説明

便器洗浄水タンク

【課題】手洗い付き便器洗浄水タンクにおいて、手洗い吐水管から吐水された洗浄水が手洗い鉢の吐水口下端から周囲に飛び散るという問題があった。そこで、安価で確実に洗浄水の飛び散りを防止できる便器洗浄水タンクを提供する。
【解決手段】本発明は、便器本体に固定される便器洗浄水タンクであって、その上面に手洗い鉢が形成されると共に前記手洗い吐水管からの洗浄水を前記内装タンクへ給水する第1の吐水口が形成された外蓋と、第1の吐水口からの洗浄水を前記内装タンクへ給水する第2の吐水口が形成された内蓋と、を有し、第1の吐水口は外蓋の裏面より下方に突出するように形成され、第2の吐水口は内蓋の上面より上方に突出するように形成され、第2の吐水口の内径は第1の吐水口の外径より大きく、且つ第2の吐水口の上端は、第1の吐水口の下端より上側に位置していることを特徴とする便器洗浄水タンクとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗大便器と共に使用される便器洗浄水タンクに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、便器洗浄水タンクは、外装タンクとその内側に配置された内装タンクの2つのタンクによって2重構造となっており、使用者が排泄後に手洗いを行えるように、外装タンク上部に手洗い吐水管及び手洗い鉢を設けている。
【0003】
図8に示すような従来の便器洗浄水タンクにおいては、手洗い吐水管7から吐水された洗浄水を、手洗い鉢6aの吐水口6bを介して内装タンク4内へと導く際に発生する「洗浄水の飛び跳ね」を防止するため、手洗い鉢6aが形成された外蓋6の裏面側にリブ11が形成されている。「洗浄水の飛び跳ね」の発生現象は、手洗い鉢6aの吐水口6bから洗浄水が勢い良く吐水されることによって、手洗い鉢6aの吐水口6b下端から洗浄水が直接周囲に飛び散ったりして、内装タンク4と外装タンク5との間に流入し、タンク下端から流出して機外漏水につながるという現象であり、手洗い鉢6aが形成された外蓋6の裏面側に形成されたリブ11が「洗浄水の飛び跳ね」を防止している。(特許文献1参照)
【0004】
しかし、前記のような構成の便器洗浄水タンクにあっては、リブ11を含む外蓋6は陶器製のものが一般的であり、形状及び寸法にバラツキが発生しやすい。したがって、リブ11の形状及び寸法によっては、「洗浄水の飛び跳ね」を防止する効果を十分に発揮できないという問題もあった。また、外蓋6に、このようなリブ11を設けること自体、製造上困難であり製造コストを増加させるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−236276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、外装タンク又は外蓋の形状・寸法にバラツキが生じようとも、「洗浄水の飛び跳ね」を防止し、手洗い吐水管から吐水された洗浄水を確実に内装タンク内へと導く便器洗浄水タンクを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。すなわち、本発明の第1の便器洗浄水タンクは、便器本体に固定された便器洗浄水タンクであって、外装タンクと、前記外装タンク内に装着され前記便器本体を洗浄するための洗浄水を溜める内装タンクと、前記内装タンクへ洗浄水を供給すると共に手洗いのための洗浄水を吐水する手洗い吐水管と、前記外装タンクの上方に着脱自在に載置され、その上面に手洗い鉢が形成されると共に前記手洗い吐水管からの洗浄水を前記内装タンクへ給水する第1の吐水口が形成された外蓋と、前記内装タンクの上方に着脱自在に載置され、前記第1の吐水口からの洗浄水を前記内装タンクへ給水する第2の吐水口が形成された内蓋と、を有し、前記第1の吐水口は前記外蓋の裏面より下方に突出するように形成され、前記第2の吐水口は前記内蓋の上面より上方に突出するように形成され、前記第2の吐水口の内径は前記第1の吐水口の外径より大きく、且つ前記第2の吐水口の上端は、前記第1の吐水口の下端より上側に位置していることを特徴とする。
【0008】
このような構成とすることにより、手洗い吐水管から吐水された洗浄水が外蓋の第1の吐水口を介して内装タンク内へと流下する際に、第1の吐水口下端から直接周囲に飛び散る「洗浄水の飛び跳ね」が発生したとしても、第2の吐水口の上端が第1の吐水口の下端より上側に位置しているため、飛散した洗浄水が第2の吐水口の内壁に衝突し、内装タンク内へと滴下させることができる。
【0009】
また、本発明の第2の便器洗浄水タンクは、便器本体に固定される便器洗浄水タンクであって、外装タンクと、前記外装タンク内に装着され前記便器本体を洗浄するための洗浄水を溜める内装タンクと、前記内装タンクへ洗浄水を供給すると共に手洗いのための洗浄水を吐水する手洗い吐水管と、前記外装タンクの上方に着脱自在に載置され、その上面に手洗い鉢が形成されると共に前記手洗い吐水管からの洗浄水を前記内装タンクへ給水する第1の吐水口が形成された外蓋と、前記内装タンクの上方に着脱自在に載置され、前記第1の吐水口からの洗浄水を前記内装タンクへ給水する第2の吐水口が形成された内蓋と、を有し、前記第2の吐水口は前記内蓋の上面より上方に突出するように形成され、前記第2の吐水口の内径は前記第1の吐水口の内径より大きく形成され、前記内蓋には前記第2の吐水口の上端位置を上下方向に移動させる弾性部が形成され、前記弾性部の弾性により前記内蓋の第2の吐水口が前記外蓋の裏面に当接することを特徴とする。
【0010】
このような構成とすることにより、「洗浄水の飛び跳ね」が発生したとしても、飛散した洗浄水が第2の吐水口の外に流出する隙間がないため、内装タンク内に確実に流下させることができる。
【0011】
また、内蓋には、第2の吐水口の上端位置を上下方向に移動させる弾性部が形成されているため、外装タンク又は外蓋の形状・寸法にバラツキが生じたとしても、弾性部によってそのバラツキを吸収でき、前記第2の吐水口を確実に外蓋の裏面に当接させることができる。
【0012】
本発明の第2の便器洗浄水タンクにおいては、「洗浄水の飛び跳ね」の他に、外蓋の裏面側への「洗浄水の駆け上がり」による機外漏水も防止する。「洗浄水の駆け上がり」現象は、手洗い吐水が終わる直前に、手洗い吐水管から吐水された勢いの弱い洗浄水が、手洗い鉢の吐水口に直接流入せず吐水口付近の手洗い鉢上面に衝突し、その後、吐水口内へ流入する。流入した洗浄水は吐水口の内壁を伝わり、吐水口の下端付近でそこで発生する表面張力により一時的に滞留する。その滞留している洗浄水に後から吐水口に流入してきた洗浄水が衝突することにより、洗浄水は手洗い鉢が形成された外蓋の裏面側を伝って駆け上がり、内装タンクと外装タンクとの間に洗浄水が流入し機外漏水につながるという現象である。
この「洗浄水の駆け上がり」についても、第2の吐水口が外蓋の裏面に当接しているため、外蓋の裏面を伝った洗浄水が第2の吐水口の外に流出することがなく、機外漏水を確実に防止することができる。
【0013】
また、本発明の第2の便器洗浄水タンクにおいて、前記弾性部は、前記内蓋において前記第2の吐水口の周囲に形成された2つの切欠き溝と、その切欠き溝が前記第2の吐水口の中央軸を挟んで対称的に配置されることによって形成された支持弾性片部から構成されていることが望ましい。
【0014】
このような構成とすることにより、前記弾性部を他の部材を使って形成する必要がなくなり、生産コストを抑えることができる。また、支持弾性片部を形成する際の切欠き溝により、洗浄水が第2の吐水口の外に流出したとしても、この切欠き溝から内装タンク内へと導くことができる。
【0015】
また、本発明の第2の便器洗浄水タンクにおいて、前記弾性部は、前記第2の吐水口に設けられた蛇腹部であってもよい。
このような構成とすることにより、前記弾性部を簡易な構造で形成することができる。
【0016】
またさらに本発明の第1、第2の便器洗浄水タンクにおいて、内蓋の周囲には、上方に突出した立上がり壁が形成されていることが望ましい。このような構成とすることにより、第1の吐水口下端で「洗浄水の飛び跳ね」が発生し、第2の吐水口でその飛散を抑えきれなかったとしても、前記立上がり壁で確実に抑えることができ、機外漏水を防止することができる。また、「洗浄水の駆け上がり」などにより、洗浄水が外蓋の裏面から内蓋の上面へと滴下したとしても、立上がり壁の外へ流出することがなく、機外漏水を防止することができる。
【0017】
またさらに本発明の第2の便器洗浄水タンクにおいて、前記支持弾性片部は、前記第2の吐水口を基準として遠い側から近い側へ向けて、上方へと傾斜していることが望ましい。
【0018】
このような構成とすることにより、前記支持弾性片部の長さを長くすることができ、前記第2の吐水口の上下方向の変位を大きくすることができる。よって、外蓋又は外装タンクの形状・寸法に大きなバラツキがあった場合でも、それを第2の吐水口が変位することで吸収でき、前記第2の吐水口を前記外蓋の裏面に確実に当接させることができる。よって、「洗浄水の飛び跳ね」または「洗浄水の駆け上がり」による機外漏水を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、手洗い吐水管から吐水された洗浄水が外蓋の第1の吐水口を介して内装タンクへと流下する際に、第1の吐水口下端から直接周囲に飛び散る「洗浄水の飛び跳ね」を防止する。よって、内装タンクと外装タンクとの間に洗浄水が流入することを防止し、機外漏水を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態である便器洗浄水タンク付き便器の斜視図である。
【図2】図1のタンク上部の部分拡大縦断面図である。
【図3】図1のタンク上部の部分拡大横断面図である。
【図4】内装タンクの内蓋の平面図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】図4のB−B断面図である。
【図7】内蓋の第2の吐水口の変形例である。
【図8】従来の便器洗浄水タンクの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態である便器洗浄水タンク付き便器の斜視図であり、図2は図1のタンク上部の部分拡大縦断面図であり、図3は図1のタンク上部の部分拡大横断面図である。
【0022】
図1、図2で示すように、本実施形態の便器洗浄水タンク1は便器本体2の後側上面に図示しない固定手段によって取り付けられている。便器洗浄水タンク1は、外装タンク15とその内側に載置されている内装タンク17の2つのタンクによって、2重構造になっており、内装タンク17に貯水された洗浄水の温度を外装タンク15に直接伝わらないようにして、外装タンク15の結露を防止する構成になっている。前記外装タンク15の上方には外蓋16が着脱自在に載置されている。外蓋16には、手洗いのための洗浄水を吐水する手洗い吐水管14が固定されており、外蓋16の上面はその洗浄水を受けるための手洗い鉢16aになっている。手洗い鉢16aには、手洗い鉢16aで受けた洗浄水を内装タンク17内に流下させるための第1の吐水口16bが形成されている。
【0023】
また、内装タンク17の上方には、内蓋18が着脱自在に載置されている。その内蓋18には、第1の吐水口16bと対向する位置に第2の吐水口18aが形成されている。ここで、第1の吐水口16bは外蓋16の裏面から下方に突出するように略円筒形状に形成されており、第2の吐水口18aは内蓋18の上面から上方に突出するように略円筒形状に形成されている。なお、本実施形態では、第1の吐水口16b及び第2の吐水口18aを略円筒形状としたが、本発明は、これに限られるものではなく、その開口断面形状が矩形のものやその他の形状のものであってもよい。また、第2の吐水口18aの内径は、第1の吐水口16bの外径より大きな径で形成され、前記第2の吐水口18aの内側に前記第1の吐水口16bを配置し、第2の吐水口18aの上端は外蓋16の裏面に当接するように配置されている。
【0024】
次に、図3に基づき、更に詳細に説明する。
内蓋18の第2の吐水口18aは、弾性を有した支持弾性片部21で支持されている。支持弾性片部21は、第2の吐水口18aを基準として遠い側から近い側へ向けて、上方へと傾斜するように形成されている。この支持弾性片部21の傾斜と、第2の吐水口18aを上方に突出させた形状にしたことにより、第2の吐水口18aの上端部の位置をより上方の位置にすることができる。よって、外蓋16を外装タンク15上に載置する際には、まず第2の吐水口18a上端が外蓋16の裏面に当接することになる。その後、外蓋16が外装タンク15上に載置されるまでは、第2の吐水口18a上端が外蓋16の裏面より下方向に押圧され続け、載置された時点では載置される前よりも第2の吐水口18aの位置が低い位置へと変位している。これは、前記第2の吐水口18aを支持する支持弾性片部21が弾性変形することにより可能にしている。この時、支持弾性片部21が、第2の吐水口18aを基準として遠い側から近い側へ向けて、上方に傾斜するように形成されることで、傾斜しない場合に比べ、支持弾性片部21の長さを長くすることができ、第2の吐水口18aにおける上下方向の許容可能な変位量(ストローク)を大きくすることができる。よって、外蓋16又は外装タンク15の形状・寸法に大きなバラツキが生じた場合も、そのバラツキを吸収することができる。
【0025】
なお、外蓋16を外装タンク15上に載置した時点では、第2の吐水口18aの上端が外蓋16の裏面に対して上方向に押圧している状態になるが、外蓋16は通常陶器等の比較的重い材料でできているため、外蓋16を載置した後で勝手にずれることがない。
【0026】
次に、図4乃至図6に基づき、内装タンク17に載置される内蓋18の詳細について説明する。なお、図4は、内蓋18の平面図であり、図5は図4のA−A断面図、図6は図4のB−B断面図である。
【0027】
内蓋18の略中央には、上方に突出するように略円筒形状の第2の吐水口18aが形成されている。また、内蓋18の周囲には、立上がり壁19が形成されている。したがって、立上がり壁19と第2の吐水口18aとの間の空間は、浅い桶状になっており、一段低く形成されている。また、第2の吐水口18aの周囲には2つの細長い切欠き溝20が形成されており、その2つの切欠き溝20が第2の吐水口18aの中心軸に対して対称になるように内蓋18の長手方向にまで延びている。ここで、長手方向に延びる2つの切欠き溝20に挟まれた部分が支持弾性片部21であり、第2の吐水口18aを支持する部分となっている。
【0028】
前記外蓋16を外装タンク15上に載置する際は、前記第2の吐水口18aが外蓋16に下方向に押圧され、所定距離だけ沈み込むことになるが(図2のCで示した状態からDで示した状態になる)、この支持弾性片部21が弾性変形することで、それを可能にしている。なお、載置が完了した時点からは、前記支持弾性片部21は弾性変形した状態を維持することになるため、前記第2の吐水口18aには上方向の反発力が働き、前記第2の吐水口18a上端が前記外蓋16の裏面に当接した状態を維持する。
【0029】
また、前記支持弾性片部21を切欠き溝20によって形成しているため、立上がり壁19と第2の吐水口18aとの間の空間に流れ込んだ洗浄水を内装タンク17内へ導く役割も果たす。したがって、仮に前記第1の吐水口16bから流下してきた洗浄水が、「洗浄水の飛び跳ね」や「洗浄水の駆け上がり」により第2の吐水口の外に流出したとしても、この立上がり壁19と切欠き溝20によって、それ以上の流出を抑え、内装タンク17内へと確実に導くことができる。
【0030】
次に、上述した構成に基づく動作について説明する。
使用者がロータンク側面にある洗浄レバー13を操作すると、排水弁装置22の排水弁(図示せず)が開くと共に内装タンク17内に貯水された洗浄水が便器本体2へ流れ出し、汚物を排水配管(図示せず)に排出する。内装タンク17内の洗浄水が減少すると、貯水された洗浄水量を元に戻すために、給水部(図示せず)から洗浄水が供給される。この時、給水部からの洗浄水は内装タンク17内へ供給されると共に、手洗いに供するための手洗い吐水管14に供給される。手洗い吐水管14から吐水された洗浄水は、外蓋16に形成された手洗い鉢16aで一旦受け、第1の吐水口16bを通過し、内蓋18を経て内装タンク17に貯水される。そして、所定の貯水が完了すると給水部からの給水を停止し、次回の使用者が洗浄水を供給する操作を待つことになる。
【0031】
手洗い吐水管14から吐水された洗浄水は、外蓋16の取付状態や所定の水圧条件等によって、第1の吐水口16bの中央部をそのまま通過しない限りは、必ず手洗い鉢16aで一旦受けることになる。手洗い鉢16aで一旦受けた洗浄水は、第1の吐水口16bの内壁面を伝わり、第1の吐水口16b下端まで到達する。
【0032】
本実施形態では、内蓋18の第2の吐水口18aの内径は外蓋16の第1の吐水口16bの外径より大きく、且つ第2の吐水口18aの上端は、第1の吐水口16bの下端より上側に位置するように構成されている。これにより、洗浄水が第1の吐水口16b下端より周囲に飛び散ったとしても、第1の吐水口16bの周囲には第2の吐水口18aが配置されているため、飛散した洗浄水は第2の吐水口18aの内壁に衝突し、内装タンク17内へと滴下させることができる。
【0033】
また本実施形態では、第2の吐水口18aの上端を外蓋16の裏面に当接させている。これにより、洗浄水供給終了直前で勢いが弱くなった洗浄水が、第1の吐水口16b下端から、その表面張力でもって外蓋16の裏面を伝って駆け上がったとしても、その洗浄水を第2の吐水口18aの外へは流出させないようにしている。
【0034】
特に本実施形態では、第2の吐水口18aの周囲に弾性部を設け、第2の吐水口18aが確実に外蓋16の裏面に当接するように構成されている。これにより、外蓋16にバラツキが生じたとしても、そのバラツキに関係なく第2の吐水口18aを確実に外蓋16の裏面に当接させることができる。
【0035】
また、前記弾性部は、内蓋18において第2の吐水口18aの周囲に2つの切欠き溝20を形成し、切欠き溝20によって形成された支持弾性片部21を弾性変形できるようにして構成されている。これにより、簡易な構造で弾性部を形成でき、仮に第2の吐水口18a外に洗浄水が飛散したとしても、飛散した洗浄水を切欠き溝20から内装タンク17へと導くことができる。
【0036】
また、前記支持弾性片部21は、第2の吐水口18aを基準として遠い側から近い側へ向けて、上方に傾斜するように構成されている。これにより、支持弾性片部21の長さを長くすることができ、支持弾性片部21の弾性変形量を大きくすることができる。よって、この支持弾性片部21によって支持された第2の吐水口18aの上下方向の変位量も大きくすることができ、外装タンク15又は外蓋16のバラツキが大きな場合もそのバラツキを吸収できるようになっている。
【0037】
また、内蓋18の周囲には、前記第2の吐水口18aを取り囲むように立上がり壁19が形成されている。そして、外蓋16を外装タンク15上に載置した時点においては、この立ち上がり壁19の上端は第1の吐水口16bの下端より上側に位置している。これにより、仮に洗浄水が第2の吐水口18aの外に飛散したとしても、立上がり壁19でそれを遮断でき、確実に洗浄水の飛散を防止できる。また、立上がり壁19を形成することで、立上がり壁19と第2の吐水口18aとの間の空間を、浅い桶状にすることができ、そこに溜まった洗浄水は、切欠き溝20を介して内装タンク17内へと流下させることができる。よって、飛散した洗浄水を立上がり壁19と第2の吐水口18aとの間の空間で一旦貯め、そこから確実に内装タンク17内へと導くことができる。
【0038】
なお、本実施形態における外装タンク15及び外蓋16は、外観品位、強度、表面硬度の観点から陶器でできており、内装タンク17及び内蓋18は樹脂でできているが、外装タンク15及び外蓋16に生じる形状・寸法のバラツキは、樹脂製の支持弾性片部21で局所的に吸収するようにしているので、内蓋18全体が歪んで、勝手に内装タンク17から外れるようなことがない。
また、本実施形態では、内装タンクの第2の吐水口18aの上端部が外蓋16の裏面に必ず当接するような形態のみを説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、外装タンク15又は外蓋16の形状によっては、当接しない形態も含む。
【0039】
なお、本実施形態の内蓋18と第2の吐水口18aは一体成形されたものを示したが、図7に示すように第2の吐水口18aを内蓋18とは別体で成形したものであってもよい。このような場合は、第2の吐水口18aを面テープ24等で内蓋18に接着させることができる。
さらに、本実施形態において、弾性部は切欠き溝20によって形成された支持弾性片部21で構成したが、これに限らず、図7に示すように第2の吐水口18aに設けられた蛇腹部23であってもよい。このような構成とすることで、簡易な構造で弾性部を形成することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 便器洗浄水タンク
2 便器本体
4 内装タンク
5 外装タンク
6 外蓋
6a 手洗い鉢
6b 吐水口
7 手洗い吐水管
11 リブ
13 洗浄レバー
14 手洗い吐水管
15 外装タンク
16 外蓋
16a 手洗い鉢
16b 第1の吐水口
17 内装タンク
18 内蓋
18a 第2の吐水口
19 立上がり壁
20 切欠き溝
21 支持弾性片部
22 排水弁装置
23 蛇腹部
24 面テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体に固定される便器洗浄水タンクであって、
外装タンクと、
前記外装タンク内に装着され前記便器本体を洗浄するための洗浄水を溜める内装タンクと、
前記内装タンクへ洗浄水を供給すると共に手洗いのための洗浄水を吐水する手洗い吐水管と、
前記外装タンクの上方に着脱自在に載置され、その上面に手洗い鉢が形成されると共に前記手洗い吐水管からの洗浄水を前記内装タンクへ給水する第1の吐水口が形成された外蓋と、
前記内装タンクの上方に着脱自在に載置され、前記第1の吐水口からの洗浄水を前記内装タンクへ給水する第2の吐水口が形成された内蓋と、を有し、
前記第1の吐水口は前記外蓋の裏面より下方に突出するように形成され、
前記第2の吐水口は前記内蓋の上面より上方に突出するように形成され、
前記第2の吐水口の内径は前記第1の吐水口の外径より大きく、且つ前記第2の吐水口の上端は、前記第1の吐水口の下端より上側に位置していることを特徴とする便器洗浄水タンク。
【請求項2】
便器本体に固定される便器洗浄水タンクであって、
外装タンクと、
前記外装タンク内に装着され前記便器本体を洗浄するための洗浄水を溜める内装タンクと、
前記内装タンクへ洗浄水を供給すると共に手洗いのための洗浄水を吐水する手洗い吐水管と、
前記外装タンクの上方に着脱自在に載置され、その上面に手洗い鉢が形成されると共に前記手洗い吐水管からの洗浄水を前記内装タンクへ給水する第1の吐水口が形成された外蓋と、
前記内装タンクの上方に着脱自在に載置され、前記第1の吐水口からの洗浄水を前記内装タンクへ給水する第2の吐水口が形成された内蓋と、を有し、
前記第2の吐水口は前記内蓋の上面より上方に突出するように形成され、
前記第2の吐水口の内径は前記第1の吐水口の内径より大きく形成され、
前記内蓋には前記第2の吐水口の上端位置を上下方向に移動させる弾性部が形成され、
前記弾性部の弾性により前記内蓋の第2の吐水口が前記外蓋の裏面に当接することを特徴とする便器洗浄水タンク。
【請求項3】
前記弾性部は、前記内蓋において前記第2の吐水口の周囲に形成された2つの切欠き溝と、その切欠き溝が前記第2の吐水口の中央軸を挟んで対称的に配置されることによって形成された支持弾性片部から構成されていることを特徴とする請求項2に記載の便器洗浄水タンク。
【請求項4】
前記弾性部は、前記第2の吐水口に設けられた蛇腹部であることを特徴とする請求項2に記載の便器洗浄水タンク。
【請求項5】
前記内蓋の周囲において、上方に突出した立上がり壁が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の便器洗浄水タンク。
【請求項6】
前記支持弾性片部は、前記第2の吐水口を基準として遠い側から近い側へ向けて、上方へと傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の便器洗浄水タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−197665(P2012−197665A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−46363(P2012−46363)
【出願日】平成24年3月2日(2012.3.2)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】