説明

係合具

【課題】操作性、耐久性に優れた係合具の提供を目的とする。
【解決手段】係合具1の雄ホック5は、全体略凸条体からなり、略円柱形状をなす先頭部5Aの先端周部が後方周部8Aよりも放射方向で外方に張り出すようにして先頭部の先端周部に突縁部8を備える。一方、雄ホック5を係合する雌ホック7は、雄ホック5の先頭部5Aを矢印A方向に係入する雌穴13を、円形をなす上面中心に備えた全体略円筒形状の基体14を備え、基体14の内部には雄ホック5の突縁部8と係合または係合解除することを可能とした係合体20を備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば財布、セカンドバッグなどに使用され、止着する係合部と被係合部間の係合を行うための係合具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、財布、セカンドバッグなどにおいて使用される係合具としては、押ホックが一般的とされる。押ホックとしては、下記特許文献1に示すように全体略凸条体からなり、略円柱形状をなす先頭部の先端周部が後方周部よりも放射方向で外方に張り出すようにして先頭部の先端周部に突縁部を備える雄ホックと、上記雄ホックの先頭部を係入する雌穴を、円形をなす上面中心に備えた全体略円筒形の基体を備え、該基体の内部には、雄ホックの先頭部が雌穴から係入される状態で略円柱形状をなす雄ホックの先頭部を中心に形成される孔部に係入する全体環状のものとされ、雄ホックの突縁部と係合または係合解除することを可能とした係合体を、前記雌穴の内部に留置する状態で位置決めする雌ホックと、からなる。
すなわち、この種の係合具は、止着する係合部に雄ホックを、被係合部に雌ホックを支持させるようにし、係合部と被係合部間の係合または係合解除を可能にしている。
【0003】
また最近では、下記特許文献2に示すように係合具の一方の係合中心に永久磁石にて形成される吸着部を備えることとし、他方の被係合中心にも吸着部と吸着する永久磁石により形成される被吸着部を備えることとし、被吸着部と吸着部との相互吸引により、確実かつ位置合わせ可能に係合部と被係合部間の係合を可能とした係合具も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−72329号公報
【特許文献2】特許第3849113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで出願人は、こうした従来の係合具において、雄ホックと雌ホック間の係合を確実にし、雄ホックが雌ホックから容易に離脱せず、かつ両者の係合・係合解除を容易に行うことのできる操作性の良い係合具の開発を行っていたところである。
【0006】
というのは、従来の押ホックからなる係合具は、少しの外力で雄ホックが雌ホックから容易に係合解除されてしまい、このような不具合は、通常弾性体で形成される係合体の弾性力が使用を繰り返すことで低下し、起こり易くなるものとされていた。
【0007】
本発明は、こうした従来の不具合に着目してなされたものであり、操作性に優れ、耐久性に優れた係合具を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1は、全体略凸条体からなり、略円柱形状をなす先頭部の先端周部が後方周部よりも放射方向で外方に張り出すようにして先頭部の先端周部に突縁部を備える雄ホックと、上記雄ホックの先頭部を係入する雌穴を、円形をなす上面中心に備えた全体略円筒形の基体を備え、該基体の内部には、雄ホックの先頭部が雌穴から係入される状態で略円柱形状をなす雄ホックの先頭部を、中心に形成される孔部に係入する全体環状のものとされ、雄ホックの突縁部と係合または係合解除することを可能とした係合体を、前記雌穴の内部に留置する状態で位置決めする雌ホックと、からなる係合具において、前記雄ホックの円柱形状をなす先頭部の円形をなす先端面の、少なくとも中心部に、永久磁石で形成する吸着部を備えることとし、一方、係合体が留置する状態で位置決めされる基体内部の雌穴の内底部における少なくとも中心位置には、雄ホックの先頭部が雌穴から基体の内部に係入され、雌穴の内底部に近接する状態で前記雄ホックの吸着部と吸着可能な永久磁石で形成される被吸着部を備えることとし、前記雌穴内に留置する状態で位置決めされる環状の係合体は、雄ホックの先頭部が雌穴から係入され、吸着部が被吸着部に近接する状態で、係入する雄ホックの先頭部における先端周部に形成される突縁部と衝合して放射方向に拡開することを可能とし、吸着部が被吸着部に吸着する状態で雄ホックの先頭部における後方周部に位置決めして突縁部と係合するよう縮径可能な弾性体からなり、周部の1ヶ所に常時は雄ホックの先頭部における後方周部の外径よりも小さな幅の切欠部を備えた環状のスナップリングとし、また、こうして形成される係合体を雌穴の内部に留置する状態で位置決めする全体略円筒形の基体には、内部に留置する係合体における切欠部の形成位置と周方向における同位置に、基体の雌穴の中心を基準にして法線方向に沿って、雌穴内で係合体と係合される雄ホックの先頭部をスライドさせて通過させることを可能とするスリットを備え、雄ホックの先頭部における突縁部は、雄ホックの先頭部が雌穴より基体内部に係入し、雄ホックの先頭部における突縁部と衝合して放射方向に拡開し、吸着部が被吸着部に吸着する係合体が縮径する係合状態において、前記雄ホックの先頭部の雌穴に対する係入方向と逆方向での係合解除が行えないよう先頭部の先端周部が、最先頭部から後方に向けてテーパ形状に拡開するようにして形成し、吸着部が被吸着部に吸着し、スナップリングにて形成される係合体が雄ホックの先頭部における後方周部と係合するように縮径する雄ホックの雌ホックに対する係合状態から、雄ホックを雌ホックから係合解除する場合に、吸着部を被吸着部から基体の雌穴の中心に対して放射方向にスライドさせるように雄ホックを雌ホックの基体から離隔させ、スナップリングにて形成される係合体の切欠部に雄ホックの先頭部における後方周部を通過させるようにして係合体を拡開し、雄ホックの先頭部を係合体の孔部に挿通される係合状態から、孔部外方に位置させる係合解除状態にするとともに、切欠部を通過させた雄ホックの先頭部を、さらに基体の雌穴中心に対して放射方向にスライドさせ、スリットを通過させるように構成したことを特徴とする係合具としたものである。
【0009】
また請求項2に係る発明は、係合体は合成樹脂製あるいは金属製の可撓材で形成してなる請求項1に記載の係合具としている。
【0010】
また請求項3に係る発明は、係合体には雌穴の内部に留置する状態で基体に位置決め・支持するための位置決め片を備えることとしてなる請求項1に記載の係合具としている。
【0011】
さらに請求項4に係る発明は、雄ホックの先頭部における突縁部は、先頭周部の周方向に沿って連続して形成されるものである請求項1に記載の係合具としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、雄ホックの雌ホックに対する係合を、吸着部を被吸着部に吸着させるようにして確実かつ容易に行うことを可能とし、雄ホックの先頭部における突縁部は、雄ホックの先頭部が雌穴より基体内部に係入し、雄ホックの先頭部における突縁部と衝合して放射方向に拡開し、吸着部が被吸着部に吸着する係合体が縮径する係合状態において、前記雄ホックの先頭部の雌穴に対する係入方向と逆方向での係合解除が行えないよう先頭部の先端周部が、最先頭部から後方に向けてテーパ形状に拡開するようにして形成しているので、雄ホック側において多少の外力が加わった状態においても雄ホックが雌ホックから容易に離脱することがない。また雄ホックを雌ホックから係合解除する場合、吸着部を被吸着部から基体の雌穴の中心に対して放射方向にスライドさせるように雄ホックを雌ホックの基体から離隔させ、スナップリングにて形成される係合体の切欠部に雄ホックの先頭部における後方周部を通過させるようにして係合体を拡開し、雄ホックの先頭部を係合体の孔部に挿通される係合状態から、孔部外方に位置させる係合解除状態にするとともに、切欠部を通過させた雄ホックの先頭部を、さらに基体の雌穴中心に対して放射方向にスライドさせ、スリットを通過させるようにして行うことができる。この結果、簡単な操作により雄ホックを雌ホックから係合解除することが可能となり、操作性、耐久性に優れた係合具の提供を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る係合具が取付けられるセカンドバッグを示す斜視図である。
【図2】係合具の雄ホックを雌ホックから係合解除した状態を示す斜視図である。
【図3】図2のIII部を拡大して示した状態を示す斜視図である。
【図4】雄ホックと雌ホックの構造を示す斜視図である。
【図5】雄ホックのセカンドバッグに対する取付け状態を示す斜視図である。
【図6】雌ホックの分解状態を示す斜視図である。
【図7】図4のVII−VII線に沿い、雄ホックを雌ホックの基体における雌穴に係入する状態を示す断面図である。
【図8】雄ホックの吸着部を雌ホックの基体側の被吸着部に吸着させ、係合体に雄ホックの先頭部の突縁部を係合させた状態を示す断面図である。
【図9】雄ホックの雌ホックに対する係合状態から雄ホックを係合解除する状態を示す図4のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】雄ホックを雌ホックの基体中心から放射方向にスライドさせ、雌ホックから係合解除した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図1ないし図10に基づいて説明する。図1ないし図10に示す実施形態は、押しホックとしての係合具1に類する。この係合具1は、例えば図1、図2に示すセカンドバッグ2において、開口部3を覆う係合部としての折り返し蓋4の内側に雄ホック5を、被係合部としての表片6の表面に雌ホック7を配設するようにして形成される(図2、図3参照)。
【0015】
雄ホック5は、図3に示すように全体略凸条体からなり、先頭部5Aを略円柱形状とし、基端部5Bを円板形状として形成してなる。略円柱形状をなす雄ホック5の先頭部5Aは、その先端周部が後方周部8Aよりも放射方向で外方に張り出すようにして先頭部5Aの先端周部に突縁部8を備えるように形成している(図4参照)。
【0016】
すなわち、雄ホック5は、折り返し蓋4を構成する図5に示す2枚の係合面材9A、9Bのうち、係合面材9Aに穿設される丸孔10に基端部5Bの後面に形成される脚部11を挿通し、係合面材9Aと係合面材9Bの間に配設される止めリング12を脚部11に取着し、折り返し蓋4の内側の係合面材9Aに雄ホック5を止着させるようにしている(図7〜図10参照)。この結果、折り返し蓋4の内側に、雄ホック5が先頭部5Aを露出する状態で位置決めされることとなる(図2参照)。なお、係合面材9Aと9Bは相互に縫合され、折り返し蓋4を構成するようにしている。
【0017】
一方、雄ホック5の先頭部5Aを、図3の矢印A方向に向けて係合可能とする雌ホック7は、雄ホック5の先頭部5Aを矢印A方向に係入する雌穴13を、円形をなす上面中心に備える全体略円筒形状のものとされ、全体略円筒形状の基体14を備えるものとされる(図3、図4参照)。
【0018】
すなわち、雌ホック7は、図6に示すように全体円筒形状の基体本体14Aと、全体円板形状の支持基体14Bを嵌合させて形成され、内部に円筒形の空間14Cを備えるようにして図4に示すように組立可能とされる(図6参照)。
【0019】
雌ホック7は、図6に示すように円板形状の支持基体14Bの後面に形成される脚部15を、セカンドバッグ2の表片6を構成する2枚の被係合面材16A、16Bのうち、被係合面材16Aに穿設される丸孔17に挿通し、被係合面材16Aと被係合面材16Bの間に配設される止めリング18を該脚部15に取着し、表片6に止着するようにしている(図2参照)。なお、被係合面材16Aと16Bは相互に縫合され、表片6を構成するようにしている。
【0020】
さらに支持基体14Bと基体本体14Aを嵌合させて形成され、組立てられる基体14の内部の空間14Cには、全体環状のものとされ、中心に孔部19を備えた係合体20が留置する状態で位置決めされる。全体環状をなす係合体20は、周方向(図6のθ方向)での周部1ヶ所に切欠部21を備える合成樹脂製のスナップリングとされ、切欠部21に対する周方向(θ方向)での対向位置には、支持基体14B側に向けて突出する位置決め片22が備えられる(図6のB部で示す半割状態の係合体20を参照)。位置決め片22は支持基体14Bの周方向での任意の角度位置に穿設される係合孔23に挿入する状態で結合される(図6参照)。
【0021】
中心に孔部19を備え、周方向(θ方向)での1ヶ所に切欠部21を備える係合体20は、位置決め片22を支持基体23の結合孔23に結合させることで雌穴13の内部の空間14Cにおいて、切欠部21が常時一定の方向(図4に示すC方向)を向くように基体14の内部に留置する状態で位置決めされることとなる。
【0022】
この雌ホック7の雌穴13内の係合体20は、図7の矢印A方向に示すように、雌穴13に向けて係入される状態で略円柱形状をなす雄ホック5の先頭部5Aを、中心に形成する孔部19に係入するようにし、雄ホック5の先端の突縁部8と係合または係合解除することを可能にしている。
【0023】
ここで雌穴13内に向けて矢印A方向に係入される雄ホック5の円柱形状をなす先頭部5Aの円形をなす先端面の中心位置には、図4あるいは図8に示すように永久磁石を埋設する状態で吸着部24が備えられ、形成される。一方、図4に示すように係合体20が留置する状態で位置決めされる基体14の内部の空間14Cにおいては、雌穴13の内底部を構成する支持基体14Bの中心位置に、雄ホック5の先頭部が雌穴13から基体14の内部に係入され、雌穴13の内底部に近接する状態で、前記雄ホック5の吸着部24と相互に吸引し合い、吸着可能な被吸着部25が備えられる。
【0024】
被吸着部25は図7ないし図10に示すように支持基体14Bの内部中心位置に永久磁石を埋設するようにして形成される。ここで雌穴13の内底部を構成する支持基体14Bの中心位置に備えられる被吸着部25は、雄ホック5の先頭部5Aの先端面における吸着部24の磁石極性(例えばN極)と異なる極性(S極)の吸引力を作用させるようにしている。
【0025】
雌穴13内に留置する状態で位置決めされる環状の係合体20は、雄ホック5の先頭部5Aが図7の矢印A方向に向けて雌穴13から係入される状態において、雄ホック5の吸着部24が基体14側の被吸着部25に近接し、吸着部24と被吸着部25が相互に吸引して雄ホック5の先端周部に形成される突縁部8が、孔部19を通過するようにして衝合することとなる。ここで切欠部21を備えた環状の係合体20は、孔部19の内径が雄ホック5の突縁部8の外径よりも常時は小さいものとされ、係合体20は孔部19に向けて内方に突出する係合爪26を備え、さらに突縁部8を係合状態で収容可能とする係合溝27を内周部に備える断面コ字形状のものとされる(図8参照)。
【0026】
すなわち、係合体20は、図7の矢印A方向に雄ホック5が係入されると、雄ホック5の最先頭部に形成される突縁部8が、係合爪26の部分と衝合し、全体弾性体からなり、可撓性を有する合成樹脂製のスナップリングからなる係合体20は、該衝合により切欠部21を中心に矢印D方向で放射方向に拡開される(図6参照)。
【0027】
さらに雄ホック25の先頭部5Aにおける先端面の吸着部24が、支持基体14Bの被吸着部25に吸着する状態まで雄ホック5を矢印A方向に係入させると、係合爪26と衝合していた雄ホック5の最先端部の突縁部8が、係合体20の断面コ字形状の係合溝27に嵌合されるように収容され(図8参照)、係合体20は図6の矢印E方向に縮径し、この結果、雄ホック5の先頭部5Aにおける後方周部8Aと係合爪26とが係合することとなる。
【0028】
ここで雄ホック5の先頭部5Aにおける突縁部8は、雄ホック5の先頭部5Aが雌穴3より基体14の内部に矢印A方向に係入され、前記係合体20が雄ホック5の先頭部5Aにおける突縁部8が係合爪26と衝合して放射方向(図6、図7D方向)に拡開し、続く吸着部24が被吸着部25に吸着して縮径方向(図6E方向)に縮径する雄ホック5の雌ホック7に対する係合状態において、前記雄ホック5の先頭部5Aの雌穴13に対する係入方向(図7矢印A方向)と逆方向(図8矢印P方向)での係合解除が行えないよう先頭部5Aの先端周部が最先端部から後方に向けてテーパ形状に拡開するようにして形成している(図7、図8参照)。加えて、係合体20に形成される切欠部21は、係合体20が矢印E方向に縮径されている常時の状態において、雄ホック5の先頭部5Aにおける後方周部8Aの外径W(図4参照)よりも小さな幅T1(図6参照)に形成されているため、図8、図9に示す係合体20による雄ホック5の先頭部5Aの係合状態において、常時は孔部19内に係合された状態が保持されることになる。
【0029】
こうして形成され、全体可撓性を有する弾性材からなる係合体20を雌穴13の内部に留置する状態で位置決めする全体略円筒形の基体14には、内部に留置する係合体20における切欠部21の形成位置と周方向(θ方向)における同位置に、スリット28を備えるようにしている(図4、図9、図10参照)。すなわち、基体14は、位置決め片22を結合孔23に結合させるようにして係合体20を支持基体14Bに支持し、さらにこうして支持基体14Bに支持された係合体20の切欠部21が周方向(θ方向)で対応するように支持基体14Bと基体本体14Aを結合して組立てられる(図6参照)。
【0030】
この結果、基体14内の係合体20の切欠部21とスリット28は、基体14において、基体14の雌穴13の中心を基準にして矢印C方向(図4参照)の法線方向に対応することとなる。ここで、このスリット28は、雌穴13内で係合体20と係合される雄ホック5の先頭部5Aをスライドさせて通過させることを可能とする幅を備えるように予め形成される。
【0031】
吸着部24が被吸着部25に吸着し、スナップリングにて形成される係合体20の係合爪26と雄ホック5の先頭部5Aにおける後方周部8Aとが係合し、図6の矢印E方向に縮径し突縁部8が断面コ字形状の係合溝27に嵌合する雄ホック5の雌ホック7に対する係合状態から、雄ホック5を雌ホック7から係合解除する場合、先ず図9に示すように係合部としての折り返し蓋4を矢印Q1方向にスライドさせる。すなわち、こうした操作により、被吸着部25に吸着される吸着部24を、被吸着部25から基体14の雌穴13の中心に対して放射方向に矢印C方向(図4参照)に沿ってスライドさせることが可能となり、雄ホック5を雌ホック7の基体14から離隔させることが可能となる。
【0032】
ここでスナップリングにて形成される係合体20の切欠部21に、雄ホック5の先頭部5Aにおける後方周部8Aを通過させるようにするが、後方周部8Aの外径W(図4参照)は、係合体20の縮径状態にある切欠部21の幅T1よりも小さく形成されているため、通過させる場合には雄ホック5の突縁部8と係合体20の切欠部21を衝合させ、係合体20を図6の矢印D方向に拡開する。この結果、雄ホック5は、先頭部5Aの係合体20の孔部19に挿通する係合状態(図9に示す状態)から、孔部19の外方に位置させる係合解除状態(図10に示す状態)にすることが可能になる。さらに切欠部21を通過させた雄ホック5の先頭部5Aを、基体14の雌穴13を中心にして放射方向(図9のQ1方向)にスライドさせ、スリット28を通過させることが可能となり、この結果、折り返し蓋4を矢印Q2方向(図10参照)に係合解除することが可能となる。これによりセカンドバッグ2の開口部3内を外部に向けて開放することが可能となる。
【0033】
このように上記実施形態に係る係合具1によれば、雄ホック5の雌ホック7に対する係合を、永久磁石により形成される吸着部24を同じく永久磁石により形成される被吸着部25に吸着させるようにして確実に行うことが可能となる。
【0034】
また雄ホック5の先頭部5Aにおける突縁部8は、雄ホック5の先頭部5Aが雌穴13より基体14の内部に係入し、雄ホック5の先頭部5Aにおける突縁部8と衝合して放射方向に拡開し、さらに吸着部24が被吸着部25に吸着する係合体20の縮径状態において、雄ホック5の先頭部5Aの雌穴13に対する係入方向(図7A方向)と逆方向(図8P方向)での係合解除が行えないよう先頭部5Aの先端周部が最先頭部から後方に向けてテーパ形状に拡開するように突縁部8を形成しているため、雄ホック5側において多少の外力が加わった状態においても雄ホック5が雌ホック7から容易に離脱することがない。このため折り返し蓋4は、表片6に対して容易に離脱することなく係合させることが可能となる。
【0035】
また雄ホック5を雌ホック7から係合解除する場合、吸着部24を被吸着部25から基体14の雌穴13の中心に対して放射方向にスライドさせるように雄ホック5を雌ホック7の基体14から離隔させ、スナップリングにて形成される係合体20の切欠部21に雄ホック5の先頭部5Aにおける後方周部8Aを通過させるようにして係合体20を拡開し、雄ホック5の先頭部5Aを係合体20の孔部19に挿通される係合状態から、孔部19の外方に位置させる係合解除状態にするとともに、切欠部21を通過させた雄ホック5の先頭部5Aを、さらに基体14の雌穴13の中心に対して放射方向にスライドさせ、スリット28を通過して行うことが可能となる。
【0036】
この結果、簡単な操作により、雄ホック5を雌ホック7から係合解除することが可能となり、操作性、耐久性に優れた係合具の提供を行うことができる。
【0037】
上記実施形態によれば、雄ホック5の先頭部5Aにおける突縁部8を、図4あるいは図5に示すように先頭周部の周方向に沿って連続して形成するようにしているが、所定の間隔をもって間欠的に形成するようにしてもよい。
【0038】
また上記実施形態によれば、係合体20を全体可撓性を有し、図6の矢印D方向あるいはE方向に示すように拡開・縮径可能な弾性を有する合成樹脂製のスナップリングで形成しているが、もちろん金属製の環状スプリングからなる可撓材で形成してもよい。また、上記実施形態では、係合体20を内方に向けて係合爪26を形成し、係合溝27を内方に備えた断面コ字状のものとしているが、係合体20はこのような形態のものに限定されず、切欠部を備え、係入される雄ホック5の突縁部8と係合可能なC字形状の環状スプリングのようなものとしてもよい。
【0039】
さらに上記実施形態によれば、吸着部24を雄ホック5の先頭部における円形をなす先端面の中心部に永久磁石を埋設するように形成しているが、例えば先端面の全体に永久磁石を貼り付け、先端面の全体を吸着部24としてもよい。
【0040】
一方、吸着部24を吸着する被吸着部25についても、上記実施形態では、支持基体14Bの内部中心位置に永久磁石を埋設するように形成しているが、例えば支持基体14Bの表面全体に永久磁石を貼り付け、基体14内部における雌穴13の内底部全体を被吸着部25としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、本発明は、雄ホック側において多少の外力が加わった状態においても雄ホックが雌ホックから容易に離脱することもなく、簡単な操作により雄ホックを雌ホックから係合解除することが可能となるため、財布、セカンドバッグなど、係合具を必要とする様々な商品に取付け、応用することが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
1 係合具(押しホック)
2 セカンドバッグ
3 開口部
4 折り返し蓋(係合部)
5 雄ホック
5A 先頭部
5B 基端部
6 表片(被係合部)
7 雌ホック
8 突縁部
8A 後方周部
9A、9B 係合面材
16A、16B 被係合面材
10、17 丸孔
11、15 脚部
12、18 止めリング
13 雌穴
14 基体
14A 基体本体
14B 支持基体
14C 空間
19 孔部
20 係合体
21 切欠部
22 位置決め片
23 結合孔
24 吸着部
25 被吸着部
26 係合爪
27 係合溝
28 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体略凸条体からなり、略円柱形状をなす先頭部の先端周部が後方周部よりも放射方向で外方に張り出すようにして先頭部の先端周部に突縁部を備える雄ホックと、上記雄ホックの先頭部を係入する雌穴を、円形をなす上面中心に備えた全体略円筒形の基体を備え、該基体の内部には、雄ホックの先頭部が雌穴から係入される状態で略円柱形状をなす雄ホックの先頭部を、中心に形成される孔部に係入する全体環状のものとされ、雄ホックの突縁部と係合または係合解除することを可能とした係合体を、前記雌穴の内部に留置する状態で位置決めする雌ホックと、からなる係合具において、
前記雄ホックの円柱形状をなす先頭部の円形をなす先端面の、少なくとも中心部に、永久磁石で形成する吸着部を備えることとし、
一方、係合体が留置する状態で位置決めされる基体内部の雌穴の内底部における少なくとも中心位置には、雄ホックの先頭部が雌穴から基体の内部に係入され、雌穴の内底部に近接する状態で前記雄ホックの吸着部と吸着可能な永久磁石で形成される被吸着部を備えることとし、
前記雌穴内に留置する状態で位置決めされる環状の係合体は、雄ホックの先頭部が雌穴から係入され、吸着部が被吸着部に近接する状態で、係入する雄ホックの先頭部における先端周部に形成される突縁部と衝合して放射方向に拡開することを可能とし、吸着部が被吸着部に吸着する状態で雄ホックの先頭部における後方周部に位置決めして突縁部と係合するよう縮径可能な弾性体からなり、周部の1ヶ所に常時は雄ホックの先頭部における後方周部の外径よりも小さな幅の切欠部を備えた環状のスナップリングとし、
また、こうして形成される係合体を雌穴の内部に留置する状態で位置決めする全体略円筒形の基体には、
内部に留置する係合体における切欠部の形成位置と周方向における同位置に、基体の雌穴の中心を基準にして法線方向に沿って、雌穴内で係合体と係合される雄ホックの先頭部をスライドさせて通過させることを可能とするスリットを備え、雄ホックの先頭部における突縁部は、雄ホックの先頭部が雌穴より基体内部に係入し、雄ホックの先頭部における突縁部と衝合して放射方向に拡開し、吸着部が被吸着部に吸着する係合体が縮径する係合状態において、前記雄ホックの先頭部の雌穴に対する係入方向と逆方向での係合解除が行えないよう先頭部の先端周部が、最先頭部から後方に向けてテーパ形状に拡開するようにして形成し、
吸着部が被吸着部に吸着し、スナップリングにて形成される係合体が雄ホックの先頭部における後方周部と係合するように縮径する雄ホックの雌ホックに対する係合状態から、雄ホックを雌ホックから係合解除する場合に、吸着部を被吸着部から基体の雌穴の中心に対して放射方向にスライドさせるように雄ホックを雌ホックの基体から離隔させ、スナップリングにて形成される係合体の切欠部に雄ホックの先頭部における後方周部を通過させるようにして係合体を拡開し、雄ホックの先頭部を係合体の孔部に挿通される係合状態から、孔部外方に位置させる係合解除状態にするとともに、切欠部を通過させた雄ホックの先頭部を、さらに基体の雌穴中心に対して放射方向にスライドさせ、スリットを通過させるように構成したことを特徴とする係合具。
【請求項2】
係合体は合成樹脂製あるいは金属製の可撓材で形成してなる請求項1に記載の係合具。
【請求項3】
係合体には雌穴の内部に留置する状態で基体に位置決め・支持するための位置決め片を備えることとしてなる請求項1に記載の係合具。
【請求項4】
雄ホックの先頭部における突縁部は、先頭周部の周方向に沿って連続して形成されるものである請求項1に記載の係合具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−95786(P2012−95786A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244925(P2010−244925)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(390022482)株式会社エムアンドケイ・ヨコヤ (8)
【Fターム(参考)】