説明

便座蓋カバーとこれに用いる止着吸盤

【課題】便座蓋カバーの吸盤止着は、便座蓋表面が便座との取付け基部付近において、微妙に湾曲するため、吸着面が曲面となり吸着盤の吸皿の大きさによって吸皿端部から空気が侵入して吸着不能となり、吸皿が小さければ比較的重量のあるカバー基布を支持する吸着力が得られない問題があった。
【解決手段】 便座蓋の表面を覆って端縁に沿って裏面に回り込む覆着代が全体として便座蓋を包着するカバー本体裏面の、便座蓋表面と接面し、カバーを便座蓋上に支持する部位に、取付けテープ4を挿通する挿通孔を設けた基盤上に一対の吸盤を並列して構成した止着吸盤3を設定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋式便器の便座蓋に装着する便座蓋カバーと便座蓋カバーを含むカバー類を被着物に装着する際に用いる止着吸盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洋式便器の背後側に取り付けられる便座蓋に覆着する便座蓋カバーの止着については、例えば特許文献1記載のように便座蓋の表面を覆って裏面に回り込む本体基布の内縁に沿ってゴム紐等の伸縮帯をU字形に取り付けると共に、便座蓋ヒンジ部を覆って裏面に回り込む基布の周縁部と上記伸縮帯との接続部分に、先端に便座蓋の裏面に吸着する吸盤を取り付けた左右一対の止着紐を用いる等便座蓋裏面に回り込む覆着代を引張するストラップが用いられてきた。
【0003】
その後、特許文献2記載のように、先端に吸盤嵌着孔を設けた吸盤取付具を介して吸盤を設定したループ状偏平ゴム紐を基布裏面に縫止し、吸盤を便座蓋の表面に吸着させて便座蓋表面に本体基布を係止保持させることが行われるようになってきている。
【特許文献1】実開平7−20994号公報
【特許文献2】特開平11−285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、吸盤をカバー基布本体の裏面に直接取り付けることは、吸盤が体積のある構造体である関係上本来の装飾面であるカバー表面に与える影響が大きく困難であり、縫着が可能なテープ状のゴムや布を基布裏面に縫着し、吸盤を嵌着する構造を備えた取付具を上記縫着したテープ状のゴムや布によって固定する手段を採らざるを得なかった。
【0005】
また、便座蓋表面は便座との取付け基部付近において、微妙に湾曲するため、吸着面が曲面となり吸着盤の吸皿の大きさによって吸皿端部から空気が侵入して吸着不能となり、吸皿が小さければ比較的重量のあるカバー基布を支持する吸着力が得られない問題があった。
【0006】
更に、吸着盤の基布裏面への設定手段として吸盤を嵌着する嵌着孔を設けた吸盤取付具をカバー基布の裏面に縫着してから吸盤を嵌着することが考えられたが、吸盤嵌着孔を設けた吸盤取付具を介しての吸盤設定は、取付具への吸盤の取付けが面倒であるうえ、吸着状態が不安定で被着状態にむらができたり、カバー表面に凹凸を生じてカバーを外す時点で吸盤が中々剥がれなかったりする不都合があった。
【0007】
また、汎用される吸盤は便座蓋という設定環境において、デザイン的にマイナス印象が大きく、既成概念としてユーザ層に対してのデザイン的なアピールを期待することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記した問題点に対応しようとするものであり、カバー基布の裏面に設定する止着吸盤を、端部に取付けテープを挿通する挿通孔を設けた基盤上に一対の吸盤を並列して構成するようにして、吸皿の面積を小型にして基盤の湾曲と並列吸盤の多面当接によって吸着面の幅を広げ、曲面吸着に対応できるようにした。
【0009】
また、塩化ビニール吸盤グレード等の素材を用いて一対の吸盤と基盤を一体に成形することによって、止着吸盤全体の構造を堅牢なものとし、生産効率を上げコスト的にも有利に展開すると共に、素材の柔軟性に加えて吸盤と基盤をデザイン的にコンパクトな形状に纏めて止着吸盤としてデザインできるようにした。
【0010】
更に、基盤の裏面端縁を突条によって縁取りすると共に、取付けテープが基盤の挿通孔を挿通して基盤外側部に折り返す部位の突条をテープの幅と厚み分凹陥させて構成し、基盤外側部に折り返すテープの幅と厚みを突条の凹陥部に収納して基盤のカバー本体との取付け部がテープの厚み分だけ浮き上がる等の不安定要素を取り除いた。
【0011】
また、吸盤の外周側端部と基盤上面とを線状連結部材によって連結し、吸着面剥離方向に基盤端部を引張することにより、線状連結部材が吸盤の外周側端部を吸着面から剥離するように構成し、基盤を湾曲させるように引けば吸皿の端部が持上がり、吸着力が抜けるようにした。
【0012】
吸着盤のデザインについては、基盤上に一対の吸盤を並列することにより、全体形状としてのユニークさを出すと共に、基盤の形状、色彩等についても、独自のデザインをアピールできるように構成した。
【実施例】
【0013】
以下、図面に従って本発明の実施例を説明する。1は便座蓋カバーの本体で、厚手の植毛地により便座蓋Aの表面を覆って端縁に沿って裏面に回り込む覆着代11が全体として便座蓋を包着するようになっており、先端頂部1aに便座蓋の頂部を袋状に覆う覆着部12が形成されている。
【0014】
覆着部12は、便座蓋頂部の形状に沿って覆着代を折り曲げ、裏面に回り込んだ覆着代の内側端縁に沿って、端縁を短縮方向に引張する弾性紐体2の設定により便座蓋頂部を包む袋状に形成され、覆着部12の形状に連続する裾部13が便座蓋Aの形状に馴染んで便座蓋を包むようになっている。
【0015】
本体1の表面は、植毛等によって適宜の装飾が施され、前記弾性紐体2による内側への引張力により緊張されて便座蓋Aの表面に密接する。本体1の裏面には図1に示すようにカバーを便座蓋上に支持する左右の部位に、カバー本体を便座蓋Aの表面に止着する止着吸盤3が設定される。
【0016】
止着吸盤3は、上下の端部に取付けテープ4を挿通する挿通孔32を設けた基盤31上に一対の吸盤3a、3bを並列して構成され、基盤31の裏面は端縁を突条33によって縁取りすると共に、取付けテープ4が基盤の挿通孔32を挿通して基盤外側部に折り返す部位の突条をテープの幅と厚み分凹陥させて折り返しループするテープの幅と厚みを収容する凹陥部34が構成される。
【0017】
取付けテープ4は繻子などの柔軟な素材によって構成され、基盤31の挿通孔32に挿通して折り返しループしてループ端を本体1の基布裏面設定位置に縫着される。
【0018】
また、一対の吸盤3a、3bの吸皿の外周端部には、適宜位置に一端を基盤上に固定する線状連結部材41の端部を取り付けるようにして、止着吸盤3を便座蓋Aから剥離しようとする際に、吸着面剥離方向に基盤端部を引張することにより、線状連結部材が吸盤の外周側端部を吸着面から剥離するように構成し、基盤を湾曲させるように引けば吸皿の端部が持上がり吸着力が抜けるようにした。
【0019】
基盤31は図3に示すように楕円形状の中央部に一対の吸盤3a、3bを並列して形成し、吸盤3aと3bの中間部上下にテープ挿通孔32を穿設し、裏面(背面)は前記した凹陥部34を設けた突条33によって縁取りされるが、全体形状としては独自のデザインを施したり、場合によっては形状、色彩等を施した装飾盤に構成する。
【0020】
このように構成した便座蓋カバーは、便座B上に覆着開閉する便座蓋Aの頂部から覆着部12を被せてカバー裏面に設定した止着吸盤3、3を便座蓋Aの表面に押し付け吸着させれば、覆着部12が頂部を包着すると共に裾部13が吸盤の止着により便座蓋Aにフィットして、ゴムベルト等のストラップを用いることなく、きっちりとしたカバー被着を行うことができる。
【0021】
なお、本願発明による吸着盤は、便座蓋カバーの止着のみではなく、自動車フロントガラスの日除け覆いの止着等にも活用することができ、その利用範囲は極めて広いものである。
【0022】
本発明は以上のように構成したので、被着便座蓋に対してゴムベルト等のストラップを掛け回したり、吸盤取付具への吸盤の取付け等、面倒な作業を行うことなく、きっちりとしたカバー被着を行うことができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による便座蓋カバーの実施例を示すもので、裏面所要部に止着吸盤を設定した状態を示す便座蓋カバー裏面の正面図である。
【図2】同じく、便座蓋カバーを便座蓋に被着した状態を示すカバー被着便座を立ち上げた状態における便座と便座蓋の全体図である。
【図3】同じく、便座蓋カバーを便座蓋に被着し、便座蓋のカバー被着基部のカバーを捲くり上げて止着吸盤と便座蓋表面の関係を示すカバー被着便座蓋の平面図である。
【図4】同じく、本発明による図4の止着吸盤の正面図である。
【図5】同じく、本発明による図4の止着吸盤の背面図である。
【図6】同じく、本発明による図4の止着吸盤の底面図である。
【図7】同じく、本発明による図4の止着吸盤の右側面図である。
【図8】同じく、図5の止着吸盤のイ−イ断面図である。
【図9】同じく、図5の止着吸盤のロ−ロ断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 便座蓋カバー本体
1a カバー本体の先端頂部
11 カバー本体の覆着代
12 カバー本体の覆着部
13 カバー本体の裾部
2 端縁を短縮方向に引張する弾性紐体
3 止着吸盤
3a 止着吸盤の基盤上に並列される吸盤
3b 止着吸盤の基盤上に並列される吸盤
31 止着吸盤吸着盤の基盤
32 止着吸盤の基盤の取付けテープ挿通孔
33 止着吸盤の基盤裏面の縁取り突条
34 止着吸盤の基盤裏面の縁取り突条の凹陥部
4 止着吸盤の基盤取付けテープ
41 吸皿周端部に取り付けた吸着剥離用線状連結部材
A 被覆便座蓋
B 便座


【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座蓋の表面を覆って端縁に沿って裏面に回り込む覆着代が全体として便座蓋を包着するカバー本体裏面の、
便座蓋表面と接面しカバーを便座蓋上に支持着合する部位に、
基盤上に一対の吸盤を並列して構成した止着吸盤を設定したことを特徴とする便座蓋カバー
【請求項2】
先端部に便座蓋の頂部を袋状に覆う覆着代の、便座蓋裏面に回り込んだ覆着代の内側端縁に沿って、端縁を短縮方向に引張する弾性紐体を設定した請求項1記載の便座蓋カバー
【請求項3】
取付けテープ挿通孔等、カバー本体裏面への取付け構造を設けた基盤上に、一対の吸盤を並列して前記基盤と一体成形して成るカバー装着用止着吸盤
【請求項4】
吸盤の外周側端部と基盤上面とを線状連結部材によって連結し、吸着面剥離方向に基盤端部を引張することにより、線状連結部材が吸盤の外周側端部を吸着面から剥離するように構成した請求項3記載のカバー装着用止着吸盤
【請求項5】
一対の吸盤を並列する基盤の裏面端縁を突条によって縁取りすると共に、取付けテープが基盤の挿通孔を挿通して基盤外側部に折り返す部位の突条をテープの幅と厚み分凹陥させて構成するようにした請求項4又は請求項5記載のカバー装着用止着吸盤

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−136307(P2009−136307A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312204(P2007−312204)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(591205684)オカ株式会社 (14)
【Fターム(参考)】