説明

健康支援情報提供方法,健康支援情報提供装置,健康支援情報提供プログラム

【課題】 利用者の体質にあった健康支援情報を提供する健康支援情報提供方法,健康支援情報提供装置および健康支援情報提供プログラムを提供する。
【解決手段】 利用者の体質に応じて健康を支援するための健康支援情報を提供する健康支援情報提供コンピュータ1であって、健康に関連する複数の遺伝子多型情報の組み合わせに関連付けて健康支援情報を記憶するハードディスク11と、利用者の健康に関連する2以上の遺伝子多型情報を受信する受信インターフェース3と、受信した2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに基づいて、ハードディスク11に記憶された健康支援情報から利用者に適合する健康支援情報を決定するCPU13と、決定された健康支援情報を出力する送信インターフェース5と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康支援情報提供方法,健康支援情報提供装置,健康支援情報提供プログラムに係り、特に、利用者の遺伝子多型情報に基づいてダイエットなどの健康支援情報を提供する健康支援情報提供方法,健康支援情報提供装置,健康支援情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年は飽食の時代といわれ、多様な食料が過剰に供給されている。また、ファーストフードなどに代表されるような栄養が偏った食事を摂る機会も多くなっている。このような環境の下で、現代人の間には、過剰な栄養の摂取や栄養素の偏向、運動不足などが原因による「肥満」や「糖尿病」といった、いわゆる現代病が増加している。
【0003】
肥満は、皮下や内臓に脂肪が過剰に蓄積された状態であり、高血圧などの生活習慣病の危険因子であると言われている。また、脂肪の蓄積により体型や外見が悪くなるため、特に女性にとっては美容上好ましくない状態である。
糖尿病は、持続性の高血糖および尿中への糖分排出といった症状を有する疾患である。糖尿病患者は健常者と比較して死亡率が2倍以上といわれており、糖尿病は現代社会に広く蔓延している生活習慣病のひとつである。
このような肥満や糖尿病を予防もしくは改善するため、食事制限やダイエットなどにより生活改善を図ることが行われている。
【0004】
一方で、近年の遺伝学的・生理学的研究の発達により、肥満や糖尿病の原因として、栄養の過剰な摂取といった後天的な要因のみならず、個人の遺伝子の遺伝子多型という先天的な要因も影響していることがわかってきた。ここで遺伝子多型とは、遺伝子を構成しているDNA塩基配列の個体差のことを示す。このDNA塩基配列の差により、個体間で体質や体型などに差が生じる。
例えば肥満については、その原因の30〜70%が遺伝的要因によるものと言われている。そして、近年は大掛かりなゲノムプロジェクトなどにより、肥満や糖尿病などの原因となる遺伝子が多く発見され、その詳細な研究がなされている。
【0005】
したがって、利用者の遺伝子多型を解析して、この遺伝子多型情報に基づいてダイエットなどの生活改善プログラムを提案することで、利用者個人の体質にあったオーダーメイド型の健康支援情報を提供することが可能となる。これにより、ただやみくもにダイエットなどを行う場合と比較して、より効率的に体質を改善することが可能となる。
【0006】
上記のような遺伝子多型情報に基づいて生活習慣を改善するというコンセプトに基づいて、特許文献1に記載されるような生活指導装置が開発されている。この生活指導装置は生体情報取得部と生活情報取得部を備えており、利用者の肥満遺伝子の多型に関する情報を生体情報取得部へ入力すると、この遺伝子多型情報に基づいて必要なサプリメントなどの生活指導情報が出力される。
【0007】
具体的には、肥満遺伝子であるβ3アドレナリン受容体遺伝子(以下、β3AR遺伝子)の遺伝子多型に関する情報をDNA検査などにより調べて、利用者が日常行っている運動などの生活情報とともに生活指導装置に入力すると、この遺伝子情報と生活情報データから、その利用者に適したサプリメントや摂取カロリーなどの生活指導データが出力される。
【0008】
【特許文献1】特開2004−110406号公報(第7頁,第9頁,図7,図9など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この生活指導装置では、入力される遺伝子情報がβ3AR遺伝子の1種類のみであり、他の遺伝子による体質への影響が考慮されていない。例えば、上記の肥満の例では、肥満の体質はβ3AR遺伝子の多型のみで決定されるのではなく、他の肥満遺伝子や肥満遺伝子以外の遺伝子の多型といった複数の遺伝子が複雑に影響しあった結果として決定される。
【0010】
例えば、β3AR遺伝子の変異である「Trp64Arg」を有するタイプの人は、このような変異を持たないワイルド型の人よりも、1日あたりの基礎代謝量が200kcal程度低く、痩せにくい体質をしている。従って、この遺伝子型を有する人には、正常型(ワイルド型)の人よりも1日あたり200kcal過剰に熱量を消費するよう運動プログラムを組んだり、200kcal程度摂取する栄養を抑えたりするといった内容の健康支援情報を提供する。
【0011】
しかしながら、肥満遺伝子にはβ3AR遺伝子のほかにも、例えばβ2アドレナリン受容体遺伝子(以下、β2AR遺伝子)などがある。このβ2AR遺伝子の変異である「Arg16Gly」を有するタイプの人は、ワイルド型やヘテロ型(対立遺伝子の一方に変異を有する)の人よりも、1日あたりの基礎代謝量が200kcal程度高く、上述のβ3AR遺伝子の場合とは逆に痩せやすい体質をしている。この場合、ワイルド型の人よりも1日あたり200kcal程度余分に栄養を摂取する内容の健康支援情報を提供する必要がある。
【0012】
従って、上記β3AR遺伝子およびβ2AR遺伝子の両方に変異を有するタイプの人は、基礎代謝量がワイルド型の人とほぼ同等となり、消費熱量については比較的バランスが取れている。しかしながら、β2AR遺伝子などの他の肥満遺伝子の遺伝子型を考慮せず、単にβ3AR遺伝子の遺伝子型のみの情報に基づいて健康支援情報を提案する場合には、摂取する栄養を200kcal程度抑えるような内容の健康支援情報が提案される。そして、この情報に基づいてダイエットや食事制限をした場合には、1日に必要な栄養が不足するため、体力が低下したり病気になりやすくなるといった誤った結果となる虞がある。
【0013】
このように、1種類の遺伝子多型のみを用いて個人の体質を正確に評価するには情報が不十分であり、適切な健康支援情報を提供することが困難であるだけではなく、逆に誤った健康支援情報を提供する虞があるという不都合があった。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、利用者の複数の遺伝子多型情報に基づいてその利用者の体質にあった健康支援情報を提供する健康支援情報提供方法,健康支援情報提供装置,健康支援情報提供プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、上記課題は、請求項1の健康支援情報提供方法によれば、利用者の体質に応じて健康を支援するための健康支援情報を提供する健康支援情報提供方法であって、健康に関連する複数の遺伝子多型情報の組み合わせに関連付けて健康支援情報を取得する健康支援情報取得工程と、利用者の健康に関連する2以上の遺伝子多型情報を取得する遺伝子多型情報取得工程と、を順不同で行い、前記健康支援情報取得工程で取得された健康支援情報のうち、前記遺伝子多型情報取得工程で取得した2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに該当する健康支援情報を特定する健康支援情報特定工程と、該健康支援情報特定工程で特定した健康支援情報を確認させる健康支援情報確認工程と、を備えたことにより解決される。
【0016】
このように、請求項1の健康支援情報提供方法は、複数の遺伝子多型情報の組み合わせに関連付けて健康支援情報を取得し、利用者の健康に関する2以上の遺伝子多型情報を取得し、この取得した健康支援情報のうち、同じく取得した利用者の2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに該当する健康支援情報を特定して、この健康支援情報を確認させるようにしている。すなわち、利用者の2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに基づいてその利用者に適合する健康支援情報を提供している。従って、1つの遺伝子多型情報のみに基づいて健康支援情報を提供する場合と比較して、より適切で利用者の体質に合った健康支援情報を提供することが可能となる。
【0017】
この場合、請求項2の健康支援情報提供方法のように、前記遺伝子多型情報は、肥満遺伝子の遺伝子多型情報であることが好ましい。
【0018】
特に、請求項3の健康支援情報提供方法のように、前記肥満遺伝子は、β3AR遺伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子から選択される肥満遺伝子であると好適である。
【0019】
このように、請求項2および請求項3の健康支援情報提供方法によれば、利用者の肥満遺伝子の遺伝子多型情報に基づいて健康支援情報を提供することが可能となる。従って、利用者に対して肥満に対する適切な健康支援情報を提供することが可能となる。
【0020】
また、請求項4の健康支援情報提供方法のように、請求項1の要件に加えて、前記健康支援情報提供方法は、利用者の人種に関する人種情報を取得する人種情報取得工程を更に含み、前記健康支援情報特定工程は、前記健康支援情報取得工程で取得した健康支援情報のうち、前記遺伝子多型情報取得工程で取得した2以上の遺伝子の遺伝子多型情報の組み合わせ及び前記人種情報取得工程で取得した人種情報に基づいて健康支援情報を特定することが好ましい。
【0021】
このように、請求項4の健康支援情報提供方法によれば、利用者の遺伝子多型情報のみならず、利用者の人種情報を取得して、取得した遺伝子多型情報の組み合わせと人種情報に基づいて健康支援情報を特定している。従って、1つの遺伝子多型情報のみに基づいて健康支援情報を提供する場合と比較して、より適切で利用者の体質に合った健康支援情報を提供することが可能となるとともに、更に人種情報も加味して健康支援情報を提供することで、利用者により適合した健康支援情報を提供することが可能となる。
【0022】
この場合、請求項5の健康支援情報提供方法のように、前記人種情報は、黄色人種,白色人種,黒色人種のいずれか少なくとも1つを含み、前記遺伝子多型情報は、前記人種情報が黄色人種である場合には、β3AR遺伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子から選択され、前記人種情報が白色人種である場合には、PPARγ遺伝子,β2AR遺伝子,GNB3遺伝子,LEPR遺伝子から選択され、前記人種情報が黒色人種である場合には、β3AR遺伝子,PPARγ遺伝子,UCP3遺伝子,LIPE遺伝子から選択される肥満遺伝子の遺伝子多型情報であると好適である。
【0023】
このように、請求項5の健康支援情報提供方法によれば、利用者の人種情報と肥満遺伝子の遺伝子多型情報に基づいて健康支援情報を提供することができる。従って、利用者に対して肥満に対する適切な健康支援情報を提供することが可能となる。
【0024】
また、請求項6の健康支援情報提供方法のように、請求項1の要件に加えて、前記健康支援情報は、食事に関する情報,運動に関する情報,および栄養補助食品に関する情報のいずれか少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0025】
このように、請求項6の健康支援情報提供方法によれば、食事に関する情報,運動に関する情報,栄養補助食品に関する情報のうちいずれか少なくとも1つに関する適切な情報を提供することが可能となる。
【0026】
また、上記課題は、請求項7の健康支援情報提供装置によれば、利用者の体質に応じて健康を支援するための健康支援情報を提供する健康支援情報提供装置であって、健康に関連する複数の遺伝子多型情報の組み合わせに関連付けて健康支援情報を記憶する健康支援情報記憶手段と、利用者の健康に関連する2以上の遺伝子多型情報を受信する遺伝子多型情報受信手段と、前記健康支援情報記憶手段に記憶された健康支援情報のうち、前記遺伝子多型情報受信手段で受信した2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに該当する健康支援情報を決定する健康支援情報決定手段と、該健康支援情報決定手段で決定された健康支援情報を出力する健康支援情報出力手段と、を備えたことにより解決される。
【0027】
このように、請求項7の健康支援情報提供装置は、複数の遺伝子多型情報の組み合わせに関連付けて予め記憶された健康支援情報を読み出し、利用者の健康に関する2以上の遺伝子多型情報を取得し、読み出された健康支援情報のうち、利用者の2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに該当する健康支援情報を決定して、この健康支援情報を出力している。すなわち、利用者の2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに基づいてその利用者に適合する健康支援情報を提供している。従って、1つの遺伝子多型情報のみに基づいて健康支援情報を提供する場合と比較して、より適切で利用者の体質に合った健康支援情報を提供することが可能となる。
【0028】
この場合、請求項8の健康支援情報提供装置のように、前記遺伝子多型情報は、肥満遺伝子の遺伝子多型情報であることが好ましい。
【0029】
特に、請求項9の健康支援情報提供装置のように、前記肥満遺伝子は、β3AR遺伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子から選択される肥満遺伝子であると好適である。
【0030】
このように、請求項8および請求項9の健康支援情報提供装置によれば、利用者の肥満遺伝子の遺伝子多型情報に基づいて健康支援情報を提供することが可能となる。従って、利用者に対して肥満に対する適切な健康支援情報を提供することが可能となる。
【0031】
また、請求項10の健康支援情報提供装置のように、請求項7の要件に加えて、前記健康支援情報提供装置は、利用者の人種に関する人種情報を受信する人種情報受信手段を更に備え、前記健康支援情報決定手段は、前記遺伝子多型情報受信手段で受信した健康支援情報のうち、前記遺伝子多型情報受信手段で受信した2以上の遺伝子の遺伝子多型情報の組み合わせ及び前記人種情報受信手段で受信した人種情報に基づいて健康支援情報を決定することが好ましい。
【0032】
このように、請求項10の健康支援情報提供装置によれば、利用者の遺伝子多型情報のみならず、利用者の人種情報を取得して、取得した遺伝子多型情報の組み合わせと人種情報に基づいて健康支援情報を出力している。従って、1つの遺伝子多型情報のみに基づいて健康支援情報を提供する場合と比較して、より適切で利用者の体質に合った健康支援情報を提供することが可能となるとともに、更に人種情報も加味して健康支援情報を提供することで、利用者により適合した健康支援情報を提供することが可能となる。
【0033】
この場合、請求項11の健康支援情報提供装置のように、前記人種情報は、黄色人種,白色人種,黒色人種のいずれか少なくとも1つを含み、前記遺伝子多型情報は、前記人種情報が黄色人種である場合には、β3AR遺伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子から選択され、前記人種情報が白色人種である場合には、PPARγ遺伝子,β2AR遺伝子,GNB3遺伝子,LEPR遺伝子から選択され、前記人種情報が黒色人種である場合には、β3AR遺伝子,PPARγ遺伝子,UCP3遺伝子,LIPE遺伝子から選択される肥満遺伝子の遺伝子多型情報であると好適である。
【0034】
このように、請求項11の健康支援情報提供装置によれば、利用者の人種情報と肥満遺伝子の遺伝子多型情報に基づいて健康支援情報を提供することが可能となる。従って、利用者に対して肥満に対する適切な健康支援情報を提供することが可能となる。
【0035】
また、請求項12の健康支援情報提供装置のように、前記健康支援情報は、食事に関する情報,運動に関する情報,および栄養補助食品に関する情報のいずれか少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0036】
このように、請求項12の健康支援情報提供装置によれば、食事に関する情報,運動に関する情報,栄養補助食品に関する情報のうちいずれか少なくとも1つに関する適切な情報を提供することが可能となる。
【0037】
また、上記課題は、請求項13の健康支援情報提供プログラムによれば、利用者の体質に応じて健康を支援するための健康支援情報をコンピュータに提供させる健康支援情報提供プログラムであって、前記コンピュータに、健康に関連する複数の遺伝子多型情報の組み合わせに関連付けて記憶された健康支援情報を読み出す健康支援情報読出ステップと、利用者の健康に関連する2以上の遺伝子多型情報を受信する遺伝子多型情報受信ステップと、を順不同で実行し、前記健康支援情報読出ステップで読み出された健康支援情報のうち、前記遺伝子多型情報受信ステップで受信した2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに該当する健康支援情報を決定する健康支援情報決定ステップと、該健康支援情報決定ステップで決定された健康支援情報を出力する健康支援情報出力ステップと、を実行させることにより解決される。
【0038】
このように、請求項13の健康支援情報提供プログラムは、複数の遺伝子多型情報の組み合わせに関連付けて予め記憶された健康支援情報を読み出し、利用者の健康に関する2以上の遺伝子多型情報を取得し、読み出された健康支援情報のうち、利用者の2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに該当する健康支援情報を決定して、この健康支援情報を出力している。すなわち、利用者の2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに基づいてその利用者に適合する健康支援情報を提供している。従って、1つの遺伝子多型情報のみに基づいて健康支援情報を提供する場合と比較して、より適切で利用者の体質に合った健康支援情報を提供することが可能となる。
【0039】
また、請求項14の健康支援情報提供プログラムのように、前記遺伝子多型情報は、肥満遺伝子の遺伝子多型情報であることが好ましい。
【0040】
この場合、請求項15の健康支援情報提供プログラムのように、前記肥満遺伝子は、β3AR遺伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子から選択される肥満遺伝子であると好適である。
【0041】
このように、請求項14および請求項15の健康支援情報提供プログラムによれば、利用者の肥満遺伝子の遺伝子多型情報に基づいて健康支援情報を提供することが可能となる。従って、利用者に対して肥満に対する適切な健康支援情報を提供することが可能となる。
【0042】
また、請求項16の健康支援情報提供プログラムのように、前記健康支援情報提供プログラムは、前記利用者の人種に関する人種情報を受信する人種情報受信ステップを更に含み、前記健康支援情報決定ステップは、前記遺伝子多型情報受信ステップで受信した健康支援情報のうち、前記遺伝子多型情報受信ステップで受信した2以上の遺伝子の遺伝子多型情報の組み合わせ及び前記人種情報受信ステップで受信した人種情報に基づいて健康支援情報を決定すると好ましい。
【0043】
このように、請求項16の健康支援情報提供プログラムによれば、利用者の遺伝子多型情報のみならず、利用者の人種情報を取得して、取得した遺伝子多型情報の組み合わせと人種情報に基づいて健康支援情報を出力している。従って、1つの遺伝子多型情報のみに基づいて健康支援情報を提供する場合と比較して、より適切で利用者の体質に合った健康支援情報を提供することが可能となるとともに、更に人種情報も加味して健康支援情報を提供することで、利用者により適合した健康支援情報を提供することが可能となる。
【0044】
この場合、請求項17の健康支援情報提供プログラムのように、前記人種情報は、黄色人種,白色人種,黒色人種のいずれか少なくとも1つを含み、前記遺伝子多型情報は、前記人種情報が黄色人種である場合には、β3AR伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子から選択され、前記人種情報が白色人種である場合には、PPARγ遺伝子,β2AR遺伝子,GNB3遺伝子,LEPR遺伝子から選択され、前記人種情報が黒色人種である場合には、β3AR遺伝子,PPARγ遺伝子,UCP3遺伝子,LIPE遺伝子から選択される肥満遺伝子の遺伝子多型情報であると好適である。
【0045】
このように、請求項17の健康支援情報提供プログラムによれば、利用者の人種情報と肥満遺伝子の遺伝子多型情報に基づいて健康支援情報を提供することができる。従って、利用者に対して肥満に対する適切な健康支援情報を提供することが可能となる。
【0046】
また、請求項18の健康支援情報提供プログラムのように、前記健康支援情報は、食事に関する情報,運動に関する情報,および栄養補助食品に関する情報のいずれか少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0047】
このように、請求項18の健康支援情報提供プログラムによれば、食事に関する情報,運動に関する情報,栄養補助食品に関する情報のうちいずれか少なくとも1つに関する適切な情報を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0048】
このように、本発明の健康支援情報提供方法によれば、利用者の2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに基づいて健康支援情報を提供することができる。従って、1つの遺伝子多型情報のみに基づいて健康支援情報を提供する場合と比較して、より適切で利用者の体質に合った健康支援情報を提供することが可能となる。
また、本発明の健康支援情報提供装置によれば、利用者の2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに基づいて健康支援情報を提供することができる。より適切で利用者の体質に合った健康支援情報を提供することが可能となる。
更に、本発明の健康支援情報提供プログラムによれば、利用者の2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに基づいて健康支援情報を提供するようコンピュータに実行させることができる。従って、1つの遺伝子多型情報のみに基づいて健康支援情報を提供する場合と比較して、より適切で利用者の体質に合った健康支援情報を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0050】
図1及び図2は本発明の第一の実施形態に係る健康支援情報提供装置の説明図であり、図1は第一の実施形態に係る健康支援情報提供装置の機能ブロック図、図2は第一の実施形態に係る健康支援情報提供装置における複数の遺伝子多型情報と健康支援情報の関係を模式的に示した説明図である。
【0051】
図1に示すように、本発明の健康支援情報提供装置としての健康支援情報提供コンピュータ1は公知のコンピュータと同様の構成を備えている。すなわち健康支援情報提供コンピュータ1は、遺伝子多型情報受信手段としての受信インターフェース3と、健康支援情報出力手段としての送信インターフェース5と、健康支援情報記憶手段としてのRAM7,ROM9,およびハードディスク11と、健康支援情報決定手段としてのCPU13を主要な構成要素として備えている。
この図に示すように、受信インターフェース3,送信インターフェース5,RAM7,ROM9,ハードディスク11は、いずれもバス15を介してCPU13と電気的に接続されている。
【0052】
CPU13は、RISC型,CISC型などの公知のマイクロプロセッサであり、ROM9やハードディスク11に格納されているプログラムをRAM7に一時的にロードして実行する機能を備えている。CPU13は、後述するハードディスク11などに保存された複数の遺伝子多型情報および健康支援情報を含む健康支援情報データと、健康支援情報決定プログラムから、1つの健康支援情報を決定する演算処理を行う。
【0053】
RAM7は、SRAMやDRAMなどの公知のRAMにより構成されており、ROM9やハードディスク11から読み出されたプログラムやデータを一時的に記憶する一時記憶手段として機能する。
ROM9は、マスクROM,PROM,EPROMなどの公知のROMから構成されており、CPU13で実行されるプログラムやデータが格納されている。
【0054】
ハードディスク11は、磁気ディスクに記録された情報をヘッドで読み出す公知の記憶装置であり、ROM9と同様にプログラムやデータが格納されている。また、ハードディスク11には、健康支援情報提供コンピュータ1をコンピュータとして機能させるためのオペレーティングシステムや他のアプリケーションプログラムなども記憶されている。
【0055】
本実施形態において、ハードディスク11には、複数の遺伝子多型情報およびこれら複数の遺伝子多型情報の組み合わせに関連付けて記憶された健康支援情報を含む健康支援情報データと、この健康支援情報データに基づいて、複数の遺伝子情報の組み合わせから1つの健康支援情報を決定する健康支援情報決定プログラムが記憶されている。この健康支援情報決定プログラムは、本発明の健康支援情報提供プログラムに相当する。
後に詳細に説明するように、まずCPU13がハードディスク11から健康支援情報データおよび健康支援情報決定プログラムをRAM7にロードする。そして、この健康支援情報決定プログラムに基づいて、CPU13は健康支援情報決定プログラムを実行し、入力装置17から入力される複数の遺伝子多型情報の組み合わせから、この組み合わせに該当する健康支援情報を健康支援情報データから決定する。
【0056】
ここで遺伝子多型情報とは、遺伝子を構成するDNA塩基配列の個体間での差をいう。遺伝子多型は2種類に大別され、一つはDNA塩基配列の1つの塩基が別の塩基に置き換わった一塩基多型、もう一つは複数の配列の単位が複数回繰り返すマイクロサテライト多型である。本発明の遺伝子多型情報は、上記2種類の遺伝子多型や、その他の種類の遺伝子多型を含むものである。
【0057】
受信インターフェース3は、健康支援情報提供コンピュータ1の外部にある入力装置17と電気的に接続されている。入力装置17は、キーボードやマウスといった公知の外部入力装置で構成される。入力装置17からは、利用者の氏名や住所といった個人情報や、身長や体重といった身体情報とともに、後述するDNA検査で取得される利用者の肥満遺伝子の遺伝子多型に関する情報が入力される。
なお、身体情報は必須情報ではないが、遺伝子多型情報と共に入力することで、利用者の体格などの情報を取得することが可能となるため、利用者に身体情報を加味した健康支援情報を決定することが可能となる。従って、単に遺伝子多型情報のみに基づいて健康支援情報を提供する場合と比較して、遺伝子多型情報と身体情報の両方の情報に基づいてより最適な健康支援情報を利用者に提供することが可能となる。
【0058】
送信インターフェース5は、健康支援情報提供コンピュータ1の外部にある出力装置19と電気的に接続されている。出力装置19は、CRTやLCDなどの公知の画像表示装置やプリンタなどの印字装置などで構成される。出力装置19は、送信インターフェース5から健康支援情報を受信して画面に表示したり、印刷したりすることができる。また、出力装置19としてスピーカを用いた場合には、健康支援情報を音声で出力することも可能である。
【0059】
次に、ハードディスク11に記憶されている複数の遺伝子多型情報および健康支援情報を含むデータと、健康支援情報決定プログラムについて説明する。図1に示すハードディスク11には、β3AR遺伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子の遺伝子型に関する情報が格納されている。
【0060】
β3AR(β3−adrenergic receptor)はヒト第8番染色体の8p12〜8p11.2に存在し、Gタンパク質共役受容体タンパク質であるβ3アドレナリン受容体をコードする遺伝子である。このβ3ARには、N末端から64番目のトリプトファンがアルギニンに置き換わった変異(以下、Trp64Arg)が存在しており、肥満などとの関連が指摘されている。従って、β3AR遺伝子の遺伝子多型情報として、ワイルド型,ヘテロ型,ホモ型の3種類の遺伝子型が存在する。
ここで、ワイルド型とはいずれの対立遺伝子にも遺伝子の変異が無いタイプ、ヘテロ型とは一方の対立遺伝子に変異があるタイプ、ホモ型とは対立遺伝子の両方に変異があるタイプである。このTrp64Argを有するヘテロ型およびホモ型の人は、安静時の代謝量がワイルド型に比べて両型ともに一日あたりの基礎代謝量が200kcal程度低い。従って、これらの遺伝子型の人は、ワイルド型の人に比べて痩せにくい体質をしている。また、この遺伝子に変異を有する人は、下半身や臀部に脂肪が付きやすく、内臓脂肪よりも皮下脂肪が蓄積されやすい体質をしていると言われている。
【0061】
また、UCP1(Uncoupling protein1)は、ヒト第4番染色体の4q28〜4q31に存在し、ミトコンドリアにおけるプロトン移送に関連する遺伝子である。このUCP1には、5'末端から3826番目のアデニンがグアニンに変異した点変異(以下、A3826G)が存在している。従って、UCP1遺伝子の遺伝子多型情報として、ワイルド型,ヘテロ型,ホモ型の3種類の遺伝子型が存在する。このA3826Gを有するホモ型の人は、安静時の代謝量がワイルド型やヘテロ型に比べて100kcal程度低い。従って、この遺伝子型の人は、ワイルド型やヘテロ型の人に比べて痩せにくい体質をしている。また、この遺伝子に変異を有する人は、下半身や臀部に脂肪が付きやすく、内臓脂肪よりも皮下脂肪が蓄積されやすい体質をしていると言われている。
【0062】
β2AR遺伝子(β2−adrenergic receptor)は、ヒト第5番染色体の5q31〜5q32に存在し、Gタンパク質共役受容体タンパク質であるβ2アドレナリン受容体をコードする遺伝子である。このβ2AR遺伝子には、N末端から16番目のアルギニンがグリシンに置き換わった変異(以下、Arg16Gly)が存在している。従って、β2AR遺伝子の遺伝子多型情報として、ワイルド型,ヘテロ型,ホモ型の3種類の遺伝子型が存在する。このArg16Glyを有するホモ型の人は、安静時の代謝量がワイルド型やヘテロ型に比べて200kcal程度高い。従って、この遺伝子型の人は、ワイルド型やヘテロ型の人に比べて全体的に痩せた体型をしている。また、この遺伝子に変異を有する人は、脂肪および筋肉が付きにくい体質をしていると言われている。
【0063】
この遺伝子型と1日あたりの基礎代謝量との関係を示した表を以下に示す。表の中の数値が、ワイルド型を基準とした1日あたりの基礎代謝量を示しており、単位は「kcal」である。たとえば、β3AR遺伝子のホモ型は、一日あたりの基礎代謝量がワイルド型と比べて−200kcal程度少ないことを示している。
【表1】

【0064】
ここで、ハードディスク11に記憶された遺伝子多型情報と健康支援情報との関係を、図を示して説明する。図2は複数の遺伝子多型情報と健康支援情報の関係を模式的に示した説明図である。ハードディスク11には、β3AR遺伝子について3種類、UCP1遺伝子について3種類、およびβ2AR遺伝子について3種類の遺伝子多型情報が記憶されており、夫々の組み合わせに対応して1つの健康支援情報が記憶されている。すなわち、図2(a)に示すように、上記3種類の遺伝子についてそれぞれ3タイプの遺伝子型があるため、その組み合わせは3×3×3=27通りである。そして、それぞれの組み合わせについて、1つの健康支援情報が記憶されている。すなわち、図中の黒丸で示す格子点のそれぞれに対して1つの健康支援情報が格納されている。このように、遺伝子型と健康支援情報は3次元マトリックス状の相関関係を有しているため、肥満遺伝子の遺伝子型を変数として、この変数の組み合わせから健康支援情報が一義的に決定される。
【0065】
健康支援情報には、食事に関する情報,運動に関する情報,および栄養補助食品に関する情報のいずれか少なくとも1つが記憶されている。食事に関する情報とは、例えば食材の選択や食事バランス、食べる順番などの情報を含んでいる。
例えば、β3ARがワイルド型,UPC1がワイルド型,β2AR遺伝子がヘテロ型の場合は、「高タンパク質ダイエットが最も効果的です。β2AR遺伝子がヘテロ型ですので、代謝における異常は見られません。高タンパク質の食事療法を取ることが最も効率的です。」という食材情報が記憶されている。
【0066】
また、食事のバランスに関する情報として、「タンパク質30%、脂肪30%、炭水化物40%ルール。β2AR遺伝子の肥満遺伝子に最も効果がよいダイエット方法は、タンパク質と脂肪の摂取量と種類に十分注意を払うことです。魚や豆腐、豆類、乳製品など脂肪が低いながらも良質のタンパク質を中心に選んでください。更に、脂肪燃焼効率を高めるには総カロリーに占めるタンパク質・脂肪・炭水化物(PFCバランス)の摂取量を30%・30%・40%に調整しましょう。いわゆる高タンパク質ダイエットです。このバランスは、拳の大きさより若干大きめのタンパク質を毎食食べることで調整できます。」という食事のバランスに関する情報が記憶されている。
【0067】
食べる順番に関する情報として、「まず、タンパク質から最初に食べましょう。β2ARを基準とした食べ物の摂取順は下記の通りです。まず、主食(タンパク質)を最初に食べることをお勧めします。タンパク質を最初に摂取することで、筋肉となるべきタンパク質の吸収力を高めることが実現されます。次に、糖質が少ない炭水化物(野菜などの繊維物)を摂るのが理想です。野菜を最初に食べてしまうと、野菜に含まれる繊維質がタンパク質と脂肪の吸収を抑えることになります。パスタや麺類など、タンパク質が少ない食事はなるべく避けましょう。」という食べる順番に関する情報が記憶されている。
【0068】
また、運動に関する情報として、「ウェイトトレーニングを中心に。β2ARの保有者は全体的に筋肉量が少なく、摂取カロリーが増えると皮下脂肪を中心に太る体質です。皮下脂肪を燃やし、筋肉に変えるにはウェイトトレーニング(付加を加えた運動)を行うのが最も効果的です。適度なウェイトトレーニング(本を数キロ持ち上げる、腹筋、腕立て伏せなど)を毎日欠かさず行うことをお勧めします。」という、運動に関する情報が記憶されている。
【0069】
また、カロリーの摂取に関する情報として、「現在の摂取カロリーからは体重の変化があまり期待されません。運動量の少ない場合、摂取カロリーを852cal(基礎代謝)×1.3(通勤や家事程度の生活強度)=1107cal前後に維持していれば、体重の変化は今後見られないでしょう。」といったカロリーの摂取に関する情報が記憶されている。
【0070】
サプリメントに関する情報として、「食事からは鉄分と亜鉛が不足しております。脂肪燃焼効率を高めるには、まず栄養が十分に摂取されていることが条件となります。現在の食事傾向は全体的にバランスがよいものの、鉄分と亜鉛が不足しております。今後は、これら不足している栄養素を食事もしくはサプリメントなどで摂取することが理想です。」というサプリメントに関する情報が記憶されている。
【0071】
健康支援情報は、上述したように3種類の肥満遺伝子についてそれぞれ3タイプの遺伝子型から決定されるため、27パターンの健康支援情報が健康支援情報データとしてハードディスク11に記憶されている。しかしながら、27パターンの健康支援情報をすべて記憶する必要は無く、例えばある遺伝子型の組み合わせと他の遺伝子型の組み合わせの健康支援情報が同一である場合には、一方のみを記憶する構成とすることも可能である。また、健康支援情報のうち一部(例えば、運動に関する情報)のみが重複する場合であっても、一方のみを記憶する構成とすることが可能である。このような構成とすることで、ハードディスク11やRAM7,ROM9に必要な記憶容量を減少することができる。
【0072】
また、健康支援情報は上述した27パターンに限定されない。例えば、3種類の肥満遺伝子の遺伝子多型情報のうちいずれか少なくとも1つに関する遺伝子型の情報が取得できなかった場合に対応するため、測定できなかった場合の健康支援情報を格納することも可能である。この場合、図2(b)に示すように、ワイルド型,ヘテロ型,ホモ型に加えて、遺伝子型が判別できなかったことを示す「N.D」というタイプを記憶する。すなわち、各肥満遺伝子について夫々4タイプの遺伝子多型情報がハードディスク11に記憶されている。そして、その組み合わせに対応して、4×4×4=64通りの健康支援情報が記憶される。このように、遺伝子型が判別できなかった場合に対応した健康支援情報を記憶することで、一部の肥満遺伝子について遺伝子型が判別しなかった利用者に対しても健康支援情報を提供することが可能となる。
【0073】
また、ハードディスク11には、上述した肥満遺伝子の遺伝子型の組み合わせと健康支援情報データから、利用者に適合する健康支援情報を決定するための健康支援情報決定プログラムが記憶されている。健康支援情報決定プログラムは、受信インターフェース3で受信した利用者の肥満遺伝子の遺伝子多型情報に基づいて、ハードディスク11に記憶されたデータから1つの健康支援情報を決定するプログラムである。この健康支援情報決定プログラムは、ハードディスク11からRAM7に一時的に読み込まれ、CPU13に健康支援情報を決定する演算処理を実行させる。また、ハードディスク11に記憶されている肥満遺伝子の遺伝子型の組み合わせと健康支援情報を格納したデータも、RAM7に一時的に読み出される。
【0074】
すなわち、CPU13は、RAM7に読み出された健康支援情報決定プログラムを実行して、受信インターフェース3で受信した利用者の肥満遺伝子の遺伝子多型情報の組み合わせから健康支援情報データを参照して、利用者の遺伝子多型情報の組み合わせから1の健康支援情報を決定する。そして、送信インターフェース5を介して出力装置19で健康支援情報を表示するなどして利用者に健康支援情報を提供する。
【0075】
更に、上述した健康支援情報は、身長,体重,体脂肪,年齢といった身体情報や、食事履歴,運動時間といった生活情報と関連して決定されることが好ましい。
例えば、上述した食事バランスに関する情報の「タンパク質30%、脂肪30%、炭水化物40%」という割合を、体脂肪率20〜24%の場合は「タンパク質31%、脂肪28%、炭水化物41%」、体脂肪率25〜30%の場合には「タンパク質32%、脂肪25%、炭水化物43%」のようにハードディスク11に記憶する。そして、利用者の遺伝子多型の組み合わせおよび体脂肪率に応じて、食事バランスに関する情報を決定して表示する。
このような構成とすることで、身体情報や生活情報を加味した詳細な健康支援情報を提供することが可能となる。
【0076】
また、上述のような健康支援情報に、利用者の身体情報や食事バランスに基づいた所定の関数をハードディスク11に記憶しておき、利用者の身体情報から理想の食事バランスを求めるようにしてもよい。
例えば上述した食事バランスに関する情報の「タンパク質30%、脂肪30%、炭水化物40%」に対して体脂肪率の影響を考慮した健康支援情報を提供する場合は、体脂肪率をX軸、食事バランスの割合をY軸とした場合の所定の関数Y=aX+bを記憶しておき、入力された利用者の身体情報からその利用者に最適な食事バランスを求めて、その結果を健康支援情報として提供することも可能である。
【0077】
このように、身体情報や生活情報といった遺伝子多型情報以外の要因を加味した健康支援情報とすることで、利用者の体質により合致した健康支援情報を提供することが可能である。また、健康支援情報を所定の関数として記憶するため、身体情報を複数の区分に区分けしてその区分ごとに健康支援情報を記憶する必要が無く、ハードディスク11などの記憶装置に記憶するデータ量が少なくてすみ、必要な記憶容量を減少させることが可能となる。
【0078】
以上のような構成とすることで、単に遺伝子多型情報のみに基づいて健康支援情報を提供するのではなく、その利用者の身体情報なども考慮した健康支援情報を提供することが可能となるため、利用者により適合した健康支援情報を提供することができる。
【0079】
次に、本実施形態の健康支援情報提供コンピュータ1を用いて利用者に健康支援情報を提供する健康支援情報提供方法について、図3を参照しながら説明する。図3は本発明の第一の実施形態に係る健康支援情報提供方法の流れを示したフローチャートである。
【0080】
まず、ステップ1(S1)で、利用者の生体細胞に一部を取得する生体細胞取得工程を行う。この工程では、利用者の頬の内側を綿棒などで擦り、頬の内側の粘膜細胞を取得する。なお、この工程は、利用者が健康支援情報提供コンピュータ1を設置してある店舗や病院などの検査機関に直接出向いて、そこで行うこともできる。
【0081】
また、上記綿棒を含む生体細胞取得キットを検査機関から利用者の自宅に送付して、利用者が自宅で生体細胞を取得したのち、上記綿棒を所定の保存容器に収納して検査機関に郵送などにより返送するようにしてもよい。この場合、自宅で細胞を取得することが可能となるため、わざわざ検査機関に出向く必要がなく、利用者にとっての利便性が向上する。
【0082】
なお、取得する細胞は上記のような粘膜細胞に限定されず、血液中に含まれる白血球などの血液細胞や毛根にある毛母細胞など、遺伝子情報を含む核を細胞内に備えた有核細胞であればどのような細胞であってもよい。また、細胞を取得する方法も、上記のような綿棒を使って取得する方法に限定されず、ブラシなどで取得したり、10mM生理的食塩水などで口腔洗浄を行って取得したりする方法などであってもよいし、注射器などで血液を取得する方法であってもよい。
【0083】
続いて、ステップ2(S2)で、上記の生体細胞取得工程で取得された生体細胞からDNAを抽出して、肥満遺伝子の遺伝子多型情報を取得するDNA検査工程を行う。生体細胞からDNAを抽出する方法としては、生命科学の分野における公知の方法が用いられる。
【0084】
以下に、生体細胞からDNAを抽出して、その遺伝子多型情報を取得する方法の一例について具体的に説明する。
まず生体細胞が付着した綿棒の先端部をPBS緩衝液300μlに浸漬して懸濁する。続いて10000rpm,5分間の遠心分離を行い、上清を除去する。次に、この溶液中に所定ユニットのプロテアーゼKを含むpH7.0の10mMリン酸緩衝液を混合して撹拌し、55℃で30分間インキュベートする。その後、この反応溶液中にフェノール/クロロホルム(1:1)溶液200μlを混合して5分間撹拌し、10000rpm,5分間で遠心分離を行う。遠心分離後の水相を取得して、3M酢酸ナトリウムおよびエタノール400μlを混合して、1000rpm,10分間行う。得られた沈殿をエタノールで洗浄して、エバポレータで乾燥してDNAサンプルを得る。DNAサンプルは、この乾燥状態で長期間保存することができる。
【0085】
続いて、得られたDNAを増幅する工程を行う。この工程では、公知のPCR法を用いて目的遺伝子を含むDNA断片を1.0×10〜1.0×10倍に増幅して、後述する遺伝子多型情報の取得に使用する。なお、本実施形態で増幅する目的遺伝子は、上記したβ3AR,UCP1,β2AR遺伝子である。
【0086】
まず、乾燥DNAをTE緩衝液に20μlに溶解して、このうち2μlに対して、Taqポリメラーゼ,dNTP混合溶液,プライマーを混合したPCR溶液を50μl混合する。続いて、市販のPCR装置にこの混合溶液をセットして、90℃→55℃→70℃のサイクルを30回繰り返すことで、利用者のDNAを鋳型とするポリメラーゼによる連続複製反応を進行させる。この工程により、目的遺伝子を含むDNA断片を増幅することができる。
【0087】
続いて、得られたDNA断片から目的とする肥満遺伝子の遺伝子型を判断する工程を行う。この工程では、DNA断片を含む溶液に所定の制限酵素処理を施す。この制限酵素は、突然変異型の遺伝子の点変異領域を切断しないような認識配列を有するものを適宜選択する。あるいは逆に、突然変異型の遺伝子の点変異領域を切断する認識配列を有するものであってもよい。
【0088】
制限酵素処理を行った後のDNA断片をアガロースゲル電気泳動して、DNA断片の移動度を見ることで変異型の遺伝子を有しているか否かを判断する。
遺伝子型を決定する工程としては、上記のような制限酵素断片長により判断する方法に限定されず、例えばDNAシーケンサーなどで塩基配列を決定することで行うことも可能である。
【0089】
次に、上記工程で得られた遺伝子多型情報を本発明の健康支援情報提供コンピュータ1に入力する工程を行う。この工程では、利用者の個人情報,身体情報,生活情報などの情報とともに利用者の遺伝子多型情報を、利用者自身あるいはオペレータが入力装置17を介して入力する。
【0090】
具体的には、まずステップ3(S3)で健康支援情報提供コンピュータ1を起動して、健康支援情報決定プログラムおよび健康支援情報データをRAM7に読み出す健康支援情報読出工程を行う。これにより、ハードディスク11に記憶されている健康支援情報決定プログラムと健康支援情報データが、ハードディスク11から読み出されてRAM7に一時的に格納される。なお、この健康支援情報読出工程は、本発明の健康支援情報取得工程に相当する。
【0091】
健康支援情報提供コンピュータ1の出力装置19としてのディスプレイに、個人情報入力フォームを表示する。なお、個人情報入力フォームのインターフェースとしては、一般的なオペレーションシステムに付属してインストールされているブラウザなどを使用することができる。
【0092】
続いてステップ4(S4)で、上記ステップ2で取得した利用者の遺伝子多型情報を入力する遺伝子情報入力工程を行う。なお、本実施形態では、利用者の遺伝子多型情報のほかに、利用者の身長や体重といった個人情報を入力するよう構成されている。
【0093】
図4乃至図7は出力装置19の表示画面に表示される個人情報入力フォームを示す図であり、図4は第一の実施形態において表示される個人データ入力フォームを示す図、図5は第一の実施形態において表示される食事情報入力フォームを示す図、図6は第一の実施形態において表示される運動情報入力フォームを示す図、図7は第一の実施形態において表示される遺伝子多型情報入力フォームを示す図である。
【0094】
まず、出力装置19には、図4に示す個人データ入力フォームが表示される。この個人データ入力フォームには、「利用者の氏名」,「年齢」,「性別」,「身長」,「体重」,「体脂肪率」といった項目が表示されており、利用者自身あるいはオペレータが入力装置17としてのキーボードおよびマウスを利用してこれらの情報を入力する。なお、個人情報としてはこのような項目に限定されず、血液型などの項目を設けるようにしてもよい。
【0095】
次に、図5に示すように、利用者の生活情報の一つである食事情報を入力するための食事情報入力フォームを表示する。この食事情報入力フォームには、利用者がこの1週間で摂取した飲食物の種類や量などの情報を入力できる。この入力フォームには、更に「その他」の項目を設けて、間食などの情報を入力することも可能である。
【0096】
続いて、図6に示すように、利用者の生活情報の一つである運動情報を入力するための運動情報入力フォームを表示する。この運動情報入力フォームには、利用者が定期的あるいは不定期に行う運動の情報が入力できる。具体的には、「運動の種類」,1週間あたりに運動を行う日数としての「運動の頻度」,および運動を行ったときの時間である「運動時間」を入力することが可能である。
【0097】
更に、図7に示すように、利用者の遺伝子多型情報を入力するための遺伝子多型情報入力フォームを表示する。このフォームには、上述した3種類の肥満遺伝子毎にそれぞれ「ワイルド型」,「ヘテロ型」,および「ホモ型」の遺伝子型が示されており、該当するラジオボタンをチェックすることで、いずれか1つを選択することができる。
なお、遺伝子型が判明しなかった利用者のために、「不明」の項目を設けて、4つのラジオボタンを設け、この4種類の項目からいずれか1つを選択させるようにしてもよい。
【0098】
遺伝子型の選択が済んだ後、「送信」ボタンを押すことで、それまで入力した個人情報,食事情報,運動情報,および遺伝子多型情報などのデータが健康支援情報提供コンピュータ1に送信される。この工程は、遺伝子多型情報取得工程に該当する。なお、この遺伝子多型情報取得工程は、前述した健康支援情報取得工程よりも先に実行する構成としてもよい。
【0099】
続いて、ステップ5(S5)の健康支援情報決定工程を行う。この工程では、ステップ3で読み出された健康支援情報決定プログラムおよび健康支援情報データと、ステップ4で入力された利用者の2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに基づいて、利用者に適した健康支援情報を決定する。なお、この工程は、本発明の健康支援情報特定工程に該当する。
【0100】
図1に示すように、ステップ4で送信されたデータは、受信インターフェース3で受信される。受信インターフェース3はバス15を介してCPU13と電気的に接続されているため、受信した利用者のデータはCPU13に伝送される。
CPU13は、RAM7に一時的に記憶されている健康支援情報決定プログラムを実行し、利用者の遺伝子多型情報の組み合わせから、この組み合わせに該当する健康支援情報を健康支援情報データから決定する演算を行う。
【0101】
次に、ステップ6(S6)で、上記ステップ5で決定された健康支援情報を出力する健康支援情報出力工程を行う。ステップ5で決定された健康支援情報は、送信インターフェース5を介して健康支援情報提供コンピュータ1の外部に設けられた出力装置19に送信される。出力装置19は、ディスプレイやプリンタなどで構成され、この送信された健康支援情報を表示したり、印刷したりする。なお、この工程は、本発明の健康支援情報確認工程に相当する。
以下に、表示される健康支援情報の一例を挙げて説明する。
この工程により、利用者は直接的あるいは間接的に自分の体質に最も合った健康支援情報を確認することが可能となる。
【0102】
図8乃至図11は出力装置で表示される健康支援情報の一例を示す図であり、図8は第一の実施形態において表示される利用者の遺伝子多型情報を示す図、図9は第一の実施形態において表示される利用者の遺伝子多型情報を示す図、図10は第一の実施形態において表示される利用者の体型・体格を示す図、図11は第一の実施形態において表示される利用者の食事情報などを示す図である。この例では、出力装置としてCRTなどの画像表示装置を用いて、利用者に健康支援情報を表示している。また、利用者の遺伝子型が、β3AR遺伝子がワイルド型、UCP1遺伝子がワイルド型、β2AR遺伝子がヘテロ型の場合について説明している。
【0103】
図8に示すように、まず、利用者の氏名などの情報とともに、利用者の遺伝子多型情報を表示する。遺伝子多型情報は、「ワイルド型」,「ヘテロ型」,および「ホモ型」の3種類のいずれかが表示される。また、上述したように、遺伝子多型情報が不明の場合は、「不明」と表示してもよい。
更に、本例では、図9に示すように、遺伝子多型情報の右隣に、「ワイルド型」と比較した基礎代謝量を表示することができる。この基礎代謝量は、同図に示すように、利用者の遺伝子型に対応する項目をハイライト表示させて利用者に表示するとよい。
【0104】
また、図10に示すように、この遺伝子多型情報を元にした体型や体格の情報を表示することもできる。このような体型・体格表示をすることで、利用者に自分の体型と比較した理想体型や、自分の体のどの領域に脂肪が付きやすいかといった情報を、わかりやすく提供することができる。
【0105】
次に、利用者の遺伝子多型情報に基づいた食事情報や運動情報などを表示する。図11は、この利用者に適合する食事情報が表示された画面を示している。この例では、上記の遺伝子多型情報の組み合わせを有する利用者に対して、高タンパク質ダイエットが有効であるという食事情報を表示している。そして、その食事情報の詳細な説明が表示されている。
また、図示しないが、運動情報などの情報を更に表示することも可能である。
このように、利用者は、画面や印刷物に表示される健康支援情報をみて、自分の遺伝子多型情報や、自分に適した食事情報や運動情報などを知ることができる。
【0106】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。本実施形態では、人種情報からその人種にあった最適な遺伝子多型情報群を選択して、その遺伝子多型情報群に含まれる遺伝子多型情報に基づいて健康支援情報を提供する機能を、第一の実施形態の健康支援情報提供装置の機能に加えて更に備えた点を特徴としている。
【0107】
このように、人種情報に基づいて遺伝子多型情報を選択する理由は、遺伝子多型情報の人種による偏りのためである。例えば、白色人種よりも黄色人種の方が、少ないエネルギーで生体活動を行うのに適したいわゆる倹約遺伝子を備える人の割合が高い。また、同じ遺伝子であっても人種によって遺伝子産物の発現量が異なったり、活性や機能などに違いがあったりする。
従って、本実施形態の健康支援情報提供コンピュータ1は、入力された人種情報に基づいてその人種に最適な遺伝子多型情報を選択して健康支援情報を決定することで、利用者に最適な健康支援情報を提供することが可能となる。
【0108】
図12は第二の実施形態に係る健康支援情報提供装置の機能ブロック図である。本実施形態の健康支援情報提供コンピュータ1は、第一の実施形態の健康支援情報提供装置と同様に、受信手段を構成する受信インターフェース3と、送信手段を構成する送信インターフェース5と、健康支援情報記憶手段を構成するRAM7,ROM9,およびハードディスク11と、健康支援情報決定手段を構成するCPU13を主要な構成要素として備えている。なお、各構成要素の機能などについては第一の実施形態ですでに説明しているため、ここでは説明を省略する。
なお、受信インターフェース3は、本発明の遺伝子多型情報受信手段および人種情報受信手段に相当する。
【0109】
本実施形態では、利用者の遺伝子多型情報に加えて、利用者の人種情報についても入力装置17を用いて入力することが可能となっている。入力された人種情報は、利用者の遺伝子多型情報とともに受信インターフェース3で受信される。すなわち、受信インターフェース3は、本発明の人種情報受信手段に相当する。
【0110】
ハードディスク11には、上述した健康支援情報決定プログラムと、人種情報に対応して記憶される遺伝子多型情報群と、複数の遺伝子多型情報と関連付けて記憶される健康支援情報が記憶されている。
【0111】
遺伝子多型情報群には、人種情報と関連付けて複数の遺伝子多型情報が遺伝子多型情報群として記憶されている。本実施形態では、黄色人種,白色人種,黒色人種の3種類の人種が人種情報として記憶されている。
黄色人種と関連付けて、肥満遺伝子であるβ3AR遺伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子の遺伝子多型情報が黄色人種遺伝子多型情報群として記憶されている。そして、これらの遺伝子の遺伝子多型情報の組み合わせに関連付けて、それぞれ1つの健康支援情報が記憶されている。この遺伝子多型情報と健康支援情報の組み合わせに関しては、第一の実施形態において図2に示した説明図の通りである。
また、白色人種と関連付けて、肥満遺伝子であるPPARγ遺伝子,β2AR遺伝子,GNB3遺伝子,LEPR遺伝子の遺伝子多型情報が白色人種遺伝子多型情報群として記憶されている。そして、これらの遺伝子の遺伝子多型情報の組み合わせに関連付けて、それぞれ1つの健康支援情報が記憶されている。
また、黒色人種と関連付けて、肥満遺伝子であるβ3AR遺伝子,PPARγ遺伝子,UCP3遺伝子,LIPE遺伝子の遺伝子多型情報が黒色人種遺伝子多型情報群として記憶されている。そして、これらの遺伝子の遺伝子多型情報の組み合わせに関連付けて、それぞれ1つの健康支援情報が記憶されている。
【0112】
ここで、PPAR−γ(peroxisome proliferative activated receptor−gamma)遺伝子は、ヒト第3番染色体の3p25に存在し、脂肪細胞への分化に関連する遺伝子である。このPPAR−γには、N末端側から12番目のプロリンがアラニンに置換したPro12Ala多型が存在しており、肥満や糖尿病との関連が示唆されている。
また、GNB3(guanine nucleotide−binding protein beta polypeptide 3)はヒト第12番染色体の12p13に存在し、Gタンパク質の構成単位の一つであるβサブユニットをコードする遺伝子である。このGNB3には、5'末端側から825番目のシトシンがチミンに置換したC825T多型が存在しており、肥満や高血圧との関連が示唆されている。
更に、LEPR(Leptin receptor)はヒト第1番染色体の1p31に存在し、脂肪細胞から分泌されるホルモンであるレプチンを受容するレプチン受容体をコードする遺伝子である。レプチン受容体は視床下部に多く存在し、レプチンとの結合・解離により摂食制御などを行っている。このLEPRには、N末端側から223番目のグルタミンがアルギニンに置換したGln223Argなどの多型が存在しており、肥満などとの関連が示唆されている。
【0113】
また、UCP3(Uncoupling protein 3)はヒト第11番染色体の11q13に存在し、ミトコンドリアにおけるプロトン移送に関連する遺伝子である。UCP3には、5'末端側から55番目のシトシンがチミンに置換したC55T多型が存在しており、肥満などとの関連が示唆されている。
更に、LIPE(Lipase, hormone−sensitive)はヒト19q13.1〜19q13.2に存在し、脂肪細胞中で中性脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解するホルモン感受性リパーゼをコードする遺伝子である。このLEPRの多型についても肥満などとの関連が指摘されている。
【0114】
β3AR,UCP1,β2AR遺伝子は、黄色人種の肥満に特に大きな影響を与えていることが発明者らの研究でわかっている。従って、利用者の人種が黄色人種である場合には、この3種類の遺伝子についての遺伝子多型情報を取得して、その組み合わせに基づいて健康支援情報を提供することで、その利用者の人種情報を考慮した最適な健康支援情報を提供することが可能となる。
また、PPAR−γ,β2AR,GNB3,LEPR遺伝子は、白色人種の肥満に特に大きな影響を与えている。従って、利用者の人種が白色人種である場合には、この4種類の遺伝子についての遺伝子多型情報を取得して、その組み合わせに基づいて健康支援情報を提供することで、その利用者の人種情報を考慮した最適な健康支援情報を提供することが可能となる。
同様に、β3AR遺伝子,PPARγ遺伝子,UCP3遺伝子,LIPE遺伝子は、黒色人種の肥満に特に大きな影響を与えている。従って、利用者の人種が黒色人種である場合には、この4種類の遺伝子についての遺伝子多型情報を取得して、その組み合わせに基づいて健康支援情報を提供することで、その利用者の人種情報を考慮した最適な健康支援情報を提供することが可能となる。
【0115】
CPU13は、受信インターフェース3で受信した利用者の人種情報に基づいて、1つの遺伝子多型情報群を選択する。そして、受信インターフェース3で受信した利用者の遺伝子多型情報の組み合わせから、選択された遺伝子多型情報群の中からこの組み合わせに合致する1つの健康支援情報を決定する。この決定については、第一の実施形態の場合と同様に行われる。
【0116】
例えば、受信した人種情報が白色人種である場合は、白色人種遺伝子多型情報群を選択する。そして、受信した利用者の遺伝子多型情報の組み合わせを白色人種遺伝子多型情報群から選択して、その組み合わせに関連付けて記憶されている1つの健康支援情報を決定する。
決定された健康支援情報は、第一の実施形態の場合と同様に、送信インターフェース5を介して出力装置19に送信される。
【0117】
このように、本実施形態の健康支援情報提供コンピュータ1は、人種に応じて最適な遺伝子多型情報を遺伝子多型情報群として記憶しており、受信した利用者の人種情報に基づいてその人種に対応した遺伝子多型情報群を選択して、健康支援情報を決定する構成となっている。従って、利用者により適合した健康支援情報を提供することが可能となる。また、どのような人種の利用者に対しても適切な健康支援情報を提供することが可能となる。
【0118】
次に、本実施形態の健康支援情報提供コンピュータ1を用いて利用者に健康支援情報を提供する方法について、図13を参照しながら説明する。図13は本発明の第二の実施形態に係る健康支援情報提供装置を用いて利用者に健康支援情報を提供する流れを示したフローチャートである。
【0119】
まず、ステップ11(S11)で、利用者の生体細胞に一部を取得する生体細胞取得工程を行う。この工程では、第一の実施形態のステップ1と同じく綿棒などを用いて利用者の生体細胞を取得する工程であるため、ここでは説明を省略する。
【0120】
続いて、ステップ12(S12)で、上記の生体細胞取得工程で取得された生体細胞からDNAを抽出して、肥満遺伝子の遺伝子多型情報を取得するDNA検査工程を行う。この工程も、第一の実施形態のステップ2と同様の処理であるため、ここでは説明を省略する。
【0121】
次に、上記工程で得られた遺伝子多型情報を本発明の健康支援情報提供コンピュータ1に入力する工程を行う。この工程では、利用者の個人情報,身体情報,生活情報などの情報および利用者の遺伝子多型情報と共に利用者の人種情報を、利用者自身あるいはオペレータが入力装置17を介して入力する。
【0122】
具体的には、まずステップ13(S13)で健康支援情報提供コンピュータ1を起動して、ハードディスク11に記憶されている健康支援情報決定プログラムと健康支援情報を読み出す健康支援情報読出工程を行う。この工程では、ハードディスク11から読み出されてRAM7に一時的に格納される。なお、この健康支援情報読出工程は、本発明の健康支援情報取得工程に該当する。
【0123】
続いて、ステップ14(S14)で、利用者の人種情報を入力する人種情報入力工程を行う。具体的には、図14に示す個人データ入力フォームを表示する。図14は第二の実施形態において表示される個人データ入力フォームを示す図である。この個人データ入力フォームには、前述の第一の実施形態における個人データ入力フォームの項目に加えて、人種情報を入力する項目が設けられている。この項目には、黄色人種,白色人種,および黒色人種の3種類の人種と、それぞれの人種に対応してラジオボタンが設けられている。利用者あるいはオペレータは、このラジオボタンから所望の1つを選択する。
【0124】
次に、ステップ15(S15)で、上記ステップ12で取得した利用者の遺伝子多型情報を入力する遺伝子情報入力工程を行う。この工程に関しても、第一の実施形態の場合と同様である。
遺伝子型および人種情報の選択が済んだ後、「送信」ボタンを押すことで、それまで入力した遺伝子多型情報および人種情報が健康支援情報提供コンピュータ1に送信される。この工程は、遺伝子多型情報取得工程および人種情報取得工程に該当する。
なお、ステップ14およびステップ15については、上記のような順序に限定されず、先に遺伝子多型情報を入力するようにしてもよい。
【0125】
続いて、ステップ16(S16)で、利用者の人種情報に基づいて遺伝子多型情報群の決定を行う遺伝子多型情報群決定工程を行う。具体的には、先の人種情報入力工程で黄色人種が入力された場合には、遺伝子多型情報群としてβ3AR遺伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子の遺伝子多型情報が記憶された黄色人種遺伝子多型情報群が選択される。同様にして、白色人種の場合は、PPARγ遺伝子,β2AR遺伝子,GNB3遺伝子,LEPR遺伝子の遺伝子多型情報が記憶された白色人種遺伝子多型情報群が選択される。また、黒色人種の場合は、β3AR遺伝子,PPARγ遺伝子,UCP3遺伝子,LIPE遺伝子の遺伝子多型情報が記憶された白色人種遺伝子多型情報群が選択される。
【0126】
次に、ステップ17(S17)で、利用者の遺伝子多型情報に基づいて健康支援情報の決定を行う健康支援情報決定工程を行う。本実施形態では、ステップ16で選択された遺伝子多型情報群に含まれる複数の遺伝子の遺伝子多型情報から、ステップ15で入力された利用者の遺伝子多型情報のうち、ステップ16で選択された遺伝子多型情報群に含まれる複数の遺伝子の遺伝子多型情報のみが選択される。そして、この遺伝子多型情報の組み合わせに基づいて健康支援情報データから健康支援情報を決定する。この決定する工程は、第一の実施形態で説明したので、詳細な説明は省略する。なお、この健康支援情報決定工程は、本発明の健康支援情報特定工程に該当する。
ステップ17で決定された健康支援情報は、続くステップ18(S18)の健康支援情報出力工程で出力装置19に出力されて、利用者に表示される。なお、この健康支援情報出力工程は、本発明の健康支援情報確認工程に相当する。
【0127】
なお、本実施形態では、上述した人種情報入力工程において黄色人種,白色人種,黒色人種の3種類の人種情報が入力される態様となっているが、このような人種情報を更に細分化した民族情報などを入力するようにしてもよい。遺伝子多型情報は、人種のみならず民族によっても偏りがあるため、入力された民族情報に基づいてその民族に最適な遺伝子多型情報を選択することで、利用者に最適な健康支援情報を提供することが可能となる。
【0128】
また、本実施形態では、人種情報として黄色人種,白色人種,黒色人種の3種類のみを挙げて説明しているが、人種情報としてはこの3種類に限定されず、例えば父親が黒色人種,母親が白色人種といった場合は、両方の人種の影響を考慮して健康支援情報を決定する必要がある。この場合は、このような両親を持つ利用者に最適な遺伝子が記憶された黒色人種−白色人種遺伝子多型情報群を予め健康支援情報提供コンピュータ1に記憶しておく。そして、個人情報入力フォームに父親および母親の人種情報を入力できるようにしておき、この個人情報入力フォームに父親が黒色人種、母親が白色人種という情報が入力された場合には、黒色人種−白色人種遺伝子多型情報群を選択して、これに記憶された遺伝子の遺伝子多型情報の組み合わせに基づいて、その利用者に最適な健康支援情報を出力する。
【0129】
なお、遺伝子多型情報群としては、このような親の世代(P1世代)に対応した遺伝子多型情報群に限定されず、複数世代前からの人種情報を入力できるようにしてもよい。
また、利用者の人種情報をパーセント(%)で入力するようにしてもよい。例えば、黒色人種25%、白色人種75%、黄色人種0%という具合である。この人種混合比に基づいてその利用者に最適な遺伝子を選択して、この遺伝子多型情報の組み合わせに基づいて利用者に体質に合致した最適な健康支援情報を出力するようにしてもよい。
このような構成とすることで、その利用者の人種情報をより正確に取得することが可能となり、ひいてはその利用者の体質に最適な健康支援情報を提供することが可能となる。
【0130】
以上、本発明の健康支援情報提供装置について、複数の実施形態を挙げて説明した。これらの実施形態では、健康支援情報提供装置はスタンドアロン型のコンピュータにより構成されているが、本発明の健康支援情報提供装置としては、このようなスタンドアロン型のコンピュータに限定されない。例えば、本発明の健康支援情報提供装置をネットワークに接続したサーバ装置として構成して、ネットワークを介してクライアント端末に健康支援情報を出力するようにしてもよい。
【0131】
以下に、上述したように健康支援情報提供装置をサーバ装置とした例について説明する。図15は本発明の健康支援情報提供装置をサーバ装置とした例について説明する説明図である。図15に示すように、本実施形態における健康支援情報提供装置は健康支援情報提供サーバ21として構成されている。そして、健康支援情報提供サーバ21はネットワーク23を介して端末25と接続されている。なお、ネットワーク23の種類としては、LANやWAN、インターネットなどの公知の回線網が挙げられる。
また、健康支援情報提供サーバ21が出力する健康支援情報は、HTMLはXMLなどの形式で端末25に出力したり、電子メールなどで端末25に提供したりするようにしてもよい。この場合、健康支援情報提供サーバ21はメールサーバとしての機能を備えることも可能である。
【0132】
以上、説明したように、本発明の健康支援情報は、利用者の2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに基づいて、その利用者に体質に合致した最適な健康支援情報を提供することが可能となる。
【0133】
なお、本発明の健康支援情報提供装置について肥満遺伝子の遺伝子多型情報に基づいて利用者に健康支援情報を提供する例を挙げて説明したが、本発明の健康支援情報提供装置としては、このような肥満遺伝子の遺伝子多型情報に限定されない。例えばp53やRASなどの腫瘍遺伝子や、ALDH1などのアルコール分解に関する遺伝子といった各種疾患や体質に関連する遺伝子の遺伝子多型情報に基づいて、健康支援情報を提供することができる。
【0134】
また、上記各実施形態では、β2AR遺伝子やUCP1遺伝子といった異なる遺伝子の組み合わせから健康支援情報を決定した例について記載しているが、遺伝子多型情報としては、このように異なる遺伝子についての遺伝子多型情報に限定されず、同一の遺伝子に複数の多型がある場合には、これらの組み合わせやこれらの組み合わせと他の遺伝子の多型情報との組み合わせに基づいて健康支援情報を提供するようにしてもよい。
例えば、β2AR遺伝子には、上述したArg16Gly以外にGln27Gluという多型が存在しており、この多型についても肥満との関連性が示唆されている。このように、同一の遺伝子に複数の多型が存在する場合には、これらの組み合わせに基づいて健康支援情報を提供するようにすれば、1種類の遺伝子多型情報のみに基づいて健康支援情報を提供する場合と比較して、利用者の体質により適合した健康支援情報を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】第一の実施形態に係る健康支援情報提供装置の機能ブロック図である。
【図2】第一の実施形態に係る健康支援情報提供装置における複数の遺伝子多型情報と健康支援情報の関係を模式的に示した説明図である。
【図3】第一の実施形態に係る健康支援情報提供装置を用いて利用者に健康支援情報を提供する流れを示したフローチャートである。
【図4】第一の実施形態において表示される個人データ入力フォームを示す図である。
【図5】第一の実施形態において表示される食事情報入力フォームを示す図である。
【図6】第一の実施形態において表示される運動情報入力フォームを示す図である。
【図7】第一の実施形態において表示される遺伝子多型情報入力フォームを示す図である。
【図8】第一の実施形態において表示される利用者の遺伝子多型情報を示す図である。
【図9】第一の実施形態において表示される利用者の遺伝子多型情報を示す図である。
【図10】第一の実施形態において表示される利用者の体型・体格を示す図である。
【図11】第一の実施形態において表示される利用者の食事情報などを示す図である。
【図12】第二の実施形態に係る健康支援情報提供装置の機能ブロック図である。
【図13】本発明の第二の実施形態に係る健康支援情報提供装置を用いて利用者に健康支援情報を提供する流れを示したフローチャートである。
【図14】第二の実施形態において表示される個人データ入力フォームを示す図であるである。
【図15】本発明の健康支援情報提供装置をサーバ装置とした例について説明する説明図である。
【符号の説明】
【0136】
1 健康支援情報提供コンピュータ(健康支援情報提供装置)
3 受信インターフェース(遺伝子多型情報受信手段、人種情報受信手段)
5 送信インターフェース(健康支援情報出力手段)
7 RAM(健康支援情報記憶手段)
9 ROM(健康支援情報記憶手段)
11 ハードディスク(健康支援情報記憶手段)
13 CPU(健康支援情報決定手段)
15 バス
17 入力装置
19 出力装置
21 健康支援情報提供サーバ(健康支援情報提供装置)
23 ネットワーク
25 端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の体質に応じて健康を支援するための健康支援情報を提供する健康支援情報提供方法であって、
健康に関連する複数の遺伝子多型情報の組み合わせに関連付けて健康支援情報を取得する健康支援情報取得工程と、
利用者の健康に関連する2以上の遺伝子多型情報を取得する遺伝子多型情報取得工程と、を順不同で行い、
前記健康支援情報取得工程で取得された健康支援情報のうち、前記遺伝子多型情報取得工程で取得した2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに該当する健康支援情報を特定する健康支援情報特定工程と、
該健康支援情報特定工程で特定した健康支援情報を確認させる健康支援情報確認工程と、を備えたことを特徴とする健康支援情報提供方法。
【請求項2】
前記遺伝子多型情報は、肥満遺伝子の遺伝子多型情報であることを特徴とする請求項1記載の健康支援情報提供方法。
【請求項3】
前記肥満遺伝子は、β3AR遺伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子から選択される肥満遺伝子であることを特徴とする請求項2記載の健康支援情報提供方法。
【請求項4】
前記健康支援情報提供方法は、利用者の人種に関する人種情報を取得する人種情報取得工程を更に含み、
前記健康支援情報特定工程は、前記健康支援情報取得工程で取得した健康支援情報のうち、前記遺伝子多型情報取得工程で取得した2以上の遺伝子の遺伝子多型情報の組み合わせ及び前記人種情報取得工程で取得した人種情報に基づいて健康支援情報を特定することを特徴とする請求項1記載の健康支援情報提供方法。
【請求項5】
前記人種情報は、黄色人種,白色人種,黒色人種のいずれか少なくとも1つを含み、
前記遺伝子多型情報は、
前記人種情報が黄色人種である場合には、β3AR遺伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子から選択され、
前記人種情報が白色人種である場合には、PPARγ遺伝子,β2AR遺伝子,GNB3遺伝子,LEPR遺伝子から選択され、
前記人種情報が黒色人種である場合には、β3AR遺伝子,PPARγ遺伝子,UCP3遺伝子,LIPE遺伝子から選択される肥満遺伝子の遺伝子多型情報であることを特徴とする請求項4記載の健康支援情報提供方法。
【請求項6】
前記健康支援情報は、食事に関する情報,運動に関する情報,及び栄養補助食品に関する情報のいずれか少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の健康支援情報提供方法。
【請求項7】
利用者の体質に応じて健康を支援するための健康支援情報を提供する健康支援情報提供装置であって、
健康に関連する複数の遺伝子多型情報の組み合わせに関連付けて健康支援情報を記憶する健康支援情報記憶手段と、
利用者の健康に関連する2以上の遺伝子多型情報を受信する遺伝子多型情報受信手段と、
前記健康支援情報記憶手段に記憶された健康支援情報のうち、前記遺伝子多型情報受信手段で受信した2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに該当する健康支援情報を決定する健康支援情報決定手段と、
該健康支援情報決定手段で決定された健康支援情報を出力する健康支援情報出力手段と、を備えたことを特徴とする健康支援情報提供装置。
【請求項8】
前記遺伝子多型情報は、肥満遺伝子の遺伝子多型情報であることを特徴とする請求項7記載の健康支援情報提供装置。
【請求項9】
前記肥満遺伝子は、β3AR遺伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子から選択される肥満遺伝子であることを特徴とする請求項8記載の健康支援情報提供装置。
【請求項10】
前記健康支援情報提供装置は、利用者の人種に関する人種情報を受信する人種情報受信手段を更に備え、
前記健康支援情報決定手段は、前記遺伝子多型情報受信手段で受信した健康支援情報のうち、前記遺伝子多型情報受信手段で受信した2以上の遺伝子の遺伝子多型情報の組み合わせ及び前記人種情報受信手段で受信した人種情報に基づいて健康支援情報を決定することを特徴とする請求項7記載の健康支援情報提供装置。
【請求項11】
前記人種情報は、黄色人種,白色人種,黒色人種のいずれか少なくとも1つを含み、
前記遺伝子多型情報は、
前記人種情報が黄色人種である場合には、β3AR遺伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子から選択され、
前記人種情報が白色人種である場合には、PPARγ遺伝子,β2AR遺伝子,GNB3遺伝子,LEPR遺伝子から選択され、
前記人種情報が黒色人種である場合には、β3AR遺伝子,PPARγ遺伝子,UCP3遺伝子,LIPE遺伝子から選択される肥満遺伝子の遺伝子多型情報であることを特徴とする請求項10記載の健康支援情報提供装置。
【請求項12】
前記健康支援情報は、食事に関する情報,運動に関する情報,及び栄養補助食品に関する情報のいずれか少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項7記載の健康支援情報提供装置。
【請求項13】
利用者の体質に応じて健康を支援するための健康支援情報をコンピュータに提供させる健康支援情報提供プログラムであって、前記コンピュータに、
健康に関連する複数の遺伝子多型情報の組み合わせに関連付けて記憶された健康支援情報を読み出す健康支援情報読出ステップと、
利用者の健康に関連する2以上の遺伝子多型情報を受信する遺伝子多型情報受信ステップと、を順不同で実行し、
前記健康支援情報読出ステップで読み出された健康支援情報のうち、前記遺伝子多型情報受信ステップで受信した2以上の遺伝子多型情報の組み合わせに該当する健康支援情報を決定する健康支援情報決定ステップと、
該健康支援情報決定ステップで決定された健康支援情報を出力する健康支援情報出力ステップと、を実行させることを特徴とする健康支援情報提供プログラム。
【請求項14】
前記遺伝子多型情報は、肥満遺伝子の遺伝子多型情報であることを特徴とする請求項13記載の健康支援情報提供プログラム。
【請求項15】
前記肥満遺伝子は、β3AR遺伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子から選択される肥満遺伝子であることを特徴とする請求項14記載の健康支援情報提供プログラム。
【請求項16】
前記健康支援情報提供プログラムは、前記利用者の人種に関する人種情報を受信する人種情報受信ステップを更に含み、
前記健康支援情報決定ステップは、前記遺伝子多型情報受信ステップで受信した健康支援情報のうち、前記遺伝子多型情報受信ステップで受信した2以上の遺伝子の遺伝子多型情報の組み合わせ及び前記人種情報受信ステップで受信した人種情報に基づいて健康支援情報を決定することを特徴とする請求項13記載の健康支援情報提供プログラム。
【請求項17】
前記人種情報は、黄色人種,白色人種,黒色人種のいずれか少なくとも1つを含み、
前記遺伝子多型情報は、
前記人種情報が黄色人種である場合には、β3AR遺伝子,UCP1遺伝子,β2AR遺伝子から選択され、
前記人種情報が白色人種である場合には、PPARγ遺伝子,β2AR遺伝子,GNB3遺伝子,LEPR遺伝子から選択され、
前記人種情報が黒色人種である場合には、β3AR遺伝子,PPARγ遺伝子,UCP3遺伝子,LIPE遺伝子から選択される肥満遺伝子の遺伝子多型情報であることを特徴とする請求項13記載の健康支援情報提供プログラム。
【請求項18】
前記健康支援情報は、食事に関する情報,運動に関する情報,及び栄養補助食品に関する情報のいずれか少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項13記載の健康支援情報提供プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−34845(P2007−34845A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219403(P2005−219403)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(504217812)ジェネシスヘルスケア株式会社 (2)