健康医療用貼付シート及びその製造方法
【課題】発生電位が大きく、体温程度の低温加熱によるナノダイヤ半導体粒子の励起荷電粒子を効率良く長時間人体に浸透させるとともに、ナノダイヤ半導体粒子からの赤外線放射能との相乗効果が得られる健康医療用貼付シートを提供する。
【解決手段】本発明の健康医療用貼付シート1は、基部2上にパターン支持層3が設けられたシート基材5と、シート基材5上に設けられ高分子樹脂中にナノダイヤ半導体粒子が分散された複合材料からなる荷電粒子発生層4Aとを有し、荷電粒子発生層4Aが、シート基材5の表面においてパターン状に設けられている。シート基材5の基部2の裏面には、当該シートを人体の表面10に装着するための装着面2eが設けられており、使用の際には、この装着面2eを人体の表面10に接触させて貼り付ける。
【解決手段】本発明の健康医療用貼付シート1は、基部2上にパターン支持層3が設けられたシート基材5と、シート基材5上に設けられ高分子樹脂中にナノダイヤ半導体粒子が分散された複合材料からなる荷電粒子発生層4Aとを有し、荷電粒子発生層4Aが、シート基材5の表面においてパターン状に設けられている。シート基材5の基部2の裏面には、当該シートを人体の表面10に装着するための装着面2eが設けられており、使用の際には、この装着面2eを人体の表面10に接触させて貼り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線及び荷電粒子を放射する機能素子を用いた健康医療用貼付シート、特に、ナノダイヤ半導体粒子を用いた健康医療用貼付シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、健康医療器具として、磁力線、赤外線、荷電粒子を用いたものが提案されている。
ここで、磁力線は、血流増進効果を有するものとして、400G以上の磁力を有するフェライトやR−Co磁石等を用いたものが知られている。
また、赤外線は、温熱効果を有するものとして、波長が4〜10μmのゲルマニウム(Ge)、黒水晶、トルマリン等を用いたものが知られている。
さらに、荷電粒子は、生体電流を生じさせ血流増進効果を有するものとして、トルマリン、ゲルマニウム粒子を用いたものが知られている。
【0003】
これらのうちでも、トルマリン及びゲルマニウムは広く使用されているが、種々の課題がある。
例えば、トルマリンは、波長4〜10μmの温熱効果の大きな赤外線波長を放射するが、絶縁体であるため、体温程度の熱励起では、赤外線を放射する励起キャリアー(荷電粒子)の数が少なく、放射量を十分確保することができない。
【0004】
また、絶縁体であるトルマリンの圧電焦電効果により発生する荷電粒子は、トルマリンが体温により加熱されて結晶体が歪む時、又は、体温と健康医療器具の間の温度差の変化が継続して結晶が歪む時に発生するものである。したがって、健康医療器具等に使用した場合は、人体に装着後において全体の温度が定常状態になると、圧電焦電材料は電気的には絶縁体に属するため、その放出電荷量は激減し、荷電粒子の効果は期待できなくなる。
【0005】
一方、ゲルマニウムは、半導体であるため荷電粒子放射能は大きいが、半導体バンド構造に起因する活性化エネルギーレベル0.01eVから輻射される赤外線の波長が100μmと大きいため、赤外線による温熱効果は小さい。このため、従来型の赤外線と荷電粒子を使用した複合磁石タイプでの電荷浸透効果は、殆ど期待できない。
【0006】
また、ゲルマニウムは、体温程度の加熱で荷電粒子を放出しても、半導体がバルク状態である場合はゲルマニウム結晶が体温加熱による温度差で発生するゼーベック効果による起電力は最大でも1mV程度であるのに対し、人体のインピーダンスは数百Ωと大きいので、その荷電粒子の人体への浸透効果は小さい。このため、健康医療器具としての効果は期待できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平05−347206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、発生電位が大きく、体温程度の低温加熱によるナノダイヤ半導体粒子の励起荷電粒子を効率良く長時間人体に浸透させるとともに、ナノダイヤ半導体粒子からの赤外線放射能との相乗効果が得られる健康医療用貼付シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明は、シート基材と、前記シート基材上に設けられ、高分子樹脂中にナノダイヤ半導体粒子が分散された複合材料からなる荷電粒子発生層とを有し、前記荷電粒子発生層が、前記シート基材の表面においてパターン状に設けられている健康医療用貼付シートである。
本発明では、前記荷電粒子発生層が、前記シート基材の一方の表面に設けられ、前記シート基材の他方の表面には、当該シートを貼付対象物に装着するための装着面が設けられている場合にも効果的である。
本発明では、前記シート基材は、一方の表面にパターン支持層が設けられ、他方の表面に装着面が設けられている場合にも効果的である。
本発明では、前記荷電粒子発生層が、複数のストライプ状のパターンからなる場合にも効果的である。
本発明では、前記荷電粒子発生層が、格子状のパターンからなる場合にも効果的である。
本発明では、前記荷電粒子発生層が、複数の同心円状のパターンからなる場合にも効果的である。
本発明では、前記荷電粒子発生層が、連続した螺旋状のパターンからなる場合にも効果的である。
また、本発明は、パターン支持層が一方の面上に設けられたシート基材と、高分子樹脂中にナノダイヤ半導体粒子が配合された複合材料とを用意し、前記シート基材上に、前記複合材料からなる荷電粒子発生層を設ける工程を有する健康医療用貼付シートの製造方法である。
本発明では、前記荷電粒子発生層を、スクリーン印刷法によって前記シート基材上に設ける工程を有する場合にも効果的である。
【0010】
本発明に用いるナノダイヤ半導体粒子は、合成時に積極的に窒素(N)やホウ素(B)等をドープすることによって容易にn型やp型の半導体になり、また、合成時の圧力により粒子内部の歪等の影響で固体バンド構造が乱れるため、活性化エネルギーレベル0.3〜0.5eVを持ち、励起キャリアの数がトルマリン等の絶縁体と比較して圧倒的に多い。
【0011】
その結果、このようなナノダイヤ半導体粒子は、例えば、図1に示すように、体温付近の温度領域におけるコンダクタンス(抵抗の逆数)の変化率、即ち電気抵抗の変化率が大きく、荷電粒子放出能が高い。
なお、ここでは、ホウ素(B)をドープしたナノダイヤ半導体粒子で、活性化エネルギーレベルが0.36eVのものである。
【0012】
図2は、ナノダイヤ半導体粒子とトルマリンの赤外線分光放射特性を示すものである。この場合、高分子マトリクス樹脂として、ポリプロピレン(PP)中にナノダイヤ半導体粒子を10重量%、一方、トルマリンは50重量%配合した場合を示す。なお、測定温度は40℃である。
図2に示すように、ナノダイヤ半導体粒子は、複合材中における粒子の配合比がトルマリンの1/5であるにもかかわらず、活性化エネルギーレベル0.3〜0.5eVから放射される生体赤外線波長帯域(4〜15μm)での赤外線輻射能が大きい。
【0013】
図1及び図2から理解されるように、ナノダイヤ半導体粒子は、体温付近での荷電粒子放射能及び生体赤外線波長帯域での放射能がトルマリンより大きいため、生体温度効果を従来技術より大きくすることができる。
このようなナノダイヤ半導体粒子を用いる本発明の場合、ナノダイヤ半導体粒子を含有する荷電粒子発生層がシート基材上に設けられていることから、健康医療用貼付シートを例えば人体のツボの部分に長時間貼り付けることができる。
【0014】
そして、本発明に用いるナノダイヤ半導体粒子は、上述したように、体温によって36℃程度に低温加熱された場合における励起キャリアの数がトルマリン等の絶縁体と比較して圧倒的に多いため、熱電効果(ゼーベック効果)に起因する大きな熱起電力が発生する。
したがって、本発明によれば、従来のトルマリンやゲルマニウムを用いた場合に比べ、ナノダイヤ半導体粒子から励起された荷電粒子を効率良く人体に浸透させることができ、大きな生体電流を生じさせ血流を増進させることができる。
【0015】
また、本発明によれば、体温による加熱効果と、外気による冷却効果とによって、ナノダイヤ半導体粒子間に温度差が生じ、人体に貼付している間において荷電粒子放出と赤外線放射が持続するため、例えば衣服などにナノダイヤ半導体粒子を織り込んで人体に装着した場合に比べ、長時間にわたって効率良く生体温度効果を生じさせることができる。
【0016】
本発明において、前記荷電粒子発生層が、前記シート基材の一方の表面に設けられ、前記シート基材の他方の表面には、当該シートを貼付対象物に装着するための装着面が設けられている場合には、このシート基材の装着面を人体の表面に接触させて固定することにより、接触当初において、ナノダイヤ半導体粒子を含有する荷電粒子発生層と人体の表面との温度差が大きく、人体の表面からの熱がシート基材を介して荷電粒子発生層に伝達されるため、荷電粒子発生層の頂面を人体の表面に接触させた場合に比べ、熱電効果に起因する発熱量大きくすることができる。
【0017】
一方、本発明に係る健康医療用貼付シートを製造するには、パターン支持層が一方の面上に設けられたシート基材と、高分子樹脂中にナノダイヤ半導体粒子が配合された複合材料とを用意し、例えば印刷法によって前記シート基材上に、前記複合材料からなる荷電粒子発生層を設けるようにすればよく、複雑な工程を必要としないものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、発生電位が大きく、体温程度の低温加熱によるナノダイヤ半導体粒子の励起荷電粒子を効率良く長時間人体に浸透させるとともに、ナノダイヤ半導体粒子からの赤外線放射能との相乗効果が得られるため、長時間にわたって効率良く生体温度効果を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ナノダイヤ半導体粒子のコンダクタンスの温度特性を示すグラフ
【図2】ナノダイヤ半導体粒子とトルマリンの赤外線分光放射特性を示すグラフ
【図3】(a):本発明の第1の実施の形態の健康医療用貼付シートを貼付面側から見た平面図(b):図3(a)のA−A線断面図
【図4】(a)〜(c):本発明の健康医療用貼付シートの使用方法の例を示す断面工程図
【図5】(a)〜(c):本発明の健康医療用貼付シートの使用方法の他の例を示す断面工程図
【図6】(a):本発明の第2の実施の形態の健康医療用貼付シートを貼付面側から見た平面図(b):図6(a)のB−B線断面図
【図7】(a):本発明の第3の実施の形態の健康医療用貼付シートを貼付面側から見た平面図(b):図7(a)のC−C線断面図
【図8】(a):本発明の第4の実施の形態の健康医療用貼付シートを貼付面側から見た平面図(b):図8(a)のD−D線断面図
【図9】本実施例で用いた試料のパターンの形状を示す図
【図10】本実施例で用いた試料のパターンの形状を示す図
【図11】本実施例で用いた試料のパターンの形状を示す図
【図12】本実施例で用いた試料のパターンの形状を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図3(a)は、本発明の第1の実施の形態の健康医療用貼付シートを貼付面側から見た平面図、図3(b)は、図3(a)のA−A線断面図である。
図3(a)(b)に示すように、本実施の形態の健康医療用貼付シート1Aは、例えば、シート状の基材からなる基部2と、基部2の一方の面上に積層されたパターン支持層3とからなるシート基材5を有し、このシート基材5のパターン支持層3上に荷電粒子発生層4Aが設けられて構成されている。
【0021】
ここで、基部2としては、伸縮性を有するフィルム、不織布、生地からなるものを用いることが好ましい。
本発明の場合、基部2の材料としては、特に限定されることはないが、例えば、PET等のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エラストマー等を好適に用いることができる。
特に、人体に対する安全性及び入手のし易さの観点からは、PET(ポリエチレンテレフタレート)を基部2とする複合フィルムを用いることが好ましい。
【0022】
また、基部2の厚さは特に限定されることはないが、パターン支持層3及び荷電粒子発生層4Aを確実に支持する観点からは、30〜100μmに設定することが好ましい。
基部2の形状としては、種々の形状のものを採用することができる。
例えば、矩形(三角形、四角形、多角形)、円形、楕円形などがあげられる。
【0023】
なお、図3(a)に示すように、基部2の形状が矩形(四角形)の場合は、被着体である人体から剥離しにくくする観点からは、角部分2a〜2dをアール(湾曲)形状に形成することがより好ましい。
また、基部2の大きさは、人体の表面に貼付できる限り、特に限定されることはない。
【0024】
パターン支持層3は、基部2の一方の面の全面に設けることが好ましい。
パターン支持層3の材料である高分子樹脂としては、特に限定されることはないが、荷電粒子発生層4Aとの密着性を確保する観点からは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いることがより好ましい。
また、パターン支持層3の厚さは特に限定されることはないが、荷電粒子発生層4Aを確実に支持する観点からは、30〜50μmとすることが好ましい。
なお、本発明に用いる、基部2上にパターン支持層3が形成されたフィルムは種々市販されており、簡易に入手することができる。
【0025】
本発明において、荷電粒子発生層4Aは、以下に説明する荷電粒子発生体からなる。
本発明に用いる荷電粒子発生体は、ナノダイヤ半導体粒子を、電気絶縁性の高分子樹脂からなる結合材に混合した複合材料からなるものである。
本発明において荷電粒子発生体のマトリクスに用いる高分子樹脂としては、例えば、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系高分子材料があげられる。
【0026】
これらのうちでも、パターン支持層3との密着性を確保し、かつ、スクリーン印刷法に適している観点からは、ポリエステル系の高分子樹脂材料を用いることがより好ましい。
また、荷電粒子発生体のマトリクスとして、合成ゴム等のエラストマーを用いることもできる。
【0027】
本発明において使用するナノダイヤ半導体粒子としては、CB火薬等の衝撃波で合成されたSP3及びSP2複合構造を有する半導体炭素粒子を好適に用いることができる。
衝撃波で合成されたSP3及びSP2構造を有する半導体複合炭素粒子を得る方法の具体例としては、次の2方法がある。
【0028】
(1)密閉容器の中で高性能CB火薬を爆発させ、200万気圧と数千度の温度を瞬時に発生させ、複合構造を有する半導体炭素粒子を合成する方法(大澤映二 Japan Nanonet Bulletin 108 2006.03.08)、(2)間接法として、例えばホウ素化合物と黒鉛を混合した原料を用い、火薬の力で鉄を飛翔させてこの原料に衝突させ、その時に発生する衝撃波を利用して合成する方法が知られているが、(2)の間接法は、火薬の影響を受けにくく、ホウ素化合物と黒鉛の配合比が一定で純度の高いナノダイヤ半導体粒子が得られるので、より好ましい。
【0029】
また、本発明に使用するナノダイヤ半導体粒子は、製造時に窒素(N)、ホウ素(B)等を積極的にドーピングして製造することができる。
本発明に用いるナノダイヤ半導体粒子のサイズ(平均粒径)は、3nm〜1μmの範囲のものが望ましい。
ナノダイヤ半導体粒子のサイズが3nm未満では、半導体としてのバンド構造が乱れ、他方、1μmを超すと、ナノダイヤ半導体粒子内の励起荷電粒子相互間の反発作用が強く起こるようになり、荷電粒子は一次元的な動きができなくなり、半導体粒子内の電位差が減少する。
【0030】
なお、衝撃波で合成されたSP3構造を有するナノダイヤ半導体粒子は、基本粒径が3〜10nmであり、成型後の粉砕工程が不要であるというメリットがある。
本発明において使用する荷電粒子発生体は、例えば、マトリクスである1又は2以上の高分子樹脂とナノダイヤ半導体粒子を混合した後、有機溶剤を用いて溶解し、印刷用インキを得る。そして、この印刷用インキを用いて、後述するパターン形状の荷電粒子発生層4Aを基材のパターン支持層3上に設ける。
【0031】
なお、パターン支持層3中に分散されたナノダイヤ半導体粒子は、各粒子がマトリクス中に均一に分散されている訳ではなく、粒子同士が凝集し、最大10μm程度の大きさになっていることが本発明者によって確認されている。この場合、凝集した粒子凝集体は、パターン支持層3の表面から露出していることも本発明者によって確認されている。
【0032】
本発明の場合、荷電粒子発生体中におけるナノダイヤ半導体粒子の配合量は特に限定されることはなく、配合量が多いほど熱電効果が大きくなるが、20重量%以上50重量%以下にすることが好ましい。
荷電粒子発生体中におけるナノダイヤ半導体粒子の配合量が20重量%未満である場合には、必要とする熱電効果が得られにくく、他方、50重量%を超えると、荷電粒子発生体が脆くなりやすくなる。
【0033】
図3(a)(b)に示す実施の形態においては、荷電粒子発生層4Aは、複数の細長い直線(ストライプ)状のパターン40から構成されている。
荷電粒子発生層4Aの各パターン40は、例えば、同一の幅、基部2より短い同一の長さ、同一の厚さに形成され、所定の間隔をおいてパターン支持層3上に設けられている。
本発明の場合、荷電粒子発生層4Aの各パターン40の作成方法は特に限定されることはないが、簡易に低コストで作成する観点からは、例えば、スクリーン印刷等の印刷法を採用することが好ましい。
【0034】
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Aのパターン40の幅は特に限定されることはないが、熱電効果を向上させる観点からは、できるだけ大きくすることが好ましい。ただし、後述するように、健康医療用貼付シート1Aの使用方法によっても熱電効果の発生条件が異なってくる。
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Aのパターン40の幅は、0.2mm以上1.5mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.3mm以上1.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Aのパターン40の幅が0.2mm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、1.5mmを超えると、コスト高になる。
【0035】
さらに、荷電粒子発生層4Aのパターン40間のピッチ(隣接するパターン40の中央部間の距離)は、荷電粒子発生層4Aのパターン40の幅を考慮して設定されるものであるが、0.5mm以上3.0mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、1.0mm以上2.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Aのパターン40間のピッチが0.5mm未満の場合は、コスト高になり、他方、3.0mmを超えると、熱電効果が発生しなくなることがある。
【0036】
一方、荷電粒子発生層4Aのパターン40の高さは、5μm以上20μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、10μm以上15μm以下である。
荷電粒子発生層4Aのパターン40の高さが5μm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、20μmを超えると、コスト高になる。
【0037】
本発明の健康医療用貼付シート1Aを製造するには、所定形状及び大きさの基部2上に、上述した印刷用インキを用い、例えばスクリーン印刷法等の印刷法によって、上記パターン40を有する荷電粒子発生層4Aを形成する。
この場合、印刷法によって剥離シート(図示せず)上に荷電粒子発生層(図示せず)を形成し、この荷電粒子発生層を、シート基材5のパターン支持層3に押し付け、剥離シート上から力を加えることによって、パターン支持層3上に転写して図3(a)(b)に示す荷電粒子発生層4Aを形成することもできる。
【0038】
図4(a)〜(c)は、本発明の健康医療用貼付シートの使用方法の例を示す断面工程図である。
図4(a)に示すように、上述した工程によって得られた健康医療用貼付シート1Aを用意し、荷電粒子発生層4Aを人体の表面10に対向させるように配置する。
そして、図4(b)に示すように、その状態で健康医療用貼付シート1Aの荷電粒子発生層4Aの頂面を人体の表面10に密着させる。
さらに、この状態で、例えば医療用粘着シート(テープ)6を健康医療用貼付シート1Aの基部2の裏面2eから人体の表面10に渡って貼り付け、図4(c)に示すように、健康医療用貼付シート1Aを人体の表面10に固定する。
【0039】
図5(a)〜(c)は、本発明の健康医療用貼付シートの使用方法の他の例を示す断面工程図である。
図5(a)に示すように、上述した工程によって得られた健康医療用貼付シート1Aを用意し、本例の場合は、シート基材5の基部2の裏面(装着面)2eを人体の表面10に対向させるように配置する。
【0040】
そして、図5(b)に示すように、その状態で健康医療用貼付シート1Aのシート基材5の基部2の裏面2eを人体の表面10に密着させる。
さらに、この状態で、図5(c)に示すように、例えば医療用粘着シート(テープ)6を健康医療用貼付シート1Aのシート基材5の荷電粒子発生層4Aから人体の表面10に渡って貼り付け、健康医療用貼付シート1Aを人体の表面10に固定する。
【0041】
以上述べた本実施の形態においては、ナノダイヤ半導体粒子は、体温によって36℃程度に低温加熱された場合における励起キャリアの数がトルマリン等の絶縁体と比較して圧倒的に多いことから、熱電効果(ゼーベック効果)に基づいて大きな熱起電力が発生する。
【0042】
したがって、本実施の形態の健康医療用貼付シート1Aによれば、従来のトルマリンやゲルマニウムを用いた場合に比べ、また、ナノダイヤ半導体粒子を単に人体に装着した場合に比べ、ナノダイヤ半導体粒子から励起された荷電粒子を効率良く人体に浸透させることができるため、大きな生体電流を生じさせ血流を増進させることができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、体温による加熱効果と、外気による冷却効果とによって、ナノダイヤ半導体粒子間に温度差が生じ、人体の表面10に貼付している間において荷電粒子放出と赤外線放射が持続するため、例えば衣服などにナノダイヤ半導体粒子を織り込んで人体に装着した場合に比べ、長時間にわたって効率良く生体温度効果を生じさせることができる。
【0044】
さらに、図5(c)に示すように、シート基材5の基部2裏面を人体の表面10に接触させた場合には、接触当初において、ナノダイヤ半導体粒子を含有する荷電粒子発生層4Aと人体の表面10との温度差が大きく、人体の表面10からの熱がシート基材5の基部2及びパターン支持層3を介して荷電粒子発生層4Aに伝達されるため、荷電粒子発生層4Aの温度上昇の時間がシート基材5の荷電粒子発生層4Aを人体に接触させた場合と比較して長く、しかも大気によって荷電粒子発生層4Aが継続的に冷却されるため、図4(c)に示す、健康医療用貼付シート1Aの荷電粒子発生層4Aの頂面を人体の表面10に接触させた場合に比べ、熱電効果に起因する発熱量大きくすることができる。
【0045】
図6は、本発明の第2の実施の形態を示すものであり、図6(a)は、貼付面側から見た平面図、図6(b)は、図6(a)のB−B線断面図である。以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図6(a)(b)に示すように、本実施の形態の健康医療用貼付シート1Bにおいては、パターン支持層3上に、複数の格子状のパターンを有する荷電粒子発生層4Bが設けられている。
【0046】
この荷電粒子発生層4Bは、基部2より若干小さい四角形状の枠部パターン41の内側の領域に、例えば等間隔で直交する直線状の格子パターン42x,42yが形成されて構成されている。
そして、これにより、枠部パターン41及び格子パターン42x,42y、並びに格子パターン42x,42y同士によって囲まれた複数の開口部4aを介してパターン支持層3の表面がそれぞれ露出するようになっている。
【0047】
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Bの格子パターン41の幅は特に限定されることはないが、熱電効果を向上させる観点からは、できるだけ大きくすることが好ましい。ただし、後述するように、健康医療用貼付シート1Bの使用方法によっても熱電効果の発生条件が異なってくる。
【0048】
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Bの格子パターン41の幅は、0.2mm以上1.5mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.3mm以上1.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Bの格子パターン41の幅が0.2mm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、1.5mmを超えると、コスト高になる。
【0049】
さらに、荷電粒子発生層4Bの格子パターン41間のピッチ(隣接する格子パターン41の中央部間の距離)は、荷電粒子発生層4Bの格子パターン41の幅を考慮して設定されるものであるが、0.5mm以上3.0mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、1.0mm以上2.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Bの格子パターン41間のピッチが0.5mm未満の場合は、コスト高になり、他方、3.0mmを超えると、熱電効果が発生しなくなることがある。
【0050】
一方、荷電粒子発生層4Bの格子パターン41の高さは、5μm以上20μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、10μm以上15μm以下である。
荷電粒子発生層4Bの格子パターン41の高さが5μm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、20μmを超えると、コスト高になる。
【0051】
このような構成を有する本実施の形態によれば、上記実施の形態と同様の効果に加え、荷電粒子発生層4Bの面積をより大きくすることができるので、熱電効果に基づく生体温度効果を増大させることができる。
その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0052】
図7は、本発明の第3の実施の形態を示すものであり、図7(a)は、貼付面側から見た平面図、図7(b)は、図7(a)のC−C線断面図である。以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図7(a)(b)に示すように、本実施の形態の健康医療用貼付シート1Cにおいては、パターン支持層3上に、複数の同心円状のパターン43を有する荷電粒子発生層4Cが設けられている。
【0053】
本実施の形態においては、例えば真円形状の基部2上の全面にパターン支持層3が設けられ、このパターン支持層3上に、例えば基部2の中心点を中心とする同心円状のパターン43が複数個設けられている。
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Cのパターン43の幅は特に限定されることはないが、熱電効果を向上させる観点からは、できるだけ大きくすることが好ましい。ただし、後述するように、健康医療用貼付シート1Cの使用方法によっても熱電効果の発生条件が異なってくる。
【0054】
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Cのパターン43の幅は、0.2mm以上1.5mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.3mm以上1.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Cのパターン43の幅が0.2mm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、1.5mmを超えると、コスト高になる。
【0055】
さらに、荷電粒子発生層4Cのパターン43間のピッチ(隣接するパターン43の中央部間の距離)は、荷電粒子発生層4Cのパターン43の幅を考慮して設定されるものであるが、0.5mm以上3.0mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、1.0mm以上2.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Cのパターン43間のピッチが0.5mm未満の場合は、コスト高になり、他方、3.0mmを超えると、熱電効果が発生しなくなることがある。
【0056】
一方、荷電粒子発生層4Cのパターン43の高さは、5μm以上20μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、10μm以上15μm以下である。
荷電粒子発生層4Cのパターン43の高さが5μm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、20μmを超えると、コスト高になる。
【0057】
このような構成を有する本実施の形態によっても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0058】
図8は、本発明の第4の実施の形態を示すものであり、図8(a)は、貼付面側から見た平面図、図8(b)は、図8(a)のD−D線断面図である。以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図8(a)(b)に示すように、本実施の形態の健康医療用貼付シート1Dにおいては、パターン支持層3上に、螺旋状のパターン44を有する荷電粒子発生層4Dが設けられている。
【0059】
本実施の形態においては、例えば真円形状の基部2上の全面にパターン支持層3が設けられ、このパターン支持層3上に、例えば基部2の中心点を中心とする連続した螺旋形状のパターン44が設けられている。
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Dのパターン44の幅は特に限定されることはないが、熱電効果を向上させる観点からは、できるだけ大きくすることが好ましい。ただし、後述するように、健康医療用貼付シート1Dの使用方法によっても熱電効果の発生条件が異なってくる。
【0060】
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Dのパターン44の幅は、0.2mm以上1.5mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.3mm以上1.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Dのパターン44の幅が0.2mm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、1.5mmを超えると、コスト高になる。
【0061】
さらに、荷電粒子発生層4Dのパターン44間のピッチ(隣接するパターン44の中央部間の距離)は、荷電粒子発生層4Dのパターン44の幅を考慮して設定されるものであるが、0.5mm以上3.0mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、1.0mm以上2.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Dのパターン44間のピッチが0.5mm未満の場合は、コスト高になり、他方、3.0mmを超えると、熱電効果が発生しなくなることがある。
【0062】
一方、荷電粒子発生層4Dのパターン44の高さは、5μm以上20μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、10μm以上15μm以下である。
荷電粒子発生層4Dのパターン44の高さが5μm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、20μmを超えると、コスト高になる。
【0063】
このような構成を有する本実施の形態によっても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0064】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、図3(a)(b)に示す実施の形態においては、パターン40を直線状のとなるように構成したが、例えば、ジグザク形状や曲線形状に形成することもできる。
また、図6(a)(b)に示す実施の形態においては、格子パターン42x,42yが直交、即ち90°の角度で交わるように構成したが、90°以外の角度で交わるように構成することもできる。
【0065】
さらに、上述した実施の形態においては、荷電粒子発生層の各パターンの幅、ピッチ、高さを同一となるように構成したが、本発明はこれに限られず、適宜変更することができる。
さらにまた、上述した実施の形態においては、健康医療用貼付シートを人体の表面に固定する手段を別の部材によって構成したが、本発明はこれに限られず、健康医療用貼付シートを人体の表面に固定する手段を当該シートと一体的に構成することもできる。
【0066】
さらにまた、上述した実施の形態においては、荷電粒子発生層を露出するように構成したが、本発明はこれに限られず、例えば高分子樹脂による保護層によって荷電粒子発生層を覆うように構成することもできる。
さらにまた、上述した実施の形態においては、健康医療用貼付シートを人体に貼付する場合を例にとって説明した、本発明はこれに限られず、例えば、犬や猫等の動物に対しても適用することができる。
【0067】
また、実際の使用に際しては、荷電粒子発生層に対して塵等の付着を防止するため、荷電粒子発生層上に剥離可能な保護用シートを貼付することもできる。
さらに、上記実施の形態においては、ナノダイヤ半導体粒子を例にとって説明したが、ナノダイヤ半導体粒子の他、Ge,Si、化合物半導体に属するInSb,BiTe,PbTe、酸化物半導体に属するCa−Mn,Ca−Cr,Zn,Tiの酸化物、珪化物半導体に属するFeSi2,CoSi等を用いることもできる。これらの半導体粒子は、いずれか1種又は複数種の粒子を用いることができる。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、高分子樹脂としてポリエステル樹脂を用いるとともに、半導体粒子として上記(2)間接法で製造されたナノダイヤ半導体粒子(商品名 SCMナノダイヤ 住石マテリアルズ社製:基本粒子サイズ3−8nm)を用い、荷電粒子発生体の試料を作成した。
【0069】
この場合、まず、インキ用のポリエステル樹脂に、上述したナノダイヤ半導体粒子43重量%を加え、溶剤としてキシレンを用い、常温でポリエステル樹脂を溶解してスクリーン印刷用のインキを調製した。
スクリーン版として、270メッシュのものを使用し、上述したインキを用い、シート基材上に所定のパターンの荷電粒子発生層を形成した。
なお、270メッシュのスクリーン版を用いた場合、約6μm以下のナノダイヤ半導体粒子(凝集体)のみがパターン形成に供されることが本発明者によって確認されている。
【0070】
本実施例では、シート基材として、PET上にEVA層が積層された市販のフィルム(厚さ100μm、商品名 熱ラミフィルム HEIKO社製)を用い、シート基材のEVA層上に、厚さ10μmの所定形状のパターンを形成して乾燥させた。
図9〜図12は、本実施例で用いた試料のパターンの形状を示すものである。
【0071】
ここで、図9は、シート基材5上にストライプ状のパターン40を形成したもので、試料1−1(5−1)は、各パターン40の幅0.3mm、ピッチ(隣接するパターン40の中央部間の距離)が1mm、試料1−2(5−2)は、各パターン40の幅0.5mm、ピッチ1mm、試料1−3(5−3)は、各パターン40の幅1.0mm、ピッチ2mmに設定した。
なお、図9の各パターン40の長さは、27mmに設定した。
【0072】
図10は、シート基材5上に格子状のパターン41を形成したもので、試料2−1(6−1)は、各パターン41の幅0.3mm、ピッチ(隣接するパターン41の中央部間の距離)が1mm、試料2−2(6−2)は、各パターン41の幅0.5mm、ピッチ1mm、試料2−3(6−3)は、各パターン41の幅1.0mm、ピッチ2mmに設定した。
なお、図10の各パターン41の枠部分の長さは、30mmに設定した。
【0073】
図11は、シート基材5上に同心円状のパターン43を形成したもので、試料3−1(7−1)は、各パターン43の幅0.3mm、ピッチ(隣接するパターン43の中央部間の距離)が1mm、試料3−2(7−2)は、各パターン43の幅0.5mm、ピッチ1mm、試料3−3(7−3)は、各パターン43の幅1.0mm、ピッチ2mmに設定した。
【0074】
図12は、シート基材5上に螺旋状のパターン44を形成したもので、試料4−1(8−1)は、各パターン44の幅0.3mm、試料4−2(8−2)は、各パターン44の幅0.5mm、試料4−3(8−3)は、各パターン44の幅1.0mmに設定した。
なお、図12の各パターン44のピッチ(隣接するパターン44の中央部間の距離)は、パターン44の外周部分から内側に向って段階的に小さくなるように設定されており、具体的には、約2mm〜約1mmに設定した。
【0075】
図9〜図12に示すパターンの試料を、それぞれ粘着テープを用いて人体の腕部に貼り付け、その皮膚表面部分の温度変化を測定した。
なお、この測定に先立ち、上述したシート基材5のみを人体の腕部に貼り付け、その皮膚表面部分の温度変化を測定したが、何ら温度変化は見られなかった。
【0076】
また、温度測定は室温(約25℃)で行い、各試料を人体の腕部に装着する前に冷水によって測定部分を冷却した。
さらに、本実施例においては、例えば図4(c)に示すように、シート基材5の荷電粒子発生層4Aを人体の表面10に接触させた場合と、例えば図5(c)に示すように、シート基材5の荷電粒子発生層4Aを人体の表面10に接触させず、シート基材5の基部2の裏面を人体表面10に接触させた場合に分けて測定を行った。
【0077】
一方、温度測定には、非接触式の赤外線放射温度計(商品名 FSV−7000E、アピステ社製)を用い、各パターンの中央部分の皮膚表面温度と、試料の周囲の皮膚表面の温度を10秒毎に測定した。
そして、各パターンの中央部分の皮膚表面温度と、各試料の周囲の皮膚表面の温度差を算出し、その温度差の最大値と、その最大値に到った時間を算出した。その結果を表1及び表2に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
表1及び表2から明らかなように、上述した試料のうち、殆どの試料において、腕部に装着した試料のパターン中央部分の温度上昇が見られた。これにより、試料の装着によって生体電流が大きくなって生体温度効果が得られていることが理解される。
【0081】
そして、シート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合と比較して、シート基材の基部裏面を人体に接触させた場合の方が、腕部に装着した試料のパターン中央部分の温度上昇が大きくなる傾向がある。
この場合、シート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合には、パターンの中央部分の皮膚表面温度と、各試料の周囲の皮膚表面の温度差の最大値に到る時間が、シート基材の基部裏面を人体に接触させた場合と比較して短い傾向が見られる。
【0082】
特に、シート基材上にストライプ状のパターンを形成した試料のうち試料1−1、試料1−2においては、シート基材の荷電粒子発生層を人体腕部に接触させた場合には、皮膚表面の温度上昇が見られなかったのに対し、同じ試料1−1、試料1−2についてシート基材の基部を人体腕部に接触させた場合には、腕部の皮膚表面の温度が2℃程度上昇している。
【0083】
また、シート基材上に同心円状のパターンを形成した場合、さらに、シート基材上に同螺旋形状のパターンを形成した場合においても、シート基材の基部を人体に接触させた場合には、シート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合に比べ、腕部に装着した試料のパターン中央部分の温度上昇が大きくなる傾向が見られる。
【0084】
例えば、シート基材上に同心円形状のパターンを形成した試料に関しては、シート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合には、パターンの中央部分の皮膚表面温度と各試料の周囲の皮膚表面の温度差の最大値が1.48℃であるのに対し(試料3−3)、シート基材の基部裏面を人体に接触させた場合には、同温度差の最大値が1.80℃まで上昇している(試料7−3)。
【0085】
また、シート基材上に螺旋形状のパターンを形成した試料に関しては、シート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合には、パターンの中央部分の皮膚表面温度と各試料の周囲の皮膚表面の温度差の最大値が1.94℃であるのに対し(試料4−2)、シート基材の基部裏面を人体に接触させた場合には、同温度差の最大値が2.17℃まで上昇している(試料8−1)。
【0086】
この理由は、シート基材の基部裏面を人体に接触させた場合には、接触当初において、ナノダイヤ半導体粒子を含有する荷電粒子発生層と人体表面との温度差が大きく、人体表面からの熱がシート基材の基部及びパターン支持層を介して荷電粒子発生層に伝達されるため、荷電粒子発生層の温度上昇の時間がシート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合と比較して長く、しかも大気によって荷電粒子発生層が継続的に冷却されるため、電粒子発生層の頂面を人体の表面に接触させた場合に比べ、熱電効果(ゼーベック効果)に起因する発熱量がより大きくなるからであると考えられる。
【0087】
なお、シート基材上に格子形状のパターンを形成した試料2−1〜2−3並びに試料6−1〜6−3においては、シート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合、シート基材の基部裏面を人体に接触させた場合共にパターンの中央部分の皮膚表面温度と各試料の周囲の皮膚表面の温度差の最大値が2℃を超えており、良好な結果が得られた。
【0088】
一方、シート基材上に形成した荷電粒子発生層のパターンの幅については、際だった傾向は見られない。
しかし、シート基材上にストライプ状のパターンを形成した試料のうち試料1−1(パターン幅0.3mm)、試料1−2(パターン幅0.5mm)において、シート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合には人体の表面の温度上昇が見られなかったのに対し、パターン幅が1.0mmである試料1−3では人体の表面の温度上昇が見られたこと、またパターンの経時的変化等を考慮すると、パターンの幅は所定の値より大きくすることが好ましいと考えられる。
【符号の説明】
【0089】
1A…健康医療用貼付シート、2…基部、2e…裏面(装着面)、3…パターン支持層、4A…荷電粒子発生層、5…シート基材、40…パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線及び荷電粒子を放射する機能素子を用いた健康医療用貼付シート、特に、ナノダイヤ半導体粒子を用いた健康医療用貼付シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、健康医療器具として、磁力線、赤外線、荷電粒子を用いたものが提案されている。
ここで、磁力線は、血流増進効果を有するものとして、400G以上の磁力を有するフェライトやR−Co磁石等を用いたものが知られている。
また、赤外線は、温熱効果を有するものとして、波長が4〜10μmのゲルマニウム(Ge)、黒水晶、トルマリン等を用いたものが知られている。
さらに、荷電粒子は、生体電流を生じさせ血流増進効果を有するものとして、トルマリン、ゲルマニウム粒子を用いたものが知られている。
【0003】
これらのうちでも、トルマリン及びゲルマニウムは広く使用されているが、種々の課題がある。
例えば、トルマリンは、波長4〜10μmの温熱効果の大きな赤外線波長を放射するが、絶縁体であるため、体温程度の熱励起では、赤外線を放射する励起キャリアー(荷電粒子)の数が少なく、放射量を十分確保することができない。
【0004】
また、絶縁体であるトルマリンの圧電焦電効果により発生する荷電粒子は、トルマリンが体温により加熱されて結晶体が歪む時、又は、体温と健康医療器具の間の温度差の変化が継続して結晶が歪む時に発生するものである。したがって、健康医療器具等に使用した場合は、人体に装着後において全体の温度が定常状態になると、圧電焦電材料は電気的には絶縁体に属するため、その放出電荷量は激減し、荷電粒子の効果は期待できなくなる。
【0005】
一方、ゲルマニウムは、半導体であるため荷電粒子放射能は大きいが、半導体バンド構造に起因する活性化エネルギーレベル0.01eVから輻射される赤外線の波長が100μmと大きいため、赤外線による温熱効果は小さい。このため、従来型の赤外線と荷電粒子を使用した複合磁石タイプでの電荷浸透効果は、殆ど期待できない。
【0006】
また、ゲルマニウムは、体温程度の加熱で荷電粒子を放出しても、半導体がバルク状態である場合はゲルマニウム結晶が体温加熱による温度差で発生するゼーベック効果による起電力は最大でも1mV程度であるのに対し、人体のインピーダンスは数百Ωと大きいので、その荷電粒子の人体への浸透効果は小さい。このため、健康医療器具としての効果は期待できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平05−347206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、発生電位が大きく、体温程度の低温加熱によるナノダイヤ半導体粒子の励起荷電粒子を効率良く長時間人体に浸透させるとともに、ナノダイヤ半導体粒子からの赤外線放射能との相乗効果が得られる健康医療用貼付シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明は、シート基材と、前記シート基材上に設けられ、高分子樹脂中にナノダイヤ半導体粒子が分散された複合材料からなる荷電粒子発生層とを有し、前記荷電粒子発生層が、前記シート基材の表面においてパターン状に設けられている健康医療用貼付シートである。
本発明では、前記荷電粒子発生層が、前記シート基材の一方の表面に設けられ、前記シート基材の他方の表面には、当該シートを貼付対象物に装着するための装着面が設けられている場合にも効果的である。
本発明では、前記シート基材は、一方の表面にパターン支持層が設けられ、他方の表面に装着面が設けられている場合にも効果的である。
本発明では、前記荷電粒子発生層が、複数のストライプ状のパターンからなる場合にも効果的である。
本発明では、前記荷電粒子発生層が、格子状のパターンからなる場合にも効果的である。
本発明では、前記荷電粒子発生層が、複数の同心円状のパターンからなる場合にも効果的である。
本発明では、前記荷電粒子発生層が、連続した螺旋状のパターンからなる場合にも効果的である。
また、本発明は、パターン支持層が一方の面上に設けられたシート基材と、高分子樹脂中にナノダイヤ半導体粒子が配合された複合材料とを用意し、前記シート基材上に、前記複合材料からなる荷電粒子発生層を設ける工程を有する健康医療用貼付シートの製造方法である。
本発明では、前記荷電粒子発生層を、スクリーン印刷法によって前記シート基材上に設ける工程を有する場合にも効果的である。
【0010】
本発明に用いるナノダイヤ半導体粒子は、合成時に積極的に窒素(N)やホウ素(B)等をドープすることによって容易にn型やp型の半導体になり、また、合成時の圧力により粒子内部の歪等の影響で固体バンド構造が乱れるため、活性化エネルギーレベル0.3〜0.5eVを持ち、励起キャリアの数がトルマリン等の絶縁体と比較して圧倒的に多い。
【0011】
その結果、このようなナノダイヤ半導体粒子は、例えば、図1に示すように、体温付近の温度領域におけるコンダクタンス(抵抗の逆数)の変化率、即ち電気抵抗の変化率が大きく、荷電粒子放出能が高い。
なお、ここでは、ホウ素(B)をドープしたナノダイヤ半導体粒子で、活性化エネルギーレベルが0.36eVのものである。
【0012】
図2は、ナノダイヤ半導体粒子とトルマリンの赤外線分光放射特性を示すものである。この場合、高分子マトリクス樹脂として、ポリプロピレン(PP)中にナノダイヤ半導体粒子を10重量%、一方、トルマリンは50重量%配合した場合を示す。なお、測定温度は40℃である。
図2に示すように、ナノダイヤ半導体粒子は、複合材中における粒子の配合比がトルマリンの1/5であるにもかかわらず、活性化エネルギーレベル0.3〜0.5eVから放射される生体赤外線波長帯域(4〜15μm)での赤外線輻射能が大きい。
【0013】
図1及び図2から理解されるように、ナノダイヤ半導体粒子は、体温付近での荷電粒子放射能及び生体赤外線波長帯域での放射能がトルマリンより大きいため、生体温度効果を従来技術より大きくすることができる。
このようなナノダイヤ半導体粒子を用いる本発明の場合、ナノダイヤ半導体粒子を含有する荷電粒子発生層がシート基材上に設けられていることから、健康医療用貼付シートを例えば人体のツボの部分に長時間貼り付けることができる。
【0014】
そして、本発明に用いるナノダイヤ半導体粒子は、上述したように、体温によって36℃程度に低温加熱された場合における励起キャリアの数がトルマリン等の絶縁体と比較して圧倒的に多いため、熱電効果(ゼーベック効果)に起因する大きな熱起電力が発生する。
したがって、本発明によれば、従来のトルマリンやゲルマニウムを用いた場合に比べ、ナノダイヤ半導体粒子から励起された荷電粒子を効率良く人体に浸透させることができ、大きな生体電流を生じさせ血流を増進させることができる。
【0015】
また、本発明によれば、体温による加熱効果と、外気による冷却効果とによって、ナノダイヤ半導体粒子間に温度差が生じ、人体に貼付している間において荷電粒子放出と赤外線放射が持続するため、例えば衣服などにナノダイヤ半導体粒子を織り込んで人体に装着した場合に比べ、長時間にわたって効率良く生体温度効果を生じさせることができる。
【0016】
本発明において、前記荷電粒子発生層が、前記シート基材の一方の表面に設けられ、前記シート基材の他方の表面には、当該シートを貼付対象物に装着するための装着面が設けられている場合には、このシート基材の装着面を人体の表面に接触させて固定することにより、接触当初において、ナノダイヤ半導体粒子を含有する荷電粒子発生層と人体の表面との温度差が大きく、人体の表面からの熱がシート基材を介して荷電粒子発生層に伝達されるため、荷電粒子発生層の頂面を人体の表面に接触させた場合に比べ、熱電効果に起因する発熱量大きくすることができる。
【0017】
一方、本発明に係る健康医療用貼付シートを製造するには、パターン支持層が一方の面上に設けられたシート基材と、高分子樹脂中にナノダイヤ半導体粒子が配合された複合材料とを用意し、例えば印刷法によって前記シート基材上に、前記複合材料からなる荷電粒子発生層を設けるようにすればよく、複雑な工程を必要としないものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、発生電位が大きく、体温程度の低温加熱によるナノダイヤ半導体粒子の励起荷電粒子を効率良く長時間人体に浸透させるとともに、ナノダイヤ半導体粒子からの赤外線放射能との相乗効果が得られるため、長時間にわたって効率良く生体温度効果を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ナノダイヤ半導体粒子のコンダクタンスの温度特性を示すグラフ
【図2】ナノダイヤ半導体粒子とトルマリンの赤外線分光放射特性を示すグラフ
【図3】(a):本発明の第1の実施の形態の健康医療用貼付シートを貼付面側から見た平面図(b):図3(a)のA−A線断面図
【図4】(a)〜(c):本発明の健康医療用貼付シートの使用方法の例を示す断面工程図
【図5】(a)〜(c):本発明の健康医療用貼付シートの使用方法の他の例を示す断面工程図
【図6】(a):本発明の第2の実施の形態の健康医療用貼付シートを貼付面側から見た平面図(b):図6(a)のB−B線断面図
【図7】(a):本発明の第3の実施の形態の健康医療用貼付シートを貼付面側から見た平面図(b):図7(a)のC−C線断面図
【図8】(a):本発明の第4の実施の形態の健康医療用貼付シートを貼付面側から見た平面図(b):図8(a)のD−D線断面図
【図9】本実施例で用いた試料のパターンの形状を示す図
【図10】本実施例で用いた試料のパターンの形状を示す図
【図11】本実施例で用いた試料のパターンの形状を示す図
【図12】本実施例で用いた試料のパターンの形状を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図3(a)は、本発明の第1の実施の形態の健康医療用貼付シートを貼付面側から見た平面図、図3(b)は、図3(a)のA−A線断面図である。
図3(a)(b)に示すように、本実施の形態の健康医療用貼付シート1Aは、例えば、シート状の基材からなる基部2と、基部2の一方の面上に積層されたパターン支持層3とからなるシート基材5を有し、このシート基材5のパターン支持層3上に荷電粒子発生層4Aが設けられて構成されている。
【0021】
ここで、基部2としては、伸縮性を有するフィルム、不織布、生地からなるものを用いることが好ましい。
本発明の場合、基部2の材料としては、特に限定されることはないが、例えば、PET等のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エラストマー等を好適に用いることができる。
特に、人体に対する安全性及び入手のし易さの観点からは、PET(ポリエチレンテレフタレート)を基部2とする複合フィルムを用いることが好ましい。
【0022】
また、基部2の厚さは特に限定されることはないが、パターン支持層3及び荷電粒子発生層4Aを確実に支持する観点からは、30〜100μmに設定することが好ましい。
基部2の形状としては、種々の形状のものを採用することができる。
例えば、矩形(三角形、四角形、多角形)、円形、楕円形などがあげられる。
【0023】
なお、図3(a)に示すように、基部2の形状が矩形(四角形)の場合は、被着体である人体から剥離しにくくする観点からは、角部分2a〜2dをアール(湾曲)形状に形成することがより好ましい。
また、基部2の大きさは、人体の表面に貼付できる限り、特に限定されることはない。
【0024】
パターン支持層3は、基部2の一方の面の全面に設けることが好ましい。
パターン支持層3の材料である高分子樹脂としては、特に限定されることはないが、荷電粒子発生層4Aとの密着性を確保する観点からは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いることがより好ましい。
また、パターン支持層3の厚さは特に限定されることはないが、荷電粒子発生層4Aを確実に支持する観点からは、30〜50μmとすることが好ましい。
なお、本発明に用いる、基部2上にパターン支持層3が形成されたフィルムは種々市販されており、簡易に入手することができる。
【0025】
本発明において、荷電粒子発生層4Aは、以下に説明する荷電粒子発生体からなる。
本発明に用いる荷電粒子発生体は、ナノダイヤ半導体粒子を、電気絶縁性の高分子樹脂からなる結合材に混合した複合材料からなるものである。
本発明において荷電粒子発生体のマトリクスに用いる高分子樹脂としては、例えば、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系高分子材料があげられる。
【0026】
これらのうちでも、パターン支持層3との密着性を確保し、かつ、スクリーン印刷法に適している観点からは、ポリエステル系の高分子樹脂材料を用いることがより好ましい。
また、荷電粒子発生体のマトリクスとして、合成ゴム等のエラストマーを用いることもできる。
【0027】
本発明において使用するナノダイヤ半導体粒子としては、CB火薬等の衝撃波で合成されたSP3及びSP2複合構造を有する半導体炭素粒子を好適に用いることができる。
衝撃波で合成されたSP3及びSP2構造を有する半導体複合炭素粒子を得る方法の具体例としては、次の2方法がある。
【0028】
(1)密閉容器の中で高性能CB火薬を爆発させ、200万気圧と数千度の温度を瞬時に発生させ、複合構造を有する半導体炭素粒子を合成する方法(大澤映二 Japan Nanonet Bulletin 108 2006.03.08)、(2)間接法として、例えばホウ素化合物と黒鉛を混合した原料を用い、火薬の力で鉄を飛翔させてこの原料に衝突させ、その時に発生する衝撃波を利用して合成する方法が知られているが、(2)の間接法は、火薬の影響を受けにくく、ホウ素化合物と黒鉛の配合比が一定で純度の高いナノダイヤ半導体粒子が得られるので、より好ましい。
【0029】
また、本発明に使用するナノダイヤ半導体粒子は、製造時に窒素(N)、ホウ素(B)等を積極的にドーピングして製造することができる。
本発明に用いるナノダイヤ半導体粒子のサイズ(平均粒径)は、3nm〜1μmの範囲のものが望ましい。
ナノダイヤ半導体粒子のサイズが3nm未満では、半導体としてのバンド構造が乱れ、他方、1μmを超すと、ナノダイヤ半導体粒子内の励起荷電粒子相互間の反発作用が強く起こるようになり、荷電粒子は一次元的な動きができなくなり、半導体粒子内の電位差が減少する。
【0030】
なお、衝撃波で合成されたSP3構造を有するナノダイヤ半導体粒子は、基本粒径が3〜10nmであり、成型後の粉砕工程が不要であるというメリットがある。
本発明において使用する荷電粒子発生体は、例えば、マトリクスである1又は2以上の高分子樹脂とナノダイヤ半導体粒子を混合した後、有機溶剤を用いて溶解し、印刷用インキを得る。そして、この印刷用インキを用いて、後述するパターン形状の荷電粒子発生層4Aを基材のパターン支持層3上に設ける。
【0031】
なお、パターン支持層3中に分散されたナノダイヤ半導体粒子は、各粒子がマトリクス中に均一に分散されている訳ではなく、粒子同士が凝集し、最大10μm程度の大きさになっていることが本発明者によって確認されている。この場合、凝集した粒子凝集体は、パターン支持層3の表面から露出していることも本発明者によって確認されている。
【0032】
本発明の場合、荷電粒子発生体中におけるナノダイヤ半導体粒子の配合量は特に限定されることはなく、配合量が多いほど熱電効果が大きくなるが、20重量%以上50重量%以下にすることが好ましい。
荷電粒子発生体中におけるナノダイヤ半導体粒子の配合量が20重量%未満である場合には、必要とする熱電効果が得られにくく、他方、50重量%を超えると、荷電粒子発生体が脆くなりやすくなる。
【0033】
図3(a)(b)に示す実施の形態においては、荷電粒子発生層4Aは、複数の細長い直線(ストライプ)状のパターン40から構成されている。
荷電粒子発生層4Aの各パターン40は、例えば、同一の幅、基部2より短い同一の長さ、同一の厚さに形成され、所定の間隔をおいてパターン支持層3上に設けられている。
本発明の場合、荷電粒子発生層4Aの各パターン40の作成方法は特に限定されることはないが、簡易に低コストで作成する観点からは、例えば、スクリーン印刷等の印刷法を採用することが好ましい。
【0034】
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Aのパターン40の幅は特に限定されることはないが、熱電効果を向上させる観点からは、できるだけ大きくすることが好ましい。ただし、後述するように、健康医療用貼付シート1Aの使用方法によっても熱電効果の発生条件が異なってくる。
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Aのパターン40の幅は、0.2mm以上1.5mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.3mm以上1.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Aのパターン40の幅が0.2mm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、1.5mmを超えると、コスト高になる。
【0035】
さらに、荷電粒子発生層4Aのパターン40間のピッチ(隣接するパターン40の中央部間の距離)は、荷電粒子発生層4Aのパターン40の幅を考慮して設定されるものであるが、0.5mm以上3.0mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、1.0mm以上2.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Aのパターン40間のピッチが0.5mm未満の場合は、コスト高になり、他方、3.0mmを超えると、熱電効果が発生しなくなることがある。
【0036】
一方、荷電粒子発生層4Aのパターン40の高さは、5μm以上20μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、10μm以上15μm以下である。
荷電粒子発生層4Aのパターン40の高さが5μm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、20μmを超えると、コスト高になる。
【0037】
本発明の健康医療用貼付シート1Aを製造するには、所定形状及び大きさの基部2上に、上述した印刷用インキを用い、例えばスクリーン印刷法等の印刷法によって、上記パターン40を有する荷電粒子発生層4Aを形成する。
この場合、印刷法によって剥離シート(図示せず)上に荷電粒子発生層(図示せず)を形成し、この荷電粒子発生層を、シート基材5のパターン支持層3に押し付け、剥離シート上から力を加えることによって、パターン支持層3上に転写して図3(a)(b)に示す荷電粒子発生層4Aを形成することもできる。
【0038】
図4(a)〜(c)は、本発明の健康医療用貼付シートの使用方法の例を示す断面工程図である。
図4(a)に示すように、上述した工程によって得られた健康医療用貼付シート1Aを用意し、荷電粒子発生層4Aを人体の表面10に対向させるように配置する。
そして、図4(b)に示すように、その状態で健康医療用貼付シート1Aの荷電粒子発生層4Aの頂面を人体の表面10に密着させる。
さらに、この状態で、例えば医療用粘着シート(テープ)6を健康医療用貼付シート1Aの基部2の裏面2eから人体の表面10に渡って貼り付け、図4(c)に示すように、健康医療用貼付シート1Aを人体の表面10に固定する。
【0039】
図5(a)〜(c)は、本発明の健康医療用貼付シートの使用方法の他の例を示す断面工程図である。
図5(a)に示すように、上述した工程によって得られた健康医療用貼付シート1Aを用意し、本例の場合は、シート基材5の基部2の裏面(装着面)2eを人体の表面10に対向させるように配置する。
【0040】
そして、図5(b)に示すように、その状態で健康医療用貼付シート1Aのシート基材5の基部2の裏面2eを人体の表面10に密着させる。
さらに、この状態で、図5(c)に示すように、例えば医療用粘着シート(テープ)6を健康医療用貼付シート1Aのシート基材5の荷電粒子発生層4Aから人体の表面10に渡って貼り付け、健康医療用貼付シート1Aを人体の表面10に固定する。
【0041】
以上述べた本実施の形態においては、ナノダイヤ半導体粒子は、体温によって36℃程度に低温加熱された場合における励起キャリアの数がトルマリン等の絶縁体と比較して圧倒的に多いことから、熱電効果(ゼーベック効果)に基づいて大きな熱起電力が発生する。
【0042】
したがって、本実施の形態の健康医療用貼付シート1Aによれば、従来のトルマリンやゲルマニウムを用いた場合に比べ、また、ナノダイヤ半導体粒子を単に人体に装着した場合に比べ、ナノダイヤ半導体粒子から励起された荷電粒子を効率良く人体に浸透させることができるため、大きな生体電流を生じさせ血流を増進させることができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、体温による加熱効果と、外気による冷却効果とによって、ナノダイヤ半導体粒子間に温度差が生じ、人体の表面10に貼付している間において荷電粒子放出と赤外線放射が持続するため、例えば衣服などにナノダイヤ半導体粒子を織り込んで人体に装着した場合に比べ、長時間にわたって効率良く生体温度効果を生じさせることができる。
【0044】
さらに、図5(c)に示すように、シート基材5の基部2裏面を人体の表面10に接触させた場合には、接触当初において、ナノダイヤ半導体粒子を含有する荷電粒子発生層4Aと人体の表面10との温度差が大きく、人体の表面10からの熱がシート基材5の基部2及びパターン支持層3を介して荷電粒子発生層4Aに伝達されるため、荷電粒子発生層4Aの温度上昇の時間がシート基材5の荷電粒子発生層4Aを人体に接触させた場合と比較して長く、しかも大気によって荷電粒子発生層4Aが継続的に冷却されるため、図4(c)に示す、健康医療用貼付シート1Aの荷電粒子発生層4Aの頂面を人体の表面10に接触させた場合に比べ、熱電効果に起因する発熱量大きくすることができる。
【0045】
図6は、本発明の第2の実施の形態を示すものであり、図6(a)は、貼付面側から見た平面図、図6(b)は、図6(a)のB−B線断面図である。以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図6(a)(b)に示すように、本実施の形態の健康医療用貼付シート1Bにおいては、パターン支持層3上に、複数の格子状のパターンを有する荷電粒子発生層4Bが設けられている。
【0046】
この荷電粒子発生層4Bは、基部2より若干小さい四角形状の枠部パターン41の内側の領域に、例えば等間隔で直交する直線状の格子パターン42x,42yが形成されて構成されている。
そして、これにより、枠部パターン41及び格子パターン42x,42y、並びに格子パターン42x,42y同士によって囲まれた複数の開口部4aを介してパターン支持層3の表面がそれぞれ露出するようになっている。
【0047】
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Bの格子パターン41の幅は特に限定されることはないが、熱電効果を向上させる観点からは、できるだけ大きくすることが好ましい。ただし、後述するように、健康医療用貼付シート1Bの使用方法によっても熱電効果の発生条件が異なってくる。
【0048】
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Bの格子パターン41の幅は、0.2mm以上1.5mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.3mm以上1.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Bの格子パターン41の幅が0.2mm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、1.5mmを超えると、コスト高になる。
【0049】
さらに、荷電粒子発生層4Bの格子パターン41間のピッチ(隣接する格子パターン41の中央部間の距離)は、荷電粒子発生層4Bの格子パターン41の幅を考慮して設定されるものであるが、0.5mm以上3.0mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、1.0mm以上2.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Bの格子パターン41間のピッチが0.5mm未満の場合は、コスト高になり、他方、3.0mmを超えると、熱電効果が発生しなくなることがある。
【0050】
一方、荷電粒子発生層4Bの格子パターン41の高さは、5μm以上20μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、10μm以上15μm以下である。
荷電粒子発生層4Bの格子パターン41の高さが5μm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、20μmを超えると、コスト高になる。
【0051】
このような構成を有する本実施の形態によれば、上記実施の形態と同様の効果に加え、荷電粒子発生層4Bの面積をより大きくすることができるので、熱電効果に基づく生体温度効果を増大させることができる。
その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0052】
図7は、本発明の第3の実施の形態を示すものであり、図7(a)は、貼付面側から見た平面図、図7(b)は、図7(a)のC−C線断面図である。以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図7(a)(b)に示すように、本実施の形態の健康医療用貼付シート1Cにおいては、パターン支持層3上に、複数の同心円状のパターン43を有する荷電粒子発生層4Cが設けられている。
【0053】
本実施の形態においては、例えば真円形状の基部2上の全面にパターン支持層3が設けられ、このパターン支持層3上に、例えば基部2の中心点を中心とする同心円状のパターン43が複数個設けられている。
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Cのパターン43の幅は特に限定されることはないが、熱電効果を向上させる観点からは、できるだけ大きくすることが好ましい。ただし、後述するように、健康医療用貼付シート1Cの使用方法によっても熱電効果の発生条件が異なってくる。
【0054】
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Cのパターン43の幅は、0.2mm以上1.5mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.3mm以上1.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Cのパターン43の幅が0.2mm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、1.5mmを超えると、コスト高になる。
【0055】
さらに、荷電粒子発生層4Cのパターン43間のピッチ(隣接するパターン43の中央部間の距離)は、荷電粒子発生層4Cのパターン43の幅を考慮して設定されるものであるが、0.5mm以上3.0mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、1.0mm以上2.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Cのパターン43間のピッチが0.5mm未満の場合は、コスト高になり、他方、3.0mmを超えると、熱電効果が発生しなくなることがある。
【0056】
一方、荷電粒子発生層4Cのパターン43の高さは、5μm以上20μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、10μm以上15μm以下である。
荷電粒子発生層4Cのパターン43の高さが5μm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、20μmを超えると、コスト高になる。
【0057】
このような構成を有する本実施の形態によっても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0058】
図8は、本発明の第4の実施の形態を示すものであり、図8(a)は、貼付面側から見た平面図、図8(b)は、図8(a)のD−D線断面図である。以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図8(a)(b)に示すように、本実施の形態の健康医療用貼付シート1Dにおいては、パターン支持層3上に、螺旋状のパターン44を有する荷電粒子発生層4Dが設けられている。
【0059】
本実施の形態においては、例えば真円形状の基部2上の全面にパターン支持層3が設けられ、このパターン支持層3上に、例えば基部2の中心点を中心とする連続した螺旋形状のパターン44が設けられている。
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Dのパターン44の幅は特に限定されることはないが、熱電効果を向上させる観点からは、できるだけ大きくすることが好ましい。ただし、後述するように、健康医療用貼付シート1Dの使用方法によっても熱電効果の発生条件が異なってくる。
【0060】
本実施の形態の場合、荷電粒子発生層4Dのパターン44の幅は、0.2mm以上1.5mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.3mm以上1.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Dのパターン44の幅が0.2mm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、1.5mmを超えると、コスト高になる。
【0061】
さらに、荷電粒子発生層4Dのパターン44間のピッチ(隣接するパターン44の中央部間の距離)は、荷電粒子発生層4Dのパターン44の幅を考慮して設定されるものであるが、0.5mm以上3.0mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、1.0mm以上2.0mm以下である。
荷電粒子発生層4Dのパターン44間のピッチが0.5mm未満の場合は、コスト高になり、他方、3.0mmを超えると、熱電効果が発生しなくなることがある。
【0062】
一方、荷電粒子発生層4Dのパターン44の高さは、5μm以上20μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、10μm以上15μm以下である。
荷電粒子発生層4Dのパターン44の高さが5μm未満の場合は、熱電効果が発生しなくなるとともに、印刷法ではパターン形成が困難になることがあり、他方、20μmを超えると、コスト高になる。
【0063】
このような構成を有する本実施の形態によっても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0064】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、図3(a)(b)に示す実施の形態においては、パターン40を直線状のとなるように構成したが、例えば、ジグザク形状や曲線形状に形成することもできる。
また、図6(a)(b)に示す実施の形態においては、格子パターン42x,42yが直交、即ち90°の角度で交わるように構成したが、90°以外の角度で交わるように構成することもできる。
【0065】
さらに、上述した実施の形態においては、荷電粒子発生層の各パターンの幅、ピッチ、高さを同一となるように構成したが、本発明はこれに限られず、適宜変更することができる。
さらにまた、上述した実施の形態においては、健康医療用貼付シートを人体の表面に固定する手段を別の部材によって構成したが、本発明はこれに限られず、健康医療用貼付シートを人体の表面に固定する手段を当該シートと一体的に構成することもできる。
【0066】
さらにまた、上述した実施の形態においては、荷電粒子発生層を露出するように構成したが、本発明はこれに限られず、例えば高分子樹脂による保護層によって荷電粒子発生層を覆うように構成することもできる。
さらにまた、上述した実施の形態においては、健康医療用貼付シートを人体に貼付する場合を例にとって説明した、本発明はこれに限られず、例えば、犬や猫等の動物に対しても適用することができる。
【0067】
また、実際の使用に際しては、荷電粒子発生層に対して塵等の付着を防止するため、荷電粒子発生層上に剥離可能な保護用シートを貼付することもできる。
さらに、上記実施の形態においては、ナノダイヤ半導体粒子を例にとって説明したが、ナノダイヤ半導体粒子の他、Ge,Si、化合物半導体に属するInSb,BiTe,PbTe、酸化物半導体に属するCa−Mn,Ca−Cr,Zn,Tiの酸化物、珪化物半導体に属するFeSi2,CoSi等を用いることもできる。これらの半導体粒子は、いずれか1種又は複数種の粒子を用いることができる。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、高分子樹脂としてポリエステル樹脂を用いるとともに、半導体粒子として上記(2)間接法で製造されたナノダイヤ半導体粒子(商品名 SCMナノダイヤ 住石マテリアルズ社製:基本粒子サイズ3−8nm)を用い、荷電粒子発生体の試料を作成した。
【0069】
この場合、まず、インキ用のポリエステル樹脂に、上述したナノダイヤ半導体粒子43重量%を加え、溶剤としてキシレンを用い、常温でポリエステル樹脂を溶解してスクリーン印刷用のインキを調製した。
スクリーン版として、270メッシュのものを使用し、上述したインキを用い、シート基材上に所定のパターンの荷電粒子発生層を形成した。
なお、270メッシュのスクリーン版を用いた場合、約6μm以下のナノダイヤ半導体粒子(凝集体)のみがパターン形成に供されることが本発明者によって確認されている。
【0070】
本実施例では、シート基材として、PET上にEVA層が積層された市販のフィルム(厚さ100μm、商品名 熱ラミフィルム HEIKO社製)を用い、シート基材のEVA層上に、厚さ10μmの所定形状のパターンを形成して乾燥させた。
図9〜図12は、本実施例で用いた試料のパターンの形状を示すものである。
【0071】
ここで、図9は、シート基材5上にストライプ状のパターン40を形成したもので、試料1−1(5−1)は、各パターン40の幅0.3mm、ピッチ(隣接するパターン40の中央部間の距離)が1mm、試料1−2(5−2)は、各パターン40の幅0.5mm、ピッチ1mm、試料1−3(5−3)は、各パターン40の幅1.0mm、ピッチ2mmに設定した。
なお、図9の各パターン40の長さは、27mmに設定した。
【0072】
図10は、シート基材5上に格子状のパターン41を形成したもので、試料2−1(6−1)は、各パターン41の幅0.3mm、ピッチ(隣接するパターン41の中央部間の距離)が1mm、試料2−2(6−2)は、各パターン41の幅0.5mm、ピッチ1mm、試料2−3(6−3)は、各パターン41の幅1.0mm、ピッチ2mmに設定した。
なお、図10の各パターン41の枠部分の長さは、30mmに設定した。
【0073】
図11は、シート基材5上に同心円状のパターン43を形成したもので、試料3−1(7−1)は、各パターン43の幅0.3mm、ピッチ(隣接するパターン43の中央部間の距離)が1mm、試料3−2(7−2)は、各パターン43の幅0.5mm、ピッチ1mm、試料3−3(7−3)は、各パターン43の幅1.0mm、ピッチ2mmに設定した。
【0074】
図12は、シート基材5上に螺旋状のパターン44を形成したもので、試料4−1(8−1)は、各パターン44の幅0.3mm、試料4−2(8−2)は、各パターン44の幅0.5mm、試料4−3(8−3)は、各パターン44の幅1.0mmに設定した。
なお、図12の各パターン44のピッチ(隣接するパターン44の中央部間の距離)は、パターン44の外周部分から内側に向って段階的に小さくなるように設定されており、具体的には、約2mm〜約1mmに設定した。
【0075】
図9〜図12に示すパターンの試料を、それぞれ粘着テープを用いて人体の腕部に貼り付け、その皮膚表面部分の温度変化を測定した。
なお、この測定に先立ち、上述したシート基材5のみを人体の腕部に貼り付け、その皮膚表面部分の温度変化を測定したが、何ら温度変化は見られなかった。
【0076】
また、温度測定は室温(約25℃)で行い、各試料を人体の腕部に装着する前に冷水によって測定部分を冷却した。
さらに、本実施例においては、例えば図4(c)に示すように、シート基材5の荷電粒子発生層4Aを人体の表面10に接触させた場合と、例えば図5(c)に示すように、シート基材5の荷電粒子発生層4Aを人体の表面10に接触させず、シート基材5の基部2の裏面を人体表面10に接触させた場合に分けて測定を行った。
【0077】
一方、温度測定には、非接触式の赤外線放射温度計(商品名 FSV−7000E、アピステ社製)を用い、各パターンの中央部分の皮膚表面温度と、試料の周囲の皮膚表面の温度を10秒毎に測定した。
そして、各パターンの中央部分の皮膚表面温度と、各試料の周囲の皮膚表面の温度差を算出し、その温度差の最大値と、その最大値に到った時間を算出した。その結果を表1及び表2に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
表1及び表2から明らかなように、上述した試料のうち、殆どの試料において、腕部に装着した試料のパターン中央部分の温度上昇が見られた。これにより、試料の装着によって生体電流が大きくなって生体温度効果が得られていることが理解される。
【0081】
そして、シート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合と比較して、シート基材の基部裏面を人体に接触させた場合の方が、腕部に装着した試料のパターン中央部分の温度上昇が大きくなる傾向がある。
この場合、シート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合には、パターンの中央部分の皮膚表面温度と、各試料の周囲の皮膚表面の温度差の最大値に到る時間が、シート基材の基部裏面を人体に接触させた場合と比較して短い傾向が見られる。
【0082】
特に、シート基材上にストライプ状のパターンを形成した試料のうち試料1−1、試料1−2においては、シート基材の荷電粒子発生層を人体腕部に接触させた場合には、皮膚表面の温度上昇が見られなかったのに対し、同じ試料1−1、試料1−2についてシート基材の基部を人体腕部に接触させた場合には、腕部の皮膚表面の温度が2℃程度上昇している。
【0083】
また、シート基材上に同心円状のパターンを形成した場合、さらに、シート基材上に同螺旋形状のパターンを形成した場合においても、シート基材の基部を人体に接触させた場合には、シート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合に比べ、腕部に装着した試料のパターン中央部分の温度上昇が大きくなる傾向が見られる。
【0084】
例えば、シート基材上に同心円形状のパターンを形成した試料に関しては、シート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合には、パターンの中央部分の皮膚表面温度と各試料の周囲の皮膚表面の温度差の最大値が1.48℃であるのに対し(試料3−3)、シート基材の基部裏面を人体に接触させた場合には、同温度差の最大値が1.80℃まで上昇している(試料7−3)。
【0085】
また、シート基材上に螺旋形状のパターンを形成した試料に関しては、シート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合には、パターンの中央部分の皮膚表面温度と各試料の周囲の皮膚表面の温度差の最大値が1.94℃であるのに対し(試料4−2)、シート基材の基部裏面を人体に接触させた場合には、同温度差の最大値が2.17℃まで上昇している(試料8−1)。
【0086】
この理由は、シート基材の基部裏面を人体に接触させた場合には、接触当初において、ナノダイヤ半導体粒子を含有する荷電粒子発生層と人体表面との温度差が大きく、人体表面からの熱がシート基材の基部及びパターン支持層を介して荷電粒子発生層に伝達されるため、荷電粒子発生層の温度上昇の時間がシート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合と比較して長く、しかも大気によって荷電粒子発生層が継続的に冷却されるため、電粒子発生層の頂面を人体の表面に接触させた場合に比べ、熱電効果(ゼーベック効果)に起因する発熱量がより大きくなるからであると考えられる。
【0087】
なお、シート基材上に格子形状のパターンを形成した試料2−1〜2−3並びに試料6−1〜6−3においては、シート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合、シート基材の基部裏面を人体に接触させた場合共にパターンの中央部分の皮膚表面温度と各試料の周囲の皮膚表面の温度差の最大値が2℃を超えており、良好な結果が得られた。
【0088】
一方、シート基材上に形成した荷電粒子発生層のパターンの幅については、際だった傾向は見られない。
しかし、シート基材上にストライプ状のパターンを形成した試料のうち試料1−1(パターン幅0.3mm)、試料1−2(パターン幅0.5mm)において、シート基材の荷電粒子発生層を人体に接触させた場合には人体の表面の温度上昇が見られなかったのに対し、パターン幅が1.0mmである試料1−3では人体の表面の温度上昇が見られたこと、またパターンの経時的変化等を考慮すると、パターンの幅は所定の値より大きくすることが好ましいと考えられる。
【符号の説明】
【0089】
1A…健康医療用貼付シート、2…基部、2e…裏面(装着面)、3…パターン支持層、4A…荷電粒子発生層、5…シート基材、40…パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート基材と、
前記シート基材上に設けられ、高分子樹脂中にナノダイヤ半導体粒子が分散された複合材料からなる荷電粒子発生層とを有し、
前記荷電粒子発生層が、前記シート基材の表面においてパターン状に設けられている健康医療用貼付シート。
【請求項2】
前記荷電粒子発生層が、前記シート基材の一方の表面に設けられ、前記シート基材の他方の表面には、当該シートを貼付対象物に装着するための装着面が設けられている請求項1記載の健康医療用貼付シート。
【請求項3】
前記シート基材は、一方の表面にパターン支持層が設けられ、他方の表面に装着面が設けられている請求項2記載の健康医療用貼付シート。
【請求項4】
前記荷電粒子発生層が、複数のストライプ状のパターンからなる請求項1乃至3のいずれか1項記載の健康医療用貼付シート。
【請求項5】
前記荷電粒子発生層が、格子状のパターンからなる請求項1乃至3のいずれか1項記載の健康医療用貼付シート。
【請求項6】
前記荷電粒子発生層が、複数の同心円状のパターンからなる請求項1乃至3のいずれか1項記載の健康医療用貼付シート。
【請求項7】
前記荷電粒子発生層が、連続した螺旋状のパターンからなる請求項1乃至3のいずれか1項記載の健康医療用貼付シート。
【請求項8】
パターン支持層が一方の面上に設けられたシート基材と、高分子樹脂中にナノダイヤ半導体粒子が配合された複合材料とを用意し、
前記シート基材上に、前記複合材料からなる荷電粒子発生層を設ける工程を有する健康医療用貼付シートの製造方法。
【請求項9】
前記荷電粒子発生層を、スクリーン印刷法によって前記シート基材上に設ける工程を有する請求項8記載の健康医療用貼付シートの製造方法。
【請求項1】
シート基材と、
前記シート基材上に設けられ、高分子樹脂中にナノダイヤ半導体粒子が分散された複合材料からなる荷電粒子発生層とを有し、
前記荷電粒子発生層が、前記シート基材の表面においてパターン状に設けられている健康医療用貼付シート。
【請求項2】
前記荷電粒子発生層が、前記シート基材の一方の表面に設けられ、前記シート基材の他方の表面には、当該シートを貼付対象物に装着するための装着面が設けられている請求項1記載の健康医療用貼付シート。
【請求項3】
前記シート基材は、一方の表面にパターン支持層が設けられ、他方の表面に装着面が設けられている請求項2記載の健康医療用貼付シート。
【請求項4】
前記荷電粒子発生層が、複数のストライプ状のパターンからなる請求項1乃至3のいずれか1項記載の健康医療用貼付シート。
【請求項5】
前記荷電粒子発生層が、格子状のパターンからなる請求項1乃至3のいずれか1項記載の健康医療用貼付シート。
【請求項6】
前記荷電粒子発生層が、複数の同心円状のパターンからなる請求項1乃至3のいずれか1項記載の健康医療用貼付シート。
【請求項7】
前記荷電粒子発生層が、連続した螺旋状のパターンからなる請求項1乃至3のいずれか1項記載の健康医療用貼付シート。
【請求項8】
パターン支持層が一方の面上に設けられたシート基材と、高分子樹脂中にナノダイヤ半導体粒子が配合された複合材料とを用意し、
前記シート基材上に、前記複合材料からなる荷電粒子発生層を設ける工程を有する健康医療用貼付シートの製造方法。
【請求項9】
前記荷電粒子発生層を、スクリーン印刷法によって前記シート基材上に設ける工程を有する請求項8記載の健康医療用貼付シートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−83436(P2011−83436A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238646(P2009−238646)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(502369687)株式会社タイテックスジャパン (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(502369687)株式会社タイテックスジャパン (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]