説明

停止弁

【課題】 単純な構造で小型化が可能であり、流体の流出を完全に停止させることが可能な停止弁を提供することを課題とする。
【解決手段】 流体を流通させる流路の一端側に設けられ、流体の流通を停止させるための停止弁であって、複数の吸水性樹脂粒子を保持した保持部材と、この保持部材より流体流通方向の下流側に設けられた通気性部材を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体と接触した吸収性樹脂粒子が膨潤して液体の流出を停止する停止弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、流体の流動を停止させるための弁としては、例えば流路に配置された電磁弁のように、外部からの制御作用により動作する弁がある。また、機械的な逆止弁は外部からの制御作用が無くとも流動方向によって弁動作が異なる構造になっており、流体の流動方向によりその一方向への流体の活動を停止させることができる。
【0003】
上記従来例において、電磁弁は単純な弁に比べて構造が複雑であり、しかも外部からの制御が必要なため、動作、制御系も含めた装置全体の大きさが大きくなる欠点があった。従って、安価でかつ用意な流体の停止弁として利用することができなかった。更には微細な流路又は集積された流路での設置使用が難しかった。また、機械的な逆止弁は一方向の流体の停止を常に行うが逆方向は常に流動可能であるため、停止弁として使用することができなかった。すなわち、従来の機械的な逆止弁は、所定量の流体を通過させた後、流体の流動を停止させる停止弁として用いることはできなかった。
【0004】
そこで、安価でかつ容易な流体の停止弁として利用でき、微細な流路又は集積された流路での設置使用が可能な停止弁を備えた流体保持体が提案されている。このような流体保持体として、例えば、内部に流体を収納する中空部を有すると共に、前記中空部と外部とを連通する連通孔を少なくとも2以上形成した流体保持体において、前記連通孔のうちの少なくとも1つの連通孔の孔径よりも小径でかつ前記流体と接触して膨潤するゲルを配設してなる流体保持体がある(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平5−180352
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この流体保持体は、流体と接触して膨潤するゲルが完全に膨潤するまでの間に流体が連通孔から流出してしまう問題点があった。
【0007】
本発明は前記事情を考慮したものであり、単純な構造で小型化が可能であり、流体の流出を完全に停止させることが可能な停止弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の停止弁は、流体を流通させる流路の一端側に設けられ、流体の流通を停止させるための停止弁であって、複数の吸水性樹脂粒子を保持した保持部材と、この保持部材より流体流通方向の下流側に設けられた通気性部材を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明において、保持部材より流体流通方向の上流側に設けられ、流体が流通可能な流体通過部材を備えることが好ましい。
【0010】
さらに、前記通気性部材が疎水性材料からなることが好ましい。
【0011】
さらに、前記流体通過部材が親水性材料からなることが好ましい。
【0012】
また、本発明の停止弁は、流体を通過させる流路中に設けられ、一方向からの流体の流入によってのみ弁体の表面が押されて流体の流通を許容する弁構造を有する停止弁であって、前記弁体の背面側に吸水性樹脂粒子を配設したこと特徴とする。
【0013】
本発明において、前記弁体の背面側に吸水性樹脂粒子を接着することが好ましい。
【0014】
また、前記弁体の背面側に吸水性樹脂粒子を封入したシートを接着することが好ましい。
【0015】
さらに、前記弁体が弾性体からなることが好ましい。
【0016】
さらに、前弾性体がゴムからなることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、単純な構造で小型化が可能であり、流体の流出を完全に停止させることが可能な停止弁を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
第1実施形態
まず、停止弁の構成について説明する。図1は本発明の停止弁の実施形態を示す断面図である。図2は図1のA−A矢視断面図である。
【0019】
図1、図2に示したように、停止弁1は、収容部11の中に吸水性樹脂粒子12(アクリル酸化合物:株式会社日本触媒製アクリックCA)と、吸水性樹脂粒子12を散在させた綿状パルプ(フラッフパルプ)からなる繊維状基材13と、繊維状基材13に水分を送り込むためのポリエステル性のメッシュシートからなる流体通過部材14、繊維状基材13を保持し、フッ素樹脂性メッシュシートからなる通気性部材15から構成される。フッ素樹脂性メッシュシートは、疎水性素材であり、水をはじく性質がある。繊維状基材13は三層以上の多層構造になっており、吸水性樹脂粒子12は繊維層と繊維層との間に散在している。また、流体通過部材14と通気性部材15はメッシュ状構造となっていること、繊維状基材13には多数の隙間があることから、停止弁1の通気性が保たれる。そのため、停止弁1の上流側から液体を送り込む場合や停止弁1の下流側から液体を吸引する場合においても、液体は抵抗を受けずに停止弁1まで達する。流体通過部材14は開口部16に、通気性部材15は開口部17に、接着され、収容部11内には吸水性樹脂粒子12を散在させた繊維状基材13が保持される。
【0020】
次に、停止弁の動作について説明する。図3は液体流路に接続した停止弁が液体の流出を停止させている模式図である。
【0021】
図3に示したように、流路21と流路22の間に停止弁1を配置した状態で、流路22の方向から陰圧を用いて空気を引くことにより、流路21の方向から液体が停止弁21に流入し、流体通過部材14、吸水性樹脂粒子12を散在させた繊維状基材13を液体が通過する。繊維状基材13を液体が通過すると共に吸水性樹脂粒子12に液体が接触するので、吸水性樹脂粒子12は膨潤し、通気性部材15に達するまでに収容体11内部を塞ぎ、液体が流路22に流出するのを防ぐ。仮に通気性部材15に液体が達したとしても、通気性部材15は液体をはじくので液体が流路22に流出することはない。
【0022】
以上説明したように、本発明の停止弁は確実に液体の流出を完全に停止することが可能である。また、単純な構造であり、小型化が容易なことから、微細で集積された流路を持った分析装置に使用可能である。
【0023】
本実施形態では、吸水性樹脂粒子を散在させた繊維状基材を収容するための収容体と、流体通過部材とを備えたが、収容体と流体通過部材とを無くし、通気性部材で流路中に繊維状基材を保持するようにしても良い。この場合、通気性部材の周辺部を流路に接着することにより、繊維状基材を保持する。
【0024】
本実施形態では、吸水性樹脂粒子を散在させた繊維状基材を収容するための収容体を備えたが、収容体を無くし、繊維状基材を流体通過部材と通気性部材の間にサンドイッチする構造とし、流体通過部材の周辺部と通気性部材の周辺部を流路に接着することにより、繊維状基材を収容しても良い。
【0025】
本実施形態では、吸水性樹脂粒子を散在させた繊維状基材と、繊維状基材を収容するための収容体を備えたが、繊維状基材と収容体を無くし、流体通過部材の裏面(液体の流入方向とは逆の方向の面)に吸収性樹脂粒子を接着し保持する構成にしても良い。
【0026】
本実施形態では、繊維状基材として綿状パルプからなる天然繊維を使用したが、繊維状基材として、セルロース系繊維、有機系合成繊維およびこれらの混合物が挙げられる。セルロース系繊維としては、ビスコスレーヨン、アセテートなどのセルロース系化学繊維が挙げられる。有機系合成繊維としては、例えばポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクロニトリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、熱融着性複合繊維(例えば上記繊維の少なくとも1種を鞘芯型、偏芯型、並列型などに複合化された繊維、上記繊維の少なくとも2種をブレンドした繊維、上記繊維の表層を改質した繊維など)が挙げられる。
【0027】
本実施形態では、繊維状基材は三層以上の多層構造になっており、吸水性樹脂粒子を繊維層と繊維層との間に散在させる方法を用いたが、吸水性樹脂粒子を繊維状基材と混合する方法、吸水性樹脂粒子を二層の繊維状基材の間に挟む方法等を用いることができる。
【0028】
吸水性樹脂粒子は、高分子を架橋してつくった網目構造の中に溶媒を含んで膨潤するものをいう。網目構造を構成する高分子の種類と、溶媒の種類とは多数存在するが、網目構造中の溶媒、すなわち液体の量が少ない場合、ゲルとしての体積は小さく、逆に多くの液体を吸収膨潤するとゲルの体積は増大することが一般に良く知られている。
【0029】
本実施形態では、吸水性樹脂粒子として、アクリル酸化合物である株式会社日本触媒製アクリックCAを用いたが、イソブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアクリル(メタクリル)系単量体、スチレン、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテル等のビニル系単量体、エチレン、プロピレン、イソプレン等のオレフィン系単量体などの1種類以上の重合成単量体、あるいは、更にアクリル酸ナトリウム等のアクリル(メタクリル)系のアルカリ塩等の共重合体を、エチレンジメタクリアート、N,N−メチレンビスアクリルアミド等の架橋性単量体とともに重合することにより得られる3次元網目共重合体、更にこれらに架橋剤を少量添加して高分子反応を行い得られる3次元網目重合体、例えばポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド等の重合体に塩化シアヌル、ピロメリット酸塩化物等を架橋剤として添加、反応して得られる重合体等が用いても良い。
【0030】
本実施形態では、流体通過部材としてポリエステル性メッシュシートとを用いたが、ポリプロプレン性のメッシュシートを用いても良い。また、流体通過部材はメッシュ構造としたが、通気性のある構造であれば良く、通気抵抗の少ないものが好ましい。また、流体通過部材は液体を素早く吸収して繊維状基材に液体を送り込む材質(例えば、親水性材料)、構造になっているのが好ましい。
【0031】
本実施形態では、通気性部材は、フッ素樹脂性メッシュシートを用いたが、メッシュ構造のシートにフッ素樹脂を塗布したものであっても良い。また、通気性部材はメッシュ構造としたが、通気性のある構造であれば良く、通気抵抗の少ないものが好ましい。また、通気性部材は水をはじく性質のある疎水性材料から構成されることが好ましい。また、好ましくは、液体を通さず通気性のある材質のものであればよく、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
【0032】
第2実施形態
まず、停止弁の一実施形態である逆止弁の構成について説明する。図4は本発明の実施形態の逆止弁を示す断面図である。図5は図1のB方向から見た図である。
【0033】
図4、図5に示したように、逆止弁2は、収容部51の中にEPDMゴムからなる弁体52と、弁体52を保持する保持部54と、矢印B方向の弁52の表面に接着されたメッシュシートに封入された吸水性樹脂粒子53(アクリル酸化合物:株式会社日本触媒製アクリックCA)とから構成される。弁体52と保持部54はゴムからなり、一体成型されている。逆止弁2の矢印B方向の反対方向から液体が流入すると、その圧力により弁体52が開き、液体の通過を許容する構造になっている。それに対して、逆止弁2の矢印B方向から液体が流入しても、弁体52は閉じたままであり、液体は通過しない。
【0034】
次に、逆止弁の動作について説明する。図6は液体流路に接続した逆止弁が液体の流出を停止させている模式図である。
【0035】
図6に示したように、流路61と流路62の間に逆止弁2を配置した状態で、流路62の方向から陰圧を用いて空気を引くことにより、流路61の方向から液体が逆止弁21に流入し、弁体52が開き、流入口が形成される。形成された流入口から液体が通過し、吸水性樹脂粒子53に液体が接触するので、吸収性樹脂粒子53は膨潤し、弁体52が開くことを阻止する。そのため、流路21からの液体の流入を防ぐ。弁体52が開いた状態のときには、吸水性樹脂粒子53と液体が接触することはほとんどなく吸水性樹脂粒子53が膨潤することはないが、液体を通過させた後、弁体52が閉じた状態のときには、吸水性樹脂粒子53が液体に接触することにより膨潤して弁体52を閉じるので、所定量の液体を通過させた後、逆止弁2を停止することが可能である。しかしながら、逆止弁2を組み込んだ流路が非常に長い場合、弁体52が開いた状態で逆止弁2を通過する液体が吸水性樹脂粒子53に接触して、吸水性樹脂粒子53が膨潤することにより弁体52を閉じてしまう場合がある。そのため、吸水性樹脂粒子53の材質を変更したり、液体の流入速度を調整することにより、逆止弁2の停止時間を調整することが可能である。
【0036】
以上説明したように、第2実施形態の逆止弁は所定量の流体の通過させた後、流体の通過を完全に停止させることが可能である。また、単純な構造であり、小型化が容易なことから、微細で集積された流路を持った分析装置に使用可能である。
【0037】
本実施形態では、吸水性樹脂粒子として、アクリル酸化合物である株式会社日本触媒製アクリックCAを用いたが、イソブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアクリル(メタクリル)系単量体、スチレン、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテル等のビニル系単量体、エチレン、プロピレン、イソプレン等のオレフィン系単量体などの1種類以上の重合成単量体、あるいは、更にアクリル酸ナトリウム等のアクリル(メタクリル)系のアルカリ塩等の共重合体を、エチレンジメタクリアート、N,N−メチレンビスアクリルアミド等の架橋性単量体とともに重合することにより得られる3次元網目共重合体、更にこれらに架橋剤を少量添加して高分子反応を行い得られる3次元網目重合体、例えばポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド等の重合体に塩化シアヌル、ピロメリット酸塩化物等を架橋剤として添加、反応して得られる重合体等が用いても良い。
【0038】
本実施形態では、弁体としてEPDMゴムを用いたが、シリコンゴム、二トリルゴムなどを用いることが可能である。また、弁体として樹脂も使用可能であり、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが使用可能である。
【0039】
実施形態3
次に、実施形態1の停止弁と実施形態2の逆止弁を組み込んだヘモグロビン測定装置について、図7、8、9を用いて説明する。
【0040】
図7は、実施形態1の停止弁と実施形態2の逆止弁を組み込んだヘモグロビン測定カセット100の斜視図である。測定カセット100は、血液を注入するための血液注入口101、希釈液・溶血剤を注入するための注入口102と、血液注入孔から注入された血液を吸引するための吸引口103と、ヘモグロビン測定試料を収容するためのセル104と、大気開放のための開放口105から構成されている。注入口101、注入口102、吸引口103、セル104、開放口105は内部で繋がっている。実施形態1の停止弁は、吸引口103及び開放口105の内部流路に組み込まれている。実施形態2の逆止弁は注入口102の内部流路、注入口101と吸引口103に繋がる流路の途中に組み込まれている。
【0041】
図8は、ヘモグロビン測定装置200の外観を示す斜視図である。測定装置200は、正面パネルに液晶ディスプレイ(LCD)からなる表示部201と、キーボードからなる入力部202と、セル104に光を照射するための発光素子を備える扉203を備える。測定カセット100の使用時には、扉203を開いて測定カセット100を測定装置200の内部に装填し、扉203を閉じることによって、測定カセット100の注入口102、吸引口103、開放口105に対応する測定装置200の接続口(図示せず)と接続される。また、測定カセット100のセル104に対して、扉203に備えられた発光素子に対向するように受光素子が測定装置200の内部に備えられている。また、測定装置200の内部には、受光素子からの電気信号に基づいてヘグロビン濃度を算出する算出部を備える。
【0042】
図9は、測定カセット100を測定装置200の内部に装填したときの模式図を示したものである。吸引口103の内部流路には、実施形態1の停止弁61、吸引口105の内部流路には、実施形態1の停止弁62が組み込まれている。注入口102の内部流路には、実施形態2の逆止弁63が組み込まれている。逆止弁63の液体流通方向は、注入口102から内部流路へ液体が流入する方向である。注入口101から吸引口103へ繋がる流路に実施形態2の逆止弁64、65が組み込まれている。逆止弁64、65の液体流通方向は、注入口101から吸引口103へ液体が流入する方向である。また、逆止弁63の吸水性樹脂粒子53は、逆止弁64、65に使用されている吸水性樹脂粒子53に較べて吸水速度が遅いため膨潤速度が遅く、弁体52が閉じるまでの所要時間が長い(図4、6参照)。そのため、逆止弁63を通過する液体量は逆止弁64、65を用いた場合に較べて多い。注入口101と吸引口103との間の流路に直交する流路は注入口102へ繋がっている。また、注入口101と吸引口103との間の流路に直交する流路は開放口105へ繋がり、その直交する流路にはセル104が配設されている。
【0043】
さらに、測定カセット100の注入口102は、測定装置200内部に組み込まれたシリンジポンプCLと希釈液・溶血剤容器81に繋がる流路に接続されている。注入口102とシリンジポンプCLとの間の流路にはバルブSV73が配設されている。また、吸引口103は、測定装置200内部に組み込まれた気圧調節器66に繋がる流路に接続されている。吸引口103と気圧調節器66の間の流路にはバルブSV72が配設されている。また、開放口105は、測定装置200内部に組み込まれたバルブSV71が配設された流路に接続されている。
【0044】
次に、ヘモグロビン測定カセット100を用いたヘモグロビン測定装置200の測定動作について、図8、9を用いて説明する。まず、測定カセット100の血液注入口101に血液を注入し、測定カセット100を測定装置200に装填する(図8)。入力部202から測定開始の指示を入力すると、初期状態(全バルブの遮断状態)から、図9に示したバルブSV72を開放状態にすることにより、気圧調節器66によって注入口101から吸引口103の間の流路が減圧される。これにより、注入口101の血液は、注入口101から吸引口103の間の流路に吸引され、停止弁61において停止する。また、血液は、その流路に配設された逆止弁64、65を通過する。逆止弁64、65は、血液を一旦通過させた後は、どの方向にも血液を通過させないため、逆止弁64と逆止弁65の間の血液は一定量となる。
【0045】
次に、バルブSV72が遮断状態にするとともに、バルブSV73により、シリンジポンプCLと希釈・溶血剤容器81との間の流路を開放状態する。そして、シリンジポンプCLにより希釈・溶血剤容器81から希釈・溶血剤が一定量吸引される。その後、バルブ71を開放状態にするとともに、バルブSV73により、シリンジポンプCLと注入口102との間の流路を開放状態する。そして、シリンジポンプCLにより一定量の希釈・溶血剤が注入口102から注入される。注入された希釈・溶血剤は、逆止弁63を通過して、逆止弁64と逆止弁65の間の流路にある一定量の血液をセル104に押し出し、セル104において血液と希釈・溶血剤は混合され、セル104に混合液が充填される。万一、セル104から混合液がオーバーフローしても、停止弁62で停止するために液体が流出することはない。また、逆止弁63は、希釈・溶血剤が通過した後、希釈・溶血剤をどの方向からも液体を通過させない。
【0046】
次に、バルブSV71とバルブ73を初期状態(全バルブの遮断状態)に戻す。そして、扉203に備えられた発光素子からセル104に光が照射され、セル104を透過した光は測定装置200に内部に組み込まれた受光素子で受光されて電気信号に変換され、その電気信号に基づいて算出部においてヘモグロビン濃度が算出される。
【0047】
このように、ヘモグロビン測定カセットは、停止弁および逆止弁において血液が完全に停止して血液の流出を抑えるので、ヘモグロビン測定装置から測定カセットをはずしても、測定カセットから血液が流出することはない。
【0048】
本実施形態では、停止弁および逆止弁をヘグロビン測定装置に用いるヘモグロビン測定カセットに用いたが、血球を測定する測定装置に用いる赤血球測定カセット、白血球測定カセットなどに用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】停止弁の断面図である。
【図2】図1の矢視A−A断面図である。
【図3】流路に配設された停止弁の断面図である。
【図4】逆止弁の断面図である。
【図5】図1のB方向から見た図である。
【図6】流路に配設された逆止弁の断面図である。
【図7】ヘグロビン測定カセットの斜視図である。
【図8】ヘモグロビン測定装置の斜視図である。
【図9】ヘモグロビン測定カセットをヘモグロビン測定装置に装填したときの模式図である。
【符号の説明】
【0050】
1 停止弁
2 逆止弁
11 収容部
12 吸水性樹脂粒子
13 繊維状基材
14 流体通過部材
15 通気性部材
52 弁
53 吸水性樹脂粒子
61 停止弁
62 停止弁
63 逆止弁
64 逆止弁
65 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流通させる流路の一端側に設けられ、流体の流通を停止させるための停止弁であって、複数の吸水性樹脂粒子を保持した保持部材と、この保持部材より流体流通方向の下流側に設けられた通気性部材を備えることを特徴とする停止弁。
【請求項2】
保持部材より流体流通方向の上流側に設けられ、流体が流通可能な流体通過部材を備えることを特徴とする請求項1記載の停止弁。
【請求項3】
前記通気性部材が疎水性材料からなることを特徴とする請求項1または2記載の停止弁。
【請求項4】
前記流体通過部材が親水性材料からなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の停止弁。
【請求項5】
流体を通過させる流路中に設けられ、一方向からの流体の流入によってのみ弁体の表面が押されて流体の流通を許容する弁構造を有する停止弁であって、前記弁体の背面側に吸水性樹脂粒子を配設したこと特徴とする停止弁。
【請求項6】
前記弁体の背面側に吸水性樹脂粒子を接着したことを特徴とする請求項5記載の停止弁。
【請求項7】
前記弁体の背面側に吸水性樹脂粒子を封入したシートを接着することを特徴とする請求項5記載の停止弁。
【請求項8】
前記弁体が弾性体からなる請求項5〜7何れか1項に記載の停止弁。
【請求項9】
前記弾性体がゴムからなる請求項8記載の停止弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−97812(P2006−97812A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285854(P2004−285854)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】