信号処理システム及び方法
【課題】高時間分解能を実現しつつ、ADCによって生成されるデータ量を減少させ、データの記憶と管理に係る負荷を低減させることを可能にする信号処理システムを提供すること。
【解決手段】実施形態の信号処理システムは、少なくとも1つのアナログ‐デジタル変換器は、アナログ信号を所定の分解能で複数のサンプルを含むデジタル信号に変換する。トリガー検出部は、デジタル信号を分析することにより、トリガー条件が満たされるかどうかを検出する。イベント検出部は、トリガー情報に基づいてイベントを検出し、イベントが検出される場合に、時間情報を含むイベント情報を生成する。デシメーション部は、イベント情報に含まれる時間情報に基づいて1つ以上の時間ウィンドウを定義し、定義された1つ以上の時間ウィンドウに基づいてデジタル信号にデシメーションを行いデシメートされた信号を生成する。出力部は、デシメートされた信号を出力する。
【解決手段】実施形態の信号処理システムは、少なくとも1つのアナログ‐デジタル変換器は、アナログ信号を所定の分解能で複数のサンプルを含むデジタル信号に変換する。トリガー検出部は、デジタル信号を分析することにより、トリガー条件が満たされるかどうかを検出する。イベント検出部は、トリガー情報に基づいてイベントを検出し、イベントが検出される場合に、時間情報を含むイベント情報を生成する。デシメーション部は、イベント情報に含まれる時間情報に基づいて1つ以上の時間ウィンドウを定義し、定義された1つ以上の時間ウィンドウに基づいてデジタル信号にデシメーションを行いデシメートされた信号を生成する。出力部は、デシメートされた信号を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、光センサー出力信号を受信し、処理して検出されるイベントを特定し、より正確に処理するための信号処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポジトロン断層(PET:positron emission tomography)撮影では、放射性医薬品が、注入、吸入、又は経口摂取により、被検体に投与される。そして、放射性医薬品の物理的及び生体分子的な特性は、人体内の特定部位に集中する。実際の空間分布と、蓄積位置および/または蓄積領域の濃度と、投与およびキャプチャから最終排出までのプロセスの動態とは全て、臨床的重要性を持つ。このプロセスの間、放射性医薬品に付着した陽電子放射体は、半減期や分岐比率などの同位元素の物理的性質に応じて陽電子を放射する。各陽電子は目的の電子と相互作用し、対消滅し、約180°反対方向に進む511keVの2つのガンマ線を生成する。2つのガンマ線は、ガンマ線を検出するPET検出器のシンチレーション結晶でシンチレーションイベントを発生させる。これらの2つのガンマ線を検出するとともにこれらの検出位置間に、直線、すなわち「LOR(line−of−response)」を引くことにより、考えられる本来の消滅位置が導き出される。このプロセスは、こうした多数の線を蓄積しながら断層撮影再構成プロセスを通して、考えられる相互作用の1本の線を識別するだけではあるが、有効な精度で本来の分布が推定される。2つのシンチレーションイベントの位置に加え、正確なタイミング(数百ピコ秒以内)を用いることができる場合、LORに沿った消滅イベントの推定位置に関する情報を更に加えるためにTOF(time−of−flight)の計算が行われる。同位元素の固有の特性(例えば、陽電子のエネルギー)は、(2つのガンマ線の陽電子の範囲及び共直線性により)特定の放射性医薬品の空間分解能の決定に役立つ。
【0003】
上記のプロセスは、多数の消滅イベントに対して繰り返される。全てのケースを分析して所望の撮影タスクを支援するには、いくつのシンチレーションイベントを要するかを判断する必要があるが、従来、100cm長のFDG(fluoro−dexyglucose)検査では約1億のカウントまたはイベントが蓄積される。
【0004】
図1に示すように、光センサー2000からの出力パルスのリーディングエッジの検出は、従来、時間‐デジタル変換器2002に接続される閾値弁別器回路を介して行われていた。更に、PMTからのアナログ出力信号は、フィルター2003と比較的低速(<200MHzまたはMsample/sec)のアナログ‐デジタル変換器(ADC)2004とを用いてサンプリングされ、イベントのピークまたは積分はサンプリングされたデータから抽出できる。このピークまたは積分は、通常、複数の光センサーからの測定値を組み合わせることにより、イベントのエネルギーおよび位置の算出に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−41007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、閾値弁別器回路を用いる場合、PMT信号を弁別器に入力する前に、PMT信号を操作するアナログ回路が必要となる。各アナログ回路は、信号の忠実性を損なう一因となる。また、複数の閾値回路が必要となるので、信号のリーディングエッジの波形に含まれる情報が損われてリーディングエッジ計測の精度が低下する可能性がある。
【0007】
高帯域ADCを用いることで、出力信号の大きさのより良い細分性を与えられる。しかしながら、信号のリーディングエッジに含まれる大量の情報を取得するために、ADCは多数のサンプルを取得しなければならない。多数のサンプルを取得することで、ADCにより生成されるデータは大量になり、データの記憶と管理が難しくなる。
【0008】
開示される実施形態およびそれに伴う利点の多くは、添付の図面に関連づけて考えれば、以下の詳細な説明を参考にして理解するにつれて容易により詳しく理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施の形態の信号処理システムは、アナログ‐デジタル変換器(ADC)と、トリガー検出部と、イベント検出部と、デシメーション部と、出力部とを備える。少なくとも1つのアナログ‐デジタル変換器(ADC)は、センサーが出力するアナログ信号を処理するシステムであり、前記アナログ信号を所定の分解能で複数のサンプルを含むデジタル信号に変換する。トリガー検出部は、前記デジタル信号を分析することにより、トリガー条件が満たされるかどうかを検出する。イベント検出部は、前記トリガー検出部からのトリガー情報に基づいてイベントを検出し、前記イベントが検出される場合に、時間情報を含むイベント情報を生成する。デシメーション部は、前記イベント情報に含まれる前記時間情報に基づいて1つ以上の時間ウィンドウを定義し、前記定義された1つ以上の時間ウィンドウに基づいて前記デジタル信号にデシメーションを行いデシメートされた信号を生成する。出力部は、前記デシメートされた信号を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、従来のPETシステムのアナログ処理回路を示す模式図である。
【図2A】図2Aは、光センサー出力信号処理システムの一実施形態を示す模式図である。
【図2B】図2Bは、光センサー出力信号処理システムの一実施形態を示す模式図である。
【図2C】図2Cは、光センサー出力信号処理システムの一実施形態を示す模式図である。
【図3】図3は、光電子増倍管により出力される信号の一例を示す図である。
【図4】図4は、一実施形態にかかる光センサー出力信号処理システムのADCを示す図である。
【図5】図5は、一実施形態にかかる光センサー出力信号処理システムのデジタルフィルター部を示す図である。
【図6】図6は、一実施形態にかかる光センサー出力信号処理システムのトリガー検出部を示す図である。
【図7】図7は、一実施形態にかかる光センサー出力信号処理システムのダンプ制御部を示す図である。
【図8】図8は、第1のタイムベースで光センサーから取得される信号に適用される複数のウィンドウを表すグラフである。
【図9】図9は、第2のタイムベースで光センサーから取得される信号に適用される複数のウィンドウを表すグラフである。
【図10】図10は、光センサーから取得される負の信号に適用される複数のウィンドウを表すグラフである。
【図11】図11は、光センサーから取得される信号内の重複するイベントを表すグラフである。
【図12】図12は、一実施形態にかかる光センサー出力信号処理システムの出力部を示す図である。
【図13】図13は、一実施形態にかかる光センサー出力信号処理システムの基板機能部を示す図である。
【図14】図14は、記載の実施形態にかかる方法の工程を示す図である。
【図15】図15は、一実施形態にかかるコンピュータシステムを示す図である。
【図16】図16は、図2Bに示す比較器/TDCを用いる追加サンプルに加え、ADCサンプリングされたいくつかのパルスからのサンプルを表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施形態では、センサーが出力するアナログ信号を処理するシステムが説明される。このシステムは、前記アナログ出力信号を所定の分解能で複数のサンプルを含むデジタル信号に変換する少なくとも1つのアナログ‐デジタル変換器(ADC)と、前記デジタル信号を分析することにより、トリガー条件が満たされるかどうかを検出するトリガー検出部と、前記トリガー検出部からのトリガー情報に基づいてイベントを検出し、前記イベントが検出される場合に時間情報を含むイベント情報を生成するイベント検出部と、を備える。また、このシステムは、前記イベント情報に含まれる前記時間情報に基づいて1つ以上の時間ウィンドウを定義し、前記定義された1つ以上の時間ウィンドウに基づいて前記デジタル信号にデシメーションを行いデシメートされた信号を生成するデシメーション部と、前記デシメートされた信号を出力する出力部と、を備える。
【0012】
別の実施形態では、前記少なくとも1つのADCは一対のADCを備え、各ADCは前記所定の分解能に対応する周波数の一部で動作し、各ADCは、第1のADCが前記アナログ信号をサンプリングし第2のADCが前記第1のADCが取得したサンプル間で前記アナログ信号の一部をサンプリングするように、インターリーブモードで動作する。
【0013】
別の実施形態では、前記一対のADCの組み合わせサンプリングレートは1GHz以上である。
【0014】
別の実施形態では、各ADCは500MHz以上のサンプリングレートを有する。
【0015】
別の実施形態では、前記少なくとも1つのADCは一対のADCを備え、前記システムは、各ADCが前記所定の分解能に対応する周波数の一部で動作するインターリーブモードと、前記一対のADCが独立チャネルを処理する非インターリーブモードとの間で前記システムを切り替えるスイッチを更に有する。
【0016】
別の実施形態では、前記トリガー検出部は、前記デジタル信号内の所定数のデータポイントが所定の閾値を越えるものとして検出される場合、前記トリガー条件が満たされると検出する。
【0017】
別の実施形態では、前記トリガー検出部は、プログラム可能なトリガー条件に基づいて、前記トリガー条件が満たされるかどうかを検出する。
【0018】
別の実施形態では、前記システムは、前記トリガー検出部が前記デジタル信号に対してトリガー検出を行う前に、前記デジタル信号をデジタルフィルタリングするデジタルフィルタリング部を更に備える。
【0019】
別の実施形態では、前記デジタルフィルタリング部はプログラム可能である。
【0020】
別の実施形態では、1つのADCのみの出力が前記トリガー検出部へ伝えられる。
【0021】
別の実施形態では、前記イベント検出部は、前記イベントの前記検出に応じて前記イベント情報を前記システムの外部の装置に出力するように更に構成される。
【0022】
別の実施形態では、前記イベント検出部は、前記イベントの前記検出に応じて、前記イベント情報を外部装置に出力するように更に構成され、前記外部装置は、前記アナログ信号に関連するアナログ信号を変換するように構成されるADCを備える。
【0023】
別の実施形態では、前記トリガー検出部は、前記デジタル信号の導関数または前記デジタル信号のローパスフィルタリングに基づいて、トリガー条件が満たされるかどうかを検出する。
【0024】
別の実施形態では、前記デシメーション部は、1つ以上の異なるデシメーション要因を用いて、前記デジタル信号の1つ以上のセグメントにデシメーションを行う。
【0025】
別の実施形態では、前記出力部は、プログラム可能な時間ウィンドウを超える前記デジタル信号の積分に等しい値を出力する。
【0026】
別の実施形態では、前記出力部は、2つのイベントの時間ウィンドウが重なることを示すパイルアップインジケータを出力する。
【0027】
別の実施形態では、前記システムは比較器と時間‐デジタル変換器とを備える。前記比較器および前記時間‐デジタル変換器は前記アナログ出力信号内の前記イベントのリーディングエッジで取得される追加サンプリングポイントを提供する。
【0028】
別の実施形態では、前記デシメーション部は、前記アナログ出力信号内の前記イベントの前記リーディングエッジで取得される前記追加サンプリングポイントを受信し、前記追加サンプリングポイントに関する情報を前記出力部に送信し、前記追加サンプリングポイントは前記デシメートされた信号と共に出力される。
【0029】
更に、別の実施形態では、センサーが出力するアナログ信号を処理する方法が説明される。この方法は、少なくとも1つのアナログ‐デジタル変換器(ADC)を用いて、前記アナログ出力信号を所定の分解能で複数のサンプルを含むデジタル信号に変換するステップと、前記デジタル信号を分析することによりトリガー条件が満たされるかどうかを検出するステップとを含む。この方法は、トリガー条件が満たされるかどうかを検出する前記ステップから得られるトリガー情報に基づいてイベントを検出するステップと、前記イベントが検出される場合に、時間情報を含むイベント情報を生成するステップと、前記イベント情報に含まれる前記時間情報に基づいて1つ以上の時間ウィンドウを定義するステップと、前記定義された1つ以上の時間ウィンドウに基づいて前記デジタル信号にデシメーションを行いデシメートされた信号を生成するステップと、前記デシメートされた信号を出力するステップとを更に含む。
【0030】
図面に関し、いくつかの図では、同じ参照番号は同一または対応する部分を表し、特に、図2では、光電子増倍管出力信号処理システム100が示される。
【0031】
一実施形態では、図2Aに示すように、光センサー出力信号処理システム100は、少なくとも、入力段1と、ADC2と、デジタルフィルター3と、内部トリガー検出部5と、トリガーチェーン制御部4と、ダンプ制御/デシメーション部6と、出力段7とを備える。光センサー出力信号処理システム100は、光センサー出力信号内のイベントに関する重要な情報を特定しキャプチャする。光センサー出力信号は、光電子増倍管(PMT:photomultiplier tube)、シリコン光電子増幅器(SiPM:silicon photomultiplier)、アバランシェフォトダイオード(APD:avalanche photodiode)などの光センサーにより出力される。
【0032】
PMTなどの光センサーは、図3Aに示すように、シンチレーション光を検出し、アナログ信号を出力する。イベントはアナログ光センサー出力信号に反映され、アナログ光センサー出力信号はADCに入力されてデジタル信号が生成される。信号の分析には、図3Bに示すように、少なくともリーディングエッジの情報がイベントタイミング情報の抽出に用いられるという理由から、イベントのリーディングエッジが重要となる。しかしながら、図3Cに示すように、信号全体の積分はイベントのエネルギーの確立に用いることができるので、信号全体もまた重要である。信号の積分は、また、通常、ブロック検出器と称される従来の光多重化方法が採用される際に、他の光センサーからの信号と共にイベントの位置の推定に用いられる。
【0033】
この点で、光センサーを用いることは、以下の2つの要因によって困難になる。(1)イベントの主な特徴(エネルギーおよびタイミング)の抽出およびこれらのイベントに対する非常に変動しやすい到達率への対応。イベントのエネルギーおよびタイミングを取得することは、通常ノイズのある背景で行われるので容易ではない。この種の信号のアナログ基準のトリガリングおよびフィルタリングは、特殊なアナログ電子機器およびコストのかかる開発努力を要する。このタスクは、各光センサーが種々の状態に適応可能な電気回路を必要とする固有の特性(ゲイン、平均通過時間など)を有するため、より複雑になる。
【0034】
また、計数率に関する難点がある。多くの放射線検出プロセスは、ポアソン法則により非常に正確に説明される確率プロセスに従う。この法則は、平均して、イベント間の時間は1秒間に集められたカウント数の逆数であると結論づける。しかし、実際、時間は指数分布により変化する。よって、実際、システムが毎ミリ秒に1つのカウントを受け取るように設計されるが、実際には、毎秒少なくとも1000カウントを生成して、システムはそのカウントのうち約74%しかキャプチャしない。
【0035】
よって、こうした難点に対処するために、光センサー出力信号は高速ADCによりサンプリングされる。
【0036】
図2Aに示す実施形態では、光センサー出力信号処理システム100の概略を示す。この実施形態では、ADC部2は、入力段1からアナログ光センサー出力信号を受信する。ADC部は、クロック入力51を受信する。クロック入力51は、タイムベース部40にも供給される。タイムベース部40はtsynch信号52を受信し、tsynch信号52により受信光センサー出力信号処理システム100に接続される全ての同様の構成部を同期させられる。
【0037】
ADC部2は、また、デジタルフィルター部3と、マルチプレクサー41と、マルチプレクサー42とに接続される。デジタルフィルター部3は設定可能であり、ユーザが選択したパラメータを受信するための入力53を有する。マルチプレクサー41は内部トリガー検出部5に接続され、マルチプレクサー41により、ユーザは、内部トリガー検出部による内部トリガー検出のために直流ADC出力またはデジタルフィルタリングされた出力が用いられるかを選択できる。
【0038】
マルチプレクサー42は、ダンプ制御/デシメーション部6のバッファ43に接続され、マルチプレクサー42により、ユーザは、直流ADC出力またはデジタルフィルタリングされた出力がダンプ制御/デシメーション部6によりバッファされ出力イベントデータを生成するのに用いられるかを選択できる。内部トリガー検出部5は、Mux41に接続され、光センサー出力信号処理システム100からのデータを考慮するのみである。トリガー情報は、トリガリングに関する判断を行うための最終判断部であるトリガーチェーン制御部4に伝えられる。ユーザが選択したパラメータ55は、内部トリガー検出部5により受信されて内部トリガー信号の生成に用いられる。
【0039】
トリガーチェーン制御部4は、内部トリガー部5とダンプ制御/デシメーション部6との間に接続される。トリガーチェーン制御部4は、また、トリガーイン接続56とトリガーアウト接続57とを備える。ユーザが選択したパラメータ58も、トリガーチェーン制御部4により受信される。また、トリガーチェーン制御部4は、内部トリガー信号および外部トリガーイン信号などの複数の入力を受付け、イベントが発生するのか、また、イベントがどの時点で発生するのかについて判断する。
【0040】
トリガーチェーン制御部4によりイベントが発生したと判断される場合、この情報はトリガーアウト信号としてダンプ制御/デシメーション部6に伝えられる。また、トリガーチェーン制御部4が発生したと判断するイベントに応じて、ダンプ制御/デシメーション部6が起動する(ダンプ制御部が起動していない場合)。
【0041】
ダンプ制御/デシメーション部6は、トリガーチェーン制御部4と出力段7との間に接続され、ユーザが選択したパラメータ60を受信する。ADCにより取得されたデータはMux42を介してバッファ43で受信される。このデータは、タイムベース40に接続されるダンプ制御/デシメーション部6によりアクセスされる。そして、適切なデータが出力段7に出力される。
【0042】
図2Bに示す光センサー出力信号処理システム100aは、別の実施形態を示す。図2Bに示す実施形態は、追加サンプリングポイントを供給する比較器45と時間‐デジタル変換器(「TDC」)44との組み合わせを備える以外は図2Aと同様である。この追加の回路は、パルスのリーディングエッジから得た重要なタイミング情報を保持しながら低速ADCを用いる可能性を与える。比較器45とTDC44との組み合わせは、低速ADCが用いられると通常は取得が保証されないパルスのリーディングエッジでのサンプルの取得を保証するので、タイミング情報はこれらの組み合わせにより保持される。TDC44は、比較器がトリガーされる場合、(システムクロックに対し)タイムスタンプを与える点に注目すべきである。デジタル‐アナログ変換器(「DAC」)46により、ユーザは比較器45に閾値を設定できる。求められるTDC44の分解能は、対象となるシステムタイミング分解能に左右される。50ps以上の分解能はTOF(time−of−flight)が可能なシステムで用いられる分解能の一例である。図16は、システム用に設定された比較器45の閾値の一例を示す。特に、図16は、(t,V)の追加サンプルが、サンプリングされたアナログ信号のイベントのリーディングエッジで取得される様子を示す。この追加のサンプルは、ダンプ制御/デシメーション部6が時間ウィンドウの決定に用いることができ、また、イベントの到達時間をより良く推測するためのその後のプロセス工程で用いることができる。例えば、追加のサンプルは、特に、低速ADCサンプリングレートが用いられる場合に、イベントパルスの到達時間の推測を向上させるために出力信号に行われる後のプロセス工程で用いることができる。よって、追加サンプルは出力する出力段7に送信できる。
【0043】
図2Cに示す本実施形態の光センサー出力信号処理システム100bは図2Aに示す光センサー出力信号処理システム100の実施の一例である。
【0044】
図2Cに示す実施形態では、ADC部は少なくとも1つのADC2を備え、ADC2’を更に備えてもよい。1つのイベントはリーディングエッジに大量の情報を含むので、高速ADCが必要になる。例えば、少なくとも1GHzのADCが必要で、2GHzのADCが好ましく、また4GHzのADCが高速シンチレータ結晶によく適用する。更に、8ビットのADCが必要で、10ビットが好ましく、12ビットがより好ましい。
【0045】
更なる詳細は図4に示すように、光センサー出力信号は入力1を介して光センサー出力信号処理システム100に入力されるが、入力1’を介してもよい。入力1’が用いられる場合、入力1’は入力1に入力される光センサー出力信号のコピーを受信する。または、入力1’は第2光センサーから出力信号を受信できる。システム100は、1つまたは2つの入力または2つのADCに限定されず、複数の入力1’または複数のADC11’を利用してもよい。光センサー入力信号は、まず、適切なパラメータ(例えば、ゲイン等)を有する関連のプリアンプチェーンに入力される。
【0046】
また、図2Cに示すように、スイッチ150により、システムをインターリーブ(1つの入力から両ADCへ)または非インターリーブ(2つの入力から個別のADCへ)に切替えられる。
【0047】
本実施形態は、2つのADCを有し2つの入力を有するASICを用いて実施できる。このASICは、1つのアナログ入力のみが用いられ、また、180°位相差でサンプリングを行う両ADCへ転送されるように、インターリーブモードで用いられるように構成できる。または、2つの個別の入力用に構成される場合、2つのセンサーをチップに入力することができ、2つのADCはインターリーブされず、2つの信号が個別に処理されてもよい。例えば、高性能システムは各センサーに1つのチップを用いるが、低性能システムは2つのセンサーに1つのチップを用いるので、システムのコストが下がる。
【0048】
インターリーブモードで複数のADC11および11’などを利用する場合、十分なアナログ帯域を有する少なくとも一対の低サンプリングレートADCを利用し、より高速の総サンプリングレートを取得できる。例えば、1GHzのサンプリングレートが必要な場合、2つの500MHzのADCを用いられ、第2のADCは、多数のサンプルが取得できるように最初のADCからオフセットされる(インターリーブモードを用いる)。
【0049】
図4に示すADC部2では、光センサー出力信号が入力1/1’へ入力され、入力増幅器10/10’により増幅され、ADC11/11’に入力されて光センサー出力信号のサンプリングが行われる。ADC11/11’は、また、図2Cに示すように、PLL110を用いて低ジッタクロックに接続される。PLL110は、また、タイムベース40に接続され、タイムベース4はダンプ制御/デシメーション部6に接続し、また、複数の装置を備えるシステム内の全ての同様の構成部を同期させられるtsync入力52からの入力を受信する。
【0050】
ADCが光センサー出力信号をサンプリングすると、デジタル信号がデジタルフィルター3へ光学的に出力される。図5に示すように、他の種類の複雑なフィルタリングをデジタル信号に対して行うことができる。このフィルタリング工程の追加により、下流のタスクに安定性を与える。また、フィルタリングは、シンチレーション結晶の固有の特性と光センサーの周波数応答との組み合わせであるパルス形状の詳細な情報を用いてされうる。この追加のフィルタリング機能性は、残りの構造および/または用いられるシンチレータの種類とは関係なく、光センサーレベルで直接適用し難く、まさにシステムの機能である。また、フィルタリング部はプログラム可能なフィルターを部分的に備えてもよい。
【0051】
プログラム可能なデジタルフィルターからの出力は、少なくとも以下の3つの異なる構成で用いることができる。
(1)フィルターからの出力はチップの出力を生成するために用いることができる(例えば、フィルタリングされたデータは、Mux42/42’を介してダンプ制御/デシメーション部6に出力され、(フィルタリングされていない)データのコピーもまたMux41/41’を介して内部トリガー検出部5へ入力される)。
(2)フィルターからの出力は、内部トリガー検出部5への入力のみに用いることができる(例えば、フィルタリングされていないデータがMux42/42’を介してダンプ制御/デシメーション部6に出力されるが、(フィルタリングされた)データのコピーはMux41/41’を介してトリガー検出部5に出力される)。
(3)フィルターの出力は、Mux42/42’を介したダンプ制御/デシメーション部6への出力と、Mux41/41’を介した内部トリガー検出部5への出力との両出力に用いることができる。
【0052】
デジタルフィルター3が利用できるので、複数のパイルアップされたイベントを確かなイベントとして認識する内部トリガー検出部5の性能が向上する。それに対して、単純なリーディングエッジトリガーは、最初のイベントの末尾が最初に十分に落ちずに信号が閾値よりも低い場合、第2のイベントを認識しない。
【0053】
その後、デジタルフィルター部3からの出力は、Mux41/41’およびMux42/42’を介して内部トリガー検出部5およびダンプ制御部6に送信される。
【0054】
図6に示すように、デジタルフィルター部3、または、Mux41/41’を介するADC2からの出力は、内部トリガー検出部5に入力される。内部トリガー検出部5では、閾値以上の連続点の数や正または負のスロープ値などのトリガーに対する条件が分析される。また、内部トリガー検出部5は、デジタルフィルタリングされたデータを利用できるので、例えば、重複(パイルアップ)イベントが区別できる。内部トリガー検出部5による分析の結果は、光センサー出力信号内の内部トリガーまたは次回の内部トリガーを特定するものである。トリガーチェーン制御部4は、イベントが発生したかどうかを決定する最後の決定部である。
【0055】
また、デジタルフィルター(用いる場合は)からの出力を組み合わせる代わりに、各ADC2/2’は自身のビルトイントリガー分析ができる。2つのADC2/2’に供給する2つの光センサー出力信号の場合、1つのライン上のトリガーの存在が他のチャネルに伝えられることで、両チャネルから出力されるADCデータをトリガーできる。
【0056】
図6に示すトリガーチェーン制御部4は、多様なソースからトリガー情報を受信することができ、全ての受信情報を考慮し、イベントが発生したかどうかを判断できる。トリガーチェーン制御部4は、内部トリガー検出部5、補助トリガー入力56a、および外部トリガー入力56bからの入力を受信する。トリガーチェーン制御部4は、ユーザが選択したパラメータを用いて、異なるトリガー入力に異なる重み付けを行うようにプログラム可能である。
【0057】
56a/56bを介した、内部トリガー検出部5および/または他の装置200/300からの情報に基づいてトリガーを検出すると、このトリガー情報を光センサー出力信号処理システム100の外部に伝えられるので、検出プロセスに関連する回路の他の構成部が自身のデータ特定および通信工程を開始できる。例えば、光センサー出力信号処理システム100が1つ以上の追加光センサー出力信号処理装置200/300に接続できる。トリガーチェーン制御部4は、トリガー検出部5および/または他の装置からの情報を受信し、イベントが発生したかどうかを判断する。この情報は、その後、追加光センサー出力信号処理装置200/300などの回路の他の構成部に伝えられる。他の装置に伝えられたトリガー情報は、時間情報(例えば、「タイムベース」からのマスタークロックサイクル数)と光センサーID情報とを含んでも良い。追加光センサー出力信号処理装置200/300は、イベントが検出されたことを示すこの情報を用いて、追加光センサー出力信号処理装置200/300で局所的に取得されたデータに対し特定されたダンプ制御または他のプロセスを行う。
【0058】
また、上述のように、トリガーチェーン制御部4は、追加光センサー出力信号処理装置200/300から情報を受信できる。この受信される情報は、追加光センサー出力信号処理装置200/300で検出されたトリガーについての情報または他の情報を含むことができる。
【0059】
このトリガーチェーン制御部4は、追加光センサー出力信号処理装置200/300または追加光センサー出力信号処理装置200/300が接続されるシステムバスに接続できる。トリガーチェーン制御部4は、実際はバスから選択的に情報を取得する特定の追加光センサー出力信号処理装置200/300からの情報のみを受信するようにプログラム可能である。また、トリガーチェーン制御部4は、特定の(全てではない)追加光センサー出力信号処理装置200/300および/または内部トリガー検出部からの情報を考慮してイベントを特定するように構成できる。または、追加光センサー出力信号処理装置200/300は、光センサー出力信号処理システム100と同様の光センサーに接続できる。
【0060】
トリガーチェーン制御部4は、トリガーチェーン制御部4で受信される情報に付加されるIDに基づいて所定の情報を特定するように構成される。このIDは、情報が特定の光センサーに対応する情報であると特定する。そして、この情報は、テーブルまたは他の予め記憶された情報と比較されることで、トリガーチェーン制御部4はイベントが起こったかを判断する際にこの情報を評価できる。また、トリガーチェーン制御部4は、情報に付加されたIDを用いてどの情報がバスから取得されたのかを選択的にフィルタリングできる。
【0061】
よって、トリガーチェーン制御部4は、内部トリガー検出部5から受信した情報に基づいて、内部制御検出部5から受信する情報に基づいて、追加光センサー出力信号処理装置200/300から受信する情報に基づいて、更に/またはトリガー検出につながった信号を生成した光センサーの位置または重要性に関する情報に基づいて、イベントが起こったかどうか、また、ダンプ制御を変更すべきかを判断する。
【0062】
トリガーチェーン制御部4は、光センサー出力信号処理システム100が異なる隣接する光センサーからのトリガーに反応できるようにするプログラム可能な制御部とすることができる。更に、プログラ可能な制御部は、実行中に再プログラムされてもよい。このプログラミングは、基板機能部8を通じて実現される。この特徴は、スキャン中にカウントレートが桁で変化する検査(例えば、心臓撮影用Rb‐82)で有効である。高カウントレートでは、光センサーのより小さな領域に関する情報を1つのイベントに対して取得することができ(イベントの発生源に非常に近いわけではない光センサーの前回のイベントの末尾からのノイズを回避するため、また、処理の必要があるデータの総量を制限するため)、低カウントレートでは、光センサーのより大きな領域に関する情報を各イベントに対して取得できる。制御部がプログラム可能なことにより、光センサー出力信号処理システム100は標準論理(AND、ORやまたその組み合わせ)を用いて説明できる(他の光センサー内)トリガーイベントの組み合わせによりトリガーされる。
【0063】
トリガー検出部5は、トリガリング発生の開始に関する情報およびトリガリング発生の終了に関する情報の両方を取得する。この情報は、トリガーチェーン制御部4を支援し、後にどのデータを破棄してどのデータを出力段7に伝えるかの判断でダンプ制御/デシメーション部6を支援する。
【0064】
図7に示すように、ダンプ制御部6は、通常求められるまたは関係のある情報を含む信号パルスの関連部分を特定し、関連しない部分をダンプ、デシメート、または破棄する。パルスの関連部分は、パルスの検出以前に取得されたポイントとパルスが検出された後の予め設定しておいたデータ量(または時間)とを含む。また、パルスが検出された後、或いは、前に取得されるデータ量または時間は、データに対する目的の利用に応じて動的に決定される。関連するものとして特定されたデータパケットは、組み合わせたチャネルまたは個別の各チャネル用に、ダンプ制御部6から出力段7に連続して送信される。
【0065】
なお、関連すると判断されたデータのサブセットは、トリガーの検出前にADCポイントを含んでもよい(通常は含む)。図7に示すように、バッファ43/43’により、このデータを取得して出力段7に伝えられる。
【0066】
図7に示すように、直接またはフィルタリング部3を介して送信されるADC部2/2’からのデータはバッファ43/43’およびMux42/42’を介してダンプ制御部6により受信される。複数のADC2’が用いられる場合、対応する数のバッファ43’およびMux42’を用いてもよい。または、ADC2’の数とは異なる数のバッファ43’およびMux42’を用いてもよい。
【0067】
ダンプ制御/デシメーション部6は、信号のどの部分を出力段7に伝えるべきか、また、信号のどの部分を破棄、デシメート、またはダンプすべきかを示すトリガーチェーン制御部4からの情報を受信する。
【0068】
ダンプ制御/デシメーション部6は、トリガーチェーン制御部4からのトリガー情報の受信に基づいて、どのデータを破棄すべきかを判断するための多数の異なる技術を用いることができる。例えば、1つ以上のデシメーション要因(データの減少を示さない単一のものであってもよい)を用いて、1つ以上の時間ウィンドウを規定することにより、データ出力量が制限できる。超高速サンプリングレートでは、全てのデータが出力されようとすると送受信機は超高速データレートを調整しなければならないので、こうした判断は重要である。(ウィンドウおよびデシメーションを用いて)制限されたデータ量のみを転送する必要がある場合、低速かつ低出力の送受信機を用いることができる。
【0069】
ダンプ制御/デシメーション部6は、タイムベース40にも接続される。タイムベース40は、マスタークロックサイクルをカウントするカウンターである。本実施形態を用いるPETシステムなどの光センサーシステムは、これらの構成部のいくつかを備える。各装置のタイムベース40は、Tsynch入力52によりゼロに設定され、これにより、タイムベース40は各装置を同期させられる。
【0070】
ガンマ線到達の正確なタイミング情報は、フルタイミング情報を保護できるようにする高帯域およびサンプリングレート(複数のGHz以上)でキャプチャできるパルスリーディングエッジを検査することにより得られる。光センサーシステムは、タイミングに加え、ガンマ相互作用の位置およびイベントのエネルギーを特定できる。位置およびエネルギーの算出は、パルス全体(パルスの積分)についての情報を必要とするが、非常に低い帯域およびサンプリングレートの要件がある。パルス全体、すなわち、全サンプルをフルサンプルレートで伝えることは1つの選択肢ではあるが、これには超高速データ転送率が必要となる。
【0071】
しかし、タイミング、位置、およびエネルギーの決定に関連する情報を保護しながら求められるデータ転送速度を下げることができる。これを実現する方法の1つに、異なるデシメーション要因、例えば、ダウンサンプリングが続く低パスフィルター、を用いて複数の時間ウィンドウを用いることが挙げられる。例えば、図8に示すように、パルスのリーディングエッジ近くのポイントに対し、最大サンプルレートが出力される最大分解能ウィンドウとして第1のウィンドウを規定することができ、これによりタイミング情報内の精度が上がる。第2のウィンドウは、リーディングエッジの後に取得されるサンプルを含むものとして規定することができ、より低いレート、例えば、100MHzで1つの出力がデシメートされる。リーディングエッジの後の第2のウィンドウからのデシメートされたサンプルは、エネルギーおよび位置の算出に用いることができる。第3のウィンドウは、異なるデシメーション要因を用いて、リーディングエッジの前に取得されるサンプルを含むものとして規定できる。この第3ウィンドウからのサンプルは、例えば、パイルアップ補正アルゴリズムで用いることができる。回路バッファとなり得るサンプルバッファ43/43’の存在により、トリガーより前にサンプルを含めることが可能となる。図10は、多種のウィンドウをハイライトする負のパルスを示す。図8および図9は、正のパルスを示す。図9は図8に似ているが、タイムベースが異なる。ウィンドウおよびデシメーションの概念は、信号の極性に左右されない。
【0072】
図11に示すように、複数のパルスが存在する中、異なるパルスからの複数の時間ウィンドウが重なる可能性がある。しかし、システムは、プログラム可能な積分時間を超える信号の積分である第1追加出力を有してもよい。この出力は、エネルギーおよび位置の判断に用いることができる。システムは、また、「第2」トリガーが「第1」トリガーに対して出力されている信号のいずれかの部分に生成されたかどうかを示す第2追加出力を有しても良い。このパイルアップ表示は、「第1」および「第2」パルスの双方に実行されるべきであるパイルアップ補正を示すものとして下流プロセッサによって用いられることができる。
【0073】
ダンプ制御部6がどんなデータが出力段7に伝えられ、どんなデータが破棄されるべきかなどを決定すると、ダンプ制御部6は、第1および第2追加出力に伴う可能性がある保存デジタルデータを出力段7に伝える。図12に示すように、出力段7は、パケット構成部19と、TXバッファ20と、LVDS(low voltage differential signalong)出力21と、位相ロックループ(PLL:phase locked loop)部22とを備える。出力段7は、出力するデータを準備する。出力段7の他の実施が可能である。
【0074】
PLL部22は、図13に示すように、基板機能部8が備えるクロックに接続される。基板機能部8は、制御可能な基板の機能を実施する。基板機能部8は独立通信リンクを備え、独立通信リンクは、デジタルフィルター構成、トリガー条件、プリアンプ設定、および通信設定などの多様なパラメータをアップロードするための外部アクセスを可能にする。基板機能部8は、テスト制御部23とJTAG制御部24とを備える。更に、ユーザ入力70を介して受信されるユーザプログラム可能設定の値を記憶するレジスタであるレグファイル25を備える。基板機能部8は、更に、SPIインターフェース26と参照クロックとを備える。SPIインターフェース26は、通信リンクとして機能する。なお、他の種類の通信リンクも可能である。ユーザ入力70は、図2Aに示すユーザの選択による多様なパラメータに対応する。
【0075】
図14は、本明細書で説明する一実施形態の方法全体を示す。ステップS1において、光センサー出力信号処理システム100に接続される光センサー(「PS」)により出力されるアナログ信号は、光センサー出力信号処理システム100のADC部2により受信される。ステップS2において、ADC部2はアナログ信号からデジタルデータを取得する。上述のように、ADC部2は、アナログ光センサー信号のサンプリングに1つ以上のADCを用いることができる。
【0076】
そして、ADC部2により取得されたデジタルデータは、デジタルフィルター部3に出力および/または直接内部トリガー検出部5とダンプ制御部6とに出力される。データがデジタルフィルター部3に出力されると、デジタルデータをフィルタリングするステップS3が実行される。そして、ステップ4において、ステップS3でフィルタリングが行われるデータまたはADC部から直接取得されるデジタルデータに、内部トリガー検出が行われる。内部トリガー検出では、デジタルデータが分析されてトリガーが満たされるかどうか判断される。トリガー検出は、新デジタルデータが連続して内部トリガー検出部5に出力されているので、オンザフライプロセスである。
【0077】
ステップS5では、トリガー検出部5によりトリガーが検出されると、トリガー情報がトリガーチェーン制御部4に送信される。ステップS6では、追加PMT出力信号処理装置200/300は、情報をトリガーチェーン制御部4にリレーする。例えば、トリガーの検出に関する情報が追加PMT出力信号処理装置200/300で局所的に検出された場合、この情報は送信されトリガーチェーン制御部4により受信される。
【0078】
ステップS7においては、トリガーチェーン制御部4は、内部トリガー検出部5から受信された情報に基づいて、追加光センサー出力信号処理装置200/300でトリガーが検出されたことを示す受信された情報に基づいて、さらに/または、トリガー検出につながった信号を生成した光センサーの位置または重要性についての情報に基づいて、イベントが起こったかどうかを判断する。検出されたイベントに関する情報は、このステップで、通知として追加光センサー出力信号処理装置200/300に送信できる。
【0079】
ステップS8では、トリガーチェーン制御部4によりイベントが発生したと判断されると、この情報は破棄/デシメーションウィンドウを決定するダンプ制御部6に送信される。このウィンドウは、情報から破棄される特定量のデータを有する信号の一部分を示す。また、テーブルやアルゴリズムに基づいて、或いは、基板機能部8を介した外部入力によって、特定のウィンドウに対して実行されるデシメーションの量と、イベントのリーディングエッジと比較されるウィンドウのサイズ又は位置とを内部で動的に調整できる。
【0080】
ステップS9では、ダンプ制御部6が信号のどの部分を破棄/デシメートするかを決定すると、デジタルデータが破棄/デシメートされる。そして、ステップS10で、残りのデータが出力段7へ転送される。なお、ステップS9およびS10は同時に行うことができる。
【0081】
いくつかの形態のコンピュータプロセッサを用いて、少なくともデジタルフィルター3と、内部トリガー検出部5と、トリガーチェーン制御部4と、ダンプ制御部6とが実施できる。当業者が理解するように、コンピュータプロセッサは離散論理ゲートとして、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Filed Programmable Gate Array)、または他のCPLD(Complex Programmable Logic Device)として実施される。FPGAまたはCPLDの実施はVHDL、Verilog、または他のハードウェア記述言語でコード化されてもよく、コードは直接FPGAまたはCPLD内で、または独立した電子メモリとしての電子メモリに記憶されてもよい。更に、電子メモリは、ROM、EPROM、EEPROM、またはFLASHメモリなどの不揮発性メモリであってもよい。電子メモリは、また、静的または動的なRAMなどの揮発性であってもよく、マイクロコントローラやマイクロプロセッサなどのプロセッサを設けて電子メモリと、それに加え、FPGAまたはCPLDと電子メモリとの間の相互作用とを管理してもよい。
【0082】
または、コンピュータプロセッサは、本明細書で説明する機能を実行するコンピュータ読み取り可能な一連の命令を含むコンピュータプログラムを実行してもよく、このコンピュータプログラムは上記の持続性電子メモリのいずれかにおよび/またはハードディスクドライブ、CD、DVD、FLASHドライブ、または他の公知の記憶メディアに記憶される。更に、コンピュータ読み取り可能な命令は、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、またはオペレーティングシステムの構成部、もしくは、それらの組み合わせとして提供され、アメリカのIntel社製のXenon(登録商標)プロセッサまたはアメリカのAMD社製のOpteron(登録商標)プロセッサ、またはMicrosoft VISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、Apple(登録商標)、MAC‐OSX(登録商標)および当業者に公知の他のオペレーティングシステムなどのオペレーティングシステムと併せて実行してもよい。
【0083】
また、出力段7から出力されたデータは、コンピュータベースのシステム1000を用いて処理されてイベントのエネルギーやタイミングなどが取得される。コンピュータ1000は、バスBまたは情報をやりとりするための他の通信メカニズムと、情報処理のためにバスBと接続しているプロセッサ/CPU1004とを備える。コンピュータ1000は、また、情報およびプロセッサ/CPU1004が実行する命令を記憶するためにバスBと接続しているRAM(Ransom Access Memory)や他の動的記憶装置(例えば、動的RAM(DRAM)、静的RAM(SRAM)および同期DRAM(SDRAM)を備える。また、メモリユニット1003は、CPU1004による命令の実行の間一時的な変数または他の中間情報を記憶するために用いられてもよい。コンピュータ1000は、更に、CPU104に対する静的情報および命令を記憶するためにバスBに接続される、ROM(Read Only Memory)または他の静的記憶装置(例えば、プログラム可能なROM(PROM))、消去可能なPROM(EPROM)、電気的に消去可能なPROM(EEPROM))を備えてもよい。
【0084】
コンピュータ1000は、また、バスBに接続されて、大容量記憶装置1002など、情報および命令を記憶するための1つ以上の記憶装置を制御するディスクコントローラと、ドライブ装置1006(例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、読み取り専用コンパクトディスクドライブ、読み取り/書き込みコンパクトディスクドライブ、コンパクトディスクジュークボックス、テープドライブ、および取り外し可能な光磁気ドライブ)を備えてもよい。この記憶装置は、適当な装置インターフェース(例えば、SCSI(Small Computer System Interface)、IDE(Integrated Device Electronics)、E−IDE(Enhanced−IDE),DMA(Direct Memory Access)、またはUltra‐DMA)を用いてコンピュータ1000に加えられてもよい。
【0085】
コンピュータ100は、また、特殊用途の論理装置(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit))と設定可能な論理装置(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device))、およびFPGA(Field Programmable Gate Array)とを備えてもよい。
【0086】
コンピュータ100は、また、バスBに接続されて、コンピュータユーザに情報を表示するためのディスプレイを制御する、CRT(Cathode Ray Tube)などのディスプレイ制御部を備えてもよい。コンピュータシステムは、コンピュータユーザとやりとりするとともにプロセッサに情報を提供するための、キーボードやポインティングデバイスなどの入力装置を備える。ポインティングデバイスは、例えば、方向情報およびコマンド選択をプロセッサとやりとりしディスプレイ上のカーソル動作を制御するためのマウス、トラックボール、またはポインティングスティックである。また、プリンターは、コンピュータシステムが記憶および/または生成する印刷されたリストを提供してもよい。
【0087】
コンピュータ1000は、メモリ部1003などのメモリが含む1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するCPU1004に応じて、本発明の処理工程の少なくとも一部を行う。こうした命令は、大容量記憶装置1002または取り外し可能なメディア1001などの別のコンピュータ読み取り可能な媒体からメモリ部に読み込んでもよい。マルチプロセシング配列の1つ以上のプロセッサは、メモリ部1003に含まれる命令シーケンスを実行するために用いられる。別の実施形態では、ソフトウェア命令の代わりにまたはソフトウェア命令と組み合わせてハードワイヤード回路を用いても良い。よって、実施形態は、ハードウェア回路およびソフトウェアの組み合わせに限定されない。
【0088】
上述したように、コンピュータ1000は、少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体1001、または本発明の教示によりプログラムされた命令を保持しデータ構成、テーブル、記録、またはそこに記述される他のデータを含むためのメモリを備える。コンピュータ読み取り可能な媒体の一例として、コンパクトディスク、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、テープ、光磁気ディスク、PROM(EPROM、EEPROM、FlashEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM、または他の磁気媒体、コンパクトディスク(例えばCD−ROM)、またはコンピュータが読み取みとり可能な他の媒体が挙げられる。
【0089】
本発明は、コンピュータ読み取り可能な媒体のいずれか1つまたは組み合わせに記憶されるソフトウェアであり、主処理部1004を制御し、本発明を実施する1つ以上の装置を駆動し、かつメイン処理部1004が人であるユーザとやりとりすることを可能にするソフトウェアを備える。こうしたソフトウェアは、装置ドライバー、オペレーティングシステム、開発ツール、およびアプリケーションソフトウェアを備えてもよいが、これらに限定されるものではない。こうしたコンピュータ読み取り可能な媒体は、更に、本発明を実施する際に行われる処理の全てまたは一部(もし、処理が阻害された場合)を行うために本発明のコンピュータプログラムプロダクトを備える。
【0090】
本発明の媒体上のコンピュータコード要素は、解釈可能または実行可能なコードメカニズムであってもよく、そのコードメカニズムには、スクリプト、解釈可能なプログラム、DLL(Dynamic Link Librariy)、Java(登録商標)クラス、および完全に実行可能なプログラムが含まれるが、これらに限定されない。更に、本発明の処理の一部は、より良い性能、信頼性および/またはコストを目的として配布されてもよい。
【0091】
本明細書で用いられる「コンピュータ読み取り可能な媒体」という言葉は、CPU1004に実行命令を与えることに関わる媒体を指す。コンピュータ読み取り可能な媒体は多くの形態をとってもよく、不揮発性媒体および揮発性媒体も含まれるが、これらに限定されない。不揮発性媒体は、例えば、大容量記憶部1002または取り外し可能な媒体1001などの、光ディスク、磁気ディスク、および光磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メモリ部1003などの動的メモリを含む。
【0092】
多様な形態のコンピュータ読み取り可能媒体が、実行用のCPU1004に対する1つ以上の命令の1つ以上シーケンスの実行に関わってもよい。例えば、命令がまずリモートコンピュータの磁気ディスク上で実行されてもよい。バスBに接続される入力は、データを受信しそのデータをバスB上に配置させられる。バスBは、CPU1004が命令を検索して実行するメモリ部1003にデータを届ける。メモリ部1003により受信される命令は、CPU1004による実行の前または後に大容量記憶部1002に光学的に記憶されてもよい。
【0093】
コンピュータ1000はまた、バスBに接続される通信インターフェース1005を備える。通信インターフェース1004は、例えば、LAN(Local Area Network)またはインターネットなどの別の通信ネットワークに接続される2方向のデータ通信を提供する。例えば、通信インターフェース1005は、パケット交換LANに取り付けるネットワークインターフェースカードであってもよい。別の例として、通信インターフェース1005は、ADSL(Asymmetrical Digital Subscriber Line)カード、ISDN(Integrated Services Digital Network)カード、または対応する種類の通信ラインにデータ通信接続を提供するモデムであってもよい。ワイヤレスリンクが実施されてもよい。このような実施では、通信インターフェース1005は、各種情報を表すデジタルデータストリームを届ける電気的、電磁的、または光学的な信号を送受信する。
【0094】
ネットワークは、通常、1つ以上のネットワークを介して他のデータ装置にデータ通信を提供する。例えば、ネットワークは、ローカルネットワーク(例えばLAN)を介して、または通信ネットワークを介して通信サービスを提供するサービスプロバイダにより操作される機器を介して、別のコンピュータへの接続を提供する。ローカルネットワークおよび通信ネットワークは、例えば、デジタルデータストリームを届ける電気的、電磁的、または光学的な信号とそれに伴う物理層(例えば、CAT5ケーブル、同軸ケーブル、光学ファイバーなど)とを用いる。更に、ネットワークは、PDA(Personal Digital Assistant)ラップトップコンピュータまたは携帯電話などの移動装置への接続を提供してもよい。
【0095】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の信号処理システム及び方法によれば、高時間分解能を実現しつつ、ADCによって生成されるデータ量を減少させ、データの記憶と管理に係る負荷を低減させることを可能にする。
【0096】
特定の実施形態を説明してきたが、これらは一例として示されたものにすぎず、発明の範囲を限定するものではない。本明細書に記載された新しい方法およびシステムは様々な別の形態で具体化することができ、更に、本明細書に記載の方法およびシステムの形態の各種の削除、置換、変更、を本発明の趣旨の範囲内で行うことができる。別紙のクレームおよびその同等物は、本発明の趣旨と範囲内であるものとしてこうした形態や変形例をカバーするものとする。
【符号の説明】
【0097】
2 ADC
4 トリガーチェーン制御部
5 内部トリガー検出部
6 ダンプ制御/デシメーション部
7 出力段
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、光センサー出力信号を受信し、処理して検出されるイベントを特定し、より正確に処理するための信号処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポジトロン断層(PET:positron emission tomography)撮影では、放射性医薬品が、注入、吸入、又は経口摂取により、被検体に投与される。そして、放射性医薬品の物理的及び生体分子的な特性は、人体内の特定部位に集中する。実際の空間分布と、蓄積位置および/または蓄積領域の濃度と、投与およびキャプチャから最終排出までのプロセスの動態とは全て、臨床的重要性を持つ。このプロセスの間、放射性医薬品に付着した陽電子放射体は、半減期や分岐比率などの同位元素の物理的性質に応じて陽電子を放射する。各陽電子は目的の電子と相互作用し、対消滅し、約180°反対方向に進む511keVの2つのガンマ線を生成する。2つのガンマ線は、ガンマ線を検出するPET検出器のシンチレーション結晶でシンチレーションイベントを発生させる。これらの2つのガンマ線を検出するとともにこれらの検出位置間に、直線、すなわち「LOR(line−of−response)」を引くことにより、考えられる本来の消滅位置が導き出される。このプロセスは、こうした多数の線を蓄積しながら断層撮影再構成プロセスを通して、考えられる相互作用の1本の線を識別するだけではあるが、有効な精度で本来の分布が推定される。2つのシンチレーションイベントの位置に加え、正確なタイミング(数百ピコ秒以内)を用いることができる場合、LORに沿った消滅イベントの推定位置に関する情報を更に加えるためにTOF(time−of−flight)の計算が行われる。同位元素の固有の特性(例えば、陽電子のエネルギー)は、(2つのガンマ線の陽電子の範囲及び共直線性により)特定の放射性医薬品の空間分解能の決定に役立つ。
【0003】
上記のプロセスは、多数の消滅イベントに対して繰り返される。全てのケースを分析して所望の撮影タスクを支援するには、いくつのシンチレーションイベントを要するかを判断する必要があるが、従来、100cm長のFDG(fluoro−dexyglucose)検査では約1億のカウントまたはイベントが蓄積される。
【0004】
図1に示すように、光センサー2000からの出力パルスのリーディングエッジの検出は、従来、時間‐デジタル変換器2002に接続される閾値弁別器回路を介して行われていた。更に、PMTからのアナログ出力信号は、フィルター2003と比較的低速(<200MHzまたはMsample/sec)のアナログ‐デジタル変換器(ADC)2004とを用いてサンプリングされ、イベントのピークまたは積分はサンプリングされたデータから抽出できる。このピークまたは積分は、通常、複数の光センサーからの測定値を組み合わせることにより、イベントのエネルギーおよび位置の算出に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−41007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、閾値弁別器回路を用いる場合、PMT信号を弁別器に入力する前に、PMT信号を操作するアナログ回路が必要となる。各アナログ回路は、信号の忠実性を損なう一因となる。また、複数の閾値回路が必要となるので、信号のリーディングエッジの波形に含まれる情報が損われてリーディングエッジ計測の精度が低下する可能性がある。
【0007】
高帯域ADCを用いることで、出力信号の大きさのより良い細分性を与えられる。しかしながら、信号のリーディングエッジに含まれる大量の情報を取得するために、ADCは多数のサンプルを取得しなければならない。多数のサンプルを取得することで、ADCにより生成されるデータは大量になり、データの記憶と管理が難しくなる。
【0008】
開示される実施形態およびそれに伴う利点の多くは、添付の図面に関連づけて考えれば、以下の詳細な説明を参考にして理解するにつれて容易により詳しく理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施の形態の信号処理システムは、アナログ‐デジタル変換器(ADC)と、トリガー検出部と、イベント検出部と、デシメーション部と、出力部とを備える。少なくとも1つのアナログ‐デジタル変換器(ADC)は、センサーが出力するアナログ信号を処理するシステムであり、前記アナログ信号を所定の分解能で複数のサンプルを含むデジタル信号に変換する。トリガー検出部は、前記デジタル信号を分析することにより、トリガー条件が満たされるかどうかを検出する。イベント検出部は、前記トリガー検出部からのトリガー情報に基づいてイベントを検出し、前記イベントが検出される場合に、時間情報を含むイベント情報を生成する。デシメーション部は、前記イベント情報に含まれる前記時間情報に基づいて1つ以上の時間ウィンドウを定義し、前記定義された1つ以上の時間ウィンドウに基づいて前記デジタル信号にデシメーションを行いデシメートされた信号を生成する。出力部は、前記デシメートされた信号を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、従来のPETシステムのアナログ処理回路を示す模式図である。
【図2A】図2Aは、光センサー出力信号処理システムの一実施形態を示す模式図である。
【図2B】図2Bは、光センサー出力信号処理システムの一実施形態を示す模式図である。
【図2C】図2Cは、光センサー出力信号処理システムの一実施形態を示す模式図である。
【図3】図3は、光電子増倍管により出力される信号の一例を示す図である。
【図4】図4は、一実施形態にかかる光センサー出力信号処理システムのADCを示す図である。
【図5】図5は、一実施形態にかかる光センサー出力信号処理システムのデジタルフィルター部を示す図である。
【図6】図6は、一実施形態にかかる光センサー出力信号処理システムのトリガー検出部を示す図である。
【図7】図7は、一実施形態にかかる光センサー出力信号処理システムのダンプ制御部を示す図である。
【図8】図8は、第1のタイムベースで光センサーから取得される信号に適用される複数のウィンドウを表すグラフである。
【図9】図9は、第2のタイムベースで光センサーから取得される信号に適用される複数のウィンドウを表すグラフである。
【図10】図10は、光センサーから取得される負の信号に適用される複数のウィンドウを表すグラフである。
【図11】図11は、光センサーから取得される信号内の重複するイベントを表すグラフである。
【図12】図12は、一実施形態にかかる光センサー出力信号処理システムの出力部を示す図である。
【図13】図13は、一実施形態にかかる光センサー出力信号処理システムの基板機能部を示す図である。
【図14】図14は、記載の実施形態にかかる方法の工程を示す図である。
【図15】図15は、一実施形態にかかるコンピュータシステムを示す図である。
【図16】図16は、図2Bに示す比較器/TDCを用いる追加サンプルに加え、ADCサンプリングされたいくつかのパルスからのサンプルを表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施形態では、センサーが出力するアナログ信号を処理するシステムが説明される。このシステムは、前記アナログ出力信号を所定の分解能で複数のサンプルを含むデジタル信号に変換する少なくとも1つのアナログ‐デジタル変換器(ADC)と、前記デジタル信号を分析することにより、トリガー条件が満たされるかどうかを検出するトリガー検出部と、前記トリガー検出部からのトリガー情報に基づいてイベントを検出し、前記イベントが検出される場合に時間情報を含むイベント情報を生成するイベント検出部と、を備える。また、このシステムは、前記イベント情報に含まれる前記時間情報に基づいて1つ以上の時間ウィンドウを定義し、前記定義された1つ以上の時間ウィンドウに基づいて前記デジタル信号にデシメーションを行いデシメートされた信号を生成するデシメーション部と、前記デシメートされた信号を出力する出力部と、を備える。
【0012】
別の実施形態では、前記少なくとも1つのADCは一対のADCを備え、各ADCは前記所定の分解能に対応する周波数の一部で動作し、各ADCは、第1のADCが前記アナログ信号をサンプリングし第2のADCが前記第1のADCが取得したサンプル間で前記アナログ信号の一部をサンプリングするように、インターリーブモードで動作する。
【0013】
別の実施形態では、前記一対のADCの組み合わせサンプリングレートは1GHz以上である。
【0014】
別の実施形態では、各ADCは500MHz以上のサンプリングレートを有する。
【0015】
別の実施形態では、前記少なくとも1つのADCは一対のADCを備え、前記システムは、各ADCが前記所定の分解能に対応する周波数の一部で動作するインターリーブモードと、前記一対のADCが独立チャネルを処理する非インターリーブモードとの間で前記システムを切り替えるスイッチを更に有する。
【0016】
別の実施形態では、前記トリガー検出部は、前記デジタル信号内の所定数のデータポイントが所定の閾値を越えるものとして検出される場合、前記トリガー条件が満たされると検出する。
【0017】
別の実施形態では、前記トリガー検出部は、プログラム可能なトリガー条件に基づいて、前記トリガー条件が満たされるかどうかを検出する。
【0018】
別の実施形態では、前記システムは、前記トリガー検出部が前記デジタル信号に対してトリガー検出を行う前に、前記デジタル信号をデジタルフィルタリングするデジタルフィルタリング部を更に備える。
【0019】
別の実施形態では、前記デジタルフィルタリング部はプログラム可能である。
【0020】
別の実施形態では、1つのADCのみの出力が前記トリガー検出部へ伝えられる。
【0021】
別の実施形態では、前記イベント検出部は、前記イベントの前記検出に応じて前記イベント情報を前記システムの外部の装置に出力するように更に構成される。
【0022】
別の実施形態では、前記イベント検出部は、前記イベントの前記検出に応じて、前記イベント情報を外部装置に出力するように更に構成され、前記外部装置は、前記アナログ信号に関連するアナログ信号を変換するように構成されるADCを備える。
【0023】
別の実施形態では、前記トリガー検出部は、前記デジタル信号の導関数または前記デジタル信号のローパスフィルタリングに基づいて、トリガー条件が満たされるかどうかを検出する。
【0024】
別の実施形態では、前記デシメーション部は、1つ以上の異なるデシメーション要因を用いて、前記デジタル信号の1つ以上のセグメントにデシメーションを行う。
【0025】
別の実施形態では、前記出力部は、プログラム可能な時間ウィンドウを超える前記デジタル信号の積分に等しい値を出力する。
【0026】
別の実施形態では、前記出力部は、2つのイベントの時間ウィンドウが重なることを示すパイルアップインジケータを出力する。
【0027】
別の実施形態では、前記システムは比較器と時間‐デジタル変換器とを備える。前記比較器および前記時間‐デジタル変換器は前記アナログ出力信号内の前記イベントのリーディングエッジで取得される追加サンプリングポイントを提供する。
【0028】
別の実施形態では、前記デシメーション部は、前記アナログ出力信号内の前記イベントの前記リーディングエッジで取得される前記追加サンプリングポイントを受信し、前記追加サンプリングポイントに関する情報を前記出力部に送信し、前記追加サンプリングポイントは前記デシメートされた信号と共に出力される。
【0029】
更に、別の実施形態では、センサーが出力するアナログ信号を処理する方法が説明される。この方法は、少なくとも1つのアナログ‐デジタル変換器(ADC)を用いて、前記アナログ出力信号を所定の分解能で複数のサンプルを含むデジタル信号に変換するステップと、前記デジタル信号を分析することによりトリガー条件が満たされるかどうかを検出するステップとを含む。この方法は、トリガー条件が満たされるかどうかを検出する前記ステップから得られるトリガー情報に基づいてイベントを検出するステップと、前記イベントが検出される場合に、時間情報を含むイベント情報を生成するステップと、前記イベント情報に含まれる前記時間情報に基づいて1つ以上の時間ウィンドウを定義するステップと、前記定義された1つ以上の時間ウィンドウに基づいて前記デジタル信号にデシメーションを行いデシメートされた信号を生成するステップと、前記デシメートされた信号を出力するステップとを更に含む。
【0030】
図面に関し、いくつかの図では、同じ参照番号は同一または対応する部分を表し、特に、図2では、光電子増倍管出力信号処理システム100が示される。
【0031】
一実施形態では、図2Aに示すように、光センサー出力信号処理システム100は、少なくとも、入力段1と、ADC2と、デジタルフィルター3と、内部トリガー検出部5と、トリガーチェーン制御部4と、ダンプ制御/デシメーション部6と、出力段7とを備える。光センサー出力信号処理システム100は、光センサー出力信号内のイベントに関する重要な情報を特定しキャプチャする。光センサー出力信号は、光電子増倍管(PMT:photomultiplier tube)、シリコン光電子増幅器(SiPM:silicon photomultiplier)、アバランシェフォトダイオード(APD:avalanche photodiode)などの光センサーにより出力される。
【0032】
PMTなどの光センサーは、図3Aに示すように、シンチレーション光を検出し、アナログ信号を出力する。イベントはアナログ光センサー出力信号に反映され、アナログ光センサー出力信号はADCに入力されてデジタル信号が生成される。信号の分析には、図3Bに示すように、少なくともリーディングエッジの情報がイベントタイミング情報の抽出に用いられるという理由から、イベントのリーディングエッジが重要となる。しかしながら、図3Cに示すように、信号全体の積分はイベントのエネルギーの確立に用いることができるので、信号全体もまた重要である。信号の積分は、また、通常、ブロック検出器と称される従来の光多重化方法が採用される際に、他の光センサーからの信号と共にイベントの位置の推定に用いられる。
【0033】
この点で、光センサーを用いることは、以下の2つの要因によって困難になる。(1)イベントの主な特徴(エネルギーおよびタイミング)の抽出およびこれらのイベントに対する非常に変動しやすい到達率への対応。イベントのエネルギーおよびタイミングを取得することは、通常ノイズのある背景で行われるので容易ではない。この種の信号のアナログ基準のトリガリングおよびフィルタリングは、特殊なアナログ電子機器およびコストのかかる開発努力を要する。このタスクは、各光センサーが種々の状態に適応可能な電気回路を必要とする固有の特性(ゲイン、平均通過時間など)を有するため、より複雑になる。
【0034】
また、計数率に関する難点がある。多くの放射線検出プロセスは、ポアソン法則により非常に正確に説明される確率プロセスに従う。この法則は、平均して、イベント間の時間は1秒間に集められたカウント数の逆数であると結論づける。しかし、実際、時間は指数分布により変化する。よって、実際、システムが毎ミリ秒に1つのカウントを受け取るように設計されるが、実際には、毎秒少なくとも1000カウントを生成して、システムはそのカウントのうち約74%しかキャプチャしない。
【0035】
よって、こうした難点に対処するために、光センサー出力信号は高速ADCによりサンプリングされる。
【0036】
図2Aに示す実施形態では、光センサー出力信号処理システム100の概略を示す。この実施形態では、ADC部2は、入力段1からアナログ光センサー出力信号を受信する。ADC部は、クロック入力51を受信する。クロック入力51は、タイムベース部40にも供給される。タイムベース部40はtsynch信号52を受信し、tsynch信号52により受信光センサー出力信号処理システム100に接続される全ての同様の構成部を同期させられる。
【0037】
ADC部2は、また、デジタルフィルター部3と、マルチプレクサー41と、マルチプレクサー42とに接続される。デジタルフィルター部3は設定可能であり、ユーザが選択したパラメータを受信するための入力53を有する。マルチプレクサー41は内部トリガー検出部5に接続され、マルチプレクサー41により、ユーザは、内部トリガー検出部による内部トリガー検出のために直流ADC出力またはデジタルフィルタリングされた出力が用いられるかを選択できる。
【0038】
マルチプレクサー42は、ダンプ制御/デシメーション部6のバッファ43に接続され、マルチプレクサー42により、ユーザは、直流ADC出力またはデジタルフィルタリングされた出力がダンプ制御/デシメーション部6によりバッファされ出力イベントデータを生成するのに用いられるかを選択できる。内部トリガー検出部5は、Mux41に接続され、光センサー出力信号処理システム100からのデータを考慮するのみである。トリガー情報は、トリガリングに関する判断を行うための最終判断部であるトリガーチェーン制御部4に伝えられる。ユーザが選択したパラメータ55は、内部トリガー検出部5により受信されて内部トリガー信号の生成に用いられる。
【0039】
トリガーチェーン制御部4は、内部トリガー部5とダンプ制御/デシメーション部6との間に接続される。トリガーチェーン制御部4は、また、トリガーイン接続56とトリガーアウト接続57とを備える。ユーザが選択したパラメータ58も、トリガーチェーン制御部4により受信される。また、トリガーチェーン制御部4は、内部トリガー信号および外部トリガーイン信号などの複数の入力を受付け、イベントが発生するのか、また、イベントがどの時点で発生するのかについて判断する。
【0040】
トリガーチェーン制御部4によりイベントが発生したと判断される場合、この情報はトリガーアウト信号としてダンプ制御/デシメーション部6に伝えられる。また、トリガーチェーン制御部4が発生したと判断するイベントに応じて、ダンプ制御/デシメーション部6が起動する(ダンプ制御部が起動していない場合)。
【0041】
ダンプ制御/デシメーション部6は、トリガーチェーン制御部4と出力段7との間に接続され、ユーザが選択したパラメータ60を受信する。ADCにより取得されたデータはMux42を介してバッファ43で受信される。このデータは、タイムベース40に接続されるダンプ制御/デシメーション部6によりアクセスされる。そして、適切なデータが出力段7に出力される。
【0042】
図2Bに示す光センサー出力信号処理システム100aは、別の実施形態を示す。図2Bに示す実施形態は、追加サンプリングポイントを供給する比較器45と時間‐デジタル変換器(「TDC」)44との組み合わせを備える以外は図2Aと同様である。この追加の回路は、パルスのリーディングエッジから得た重要なタイミング情報を保持しながら低速ADCを用いる可能性を与える。比較器45とTDC44との組み合わせは、低速ADCが用いられると通常は取得が保証されないパルスのリーディングエッジでのサンプルの取得を保証するので、タイミング情報はこれらの組み合わせにより保持される。TDC44は、比較器がトリガーされる場合、(システムクロックに対し)タイムスタンプを与える点に注目すべきである。デジタル‐アナログ変換器(「DAC」)46により、ユーザは比較器45に閾値を設定できる。求められるTDC44の分解能は、対象となるシステムタイミング分解能に左右される。50ps以上の分解能はTOF(time−of−flight)が可能なシステムで用いられる分解能の一例である。図16は、システム用に設定された比較器45の閾値の一例を示す。特に、図16は、(t,V)の追加サンプルが、サンプリングされたアナログ信号のイベントのリーディングエッジで取得される様子を示す。この追加のサンプルは、ダンプ制御/デシメーション部6が時間ウィンドウの決定に用いることができ、また、イベントの到達時間をより良く推測するためのその後のプロセス工程で用いることができる。例えば、追加のサンプルは、特に、低速ADCサンプリングレートが用いられる場合に、イベントパルスの到達時間の推測を向上させるために出力信号に行われる後のプロセス工程で用いることができる。よって、追加サンプルは出力する出力段7に送信できる。
【0043】
図2Cに示す本実施形態の光センサー出力信号処理システム100bは図2Aに示す光センサー出力信号処理システム100の実施の一例である。
【0044】
図2Cに示す実施形態では、ADC部は少なくとも1つのADC2を備え、ADC2’を更に備えてもよい。1つのイベントはリーディングエッジに大量の情報を含むので、高速ADCが必要になる。例えば、少なくとも1GHzのADCが必要で、2GHzのADCが好ましく、また4GHzのADCが高速シンチレータ結晶によく適用する。更に、8ビットのADCが必要で、10ビットが好ましく、12ビットがより好ましい。
【0045】
更なる詳細は図4に示すように、光センサー出力信号は入力1を介して光センサー出力信号処理システム100に入力されるが、入力1’を介してもよい。入力1’が用いられる場合、入力1’は入力1に入力される光センサー出力信号のコピーを受信する。または、入力1’は第2光センサーから出力信号を受信できる。システム100は、1つまたは2つの入力または2つのADCに限定されず、複数の入力1’または複数のADC11’を利用してもよい。光センサー入力信号は、まず、適切なパラメータ(例えば、ゲイン等)を有する関連のプリアンプチェーンに入力される。
【0046】
また、図2Cに示すように、スイッチ150により、システムをインターリーブ(1つの入力から両ADCへ)または非インターリーブ(2つの入力から個別のADCへ)に切替えられる。
【0047】
本実施形態は、2つのADCを有し2つの入力を有するASICを用いて実施できる。このASICは、1つのアナログ入力のみが用いられ、また、180°位相差でサンプリングを行う両ADCへ転送されるように、インターリーブモードで用いられるように構成できる。または、2つの個別の入力用に構成される場合、2つのセンサーをチップに入力することができ、2つのADCはインターリーブされず、2つの信号が個別に処理されてもよい。例えば、高性能システムは各センサーに1つのチップを用いるが、低性能システムは2つのセンサーに1つのチップを用いるので、システムのコストが下がる。
【0048】
インターリーブモードで複数のADC11および11’などを利用する場合、十分なアナログ帯域を有する少なくとも一対の低サンプリングレートADCを利用し、より高速の総サンプリングレートを取得できる。例えば、1GHzのサンプリングレートが必要な場合、2つの500MHzのADCを用いられ、第2のADCは、多数のサンプルが取得できるように最初のADCからオフセットされる(インターリーブモードを用いる)。
【0049】
図4に示すADC部2では、光センサー出力信号が入力1/1’へ入力され、入力増幅器10/10’により増幅され、ADC11/11’に入力されて光センサー出力信号のサンプリングが行われる。ADC11/11’は、また、図2Cに示すように、PLL110を用いて低ジッタクロックに接続される。PLL110は、また、タイムベース40に接続され、タイムベース4はダンプ制御/デシメーション部6に接続し、また、複数の装置を備えるシステム内の全ての同様の構成部を同期させられるtsync入力52からの入力を受信する。
【0050】
ADCが光センサー出力信号をサンプリングすると、デジタル信号がデジタルフィルター3へ光学的に出力される。図5に示すように、他の種類の複雑なフィルタリングをデジタル信号に対して行うことができる。このフィルタリング工程の追加により、下流のタスクに安定性を与える。また、フィルタリングは、シンチレーション結晶の固有の特性と光センサーの周波数応答との組み合わせであるパルス形状の詳細な情報を用いてされうる。この追加のフィルタリング機能性は、残りの構造および/または用いられるシンチレータの種類とは関係なく、光センサーレベルで直接適用し難く、まさにシステムの機能である。また、フィルタリング部はプログラム可能なフィルターを部分的に備えてもよい。
【0051】
プログラム可能なデジタルフィルターからの出力は、少なくとも以下の3つの異なる構成で用いることができる。
(1)フィルターからの出力はチップの出力を生成するために用いることができる(例えば、フィルタリングされたデータは、Mux42/42’を介してダンプ制御/デシメーション部6に出力され、(フィルタリングされていない)データのコピーもまたMux41/41’を介して内部トリガー検出部5へ入力される)。
(2)フィルターからの出力は、内部トリガー検出部5への入力のみに用いることができる(例えば、フィルタリングされていないデータがMux42/42’を介してダンプ制御/デシメーション部6に出力されるが、(フィルタリングされた)データのコピーはMux41/41’を介してトリガー検出部5に出力される)。
(3)フィルターの出力は、Mux42/42’を介したダンプ制御/デシメーション部6への出力と、Mux41/41’を介した内部トリガー検出部5への出力との両出力に用いることができる。
【0052】
デジタルフィルター3が利用できるので、複数のパイルアップされたイベントを確かなイベントとして認識する内部トリガー検出部5の性能が向上する。それに対して、単純なリーディングエッジトリガーは、最初のイベントの末尾が最初に十分に落ちずに信号が閾値よりも低い場合、第2のイベントを認識しない。
【0053】
その後、デジタルフィルター部3からの出力は、Mux41/41’およびMux42/42’を介して内部トリガー検出部5およびダンプ制御部6に送信される。
【0054】
図6に示すように、デジタルフィルター部3、または、Mux41/41’を介するADC2からの出力は、内部トリガー検出部5に入力される。内部トリガー検出部5では、閾値以上の連続点の数や正または負のスロープ値などのトリガーに対する条件が分析される。また、内部トリガー検出部5は、デジタルフィルタリングされたデータを利用できるので、例えば、重複(パイルアップ)イベントが区別できる。内部トリガー検出部5による分析の結果は、光センサー出力信号内の内部トリガーまたは次回の内部トリガーを特定するものである。トリガーチェーン制御部4は、イベントが発生したかどうかを決定する最後の決定部である。
【0055】
また、デジタルフィルター(用いる場合は)からの出力を組み合わせる代わりに、各ADC2/2’は自身のビルトイントリガー分析ができる。2つのADC2/2’に供給する2つの光センサー出力信号の場合、1つのライン上のトリガーの存在が他のチャネルに伝えられることで、両チャネルから出力されるADCデータをトリガーできる。
【0056】
図6に示すトリガーチェーン制御部4は、多様なソースからトリガー情報を受信することができ、全ての受信情報を考慮し、イベントが発生したかどうかを判断できる。トリガーチェーン制御部4は、内部トリガー検出部5、補助トリガー入力56a、および外部トリガー入力56bからの入力を受信する。トリガーチェーン制御部4は、ユーザが選択したパラメータを用いて、異なるトリガー入力に異なる重み付けを行うようにプログラム可能である。
【0057】
56a/56bを介した、内部トリガー検出部5および/または他の装置200/300からの情報に基づいてトリガーを検出すると、このトリガー情報を光センサー出力信号処理システム100の外部に伝えられるので、検出プロセスに関連する回路の他の構成部が自身のデータ特定および通信工程を開始できる。例えば、光センサー出力信号処理システム100が1つ以上の追加光センサー出力信号処理装置200/300に接続できる。トリガーチェーン制御部4は、トリガー検出部5および/または他の装置からの情報を受信し、イベントが発生したかどうかを判断する。この情報は、その後、追加光センサー出力信号処理装置200/300などの回路の他の構成部に伝えられる。他の装置に伝えられたトリガー情報は、時間情報(例えば、「タイムベース」からのマスタークロックサイクル数)と光センサーID情報とを含んでも良い。追加光センサー出力信号処理装置200/300は、イベントが検出されたことを示すこの情報を用いて、追加光センサー出力信号処理装置200/300で局所的に取得されたデータに対し特定されたダンプ制御または他のプロセスを行う。
【0058】
また、上述のように、トリガーチェーン制御部4は、追加光センサー出力信号処理装置200/300から情報を受信できる。この受信される情報は、追加光センサー出力信号処理装置200/300で検出されたトリガーについての情報または他の情報を含むことができる。
【0059】
このトリガーチェーン制御部4は、追加光センサー出力信号処理装置200/300または追加光センサー出力信号処理装置200/300が接続されるシステムバスに接続できる。トリガーチェーン制御部4は、実際はバスから選択的に情報を取得する特定の追加光センサー出力信号処理装置200/300からの情報のみを受信するようにプログラム可能である。また、トリガーチェーン制御部4は、特定の(全てではない)追加光センサー出力信号処理装置200/300および/または内部トリガー検出部からの情報を考慮してイベントを特定するように構成できる。または、追加光センサー出力信号処理装置200/300は、光センサー出力信号処理システム100と同様の光センサーに接続できる。
【0060】
トリガーチェーン制御部4は、トリガーチェーン制御部4で受信される情報に付加されるIDに基づいて所定の情報を特定するように構成される。このIDは、情報が特定の光センサーに対応する情報であると特定する。そして、この情報は、テーブルまたは他の予め記憶された情報と比較されることで、トリガーチェーン制御部4はイベントが起こったかを判断する際にこの情報を評価できる。また、トリガーチェーン制御部4は、情報に付加されたIDを用いてどの情報がバスから取得されたのかを選択的にフィルタリングできる。
【0061】
よって、トリガーチェーン制御部4は、内部トリガー検出部5から受信した情報に基づいて、内部制御検出部5から受信する情報に基づいて、追加光センサー出力信号処理装置200/300から受信する情報に基づいて、更に/またはトリガー検出につながった信号を生成した光センサーの位置または重要性に関する情報に基づいて、イベントが起こったかどうか、また、ダンプ制御を変更すべきかを判断する。
【0062】
トリガーチェーン制御部4は、光センサー出力信号処理システム100が異なる隣接する光センサーからのトリガーに反応できるようにするプログラム可能な制御部とすることができる。更に、プログラ可能な制御部は、実行中に再プログラムされてもよい。このプログラミングは、基板機能部8を通じて実現される。この特徴は、スキャン中にカウントレートが桁で変化する検査(例えば、心臓撮影用Rb‐82)で有効である。高カウントレートでは、光センサーのより小さな領域に関する情報を1つのイベントに対して取得することができ(イベントの発生源に非常に近いわけではない光センサーの前回のイベントの末尾からのノイズを回避するため、また、処理の必要があるデータの総量を制限するため)、低カウントレートでは、光センサーのより大きな領域に関する情報を各イベントに対して取得できる。制御部がプログラム可能なことにより、光センサー出力信号処理システム100は標準論理(AND、ORやまたその組み合わせ)を用いて説明できる(他の光センサー内)トリガーイベントの組み合わせによりトリガーされる。
【0063】
トリガー検出部5は、トリガリング発生の開始に関する情報およびトリガリング発生の終了に関する情報の両方を取得する。この情報は、トリガーチェーン制御部4を支援し、後にどのデータを破棄してどのデータを出力段7に伝えるかの判断でダンプ制御/デシメーション部6を支援する。
【0064】
図7に示すように、ダンプ制御部6は、通常求められるまたは関係のある情報を含む信号パルスの関連部分を特定し、関連しない部分をダンプ、デシメート、または破棄する。パルスの関連部分は、パルスの検出以前に取得されたポイントとパルスが検出された後の予め設定しておいたデータ量(または時間)とを含む。また、パルスが検出された後、或いは、前に取得されるデータ量または時間は、データに対する目的の利用に応じて動的に決定される。関連するものとして特定されたデータパケットは、組み合わせたチャネルまたは個別の各チャネル用に、ダンプ制御部6から出力段7に連続して送信される。
【0065】
なお、関連すると判断されたデータのサブセットは、トリガーの検出前にADCポイントを含んでもよい(通常は含む)。図7に示すように、バッファ43/43’により、このデータを取得して出力段7に伝えられる。
【0066】
図7に示すように、直接またはフィルタリング部3を介して送信されるADC部2/2’からのデータはバッファ43/43’およびMux42/42’を介してダンプ制御部6により受信される。複数のADC2’が用いられる場合、対応する数のバッファ43’およびMux42’を用いてもよい。または、ADC2’の数とは異なる数のバッファ43’およびMux42’を用いてもよい。
【0067】
ダンプ制御/デシメーション部6は、信号のどの部分を出力段7に伝えるべきか、また、信号のどの部分を破棄、デシメート、またはダンプすべきかを示すトリガーチェーン制御部4からの情報を受信する。
【0068】
ダンプ制御/デシメーション部6は、トリガーチェーン制御部4からのトリガー情報の受信に基づいて、どのデータを破棄すべきかを判断するための多数の異なる技術を用いることができる。例えば、1つ以上のデシメーション要因(データの減少を示さない単一のものであってもよい)を用いて、1つ以上の時間ウィンドウを規定することにより、データ出力量が制限できる。超高速サンプリングレートでは、全てのデータが出力されようとすると送受信機は超高速データレートを調整しなければならないので、こうした判断は重要である。(ウィンドウおよびデシメーションを用いて)制限されたデータ量のみを転送する必要がある場合、低速かつ低出力の送受信機を用いることができる。
【0069】
ダンプ制御/デシメーション部6は、タイムベース40にも接続される。タイムベース40は、マスタークロックサイクルをカウントするカウンターである。本実施形態を用いるPETシステムなどの光センサーシステムは、これらの構成部のいくつかを備える。各装置のタイムベース40は、Tsynch入力52によりゼロに設定され、これにより、タイムベース40は各装置を同期させられる。
【0070】
ガンマ線到達の正確なタイミング情報は、フルタイミング情報を保護できるようにする高帯域およびサンプリングレート(複数のGHz以上)でキャプチャできるパルスリーディングエッジを検査することにより得られる。光センサーシステムは、タイミングに加え、ガンマ相互作用の位置およびイベントのエネルギーを特定できる。位置およびエネルギーの算出は、パルス全体(パルスの積分)についての情報を必要とするが、非常に低い帯域およびサンプリングレートの要件がある。パルス全体、すなわち、全サンプルをフルサンプルレートで伝えることは1つの選択肢ではあるが、これには超高速データ転送率が必要となる。
【0071】
しかし、タイミング、位置、およびエネルギーの決定に関連する情報を保護しながら求められるデータ転送速度を下げることができる。これを実現する方法の1つに、異なるデシメーション要因、例えば、ダウンサンプリングが続く低パスフィルター、を用いて複数の時間ウィンドウを用いることが挙げられる。例えば、図8に示すように、パルスのリーディングエッジ近くのポイントに対し、最大サンプルレートが出力される最大分解能ウィンドウとして第1のウィンドウを規定することができ、これによりタイミング情報内の精度が上がる。第2のウィンドウは、リーディングエッジの後に取得されるサンプルを含むものとして規定することができ、より低いレート、例えば、100MHzで1つの出力がデシメートされる。リーディングエッジの後の第2のウィンドウからのデシメートされたサンプルは、エネルギーおよび位置の算出に用いることができる。第3のウィンドウは、異なるデシメーション要因を用いて、リーディングエッジの前に取得されるサンプルを含むものとして規定できる。この第3ウィンドウからのサンプルは、例えば、パイルアップ補正アルゴリズムで用いることができる。回路バッファとなり得るサンプルバッファ43/43’の存在により、トリガーより前にサンプルを含めることが可能となる。図10は、多種のウィンドウをハイライトする負のパルスを示す。図8および図9は、正のパルスを示す。図9は図8に似ているが、タイムベースが異なる。ウィンドウおよびデシメーションの概念は、信号の極性に左右されない。
【0072】
図11に示すように、複数のパルスが存在する中、異なるパルスからの複数の時間ウィンドウが重なる可能性がある。しかし、システムは、プログラム可能な積分時間を超える信号の積分である第1追加出力を有してもよい。この出力は、エネルギーおよび位置の判断に用いることができる。システムは、また、「第2」トリガーが「第1」トリガーに対して出力されている信号のいずれかの部分に生成されたかどうかを示す第2追加出力を有しても良い。このパイルアップ表示は、「第1」および「第2」パルスの双方に実行されるべきであるパイルアップ補正を示すものとして下流プロセッサによって用いられることができる。
【0073】
ダンプ制御部6がどんなデータが出力段7に伝えられ、どんなデータが破棄されるべきかなどを決定すると、ダンプ制御部6は、第1および第2追加出力に伴う可能性がある保存デジタルデータを出力段7に伝える。図12に示すように、出力段7は、パケット構成部19と、TXバッファ20と、LVDS(low voltage differential signalong)出力21と、位相ロックループ(PLL:phase locked loop)部22とを備える。出力段7は、出力するデータを準備する。出力段7の他の実施が可能である。
【0074】
PLL部22は、図13に示すように、基板機能部8が備えるクロックに接続される。基板機能部8は、制御可能な基板の機能を実施する。基板機能部8は独立通信リンクを備え、独立通信リンクは、デジタルフィルター構成、トリガー条件、プリアンプ設定、および通信設定などの多様なパラメータをアップロードするための外部アクセスを可能にする。基板機能部8は、テスト制御部23とJTAG制御部24とを備える。更に、ユーザ入力70を介して受信されるユーザプログラム可能設定の値を記憶するレジスタであるレグファイル25を備える。基板機能部8は、更に、SPIインターフェース26と参照クロックとを備える。SPIインターフェース26は、通信リンクとして機能する。なお、他の種類の通信リンクも可能である。ユーザ入力70は、図2Aに示すユーザの選択による多様なパラメータに対応する。
【0075】
図14は、本明細書で説明する一実施形態の方法全体を示す。ステップS1において、光センサー出力信号処理システム100に接続される光センサー(「PS」)により出力されるアナログ信号は、光センサー出力信号処理システム100のADC部2により受信される。ステップS2において、ADC部2はアナログ信号からデジタルデータを取得する。上述のように、ADC部2は、アナログ光センサー信号のサンプリングに1つ以上のADCを用いることができる。
【0076】
そして、ADC部2により取得されたデジタルデータは、デジタルフィルター部3に出力および/または直接内部トリガー検出部5とダンプ制御部6とに出力される。データがデジタルフィルター部3に出力されると、デジタルデータをフィルタリングするステップS3が実行される。そして、ステップ4において、ステップS3でフィルタリングが行われるデータまたはADC部から直接取得されるデジタルデータに、内部トリガー検出が行われる。内部トリガー検出では、デジタルデータが分析されてトリガーが満たされるかどうか判断される。トリガー検出は、新デジタルデータが連続して内部トリガー検出部5に出力されているので、オンザフライプロセスである。
【0077】
ステップS5では、トリガー検出部5によりトリガーが検出されると、トリガー情報がトリガーチェーン制御部4に送信される。ステップS6では、追加PMT出力信号処理装置200/300は、情報をトリガーチェーン制御部4にリレーする。例えば、トリガーの検出に関する情報が追加PMT出力信号処理装置200/300で局所的に検出された場合、この情報は送信されトリガーチェーン制御部4により受信される。
【0078】
ステップS7においては、トリガーチェーン制御部4は、内部トリガー検出部5から受信された情報に基づいて、追加光センサー出力信号処理装置200/300でトリガーが検出されたことを示す受信された情報に基づいて、さらに/または、トリガー検出につながった信号を生成した光センサーの位置または重要性についての情報に基づいて、イベントが起こったかどうかを判断する。検出されたイベントに関する情報は、このステップで、通知として追加光センサー出力信号処理装置200/300に送信できる。
【0079】
ステップS8では、トリガーチェーン制御部4によりイベントが発生したと判断されると、この情報は破棄/デシメーションウィンドウを決定するダンプ制御部6に送信される。このウィンドウは、情報から破棄される特定量のデータを有する信号の一部分を示す。また、テーブルやアルゴリズムに基づいて、或いは、基板機能部8を介した外部入力によって、特定のウィンドウに対して実行されるデシメーションの量と、イベントのリーディングエッジと比較されるウィンドウのサイズ又は位置とを内部で動的に調整できる。
【0080】
ステップS9では、ダンプ制御部6が信号のどの部分を破棄/デシメートするかを決定すると、デジタルデータが破棄/デシメートされる。そして、ステップS10で、残りのデータが出力段7へ転送される。なお、ステップS9およびS10は同時に行うことができる。
【0081】
いくつかの形態のコンピュータプロセッサを用いて、少なくともデジタルフィルター3と、内部トリガー検出部5と、トリガーチェーン制御部4と、ダンプ制御部6とが実施できる。当業者が理解するように、コンピュータプロセッサは離散論理ゲートとして、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Filed Programmable Gate Array)、または他のCPLD(Complex Programmable Logic Device)として実施される。FPGAまたはCPLDの実施はVHDL、Verilog、または他のハードウェア記述言語でコード化されてもよく、コードは直接FPGAまたはCPLD内で、または独立した電子メモリとしての電子メモリに記憶されてもよい。更に、電子メモリは、ROM、EPROM、EEPROM、またはFLASHメモリなどの不揮発性メモリであってもよい。電子メモリは、また、静的または動的なRAMなどの揮発性であってもよく、マイクロコントローラやマイクロプロセッサなどのプロセッサを設けて電子メモリと、それに加え、FPGAまたはCPLDと電子メモリとの間の相互作用とを管理してもよい。
【0082】
または、コンピュータプロセッサは、本明細書で説明する機能を実行するコンピュータ読み取り可能な一連の命令を含むコンピュータプログラムを実行してもよく、このコンピュータプログラムは上記の持続性電子メモリのいずれかにおよび/またはハードディスクドライブ、CD、DVD、FLASHドライブ、または他の公知の記憶メディアに記憶される。更に、コンピュータ読み取り可能な命令は、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、またはオペレーティングシステムの構成部、もしくは、それらの組み合わせとして提供され、アメリカのIntel社製のXenon(登録商標)プロセッサまたはアメリカのAMD社製のOpteron(登録商標)プロセッサ、またはMicrosoft VISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、Apple(登録商標)、MAC‐OSX(登録商標)および当業者に公知の他のオペレーティングシステムなどのオペレーティングシステムと併せて実行してもよい。
【0083】
また、出力段7から出力されたデータは、コンピュータベースのシステム1000を用いて処理されてイベントのエネルギーやタイミングなどが取得される。コンピュータ1000は、バスBまたは情報をやりとりするための他の通信メカニズムと、情報処理のためにバスBと接続しているプロセッサ/CPU1004とを備える。コンピュータ1000は、また、情報およびプロセッサ/CPU1004が実行する命令を記憶するためにバスBと接続しているRAM(Ransom Access Memory)や他の動的記憶装置(例えば、動的RAM(DRAM)、静的RAM(SRAM)および同期DRAM(SDRAM)を備える。また、メモリユニット1003は、CPU1004による命令の実行の間一時的な変数または他の中間情報を記憶するために用いられてもよい。コンピュータ1000は、更に、CPU104に対する静的情報および命令を記憶するためにバスBに接続される、ROM(Read Only Memory)または他の静的記憶装置(例えば、プログラム可能なROM(PROM))、消去可能なPROM(EPROM)、電気的に消去可能なPROM(EEPROM))を備えてもよい。
【0084】
コンピュータ1000は、また、バスBに接続されて、大容量記憶装置1002など、情報および命令を記憶するための1つ以上の記憶装置を制御するディスクコントローラと、ドライブ装置1006(例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、読み取り専用コンパクトディスクドライブ、読み取り/書き込みコンパクトディスクドライブ、コンパクトディスクジュークボックス、テープドライブ、および取り外し可能な光磁気ドライブ)を備えてもよい。この記憶装置は、適当な装置インターフェース(例えば、SCSI(Small Computer System Interface)、IDE(Integrated Device Electronics)、E−IDE(Enhanced−IDE),DMA(Direct Memory Access)、またはUltra‐DMA)を用いてコンピュータ1000に加えられてもよい。
【0085】
コンピュータ100は、また、特殊用途の論理装置(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit))と設定可能な論理装置(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device))、およびFPGA(Field Programmable Gate Array)とを備えてもよい。
【0086】
コンピュータ100は、また、バスBに接続されて、コンピュータユーザに情報を表示するためのディスプレイを制御する、CRT(Cathode Ray Tube)などのディスプレイ制御部を備えてもよい。コンピュータシステムは、コンピュータユーザとやりとりするとともにプロセッサに情報を提供するための、キーボードやポインティングデバイスなどの入力装置を備える。ポインティングデバイスは、例えば、方向情報およびコマンド選択をプロセッサとやりとりしディスプレイ上のカーソル動作を制御するためのマウス、トラックボール、またはポインティングスティックである。また、プリンターは、コンピュータシステムが記憶および/または生成する印刷されたリストを提供してもよい。
【0087】
コンピュータ1000は、メモリ部1003などのメモリが含む1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するCPU1004に応じて、本発明の処理工程の少なくとも一部を行う。こうした命令は、大容量記憶装置1002または取り外し可能なメディア1001などの別のコンピュータ読み取り可能な媒体からメモリ部に読み込んでもよい。マルチプロセシング配列の1つ以上のプロセッサは、メモリ部1003に含まれる命令シーケンスを実行するために用いられる。別の実施形態では、ソフトウェア命令の代わりにまたはソフトウェア命令と組み合わせてハードワイヤード回路を用いても良い。よって、実施形態は、ハードウェア回路およびソフトウェアの組み合わせに限定されない。
【0088】
上述したように、コンピュータ1000は、少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体1001、または本発明の教示によりプログラムされた命令を保持しデータ構成、テーブル、記録、またはそこに記述される他のデータを含むためのメモリを備える。コンピュータ読み取り可能な媒体の一例として、コンパクトディスク、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、テープ、光磁気ディスク、PROM(EPROM、EEPROM、FlashEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM、または他の磁気媒体、コンパクトディスク(例えばCD−ROM)、またはコンピュータが読み取みとり可能な他の媒体が挙げられる。
【0089】
本発明は、コンピュータ読み取り可能な媒体のいずれか1つまたは組み合わせに記憶されるソフトウェアであり、主処理部1004を制御し、本発明を実施する1つ以上の装置を駆動し、かつメイン処理部1004が人であるユーザとやりとりすることを可能にするソフトウェアを備える。こうしたソフトウェアは、装置ドライバー、オペレーティングシステム、開発ツール、およびアプリケーションソフトウェアを備えてもよいが、これらに限定されるものではない。こうしたコンピュータ読み取り可能な媒体は、更に、本発明を実施する際に行われる処理の全てまたは一部(もし、処理が阻害された場合)を行うために本発明のコンピュータプログラムプロダクトを備える。
【0090】
本発明の媒体上のコンピュータコード要素は、解釈可能または実行可能なコードメカニズムであってもよく、そのコードメカニズムには、スクリプト、解釈可能なプログラム、DLL(Dynamic Link Librariy)、Java(登録商標)クラス、および完全に実行可能なプログラムが含まれるが、これらに限定されない。更に、本発明の処理の一部は、より良い性能、信頼性および/またはコストを目的として配布されてもよい。
【0091】
本明細書で用いられる「コンピュータ読み取り可能な媒体」という言葉は、CPU1004に実行命令を与えることに関わる媒体を指す。コンピュータ読み取り可能な媒体は多くの形態をとってもよく、不揮発性媒体および揮発性媒体も含まれるが、これらに限定されない。不揮発性媒体は、例えば、大容量記憶部1002または取り外し可能な媒体1001などの、光ディスク、磁気ディスク、および光磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メモリ部1003などの動的メモリを含む。
【0092】
多様な形態のコンピュータ読み取り可能媒体が、実行用のCPU1004に対する1つ以上の命令の1つ以上シーケンスの実行に関わってもよい。例えば、命令がまずリモートコンピュータの磁気ディスク上で実行されてもよい。バスBに接続される入力は、データを受信しそのデータをバスB上に配置させられる。バスBは、CPU1004が命令を検索して実行するメモリ部1003にデータを届ける。メモリ部1003により受信される命令は、CPU1004による実行の前または後に大容量記憶部1002に光学的に記憶されてもよい。
【0093】
コンピュータ1000はまた、バスBに接続される通信インターフェース1005を備える。通信インターフェース1004は、例えば、LAN(Local Area Network)またはインターネットなどの別の通信ネットワークに接続される2方向のデータ通信を提供する。例えば、通信インターフェース1005は、パケット交換LANに取り付けるネットワークインターフェースカードであってもよい。別の例として、通信インターフェース1005は、ADSL(Asymmetrical Digital Subscriber Line)カード、ISDN(Integrated Services Digital Network)カード、または対応する種類の通信ラインにデータ通信接続を提供するモデムであってもよい。ワイヤレスリンクが実施されてもよい。このような実施では、通信インターフェース1005は、各種情報を表すデジタルデータストリームを届ける電気的、電磁的、または光学的な信号を送受信する。
【0094】
ネットワークは、通常、1つ以上のネットワークを介して他のデータ装置にデータ通信を提供する。例えば、ネットワークは、ローカルネットワーク(例えばLAN)を介して、または通信ネットワークを介して通信サービスを提供するサービスプロバイダにより操作される機器を介して、別のコンピュータへの接続を提供する。ローカルネットワークおよび通信ネットワークは、例えば、デジタルデータストリームを届ける電気的、電磁的、または光学的な信号とそれに伴う物理層(例えば、CAT5ケーブル、同軸ケーブル、光学ファイバーなど)とを用いる。更に、ネットワークは、PDA(Personal Digital Assistant)ラップトップコンピュータまたは携帯電話などの移動装置への接続を提供してもよい。
【0095】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の信号処理システム及び方法によれば、高時間分解能を実現しつつ、ADCによって生成されるデータ量を減少させ、データの記憶と管理に係る負荷を低減させることを可能にする。
【0096】
特定の実施形態を説明してきたが、これらは一例として示されたものにすぎず、発明の範囲を限定するものではない。本明細書に記載された新しい方法およびシステムは様々な別の形態で具体化することができ、更に、本明細書に記載の方法およびシステムの形態の各種の削除、置換、変更、を本発明の趣旨の範囲内で行うことができる。別紙のクレームおよびその同等物は、本発明の趣旨と範囲内であるものとしてこうした形態や変形例をカバーするものとする。
【符号の説明】
【0097】
2 ADC
4 トリガーチェーン制御部
5 内部トリガー検出部
6 ダンプ制御/デシメーション部
7 出力段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーが出力するアナログ信号を処理する信号処理システムであって、
前記アナログ信号を所定の分解能で複数のサンプルを含むデジタル信号に変換する少なくとも1つのアナログ‐デジタル変換器(ADC)と、
前記デジタル信号を分析することにより、トリガー条件が満たされるかどうかを検出するトリガー検出部と、
前記トリガー検出部からのトリガー情報に基づいてイベントを検出し、前記イベントが検出される場合に時間情報を含むイベント情報を生成するイベント検出部と、
前記イベント情報に含まれる前記時間情報に基づいて1つ以上の時間ウィンドウを定義し、前記定義された1つ以上の時間ウィンドウに基づいて前記デジタル信号にデシメーションを行いデシメートされた信号を生成するデシメーション部と、
前記デシメートされた信号を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする信号処理システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのADCは一対のADCを備え、各ADCは前記所定の分解能に対応する周波数の一部で動作し、
各ADCは、第1のADCが前記アナログ信号をサンプリングし、第2のADCが前記第1のADCが取得したサンプル間で前記アナログ信号の一部をサンプリングするように、インターリーブモードで動作することを特徴とする請求項1に記載の信号処理システム。
【請求項3】
前記一対のADCの組み合わせサンプリングレートは1GHz以上であることを特徴とする請求項2に記載の信号処理システム。
【請求項4】
各ADCは500MHz以上のサンプリングレートを有することを特徴とする請求項2に記載の信号処理システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのADCは、一対のADCを備え、
前記信号処理システムは、各ADCが前記所定の分解能に対応する周波数の一部で動作するインターリーブモードと、前記一対のADCが独立したチャネルを処理する非インターリーブモードとの間で前記システムを切り替えるスイッチを更に有することを特徴とする請求項1に記載の信号処理システム。
【請求項6】
前記トリガー検出部は、前記デジタル信号内の所定数のデータポイントが所定の閾値を越えた場合に、前記トリガー条件が満たされたと判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項7】
前記トリガー検出部は、プログラム可能なトリガー条件に基づいて、前記トリガー条件が満たされるかどうかを検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項8】
前記トリガー検出部が前記デジタル信号に対してトリガー検出を行う前に、前記デジタル信号をデジタルフィルタリングするデジタルフィルタリング部を更に備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項9】
前記デジタルフィルタリング部はプログラム可能であることを特徴とする請求項8に記載の信号処理システム。
【請求項10】
1つのADCのみの出力が前記トリガー検出部に伝えられることを特徴とする請求項2に記載の信号処理システム。
【請求項11】
前記イベント検出部は、前記イベントの前記検出に応じて前記イベント情報を前記システムの外部の装置に出力することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項12】
前記イベント検出部は、前記イベントの前記検出に応じて、前記イベント情報を外部装置に出力し、前記外部装置は、前記アナログ信号に関連するアナログ信号を変換するADCを備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項13】
前記トリガー検出部は、前記デジタル信号の導関数または前記デジタル信号のローパスフィルタリングに基づいて、トリガー条件が満たされるか否かを検出することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項14】
前記デシメーション部は、1つ以上の異なるデシメーション要因を用いて、前記デジタル信号の1つ以上のセグメントにデシメーションを実行することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項15】
前記出力部は、プログラム可能な時間ウィンドウを超える前記デジタル信号の積分に等しい値を出力することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項16】
前記出力部は、2つのイベントの時間ウィンドウが重なることを示すパイルアップインジケータを出力することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項17】
比較器と時間‐デジタル変換器とを更に備え、前記比較器および前記時間‐デジタル変換器は、前記アナログ信号内の前記イベントのリーディングエッジで取得される追加サンプリングポイントを提供することを特徴とする請求項1〜16のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項18】
前記デシメーション部は、前記アナログ信号内の前記イベントの前記リーディングエッジで取得される前記追加サンプリングポイントを受信し、前記追加サンプリングポイントに関する情報を前記出力部に送信し、前記追加サンプリングポイントは前記デシメートされた信号と共に出力されることを特徴とする請求項17に記載の信号処理システム。
【請求項19】
センサーが出力するアナログ信号を処理する方法であって、
少なくとも1つのアナログ‐デジタル変換器(ADC)を用いて、前記アナログ信号を所定の分解能で複数のサンプルを含むデジタル信号に変換する変換ステップと、
前記デジタル信号を分析することによりトリガー条件が満たされるかどうかを検出し、前記トリガー条件が満たされる場合にトリガー情報を生成するトリガー検出ステップと、
前記トリガー条件が満たされる場合に生成されるトリガー情報に基づいて、イベントを検出し、前記イベントが検出される場合に、時間情報を含むイベント情報を生成するイベント検出ステップと、
前記イベント情報に含まれる前記時間情報に基づいて1つ以上の時間ウィンドウを定義し、前記定義された1つ以上の時間ウィンドウに基づいて前記デジタル信号にデシメーションを行いデシメートされた信号を生成するデシメーションステップと、
前記デシメートされた信号を出力する出力ステップと、
ことを含んだことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記変換ステップは、一対のADCを用いて、前記アナログ信号をデジタル信号に変換することを更に含み、各ADCは前記所定の分解能に対応する周波数の一部で動作し、各ADCは第1のADCが前記アナログ信号をサンプリングし、第2のADCが前記第1のADCが取得したサンプル間で前記アナログ信号の一部をサンプリングするように、インターリーブモードで動作することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記一対のADCの組み合わせサンプリングレートは1GHz以上であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
各ADCは500MHz以上のサンプリングレートを有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つのADCは、一対のADCを備え、
前記方法は、各ADCが前記所定の分解能に対応する周波数の一部で動作するインターリーブモードと、前記一対のADCが独立したチャネルを処理する非インターリーブモードとの間で前記システムを切り替える切替ステップを更に含んだことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記検出ステップは、前記デジタル信号内の所定数のデータポイントが所定の閾値を越えた場合に、前記トリガー条件が満たされたと判定することを特徴とする請求項19〜23のいずれか一つに記載の方法。
【請求項25】
前記検出ステップは、プログラム可能なトリガー条件に基づいて、前記トリガー条件が満たされるかどうか検出することを特徴とする請求項19〜24のいずれか一つに記載の方法。
【請求項26】
前記デジタル信号を分析することにより前記トリガー条件が満たされるかどうかを検出する前記トリガー検出ステップの前に前記デジタル信号をデジタルフィルタリングするフィルタリングステップを更に含んだことを特徴とする請求項19〜25のいずれか一つに記載の方法。
【請求項27】
前記デジタル信号にデジタルフィルタリングが行われるフィルタリングステップは、プログラム可能なデジタルフィルタリング部を用いて実行されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記トリガー条件が満たされるかどうかを検出するトリガー検出ステップは、1つのADCのみの出力に基づいて前記トリガー条件が満たされるかどうかを検出することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記検出ステップは、前記イベントの前記検出に応じて前記イベント情報を前記システム外部の装置に出力することを特徴とする請求項19〜28のいずれか一つに記載の方法。
【請求項30】
前記検出ステップは、前記イベントの前記検出に応じて、前記イベント情報を外部装置に出力し、前記外部の装置は前記アナログ信号に関連するアナログ信号を変換するADCを備えることを特徴とする請求項19〜29のいずれか一つに記載の方法。
【請求項31】
前記検出ステップは、前記デジタル信号の導関数または前記デジタル信号のローパスフィルタリングに基づいて、トリガー条件が満たされるか否かを検出することを特徴とする請求項19〜30のいずれか一つに記載の方法。
【請求項32】
前記デシメーションを行うデシメーションステップは、1つ以上の異なるデシメーション要因を用いて、前記デジタル信号の1つ以上のセグメントにデシメーションを行うことを特徴とする請求項19〜31のいずれか一つに記載の方法。
【請求項33】
前記出力ステップは、プログラム可能な時間ウィンドウを越える前記デジタル信号の積分に等しい値を出力することを特徴とする請求項19〜32のいずれか一つに記載の方法。
【請求項34】
前記出力ステップは、2つのイベントの時間ウィンドウが重なることを示すパイルアップインジケータを出力することを特徴とする請求項19〜33のいずれか一つに記載の方法。
【請求項1】
センサーが出力するアナログ信号を処理する信号処理システムであって、
前記アナログ信号を所定の分解能で複数のサンプルを含むデジタル信号に変換する少なくとも1つのアナログ‐デジタル変換器(ADC)と、
前記デジタル信号を分析することにより、トリガー条件が満たされるかどうかを検出するトリガー検出部と、
前記トリガー検出部からのトリガー情報に基づいてイベントを検出し、前記イベントが検出される場合に時間情報を含むイベント情報を生成するイベント検出部と、
前記イベント情報に含まれる前記時間情報に基づいて1つ以上の時間ウィンドウを定義し、前記定義された1つ以上の時間ウィンドウに基づいて前記デジタル信号にデシメーションを行いデシメートされた信号を生成するデシメーション部と、
前記デシメートされた信号を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする信号処理システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのADCは一対のADCを備え、各ADCは前記所定の分解能に対応する周波数の一部で動作し、
各ADCは、第1のADCが前記アナログ信号をサンプリングし、第2のADCが前記第1のADCが取得したサンプル間で前記アナログ信号の一部をサンプリングするように、インターリーブモードで動作することを特徴とする請求項1に記載の信号処理システム。
【請求項3】
前記一対のADCの組み合わせサンプリングレートは1GHz以上であることを特徴とする請求項2に記載の信号処理システム。
【請求項4】
各ADCは500MHz以上のサンプリングレートを有することを特徴とする請求項2に記載の信号処理システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのADCは、一対のADCを備え、
前記信号処理システムは、各ADCが前記所定の分解能に対応する周波数の一部で動作するインターリーブモードと、前記一対のADCが独立したチャネルを処理する非インターリーブモードとの間で前記システムを切り替えるスイッチを更に有することを特徴とする請求項1に記載の信号処理システム。
【請求項6】
前記トリガー検出部は、前記デジタル信号内の所定数のデータポイントが所定の閾値を越えた場合に、前記トリガー条件が満たされたと判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項7】
前記トリガー検出部は、プログラム可能なトリガー条件に基づいて、前記トリガー条件が満たされるかどうかを検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項8】
前記トリガー検出部が前記デジタル信号に対してトリガー検出を行う前に、前記デジタル信号をデジタルフィルタリングするデジタルフィルタリング部を更に備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項9】
前記デジタルフィルタリング部はプログラム可能であることを特徴とする請求項8に記載の信号処理システム。
【請求項10】
1つのADCのみの出力が前記トリガー検出部に伝えられることを特徴とする請求項2に記載の信号処理システム。
【請求項11】
前記イベント検出部は、前記イベントの前記検出に応じて前記イベント情報を前記システムの外部の装置に出力することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項12】
前記イベント検出部は、前記イベントの前記検出に応じて、前記イベント情報を外部装置に出力し、前記外部装置は、前記アナログ信号に関連するアナログ信号を変換するADCを備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項13】
前記トリガー検出部は、前記デジタル信号の導関数または前記デジタル信号のローパスフィルタリングに基づいて、トリガー条件が満たされるか否かを検出することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項14】
前記デシメーション部は、1つ以上の異なるデシメーション要因を用いて、前記デジタル信号の1つ以上のセグメントにデシメーションを実行することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項15】
前記出力部は、プログラム可能な時間ウィンドウを超える前記デジタル信号の積分に等しい値を出力することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項16】
前記出力部は、2つのイベントの時間ウィンドウが重なることを示すパイルアップインジケータを出力することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項17】
比較器と時間‐デジタル変換器とを更に備え、前記比較器および前記時間‐デジタル変換器は、前記アナログ信号内の前記イベントのリーディングエッジで取得される追加サンプリングポイントを提供することを特徴とする請求項1〜16のいずれか一つに記載の信号処理システム。
【請求項18】
前記デシメーション部は、前記アナログ信号内の前記イベントの前記リーディングエッジで取得される前記追加サンプリングポイントを受信し、前記追加サンプリングポイントに関する情報を前記出力部に送信し、前記追加サンプリングポイントは前記デシメートされた信号と共に出力されることを特徴とする請求項17に記載の信号処理システム。
【請求項19】
センサーが出力するアナログ信号を処理する方法であって、
少なくとも1つのアナログ‐デジタル変換器(ADC)を用いて、前記アナログ信号を所定の分解能で複数のサンプルを含むデジタル信号に変換する変換ステップと、
前記デジタル信号を分析することによりトリガー条件が満たされるかどうかを検出し、前記トリガー条件が満たされる場合にトリガー情報を生成するトリガー検出ステップと、
前記トリガー条件が満たされる場合に生成されるトリガー情報に基づいて、イベントを検出し、前記イベントが検出される場合に、時間情報を含むイベント情報を生成するイベント検出ステップと、
前記イベント情報に含まれる前記時間情報に基づいて1つ以上の時間ウィンドウを定義し、前記定義された1つ以上の時間ウィンドウに基づいて前記デジタル信号にデシメーションを行いデシメートされた信号を生成するデシメーションステップと、
前記デシメートされた信号を出力する出力ステップと、
ことを含んだことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記変換ステップは、一対のADCを用いて、前記アナログ信号をデジタル信号に変換することを更に含み、各ADCは前記所定の分解能に対応する周波数の一部で動作し、各ADCは第1のADCが前記アナログ信号をサンプリングし、第2のADCが前記第1のADCが取得したサンプル間で前記アナログ信号の一部をサンプリングするように、インターリーブモードで動作することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記一対のADCの組み合わせサンプリングレートは1GHz以上であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
各ADCは500MHz以上のサンプリングレートを有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つのADCは、一対のADCを備え、
前記方法は、各ADCが前記所定の分解能に対応する周波数の一部で動作するインターリーブモードと、前記一対のADCが独立したチャネルを処理する非インターリーブモードとの間で前記システムを切り替える切替ステップを更に含んだことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記検出ステップは、前記デジタル信号内の所定数のデータポイントが所定の閾値を越えた場合に、前記トリガー条件が満たされたと判定することを特徴とする請求項19〜23のいずれか一つに記載の方法。
【請求項25】
前記検出ステップは、プログラム可能なトリガー条件に基づいて、前記トリガー条件が満たされるかどうか検出することを特徴とする請求項19〜24のいずれか一つに記載の方法。
【請求項26】
前記デジタル信号を分析することにより前記トリガー条件が満たされるかどうかを検出する前記トリガー検出ステップの前に前記デジタル信号をデジタルフィルタリングするフィルタリングステップを更に含んだことを特徴とする請求項19〜25のいずれか一つに記載の方法。
【請求項27】
前記デジタル信号にデジタルフィルタリングが行われるフィルタリングステップは、プログラム可能なデジタルフィルタリング部を用いて実行されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記トリガー条件が満たされるかどうかを検出するトリガー検出ステップは、1つのADCのみの出力に基づいて前記トリガー条件が満たされるかどうかを検出することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記検出ステップは、前記イベントの前記検出に応じて前記イベント情報を前記システム外部の装置に出力することを特徴とする請求項19〜28のいずれか一つに記載の方法。
【請求項30】
前記検出ステップは、前記イベントの前記検出に応じて、前記イベント情報を外部装置に出力し、前記外部の装置は前記アナログ信号に関連するアナログ信号を変換するADCを備えることを特徴とする請求項19〜29のいずれか一つに記載の方法。
【請求項31】
前記検出ステップは、前記デジタル信号の導関数または前記デジタル信号のローパスフィルタリングに基づいて、トリガー条件が満たされるか否かを検出することを特徴とする請求項19〜30のいずれか一つに記載の方法。
【請求項32】
前記デシメーションを行うデシメーションステップは、1つ以上の異なるデシメーション要因を用いて、前記デジタル信号の1つ以上のセグメントにデシメーションを行うことを特徴とする請求項19〜31のいずれか一つに記載の方法。
【請求項33】
前記出力ステップは、プログラム可能な時間ウィンドウを越える前記デジタル信号の積分に等しい値を出力することを特徴とする請求項19〜32のいずれか一つに記載の方法。
【請求項34】
前記出力ステップは、2つのイベントの時間ウィンドウが重なることを示すパイルアップインジケータを出力することを特徴とする請求項19〜33のいずれか一つに記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−225926(P2012−225926A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97084(P2012−97084)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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