説明

偏光光源およびその製造方法

【課題】サイズの小さい偏光光源を提供する。
【解決手段】偏光光源は、発光素子が発光する光を透過する窓を有するリード部と、リード部にフリップチップ接続された発光素子と、発光素子とリード部とに接するように塗布された樹脂と、リード部の窓の位置において発光素子と対向する側に取り付けられた偏光板とを備える。発光素子と偏光板との間のギャップがリード部によって安定するため、小型で安定した偏光光源が実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを用いた偏光光源の構造とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光半導体素子である発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)は、安価で長寿命な素子として注目され、各種のインジケータ、光源、平面型表示装置、液晶ディスプレイのバックライト等に広く使用されている。
【0003】
出射光を効率的に利用するために、反射部を備えた光源が知られている。このような光源に関する参考技術として、特許文献1を挙げる。この文献には、本願の図6に掲載した構成を有する光源が記載されている。このような光源では、発光素子の周囲に設けられた反射部により、発光素子から側面ないし背面方向に出射された光が発光装置の正面方向へ向けて反射される。
【0004】
このような発光装置においては、一般的に、発光素子を収納するための凹部が実装部材(実装基板)に形成される。この凹部の底面部に発光素子が実装される。凹部の側壁部等によって、発光素子から出射された光が反射される。例えば、液品ポリマー系の白色樹脂には反射率が約85%のものがあり、このような樹脂で反射部を形成することができる。さらに、反射面を鏡面状に研磨した金属性リフレクターや、リング状をなす躯体の反射面に蒸着法又はメッキ法により金属薄膜を形成したリフレクターを接合することにより、発光素子から発せられる光の減衰を防止することができる。
【0005】
一方、放電ランプ等の光源を有する偏光素子は、液晶プロジェクタ(直視式及び投影式液晶表示器)に利用されている。こうした液晶表示器は、光源と、液晶パネルと、液晶パネルの前後に配置された二個の偏光素子とを備える。光源から出射された光線は、液晶パネルに対して光源に近い側の偏光素子に達する。この偏光素子において、光線の約半分は透過し、残りの約半分はこの偏光素子によって吸収されるか反射される。その後、透過した光線は液晶パネルおよびその反対側にある偏光素子を透過してスクリーン上に画像を表示する。
【0006】
一般に発光ダイオード光源(以下、LED光源と称す)に求められることは、LED光源からの光の光束が大きいことと、LED光源の発光効率が高いことである。液晶プロジェクタに使用するためには、LED光源の発光効率の高さの方が、LED光源からの光の光束の大きさよりも重要である。したがって、このような発光装置においては、発光ダイオードから放出された光の損失を少なくして、より多くの光を発光装置から出射させることが重要となる。
【0007】
LED光源のプロジェクタは、現在市販されている他のタイプのプロジェクタと比較すると、光出力が小さい。そのため用途は限られる。しかし、LED光源は超高圧水銀ランプとは違う特性を持っている。LEDによって広い色域を得ることができる。NTSC(National Television System Committee)規格比で140%を達成できる。瞬時に点灯できる。寿命が長い。水銀や高圧、高電圧を使用していないので、取り扱いが楽である。
【0008】
現状の明るさでは放電ランプ方式のプロジェクタの明るさには及ばないが、LED光源には、その特徴を生かした用途が考えられる。今後、LEDの光源輝度がさらに高くなることが期待される。将来的には、LED素子の特性を十分利用できる光学設計を用いて、プロジェクタ光源に利用される事が期待される。プロジェクタ光源に関しては、非特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−79104号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】西田信夫(監修)、「プロジェクタの最新技術II」、シーエムシー出版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記参考技術においては、以下の事項が問題となる可能性がある。発光ダイオードが接続されたベースを反射器の内部に設置すると、偏光光源の厚さが大きくなる。反射器の内表面部が斜めになり広がっているので、4分の1波長板と反射式偏光子の寸法が大きくなり大型化する。
【0012】
さらなる小型化を可能とする偏光光源が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面において、偏光光源は、発光素子が発光する光を透過する窓を有するリード部と、リード部にフリップチップ接続された発光素子と、発光素子とリード部とに接するように塗布された樹脂と、リード部の窓の位置において発光素子と対向する側に取り付けられた偏光板とを備える。
【0014】
本発明の他の側面において、偏光光源の製造方法は、互いにタイバーで接続され、発光素子が発光する光を透過する窓を有するリード部を複数有するリードフレームにおいて、複数のリード部の各々に、発光素子を超音波併用熱圧着にてフリップチップ接続する工程と、各リード部に接続された発光素子の周辺に、発光素子と各リード部とに接するように樹脂を塗布する工程と、樹脂を加熱硬化させる工程と、各リード部の窓の位置において発光素子と対向する側に偏光板を取り付ける工程とタイバーを切断することにより複数のリード部を互いに分離する工程とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、サイズの小さい偏光光源を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1Aは、偏光光源の平面図である。
【図1B】図1Bは、偏光光源の断面図である。
【図1C】図1Cは、偏光光源の断面図である。
【図1D】図1Dは、リードフレームの平面図である。
【図2A】図2Aは、偏光光源の断面図である。
【図2B】図2Bは、偏光光源の断面図である。
【図2C】図2Cは、偏光光源の断面図である。
【図3A】図3Aは、偏光光源の断面図である。
【図3B】図3Bは、偏光光源の断面図である。
【図4】図4は、偏光光源の製造方法を示す。
【図5A】図5Aは、偏光光源の一製造工程を示す。
【図5B】図5Bは、偏光光源の一製造工程を示す。
【図5C】図5Cは、偏光光源の一製造工程を示す。
【図5D】図5Dは、偏光光源の一製造工程を示す。
【図5E】図5Eは、偏光光源の一製造工程を示す。
【図5F】図5Fは、偏光光源の一製造工程を示す。
【図5G】図5Gは、偏光光源の一製造工程を示す。
【図5H】図5Hは、偏光光源の一製造工程を示す。
【図5I】図5Iは、偏光光源の一製造工程を示す。
【図5J】図5Jは、偏光光源の一製造工程を示す。
【図5K】図5Kは、偏光光源の一製造工程を示す。
【図6】図6は、参考技術における偏光光源を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1Aは、本発明の第1実施形態における発光素子(偏光光源)の平面図を示す。図1Bは、図1AのA−A断面における断面図である。図1Cは、図1AのB−B断面における断面図である。
【0018】
本実施形態においては、リード部1(基板)にフリップチップ接続で発光ダイオード2が搭載される。リード部1は、多数個のリード部1を切り出す基材となるリードフレーム7から製造される。図1Dは、リードフレーム7の一例を示す平面図である。リードフレーム7は、平板型の材料によって形成される。リードフレーム7には、多数個のリード部1が予め成形される。隣接するリード部1は、切断部9によってつながっている。各リード部1には、発光ダイオード2の発光する光を透過する透過窓8(貫通孔)が形成される。このようなリードフレーム7を曲げ加工することによって、図1Bと図1Cに示すような下段部1−1、接続部1−2、上段部1−3が形成される。
【0019】
発光ダイオード2は、半田ボール6を介してリード部1の下面側に固定される。そのリード部1をはさんで発光ダイオード2と対向する上面側に、4分の1波長板4が取り付けられる。発光ダイオード2と4分の1波長板4との間のリード部1には、発光ダイオード2の出射光が透過する透過窓8が形成される。4分の1波長板4上に偏光板3が載置される。発光ダイオード2の周辺には、発光ダイオード2とリード部1の下面側とに接するように反射率の高い樹脂5(好ましくは、発光ダイオード2の出射光に対して80%以上の反射率を有する液品ポリマー系の白色樹脂など)が塗布される。
【0020】
リード部1は成形され、リード部1の半田接続部の高さは、発光ダイオードの背面の高さと同等である。より詳細には、リード部1は成形されることにより、下段部1−1と、それよりも出射光の進行方向に位置する平面を形成する上段部1−3と、下段部1−1と上段部1−3とを接続する接続部1−2とを備える。発光ダイオード2は、半田ボール6を介して上段部1−3の下面側に固定される。固定されたとき、発光ダイオード2の下面側(背面側)はリード部1の下段部1−1の下面側と同じ高さであり、同一平面上に位置する。すなわち上段部1−3は発光ダイオード2が接続される接続領域であり、それに対して下段部1−1は接続領域の周辺領域であり、発光ダイオード2の背面(偏光板3に対向する側の面と反対側の面)と同じ平面上に位置する。
【0021】
本実施形態では、4分の1波長板4を位相変換装置として用い、直線偏光を4分の1に2回透過させて偏光状態を90度回転させる。例を挙げると、S偏光が4分の1波長板を2回透過するとS偏光に変換される。最後に4分の1波長板4に偏光板3を設置して偏光光源の全体構造を形成する。偏光板3は発光ダイオード2から出射された特定偏光を通過させ(例えばS偏光)、他方の特定偏光(例えばP偏光)を反射する。本実施形態では、ワイヤグリッド偏光板によって偏光板3を実現する。樹脂5としては、可視光を反射する反射樹脂を用いる。樹脂5に当たった光は反射し、4分の1波長板4と偏光板3を透過する。
【0022】
次に、本実施形態の動作を説明する。発光ダイオード2は、図1B、図1Cの上方向に不偏光光を出射する。その不偏光光の状態は、4分の1波長板4を通過しても変化しない。そのため、出射光は不偏光の状態のまま偏光板3に到達する。偏光板3に到達した不偏光光は、通過光と反射光とに分かれる。透過光は、一方の特定偏光(例えばS偏光)となって偏光板3を通過して外部に達する。反射光は、他方の特定偏光(例えばP偏光)となって下方に反射される。
【0023】
反射されたP偏光は、4分の1波長板4を通過して円偏光になり、続いて下向きに伝播して発光ダイオード2の表面に達する。発光ダイオード2に到達した円偏光の光は、発光ダイオード2表面で反射される。この反射により、円偏光の位相が逆転する。その後、位相が逆転した円偏光の光が、4分の1波長板4を通過すると、今度は、S偏光に変換され、偏光板3を通過して外部へ達することができる。
【0024】
発光ダイオード2から図1B、図1Cの横方向に出射された光は、リード部1の断面部または樹脂5の表面で反射する。反射した光は4分の1波長板4を通過し、上記と同様な動作で、4分の1波長板4と偏光板3により、最終的には、すべてS偏光に変換される。このS偏光の光は、偏光板3を通過して外部へ達することができる。
【0025】
発光ダイオード2は、光の出射と共に熱も発生する。発生した熱は、リード部1から外部へ熱伝導する。本実施形態では、発生した熱はさらに、発光ダイオード2の下側面からも外部へ熱伝導する。例えば、本実施形態における偏光光源においては、リード部1の半田接続部の高さ(下段部1−1の下面の高さ)が発光ダイオード2の背面の高さと同じであるようにリード部1が成形される。この成形リードを偏光光源の実装基板に取り付ける。その際、リード部1を実装基板にはんだ接続するだけでなく、発光ダイオード2の下面表面を、実装基板の金属部50aにはんだ付け等によって接合する(図3A)。このような構成により、発光ダイオード2の下側表面から実装基板に放熱し、放熱の効率を向上することができる。
【0026】
前述の参考技術として例示した偏光光源においては、反射器が複雑な形状をして、さらに、内表面は発光ダイオードからの光を反射させるために特殊な処理を施していると考えられるので、反射器の製作費が高くつく。それに対して本実施形態における偏光光源は構成が簡易である。
【0027】
図3Bは、曲げ加工がなされず平板形状を有するリード部1aを用いた場合の偏光光源の構成を示す断面図である。この場合、実装基板50−1の上面側の一部領域に、厚さが周辺よりも薄い凹部を形成する。周辺領域の実装基板50−1の表面である基板上段50−3に対して、凹部の底面である基板下段50−2が形成される。平板形状のリード部1aは、基板上段50−3に固定される。その際、リード部1aの下側に取り付けられた発光ダイオード2の背面は、実装基板50−1の金属部50aに接する。この接触箇所をはんだ付け等によって接続する。このような構成により、平板形状のリード部1aを用いても放熱効率を向上することができる。
【0028】
本実施形態においては、偏光光源は特定偏光(上記の例ではS偏光)のみを出射する。発光ダイオード2が出射する不偏光の光は、完全にS偏光に変換されて偏光板3を通過するまで、この密閉空間中を絶えず伝播する。したがって、本実施形態における偏光光源は、発光ダイオード2が出射する光を効率的にS偏光へ変換することができる。さらに、発光ダイオード2の下面が露出している(反射部材などの熱伝導を妨げる部材によって覆われていない)ので、その露出部を金属などに接触させることにより、発光ダイオード2で発生した熱を効率的に放熱させることができる。
【0029】
続いて、本実施形態における各構成部品の代替の可能性などを説明する。発光ダイオード2をリード部1に接合する方法としては、超音波併用式熱圧着もしくは熱圧着によるフリップチップ接続や、C4(Controlled Collapse Chip Connection)工法に代表されるはんだボールによる接続が考えられる。Auバンプの場合は超音波併用熱圧着が適している。半田ボールではC4などの熱圧着、Auバンプと半田を用いる場合も熱圧着による接合が適している。
【0030】
発光ダイオード2をリード部1に固定するためのバンプとしては、一般的なAuバンプを用いることができる。Auバンプは、比較的安定した高さで形成できる。そのため、発光ダイオード2と4分の1波長板4との平行度を安定して確保することが容易である。さらに、発光ダイオード2の背面高さとリード部1の実装基板との接続部(すなわち下段部1−1の下面)の高さを同レベルに維持することが容易である。
【0031】
本実施形態では、発光ダイオード2をリード部1に接合する手段は、特に限定しない。面光源である発光ダイオード2の発光面と4分の1波長板4とを高い精度で平行にでき、かつ発光ダイオード2の背面高さを安定できる接合手段であれば良い。リード部1は、金属薄片のみによって形成してもよいし、一部が樹脂で覆われたフレキシブル基板の構造を有していてもよい。さらには、リード部1のうち成形されない発光ダイオード接続部周辺(上段部1−3)のみ、FR4(Flame Retardant Type 4)などのリジッドの樹脂基板で形成されていても良い。
【0032】
本実施形態における基板(リード部1)としては、リードフレームや、FR4などの樹脂基板、およびフレキシブル基板など一般的に半導体の基板として使用されるものを採用することができる。ただし、使用する基板の断面で光を吸収する基板を採用すると、発光ダイオード2から出射された光が損失を受ける。そのため、この損失があまり大きくない材料を選択することが望ましい。
【0033】
発光素子としては、面発光する発光ダイオード(LED)など光を発する半導体素子であればいかなる素子でも採用することができる。偏光板3としては、フィルム状のタイプや、ガラス板上のタイプなど、光を偏光させる機能を有していれば、いかなるタイプの偏光板でも採用することができる。樹脂5は、リード部1に実装した発光ダイオード2の接合部を保護するためと、発光ダイオード2から横に漏れた光を反射するために設けられる。従って、光を反射させる機能を持つ樹脂剤などが適している。
【0034】
偏光光源を基板に実装する際に、発光ダイオード2の下面と基板の実装面を合わせて、高熱電導率のはんだなどで接合することにより、発光ダイオード2で発生する熱を効率的に偏光光源の外部へ放熱させることができる。さらに、この発光ダイオード2と基板の接合部に熱伝導率(光熱伝導率)が高い樹脂を供給し硬化することにより、発光ダイオード2で発生する熱をさらに効率的に偏光光源の外部へ放熱させることができる。
【0035】
次に、本実施形態における発光装置の製造方法を説明する。図4は、本実施形態における発光装置の製造方法を示すフローチャートである。図5A〜図5Kは、各工程を示す断面図である。
【0036】
本実施形態における偏光光源の製造方法は、以下の通りである。
図1Dに例示されるようなリードフレームが用意され、予め曲げ加工される。そのリードフレームを、下段部1−1が上側に位置するように配置する(図5A)。リードフレーム7が備える複数のリード部1の各々に対して、以下の方法によって偏光光源が形成される。
1番目に、発光ダイオード2を超音波併用熱圧着のフリップ実装工法にて実装する(図5B)。
2番目に、リードフレーム7に実装された発光ダイオード2の周辺のリード部1内にディスペンサ10などを用いて樹脂5を塗布する(図5C)。
3番目に、塗布した樹脂を加熱硬化させる(図5D)。
4番目に、リードフレーム7を反転し、下段部1−1が下側に位置するように配置する(図5E)。
5番目に、リードフレーム7の透過窓8の位置において発光ダイオード2と対向する側に4分の1波長板4を実装する(図5F、図5G)。
6番目に、4分の1波長板の上に偏光板を実装する(図5H、図5I)。
7番目に、偏光光源が形成されたリードフレーム7を作業台の上に置き、リードフレーム7のタイバーとリードを切断部9にて切断することにより、複数のリード部1を互いに分離する(図5J、図5K)。
【0037】
2番目の樹脂塗布および3番目の樹脂の加熱硬化は、4分の1波長板4や偏光板3を実装した後に行うことも可能である。
本実施形態に使用するリードフレーム7の形態は特に限定されず、短冊状とリール状のどちらでも適用できる。
5番目の工程で、リードフレーム7に4分の1波長板4を実装する。この実装は、接着や接合などいかなる手段を用いてもよい。
6番目の工程で、4分の1波長板4の上に偏光板3を実装する。この実装も、接着や接合などいかなる手段を用いてもよい。
【0038】
次に、本実施形態によって得られる効果を説明する。
第1に、薄型の偏光光源を提供することができる。その理由は、発光ダイオード2と4分の1波長板4とによってリード部1を挟む構成により、発光ダイオード2と光学系の間のギャップを適切に保ちつつ、厚さを減らすことが容易にできるからである。
第2に、小型の偏光光源を提供することができる。その理由は、発光ダイオード2と4分の1波長板4とによってリード部1を挟む構成により、4分の1波長板4と偏光板3を発光ダイオード2とほぼ同一寸法にすることができるからである。
第3に、安価な偏光光源を提供できる。その理由は、安価にできるリード部1を中心に組み立てているからである。
第4に、生産性の高い偏光光源を提供できる。その理由は、基板としてリード部1を使用していることにより、製作費が安く、生産性が非常に高いからである。さらに、多数個のリード部1からなるリードフレーム7を用いることによって、多数個の偏光光源を連続的に生産できる。
第5に、偏光光源において、発光ダイオード2で発生する熱を効率的に逃がすことができる。その理由は、発光ダイオード2から発生する熱を、露出した発光ダイオード2の表面から効率的に外部へ逃がすことができるからである。一般的な技術においては、発光ダイオード2をフリップチップ構造でベースに接続すると、発光ダイオード2とベースの接触面積が著しく小さい。それに比べて本実施形態では発光ダイオード2の背面側を基板の金属部50a等に面接触させることができるため、放熱効率において有利である。また前述の参考技術のような構成においては、発光ダイオード2で発生する熱が一般的に熱伝導率の小さい反射器を介して放熱をするので、熱抵抗が大きい。それに比べて、本実施形態は放熱効率において有利である。
【0039】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。この実施形態においては、第1実施形態における4分の1波長板4が省略される。図2Aは、その断面図を示す。本第2実施形態における偏光光源の光学系は、4分の1波長板4無しで、偏光板3のみで構成される。
【0040】
この実施形態は、発光ダイオード2の表面状態が粗く、発光ダイオード2表面における拡散効果が大きい場合に適している。このような場合、発光ダイオード2の表面へ下向きに入ってきた円偏光の光は、反射後にうまく逆位相の円偏光の光にならない。したがって、仮に4分の1波長板4があっても、その本来の機能を発揮できない。したがって、4分の1波長板4無しに偏光光源を構成することが適切である。
【0041】
この第2実施形態における偏光光源は、第1実施形態の製造方法において4分の1波長板4を実装する5番目の工程を省略することにより製造できる。
【0042】
図2Bは、本発明の第3実施形態における偏光光源の断面図を示す。第1実施形態に比べて、曲げ加工がなされていないリードフレーム7を切断することにより、平板形状のリード部1aが形成される。このような形状においても、発光ダイオード2と4分の1波長板4とでリード部1aを挟み、発光ダイオード2の周囲のリード部1aの下面側に樹脂5aを供給することにより、偏光光源を形成することができる。図2Cは、本発明の第4実施形態における偏光光源の断面図を示す。第2実施形態に比べて、第3実施形態と同様に平板形状のリード部1aが用いられる。これらの実施形態の場合、発光ダイオード2で発生する熱は発光ダイオード2の表面に実装基板内の金属部50aに合わせるようにして、はんだなどで接合することができる。このような構成により、発光ダイオード2で発生する熱を効率的に外部へ逃がすことができる。
【符号の説明】
【0043】
1、1a リード部
1−1 下段部
1−2 接続部
1−3 上段部
2 発光ダイオード(LED)
3 偏光板
4 4分の1波長板
5、5a 樹脂
6 半田ボール
7 リードフレーム
8 透過窓
9 切断部
10 ディスペンサ
50 実装基板
50−1 実装基板
50−2 基板下段
50−3 基板上段
50a 金属部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が発光する光を透過する窓を有するリード部と、
前記リード部にフリップチップ接続された前記発光素子と、
前記発光素子と前記リード部とに接するように塗布された樹脂と、
前記リード部の前記窓の位置において前記発光素子と対向する側に取り付けられた偏光板と
を具備する偏光光源。
【請求項2】
更に、前記リード部と前記偏光板との間に取り付けられた4分の1波長板を具備する請求項1に記載の偏光光源。
【請求項3】
前記リード部は、前記発光素子が接続される接続領域と、前記接続領域の周辺において前記発光素子の前記偏光板に対向する面の背面と同じ平面上に配置される周辺領域とを有する請求項1または2に記載の偏光光源。
【請求項4】
前記リード部は平板形状を有する請求項1または2に記載の偏光光源。
【請求項5】
前記樹脂は前記発光素子が生成する光に関して80%以上の反射率を有する請求項1から4のいずれかに記載の偏光光源。
【請求項6】
互いにタイバーで接続され、発光素子が発光する光を透過する窓を有するリード部を複数有するリードフレームにおいて、前記複数のリード部の各々に、前記発光素子をフリップチップ接続する工程と、
前記各リード部に接続された前記発光素子の周辺に、前記発光素子と前記各リード部とに接するように樹脂を塗布する工程と、
前記樹脂を加熱硬化させる工程と、
前記各リード部の前記窓の位置において前記発光素子と対向する側に偏光板を取り付ける工程と
前記タイバーを切断することにより前記複数のリード部を互いに分離する工程
とを具備する偏光光源の製造方法。
【請求項7】
更に、前記偏光板を取り付ける工程の前に、4分の1波長板を前記リード部と前記偏光板との間に配置されるように取り付ける工程を具備する
請求項6に記載の偏光光源の製造方法。
【請求項8】
前記樹脂を塗布する工程と、前記樹脂を加熱硬化させる工程とは、前記偏光板を取り付ける工程の後に行われる
請求項6または7に記載の偏光光源の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図5K】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−72990(P2013−72990A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211595(P2011−211595)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】