保険料計算尺
【課題】保険契約時の年齢に応じた保険料を、保険支払額の多寡に応じて並べて表示し、契約すべき保険を容易に比較検討可能にする保険料計算尺を提供することを課題とする。
【解決手段】保険料を計算する保険料計算尺1であって、月額保険料が保険契約時の年齢毎に記された第一の部材4と、月額保険料が記された第一の部材4の表面を覆う第二の部材5と、を備え、第一の部材4は、保険支払額の多寡に応じて設定される複数の月額保険料が年齢毎に並べて記されると共に、所定の印22が記されており、第二の部材5は、第一の部材3に記された何れかの年齢に対応する複数の月額保険料を目視可能にする第一の開口部16と、所定の印22を目視可能にする第二の開口部15と、を有しており、第二の開口部15に見える所定の印22の位置が何れかの年齢に合うように第一の部材4と第二の部材5とを相対移動すると、該年齢に対応する複数種類の月額保険料を第一の開口部16に表示する。
【解決手段】保険料を計算する保険料計算尺1であって、月額保険料が保険契約時の年齢毎に記された第一の部材4と、月額保険料が記された第一の部材4の表面を覆う第二の部材5と、を備え、第一の部材4は、保険支払額の多寡に応じて設定される複数の月額保険料が年齢毎に並べて記されると共に、所定の印22が記されており、第二の部材5は、第一の部材3に記された何れかの年齢に対応する複数の月額保険料を目視可能にする第一の開口部16と、所定の印22を目視可能にする第二の開口部15と、を有しており、第二の開口部15に見える所定の印22の位置が何れかの年齢に合うように第一の部材4と第二の部材5とを相対移動すると、該年齢に対応する複数種類の月額保険料を第一の開口部16に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険料計算尺に関する。
【背景技術】
【0002】
保険契約の場面においては、保険料や年収、保障額といった保険に関わる金額の計算が行われる。例えば、特許文献1には、見積条件を入力すると保険料を計算して表示する保険料計算システムが開示されている。
【特許文献1】特開2007−233501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
保険契約者の収入や必要な保障額は契約者間で異なる。このため、保険契約の場面においては、様々な条件に応じた契約内容が提示される。ここで、保険の営業活動は、営業担当者が顧客の住居や職場に出向いて行われることが一般的である。このため、営業担当者が客先で顧客と話をしながら保険契約に関わる費用等を簡単に計算し、様々な契約条件に応じたプランを即座に提案できることが望ましい。また、顧客自らが、営業担当者の居ない時に保険契約の内容を検討する場合においても、保険契約に関わる費用等を簡単に計算し、様々な契約条件に応じたプランを容易に比較検討できることが望ましい。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、保険契約時の年齢に応じた保険料を、保険支払額の多寡に応じて並べて表示し、契約すべき保険を容易に比較検討可能にする保険料計算尺を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、保険支払額の多寡に応じて設定される複数の月額保険料が年齢毎に並べて記される部材を、該複数の月額保険料を目視可能にする開口部が設けられた部材で覆う。
【0006】
詳細には、保険料を計算する保険料計算尺であって、月額保険料が保険契約時の年齢毎に記された第一の部材と、前記月額保険料が記された前記第一の部材の表面を覆う第二の部材と、を備え、前記第一の部材は、保険支払額の多寡に応じて設定される複数の月額保険料が年齢毎に並べて記されると共に、該第一の部材と前記第二の部材との相対的な位置関係を示すための所定の印が記されており、前記第二の部材は、前記第一の部材に記された前記月額保険料のうち何れかの年齢に対応する複数の月額保険料を目視可能にする第一の開口部と、前記第一の部材に記された前記所定の印を目視可能にする第二の開口部と、を有しており、前記第二の開口部に見える前記所定の印の位置が、該第二の開口部の縁に記される年齢の数列のうち何れかの年齢に合うように前記第一の部材と該第二の部材とを相対移動すると、該年齢に対応する前記複数種類の月額保険料を前記第一の開口部に表示する。
【0007】
上記保険料計算尺は、第一の部材と第二の部材とを備えている。第一の部材および第二の部材は、文字が記された面や開口部を形成可能であれば如何なる材料で構成されていてもよいが、例えば、紙製であれば加工および印刷が容易である。ここで、保険を契約する際の月額保険料は、契約時の年齢に応じて異なるため、第一の部材には、保険契約時の年齢毎の月額保険料が記されている。
【0008】
ところで、保険契約は、予め用意された様々な保険支払額の中から顧客が希望する額を
選んで行われる。ここで、月額保険料は、保険支払額の多寡に応じて異なる。そこで、第一の部材には、同一の年齢について複数の月額保険料が記されており、保険支払額の多寡に応じた比較検討が可能なようになっている。
【0009】
第二の部材は、第一の開口部と第二の開口部とを有している。これらの開口部は、第二の部材が第一の部材の表面を覆った際、その一部がユーザに見えるようにするために設けられるものであり、第二の部材を貫通している。ここで、第一の開口部は、第一の部材に記された月額保険料のうち何れかの年齢に対応する複数の月額保険料を目視可能にする。何れかの年齢に対応する複数の月額保険料とは、すなわち、保険支払額の多寡に応じた互いに異なる複数の月額保険料であり、任意に選択された何れかの年齢に対応する複数の月額保険料である。第二の部材が第一の部材を覆い隠しつつ、第一の開口部が第一の部材に記された文字の一部を目視可能にすることにより、任意に選択された何れかの年齢に対応する複数の月額保険料のみをユーザに見せつつ、選択されていない他の年齢に対応する月額保険料が覆い隠されたままの状態になる。よって、ユーザは、第一の開口部に表示される複数の月額保険料を読み取ることで、月額保険料の金額を保険支払額の多寡に応じて容易に比較検討することが可能になる。
【0010】
なお、第一の開口部が表示する月額保険料の年齢の選択は、第二の開口部に表示される所定の印を、該第二の開口部の縁に記された年齢に合わせることで実現される。すなわち、第二の開口部に表示される所定の印を、第二の開口部の縁に記された年齢の数列のうち何れかの年齢に合わせることで、第一の部材と第二の部材との相対的な位置関係が定まり、第一の開口部に表示される文字が決まる。第二の開口部に表示される所定の印とは、第一の部材に記された印であり、例えば、月額保険料の文字列の付近に記される印である。所定の印は、第一の部材に記されているものであるため、所定の印が第二の開口部内で動くように第一の部材と第二の部材とを相対的に動かすと、第一の開口部内に表示されている月額保険料の文字列も動き、それまで表示されていたのと異なる年齢の月額保険料が表示されるようになる。
【0011】
上記保険料計算尺によれば、第一の部材と第二の部材とを相対的に動かすだけで、保険契約時の年齢に応じた保険料が、保険支払額の多寡に応じて複数表示されるため、契約すべき保険を容易に比較検討することが可能になる。
【0012】
また、前記第二の部材は、前記第一の部材に年齢毎に並べて記された月額保険料の整列方向に沿って、該第一の部材と相対的にスライド可能であり、前記第二の開口部は、前記第二の部材のスライド方向に延びる開口部であり、前記年齢の数列は、前記第二の部材のスライド方向に並ぶ数列であってもよい。
【0013】
文字列を並べる場合、通常は一列に並べられる。保険支払額の多寡に応じて設定される複数の月額保険料を示す文字列を年齢毎に並べる場合も然り、第一の部材の表面に一列に並べられる。ここで、ユーザの視点に鑑みると、一列に並べた文字列のうち任意に選択した何れかの文字列を開口部に表示する場合、スライド操作で文字列を選択することが操作性の観点から好ましい。第一の部材と第二の部材とをどのような方向に相対移動させれば所望の文字列を選択できるかが直感的に判りやすいためである。よって、上記第二の部材が、年齢毎に並べて記された月額保険料の整列方向に沿って、第一の部材と相対的にスライド可能なように構成されることで、年齢の選択操作が直感的に判りやすくなるため、操作性が大幅に向上する。
【0014】
また、前記第一の開口部は、前記第二の部材のスライド方向と略直交する方向に延びる開口部であり、前記第一の部材は、保険支払額の多寡に応じて設定される複数の月額保険料が、前記第二の部材のスライド方向と略直交する方向に並べて記されるものであっても
よい。
【0015】
これによれば、選択した年齢に対応する複数の月額保険料が、年齢を選択する際に行うスライド操作の方向と略直交する方向に並ぶことになる。よって、何れかの年齢を選択した際、選択した年齢において如何なる月額保険料が用意されているのかを直感的に把握することが可能である。年齢を選択する際に行う操作の方向と略直交する方向に文字列が複数並んでいれば、これら複数の文字列が年齢との関係において並列の関係にあることが容易に理解できるからである。これにより、各年齢について如何なる月額保険料が用意されているのかが判りやすくなり、使い勝手が良くなる。
【発明の効果】
【0016】
保険契約時の年齢に応じた保険料を、保険支払額の多寡に応じて並べて表示し、契約すべき保険を容易に比較検討可能にする保険料計算尺を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る保険料計算尺について説明する。図1は、本実施形態に係る保険料計算尺1の斜視図である。保険料計算尺1は、図1に示すように、表紙2と本体3とで構成されている。表紙2は、本体3と回動可能なように繋がっており、見開くことが可能である。
【0018】
本体3は、スライドシート4(本発明でいう第一の部材に相当する)と、スライドシート4を包む封筒のような収容部5(本発明でいう第二の部材に相当する)とで構成されている。収容部5は、長手方向の両端が開口しており、スライドシート4を長手方向に抜き差し可能なように形成されている。なお、収容部5には、収容したスライドシート4を指で掴める様にするため、切り欠き6が設けられている。本体3は、表側の面が賃金計算面7であり、裏側の面が保険料計算面8である。
【0019】
図2は、表紙2および本体3の収容部5を形成している第一の部材9の上面図である。また、図3は、第一の部材9の下面図である。第一の部材9は、図2に示すように、印刷や切り欠き等のカッティングが施された1枚の紙であり、表紙2を構成する第一の領域10、保険料計算面8を構成する第二の領域11、賃金計算面7を構成する第三の領域12、及び封筒状の収容部5を形成するためののり代を構成する第四の領域13で構成されている。
【0020】
第一の領域10には、上面側に保険料計算尺1の表紙を飾る表題が印刷されており、下面側に裏表紙を飾る文字情報が印刷されている。第一の領域10は、表紙2を構成する部分であり、第一の領域10と第二の領域11との間にある折り目14によって、表紙2と本体3とが繋がれることになる。表紙2を構成する第一の領域10の上面側には、「家族を守る計算尺」というタイトルが付されている。また、第一の領域10の下面側には、「生命保険の選び方」、「家族の生活を支え、子供の将来を支える」といったコピーが計算尺の使い方の概略と共に記されている。
【0021】
第二の領域11には、スライドシート4に印刷された印を表示する開口部である年齢表示窓15(本発明でいう第二の開口部に相当する)と、スライドシート4に印刷された保険料を表示する開口部である保険料表示窓16(本発明でいう第一の開口部に相当する)とが設けられている。年齢表示窓15は、本体3に挿入されたスライドシート4のスライド方向、換言すると、本体3の長手方向に延びる細長の開口部であり、スライドシート4がスライドされると、スライドシート4に印刷された印がこの中を動く。保険料表示窓16は、スライドシート4のスライド方向と直交する、換言すると、本体3の短手方向に延びる細長の開口部であり、スライドシート4がスライドされると、スライドシート4に印
刷された保険料の文字列がこの中で上下に動く。また、第二の領域11には、保険料計算面8を飾る各種の文字情報、例えば、保険料の算出を促す標語や保険料計算尺1の使い方、年齢表示窓15に沿って記される年齢の数列、保険料表示窓16に沿って記される受取保険料の額等が表面側に記されている。なお、本実施形態では、保険料計算尺1が保険料を計算する保険の例として、収入保障保険を用いているため、保険料表示窓16には月払い保険料が遺族年金月額毎に表示されるようになっている。第二の領域11は、赤く印刷されており、赤い計算尺を形成する。
【0022】
第三の領域12には、スライドシート4に印刷された印を表示する開口部である年齢表示窓21と、スライドシート4に印刷された生涯賃金を表示する開口部である賃金表示窓17とが設けられている。年齢表示窓21は、年齢表示窓15と同様、本体3の長手方向に延びる細長の開口部であり、スライドシート4に印刷された印がこの中を動く。賃金表示窓17は、保険料表示窓16と同様、本体3の短手方向に延びる細長の開口部であり、スライドシート4に印刷された生涯賃金の文字列がこの中で上下に動く。また、第三の領域12には、賃金計算面7を飾る各種の文字情報、例えば、生涯賃金の算出を促す標語や保険料計算尺1の使い方、年齢表示窓21に沿って記される年齢の数列、賃金表示窓17に沿って記される月平均報酬の額等が表面側に印刷されている。第三の領域12は、青く印刷されており、青い計算尺を形成する。
【0023】
第四の領域13は、第二の領域11と第三の領域12との間にある折り目20を折った状態で両者を接合するためののり代である。すなわち、第四の領域13の表面側を、第二の領域11の裏面側にあるのり代(図3の符号Aで示す破線の領域)に貼り付けることで、スライドシート4を収容する収容部5が形成される。なお、第四の領域13には、スライドシート4に記されている文字が隠れないようにするため、表示窓との干渉を防ぐ切り欠き19が設けられている。
【0024】
スライドシート4は、生涯賃金や保険料が印刷される帯状の紙であり、収容部5に収容可能な大きさである。まず、生涯賃金が印刷されているスライドシート4の上面側について説明する。図4は、スライドシート4の上面図である。スライドシート4の上面側には、図4に示すように、生涯賃金が記されている。スライドシート4の上面側に記される生涯賃金は、月平均報酬の額に応じた生涯賃金が横方向に9つ並んで記されており、このような9つ並んだ生涯賃金が年齢を縦軸として25歳から55歳まで31行並ぶことで、生涯賃金の行列を形成している。このような生涯賃金の行列が記されたスライドシート4が収容部5内でスライドされることにより、賃金計算面7の賃金表示窓17に、月平均報酬の額に応じた生涯賃金が表示されることになる。なお、スライドシート4の上面側には、生涯賃金の行列の左上付近に帯状の印であるカーソル18が記されている。このカーソル18は、スライドシート4が収容部5内でスライドされると賃金計算面7の年齢表示窓21内を動くことで、賃金計算面7に記されている年齢の数列のうち、賃金表示窓17に表示されている生涯賃金の基点となる年齢を指し示す。
【0025】
次に、スライドシート4の下面側について説明する。図5は、スライドシート4の下面図である。スライドシート4の下面側には、図5に示すように、月払い保険料が記されている。すなわち、スライドシート4の下面側には、保険支払額の多寡に応じて、換言すると、遺族年金の月額に応じて段階的に設定された月払い保険料が横方向に8つ並んで記されており、このような8つ並んだ保険料が年齢を縦軸として25歳から55歳まで31行並ぶことで、保険料の行列を形成している。このような保険料の行列が記されたスライドシート4が収容部5内でスライドされることにより、保険料計算面8の保険料表示窓16に、遺族年金の月額に応じた保険料が表示されることになる。なお、保険料表示窓16は、上段と下段と2段に渡ってスライドシート4の文字列が表示されるようになっており、スライドシート4に記された保険料の行列のうち保険料表示窓16の上段側に表示される
額を月払い保険料として表示する一方、下段側に表示される額を年金受取総額として表示する。また、スライドシート4の下面側には、上面側と同様、保険料の行列の左上付近に帯状の印であるカーソル22(本発明でいう所定の印に相当する)が記されており、保険料表示窓16に表示されている保険料の払い込み開始の基点となる年齢を指し示す。
【0026】
次に、保険料計算尺1の使用方法について説明する。まず、生涯賃金を計算する場合について説明する。図6Aは、生涯賃金を計算したい場合の使用方法を示す図である。生涯賃金を計算する場合は、図6Aに示すように、スライドシート4を前後にスライドさせ、年齢表示窓21に表示されるカーソル18をユーザである顧客の年齢に合わせる。次に、賃金表示窓17に並んで表示される9つの生涯賃金の額のうち、ユーザの現時点の月平均報酬額に対応する生涯賃金の額を読み取る。選択する月平均報酬額は、ユーザの年収の12分の1の金額に近いもの、或いは今後稼げるであろう平均月収とする。読み取った生涯賃金の額が、ユーザが今後65歳までに働く場合の生涯賃金となる。これにより、ユーザが今後65歳までに得る生涯賃金の概算を、スライドシート4をスライドさせるだけで容易に知得することが可能であり、その生涯賃金の額が想像以上に大きいことをユーザに気付いてもらうことができる。なお、この生涯賃金の額が、生命保険を選ぶときの基準となる。
【0027】
青い計算尺を形成する第三の領域12を使うことで、現在から65歳まで働いた場合の生涯賃金が容易に判る。これにより、自分の生涯賃金が想像以上に大きいことを顧客に気が付いてもらう事が可能である。そして、自分に万一の事があった場合にこの生涯賃金が失われるので、それを補填するのが生命保険の役割であるということを顧客に気が付いてもらうことができる。また、現在加入している保険がそれほど大きい保障をしているものであるのか否かという疑問を顧客に感じさせることができる。
【0028】
ところで、上記生涯賃金の算定結果は、以下のようにして算定される。図6Bは、生涯賃金を年齢ごとに示したグラフである。年齢に関わらず月収が一定の場合、生涯賃金は図6Bに示すように三角形のグラフになる。例えば、平均月収が40万円の場合、35歳の時点で65歳までに得る生涯賃金は、毎月40万円の賃金を30年間得ることになるから合計額が1億4,400万円となる。また、55歳の時点で65歳までに得る生涯賃金は、毎月40万円の賃金を10年間得ることになるから合計額が4,800万円となる。なお、上記生涯賃金の算定結果は、65歳まで毎月同額の月収であると仮定した場合の話であるから、昇給等があればその算定結果も当然に変化する。
【0029】
次に、保険料を計算する場合について説明する。図7Aは、保険料を計算したい場合の使用方法を示す図である。保険料を計算する場合は、図7Aに示すように、スライドシート4を前後にスライドさせ、年齢表示窓15に表示されるカーソル22をユーザの年齢に合わせる。次に、保険料表示窓16に並んで表示される8つの月払い保険料のうち、ユーザが希望する遺族年金の月額に対応する保険料の額を読み取る。ユーザが希望する遺族年金の月額とは、ユーザが家族に残したい月々の金額である。ここで選択する遺族年金の月額は、この保険以外から得られる公的な遺族年金や会社からの死亡退職金なども踏まえ、やや低い額に設定することが好ましい。ここで保険料表示窓16に表示される額が、その月額を65歳まで受け取ると総額がいくらになるのかという金額になる。そして、カーソル22を一段下にずらすと、今度はその収入保障保険の月々の保険料が保険料表示窓16に表示される。これにより、ユーザに対し、毎月支払うべき保険料の額について驚きを感じさせることができる。
【0030】
赤い計算尺を形成する第二の領域11を使うことで、青い計算尺で算出した生涯賃金を「収入保障保険」という毎月定額の保険金を受け取る方式の保険で受け取ることにした場合の、現時点での受け取り保険金総額と月額保険料が容易に判る。これにより、公的保障
としての遺族年金や会社からの死亡退職金により、毎月の月収と同じ額の補填を要しないとしても、毎月いくら補填できたら安心なのかを容易に確認することができる。そして、確認したその月額を補填する場合、生涯でいくら必要になるのかを容易に確認することができる。そして、顧客が現在加入している生命保険では、顧客に万一の事があった場合に保障額が不足するというようなことを容易に認識させることが可能になる。そして、カーソル22を1段下にスライドさせると、今度は補填したい月額を保障してくれる保険(収入保障保険)の月額保険料が表示され、その額に驚いてもらうことができる。
【0031】
ところで、上記収入保障保険は、顧客に万一の事があった場合、以下のような補填額が給付される。図7Bは、一般的な保険の保険金受取総額と収入保障保険の保険金受取総額とを並べて示したグラフである。図7Bに示すように、一般的な定期保険の場合、35歳から65歳まで一貫して一定の額の保険金を受け取ることができる。一方、収入保障保険の場合、死亡時の年齢が上がるにつれて保険金受取総額が下がる。よって、収入保障保険の場合、保険金の受取総額が生涯賃金に則しており、生涯賃金を補填する保険として最適であることがわかる。
【0032】
上記実施形態に係る保険料計算尺1によれば、保険契約時の年齢に応じた保険料が保険契約の条件である保険支払額の多寡に応じて並べて表示されるため、契約すべき保険を容易に比較検討することが可能である。特に、上記保険料計算尺1によれば、生涯賃金の話で顧客に関心を抱かせた後に現在加入している保険の問題点を意識させるという流れに顧客を容易に導くことができる。そして、現在加入している保険の問題点を意識させた上で新たな保険プランを提示するという流れに顧客を容易に導くことができるため、営業マンの営業活動の一助になる。また、このような計算尺であれば営業担当者が容易に持ち歩くことが可能なので、客先に訪問した際にも営業活動を効率的に展開することが可能となる。すなわち、上記保険料計算尺1は、生命保険の話を正面から切り出しにくい保険営業マンのためのツールであり、計算尺という「おもちゃ」のようなおもしろさを喚起することが可能である。上記保険料計算尺1によれば、表紙2を開くと賃金計算面7が最初に現れる。よって、生命保険に関する話を始める前に、一般的に顧客が興味を示す生涯賃金の話を始めることができる。そして、賃金計算面7の次に保険料計算面8が現れるようになっているため、生涯賃金の話をした後に保険の話しをすることができる。このため、上記保険料計算尺1に沿って話を進めると、ストレスなく生命保険を見直してみたいというニーズが喚起され、実際の保険の設計の話に導きやすくなる。また、構成が簡単なので安価に製作することが可能であり、顧客に対して無料配布等することにより保険の販売を促進することが可能である。特に、顧客は、営業担当者が居ないときでも自ら保険料を算出することが可能であり、保険商品の検討が容易にできる。
【0033】
なお、上記実施形態では、収入保障保険の保険料の計算に適用する場合について説明したが、本発明はこのようなもののみならず、例えば、死亡保険の保険料や傷害保険の保険料等の算定に適用することも可能である。
【0034】
また、上記実施形態では、生涯賃金の算出に際し、25歳から55歳までの各年齢における生涯賃金を、月平均報酬が20万円から100万円まで10万円毎に示しているが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、図8に示すように、30歳から50歳までの各年齢における生涯賃金を、月平均報酬が30万円、40万円、50万円、70万円、および100万円の場合について示すようなスライドカードを用いてもよい。このようなスライドカードを使った保険料計算尺の外観図を図9に示す。30歳から50歳までの生涯賃金を月平均報酬が30万円、40万円、50万円、70万円、および100万円の場合について示すスライドカード4’を用いる場合、図9に示されるように、年齢表示窓21’の縁に記される年齢や賃金表示窓17’の縁に記される月平均報酬の額もこれに沿ったものとなる。なお、このような変形例は生涯賃金を算定する場合のみな
らず、保険料を算定する場合についても同様に適用可能である。図10は、本変形例に係る保険料計算尺の外観図である。上記実施形態に係る保険料計算尺1は、図10に示されるように、遺族年金の月額を20万円、30万円、40万円、50万円、および90万円の5種類に設定し、これを30歳から50歳までの場合についてそれぞれ示すように変形しても良い。
【0035】
また、上記実施形態では、保険料の算出に際し、被保険者である顧客の健康状態を区別していなかった。しかし、本発明は、例えば図9および図10に示すような、被保険者である顧客が平均的な体(普通体)である場合と非喫煙の健康体である場合とで異なる保険料を示すスライドカードを複数種類用意し、これらを顧客に応じて適宜差し替えて使っても良い。また、上記実施形態では表紙2や本体3に保険会社名等を表示していなかったが、保険会社名やその住所を表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態に係る保険料計算尺の斜視図。
【図2】第一の部材の上面図。
【図3】第一の部材の下面図。
【図4】スライドシートの上面図。
【図5】スライドシートの下面図。
【図6A】生涯賃金を計算したい場合の使用方法を示す図。
【図6B】生涯賃金を年齢ごとに示したグラフ。
【図7A】保険料を計算したい場合の使用方法を示す図。
【図7B】保険金受取総額を示すグラフ。
【図8】生涯賃金の表の変形例。
【図9】変形例に係る保険料計算尺の外観図。
【図10】変形例に係る保険料計算尺の外観図。
【図11】保険料の表の変形例。
【図12】保険料の表の変形例。
【符号の説明】
【0037】
1,1’ 保険料計算尺
2 表紙
3,3’ 本体
4,4’ スライドシート
5 収容部
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険料計算尺に関する。
【背景技術】
【0002】
保険契約の場面においては、保険料や年収、保障額といった保険に関わる金額の計算が行われる。例えば、特許文献1には、見積条件を入力すると保険料を計算して表示する保険料計算システムが開示されている。
【特許文献1】特開2007−233501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
保険契約者の収入や必要な保障額は契約者間で異なる。このため、保険契約の場面においては、様々な条件に応じた契約内容が提示される。ここで、保険の営業活動は、営業担当者が顧客の住居や職場に出向いて行われることが一般的である。このため、営業担当者が客先で顧客と話をしながら保険契約に関わる費用等を簡単に計算し、様々な契約条件に応じたプランを即座に提案できることが望ましい。また、顧客自らが、営業担当者の居ない時に保険契約の内容を検討する場合においても、保険契約に関わる費用等を簡単に計算し、様々な契約条件に応じたプランを容易に比較検討できることが望ましい。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、保険契約時の年齢に応じた保険料を、保険支払額の多寡に応じて並べて表示し、契約すべき保険を容易に比較検討可能にする保険料計算尺を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、保険支払額の多寡に応じて設定される複数の月額保険料が年齢毎に並べて記される部材を、該複数の月額保険料を目視可能にする開口部が設けられた部材で覆う。
【0006】
詳細には、保険料を計算する保険料計算尺であって、月額保険料が保険契約時の年齢毎に記された第一の部材と、前記月額保険料が記された前記第一の部材の表面を覆う第二の部材と、を備え、前記第一の部材は、保険支払額の多寡に応じて設定される複数の月額保険料が年齢毎に並べて記されると共に、該第一の部材と前記第二の部材との相対的な位置関係を示すための所定の印が記されており、前記第二の部材は、前記第一の部材に記された前記月額保険料のうち何れかの年齢に対応する複数の月額保険料を目視可能にする第一の開口部と、前記第一の部材に記された前記所定の印を目視可能にする第二の開口部と、を有しており、前記第二の開口部に見える前記所定の印の位置が、該第二の開口部の縁に記される年齢の数列のうち何れかの年齢に合うように前記第一の部材と該第二の部材とを相対移動すると、該年齢に対応する前記複数種類の月額保険料を前記第一の開口部に表示する。
【0007】
上記保険料計算尺は、第一の部材と第二の部材とを備えている。第一の部材および第二の部材は、文字が記された面や開口部を形成可能であれば如何なる材料で構成されていてもよいが、例えば、紙製であれば加工および印刷が容易である。ここで、保険を契約する際の月額保険料は、契約時の年齢に応じて異なるため、第一の部材には、保険契約時の年齢毎の月額保険料が記されている。
【0008】
ところで、保険契約は、予め用意された様々な保険支払額の中から顧客が希望する額を
選んで行われる。ここで、月額保険料は、保険支払額の多寡に応じて異なる。そこで、第一の部材には、同一の年齢について複数の月額保険料が記されており、保険支払額の多寡に応じた比較検討が可能なようになっている。
【0009】
第二の部材は、第一の開口部と第二の開口部とを有している。これらの開口部は、第二の部材が第一の部材の表面を覆った際、その一部がユーザに見えるようにするために設けられるものであり、第二の部材を貫通している。ここで、第一の開口部は、第一の部材に記された月額保険料のうち何れかの年齢に対応する複数の月額保険料を目視可能にする。何れかの年齢に対応する複数の月額保険料とは、すなわち、保険支払額の多寡に応じた互いに異なる複数の月額保険料であり、任意に選択された何れかの年齢に対応する複数の月額保険料である。第二の部材が第一の部材を覆い隠しつつ、第一の開口部が第一の部材に記された文字の一部を目視可能にすることにより、任意に選択された何れかの年齢に対応する複数の月額保険料のみをユーザに見せつつ、選択されていない他の年齢に対応する月額保険料が覆い隠されたままの状態になる。よって、ユーザは、第一の開口部に表示される複数の月額保険料を読み取ることで、月額保険料の金額を保険支払額の多寡に応じて容易に比較検討することが可能になる。
【0010】
なお、第一の開口部が表示する月額保険料の年齢の選択は、第二の開口部に表示される所定の印を、該第二の開口部の縁に記された年齢に合わせることで実現される。すなわち、第二の開口部に表示される所定の印を、第二の開口部の縁に記された年齢の数列のうち何れかの年齢に合わせることで、第一の部材と第二の部材との相対的な位置関係が定まり、第一の開口部に表示される文字が決まる。第二の開口部に表示される所定の印とは、第一の部材に記された印であり、例えば、月額保険料の文字列の付近に記される印である。所定の印は、第一の部材に記されているものであるため、所定の印が第二の開口部内で動くように第一の部材と第二の部材とを相対的に動かすと、第一の開口部内に表示されている月額保険料の文字列も動き、それまで表示されていたのと異なる年齢の月額保険料が表示されるようになる。
【0011】
上記保険料計算尺によれば、第一の部材と第二の部材とを相対的に動かすだけで、保険契約時の年齢に応じた保険料が、保険支払額の多寡に応じて複数表示されるため、契約すべき保険を容易に比較検討することが可能になる。
【0012】
また、前記第二の部材は、前記第一の部材に年齢毎に並べて記された月額保険料の整列方向に沿って、該第一の部材と相対的にスライド可能であり、前記第二の開口部は、前記第二の部材のスライド方向に延びる開口部であり、前記年齢の数列は、前記第二の部材のスライド方向に並ぶ数列であってもよい。
【0013】
文字列を並べる場合、通常は一列に並べられる。保険支払額の多寡に応じて設定される複数の月額保険料を示す文字列を年齢毎に並べる場合も然り、第一の部材の表面に一列に並べられる。ここで、ユーザの視点に鑑みると、一列に並べた文字列のうち任意に選択した何れかの文字列を開口部に表示する場合、スライド操作で文字列を選択することが操作性の観点から好ましい。第一の部材と第二の部材とをどのような方向に相対移動させれば所望の文字列を選択できるかが直感的に判りやすいためである。よって、上記第二の部材が、年齢毎に並べて記された月額保険料の整列方向に沿って、第一の部材と相対的にスライド可能なように構成されることで、年齢の選択操作が直感的に判りやすくなるため、操作性が大幅に向上する。
【0014】
また、前記第一の開口部は、前記第二の部材のスライド方向と略直交する方向に延びる開口部であり、前記第一の部材は、保険支払額の多寡に応じて設定される複数の月額保険料が、前記第二の部材のスライド方向と略直交する方向に並べて記されるものであっても
よい。
【0015】
これによれば、選択した年齢に対応する複数の月額保険料が、年齢を選択する際に行うスライド操作の方向と略直交する方向に並ぶことになる。よって、何れかの年齢を選択した際、選択した年齢において如何なる月額保険料が用意されているのかを直感的に把握することが可能である。年齢を選択する際に行う操作の方向と略直交する方向に文字列が複数並んでいれば、これら複数の文字列が年齢との関係において並列の関係にあることが容易に理解できるからである。これにより、各年齢について如何なる月額保険料が用意されているのかが判りやすくなり、使い勝手が良くなる。
【発明の効果】
【0016】
保険契約時の年齢に応じた保険料を、保険支払額の多寡に応じて並べて表示し、契約すべき保険を容易に比較検討可能にする保険料計算尺を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る保険料計算尺について説明する。図1は、本実施形態に係る保険料計算尺1の斜視図である。保険料計算尺1は、図1に示すように、表紙2と本体3とで構成されている。表紙2は、本体3と回動可能なように繋がっており、見開くことが可能である。
【0018】
本体3は、スライドシート4(本発明でいう第一の部材に相当する)と、スライドシート4を包む封筒のような収容部5(本発明でいう第二の部材に相当する)とで構成されている。収容部5は、長手方向の両端が開口しており、スライドシート4を長手方向に抜き差し可能なように形成されている。なお、収容部5には、収容したスライドシート4を指で掴める様にするため、切り欠き6が設けられている。本体3は、表側の面が賃金計算面7であり、裏側の面が保険料計算面8である。
【0019】
図2は、表紙2および本体3の収容部5を形成している第一の部材9の上面図である。また、図3は、第一の部材9の下面図である。第一の部材9は、図2に示すように、印刷や切り欠き等のカッティングが施された1枚の紙であり、表紙2を構成する第一の領域10、保険料計算面8を構成する第二の領域11、賃金計算面7を構成する第三の領域12、及び封筒状の収容部5を形成するためののり代を構成する第四の領域13で構成されている。
【0020】
第一の領域10には、上面側に保険料計算尺1の表紙を飾る表題が印刷されており、下面側に裏表紙を飾る文字情報が印刷されている。第一の領域10は、表紙2を構成する部分であり、第一の領域10と第二の領域11との間にある折り目14によって、表紙2と本体3とが繋がれることになる。表紙2を構成する第一の領域10の上面側には、「家族を守る計算尺」というタイトルが付されている。また、第一の領域10の下面側には、「生命保険の選び方」、「家族の生活を支え、子供の将来を支える」といったコピーが計算尺の使い方の概略と共に記されている。
【0021】
第二の領域11には、スライドシート4に印刷された印を表示する開口部である年齢表示窓15(本発明でいう第二の開口部に相当する)と、スライドシート4に印刷された保険料を表示する開口部である保険料表示窓16(本発明でいう第一の開口部に相当する)とが設けられている。年齢表示窓15は、本体3に挿入されたスライドシート4のスライド方向、換言すると、本体3の長手方向に延びる細長の開口部であり、スライドシート4がスライドされると、スライドシート4に印刷された印がこの中を動く。保険料表示窓16は、スライドシート4のスライド方向と直交する、換言すると、本体3の短手方向に延びる細長の開口部であり、スライドシート4がスライドされると、スライドシート4に印
刷された保険料の文字列がこの中で上下に動く。また、第二の領域11には、保険料計算面8を飾る各種の文字情報、例えば、保険料の算出を促す標語や保険料計算尺1の使い方、年齢表示窓15に沿って記される年齢の数列、保険料表示窓16に沿って記される受取保険料の額等が表面側に記されている。なお、本実施形態では、保険料計算尺1が保険料を計算する保険の例として、収入保障保険を用いているため、保険料表示窓16には月払い保険料が遺族年金月額毎に表示されるようになっている。第二の領域11は、赤く印刷されており、赤い計算尺を形成する。
【0022】
第三の領域12には、スライドシート4に印刷された印を表示する開口部である年齢表示窓21と、スライドシート4に印刷された生涯賃金を表示する開口部である賃金表示窓17とが設けられている。年齢表示窓21は、年齢表示窓15と同様、本体3の長手方向に延びる細長の開口部であり、スライドシート4に印刷された印がこの中を動く。賃金表示窓17は、保険料表示窓16と同様、本体3の短手方向に延びる細長の開口部であり、スライドシート4に印刷された生涯賃金の文字列がこの中で上下に動く。また、第三の領域12には、賃金計算面7を飾る各種の文字情報、例えば、生涯賃金の算出を促す標語や保険料計算尺1の使い方、年齢表示窓21に沿って記される年齢の数列、賃金表示窓17に沿って記される月平均報酬の額等が表面側に印刷されている。第三の領域12は、青く印刷されており、青い計算尺を形成する。
【0023】
第四の領域13は、第二の領域11と第三の領域12との間にある折り目20を折った状態で両者を接合するためののり代である。すなわち、第四の領域13の表面側を、第二の領域11の裏面側にあるのり代(図3の符号Aで示す破線の領域)に貼り付けることで、スライドシート4を収容する収容部5が形成される。なお、第四の領域13には、スライドシート4に記されている文字が隠れないようにするため、表示窓との干渉を防ぐ切り欠き19が設けられている。
【0024】
スライドシート4は、生涯賃金や保険料が印刷される帯状の紙であり、収容部5に収容可能な大きさである。まず、生涯賃金が印刷されているスライドシート4の上面側について説明する。図4は、スライドシート4の上面図である。スライドシート4の上面側には、図4に示すように、生涯賃金が記されている。スライドシート4の上面側に記される生涯賃金は、月平均報酬の額に応じた生涯賃金が横方向に9つ並んで記されており、このような9つ並んだ生涯賃金が年齢を縦軸として25歳から55歳まで31行並ぶことで、生涯賃金の行列を形成している。このような生涯賃金の行列が記されたスライドシート4が収容部5内でスライドされることにより、賃金計算面7の賃金表示窓17に、月平均報酬の額に応じた生涯賃金が表示されることになる。なお、スライドシート4の上面側には、生涯賃金の行列の左上付近に帯状の印であるカーソル18が記されている。このカーソル18は、スライドシート4が収容部5内でスライドされると賃金計算面7の年齢表示窓21内を動くことで、賃金計算面7に記されている年齢の数列のうち、賃金表示窓17に表示されている生涯賃金の基点となる年齢を指し示す。
【0025】
次に、スライドシート4の下面側について説明する。図5は、スライドシート4の下面図である。スライドシート4の下面側には、図5に示すように、月払い保険料が記されている。すなわち、スライドシート4の下面側には、保険支払額の多寡に応じて、換言すると、遺族年金の月額に応じて段階的に設定された月払い保険料が横方向に8つ並んで記されており、このような8つ並んだ保険料が年齢を縦軸として25歳から55歳まで31行並ぶことで、保険料の行列を形成している。このような保険料の行列が記されたスライドシート4が収容部5内でスライドされることにより、保険料計算面8の保険料表示窓16に、遺族年金の月額に応じた保険料が表示されることになる。なお、保険料表示窓16は、上段と下段と2段に渡ってスライドシート4の文字列が表示されるようになっており、スライドシート4に記された保険料の行列のうち保険料表示窓16の上段側に表示される
額を月払い保険料として表示する一方、下段側に表示される額を年金受取総額として表示する。また、スライドシート4の下面側には、上面側と同様、保険料の行列の左上付近に帯状の印であるカーソル22(本発明でいう所定の印に相当する)が記されており、保険料表示窓16に表示されている保険料の払い込み開始の基点となる年齢を指し示す。
【0026】
次に、保険料計算尺1の使用方法について説明する。まず、生涯賃金を計算する場合について説明する。図6Aは、生涯賃金を計算したい場合の使用方法を示す図である。生涯賃金を計算する場合は、図6Aに示すように、スライドシート4を前後にスライドさせ、年齢表示窓21に表示されるカーソル18をユーザである顧客の年齢に合わせる。次に、賃金表示窓17に並んで表示される9つの生涯賃金の額のうち、ユーザの現時点の月平均報酬額に対応する生涯賃金の額を読み取る。選択する月平均報酬額は、ユーザの年収の12分の1の金額に近いもの、或いは今後稼げるであろう平均月収とする。読み取った生涯賃金の額が、ユーザが今後65歳までに働く場合の生涯賃金となる。これにより、ユーザが今後65歳までに得る生涯賃金の概算を、スライドシート4をスライドさせるだけで容易に知得することが可能であり、その生涯賃金の額が想像以上に大きいことをユーザに気付いてもらうことができる。なお、この生涯賃金の額が、生命保険を選ぶときの基準となる。
【0027】
青い計算尺を形成する第三の領域12を使うことで、現在から65歳まで働いた場合の生涯賃金が容易に判る。これにより、自分の生涯賃金が想像以上に大きいことを顧客に気が付いてもらう事が可能である。そして、自分に万一の事があった場合にこの生涯賃金が失われるので、それを補填するのが生命保険の役割であるということを顧客に気が付いてもらうことができる。また、現在加入している保険がそれほど大きい保障をしているものであるのか否かという疑問を顧客に感じさせることができる。
【0028】
ところで、上記生涯賃金の算定結果は、以下のようにして算定される。図6Bは、生涯賃金を年齢ごとに示したグラフである。年齢に関わらず月収が一定の場合、生涯賃金は図6Bに示すように三角形のグラフになる。例えば、平均月収が40万円の場合、35歳の時点で65歳までに得る生涯賃金は、毎月40万円の賃金を30年間得ることになるから合計額が1億4,400万円となる。また、55歳の時点で65歳までに得る生涯賃金は、毎月40万円の賃金を10年間得ることになるから合計額が4,800万円となる。なお、上記生涯賃金の算定結果は、65歳まで毎月同額の月収であると仮定した場合の話であるから、昇給等があればその算定結果も当然に変化する。
【0029】
次に、保険料を計算する場合について説明する。図7Aは、保険料を計算したい場合の使用方法を示す図である。保険料を計算する場合は、図7Aに示すように、スライドシート4を前後にスライドさせ、年齢表示窓15に表示されるカーソル22をユーザの年齢に合わせる。次に、保険料表示窓16に並んで表示される8つの月払い保険料のうち、ユーザが希望する遺族年金の月額に対応する保険料の額を読み取る。ユーザが希望する遺族年金の月額とは、ユーザが家族に残したい月々の金額である。ここで選択する遺族年金の月額は、この保険以外から得られる公的な遺族年金や会社からの死亡退職金なども踏まえ、やや低い額に設定することが好ましい。ここで保険料表示窓16に表示される額が、その月額を65歳まで受け取ると総額がいくらになるのかという金額になる。そして、カーソル22を一段下にずらすと、今度はその収入保障保険の月々の保険料が保険料表示窓16に表示される。これにより、ユーザに対し、毎月支払うべき保険料の額について驚きを感じさせることができる。
【0030】
赤い計算尺を形成する第二の領域11を使うことで、青い計算尺で算出した生涯賃金を「収入保障保険」という毎月定額の保険金を受け取る方式の保険で受け取ることにした場合の、現時点での受け取り保険金総額と月額保険料が容易に判る。これにより、公的保障
としての遺族年金や会社からの死亡退職金により、毎月の月収と同じ額の補填を要しないとしても、毎月いくら補填できたら安心なのかを容易に確認することができる。そして、確認したその月額を補填する場合、生涯でいくら必要になるのかを容易に確認することができる。そして、顧客が現在加入している生命保険では、顧客に万一の事があった場合に保障額が不足するというようなことを容易に認識させることが可能になる。そして、カーソル22を1段下にスライドさせると、今度は補填したい月額を保障してくれる保険(収入保障保険)の月額保険料が表示され、その額に驚いてもらうことができる。
【0031】
ところで、上記収入保障保険は、顧客に万一の事があった場合、以下のような補填額が給付される。図7Bは、一般的な保険の保険金受取総額と収入保障保険の保険金受取総額とを並べて示したグラフである。図7Bに示すように、一般的な定期保険の場合、35歳から65歳まで一貫して一定の額の保険金を受け取ることができる。一方、収入保障保険の場合、死亡時の年齢が上がるにつれて保険金受取総額が下がる。よって、収入保障保険の場合、保険金の受取総額が生涯賃金に則しており、生涯賃金を補填する保険として最適であることがわかる。
【0032】
上記実施形態に係る保険料計算尺1によれば、保険契約時の年齢に応じた保険料が保険契約の条件である保険支払額の多寡に応じて並べて表示されるため、契約すべき保険を容易に比較検討することが可能である。特に、上記保険料計算尺1によれば、生涯賃金の話で顧客に関心を抱かせた後に現在加入している保険の問題点を意識させるという流れに顧客を容易に導くことができる。そして、現在加入している保険の問題点を意識させた上で新たな保険プランを提示するという流れに顧客を容易に導くことができるため、営業マンの営業活動の一助になる。また、このような計算尺であれば営業担当者が容易に持ち歩くことが可能なので、客先に訪問した際にも営業活動を効率的に展開することが可能となる。すなわち、上記保険料計算尺1は、生命保険の話を正面から切り出しにくい保険営業マンのためのツールであり、計算尺という「おもちゃ」のようなおもしろさを喚起することが可能である。上記保険料計算尺1によれば、表紙2を開くと賃金計算面7が最初に現れる。よって、生命保険に関する話を始める前に、一般的に顧客が興味を示す生涯賃金の話を始めることができる。そして、賃金計算面7の次に保険料計算面8が現れるようになっているため、生涯賃金の話をした後に保険の話しをすることができる。このため、上記保険料計算尺1に沿って話を進めると、ストレスなく生命保険を見直してみたいというニーズが喚起され、実際の保険の設計の話に導きやすくなる。また、構成が簡単なので安価に製作することが可能であり、顧客に対して無料配布等することにより保険の販売を促進することが可能である。特に、顧客は、営業担当者が居ないときでも自ら保険料を算出することが可能であり、保険商品の検討が容易にできる。
【0033】
なお、上記実施形態では、収入保障保険の保険料の計算に適用する場合について説明したが、本発明はこのようなもののみならず、例えば、死亡保険の保険料や傷害保険の保険料等の算定に適用することも可能である。
【0034】
また、上記実施形態では、生涯賃金の算出に際し、25歳から55歳までの各年齢における生涯賃金を、月平均報酬が20万円から100万円まで10万円毎に示しているが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、図8に示すように、30歳から50歳までの各年齢における生涯賃金を、月平均報酬が30万円、40万円、50万円、70万円、および100万円の場合について示すようなスライドカードを用いてもよい。このようなスライドカードを使った保険料計算尺の外観図を図9に示す。30歳から50歳までの生涯賃金を月平均報酬が30万円、40万円、50万円、70万円、および100万円の場合について示すスライドカード4’を用いる場合、図9に示されるように、年齢表示窓21’の縁に記される年齢や賃金表示窓17’の縁に記される月平均報酬の額もこれに沿ったものとなる。なお、このような変形例は生涯賃金を算定する場合のみな
らず、保険料を算定する場合についても同様に適用可能である。図10は、本変形例に係る保険料計算尺の外観図である。上記実施形態に係る保険料計算尺1は、図10に示されるように、遺族年金の月額を20万円、30万円、40万円、50万円、および90万円の5種類に設定し、これを30歳から50歳までの場合についてそれぞれ示すように変形しても良い。
【0035】
また、上記実施形態では、保険料の算出に際し、被保険者である顧客の健康状態を区別していなかった。しかし、本発明は、例えば図9および図10に示すような、被保険者である顧客が平均的な体(普通体)である場合と非喫煙の健康体である場合とで異なる保険料を示すスライドカードを複数種類用意し、これらを顧客に応じて適宜差し替えて使っても良い。また、上記実施形態では表紙2や本体3に保険会社名等を表示していなかったが、保険会社名やその住所を表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態に係る保険料計算尺の斜視図。
【図2】第一の部材の上面図。
【図3】第一の部材の下面図。
【図4】スライドシートの上面図。
【図5】スライドシートの下面図。
【図6A】生涯賃金を計算したい場合の使用方法を示す図。
【図6B】生涯賃金を年齢ごとに示したグラフ。
【図7A】保険料を計算したい場合の使用方法を示す図。
【図7B】保険金受取総額を示すグラフ。
【図8】生涯賃金の表の変形例。
【図9】変形例に係る保険料計算尺の外観図。
【図10】変形例に係る保険料計算尺の外観図。
【図11】保険料の表の変形例。
【図12】保険料の表の変形例。
【符号の説明】
【0037】
1,1’ 保険料計算尺
2 表紙
3,3’ 本体
4,4’ スライドシート
5 収容部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保険料を計算する保険料計算尺であって、
月額保険料が保険契約時の年齢毎に記された第一の部材と、
前記月額保険料が記された前記第一の部材の表面を覆う第二の部材と、を備え、
前記第一の部材は、保険支払額の多寡に応じて設定される複数の月額保険料が年齢毎に並べて記されると共に、該第一の部材と前記第二の部材との相対的な位置関係を示すための所定の印が記されており、
前記第二の部材は、前記第一の部材に記された前記月額保険料のうち何れかの年齢に対応する複数の月額保険料を目視可能にする第一の開口部と、前記第一の部材に記された前記所定の印を目視可能にする第二の開口部と、を有しており、
前記第二の開口部に見える前記所定の印の位置が、該第二の開口部の縁に記される年齢の数列のうち何れかの年齢に合うように前記第一の部材と該第二の部材とを相対移動すると、該年齢に対応する前記複数種類の月額保険料を前記第一の開口部に表示する、
保険料計算尺。
【請求項2】
前記第二の部材は、前記第一の部材に年齢毎に並べて記された月額保険料の整列方向に沿って、該第一の部材と相対的にスライド可能であり、
前記第二の開口部は、前記第二の部材のスライド方向に延びる開口部であり、
前記年齢の数列は、前記第二の部材のスライド方向に並ぶ数列である、
請求項1に記載の保険料計算尺。
【請求項3】
前記第一の開口部は、前記第二の部材のスライド方向と略直交する方向に延びる開口部であり、
前記第一の部材は、保険支払額の多寡に応じて設定される複数の月額保険料が、前記第二の部材のスライド方向と略直交する方向に並べて記される、
請求項2に記載の保険料計算尺。
【請求項1】
保険料を計算する保険料計算尺であって、
月額保険料が保険契約時の年齢毎に記された第一の部材と、
前記月額保険料が記された前記第一の部材の表面を覆う第二の部材と、を備え、
前記第一の部材は、保険支払額の多寡に応じて設定される複数の月額保険料が年齢毎に並べて記されると共に、該第一の部材と前記第二の部材との相対的な位置関係を示すための所定の印が記されており、
前記第二の部材は、前記第一の部材に記された前記月額保険料のうち何れかの年齢に対応する複数の月額保険料を目視可能にする第一の開口部と、前記第一の部材に記された前記所定の印を目視可能にする第二の開口部と、を有しており、
前記第二の開口部に見える前記所定の印の位置が、該第二の開口部の縁に記される年齢の数列のうち何れかの年齢に合うように前記第一の部材と該第二の部材とを相対移動すると、該年齢に対応する前記複数種類の月額保険料を前記第一の開口部に表示する、
保険料計算尺。
【請求項2】
前記第二の部材は、前記第一の部材に年齢毎に並べて記された月額保険料の整列方向に沿って、該第一の部材と相対的にスライド可能であり、
前記第二の開口部は、前記第二の部材のスライド方向に延びる開口部であり、
前記年齢の数列は、前記第二の部材のスライド方向に並ぶ数列である、
請求項1に記載の保険料計算尺。
【請求項3】
前記第一の開口部は、前記第二の部材のスライド方向と略直交する方向に延びる開口部であり、
前記第一の部材は、保険支払額の多寡に応じて設定される複数の月額保険料が、前記第二の部材のスライド方向と略直交する方向に並べて記される、
請求項2に記載の保険料計算尺。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−108361(P2010−108361A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281440(P2008−281440)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(506189744)RML株式会社 (2)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(506189744)RML株式会社 (2)
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