複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおけるキャスクの発熱量がキャスクの発熱量設定値以下になっている、選択された複数の使用済燃料集合体が収納されるキャスクの基数が、演算処理装置により、指定された複数基を満足しているかを判定する第5ステップを有し、
第5ステップで、キャスクの放射能設定値及びキャスクの発熱量設定値以下になっているキャスクの基数が、指定された複数基を満足すると判定されたとき、キャスクごとに、収納する前記使用済燃料集合体を決定することにある。
【0016】
選択された複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおけるキャスクの放射能がキャスクの放射能設定値以下で、選択された複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおけるキャスクの発熱量がキャスクの発熱量設定値以下になっている、選択された複数の使用済燃料集合体が収納されるキャスクの基数が、指定された複数基を満足しているかを判定しているので、所定基数のそれぞれのキャスク内に収納する複数の使用済燃料集合体を決定する収納計画に要する時間を、さらに短縮することができ、また、使用済燃料集合体のキャスクへの収納効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数のキャスクへの使用済燃料集合体の収納計画に要する時間をさらに短縮することができ、また、使用済燃料集合体のキャスクへの収納効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の好適な一実施例である使用済燃料集合体の収納支援装置の構成図である。
【図2】図1に示すデータ処理装置で実行される処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図1に示すメモリに記憶されている、収納対象の各使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間等の情報の一例を示す説明図である。
【図4】キャスク内に複数の使用済燃料集合体を配置する収納パターン(二領域パターン)の一例を示す説明図である。
【図5】キャスク内に複数の使用済燃料集合体を配置する他の収納パターン(三領域パターン)の一例を示す説明図である。
【図6】キャスク内に複数の使用済燃料集合体を配置する他の収納パターン(四領域パターン)の一例を示す説明図である。
【図7】図2に示す処理手順を実行する図1のデータ処理装置を機能的に等価なハード構成で示した説明図である。
【図8】使用済燃料集合体の発熱量の、冷却期間に対する変化を、燃焼度ごとに整理した特性図である。
【図9】使用済燃料集合体の放射能の、冷却期間に対する変化を、燃焼度ごとに整理した特性図である。
【図10】8×8BJタイプの使用済燃料集合体における放射能と冷却期間との関係を、燃焼度ごとに示す特性図である。
【図11】8×8BJタイプの使用済燃料集合体における発熱量と冷却期間との関係を、燃焼度ごとに示す特性図である。
【図12】本発明の他の実施例である燃料集合体収納装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明者らは、燃料貯蔵プールに保管されている使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間に着目して、燃焼度、冷却期間及び燃料集合体の発熱量の関係、及び燃焼度、冷却期間及び燃料集合体の放射能の関係について検討を行った。使用済燃料集合体の燃焼度は、運転を停止した原子炉の炉心から取り出した時点での燃焼度である。燃料集合体の冷却期間は、炉心から取り出されて燃料貯蔵プールに搬入されて保管が開始された時点からの経過期間であり、使用済燃料集合体が燃料貯蔵プールに保管されている期間である。燃料集合体の発熱量及び放射能は、キャスクに収納するために燃料貯蔵プールから取り出された時点でのそれぞれの値である。
【0020】
使用済燃料集合体の発熱量、燃焼度及び冷却期間の関係を図8に示す。さらに、使用済燃料集合体の放射能、燃焼度及び冷却期間の関係を図9に示す。図8及び図9によれば、使用済燃料集合体の放射能及び発熱量は、使用済燃料集合体の燃焼度が大きくなるほど、大きくなる傾向がある。使用済燃料集合体の冷却期間が長くなるほど、使用済燃料集合体の放射能及び発熱量が減少する。
【0021】
膨大な体数の使用済燃料集合体を所定基数のキャスクへの収納対象にする場合,幾つかのグループに分類された使用済燃料集合体は各々のグループにおいて最大の燃焼条件(燃焼度)を有する。図8及び図9に示すように、発熱量及び放射能は燃焼度に依存して増減する。燃焼度が2000MWd/t程度増加したとき、発熱量及び放射能は約7%増加する。このため,同じグループにおいても、例えば、最大すなわち代表値、最小値、及び代表値と最小値の中間の値のように燃焼度が異なる各使用済燃料集合体が存在し、これらの使用済燃料集合体では放射能及び発熱量の差異が大きくなる傾向にある。
【0022】
キャスクに収納される使用済燃料集合体については、燃焼度、及び燃料貯蔵プールに保管された後の冷却期間が既知のデータとして管理されている。このため、発明者らは、管理されている燃焼度及び冷却期間に基づいて使用済燃料集合体の放射能及び発熱量のそれぞれを精度良く求めることができれば、個々の使用済燃料集合体を対象に、計算コードを用いた感度解析を行うことが不要になり、各使用済燃料集合体の放射能及び発熱量の算出に要する時間を大幅に低減でき、さらに、キャスクへの収納効率の良い使用済燃料集合体の収納計画を短時間に達成できると考えた。
【0023】
そこで、発明者らは、種々の使用済燃料集合体を対象に、燃焼度及び冷却期間に基づいて、放射能及び発熱量をいかにして求めるかについて検討した。検討の対象にした使用済燃料集合体は、沸騰水型原子炉(BWR)に用いられる8×8BJタイプの使用済燃料集合体、STEPII型の使用済燃料集合体及びSTEPIII型の使用済燃料集合体である。この検討の結果、発明者らは、使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間と使用済燃料集合体の放射能(1)式で、使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間と使用済燃料集合体の発熱量の関係を(2)式で表すことができることを見出した。
【0024】
A=α1・BU・e−β1・CT ……(1)
H=α2・BU・e−β2・CT ……(2)
ここで、Aは使用済燃料集合体の放射能、Hは使用済燃料集合体の発熱量、BUは使用済燃料集合体の燃焼度(MWd/t)、CTは燃料貯蔵プール内に保管された後の使用済燃料集合体の冷却期間(年)、及びα1,α2,β1及びβ2は定数である。
【0025】
発明者等が新たに見出した使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間と使用済燃料集合体の放射能(または発熱量)の関係を、型式の異なる使用済燃料集合体について詳細に説明する。
【0026】
まず、8×8BJタイプの使用済燃料集合体について説明する。図10は、8×8BJタイプの使用済燃料集合体において、燃焼度をパラメータとし、使用済燃料集合体の冷却期間による、使用済燃料集合体の放射能の変化を示している。図10には、8×8BJタイプの使用済燃料集合体の燃焼度ごとに、使用済燃料集合体の放射能Aと使用済燃料集合体の冷却期間CTの関係を式で表している。例えば、燃焼度30000MWd/tでは、使用済燃料集合体の放射能Aと使用済燃料集合体の冷却期間CTの関係が、
A=78345e−0.0283CT
で表される。ここで、「78345」は(1)式の「α1・BU」であるので、78345=30000α1となる。この関係から定数α1を求めると、定数α1は2.61となる。
【0027】
図10に示された8×8BJタイプの使用済燃料集合体の放射能A(Ci/体)とこのタイプの使用済燃料集合体の冷却期間CT(年)の各関係式は、使用済燃料集合体の燃焼度BU(MWd/t)をパラメータとして整理すると、(3)式のように表される。
【0028】
A=2.59・BU・e−0.0283CT ……(3)
ここで、α1=2.59は、図10に示された、各燃焼度に対する使用済燃料集合体の放射能Aと使用済燃料集合体の冷却期間CTの関係式において求めた定数α1の値を平均したものである。また、(3)式での「−0.0283」は、図10に示された、各燃焼度に対する使用済燃料集合体の放射能Aと使用済燃料集合体の冷却期間CTの関係式における定数β1を平均した値である。
【0029】
図11は、8×8BJタイプの使用済燃料集合体において、燃焼度をパラメータとし、使用済燃料集合体の冷却期間による、使用済燃料集合体の発熱量の変化を示している。図11には、8×8BJタイプの使用済燃料集合体の燃焼度ごとに、使用済燃料集合体の発熱量Hと使用済燃料集合体の冷却期間CTの関係を式で表している。例えば、燃焼度
30000MWd/tでは、使用済燃料集合体の発熱量Hと使用済燃料集合体の冷却期間CTの関係が、
H=196.31e−0.0182CT
で表される。
【0030】
図11に示された8×8BJタイプの使用済燃料集合体の発熱量H(Watt/体)とこのタイプの使用済燃料集合体の冷却期間CT(年)の各関係式は、使用済燃料集合体の燃焼度BU(MWd/t)をパラメータとして整理すると、(4)式のように表される。
【0031】
H=0.0068・BU・e−0.0188CT ……(4)
発明者らは、(3)式及び(4)式を用いて算出した、使用済燃料集合体の放射能A及び発熱量Bが、前述の計算コードを用いて求めたそれらと、冷却期間が15年から30年の間では2%以内でよく一致することを確認した。
【0032】
BWRの炉心から取り出されて燃料貯蔵プールに保管されている8×8BJタイプの使用済燃料集合体の放射能及び発熱量は、その使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間を指標とした(3)式及び(4)式を用いて精度良く求めることができる。
【0033】
8×8BJタイプの使用済燃料集合体とは異なるタイプの使用済燃料集合体、例えば、STEPII型の使用済燃料集合体及びSTEPIII型の使用済燃料集合体のそれぞれの放射能及び発熱量も、8×8BJタイプの使用済燃料集合体と同様に、該当するタイプの使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間に基づいて算出することができる。
【0034】
STEPII型の使用済燃料集合体の放射能A(Ci/体)は、この使用済燃料集合体の燃焼度BU(MWd/t)及び冷却期間CT(年)を用いて、(5)式のように表される。
【0035】
A=2.68・BU・e−0.0243CT ……(5)
また、STEPII型の使用済燃料集合体の発熱量H(Watt/体)は、この使用済燃料集合体の燃焼度BU(MWd/t)及び冷却期間CT(年)を用いて、(6)式のように表される。
【0036】
H=0.0077・BU・e−0.0243CT ……(6)
(5)式及び(6)式を用いて算出した、STEPII型の使用済燃料集合体の放射能A及び発熱量Bと、前述の計算コードを用いて求めたそれらとの偏差が、約7%以内であった。
【0037】
前述した使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間に基づいて使用済燃料集合体の放射能を算出する(1)式、及び発熱量を算出する(2)式は,BWRの使用済燃料集合体のみならず、加圧水型原子炉の使用済燃料集合体などにも適用することが可能である。
【実施例1】
【0038】
本発明の好適な一実施例である使用済燃料集合体の収納支援装置を、図1を用いて説明する。本実施例の使用済燃料集合体収納支援装置1は、データ処理装置2、表示装置6、及びキーボード及びマウス等の入力装置7を有する。データ処理装置2は、電子計算機であり、中央処理装置(CPU)3、メモリ4及び入出力インタフェース5を有する。
CPU3及びメモリ4が入出力インタフェース5に接続され、入力装置7及び表示装置6も入出力インタフェース5に接続される。図2に示す処理を実行するプログラムが、メモリ4に記憶されている。このプログラムによる処理はデータ処理装置2のCPU3で実行される。
【0039】
使用済燃料集合体収納支援装置1を用いた、使用済燃料集合体の収納支援方法を、以下に説明する。ある原子力発電所には、複数基、例えば、2基の原子力プラントが設置されている。2基の原子力プラントのそれぞれの燃料貯蔵プールに保管されている複数の使用済燃料集合体を複数のキャスク内に収納して、原子力発電所外の中間貯蔵施設内で、複数の使用済燃料集合体の収納した複数のキャスクを保管することを想定する。この場合には、2基の原子力プラントの各燃料貯蔵プールに保管されている使用済燃料集合体を原子力発電所内で複数のキャスク内に収納する必要がある。使用済燃料集合体収納支援装置1は、各キャスクごとに、収納する複数の使用済燃料集合体を決定するために用いられる。ここでは、各燃料貯蔵プールに保管されている、例えば、5175体の8×8BJタイプの使用済燃料集合体を、75基のキャスクに収納するものとする。
【0040】
使用済燃料集合体収納支援装置1を用いた、使用済燃料集合体の収納支援方法を、図2に示す処理手順に基づいて、説明する。
【0041】
オペレータは、使用済燃料集合体収納支援装置1を起動し、入力装置7から処理開始指令を入力する。この処理開始指令を入力したとき、CPU3は、図2に示す各処理を実行するプログラムをメモリ4から読み込み、それらの処理を順次実行する。メモリ4には、(3)式、(4)式、(5)式及び(6)式等の使用済燃料集合体の型式に対応した放射能及び発熱量の演算式が記憶されている。
【0042】
キャスクに収納すべき各使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間の情報を入力する(ステップS1)。CD-ROMに登録された、複数基(例えば、75基)のキャスク内に収納する対象となる、例えば、5175体の8×8BJタイプの使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間のデータを、読取装置(図示せず)で読み取り、入出力インタフェース5を介してメモリ4に格納する。複数基のキャスク内に収納するこれらの使用済燃料集合体は、原子力発電所の上記した各原子力プラントの燃料貯蔵プールにそれぞれ保管されている。使用済燃料集合体の燃焼度は、原子力プラントの炉心から取り出された時点の燃焼度であり、冷却期間は燃料貯蔵プール内の冷却水中での保管が開始された時点以降の期間である。ステップS1において、図3に示された、各使用済燃料集合体の識別番号(ID)、各使用済燃料集合体の燃焼度(BU)及び冷却期間(CT)のそれぞれのデータが、メモリ4に記憶される。その識別番号を燃料IDと称する。
【0043】
キャスクに収納すべき使用済燃料集合体の種類及び体数、及びキャスクの基数を入力する(ステップS2)。オペレータは、入力装置7から、キャスクに収納すべき使用済燃料集合体の種類(例えば、8×8BJタイプの使用済燃料集合体)、キャスク1基当たりに収納する使用済燃料集合体の体数(例えば、69体)、及び対象となる全使用済燃料集合体を収納する、キャスクの基数(例えば、75基)を入力する。これらのデータは、CPU3によって、メモリ4に記憶される。
【0044】
使用済燃料集合体の放射能を算出する(ステップS3)。(1)式、具体的には、8×8BJタイプの使用済燃料集合体を対象とする(3)式を用いて、5175体の使用済燃料集合体の放射能Aがそれぞれ算出される。例えば、燃料IDが「2」である使用済燃料集合体においては、(3)式において、BUにBU、CTにCTをそれぞれ代入して放射能Aが算出される。得られた放射能Aはメモリ4に記憶される。
【0045】
使用済燃料集合体の発熱量を算出する(ステップS4)。(2)式、具体的には、8×8BJタイプの使用済燃料集合体を対象とする(4)式を用いて、5175体の使用済燃料集合体の発熱量H(例えば、図3に示されたH,H,……,H)がそれぞれ算出される。算出された各発熱量Hがメモリ4に記憶される。
【0046】
対象となるキャスクの仕様(放射能設定値、発熱量設定値、及び使用済燃料集合体の収納体数)を入力する(ステップS5)。オペレータが、入力装置7から、使用するキャスクの種類を入力する。すなわち、使用するキャスクの種類を指定する。CPU3は、指定されたキャスクの種類の情報に基づいて、このキャスクの、放射能設定値、発熱量設定値、及び使用済燃料集合体の収納体数を、メモリ4から読み取る。これらのデータはCPU3内に入力される。
【0047】
キャスク内における、使用済燃料集合体の収納パターンを選択する(ステップS6)。オペレータが、入力装置7から、使用済燃料集合体の収納パターンの選択情報を入力する。
【0048】
メモリ4には、図4、図5及び図6に示す使用済燃料集合体の収納パターン情報がそれぞれ記憶されている。図4に示された収納パターンは、二領域に使用済燃料集合体を収納するパターンである。この収納パターン(以下、二領域パターンという)は、キャスクの横断面において、中央部に領域R2を、領域R2を取り囲んで周縁部に領域R1を、それぞれ配置している。領域R1には、例えば、燃焼度BUが30000MWd/t以下の使用済燃料集合体(以下、第1燃料集合体という)が32体配置され、領域R2には、
30000MWd/t<BU≦35000MWd/tを満足する使用済燃料集合体(以下、第2燃料集合体という)が37体配置される。そのキャスクは69体の使用済燃料集合体を収納できる。
【0049】
図5に示された収納パターンは、三領域に使用済燃料集合体を収納するパターンである。この収納パターン(以下、三領域パターンという)は、キャスクの横断面において、中央部に領域R3を、領域R3を取り囲んで環状に領域R2を、領域R2を取り囲んで周縁部に領域R1を、それぞれ配置している。三領域パターンの領域R1には二領域パターンの領域R1に配置される第1燃料集合体が24体配置され、三領域パターンの領域R2には二領域パターンの領域R2に配置される第2燃料集合体が32体配置される。三領域パターンの領域R3には、例えば、燃焼度BUが35000MWd/t<BU≦38000MWd/tを満足する使用済燃料集合体(以下、第3燃料集合体という)が13体配置される。このキャスクも69体の使用済燃料集合体を収納できる。
【0050】
図6に示された収納パターンは、四領域に使用済燃料集合体を収納するパターンである。この収納パターン(以下、四領域パターンという)は、キャスクの横断面において、中央部に領域R4を、領域R4を取り囲んで環状に領域R2を、領域R2を取り囲んで周縁部に領域R2を、領域R4と領域R2の間に領域R3を、それぞれ配置している。四領域パターンの領域R1には二領域パターンの領域R1に配置される第1燃料集合体が24体配置され、四領域パターンの領域R2には二領域パターンの領域R2に配置される第2燃料集合体が24体配置される。四領域パターンの領域R3には、三領域パターンの領域R3に配置される第3燃料集合体が8体配置される。四領域パターンの領域R4には、例えば、燃焼度BUが38000MWd/t<BU≦41000MWd/tを満足する使用済燃料集合体(以下、第4燃料集合体という)が13体配置される。このキャスクも69体の使用済燃料集合体を収納できる。
【0051】
二領域パターン、三領域パターン及び四領域パターン等の使用済燃料集合体の収納パターンの情報は、メモリ4に記憶されている。これらの収納パターン情報以外の他の収納パターンの情報も、メモリ4に記憶されている。
【0052】
ステップS5において対象となるキャスクの仕様の入力が終了した後、CPU3がメモリ4から使用済燃料集合体の各収納パターンの情報を読み出し、表示装置6に出力する。オペレータは、マウスを用いて、表示装置6に表示された各収納パターンのうち、例えば、1つの収納パターンを指定する。オペレータは、指定した収納パターンを適用するキャスクの基数(例えば、75基)も併せて入力装置7から入力する。CPU3は、指定された収納パターン、例えば、二領域パターンを選択し、メモリ4から図4に示す各情報を入力する。二領域パターンに関する情報は表示装置6に表示される。以上により、ステップS6の処理が終了する。
【0053】
キャスクに収納する使用済燃料集合体を抽出する(ステップS7)。CPU3は、二領域パターンでの領域R1に配置される32体の第1使用済燃料集合体、及び領域R2に配置される37体の第2使用済燃料集合体を、メモリ4に記憶されている収納対象の5175体の使用済燃料集合体(図3参照)から抽出する。この使用済燃料集合体の抽出は、第1使用済燃料集合体としては燃焼度がBU≦30000MWd/tを満足している使用済燃料集合体を、第2使用済燃料集合体としては燃焼度が30000MWd/t<BU≦35000MWd/tを満足している使用済燃料集合体を、収納対象の各使用済燃料集合体の燃焼度を考慮して、収納対象の複数の使用済燃料集合体からそれぞれ所定体数だけ抽出する。
【0054】
抽出した複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおけるキャスクの放射能を算出する(ステップS8)。CPU3が、ステップS7で抽出された全使用済燃料集合体(例えば、32体の第1使用済燃料集合体、及び37体の第2使用済燃料集合体)を、指定した1つのキャスクに収納したときにおける、キャスクの放射能を算出する。キャスクの放射能Aallは、抽出された各使用済燃料集合体(例えば、69体の使用済燃料集合体)の放射能A(ステップS3で算出)を合計して求められる。すなわち、Aall=ΣAで算出される。
【0055】
抽出した複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおけるキャスクの発熱量を算出する(ステップS9)。CPU3が、ステップS7で抽出された全使用済燃料集合体(例えば、32体の第1使用済燃料集合体、及び37体の第2使用済燃料集合体)を、指定した1つのキャスクに収納したときにおける、キャスクの発熱量を算出する。キャスクの発熱量Hallは、抽出された各使用済燃料集合体(例えば、69体の使用済燃料集合体)の発熱量H(ステップS4で算出)を合計して求められる。すなわち、Hall=ΣHで算出される。
【0056】
キャスクの仕様である放射能設定値及び発熱量設定値を満足するかを判定する(ステップS10)。CPU3がステップS10の判定を行う。ステップS8で算出されたキャスクの放射能Aallとキャスクの仕様である放射能設定値Asetを比較し、Aall≦Asetが満足されるかを判定する。また、ステップS9で算出されたキャスクの発熱量Hallとキャスクの仕様である発熱量設定値Hsetを比較し、Hall≦Hsetが満足されるかを判定する。Aall≦Aset及びHall≦Hsetの少なくとも1つが満足されないとき、ステップS10の判定が「No」になる。このときには、ステップS7で抽出されてステップS10の判定が「No」になった複数の使用済燃料集合体のキャスク内への収納は不可能であり、再度、ステップS7で1つのキャスクに収納する使用済燃料集合体を抽出する。
【0057】
all≦Aset及びHall≦Hsetを満足してステップS10の判定が「Yes」になったとき、1つのキャスクに収納すべき複数(例えば、69体)の使用済燃料集合体が決定される。これらの使用済燃料集合体は、1つのグループとして、例えば、キャスクのある識別番号を付してメモリ4に格納される。
【0058】
収納対象の使用済燃料集合体のキャスクへの収納計画が終了したかを判定する(ステップS11)。CPU3において、メモリ4に記憶されている収納対象の使用済燃料集合体のうち、ステップS6で選択した収納パターンが対象とする燃焼度の範囲(例えば、二領域パターンではBU≦35000MWd/t)に含まれる全ての使用済燃料集合体が、ステップS10の判定が「Yes」となるように、ステップS7の処理でグループ化されたかを判定する。その燃焼度の範囲も含まれる全ての使用済燃料集合体のうち、
all≦Aset及びHall≦Hsetを満足するようにステップS7の処理が行われていない使用済燃料集合体が存在するとき、ステップS11の判定は「No」になり、それらの使用済燃料集合体を対象にステップS7〜S11の処理が行われる。対象となる燃焼度範囲に含まれる全ての使用済燃料集合体が、Aall≦Aset及びHall≦Hsetを満足するように複数基のキャスク内に収納可能になったとき、ステップS11の判定が「Yes」になる。
【0059】
その後、収納対象の全ての使用済燃料集合体を収納したときのキャスクの基数を把握する(ステップS12)。CPU3が、メモリ4に格納した、ステップS10でキャスクの識別番号を付した使用済燃料集合体のグループの数を求める。このグループの数がキャスクの基数である。キャスクの搬出基数を満足しているかを判定する(ステップS13)。
【0060】
ステップS12で求めたキャスクの基数が、ステップS2で入力したキャスクの搬出基数になっているかを判定する。ステップS13の判定が満足している(Yes)、になったとき、キャスクの基数、及びキャスクごとに収納する使用済燃料集合体が決定される(ステップS14)。CPU3は、複数の使用済燃料集合体を収納してAall≦Aset及び
all≦Hsetを満足したキャスクの基数が、所定の搬出基数を満足したとき、収納対象の使用済燃料集合体を収納するために必要なキャスクの基数、及びそれぞれのキャスクごとに収納する使用済燃料集合体を決定する。これにより、CPU3は、キャスクの識別番号とこの識別番号のキャスクに収納する複数の使用済燃料集合体の燃料IDを関連付けてメモリ4に格納する。さらに、各使用済燃料集合体の燃料IDは、それぞれが配置される、キャスク内の領域R1またはR2の領域コードとも関連付けられてメモリ4に格納される。
【0061】
以上により、収納対象の使用済燃料集合体のキャスクへの収納を対象にした、使用済燃料集合体の収納支援が終了する。
【0062】
ステップS13の判定は、ステップS12で求めたキャスクの基数が、ステップS2で入力したキャスクの搬出基数よりも少ないとき、または、前者の基数が後者の基数よりも多いとき、ステップS13の判定が「No」になる。ステップS13の判定が「No」になったとき、ステップS6〜S13の処理が繰り返して行われる。さらに、ステップ
S13の判定が「No」になったとき、CPU3は、キャスクごとに収納される複数の使用済燃料集合体、及びキャスクに収納できない、燃焼度を有する使用済燃料集合体の各情報を、メモリ4から入力し、表示装置6に出力する。キャスクに収納できない、燃焼度を有する使用済燃料集合体とは、二領域収納パターンを選択した場合は、BU>35000MWd/tを満足する燃焼度を有する使用済燃料集合体である。
【0063】
ステップS12で求めたキャスクの基数がキャスクの搬出基数に一致しない場合が生じる。このため、ステップS13では、ステップS12で求めたキャスクの基数がキャスクの搬出基数−1基のとき、及び搬出基数+1基の場合には収納される使用済燃料集合体の体数が最も少ないキャスクでその体数が第1設定体数以下になっているときでも、ステップS12で求めたキャスクの基数が搬出基数を満足すると判定する。
【0064】
オペレータは、表示装置6に表示されたそれらの情報を参考にして、繰り返されるステップS6で、入力装置7から、使用済燃料集合体の収納パターンの選択情報を再度入力する。燃焼度が35000MWd/tを超える使用済燃料集合体が存在する場合には、三領域パターンの選択情報も入力する。この場合には、「二領域パターンを適用するキャスクを○○基、及び三領域パターンを適用するキャスクを△△基」のように、複数の収納パターン、及びこれらの収納パターンを適用するそれぞれのキャスクの基数をCPU3に入力してもよい。
【0065】
ステップS7における使用済燃料集合体の抽出処理が再度行われる。三領域パターンを適用するキャスクにおいては、キャスク1基当たり、34体の第1使用済燃料集合体、32体の第2燃料集合体、及び13体の第3燃料集合体を、メモリ4に記憶している収納対象の使用済燃料集合体からそれぞれ抽出する。この抽出後、ステップS10の判定が行われ、この判定が「Yes」でステップS11の判定が「No」のとき、ステップS7〜
S11の処理が繰り返される。三領域パターンを適用するキャスクでは、キャスクの放射能のAall及び発熱量のHallは、二領域パターンを適用するキャスクでのそれらよりも大きくなっている。
【0066】
その後、ステップS13の判定が「Yes」になったとき、ステップS14で、CPU3は、二領域パターンを適用した基数分に対して、キャスクの識別番号とこの識別番号のキャスクに収納する複数の使用済燃料集合体の燃料IDを関連付け、及び三領域パターンを適用した基数分に対して、三領域パターンを適用したキャスクの識別番号とこの識別番号のキャスクに収納する複数の使用済燃料集合体の燃料IDを関連付けてメモリ4に格納する。さらに、二領域パターンの場合には、各使用済燃料集合体の燃料IDは、前述の領域コードに関連付けられてメモリ4に格納される。三領域パターンの場合には、各使用済燃料集合体の燃料IDは、それぞれが配置される、キャスク内の領域R1,R2または
R3の領域コードに関連付けられてメモリ4に格納される。
【0067】
もし、三領域パターンを選択しても、38000MWd/t<BU≦41000MWd/tの範囲の燃焼度を有する使用済燃料集合体が何体か存在してステップS13の判定が「No」になったときには、オペレータは、ステップS6で、四領域パターンも指定し、このパターンを適用するキャスクの基数も入力する。四領域パターンを適用するキャスクに対しては、図6に示されるそれぞれの体数の第1、第2、第3及び第4燃料集合体が、メモリ4に記憶された収納対象の使用済燃料集合体から抽出される。二領域パターン及び三領域パターンを別々に適用するそれぞれのキャスクに対しても、該当する使用済燃料集合体が抽出される。ステップS13の判定が「Yes」になったとき、ステップS14で、CPU3は、二領域パターンを適用した基数分に対して、キャスクの識別番号とこの番号のキャスクに収納する複数の使用済燃料集合体の燃料IDを関連付け、三領域パターンを適用した基数分に対して、三領域パターンを適用したキャスクの識別番号とこの番号のキャスクに収納する複数の使用済燃料集合体の燃料IDを関連付け、及び四領域パターンを適用した基数分に対して、四領域パターンを適用したキャスクの識別番号とこの番号のキャスクに収納する複数の使用済燃料集合体の燃料IDを関連付けてメモリ4に格納する。さらに、二領域パターン及び三領域パターンの場合には、各使用済燃料集合体の燃料IDは、上記した領域コードに関連付けられてメモリ4に格納される。四領域パターンの場合には、各使用済燃料集合体の燃料IDは、それぞれが配置される、キャスク内の領域R1,R2,R3またはR4の領域コードに関連付けられてメモリ4に格納される。
【0068】
本実施例は、8×8BJタイプの複数の使用済燃料集合体をキャスクに収納するために、これらの使用済燃料集合体のそれぞれの燃焼度及び冷却期間を(3)式及び(4)式に代入することによって、各使用済燃料集合体の放射能及び発熱量をそれぞれ算出するので、これらの計算に要する時間が、短縮される。
【0069】
本実施例は、1つのキャスクに収納するために抽出された所定体数の使用済燃料集合体の、算出したそれぞれの放射能及び発熱量を用いて、そのキャスクの仕様である放射能設定値及び発熱量設定値が満足されるかを判定し、さらに、収納すべき複数の使用済燃料集合体が抽出されて放射能設定値及び発熱量設定値を満足したキャスクの基数が、搬出に要するキャスクの所定基数を満足するかを判定する。このような判定を行う本実施例は、所定基数のそれぞれのキャスク内に収納する複数の使用済燃料集合体を決定する収納計画に要する時間を、短縮することができる。この収納計画を実施するために必要な工数も低減することができる。
【0070】
本実施例は、各使用済燃料集合体の放射能及び発熱量の各算出に要する時間を含め、所定基数のそれぞれのキャスク内に収納する複数の使用済燃料集合体が決定されるまでに要する時間を、短縮することができる。
【0071】
本実施例において所定基数のそれぞれのキャスク内に収納する複数の使用済燃料集合体が決定されるまでに要する時間を、5000体の使用済燃料集合体を対象とした場合に、従来の計算コードを用いて各使用済燃料集合体の放射能及び発熱量を算出することを含む従来の複数の使用済燃料集合体の収納計画に要する時間に比べて、1/1000程度に短縮することができる。
【0072】
本実施例は、上記したような判定を行っている関係上、使用済燃料集合体のキャスクへの収納効率を高めることができる。本実施例は、上記した従来の複数の使用済燃料集合体の収納計画に比べて、使用済燃料集合体のキャスクへの収納効率を約10%高めることができる。使用済燃料集合体の収納効率を高めたキャスクを中間貯蔵施設に搬入して保管した場合には、中間貯蔵施設内での使用済燃料集合体の収納効率を高めることができる。
【0073】
本実施例では、燃焼度の範囲が異なる使用済燃料集合体がそれぞれ配置される複数の収納領域を有して収納領域の数が異なる複数の使用済燃料集合体収納パターンの情報が準備されており、これらの使用済燃料集合体収納パターンのうちから1つの使用済燃料集合体収納パターンを選択できるので、燃焼度の高い使用済燃料集合体があってもキャスク内に収納できる使用済燃料集合体の収納計画を立てることができる。したがって、収納対象とする使用済燃料集合体をより多くキャスク内に収納することができ、キャスク内に収納できない使用済燃料集合体の体数を減らすことができる。
【0074】
本実施例は、特開2008−232718号公報よりも、複数のキャスクへの使用済燃料集合体の収納計画に要する時間を短縮することができ、また、使用済燃料集合体のキャスクへの収納効率を向上させることができる。
【0075】
図2に示す処理を実行するデータ処理装置2は、機能的には、図7に示すハード構成で示したデータ処理装置2Aと等価である。データ処理装置2Aは、第1放射能算出手段8、第1発熱量算出手段9、収納パターン選択手段10、使用済燃料集合体選択手段11、第2放射能算出手段12、第2発熱量算出手段13、放射能・発熱量判定手段14、キャスク基数判定手段15、収納使用済燃料集合体決定手段16、メモリ4及び入出力インタフェース5を有する。
【0076】
入出力インタフェース5が、第1放射能算出手段8、第1発熱量算出手段9、収納パターン選択手段10及びメモリ4に接続される。第1放射能算出手段8が第2放射能算出手段12に接続される。第1発熱量算出手段9が第2発熱量算出手段13に接続される。使用済燃料集合体選択手段11が、収納パターン選択手段10及び放射能・発熱量判定手段14に接続される。放射能・発熱量判定手段14が第2放射能算出手段12及び第2発熱量算出手段13に接続される。キャスク基数判定手段15が、収納パターン選択手段10、放射能・発熱量判定手段14及び収納使用済燃料集合体決定手段16に接続される。メモリ4が、第1放射能算出手段8、第1発熱量算出手段9、収納パターン選択手段10、使用済燃料集合体選択手段11、第2放射能算出手段12、第2発熱量算出手段13、放射能・発熱量判定手段14、キャスク基数判定手段15及び収納使用済燃料集合体決定手段16に接続される。
【0077】
図7に示された使用済燃料集合体収納支援装置1Aは、使用済燃料集合体収納支援装置1と等価であり、データ処理装置2A、表示装置6及び入力装置7を有する。表示装置6及び入力装置7が入出力インタフェース5に接続される。
【0078】
図2に示されたステップS1,S2及びS5における各情報の入力は、入力装置7で行われ、入力された各情報が、メモリ4に記憶される。第1放射能算出手段8が図2に示されたステップS3の処理を行い、第1発熱量算出手段9が図2に示されたステップS4の処理を行う。収納パターン選択手段10が図2に示されたステップS6の処理を実行する。使用済燃料集合体選択手段11が、収納パターン選択手段10で選択された収納パターンの情報を用いて、図2に示されたステップS7の処理を実行する。
【0079】
第2放射能算出手段12が図2に示されたステップS8の処理を行い、第2発熱量算出手段13が図2に示されたステップS9の処理を行う。放射能・発熱量判定手段14が図2に示されたステップS10の判定を行い、この判定が「No」のとき、使用済燃料集合体選択手段11による、1つのキャスクに収納する使用済燃料集合体の抽出をやり直す。使用済燃料集合体選択手段11は、放射能・発熱量判定手段14で実行されるステップS11の判定が「Yes」になるまで、それぞれのキャスクごとに、収納する複数の使用済燃料集合体を抽出する。
【0080】
放射能・発熱量判定手段14で実行されたステップS11の判定が「Yes」になったとき、キャスク基数判定手段15で、図2に示されたステップS12及びS13の処理を実行する。キャスク基数判定手段15が、ステップS12の処理を実行し、ステップS10でキャスクの識別番号を付した使用済燃料集合体のグループの数、すなわち、キャスクの基数を求める。キャスク基数判定手段15が、このキャスクの基数がステップS2で入力したキャスクの搬出基数を満足しているかを判定する。この判定が「No」であるとき、収納パターン選択手段10で、例えば、他の収納パターンも選択し、使用済燃料集合体選択手段11、第2放射能算出手段12、第2発熱量算出手段13、放射能・発熱量判定手段14及びキャスク基数判定手段15での処理が再度行われる。キャスク基数判定手段15におけるステップS13の判定が「Yes」になったとき、収納使用済燃料集合体決定手段16が、図2に示されたステップS14の処理を実行し、キャスクに収納する複数の使用済燃料集合体を、キャスクごとに決定する。
【0081】
使用済燃料集合体収納支援装置1Aも使用済燃料集合体収納支援装置1で生じる効果を得ることができる。
【実施例2】
【0082】
本発明の他の実施例であるキャスクへの使用済燃料集合体の収納方法を、図12を用いて説明する。本実施例の収納方法は、沸騰水型原子力プラントに対して適用された例である。
【0083】
本実施例の収納方法に用いられる燃料集合体収納装置を、図12を用いて説明する。この燃料集合体収納装置20は、燃料移送装置21及び制御装置25を備えている。燃料移送装置21は、走行台車22、横行台車23及び燃料把持装置(図示せず)を有する。走行台車22は、燃料貯蔵プール29の一方向(X方向という)に伸びて燃料貯蔵プール29を間に挟んで運転床上に設けられるガイドレール28A,28B上に移動可能に配置される。走行台車22は、走行台車22に設けられた第1駆動装置(図示せず)によってX方向に移動される。横行台車23は走行台車22上に走行台車22の長手方向に設置された一対のガイドレール(図示せず)上に配置される。横行台車23は、横行台車23に設けられた第2駆動装置(図示せず)によって、X方向と直交するY方向に移動される。燃料把持装置は横行台車23に取り付けられ、使用済燃料集合体を掴む燃料掴み部(図示せず)を有する。この燃料掴み部は、使用済燃料集合体を掴み、横行台車23に設けられた第3駆動装置(図示せず)により上下方向に移動される。燃料移送装置21としては、沸騰水型原子力プラントで、通常、燃料交換において使用される燃料交換機が用いられる。図12に示す燃料貯蔵プール29は、上方より見た状態を示している。
【0084】
制御装置25及び記憶装置26は、原子炉建屋内の運転床上に設けられた燃料制御室24内に配置されている。記憶装置26は制御装置25に接続される。
【0085】
沸騰水型原子力プラントにおいては、燃料貯蔵プール29は、原子炉建屋内で原子炉を収納する原子炉格納容器よりも上方に配置される。燃料貯蔵ラック30が燃料貯蔵プール29内に設置されている。燃料貯蔵プール29内には冷却水が充填されており、燃料貯蔵ラック30はその冷却水中に配置される。原子炉から取り出された使用済燃料集合体31は、原子炉上方の原子炉ウェル(図示せず)内で燃料貯蔵プール29と同じレベルまで引き上げられ、水平方向に移動してゲート32を通って燃料貯蔵プール29内に移送される。さらに、この使用済燃料集合体31は、燃料貯蔵ラック30の、所定の位置、例えば、位置P1(X1,Y1)に挿入されて貯蔵される。貯蔵されている間、燃料貯蔵ラック30内で冷却水によって冷却される。このような使用済燃料集合体31の原子炉からの取り出し及び上記所定位置までの移送は、制御装置25で制御される、燃料交換機である燃料移送装置21によって行われる。制御装置25は、第1駆動装置、第2駆動装置及び第3駆動装置のそれぞれの駆動及び停止を制御する。走行台車22、横行台車23及び燃料掴み部が、それらの制御によって所定の方向に移動される。
【0086】
燃料貯蔵プール29内の各使用済燃料集合体に対して、個々の使用済燃料集合体を認識するために燃料IDが与えられている。この燃料IDを用いることによって、燃焼度及び燃料貯蔵プール29に搬入された時点(年月日)、及び燃料貯蔵プール29内での保管位置等の情報を、使用済燃料集合体毎に管理することができる。各使用済燃料集合体に対するそれらの情報は、記憶装置26に記憶されている。各使用済燃料集合体の燃料貯蔵プール29内での保管位置の情報は、第1駆動装置及び第2駆動装置にそれぞれ設けられた各エンコーダによって得ることができる。
【0087】
原子炉から取り出された使用済燃料集合体が収納された燃料貯蔵ラック30内の位置、例えば、位置P1(X1,Y1)の情報も、前述の各エンコーダによって得られる。位置P1(X1,Y1)の情報も燃料IDに対応付けて記憶装置26に記憶されている。燃料貯蔵ラック30内に収納されている各使用済燃料集合体は、該当する燃料IDで記憶装置26に記憶されている情報を検索することによって、その燃料IDが付与された使用済燃料集合体に対する燃焼度及び燃料貯蔵プール29に搬入された時点等の情報を得ることができる。
【0088】
燃料貯蔵プール29は、例えば、一つのコーナ部にキャスクピット33を設けている。キャスクピット33は、開口部34を除いてコンクリート側壁で取り囲まれている。使用済燃料集合体31が収納されるキャスク(例えば、金属キャスク)35が、キャスクピット33内で冷却水中に配置される。
【0089】
このキャスク35内に使用済燃料集合体31を収納することを例に挙げて、キャスクへの使用済燃料集合体の収納方法を、以下に説明する。実施例1で述べた使用済燃料集合体収納支援装置1(図12参照)を用いて、図2に示す処理手順、すなわち、ステップS1〜S14によって使用済燃料集合体31の収納計画が実行され、複数基数(例えば、75基)のキャスク35のそれぞれに収納する複数(例えば、5175体)の使用済燃料集合体31が決定される。この結果、使用済燃料集合体収納支援装置1によって、キャスクの識別番号、収納する複数の使用済燃料集合体31の各燃料ID及びキャスク内で使用済燃料集合体31が配置されるR1及びR2等の領域コードを含む使用済燃料集合体収納情報を、キャスクごとに得ることができる。使用済燃料集合体収納支援装置1において、CPU3が、メモリ4に記憶された、複数のキャスクに関する使用済燃料集合体収納情報を、CD-ROM27に登録する。
【0090】
上記した沸騰水型原子力プラントが設置された原子力発電所には、例えば、1号機及び2号機の2基の沸騰水型原子力プラントが設置されているとする。CD-ROM27に登録された使用済燃料集合体収納情報が、2基の沸騰水型原子力プラントの制御装置25に入力され、記憶装置26に登録される。
【0091】
2基の沸騰水型原子力プラントにおいて、それぞれ、キャスク35内に使用済燃料集合体31を収納する作業を実施することを想定する。1つのキャスク35内に収納する複数の使用済燃料集合体31が、これらの沸騰水型原子力プラントの燃料貯蔵プール29内にそれぞれ貯蔵されている場合には、キャスク35内への使用済燃料集合体31の収納作業の実施前に、燃料輸送容器を用いて、これらの沸騰水型原子力プラントの燃料貯蔵プール間で使用済燃料集合体を移送し、1つのキャスク35内に収納する複数の使用済燃料集合体が、一方の沸騰水型原子力プラントの燃料貯蔵プール29に集まるようにする。
【0092】
2基の沸騰水型原子力プラントでは、使用済燃料集合体収納情報を用いて、並行してキャスク35内への使用済燃料集合体の収納作業が行われる。一方の沸騰水型原子力プラントで行われる使用済燃料集合体の収納作業を、代表して説明する。
【0093】
前述のステップS5で指定した種類の、空のキャスク35が、キャスクピット33内に置かれている。制御装置25は、1つのキャスクの識別番号、及びこの識別番号に対応した、収納する複数の使用済燃料集合体31の各燃料ID及び各使用済燃料集合体31の領域コードを、記憶装置26から入力する。制御装置25が、キャスク35内に収納すべき各使用済燃料集合体31をこれらの燃料IDに基づいて、走行台車22、横行台車23及び燃料把持装置を制御し、燃料貯蔵ラック30内に保管されている該当する使用済燃料集合体31を、燃料掴み部で順次掴み、走行台車22及び横行台車23の移動によってキャスク35の位置まで移送される。そして、これらの使用済燃料集合体31が、領域コードで指定された、キャスク35内の所定の領域に順次収納される。
【0094】
該当する全ての使用済燃料集合体31を所定の領域に収納したキャスク35は、原子炉建屋内の天井クレーン(図示せず)を用いてキャスクピット33から引き出され、原子炉建屋内の所定の位置まで搬送される。その位置で、キャスク35内の冷却水が排出され、外胴の上端に蓋が取り付けられてキャスク35が密封される。
【0095】
上記した使用済燃料集合体31のキャスク35内への収納作業が、所定の基数のキャスク35に対して行われる。使用済燃料集合体31が収納されて密封されたキャスク35が、原子力発電所から、例えば、中間貯蔵施設に搬送され、中間貯蔵施設内で再処理施設に搬送されるまでの期間、貯蔵される。
【0096】
本実施例も、使用済燃料集合体収納支援装置1を用いて、使用済燃料集合体のキャスクへの収納計画を事前に立てているので、実施例1で生じる各効果を得ることができる。キャスク35内への使用済燃料集合体31の収納効率が向上するので、中間貯蔵施設における使用済燃料集合体35の収納効率が向上する。
【0097】
使用済燃料集合体収納支援装置1を制御装置25に信号伝送線に接続してもよい。このような構成では、使用済燃料集合体収納支援装置1で作成した使用済燃料集合体収納情報を、CD-ROM27ではなく信号伝送線を介して制御装置25に入力することができる。
【0098】
加圧型原子力プラント等の他の原子力プラントにおいても、使用済燃料集合体収納支援装置1で作成された使用済燃料集合体収納情報を用いてキャスク内への使用済燃料集合体の収納作業を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、使用済燃料集合体の収納容器内への収納作業に適用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1,1A…使用済燃料集合体収納支援装置、2,2A…データ処理装置、3…中央処理装置、4…メモリ、8…第1放射能算出手段、9…第1発熱量算出手段、10…収納パターン選択手段、11…使用済燃料集合体選択手段、12…第2放射能算出手段、13…第2発熱量算出手段、14…放射能・発熱量判定手段、15…キャスク基数判定手段、16…収納使用済燃料集合体決定手段、20…燃料集合体収納装置、21…燃料移送装置、22…走行台車、23…横行台車、24…燃料制御室、25…制御装置、29…燃料貯蔵プール、31…使用済燃料集合体、35…キャスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された複数基のキャスク内に収納する、収納対象の複数の使用済燃料集合体ごとに、放射能及び発熱量を、演算処理装置により、それぞれの前記使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間に基づいて算出する第1ステップ、
前記キャスク内に収納する複数の使用済燃料集合体を、前記演算処理装置により、前記収納対象の複数の使用済燃料集合体から選択する第2ステップ、
選択された前記複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおける前記キャスクの放射能を、前記演算処理装置により、前記選択された使用済燃料集合体のそれぞれに対して算出された前記放射能を用いて算出する第3ステップ、
前記選択された複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおける前記キャスクの発熱量を、前記演算処理装置により、前記選択された使用済燃料集合体のそれぞれに対して算出された前記発熱量を用いて算出する第4ステップ、及び
前記選択された複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおける前記キャスクの前記放射能が前記キャスクの放射能設定値以下で、前記選択された複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおける前記キャスクの前記発熱量が前記キャスクの発熱量設定値以下になっている、前記選択された複数の使用済燃料集合体が収納される前記キャスクの基数が、前記演算処理装置により、前記指定された複数基を満足しているかを判定する第5ステップを有し、
前記第5ステップで、前記放射能設定値及び前記発熱量設定値以下になっている前記キャスクの基数が、前記指定された複数基を満足すると判定されたとき、前記キャスクごとに、収納する複数の前記使用済燃料集合体を決定することを特徴とする使用済燃料集合体の収納支援方法。
【請求項2】
入力装置によって入力された情報に基づいて、燃焼度の範囲が異なる使用済燃料集合体がそれぞれ配置される複数の収納領域を有する使用済燃料集合体収納パターンを、前記演算処理装置により、選択し、前記第2ステップにおける前記使用済燃料集合体の選択が、前記収納領域ごとに行われる請求項1に記載の使用済燃料集合体の収納支援方法。
【請求項3】
前記第5ステップで、前記放射能設定値及び前記発熱量設定値以下になっている前記キャスクの基数が、前記指定された複数基を満足していないと判定されたとき、前記第2ステップ、前記第3ステップ、前記第4ステップ及び前記第5ステップが実行される請求項1または2に記載の使用済燃料集合体の収納支援方法。
【請求項4】
前記燃焼度をBU、前記冷却期間をCT、前記放射能をA、前記発熱量をH及び定数をα1,α2,β1及びβ2としたとき、前記第1ステップにおける前記使用済燃料集合体ごとの前記放射能の算出がA=α1・BU・e−β1・CTを用いて行われ、前記第1ステップにおける前記使用済燃料集合体ごとの前記発熱量の算出が
H=α2・BU・e−β2・CTを用いて行われる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の使用済燃料集合体の収納支援方法。
【請求項5】
指定された複数基のキャスク内に収納する、収納対象の複数の使用済燃料集合体ごとに、放射能を、それぞれの前記使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間に基づいて算出する第1放射能算出手段と、
前記指定された複数基のキャスク内に収納する、収納対象となる前記複数の使用済燃料集合体ごとに、発熱量を、それぞれの前記使用済燃料集合体の前記燃焼度及び前記冷却期間に基づいて算出する第1発熱量算出手段と、
前記キャスク内に収納する複数の使用済燃料集合体を前記収納対象となる複数の使用済燃料集合体から選択する使用済燃料集合体選択手段と、
選択された前記複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおける前記キャスクの放射能を、前記第1放射能算出手段で算出された、前記選択された使用済燃料集合体のそれぞれの前記放射能を用いて算出する第2放射能算出手段と、
前記選択された複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおける前記キャスクの発熱量を、前記第1発熱量算出手段で算出された、前記選択された使用済燃料集合体のそれぞれの前記発熱量を用いて算出する第2発熱量算出手段と、
前記第2放射能算出手段で算出された前記キャスクの放射能が前記キャスクの放射能設定値以下であって、選択された複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおける前記キャスクの前記発熱量が前記キャスクの発熱量設定値以下になっている、前記選択された複数の使用済燃料集合体が収納される前記キャスクの基数が、前記指定された複数基を満足しているかを判定するキャスク基数判定手段と、
前記キャスク基数判定手段で、前記放射能設定値及び前記発熱量設定値以下になっている前記キャスクの基数が、前記指定された複数基を満足すると判定されたとき、前記キャスクごとに、収納する複数の前記使用済燃料集合体を決定する使用済燃料集合体決定手段とを備えたことを特徴とする使用済燃料集合体の収納支援装置。
【請求項6】
指定された複数基のキャスク内に収納する、収納対象の複数の使用済燃料集合体ごとに、放射能及び発熱量を、演算処理装置により、それぞれの前記使用済燃料集合体の燃焼度及び冷却期間に基づいて算出する第1ステップ、
前記キャスク内に収納する複数の使用済燃料集合体を、前記演算処理装置により、前記収納対象の複数の使用済燃料集合体から選択する第2ステップ、
選択された前記複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおける前記キャスクの放射能を、前記演算処理装置により、前記選択された使用済燃料集合体のそれぞれに対して算出された前記放射能を用いて算出する第3ステップ、
前記選択された複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおける前記キャスクの発熱量を、前記演算処理装置により、前記選択された使用済燃料集合体のそれぞれに対して算出された前記発熱量を用いて算出する第4ステップ、及び
前記選択された複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおける前記キャスクの前記放射能が前記キャスクの放射能設定値以下で、前記選択された複数の使用済燃料集合体が収納されたときにおける前記キャスクの前記発熱量が前記キャスクの発熱量設定値以下になっている、前記選択された複数の使用済燃料集合体が収納される前記キャスクの基数が、前記演算処理装置により、前記指定された複数基を満足しているかを判定する第5ステップを有し、
前記第5ステップで、前記放射能設定値及び前記発熱量設定値以下になっている前記キャスクの基数が、前記指定された複数基を満足すると判定されたとき、前記キャスクごとに、収納する複数の前記使用済燃料集合体を決定し、
決定された、前記キャスクごとに収納する前記使用済燃料集合体の情報に基づいて、燃料貯蔵プール内の使用済燃料集合体を前記キャスクに収納することを特徴とするキャスクへの使用済燃料集合体の収納方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−18023(P2012−18023A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154485(P2010−154485)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)