説明

保温性履物用中敷き

【課題】適度のクッション性および通気性に優れるうえに、湿気にともなう冷えを防止できる履物用中敷きを提供する。
【解決手段】吸湿発熱繊維を含有するフェルトライクのゴム−ポリアミド繊維混合体から本体層を形成し、本体層の上に最上層を貼り合せる構成で、クッション性と保温性を持たせる。本体層にも吸湿発熱繊維を含有させることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴やブーツ等の履物の中敷きに関し、適度のクッション性やむれが少ない特性の他、保温性に優れる中敷きに関するものである。
【背景技術】
【0002】
靴やブーツ等の中敷きには、靴底内面との滑りが生じにくく、適度のクッション性(弾力性)を有し、足や靴下等からの湿気によるむれが少ないほか、最近、特に湿気が水になり足が冷たくなる問題を解消する保温性を有することが要求されている。
【0003】
保温性を有する中敷き用素材として特許文献1には、吸湿発熱繊維を20重量%以上含む表皮層にマット層を積層し貼り合せ、マット層が、マトリックス繊維と、非弾性ポリエステル繊維をポリエステルエラストマーで被覆した複合弾性繊維とからなり、複合弾性繊維同士や弾性複合繊維とマトリックス繊維が熱接着し、しかもマトリックス繊維の50%以上がマット層の厚み方向に林立させたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 実用新案登録第3107073号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示のものは、マット層が種々の樹脂成分を組合せた複雑な構成となっており、構成の簡素化やクッション性や通気性について改良が求められている。
【0006】
本発明は、本願出願人が製造し販売しているフェルトライクのゴム−ポリアミド繊維混合体からなる中敷きをベースとし、簡単な構成で、適度のクッション性と通気性を有し、しかも保温性に優れた、足にやさしい履物用中敷きを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するため本発明は、フェルトライクのゴム−ポリアミド繊維混合シートからなる中敷き(インソール)本体層上に最上層を設けた構成の中敷きで、中敷き本体層に吸湿発熱繊維を含有する構成を採用し、簡単な構成で、クッション性、通気性および吸湿性を持たせ、足にやさしいものとした。
【0008】
フェルトライクのゴム−ポリアミド繊維混合体を構成するゴムとしては、天然ゴムが好ましいが合成ゴムでも使用可能であり、ポリアミド繊維としては、通常ゴムやプラスチックに配合される長さ2〜30mm程度のものを混合前に切断し、ゴム分に対し20〜150重量部程度を混練配合する。本発明では、ゴムにポリアミド繊維および吸湿発熱繊維を加硫剤や充填剤等のゴム配合薬品とともに混練りしたシートを得る。
【0009】
吸湿発熱繊維としては、アクリレート系のものが好ましく、東洋紡績社製「モイスケア」、「プレスサーモ」(N−38)や「エクス」(G−800)、東邦テキスタイル社製「サンバーナ」などがあげられる。これらを混合前に裁断し、ゴムに対し20〜80重量部程度混練配合する。また、吸湿発熱繊維を含有する肌着やスポーツ衣料を切断し混練してもよい。
【0010】
ゴム−ポリアミド繊維−吸湿発熱繊維混練シートを、短時間で加硫すると同時に表面の混合繊維を起毛させ所定の厚みに調整し、フェルトライクのクッション性、滑り防止性を付与する。この特性を有する材料としては、日本ケミフェルト社製「ケミフェルト」に吸湿発熱繊維を含有させたものが好ましく用いられる。
【0011】
最上層には、上記吸湿発熱繊維を含む布材が好ましく用いられる。布材としては織物や編物や不織布等が好ましく、市販の吸湿発熱繊維を含有する肌着やスポーツ衣料を所定形状に裁断し用いてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の履物用中敷きは、市販の吸湿発熱繊維を含む布材を最上層とし、ゴム−ポリアミド繊維複合混練ゴムシートを作成時、同時に吸湿発熱繊維を混練混合する簡単な構成で、適度なクッション性および保温性を有するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】 本発明の履物用中敷きの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
天然ゴムに、切断したポリアミド繊維、イオウ(加硫剤)、加硫促進剤、その他ゴム配合薬品および吸湿発熱繊維を混練したゴム・繊維混合シートを短時間加硫し、繊維が起毛した加硫ゴムシートにし、その上に吸湿発熱繊維を含む布材からなる最上層を貼りあわせ、中敷きの形状に打抜き、本発明の保温性中敷きを得る。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の履物用中敷きの斜視図であって、1は中敷き本体層を、2は最上層を、示す。
【0016】
中敷き本体層は、天然ゴム100部(以下、配合の部は重量部を示す)に、前もって切断したポリアミド繊維70部、吸湿発熱繊維30部、イオウ5部、促進剤1部、その他着色剤、ゴム配合剤を混練してシート状混合体を得た。次にシート状混合体を加熱・加圧加硫装置に入れ、150℃で加硫し、冷却し、加硫と同時に表面の繊維を起毛させ、吸湿発熱繊維を含むフェルトライクのゴムシートを得、厚み調整装置にて厚み約2.3mmに調整した。
【0017】
この吸湿発熱繊維を含む厚み約2.3mmのフェルトライクゴムシート上に、厚み0.2mmの吸湿発熱繊維を含む布材からなる最上層を、通気性のある接着剤で貼り合わせ、中敷きの形状に打抜き、本発明の履物用中敷きを得た。
【実施例2】
【0018】
吸湿発熱繊維を含む厚み約2.3mmのフェルトライクゴムシート上に、厚み0.2mmの吸湿発熱繊維を含まない布材からなる最上層を通気性のある接着剤で張り合わせ、中敷きの形状に打抜き、本発明の履物用中敷きを得た。
【比較例1】
【0019】
発泡ゴムシートを本体層とし、この上に吸湿発熱繊維を含まない布材からなる最上層を通気性のある接着剤で張り合わせ、中敷きの形状に打抜き、履物用中敷きを得た。
【保温性およびクッション性の評価】
【0020】
実施例1,2および比較例1の中敷きについて、保温性の評価を行った。即ち、中敷きを20℃×40%RHの環境に2時間置き、次いで20℃×90%RHの高湿環境に移し、30分後の保温性(発熱)を手触覚でテェックし、暖かく保温性がある(◎)、温度維持性ある(○)、少しの温度低下あり(△)の3段階評価をした。また、クッション性を手押し感で、市販中敷きより良好(◎)、市販中敷きと同等(○)の2段階評価をした。これらの評価結果を表1に示す。
【0021】
【表1】

【0022】
表1から明らかなように、中敷き本体層及び最上層に吸湿発熱繊維を含有させた実施例1の中敷きは、優れた保温性を有し、クッション性も良好である。また、中敷き本体層のみ吸湿発熱繊維を含有させた実施例2の中敷きは、温度維持程度の保温性と良好なクッション性を有し、要求を満たすレベルにあると思われる。比較例1の中敷きは、現行市販品と同レベルで、保温性の要求には答えられないと思われる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
中敷き本体や最上層に吸湿発熱繊維成分を含有させ、クッション性、吸湿・通気性を持たせた本発明の履物用中敷きは、カジュアルやビジネス用靴等の抗菌、消臭に有効に利用でき、冬場の足冷えの改良に活用できる。
【符号の説明】
【0024】
1 中敷き本体層
2 最上層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェルトライクのゴム−ポリアミド繊維混合シートからなる中敷き(インソール)本体層上に最上層を設けてなる履物用中敷きにおいて、中敷き本体層に吸湿発熱繊維を含有することを特徴とする履物用中敷き。
【請求項2】
最上層が吸湿発熱繊維を含有する布材からなることを特徴とする請求項1に記載の履物用中敷き。

【図1】
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【公開番号】特開2011−245244(P2011−245244A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131467(P2010−131467)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(592126810)日本ケミフェルト株式会社 (1)
【Fターム(参考)】