説明

個々のシートを封筒に入れるための輸送装置および関連方法

装置(110)は、個々の紙またはフィルムの物体(131)を縦方向(15)に輸送して、封筒(132)内に挿入する。装置(110)の案内アセンブリ(120)は、物体(131)を縦方向(15)に案内するための互いに対面し対向する第1と第2のチャネル(125、129)を含み、チャネル(125、129)は上方に延び、それによって物体(131)のための上り坂の移動経路(130)が画定される。駆動装置(300)は、物体(131)を第1および第2のチャネル(125、129)に沿って移動させるための係合要素(310)を含む。少なくとも1つの支持要素(144、148)が物体(131)を案内アセンブリ(120)に対して保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、全般的に、全て本明細書と同日付で出願され、参照によりその全体が本明細書に明確に組み込まれる、以下の同時係属の米国特許出願、すなわち「Apparatus for Guiding and Cutting Web Products and Related Methods」という名称の第12/231,739号(代理人整理番号KERI-05)、「Envelope Conveying and Positioning Apparatus and Related Methods」という名称の第12/231,755号(代理人整理番号KERI-06)、「Inserting Apparatus for Discrete Objects into Envelopes and Related Methods」という名称の第12/231,753号(代理人整理番号KERI-07)、「Conveying Apparatus for Envelopes and Related Methods」という名称の第12/231,730号(代理人整理番号KERI-09)、および「Transporting Apparatus for Web Products and Related Method」という名称の第12/231,749号(代理人整理番号KERI-10)関連する。
【0002】
本発明は、一般に、印刷物加工設備に関し、より詳細には、紙のシートへの加工、丁合、および自動封筒詰め作業のための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
印刷物加工設備は自動封筒詰めで知られている。かかる設備は、事前に印刷された紙ウェブを供給し、こうしたウェブを1つまたは複数の個々のシートに切断して、シートを丁合し、こうした個々のシートの丁合物を封筒に入れるための構成要素を含むことができる。かかる設備は、さらに、詰め込まれた封筒を指定の場所に運搬する構成要素を含むことができる。この産業には、上記その他の機能を果たす長い間知られたデバイスがある。しかし、最終製品の信頼性、正確さ、および品質を損なわずに、大量の紙の枚数計算かつ速い速度が要求される点で改善が求められている。
【0004】
より具体的には、通常、大きい紙ロールの個々の領域において部分に固有の情報が印刷される。すなわち、最初の紙ロールは、証印に固有の情報がすでに印刷された膨大な数の個々の領域を含み、それぞれ個々の領域は単一ページまたはシートの証印に固有の情報を実際に含むべきものを規定する。この過程を複雑にするのは、シート数によって、かつ、当然、含まれたシート上の特定に証印によって、1つの封筒の内容物が他の封筒の内容物と異なるように、関連する証印を有する変数のシートを封筒内に配置しなければならないことである。一例として、複数の顧客またはアカウントに特化した財務報告書は、様々な数の顧客またはアカウントに特化したシートを切断し、それぞれ丁合し、詰め込み、配達用に出す必要がある。したがって、各封筒の内容物は、単一シート、または2から多数のシートの「丁合物」を含み、各「丁合物」は住所への郵送に固有のものである。
【0005】
こうした例示の作業では、金融機関が各顧客に請求書または送り状の情報を送ることがある。1人の顧客についての請求書情報または「証印」は、丁合して、その顧客の封筒内に配置しなければならない、1枚の最終シートから数枚のシートまでのいずれかが必要とされる。この情報全てを単一ロール上のシートの大きさの個々の領域内に印刷することができるが、こうした領域を良好に画定し、切断し、同じ住所または宛先のシートにまとめ、または丁合し、封筒内に配置し、処理し、送り出さなければならない。したがって、この過程を実行するためのシステムは、過去においては、紙ロールスタンド、駆動装置、シート切断機、まとめユニット、集積または丁合ユニット、折りたたみ機、封筒供給機、封筒挿入機、ならびに、仕上げおよび排出ユニットなど、幾つかの典型的な構成要素を含んでいた。電子制御装置を使用して、システムを作動させ、機能を相関させて、正しいシートが丁合され、正しい宛先の封筒内に配置される。
【0006】
こうした複数構成要素システムでは、紙ロールから完成した封筒までの通過速度が各構成要素の速度に依存し、全体の生産速度は、最も遅い、または最も弱いリンク構成要素の関数である。全体の信頼性も同様に限定される。さらに、どの機能不全または故障からでも修理までの平均作業中止時間が、最も修理が多く、最も保守消耗性の構成要素によって限定される。こうしたシステムは、資本集約的であり、かなりの間取りまたは設置面積が必要とされ、かなりの労働力、材料、および保守能力、ならびに施設が必要とされる。
【0007】
かかるシステムでは、詰め込み作業の一部として、単一の個々のシート、またはこうしたシートのスタックを封筒に向けて輸送することが必要とされることが多い。従来のこのタイプのシステムでは、シートの高速輸送の結果、シートが封筒に向かって封筒内に移動するときに、シートの制御が不十分になる恐れがある。制御が不十分な場合、たとえば、シートがシートの移動平面から離れるように持ち上げられることがある。シートのスタックを加工する場合、この不十分な制御によって、たとえば、シートの縁部が互いに位置合わせされないこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、個々のシートおよび個々のシートのスタックを高速処理機械で処理するための改良型輸送装置および方法を提供することが望ましい。また、従来の紙システムで観察される特有の問題に対処する輸送システムおよび関連方法を提供することも望ましい。さらに、封筒に詰めるための従来の機械の問題に対処する自動封筒詰め機械の形態の加工装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的のため、幾つかの実施形態では、装置は、単一の物体、またはスタックの複数の物体を封筒詰め位置まで上方に輸送し、案内する。駆動ラグまたはフィンガは、物体の後縁部と係合して、物体を移動させ、物体の外側縁部は案内部によって制限され、偏倚可能な要素は物体と係合し、物体を駆動力に対して遅らせて、物体が移動するときに物体をしっかり制限し制御する。
【0010】
より具体的には、本発明の特定の一実施形態では、個々の紙またはフィルムの物体を縦方向に輸送して封筒内に挿入するための装置を提供する。この装置は、物体を縦方向に案内するための対向する第1と第2のチャネルを含む案内アセンブリを含み、チャネルは上向きに方向付けられ、それによって物体のための上り坂の移動経路が画定される。駆動装置は、物体を第1および第2のチャネルに沿って移動させるための縦方向に対して横方向に延びる係合要素を含む。少なくとも1つの支持要素は物体を案内アセンブリに対して保持する。
【0011】
少なくとも1つの支持要素は、物体と係合するための複数の偏倚可能な要素を含むことができる。複数の偏倚可能な要素は剛毛を含むことができる。偏倚可能な要素を、物体が縦方向に移動するときに、縦方向に反対の方向に物体に力を加えるように方向付けることができる。偏倚可能な要素を、物体が縦方向に移動中に、縦方向に対して横方向に物体に対して力を加えるように配置することができる。係合要素は、物体の移動平面から延びるフィンガの形態でもよい。フィンガを、物体の後縁部と係合し、それによって物体を縦方向に移動させるように構成することができる。第1または第2のチャネルの少なくとも1つは全般的にC形状の断面を含む。案内アセンブリは、それぞれ第1および第2のチャネルを画定し、それぞれ封筒をその上に受けるように構成された遠位端を含む第1および第2の脚部材を含むことができる。
【0012】
装置は、案内アセンブリに結合され、封筒の内部と係合し、それによって封筒を開放して、物体を封筒内に受けるように構成された少なくとも1つの延長要素を含むことができる。より具体的には、封筒が延長要素に対して移動される結果、延長要素の作用によって封筒が開放される。延長要素は全般的に平坦でもよい。第1または第2のチャネルの少なくとも1つを縦方向に先細りにすることができる。案内アセンブリおよび駆動装置を、物体のスタックを縦方向に移動させるように構成することができる。少なくとも1つの支持要素は、実質的に案内アセンブリの全長に沿って延びることができる。
【0013】
他の実施形態では、個々の紙あるいはフィルムの物体、またはこうした物体のスタックを縦方向に輸送して封筒内に挿入するための装置を提供する。この装置は、それぞれ物体を縦方向に案内するための全般的にC形状のチャネルを含む少なくとも一部を有する対向する第1と第2の脚部材を含む案内アセンブリを含む。駆動装置は、物体を第1および第2のチャネルに沿って移動させるための係合要素を含む。1対の支持要素は、物体を案内アセンブリに対して保持し、物体と係合するための複数の偏倚可能な要素を含む。
【0014】
他の実施形態では、自動封筒詰め装置を提供する。この装置は、紙ロールの縦方向への供給に関連する第1の端部、および紙ロールを個々の紙の物体に加工するように構成された部分を含む。装置の第2の端部は、封筒を個々の物体に向けて供給することに関連する。この装置の輸送装置は個々の物体を封筒に向けて輸送し、案内アセンブリを含む。案内アセンブリは、物体を縦方向に案内するための対向する第1と第2のチャネルを有し、チャネルは上向きに方向付けられ、それによって物体のための上り坂の移動経路が画定される。駆動装置は、物体を第1および第2のチャネルに沿って移動させるための縦方向に対して横方向に延びる係合要素を含む。輸送装置は、物体を案内アセンブリに対して保持するための少なくとも1つの支持要素を含む。
【0015】
他の実施形態では、個々の紙あるいはフィルムの物体、またはこうした物体のスタックを縦方向に輸送して封筒内に挿入するための方法を提供する。この方法は、物体を上向き方向に案内する段階、および物体の共通の後縁部に対して力を加えて、物体を縦方向に移動させる段階を含む。この方法は、物体が縦方向に移動中に物体に抗力を加える段階を含むことができる。この方法は、別法または追加として、力を縦方向に対して横方向に、かつ重力の方向に対して横方向に物体に加えて、物体の縦方向の移動を制御する段階を含むことができる。この方法は、物体の少なくとも4方向の移動を制限して、物体の縦方向の移動を制御する段階を含むことができる。
【0016】
こうした装置および方法は、モジューラーベースであり、改良型紙処理装置、サーボ駆動構成要素、改善されたセンサ密度、およびシステムオペレーションを制御する改善された制御概念を有する、改良型紙加工およびシート挿入装置、ならびに方法が企図される紙加工および封筒詰めシステムで特に有用である。本発明の1つまたは複数の実施形態は、したがって、人的資本、必要な空間、必要な設備、保守、労働力、および材料、ならびに施設が同様の処理能力の従来のシステムと比較して低減されるモジュラ紙加工およびシート挿入システムのモジュールとして使用することができる改良型封筒運搬装置の提供を企図するものである。
【0017】
より具体的には、こうした改良型装置および方法では、一連の同様のモジュール、または特定のモジュールが多機能である異なるモジュールの以下の機能を提供する複数の機能モジュールが企図される。機能には、以下が含まれる。
・印刷済み紙ロールの処理/巻き出し
・紙を細長く切り、切断すること
・シートの丁合および集積
・シートの折りたたみ
・挿入紙とインターフェースをとるための輸送
・封筒送り
・丁合インターフェースおよび挿入、ならびに、
・封筒の処理および送り出し
【0018】
より具体的には、本発明の1つまたは複数の態様は、限定的ではないが、新しい独特の以下のための装置および方法を企図することができる。
(a)印刷された証印を含む紙またはフィルムのウェブを切断装置に案内すること
(b)ウェブを細長く切断し横方向に切断する作業によって加工すること
(c)挿入紙の個々の片を輸送し、まとめること
(d)挿入紙の個々の片を所定のスタックに集積すること
(e)挿入紙の個々の片のスタックを封筒詰めステーションに向けて案内し、輸送すること
(f)個々の封筒を封筒詰めステーションに向けて輸送すること
(g)封筒詰め工程の前に、封筒のスタックを作成し、加工すること、および
(h)封筒のスタックから封筒詰めステーションを通して個々の封筒を加工すること
【0019】
特定のモジュールの特定の機能の組み合わせは、独特の組み合わせであるが、本出願の発明は主に本明細書に記載した紙輸送装置および方法である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】選択した紙またはフィルムの物体を封筒に詰めるための加工機の一部を示す斜視図である。
【図2】図1の丸で囲んだ領域に関連する輸送装置の一部の内部を示す斜視図である。
【図3】図1〜2の輸送装置の案内アセンブリの一部を示す立面図である。
【図4】図3の案内アセンブリの一部を示す斜視図である。
【図5】図2の輸送装置の駆動装置を示す図2と同様の図である。
【図5A】例示の挿入紙を加工する図2の輸送装置の端部部分を示す立面図である。
【図6】例示の挿入紙を加工する際の他の段階を示す図5Aと同様の図である。
【図7】図6で示したものと異なる挿入紙の加工を示す図6と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図を、より具体的には図1を参照すると、紙またはフィルムのウェブ12を加工するための例示の加工機10の一部が示されている。図に示していないが、加工機10で加工されたウェブ12は、たとえば、こうしたウェブを含む材料のロール(図示せず)に源を発する。ロールは、全般的に加工機10の第1の端部14と関連し、たとえば、ロールの芯を受ける軸を駆動することによって、またはロールの表面にベルトあるいは同様の装置で接触することによって、当技術分野で周知の方法で巻き出される。通常、ウェブ12は、証印が個々の領域に事前に印刷される。
【0022】
したがって、ウェブ12は、加工機10を構成する幾つかのモジュールを通り、全般的に矢印15で示した縦方向に移動する。図1の例示の実施形態では、加工機10は、ウェブ材料を材料(「挿入紙」)の(その「領域」に対応する)個々のシートに切断し、それらを加工機10の反対側の端部16から全般的に供給される封筒内に送る。加工機10はさらに、後続の加工または配置のために、挿入紙を含む封筒を図で示した加工機10の部分から離れるように運搬する。例示の加工機10は、上記のように、ウェブおよびそれから得られる挿入紙の加工、ならびに封筒の加工における様々なステップを実行するための幾つかのモジュールを含む。当業者には容易に理解されるように、加工機10はこれらの本明細書に示したものに加えて、またはその代わりに、他のモジュールを含むことができる。
【0023】
たとえば、図で示したモジュールの最初のものは、加工機10の第1の端部14に比較的近接した切断モジュール30であり、切断モジュール30は、後続の加工のため、ウェブ12を挿入紙など個々の物体(図2)に切断する。運搬モジュール40は、切断モジュールから受取った個々の挿入紙を制御し、輸送し、それらを折りたたみおよび緩衝モジュール50に送る。モジュール50は、たとえば、意図された生産に、2つ以上の個々のシートによって画定された挿入紙を封筒に詰めることが必要とされる場合、必要に応じて、後続の加工のために個々の挿入紙のスタックを形成することができる。モジュール50は、意図された生産によって要求された場合、全般的に縦方向に沿って配置された個々の挿入紙の長手方向軸に沿って個々の挿入紙を折りたたむ。さらに、モジュール50は、特定の生産によって要求された場合、個々のシートのセットを個々に処理されたスタックに集積し、丁合し、または緩衝する。
【0024】
続いて図1を参照すると、取り込みモジュール60は、折たたみおよび緩衝モジュール50から挿入紙を取り入れ、詰め込みモジュール70の構成要素と協働して、挿入紙を輸送し、封筒内に送る。封筒は、処理され、封筒運搬機80によって詰め込みモジュール70に向けて送られる。運搬アセンブリ90は、詰め込みモジュール70および封筒運搬機80に動作可能に結合されて、詰め込まれた、または封入された封筒を後続の加工または配置のために図で示した加工機10の部分から離れるように運搬する。
【0025】
図2〜6を参照し、特に図2を参照すると、取り込みモジュール60の輸送装置110の一部が示されている。取り込みモジュール60は、モジュール60の作動している部分へのアクセスを制限し、破片および同様の材料が挿入紙または封筒上に堆積するのを防ぐためのカバーまたは蓋112(図1)を含む。輸送装置110は案内アセンブリ120を含む。案内アセンブリ120は、第1の端部121と第2の端部122の間に延び、互いに対面関係にある第1および第2の脚部材124、128を有する。案内アセンブリ120は、個々の紙および/もしくはフィルムの物体、または挿入紙131の封筒132(図3および5)に向けた全般的に縦方向(矢印15)の全般的に湾曲した上り坂の移動経路(矢印130)を提供する。そのため、各脚部材124、128は、それぞれ挿入紙131の外側縁部131aの1つを受け、それによって挿入紙131が縦方向(矢印15)に移動するときに挿入紙131を案内するチャネル125、129の形態の横方向の案内部を含む。チャネル125、129のさらなる詳細を以下でさらに詳細に論じる。本明細書で使用されるように、用語「挿入紙」は、紙あるいはフィルムの単一の個々のシート、または紙および/もしくはフィルムの個々のシートのスタックを含めるものである。
【0026】
(図2および5のファントムで示した)1対のモータ140が、挿入紙131の幅に応じて、かつさらに封筒132の幅に応じて、第1と第2のチャネル125と129の間の間隔を自動調整できるようにする。この実施形態では、各モータ140は、たとえば、(図5に1つだけ示してある)ジャッキねじ142によってチャネル125、129の1つに動作可能に結合されて、モータ140の軸の回転によってジャッキねじ142が回転され、チャネル125、129が互いに向かって前進するようになされる。別法として、チャネル125、129の1つだけをチャネル125、129の他方に向かって可動にし、それによって、挿入紙131の幅に応じて、かつ封筒132の幅に応じて、チャネル125と129の間の間隔を同様に自動的に調整できることも企図される。単一のモータがチャネル125、129の両方を制御できることも企図される。モータ140は、たとえば、Waldkirch、ドイツのSick AG Groupのメンバー、Sick Stegmann GmbHから入手可能なモデルHRA08Cなどステップモータでもよい。
【0027】
2つの支持要素144、148は、案内アセンブリ120と協働して、挿入紙131が縦方向(矢印15)に移動するときに、挿入紙131を案内アセンブリ120に対して保持する。より具体的には、支持要素144、148は、実質的に案内アセンブリ120の全長Lに沿って延び、協働する案内アセンブリ120の固定面154、158と対面関係に配置される。固定面154、158は、同様に、実質的に案内アセンブリ120の全長「L」に沿って延びる。
【0028】
特に図2を続いて参照すると、各支持要素144、148は、この例示の実施形態では、図2および5で図示した、挿入紙131と係合する剛毛160の形態の複数の偏倚可能な要素を含む。この点で、支持要素144、148は、剛毛160と固定面154、158の間のぴったりした嵌合をもたらし、それによって挿入紙131の案内が容易になるように固定面154、158に対して位置付けられる。より具体的には、支持要素144、148の位置は、剛毛160と挿入紙131の緩くしっかりした係合が可能になるように適切に選択される(図6〜7)。この係合によって、支持要素144、148により挿入紙131に対して下向きの力(図6〜7の矢印172)が加えられることになる。この下向きの力は、縦方向(矢印15)に対して横方向であり、重力の方向(たとえば矢印206)に対して横方向である。同様に、剛毛160の係合は、挿入紙131に、たとえば図6〜7の矢印176で示した方向など縦方向(矢印15)に反対方向の抗力を加えることになる。この2つの力(図6〜7の矢印172および176)は協働して、挿入紙131を固定面154、158に対して保持し、それによって挿入紙131が封筒132に向かって縦方向(矢印15)に移動するときに、挿入紙131を案内する。したがって、この2つの力は、挿入紙131が案内アセンブリ120の長さ「L」に沿って移動するときに、挿入紙131が持ち上げられ、またははためくのを最小限に抑える。
【0029】
図2の例示の実施形態は、2つの支持要素144、148、およびそれぞれ支持要素144、148と関連する2つの固定面154、158を含むが、代替実施形態は、2つ以外の任意の数の支持要素および協働する固定面を含むことができ、または固定面を全く含まなくてもよいことが企図される。同様に、固定面154、158を、輸送装置110の機能と同様の案内機能が提供される限り、適切に選択された構造と置き換えることができることも企図される。幾つかのブレース180は各支持要素144、148に支持を与える。より具体的には、ブレース180に、たとえば、案内アセンブリ120の長さ「L」に沿って位置付けられた開口部182を設けて、支持要素144、148を輸送装置110の駆動装置300(図5)またはモジュール60の(ファントムで示した)他の部分に構造的に結合することができるようにする。
【0030】
特に図2を続いて参照し、さらに図3〜4を参照すると、上記で論じたように、脚部材124、128は、それぞれ挿入紙131が縦方向(矢印15)に移動するときに挿入紙131を案内するためのチャネル125、129を含む。説明を簡単にするために、2つのチャネル125、129の1つだけを参照して詳細に論じるが、理解されるように、同じことがチャネル125、129の1つまたは両方に当てはまる。
【0031】
チャネル129は脚部材128の長さに沿って延び、それぞれ挿入紙131を受け、排出するための開放入口端129aおよび出口端129bを画定する。この例示の実施形態では、チャネル129は、入口端129aに漏斗またはリップセクション126を含んで、挿入紙131の外側縁部131aを受けやすくする(図3)。チャネル129は、全般的に上向きの方向付けに従い、挿入紙131が縦方向(矢印15)に移動するときの挿入紙131のための全般的に上り坂の移動経路(図5の矢印130)を画定する。この例示の実施形態では、チャネル129は、挿入紙131が出口端129bから封筒132内に移動するときに、挿入紙131の正確な案内が容易になるように、縦方向(矢印15)に先細りになされる(図3)。したがって、チャネル129は、出口端129bが入口端129aより小さい。より具体的には、この実施形態では、チャネル129は第1の幅d1から第1の幅d1よりも小さい第2の幅d2に先細りになされる。
【0032】
特に図2〜4を続いて参照すると、チャネル129の少なくとも一部は全般的にC形状の横断面または断面を有する。したがって、C形状の断面は、挿入紙131を案内するための、後壁C1、および後壁C1から延びる対向する上壁と底壁C2、C3を画定する。本開示中で使用されるように、用語「上」、「下」、「頂部」、「底部」、「後」、およびその派生語は、限定的ではなく、図で示した例示の方向を指すものである。この例示の実施形態のC形状の断面は、挿入紙131の4方向の移動を制限するものである。より具体的には、後壁C1は挿入紙131の外側縁部131aに停止または制限面を与えることによって、挿入紙131の移動を制限する。したがって、この点で、後壁C1は、挿入紙131の第1の方向(図2の矢印200)への移動を制限し、対応するチャネル125の後壁C1(図示せず)は挿入紙131の第1の方向に反対の第2の方向(図2の矢印202)への移動を制限する。チャネル129の上壁C2および底壁C3はそれぞれ挿入紙131の上方および下方(矢印204、206)への移動を制限する。
【0033】
挿入紙131の4方向への移動の制限によって、挿入紙131が(図3のファントムで示した)封筒132に向かって縦方向(矢印15)に移動するときに、挿入紙131を正確に案内しやすくなる。輸送装置110の他の構造は、同様に挿入紙131を封筒132内に案内しやすくするものである。より具体的には、一対の全般的に平坦な延長要素214、218がそれぞれ脚部材124、128から延びて、挿入紙131を封筒132内に挿入しやすくする。動作の際は、平坦な延長要素214、218が、それらに向かって矢印220の方向に移動する封筒132を受けて、封筒132を開放し、それによって図3で示したように、封筒132の内部を露出させる。さらに、延長要素214、218は、挿入動作中に、封筒132を開放位置に維持する。封筒132を延長要素に向けて送るための例示の装置および方法が、2003年5月12日に出願された「Device for Inserting Sheets into an Envelope」という名称の米国特許出願第10/553,969号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
特に図2〜4を続いて参照すると、この例示の実施形態のチャネル129は、脚部材128の第1の構造部分210に沿って全般的に均一のC形状の断面を有する。C形状の断面は、第1の構造部分210に結合された脚部材128の第2の構造部分211に沿って縦方向(矢印15)に先細りになされる。別法として、チャネル129の全長を先細りにすることもでき、または全く先細りにしなくてもよいことも企図される。同様に、別法として、図2〜4の例示の実施形態で示したように、チャネル129が、互いに結合された2つの構造部分210と211から作製されたものではなく、一体型に形成された脚部材128に沿って延びることができることも企図される。
【0035】
この例示の実施形態のそれぞれ全般的に平坦な延長要素214、218は、それぞれ各脚部材124、128の第2の構造部分211と一体に形成される。したがって、動作の際は、図3で示したように、封筒132がチャネル129の出口端129bを包囲するように押し出され、同時に挿入紙131を縦方向(矢印15)に封筒132の内部に移動させることができる。
【0036】
特に図2〜4を続いて参照すると、この特定の実施形態では、第3の延長要素が案内アセンブリ120に結合されて、挿入紙131を封筒132内に案内しやすくしている。より具体的には、中央に配置された全般的に平坦な延長要素240が延長要素214と218の間に配置され、案内アセンブリ120の下側に結合され、封筒132が延長要素214、218、240に向かって移動するときに、同様に封筒132の内部と係合する。この例示の実施形態は、2つの外側延長要素214、218、および1つの中央に配置された延長要素240を含むが、代替実施形態は、異なる数、位置、および/あるいは異なる形状の延長要素を有することができ、または延長要素を全く持たなくてもよいことが企図される。
【0037】
特に図5、5A、および6〜7を参照すると、挿入紙131の縦方向(矢印15)の移動が、図5の二点鎖線で示した駆動装置300によって行われ、駆動装置300は、挿入紙131と係合し、移動させる。駆動装置300は歯付きベルトアセンブリ302を含む。歯付きベルトアセンブリ302は、閉ループ内で(矢印303に)回転可能であり、歯付きホイールまたはローラ304、および協働するローラ306によって駆動され、ベルトアセンブリ302が実質的に案内アセンブリ120の全長「L」に沿って位置付けられるようになされる。歯付きホイールまたはローラ304は、輸送装置110の主フレーム309からプレート307および締結部308によって支持される。歯付きホイールまたはローラ304は、同様にプレート307によってそれぞれ支持要素144、148に結合されて、駆動装置300と支持要素144、148が同時に案内アセンブリ120から離れるように持ち上げられるようになされる。駆動装置300は複数のフィンガ310を含む。フィンガ310は、ベルトアセンブリ302の長さに沿って間隔をおいて配置され、ベルトアセンブリ302から延びて挿入紙131の後縁部131sと係合する
【0038】
特に図5〜5Aを参照すると、フィンガ310は、挿入紙131が縦方向(矢印15)に移動するときに、挿入紙131の後縁部131sに沿って2点(図5Aに1つだけ示されている)で係合することができるように、対で配置される。この点で、駆動装置300は、フィンガ310が延長要素240と固定面154、158の間の開放空間314(図5)を貫通し、それによって挿入紙の後縁部131sがそれと衝合する停止または制限面が設けられるようにも位置付けられる。動作の際は、図5Aで示したように、挿入紙131を作る積み重ねられた個々のシートがそれぞれ後縁部131sに沿って互いに位置合わせされるように、挿入紙131が案内アセンブリ120によって案内されて縦方向(矢印15)に移動するときに、抵抗かつ下向きの力(矢印172および図2の206)が挿入紙131をフィンガ310に対して遅らせる。したがって、フィンガ310は、互いに位置合わせされた、または重ね合わされたシートのスタックを挿入しやすくする。挿入紙131が封筒132内に挿入された後、得られた詰め込まれた封筒が、たとえば、さらなる配置のため、封筒供給および/または運搬装置の(図のファントムで示した)ローラR1およびR2などの構成要素によって運ばれる。
【0039】
特に図6および7を参照すると、剛毛160の形態の例示の偏倚可能な要素の特徴が示されている。剛毛160が挿入紙131の厚さに対応するように偏倚しているところが示されている。したがって、図6は、挿入紙131の第1の厚さt1と関連する第1の程度に偏倚している剛毛160を示している。図7は、第1の厚さt1よりも厚い挿入紙131の第2の厚さt2に関連する第2の程度に偏倚している剛毛160を示している。
【0040】
本明細書で使用されるように、用語「偏倚可能な要素」は、その上に力の作用を受けると屈曲する固体構造を指す。この点で、図2〜7の実施形態の偏倚可能な要素は剛毛160の形態であるが、別法として、偏倚可能な要素が本開示に記載した機能の少なくとも一部を提供する限り、偏倚可能な要素が他の形態をとることができることも企図される。たとえば、限定的ではないが、偏倚可能な要素は、可撓性フラップまたは他の構造の形態をとることもできる。
【0041】
本発明を多様な実施形態の記載によって示し、こうした実施形態をかなり詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲は、こうした詳細に制限され、または決して限定されないものとする。当業者には他の利点および修正が容易に明らかであろう。したがって、本発明は、その広範な態様において、特定の詳細、代表的な装置および方法、ならびに図で示し記載した例に限定されないものである。ゆえに、全般的な本発明の概念の精神および範囲から逸脱することなく、こうした詳細から離脱することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 加工機
12 ウェブ
14、16 端部
30 切断モジュール
40 運搬モジュール
50 折たたみおよび緩衝モジュール
60 取り込みモジュール
70 詰め込みモジュール
80 封筒運搬機
90 運搬アセンブリ
110 輸送装置
112 蓋
120 案内アセンブリ
121、122 端部
124、128 脚部材
125、129 チャネル
129a 入口端
129b 出口端
130 移動経路
131 挿入紙
131a 外側縁部
131s 後縁部
132 封筒
140 モータ
142 ジャッキねじ
144、148 支持要素
154、158 固定面
160 剛毛
180 ブレース
182 開口部
210 第1の構造部分
211 第2の構造部分
214、218、240 延長要素
300 駆動装置
302 歯付きベルトアセンブリ
304、306 ローラ
307 プレート
308 締結部
309 主フレーム
310 フィンガ
314 開放空間
C1 後壁
C2 上壁
C3 底壁
R1 ローラ
R2 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々の紙またはフィルムの物体を縦方向に輸送して封筒内に挿入するための装置であって、
前記物体を前記縦方向に案内するための対向する第1と第2のチャネルを含み、前記チャネルが上向きに方向付けられ、それによって前記物体のための上り坂の移動経路が画定される、案内アセンブリと、
前記物体を前記第1および第2のチャネルに沿って移動させるための前記縦方向に対して横方向に延びる係合要素を含む駆動装置と、
前記物体を前記案内アセンブリに対して保持するための少なくとも1つの支持要素と、を備える装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの支持要素が前記物体と係合するための複数の偏倚可能な要素を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の偏倚可能な要素が剛毛を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記偏倚可能な要素が、前記物体が前記縦方向に移動するときに、前記縦方向に反対の方向に前記物体に力を加えるように配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記偏倚可能な要素が、前記物体が前記縦方向に移動中に、前記縦方向に対して横方向に前記物体に対して力を加えるように方向付けられる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記係合要素が前記物体の移動平面から延びるフィンガの形態である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記フィンガが前記物体の後縁部と係合し、それによって前記物体を前記縦方向に移動させるように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1または第2のチャネルの少なくとも1つが全般的にC形状の断面を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記案内アセンブリが、それぞれ前記第1および第2のチャネルを画定しそれぞれ前記封筒をその上に受けるように構成された遠位端を含む第1および第2の脚部材を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記案内アセンブリに結合され、前記封筒の内部と係合し、それによって前記封筒を開放して前記物体を前記封筒内に受けるように構成された少なくとも1つの延長要素をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの延長要素が全般的に平坦である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1または第2のチャネルの少なくとも1つが前記縦方向に先細りになされる、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記案内アセンブリおよび前記駆動装置が前記物体のスタックを前記縦方向に移動させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの支持要素が実質的に前記案内アセンブリの全長に沿って延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記案内アセンブリが、それぞれ前記第1および第2のチャネルを画定する第1および第2の脚部材を含み、前記第1および第2の脚部材の少なくとも1つに動作可能に結合されて前記封筒の幅に応じて前記第1および第2の脚部材の前記少なくとも1つを前記第1および第2の脚部材の他方に向けて自動的に移動させるモータをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記モータが前記第1および第2の脚部材に動作可能に結合されて、前記第1および第2の脚部材の両方を互いに向かって移動させる、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
個々の紙あるいはフィルムの物体、またはこうした物体のスタックを縦方向に輸送して封筒内に挿入するための装置であって、
それぞれ前記物体を前記縦方向に案内するための全般的にC形状のチャネルを含む少なくとも一部を有する対向する第1と第2の脚部材を含む案内アセンブリと、
前記物体を前記第1および第2のチャネルに沿って移動させるための係合要素を含む駆動装置と、
前記物体を前記案内アセンブリに対して保持し、前記物体と係合するための複数の偏倚可能な要素を含む1対の支持要素と、を備える装置。
【請求項18】
紙ロールの縦方向への供給に関連する第1の端部、前記紙ロールを個々の紙の物体に加工するように構成された部分、および封筒を前記個々の物体に向けて供給することに関連した第2の端部を有する自動加工装置であって、前記加工装置がさらに、
前記個々の物体を前記封筒に向けて輸送するための輸送装置であって、
前記物体を前記縦方向に案内するための対向する第1と第2のチャネルを含み、前記チャネルが上向きに方向付けられ、それによって前記物体のための上り坂の移動経路が画定される案内アセンブリと、
前記物体を前記第1および第2のチャネルに沿って移動させるための前記縦方向に対して横方向に延びる係合要素を含む駆動装置と、
前記物体を前記案内アセンブリに対して保持するための少なくとも1つの支持要素と、を含む輸送装置を備える自動加工装置。
【請求項19】
個々の紙あるいはフィルムの物体、またはこうした物体のスタックを縦方向に輸送して封筒内に挿入するための方法であって、
前記物体を上向き方向に案内する段階と、
前記物体の共通の後縁部に対して力を加えて、前記物体を縦方向に移動させる段階と、を含む方法。
【請求項20】
前記物体が前記縦方向に移動中に前記物体に抗力を加える段階をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記物体に前記縦方向に対して横方向に力を加えて、前記物体の前記縦方向の移動を制御する段階をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記物体の少なくとも4方向の移動を制限して、前記物体の前記縦方向の移動を制御する段階をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記封筒の幅に応じて前記物体の外側縁部と係合する横方向の案内部の間の距離を自動的に調整する段階をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
スタックが前記縦方向に移動中にそれぞれ前記スタック内の物体の後縁部を互いに位置合わせする段階をさらに含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−501882(P2012−501882A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526068(P2011−526068)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/030549
【国際公開番号】WO2010/027523
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(511058431)ケルン・インターナショナル・インコーポレーテッド (5)