説明

係合力に方向性を有する面ファスナー

【課題】係合力が方向により相違する面ファスナー、特に壁面に展示物等を固定するのに、あるいは使い捨てオムツやオムツカバー等に好適に使用できる、係合力が方向により相違する面ファスナーを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる基板上に同樹脂からなる多数のステムが存在しており、該ステムは、その高さの中間部分とその先端部分でほぼ同一の幅を有しており、かついずれのステムも基板に対してほぼ同一の一方向に傾きを有しており、さらに該傾き方向に対して交差する方向にステム幅の0.5〜5.0倍の間隔をおいて多数のステムが並列に並んでおり、さらにこのようなステム列が基板上に複数列存在していることを特徴とする係合力に方向性を有する面ファスナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、係合力が方向により相違する面ファスナー、さらに詳しくは、壁面に展示物等を固定するのに、あるいは使い捨てオムツやオムツカバー等に好適に使用できる、係合力が方向により相違する面ファスナーに関する。
【背景技術】
【0002】
壁面に写真パネルや絵画等を取り付ける手段として、壁面に、頭部にフック部を有するネジ釘を打ち込み、あるいはフック状突起部を有する樹脂成形品を粘着剤や接着剤により壁面に取り付け、写真パネルや絵画額縁に紐をかけ、この紐をフック部またはフック状突起部を引っ掛ける方法が一般に用いられている。
しかしながら、近年、壁面にネジ釘を打ち込むことが出来ない構造の家屋が増加しており、上記したような従来の方法のうち、壁面にネジ釘を直接打ち込む方法が採用できない場合が多く、またこれらの方法の場合、フック部が壁面から数センチ突出していることから、そのようなフックに写真パネルや額縁等をかけた場合には、これらパネルや額縁が壁面から大きく突出し、その間に隙間が出来、その間に埃等が貯まったり、あるいは突出しているパネルや額縁が人の通行の障害となったりする。
【0003】
このような従来方法に替わる方法として、壁面に面ファスナー、例えばフック面ファスナーを貼り付け、一方、写真パネルや額縁の裏面に、該面ファスナーに係合し得るもう一方の面ファスナー、例えばループ面ファスナーを取り付け、両面ファスナーを係合させることにより、壁面に写真や額縁等を密着固定する方法が知られている。
【0004】
しかしながら、このような方法の場合、フック面ファスナー上に存在している係合素子の内のかなりが、殆ど、係合には関与していないこと、例えばフック素子のうち、フック素子が重力方向を向いているものなどは係合力に殆ど関与せず、さらに係合−剥離を繰り返すうちにループ素子が切れたり、フック素子が折れたりして係合力が徐々に低下する。さらに、剥離する際には、かなりの力で引き剥がすことが必要となり、場合によっては、写真パネルや額縁を傷めてしまうこともある。さらに位置決めをする際に、何度も係合剥離を繰り返す必要があり、剥離に手間を要することとなる。特に、頻繁に取り替えたり、着脱を繰り返す必要がある場合には、係合剥離の作業を繰り返す回数が増加し、係合力が低下することとなる。
【0005】
また、乳幼児のおしめカバーやおしめなどにも面ファスナーが使用されているが、おしめカバーやおしめを取り替えるために面ファスナーを剥がすと、バリバリという不快音が出て、乳幼児の睡眠を妨げてしまうこととなる。さらに、何回も繰り返すうちに係合力が低下し、剥離すべきでないときに剥離するという問題も有している。
【0006】
このような問題点を解消する面ファスナーとして、例えば特開平7−124004号公報には、モノフィラメントよりなるステムを基板に対して一方向にのみ斜めに植設した面ファスナーが提案されている。しかしながら、モノフィラメントからなるステムの場合には、面ファスナーの製造上、係合素子(ステム)は、あまり太く出来ず、さらに係合素子密度も限られ、高重量のものを係合することが出来ず、さらに全てのステムをほぼ同一方向に傾けることが極めて難しく、一部の他方向を向いているステムが係合を妨げ、結果として総合的な係合力発現を大きく損なうという欠点を有している。さらに、このようなモノフィラメントを一方向に傾けた面ファスナーの場合には、使用中に、ステムに力がかかるとモノフィラメントの傾き方向を損なうことが多く、例えばモノフィラメントを逆方向に倒す力が加わった場合には、モノフィラメントの傾き方向が大きく変化し、係合力が大きく低下、場合によっては係合力が全く消失してしまうこととなる。
【0007】
また、国際公開特許WO93/00025号には、合成樹脂の糸引き現象を利用して、一方向に傾いたフック素子を有する係合力に方向性を有する面ファスナーが記載されているが、このような面ファスナーでは、個々のフック素子は係合力が低く、しかもフック素子密度を高めることも困難であり、したがって高い係合力を有する面ファスナーを製造することは構造上難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−124004号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】国際公開特許WO93/00025号(全体)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、従来の取り付け金具のように、壁面から大きく突出することなく、さらに従来の面ファスナーの欠点である、係合−剥離を繰り返すことで面ファスナーのループが切断したり、フックが破損することにより係合力が低下するという問題点や係合力が必ずしも高くないという問題点、また剥離する際にバリバリという大きな音がするという問題点を解消するものであり、さらに従来公知の方向性面ファスナーの有する、係合力が低いまたは係合力が低下し易いという問題点を解消するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂からなる基板上に同樹脂からなる多数のステムが存在しており、該ステムは、その高さの中間部分とその先端部分でほぼ同一の幅を有しており、かついずれのステムも基板に対してほぼ同一の一方向に傾きを有しており、さらに該傾き方向に対して交差する方向にステム幅の0.5〜5.0倍の間隔をおいて多数のステムが並列に並んでおり、さらにこのようなステム列が基板上に複数列存在していることを特徴とする係合力に方向性を有する面ファスナーである。
【0011】
また本発明は、線状スリットと、同スリットから伸びる同一方向に傾斜した複数の線状スリットを有するノズルから熱可塑性樹脂を溶融押出して、表面に同一方向に傾斜した複数の連続列条を有するテープを作製し、得られたテープの連続列条にテープ長さ方向と交差する方向に小間隔で切れ目を入れ、そしてテープを長さ方向に延伸することにより該切れ目間を拡幅させることを特徴とする係合力に方向性を有する面ファスナーの製造方法である。
【0012】
そして、好ましくは、上記発明において、ステムの高さが0.3〜3.0mmであり、かつステム幅が0.2〜2.0mmである場合であり、またステムの頂部が平坦となっている場合であり、また、基板上に基板1cm当たり20〜200個の密度でステムが存在している場合であり、また基板がステム列方向に延伸されたものである場合であり、またステム高さの中間部分における基板と平行方向における個々のステムの断面積が0.04〜4.0mmである場合が、いずれも好適な場合として挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の面ファスナーでは、同一方向(縦方向)に傾いたほぼ同一幅を有するステムが隙間狭く横方向に並列に並んでおり、しかもそのようなステム列が縦方向に複数列存在していることにより、従来の面ファスナーの欠点である、係合−剥離を繰り返すことで面ファスナーのループが切断したり、フックが破損することにより係合力が低下するという欠点が少なく、しかもステムが太く、かつステム本数も容易に多くすることができるため、係合力が高く、さらに剥離する際に音を殆ど立てることがない。さらに従来公知の方向性面ファスナーと比べて係合力が高い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の係合力に方向性を有する面ファスナーの一例の斜視図である。
【図2】図1の面ファスナーをX方向から見たもので、特にひとつのステムを拡大した断面図である。
【図3】図2とは相違する面ファスナーのステム部分の拡大断面図である。
【図4】図1の面ファスナーをY方向から見たもので、隣り合う3本のステム部分を拡大した図である。
【図5】X方向から見たステムの他の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の面ファスナーを製造するのに用いるノズルに好適な一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜6に基づき、本発明の、特定方向に高い係合力を有し、他の特定方向に対しては低い係合力を有するか、あるいは実質的に係合力を有しない面ファスナーを説明する。
本発明の面ファスナーは、熱可塑性樹脂からなる基板とその上に存在する同樹脂からなる多数のステムから構成される。基板の厚さとしては、0.1〜1.0mmが好ましい。ステム(2)は、いずれも、基板(1)に対してほぼ同一の一方向に傾きを有しており(図1および図2ではT方向)、かつ、該傾き方向に対して交差する方向(図1および図4ではZ方向)に、ステム幅(図4で示すW)の0.5〜5.0倍の間隔(図4で示すS)をおいて多数のステムが並列に並んでおり、さらにこのようなステム列が基板上に平行に複数列(図1では3列)存在しており、そして個々のステムは、ステムの高さの中間部分とステム先端部分でほぼ同一幅を有している。これらのステムが同一方向に傾いていない場合、すなわち個々のステムがそれぞれ別々の方向に傾いている場合には、特定方向に高い係合力を発現せず、係合力を殆ど有しないか、あるいは有していても極めて低いものとなる。本発明において全てのステムが全く同一方向に傾いている場合がもっとも好ましいが、ごく僅かならば同一方向に傾いていないステムが存在していてもよい。
【0016】
そして、本発明では、上記ステムの傾き方向に対して交差する方向(図1ではZ方向)に、ステムが並列に並んでいることが本発明の面ファスナーにおいて重要であり、並列に複数のステムが並んでいることにより係合力が大きく向上する。傾き方向に対して交差する方向とは、ステムの傾き方向(図1や図2に示すT方向)に対して30°〜150°の範囲にある状態を言い、この角度を外れると、後述する製造工程を用いて製造される面ファスナーのステムに手が触れた場合に、ステム頂部が手を傷つける場合がある。より好ましくは、傾き方向に対して45〜135°の角度、特に好ましくは60〜120°の方向を以ってステムが並列に並んでいる場合である。
【0017】
そして、このようなステム列が平行に複数列存在していることが係合力を高め、かつ、係合し易さの点で重要である。すなわち、ステム列が一列しか存在しない場合には、その列に相当する位置に係合するループ素子が存在しない場合には、係合できないこととなり、使い易さの点で、さらに係合力の点で劣ることとなる。ステム列間隔(隣り合うステム列を構成するステムの付け根部分での距離)としては0.5〜5.0mmが好ましい。
【0018】
そして、本発明の面ファスナーでは、個々のステムは、ステムの高さの中間部分とステム先端部分でほぼ同一幅を有している。ここでいうステムの幅とは、図4に示すWのことであり、例えば、公知の国際公開特許WO93/00025号公報に記載されているフック面ファスナーでは、ステムが先端に行くほど細くなり、かつ先端部がコイル状に巻いている。このようなステムの場合には、ステムがループ面ファスナー内で強力に侵入せず、したがって係合力は低いものとなる。本発明で、ほぼ同一幅を有しているということは、ステムの高さの中間部分での幅と先端部分の幅の比が2/3〜3/2の範囲内にあることを意味している。なお、幅や高さ、隙間幅は任意に選んだステムまたはステム間10本の値の平均値である。
【0019】
本発明において、好ましくは、ステムの高さ(図で示すH)が0.3〜3.0mmの場合である。ステムの高さが高くなると特定のステムに力がかかった場合にステムが曲がったり折れたりする。逆に低すぎると、ループ素子と引っかかり難く、係合力が低下することとなる。より好ましくは0.4〜1.5mmの範囲である。
また、ステム幅(図で示すW)は0.2〜2.0mmが好ましく、広すぎるとループ素子に係合しにくく、逆に狭すぎるとステム強度が低下し、係合力が低下することとなる。より好ましくは0.25〜1.0mmの範囲である。
【0020】
さらに本発明において、ステム先端部が図2に示すように平坦または丸みを有したものとなっている場合が好ましい。ここで言う先端部とは、ステムの頂部でかつ基板と平行な部分のことであり、すなわち、平坦または丸みを有するということは、ステムの先端部が基板と平行な面でフラットまたは丸くなった状態を意味している。ステム先端部がフラットでない場合、例えば尖った形状を有している場合には、このような面ファスナーに触れた場合にステム先端部が手に刺激を与え、手触り感の点で好ましくない。
【0021】
また、本発明において、ステム先端部が図3に示すように基板方向に曲がっていてもよい。このように曲がっていることにより、ステムに契合しているループ素子はステム高さ方向に単に張力がかかっただけで係合が剥がれるということを防ぐことができることとなる。より好ましくは、図3に示す基板方向への曲がりFが0.05〜0.5mmで、かつステム高さHの1/50〜1/5の範囲である。
【0022】
さらに本発明の面ファスナーにおいて、好ましくは、基板上に基板1cm当たり20〜200個の密度でステムが存在している場合であり、20個より少ない場合には係合力が低下し、逆に200個より多い場合には、隣り合うステム同士が係合を妨げ、充分な係合力が得られないこととなる。より好ましくは、密度が50〜150個/cmの範囲の場合である。
【0023】
また、図2に示すステムの傾き角度(θ)は、25〜70°が好ましく、25°未満の場合には、ループ繊維に引っかかり難く、70°を越える場合には引っかかったループ繊維が外れ易く、共に充分な係合力が得られないこととなる。より好ましくは、30〜60°の範囲である。また、ステムが傾くことにより、ループ繊維を保持するステムの軒下部分が形成されていることが必要であり、図2に示すDの距離が0.2〜3.0mmとなる程度が係合力の発現性で好ましい。
【0024】
また、本発明の面ファスナーにおいて、ステム高さの中間部分における基板と平行方向における個々のステムの断面積が0.02〜4.0mmであるのが好ましい。断面積が0.02mm未満の場合にはステムが曲がり易く、係合力が低下する。一方、4.0mmを越える場合には、風合いが硬くなり、好ましくない。より好ましくは0.06〜2.0mmの範囲である。ここでいう断面とは、ステムの傾きに対して垂直な面での断面である。
【0025】
また、本発明において、係合したループ繊維がステム軒下から容易に外れることを防ぐために、図5に示すように、ステム軒下の出口付近に障害となる突起3を設けてもよい。この突起3はステムと同様に一定幅となるように小間隔を有していても、あるいはステム列方向に連続した突起として存在していてもよい。このような突起を有していることにより、パネルや額縁が不用意に落下することを防止することができる。
【0026】
次に、本発明の、係合力に方向性を有する面ファスナーの製造方法について説明する。
まず、熱可塑性樹脂を図6に示すようなスリットを有するノズル(4)から溶融押出し、基板の表面に、基板に対して傾斜しかつ連続している列条を有するテープを成形する。
【0027】
これらの成型物は、押し出し成型だけではなく、射出成型法でも製造可能である。しかし、長さの異なる各種のフック素子列を有する面ファスナーを自由に製造でき、しかも、延伸されていることから基板の強度に優れ、かつフック素子が剥がれ難いこと、さらにフック密度が高い面ファスナーを容易に作製できることから押し出し成型を用いるのが好ましい。
【0028】
図6に示す5が基板を構成することとなる線状スリットであり、そして6がステムを構成することとなる同一方向に傾斜した複数の線状スリットである。
【0029】
使用される熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられ、特に、延伸性や溶融押出し安定性、さらにステム強度の点でポリプロピレンで代表されるポリオレフィン系樹脂が好適例として挙げられる。図5のスリットを用いた場合には基板表面に傾斜を有する列条が7本等間隔で存在しているテープが得られる。列条の本数としては、3〜60本が適当であり、好ましくは5〜40本である。テープ幅としては、延伸前で30〜90mmが好ましい。
【0030】
次に得られたテープの表面に存在する列条に小間隔で付け根付近まで切れ目を入れる。切れ目の間隔としては0.2〜2.0mmが適切である。次いで、テープを長さ方向に延伸する。延伸倍率としては、延伸後のテープ長さが元のテープの長さの1・5〜4.0倍となる程度が好ましい。この延伸により、列条に入れられた切れ目が広がり、列条が、独立した多数のステムからなるステム列となる。
【0031】
なお、本発明の面ファスナーにおいて、壁面等での接着強度を高めるために、裏面に凹凸を設けてもよく、例えば、上記テープ状の押し出し物を製造する際に、裏面側に凸条や凹条を設けても良い。
【0032】
本発明の面ファスナーを使用する際には、面ファスナーのステムが重力方向と反対方向を向くように、あるいは張力方向と反対方向を向くように、壁面や貼り付け対象物等に接着剤や粘着剤で固定する。一方、本発明の面ファスナーと係合する相手の面ファスナーとしては、表面にループ素子やループ繊維を有する面ファスナ―や不織布、織編物等が挙げられる。もちろん、ループ素子を構成する繊維やループ繊維はステムの軒下に収納できるような太さであらねばならない。これらループを有する面ファスナーや布帛をパネルや額縁の裏面に粘着剤や接着剤等により固定する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の面ファスナーは、写真パネルや額縁、掲示板等を壁面に固定するのに用いられる。すなわち本発明の面ファスナーを壁面に粘着剤や接着剤等を用いて、ステムの傾き方向が重量方向と反対を向くように壁面に固定し、一方、パネルや額縁、掲示板等の裏面に、従来の面ファスナーのうちのループ面ファスナー、あるいは多数のループ繊維を表面に有する、不織布や織編物を貼り付け、そして両者が係合するように、パネル、額縁、掲示板等を上方向から壁面に沿って下ろし、両者を係合一体化させる。
パネル、額縁、掲示板を壁面から剥がす際には、これらを壁面から上方向に持ち上げ係合を剥がすことにより行われる。
【0034】
また、使い捨てオムツやおしめカバー等に従来用いられている面ファスナーに替えて本発明の面ファスナーを用いることもでき、その場合には、剥がすときのバリバリ音をなくすることができる。さらに、常に張力がかかっている個所に用いられる固定具、例えば手袋の手首固定や衣類の背中や腰部の止め具、腰痛ベルト、サポーターの止め具、血圧計の腕帯の固定具、伸縮性包帯の止め具、伸縮性のある梱包バンドの止め具としても使用できる。
【符号の説明】
【0035】
1:基板
2:ステム
3:ループ素子外れ防止用突起
4:ノズル
5:基板形成用スリット部
6:ステム形成用スリット部
T:ステム傾き方向
Z:ステム列方向
H:ステム高さ
θ:ステム傾き角度
W:ステム幅
S:ステム間隔
D:ステム軒下部深さ
F:ステム垂れ下がり距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる基板上に同樹脂からなる多数のステムが存在しており、該ステムは、その高さの中間部分とその先端部分でほぼ同一の幅を有しており、かついずれのステムも基板に対してほぼ同一の一方向に傾きを有しており、さらに該傾き方向に対して交差する方向にステム幅の0.5〜5.0倍の間隔をおいて多数のステムが並列に並んでおり、さらにこのようなステム列が基板上に複数列存在していることを特徴とする係合力に方向性を有する面ファスナー。
【請求項2】
ステムの高さが0.3〜3.0mmであり、かつステム幅が0.2〜2.0mmである請求項1に記載の面ファスナー。
【請求項3】
ステムの頂部が平坦となっている請求項1又は2に記載の面ファスナー。
【請求項4】
基板上に基板1cm当たり20〜200個の密度でステムが存在している請求項1〜3のいずれかに記載の面ファスナー。
【請求項5】
基板がステム列方向に延伸されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の面ファスナー。
【請求項6】
ステム高さの中間部分における基板と平行方向における個々のステムの断面積が0.04〜4.0mmである請求項1〜5のいずれかに記載の面ファスナー。
【請求項7】
線状スリットと、同スリットから伸びる同一方向に傾斜した複数の線状スリットを有するノズルから熱可塑性樹脂を溶融押出して、表面に同一方向に傾斜した複数の連続列条を有するテープを作製し、得られたテープの連続列条にテープ長さ方向と交差する方向に小間隔で切れ目を入れ、そしてテープを長さ方向に延伸することにより該切れ目間を拡幅させることを特徴とする係合力に方向性を有する面ファスナーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−24864(P2011−24864A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175061(P2009−175061)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(591017939)クラレファスニング株式会社 (43)
【Fターム(参考)】