説明

便器装置

【課題】洗剤タンクと洗剤供給路との接続部位から垂れた洗剤が便器内部に浸入するのを防止でき、便器内部の定期的な掃除やタンクホルダーの掃除の手間を省くこと。
【解決手段】洗剤タンク3を着脱自在に保持するタンクホルダー4に、洗剤タンク3と洗剤供給路8との接続部位の下方に配置されて該接続部位から垂れる洗剤を受ける洗剤受部12と、該洗剤受部12で受けた洗剤をタンクホルダー4の底面部4aへ誘導するための上下流路形成用の誘導リブ45とをそれぞれ設けると共に、タンクホルダー4の底面部4aにおける洗剤タンク載置部6との非接触位置に、該底面部4aに誘導された洗剤を便器10の外側方Bに向けて流出させるための流出路14を設けた便器装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器に取り付けたタンクホルダーに洗剤タンクを着脱自在に保持する便器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器のサイドカバー内に洗剤タンクを着脱自在に保持するタンクホルダーを配設し、洗剤タンクの洗剤出入部から供給される洗剤を洗浄水流路に混ぜることで、泡発生液を泡立てて便器のボウル部を洗浄するようにしたものが特許文献1により知られている。
【0003】
ところで、洗剤の使用により洗剤タンク内の洗剤は目減りするものであるため、洗剤タンクには洗剤を補充する必要があり、そこで、上記特許文献1に見られる従来例では、便器内のタンクホルダーから洗剤タンクを取り外して、便器外部で洗剤を補給するようにしている。
【0004】
しかし、洗剤タンクを便器内部のタンクホルダーから取り外すときには、洗剤タンクの洗剤出入部を洗剤供給路の接続口から抜き取る必要があり、このとき、洗剤供給路内に残っている洗剤が接続口から液垂れしてタンクホルダー内部に溜まり、この溜まった洗剤が便器内部に浸入すると、便器内部のフレーム等の部品に洗剤が付着して錆発生や腐食の原因となる場合がある。このため定期的に便器のサイドカバーを取り外して便器内部の掃除を行う必要があり、とくに狭いトイレルームでは困難を伴うものであった。そのうえ、タンクホルダー内部に洗剤が溜まると洗剤タンクの表面にも洗剤が付着して、洗剤タンクの洗剤汚れを招くという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−108509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、洗剤タンクと洗剤供給路との接続部位から垂れた洗剤が便器内部に浸入するのを防止でき、便器内部の定期的な掃除やタンクホルダーの掃除の手間を省くことができ、清掃性に優れた便器装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明は、便器10に取り付けたタンクホルダー4に、便器10のボウル部15を洗浄する洗浄水に洗剤供給路8を介して洗剤を供給する洗剤タンク3を着脱自在に保持すると共に、洗剤タンク3に設けた洗剤出入部3aと洗剤供給路8に設けた接続口8aとを着脱接続自在とすると共に洗剤タンク3を便器10外部に取り出し自在とした便器装置であって、上記タンクホルダー4に、上記洗剤タンク3と洗剤供給路8との接続部位の下方に配置されて該接続部位から垂れる洗剤を受ける洗剤受部12と、該洗剤受部12で受けた洗剤をタンクホルダー4の底面部4aへ誘導するための上下流路形成用の誘導リブ45とをそれぞれ設けると共に、上記タンクホルダー4の底面部4aにおける洗剤タンク載置部6との非接触位置に、該底面部4aに誘導された洗剤を便器10の外側方Bに向けて流出させるための流出路14を設けて成ることを特徴としている。
【0008】
このような構成とすることで、洗剤タンク3を取り出す際に洗剤供給路8内に残った洗剤が接続口8aから液垂れしても、この洗剤は洗剤受部12で受けられて誘導リブ45間の上下流路46を伝ってタンクホルダー4の底面部4aへ誘導され、さらに流出路14を伝って便器10の外側方Bへ排出される。これにより、洗剤が便器10内部に浸入するおそれがなくなり、しかも流出路14からの洗剤の流出位置は、便器10の外側方Bの決まった位置に定められるので、洗剤の拭き取りも容易となる。さらに、タンクホルダー4内部に洗剤が溜まりにくいので洗剤タンク3表面への洗剤の付着も防止できる。
【0009】
また、上記流出路14は、タンクホルダー4の底面部4aにおける洗剤タンク載置部よりも低い部位に一体に形成されていると共に、便器10の外側方Bに向かう程高さが低くなるように傾斜しているのが好ましい。この場合、タンクホルダー4に流出路14を一体化して構造をシンプル化できると共に、流出路14の傾斜に沿って洗剤がスムーズに便器10の外側方Bヘ排出されるので、タンクホルダー4内部に洗剤が溜まるのを一層防止できる。
【0010】
また、上記流出路14は、便器10の外側方Bに突出して配置されるタンクカバー5で覆われると共に、該タンクカバー5の底壁に、流出路14から滴下する洗剤を便器10の外側方Bに排出するための排出孔5aを形成するのが好ましい。この場合、タンクカバー5により流出路14を覆うことで、流出路14が露出せずに外観が向上すると共に、トイレ掃除時に飛散した洗剤入り洗浄水が流出路14を逆流して便器10内部に浸入するのを防止できるようになり、しかもタンクカバー5の排出孔5a付き底壁を利用して流出路14から便器10の外側方Bへの洗剤排出を支障なく行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、洗剤タンクと洗剤供給路との接続部位から液垂れした洗剤を洗剤受部と上下流路形成用の誘導リブと流出路とを介して便器の外側方に向けて流出させることにより、便器内部への洗剤の浸入が防がれ、便器内部の掃除を定期的に行う必要がなくなる。また便器の外側方の決まった位置に洗剤排出部から洗剤を滴下させることにより、洗剤の拭き取りが容易となり、さらにタンクホルダー内部に洗剤が溜まりにくいので、洗剤タンクの表面の洗剤汚れを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の一例を示し、洗剤タンクと洗剤供給路との接続部位から液垂れした洗剤を便器の外側方に排出する状態を説明するタンクホルダーの斜視図である。
【図2】同上の洗剤タンクの洗剤出入部と洗剤供給路の接続口との着脱接続構造を説明する斜視図である。
【図3】同上のタンクホルダー付近の側面断面図である。タンクカバーの洗剤排出部が設けられる部分を前下方から見た斜視図である。
【図4】(a)は同上の流出路から洗剤が滴下する状態を説明する便器装置全体の斜視図であり、(b)は洗剤タンクと流出路とをタンクカバーで覆った状態を説明する斜視図である。
【図5】同上の便器装置の概略側断面図である。
【図6】同上の便器装置の要部であり、(a)は斜視図であり、(b)は側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0014】
本例の便器装置1は、図5に示すように、主体を構成する便器10に対して、洗剤供給手段2を付設した洗浄水吐水装置11や局部洗浄装置(図示せず)やトラップ装置13などの各種装置を一体に収めて配備して構成された水洗便器である。
【0015】
便器10は上記各種装置11、13等を収容するハウジングで覆われており、本例のハウジングは合成樹脂製であって、便器装置1の前部域には上面に開口するボウル部15が設けられている。便器装置1の後部域では、ボウル形成パーツ15aやサイドカバー16にて囲繞された空間である機器収納部17が形成され、この機器収納部17に対して洗浄水吐水装置11や局部洗浄装置やトラップ装置13が収められて配設されている。ここでは、ボウル部15を形成するボウル形成パーツ15a、便器装置1の外殻を形成するサイドカバー16を溶着一体化させて形成している。
【0016】
トラップ装置13は、機器収納部17の下部域に設けられる。本例のトラップ装置13は、節水効果の期待できるターントラップ方式であり、つまりボウル部15の下部から背方に突設した排水筒部18に対して接続したフレキシブルなトラップ筒19が、モータにより上下に回動駆動されて、ボウル部15内の溜水35を排水できる構造を有する。
【0017】
洗浄水吐水装置11は、機器収納部17におけるトラップ装置13の上方域に設けられる。ここで、便器10の後部上部は、ボウル部15の上面レベルよりも上方に立ち上がった立上り部20とされており、洗浄水吐水装置11や局部洗浄装置等を収める機器収納部17を広く採り得る構造となっている。立上り部20の左右方向の両側端部にはボウル部15上に位置される便座21や便蓋22が起倒自在に枢支されている。ボウル部15の開口縁後部に臨む立上り部20の前部の下縁部位には、用便後にボウル洗浄水を流す洗浄水吐水装置11の洗浄水吐出口23が開設されている。
【0018】
本例の洗浄水吐水装置11は、装置の小型化を期待できるタンクレス方式であり、つまり水源である上水道からボウル部15に至る洗浄水流路24を有し、洗浄水流路24に配置した洗浄水開閉弁25の開閉によって、ボウル洗浄水を洗浄水流路24の下流端の洗浄水吐出口23からボウル部15内に吐出できる構造のものが採用されている。このタンクレス方式の場合、ボウル洗浄水の搬送圧として水道圧をそのまま利用したり、洗浄水流路24に圧送ポンプを設けて洗浄水を圧送させることもできる。これ以外の構造、たとえば水源としてのロータンクの貯留水を開閉弁を介して流すタンク方式のものも採用できる。なお、洗浄水吐水装置11の洗浄水開閉弁25の開閉動作やトラップ装置13のトラップ筒19の回動動作は、使用者の操作部(図示せず)の操作に基づいて機器収納部17に内装した制御部(図示せず)によって適宜制御される。上記の洗浄水吐出口23はボウル部15の開口縁後部における幅方向の一方に設けられているので、吐出されたボウル洗浄水はボウル部15内を隈なく且つ勢い良く旋回する旋回流となり、ボウル部15内の汚物を一気に流し得るようにされている。
【0019】
更に言うと、本例の洗浄水吐水装置11には、図6に示すように、ボウル洗浄水に空気を混入してこの空気を微細化して微細気泡を生成してボウル洗浄水に含有させる微細気泡発生手段27が設けられる。微細気泡をボウル洗浄水に含有させると、嵩比重の低下による節水効果、ボウル洗浄水のボウル部15の内面への衝突の際の摩擦低減による静音化や水跳ね防止効果は勿論のこと、微細気泡がボウル部15の内壁に衝突して破裂する際に発生する衝撃波や気泡界面が有する吸着特性などによって、ボウル部15の内壁に付着する汚物を強力に剥がして吸着できる気泡洗浄効果も期待できる。
【0020】
具体的には、微細気泡発生手段27は、図6に示すように、洗浄水流路24に空気混入部28を設けると共にこの下流にベンチュリー管状の圧力急変部29を設けて成る管材27aにて構成される。空気混入部28は、洗浄水流路24の径を絞ったノズル部28aの周辺に逆止弁30(図5)を備えた空気供給管31を接続して成り、ノズル部28aに生じる負圧によって空気をボウル洗浄水内に隈なく混入させ得るようにしてある。圧力急変部29は、上流側から順に、径を絞る縮径部32、絞られた径の咽喉部33、径を拡げる拡径部34が連設された構造を有し、上記空気混入部28にてボウル洗浄水に混入した空気は、ボウル洗浄水が圧力急変部29を流れる際に、まず縮径部32及び咽喉部33での内圧降下にて膨張され、続けて拡径部34での内圧上昇にて剪断力や衝撃波が作用されて破砕され微細化される。微細気泡発生手段27としては混入空気をボウル洗浄水内に溶解させた後に析出させるタイプも用いることができるが、このタイプだと溶解タンクが必要になって大型化するので、本例のような剪断力等を利用して混合空気を破砕して微細化させる管材27aで構成されるタイプのものを好適に用いることができる。
【0021】
洗剤供給手段2は、洗浄水流路24に設けた洗剤混合部7に対して洗剤タンク3から至る洗剤供給路8が接続され、洗剤供給路8に設けた洗剤用ポンプ36を駆動すると共に洗剤供給路8に設けた洗剤用開閉弁37が開かれることで、洗剤混合部7にてボウル洗浄水に対して洗剤タンク3内に貯留した液状の中性洗剤から成る洗剤を混合させて洗剤混合水を生成するようにされている。詳しくは、本例の洗剤供給路8は、往路部の始端と復路部の終端とが洗剤タンク3内に位置する循環経路部38と、循環経路部38の途中から分岐して洗浄水流路24の洗剤混合部7に至る供給経路部39とを有している。洗剤用ポンプ36は循環経路部38に設けられ、洗剤用開閉弁37は供給経路部39の下流端に設けられている。洗剤用ポンプ36を駆動すると洗剤タンク3に貯留された洗剤が循環経路部38を循環するので、洗剤が洗剤供給路8内で固化等して詰まることが防止されている。また、洗剤混合部7は、洗浄水流路24の流路径を絞って流れるボウル洗浄水に負圧を発生させる部位となっており、本例では管材27aの咽喉部33で構成されている。洗剤用開閉弁37は、洗剤混合部7でのボウル洗浄水の負圧がかかると共に、洗剤用ポンプ36が駆動してポンプ圧がかかった場合に開くようにされていて、一定の洗剤がボウル洗浄水内に混入されるようになっている。
【0022】
洗剤混合水は洗浄水流路24を経て洗浄水吐出口23からボウル部15内に供給される。洗浄水吐出口23から吐出された洗剤混合水は、上述したように旋回流になってボウル部15の内面に隈なく行きわたり、洗剤混合水に含有する洗剤による洗剤洗浄効果をボウル部15の内面に隈なく発揮させて効果的な洗浄が可能にされている。更に言うと、洗剤混合水はボウル洗浄水に比べて水の表面張力(粘性)が低下し、微細気泡発生手段27で発生する微細気泡の径をmmオーダーからμmオーダーにまで小さくできる効果も有する。μmオーダーの微細気泡はmmオーダーの微細気泡に比べて格段に割れにくい性質を有する。したがって、本例の便器装置1では、ボウル部15の洗浄動作におけるボウル部15内に溜水35が形成されるタイミングで洗剤混合水を生成させ、気泡を長期に亙って残留させた溜水35を形成させて、溜水35の喫水線付近の汚れ付着防止を図るように、制御部による制御がなされている。
【0023】
ところで、洗剤は洗剤供給手段2の使用により目減りするため、洗剤タンク3には洗剤を補充するなど定期的なメンテナンスが必要とされる。
【0024】
そこで、図4(a)に示すように、便器装置1のサイドカバー16の一部にタンクカバー5で開閉される突出用孔16aを設け、突出用孔16aの内側に、洗剤タンク3を着脱自在に収納してある。洗剤タンク3の洗剤補給時には洗剤タンク3を突出用孔16aから外方に取り外すことができる。洗剤タンク3は後述のタンクホルダー4に着脱自在に保持されており、タンクホルダー4の清掃時にはタンクホルダー4もまた突出用孔16aから外方に取り出し可能とされている。
【0025】
洗剤タンク3は、図2に示すように、略直方体状の容器であり、その上面部には洗剤供給路8の接続口8aに接続させる接続継手となる洗剤出入部3aとキャップ付き洗剤補給口部3bとが設けられている。また洗剤供給路8を構成する循環経路部38(図5)の往路部の始端と復路部の終端とが、接続金具8bに設けた2つの循環経路部側接続口8cにそれぞれ接続され、該接続金具8bに設けた2つの接続口8aに洗剤タンク3の洗剤出口部と洗剤戻り部(以下「洗剤出入部3a」と称する)がそれぞれ着脱自在に接続可能とされる。
【0026】
さらに、2つの接続口8aの近傍には、洗剤タンク3の各洗剤出入部3aを各接続口8aに導く庇状の接続ガイド部9が接続口8aよりも前方に突出するように設けられており、洗剤タンク3をタンクホルダー4の洗剤タンク載置部6に載せた状態で、洗剤タンク3の洗剤出入部3a,3aが接続ガイド部9の両側に沿って、洗剤供給路8の接続口8a,8aに接続可能とされる。
【0027】
ここで、本例の便器装置1にあっては、洗剤タンク3を取り外して洗剤補充を行う時に洗剤供給路8内に残った接続口8aから垂れる洗剤により、その後装着される洗剤タンク3の表面が汚れないようにする工夫が施されており、以下に詳述する。
【0028】
タンクホルダー4の背面壁部4bの上端背後には、図1に示すように、前述した接続金具8bが取り付けられており、この接続金具8bの接続口8aの下方に臨ませて洗剤受部12が配置されている。洗剤受部12は、タンクホルダー4の背面壁部4bの上端から後方に凹ませて形成された、上方に開放された横樋形状に形成されている。本例では、洗剤受部12の中央側が最も低く、両側が中央よりも高くなるように傾斜している。中央側には後端から前端に行く程低くなるように下り傾斜した中央傾斜部12aが形成されており、その左右両側に中央傾斜部21aから離れる程高さが高くなるように傾斜した両側傾斜部12bがそれぞれ形成されている。本例の洗剤受部12は、洗剤タンク3の着脱時に洗剤供給路8の接続口8aから液垂れする洗剤を受けるのみならず、洗剤タンク3と洗剤供給路8との接続状態で当該接続部位から液垂れする洗剤も受けることができるものである。
【0029】
タンクホルダー4の背面壁部4bの中央部側には、背面壁部4bの前方に向けて左右一対の誘導リブ45が並設されており、誘導リブ45間に上下流路46が形成されている。上下流路46の上端は、洗剤受部12の中央傾斜部12aの真下位置で、中央傾斜部12aの前端に向かってラッパ状に拡開しており、上下流路46の下端はタンクホルダー4の底面部4aまで達している。本例の誘導リブ45はタンクホルダー4の背面壁部4bに沿って上下流路46を形成する役目と、洗剤タンク3の側面が上下流路46に直接触れないようにする役目とを有している。
【0030】
なお、誘導リブ45を設ける位置は背面壁部4bの中央側に限らず、背面壁部4bの左右両側のいずれかに寄せて設けられてもよく、この場合、後述する流出路14の一端を上下流路46の下端まで延ばすようにすればよい。
【0031】
タンクホルダー4の底面部4aの左右両側には、洗剤タンク3を載せる洗剤タンク載置部6が設けられており、中央側には洗剤タンク載置部6よりも一段低い位置に、上方に開放された横樋状の流出路14が前後方向に長く形成されている。この流出路14の一端は前述した上下流路46の下端と連通しており、他端はタンクホルダー4の底面部4aの前縁部よりもさらに便器10の外側方Bに向けて突出している。
【0032】
しかして、上記洗剤タンク3を便器10の外部に取り出す際に、洗剤供給路8内に残った洗剤が接続口8aから液垂れしても、この洗剤は洗剤受部12で受けられ、洗剤受部12の中央傾斜部12aから誘導リブ45間の上下流路46を伝ってタンクホルダー4の底面部4aへ誘導され、さらに流出路14を伝って便器10の外側方Bへ排出される。従って、洗剤が便器10内部に浸入するおそれがなくなり、便器10内部の定期的な掃除の手間を省くことができる。しかも流出路14からの洗剤の流出位置は、便器10の外側方Bの決まった位置に定められるので、洗剤の拭き取りも容易となる。さらに、タンクホルダー4内部に洗剤が溜まりにくいと共に、上下流路46や流出路14に洗剤タンク3が直接触れにくいため、洗剤タンク3表面に洗剤が付着することも極力防止できる利点がある。
【0033】
また本例の流出路14は、タンクホルダー4の底面部4aにおける洗剤タンク載置部よりも低い部位に一体に形成されているので、タンクホルダー4に流出路14を一体化して構造をシンプル化できるものであり、そのうえ、タンクホルダー4の背面壁部4bの上端部に洗剤受部12を一体形成し、タンクホルダー4の背面壁部4bに上下流路46形成用の誘導リブ45を一体形成しているので、部品数が増加することなく、タンクホルダー4単体で洗剤の排出経路を確保できるものである。
【0034】
さらに上記流出路14を便器10の外側方Bに向かう程高さが低くなるように傾斜させるのが望ましい。このようにすることで、タンクホルダー4内部の洗剤がスムーズに排出され、タンクホルダー4内部に洗剤が溜まるのを一層防止できるようになる。
【0035】
図4(b)は流出路14を便器10の外側方Bに突出して配置されるタンクカバー5で覆うようにした一例である。タンクカバー5により流出路14が露出しないため外観が向上すると共にトイレ掃除時に飛散した洗剤入り洗浄水が流出路14を逆流して便器10内部に浸入するのを防止できる。しかも、このタンクカバー5の底壁に、流出路14から滴下する洗剤を便器10の外側方Bに排出するための排出孔5aを形成しているので、この排出孔5aから洗剤排出を支障なく行うことができる。なお、タンクカバー5は便器10に対して取り外される構造、或いは回動して開く構造のいずれであってもよい。
【0036】
前記各実施形態では、流出路14がタンクホルダー4の底面部4aに一体に形成される場合を例示したが、必ずしもこれに限らず、タンクホルダー4とは別体の流出路14を構成する部材をタンクホルダー4の底面部4aに取り付けることも可能である。
【0037】
また前記実施形態では、便器装置1として合成樹脂製のものを例示したが、たとえば合成樹脂製のサイドカバー16と陶器製のボウル部15とで成る樹脂と陶器との組み合わせ型を用いたり、ボウル部15やサイドカバー16を一体の陶製成形物で構成した従来一般の陶器製を用いることもできる。
【0038】
また、上記実施形態では、タンクホルダー4は便器装置1の後部の下部に配設してあるが、他の部位に配設してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 便器装置
3 洗剤タンク
3a 洗剤出入部
4 タンクホルダー
4a 底面部
5 タンクカバー
8 洗剤供給路
8a 接続口
10 便器
12 洗剤受部
14 流出路
15 ボウル部
16 サイドカバー
45 誘導リブ
46 上下流路
B 便器の外側方


【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に取り付けたタンクホルダーに、便器のボウル部を洗浄する洗浄水に洗剤供給路を介して洗剤を供給する洗剤タンクを着脱自在に保持すると共に、洗剤タンクに設けた洗剤出入部と洗剤供給路に設けた接続口とを着脱接続自在とすると共に洗剤タンクを便器外部に取り出し自在とした便器装置であって、上記タンクホルダーに、上記洗剤タンクと洗剤供給路との接続部位の下方に配置されて該接続部位から垂れる洗剤を受ける洗剤受部と、該洗剤受部で受けた洗剤をタンクホルダーの底面部へ誘導するための上下流路形成用の誘導リブとをそれぞれ設けると共に、上記タンクホルダーの底面部における洗剤タンク載置部との非接触位置に、該底面部に誘導された洗剤を便器の外側方に向けて流出させるための流出路を設けて成ることを特徴とする便器装置。
【請求項2】
上記流出路は、タンクホルダーの底面部における洗剤タンク載置部よりも低い部位に一体に形成されていると共に、便器の外側方に向かう程高さが低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1記載の便器装置。
【請求項3】
上記流出路は、便器の外側方に突出して配置されるタンクカバーで覆われると共に、該タンクカバーの底壁に、流出路から滴下する洗剤を便器の外側方に排出するための排出孔を形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の便器装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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