説明

保守作業支援システム

【課題】複数機種に対応することで、機種毎に大規模な作りこみを必要としない保守作業支援システムを提供する。
【解決手段】保守支援ツール2は、保守作業に関連する保守マニュアルデータ8a〜8cや、設定ツール6の操作をガイドするための操作ガイドのデータを管理する操作用データ管理テーブル3と、ユーザの操作を逐次記録する作業記録テーブル4と、ユーザの操作の正当性を判断するために設定ツール6の正しい操作を事前に蓄積する正常作業記録データ管理テーブル5を備える。制御部21は入力手段91を介してユーザの操作を検出し、作業記録テーブル4に登録するとともに、登録した操作内容を正常作業記録データ管理テーブル5に記録された正しい操作と比較し、異なる場合は誤操作として出力手段92を介してユーザに報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に故障等の異常が発生した等によるメンテナンス作業において、複数機種の電子機器に対応することで、機種毎に大規模な作りこみを必要としない保守作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客にサーバマシンやディスク装置、メインフレーム等のハードウェア及びハードウェア上で動作するWEBサーバやデータベースサーバ等のソフトウェアを導入した後、それらの故障や不具合、ソフトウェアの更新作業等を含めた保守作業を行う必要がある。従来、この保守作業は、故障箇所の代替部品を事前に配送、保守作業担当者が持って顧客の元へ赴く、若しくは保守員が顧客先にて解析後に手配し、ハードウェア及びソフトウェアに添付された保守説明書や、チェックリストを事前に作成し、それらに記載の手順に従って保守作業担当者が自らハードウェアの操作を行い、作業が行われるのが通常であった。しかしながら、近年ハードウェアの構成やソフトウェアの仕様などは複雑化の一途を辿っており、保守説明書に記載の内容も複雑多岐に亘るため、顧客毎の細かな構成の違いを保守説明書から見出すには相応の時間が必要であり、保守作業担当者の保守に係る工数は非常に大きく、また作業ミス・作業漏れを起こす要因にもなっている。
【0003】
この工数の削減を実現し低コストにて保守作業を行うために、特許文献1では、無線データ通信網を介して技術情報データベース及び保守履歴データベースを有する情報サーバにアクセス可能な保守端末であって、保守の対象となるコンピュータ(以下、対象コンピュータ)にUSBインタフェースを介して保守端末を接続し、情報収集ソフトを対象コンピュータにインストールして対象コンピュータのハードウェア及びソフトウェアの構成情報を取得し、該構成情報に応じた保守作業指示メニューを情報サーバから取得することで、対象コンピュータの詳細な構成に合致した保守作業指示メニューに従ってミスなく保守作業を行うことができる保守作業支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−341707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際の保守作業を行う場では、1つのシステムであっても、複数のメーカ、ベンダによって提供される多種多様の機材や機械から構成されているのが現状であり、複数の要因にて発生した障害に対しては、上記特許文献1のように特定のサーバや端末の保守作業を行えたとしても、発生した障害が回避できるとは限らない。また、保守作業を担う会社等では多くのベンダから提供される電子機器の保守作業を担うことも多く、機種毎に専用の保守支援ツールを作成するには費用的コストが嵩むばかりか、保守員は専用ツールの操作方法を個別に習得する必要があり、作業性を著しく損なうという問題があった。
【0006】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、複数機種の電子機器に対応することで、機種毎に大規模な作りこみを必要としない保守作業支援システム守作業支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の保守作業支援システムは、入力手段及び出力手段を備え、保守対象装置に接続し保守作業を行う設定ツールの設定・入力作業の支援を行う保守作業支援システムであって、前記設定ツールにて行う複数の作業の操作手順や設定値を管理する操作ガイド用データ管理手段と、前記入力手段及び出力手段を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記操作ガイド用データ管理手段からユーザが所望の作業を選択することを促す選択画面を前記出力手段に出力させ、前記選択画面にてユーザによって選択された作業内容を前記操作ガイド用データ管理手段に基づいて操作ガイドを行う操作ガイド画面を出力し、ユーザに作業内容を報知し前記設定ツールの操作を促すことを特徴とする。
【0008】
請求項1の構成によれば、ユーザが所望の作業を選択することで、次に行うべき設定ツールの操作内容を出力する操作ガイト画面を出力することができる。
【0009】
請求項2記載の保守作業支援システムは、請求項1記載の保守作業支援システムにおいて、前記設定ツールにて行う作業の正しい手順を管理する正常作業記録データ管理手段と、ユーザによる前記設定ツールの操作の内容と前記正常作業記録データ管理手段にて管理される正しい手順とを比較する作業手順比較手段とを備え、前記作業ガイド画面出力中におけるユーザの前記設定ツールの操作内容と、前記正常作業記録データ管理手段にて管理される正しい手順とを前記作業手順比較手段にて比較し、前記制御手段は前記作業手順比較手段によって正常作業記録データ管理手段に管理される手順と異なると検知された場合、警告画面を出力するよう前記出力手段を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項2の構成によれば、ユーザが選択した作業内容における設定ツールの正常な操作を正常作業記録データ管理手段に事前に蓄積し、ユーザによる設定ツールの操作が正常な操作から逸脱した操作が行われたと作業手順比較手段によって検出した場合、ユーザに操作が誤っていることを報知することができる。
【0011】
請求項3の保守作業支援システムは、請求項1または2記載の保守作業支援システムにおいて、前記設定ツールに関する保守手順マニュアルデータを備え、前記制御手段は、前記操作ガイド用データ管理手段とユーザの作業と連動させ、前記保守手順マニュアルデータにおけるガイド中の作業内容に相当する箇所を自動的に表示することを特徴とする。
【0012】
請求項3の構成によれば、操作ガイド画面を、保守対象装置のベンダが提供する保守手順マニュアルデータと連動させることができ、保守手順マニュアルデータの操作ガイド中の作業内容に相当する箇所を自動的に表示することができる。
【0013】
請求項4の保守作業支援システムは、請求項1乃至3の何れか1項記載の保守作業支援システムにおいて、作業内容管理手段を備え、前記制御手段は、前記操作ガイド画面を出力中のユーザの操作内容を操作記録として前記作業内容管理手段に蓄積することを特徴とする。
【0014】
また、請求項5の保守作業支援システムは、請求項4記載の保守作業支援システムにおいて、前記制御手段は、前記設定ツールによって作成されるログデータを分析し、操作記録として前記作業内容管理手段に蓄積することを特徴とする。
【0015】
請求項4及び5の構成によれば、ユーザの操作内容を作業内容管理手段に蓄積することができるので、作業内容を後日確認するというような検証作業を行うことができる。
【0016】
請求項6の保守作業支援システムは、請求項4または5記載の保守作業支援システムにおいて、前記制御手段は、前記作業内容管理手段に蓄積される操作記録から作業証明書を作成し、出力手段から出力させることを特徴とする。
【0017】
請求項6の構成によれば、蓄積した操作記録から、ユーザが行った一連の操作を作業証明書として作成することができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の保守作業支援システムは、入力手段及び出力手段を備え、保守対象装置に接続し保守作業を行う設定ツールの設定・入力作業の支援を行う保守作業支援システムであって、前記設定ツールにて行う複数の作業の操作手順や設定値を管理する操作ガイド用データ管理手段と、前記入力手段及び出力手段を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記操作ガイド用データ管理手段からユーザが所望の作業を選択することを促す選択画面を前記出力手段に出力させ、前記選択画面にてユーザによって選択された作業内容を前記操作ガイド用データ管理手段に基づいて操作ガイドを行う操作ガイド画面を出力し、ユーザに作業内容を報知し前記設定ツールの操作を促すので、電子機器の操作に疎いユーザであっても操作ガイド画面を参照し操作を行うことで、設定ツールの操作の精度を向上させることができ、より安全で確実な保守作業を実現することができる。また操作ガイド用データ管理手段にて管理するデータを、複数機種や多種多様なアプリケーションに対応させることで、複数社のベンダや機種、アプリケーションの種類を問わず動作させることが可能となる。
【0019】
請求項2記載の保守作業支援システムは、請求項1記載の保守作業支援システムにおいて、前記設定ツールにて行う作業の正しい手順を管理する正常作業記録データ管理手段と、ユーザによる前記設定ツールの操作の内容と前記正常作業記録データ管理手段にて管理される正しい手順とを比較する作業手順比較手段とを備え、前記作業ガイド画面出力中におけるユーザの前記設定ツールの操作内容と、前記正常作業記録データ管理手段にて管理される正しい手順とを前記作業手順比較手段にて比較し、前記制御手段は前記作業手順比較手段によってユーザの作業の誤りを検出した場合、警告画面を出力するよう前記出力手段を制御するので、ユーザが行った操作を順次正常作業記録データ管理手段に蓄積された正しい手順と比較し、ユーザの操作が誤りである場合、それをユーザに報知することができ、ユーザはこれを受け正しい操作を行うよう修正することができる。
【0020】
請求項3の保守作業支援システムは、請求項1または2記載の保守作業支援システムにおいて、前記設定ツールに関する保守手順マニュアルデータを備え、前記制御手段は、前記操作ガイド用データ管理手段とユーザの作業と連動させ、前記保守手順マニュアルデータにおけるガイド中の作業内容に相当する箇所を自動的に表示するので、保守作業支援システムの制御手段が、操作中の作業に応じた保守対象装置のベンダが作成し提供したマニュアルの該当箇所を参照可能にすることができ、これによりユーザが作業内容を理解したが、操作の詳細が理解できていないような場合であっても、その手順をより詳細に提示することができる。
【0021】
請求項4及び請求項5保守作業支援システムは、作業内容管理手段を備え、前記制御手段は、前記操作ガイド画面を出力中のユーザの操作内容を操作記録として前記作業内容管理手段に蓄積し、また、前記制御手段は、前記設定ツールによって作成されるログデータを分析し、操作記録として前記作業内容管理手段に蓄積するので、保守作業支援システムによって独自に記録した操作ログや、操作をガイドする対象の設定ツールが記録した操作ログを採取して作業内容管理手段に記録することで、保守作業に関する操作記録を残すことが出来、作業の検証を正確に行うことができる。
【0022】
請求項6の保守作業支援システムは、請求項4または5記載の保守作業支援システムにおいて、前記制御手段は、前記作業内容管理手段に蓄積される操作記録から作業証明書を作成し、出力手段から出力させるので、保守作業に係る一連の操作を作業証明書の作成コストが低減する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例における、保守作業支援システムを示すブロック図である。
【図2】同上、保守作業支援システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】同上、保守作業支援システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】同上、保守作業支援ツールの作業選択画面を示す説明図である。
【図5】同上、保守作業支援ツールの操作ガイド画面を示す説明図である。
【図6】同上、保守作業支援ツールの操作証明書を示す説明図である。
【図7】同上、保守作業支援システムの操作ガイド用データ管理テーブルを示す説明図である。
【図8】同上、保守作業支援システムの作業内容管理テーブルを示す説明図である。
【図9】同上、保守作業支援システムの作業証明書データ管理テーブルを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態としての実施例を図1から図9を参照して説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反さない範囲で、実施例において説明した以外のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
【0025】
図1に基づいて、本実施例における保守作業支援システムの構成について説明する。10はマルチベンダコンピュータ機器たる保守対象装置である。1は、保守対象装置のメンテナンスや障害対応を行うための保守用PCである。2は保守作業支援を行うプログラムである保守支援ツールである。保守支援ツール2は、後述のキーボード等の入力手段やモニタ等の出力手段に対して入力データ及び出力データの送受信を行うとともに後述の各種テーブルへのデータの蓄積等の制御を行う制御部21、後述の正常作業記録データに記録された正常作業データとユーザの操作を比較する作業手順比較手段22を備えている。3は操作ガイド用データ管理手段たる操作ガイド用データ管理テーブルである。操作ガイド用データ管理テーブル3は後に詳述するが、複数のベンダの機種、保守作業等における操作内容を管理している。4は作業内容管理手段たる作業記録テーブルであり、5は正常に作業した場合の操作記録を管理する正常作業記録データ管理手段たる正常作業記録データテーブルである。作業記録テーブル4と正常作業記録データテーブル5は同一のテーブル構造を有しており、その詳細は後述する。6は遠隔設定を行うための装置設定ツールであり、保守対象装置10のベンダから提供されるものである。7は作業証明データ管理テーブルであり、制御部21によって作業記録テーブル4の内容に基づいて作成される作業証明書を発行するためデータを管理するものである。8a〜8cは保守手順マニュアルの電子データである(以降、保守手順マニュアルデータと称呼する)。保守手順マニュアルデータ8a〜8cはベンダや機種によって様々なファイル形式によって作成されており、例えばHTMLに代表されるマークアップ言語によって記述される形式(以降、単にHTML形式と称呼する)や、PDF形式、またはベンダ独自の形式(以降、専用形式と称呼する)によって作成される。91はユーザが保守用PC1を操作するためのキーボードやマウスに代表される入力手段であり、92はモニタやプリンタ等の出力手段である。
【0026】
操作ガイド用データ管理テーブル3のテーブル構成例を図7に基づいて説明する。操作ガイド用データ管理テーブル3は、保守対象機種を識別する「機種コード」と、保守対象機種に行う操作を作業毎に分類する「作業種別」、操作を一意に識別するための「作業番号」、操作の内容を示す「作業項目」の各列から構成される。機種“COMP2000”の“点検”作業を行う場合、これらをキーにして操作ガイド用データ管理テーブル3から操作ガイドデータを抽出する。
【0027】
続いて、作業記録テーブル4の構成について、図8に基づいて説明する。作業記録テーブル4は、操作ガイド用データ管理テーブル3と同様に保守対象機種を識別する「機種コード」と、保守対象機種に行う操作を作業毎に分類する「作業種別」、操作を一意に識別するための「作業番号」を備える。これによって、操作ガイド用データ管理テーブル3に管理される作業内容と、実際の作業の関連付けが可能となる。また作業の順番を管理する「作業手順」、作業の日時を特定する「日付」及び「時間」、操作の対象の識別に用いる「種別」、種別にて管理される操作の対象の操作内容を示す「タイプ」、具体的な装置設定ツール6の操作の内容や設定値等を格納する「記録データ」の各列から構成される。例えば図8の1行目のデータは、“COMP2000”という機種の“障害”対応を行う手順であり、操作ガイド用データ管理テーブル3の作業番号“1100”に管理される操作ガイドによる操作を行うことを示しており、当該作業における操作の1つ目であることを示している。実行された日時は“2010年1月1日”の“10時”であり、何らかの“プログラム(PROGRAM)”を“起動”させたことが分かる。起動させたプログラムは“保守支援ツール”であることが「記録データ」列から理解できる。このようにして、作業の際に行われた一連の操作手順を管理することができる。図8では、pdfと呼ばれる文書形式による保守マニュアルデータを用いた作業記録データの例としての値が示されており、「タイプ」列にはページを参照したことを示す“ページ”が格納され、「記録データ」列には参照したページを示す“35”等のページ数が格納されているが、例えばHTML等のマークアップ言語等で記載された保守マニュアルデータである場合は、「タイプ」列に“タグ”を格納し、「記録データ」列には参照位置を特定可能なタグ(例えば<a link=“****”>というようなもの)を格納してもよい。
【0028】
正常作業記録データ管理テーブル5は、作業記録テーブル4と同様のテーブル構造を持ち、作業記録テーブル4がユーザの操作を記録するのに対し、正常作業記録データ管理テーブル5は、予め正常な操作を蓄積させておくものである。これによって作業記録テーブル4に蓄積されるユーザの操作の内容と、正常作業記録データ管理テーブル5の正常な操作とを比較し、誤操作の検出を実現することができる。
【0029】
以上のようなテーブルを備えることで、複数機種の多様な保守作業のガイドを一元管理することができ、複数ベンダ、複数機種の保守作業の支援、即ちマルチベンダ対応保守支援システムを提供することが可能となる。
【0030】
続いて、作業証明書発行のための作業証明データ管理テーブル7の構成について図9に基づいて説明する。作業証明データ管理テーブル7は、作業が行われた日時である「日付」、「時刻」、どのような作業を行ったのかを示す「作業内容」、行った作業の詳細を示す「作業内容」の各列から構成される。図9に示す各値は、2010年1月1日10時に作業を開始し、10時5分に保守マニュアルデータを起動、10時7分に装置設定ツール6を起動し、109分に保守マニュアルデータを参照する。保守マニュアルデータのファイル名は“manual.pdf”、ファイルの内容は“保守マニュアル”であり、35ページの項目4.1を参照する・・・、というような行った装置設定ツール6や保守マニュアルデータ8aの一連の操作内容を時系列に管理することが可能となっている
【0031】
ユーザの操作及び上記構成やテーブルを備えた保守支援ツール2の一連の動作について、図2及び図3に基づいて説明する。ユーザは保守支援ツール2をインストール済みの保守用PC(パーソナルコンピュータ)を保守対象装置10に通信可能に接続する(S201)。保守支援ツール2を起動する(S202)。複数の装置から保守対象装置10用の操作ガイド用データと正常作業記録データを選択する(S203)。保守支援ツール2の制御部21は、選択された保守対象装置10に対応する操作ガイド用データを操作ガイド用データ管理テーブル3から、また正常作業記録データを正常作業記録データ管理テーブル5から抽出し、図4に示す作業選択画面を生成し出力する(S204)。ユーザは表示された作業選択画面から所望の作業を選択し、保守対象装置10の保守マニュアルデータ(本実施例では8aを用いることとする)と装置設定ツール6を起動する(S205)。作業における操作の記録を開始し、図5に示すように作業内容を記録中であることと、実施する作業の操作ガイドを表示する(S206)。ユーザは表示された操作ガイドに従い保守マニュアルデータ8aや装置設定ツール6の操作を行い、作業実施後に操作ガイドとともに表示されるチェックボックスにチェックを入れる(S207)。チェックされた操作について、作業記録テーブル4に記録する(S208)。作業記録テーブル4に記録された操作記録と、正常作業記録データ管理テーブル5に記録された当該作業に相当する正常操作記録とを、作業手順比較手段22によって比較して正当性を照合する(S208)。操作が誤りであるか否かを判別し(S209)、誤りである場合は警告メッセージを表示して誤操作を行ったことをユーザに報知し(S212)、ステップS206へ戻る。操作が正しい場合は、作業全体が終了したか否かを作業終了ボタンの押下されたかによって判別し、作業がまだ継続している場合はステップS206へ戻り次の作業を行う。作業が終了している場合は、作業記録データ管理テーブル4に記録された当該作業に関する操作を抽出し、装置設定ツール6が操作記録をログファイルとして出力している場合は当該ログファイルを収集する(S301)。抽出した作業記録及びログファイルを元に作業証明書を作成し、図6に示すように表示する(S302)。ユーザは作業証明書を確認し、保守支援ツール2に対して保存するか否かの応答を行う(S303)。ユーザが作業証明書を保存するとした場合は(S304)、作業証明書をファイルとして出力する(S305)。作業証明書を保存しない場合、若しくは保存が終了した際は、ユーザによって装置設定ツール6を終了させ、保守マニュアルデータ8aを閉じる(S306)。その後、保守支援ツール2を停止し(S307)、保守用PCと保守対象装置10との接続を解除する(S308)。
【0032】
以上のように構成される保守支援システムによれば、保守マニュアルデータに記載された作業手順の参照場所や装置設定ツール6の操作を自動的にガイドすることが可能となる。また、作業記録テーブル4に操作内容を逐一記録し、予め検証済みの正しい操作記録を蓄積する正常作業記録データ管理テーブル5の正常作業記録データと比較検証することで、作業ミスや誤操作を検出した場合速やかにユーザにこれを通知することができ、ユーザに正確な作業を促すことが可能となる。また、上記各種テーブルに複数機種に対応するデータを管理させることで、機種毎に特殊な保守作業支援ツールを作成する必要がなく、ツール作成に係る費用的コストや新たなツールの操作方法を覚えるため人的コストを抑制することができる。さらに、ユーザの操作の記録には、作業支援ツール2が独自に蓄積した作業記録を管理する作業記録テーブル4と、装置設定ツール6が出力するログファイルから、操作内容の詳細を作業証明データ管理テーブル7に落とし込むことができ、後に作業の検証を行う際や、保守対象装置10を使用する顧客等エンドユーザに対する作業証明書の発行を速やかに行うことができる。
【0033】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、各種データベースの具体的な構成の例として図7〜9に示しているが、このテーブル構成に限定せずに、保守作業の支援に必要な情報を管理することを目的として異なるテーブル構成を採用しても何ら問題ない。また、保守マニュアルデータをPDF及びHTMLの場合を例に説明したが、XML等の他のマークアップ言語や、その他の形式のマニュアルデータであっても何ら問題ない。
【符号の説明】
【0034】
1 保守作業支援システム(保守用PC)
2 保守支援ツール
21 制御部
22 作業手順比較手段
3 操作ガイド用データ管理テーブル(操作ガイド用データ管理手段)
4 作業記録テーブル(作業内容管理手段)
5 正常作業記録データ管理テーブル(正常作業記録データ管理手段)
6 装置設定ツール(設定ツール)
6a 装置設定ツールのログファイル
7 作業証明データ管理テーブル
8a 保守手順マニュアルデータ(HTML形式)
8b 保守手順マニュアルデータ(PDF形式)
8c 保守手順マニュアルデータ(独自形式)
91 入力手段
92 出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段及び出力手段を備え、保守対象装置に接続し保守作業を行う設定ツールの設定・入力作業の支援を行う保守作業支援システムであって、
前記設定ツールにて行う複数の作業の操作手順や設定値を管理する操作ガイド用データ管理手段と、
前記入力手段及び出力手段を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記操作ガイド用データ管理手段からユーザが所望の作業を選択することを促す選択画面を前記出力手段に出力させ、前記選択画面にてユーザによって選択された作業内容を前記操作ガイド用データ管理手段に基づいて操作ガイドを行う操作ガイド画面を出力し、ユーザに作業内容を報知し前記設定ツールの操作を促すことを特徴とする保守作業支援システム。
【請求項2】
前記設定ツールにて行う作業の正しい手順を管理する正常作業記録データ管理手段と、
ユーザによる前記設定ツールの操作の内容と前記正常作業記録データ管理手段にて管理される正しい手順とを比較する作業手順比較手段とを備え、
前記作業ガイド画面出力中におけるユーザの前記設定ツールの操作内容と、前記正常作業記録データ管理手段にて管理される正しい手順とを前記作業手順比較手段にて比較し、前記制御手段は前記作業手順比較手段によってユーザの作業の誤りを検出した場合、警告画面を出力するよう前記出力手段を制御することを特徴とする請求項1記載の保守作業支援システム。
【請求項3】
前記設定ツールに関する保守手順マニュアルデータを備え、
前記制御手段は、前記操作ガイド用データ管理手段とユーザの作業と連動させ、前記保守手順マニュアルデータにおけるガイド中の作業内容に相当する箇所を自動的に表示することを特徴とする請求項1または2記載の保守作業支援システム。
【請求項4】
作業内容管理手段を備え、
前記制御手段は、前記操作ガイド画面を出力中のユーザの操作内容を操作記録として前記作業内容管理手段に蓄積することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の保守作業支援システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記設定ツールによって作成されるログデータを分析し、操作記録として前記作業内容管理手段に蓄積することを特徴とする請求項4記載の保守作業支援システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記作業内容管理手段に蓄積される操作記録から作業証明書を作成し、出力手段から出力させることを特徴とする請求項4または5記載の保守作業支援システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−173868(P2012−173868A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33680(P2011−33680)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000233491)株式会社日立システムズ (394)