説明

保護されたα−ケトβ−アミノエステルおよびアミドの調製

本発明は、α−ケトが1,3−ジチオラン誘導体として保護される、β−スルホンアミド α−ケトエステルおよびアミドを提供する。かかるエステルおよびアミドを調製する方法およびそれらをペプチドに組み込む方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本願は、2008年7月3日出願の、米国シリアル番号第61/078,059号の優先権を主張する。前記の出願の全内容は本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ペプチジルα−ケトエステルおよびα−ケトアミドは、タンパク質分解酵素、例えば、セリンおよびシステインプロテアーゼの強力な阻害薬として医薬品化学において広く有用である。それらの細胞内標的には、カルパイン(卒中、アルツハイマー病および筋ジストロフィーに関与しているカルシウム活性化システインプロテアーゼ)、カスパーゼ(アポトーシスに関与するシステインプロテアーゼ)、およびトロンビン(フィブリノゲンをフィブリンに変換するセリンプロテアーゼ)が含まれる。特に、β−アミノ α−ケトアミドアイソスターは、HIVおよびC型肝炎の処置のためのウイルスプロテアーゼ阻害薬として関心がある。
【0003】
β−アミノ α−ケトアミドの従来の経路は、必ず、N−保護されたα−アミノ酸誘導体の一炭素ホモログ化(one-carbon homologation)に依存する。一炭素付加体(one-carbon addend)としてシアン化物を用いる方法は、Manoz et al. in Bioorg. Med. Chem., 2, 1085-1090 (1994)に記載されている。この例では、次の酸化工程の間、エピマー化が窒素含有炭素で起こり、ジアステレオマーの1:1混合物としてα−ケトアミドを得る。それに対し、N−保護されたα−アミノアルデヒドへのイソニトリルの付加に関する立体特異的方法は、Banfi et al. in Tetrahedron Lett., 43, 4067-4069 (2002)に記載されている。第2の立体特異的方法は、Wasserman et al. in J. Org. Chem., 62, 8972-8973 (1997)に記載されるように、アミノ酸誘導体への(シアノメチレン)ホスホランの付加に関する。該経路は、最初に、オゾン分解および第一級アミンでの処理でβ−ケトアミド生成物Bに変換されるアシルシアノホスホラン中間体Aを提供する。
【0004】
必須α−アミノ酸が容易に入手可能な「天然」アミノ酸である場合には、これらの一炭素ホモログ化経路が最も有用である。しかしながら、必須の出発物質が「非天然」(非タンパク質性)アミノ酸である場合には、一般的制限が生じる。かかるアミノ酸は、高額な多段階合成手順によって調製されるものであり、いくつかの場合において、市販の薬剤製造をサポートするのに十分な量で利用できない。
【0005】
さらなる課題は、酸性試薬および塩基性試薬の両方に対するβ−アミノ α−ケトアミド官能基の選択性である。これは、ペプチドへの分子の取り込みを阻害しうる。該課題の解決手段は、Papanikos et al. in J. Combin. Chem., 6, 181-195 (2004)に記載されている。該方法において、β−アミノ α−ケトアミドは、最初に、鏡像異性的に純粋な形態で合成され、次いで、別々の工程において1,3−ジチオラン誘導体として保護される。ペプチドへの取り込み後、ジチオラン官能基を除去し、α−ケトアミド官能基を保護しない。
【0006】
関連アプローチは、Powers et al. in J. Med. Chem., 36, 3472-3480 (1993)に記載されている。Powersアプローチにおいて、α−ケトエステルは、最初に、ジチオラン誘導体として保護され、次いで、次の変換においてα−ケトアミドに変換される。しかしながら、該方法は、立体特異的ではない。
【0007】
上記の考察から明らかなように、対応するα−アミノ酸の利用可能性を必要としない経路を介して鏡像異性的に純粋なジチオラン保護されたα−ケトアミドを利用するのに有利であろう。
【0008】
鏡像異性的に純粋なスルフィンイミンへの6員環ジチアン誘導体のエナンチオ選択的付加の方法は、Davis et al. in Tetrahedron Lett., 49, 870-872 (2008)に記載されている。しかしながら、ジチアン誘導体の2個の硫黄原子間の炭素原子上の置換基が電子求引性官能基、例えば、エステルまたはアミド基である場合には、該反応は起こらない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Manoz et al. in Bioorg. Med. Chem., 2, 1085-1090 (1994)
【非特許文献2】Banfi et al. in Tetrahedron Lett., 43, 4067-4069 (2002)
【非特許文献3】Wasserman et al. in J. Org. Chem., 62, 8972-8973 (1997)
【非特許文献4】Papanikos et al. in J. Combin. Chem., 6, 181-195 (2004)
【非特許文献5】Powers et al. in J. Med. Chem., 36, 3472-3480 (1993)
【非特許文献6】Davis et al. in Tetrahedron Lett., 49, 870-872 (2008)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の簡単な説明)
一般には、本発明は、鏡像異性的に純粋なβ−アミノ α−ケト(すなわち、β−アミノ α−ケト)エステル、および酸、およびそれらの調製方法に関する。式I、IV、V、およびVIとして本明細書に示される、これらの化合物は、式VIIおよびVIIIとして本明細書に示されるα−ケト含有ペプチジル化合物を調製するのに有用でありうる。
【0011】
1の態様において、本発明は、式(S,Ss)−Iまたは(R,Rs)−I:
【化1】

を有する1,3−ジチオラン誘導体として保護される、鏡像異性的に純粋な、α−ケト β−スルフィンアミドエステルの調製方法を提供する。式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iにおいて、RおよびRは、各々独立して、アルキルまたはアリールであり;Rは、任意の利用可能な環炭素原子の式Iの窒素含有炭素原子(すなわち、C*)に結合した、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、またはヘテロシクロアルキルである。方法には、式IIIのジチオラン水素を脱プロトン化するのに十分強力な塩基の存在下において、式(S)−IIまたは(R)−II:
【化2】

で示される鏡像異性的に純粋なスルフィンイミンを式III:
【化3】

[式中:式IIのRおよびRならびに式IIIのRは、上記の式Iと同義である]
で示されるジチオランカルボキシレートエステルと合し、式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iのα−ケト β−スルフィンアミドエステルを得ることが含まれる。
【0012】
別の態様において、本発明は、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IV:
【化4】

で示される鏡像異性的に純粋なβ−スルフィンアミド α−ケトアミドの調製方法を提供する。式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVにおいて、Rは、アルキルまたはアリールであり;Rは、環炭素原子の炭素原子C*に結合した、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルケニル、アリール、またはヘテロシクロアルキルであり;Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである。該方法には、式(S,S)−Iまたは(R,R)−I:
【化5】

で示される化合物を式RNHのアミン(式中:R、R、およびRは、上記と同義であり、式(S,S)−Iまたは(R,R)−IのRは、アルキルまたはアリールである)と合し、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVのβ−スルフィンアミド α−ケトアミドを得ることが含まれる。
【0013】
あるいは、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVの鏡像異性的に純粋なβ−スルフィンアミド α−ケトアミドの調製方法は、
a)所望により共溶媒の存在下において、式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iの化合物を水性塩基溶液と合すること;
b)溶液を中和し、式(S,S)−Vまたは(R,R)−V:
【化6】

で示されるカルボン酸を得ること;および
c)式(S,S)−Vまたは(R,R)−Vのカルボン酸をアミンRNH(式中:Rは上記と同義である)と合し、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVのβ−スルフィンアミド α−ケトアミドを得ること
によって実施されうる。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVのβ−スルホンアミド α−ケトアミドの調製方法を提供する。該方法には、
a)式IIIのジチオラン水素を脱プロトン化するのに十分強力な塩基の存在下において、式(S)−IIまたは(R)−IIのスルフィンイミンを式IIIのジチオランカルボキシレートエステルと合し、式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iのβ−スルホンアミド α−ケトエステルを得ること;および
b)式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iのβ−スルホンアミド α−ケトエステルを式RNHのアミンと合し、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVのβ−スルホンアミド α−ケトアミドを得ること;または
所望により共溶媒の存在下において、式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iのβ−スルホンアミド α−ケトエステルを水性塩基溶液と合すること、該溶液を中和し、式(S,S)−Vまたは(R,R)−Vのカルボン酸を得ること、ならびに、式(S,S)−Vまたは(R,R)−Vのカルボン酸をアミンRNH(式中:Rは上記と同義である)と合し、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVのβ−スルホンアミド α−ケトアミドを得ることが含まれる。
【0015】
本発明のまた別のさらなる態様は、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVのアミドをカルボン酸末端を含有するペプチド(HOOC−Pep.)に結合する方法を提供する。該方法には、アミド(S,S)−IVまたは(R,R)−IVの溶液を鉱酸と合し、式(S)−VIまたは(R)−VI:
【化7】

[式中:Rは上記と同義である]
で示される化合物を得ること、所望によりカップリング試薬の存在下において、式(S)−VIまたは(R)−VIの化合物をペプチドのカルボン酸末端と合し、式(S)−VIIまたは(R)−VII:
【化8】

で示される化合物を得ること、ならびに、酸化剤の存在下において、式(S)−VIIまたは(R)−VIIの化合物の1,3−ジチオラン保護基を除去し、β−アミノ α−ケトアミド官能基を含有する式(S)−VIIIまたは(R)−VIII:
【化9】

で示されるペプチドを得ることが含まれる。
【0016】
式I、式IV、または式VI:
【化10】

で示される化合物も本発明の範囲内にある。これらの式の変数、すなわち、R、R、R、およびRは、本明細書において提供される。
【0017】
本発明は、唯一の炭素原子によるエステル置換ジチアン環の単なる還元(すなわち、6員ジチアンからの付加体の環サイズを5員環ジチオランに対するエステル置換基に変換すること)によって、鏡像異性的に純粋なスルフィンイミンへの付加は容易に進行し、高選択性(一般には、85%以上、例えば、90%または99%)を有する単一または鏡像異性的に純粋なジアステレオマーとして保護α−ケト β−アミノエステルを得るという所見に一部基づく。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
1の態様において、本発明は、鏡像異性的に純粋な、式(S,S)−Iまたは(R,R)−I:
【化11】

で示されるα−ケト β−スルフィンアミドエステル(α−ケトが1,3−ジチオラン誘導体として保護される)の調製方法を提供する。式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iにおいて、RおよびRは、各々独立して、アルキルまたはアリールであり;Rは、任意の利用可能な環炭素原子の式Iの窒素含有炭素原子(すなわち、C*)に結合した、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、またはヘテロシクロアルキルである。該方法には、式IIIのジチオラン水素を脱プロトン化するのに十分強力な塩基の存在下において、式(Ss)−IIまたは(Rs)−II:
【化12】

で示される鏡像異性的に純粋なスルフィンイミンを式III:
【化13】

[式中:式IIのRおよびRならびに式IIIのRは、上記の式Iと同義である]
で示されるジチオランカルボキシレートエステルと合し、式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iのα−ケト β−スルフィンアミドエステルを得ることが含まれる。
【0019】
硫黄原子上でS立体配置の式IIの化合物は、硫黄でS立体配置を保持する式Iの化合物をもたらし、さらに、窒素含有炭素原子上でS立体配置を有する。硫黄原子上でR立体配置の式IIの化合物は、硫黄でS立体配置を保持する式Iの化合物をもたらし、さらに、窒素含有炭素原子上でR立体配置を有する。これは、硫黄原子上の立体中心が炭素原子上の立体化学をもたらすことを示す。
【0020】
いくつかの実施態様において、本発明の方法の生成物は、優位に(すなわち、少なくとも85%、例えば、95%または99%)単一(R,R)または(S,S)ジアステレオマーである。例えば、少なくとも95%または少なくとも99%の生成物は、単一(R,R)または(S,S)ジアステレオマーであってもよい。
【0021】
いくつかの実施態様において、式IIの化合物および式IIIの化合物の間の反応は、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、エタノール、メタノール、およびジオキサン、またはその混合物からなる群より選択される溶媒中で行われる。
【0022】
いくつかの実施態様において、式IIおよび式IIIの化合物の間の反応は、例えば、リチウム、カリウム、またはナトリウムを含有する塩基の存在下である。かかる塩基の例として、限定されるものではないが、リチウム ヘキサメチルジシラミド、ヘキシニルリチウム、リチウム ジイソプロピルアミド、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウム ヘキサメチルジシラミド、ナトリウム ビス(トリメチルシリル)アミド、水素化ナトリウム、カリウム ビス(トリメチルシリル)アミド、カリウム ヘキサメチルジシラミド、水素化カリウム、カリウムtert−ブトキシド、またはカリウムtert−アミロキシドが挙げられる。
【0023】
いくつかの実施態様において、Rは、所望により置換されていてもよいフェニルである(例えば、アルキル、例えば、メチルで置換される)。いくつかのさらなる実施態様において、Rは、メチルフェニル(例えば、p−メチルフェニル)である。
【0024】
いくつかの実施態様において、Rはアルキルである。適当なRの例として、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、およびtert−ブチルが挙げられる。
【0025】
いくつかの実施態様において、Rは、アルキル、(シクロアルキル)アルキル、またはアリールである。適当なRの例として、限定されるものではないが、C1−8またはC1−4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、またはtert−ブチル)、(シクロプロピル)メチル、またはナフチルが挙げられる。
【0026】
いくつかの実施態様において、Rは、アルキル(例えば、C1−8またはC1−4アルキル)である。適当なRの例として、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはtert−ブチルが挙げられる。
【0027】
別の態様において、本発明は、鏡像異性的に純粋な式(S,Ss)−IVまたは(R,Rs)−IV:
【化14】

で示されるβ−スルフィンアミド α−ケトアミドの調製方法を提供する。上記の式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVにおいて、α−ケト基は1,3−ジチオラン誘導体として保護され;Rはアルキルまたはアリールであり;Rは、環炭素原子の炭素原子C*に結合した、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルケニル、アリール、またはヘテロシクロアルキルであり;Rは水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである。該方法には、式(S,S)−Iまたは(R,R)−I:
【化15】

で示される化合物を式RNHのアミン(式中:R、R、およびRは上記と同義であり、式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iの化合物におけるRはアルキルまたはアリールである)と合することが含まれる。
【0028】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物およびアミンの間の反応は、アルコールまたはアルコール混合物中で行われる。いくつかのさらなる実施態様において、アルコールは、プロパノール、エタノール、もしくはメタノール、またはその混合物(すなわち、共溶媒)(例えば、メタノールまたはエタノールの50/50または40/60混合物)である。
【0029】
いくつかの実施態様において、Rは、所望により置換されていてもよいフェニルである。いくつかのさらなる実施態様において、フェニルは、C1−8またはC1−4アルキル、例えば、メチルまたはエチルで置換されている。
【0030】
いくつかのさらなる実施態様において、Rはメチルフェニルである。いくつかのさらなる実施態様において、Rはp−メチルフェニルである。
【0031】
いくつかの実施態様において、RはC1−8またはC1−4アルキルである。いくつかのさらなる実施態様において、Rはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、またはtert−ブチルである。
【0032】
いくつかの実施態様において、Rは、アルキル(例えば、C1−8またはC1−4アルキル)、(シクロアルキル)アルキル、またはアリールである。適当なRの例として、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、(シクロプロピル)メチル、またはナフチルが挙げられる。
【0033】
いくつかの実施態様において、Rは、アルキル(例えば、C1−8またはC1−4アルキル)またはシクロアルキルである。いくつかのさらなる実施態様において、Rは、メチル、エチル、またはシクロプロピルである。
【0034】
本発明のさらなる態様は、鏡像異性的に純粋な式(S,S)−IVまたは(R,R)−IV:
【化16】

で示されるβ−スルフィンアミド α−ケトアミドの別の調製方法に関する。式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVにおいて、α−ケト基は1,3−ジチオラン誘導体として保護され;Rはアルキルまたはアリールであり;Rは、環炭素原子の炭素原子C*に結合した、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルケニル、アリール、またはヘテロシクロアルキルであり;Rは水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである。
【0035】
該別法には、所望により共溶媒の存在下において、式(S,S)−Iまたは(R,R)−I(式中:RおよびRは上記と同義であり;Rはアルキルまたはアリールである):
【化17】

で示される化合物を水性塩基溶液と反応させ、次いで、溶液を中和して、式(S,S)−Vまたは(R,R)−V:
【化18】

で示されるカルボン酸を得、式(S,S)−Vまたは(R,R)−Vのカルボン酸をアミンRNH(式中:Rは本明細書の記載と同義である)と反応させ、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVのβ−スルフィンアミド α−ケトアミドを得ることが含まれる。
【0036】
この別法のいくつかの実施態様において、少なくとも95%(例えば、99%または99.9%)の生成物(すなわち、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVのβ−スルフィンアミド α−ケトアミド)は単一(S,S)または(R,R)エナンチオマーである。
【0037】
いくつかの他の実施態様において、共溶媒は、アルコール、ジオキサン、もしくはTHF、またはその混合物(異なるアルコールの混合物を含む)である。いくつかのさらなる実施態様において、アルコールは、プロパノール、エタノール、もしくはメタノール、またはその混合物(例えば、メタノールまたはエタノールの50/50または40/60混合物)である。
【0038】
いくつかの他の実施態様において、Rは、所望により置換されていてもよいフェニルである。いくつかのさらなる実施態様において、フェニルは、C1−8またはC1−4アルキル、例えば、メチルまたはエチルで置換されている。
【0039】
いくつかのさらなる実施態様において、Rはメチルフェニルである。いくつかのさらなる実施態様において、Rはp−メチルフェニルである。
【0040】
いくつかの実施態様において、Rは、C1−8またはC1−4アルキルである。いくつかのさらなる実施態様において、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、またはtert−ブチルである。
【0041】
いくつかの実施態様において、Rは、アルキル(例えば、C1−8またはC1−4アルキル)、(シクロアルキル)アルキル、またはアリールである。適当なRの例として、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、(シクロプロピル)メチル、またはナフチルが挙げられる。
【0042】
いくつかの実施態様において、Rは、アルキル(例えば、C1−8またはC1−4アルキル)またはシクロアルキルである。いくつかのさらなる実施態様において、Rは、メチル、エチル、またはシクロプロピルである。
【0043】
本発明は、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IV:
【化19】

で示されるアミドをカルボン酸末端を含有するペプチド(HOOC−Pep.)(式中:α−ケト基は1,3−ジチオラン誘導体として保護され;Rはアルキルまたはアリールであり;Rは、環炭素原子の炭素原子C*に結合した、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルケニル、アリール、またはヘテロシクロアルキルであり;Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである)に結合する方法をさらに提供する。
【0044】
該方法には、(S,S)−IVまたは(R,R)−IVのアミドの溶液を鉱酸で処理して、式(S)−VIまたは(R)−VI:
【化20】

(式中:Rは本明細書の記載と同義である)
で示される化合物を得、カップリング試薬の存在下において、式(S)−VIまたは(R)−VIの化合物をペプチドまたはアミノ酸のカルボン酸末端と反応させ、式(S)−VIIまたは(R)−VII:
【化21】

で示される化合物を得、酸化剤の存在下において、式(S)−VIIまたは(R)−VIIの化合物における1,3−ジチオラン保護基を除去して、β−アミノ α−ケトアミド官能基を含有する式(S)−VIIIまたは(R)−VIII:
【化22】

で示されるペプチドを得ることが含まれる。
【0045】
いくつかの実施態様において、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IV:
【化23】

で示されるβ−スルホンアミド α−ケトアミドは、
a)式IIIのジチオラン水素を脱プロトン化するのに十分強力な塩基の存在下において、式(S)−IIまたは(R)−II:
【化24】

で示されるスルフィンイミンを式III:
【化25】

[式中:式IIにおけるRおよびRならびに式IIIにおけるRは上記と同義である]
で示されるジチオランカルボキシレートエステルと合し、式(S,S)−Iまたは(R,R)−I:
【化26】

で示されるβ−スルホンアミド α−ケトエステルを得る工程;および
b)式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iのβ−スルホンアミド α−ケトエステルを式RNH(式中:Rは上記と同義である)で示されるアミンと合し、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVの生成物を得る工程
を含む方法によって調製される。
【0046】
あるいは、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVのβ−スルホンアミド α−ケトアミドは、
a)式IIIのジチオラン水素を脱プロトン化するのに十分強力な塩基の存在下において、式(S)−IIまたは(R)−II:
【化27】

で示されるスルフィンイミンを式III:
【化28】

[式中:式IIにおけるRおよびRならびに式IIIにおけるRは上記と同義である]
で示されるジチオランカルボキシレートエステルと合し、式(S,S)−Iまたは(R,R)−I:
【化29】

で示されるβ−スルホンアミド α−ケトエステルを得る工程;
b)所望により共溶媒の存在下において、式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iのβ−スルホンアミド α−ケトエステルを水性塩基溶液と合し、溶液を中和して、式(S,S)−Vまたは(R,R)−V;
【化30】

で示されるカルボン酸を得る工程;および
c)式(S,S)−Vまたは(R,R)−Vのカルボン酸をアミンRNHと合し、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVのβ−スルホンアミド α−ケトアミドを得る工程
を含む方法によって調製されうる。
【0047】
式I、IV、またはVI:
【化31】

[式中:各RおよびRは、独立して、アルキルまたはアリールであり;Rはアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルケニル、アリール、またはヘテロシクロアルキルであり;Rは水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである]
で示される化合物も本発明の範囲内にある。
【0048】
いくつかの実施態様において、Rは、(例えば、C1−8またはC1−4アルキルで)所望により置換されていてもよいフェニルである。適当なRの例として、限定されるものではないが、メチルフェニル(例えば、p−メチルフェニル、o−メチルフェニル、またはm−メチルフェニル)およびエチルフェニル(例えば、p−エチルフェニル、m−エチルフェニル、またはo−エチルフェニル)が挙げられる。
【0049】
いくつかの実施態様において、Rは、C1−8またはC1−4アルキルである。適当なRの例として、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、およびtert−ブチルが挙げられる。
【0050】
いくつかの実施態様において、Rは、アルキル(例えば、C1−8またはC1−4アルキル)、(シクロアルキル)アルキル、またはアリールである。適当なRの例として、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、(シクロプロピル)メチル、またはナフチルが挙げられる。
【0051】
いくつかの実施態様において、Rは、アルキル(例えば、C1−8またはC1−4アルキル)である。適当なRの例として、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびtert−ブチルが挙げられる。
【0052】
いくつかの実施態様において、Rは、アルキルまたはシクロアルキルである。適当なRの例として、限定されるものではないが、メチル、エチル、またはシクロプロピルが挙げられる。
【0053】
本発明の化合物の具体例として、
【化32】

が挙げられる。
【0054】
本発明の化合物のさらなる例として、
【化33】

が挙げられる。
【0055】
本明細書に用いられる、「鏡像異性的に純粋な」なる語は、少なくとも75%(例えば、85%、90%、95%、99%、または99.9%)の指定された原子(例えば、炭素または硫黄)中心の同一のキラリティー、すなわち、カーン・インゴルド・プレローグ(Cahn-Ingold-Prelog)順位則の下でのRまたはSを有する化合物を意味する。具体的には、4個の中で最も優先順位が低いものがビューアーから離れるように炭素原子中心が方向付けられる場合に、ビューアーは2つの可能性を見出すであろう:残りの3個の置換基の優先順位が時計方向に減少する場合には、R(レクタス(Rectus))に分類され、反時計方向に減少する場合には、S(シニスター(Sinister))である。
【0056】
スルフィンイミンおよびスルフィンアミドにおける硫黄原子(すなわち、
【化34】

などのS)に対するRまたはS立体配置の表示は、4面体炭素原子についての同一の規則に従う。これらの化合物において、硫黄は、4個の置換基の1個が孤立電子対である、4面体配位を示す。該孤立電子対は、必ず、立体化学を決定する場合にビューアーから離れた分子の後方に方向付けられる(4面体炭素原子に結合した水素原子のような)「小さい」基であろう;次いで、残存置換基に対し標準的IUPAC順位則が適用される。最も優先順位が高い基から2番目に優先順位が高い基、そこから3番目の基に進む場合に、目が時計方向に回る場合には、立体配置はRとして特定される;反時計方向の場合には、立体配置はSとして特定される。
【0057】
正式名称にしたがって、式中の下付き記号のキラリティー記述子s[例えば、(R,R)−Iまたは(S,S)−I]は、硫黄でのキラリティーをいい、一方、残りの記述子は炭素での記述子をいう。したがって、分子(R,R)−Iは、硫黄での(R)絶対配置および炭素原子での(R)絶対配置を有する。本明細書に用いられる、(R,R)および(R,R)の表示は、(S,S)および(S,S)の表示のように代替可能である。
【0058】
本明細書に記載されるように、原子の特定数範囲には、その中の任意の整数が含まれる。例えば、1〜4個(または1ないし4個)の原子を有する基は、1、2、3、または4個の原子を有しうる。
【0059】
本明細書に用いられる、以下の定義は、特に明記しない限り、適用されるであろう。本発明の目的上、化学的要素は、the Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Edにしたがって特定される。さらに、有機化学の一般原則は、「Organic Chemistry」, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999, and 「March's Advanced Organic Chemistry」, 5th Ed. (Ed.: Smith, M.B. and March, J.), John Wiley & Sons, New York (2001)に記載されている。これらの2つの参考文献ならびに本明細書に引用される他の刊行物の全内容は、出典明示により本明細書の一部とする。
【0060】
本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、1個または複数の置換基、例えば、一般的に以下に説明されるもの、または本発明の特定のクラス、サブクラス、および種によって例示されるもので所望により置換されていてもよい。「所望により置換されていてもよい」なる表現は、「置換されているかまたは置換されていない」なる表現と交互に用いられることは明らかであろう。一般に、「所望により」なる語が前に付くかどうかに関わらず、「置換されている」なる語は、特定の置換基のラジカルを有する所定の構造における水素ラジカルの置換をいう。特に明記しない限り、所望により置換されていてもよい基は、基の各置換可能な位置に置換基を有していてもよく、任意の所定の構造における1個以上の位置が、特定の基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい場合、置換基は、すべての位置で同一であってもまたは異なっていてもよい。本発明に想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定なまたは化学的に実現可能な化合物を形成するものである。
【0061】
本明細書に用いられる、「安定な」なる語は、本明細書に開示の1つまたは複数の目的としてその生産、検出、回収、精製、および使用を可能にするための条件に曝される場合に実質的に変化しない化合物をいう。いくつかの実施態様において、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、少なくとも1週間、水分の不在下または他の化学的反応条件下において、40℃以下の温度に維持される場合に実質的に変化しないものである。
【0062】
本明細書に用いられる、「脂肪族」なる語は、線形アルキル、アルケニル、およびアルキニルを包含し、その各々は、本明細書に記載されるように、所望により置換されていてもよい。線形によって、アルキル、アルケニル、またはアルキニル基が環状ではなく、アルキル、アルケニル、またはアルキニル基の結合炭素原子は環原子ではないことを意味する。
【0063】
本明細書に用いられる、「アルキル」基は、1〜12個(例えば、1〜10個、1〜8個、1〜6個、または1〜4個)の炭素原子を含有する線形飽和脂肪族炭化水素基をいう。アルキル基は、直線または分枝でありうる。アルキル基の例として、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチル、または2−エチルヘキシルが挙げられる。アルキル基は、1個または複数の置換基、例えば、ハロ、リン、環状脂肪族(例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル)、ヘテロ環状脂肪族(例えば、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、またはヘテロシクロアルキニル)、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル(例えば、(脂肪族)カルボニル、(環状脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル)、ニトロ、シアノ、アミド(例えば、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル)、アミノ(例えば、脂肪族アミノ、環状脂肪族アミノ、またはヘテロ環状脂肪族アミノ)、スルホニル(例えば、脂肪族−SO−、環状脂肪族−SO−、またはアリール−SO−)、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、環状脂肪族オキシ、ヘテロ環状脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、またはヒドロキシで置換されうる(すなわち、所望により置換されていてもよい)。いくつかの実施態様において、アルキル基は、ハロ、環状脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、オキソ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、およびヒドロキシルで所望により置換されていてもよい。ある実施態様において、所望の置換基それ自体は、1個または複数のハロ、ヒドロキシル、−NH、シアノ、またはニトロでのみさらに置換されていてもよい。1の実施態様の一例として、アルキルは、環状脂肪族で所望により置換されていてもよく、環状脂肪族は、順次、1個または複数のハロ、ヒドロキシル、−NH、シアノ、またはニトロで置換されうる。
【0064】
限定するものではなく、置換されたアルキルのいくつかの例として、カルボキシアルキル(例えば、HOOC−アルキル、アルコキシカルボニルアルキル、およびアルキルカルボニルオキシアルキル)、シアノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシルアルキル、アラルキル、(アルコキシアリール)アルキル、(スルホニルアミノ)アルキル(例えば、(アルキル−SO−アミノ)アルキル)、アミノアルキル、アミドアルキル、(環状脂肪族)アルキル、またはハロアルキルが挙げられる。
【0065】
本明細書に用いられる、「アルケニル」基は、2〜12個(例えば、2〜8個、2〜6個、または2〜4個)の炭素原子および少なくとも1個の二重結合を含有する線形脂肪族炭素基をいう。アルキル基のように、アルケニル基は、直線または分枝でありうる。アルケニル基の例として、限定されるものではないが、アリル、イソプレニル、2−ブテニル、および2−ヘキセニルが挙げられる。アルケニル基は、1個または複数の置換基、例えば、ハロ、リン、環状脂肪族(例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル)、ヘテロ環状脂肪族(例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル)、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル(例えば、(脂肪族)カルボニル、(環状脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル)、ニトロ、シアノ、アミド(例えば、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル)、アミノ(例えば、脂肪族アミノ、環状脂肪族アミノ、ヘテロ環状脂肪族アミノ、または脂肪族スルホニルアミノ)、スルホニル(例えば、脂肪族−SO−、環状脂肪族−SO−、またはアリール−SO−)、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、環状脂肪族オキシ、ヘテロ環状脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、またはヒドロキシで所望により置換されていてもよい。いくつかの実施態様において、アルケニル基は、ハロ、環状脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アミド、オキソ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、およびヒドロキシルで所望により置換されていてもよい。ある実施態様において、所望の置換基それ自体は、1個または複数のハロ、ヒドロキシル、−NH、シアノ、またはニトロでのみさらに置換されていてもよい。1の実施態様の一例として、アルケニル基は、環状脂肪族で所望により置換されていてもよく、環状脂肪族は、順次、1個または複数のハロ、ヒドロキシル、−NH、シアノ、またはニトロで置換されうる。
【0066】
限定するものではなく、置換されたアルケニルのいくつかの例として、シアノアルケニル、アルコキシアルケニル、アシルアルケニル、ヒドロキシアルケニル、アラルケニル、(アルコキシアリール)アルケニル、(スルホニルアミノ)アルケニル(例えば、(アルキル−SO−アミノ)アルケニル)、アミノアルケニル、アミドアルケニル、(環状脂肪族)アルケニル、またはハロアルケニルが挙げられる。
【0067】
本明細書に用いられる、「アルキニル」基は、2〜8個(例えば、2〜6個または2〜4個)の炭素原子を含有し、少なくとも1個の三重結合を有する脂肪族炭素基をいう。アルキニル基は、直線または分枝でありうる。適当なアルキニル基の例として、限定されるものではないが、プロパルギルおよびブチニルが挙げられる。アルキニル基は、1個または複数の置換基、例えば、ハロ、環状脂肪族、ヘテロ環状脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、(環状脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル、ニトロ、シアノ、アミノ、アミド、アシル、スルホニル、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、(環状脂肪族)オキシ、(ヘテロ環状脂肪族)オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、(ヘテロアリール)アルコキシ、またはヒドロキシで所望により置換されていてもよい。いくつかの実施態様において、アルキニル基は、ハロ、環状脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、オキソ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、およびヒドロキシルで所望により置換されていてもよい。ある実施態様において、所望の置換基それ自体は、1個または複数のハロ、ヒドロキシル、−NH、シアノ、またはニトロでのみさらに置換されていてもよい。1の実施態様の一例として、アルキニル基は、環状脂肪族で所望により置換されていてもよく、環状脂肪族は、順次、1個または複数のハロ、ヒドロキシル、−NH、シアノ、またはニトロで置換されうる。
【0068】
本明細書に用いられる、「環状脂肪族」基は、「シクロアルキル」基および「シクロアルケニル」基を包含し、その各々は、以下に記載されるように、所望により置換されていてもよい。
【0069】
本明細書に用いられる、「シクロアルキル」基は、3〜12個(例えば、5〜12個)の炭素原子の飽和炭素環式単環または二環(縮合または架橋)をいう。シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニル、キュビル(cubyl)、オクタヒドロ−インデニル、デカヒドロ−ナフチル、スピロ[5.5]ウンデカニル、スピロ[2.5]オクタニル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.3.2.]デシル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、または((アミノカルボニル)シクロアルキル)シクロアルキルが挙げられる。
【0070】
本明細書に用いられる、「シクロアルケニル」基は、1個または複数の二重結合を有する3〜12個(例えば、4〜8個)の炭素原子の非芳香族炭素環式単環または二環をいう。シクロアルケニル基の例として、シクロペンテニル、1,4−シクロヘキサ−ジ−エニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ヘキサヒドロ−インデニル、オクタヒドロ−ナフチル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、スピロ[5.5]]ウンデカ−3−エニル、スピロ[2.5]オクタ−5−エニル、ビシクロ[2.2.2]オクテニル、またはビシクロ[3.3.1]ノネニルが挙げられる。
【0071】
シクロアルキルまたはシクロアルケニル基は、1個または複数の置換基、例えば、リン;脂肪族(例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル);環状脂肪族;(環状脂肪族)脂肪族;ヘテロ環状脂肪族;(ヘテロ環状脂肪族)脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルコキシ;(環状脂肪族)オキシ;(ヘテロ環状脂肪族)オキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;(芳香脂肪族(araliphatic))オキシ;(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ;アロイル;ヘテロアロイル;アミノ;アミド(例えば、(脂肪族)カルボニルアミノ、(環状脂肪族)カルボニルアミノ、((環状脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(芳香脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニルアミノ、((ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルアミノ);ニトロ;カルボキシ(例えば、HOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ);アシル(例えば、(環状脂肪族)カルボニル、((環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル);シアノ;ハロ;ヒドロキシ;メルカプト;スルホニル(例えば、アルキル−SO−および−アリールSO−);スルフィニル(例えば、アルキル−S(O)−);スルファニル(例えば、アルキル−S−);スルホキシ;ウレア;チオウレア;スルファモイル;スルファミド;オキソ;またはカルバモイルで置換されうる(すなわち、所望により置換されていてもよい)。いくつかの実施態様において、シクロアルキルまたはシクロアルケニル基は、各々独立しておよび所望により、ハロ、環状脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、オキソ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、およびヒドロキシルで置換されていてもよい。ある実施態様において、所望の置換基それ自体は、1個または複数のハロ、ヒドロキシル、−NH、シアノ、またはニトロでのみさらに置換されていてもよい。1の実施態様の一例として、シクロアルキル基は、アルコキシで所望により置換されていてもよく、アルコキシのアルキル部は、順次、1個または複数のハロ、ヒドロキシル、−NH、シアノ、またはニトロで置換されうる。
【0072】
本明細書に用いられる、「複素環」、「ヘテロシクロ」、「ヘテロシクリル」および「ヘテロ環」なる語は、代替可能であり、すべて、1個または複数の環員が、独立して、選択されたヘテロ原子である、非芳香族、単環式、二環式、または三環式環系をいう。ヘテロ環はヘテロ環状脂肪族を含み、それには、順次、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、およびヘテロシクロアルキニルが含まれる。いくつかの実施態様において、「複素環」、「ヘテロシクリル」、または「ヘテロ環」基は、1個または複数の環員が、酸素、硫黄、窒素、またはリンから独立して選択されるヘテロ原子であり、系の各環が3〜7個の環員を含有する、3〜14個の環員を有する。
【0073】
本発明の適当な複素環の例として、限定されるものではないが、3−1H−ベンズイミダゾール−2−オン、3−(1−アルキル)−ベンズイミダゾール−2−オン、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−テトラヒドロピペラジニル、2−テトラヒドロピペラジニル、3−テトラヒドロピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、1−ピラゾリニル、3−ピラゾリニル、4−ピラゾリニル、2−チアゾリジニル、3−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、ベンゾヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアン、および1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−オンが挙げられる。
【0074】
ヘテロ環は、1個または複数の置換基、例えば、リン;脂肪族(例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル);環状脂肪族;(環状脂肪族)脂肪族;ヘテロ環状脂肪族;(ヘテロ環状脂肪族)脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルコキシ;(環状脂肪族)オキシ;(ヘテロ環状脂肪族)オキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;(芳香脂肪族)オキシ;(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ;アロイル;ヘテロアロイル;アミノ;アミド(例えば、(脂肪族)カルボニルアミノ、(環状脂肪族)カルボニルアミノ、((環状脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(芳香脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニルアミノ、((ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルアミノ);ニトロ;カルボキシ(例えば、HOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ);アシル(例えば、(環状脂肪族)カルボニル、((環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル);シアノ;ハロ;ヒドロキシ;メルカプト;スルホニル(例えば、アルキル−SO−およびアリール−SO−);スルフィニル(例えば、アルキル−S(O)−);スルファニル(例えば、アルキル−S−);スルホキシ;ウレア;チオウレア;スルファモイル;スルファミド;オキソ;またはカルバモイルで、環炭素原子(群)またはヘテロ環原子(群)のいずれかで置換されうる(すなわち、所望により置換されていてもよい)。いくつかの実施態様において、ヘテロ環基は、ハロ、環状脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アミド、オキソ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、およびヒドロキシルで所望により置換されていてもよい。ある実施態様において、所望の置換基それ自体は、1個または複数のハロ、ヒドロキシル、−NH、シアノ、またはニトロでのみさらに置換されていてもよい。1の実施態様の一例として、ヘテロ環基は、アルコキシで所望により置換されていてもよく、アルコキシのアルキル部は、順次、1個または複数のハロ、ヒドロキシル、−NH、シアノ、またはニトロで置換されうる。
【0075】
環状基(例えば、環状脂肪族および複素環)は、直線的に縮合、架橋、またはスピロ環化されうる。
【0076】
本明細書に用いられる、「ヘテロ原子」または「ヘテロ 原子」なる語は、1個または複数の酸素、硫黄、窒素、またはリン、(窒素、硫黄、またはリンの任意の酸化形態;任意の塩基性窒素または複素環の置換可能な窒素、例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルなど)、NH(ピロリジニルなど)またはNR(N−置換ピロリジニルなど)の四級化形態)を意味する。
【0077】
本明細書に用いられる、「不飽和」なる語は、部分が1単位以上の不飽和度を有することを意味する。
【0078】
本明細書に用いられる、「非芳香族」なる語は、飽和または部分的に不飽和のいずれかである環を示す。
【0079】
本明細書に用いられる、「芳香族」なる語は、完全に不飽和である環を示す。
【0080】
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロ脂肪族」、および「ハロアルコキシ」なる語は、それぞれ、1個または複数のハロゲン原子で置換された、アルキル、アルケニル、脂肪族、またはアルコキシを意味する。「ハロゲン」、「ハロ」、および「hal」なる語は、F、Cl、Br、またはIを意味する。
【0081】
単独でまたは「アラルキル」、「アラルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」のようなより大きな部分の一部として用いられる、「アリール」なる語は、系の少なくとも1個の環が芳香族であり、系の各環が3〜7個の環員を含有する、合計5〜14個の環員を有する単環式、二環式、および三環式芳香族環系をいう。「アリール」なる語は、「アリール環」なる語と交互に用いられうる。「アリール」なる語はまた、下記のヘテロアリール環系をいう。
【0082】
アリールは、1個または複数の置換基、例えば、リン;脂肪族(例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル);環状脂肪族;(環状脂肪族)脂肪族;ヘテロ環状脂肪族;(ヘテロ環状脂肪族)脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルコキシ;(環状脂肪族)オキシ;(ヘテロ環状脂肪族)オキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;(芳香脂肪族)オキシ;(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ;アロイル;ヘテロアロイル;アミノ;アミド(例えば、(脂肪族)カルボニルアミノ、(環状脂肪族)カルボニルアミノ、((環状脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(芳香脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニルアミノ、((ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルアミノ);ニトロ;カルボキシ(例えば、HOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ);アシル(例えば、(環状脂肪族)カルボニル、((環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル);シアノ;ハロ;ヒドロキシ;メルカプト;スルホニル(例えば、アルキル−SO−およびアリール−SO−);スルフィニル(例えば、アルキル−S(O)−);スルファニル(例えば、アルキル−S−);スルホキシ;ウレア;チオウレア;スルファモイル;スルファミド;オキソ;またはカルバモイルで所望により置換されていてもよい。いくつかの実施態様において、アリール基は、ハロ、環状脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、オキソ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、およびヒドロキシルで所望により置換されていてもよい。ある実施態様において、所望の置換基それ自体は、1個または複数のハロ、ヒドロキシル、−NH、シアノ、またはニトロでのみさらに置換されていてもよい。1の実施態様の一例として、アリール基は、アルコキシで所望により置換されていてもよく、アルコキシのアルキル部は、順次、1個または複数のハロ、ヒドロキシル、−NH、シアノ、またはニトロで置換されうる。
【0083】
単独でまたは「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」などの大きな部分の一部として用いられる、「ヘテロアリール」なる語は、系の少なくとも1個の環が芳香族であり、系の少なくとも1個の環が1個または複数のヘテロ原子を含有し、系の各環が3〜7個の環員を含有する、合計5〜14個の環員を有する単環式、二環式、および三環式環系をいう。「ヘテロアリール」なる語は、「ヘテロアリール環」なる語または「ヘテロ芳香族」なる語と交互に用いられる。適当なヘテロアリール環には、限定されるものではないが、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、N−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピリダジニル(例えば、3−ピリダジニル)、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、テトラゾリル(例えば、5−テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば、2−トリアゾリルおよび5−トリアゾリル)、2−チエニル、3−チエニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(例えば、2−インドリル)、ピラゾリル(例えば、2−ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、プリニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、キノリニル(例えば、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル)、およびイソキノリニル(例えば、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、または4−イソキノリニル)が含まれる。
【0084】
ヘテロアリールは、1個または複数の置換基、例えば、リン;脂肪族(例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキル);環状脂肪族;(環状脂肪族)脂肪族;ヘテロ環状脂肪族;(ヘテロ環状脂肪族)脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルコキシ;(環状脂肪族)オキシ;(ヘテロ環状脂肪族)オキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;(芳香脂肪族)オキシ;(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ;アロイル;ヘテロアロイル;アミノ;アミド(例えば、(脂肪族)カルボニルアミノ、(環状脂肪族)カルボニルアミノ、((環状脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(芳香脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニルアミノ、((ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルアミノ);ニトロ;カルボキシ(例えば、HOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ);アシル(例えば、(環状脂肪族)カルボニル、((環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル);シアノ;ハロ;ヒドロキシ;メルカプト;スルホニル(例えば、アルキル−SO−およびアリール−SO−);スルフィニル(例えば、アルキル−S(O)−);スルファニル(例えば、アルキル−S−);スルホキシ;ウレア;チオウレア;スルファモイル;スルファミド;オキソ;またはカルバモイルで所望により置換されていてもよい。いくつかの実施態様において、ヘテロアリール基は、ハロ、環状脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、オキソ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、およびヒドロキシルで所望により置換されていてもよい。ある実施態様において、所望の置換基それ自体は、1個または複数のハロ、ヒドロキシル、−NH、シアノ、またはニトロでのみさらに置換されていてもよい。1の実施態様の一例として、ヘテロアリール基は、アルコキシで所望により置換されていてもよく、アルコキシのアルキル部は、順次、1個または複数のハロ、ヒドロキシル、−NH、シアノ、またはニトロで置換されうる。
【0085】
「オルト」、「メタ」、または「パラ」なる語が、6員環系上の置換基の位置を特定するために用いられる場合、それは、該環系が式の化合物の核に結合している原子に相対的である。例えば、メチルでオルト位が、フルオロでメタ位が、およびイソプロピルでパラ位が置換されたフェニルは、
【化35】

である。
【0086】
本明細書に用いられる、「保護基(protecting group)」および「保護基(protective group)」なる語は、代替可能であり、多機能性化合物における1つまたは複数の所望の反応部位を一時的に阻害するのに用いられる物質をいう。ある実施態様において、保護基は、1つもしくは複数の、または好ましくは全ての、以下の特徴を有する:a)保護された物質を得るために高収率で官能基に選択的に加えられる、b)それは1個または複数の他の反応性部位にて生じる反応に安定である、およびc)再生、脱保護された官能基を攻撃しない試薬によって高収率で選択的に除去可能である。例示的な保護基は、T.W. Greene et al. in Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, John Wiley & Sons, New York(1999)(および本の他の版)に詳述され、その全内容は出典明示により本明細書の一部とする。本明細書に用いられる、「窒素保護基」なる語は、多官能性化合物における1個または複数の所望の窒素反応性部位を一時的に阻害するのに用いられる物質をいう。好ましい窒素保護基はまた、上記の特性を有し、ある例示的な窒素保護基はまた、T.W. Greene et al. in Chapter 7 of Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Editionに詳述される。
【0087】
いくつかの実施態様において、アルキルまたは脂肪族鎖は、別の原子または基で所望により遮断されうる。これは、アルキルまたは脂肪族鎖のメチレン単位が前記の他の原子または基で所望により置換されていてもよいことを意味する。かかる原子または基の例として、限定されるものではないが、−NR−、−O−、−S−、−CO−、−OC(O)−、−C(O)CO−、−C(O)−、−C(O)NR−、−C(=N−CN)−、−NRCO−、−NRC(O)O−、−SONR−、−NRSO−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−NRSONR−、−SO−、または−SO−(式中:Rは本明細書に記載のとおりである)が挙げられるであろう。特に明記しない限り、所望の置換は、化学的に安定な化合物を形成する。所望の遮断は、鎖内および鎖のいずれかの末端の両方で、すなわち、結合部および/または末端部の両方で起こりうる。化学的に安定な化合物をもたらす限りは、2つの所望の置換はまた、鎖内に相互に隣接していてもよい。所望の遮断または置換はまた、鎖中のすべての炭素原子を完全に置き換えうる。例えば、C脂肪族は、−NRC(O)NR−(すなわち、ウレア)を形成するために、−NR−、−C(O)−、および−NR−で所望により遮断または置換されうる。いくつかの実施態様において、アルキルまたは脂肪族鎖は遮断されず、炭素単位は上記のヘテロ原子またはヘテロ基のいずれかで置換されない。
【0088】
特に明記しない限り、置換または遮断が末端部で起こる場合、置換原子は、末端部上のHに結合している。例えば、−CHCHCHが−O−で所望により遮断されていた場合、得られた化合物は−OCHCH、−CHOCH、または−CHCHOHでありうる。
【0089】
本明細書に用いられる、「鉱酸」なる語は、有機酸とは対照的に、無機ミネラルからの化学反応によって得られる酸をいう。これらの酸では、少なくとも水素原子は、アニオン、例えば、硫酸または塩化物と共有結合している。鉱酸の例として、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、およびフッ化水素酸が挙げられる。
【0090】
本明細書に用いられる、「カップリング試薬」なる語は、2つの他の分子間の反応および新しい分子の形成を補助または促進する化合物をいう。本発明に用いられうるカップリング試薬の例として、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、ジ−p−トルオイルカルボジイミド、1−ベンゾトリアゾール ジエチルホスフェート−1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニルエチル)カルボジイミド(BDP)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(EDC)、フッ化シアヌル(cyanuric fluoride)、塩化シアヌル(cyanuric chloride)、テトラメチル フルオロホルムアミジニウム ヘキサフルオロホスホスフェート(TFFH)、ジフェニルホスホルアジデート(diphenylphosphorazidate)(DPPA)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(BOP)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N1−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、P−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’N1−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(TBTU)、N−[(ジメチルアミノ)−1−H−1,2,3−トリアゾロ[4,5,6]−ピリジン−1−イルメチレン]−N−メチルメタンアミニウム ヘキサフルオロホスフェート N−オキシド(HATU)、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィニッククロリド(BOP−C1)、(1−H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリス(ピロリジノ)ホスホニウム テトラフルオロホスフェート(PyBOP)、ブロモトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(BrOP)、3−(ジエトキシホスホリルオキシ)−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン(DEPBT)、または(ブロモトリス(ピロリジノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(PyBrOP)が挙げられる。本発明の方法に用いられるペプチドカップリング試薬の量は、例えば、約1.0〜約10.0当量の範囲でありうる。アミド結合形成反応に用いられうる所望の試薬には、約1.0〜約10.0当量の範囲の量の、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)または活性エステル試薬、例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAT)、ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、エンド−N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキサミド(HONB)が含まれる。
【0091】
本明細書に用いられる、「酸化剤」または「酸化物質」なる語は、酸素原子を容易に移動させる化合物、またはレドックス化学反応にて電子を獲得する物質をいう。本発明に用いられうる酸化剤の例として、遷移金属触媒(例えば、チタニウム、バナジウム、モリブテン、またはレニウムを含有する化合物)との組み合わせのN−ブロモスクシンイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、臭素、ヨウ素、3−クロロペルオキシ安息香酸、または過酸化水素が挙げられる。適当な酸化剤のさらなる例は、A.K. Banerjee et al. in Russian Chemical Reviews, 69, 947-955 (2000)によって提供され、その全内容ならびにその中に記載の他の刊行物は、出典明示により本明細書の一部とする。
【0092】
本明細書に用いられる、「ペプチド」または「ペプチジル化合物」なる語は、本発明のβ−アミノ α−ケトエステル、酸、またはアミドと結合しうる少なくとも1個のアミノ酸を含む(すなわち、単一アミノ酸または少なくとも2個のアミノ酸(例えば、2〜24個のアミノ酸または2〜18個のアミノ酸)のペプチドを含む)化合物をいう。単独のまたは少なくとも2個のアミノ酸を有するペプチドの単位としてのアミノ酸は、当業者に公知であるように、天然または非天然でありうる。例えば、G. Zubay, Biochemistry, 3rd Ed., Wm. C. Brown Publishers, 1993を参照のこと。
【0093】
本明細書に用いられる、化合物を別の化合物と「合すること」なる語は、実質的に(例えば、少なくとも50%)または完全に、2個の化合物を化学反応に付し、新しい生成物を生じさせるために、化合物(またはその溶液)を別の化合物(またはその溶液)に加えることを意味する。
【0094】
特に明記または例示しない限り、本明細書に示される構造はまた、すべての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何学的(または立体配座))形態;例えば、各不斉中心についてのRおよびS立体配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)配座異性体を含むことを意味する。そのため、単一立体化学異性体ならびに本願化合物のエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何学的(または立体配座)混合物は、本発明の範囲内にある。
【0095】
特に明記しない限り、本発明の化合物のすべての互変異性型は、本発明の範囲内にある。
【0096】
特に明記しない限り、置換基は、任意の回転可能な結合の周辺を自由に回転しうる。例えば、
【化36】

で示される置換基はまた、
【化37】

を表す。
【0097】
さらに、特に明記しない限り、本明細書に示される構造はまた、1個または複数の同位体豊富な原子の存在下においてのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、ジュウテリウムまたはトリチウムによる水素の置換、または13C−または14C−豊富な炭素による炭素の置換を除く本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。かかる化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析用ツールまたはプローブとして有用である。
【0098】
本明細書に用いられる、適当な「塩基」または「式IIIのジチオラン水素を脱プロトン化するのに十分強力な塩基」は、脱プロトン化された化合物が式IIの化合物と反応しうるように、完全にまたは実質的に(例えば、少なくとも75%、例えば、85または95%)、式IIIの化合物における2個の硫黄原子の間の炭素原子に結合した水素原子(すなわち、
【化38】

中の丸で囲まれた水素)を除去するのに十分強力である塩基をいう。本発明に用いるための適当な強塩基には、共役酸が約16以上のpKaを有するアルカリ金属塩基が含まれる。適当な塩基の例として、限定されるものではないが、リチウム ヘキサメチルジシラミド、ヘキシニルリチウム、リチウム ジイソプロピルアミド、ナトリウム ヘキサメチルジシラミド、水素化ナトリウム、カリウム ヘキサメチルジシラミド、水素化カリウム、カリウムtert−ブトキシドおよびカリウムtert−アミロキシドが挙げられる。あるいは、塩基は、約16以上のpKaを有する共役酸、例えば、アルコールまたはジアルキルアミンに対するアルカリ金属水素化物の作用によってインサイツで生成されうる。
【0099】
本発明の適当な溶媒には、プロトン性および非プロトン性溶媒が含まれる、ただし、任意のプロトン性溶媒のpKは約16以上である。かかる溶媒の例として、限定されるものではないが、ジメトキシエタン、tert−ブチルアルコール、メチルtert−ブチルエーテル、ジメチルホルムアミド、およびテトラヒドロフランが挙げられる。
【0100】
本発明の方法は、下記のとおりに容易に行われる。溶媒、温度、および他の反応条件は、当業者によって容易に選択されうる。出発物質は、商業的に入手可能であるかまたは当業者によって容易に調製されうる。
【0101】
本発明の方法にしたがって、式IIの鏡像異性的に純粋なスルフィンイミンは、強塩基の存在下において、式IIIのジチオランカルボキシレートエステルで処置される。スルフィンイミンII対ジチオカルボキシレートエステルIIIのモル比は、0.8:1〜1.2:1、好ましくは0.9:1〜1.1:1である。
【0102】
化合物IIIおよびIVと塩基との反応は、約−80℃〜約0℃の温度範囲にて行われうる。約−80℃〜約−35℃の範囲内の反応温度が好ましく、約−35〜約−45℃の範囲の反応温度が最も好ましい。本発明に記載の式(I)の保護されたβ−アミノ α−ケトエステルの調製方法のための出発物質は、式(III)のアルキルジチオランカルボキシレートエステルおよび鏡像異性的に純粋な式(II)のスルフィンイミンである。式(III)のアルキルジチオランカルボキシレートエステルは、商業的に入手可能であるかまたは当業者に公知の方法によって容易に調製される。鏡像異性的に純粋なスルフィンイミンは、アルデヒドと鏡像異性的に純粋なスルフィンアミドとの縮合によって調製され、その両方とも商業的に入手可能である。かかる縮合の詳細な製法は、Liu et al. in the Journal of Organic Chemistry, 64, 1278-1284 (1999)に記載され、その全内容は出典明示により本明細書の一部とする。
【0103】
本発明の方法は、医薬活性を有していてもよいβ−アミノ α−ケトエステルまたはアミドを調製するために用いられうるかまたは医薬用途を有するペプチジル化合物、例えば、HIVおよびC型肝炎の治療のためのウイルスプロテアーゼ阻害薬などを合成するための中間体として用いられうる。かかる治療のための化合物の使用は、本発明に関する当業者であれば容易に利用可能である。例えば、WO98/17679、WO99/50230、WO01/74768、WO02/018369、WO03/006490、WO03/035060、WO03/087092、WO04/092161、WO04/092162、WO05/077965、WO05/037860、WO05/007681、WO05/035535、WO05/028502、WO05/090334、WO07/025307、WO07/016589、WO07/098270、WO07/142951、WO07/109080、WO07/109023、PCT/US2008/02541(2008年2月27日出願、発明の名称「INHIBITORS OF SERINE PROTEASES」)、PCT/US2008/02395(2008年2月21日出願、発明の名称「INHIBITORS OF SERINE PROTEASES」)、PCT/US2008/02568(2008年2月27日出願、発明の名称「CO−CRYSTALS AND PHARMACEUTICALS COMPOSITIONS COMPRISING THE SAME」)、およびUS60/696,012(2007年8月30日出願、発明の名称「CO−CRYSTALS AND PHARMACEUTICAL COMPOSITIONS COMPRISING THE SAME」)を参照のこと。これらの刊行物または出願の内容は、その全体として出典明示により本明細書の一部とする。
【0104】
以下のスキームには、反応体または生成物のいずれかの立体配置を示さない、本発明の方法のための反応が含まれる。
【化39】

【実施例】
【0105】
本発明の方法および化合物の具体例を以下に記載する。それらは、説明するのみであり、決して限定することを意図とするものではない。
【0106】
実施例1:エチル (S,S)−2−(1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)ブチル−1,3−ジチオランカルボキシレートの調製
【化40】

方法1:THF中リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド
フラスコを、窒素雰囲気下、エチル 1,3−ジチオランカルボキシレート(2.00g、11.2mmol)および[N(E),S(S)]−2−メチル−N−(ブチリデン)−2−プロパンスルフィンアミド(2.17g、純度90%、11.2mmol)のテトラヒドロフラン(THF、33mL)中溶液で満たした。溶液を−78℃に冷却して、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド(13.6mL、13.6mmol)のTHF中1.0M溶液を滴下した。混合物を−78℃にて2時間撹拌し、次いで、半飽和水性塩化アンモニウム(100mL)に加え、生成物を酢酸エチル(2回、各50mL)に抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で蒸留させ、高真空中で乾燥して、黄色油として標題化合物を得た(3.66g、92%)。HPLC分析およびNMRは、生成物が単一ジアステレオマーであることを明らかにした。
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.82(t,J=7Hz,3H),1.19(s,9H),1.23(t,J=7,3H),1.23−1.58(m,4H),3.22−3.42(m,4H),3.70(m,1H),3.81(m,1H),4.19(q,J=7Hz,2H).
13C−NMR(125MHz,CDCl):δ13.5,13.9,20.0,22.1,37.8,39.95,39.98,56.9,61.7,62.3,76.24,171.00.
【0107】
方法2:MTBE中リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド
フラスコを、窒素雰囲気下、エチル 1,3−ジチオランカルボキシレート(0.36g、2.0mmol)および[N(E),S(S)]−2−メチル−N−(ブチリデン)−2−プロパンスルフィンアミド(0.38g、純度90%、2.0mmol)のメチル tert−ブチルエステル(5.0mL)中溶液で満たした。溶液を−78℃に冷却して、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド(2.4mL、2.4mmol)のMTBE中1.0M溶液を滴下した。混合物を−78℃にて2時間撹拌し、次いで、半飽和水性塩化アンモニウム(50mL)に加え、生成物を酢酸エチルに抽出した(2回、各25mL)。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で蒸留させ、高真空中で乾燥して、黄色油としてエチル (S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)ブチル−1,3−ジチオランカルボキシレートを得た(0.72g、100%)。HPLC分析は、変換が100%であることを示し、NMRスペクトルデータは、方法1のものと本質的に同一であった。
【0108】
方法3:トルエン中リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド
フラスコを、窒素雰囲気下、エチル 1,3−ジチオランカルボキシレート(0.36g、2.0mmol)および[N(E),S(S)]−2−メチル−N−(ブチリデン)−2−プロパンスルフィンアミド(0.38g、純度90%、2.0mmol)のトルエン(5.0mL)中溶液で満たした。溶液を−78℃に冷却して、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド(2.4mL、2.4mmol)のトルエン中1.0M溶液を滴下した。混合物を−78℃にて2時間撹拌し、次いで、半飽和水性塩化アンモニウム(50mL)に加え、生成物を酢酸エチルに抽出した(2回、各25mL)。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、高真空中で乾燥して、0.69gの油性残渣を得た。HPLC分析は、変換が42%であることを示した。NMRスペクトルデータは、58%の回収した出発物質に加えて、方法1の生成物のものと一致した。
【0109】
方法4:ヘキサン中ヘキシニルリチウム
ヘキシニルリチウムの溶液を、ブチルリチウム(1.51mL、2.42mmol)のヘキサン中1.6M溶液を1−ヘキシン(0.25g、3.0mmol)のTHF(5.0mL)中溶液に滴下することによって調製した。
【0110】
フラスコを、窒素雰囲気下、エチル 1,3−ジチオランカルボキシレート(0.36g、2.0mmol)および[N(E),S(S)]−2−メチル−N−(ブチリデン)−2−プロパンスルフィンアミド(0.38g、純度90%、2.0mmol)のTHF(5.0mL)中溶液で満たした。溶液を−78℃に冷却して、ヘキシニルリチウム溶液を滴下した。混合物を−78℃にて2時間撹拌し、次いで、半飽和水性塩化アンモニウム(50mL)に加え、生成物を酢酸エチルに抽出した(2回、各回25mL)。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、高真空中で乾燥して、黄色油としてエチル (S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)ブチル−1,3−ジチオランカルボキシレートを得た(0.69g、97%)。HPLC分析は、変換が100%であることを示し、NMRスペクトルデータは、方法1のものと本質的に同一であった。
【0111】
方法5:ヘキサン中リチウム ジイソプロピルアミド
リチウム ジイソプロピルアミドの溶液を、ブチルリチウム(1.51mL、2.42mmol)のヘキサン中1.6M溶液をジイソプロピルアミン(400μL、2.8mmol)のTHF(5.0mL)中溶液に滴下することによって調製した。
【0112】
フラスコを、窒素雰囲気下、エチル 1,3−ジチオランカルボキシレート(0.36g、2.0mmol)および[N(E),S(S)]−2−メチル−N−(ブチリデン)−2−プロパンスルフィンアミド(0.38g、純度90%、2.0mmol)のTHF(5.0mL)中溶液で満たした。溶液を−78℃に冷却し、リチウム ジイソプロピルアミド溶液を滴下した。混合物を−78℃にて2時間撹拌し、次いで、半飽和水性塩化アンモニウム(50mL)に加え、生成物を酢酸エチルに抽出した(2回、各回25mL)。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、高真空中で乾燥して、黄色油としてエチル (S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)ブチル−1,3−ジチオランカルボキシレートを得た(0.72g、100%)。HPLC分析は、変換が95%以上であることを示し、NMRスペクトルデータは、方法1のものと本質的に同一であった。
【0113】
方法6:THF中ナトリウム ビス(トリメチルシリル)アミド
フラスコを、窒素雰囲気下、エチル 1,3−ジチオランカルボキシレート(0.36g、2.0mmol)および[N(E),S(S)]−2−メチル−N−(ブチリデン)−2−プロパンスルフィンアミド(0.38g、純度90%、2.0mmol)のTHF(5.0mL)中溶液で満たした。溶液を−78℃に冷却して、ナトリウム ビス(トリメチルシリル)アミド(2.4mL、2.4mmol)のTHF中1.0M溶液を滴下した。混合物を−78℃にて2時間撹拌し、次いで、半飽和水性塩化アンモニウム(50mL)に加え、生成物を酢酸エチルに抽出した(2回、各回25mL)。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、高真空中で乾燥して、黄色油としてエチル (S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)ブチル−1,3−ジチオランカルボキシレートを得た(0.68g、96%)。HPLC分析は、変換が100%であることを示し、NMRスペクトルデータは、方法1のものと本質的に同一であった。
【0114】
方法7:混合溶媒中カリウム ビス(トリメチルシリル)アミド
フラスコを、窒素雰囲気下、エチル 1,3−ジチオランカルボキシレート(0.36g、2.0mmol)および[N(E),S(S)]−2−メチル−N−(ブチリデン)−2−プロパンスルフィンアミド(0.38g、純度90%、2.0mmol)のTHF(5.0mL)中溶液で満たした。溶液を−78℃に冷却して、カリウム ビス(トリメチルシリル)アミド(2.4mL、2.4mmol)のトルエン中1.0M溶液を滴下した。混合物を−78℃にて2時間撹拌し、次いで、半飽和水性塩化アンモニウム(50mL)に加え、生成物を酢酸エチル(2回、各回25mL)に抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、高真空中で乾燥して、0.69gの油性残渣を得た。HPLC分析は、変換が71%であることを示した。NMRスペクトルデータは、29%の回収した出発物質に加えて、方法1の生成物のものと一致した。
【0115】
比較例:エチル ジチアンカルボキシレート.
フラスコを、窒素雰囲気下、エチル 1,3−ジチアンカルボキシレート(0.38g、2.0mmol)および[N(E),S(S)]−2−メチル−N−(3−メチルブチリデン)−2−プロパンスルフィンアミド(0.41g、純度90%、2.0mmol)のテトラヒドロフラン(5.0mL)中溶液で満たした。溶液を−78℃に冷却して、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミドのTHF中1.0M溶液(2.4mL、2.4mmol)を滴下した。混合物を−78℃にて2時間撹拌し、次いで、半飽和水性塩化アンモニウム(50mL)に加え、生成物を酢酸エチルに抽出した(2回、各回25mL)。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、高真空中で乾燥して、0.67gの油性残渣を得た。HPLCおよびNMR分析は、単一ジアステレオマーとしてエチル (S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)−3−メチルブチル−1,3−ジチアンカルボキシレートの存在を示したが、反応の変換が42%に制限されることを示した。
【0116】
別々の実験において、フラスコを、窒素雰囲気下、エチル 1,3−ジチアンカルボキシレート(0.38g、2.0mmol)および[N(E),S(S)]−2−メチル−N−(ブチリデン)−2−プロパンスルフィンアミド(0.38g、純度90%、2.0mmol)のテトラヒドロフラン(5.0mL)中溶液で満たした。溶液を−78℃に冷却して、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド(2.4mL、2.4mmol)のTHF中1.0M溶液を滴下した。温度を2時間かけて−20℃に昇温した。次いで、混合物を、半飽和水性塩化アンモニウム(50mL)に加え、生成物を酢酸エチルに抽出した(2回、各回25mL)。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、高真空中で乾燥して、0.59gの油性残渣を得た。HPLCおよびNMRは、エチル 2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)ブチル−1,3−ジチオランカルボキシレートへの45%変換が生じたが、物質が(S,S)および(R,S)ジアステレオマーの約1:1混合物であることを示した。
【0117】
実施例2:エチル (S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)−2−シクロプロピルエチル]−1,3−ジチオラン−2−カルボキシレートの調製
【化41】

エチル 1,3−ジチオラン−2−カルボキシレート(1.58g、8.70mmol)を、[N(E),S(S)]−2−メチル−N−(2−シクロプロピルエチリデン)−2−プロパンスルフィンアミド(1.63g、8.70mmol)の2−メチルテトラヒドロフラン(15.5mL)中濾過溶液に加えた。溶液を−78℃に冷却し、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミドのTHF中1.0M溶液(11.0mL、11.0mmol)を1mL/分の速度にてシリンジポンプで加えた。混合物を−76〜−65℃にてさらに2時間撹拌し、その時、HPLC分析は反応が終了したことを示した。酢酸(742μL、13.0mmol)を少しずつ加え、混合物を昇温した。水(10mL)を加え、生成物を酢酸イソプロピルに抽出した(3回、各回10mL)。合した有機物を、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、2.7torrにて一晩乾燥して、琥珀油としてエチル 2−[(1S)−1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)−2−シクロプロピルエチル]−1,3−ジチオラン−2−カルボキシレートを得た(1.64g、83%)。
H−NMR(500MHz,DMSO−d):δ5.05(d,J=12.7Hz,1H),4.14−4.07(m,2H),3.82(t,J=7.2Hz,1H),3.44−3.36(m,3H),3.30−3.19(m,2H),1.21−1.16(m,3H),1.11(s,9H),0.98−0.94(m,2H),0.48−0.36(m,1H),0.35−0.30(m,1H),0.11−0.08(m,1H),0.036−0.09(m,1H).
13C−NMR(125MHz,DMSO−d):δ168.6,74.5,60.8,60.0,54.3,48.6,36.5,36.3,20.8,12.0,7.2,3.9,2.5.
【0118】
実施例3:エチル (S,S)−2−[(tert−ブチルスルフィニルアミノ)−(2−ナフチル)メチル]−1,3−ジチオラン−2−カルボキシレートの調製
【化42】

フラスコを、窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン(5.0mL)中のエチル 1,3−ジチオラン−2−カルボキシレート(0.36g、2.0mmol)および[N(E),S(S)]−2−メチル−N−(2−ナフチルメチレン)プロパン−2−スルフィンアミド(0.52g、2.0mmol)で満たした。溶液を−78℃に冷却して、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミドのTHF中1.0M溶液(2.4mL、2.4mmol)を滴下した。混合物を−78℃にて2時間撹拌し、次いで、半飽和水性塩化アンモニウム(50mL)に加え、生成物を酢酸エチルに抽出した(2回、各回25mL)。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。HPLCおよびNMR分析は、反応が85%終了したことを示した。粗生成物を、2:1 酢酸エチル/ヘキサンで溶出しながら、フラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。溶媒を蒸発させ、無色油としてエチル 2−(S)−[(tert−ブチルスルフィニルアミノ)−(2−ナフチル)メチル]−1,3−ジチオラン−2−カルボキシレートを得た(0.68g、78%)。
H−NMR(500MHz,CDCl):δ1.10(s,9H),1.12(t,J=7.3,3H),3.14−3.27(m,4H),4.04(m,2H),4.52(d,J=5.4Hz,1H),5.19(d,J=5.4Hz,1H),7.36−7.41(m,2H),7.49(m,1H),7.68−7.74(m,3H),7.79(s,1H).
13C−NMR(125MHz,CDCl):δ13.9,22.5,40.1,40.4,56.3,62.8,63.7,77.0,126.17,126.24,126.4,127.6,127.8,128.2,128.9,132.8,133.5,135.0,170.2.
【0119】
実施例4.エチル (S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)−3−メチルブチル−1,3−ジチオランカルボキシレートの調製
【化43】

方法1:THF中リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド
フラスコを、窒素雰囲気下、エチル 1,3−ジチオランカルボキシレート(1.62g、9.09mmol)および[N(E),S(S)]−2−メチル−N−(3−メチルブチリデン)−2−プロパンスルフィンアミド(1.90g、純度90%、9.04mmol)のテトラヒドロフラン(27mL)中溶液で満たした。溶液を−78℃に冷却して、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミドのTHF中1.0M溶液(11.0mL、11.0mmol)を滴下した。混合物を−78℃にて2時間撹拌し、次いで、半飽和水性塩化アンモニウム(100mL)に加え、生成物を酢酸エチルに抽出した(2回、各回50mL)。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、高真空中で乾燥して、黄色油としてエチル (S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)−3−メチルブチル−1,3−ジチオランカルボキシレートを得た(3.17g、95%)。HPLC分析およびNMRは、単一ジアステレオマーを構成するための生成物を明らかにした。
H−NMR(C):δ0.72(d,J=7,3H),0.79(d,J=7Hz,3H),0.89(t,J=7Hz,3H),0.98(s,9H),1.28(m,1H),1.50(m,1H),1.81(m,1H),3.80−3.94(m,3H),3.15(m,1H),3.75(m,1H),3.92(q,J=7,2H),4.07(m,1H).
13C−NMR(C):δ12.0,19.1,20.7,22.0,23.2,38.3,38.4,43.3,54.7,58.9,60.3,75.3,169.2.
【0120】
方法2:THF中カリウムtert−ブトキシド
フラスコを、窒素雰囲気下、エチル 1,3−ジチオランカルボキシレート(0.36g、2.00mmol)および[N(E),S(S)]−2−メチル−N−(3−メチルブチリデン)−2−プロパンスルフィンアミド(0.42g、純度90%、2.00mmol)のテトラヒドロフラン(27mL)中溶液で満たした。溶液を−78℃に冷却して、カリウムtert−ブトキシドのTHF中1.0M溶液(2.4mL、2.4mmol)を滴下した。混合物を−78℃にて2時間撹拌し、次いで、半飽和水性塩化アンモニウム(50mL)に加え、生成物を酢酸エチルに抽出した(2回、各回25mL)。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、高真空中で乾燥して、黄色油としてエチル (S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)−3−メチルブチル−1,3−ジチオランカルボキシレートを得た(0.71g、96%)。HPLC分析およびNMRは、生成物が方法1において生成されるものと本質的に同一であることを示した。
【0121】
実施例5.エチル (S,S)−2−[4−メチルフェニルスルフィニルアミノ)−3−メチルブチル−1,3−ジチオランカルボキシレートの調製
【化44】

フラスコを、窒素雰囲気下、エチル 1,3−ジチオランカルボキシレート(0.36g、2.0mmol)および[N(E),S(S)]−4−メチル−N−(3−メチルブチリデン)−2−フェニルスルフィンアミド(0.50g、純度90%、2.0mmol)のテトラヒドロフラン(5.0mL)中溶液で満たした。溶液を−78℃に冷却して、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド(2.4mL、2.4mmol)中1.0M溶液を滴下した。混合物を−78℃にて2時間撹拌し、次いで、半飽和水性塩化アンモニウム(50mL)に加え、生成物を酢酸エチルに抽出した(2回、各回25mL)。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、高真空中で乾燥して、黄色油としてエチル (S,S)−2−[4−メチルフェニルスルフィニルアミノ)−3−メチルブチル−1,3−ジチオランカルボキシレートを得た(0.81g、100%)。HPLC分析は、生成物が98:2比率の2つのジアステレオマーからなることを示した。
H−NMR(500MHz,CDCl)主ジアステレオマーについて:δ0.80(d,J=6.5Hz,3H),0.85(d,J=6.5Hz,3H),1.17(td,J=7.1,1.9Hz,3H),1.41(m,1H),1.79(m,1H),2.14−2.25(m,1H),2.27(s,3H),3.15−3.34(m,4H),3.93−4.04(m,1H),4.11(q,J=7.1Hz,2H),4.36(d,J=9.7Hz,1H),7.16(d,J=8.1Hz,2H),7.49(d,J=8.1Hz,2H).
13C−NMR(125MHz,CDCl):δ13.9,20.9,21.3,23.8,24.9,39.99,40.02,44.7,60.9,62.5,76.1,125.3,129.3,141.2,144.0,171.0.
【0122】
実施例6:メチル (S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)−3−メチルブチル−1,3−ジチオランカルボキシレートの調製
【化45】

フラスコを、窒素雰囲気下、メチル 1,3−ジチオランカルボキシレート(0.33g、2.00mmol)および[N(E),S(S)]−2−メチル−N−(3−メチルブチリデン)−2−プロパンスルフィンアミド(0.42g、純度90%、2.00mmol)のテトラヒドロフラン(5.0mL)中溶液で満たした。溶液を−78℃に冷却して、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド中1.0M溶液(2.4mL、2.4 mmol)を滴下した。混合物を−78℃にて2時間撹拌し、次いで、半飽和水性塩化アンモニウム(50mL)に加え、生成物を酢酸エチルに抽出した(2回、各回25mL)。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、高真空中で乾燥して、黄色油としてメチル (S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)−3−メチルブチル−1,3−ジチオランカルボキシレートを得た(0.69g、97%)。HPLC分析およびNMRは、生成物が単一ジアステレオマーであることを明らかにした。
H−NMR(C):δ0.73(d,J=6.5Hz,3H),0.77(d,J=6.5Hz,3H),0.98(s,9H),1.26(m,1H),1.51(m,1H),1.80(m,1H),2.82−3.92(m,3H),3.10−3.16(m,1H),3.36(s,3H),3.77(d,J=9.6Hz,1H),4.03(td,J=10.0,1.8Hz,1H).
13C−NMR(C):δ21.0,22.8,24.0,25.2,40.4,40.2,45.0,52.9,56.6,61.0,77.1,171.7.
【0123】
実施例7:(S,S)−2−[1−(tert−ブチルスルフィニルアミノ)ブチル]−N−メチル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミドの調製
【化46】

厚壁ガラス管を、エチル (S,S)−2−[1−(tert−ブチルスルフィニルアミノ)ブチル]−1,3−ジチオラン−2−カルボキシレート(0.50g、1.4mmol)および冷却されたメチルアミンのエタノール中8.0M溶液(5mL、40mmol)で満たした。混合物を室温に昇温し、72時間静置した。減圧下で溶媒を蒸発させ、粘性琥珀油として(S,S)−2−[1−(tert−ブチルスルフィニルアミノ)ブチル]−N−メチル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミドを得た(0.47g、98%)。
H−NMR(500MHz,CDOD):δ0.89(t,J=7Hz,3H),1.22(s,9H),1.34(m,1H),1.50(m,1H),1.59(m,1H),2.75(s,3H),3.19(m,2H),3.40(m,2H),3.91(m,1H).
13C−NMR(125MHz,CDOD):δ14.2,21.3,24.7,27.4,37.8,41.0,41.2,58.4,64.7,78.7,174.2.
【0124】
実施例8:(S,S)−2−[1−(tert−ブチルスルフィニルアミノ)−2−シクロプロピルエチル]−N−メチル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミドの調製
【化47】

厚壁ガラス管を、エチル (S,S)−2−[1−(tert−ブチルスルフィニルアミノ)−2−シクロプロピルエチル]−1,3−ジチオラン−2−カルボキシレート(2.00g、5.47mmol)および冷却されたメチルアミンのエタノール中8.0M溶液(5mL、40mmol)で満たした。混合物を室温に昇温し、2時間撹拌し、その時にHPLC分析によると反応が終了した。減圧下で溶媒を蒸発させ、琥珀ガラスとして標題化合物を得た(1.79g、93%)。
H−NMR(500MHz,DMSO−d):δ7.38(s,1H),4.06−4.00(m,2H),3.97−3.88(m,1H),3.45−3.40(m,1H),3.34−2.95(m,2H),2.77(s,3H) 1.60−1.54(m,1H),1.15(s,9H),1.05−0.99(m,1H),0.83−0.74(m,1H),0.46−0.40(m,1H),0.35−0.30(m,1H),0.06−0.03(m,2H).
13C−NMR(125MHz,DMSO−d):δ171.0,77.2,63.2,56.0,40.1,39.9,26.8,22.5,9.1,5.9,4.1.
【0125】
実施例9:(S,S)−2−[1−(4−メチルフェニルスルフィニルアミノ)−2−メチルブチル]−N−メチル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミドの調製
【化48】

厚壁ガラス管を、エチル (S,S)−2−[1−(4−メチルフェニルスルフィニルアミノ)−2−メチルブチル]−1,3−ジチオラン−2−カルボキシレート(0.60g、1.6mmol)および冷却されたメチルアミンのエタノール中8.0M溶液(6mL、48mmol)で満たした。混合物を昇温し、16時間室温で維持した。減圧下で溶媒を蒸発させ、帯黄色油を得た。残渣をメタノール(2mL)に溶解し、30分間静置して、白色結晶として(S,S)−2−[1−(4−メチルフェニルスルフィニルアミノ)−2−メチルブチル]−N−メチル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミドを分離し(0.34g、59%)、濾過で回収し、高真空中で乾燥した。MP147−154℃。
H−NMR(500MHz,DMSO−d):δ0.83(d,J=6.5,3H),0.84(d,J=6.5,3H),1.12(m,1H),1.50(m,1H),1.82(m,1H),2.36(s,3H),2.61(s,3H),3.16−3.39(m,4H),4.01(dd,J=10.6,1.9,1H),7.33(d,J=8.1Hz,2H),7.52(d,J=8.1Hz,2H).
13C−NMR(125MHz,DMSO−d):δ20.76,20.87,23.64,23.71,26.6,42.5,60.4,77.5,125.2,129.1,140.1,144.0,170.8.
【0126】
実施例10.(S,S)−2−[1−(tert−ブチルスルフィニルアミノ)ブチル]−N−シクロプロピル−1,3−ジチオランカルボキサミドの調製
【化49】

フラスコを、エチル (S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)ブチル−1,3−ジチオランカルボキシレート(1.41g、4.00mmol)、メタノール(9.6mL)、および水(1.6mL)で満たした。水酸化リチウム(0.19g、7.93mmol)を加え、混合物を室温にて4.5時間撹拌し、その後、それを水(25mL)に加え、1N HCl(9.0mL、9.0mmol)で酸性化した。生成物をジクロロメタンに抽出し(2回、各回20mL)、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で除去して、鮮明なオフホワイト色固体として(S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)ブチル−1,3−ジチオランカルボン酸を得た(1.14g、88%)。
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.82(t,J=7.0Hz,3H),1.12−1.35(m,2H),1.19(s,9H),1.51(m,2H),3.32−3.63(m,4H),3.74(m,1H),4.59(d,J=9.8Hz,1H).
13C−NMR(125MHz,CDCl):δ13.6,20.5,22.9,38.1,40.12,40.14,57.7,63.5,75.5,173.7.
【0127】
フラスコを、ちょうど得られた鮮明なオフホワイト色固体の一部(0.94g、2.9mmol)、トリエチルアミン(2.4mL、17mmol)、およびジクロロメタン(9.4mL)で満たした。混合物を0℃に冷却し、プロピルホスホン酸無水物の酢酸エチル中50重量%溶液(2.76g、4.3mmol)を加えた。0℃にて1時間後、シクロプロピルアミン(300μL、4.3mmol)を加え、混合物を一晩室温に昇温した。混合物を50mLの水に加え、生成物をジクロロメタン(25mL)に抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させ、黄色油として(S,S)−2−[1−(tert−ブチルスルフィニルアミノ)ブチル]−N−シクロプロピル−1,3−ジチオランカルボキサミドを得た(1.00g、95%)。
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.48(m,2H),0.74(d,J=7.0Hz,2H),0.81(t,J=6.5Hz,3H),1.05−1.55(m,4H),1.16(s,9H),2.67(m,1H),3.12−3.46(m,4H),3.87(td,J=9.6,2.3Hz,1H),4.05(d,J=9.5Hz,1H),7.43(d,J=2.7Hz,1H).
13C−NMR(125MHz,CDCl):δ6.4,6.6,13.6,20.0,22.7,22.9,37.4,39.85,39.91,56.9,63.5,77.0,172.4.
【0128】
実施例11:(S)−2−[1−アミノ−3−メチルブチル]−N−メチル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミド塩酸塩の調製
【化50】

塩化水素のジオキサン中4.0M溶液(21mL、84mmol)を、(S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)−3−メチルブチル]−N−メチル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミド(2.43g、6.89mmol)を含有するフラスコに加えた。混合物を1時間撹拌し、少量の混濁物を除去するために濾過し、撹拌しながらジエチルエーテル(100mL)に滴下した。沈殿物を濾過により回収し、高真空中で乾燥して、帯黄色固体として(S)−2−[1−アミノ−3−メチルブチル]−N−メチル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミド塩酸塩を得た(1.59g、93%)。
HNMR(500MHz,CDOD):δ0.94(d,J=5.1,3H),0.96(d,J=5.1,3H),1.26(m,1H),1.60(m,1H),1.79(m,1H),2.79(s,3H),3.40−3.58(m,4H),3.97(dd,J=9.9,2.0,1H).
13C−NMR(125MHz,CDOD):δ21.4,24.0,26.0,27.6,41.1,41.7,42.1,56.6,75.3,172.1.
【0129】
実施例12:(S)−2−[1−アミノブチル]−N−シクロプロピル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミド塩酸塩の調製
【化51】

塩化水素のジオキサン中4.0M溶液(5.5mL、22mmol)を、(S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)ブチル]−N−シクロプロピル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミド(1.00g、2.74mmol)を含有するフラスコに加えた。混合物を室温にて1時間静置して、得られた溶液を撹拌しながらエーテル(30mL)に滴下した。固体を分離した。上清を廃棄し、固体を追加の25mLのエーテルでトリチュレートした。生成物を濾過により回収し、乾燥して(30℃、8torr)、淡黄色固体として(S)−2−[1−アミノブチル]−N−シクロプロピル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミド塩酸塩を得た(0.56g、69%)。
H−NMR(500MHz,CDOD):δ0.61(m,2H),0.76(m,2H),0.93(t,3H,J=7),1.34−1.73(m,4H),2.68(m,1H),3.36−3.63(m,4H),3.91(m,1H).
13C−NMR(125MHz,CDOD):δ6.7,6.9,14.2,20.7,24.6,35.3,41.2,42.0,58.2,74.8,173.2.
【0130】
実施例13:(S)−2−[1−アミノ−2−シクロプロピルエチル]−N−メチル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミド塩酸塩の調製
【化52】

塩化水素のジオキサン中4.0M溶液(5.5mL、22mmol)を、(S,S)−2−[1−tert−ブチルスルフィニルアミノ)−2−シクロプロピルエチル]−N−メチル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミド(1.00g、2.85mmol)を含有するフラスコに加えた。混合物を室温にて1時間撹拌して、得られた溶液を撹拌しながらメチル tert−ブチルエーテル(50mL)に滴下した。固体を分離し、追加のMTBEで洗浄し、真空中で乾燥して、黄色固体として(S)−2−[1−アミノ−2−シクロプロピルエチル]−N−メチル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミド塩酸塩を得た(712mg、88%)。MP:75−76℃.[α]24 −6.85(HO,c=2.22)。
H−NMR(500MHz,CDOD)δ3.82−3.77(m,1H),3.35−3.21(m,4H),3.31−3.10(m,1H),2.57(s,3H),1.51−1.44(m,1H),1.17−1.11(m,1H),0.67−0.60(m,1H),0.43−0.31(m,2H),0.03−0.11(m,2H).
13C−NMR(125MHz,CDOD):171.2,74.4,59.4,41.8,41.1,37.8,27.5,8.7,6.4,4.8.
【0131】
実施例14:エチル (S,S)−2−[(tert−ブチルスルフィニルアミノ)−2−ジュウテリオ−(2−ナフチル)メチル]−1,3−ジチオラン−2−カルボキシレートの調製
【化53】

フラスコを、窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン(5.0mL)中のエチル 1,3−ジチオラン−2−カルボキシレート(0.23g、1.3mmol)および[N(E),S(S)]−N−[ジュウテリオ−(2−ナフチル)メチレン]−2−メチル−プロパン−2−スルフィンアミド(0.33g、1.3mmol)で満たした。溶液を−78℃に冷却して、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミドのTHF中1.0M溶液(1.5mL、1.5mmol)を滴下した。混合物を−78℃にて2時間撹拌し、次いで、半飽和水性塩化アンモニウム(30mL)に加え、生成物を酢酸エチルに抽出した(2回、各回15mL)。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、4:1 酢酸エチル/ヘキサンで溶出しながら、フラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。溶媒を蒸発させ、無色油としてエチル (S,S)−2−[(tert−ブチルスルフィニルアミノ)−2−ジュウテリオ−(2−ナフチル)メチル]−1,3−ジチオラン−2−カルボキシレートを得た(0.41g、74%)。
H−NMR(500MHz,CDCl):δ1.10(s,9H),1.12(t,J=7.3,3H),3.14−3.27(m,4H),4.04(m,2H),4.52(s,1H),7.36−7.41(m,2H),7.49(m,1H),7.68−7.74(m,3H),7.79(s,1H).
13C−NMR(125MHz,CDCl):δ13.9,22.5,40.1,40.4,56.3,62.8,63.3(1:1:1 トリプレット,J[H−13C]=20.7Hz),77.0,126.17,126.24,126.4,127.6,127.8,128.2,128.9,132.8,133.5,135.0,170.2.
【0132】
実施例15:ペプチドへの保護α−ケトアミドの結合
カルボン酸末端を含有するペプチド(HOOC−Pep.)のジクロロメタン中溶液を0℃に冷却した。これに、該冷却溶液に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−メチルモルホリン、およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩を加え、次いで、固体として(S)−2−[1−アミノ−2−シクロプロピルエチル]−N−メチル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミド(実施例13から得られた)を加えた。反応の終了レベルをHPLC分析によってモニターした(例えば、2.5時間)。反応混合物を、反応終了後長時間撹拌し、その後、それを水でクエンチし、有機相を1M HClおよび5%水性重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。生成物(保護α−ケトアミドペプチド)を有機相から回収し、その純度をHPLC分析およびNMRによって決定した。
【0133】
実施例16:ペプチド中α−ケトアミドの脱保護
実施例15からの保護α−ケトアミドペプチド生成物をジクロロメタンに溶解した。水を溶液に加え、得られた二相性混合物を0℃にて撹拌した。次いで、固体N−ブロモスクシンイミドを、140分かけて3回に分けて反応混合物に加えた。155分後またはHPLC分析が反応の終了を示した後、反応混合物を1M水性亜硫酸ナトリウムでクエンチした。得られたエマルションを分解するために、5%塩化ナトリウムおよび氷酢酸を加え、有機相を分離した。溶媒の蒸発後、HPLC分析を用いて、望ましくないジアステレオマーが存在しないことを確実にした。残渣を、ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物で溶出しながらフラッシュクロマトグラフィーに付して精製し、生成物含有カットを濃縮し、濃縮物をアセトニトリルに再溶解した。72時間撹拌した後、沈殿物を濾過によって回収し、アセトニトリルで洗浄し、フリット上で乾燥して、ペプチド生成物を得、保護ジスルフィド基を除去した。
【0134】
実施例17:保護されたジペプチドを形成するための保護α−ケトアミドとCbz−プロリンとのカップリング
【化54】

(−)−カルボベンジルオキシ−(L)−プロピル(3.66g、14.7mmol)、ジクロロメタン(37mL)、および水素化ヒドロキシベンゾトリアゾール(2.25g、14.7mmol)の混合物を0℃に冷却した。冷却混合物に、N−メチルモルホリン(2.97g、29.4mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(3.94g、20.6mmol)および(S)−2−[1−アミノ−2−シクロプロピルエチル]−N−メチル−1,3−ジチオラン−2−カルボキサミド塩酸塩(5.08g、16.2mmol、実施例13にしたがって調製)。混合物を18時間撹拌し、次いで、水(40mL)でクエンチした。相分離後、有機相を水性重炭酸ナトリウム(5重量%溶液、40mL)および1N HCl(40mL)で洗浄した。次いで、有機相を回転蒸発により濃縮し、高真空下で4時間乾燥して、白色泡沫としてまだ溶媒が混入する上記のジペプチド[(S)−ベンジル 2−((S)−2−シクロプロピル−1−(2−(メチルカルバモイル)−1,3−ジチオラン−2−イル)エチルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボキシレート]を得た。分析用試料をさらに乾燥し、特徴付けた。
H NMR(500MHz,DMSO−d):δ8.00−8.05(m,1H),7.50−7.65(m,1H),7.24−7.39(m,5H),5.04−5.10(m,1.5H,2つの回転異性体の混合物の一部),4.89(d,0.5H,J=20Hz,2つの回転異性体の混合物の一部),4.65−4.74(m,1H),4.35−4.45(m,1H),3.35−3.50(m,2H),3.15−3.32(m,4H),2.60−2.64(m,3H),2.02−2.18(m,1H),1.76−1.96(m,3H),1.34−1.43(m,1H),1.00−1.07(m,0.5H,2つの回転異性体の混合物の一部),0.86−0.93(m,0.5H,2つの回転異性体の混合物の一部),0.61−0.68(m,0.5H,2つの回転異性体の混合物の一部),0.40−0.47(m,0.5H,2つの回転異性体の混合物の一部),0.33−0.40(m,0.5H,2つの回転異性体の混合物の一部),0.22−0.28(m,0.5H,2つの回転異性体の混合物の一部),0.02−0.11(m,1.5H,2つの回転異性体の混合物の一部),−0.12〜−0.02(m,1.5H,2つの回転異性体の混合物の一部).
13C NMR(125MHz,DMSO−d):δ171.7,171.4,170.7,154.2,153.9,137.1,128.3,128.1,127.7,127.4,126.8,76.1,65.8,65.6,59.9,59.2,54.7,54.5,47.1,46.5,38.3,38.2,31.3,29.8,26.9,23.9,22.9,8.4,4.8,4.7,4.1,4.0.
【0135】
実施例18:α−ケトアミド含有ジペプチドを放出するためのジチオレートの脱保護
【化55】

水(2.0mL)および5,5−ジメチル−1,3−ジブロモヒダントイン(2.34g、8.20mmol)を、順次、実施例17から得られた保護ジペプチド(1.00g、2.05mmol)のアセトニトリル(20mL)中溶液に加えた。得られた橙色溶液を1時間撹拌し、その時、HPLCにより反応が終了したことを決定した。酢酸イソプロピル(35mL)を該溶液に加え、混合物を得、次いで、チオ硫酸ナトリウム(4.32g、17.2mmol)の水(20mL)中溶液で洗浄し、無色有機相を得た。有機相を、水性重炭酸ナトリウム(5重量%溶液、2’50mL)で洗浄し、HPLCにより分析して、ヒダントイン副生成物の完全除去を確実にした。残存混合物を回転蒸発により濃縮して、油性残渣を得、得られた油を高真空下で乾燥して、白色ワックス性固体として上記の脱保護ジペプチド[(S)−ベンジル 2−((S)−1−シクロプロピル−4−(メチルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボキシレート]を得た(0.55g、2工程の収率64%)。
H NMR(500MHz,DMSO−d):δ8.59−8.61(m,1H),8.35−8.39(m,1H),7.28−7.37(m,5H),5.00−5.06(m,3H),4.33(dd,0.6H,J=8.0,2.5Hz,2つの回転異性体の混合物の一部),4.28(dd,0.4H,J=8.0,2.5Hz,2つの回転異性体の混合物の一部),3.33−3.45(m,2H),2.64(d,3H,J=5.0Hz),2.09−2.19(m,1H),1.75−1.86(m,3H),1.68(ddd,0.4H,J=14.0,8.0,6.0Hz,2つの回転異性体の混合物の一部),1.60(ddd,0.6H,J=14.0,8.0,6.0Hz,2つの回転異性体の混合物の一部),1.37−1.49(m,1H),0.77−0.85(m,0.4H,2つの回転異性体の混合物の一部),0.65−0.73(m,0.5H,2つの回転異性体の混合物の一部),0.21−0.44(m,2H),−0.05〜0.09(m,2H).
13C NMR(125MHz,DMSO−d):δ196.9,172.2,171.9,161.2,161.1,153.9,153.7,137.0,136.9,128.4,128.1,127.7,127.5,127.4,126.9,65.8,59.2,58.7,54.5,54.5,47.1,46.4,34.8,31.1,29.9,25.4,24.6,23.7,22.9,7.9,4.9,4.2,4.1.
【0136】
他の実施態様
本発明は、その詳細な明細書とともに記載されているが、前記の明細書は、本発明の範囲を説明するものであり、限定することを意図とするものではなく、それは添付の特許請求の範囲の範囲によって定義される。他の態様、利点、および修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(S,S)−Iまたは(R,R)−I:
【化1】

[式中:
各RおよびRは、独立して、アルキルまたはアリールであり;および
は、環炭素原子の炭素原子C*に結合した、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルケニル、アリール、またはヘテロシクロアルキルである]
で示されるβ−スルホンアミド α−ケトエステルの調製方法であって、
式IIIのジチオラン水素を脱ブロトン化するのに十分強力な塩基の存在下において、式(S)−IIまたは(R)−II:
【化2】

で示されるスルフィンイミンを式III:
【化3】

[式中:式IIのRおよびRならびに式IIIのRは上記と同義である]
で示されるジチオランカルボキシレートと合し、式(S,Ss)−Iまたは(R,Rs)−Iのβ−スルホンアミド α−ケトエステルを得る工程
を含む、方法。
【請求項2】
少なくとも95%のβ−スルホンアミド α−ケトエステルが、単一(R,R)または(S,S)エナンチオマーである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも99%のβ−スルホンアミド α−ケトエステルが、単一(R,R)または(S,S)エナンチオマーである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
式IIおよび式IIIの化合物の間の反応が、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、エタノール、メタノール、ジオキサン、およびその混合物からなる群より選択される溶媒中で行われる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
式IIおよび式IIIの化合物の間の反応が、リチウム、カリウム、またはナトリウムを含有する塩基の存在下である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
塩基が、リチウム ヘキサメチルジシラミド、ヘキシニルリチウム、リチウム ジイソプロピルアミド、ナトリウム ヘキサメチルジシラミド、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド、カリウム ビス(トリメチルシリル)アミド、水素化ナトリウム、ナトリウム ビス(トリメチルシリル)アミド、カリウム ヘキサメチルジシラミド、カリウムtert−ブトキシド、水素化カリウム、またはカリウムtert−アミロキシドである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
塩基が、リチウム、ジイソプロピルアミド、ヘキシニルリチウム、ナトリウム ビス(トリメチルシリル)アミド、またはリチウム ビス(トリメチルシリル)アミドである、請求項5記載の方法。
【請求項8】
が置換されていてもよいフェニルである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
がメチルフェニルである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
がp−メチルフェニルである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、またはtert−ブチルである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
がアルキル、(シクロアルキル)アルキル、またはアリールである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、(シクロプロピル)メチル、またはナフチルである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
がアルキルである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはtert−ブチルである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
各RおよびRが、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはtert−ブチルであり;Rがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、(シクロプロピル)メチル、またはナフチルである、請求項1記載の方法。
【請求項17】
式(S,S)−IVまたは(R,R)−IV:
【化4】

[式中:
は、アルキルまたはアリールであり;
は、環炭素原子の炭素原子C*に結合した、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルケニル、アリール、またはヘテロシクロアルキルであり;および
は、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである]
で示されるβ−スルフィンアミド α−ケトアミドの調製方法であって、式(S,S)−Iまたは(R,R)−I:
【化5】

で示される化合物を式RNHのアミンと合し、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IV(式中:R、R、およびRは上記と同義であり、式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iの化合物におけるRはアルキルまたはアリールである)の生成物を得る工程
を含む、方法。
【請求項18】
少なくとも95%の生成物が、単一(R,R)または(S,S)エナンチオマーである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
少なくとも99%の生成物が、単一(R,R)または(S,S)エナンチオマーである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
式(I)の化合物およびアミンの間の反応がアルコール中である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
アルコールがエタノールまたはメタノールである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
が置換されていてもよいフェニルである、請求項19記載の方法。
【請求項23】
がメチルフェニルである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
がp−メチルフェニルである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、またはtert−ブチルである、請求項19記載の方法。
【請求項26】
がアルキル、(シクロアルキル)アルキル、またはアリールである、請求項19記載の方法。
【請求項27】
がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、(シクロプロピル)メチル、またはナフチルである、請求項28記載の方法。
【請求項28】
がアルキルまたはシクロアルキルである、請求項19記載の方法。
【請求項29】
がメチル、エチル、またはシクロプロピルである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
式(S,S)−IVまたは(R,R)−IV:
【化6】

[式中:
は、アルキルまたはアリールであり;
は、環炭素原子の炭素原子C*に結合した、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルケニル、アリール、またはヘテロシクロアルキルであり;および
は、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである]
で示されるβ−スルホンアミド α−ケトアミドの調製方法であって、
a)所望により共溶媒の存在下において、式(S,S)−Iまたは(R,R)−I:
【化7】

[式中:Rは、アルキルまたはアリールである]
で示される化合物を水性塩基溶液と合する工程;
b)溶液を中和し、式(S,S)−Vまたは(R,R)−V:
【化8】

で示されるカルボン酸を得る工程;および
c)式(S,S)−Vまたは(R,R)−Vのカルボン酸をアミンRNH(式中:Rは上記と同義である)と合し、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVの生成物を得る工程
を含む、方法。
【請求項31】
少なくとも95%の生成物が、単一(S,S)または(R,R)エナンチオマーである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
少なくとも99%の生成物が、単一(S,S)または(R,R)エナンチオマーである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
式(S,S)−IVまたは(R,R)−IV:
【化9】

[式中:
は、アルキルまたはアリールであり;
は、環炭素原子の炭素原子C*に結合した、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルケニル、アリール、またはヘテロシクロアルキルであり;および
は、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである]
で示されるβ−スルホンアミド α−ケトアミドの調製方法であって、
a)式IIIのジチオラン水素を脱プロトン化するのに十分強力な塩基の存在下において、式(S)−IIまたは(R)−II:
【化10】

で示されるスルフィンイミンを式III:
【化11】

[式中:式IIのRおよびRならびに式IIIのRは上記と同義である]
で示されるジチオランカルボキシレートと合し、式(S,S)−Iまたは(R,R)−I:
【化12】

で示されるβ−スルホンアミド α−ケトエステルを得る工程;および
b)式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iの化合物を式RNHのアミンと合し、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IV:
【化13】

[式中:R、R、およびRは上記と同義であり、式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iの化合物のRは、アルキルまたはアリールである]
で示される生成物を得る工程;または
所望により共溶媒の存在下において、式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iの化合物を水性塩基溶液と合する工程;該溶液を中和し、式(S,S)−Vまたは(R,R)−V:
【化14】

で示されるカルボン酸を得る工程;および、式(S,S)−Vまたは(R,R)−Vのカルボン酸をアミンRNH(式中:Rは上記と同義である)と合し、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVの生成物を得る工程
を含む、方法。
【請求項34】
式(S,S)−IVまたは(R,R)−IV:
【化15】

[式中:
α−ケト基は、1,3−ジチオラン誘導体として保護され;
は、アルキルまたはアリールであり;
は、環炭素原子の炭素原子C*に結合した、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルケニル、アリール、またはヘテロシクロアルキルであり;および
は、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである]
で示されるアミドをカルボン酸末端を含有するペプチド(HOOC−Pep.)に結合する方法であって、
a)アミド(S,S)−IVまたは(R,R)−IVの溶液を鉱酸と合し、式(S)−VIまたは(R)−VI:
【化16】

[式中:Rは上記と同義である]
で示される化合物を得る工程:
b)所望によりカップリング試薬の存在下において、式(S)−VIまたは(R)−VIの化合物をペプチドのカルボン酸末端と合し、式(S)−VIIまたは(R)−VII:
【化17】

で示される化合物を得る工程;および
c)酸化剤の存在下において、式(S)−VIIまたは(R)−VIIの化合物の1,3−ジチオラン保護基を取り除き、β−アミノ α−ケトアミド官能基を含有する式(S)−VIIIまたは(R)−VIII:
【化18】

で示されるペプチドを得る工程
を含む、方法。
【請求項35】
式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVのβ−スルホンアミド α−ケトアミドが、
a)式IIIのジチオラン水素を脱プロトン化するのに十分強力な塩基の存在下において、式(S)−IIまたは(R)−II:
【化19】

で示されるスルフィンイミンを式III:
【化20】

[式中:式IIのRおよびRならびに式IIIのRは上記と同義である]
で示されるジチオランカルボキシレートエステルと合し、式(S,S)−Iまたは(R,R)−I:
【化21】

で示されるβ−スルホンアミド α−ケトエステルを得る工程;および
b)式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iのβ−スルホンアミド α−ケトエステルを式RNH(式中:Rは上記と同義である)のアミンと合し、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVの生成物を得る工程;または
所望により共溶媒の存在下において、式(S,S)−Iまたは(R,R)−Iのβ−スルホンアミド α−ケトエステルを水性塩基溶液と合する工程;該溶液を中和し、式(S,S)−Vまたは(R,R)−V:
【化22】

で示されるカルボン酸を得る工程および式(S,S)−Vまたは(R,R)−Vのカルボン酸をアミンRNHと合し、式(S,S)−IVまたは(R,R)−IVの生成物を得る工程
を含む方法によって調製される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
式I、式IV、または式VI:
【化23】

[式中:
各RおよびRは、独立して、アルキルまたはアリールであり;
は、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルケニル、アリール、またはヘテロシクロアルキルであり;および
は、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである]
で示される化合物。
【請求項37】
が置換されていてもよいフェニルである、請求項36記載の化合物。
【請求項38】
がメチルフェニルである、請求項37記載の化合物。
【請求項39】
がp−メチルフェニルである、請求項38記載の化合物。
【請求項40】
がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、またはtert−ブチルである、請求項36記載の化合物。
【請求項41】
がアルキル、(シクロアルキル)アルキル、またはアリールである、請求項40記載の化合物。
【請求項42】
がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、(シクロプロピル)メチル、またはナフチルである、請求項41記載の化合物。
【請求項43】
がアルキルである、請求項36記載の化合物。
【請求項44】
がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチルである、請求項43記載の化合物。
【請求項45】
がアルキルまたはシクロアルキルである、請求項36記載の化合物。
【請求項46】
がメチル、エチル、またはシクロプロピルである、請求項45記載の化合物。
【請求項47】
化合物が、
【化24】

である、請求項36記載の化合物。
【請求項48】
化合物が、
【化25】

である、請求項36記載の化合物。

【公表番号】特表2011−526895(P2011−526895A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516344(P2011−516344)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/003940
【国際公開番号】WO2010/002474
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】