説明

便器用のタンク構造

【課題】洗浄水タンク内の騒音がオーバーフロー管の内部へ侵入することを防止すると共に、遮音手段とオーバーフロー管上端開放口とが固着してオーバーフロー管のオーバーフロー機能が失われることのない便器用のタンク機構を提供する。
【解決手段】洗浄水を貯留する洗浄水タンク10、タンク底部に設置した排水口37、タンク内に水を供給するボールタップ弁装置(給水バルブ)、溢水分を排水するオーバーフロー管38を備え、当該オーバーフロー管38の上端部に、タンク内の排水弁閉止音がオーバーフロー管に侵入拡散するのを防止するための遮音手段60を設けると共に、前記遮音手段60は、タンク内の適量水位以下での水位昇降に従ってオーバーフロー管の上端開放口を開放および閉塞可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器用のタンク構造に関するものであり、特に、洗浄水タンク内に配置されたオーバーフロー管の遮音構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、トイレ等の便器洗浄用のタンク内には、水源から供給される給水が何らかの原因により止水不良となってタンクの貯水許容量を超えて給水され、タンク外へ水が溢れ出すのを防止するためのオーバーフロー管が設置され、水を同オーバーフロー管を通して排水箇所へ流すようにしている。このようなオーバーフロー管は、通常、タンク底面の排水口近傍に立設して端部開口を貯留水の上方に突出させているものや、タンク側壁面の所要箇所に端部開口を設けているもの等がある。
【0003】
ところが、このようなオーバーフロー管においては、オーバーフローする水の取り出し口となる上端開口が常時開状態となっている。そのために、タンク内での吐水に伴う音、タンク内へ供給する水の落下音、タンクの排水弁の閉止音、あるいは、タンク内で発生する騒音がオーバーフロー管を通してタンク外に漏れる、という欠点を有している。
【0004】
特許文献1には、この騒音対策として、オーバーフロー管の上端開口にゴム等の弾性部材からなる弁を設けることや、上端開口に浮き子を設置した遮音フロート(以下、遮音弁という)を設けることが記載されている。この弾性部材からなる弁は、上端開口を常時閉塞し、吐水時や給水時に発生する騒音がオーバーフロー管を通してタンク外に漏れることを防止する。タンク内に水が溢れ、オーバーフローするときには、弾性体からなる弁が水圧によりオーバーフロー管の内側に変形し、溢れた水を排出する。特許文献1には、更に、タンク側壁面に設けた上端開口の上縁に、ヒンジを介して遮音弁を連接し、水のオーバーフロー時以外はこの遮音弁により上端開口を常時閉塞し、水のオーバーフロー時には、遮音弁に設置した浮き子の浮力によりヒンジの回動軸を中心にして遮音弁を浮上させ、上端開口を開状態として溢れた水を排出する。
【0005】
また、特許文献2には、便器洗浄用タンク内で発生する給水音が、オーバーフロー管の上端開口からオーバーフロー管を介して便器外へ放出されることを防止するために、オーバーフローの上端開口にキャップを設けることが記載されている。このキャップは筒状の形状を有し、オーバーフロー管上端開口と外周とを包むように装着固定され、下端部はタンク内の洗浄水に没する。筒状キャップの上端内部には、オーバーフロー管の上端開口に嵌着固定するための挿入部が形成されている。タンク内空間とオーバーフロー管内空間とは、円筒キャップの内面とオーバーフロー管外面との間の隙間、及び上記挿入部外面とオーバーフロー管上端内面との間に設けた溝、若しくは上記挿入部内に設けた孔を介して、連通する。即ち、オーバーフロー管を二重円筒管構造としている。これにより、当該キャップの下端部が洗浄水に没するため、タンク内で発生する給水音がキャップ下端部の洗浄水により水封遮断される。
【特許文献1】実開平5−73410号公報
【特許文献2】実開昭59−69274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、タンク側壁面の上端開口を弾性部材からなる弁や遮音弁により解放又は閉塞する場合に、長期間オーバーフローが発生しないときにはこれらの弁と上端開口の端面とが長期間密着することになる。そのため、これらの弁と上端開口の端面とが固着して、オーバーフロー水の発生時に、溢れた水を排水することができなくなる虞がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の構成では、二重構造の外筒であるキャップを死水面に達する程に長くしなければ給水音の遮断効果が得られず、そのため、オーバーフロー水を排水するための排水経路が狭く、且つ、長いものとなる。その結果、オーバーフロー時にオーバーフロー水の排水が不十分になり、溢れた水を排水することができなくなる虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、オーバーフロー管の機能を損なうことなく、遮音性の高い便器洗浄用のタンク構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の対策を講じた。
【0010】
請求項1に係る発明においては、洗浄水を貯留するタンクと、前記タンクの底部に設置され便器内に前記洗浄水を供給する排水弁と、前記タンク内の水位が予め定められた適量水位以下になったときに開弁して前記タンク内に給水し、前記適量水位になったとき閉弁する給水バルブと、前記タンク内の水位が前記適量水位を超えたときに溢水分を排水するオーバーフロー管とを備える便器用のタンク構造において、前記オーバーフロー管の上端部に遮音手段を設け、前記遮音手段は、タンク内の前記適量水位以下での水位昇降に従って前記オーバーフロー管の上端開放口を開放および閉塞可能に構成したことを特徴とする便器用のタンク構造とした。
【0011】
請求項2に係る発明においては、前記遮音手段は、前記オーバーフロー管の上端開放口を閉塞する天板を有した筒体で構成し、前記筒体の側壁にはタンク内空間とオーバーフロー管とを連通する連通口を形成したことを特徴とする請求項1に記載の便器用のタンク構造とした。
【0012】
請求項3に係る発明においては、前記遮音手段の筒体は、前記連通口より下方を内筒体と外筒体の二重構造とし、二重構造の隙間の上端を閉塞してその内部を空気貯留部としたことを特徴とする請求項2に記載の便器用のタンク構造とした。
【0013】
請求項4に係る発明においては、前記筒体は、前記オーバーフロー管に上下動可能に装着され、前記筒体の内壁には、前記オーバーフロー管の外壁に形成された係止部に係合するストッパーを形成したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の便器用のタンク構造とした。
【0014】
請求項5に係る発明においては、前記筒体の内壁には前記オーバーフロー管側に突出する凸部を形成したことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の便器用のタンク構造とした。
【0015】
請求項6に係る発明においては、前記天板には貫通小孔を形成したことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の便器用のタンク構造とした。
【0016】
請求項7に係る発明においては、前記天板には、前記オーバーフロー管の上端部の一部に当接する凸部を形成し、前記天板と前記オーバーフロー管の上端部との間に隙間ができるようにしたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の便器用のタンク構造とした。
【0017】
請求項8に係る発明においては、前記遮音手段の前記筒体は、前記オーバーフロー管の管軸方向に分割される複数の部材により形成され、前記部材同士を係合することで前記オーバーフロー管に装着可能であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の便器用のタンク構造とした。
【発明の効果】
【0018】
オーバーフロー管の上端部に遮音手段を設けると共に、当該遮音手段は、タンク内の適量水位以下での水位の昇降に従ってオーバーフロー管の上端開放口を開放および閉塞可能に構成した。これにより、遮音手段は、便器に洗浄水を供給する度に、オーバーフロー管の上端開放口の開閉動作を行うので、遮音手段がオーバーフロー管の上端開放口に長期間密着することがなく、上端開放口に固着することを防止することができると共に、排水弁が開放されてタンク内の洗浄水が排水した後に排水弁が閉止する際には、オーバーフロー管の上端開放口が遮音手段により閉塞されているので、洗浄水タンク内において生ずる音、若しくは排水口において生ずる排水音がオーバーフロー管に進入して洗浄水タンクの外部へ若しくは内部へ拡散漏洩することを防止することができる。加えて、オーバーフロー時にはオーバーフロー管上端開放口が開放するので、オーバーフロー水の排水機能も確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について詳述する。図1及び図2は、本発明の実施形態に係る便器用のタンクの断面正面図であり、図1が洗浄水を適量水位に保持する状態を表し、図2が洗浄水を排水している状態を表している。
【0020】
図1及び図2に示すように、本発明の便器用のタンク100は、装着された便器に、或いは離間して設置された便器に洗浄水を供給するものである。そのため、便器の便器ボールの大きさや種類に応じてタンク100に貯留する洗浄水量は異なる。タンク100は、便器へ供給するための洗浄水を貯留する洗浄水タンク10と、洗浄水タンク10内に水を供給、貯留するための給水装置20と、洗浄水タンク10内に蓄えられた洗浄水を便器に排水して供給する排水装置30と、洗浄水を排水口37から排水するための排水弁34と、排水口37に連通立設したオーバーフロー管38と、オーバーフロー管38の上端に設置され、洗浄水タンク10内において生ずる音、若しくは排水口37において生ずる排水音がオーバーフロー管38に進入して洗浄水タンク10の外部へ若しくは内部へ拡散漏洩することを防止するための遮音手段60と、を備えている。
【0021】
洗浄水タンク10は、断面が楕円形状、又は、長方円形状の箱型の形状を有する。洗浄水タンク10は、給水源から給水された水を貯留し、この貯留水を洗浄水として洗浄水タンク10の底部に設けた排水口37から排水弁34を開口して排水し、便器に洗浄水を導入する。なお、図1及び図2において、FWLは洗浄水タンク10の満水時の水位、即ち適量水位を示しており、DWLは排水弁34が閉弁したときの最も低い水位、即ち死水の水位を示している。
【0022】
給水装置20は、給水源からの水を洗浄水タンク10内に導入するための給水管21と、給水管21に連結連接し、給水管21から洗浄水タンク10内への吐水と止水を切替えるべく設けられたボールタップ弁装置からなる給水バルブ22と、洗浄水タンク10内の水位の上下動による浮力の変動を利用して給水バルブ22の吐水と止水の切替え操作を行うフロート23とを備えている。
【0023】
給水管21は、略円筒状の形状を有し、洗浄水タンク10の底部に立設している。給水管21は、給水源に連通連結されて、給水源からの水圧によって給水バルブ22に送水すべく構成されている。給水源とは、水道管、止水栓、あるいは、これらの接続された配管や接続管等を示称する。給水バルブ22は、レバー24を介してフロート23に連動連結されており、水位の変動に伴うフロート23の上下動に応じて給水バルブ22のダイヤフラム式の弁(図示せず)を開閉作動し、背圧室に通じる背圧抜き穴より吐水、あるいは止水可能に構成されている。
【0024】
具体的には、洗浄水タンク10内の水位が低下するとフロート23が降下してレバー24を開弁作動させて給水バルブ22を開き、洗浄水タンク10への給水が開始される。一方、給水に従いタンク内水位が上昇すると、フロート23が上昇してレバー24を閉弁作動させて給水バルブ22を閉止する。この給水バルブ22の作動によって、給水バルブ22の下方に連通連結した下向きの吐出管27から洗浄水が洗浄水タンク10内に吐水あるいは止水される。この吐水、止水作用により洗浄水タンク10内に満水時の水位FWLが維持される。給水バルブ22は、リフィール管28に連通している。リフィール管28は排水口に連通立設したオーバーフロー管38の上部近傍に設置した排水連通口38aに配管28aを介して連通連結している。
【0025】
排水装置30は、洗浄水タンク10の壁面に設けられた操作レバー31と、洗浄水タンク10内において操作レバー31の基部に略水平方向に連動連結された回転軸32と、回転軸32に玉鎖33を介して連結されて排水口37を開閉する排水弁34と、玉鎖33の所定位置に装着されたフロート35と、玉鎖33を貫通させ、フロート35と排水弁34との間を所定間隔に維持するためのスリーブ36とを備えている。操作レバー31のレバー操作によって回転軸32が回転作動し玉鎖33を介して連結した排水弁34の開弁作動を行うように構成されている。
【0026】
即ち、回転軸32の先端から玉鎖33が垂下して、フロート35の上面に接続している。フロート35から更に玉鎖33が垂下し、スリーブ36を貫通して排水弁34の上面に連結固定される。排水弁34は弁体51、弁体51を支持する支持アーム52、弁体51の外縁に連結する外縁シール部53を備えている。支持アーム52はその端部をオーバーフロー管38の側壁に設けた枢軸38bに回転自在に軸支されている。外縁シール部53は排水口37の上部端面に当接して、洗浄水タンク10内の洗浄水を止水する。
【0027】
操作レバー31を操作して、回転軸32の先端に係止する玉鎖33を緊張することにより、フロート35を介して排水弁34の弁体51に対し、上方への引っ張り応力が作用する。すると、排水弁34は枢軸38bを回転中心に上方へ回転して開弁する。フロート35の浮力により、排水弁34に対して上方に引っ張り応力が加えられるので、排水弁34は開弁状態を維持する。水位が降下するに従いフロート35も降下して、排水弁34は枢軸38bを回転中心に下方へ回転して閉弁する。弁体51とフロート35間にはスリーブ36が介在する。そのため、排水弁34が閉弁する際の水位はDWLよりも高く、弁体51は洗浄水により加圧され、排水口37に吸引されるようにして閉弁する。その結果、排水弁34は閉止音を発生して閉弁する。
【0028】
オーバーフロー管38は、L字状の形状を有し、排水口37の側壁に連通連結して立設する。オーバーフロー管38は、何らかの原因により、水位FWLを超えても給水源から洗浄水タンク10内に水が供給されて、洗浄水タンク10外へ洗浄水が漏洩することを防止するために設置されている。供給源から洗浄水タンク10内に水位FWLを超えて水が供給され続けると、オーバーフロー管38の上端開放口から溢水がオーバーフロー管38に流れ込み、排水口37に排水される。これにより、洗浄水タンク10外への洗浄水の漏洩を防止する。オーバーフロー管38の上端部側壁には排水連通口38aが設置され、リフィール管28と連通連結し、リフィール管28を介して排出される水をオーバーフロー管38に排水する。
【0029】
オーバーフロー管38の上端部には、本発明の要部に係る遮音手段60が設置されている。遮音手段60は、円筒状の筒体61と、この筒体61の上端部に連結される天板62とを備えている。筒体61の下部は外筒体63と内筒体64の二重構造からなり、外筒体63と内筒体64を上端において閉塞し、その内部に空気貯留部66を構成している。円筒状の筒体61は、オーバーフロー管38の上端部に上下動自在に挿入されている。
【0030】
図1においては、洗浄水の水位がFWLの満水時の状態を示しており、遮音手段60は空気貯留部66の浮力により上部に移動し、天板62とオーバーフロー管38の上端部とは離間し、オーバーフロー管38内と洗浄水タンク10内とが連通口65により連通する。何らかの原因で給水源から洗浄水タンク10内に水位FWLを超えて水が供給される場合でも、連通口65を介してオーバーフロー水はオーバーフロー管38に導入され、排水口37に排水することが可能となる。これにより、洗浄水タンク10外へ洗浄水が溢れ出ることを防止する。ここで、天板62とオーバーフロー管38の上端部とは通常離間しているので、互いに固着することもない。また、オーバーフロー管38の上端開放口は連通口65を介して洗浄水タンク10内空間に開放される。そのため、オーバーフロー水が滞ってオーバーフロー管38の機能を阻害することもない。
【0031】
操作レバー31を操作して排水弁34に上方への引っ張り応力を作用させて排水弁34を開弁し、洗浄水を排水する。すると、洗浄水の水位は降下して、遮音手段60の空気貯留部66からの浮力が作用しなくなる。その結果、遮音手段60は自重により降下し、遮音手段60の上端部に設置した天板62がオーバーフロー管38の上端開放口を閉塞する。図2は、排水弁34が開弁状態を維持し、洗浄水の水位が降下した状態を示している。図2の状態から更に排水されて水位が降下すると、排水弁34にフロート35から玉鎖33を介して作用する上方への引っ張り応力が低下して、排水弁34は排水口37に吸い寄せられるように閉弁する。このときに大きな閉止音が発生し、洗浄水タンク10内に充満する。また、当該閉止音が排水口37側からオーバーフロー管38内に進入する。しかしながら、オーバーフロー管38の上端開放口は遮音手段60の天板62により閉塞されるので、オーバーフロー管38内を伝達する当該閉止音は遮断される。その結果、閉止音が洗浄水タンク10内にオーバーフロー管38を介して進入拡散し、或いは、排水口37へ抜けて外部へ拡散することを防止することができる。
【0032】
次に、フロート23に浮力が作用せず、レバー24にフロート23の自重が作用すると、給水バルブ22を開弁する。給水バルブ22の開弁により吐出管27から給水源の水が洗浄水タンク10に供給される。止水の水位はDWL程度である。従って、吐出管27から水が供給される当初は、吐出管27と洗浄水の水面との距離が存在する。そのため、水の落下音が洗浄水タンク10内に充満する。しかし、オーバーフロー管38の上端開放口は遮音手段60の天板62により閉塞されている。その結果、水の落下音がオーバーフロー管38内に進入することが阻止され、排水口37を介して外部へ拡散することが低減、又は防止される。
【0033】
吐出管27から水が供給されると、洗浄水タンク10内の水位は上昇する。遮音手段60の空気貯留部66が水没する程度水位が上昇すると、筒体61に浮力が生じて遮音手段60を押し上げ、オーバーフロー管38の上端開放口から天板62が離脱し、オーバーフロー管38の内部空間と洗浄水タンク10の内部空間とが連通する。洗浄水の水位がFWL程度に達すると、フロート23の下部が水没してレバー24をその浮力により押し上げ、給水バルブ22を閉弁する。これにより、給水源からの給水が遮断され水位の上昇が停止する。この満水状態において天板62はオーバーフロー管38の上端開放口から離間しており、連通口65を形成している。従って、当該上端開放口と天板62との間が固着することもない。また、何らかの原因により、洗浄水タンク10内に水が供給されるような場合にも、連通口65からオーバーフロー水は排水され、オーバーフロー管38は正常に機能する。
【0034】
なお、上記実施形態において、給水装置20、排水装置30、排水弁34、フロート23、35、オーバーフロー管38、排水口37等の形状や構成はこれに限定されない。給水管21は洗浄水タンク10の上部横方向に設置する、或いは洗浄水タンク10の側壁に立設してもよい。また、排水弁34の弁体51と排水口37との間のシール部を二重構造とし、洗浄水を排水して弁体51が排水口37開口部に吸着するようにして閉弁する際の衝撃を緩和する方式のものを使用することができる。また、オーバーフロー管38は、洗浄水タンク10の底部に、あるいは洗浄水タンク10の側壁に立設して、洗浄水タンク10の外部において排水口37に連通連結するようにしてもよい。
【0035】
次に、本発明の便器用のタンクに使用される遮音手段60の実施形態を、図3を用いて具体的に説明する。図3(a)は、洗浄水が満水時のオーバーフロー管38上の遮音手段60の斜視図であり、図3(b)は、洗浄水が排水され、遮音手段60が降下したときのオーバーフロー管38上の遮音手段60の斜視図であり、図3(c)は、2つの部材から構成される遮音手段の一方の部材の斜視図であり、図3(d)は、図3(a)の状態の遮音手段60とオーバーフロー管38の模式的縦断面図であり、図3(e)は、図3(b)の状態の遮音手段60とオーバーフロー管38の模式的縦断面図である。
【0036】
図3(a)及び図3(c)において、オーバーフロー管38の上端部に装着された遮音手段60は、分割線Xにより2つの部材に分割可能に構成されている。遮音手段60は、下部の筒体61a、61bと、下部の筒体61aの上端面に立設する支柱67a、67b、68a、68b、69a、69bと、当該6本の支柱の上端部を突出させ、支柱の板面に直交する方向に連結固定した天板62a、62bと、を備えている。
【0037】
図3(c)は遮音手段60を分割したその一方の部材の斜視図である。半円筒状の筒体61a、その上面に立設する3本の支柱67a、68a、69aと、支柱67a、68a、69aの各支柱の先端部を突出させ、板面を各支柱の立設方向に直交して連結固定した半円盤状の天板62aから構成される。筒体61aの内部には後述する空気貯留部66が形成されている。各支柱67a、68a、69aは、板状体からなり、板面を筒体61aの中心軸から放射状に筒体61aの上端部に連結固定されている。支柱68aの中間部板面には係止部70aが板面から垂設されている。支柱69aの中間部には貫通孔71aが穿設されている。
【0038】
また、遮音手段60を分割したその他方の部材は、半円筒状の筒体61bと、その上面に立設する3本の支柱67b、68b、69bと、支柱67b、68b、69bの各支柱の先端部を突出させ、板面を各支柱の立設方向に直交して連結固定した半円盤状の天板62bから構成されている。即ち、分割した他方の部材は上記一方の部材と同一の形状を有する。筒体61aと筒体61bの各円筒部端面、板状体からなる支柱68aと支柱68bの各板面、板状体からなる支柱69aと支柱69bの各板面のそれぞれを対面し、互いの係止部70を互いの貫通孔71に挿入して嵌着する。嵌着する際には、支柱69bと支柱67bの隙間を、オーバーフロー管38の上端部に設置した排水連通口38aを通過させる。
【0039】
このように遮音手段60を同一形状の2つの部材から構成することにより、オーバーフロー管38の先端部に突起状の排水連通口38aが設置されている場合でも、遮音手段60をオーバーフロー管38の先端部において容易に組み立て装着することができる。加えて、遮音手段60の2つの部材は同一形状なので、製造コストが低減される。図3(a)に示すように、遮音手段60は筒体61a、61bの内部に形成した空気貯留部66(図3(d)参照)の浮力によりオーバーフロー管38の上部に上昇する。これにより、オーバーフロー管38の内空間と洗浄水タンク10内の空間とは各支柱の隙間を介して連通する。図3(b)に示すように、洗浄水が排水され、遮音手段60が降下すると、オーバーフロー管38の上端開放口に天板62a、62bが当接して、オーバーフロー管38の上端開放口は閉塞する。
【0040】
図3(d)及び図3(e)を用いて、オーバーフロー管38に対する遮音手段60の上方への移動を規制するためのストッパー、及び、筒体61が滑らかに摺動するための凸部からなるリブ73を説明する。オーバーフロー管38は、オーバーフロー本管80とその上端部に連設した円筒体81から構成される。円筒体81の上端部が開放口となる。円筒体81の側面には排水連通口38aが設置され、オーバーフロー本管80内空間と連通する。円筒体81は、オーバーフロー本管80の上端部外周に嵌着されている。そのため、オーバーフロー本管80の表面には、円筒体81の下端部により円筒体81の肉厚分の段差が形成される。筒体61は、外筒体63、内筒体64、及び、その隙間に形成される空気貯留部66から構成される。筒体61の上端部には支柱67及び天板62が連接される。内筒体64内壁の中間部には、内壁から内側に突出して円環凸状にリブ72が設置されている(図3(c)における符号72aに対応する)。内筒体64内壁の下端部には、内壁から内側に突出して円環状にリブ73が設置されている(図3(c)における符号73aに対応する)。
【0041】
洗浄水タンク10内に水が供給され、洗浄水の水位が上昇すると、筒体61はその下端部から上方に向けて水没する。空気貯留部66には空気が残留し、外筒体63、内筒体64及び空気貯留部66により構成される体積の質量が、同体積の水の質量よりも小さくなるので、水没したときに浮力が発生し、その浮力により遮音手段60をオーバーフロー管38に対して上方に押し上げる。すると、内筒体64の内壁に設置した円環状のリブ72が円筒体81下端部たる段差部に当接して遮音手段60の上昇を阻止する。即ち、リブ72はストッパーとして機能する。なお、遮音手段60が最上部に上昇したときの、オーバーフロー管38上端開放口と天板62の下面との間の隙間は、約8mm以上とするのが好ましい。例えば、吐出管27から毎分20リットルの水を吐水したときに、オーバーフロー管38上端開放口と天板62下面との間の隙間を8mm程度とすれば、オーバーフロー水を十分排水することができる。より好ましくは、当該隙間を15mm以上とする。
【0042】
内筒体64内壁に形成したリブ73は、内筒体64をオーバーフロー本管80の周囲を滑らかに上下動させるために設けている。リブ73の高さは、ストッパーとして機能するリブ72と同じである。これにより、オーバーフロー本管80の軸心に対する内筒体64の角度変動を防止し、筒体61を滑らかに上下動させることができる。なお、リブ72、73を円環状ガイドリングとする他に、当該リングの位置に島状に凸部を複数設置してもよい。島状に形成することにより、ごみ等の詰まりを防止することができる。オーバーフロー本管80の外面とリブ72、73の頂部との隙間は、約1mm程度とするのが好ましい。オーバーフロー本管80の外面と内筒体64の内面との間の隙間は約3mm程度とするのが好ましい。ごみ等の詰まりを防止し、かつ、滑らかな摺動を可能にするためである。
【0043】
図3(e)に示すように、洗浄水を排水すると筒体61による浮力が消失し、遮音手段60は降下し、天板62が円筒外81の上端開放口に当接して係止する。開放口が天板62により閉塞されるため、洗浄水タンク10内に充満する騒音がオーバーフロー管38内へ進入する、或いはオーバーフロー管38から洗浄水タンク10内に拡散することが防止される。天板62はゴムなどの弾性体と比較して硬質のプラスチック等から形成されている。そのために、遮音効果が優れている。
【0044】
なお、以上説明した遮音手段60は、上記実施形態に限定されない。遮音手段60を2分割して構成したが、これに代えて、3分割、あるいはそれ以上に分割して構成してもよい。また、空気貯留部66を外筒体63と内筒体64により上端部を閉塞して形成したが、これに代えて、筒体61の外部にフロートを連結して、このフロートにより遮音手段60に浮力を作用させてもよい。また、天板62を支柱67a、68a、69a、67b、68b、69bに対して直交するように設けたが、これに限定されず、支柱に対して傾斜してもよいし、必ずしも平板である必要もない。要は、オーバーフロー管38の上端部と密着して上端開放口を閉塞し、騒音を遮断するものであればよい。
【0045】
次に、本発明の便器用のタンク構造に用いる遮音手段60の他の実施形態について、図4を用いて説明する。図3において示した遮音手段と異なる部分は、天板62の形状である。その他の構成は図3の遮音手段と同様である。
【0046】
図4(a)は、2つの部材からなる遮音手段60の分離状態を示す斜視図であり、図4(b)は、2つの部材を連接連結した遮音手段60の全体斜視図であり、図4(c)は、オーバーフロー管38上端部に遮音手段60を装着した斜視図であり、図4(d)は、図4(c)に示す上部の模式的縦断面図である。なお、同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0047】
図4(a)に示すように、2分割した一方の部材は、半円筒状の筒体61aと、その上面に立設した3本の支柱67a、68a、69aと、その3本の支柱67a、68a、69aの先端部を突出させ、周辺部の板面を各支柱67a、68a、69aに直交する方向に連結固定した半円状の天板62’aと、支柱68aの板面中央部及び下端部に立設した突起部70a及び74aと、支柱69aの板面中央部に穿設した貫通孔71aと、支柱69aの板面下端部に形成した切欠部75aとから構成されている。天板62’aは、中央部に形成した凹部83aと外周部に形成した周縁筒部82aとから一体的に構成されている。凹部83aと周縁筒部82aの間であって天板62’aの下面には凸部からなるリブ86が形成されている。このリブ86は、遮音手段60が降下してオーバーフロー管38の先端部が周縁筒部82aと凹部38aとの間に進入したときに、オーバーフロー管38の先端部と当接して、オーバーフロー管38と天板62’aとの間に隙間を形成する。
【0048】
2分割した他方の部材は、上記一方の部材と同形である。即ち、半円筒状の筒体61bと、その上面に立設した3本の支柱67b、68b、69bと、その3本の支柱67b、68b、69bの先端部を突出させ、周辺部の板面を各支柱67a、68b、69cに直交する方向に連結固定した半円状の天板62’bと、支柱69bの板面中央部及び板面下端部に立設した突起部70b及び74bと、支柱68aの板面中央部に穿設した図示しない貫通孔71bと、支柱68bの板面下端部に形成した図示しない切欠部75bとから構成されている。天板62’bは、中央部に形成した図示しない凹部83bと、周縁筒部82bとから構成されている。周縁筒部82a、82bの筒部の幅は、上記凹部83a、83bの深さと同程度である。周縁筒部82bには、排水連通口38aを貫通させるための切欠部84を備えている。
【0049】
突起部70a、74aは、支柱68b側に開口部を向けた鉤形状を有し、2分割した他方の部材の図示しない貫通孔に挿入される。同様に、突起部70b、74bは、支柱68aの貫通孔71a及び切欠部75aに挿入される。即ち、図4(b)に示すように、突起部70a、70b、74a、74b(図示しない)を互いに他の部材の貫通孔71b(図示しない)、71a及び切欠部75b(図示しない)、75aに嵌着して2つの部材を密着連結する。突起部70a、70b、74a、74bを貫通孔71b、71a及び切欠部75b、75aに嵌着したとき、貫通孔71a、71b及び切欠部75b、75aにより突起部70a、70b、74a、74bの鉤形状部を締着すれば、2つの部材をより強固に密着連結することができ、半円状の2つの天板72’a、72’bは密着し、オーバーフロー管38の上端開放口を閉塞した際の閉塞性を向上させることができる。図4(b)は、図3(a)に示す2分割した2つの部材を密着連結した状態を示す。
【0050】
図4(c)に示すように、遮音手段60をオーバーフロー管38の上端部に設置する。設置の際には、切欠部84を設けた支柱69b、67b間に排水連通口38aを通し、オーバーフロー管38の上端部において、2つの部材の突起部70a、70b、74a、74b(図示しない)を互いの貫通孔71b(図示しない)、71a及び切欠部75b(図示しない)、75aに嵌着して連結連接する。図4(c)においては、オーバーフロー管38上端部に設置した遮音手段60が降下し、オーバーフロー管38の上端開放口が閉塞している状態を表す。
【0051】
図4(d)は図4(c)の分断線Yを含む縦断面図を表す。図4(d)に示すように、オーバーフロー管38の上端開放口は天板62’により閉塞されている。オーバーフロー管38の上端部は、凹部83の側壁と周縁筒部82により形成される円環状の溝に挿入される。この溝の底面と円筒体81の先端部とは隙間δが構成されている。この隙間は、図4(a)に示したリブ86がオーバーフロー管38を構成する円筒体81の先端部と当接することにより形成される。
【0052】
この構成により、洗浄水タンク10内の排水弁閉止音や吐出管27からの水の落下等に伴う騒音がオーバーフロー管38内部へより侵入し難くなる。同様に、オーバーフロー管38から洗浄水タンク10内への騒音も進入し難くなる。騒音がオーバーフロー管38上端内と洗浄水タンク10内との間を通過するためには、周縁筒部82の内壁とオーバーフロー管38の外壁との間、天板62’とオーバーフロー管38上端部との間、及び、オーバーフロー管38の内壁と凹部83の外壁面との間を通過する必要がある。即ち、洗浄水タンク10内からオーバーフロー管38内に騒音が進入する(又はその逆方向)ための距離は、上記図3に示した平坦な天板62の場合よりも長くなる。これにより、オーバーフロー管38内へ、又はオーバーフロー管38内からの騒音の進入をより効果的に防止することができる。また、排水弁34を開弁して排水口37に洗浄水が排出されると、洗浄水の一部はオーバーフロー管38へ進入し、空気と共にオーバーフロー管38を上昇する。その際オーバーフロー管38を遮音手段60で完全に密閉していると、上昇した空気がオーバーフロー管38の上端開放口から放出することができないと共に洗浄水はオーバーフロー管38へスムーズに進入することができない。これにより、進入することができなかった洗浄水が、排水口から便器に向かう洗浄水の流れの妨げとなり、便器洗浄性能が低下する問題が生じる。そこで円筒体81の先端部と天板62’との間に隙間δを構成することにより、排水弁34を開弁して排水口37から洗浄水を排出した際、洗浄水と共にオーバーフロー管38を上昇する空気をオーバーフロー管38の上端開放口から放出することができるので、便器洗浄性能の低下を防止することができる。ここで、オーバーフロー管38上端部内壁と、天板62の凹部83外壁との隙間は、約1.5mm程度にするのが好ましい。遮音効果が大きく、かつ、天板62の上端開放口への挿入抜脱を円滑に行うことができる。また、天板62’と円筒体81先端との隙間δは、約0.5mm〜1mmにするのが好ましい。
【0053】
なお、図4(d)において、オーバーフロー管38はオーバーフロー本管80とその上端部に嵌着された円筒体81とからなり、遮音手段60の下部の筒体61は、外筒体63、内筒体64及びこれらにより構成される空気貯留部66から構成されており、図3に示したものと同様なので、説明を省略する。
【0054】
また、上記実施形態においては、天板62の外周部にオーバーフロー管38上端部が挿入される溝を形成したが、これに代えて、周縁筒部82をそのままにして天板62を平板としてもよい。周縁筒部82を設置したことにより、平板状の天板62に比較して騒音の進入経路が長くなり、遮音効果が増大する。また、外周に周縁筒部82を取り付け、オーバーフロー管38の外周又は内周に沿って円環状の溝を形成し、天板62の当該周縁筒部82をこの溝に挿入するようにしてもよい。また、上記天板62の外周部に形成した溝、あるいは、オーバーフロー管38上端部に形成した溝を、同心円状に複数形成し、これらの溝に挿入される周縁筒部82も同心円状に複数設ける。これにより、オーバーフロー管38上端部における騒音の進入経路は更に長くなるので、より効果的に遮音することができる。
【0055】
次に、本発明に係る便器用タンク構造に用いる遮音手段60の他の実施形態について、図5を用いて説明する。この実施形態においては、遮音手段60の天板62にオーバーフロー管38内の吐出空気を洗浄水タンク10内に放出する、又は洗浄水タンク10内の空気をオーバーフロー管38内に導入するための貫通小孔85を設け、その他は図3又は図4に記載した実施形態と同様である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付した。
【0056】
図5は、遮音手段60を上部から見た上面図である。天板62は同形の左右の天板62aと天板62bに分割される。天板62aは支柱67a、68a、69aにより、また天板62bは支柱67b、68ba、69bにより支持されている。天板62の中央には貫通小孔85が形成されている。操作レバー31が操作され、排水弁34が開弁して排水口37に洗浄水が排水されると、排水口37内において排水される洗浄水に空気が巻き込まれる。巻き込まれた空気はオーバーフロー管38内に洗浄水と共に進入し、オーバーフロー管38内を上昇する。すると、オーバーフロー管38の先端開放口を閉塞する遮音手段60は、沸騰する湯沸しの蓋のように振動し、遮音手段60の劣化を早め、また、騒音も発生する。また、オーバーフロー管38内を上昇した空気がオーバーフロー管38の上端開放口から放出することができないと共に洗浄水はオーバーフロー管38へスムーズに進入することができないので、排水口37からの洗浄水の排水が阻害され、便器洗浄性能が低下する。そこで、オーバーフロー管38底部から吐出する吐出空気を天板62に形成した貫通小孔85により洗浄水タンク10内に放出し、又はオーバーフロー管38内に空気を導入して、遮音手段60の振動を低減し、騒音の発生を防止すると共に、便器洗浄効果の低下を防止する。
【0057】
なお、上記実施形態において貫通小孔85を天板62に設けたが、これに代えて、オーバーフロー管38の円筒部上端に溝や切欠部を設けてもよい。また、上記貫通小孔85の洗浄水タンク10側の表面に、当該貫通小孔85を閉止するための開閉弁を設置することができる。この開閉弁は天板62の表面に貫通小孔85の閉止可能に軸支され、通常は自重により貫通小孔85を閉止する。洗浄水が排水され、天板62がオーバーフロー管38上端開放口を閉止した後に、オーバーフロー管38下部より吐出空気が上昇したときは、開閉弁を押し上げて吐出空気を洗浄水タンク10内に開放し、吐出空気が発生しない状態では開閉弁は自重により貫通小孔を閉じる。これにより、吐出空気を洗浄水タンク10内への放出を可能にし、同時に、洗浄水タンク10内の騒音がオーバーフロー管38に進入することも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る便器用のタンクの断面正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る便器用のタンクの断面正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る便器用のタンクに使用される遮音手段の説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る便器用のタンクに使用される遮音手段の説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る便器用のタンクに使用される遮音手段の上面図である。
【符号の説明】
【0059】
10 洗浄水タンク
20 給水装置
22 給水バルブ
30 排水装置
34 排水弁
35 フロート
37 排水口
38 オーバーフロー管
60 遮音手段
61 筒体
62 天板
63 外筒体
64 内筒体
65 連通行
66 空気貯留部
82 貫通小孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を貯留するタンクと、前記タンクの底部に設置され便器内に前記洗浄水を供給する排水弁と、前記タンク内の水位が予め定められた適量水位以下になったときに開弁して前記タンク内に給水し、前記適量水位になったとき閉弁する給水バルブと、前記タンク内の水位が前記適量水位を超えたときに溢水分を排水するオーバーフロー管とを備える便器用のタンク構造において、
前記オーバーフロー管の上端部に遮音手段を設け、前記遮音手段は、タンク内の前記適量水位以下での水位昇降に従って前記オーバーフロー管の上端開放口を開放および閉塞可能に構成したことを特徴とする便器用のタンク構造。
【請求項2】
前記遮音手段は、前記オーバーフロー管の上端開放口を閉塞する天板を有した筒体で構成し、前記筒体の側壁にはタンク内空間とオーバーフロー管とを連通する連通口を形成したことを特徴とする請求項1に記載の便器用のタンク構造。
【請求項3】
前記遮音手段の筒体は、前記連通口より下方を内筒体と外筒体の二重構造とし、二重構造の隙間の上端を閉塞してその内部を空気貯留部としたことを特徴とする請求項2に記載の便器用のタンク構造。
【請求項4】
前記筒体は、前記オーバーフロー管に上下動可能に装着され、前記筒体の内壁には、前記オーバーフロー管の外壁に形成された係止部に係合するストッパーを形成したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の便器用のタンク構造。
【請求項5】
前記筒体の内壁には前記オーバーフロー管側に突出する凸部を形成したことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の便器用のタンク構造。
【請求項6】
前記天板には貫通小孔を形成したことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の便器用のタンク構造。
【請求項7】
前記天板には、前記オーバーフロー管の上端部の一部に当接する凸部を形成し、前記天板と前記オーバーフロー管の上端部との間に隙間ができるようにしたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の便器用のタンク構造。
【請求項8】
前記遮音手段の前記筒体は、前記オーバーフロー管の管軸方向に分割される複数の部材により形成され、前記部材同士を係合することで前記オーバーフロー管に装着可能であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の便器用のタンク構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−7878(P2009−7878A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171814(P2007−171814)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】